(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
式(VI)の化合物を式(VII)の化合物に酸化すること、及びこの式(VII)の化合物を式(II)の化合物にエナンチオ選択的に還元することによって、ステップc1)により得られた前記式(II)の化合物を反応させることを含む、請求項1に記載の方法。
式(VI)の化合物をクロマトグラフィーによって分離して、式(II)の化合物及び式(VIII)の化合物の両方を得ることによって、ステップc2)により得られた前記式(II)の化合物を反応させることを含む、請求項1に記載の方法。
式(I)又は式(IV)の化合物の製造のための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、DCC、CDI、HATU、HBTU、TBTU、DMTMM、COMU、EDCIから選択されるカップリング試薬の存在下で、HOBtを用いて又は用いずに、有機塩基を用いて又は用いずに、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で、式(II)の化合物を式(III)の化合物(式中、Zは−OHである)と反応させることを含む、方法。
ステップb)における(IV)の還元が、水素、シクロヘキサジエン、ギ酸アンモニウム、ギ酸、鉄、二塩化スズ、スズ、塩化ニッケル、ニッケル、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム及びハイドロサルファイトナトリウムからなる群から選択される還元剤を用いて行われる、請求項1又は3に記載の方法。
前記還元剤が、水素、シクロヘキサジエン、ギ酸アンモニウム及びギ酸から選択され、パラジウムベース、白金ベース若しくはニッケルベースの触媒から選択される、又はパラジウム/炭素、硫化パラジウム/炭素、パラジウム/硫酸バリウム、パラジウム/炭酸カルシウム、白金/炭素からなる群から選択される触媒の存在下で行われる、請求項10に記載の方法。
メタンスルホニルハライドとの(V)の前記反応が、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の溶媒、並びに、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、TEA、DIPEA、NMM、DBO、ピリジン及びDMAPからなる群から選択される塩基の存在下で行われ、ピリジンが過度に使用される場合は、他の溶媒を避けることができる、請求項1又は3に記載の方法。
(II)への(VII)の前記エナンチオ選択的還元が、水素から選択される還元剤を用いて、インサイチュで予め形成された又は形成される重金属キラル錯体の存在下で行われ、インサイチュでの形成が、RuCl2(PPh3)3、[Ru(p−シメン)Cl2]2、[RhCI2(Cp*)]2又は[IrCI2(Cp*)]2から選択されるRu−、Rh−又はIr錯体と、SL−N004−1((R)−4−tert−ブチル−2−[(R)−2−(ビス(1−フェニル)ホスフィノ)フェロセン−l−イル]オキサゾリン)、SL−N003−1((R)−4−イソプロピル−2−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン−l−イル]オキサゾリン)、(S,S)−Ts−DPEN((1S,2S)−(−)−N−p−トシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン)、(S,S)−Ms−DPEN((1S,2S)−(−)−N−メシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン)、(R)−DAIPEN((2R)−(−)−1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン)、(1R,2S)−1−アミノ−2−インダノールから選択されるキラル配位子を反応させることによって生じ得る、請求項1又は4に記載の方法。
前記エナンチオ選択的還元が、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で行われる、請求項16に記載の方法。
水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタン、脂肪族若しくは芳香族炭化水素又はそれらの混合物からなる群から選択される1種又は複数の溶媒からの結晶化又は破砕を含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0027】
【化3】
(式中、nは0又は1である)の製造方法であって、
a)式(II)の化合物
【0028】
【化4】
(式中、nは0又は1である)を、式(III)の化合物
【0029】
【化5】
(式中、Xは−NHSO
2Me及び−NO
2から選択され、Zは、−OH、塩素、臭素、直鎖状又は分枝状の(C
1〜C
6)アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、(C
1〜C
6)アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ及びアリール(C
1〜C
6)アルキルカルボニルオキシから選択される)と反応させて、式(I)の化合物(式中、nは0若しくは1である)又は式(IV)の化合物
【0030】
【化6】
(式中、nは上で報告した意味を有する)を得ること、並びにステップ(a)において式(IV)の化合物が得られる場合、
b)それを対応する式(V)の化合物
【0031】
【化7】
(式中、nは0又は1である)に還元し、これをメタンスルホニルハライドと反応させて、式(I)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を得ることを含み、
ここでは、ステップ(a)の式(II)の化合物が、代替ステップ(c1)又は(c2)又は(c3)のうちのいずれか1つに従って、
c1)式(VI)の化合物
【0032】
【化8】
(式中、nは0若しくは1である)を酸化して、式(VII)の化合物
【0033】
【化9】
(式中、nは0若しくは1である)を得、続いて、エナンチオ選択的にそれを還元して、式(II)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を得ること、又は
c2)式(VI)の化合物(式中、nは0若しくは1である)をクロマトグラフィーによって分離して、式(II)の化合物及び式(VIII)の化合物
【0034】
【化10】
(式中、nは上で報告した意味を有する)の両方を得ること、
及び任意選択で、ステップ(c2)で得られた式(VIII)の化合物を対応する式(VII)の化合物に酸化し、続いて、式(VI)の化合物(式中、nは0若しくは1である)に還元し、次のクロマトグラフィー分離方法で再処理すること、又は
c3)式B”の中間体
【0036】
【化12】
(式中、Rは直鎖状若しくは分枝状の(C
1〜C
6)アルキル基若しくはアリールアルキル基であり、nは上で報告した意味を有する)と反応させて、直接的に式(VII)の化合物を得、続いて、エナンチオ選択的にそれを還元して、式(II)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を得ること、
によって得られ、
ここでは、nが1である、式(I)、(II)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)又は(VIII)のすべての化合物が、nが0である対応する化合物を酸化することによって得ることができる製造方法を提供する。
【0037】
本明細書では、別段の定めがない限り、式(VI)において記号
【0038】
【化13】
を有する結合は、2つの鏡像異性体(R)及び(S)のラセミ混合物を示す。
【0040】
【化14】
を有する結合は、鏡像異性体(S)を示し、一方、式(VIII)において記号
【0041】
【化15】
を有する結合は、鏡像異性体(R)を示す。
【0042】
直鎖状又は分枝状の(C
1〜C
6)アルキル基という用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどを表す。
【0043】
(C
1〜C
6)アリールアルキルという用語は、さらにアリールによって置換された(C
1〜C
6)アルキル基を指す。
【0044】
直鎖状又は分枝状の(C
1〜C
6)アルコキシ基という用語は、アルキルが、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブトキシ、isoブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシなど、好ましくはメトキシを表す、任意のアルキルオキシ鎖を意味する。
【0045】
アリールオキシ基という用語は、酸素原子を介して残りの分子に連結した任意のアリール基、すなわちアリール−O−基を意味する。この点で、別段の定めがない限り、アリールは、例えば、N、NH、O又はSから選択される1〜3個のヘテロ原子又はヘテロ原子基を有する5又は6員環を含む、芳香族炭素環又は芳香族複素環を表す。フェノキシ基が好ましい。
【0046】
アリールアルコキシという用語は、上記で定義されたような、1つ又は複数のアリール基によって置換された、任意の(C
1〜C
6)アルコキシを意味する。ベンジルオキシが好ましい。
【0047】
アリールアルキルカルボニルオキシという用語は、上記で定義されたような、1つ又は複数のアリール基によって置換された、任意の(C
1〜C
6)アルキルカルボニルオキシ、好ましくはベンジルカルボニルオキシを意味する。
【0048】
ハライドという用語は、本発明の方法のステップ(b)におけるメタンスルホニルハライドに言及する場合、クロリド及びブロマイドを意味する。
【0049】
好ましい実施形態では、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)の製造方法であって、ステップ(a)において、式(II)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を、式(III)の化合物(XはNHSO
2Meであり、Zは上で報告した意味を有する)と反応させることを含む製造方法を提供する。
【0050】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)の製造方法であって、ステップ(a)において、式(II)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を、式(III)の化合物(Xは−NO
2であり、Zは上で報告した意味を有する)と反応させることを含む製造方法を提供する。
【0051】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)の製造方法であって、式(VI)の化合物を式(VII)の化合物に酸化すること、及び式(VII)の化合物を、式(II)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)にエナンチオ選択的に還元することによって、ステップ(c1)により得られた式(II)の化合物を反応させることを含む製造方法を提供する。
【0052】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)の製造方法であって、式(VI)の化合物をクロマトグラフィーによって分離して、式(II)の化合物及び式(VIII)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)の両方を得ることによって、ステップ(c2)により得られた式(II)の化合物を反応させることを含む、製造方法を提供する。
【0053】
さらにより好ましくは、このクロマトグラフィーによる分離の実施形態によれば、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)の製造方法であって、式(VI)の化合物をクロマトグラフィーによって分離して、式(II)の化合物及び式(VIII)の化合物の両方を得ること(式中、nは上で報告した意味を有する)によって、及び次いで、式(VIII)の化合物を対応する式(VII)の化合物に酸化して、続いて、さらなるクロマトグラフィー分離で再利用され得る式(VI)の化合物に還元することによって、ステップ(c2)により得られた式(II)の化合物を反応させることを含む製造方法を提供する。
【0054】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)の製造方法であって、ステップ(c3)により得られた式(II)の化合物を反応させること、式B”の中間体
【0056】
【化17】
と反応させて、直接的に式(VII)の化合物を得、続いて、エナンチオ選択的にそれを還元して、式(II)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を得ることを含む製造方法を提供する。
【0057】
さらなる好ましい実施形態によれば、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは1である)の製造方法であって、式(I)の化合物(式中、nは0である)を酸化することを含む製造方法を提供する
【0058】
あるいは、本発明は、式(II)の化合物(式中nは1である)から出発することによる式(I)の化合物(式中、nは1である)の製造方法であって、この式(II)の化合物が、対応する式(II)の化合物(式中、nは0である)の酸化によって得られる、製造方法を提供する。
【0059】
あるいは、本発明は、式(IV)の化合物(式中nは1である)から出発することによる式(I)の化合物(式中、nは1である)の製造方法であって、この式(IV)の化合物が、対応する式(IV)の化合物(式中、nは0である)の酸化によって得られる、製造方法を提供する。
【0060】
あるいは、本発明は、式(V)の化合物(式中nは1である)から出発することによる式(I)の化合物(式中、nは1である)の製造方法であって、この式(V)の化合物が、対応する式(V)の化合物(式中、nは0である)の酸化によって得られる、製造方法を提供する。
【0061】
あるいは、本発明は、式(VI)の化合物(式中nは1である)から出発することによる式(I)の化合物(式中、nは1である)の製造方法であって、この式(VI)の化合物が、対応する式(VI)の化合物(式中、nは0である)の酸化によって得られる、製造方法を提供する。
【0062】
あるいは、本発明は、式(VII)の化合物(式中nは1である)から出発することによる式(I)の化合物(式中、nは1である)の製造方法であって、この式(VII)の化合物が、対応する式(VII)の化合物(式中、nは0である)の酸化によって得られる、製造方法を提供する。
【0063】
本発明のステップ(a)によれば、この方法は、式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させることによる、式(I)又は式(IV)の化合物の製造を提供する(式中、n、X及びZは上で報告した意味を有する)。
【0064】
より詳細には、式(III)の化合物(式中、Zは−OHである)が使用される場合、反応は、DCC、CDI、HATU、HBTU、TBTU、DMTMM、COMU、EDCIから選択されるカップリング試薬の存在下で、HOBtを用いて又は用いずに、TEA、DIPEA、NMM、DBU、DBO、ピリジン及びDMAPのような有機塩基を用いて又は用いずに、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン及びそれらの混合物から選択される溶媒中で行われる。
【0065】
式(III)の化合物が塩化アシル若しくは臭化アシル又は活性化エステル及び混合無水物である場合、反応は、カップリング試薬を用いずに、上記のように行われる。
【0066】
好ましくは、式(III)の化合物(式中、Xは−NHSO
2Meである)との上記の反応は、CDI及びDBUを用いて、酢酸エチル中で行われる。
【0067】
別の好ましい実施形態では、式(IV)の化合物を生じさせるために、反応が式(III)の化合物(式中、Xは−NO
2である)と行われる場合、上記の反応は、EDCI及びDMAPを用いて、DMF中で達成される。
【0068】
方法のステップ(b)によれば、ステップ(a)の式(III)の化合物(式中、Xは−NO
2である)から出発する場合に任意選択で行うために、最初に、式(IV)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を対応する式(V)のアミノ誘導体に還元し、次いで、メタンスルホニルハライドと適切に反応させて、式(I)の化合物を得る。
【0069】
好ましくは、還元ステップは、水素、シクロヘキサジエン、ギ酸アンモニウム、ギ酸、鉄、二塩化スズ、スズ、塩化ニッケル、ニッケル、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム及びハイドロサルファイトナトリウムから選択される還元剤を用いて行われる。
【0070】
さらに好ましい実施形態では、反応が、水素、シクロヘキサジエン、ギ酸アンモニウム及びギ酸を用いて行われる場合は、反応は、パラジウムベース、白金ベース又はニッケルベースの触媒から選択される、又はパラジウム/炭素、パラジウム/硫酸バリウム及びパラジウム/炭酸カルシウムからなる群から選択される触媒の存在下で行われる。
【0071】
さらにより好ましい実施形態では、ギ酸が使用される場合、反応は、アンモニア又はアミン、好ましくはトリエチルアミンの存在下で行われる。
【0072】
上記の還元ステップに適した溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル及びそれらの混合物から選択される。
【0073】
より好ましくは、反応は、水素、パラジウム/チャコールを用いて、酢酸エチル中で行われる。
【0074】
メタンスルホニルハライドとの式(V)の化合物の後続反応は、適切な溶媒、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン及びそれらの混合物、並びに、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、TEA(トリエチルアミン)、DIPEA(ヒューニッヒ塩基、ジイソプロピルエチルアミン)、NMM(N−メチルモルホリン)、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、DBO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、ピリジン及びDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)から選択される塩基の存在下で行われる。ピリジンが過度に使用される場合は、他の溶媒を避けることができる。
【0075】
好ましくは、反応は、トリエチルアミンを用いて、ジクロロメタン中で行われる。
【0076】
式(II)の化合物の製造のためのステップ(c1)によれば、最初に、式(VI)の化合物を対応する式(VII)のケト誘導体に酸化し、次いでこれを、式(II)の化合物にエナンチオ選択的に還元する。
【0077】
酸化は、MnO
2などの金属酸化物、2−ヨードキシ安息香酸(IBX)又はデス−マーチンペルヨージナンのような高原子価ヨウ素、三酸化硫黄ピリジン錯体のようなジメチルスルホキシドベースの酸化体(Swern)、から選択される酸化剤の存在下で、水、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、THF、ジオキサン及びそれらの混合物から選択される溶媒中で、好ましくは行われる。
【0078】
さらにより好ましくは、反応は、MnO
2を用いてトルエン中で、又はSwern酸化体を用いてDMSO中で行われる。
【0079】
式(VI)の化合物は、特許文献1に記載されているように、式Bの中間体
【0080】
【化18】
及び式Dの中間体(式中、n=0)
【0081】
【化19】
から製造することができる。
【0082】
式(II)の化合物の製造のためのステップ(c3)によれば、式B’の中間体
【0084】
【化21】
に変換され、これは、塩化チオニル、塩化水素、硫酸と、他の溶媒を用いて又は用いずに、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール中で反応させること、又は適切な溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン及びそれらの混合物、並びに、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、TEA(トリエチルアミン)、DIPEA(ヒューニッヒ塩基、ジイソプロピルエチルアミン)、NMM(N−メチルモルホリン)、ピリジンから選択される塩基の存在下で、関連するアルキルハライドと反応させることによる。
【0085】
より好ましくは、上記の反応は、炭酸カリウムを用いて、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド中で行われる。
【0086】
中間体B’は、過酸化水素、過酢酸若しくはm−クロロ過安息香酸のような有機過酸、又は過硫酸若しくはOxone(商標)(KHSO
5*1/2KHSO
4*1/2K
2SO
4)のような無機過酸から選択される酸化剤を用いて、適切な溶媒、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル及びそれらの混合物の存在下で、中間体Bを酸化することによって得ることができる。より好ましくは、上記の反応は、Oxone(商標)を用いて、メタノール中で達成される。
【0087】
あるいは、中間体B”は、Oxone(商標)を用いて、溶媒としての対応するアルキルアルコール中で酸化することによって、中間体Bから直接的に製造することができる。
【0089】
【化22】
への中間体C’の変換から製造することができ、これは、溶媒としての対応するアルキルアルコール中で硫酸を用いるピナー反応、それに続いて、適切な溶媒、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン及びそれらの混合物、並びに、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、TEA(トリエチルアミン)、DIPEA(ヒューニッヒ塩基、ジイソプロピルエチルアミン)、NMM(N−メチルモルホリン)、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、DBO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、ピリジン及びDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)から選択される塩基の存在下で、シクロプロピルブロマイドを用いてアルキル化することによる。
【0090】
次いで、中間体B”は、好ましくは、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、ペンチルリチウム、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LHMDS)、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムt−ブチレートから選択される塩基の存在下で、適切な溶媒、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチル−テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物の存在下で、中間体Dと反応させることによって、対応する式(VII)のケト誘導体に変換される。
【0091】
より好ましくは、上記の反応はLHMDSを用いて、THF中で行われる。その後のエナンチオ選択的還元ステップは、水素から選択される還元剤を用いて、インサイチュで予め形成された又は形成される重金属キラル錯体の存在下で、好ましくは行われる。インサイチュでの形成は、Ru−、Rh−又はIr錯体、例えばRuCl
2(PPh
3)
3、[Ru(p−シメン)Cl
2]
2、[RhCI
2(Cp
*)]
2又は[IrCI
2(Cp
*)]
2を、キラル配位子、例えば、SL−N004−1((
R)−4−tert−ブチル−2−[(
R)−2−(ビス(1−フェニル)ホスフィノ)フェロセン−l−イル]オキサゾリン)、SL−N003−1((R)−4−イソプロピル−2−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン−l−イル]オキサゾリン)、(S,S)−Ts−DPEN((1S,2S)−(−)−N−p−トシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン)、(S,S)−Ms−DPEN((1S,2S)−(−)−N−メシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン)、(R)−DAIPEN((2R)−(−)−1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン)、(1R,2S)−1−アミノ(アミノ基)−2−インダノールと反応させることにより、生じ得る。
【0092】
上記の還元反応は、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムC
1〜C
4アルコラート、重炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、カリウムC
1〜C
4アルコラート、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、リチウムC
1〜C
4アルコラート、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、トリエチルアミン、ピリジン及び4−ジメチルアミノピリジンから選択される塩基の存在下で、好ましくは行われる。
【0093】
さらにより好ましい実施形態では、反応は、トルエン中で、水酸化ナトリウム水溶液の存在下において、RuCl
2(PPh
3)
3及びキラル配位子SL−N004−1を反応させることによってインサイチュで形成される錯体を用いて行われる。
【0094】
あるいは、式(II)及び(VIII)の化合物を分取キラルクロマトグラフィーによって分離することができ、いくつかの運転においてキラルカラムをラセミ(VI)の溶液で装填して、及び分離された鏡像異性体の溶出画分を収集して、バッチ手順を取り入れることができる。大量の材料を分離するために、擬似移動床(SMB)の手順を考慮すべきである。
【0095】
有利なことに、方法発明の別の実施形態によれば、分取キラルHPLC法によって一旦式(II)及び(VIII)の化合物が分離されれば、式(VIII)の化合物を、対応する式(VII)の誘導体への酸化及びその後の還元を介して、式(VI)の化合物に都合よく再変換することができ、先に報告したように、次のクロマトグラフィー分離方法で再処理することができる。
【0096】
水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムを用いて、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物のような溶媒中で、還元を続けることができる。
【0097】
nが0である本発明のすべての化合物を、過酸化水素、過酢酸若しくはm−クロロ過安息香酸のような有機過酸又は過硫酸若しくはOxone(商標)(KHSO
5*1/2KHSO
4*1/2K
2SO
4)のような無機過酸から選択される酸化剤を用いて、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、酢酸及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で酸化することによって、式中nが1である対応する化合物に変換することができることを理解されたい。
【0098】
より好ましくは、上記の反応は、Oxone(商標)を用いて、水及びメタノール中で、(I)又は(II)(式中、nは0である)に関して達成される。
【0099】
上記のすべてのことから、前述の方法の変形型のうちのいずれか1つに従って式(I)の化合物を製造する場合、望まれない副反応を生じさせる可能性のある、出発物質又はその中間体中の任意の官能基は、従来の技法に従って適切に保護される必要があることは明らかである。同様に、こうした保護された化合物の脱保護された遊離化合物への変換は、既知の手順に従って行うことができる。
【0100】
式(IV)及び(V)の中間体化合物(式中、nは0又は1である)は新規であり、したがって、本発明のさらなる目的に相当する。
【0102】
本方法の出発物質としての式(VI)の化合物は、既知であるか、既知の方法に従って製造することができる。
【0103】
一例を挙げると、式(VI)の化合物及びその製造は、特許文献1に開示されている。
【0104】
式(III)の化合物(式中、Xは−NHSO
2Meであり、Zは−OHである)は、本発明のさらなる目的に相当する。
【0105】
式(III)の他の出発物質は、既知であるか、既知の方法に従って容易に製造される。
【0106】
さらなる例として、式(III)の化合物(式中、Xは−NHSO
2Meである)は、対応する誘導体(ここでは、Xは−NO
2である)から、これらの誘導体をアミノ誘導体に還元すること、及び基本的に先に報告したように、メタンスルホニルハライドを用いるその後続反応によって、製造することができる。
【0107】
同様に、式(III)の化合物(式中、Zは−OHである)の製造は、対応するエステル誘導体の従来の加水分解によってもたらされ得る。
【0108】
この点で、例えば式(III)の化合物(式中、Zはメトキシである)に対して生じる加水分解反応は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウムから選択される適切な塩基;水単独又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジメチルスルホキシド、スルホラン、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、ジオキサン及びそれらの混合物と混合した水から選択される溶媒の存在下で容易に達成され得る。
【0109】
より好ましくは、遊離酸へのエステルの加水分解反応(ここでは、Zは−OHである)は、NaOHを用いて、THF及び水の中で行われる。
【0110】
同様に、式(III)の化合物(式中、Zは−OH以外である)の製造は、周知のエステル化反応又はエステル転移反応法に従って、又は3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸の関連するエステルから出発して、達成され得る。
【0111】
本発明は、上記の式(I)の化合物に関して、式(I)のシクロプロピルメチル基及びジフルオロメチル基の代わりにさらなるR
1及びR
2基を有する、さらなる式(IX)の化合物の製造方法も提供する。
【0112】
前記式(IX)の化合物は、呼吸障害、例えば慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、すべてのタイプの喘息及びアレルギー性病態、例えばアトピー性皮膚炎及びアレルギー性鼻炎を含めた幅広い状態に対する、予防目的又は症状緩和のために使用することができる。
【0113】
したがって、本発明は、式(XI)の化合物
【0114】
【化24】
(式中、nは0又は1であり、R
1及びR
2は、H、直鎖状又は分枝状の(C
1〜C
6)アルキル(ハロゲン原子から選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている)、(C
3〜C
7)シクロアルキル;(C
5〜C
7)シクロアルケニル;直鎖状又は分枝状の(C
2〜C
6)アルケニル;アリール(C
2〜C
6)アルケニル及び直鎖状又は分枝状の(C
2〜C
6)アルキニルからなる群において、独立に選択される)の製造方法であって、
a)式(X)の化合物
【0115】
【化25】
(式中、nは0又は1である)を式(III)の化合物
【0116】
【化26】
(式中、Xは−NHSO
2Me及び−NO
2から選択され、Zは、−OH、塩素、臭素、直鎖状又は分枝状の(C
1〜C
6)アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、(C
1〜C
6)アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ及びアリール(C
1〜C
6)アルキルカルボニルオキシから選択される)と反応させて、式(XI)の化合物(式中、nは0若しくは1である)又は式(XII)の化合物
【0117】
【化27】
(式中、R1、R2及びnは上で報告した意味を有する)を得ること、並びにステップ(a)において式(XII)の化合物が得られる場合、
b)それを対応する式(XIII)の化合物
【0118】
【化28】
(式中、R1、R2及びnは上で報告した意味を有する)に還元し、これをメタンスルホニルハライドと反応させて、式(XI)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を得ることを含み、
ここでは、ステップ(a)の式(X)の化合物が、代替ステップ(c1)又は(c2)に従って、
c1)式(XIV)の化合物
【0119】
【化29】
(式中、nは0若しくは1である)を酸化して、式(XV)の化合物(
【0120】
【化30】
式中、nは0若しくは1である)を得、続いて、エナンチオ選択的にそれを還元して、式(X)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を得ること、又は
c2)式(XIV)の化合物(式中、nは0若しくは1である)をクロマトグラフィーによって分離して、式(X)の化合物及び式((XVI)の化合物
【0121】
【化31】
(式中、nは上で報告した意味を有する)の両方を得ること、
及び任意選択で、ステップ(c2)で得られた式(XVI)の化合物を対応する式(XV)の化合物に酸化し、続いて、式(XIV)の化合物(式中、nは0又は1である)に還元し、次のクロマトグラフィー分離方法で再処理すること、
によって得られ、
ここでは、nが1である、式(XI)、(X)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)又は(XVI)のすべての化合物が、nが0である対応する化合物を酸化することによって得ることができる製造方法を提供する。
【0122】
上記のすべてのことから、式(I)の化合物の製造方法の前述のステップに適用可能な操作条件は、同様に、式(XI)の化合物の製造にも適用できることは明らかである。
【0123】
式(XII)及び(XIII)の中間体化合物(式中、nは0又は1である)は新規であり、したがって、本発明のさらなる目的に相当する。
【0125】
式(X)の出発物質は、既知であるか、既知の方法に従って容易に製造される。
【0126】
さらにより一層好ましい実施形態では、化合物(I)(式中、nは0又は1である)が得られる場合、好ましくは、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタン、脂肪族若しくは芳香族炭化水素(好ましくは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンからなる群から選択される)又はそれらの混合物から選択される1種又は複数の溶媒からの結晶化又は破砕により、この化合物(I)を精製することができる。
【0127】
反応は、好ましくは、酢酸エチル中でn−ヘプタンを用いて行われる。
【0128】
別の好ましい実施形態では、本発明は、化合物(I)の結晶化による分離方法、及び適切な担体又はビヒクルと組み合わせて吸入用の医薬組成物を製造するためのその使用に関する。
【0129】
別の好ましい実施形態では、本発明は、以下の特徴的なXRPDピーク:7,48;7,93;10,15;10,32;12,72;13,51;16,18;16,46;18,08;18,53;18,94;8,55;17,79;19,89;19,1;20,2;21,37;22,96;23,63;24,87;26,51;28,09;28,61及び25,82±0.2度/2θを特徴とする、酢酸エチル及びn−ヘプタンからの結晶形態Aの製造方法に関する。
【0130】
別の好ましい実施形態では、本発明は、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症性又は閉塞性の呼吸器疾患の予防及び/又は治療のための、結晶形態Aの使用に関する。
【0131】
さらに他の態様では、本発明は、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症性又は閉塞性の呼吸器疾患を予防及び/又は治療する方法であって、有効量の結晶形態Aの吸入投与を含む方法に関する。
【0132】
別の好ましい実施形態では、本発明は、式(I)の化合物の溶媒和化合物の製造方法に関する。
【0133】
別の好ましい実施形態では、本発明は、以下の特徴的なXRPDピーク:7,45;7,87;8,51;10,12;10,28;12,66;13,29;13,45;14,95;16,14;16,34;17,05;17,74;18,05;18,48;18,88;19,05;19,33;19,85;20,18;20,65;21,3;22,96;23,55;23,87;24,41;24,66;24,88;25,62;25,82;26,45;28,12及び28,53±0.2度/2θを特徴とする、エタノールからの式(I)の化合物の溶媒和化合物の製造方法に関する。
【0134】
医薬組成物は、本発明に従って製造された式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)と1種又は複数の医薬的に許容可能な適切な賦形剤を混合することによって製造することができる。治療すべき医学的疾患又は状態の性質及び患者のタイプに応じて、経口、静脈内、非経口、吸入、鼻腔内、局所、皮下、筋肉内、直腸、腟を含めた任意の適切な経路で送達されるように、医薬組成物を製剤化することができる。適切な剤形としては、既知の製剤、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、持続性放出製剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、坐剤、点眼剤、経皮パッチ、シロップ剤、液剤、懸濁剤、エアロゾル剤、ネブライザー用液剤、鼻腔用スプレー剤などが挙げられる。好ましい実施形態では、組成物は、吸入又は鼻腔内経路による送達のために、例えば吸入用の乾燥散剤としてエアロゾル剤、液剤若しくは懸濁剤中に、又は鼻腔用スプレー剤中に製剤化される。
【0135】
適切な賦形剤としては、担体、希釈剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、被覆剤、フィラー、流動促進剤、潤滑剤、崩壊剤、防腐剤、界面活性剤、pH緩衝物質などが挙げられる。賦形剤の例及びその使用は、Handbook of Pharmaceutical Excipients,5
th ed.(2006),Ed.Rowe et al,Pharmaceutical Pressに提供されている。
【0136】
本発明の化合物の投薬量は、治療される特定の疾患、症状の重症度、投与経路、投与間隔の頻度、利用される特定の化合物、化合物の有効性、毒性プロファイル及び薬物動態プロファイルを含めた様々な因子に依存し得る。
【0137】
有利なことに、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)を、例えば、0.001〜1000mg/日の間、好ましくは0.1〜500mg/日の間、さらにより好ましくは0.2〜2000mg/日の間、さらにより好ましくは0.1〜4000mg/日の間に含まれる投薬量で投与することができる。
【0138】
本発明により得られる式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)は、呼吸障害、例えば慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及びすべてのタイプの喘息を含めた幅広い状態に関して、予防目的又は症状緩和のために使用することができる。しかし、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)は、PDE4受容体の活性が関与しており、PDE4受容体活性の阻害が所望される任意の疾患、又はPDE4活性によって媒介される病態(例えば、PDE4が過剰発現しているか、過剰活性である病態)の予防及び/又は治療のために投与することができる。そうした疾患の例としては、以下が挙げられる:アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季結膜炎などのアレルギー性病態、好酸球性肉芽腫、乾せん、炎症性関節炎、関節慢性糸球体腎炎、内毒素性ショック、嚢胞性線維症、動脈再狭窄、アテローム性動脈硬化症、角化症、リウマチ性脊椎炎、骨関節症、発熱、糖尿病、じん肺症、毒性及びアレルギー性接触湿疹、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純性苔癬、日焼け、肛門性器部のかゆみ、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円板状エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、濾胞性及び広領域の膿皮症、内因性及び外因性の座瘡、酒土性座瘡、ベーチェット病、アナフィラクトイド紫斑病性腎炎、炎症性腸疾患、白血病、多発性硬化症、胃腸疾患、自己免疫疾患など。
【0139】
これらとしては、神経系及び精神系障害、例えば、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多系統萎縮症(MSA)、統合失調症、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、うつ病、卒中及び脊髄損傷も挙げられる。
【0140】
一実施形態では、本発明は、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、すべてのタイプの喘息、アトピー性皮膚炎及びアレルギー性鼻炎のうちのいずれかの予防又は治療のための医薬の製造における、本発明の方法のうちのいずれかに従って製造された式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)の使用を提供する。
【0141】
さらなる実施形態では、本発明は、患者における、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、すべてのタイプの喘息、アトピー性皮膚炎及びアレルギー性鼻炎のうちのいずれかの治療の予防方法であって、本発明の方法のうちのいずれかに従って製造された、治療有効量の式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)を患者へ投与することを含む方法を提供する。
【0142】
「治療有効量」の物質は、治療される状態の1種若しくは複数の臨床症状の検出可能な改善につながる量、又は疾患状態若しくはその症状の発症の確率を測定可能な程度に低減させる量として、本明細書で定義される。
【0149】
本発明は、以下のステップに従って、一般式(I)(式中、nは0又は1である)の化合物を製造するための方法を提供する。
【0150】
経路A−特許文献1の実施例1に記載されている手順に従って得られた中間体(VI)(式中、nは0又は1である)を、MnO
2などの金属酸化物、2−ヨードキシ安息香酸(IBX)又はデス−マーチンペルヨージナンのような高原子価ヨウ素、三酸化硫黄ピリジン錯体のようなジメチルスルホキシドベースの酸化体(Swern)から選択される酸化剤の存在下で、(VII)(式中、nは0又は1である)に酸化する。合成は、水、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン及びそれらの混合物から選択される溶媒中で、好ましくは行われる。反応は、MnO
2を用いてトルエン中で、又はSwern酸化体を用いてDMSO中で、好ましくは行われる。
【0151】
あるいは、式(VII)の化合物は、式B”の中間体
【0152】
【化39】
(式中、Rは直鎖状又は分枝状の(C
1〜C
6)アルキル基又はアリールアルキル基である)を、式Dの中間体
【0153】
【化40】
(式中、nは上で報告した意味を有する)と、好ましくは、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、ペンチルリチウム、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LHMDS)、ナトリウムビス(トリメチルシリル)−アミド、カリウムt−ブチレートから選択される塩基の存在下で、適切な溶媒、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチル−テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物の存在下で反応させて、得ることができる。
【0154】
より好ましくは、Rはメチルであり、上記の反応は、LHMDSを用いてTHF中で達成される。
【0155】
化合物B”は、塩化チオニル、塩酸、硫酸と、他の溶媒を用いて又は用いずに、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール中で反応させることによって、又は適切な溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン及びそれらの混合物、並びに、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、TEA(トリエチルアミン)、DIPEA(ヒューニッヒ塩基、ジイソプロピルエチルアミン)、NMM(N−メチルモルホリン)、ピリジンから選択される塩基の存在下で、関連するアルキルハライドと反応させることによって、化合物B’から得ることができる。
【0156】
より好ましくは、上記の反応は、炭酸カリウムを用いて、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド中で行われる。
【0157】
化合物B’は、過酸化水素、過酢酸若しくはm−クロロ過安息香酸のような有機過酸又は過硫酸若しくはOxone(商標)(KHSO
5*1/2KHSO
4*1/2K
2SO
4)のような無機過酸から選択される酸化剤を用いて、適切な溶媒、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル及びそれらの混合物の存在下で、化合物Bから得ることができる。より好ましくは、上記の反応は、Oxone(商標)を用いて、メタノール中で達成される。
【0158】
あるいは、式B”の中間体は、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、TEA(トリエチルアミン)、DIPEA(ヒューニッヒ塩基、ジイソプロピルエチルアミン)、NMM(N−メチルモルホリン)、ピリジン、DBU、DBO、DMAPから選択される塩基の存在下で、適切な溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン及びそれらの混合物中で、ブロモ−メチルシクロプロパンを用いてアルキル化することによって、式C”の中間体から得ることができる。より好ましくは、上記の反応は、炭酸カリウムを用いて、ジメチルホルムアミド中で達成される。
【0159】
中間体C”は、アルコール、及び塩化水素、臭化水素、硫酸、メタンスルホン酸のようなアルカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、三臭化アルミニウム、三塩化アルミニウム、チタン(IV)テトラクロリド、チタン(IV)テトライソプロポキシド、塩化スズ(IV)、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、アルミニウムイソプロポキシド、塩化チオニル、塩化オキサリル、トリメチルシリルクロリド(TMSCl)、トリメチルシリルトリフラート(Me3SiOTf)から選択されるルイス酸の存在下で、適切な溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物を用いて又は用いずに、ピナー反応によって中間体C’から得ることができる。より好ましくは、上記の反応は硫酸を用いてメタノール中で達成される。
【0160】
その後の(VII)(式中、nは0又は1である)のエナンチオ選択的還元は、単一の鏡像異性体(II)(式中、nは0又は1である)を提供する。
【0161】
還元剤は、Ru−、Rh−又はIr錯体、例えばRuCl
2(PPh
3)
3、[Ru(p−シメン)Cl
2]
2、[RhCI
2(Cp
*)]
2又は[IrCI
2(Cp
*)]
2を
、キラル配位子、例えば、SL−N004−1((
R)−4−tert−ブチル−2−[(
R)−2−(ビス(1−フェニル)ホスフィノ)フェロセン−l−イル]オキサゾリン)、SL−N003−1((R)−4−イソプロピル−2−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン−l−イル]オキサゾリン)、(S,S)−Ts−DPEN((1S,2S)−(−)−N−p−トシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン)、(S,S)−Ms−DPEN((1S,2S)−(−)−N−メシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン)、(R)−DAIPEN((2R)−(−)−1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン)、(1R,2S)−1−アミノ−2−インダノールと反応させてインサイチュで予め形成された又は形成される重金属キラル錯体の存在下における水素から選択される。反応は、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムC
1〜C
4アルコラート、重炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、カリウムC
1〜C
4アルコラート、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、リチウムC
1〜C
4アルコラート、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、トリエチルアミン、ピリジン及び4−ジメチルアミノピリジンから選択される塩基の存在下で行われる。
【0162】
合成は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル及びそれらの混合物から選択される溶媒中で、好ましくは行われる。
【0163】
反応は、トルエン中で、水酸化ナトリウム水溶液の存在下において、RuCl
2(PPh
3)
3及びキラル配位子SL−N004−1を反応させることによってインサイチュで形成される錯体を用いて、好ましくは行われる。
【0164】
あるいは、(II)(式中nは1である)は、過酸化水素、過酢酸若しくはm−クロロ過安息香酸のような有機過酸又は過硫酸若しくはOxone(商標)(KHSO
5*1/2KHSO
4*1/2K
2SO
4)のような無機過酸から選択される酸化剤を用いて、(II)(式中、nは0である)の酸化によって得られる。反応溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、酢酸及びそれらの混合物から選択される。反応は、Oxone(商標)を用いて水及びメタノール中で、好ましくは行われる。
【0165】
経路B−経路Aの代わりに、中間体(II)及び(VIII)(式中、nは0又は1である)は、鏡像異性体の分取キラルHPLC分離によって、(VI)(式中、nは0又は1である)から得られる。
【0166】
いくつかの運転においてキラルカラムをラセミ(VI)の溶液で装填して、及び分離された鏡像異性体の溶出画分を収集して、バッチ手順を取り入れることができる。大量の材料を分離するために、擬似移動床(SMB)の手順を考慮すべきである。
【0167】
分取キラルHPLC法によって一旦式(II)及び(VIII)の化合物が分離されれば、式(VIII)の化合物を、対応する式(VII)の誘導体への酸化及びその後の還元を介して、式(VI)の化合物に都合よく再変換することができ、先に報告したように、クロマトグラフィー分離方法で再処理することができる。
【0168】
このようにして、(VIII)を再利用することによって、式(I)の化合物の最終的な収率は、さらに増大し得る。
【0169】
中間体(III)(ここでは、Xは−NHSO
2Meであり、Zは、−OH、塩素、臭素、直鎖状又は分枝状の(C
1〜C
6)アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、(C
1〜C
6)アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ及びアリール(C
1〜C
6)アルキルカルボニルオキシから選択される)では、Zは、Theodora W.Greene(Wiley−Interscience,New York,1981)による「Protective Groups in Organic Synthesis」及びJ.F.W.McOmie(Plenum Press,London,1973)による「Protective Groups in Organic Chemistry」に従って、標準的な手順を使用して導入及び除去することができる、保護基である。
【0170】
したがって、中間体(III)(ここでは、Xは−NHSO
2Meであり、Zは上記で定義された通りである)は、国際公開第2007/089107号の実施例18に記載されているように又は3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸の関連するエステルから出発する同じ合成経路に従って得られる3−シクロプロピルメトキシ−4−メタンスルホニルアミノ−安息香酸メチルエステルから出発する周知の条件下で、得ることができる。
【0171】
中間体(III)(ここでは、Xは−NHSO
2Meであり、Zは上記で定義された通りである)は、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウムから選択される塩基中での加水分解によって、(III)(ここでは、Zは−OHである)に変換し、溶媒は、水単独又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジメチルスルホキシド、スルホラン、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、ジオキサン及びそれらの混合物と混合した水からなる群から選択される。好ましい実施形態では、反応は、NaOHを用いてTHF及び水の中で行われる。
【0172】
経路C−化合物(I)(ここでは、nは0又は1である)は、CDI(1,1’−カルボニルジイミダゾール)、HATU(1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム3−オキシドヘキサフルオロリン酸)、HBTU(O−(ベンゾトリアゾル−l−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸)、TBTU(O−(ベンゾトリアゾル−l−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)、DMTMM(4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド)、COMU((1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ−モルホリノ−カルベニウムヘキサフルオロリン酸)、EDCI(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドハイドロクロライド)及びDCC(N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド)から選択されるカップリング試薬、又は塩化アシル、臭化アシル、活性化エステル若しくは混合無水物にカルボン酸を変換することができるの試薬存在下で、HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)を用いて又は用いずに、TEA、DIPEA、NMM、DBU、DBO、ピリジン及DMAPのような有機塩基を用いて又は用いずに、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で、中間体(III)(ここでは、Xは−NHSO
2Meであり、Zは−OHである)を(II)(ここでは、nは0又は1である)と縮合することにより得られる。
【0173】
式(III)の化合物が塩化アシル若しくは臭化アシル又は活性化エステル及び混合無水物である場合、反応は、カップリング試薬を用いずに、上記のように行われる。
【0174】
好ましい実施形態では、反応は、CDI及びDBUを用いて、酢酸エチル中で達成される。
【0175】
中間体(IV)(式中、nは0又は1である)は、(II)との(III)(ここでは、Xは−NHSO
2Meである)の縮合に関して上で述べたものと同じ条件下における、(II)(ここでは、nは0又は1である)との(III)(ここでは、Xは−NO
2である)の縮合によって得られる。好ましい実施形態では、反応は、EDCI及びDMAPを用いて、DMF中で行われる。
【0176】
中間体(V)(ここでは、nは0又は1である)は、水素、シクロヘキサジエン、ギ酸アンモニウム、ギ酸、鉄、二塩化スズ、スズ、塩化ニッケル、ニッケル、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム、ハイドロサルファイトナトリウムからなる群選択される還元剤を用いて、(IV)(ここでは、nは0又は1である)を還元することによって得られる。水素、シクロヘキサジエン、ギ酸アンモニウム及びギ酸を用いる場合は、反応は、好ましくはパラジウムベース、白金ベース又はニッケルベースの触媒、より好ましくはパラジウム/炭素、パラジウム/硫酸バリウム及びパラジウム/炭酸カルシウムから選択される触媒の存在下で行われる。ギ酸が使用される場合は、反応は、アンモニア又はアミン、好ましくはトリエチルアミンの存在下で行われる。
【0177】
上記の還元ステップに適した溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル及びそれらの混合物から選択される。好ましい実施形態では、反応は、水素を用いて、酢酸エチル中で硫化されたパラジウム5%/活性炭粉末、A103038型を用いて行われる。
【0178】
別の好ましい実施形態では、反応は、水素を用いて、白金/炭を用いて、酢酸エチル中で行われる。
【0179】
化合物(I)(ここでは、nは0又は1である)は、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン及びそれらの混合物から選択される適切な溶媒、並びに、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、TEA(トリエチルアミン)、DIPEA(ヒューニッヒ塩基、ジイソプロピルエチルアミン)、NMM(N−メチルモルホリン)、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、DBO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、ピリジン及びDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)、ピリジンからなる群から選択される塩基の存在下で、(V)(ここでは、nは0又は1である)をメタンスルホニルクロリドと反応させることによって得られる。ピリジンが過度に使用される場合は、他の溶媒を避けることができる。
【0180】
反応は、トリエチルアミンを用いて、ジクロロメタン中で好ましくは行われる。
【0181】
化合物(II)(式中nは1である)への化合物(II)(式中、nは0である)の酸化に関して上で述べたように、nが1である、式(I)、(II)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)又は(VIII)のすべての化合物が、nが0である対応する化合物を酸化することによって得ることができる。
【0182】
化合物(I)(ここでは、nは0又は1である)が得られる場合、好ましくは、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、ジオキサン、2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタン、脂肪族若しくは芳香族炭化水素(好ましくは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンからなる群から選択される)又はそれらの混合物から選択される1種又は複数の溶媒からの結晶化又は破砕により、この化合物(I)を精製することができる。反応は、酢酸エチル中でn−ヘプタンを用いて、好ましくは行われる。
【0183】
したがって、例えば、結晶形態Aは、酢酸エチル/ヘプタン又は酢酸イソプロピルの存在下で製造され得る。
【0184】
反応は、反応器中で行うことができ、ここでは、式(I)の化合物を、上記のリストから選択される1種又は複数の溶媒とともに装填し、この懸濁液を、固体が完全に溶解するまで、50〜90℃の間の温度に加熱しながら攪拌することができる。この懸濁液を、0〜5℃の間に1〜5時間冷却し、濾過し、乾燥することができる。
【0185】
結晶化がエタノールの存在下で行われる場合、式(I)の化合物の溶媒和化合物を得ることができる。
【0186】
反応は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びジクロロメタンからなる群から選択される1種又は複数の溶媒中で、式(I)の化合物から出発して行うことができ、濃縮し、次いでエタノールを加えることができる溶液を得る。この溶液を濃縮することができ、得られた懸濁液を0〜10℃の間の温度で冷却し、1〜5時間攪拌することができる。固体を濾過し、エタノールで洗浄し、25〜55℃の間の温度で10〜30時間乾燥する。
【0187】
本発明を、下記の実施例において、より詳細に以下に説明する。
【実施例1】
【0188】
3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(メチルスルホンアミド)安息香酸(中間体(III)、X=−NHSO
2Me、Z=−OH)の製造
【0189】
【化41】
【0190】
(III)(式中、Xは−NHSO
2Meであり、Zは−OMeである)を、国際公開第2010/08910号の実施例18に記載されているように得た。この(III)(6.0kg)及び18LのTHFを反応器に装填した。別々に、6.6kgの35%w/w水酸化ナトリウム及び21Lの精製水を混合し、反応器に移し、すべてのTHFを留去しながら、この混合物を65℃まで加熱した。加水分解反応が完了した後、この塩基性溶液を24Lの精製水及び7.2kgの37%w/w塩酸の溶液を含む別の反応器にゆっくりと移し、40℃以下の温度に維持し、15分間撹拌した。得られた固体を濾過し、24Lの水で洗浄した。この湿潤固体(III)(16.6kg wet)を60Lの酢酸エチルとともに反応器に再装填し、次いで、還流するまで加熱して、30Lの溶媒を留去した。12.6Lのヘプタンを反応器に装填し、この混合物を、15〜30分間撹拌しながら維持した。次いでこれを5℃に冷却し、撹拌しながら2時間維持した。得られた固体を濾過し、反応器及びケークを12Lのヘプタンで洗浄した。湿潤固体を、静置棚乾燥機において真空下で乾燥した。6235gの白色固体を得た(収率93.9%)。
【0191】
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm 12.85(br.s.,1H)、9.03(s,1H)、7.40−7.71(m,2H)、7.35(d,J=8.16Hz,1H)、3.91(d,J=6.84Hz,2H)、3.07(s,3H)、1.11−1.42(m,1H)、0.50−0.67(m,2H)、0.18−0.41(m,2H)。
【実施例2】
【0192】
1−(3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−1−ピリジン−4−イル)エタノン(中間体(VII)、n=0)の製造
【0193】
特許文献1の実施例1に記載されている製造手順に従って、中間体(VI)(式中、nは0である)を得た。
【0194】
【化42】
【0195】
中間体(VII)(n=0)を得るための代替手順:
MnO
2を用いる手順
5kgの(VI)(式中、nは0である)を反応器中の30Lのトルエンに溶解し、3.15kgの活性化MnO
2を有機混合物に加え、この懸濁液を還流するまで3時間加熱した。この混合物を50℃に冷却し、セライトパッドでMnO
2を濾過して取り除いた。有機溶液を反応器に装填し、トルエンを3残留量まで留去した。トルエンを全量除去するために、20Lの2−プロパノールを反応器に加え、2残留量まで再度濃縮した。さらに20Lの2−プロパノールを装填し、反応器中に4残留量を有するように、溶媒を部分的に蒸留した。この懸濁液を冷却し、撹拌しながら10℃で一晩維持した。固体を濾過し、T=50℃で12時間、真空オーブン中で湿潤固体を乾燥し、白色固体を得た(4.12kg、収率82.8%)。
【0196】
生成物の特性評価は、国際公開第2009018909号の実施例2(中間体1b)に記載されている。
【0197】
Swernの手順
25℃で攪拌しながら、トリエチルアミン(4.5mL、32mmol)を、アルコール(VI)(式中、nは0である)(5.0g、12.4mmol)のDMSO溶液(15mL)に滴加した。内部バッチ温度が35℃よりも高く上昇しないように、ピリジン.SO
3錯体(5.0g、31mmol)を、内部バッチ温度が35℃よりも高く上昇しないように約1時間かけて小量ずつ加える。この反応混合物を25℃で4時間攪拌し、次いで、水(60mL)及び10%H
2SO
4水溶液10%(10mL)でクエンチする。得られた混合物を25℃で攪拌し、固体を濾過して取り出し、減圧下50℃で乾燥させて、4.6g(収率92%)の純粋なケトン(VII)を無色固体として得る。
【0198】
IBXを用いる手順
(VI)(式中、nは0である)(1.0g、2.5mmol)を、文献(JOC 1999 pg4537)に従って製造した2−ヨードキシ安息香酸(IBX)(0.9g、3.2mmol)のDMSO懸濁液(5mL)に一度に加え、得られた混合物を25℃で1時間攪拌し、次いで、50℃まで2時間攪拌した。25℃に冷却した後に10%炭酸カリウム水溶液(40mL)で反応をクエンチし、固体を濾過して取り出して、定量的収率でケトン(VII)を得た。
【0199】
sIBX(商標)を用いる手順
市販のsIBX(商標)(「Stabilized IBX」、安息香酸(22%)、イソフタル酸(29%)及びSIMAFEXのo−ヨードキシ安息香酸(49%)の混合物からなる、IBXの白色粉末調合物)(2.0g、3.2mmol)を、(VI)(式中、nは0である)(1.0g、2.5mmol)のアセトン溶液(15mL)に25℃で一度に加え、得られた混合物を2.5時間還流し、25℃で冷却し、次いで、10%亜硫酸ナトリウム水溶液(10mL)及び10%炭酸カリウム水溶液(40mL)でクエンチした。この混合物を25℃で0.5時間攪拌し、固体を濾過して取り出して、定量的収率でケトン(VII)(式中、nは0である)を得た。
【0200】
DMPを用いる手順
デス−マーチンペルヨージナン(DMP)(1.3g、0.31mmol)をアルコール(VI)(式中、nは0である)(1.0g、2.5mmol)のアセトン溶液(5mL)に一度に加えた。この反応混合物を25〜30℃で1時間攪拌し、10%メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液(10mL)及び15%炭酸カリウム水溶液の(30mL)でクエンチした。この混合物を25℃で0.5時間攪拌し、固体を濾過して取り出して、定量的収率で(VII)(式中、nは0である)を得た。
【0201】
実施例2A
3,5−ジクロロ−4−メチル−l−オキシ−ピリジン(中間体A)の製造
【0202】
【化43】
【0203】
3,5−ジクロロ−4−メチル−ピリジン(0.5g、3.08mmol)及びOxone(商標)(1.5g、4.62mmol)を、25mlフラスコ中のメタノール及び水(5.5ml)の8:3混合物に懸濁した。この懸濁液を攪拌し、10〜15時間55℃に温めた。溶媒を減圧下で除去し、得られた粗製の固体を、高温のトルエン(80℃)中に、撹拌しながら20分間懸濁した。次いで、この不均一な高温の溶液を濾液し、母液を室温に冷却し、固体の沈殿を得た。0〜5℃で30分間撹拌し、濾過した後に、純粋な生成物を白色固体として得た(0.43g、収率78%)。
【0204】
実施例2B
(R/S)−1−(3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−オキシ−ピリジン−4−イル)エタノール(中間体(VI)、n=1)の製造
【0205】
【化44】
【0206】
窒素雰囲気下の三つ口50mlフラスコ中に、中間体A(0.4g、2.25mmol)及び中間体B(0.78g、3.22mmol)を加え、乾燥THF(5ml)に溶解した。攪拌したこの溶液を−35℃に冷却した。カリウムtert−ブチレート(0.3g、2.67mmol)を、この溶液に10分かけて小量ずつ加えた。−35℃で60分反応させた後に、この溶液を25%NH4Cl水溶液(10ml)でクエンチする。EtOAc(8ml)及び水(8ml)をこの懸濁液に加え、攪拌し、相を分離し、有機相を抽出し、5%NaCl水溶液(10ml)で洗浄した。次いで、有機溶媒をNa2SO4で無水化し、減圧下で除去して、粗製の白色固体を得た。これを高温のトルエンから結晶化し、白色固体を得た(0.40g、収率42%)。
【実施例3】
【0207】
(R)−1−(3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)エタノール(中間体(II)、n=0)の製造
【0208】
【化45】
【0209】
2.40kgの(VII)(式中、nは0である)を反応器中の23Lのトルエンに溶解した。この反応器を窒素で脱気した。Solvias専売の配位子、SL−N004−1及びRuCI2(PPh3)3を2Lのシュレンクバルブに配置し、乾燥脱気トルエン(1,2L)を装入した。この混合物を1時間80℃に加熱し、次いで、室温(RT)にした。続いて、触媒溶液及び298mLの脱気した0.5M NaOH水溶液を反応器に加えた。反応器を閉め、窒素で脱気し、10バール未満の水素に設定した。この混合物を10バールの定圧下で35℃に加熱した。19時間の全反応時間後に、ヒーターのスイッチを切った。反応器をRTに冷却し、水性層を除去した。有機相を0.5Lの水で2回洗浄し、有機相に加えた1Lのトルエンで水性相を逆抽出した。240gの脱色炭(Norit CAP Super)をトルエン溶液に加え、この混合物をRTで一晩攪拌した。炭素を濾過して取り除き、濾過ケークを1.5Lの酢酸エチルですすいだ。この黄色がかった溶液を減圧下で濃縮乾固して、2.38kgの粗製の湿潤物質を得た。これを、撹拌しながら1.5Lの酢酸イソプロピルに60℃で溶解し、9Lの予熱したヘプタン(50℃)を加え、この混合物を60℃で攪拌した。溶液に種晶を加え、撹拌しながらゆっくりとRTに冷却した。撹拌を室温で一晩続け、次いで、この混合物を1時間0℃に冷却した。固体を濾過し、乾燥した。収量は2.1kgであった(収率87%、95.0%ee)。
【実施例4】
【0210】
(R)−1−(3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−1−ピリジン−4−イル)エタノール及び(S)−1−(3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−1−ピリジン−4−イル)エタノール(中間体(VIII)及び(II)、n=0)の分離
【0211】
【化46】
【0212】
3000gの(VI)(式中、nは0である)に関して、Chiralpak IC 20μm−250
*76mmカラム及び移動相として95/5v/vのジクロロメタン/エタノールを使用して、バッチでクロマトグラフィー分離を行った。いくつかの運転においてラセミ(VI)の溶液をキラルカラムの上部に装填し、カラムの下部で収集した、分離された鏡像異性体の溶出画分を集めた。エタノールが富化された濃縮DCM/EtOH溶出混合物から(II)を結晶化した。>99.5%のHPLC純度及び>99.5%のHPLCキラル純度を有する、1440g(収率48%)の所望の鏡像異性体(II)(式中、nは0である)を得た。>99%HPLC純度及び>99%のHPLCキラル純度を有する、1470g(収率49%)の他の鏡像異性体(VIII)(式中、nは0である)も得た。
【0213】
実施例4A
(R)−1−(3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−オキシ−ピリジン−4−イル)エタノール及び(S)−1−(3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−オキシ−ピリジン−4−イル)エタノール(中間体(VIII)及び(II)、n=1)の分離
【0214】
【化47】
【0215】
実施例4と同様に、ラセミ(VI)(式中nは1である)の溶液に関して、Chiralpak IC 20μm−250
*76mmカラム及び移動相としてメタノールを使用して、クロマトグラフィー分離を行ない、高いHPLC純度及びHPLCキラル純度を有する、所望の鏡像異性体(II)(式中nは1である)を得ることができる。高いHPLC純度及びHPLCキラル純度を有する、他の鏡像異性体(VIII)(式中nは1である)も得ることもできる。
【実施例5】
【0216】
(S)−3−シクロプロピルメトキシ−4−メタンスルホニルアミノ安息香酸−l−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−ピリジン−4−イル)−エチルエステル(化合物(I)、n=0)の製造
【0217】
【化48】
【0218】
75gの(III)(式中、Xは−NHSO
2MeでありZは−OHである)を、750mlのDCMに懸濁し、42,5gのN,N−カルボニルジイミダゾールを小量ずつ加え、得られた溶液をRTで30分間攪拌した。375mlのトルエンを加え、続いて85gの(II)(式中、nは0である)を加え、この混合物を還流するまで加熱した。DCMを留去し、次いで、この懸濁液を100℃で一晩攪拌した。得られた溶液を40℃に冷却し、500mlの酢酸エチルを加え、NaHCO
3溶液及びブラインで洗浄した。生成物を酢酸エチル/ヘプタンからの結晶化により分離し、同じ溶媒混合物を用いて再結晶化して、白色固体を得た(回収量129g、収率73%)。
【0219】
生成物の特性評価は、特許文献1の実施例15に記載されている。
【実施例6】
【0220】
(S)−3−シクロプロピルメトキシ−4−メタンスルホニルアミノ安息香酸−1−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−オキシ−ピリジン−4−イル)−エチルエステル(化合物(I)、n=1)の製造
【0221】
【化49】
【0222】
H
2O
2/酢酸を用いる手順
73gの(I)(式中、nは0である)、をフラスコに装入し、続いて、150mlのトルエン及び290mlの酢酸及び75mlの35%H
2O
2を装入し、この混合物を80℃まで8時間加熱した。この混合物を50℃に冷却し、750mlの酢酸エチルを加え、水性相を除去し、水及び10%NaHCO
3水溶液で有機相を洗浄して、アルカリ性pHにし、溶媒を留去した。粗製物質を、375mlの酢酸エチル及び225mlのn−ヘプタンからの結晶化により精製し、静置棚乾燥機において乾燥して、白色固体を得た(回収量65.1g、収率87.1%)。
【0223】
生成物の特性評価は、特許文献1の実施例17に記載されている。
【実施例7】
【0224】
(S)−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−オキシ−ピリジン−4−イル)−エタノール(中間体(II)、n=1)の製造
【0225】
【化50】
【0226】
H
2O
2/酢酸を用いる手順
490gの(II)(式中、nは0である)を1960mlの氷酢酸とともに反応器に装填した。この混合物を50℃まで加熱し、次いで、980mlの30〜35%過酸化水素水を徐々に加え、この混合物を同じ温度で16時間撹拌しながら維持した。2000mlの精製水をゆっくりと加え、(II)(式中、n=1)を固体として沈殿させた。スラリーを10℃に冷却し、撹拌しながら3時間維持した。次いで、この固体を濾過して取り出し、得られた固体を1000mlの水で洗浄した。この湿潤固体(II)(式中nは1である)を2000mlの水に2時間、及び2000mlのジイソプロピルエーテルに3時間、再懸濁した。この湿潤固体を真空下で乾燥した。433gの白色固体を得た(収率85%)。
【0227】
生成物の特性評価は、特許文献1の実施例7に記載されている。
【0228】
Oxone(商標)を用いる手順
456gのOxone(商標)(KHSO
5*1/2KHSO
4*1/2K
2SO
4)及び1.2Lの水を反応器に加え、この混合物をRTで攪拌した。400gの(II)(式中、nは0である)及び3.2Lのメタノールを加え、この混合物を70℃まで3時間加熱した。さらに、50gのOxone(商標)を加え、1.5時間後に反応を完了した。アルコールを留去し、4Lの水及び2Lの酢酸エチルを50℃で加えた。水性相を排出し、有機相を800mlの水で洗浄し、真空下で1.5Lに濃縮した。4Lのトルエンを加え、この混合物を真空下で2.5Lに濃縮し、同時に、生成物の沈殿が始まった。この懸濁液を10℃に冷却し、撹拌しながら1.5時間維持した。得られた固体を濾過し、800mlのトルエンで洗浄した。湿潤固体を静置棚乾燥機において真空下で乾燥した。288gの白色固体を得た(収率72%)。
【0229】
生成物の特性評価は、特許文献1の実施例7に記載されている。
【実施例8】
【0230】
(S)−3−シクロプロピルメトキシ−4−メタンスルホニルアミノ安息香酸−1−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−オキシ−ピリジン−4−イル)−エチルエステル(化合物(I)、n=1)の製造
【0231】
【化51】
【0232】
100gの(III)(式中、XはNHSO
2Meであり、Zは−OHである)及び1Lの酢酸エチルを反応器に装填した。57gのカルボニルジイミダゾールを40℃で撹拌しながら小量ずつ加え、次いで、この混合物を60分間攪拌した。123gの(II)(式中、n=1)及び3.7mlの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンを加え、この混合物を75℃まで約4時間加熱した。有機溶液を500mlの1M HCl水溶液、500mlの5%NaHCO
3水溶液及び500mlの10%NaCl水溶液で洗浄した。有機混合物を真空下で70℃まで加熱し、600mlに濃縮した。この混合物を50℃に冷却し、300mlのn−ヘプタンを加えた。溶液に種晶を加え、5℃に冷却し、撹拌しながら1.5時間維持した。得られた固体を濾過して取り出し、真空下で乾燥した。168gの粗製の固体を得た(収率82%)。
【0233】
生成物の特性評価は、特許文献1の実施例17に記載されている。
【実施例9】
【0234】
(S)−3−シクロプロピルメトキシ−4−メタンスルホニルアミノ−安息香酸1−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−1−オキシ−ピリジン−4−イル)−エチルエステル(化合物(I)、nは1である)−エタノールからの溶媒和化合物の製造
【0235】
粗製の化合物(I)(式中nは1である)の溶液を1Lの反応器に装填した。DCM(90ml)及びEtOH(300ml)を加え、この白色懸濁液を攪拌し、完全に溶解するまで、温めて還流した。DCMを留去すると、白色固体が沈殿し始めた。EtOHの一部を留去して、このエタノール溶液をさらに6〜7容量に濃縮し、次いで、0〜5℃に冷却し、120分間攪拌した。得られた固体を濾過し、30mlのEtOHで洗浄した。湿潤固体を静置棚乾燥機において真空下で乾燥した。28.55gの白色固体を得た(収率95%)。
【0236】
実施例9により溶媒和化合物として得られた式(I)の化合物(式中、nは1である)を調べて、示差走査熱量測定(DSC)振動、回転及び低周波モードを観察するためのラマン分光法及びX線粉末回折(XRPD)パターンにより融点を決定した。
【0237】
これは、以下を特徴とする:
10℃/分の走査速度でDSCにより決定された、87°〜101℃の融解範囲;
以下のXRPDピークを特徴とするX線粉末回折パターン(X線回折管KFL CuKα2型を有するBruker D8 Advance con):7,45;7,87;8,51;10,12;10,28;12,66;13,29;13,45;14,95;16,14;16,34;17,05;17,74;18,05;18,48;18,88;19,05;19,33;19,85;20,18;20,65;21,3;22,96;23,55;23,87;24,41;24,66;24,88;25,62;25,82;26,45;28,12及び28,53±0.2度/2θ。
【実施例10】
【0238】
化合物(I)(式中nは1である)−形態Aの結晶化
【0239】
酢酸エチル/ヘプタンからの手順
5gの粗製の(I)(式中nは1である)を30mlの酢酸エチルとともに反応器に装填し、この懸濁液を、固体が完全に溶解するまで75℃に加熱しながら攪拌した。15mlのn−ヘプタンを加え、この溶液をRTにした。この懸濁液を2時間5℃に冷却し、濾過し、真空下で乾燥した。白色固体、いわゆる形態Aを得た(3.6g、収率72%)。
【0240】
実施例10により形態Aとして得られた式(I)の化合物(式中、nは1である)を調べて、示差走査熱量測定(DSC)振動、回転及び低周波モードを観察するためのラマン分光法及びX線粉末回折(XRPD)パターンにより融点を決定した。
【0241】
これは、以下を特徴とする:10℃/分の走査速度でDSCにより決定された、144°〜147℃の融解範囲;
以下のXRPDピークを特徴とするX線粉末回折パターン(X線回折管KFL CuKα2型を有するBruker D8 Advance):7,48;7,93;10,15;10,32;12,72;13,51;16,18;16,46;18,08;18,53;18,94;8,55;17,79;19,89;19,1;20,2;21,37;22,96;23,63;24,87;26,51;28,09;28,61及び25,82±0.2度/2θ。
【0242】
酢酸イソプロピルからの手順
5gの粗製の(I)(式中nは1である)を20mlの酢酸イソプロピルとともにフラスコに装填し、完全に溶解するまで、この懸濁液を加熱して還流した。この混合物を0℃に冷却し、2時間攪拌した。得られた固体を濾過し、10mlの酢酸イソプロピルで洗浄した。この湿潤固体を真空下で乾燥した。4.05gの白色固体、すなわち結晶形態Aを得た(収率81%)。
【0243】
生成物の特性評価は、特許文献1の実施例に記載されている。
【実施例11】
【0244】
1−(3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−オキシ−ピリジン−4−イル)エタノン(中間体(VII)、n=1)への中間体(VII)(n=0)の酸化
【0245】
【化52】
【0246】
H
2O
2/酢酸を用いる手順
0.5gの(VII)(式中、nは0である)を3mlの氷酢酸とともに50mlフラスコに装填した。この均一な溶液を50℃まで加熱し、次いで、1mlの30〜35%過酸化水素水を徐々に加え、この混合物を、同じ温度で21時間撹拌しながら維持した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、勾配溶出(ヘキサン/EtOAc85/15〜EtOAc100%)を用いるカラムクロマトグラフィーで粗製の固体を精製し、純粋な生成物を白色固体として得た(収率50%)。
【0247】
Oxone(商標)を用いる手順
10gの(VII)(式中、nは0である)を、11.44gのOxone(商標)、80mlのメタノール及び30mlの水とともにフラスコに装填した。この混合物を65℃まで5時間加熱し、RTに48時間置いた。アルコールを留去し、50mlの水及び100mlのトルエンを加えた。この混合物を固体が完全に溶解するまで加熱し、水性相を排出し、有機相を真空下で70mlに濃縮した。この懸濁液を0℃に冷却し、撹拌しながら1.5時間維持した。得られた固体を濾過して取り出し、静置棚乾燥機において真空下で乾燥した。6.7gの白色固体を得た(収率60%)。
【0248】
MCPBAを用いる手順
0.5gの(VII)(式中、nは0である)を10mlのTHFに溶解し、0.34gのMCPBA(3−クロロペルオキシ安息香酸、77%アッセイ)を加え、この混合物をRTで一晩攪拌した。HPLCコントロールによって、ほぼ完全な変換が確認された。この溶液を、100mlの酢酸エチルと50mlの5%炭酸水素カリウム水溶液の間に分配した。さらなる50mlの塩基性溶液で有機相を洗浄し、真空下で乾燥した。この粗製物を、溶出液として酢酸エチルとジクロロメタンの混合物を用いて、シリカパッドで精製した。0.22gの(VII)(式中、n=1)を得た(収率42%)。
【実施例12】
【0249】
1−(3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−オキシ−ピリジン−4−イル)エタノン(中間体(VII)、n=1)への中間体(VI)(n=1)の酸化
【0250】
【化53】
【0251】
DMPを用いる手順
アルコール(VI)(式中nは1である)(1.0g、2.38mmol)をアセトン(15mL)に懸濁した。この懸濁液を、氷浴を用いて0〜5℃で撹拌しながら冷却した。次いで、デス−マーチンペルヨージナン(1.4g、3.3mmol)を一度に加えた。反応は最初に発熱性であり、1時間後に、RTになるまでこれを放置した。20時間後に、反応は完了し、10mlの10%メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液で反応をクエンチし、30mlの15%炭酸カリウム水溶液を加えた。この混合物を25℃で0.5時間攪拌し、固体を濾過して、定量的収率でケトン(VII)(式中nは1である)を得た。
【実施例13】
【0252】
3−(シクロプロピルメトキシ)−4−ニトロ安息香酸(中間体(III)、X=−NO
2及びZ=−OH)の製造
【0253】
【化54】
【0254】
(III)(式中、Xは−NO
2であり、Zは−OMeである)を、特許文献1の実施例18に記載されている手順に従って製造した。550gの(III)(式中、Xは−NO
2であり、Zは−OMeである)を、続いて、1.65LのTHF及び2.85Lの1M水酸化リチウム水溶液を反応器に装填した。この混合物を40℃まで1.5時間加熱し、次いで、RTに冷却した。4.4Lの酢酸エチルを加え、続いて、240mlの37%HCl水溶液を加えた。水性相を排出し、2.75Lの水で有機相を2回洗浄し、次いで、真空下において50℃で濃縮し、同じ温度で1.65Lのn−ヘプタンを加え、この懸濁液をRTに冷却した。固体を濾過して取り出し、真空棚段乾燥機中で乾燥して、337gの(III)(式中、Xは−NO
2であり、Zは−OHである)を得た(収率73%)。
【実施例14】
【0255】
(S)−3−シクロプロピルメトキシ−4−ニトロ安息香酸−l−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−ピリジン−4−イル)−エチルエステル(中間体(IV)、n=0)の製造
【0256】
【化55】
【0257】
中間体(III)(式中、Xは−NO
2であり、Zは−OHである)(80g、0.34mol、参照)及び(II)(式中、nは0である)(109.1g、0.27mol、0.9当量)、EDC.HCl(193.9g、1.01mmol、3当量)、DMAP(20.6g、0.17mol、0.5当量)及びDMF(400ml、5容量)を混合し、75℃に一晩加熱した。この溶液を水と酢酸エチルの間に分配し、酸性及び塩基性の水溶液で有機相を洗浄し、真空下で濃縮する。この粗製物質を、EtOH(1200ml)、アセトン(100ml)を用いて結晶化した。白色固体を得た(101g、(VIII)に対して収率60%)。
【0258】
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm 8.60(s,2H)、7.97(d,J=8.38Hz,1H)、7.61−7.80(m,2H)、7.18−7.32(m,2H)、7.02−7.14(m,2H)、6.27(dd,J=9.70,3.97Hz,1H)、4.04−4.21(m,2H)、3.89−4.02(m,2H)、3.74(dd,J=14.11,9.70Hz,1H)、3.45(dd,J=13.89,4.19Hz,1H)、1.10−1.30(m,2H)、0.49−0.65(m,4H)、0.36(qd,J=5.44,5.29Hz,4H)。
【実施例15】
【0259】
(S)−3−シクロプロピルメトキシ−4−ニトロ安息香酸−l−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−オキシ−ピリジン−4−イル)−エチルエステル(中間体(IV)、n=1)の製造
【0260】
【化56】
【0261】
(III)(式中、Xは−NO
2であり、Zは−OHである)(80g、0.34mol、参照)、(II)(式中nは1である)(113.9g、0.27mol、0.9当量)、EDC.HCl(193.9g、1.01mmol、3当量)、DMAP(20.6g、0.17mol、0.5当量)及びDMF(400ml、5容量)を混合し、100℃に一晩加熱した。この溶液を水と酢酸エチルの間に分配し、酸性及び塩基性の水溶液で有機相を洗浄し、真空下で濃縮した。この粗製物質を、EtOH(600ml)、アセトン(200ml)及びヘプタン(200ml)を用いて結晶化した。白色固体を得た(71g、中間体(II)(式中、nは1である)に対して収率41%)。
【0262】
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm 8.56(s,2H)、7.97(d,J=8.38Hz,1H)、7.62−7.83(m,2H)、7.16−7.32(m,2H)、7.04−7.14(m,2H)、6.20(dd,J=9.26,4.41Hz,1H)、4.11(dd,J=7.06,3.53Hz,2H)、3.93(d,J=6.62Hz,2H)、3.62(d,J=9.26Hz,1H)、3.32(d,J=9.26Hz,1H)、1.17−1.26(m,2H)、0.49−0.67(m,4H)、0.24−0.43(m,4H)。
【実施例16】
【0263】
(S)−3−シクロプロピルメトキシ−4−アミノ安息香酸−l−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−ピリジン−4−イル)−エチルエステル(中間体(V)、X=NH
2及びn=0)の製造
【0264】
【化57】
【0265】
水素化手順
反応器を、2.5gの(IV)(式中、nは0である)、119mgのPd/C触媒及び25mlの酢酸エチルで満たした。次いで、この反応器を密閉し、緩やかに攪拌しながら40℃の内部温度に加熱した。反応器を4バールの水素で満たした。4時間後に、変換が完了した。濾過によって触媒を除去し、溶媒を減圧下で蒸留した。2.20gの生成物を回収した(収率90%)。
【0266】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δppm 8.50(s,2H)、7.49−7.56(m,1H)、7.30−7.36(m,2H)、7.10−7.19(m,1H)、7.00−7.08(m,2H)、6.58−6.68(m,1H)、6.20−6.28(m,1H)、4.11(bs,2H)、3.78−3.92(m,4H)、3.69−3.79(m,1H)、3.30−3.37(m,1H)、1.178−1.32(m,2H)、0.58−0.71(m,4H)、0.28−0.35(m,4H)。
【0267】
SnCl
2を用いる手順
2gの(IV)(式中、nは0である)を20mlのTHFに溶解し、4.34gの塩化スズ(II)二水和物を加えた。この溶液を80℃で一晩攪拌した。この溶液を、100mlの酢酸エチルと100mlの5%KHCO
3水溶液の間に分配した。この混合物を濾過して沈殿した塩を除去し、水性相を排出した。さらなるKHCO
3及びブラインで有機相を洗浄した。有機溶媒を真空下で除去して、(V)(式中、nは0である)を黄色油として分離した(1,84g、収率97%)。
【実施例17】
【0268】
(S)−3−シクロプロピルメトキシ−4−アミノ安息香酸−l−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−オキシ−ピリジン−4−イル)−エチルエステル(中間体(V)、n=1)の製造
【0269】
【化58】
【0270】
水素化手順
反応器を400mgの(IV)(式中、n=1である)、8mgの1%Pt/C触媒及び4mlの酢酸エチルで満たし、密閉し、緩やかに攪拌しながら60℃に加熱し、4バールで水素で満たし、4時間撹拌を続けた。この混合物を濾過して、触媒を除去し、真空下で乾燥した。
【0271】
SnCl
2を用いる手順
1gの(IV)(式中、n=1である)を10mlのTHFに溶解し、1.06gの塩化スズ(II)二水和物を加えた。この溶液をRTで一晩攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、10mlの酢酸エチル及び10mlの1M NaOH水溶液を粗製物に加えた。水性相を排出し、有機相を10mlの10%NaCl水溶液で洗浄した。有機溶媒を除去し、粗製物をジエチルエーテルに懸濁し、固体が得られるまで攪拌し、これを濾過し、4mlのジエチルエーテルで洗浄し、静置棚乾燥機において乾燥した。白色固体を得た(0.68g、71.3%)。
【0272】
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm 8.55(s,2H)、7.40(dd,J=8.38,1.76Hz,1H)、7.28(d,J=1.76Hz,1H)、7.15−7.21(m,2H)、6.99−7.08(m,2H)、6.64(d,J=8.38Hz,1H)、6.14(dd,J=9.59,4.30Hz,1H)、5.63(s,2H)、3.88−3.96(m,2H)、3.70−3.88(m,2H)、3.55(dd,J=14.11,9.92Hz,1H)、3.24−3.31(m,1H)、1.11−1.34(m,2H)、0.47−0.65(m,4H)、0.19−0.41(m,4H)。
【実施例18】
【0273】
(S)−3−シクロプロピルメトキシ−4−メタンスルホニルアミノ−安息香酸1−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−エチルエステル(化合物(I)、n=0)の製造
【0274】
【化59】
【0275】
0.5gの(V)(式中、nは0である)(0.84mmol)をDCM(7ml)及びTEA(0.17ml、1.26mmol)に溶解し、次いで、メタンスルホニルクロリド(0.11g、0.93ml)をゆっくりと加え、この溶液をRTで20時間攪拌した。次いで、反応を水(20ml)でクエンチし、有機溶媒を抽出し、5%NaCl水溶液(10ml)で洗浄した。溶媒を除去し、勾配溶出(ヘキサン100%〜ヘキサン/EtOAc60/40)を用いるカラムクロマトグラフィーで粗製物を精製し、純粋な生成物を無色油として得た(収率30%)。
【実施例19】
【0276】
(S)−3−シクロプロピルメトキシ−4−ニトロ安息香酸−l−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−オキシ−ピリジン−4−イル)−エチルエステル(中間体(IV)、n=1)を得るための中間体(IV)(式中、nは0である)の酸化
【0277】
【化60】
【0278】
H2O2/酢酸を用いる手順
0.5gの(IV)(式中、nは0である)を3mlの氷酢酸をとともに50mlフラスコに装填した。この溶液を55℃まで加熱し、次いで、徐々に1mlの過酸化水素(35%)を加え、この混合物を同じ温度で48時間撹拌しながら維持した。5mlの水を加え、生成物を酢酸エチルで抽出し、有機溶媒を減圧下で除去して、生成物を黄色油として得た(収率74%)。
【0279】
Oxone(商標)を用いる手順
0.3gの(IV)(式中、nは0である)を50mlフラスコに装入し、続いて、2.4mlのメタノール、1mlの水及び215mgのOxone(商標)を装入した。この懸濁液を55℃で48時間及び40℃で72時間攪拌した。メタノールを減圧下で除去し、5mlの酢酸エチルを加えた。水性相を酢酸エチル(3×5ml)で抽出し、有機相をNa2SO4の下で乾燥し、溶媒を減圧下で除去して、生成物を黄色がかった油として得た(収率96%)。
【0280】
MCPBAを用いる手順
0.5gの(IV)(式中、nは0である)を10mlのTHFに溶解し、0.22gのMCPBA(3−クロロペルオキシ安息香酸、77%アッセイ)を加え、この混合物をRTで一晩攪拌した。HPLCコントロールによって、ほぼ完全な変換が確認された。この溶液を、100mlの酢酸エチルと50mlの5%炭酸水素カリウム水溶液の間に分配した。有機相をさらなる50mlの塩基性溶液で洗浄し、真空下で乾燥した。この粗製物を、溶出液として酢酸エチルとジクロロメタンの混合物を用いて、シリカパッドで精製した。0.19gの(VII)を得た(収率37%)。
【実施例20】
【0281】
(S)−3−シクロプロピルメトキシ−4−メタンスルホニルアミノ安息香酸−1−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−l−オキシ−ピリジン−4−イル)−エチルエステル(化合物(I)(式中nは1である)を得るための(V)(式中nは1である)のメタンスルホニル化
【0282】
【化61】
【0283】
0.2gの(V)(式中nは1である)(0.33mmol)をDCM(3ml)及びTEA(0.05ml、0.39mmol)に溶解し、次いで、メタンスルホニルクロリド(0.045g、0.07ml)をゆっくりと加え、溶液をRTで20時間攪拌した。次いで、反応を1N HCl(10ml)でクエンチし、有機溶媒を抽出し、5%NaCl水溶液(10ml)で洗浄した。溶媒を除去し、勾配溶出(ヘキサン/EtOAc85/15〜EtOAc100%)を用いるカラムクロマトグラフィーで粗製物を精製し、純粋な生成物を無色油として得た(収率30%)。
【実施例21】
【0284】
3−ヒドロキシ−4−(ジフルオロメトキシ)−安息香酸メチルエステルの製造
【0285】
【化62】
【0286】
100gの3−ヒドロキシ−4−(ジフルオロメトキシ)−ベンズアルデヒド(0.53mol)をMeOH(600ml)に溶解し、固体のOxone(商標)(325g、1.06mol)を1時間かけて小量ずつ加え、溶液を攪拌し、50〜55℃に2時間温めた。溶媒を真空下で200mlに濃縮し、水(1L)を加えた。得られた不均一な溶液を50〜55℃で攪拌し、次いで、トルエン(500ml)を加え、この二相性混合物を激しく攪拌した。水性相を排出し、有機相を水(500ml)で洗浄した。活性炭(10g)を加え、この有機溶液を20分間攪拌した。これをセライトパッドで濾過し、溶媒を真空下で2〜3容量に濃縮し、得られた溶液を80〜90℃に温めた。n−ヘプタン(400ml)をゆっくりと加えた。この混合物0℃に冷却し、この懸濁液を0℃で一晩攪拌した。固体をブーフナー漏斗で濾過し、n−ヘプタン(100ml)で洗浄した。得られた白色固体を真空下において室温で乾燥した(収率70%)。
【実施例22】
【0287】
3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)−安息香酸メチルエステルの製造
【0288】
【化63】
【0289】
873gの3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)−ベンズアルデヒド(3.61mol)をMeOH(4.4L)に溶解し、次いで、固体のOxone(商標)(1,86Kg、6.06mol)を1時間かけて小量ずつ加え、この溶液を攪拌し、55〜60℃に2時間温めた。溶媒を真空下で1,6Lに濃縮し、水(7L)を加えた。得られた不均一な溶液を50〜55℃で攪拌し、次いで、トルエン(3L)を加え、この二相性混合物を激しく攪拌した。水性相を排出し、有機相を水(3L)で洗浄した。溶媒を真空下で2〜3容量に濃縮し、得られた溶液を80〜90℃に温めた。n−ヘプタン(5,5L)をゆっくりと加えた。この混合物を−10℃に冷却し、この懸濁液を−10℃で一晩攪拌した。固体をブーフナー漏斗で濾過し、n−ヘプタン(1L)で洗浄した。得られた黄色固体を真空下において室温で乾燥した(収率52%)。
【実施例23】
【0290】
1−(3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−1−ピリジン−4−イル)エタノン(中間体(VII)、n=0)の製造
【0291】
【化64】
【0292】
3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)−安息香酸メチルエステル(30g、0.11mol)及び3,5−ジクロロ−4−メチル−ピリジン(21.4g、0.13mol)を1Lの反応器に装入し、THF(120ml)に溶解した。この均一な溶液を撹拌しながら−10℃に冷却した。1Mリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのTHF(0.22mol、220ml)溶液を30分かけてゆっくりと加えた。この混合物を低温で15〜30分間攪拌し、次いで、10%HCl水溶液(250ml)でクエンチし、室温に温めた。酢酸エチル(300ml)を加え、この二相性混合物を15〜20分間激しく攪拌した。水性相を酢酸エチル(150ml)で再抽出した。再度合わせた有機相を2容量に濃縮した。イソプロパノール(240ml)を加え、この溶液を2〜3容量に再度濃縮した。イソプロパノール(150ml)を加え、溶液を0℃に冷却して、淡黄色固体の沈殿を得た。3時間後に、この固体をブーフナー漏斗で濾過し、1容量の冷イソプロパノールで洗浄した。得られた固体を真空下においてRTで乾燥した(収率90.5%)。
【実施例24】
【0293】
3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)−安息香酸メチルエステルの製造
【0294】
【化65】
【0295】
DMF及び炭酸カリウムを用いる手順
3−ヒドロキシ−4−(ジフルオロメトキシ)−安息香酸メチルエステル(5g、22.9mmol)、K2CO3(4.75g、34.4mmol)、NaI(0.34g、2.3mmol)及びブロモ−メチルシクロプロパン(3.7g、27.5mmol)をDMF(25ml)に溶解し、この不均一な混合物を攪拌し、80℃で2時間温めた。この懸濁液を室温に冷却し、撹拌しながら水(50ml)を加えた。この不均一な混合物を0〜5℃に60〜90分間冷却し、固体をグーチ漏斗で濾過し、水(50ml)で洗浄した。オレンジ色の固体を得た。これを、真空下において室温で乾燥した(収率95.8%)。
【実施例25】
【0296】
3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)−安息香酸メチルエステルの製造
【0297】
【化66】
【0298】
DMA、炭酸カリウム及びMeIを用いる手順
3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)−安息香酸(50g、193.6mmol)及びK2CO3(28.1g、203.3mmol)をDMA(400ml)に懸濁し、この懸濁液を75〜85℃に温めた。MeI(32.97gr、232.0mmol)のDMA溶液(100ml)を、滴下漏斗を介して1時間かけて加えた。添加の終わりに、この懸濁液を0〜5℃に冷却し、撹拌しながら水(500ml)を加えた。白色固体の沈殿が生じた。この不均一な冷混合物を60〜90分間攪拌し、固体をグーチ漏斗で濾過し、水(50ml)で洗浄した。生成物を白色固体として得た。これを、真空下において室温で乾燥した(収率98.1%)。
【実施例26】
【0299】
3−ヒドロキシ−4−(ジフルオロメトキシ)−安息香酸メチルエステルの製造
【0300】
【化67】
【0301】
50mlフラスコ中で、3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)−ベンゾニトリル(0.5g、2.7mmol)をMeOH(3ml)に溶解し、この均一な溶液を室温で攪拌した。91%H2SO4水溶液(1ml)をゆっくりと滴加し、この溶液を50℃で1週間温めた。この溶液を0〜5℃に冷却し、水(10ml)を加え、得られた懸濁液を低温で1時間攪拌した。この懸濁液をグーチ漏斗で濾過した。生成物を白色固体として得た(収率78%)。
【実施例27】
【0302】
(R/S)−1−(3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−−l−オキシ−ピリジン−4−イル)エタノール(中間体(VI)、n=1)の製造
【0303】
【化68】
【0304】
100mlの丸底フラスコ中で、(VII)(式中nは1である)(0.2g、0,48mmol)を窒素雰囲気下で加え、MeOH(10ml)に懸濁し、0〜5℃に冷却した。NaBH4(18.0mg、0.48mmol)を加え、この懸濁液を1.5時間攪拌した。反応をH2O(25ml)でクエンチし、室温に温めた。水溶液を酢酸エチル(2×15mL)で2回抽出し、再度合わせた有機相をNa2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させて、粗製の固体を得た。これを高温のトルエン(10ml、85〜90℃)に溶解し、この溶液を0〜5oCに2時間冷却して結晶化した。得られた固体を濾過し、10mlのトルエンで洗浄し、静置棚乾燥機において真空下で乾燥した。164.5mgの白色固体を得た(収率81.6%)。