(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベース部材に枢支され、ストライカに係合してドアを全閉状態に保持可能なフルラッチ位置から、前記ドアの半ドア状態に相当するハーフラッチ位置を経て、前記ストライカを解放して前記ドアの開きを可能にするオープン位置まで回動するラッチと、
前記ベース部材に枢支され、前記フルラッチ位置及びハーフラッチ位置において前記ラッチに係合することにより、前記ラッチの前記オープン位置方向への回動を阻止するラチェットと、
待機位置からリリース方向へ移動することにより、前記ラチェットを前記フルラッチ位置にある前記ラッチとの係合が解除されるリリース方向へ移動可能であり、かつ前記リリース方向へ最大限移動したとき前記ベース部材に設けたストッパ部に当接して停止する移動部材と、
前記移動部材を前記リリース方向へ駆動する電気的駆動源と、
前記ラッチが前記フルラッチ位置から前記ハーフラッチ位置方向へ回動する途中において作動するフルラッチ検出スイッチと、
前記電気的駆動源の駆動による前記移動部材のリリース方向への移動に基づいて、前記移動部材が前記ストッパ部に当接して停止する前に、前記ラチェットが前記フルラッチ位置にある前記ラッチとの係合を解除するリリース位置に移動したことを検出するラチェット検出スイッチと、
前記電気的駆動源の作動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、操作スイッチのドア開操作に基づいて、前記移動部材が前記リリース方向へ移動するように、前記電気的駆動源をリリース駆動制御するとともに、前記ラチェット検出スイッチが前記ラチェットのリリース位置への移動を検出し、かつ前記移動部材が前記ストッパ部に当接して停止している状態で、前記ラッチが前記フルラッチ位置からオープン位置方向へ回動し前記フルラッチ検出スイッチが作動したとき、前記電気的駆動源への通電を停止させる制御を行うことを特徴とする車両用ドアラッチ装置。
前記ハーフラッチ位置を検出可能なハーフラッチ検出スイッチをさらに備え、前記ハーフラッチ検出スイッチは、前記ラッチが前記フルラッチ位置から前記ハーフラッチ位置を若干越えた位置までオープン位置方向へ回動したとき作動し、前記制御装置は、前記ハーフラッチ検出スイッチが作動したとき、前記電気的駆動源を反転制御させて、前記移動部材をリリース位置から待機位置に復帰させることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアラッチ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているドアラッチ装置は、全閉状態にロックされているバックドアを開く場合、ドア開操作スイッチを操作してモータをドア開方向に作動させ、モータにより駆動される移動部材としてのセクタギヤ、及びセクタギヤにより作動させられるオープンレバーをリリース方向へ移動させると、ラチェットが、ラッチとの係合が解除されるリリース方向に回動し、ラッチが車体側のストライカを解放するオープン方向へ回動することにより、ドアの開きが可能となる。
【0005】
この場合、引用文献1には開示されていないが、モータは、ドア開操作スイッチの操作により作動を開始してから、ハーフラッチ検出スイッチがラッチのハーフラッチ位置を検知して停止するまで、一定時間だけ作動するように制御されるようになっているのが一般的である。また、引用文献1には開示されていないが、モータにより中立位置(待機位置)からリリース方向に移動させられるセクタギヤは、一般的に、ベース部材に設けたストッパ部に当接して停止するようになっている。
【0006】
しかし、ハーフラッチ検出スイッチがラッチのハーフラッチ位置を検知したとき、モータの作動を停止させるように制御すると、モータがドア開方向に作動している時間が長くなるため、セクタギヤをストッパ部に当接させて停止させるようにした場合、セクタギヤがストッパ部に当接して拘束されている間も、モータには通電され、モータはドア開方向へ回転しようとするため、モータに負荷が加わり、長期間使用した場合の耐久性が懸念される。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、移動部材がストッパに当接して拘束されている間の電気的駆動源への通電時間を短縮し、電気的駆動源の耐久性を向上させうるようにした車両用ドアラッチ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
第1の発明は、ベース部材に枢支され、ストライカに係合してドアを全閉状態に保持可能なフルラッチ位置から、前記ドアの半ドア状態に相当するハーフラッチ位置を経て、前記ストライカを解放して前記ドアの開きを可能にするオープン位置まで回動するラッチと、前記ベース部材に枢支され、前記フルラッチ位置及びハーフラッチ位置において前記ラッチに係合することにより、前記ラッチの前記オープン位置方向への回動を阻止するラチェットと、待機位置からリリース方向へ移動することにより、前記ラチェットを前記フルラッチ位置にある前記ラッチとの係合が解除されるリリース方向へ移動可能であり、かつ前記リリース方向へ最大限移動したとき前記ベース部材に設けたストッパ部に当接して停止する移動部材と、前記移動部材を前記リリース方向へ駆動する電気的駆動源と、前記ラッチが前記フルラッチ位置から前記ハーフラッチ位置方向へ回動する途中において作動するフルラッチ検出スイッチと、
前記電気的駆動源の駆動による前記移動部材のリリース方向への移動に基づいて、前記移動部材が前記ストッパ部に当接して停止する前に、前記ラチェットが前記フルラッチ位置にある前記ラッチとの係合を解除するリリース位置に移動したことを検出するラチェット検出スイッチと、前記電気的駆動源の作動を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、操作スイッチのドア開操作に基づいて、前記移動部材が前記リリース方向へ移動するように、前記電気的駆動源をリリース駆動制御
するとともに、前記ラチェット検出スイッチが前記ラチェットのリリース位置への移動を検出し、かつ前記移動部材が前記ストッパ部に当接して停止している状態で、前記ラッチが前記フルラッチ位置からオープン位置方向へ回動し前記フルラッチ検出スイッチが作動したとき、前記電気的駆動源への通電を停止させる制御を行うことを特徴としている。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記ハーフラッチ位置を検出可能なハーフラッチ検出スイッチをさらに備え、前記ハーフラッチ検出スイッチは、前記ラッチが前記フルラッチ位置からハーフラッチ位置を若干越えた位置までオープン位置方向へ回動したとき作動し、前記制御装置は、前記ハーフラッチ検出スイッチが作動したとき、前記電気的駆動源を反転制御させて、前記移動部材をリリース位置から待機位置に復帰させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、制御装置は、操作スイッチのドア開操作に基づいて、移動部材がリリース方向へ移動するように、電気的駆動源をリリース駆動制御し、移動部材が前記ストッパ部に当接して停止している状態で、ラッチがフルラッチ位置からオープン位置方向へ回動しフルラッチ検出スイッチが作動したとき、電気的駆動源への通電を停止させる制御を行うので、移動部材がストッパ部に当接して拘束されている間の電気的駆動源への通電時間が短縮されて、電気的駆動源に加わる負荷が軽減され、電気的駆動源の耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係わる車両用ドアラッチ装置の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、
図2における紙面手前側を「前側」とし、紙面奥側を「後側」とし、紙面の左右方向を「左右方向」とする。
【0013】
図1〜
図3に示すように、ドアラッチ装置1は、上端部が自動車の後輪Wの中心Oよりもやや前方において車体Bの後上部に左右方向のヒンジ軸Hを介して上下方向へ開閉可能に枢着されたバックドア(以下、ドアと略称する)Dの下端部に設けられている。
【0014】
ドアラッチ装置1は、車体Bの後下部に固着されたストライカSに噛合することによりドアDを全閉状態に拘束する噛合ユニット2と、噛合ユニット2を電動でハーフラッチ状態(ドアの半ドア状態)からフルラッチ状態(ドアの全閉状態)に変位させて、ドアDを半ドア状態から全閉状態へ強制的に閉め込むクローズ機能、及び噛合ユニット2の噛合状態を解除してドアDの開きを可能にするリリース機能を有する操作ユニット3とを備えている。
【0015】
図4及び
図6等にも示すように、噛合ユニット2は、ドアDの下端部にボルト(図示略)により固定される、ベース部材としての金属製のカバープレート4と、カバープレート4の上側に設置されてカバープレート4と共にドアDに固定される金属製のバックプレート5と、カバープレート4とバックプレート5との間に固定される、ベース部材としての合成樹脂製のボディ6と、カバープレート4の上面とボディ6の下面との間にラッチ軸7により枢支されたラッチ8と、同じくカバープレート4の上面とボディ6の下面との間にラチェット軸9により枢支されたラチェット10と、導電性のハーフラッチ用通電板11A、フルラッチ用通電板11B及びラチェット用通電板11C(
図5参照)をインサート成形した合成樹脂製のスイッチプレート11と、ラッチ8のハーフラッチ位置を検出するハーフラッチ検出スイッチ12と、ラッチ8のフルラッチ位置を検出するフルラッチ検出スイッチ13と、ラチェット10がオープン位置へ回動したことを検出するラチェット検出スイッチ14と、ラッチ8と一体的に回動可能なラッチレバー15等を備えている。
【0016】
カバープレート4は、ボディ6を保持する基部41と、その左右両側に一体形成されたドアDに固定するための取付片42、42とを有し、基部41のほぼ中央部には、ドアDの閉鎖時にストライカSが進入する前後方向のストライカ進入溝411が設けられている。
【0017】
バックプレート5は、ボディ6の上面を押さえる基部51と、その左右両側に一体形成された、カバープレート4の両取付片42の上側にそれぞれ重なる左右の取付片52、52とを有している。両取付片52は、後述するベースプレート20を介して、カバープレート4の両取付片42、42と共にドアDに固定される。
【0018】
図4に示すように、ボディ6の左右方向のほぼ中央部には、カバープレート4のストライカ進入溝411に対してその上側に重なって下方及び前方が開口するストライカ進入溝61と、ストライカ進入溝61の右側に設けられた、上下方向に貫通する円筒状の支持筒部62と、ストライカ進入溝61を境に左側にあって上下方向に貫通する円筒状の支持筒部63と、スイッチプレート11の左右両側を位置決めするための上方へ円柱状に突出する位置決め突部64、65と、スイッチプレート11の後部を左右両側から保持する左右1対の上向保持片66、66とが一体的に形成されている。両上向保持片66には、スイッチプレート11の後部の両側面に突設された左右1対の係合爪111、111が上方から弾性係合する係合孔66a、66aが形成されている。
【0019】
ラッチ8は、カバープレート4とボディ6間にあって、ボディ6の支持筒部62に回動可能に挿入される上述の上下方向のラッチ軸7により枢支されるとともに、支持筒部62に巻装されたばね17によりオープン方向(
図6において反時計方向)へ付勢され、ドアDの閉動作に伴って、ストライカSに噛合しないオープン位置(
図8に示す位置)から、ストライカSと辛うじて係合するハーフラッチ位置(
図7に示す位置)を経て、ストライカSと完全に係合するフルラッチ位置(
図6に示す位置)まで回動し、ドアDの開動作時には逆方向へ回動する。
【0020】
ラッチ8は、表面が合成樹脂材でモールド成型され、その回転面には、モールド成型により一体成形され上方へ円弧状に突出する第1被検出部81、及び第1被検出部81よりも低い位置の第2被検出部82が上向きに一体的に形成されている。第1、第2被検出部81、82は、ボディ6を下方から貫通してボディ6の上面へ突出している。
【0021】
ラッチレバー15は、ラッチ8と一体回動するラッチ軸7の上端に固着されることにより、ラッチ8と一体的に回動可能であり、ラッチレバー15の後方を向く回動端部には、上方へ向けて突出する円柱状の突軸18が固着されている。
【0022】
ラチェット10は、カバープレート4とボディ6間にあって、ボディ6の支持筒部63に回動可能に挿入される上述の上下方向のラチェット軸9により枢支されるとともに、支持筒部63に巻装されるばね19により係合方向(
図6において時計方向)へ付勢され、ドアDの閉動作に伴ってラッチ8がオープン位置からハーフラッチ位置に回動することにより、ばね19の付勢力をもって、
図7に示すように、ラッチ8の外周に設けられるハーフラッチ爪部83に係合し、またラッチ8がフルラッチ位置に回動することにより、
図6に示すように、ラッチ8のフルラッチ爪部84に係合して、ラッチ8のオープン方向(
図6において反時計方向)への回動を阻止する。ラチェット10の前端部には、上方へ突出する円柱状の被検出部101が固着され、被検出部101は、ボディ6を下方から貫通してその上面に突出している。
【0023】
図7に示すように、ラチェット10がラッチ8のハーフラッチ爪部83に係合している場合には、ラッチ8のハーフラッチ位置からオープン方向(
図7において反時計方向)への回動が阻止されて、ドアDは半ドア状態に保持される。また、
図6に示すように、ラチェット10がラッチ8のフルラッチ爪部84に係合している場合には、ラッチ8がフルラッチ位置に拘束されて、ドアDは全閉状態に保持される。また、ラチェット10がばね19の付勢力に抗してリリース方向(
図6、
図7において反時計方向)へ回動した場合には、ラチェット10はハーフラッチ爪部83またはフルラッチ爪部84の係合から外れ、ラッチ8とストライカSとの噛合が解除されて、ドアDの開きが可能となる。
【0024】
図4及び
図5に示すように、スイッチプレート11の右側部の後端部をボディ6の後端部の上向保持片66、66間に上方より嵌合させつつ、左右の係合爪111、111を両上向保持片66の係合孔66aに弾性係合させて保持するとともに、スイッチプレート11の左右両側に設けた位置決め孔112、112を、ボディ6に設けた位置決め突部64、65に嵌合させることにより、スイッチプレート11は、ボディ6の上面に位置決めして取付けられている。また、スイッチプレート11は、ボディ6の上面を覆うように固定されるバックプレート5により、不動状態に押さえられている。従って、スイッチプレート11を固定するためのねじ等の固定手段は不要となっている。
【0025】
操作ユニット3は、噛合ユニット2のカバープレート4及びドアDに固定される、取付ブラケットを兼ねる金属製のベースプレート20と、ベースプレート20の後面に固定される、電気的駆動源であるモータ21と、ベースプレート20の前面に前後方向を向く支軸22により枢支され、モータ21の回転を図示しないウォームとウォームホイールを介して減速して伝達するピニオンギヤ23に噛合されたセクタギヤ24と、噛合ユニット2におけるバックプレート5の上向折曲部53に前後方向を向く支軸25により枢支されたオープンレバー26と、ベースプレート20の前面の中央部に取付けられ、セクタギヤ24の回動位置を検出可能なセクタギヤ検出スイッチ27とを有している。なお、セクタギヤ24及びオープンレバー26は、本発明に係る移動部材に相当する。
【0026】
オープンレバー26は、支軸25に巻装されたばね28により待機位置(
図2、
図3に示す位置)に保持され、上部には、ドアDの外側に配置される開扉用のドアハンドル(図示略)のドア開操作力を入力する操作入力部261が設けられ、下部には、ラチェット10の後端部102に当接可能な当接部262(
図2、
図6〜8参照)が設けられている。
【0027】
ドアDのドアハンドルが開操作された場合には、ドアハンドルの作動部分がオープンレバー26の操作入力部261に当接することにより、オープンレバー26は、ばね28の付勢力に抗して待機位置からリリース方向(
図2において時計方向)へ回動し、当接部262がラチェット10の後端部102に当接することにより、ラチェット10はリリース方向へ回動させられ、ドアDの開きが可能となる。
【0028】
セクタギヤ24は、その回転面より前方へ突出する円柱状の押圧軸241と被検出部242を有し、モータ21の正転によりピニオンギヤ23が回転した場合に、待機位置である中立位置(
図2に示す位置)からリリース方向(
図2において反時計方向)へ回動し、またモータ21の逆転によりピニオンギヤ23が回転した場合に、中立位置からクローズ方向(
図2において時計方向)へ回動する。
【0029】
セクタギヤ24がリリース方向へ最大限回動すると、その左側端243が、カバープレート4における基部41の左側後端部に形成されたリリース用ストッパ部412(
図5参照)の上面に当接して停止し、また中立位置からクロ−ズ方向へ最大限回動すると、右側端244が、カバープレート4における基部41の右側後端部に形成されたクローズ用ストッパ部413の上面に当接して停止するようになっている。
【0030】
ドアDが閉じられているとき、ドア開操作スイッチ(図示略)が操作されると、車体の適所に配置される制御装置30は、モータ21を正転方向へ制御する。これにより、セクタギヤ24は、モータ21の駆動力により中立位置からリリース方向へ回動し、押圧軸241の左側部が、オープンレバー26の右側縁に設けた被当接部263に右側から当接して、オープンレバー26を待機位置からリリース方向へ回動させ、当接部262がラチェット10の後端部102を反時計方向に押動してラッチ8との係合を解除することにより、ドアDの開きが可能となる。なお、セクタギヤ24は、オープンレバー26をリリース方向へ回動させた後において、その左側端243がカバープレート4のリリース用ストッパ部412に当接して停止するようになっている。
【0031】
ハーフラッチ検出スイッチ12は、
図7に示すように、ドアDの閉動作に伴って、ラッチ8が
図8に示すオープン位置からハーフラッチ位置手前まで回動した時点で、検出部121がラッチ8の第1被検出部81の外周面から外れることにより、ONからOFFに切り替わり、ラッチ8がハーフラッチ位置に回動したとみなされる。ハーフラッチ検出スイッチ12が検出したラッチ8のハーフラッチ検出信号は、制御装置30へ送信され、制御装置30は、モータ21を正転方向へ制御する。
【0032】
これにより、セクタギヤ24は、モータ21の駆動力により中立位置からクローズ方向へ回動し、押圧軸241の右側面がラッチレバー15の突軸18に左側から当接することにより、ラッチレバー15は平面視時計方向へ回動させられる。これにより、ラッチ8は、ラッチレバー15と共にハーフラッチ位置からフルラッチ位置まで回動し、ドアDは、半ドア状態から全閉状態へ強制的に閉め込まれる。
【0033】
また、ハーフラッチ検出スイッチ12は、ドアDの開操作に伴って、ラッチ8が
図6に示すフルラッチ位置から、
図8に示すオープン位置に回動する途中で、かつハーフラッチ位置を通過した直後に、検出部121がラッチ8の第1被検出部81により押し込まれることにより、OFFからONに切り替わり、ラッチ8がハーフラッチ位置を通過したことが検出される。この際のハーフラッチ検出信号は、制御装置30へ送信され、制御装置30は、モータ21を反転制御する。これにより、セクタギヤ24は中立位置まで回動し、押圧軸241がオープンレバー26の被当接部263より離間することにより、リリース方向に回動されていたオープンレバー26は、ばね28の付勢力により原位置に復帰する。
【0034】
フルラッチ検出スイッチ13は、ドアの閉動作時、
図6に示すように、ラッチ8がフルラッチ位置に回動する場合に、その直前において、フルラッチ検出スイッチ13の検出部131がラッチ8の第2被検出部82の外周面から外れることにより、ONからOFFに切り替わり、ラッチ8がフルラッチ位置まで回動したとみなされる。フルラッチ検出スイッチ13が検出したラッチ8のフルラッチ検出信号は、制御装置30へ送信され、制御装置30は、モータ21を反転させて、セクタギヤ24を中立位置に戻す制御を行う。
なお、フルラッチ検出スイッチ13は、車室内のルームランプを点灯及び消灯させるルームランプスイッチも兼ねており、フルラッチ検出スイッチ13がONからOFFに切り替わった際にルームランプが消灯し、OFFからONに切り替わった際に点灯するようになっている。
【0035】
セクタギヤ検出スイッチ27は、セクタギヤ24が中立位置にあるとき、出没自在な検出部271がセクタギヤ24の被検出部242に接触することにより、セクタギヤ24の中立位置を検出する。セクタギヤ検出スイッチ27の検出信号は、制御装置30に送信され、制御装置30は、セクタギヤ検出スイッチ27が検出する中立検出信号に基づいてモータ21を停止させるように制御する。
【0036】
スイッチプレート11の後端部には、ハーフラッチ用通電板11A、フルラッチ用通電板11B及びラチェット用通電板11Cの端末の接続端子部を内部に露出させたカプラ113が一体成形され、このカプラ113には、制御装置30にワイヤハーネス31を介して電気的に接続される外部コネクタ(図示略)が接続される。
【0037】
スイッチプレート11におけるボディ6のストライカ進入溝61の右側方には、ハーフラッチ検出スイッチ12を上方から嵌合可能な上方に開口する凹状のハーフラッチ検出スイッチ保持部114と、ハーフラッチ検出スイッチ12の上面に係合してハーフラッチ検出スイッチ12を保持可能な弾性爪114aとが設けられている。また、ハーフラッチ検出スイッチ保持部114と近接する右側部には、フルラッチ検出スイッチ13を下方から嵌合可能な下方に開口する凹状のフルラッチ検出スイッチ保持部115と、フルラッチ検出スイッチ13の下面に係合してフルラッチ検出スイッチ13を保持可能な弾性爪(図示略)とが設けられている。
【0038】
さらに、ボディ6のストライカ進入溝61の左側方には、ラチェット検出スイッチ14を下方から嵌合可能な下方に開口する凹状のラチェット検出スイッチ保持部116と、ラチェット検出スイッチ14の下面に係合してラチェット検出スイッチ14を保持可能な弾性爪116aとが設けられている。
【0039】
ハーフラッチ検出スイッチ12は、ハーフラッチ検出スイッチ保持部114内に露出させたハーフラッチ用通電板11Aの接続端子部(図示略)に、フルラッチ検出スイッチ13は、フルラッチ検出スイッチ保持部115に露出させたフルラッチ用通電板11Bの接続端子部(図示略)に、ラチェット検出スイッチ14は、ラチェット検出スイッチ保持部116に露出させたラチェット用通電板11Cの接続端子部(図示略)に、それぞれ電気的に接続されている。
【0040】
図5〜
図8に示すように、ハーフラッチ検出スイッチ12は、その出没自在な検出部121が、ラッチ8に設けた第1被検出部81の外周面の回転軌跡と対向しうるように、ハーフラッチ検出スイッチ保持部114内に保持されている。
【0041】
フルラッチ検出スイッチ13は、その出没自在な検出部131が、ラッチ8に設けた第2被検出部82の外周面の回転軌跡と対向しうるように、フルラッチ検出スイッチ保持部115内に保持されている。
【0042】
ラチェット検出スイッチ14は、その出没自在な検出部141が、ラチェット10に設けた被検出部101の外周面の回動軌跡と対向しうるように、ラチェット検出スイッチ保持部116内に保持されている。
【0043】
ラチェット検出スイッチ14は、ラチェット10が係合位置からリリース方向へ回動すると、ラチェット10の被検出部101が検出部141に接触することにより、OFFからONに切り替わり、ラチェット10がリリース位置に回動したことを検出する。ラチェット検出スイッチ14が検出したラチェット10のリリース検出信号は、制御装置30へ送信される。
【0044】
次に、ドアを開操作した場合の各検出スイッチの作動タイミング、及びモータ21の作動タイミングを、
図9のタイムチャートを参照しながら説明する。
ドアDが閉じられているとき、図示しないドア開操作スイッチをON(ドア開操作)すると、制御装置30は、モータ21を正転方向(リリース方向)へ駆動制御する。これにより、セクタギヤ24は、中立位置からリリース方向へ所定角度回動して、セクタギヤ24の左側端243がカバープレート4のリリース用ストッパ部412に当接して停止する。
【0045】
セクタギヤ24がリリース方向へ回動すると、オープンレバー26及びラチェット10がリリース方向に回動させられることにより、ラチェット検出スイッチ14がONされる。前述したように、セクタギヤ24は、オープンレバー26をリリース方向へ回動させた後において、リリース用ストッパ部412に当接して停止するため、ラチェット検出スイッチ14は、ストッパ当接位置の手前でONとなる。なお、モータ21は、ラチェット検出スイッチ14がONし、かつセクタギヤ24がリリース用ストッパ部412に当接して拘束されている間も、所定時間作動し続けるように制御される。
【0046】
ラチェット10がリリース方向に回動して、ラッチ8がフルラッチ位置からオープン位置方向へ若干回動すると、フルラッチ検出スイッチ13がONし、このON信号に基づいて、制御装置30はモータ21を停止させるように制御する。また、フルラッチ検出スイッチ13がONすると同時に、制御装置30はルームランプを点灯させる。
ドアDの開動作に伴うモータ21の作動時間、すなわちドア開操作スイッチの操作によりモータ21を作動させてから停止するまでの作動時間(t1)は極めて短かいため、セクタギヤ24がリリース用ストッパ部412に当接してからモータ21が停止するまでの時間(t2)も短縮される。その結果、セクタギヤ24がリリース用ストッパ部412に当接して拘束されている間のモータ21への通電時間が極めて短かくなる。
【0047】
ラッチ8が
図7に示すハーフラッチ位置を僅かに越える位置までオープン位置方向に回動すると、ハーフラッチ検出スイッチ12の検出部121がラッチ8の第1被検出部81に接触して押し込まれることによりONさせられる。モータ21は、ハーフラッチ検出スイッチ12がONするまで停止するように制御されるとともに、このON信号に基づいて、制御装置30は、停止しているモータ21を反転制御する。モータ21の反転制御により、セクタギヤ24が中立位置まで復帰すると、セクタギヤ検出スイッチ27がONし、制御装置30はモータ21の反転制御を停止させる。なお、ラチェット検出スイッチ14は、ハーフラッチ検出スイッチ12がONされた後、ドアが開き可能となるまでONされ、ラチェット10のオープン位置を検出し続ける。
【0048】
なお、ハーフラッチ検出スイッチ12は、ラッチ8がハーフラッチ位置を若干越えた位置でONされ、かつハーフラッチ検出スイッチ12がONして、モータ21が反転制御されるまでは、セクタギヤ24、オープンレバー26及びラチェット10はリリース位置に保持されているので、フルラッチ検出スイッチ13の作動によりモータ21を停止させても、ラチェット10がラッチ8のハーフラッチ爪部83に係合することはなく、従って、ドアの開動作時にラッチ8がハーフラッチ位置で停止して半ドア状態になるおそれはない。
【0049】
以上説明したように、上記実施形態に係るドアラッチ装置においては、ドアDを開き可能とする際に、セクタギヤ24がリリース用ストッパ部412に当接してからモータ21が停止するまでの時間(t2)が短縮され、セクタギヤ24がリリース用ストッパ部412に当接して拘束されている間のモータ21への通電時間が極めて短かくなるので、モータ21に加わる負荷が軽減され、その耐久性を向上させることができる。また、セクタギヤ24とリリース用ストッパ部412との当接部が摩耗したり、リリース用ストッパ部412が損傷したりするのも防止することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形や変更を施すことが可能である。
上記実施形態では、ドアDを半ドア状態から全閉状態へ強制的に閉め込むクローズ機能と、噛合ユニット2の噛合状態を解除してドアDの開きを可能にするリリース機能を有するドアラッチ装置としたが、リリース機能のみを有するドアラッチ装置にも、本発明を適用することが可能である。
【0051】
また、上記実施形態では、セクタギヤ24をモータ21により駆動するようにしたが、ソレノイド等の電気的駆動源を用いることも可能である。
【0052】
上記実施形態では、バックドアDに取り付けられるドアラッチ装置としたが、サイドドアやスライドドア用のドアラッチ装置にも、本発明を適用することが可能である。