(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6458958
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】成人および小児被験者のための汎用性除細動電極パッドアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
A61N1/39
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-545769(P2016-545769)
(86)(22)【出願日】2014年9月23日
(65)【公表番号】特表2016-533249(P2016-533249A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】US2014056980
(87)【国際公開番号】WO2015048018
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年6月23日
(31)【優先権主張番号】61/884,264
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504242032
【氏名又は名称】ゾール メディカル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】ZOLL Medical Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン、ゲイリー、エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハミルトン、ワード
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、デボラー、ティー.
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ、デービッド、エヌ.、スリー
(72)【発明者】
【氏名】ダスコリ、メリッサ、エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、イー.、ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥラント、イアン、ビー.
【審査官】
石田 智樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−029728(JP,A)
【文献】
特表2008−523878(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/032710(WO,A1)
【文献】
特表2007−532242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/39
A61N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除細動電極パッドであって、
電極セクションと、
前記電極セクションに機械的に連結されたCPR実施セクションと、を備え、
前記除細動電極パッドが第1の向きに方向付けられて成人被験者に配置された場合、前記CPR実施セクションが前記成人被験者の胸甲の上方に位置付けられ、前記電極セクションが前記成人被験者への除細動ショックを実施するのに適切な位置に位置付けられるように前記電極セクションと前記CPR実施セクションの双方が互いに相対的に位置付けられ、前記除細動電極パッドは成人被験者にて使用され、
前記除細動電極パッドが前記第1の向きとは異なる第2の向きに方向付けられて小児被験者に配置された場合、前記CPR実施セクションが前記小児被験者の胸甲の上方に位置付けられ、前記電極セクションが前記小児被験者への除細動ショックを実施するのに適切な位置に位置付けられるように前記電極セクションと前記CPR実施セクションの双方が互いに相対的に位置付けられ、前記除細動電極パッドは小児被験者にて使用される、除細動電極パッド。
【請求項2】
前記第1の向きは、前記第2の向きから約180度回転された向きである、請求項1に記載の除細動電極パッド。
【請求項3】
前記成人被験者への除細動ショックを実施するのに適切な前記位置は、前記成人被験者の胸の頂点の位置である、請求項1または2に記載の除細動電極パッド。
【請求項4】
前記小児被験者への除細動ショックを実施するのに適切な前記位置は、前記小児被験者の側面の位置である、請求項1または2に記載の除細動電極パッド。
【請求項5】
成人被験者への前記除細動電極パッドの適切な向きおよび小児被験者への前記除細動電極パッドの適切な向きのしるしをさらに備える、請求項1に記載の除細動電極パッド。
【請求項6】
前記被験者へのCPRの実施中、前記被験者に適用される複数の胸部圧迫の頻度および深さのうちの少なくとも1つに関するフィードバックを提供するCPR補助デバイスをさらに備える、請求項1、2、および5のいずれか一項に記載の除細動電極パッド。
【請求項7】
除細動電極パッドであって、
電極セクションと、
CPR実施セクションと、
成人被験者への前記除細動電極パッドの適切な向きのインジケータおよび小児被験者への前記除細動電極パッドの適切な向きのインジケータと、を備え、
前記除細動電極パッドが第1の向きに方向付けられて前記成人被験者に配置された場合、前記CPR実施セクションが前記成人被験者の胸甲の上方に位置付けられ、前記電極セクションが前記成人被験者への除細動ショックを実施するのに適切な位置に位置付けられるように前記電極セクションと前記CPR実施セクションの双方が互いに相対的に位置付けられ、前記除細動電極パッドは成人被験者にて使用され、
前記除細動電極パッドが前記第1の向きとは異なる第2の向きに方向付けられて前記小児被験者に配置された場合、前記CPR実施セクションが前記小児被験者の胸甲の上方に位置付けられ、前記電極セクションが前記小児被験者への除細動ショックを実施するのに適切な位置に位置付けられるように前記電極セクションと前記CPR実施セクションの双方が互いに相対的に位置付けられ、前記除細動電極パッドは小児被験者にて使用される、除細動電極パッド。
【請求項8】
前記電極セクションは、ブリッジ部材によって、前記CPR実施セクションに機械的に連結されている、請求項7に記載の除細動電極パッド。
【請求項9】
前記ブリッジ部材は、半剛性材料を含み、前記電極セクションおよび前記CPR実施セクションが、互いに相対的に一定の向きのまま、および互いに一定の距離だけ分離されたままにすることをもたらす、請求項8に記載の除細動電極パッド。
【請求項10】
前記ブリッジ部材は、変形可能な材料を含み、前記電極セクションと前記CPR実施セクションとの間の相対的向きおよび距離が変化されることをもたらす、請求項8に記載の除細動電極パッド。
【請求項11】
前記ブリッジ部材は、1または複数の穿孔を含み、前記1または複数の穿孔は,前記1または複数の穿孔に沿って、切り離すまたは引き剥がすことによって、前記電極セクションが、前記CPR実施セクションから取り外されることをもたらす、請求項8から10のいずれか一項に記載の除細動電極パッド。
【請求項12】
前記除細動電極パッドの前記適切な向きの前記インジケータは、前記成人被験者への前記除細動電極パッドの前記適切な向きが、前記小児被験者への前記除細動電極パッドの前記適切な向きから反転された向きであることを示す、請求項7から10のいずれか一項に記載の除細動電極パッド。
【請求項13】
前記CPR実施セクションは、変位センサを含む、請求項7から10のいずれか一項に記載の除細動電極パッド。
【請求項14】
前記CPR実施セクションは、前記除細動電極パッドが配置された被験者へのCPRの実施中、前記被験者に適用される複数の胸部圧迫の頻度および深さのうちの少なくとも1つに関するフィードバックを提供するCPR補助デバイスを含む、請求項7から10のいずれか一項に記載の除細動電極パッド。
【請求項15】
前記除細動電極パッドの前記適切な向きの前記インジケータは、前記被験者への前記除細動電極パッドの前記適切な向きのビジュアルインジケータおよび触知性インジケータのうちの1つを含む、請求項7から10のいずれか一項に記載の除細動電極パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、米国特許法第119条(e)の下、2013年9月30日に出願された、米国仮特許出願第61/884,264号、発明の名称「成人および小児被験者のための汎用性除細動電極パッドアセンブリ」の優先権を主張し、参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明の複数の態様および実施形態は、心臓の苦痛を経験する個人の治療のためのシステムおよび方法に関する。
【0003】
[関連技術]
心臓の苦痛を経験する被験者の治療は概して、被験者の気道をきれいにすること、被験者の呼吸を補助すること、胸部圧迫、および除細動が含まれる。
【0004】
除細動は、自動体外式除細動器(AED)を使用して実行され得る。多くの自動体外式除細動器は実際、半自動体外式除細動器(SAED)であり、それは臨床医がスタートボタンを押すことを要求し、その後、除細動器は被験者の状態を分析し、電気リズムがショック可能であれば、ショックを被験者に供給し、後の任意のショックの前にユーザによる介入を待機する。一方、完全自動体外式除細動器は、後のショックを適用する前に、ユーザによる介入を待機しない。自動体外式除細動器(AED)という用語が本明細書で使用される際、半自動体外式除細動器(SAED)を含む。
【0005】
除細動ショックは通常、被験者の身体に配置された除細動電極のセットを介して、除細動器から被験者に供給される。当該複数の電極は、被験者の皮膚と電気通信を取るよう複数の位置に配置され、そこから当該複数の電極を介して供給される電荷を被験者の心臓に通過させる。
【0006】
いくつかの例において、1または複数の除細動電極が、CPR実施領域を含む除細動電極パッドアセンブリに提供されてよい。CPR実施領域は、ファーストレスポンダーが、CPRの実施中、そこを介して胸部圧迫を被験者に適用し得る、除細動電極パッドアセンブリの一部であってよい。CPR実施領域は、除細動電極パッドアセンブリ内の複数の除細動電極から、変位されてよい。
【0007】
除細動電極パッドアセンブリが被験者に適用されるときに、複数の除細動電極とCPR実施領域との相対位置を調整することによって、各々が被験者の適切な位置に位置付けられることがもたらされるように、複数の除細動電極およびCPR実施領域を除細動電極パッドアセンブリで配置することが、通常望ましい。例えば、小児被験者に対する成人被験者のように、異なるサイズの被験者に対しては、複数の除細動電極とCPR実施領域との間の距離が、各々が異なるサイズの複数の被験者に適切に位置付けられることを可能にするように、複数の異なるサイズの除細動電極パッドアセンブリを提供することが過去においては必要であった。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様により、除細動電極パッドがもたらされる。除細動電極パッドは、電極セクションおよび電極セクションに機械的に連結されたCPR実施セクションを備える。除細動電極パッドが第1の向きに方向付けられた場合、CPR実施セクションは成人被験者の胸甲の上方に位置付けられ、電極セクションは成人被験者への除細動ショックを実施するのに適切な位置に位置付けられるように、および除細動電極パッドが第1の向きとは異なる第2の向きに方向付けられた場合、CPR実施セクションは小児被験者の胸甲の上方に位置付けられ、電極セクションは小児被験者への除細動ショックを実施するのに適切な位置に位置付けられるように、除細動電極パッドにおいて電極セクションとCPR実施セクションとが互いに相対的に位置付けられる。いくつかの実施形態において、第1の向きは第2の向きから、約180度回転された向きである。
【0009】
いくつかの実施形態において、成人被験者への除細動ショックを実施するのに適切な位置は、成人被験者の胸の頂点の位置である。小児被験者への除細動ショックを実施するのに適切な位置は、小児被験者の側面の位置であってよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、除細動電極パッドはさらに、成人被験者への除細動電極パッドの適切な向きおよび小児被験者への除細動電極パッドの適切な向きのしるしを含む。除細動電極パッドはさらに、被験者へのCPRの実施中、被験者に適用される複数の胸部圧迫の頻度および/または深さに関するフィードバックを提供するよう構成されたCPR補助デバイスを備えてよい。
【0011】
別の態様により、汎用性除細動電極パッドを被験者に適用する方法がもたらされる。上記方法は、汎用性除細動電極パッドおよび除細動器を取得する段階と、被験者への汎用性除細動電極パッドの適切な向きを判断する段階と、上記適切な向きで汎用性除細動電極パッドを被験者に適用する段階と、を備える。上記方法はさらに、汎用性除細動電極パッドを使用して、被験者に治療を実施する段階を備えてよい。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記方法は、第2の電極パッドを被験者に適用する段階をさらに備える。上記方法はさらに、汎用性除細動電極パッドおよび第2の電極パッドを除細動器に電気的に連結する段階もまた備えてよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、汎用性除細動電極パッドの適切な向きを判断する段階は、汎用性除細動電極パッドに提供される適切な向きのしるしから、汎用性除細動電極パッドの向きを判断する段階を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、被験者に治療を実施する段階は、汎用性除細動電極パッドのCPR実施領域を介して複数の胸部圧迫を被験者に適用する段階を含み、またいくつかの実施形態において、被験者に治療を実施する段階は、汎用性除細動電極パッドの電極を介して、被験者に除細動ショックを適用する段階を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記方法はさらに、除細動電極パッドの電極セクションを除細動電極パッドのCPR実施セクションから物理的に分離する段階を備える。除細動電極パッドの電極セクションを除細動電極パッドのCPR実施セクションから物理的に分離する段階は、電極セクションをCPR実施セクションに物理的に連結するブリッジ部材を引き剥がす段階を含んでよい。汎用性除細動電極パッドを被験者に適用する段階は、電極セクションおよびCPR実施セクションを被験者に対し、別個に取り付ける段階を含んでよい。
【0016】
別の態様により、除細動電極パッドがもたらされる。除細動電極パッドは、電極セクションと、CPR実施セクションと、成人被験者への除細動電極パッドの適切な向きの指標を提供するための手段と、小児被験者への除細動電極パッドの適切な向きの指標を提供するための手段と、を備える。
【0017】
いくつかの実施形態において、上記電極セクションは、ブリッジ部材によって、CPR実施セクションに機械的に連結される。上記ブリッジ部材は、電極セクションおよびCPR実施セクションが、互いに相対的に一定の向きのまま、および互いに一定の距離だけ分離されたままにすることをもたらすよう構成された半剛体材料を含んでよい。ブリッジ部材は、電極セクションとCPR実施セクションとの間の相対的向きおよび距離が変化することをもたらすよう構成された変形可能な材料を含んでよい。複数の他の実施形態において、電極セクションは、CPR実施セクションに物理的に接続されていない。ブリッジ部材は、1または複数の穿孔に沿って切り離すまたは引き剥がすことによって、電極セクションがCPR実施セクションから取り外されることをもたらすよう構成された1または複数の穿孔を含んでよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、除細動電極パッドの適切な向きの指標を提供するための手段は、成人被験者への除細動電極パッドの適切な向きは、小児被験者への除細動電極パッドの適切な向きから反転されることを示す。除細動電極パッドの適切な向きの指標を提供するための手段は、被験者への除細動電極パッドの適切な向きのビジュアルインジケータおよび触知性インジケータのうちの1つを含んでよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、CPR実施セクションは変位センサを含む。CPR実施セクションはさらに、被験者へのCPRの実施中、除細動電極パッドが配置される被験者に適用される複数の胸部圧迫の頻度および/または深さに関するフィードバックを提供するよう構成されたCPR補助デバイスを含んでよい。
【0020】
添付図面は、縮尺通りに描かれるよう意図されていない。添付図面中、様々な図に示される各同一またはほぼ同一のコンポーネントは、同一の番号で表されている。明確性の目的のために、すべての図面中、すべてのコンポーネントに番号付けされていないことがある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】成人被験者に適用された除細動電極パッドの実施形態の図面である。
【
図2A】小児被験者に適用された
図1の除細動電極パッドの図面である。
【
図2B】小児被験者に適用された第2の電極パッドの図面である。
【
図2C】小児被験者に適用された除細動電極パッドの別の実施形態の図面である。
【
図2D】小児被験者に適用された電極およびCPR実施パッドの図面である。
【
図3】除細動電極パッドの複数の実施形態に含まれる複数のラベルの図面である。
【
図4】本明細書に開示される方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の複数の態様および実施形態は、以下の詳細な説明に記載された、または図面中に示された複数のコンポーネントの構成の詳細および配置に限定されない。本発明は、複数の他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行され得る。また、本明細書において使用される文言および用語は説明を目的とし、限定的なものとみなされるべきではない。本明細書における「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「包含する(containing)」、「伴う(involving)」、およびそれらの変形の使用は、その後に列挙された複数の項目およびそれらの均等物を包含するよう意図されている。
【0023】
本発明の複数の態様および実施形態は、除細動のための汎用性治療パッドの使用および/または成人および小児被験者の両方に対するCPRの実施を容易にし得る複数のシステムおよび方法を含む。成人および小児被験者の両方のための汎用性治療パッドの提供によって、成人被験者および小児被験者の治療のために除細動装置に複数の異なるサイズの治療パッドを提供する必要性が取り除かれ得る。汎用性治療パッドの提供により、被験者に不適切な治療パッドを使用すること、および治療パッドの除細動電極および/またはCPR治療領域を、被験者の治療のために最適でない、被験者の複数の位置に位置付けることに関連付けられた誤りを防ぐことができる。
【0024】
図1は、成人被験者の身体に配置された除細動電極パッドアセンブリ100の実施形態を示す。除細動電極パッドアセンブリ100は、電極セクション110およびCPR実施セクション120を含む。電極セクション110は、少なくとも1つの除細動電極に電気的に連結された除細動器から、被験者に除細動ショックを与えるための少なくとも1つの除細動電極を含む。いくつかの実施形態において、当該少なくとも1つの除細動電極は、除細動のために使用されていないとき、被験者からの複数のECG信号をモニタリングするために利用されてよい。CPR実施セクション120は、ファーストレスポンダーが、複数の胸部圧迫を被験者に加え得る領域を含む。CPR実施セクション120は、CPR実施セクション120の被験者への適切な配置およびCPRの実施のためのファーストレスポンダーの手の付け根の適切な配置を示すための複数の凡例を含んでよい。除細動電極パッドアセンブリ100は、少なくとも1つの電気コネクタ112を含んでよく、それを介して電極セクション110が、例えばモニタまたは除細動器のような外部デバイスに連結されてよく、および/またはそれを介してCPR実施セクション120が外部CPR実施モニタ/フィードバックデバイスに電気的に連結されてよい。いくつかの実施形態において、外部デバイスに電極セクション110およびCPR実施セクション120を連結するために、単一の電気コネクタ112のみが提供されてよいことを理解されたい。
【0025】
いくつかの実施形態において、CPR実施セクション120は、例えば、同時係属中の米国特許出願第14/313,772号に記載されたような変位センサ130を含んでよく、この出願は本明細書に参照により組み込まれる。加速度計を含み得る変位センサ130は、複数のCPR圧迫の頻度および/または深さをモニタリングし、この情報をシステムに提供すべく利用されてよく、当該システムは、望ましいCPR実施ルーチンを実現すべく、必要に応じて複数の胸部圧迫の頻度および/または深さを変更するためのフィードバックをファーストレスポンダーに提供してよい。例えば、ゾールメディカルコーポレーションから入手可能なPocketCPR(登録商標)CPR補助デバイスのようなCPR補助デバイスまたはUS特許第7,245,974号、8,096,962号、6,390,996号、6,782,293号、7,108,665号、7,118,542号および7,122,014号に開示の複数のCPR補助デバイスのうちの1つが、CPR実施セクション120を介するCPRの実施を容易にすべく使用されてよく、および/またはCPR実施セクション120に組み込まれてよい。電極セクション110およびCPR実施セクション120のうちの1つまたは両方は、さらに、1または複数のモニタリング若しくはペーシング電極、および/または同時係属中の米国特許出願第14/313,772号にも記載されているようなパルスオキシメトリ若しくは灌流モニタを含んでよい。いくつかの実施形態において、電極セクション110の除細動電極は、除細動に使用されていないとき、被験者からの複数のECG信号をモニタリングするために利用されてよい。
【0026】
図1中、電極セクション110は、成人被験者の胸の頂点の位置に位置付けられている。図示のように頂点の位置に位置付けられた除細動電極は、図示のように被験者の胸郭の横方向の位置で被験者に連結された第2の電極パッチ140とともに利用され、複数の除細動ショックを被験者に供給してよい。第2の電極パッチ140は、少なくとも1つの除細動電極を含み、またモニタリングおよび/またはペーシング電極、複数のECGモニタリング電極、および/またはパルスオキシメトリ若しくは他の複数の被験者の状態モニタも含んでよい。いくつかの実施形態において、第2の電極パッチ140内の1または複数の電極は、例えば、除細動およびECGモニタリングの両方のためといったような、複数の目的のために使用されてよい。CPR実施セクション120は、被験者の胸甲の上方に位置付けられ、そこは、CPRの実行中、複数の胸部圧迫を実施するのに望ましい位置である。除細動電極パッドアセンブリ100の電極セクション110およびCPR実施セクション120の複数の相対的位置は、これらのセクション110、120の両方が、被験者の複数の望ましい位置に位置付けられることをもたらす。
【0027】
除細動電極パッドアセンブリ100の電極セクション110およびCPR実施セクション120の複数の相対的位置は、
図1に示される成人被験者とは著しく異なる身体サイズを有する被験者の頂点の位置に電極セクション110を、胸甲にCPR実施セクション120を位置付けることに寄与しないかもしれない。例えば、小児被験者においては、頂点の位置と被験者の胸甲との間の距離は、除細動電極パッドアセンブリ100内の電極セクション110とCPR実施セクション120との間の距離より小さい可能性がある。
【0028】
しかしながら、適切にサイズ設定された除細動電極パッドアセンブリ100が、成人および小児被験者の両方に利用されてよい。除細動電極パッドアセンブリ100を第1の向きに位置付けることで、除細動電極パッドアセンブリ100の電極セクション110およびCPR実施セクション120が、成人被験者の複数の望ましい位置に位置付けられることをもたらしてよい。除細動電極パッドアセンブリ100を第2の向きに位置付けることで、除細動電極パッドアセンブリ100の電極セクション110およびCPR実施セクション120が、小児被験者の複数の望ましい位置に位置付けられることをもたらしてよい。
【0029】
図2Aは、
図1の除細動電極パッドアセンブリ100が小児被験者に配置された状態を示す。除細動電極パッドアセンブリ100は、
図1の成人被験者に対するその向きと比べて、約180度回転されて、
図2Aの小児被験者における電極セクション110およびCPR実施セクション120の適切な位置付けをもたらす。
図2A中、CPR実施セクション120は、当該被験者の胸甲に位置付けられる一方、電極セクション110は、当該被験者の胸郭の側面の位置に位置付けられている。
図2Bに示されるように、電極セクション110を側面に位置付けることで、第2の電極パッチ140が被験者の背面に位置付けられるとき、被験者への除細動ショックの許容可能な供給をもたらす。いくつかの実施形態において、除細動電極パッドアセンブリ100は、
図1および
図2Aに示される以外の向きで、被験者に適切に方向付けられてよい。例えば、より小さな成人被験者に電極セクション110およびCPR実施セクション120を適切に位置付けるべく、
図1の成人被験者に対するその向きに対し、除細動電極パッドアセンブリ100は約180度未満の角度だけ回転されてよい。
【0030】
図1および
図2Aに示される通り、電極パッドアセンブリ100は、ブリッジ部材115によって設定された距離だけ分離された、電極セクション110およびCPR実施セクション120を含んでよい。いくつかの実施形態において、ブリッジ部材115は、電極セクション110および/またはCPR実施セクション120の外表面を覆うために使用されるものと同一または類似の材料であり得る非導電性材料を含んでよい。ブリッジ部材115は、例えば、剛性または半剛性のプラスチックシートおよび/または金属シート若しくはワイヤを含む、剛性または半剛性であってよく、電極セクション110およびCPR実施セクション120が、互いに相対的に一定の向きのままにされ、および/または互いに一定の距離だけ分離されたままにすることをもたらす。あるいは、ブリッジ部材115は、例えば、布および/またはポリマー材料のシートのような変形可能な材料を含んでよく、それにより、電極セクション110とCPR実施セクション120との間の相対的向きおよび/または距離が変動されることをもたらしてよい。
【0031】
図2Cに図示の通り、いくつかの実施形態において、ブリッジ部材115は、電極セクション110および/またはCPR実施セクション120近傍のブリッジ部材の端部に沿う、および/またはブリッジ部材115の中央部を通る1または複数の穿孔114を含んでよい。当該複数の穿孔114はまた、ブリッジ部材115の複数の薄肉部またはブリッジ部材115の複数のスコアラインの形態であってよい。これらの穿孔114は、介護者またはファーストレスポンダーが、電極セクション110をCPR実施セクション120から取り外すことをもたらしてよい。ブリッジ部材115が、特定の被験者に関しては不適切となるであろう複数の相対的向きおよび/または分離距離で電極セクション110とCPR実施セクション120とを維持する場合、電極セクション110をCPR実施セクション120から取り外すことが望ましい可能性がある。介護者またはファーストレスポンダーは複数の穿孔114のうちの1または複数に沿って、ブリッジ部材115を引き剥がすことによって、電極セクション110をCPR実施セクション120から物理的に分離し、電極セクション110およびCPR実施セクション120を被験者の複数の適切な位置に配置し、または電極セクション110またはCPR実施セクション120のうちの1つのみを利用し、他方を被験者に取り付けないままとしてことができる。
【0032】
図2Dに図示の通り、ブリッジ部材115は省略され(または
図2Cの複数の穿孔114に沿って除去され)てよく、電極セクション110およびCPR実施セクション120は、物理的に分離された、接続されていない複数の個別の要素であってよい。電極セクション110およびCPR実施セクション120は、電極セクション110とCPR実施セクション120との間、または電極セクション110と、例えばCPR実施セクション120にまた電気的に連結されたモニタまたは除細動器のような治療デバイスとの間を伸びる例えば、1または複数の電気伝導体によって間接的には物理的に接続され得る場合であっても、それらは物理的に分離され、接続されていない状態であるとみなされてよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、除細動電極パッドアセンブリ100は、ファーストレスポンダーが、被験者に除細動電極パッドアセンブリ100をどのように方向付けるかを判断するのに役立つ複数のマークまたはラベルを含んでよい。例えば、
図3に図示の通り、ラベル150aおよび150bが除細動電極パッドアセンブリ100の一部、例えば、CPR実施セクション120および/または電極セクション110に、CPR実施セクション120のどの部分が、成人被験者に対しおよび子供被験者に対し、上向きに位置付けられるべきかを示す複数の矢印と共に提供されてよい。ラベル150a、150bは、複数の言語で提供され得る「子供」および「成人」のような複数の単語を含んでよく、および/または例えば、子供のイメージおよび/または成人のイメージのような複数の記号またはグラフィック表示を含んでよく、それらはファーストレスポンダーが除細動電極パッドアセンブリ100を被験者にどのように方向付けるかを判断するのに役立ってよい。除細動電極パッドアセンブリ100は、代替的または追加的に、成人および/または小児被験者への除細動電極パッド100の適切な向きの触知性の指標を提供するための1または複数の隆起した記号または文字を有するラベル150aおよび150bを含んでよい。
【0034】
除細動電極パッドアセンブリ100および第2の電極パッチ140は、例えば、ゾールメディカルコーポレーションから入手可能な多くの除細動器またはAEDのうちの任意の1つのような、多数の異なる除細動器と共に使用されてよい。本発明の複数の態様は、任意の特定の除細動器との使用に限定されない。
【0035】
別の態様により、心臓の苦痛を経験する被験者に治療を提供する方法がもたらされる。当該方法のフローチャートが、
図4に提供されている。当該方法の第1の行為(行為400)において、心臓の苦痛を経験している被験者を認識すると、ファーストレスポンダーは、緊急支援を呼び出し、除細動器、例えばAEDおよび汎用性除細動電極パッドを取得することに進んでよい。いくつかの例において、汎用性除細動電極パッドは、除細動器共に共に含まれてよく、および複数の他の例において、除細動器および汎用性除細動電極パッドは別個におよび/または異なる複数の位置から取得されてよい。
【0036】
行為410において、ファーストレスポンダーは、汎用性除細動電極パッドの被験者に対する適切な向きを判断する。汎用性除細動電極パッドの適切な向きの判断は、汎用性除細動電極パッドと共に含まれる複数の命令および/または汎用性除細動電極パッド上の1または複数のマークによって知らされてよい。汎用性除細動電極パッドは、成人被験者に関しては第1の向きに、小児被験者に関しては第2の向きに方向付けられてよい。
【0037】
行為420において、ファーストレスポンダーは、汎用性除細動電極パッドを被験者に、判断した向きで適用し、また必要に応じて、任意の他の複数の追加の電極パッドを被験者に適用する。行為430において、ファーストレスポンダーは、汎用性除細動電極パッドおよび任意の他の複数の電極を除細動器に、例えば、汎用性除細動電極パッドおよび複数の他の電極から延伸し得る複数のケーブルおよびクイックコネクタを使用して電気的に連結する。いくつかの実施形態において、行為430は、行為420若しくは行為410に先行してよく、または、例えば、汎用性除細動電極パッドおよび任意の他の複数の電極が、除細動器に事前に連結された状態で供給された場合、除去されてよい。ファーストレスポンダーは次に、必要に応じて被験者にCPRを実行し、また必要に応じて被験者に対し除細動を行ってよい(行為440)。CPRの実行、例えば、複数の胸部圧迫の頻度および/または深さは、汎用性除細動電極パッドのCPR実施セクションに適用された、またはそこに含まれるCPR補助デバイスからのフィードバックによってガイドされてよい。いくつかの例において、除細動の必要性および除細動のタイミングの判断は、除細動器によって判断されてよい。
【0038】
本発明の少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様をこのように説明したので、当業者に様々な変更、修正、および改善が容易に想起されるであろうことを理解されたい。例えば、本明細書に開示された複数の実施形態のうちのいずれかに係る複数の特徴のうちの任意のものが組み合され得、あるいは本明細書に開示された任意の他の実施形態に係る複数の特徴に置換され得ることを理解されたい。開示された方法の複数の行為は、代替的な順序で実行されてよく、1または複数の行為が追加され、または当該方法から省略され、または1または複数の代替的な行為によって置換されてよい。そのような複数の変更、修正、および改善は本開示の一部であることが意図されており、本発明の範囲内に属することを意図されている。従って、上記説明および複数の図面は、単なる例示的なものである。
(項目1)
汎用性除細動電極パッドおよび除細動器を取得する段階と、
上記汎用性除細動電極パッドの被験者に対する適切な向きを判断する段階と、
上記汎用性除細動電極パッドを上記被験者に上記適切な向きで適用する段階と、を備える、汎用性除細動電極パッドを被験者に適用する方法。
(項目2)
第2の電極パッドを上記被験者に適用する段階をさらに備える、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記汎用性除細動電極パッドおよび上記第2の電極パッドを除細動器に電気的に連結する段階をさらに備える、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記汎用性除細動電極パッドの上記適切な向きを判断する段階は、上記汎用性除細動電極パッドに提供される適切な向きのしるしから、上記汎用性除細動電極パッドの向きを判断する段階を含む、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
上記除細動電極パッドの電極セクションを、上記除細動電極パッドのCPR実施セクションから物理的に分離する段階をさらに備える、項目4に記載の方法。
(項目6)
上記除細動電極パッドの上記電極セクションを、上記除細動電極パッドの上記CPR実施セクションから物理的に分離する段階は、上記電極セクションを上記CPR実施セクションに物理的に連結するブリッジ部材を引き剥がす段階を含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
上記汎用性除細動電極パッドを上記被験者に適用する段階は、上記電極セクションおよび上記CPR実施セクションを上記被験者に別個に取り付ける段階を含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
汎用性除細動電極パッドを使用して、上記被験者に治療を実施する段階をさらに備える、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
上記被験者に治療を実施する段階は、上記汎用性除細動電極パッドのCPR実施領域を介して、複数の胸部圧迫を上記被験者に適用する段階を含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
上記被験者に治療を実施する段階は、上記汎用性除細動電極パッドの電極を介して、除細動ショックを上記被験者に適用する段階を含む、項目9に記載の方法。