(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る冷蔵庫1の正面図である。
【0016】
まず、
図1における左右方向X、前後方向Yおよび上下方向Zを基準として冷蔵庫1の概要について説明する。左右方向Xのうち、左方を左方X1と称し、右方を右方X2と称する。前後方向Yは、
図1の紙面に直交する所定方向であり、前後方向Yのうち、紙面手前側の前方を前方Y1と称し、紙面奥側の後方を後方Y2と称する。上下方向Zのうち、上方を上方Z1と称し、下方を下方Z2と称する。前方Y1は、前述した所定方向における一方側であり、後方Y2は、この一方側とは反対側である。左右方向Xは、前述した所定方向に対する直交方向である。左右方向Xおよび前後方向Yは、上下方向Zに対して交差する交差方向であり、水平方向Hに含まれる。
【0017】
冷蔵庫1は、本体2と扉3とを含む。
図2は、扉3を省略した状態における本体2を前方Y1から見た斜視図である。
図2を参照して、本体2は、上下方向Zに長手のボックス状に形成され、前後方向Yに奥行きを有する。本体2内には、冷却保存される食品などの物品を収納する直方体状の収納室4が複数形成される。これらの収納室4は、本体2の内部空間の略上半分を占める冷蔵室4Aと、冷蔵室4Aの下方Z2で左右方向Xに並ぶ製氷室4Bおよび変温室4Cと、製氷室4Bおよび変温室4Cの下方Z2に位置する第1冷凍室4Dと、第1冷凍室4Dの下方Z2に位置する第2冷凍室4Eとに区別される。
【0018】
冷蔵室4Aには、冷蔵保存される物品が収納される。冷蔵室4A内には、水平方向Hに沿う板状に形成された棚5が配置される。棚5は、たとえば3つ存在し、上下方向Zに間隔を隔てて配置される。これらの棚5によって、冷蔵室4Aは、上下方向Zに並ぶ複数の領域に仕切られる。たとえば上方Z1から2番目の棚5は、前方Y1に配置される前棚5Aと、後方Y2に配置される後棚5Bとに分割される。前棚5Aは、左右方向Xに長手の長方形状のガラス板によって構成され、その前後の2辺だけは樹脂などで被覆されるが、残りの左右の2辺ではガラスの地肌を露出させることによって、見栄えの向上が図られる。一方、後棚5Bは、4辺の全てが樹脂などで被覆された左右方向Xに長手の長方形状のガラス板である。前棚5Aを折り畳んで後方Y2へ移動させることによって、前棚5Aを後棚5Bの下方Y2に収納することができる。冷蔵室4Aの下部において最下位の棚5よりも下方Z2には、野菜などが収納されるボックス状の野菜収納庫6が設けられる。
【0019】
製氷室4Bは、変温室4Cよりも左方X1に配置される。製氷室4B内では、氷が作られたり、保存されたりする。氷用の水を製氷室4Bに供給する給水タンク7が、たとえば、野菜収納庫6における左方X1の下端部に配置される。変温室4Cは、その室温を任意に変更することによって、冷蔵室や冷凍室のバックアップとして用いることができる。また、変温室4Cでは、冷蔵温度と冷凍温度との間の任意の温度で物品を冷却保存できる。第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eには、冷凍保存される物品が収納される。
【0020】
本体2における前方Y1の側面部2Aには、収納室4と同数の開口部8が形成される。各開口部8は、対応する収納室4に前方Y1から連通し、対応する収納室4を側面部2Aから前方Y1へ露出させる。
【0021】
扉3は、側面部2Aにおいて、収納室4毎に設けられる。冷蔵室4A用の扉3は、観音開きできるように左右に一対設けられ、製氷室4B、変温室4C、第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eについては、扉3が1つずつ設けられ、いずれの扉3も前方Y1へ引き出し可能である(
図1参照)。これらの扉3は、対応する収納室4を前方Y1から開閉する。
【0022】
冷蔵庫1を後方Y2から見た
図3を参照して、本体2における後方Y2の外側面部2Bは、上下方向Zに延びる。外側面部2Bの上端部において左右方向Xにおける略中央の領域には、基板ボックス10が設けられる。基板ボックス10は、左右方向Xに長手で前後方向Yに扁平なボックス状に形成される。基板ボックス10には、本体2内の電気部品(後述する)に対して電気的に接続される制御部11が収納される。制御部11は、CPUやROMやRAMなどが実装された基板である。
【0023】
図4および
図5は、いずれも冷蔵庫1のA−A矢視断面の右側面図であるが、
図4は、模式的な図であり、
図5は、写実的な図である。
図4を参照して、本体2は、その外殻を構成する外箱12と、外箱12内に収納される複数の内箱13と、外箱12と内箱13との間に配置される断熱部材14とを含む。
【0024】
外箱12は、金属製であり、上下方向Zに長手のボックス状に形成され、その前面の全域は、外箱12の内部空間を前方Y1に露出させる開口部12Aである。
【0025】
内箱13は、樹脂製のボックス状に形成され、その前面の全域は、内箱13の内部空間を前方Y1に露出させる開口部13Aである。内箱13は、全部で2つ存在し、これらの内箱13は、外箱12の内部空間の略上半分に位置する冷蔵内箱15と、外箱12の内部空間の略下半分に位置する冷凍内箱16とに区別される。冷蔵内箱15内には、冷蔵室4Aが形成される。冷蔵内箱15の開口部13Aは、冷蔵室4Aの開口部8である。冷凍内箱16には、製氷室4B、変温室4C、第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eが形成される。冷凍内箱16の開口部13Aは、製氷室4B、変温室4C、第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eのそれぞれの開口部8に区切られる。
【0026】
冷凍内箱16内には、上下方向Zに薄く水平方向Hに沿う板状の仕切部材17と、左右方向Xに薄く前後上下に延びる板状の仕切部材18とが設けられる。仕切部材17は、冷凍内箱16の左右方向Xにおける両側壁の間に架設された状態で、製氷室4Bおよび変温室4Cと第1冷凍室4Dとの間に配置される。これにより、仕切部材17は、上下方向Zに隣り合う製氷室4Bと第1冷凍室4Dとの間を仕切り、かつ、上下方向Zに隣り合う変温室4Cと第1冷凍室4Dとの間を仕切る(
図2参照)。仕切部材18は、仕切部材17の左右方向Xにおける略中央部と冷凍内箱16の上壁16Aとの間に架設された状態で、製氷室4Bと変温室4Cとの間に配置される。これにより、仕切部材18は、左右方向Xに隣り合う製氷室4Bと変温室4Cとの間を仕切る(
図2参照)。また、冷凍内箱16内には、第1冷凍室4Dと第2冷凍室4Eとの間を仕切る仕切部材19が設けられてもよい。ただし、第1冷凍室4Dと第2冷凍室4Eとの間は仕切部材19によって完全に遮断された訳ではなく、第1冷凍室4Dと第2冷凍室4Eとは互いに連通した状態にある。
【0027】
冷蔵内箱15および冷凍内箱16は、外箱12内で上下方向Zに隣り合って配置される。冷蔵内箱15の下壁15Aは、冷凍内箱16の上壁16Aに対して隙間を隔てて上方Z1に配置される。下壁15Aおよび上壁16Aの互いの前端部の間には、左右方向Xに延びる板状の連結部20が架設される。これにより、冷蔵内箱15と冷凍内箱16とは、互いに連結された状態にある。
【0028】
断熱部材14は、たとえばウレタンで構成される。本体2の製造の際、発泡性ウレタンが、外箱12と内箱13との隙間や、冷蔵内箱15と冷凍内箱16との隙間に注入された後に発泡し、これらの隙間に充填されて断熱部材14となる。断熱部材14により、外箱12と内箱13との間が断熱され、冷蔵内箱15と冷凍内箱16との間が断熱される。また、断熱部材14は、仕切部材17および18のそれぞれが本体2に組み込まれる前の部品の状態のときに、それぞれの内部空間に予め配置される。これにより、製氷室4Bおよび変温室4Cのそれぞれと第1冷凍室4Dとの間が仕切部材17によって断熱され、製氷室4Bと変温室4Cとの間が仕切部材18によって断熱される。なお、仕切部材17および18のそれぞれにおける断熱部材14として、発泡性ウレタンではなく、発泡スチロールの成形品を用いることができる。また、断熱部材14の断面を示すハッチング(
図5参照)は、説明の便宜上、
図4では省略される。
【0029】
冷蔵庫1は、イソブタンなどの冷媒を用いた蒸気圧縮式の冷凍回路によって、各収納室4内の物品を冷却するための冷気を発生させる。冷蔵庫1は、この冷凍回路を構成する圧縮器25、流路26、冷却器27、凝縮器29および乾燥器30などを含む。
【0030】
圧縮器25には、冷媒を圧縮する部品として公知のものが用いられる。圧縮器25は、本体2の後方Y2の下端部に配置される。流路26は、たとえば金属製のパイプによって構成され、圧縮器25から冷媒を取り出した後に再び圧縮器25に戻す循環流路である。流路26は、
図4において点線で示すように本体2および仕切部材17を巡るように配置される。具体的に、流路26は、本体2の断熱部材14の全域や仕切部材17にわたって張り巡らされる。流路26内における冷媒の流れる方向は、点線矢印で示される。
【0031】
冷却器27は、エバポレータとも呼ばれ、冷却器27には、冷媒を蒸発させる部品として公知のものが用いられる。冷却器27は、本体2において、冷蔵内箱15と冷凍内箱16とで1つずつ設けられる。冷蔵内箱15の冷却器27を、以下では第1冷却器27Aと呼び、冷凍内箱16の冷却器27を、以下では第2冷却器27Bと呼ぶことにする。第1冷却器27Aおよび第2冷却器27Bは、流路26の途中に設けられる。第1冷却器27Aは、たとえばボックス状の第1冷却室31に収容され、第2冷却器27Bは、たとえばボックス状の第2冷却室32に収容される。第1冷却室31は、冷蔵内箱15内に配置される。第1冷却室31には、出口31Aおよび入口31Bが形成され、出口31Aには、回転駆動されるファン33が設けられる。第2冷却室32は、冷凍内箱16内に配置される。第2冷却室32には、出口32Aおよび入口32Bが形成され、出口32Aには、回転駆動されるファン34が設けられる。
【0032】
凝縮器29は、冷媒を凝縮する部品であって、流路26において圧縮器25と冷却器27と間に設けられる。乾燥器30は、冷媒を乾燥させる部品であって、流路26において凝縮器29と冷却器27との間に設けられる。乾燥器30と冷却器27との間における流路26の一部は、キャピラリチューブとして構成される。
【0033】
冷媒は、圧縮器25によって圧縮されることで、高温高圧のガス冷媒に変化し、その後、凝縮器29を通過する際に放熱しながら液化する。液化した冷媒は、乾燥器30を通過してからキャピラリチューブを通過する際に減圧され、その後、第1冷却器27Aや第2冷却器27Bにおいて蒸発する。ちなみに、流路26には、第1冷却器27Aを経由せずに第2冷却器27Bにショートカットさせる分岐路26Aが設けられる。そのため、キャピラリチューブで減圧された冷媒の一部は、点線矢印A1で示すように、分岐路26Aを通って第2冷却器27Bに直接向かう。
【0034】
第1冷却器27Aにおいて冷媒が蒸発する際に、第1冷却室31内における第1冷却器27Aの周囲の空気が冷却されて冷気となる。第1冷却室31内の冷気は、回転するファン33によって出口31Aから第1冷却室31の外に押し出され、実線矢印で示すように、冷蔵内箱15の冷蔵室4A内を流れた後に入口31Bから第1冷却室31内に戻り、第1冷却器27Aによって再び冷却される。冷気は、ファン33の回転中は常に冷蔵室4Aと第1冷却室31との間で循環し、冷蔵室4A内の物品を冷却する。
【0035】
第2冷却器27Bにおいて冷媒が蒸発する際に、第2冷却室32内における第2冷却器27Bの周囲の空気が冷却されて冷気となる。第2冷却室32内の冷気は、回転するファン34によって出口32Aから第2冷却室32の外に押し出され、1点鎖線の矢印で示すように、冷凍内箱16の第1冷凍室4D内および第2冷凍室4E内を流れた後に入口32Bから第2冷却室32内に戻り、第2冷却器27Bによって再び冷却される。冷気は、ファン34の回転中は常に第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eと第2冷却室32との間で循環し、第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4E内の物品を冷却する。冷凍内箱16内における冷気の流量は、冷蔵内箱15内における冷気の流量よりも多くなるように設定されるので、冷凍内箱16内の物品は冷凍保存される。
【0036】
製氷室4B(
図2参照)と第1冷凍室4Dとは常に連通した状態にあるので、第1冷凍室4D内の冷気は、ファン34の回転中は常に製氷室4B内にも流れ込む。これにより、製氷室4Bにおける氷の生成や保存が実現される。
【0037】
一方、変温室4Cと第1冷凍室4Dとは、仕切部材17の後端部を上下方向Zに貫通した貫通穴17Aを介して連通した状態にあるが、貫通穴17Aは、ダンパと呼ばれる回動可能な板状の開閉部材35によって開閉される。そのため、実線で示すように開閉部材35が水平方向Hに沿った姿勢で貫通穴17Aを閉じた状態では、変温室4Cと第1冷凍室4Dとの間が遮断されるので、第1冷凍室4D内の冷気が変温室4C内に流れ込むことはない。一方、点線で示すように開閉部材35が上方Z1へ回動して貫通穴17Aを開いた状態では、変温室4Cと第1冷凍室4Dとの間が連通するので、第1冷凍室4D内の冷気は、2点鎖線の矢印で示すように、貫通穴17Aを通過して変温室4C内に流れ込み、変温室4C内の物品を冷却する。開閉部材35の開閉時間を変化させて貫通穴17Aの開き具合を調整すると、貫通穴17Aから変温室4Cへ向かう冷気の流量が調整される。これにより、変温室4Cの室温を任意に設定できる。
【0038】
以上のように第1冷却器27Aや第2冷却器27Bにおいて蒸発した冷媒は、流路26を引き続き流れて圧縮器25に戻り、圧縮器25によって再び圧縮される。つまり、冷媒は、流路26内を流れることによって圧縮器25と冷却器27との間で循環しながら、圧縮、放熱、減圧および蒸発を繰り返す。
【0039】
第2冷却室32の第2冷却器27Bは、冷凍用の冷気を生成することから、第2冷凍器28の表面には霜が発生し得る。そこで、第2冷却室32には、除霜ヒータ36が設けられる。除霜ヒータ36が通電されて発熱することによって、第2冷却器27Bの表面の霜が溶けて水となって流れ落ちる。たとえば、本体2の下端部には、上方Z1へ開放された蒸発皿37が設けられる。第2冷却器27Bの表面から流れ落ちた水は、第2冷却室32から下方Z2へ延びて蒸発皿37につながった水路38(
図5参照)を通って、蒸発皿37に溜まる。蒸発皿37に溜まった水は、圧縮器25によって高温となった冷媒や流路26の熱によって蒸発する。なお、除霜ヒータ36と同様の機能を有する除霜ヒータ(図示せず)が第1冷却室31にも設けられる。
【0040】
冷蔵庫1の電気的構成を示すブロック図である
図6を参照して、冷蔵庫1は、前述した電気部品として、前述した圧縮器25および除霜ヒータ36の他に、ファン駆動モータ41と、ダンパ切換モータ42と、温度センサ43とを含む。ファン駆動モータ41は、ファン33および34のそれぞれに設けられ、対応するファンを回転駆動させる。ダンパ切換モータ42は、開閉部材35を開閉させる。温度センサ43は、各収納室4に設けられ、対応する収納室4の室温を検知する。制御部11は、これらの電気部品に電気的に接続され、圧縮器25、除霜ヒータ36、ファン駆動モータ41およびダンパ切換モータ42の動作を制御したり、温度センサ43の検知結果の入力を受け付けたりする。
【0041】
以上が冷蔵庫1の概要であり、以下では、まず、冷蔵庫1における仕切部材17の構成について詳しく説明する。仕切部材17は、
図7に示す本体部51と、対向部52(
図4参照)とを含む。
【0042】
本体部51は、仕切部材17のほとんどを構成する。そのため、本体部51は、仕切部材17と同様に、上下方向Zに薄く水平方向Hに沿う板状である。本体部51は、上下方向Zに隣り合う製氷室4Bと第1冷凍室4Dとの間で前後方向Yに沿って水平に延び、かつ、上下方向Zに隣り合う変温室4Cと第1冷凍室4Dとの間で前後方向Yに沿って水平に延びる(
図2参照)。
【0043】
本体部51の分解斜視図である
図8を参照して、本体部51は、その外殻を構成するカバー部材53と、断熱部材54と、開閉ユニット55とを含む。
【0044】
カバー部材53は、気泡を含まない樹脂、たとえばプラスチックによって形成される。カバー部材53は、下部品56と、上部品57とを含む。
【0045】
下部品56は、上下方向Zに薄く水平方向Hに延びる板状であって、上下方向Zから見て略矩形状に形成される。下部品56では、前端部56A、後端部56B、左端部56Cおよび右端部56Dが、略矩形状の下部品56の4辺を構成する。前端部56A、後端部56B、左端部56Cおよび右端部56Dのそれぞれは、上方Z1へ略直角に折り曲げられる。前端部56Aおよび後端部56Bのそれぞれは、左右方向Xに細長い帯状に形成され、左端部56Cおよび右端部56Dのそれぞれは、前後方向Yに細長い帯状に形成される。前端部56Aは、左端部56Cおよび右端部56Dの前端の間に架設される。後端部56Bは、左端部56Cおよび右端部56Dの後端の間に架設される。後端部56Bでは、一部が前後に折れ曲がって形成されてもよい。下部品56は、トレイ状に形成され、下部品56では、前端部56A、後端部56B、左端部56Cおよび右端部56Dによって囲まれた内部空間56Eが上方Z1へ開放される。
【0046】
内部空間56Eにおいて後方Y2に偏った位置には、左右方向Xに延びて左端部56Cおよび右端部56Dの間に架設される仕切り56Fが設けられる。内部空間56Eは、仕切り56Fによって、前方X1の前空間56Gと、後方X2の後空間56Hと仕切られる。下部品56において後空間56Hと一致するよう領域には、下方Z2へ窪む凹部56Iが形成される。凹部56Iは、左右方向Xに長手である。凹部56Iには、下部品56から下方Z2へ臨む貫通穴56J(後述する
図11参照)が形成される。
【0047】
上部品57は、上下方向Zに薄く水平方向Hに延びる板状であって、上下方向Zから見て下部品56とほぼ一致する略矩形状に形成される。上部品57では、前端部57A、後端部57B、左端部57Cおよび右端部57Dが、略矩形状の上部品57の4辺を構成する。前端部57A、後端部57B、左端部57Cおよび右端部57Dのそれぞれは、下方Z2へ略直角に折り曲げられる。少なくとも前端部57Aは、左右方向Xに細長い帯状に形成され、左端部57Cおよび右端部57Dのそれぞれは、前後方向Yに細長い帯状に形成される。前端部57Aは、左端部57Cおよび右端部57Dの前端の間に架設される。後端部57Bは、左端部57Cおよび右端部57Dの後端の間に架設される。後端部57Bでは、下部品56の後端部56Bと同様に、一部が前後に折れ曲がって形成されてもよい。
【0048】
上部品57の上面部において後端部57Bに前方Y1から隣接する領域には、下方Z2へ窪む凹部57Eが設けられる。凹部57Eは、当該領域において右方X2へ偏った位置に設けられる。凹部57Eは、左右方向Xに長手である。凹部57Eの底57Fは、水平方向Hに延び、底57Fには、底57Fを上下方向Zに貫通する第1連通穴57Gが形成される(後述する
図9参照)。底57Fは、第1連通穴57Gを縁取る額縁状に形成される。上部品57の上面部では、上方Z1へ盛り上がった隆起部57Hが、凹部57Eの周囲、詳しくは、凹部57Eの前方Y1、左方X1および右方X2に設けられる。
【0049】
断熱部材54は、たとえば発泡スチロールのように気泡を含む樹脂によって形成される。断熱部材54は、左右方向Xに長手の略ブロック状に形成され、下部品56の後空間56Hにちょうど嵌る大きさを有する。断熱部材54の上面部において右方X2に偏った領域には、下方Z2へ窪む凹部54Aが設けられる。凹部54Aは、左右方向Xに長手である。凹部54Aの底54Bは、水平方向Hに延び、底54Bには、下方Z2に窪んで断熱部材54を上下方向Zに貫通する通過穴54Cが形成される(
図9参照)。底54Bは、通過穴54Cを縁取る額縁状に形成される。
【0050】
開閉ユニット55は、ベース部58と、モータハウジング59と、前述した開閉部材35およびダンパ切換モータ42(
図6参照)とを有する。
【0051】
ベース部58は、カバー部材53と同様に、気泡を含まない樹脂、たとえばプラスチックによって形成される。ベース部58は、上下方向Zから見て左右方向Xに長手の長方形状に形成された底壁58Aと、底壁58Aの4辺から上方Z1へ延び出た縦壁58Bとを一体的に含む。底壁58Aは、上下方向Zに薄い板状であって水平方向Hに延び、底壁58Aには、底壁58Aを上下方向Zに貫通する第2連通穴58Cが形成される。底壁58Aは、第2連通穴58Cを縁取る額縁状に形成される。底壁58Aには、第2連通穴58Cを全周にわたって縁取りつつ上方Z1に張り出したフランジ部58Dが設けられる。
【0052】
開閉部材35は、左右方向Xに長手の長方形の板状に形成される。開閉部材35は、ベース部58における左右方向Xの両側の縦壁58Bの間に架設され、縦壁58Bによって回動可能に支持される。開閉部材35の回動軸35Aは、前後方向Yにおいて、第2連通穴58Cの後端部とほぼ同じ位置にある(
図9参照)。
図8に示すように上下方向Zに沿った姿勢の開閉部材35は、第2連通穴58Cを開いた状態にある。一方、図示しないが、水平方向Hに沿った姿勢の開閉部材35は、第2連通穴58Cを閉じた状態にある。
【0053】
モータハウジング59は、たとえばベース部58と同じ材料によって、上下方向Zに長手のボックス状に形成され、ベース部58に対して右方X2から固定される。モータハウジング59は、ベース部58と一体形成されてもよい。モータハウジング59の下端部59Aは、ベース部58の底壁58Aよりも下方Z2にはみ出して配置される。モータハウジング59内に、ダンパ切換モータ42が収容される。ダンパ切換モータ42の出力軸(図示せず)は、開閉部材35に連結される。これにより、開閉部材35は、ダンパ切換モータ42が発生した駆動力を受けて回動する。
【0054】
次に、仕切部材17の本体部51の組み立てについて説明する。まず、断熱部材54を下部品56の後空間56Hに上方Z1から嵌め込む。
【0055】
次に、上部品57を下部品56に対して上方Z1から被せる。すると、上部品57の前端部57Aが、下部品56の前端部56Aに対して、左右方向Xにおける全域にわたって前方Y1から対向配置される。また、上部品57の後端部57Bが、下部品56の後端部56Bに対して、左右方向Xにおける全域にわたって後方Y2から対向配置される。また、上部品57の左端部57Cが、下部品56の左端部56Cに対して、前後方向Yにおける全域にわたって左方X1から対向配置される。また、上部品57の右端部57Dが、下部品56の右端部56Dに対して、前後方向Yにおける全域にわたって右方X2から対向配置される。このとき、下部品56の内部空間56Eは、上部品57によって上方Z1から塞がれた状態にある。
【0056】
前端部56A、後端部56B、左端部56Cおよび右端部56Dのそれぞれの外側面部には、爪60が設けられ、前端部57A、後端部57B、左端部57Cおよび右端部57Dには、爪60と同数の穴61が設けられる。穴61に爪60が1つずつ嵌まることによって、下部品56と上部品57とは、外れないように互いに固定される。
【0057】
内部空間56Eの前空間56Gには、発泡性ウレタンが注入される。内部空間56Eが上部品57によって塞がれた状態で、この発泡性ウレタンが、発泡して前空間56Gに充填され、前述した断熱部材14となる(
図10参照)。前空間56Gの断熱部材14と、後空間56Hの断熱部材54とは、カバー部材53の下部品56および上部品57によって覆われた状態にある(後述する
図10参照)。
【0058】
次に、開閉ユニット55を上部品57の凹部57Eに上方Z1から嵌め込むと、
図7に示すように本体部51が完成する。
図7のIX−IX矢視断面図である
図9を参照して、完成した本体部51では、断熱部材54の凹部54Aの底54Bの通過穴54Cが、下部品56の凹部56Iに上方Z1から連通した状態にある。これにより、通過穴54Cは、凹部56Iの貫通穴56Jにも連通した状態にある(
図11参照)。また、上部品57の凹部57Eの底57Fが、断熱部材54の底54Bに上方Z1から載り、底57Fの第1連通穴57Gが、底54Bの通過穴54Cに対して上方Z1から連通した状態にある。
【0059】
また、開閉ユニット55のベース部58の底壁58Aが、上部品57の底57Fに上方Z1から載り、底壁58Aの第2連通穴58Cが、底57Fの第1連通穴57Gに対して上方Z1から連通した状態にある。底57Fの上面部において第1連通穴57Gを縁取る部分は、シール領域57Iとして、底壁58Aにおける第2連通穴58Cの周縁部の全域に下方Z2から密着した状態にある。底57Fにおいて第1連通穴57Gの周縁部から右方X2に外れた位置には、下方Z2へ窪む窪み57Jが設けられる。開閉ユニット55のモータハウジング59の下端部59Aは、窪み57Jに受け入れられる。モータハウジング59の上端面59Bは、上部品57の凹部57Eの周囲の隆起部57Hの上端面と略面一であって、水平方向Hに沿って配置される。
【0060】
第2連通穴58Cは、第1連通穴57Gを介して、断熱部材54の通過穴54Cに上方Z1から連通した状態にある。連通した状態にある通過穴54C、第1連通穴57Gおよび第2連通穴58Cは、上方Z1から見て、同じ大きさであり、重なって配置され、前述した貫通穴17A(
図4参照)を構成する。
図9に示すように上下方向Zに沿った姿勢の開閉部材35は、貫通穴17Aを開いた状態にある。開閉部材35は、水平方向Hに沿う姿勢まで回動して第2連通穴58Cの周囲のフランジ部58Dに上方Z1から接触すると、貫通穴17Aを上方Z1から閉じる。
【0061】
仕切部材17が冷蔵庫1の本体2に取り付けられた状態では、下部品56の凹部56Iの貫通穴56Jが、第1冷凍室4Dの内部と連通する。そのため、稼働中の冷蔵庫1では、第1冷凍室4D内の冷気が、貫通穴56Jから凹部56Iに流入する。開閉部材35が貫通穴17Aを閉じた状態では、凹部56Iの冷気は、貫通穴17Aよりも上方Z1へ流れることができない。一方、
図9に示すように開閉部材35が貫通穴17Aを開いた状態では、凹部56Iの冷気は、貫通穴17A、つまり、通過穴54C、第1連通穴57Gおよび第2連通穴58Cを順に通って上方Z1へ流れる。そして、開閉部材35が貫通穴17Aを閉じると、通過穴54C、第1連通穴57Gおよび第2連通穴58Cにおける冷気の流れが止まる。
【0062】
仕切部材17の後部およびその周辺の縦断面右側面図である
図10を参照して、冷蔵庫1の本体2には、流路部材65が設けられる。流路部材65は、変温室4Cを後方Y1から区画するように冷凍内箱16の後壁16Bに前方Y1から取り付けられる。流路部材65は、その外殻がプラスチックなどの樹脂によって形成された中空体である。流路部材65は、貫通穴17Aを通過して上方Z1へ流れた冷気を流す冷気流路66を有する。冷気流路66の一端は、流路部材65から下方Z2に露出される入口(図示せず)であり、冷気流路66の他端は、流路部材65から前方Y1に露出されて変温室4Cに連通する出口66Aである。流路部材65の内部空間において冷気流路66以外の領域には、たとえば発泡スチロールで構成された断熱部材67が充填される。
【0063】
流路部材65は、仕切部材17の後部に上方Z1から載り、開閉ユニット55のモータハウジング59の上端面59Bに上方Z1から接触する。これにより、開閉ユニット55のベース部58が、上部品57の凹部57Eの底57Fに対して上方Z1から押し付けられる(
図9参照)。流路部材65における冷気流路66の入口(図示せず)は、上部品57の凹部57Eに上方Z1から連通した状態にある。そのため、開閉部材35が貫通穴17Aを開いた状態では、貫通穴17Aを通って上方Z1の凹部57Eに流れ込んだ冷気は、冷気流路66を通って出口66Aから変温室4C内に流入する。
【0064】
仕切部材17の後部の縦断面右側面図である
図11を参照して、開閉ユニット55が上部品57の凹部57Eに上方Z1から嵌め込まれてベース部58が凹部57Eの底57Fに上方Z1から載った状態では、ベース部58の底壁58Aの第2連通穴58Cが凹部57Eの最深部に位置する。開閉部材35によって開閉される第2連通穴58Cは、第1冷凍室4D側のマイナス雰囲気の影響を常に受ける範囲における上限位置である。この上限位置が凹部57Eの最深部に位置することにより、第1冷凍室4D側のマイナス雰囲気が、変温室4Cの上方Z1の冷蔵室4Aから下方Z2へ遠ざけられる。そのため、冷蔵室4Aでは、マイナス雰囲気の影響を受けることなく、物品を安定して冷蔵保存できる。
【0065】
ここで、比較例に係る仕切部材69の本体部70について検討する。
図12は、比較例に係る仕切部材69の後部の縦断面右側面図である。本体部70は、プラスチックによって形成されたカバー部材71と、発泡スチロールのように気泡を含む樹脂によって形成された断熱部材72とを含む。カバー部材71は、断熱部材72を上方Z1から覆う上部品73と、断熱部材72を下方Z2から覆う下部品74とを含む。上部品73の後部には、上部品73を上下方向Zに貫通する貫通穴73Aが形成される。断熱部材72の上面部には、貫通穴73Aから連続して下方Z1へ浅く凹んだ凹部72Aが形成され、凹部72Aの底72Bには、下方Z2へ窪んで断熱部材72を上下方向Zに貫通する通過穴72Cが形成される。下部品74の後部には、下部品74を上下方向Zに貫通し、通過穴72Cに連通する貫通穴74Aが形成される。
【0066】
このような比較例の構成において、前述した開閉ユニット55を上部品73の貫通穴73Aに上方Z1からセットしたとする。ちなみに、比較例では、開閉ユニット55の前後の向きが逆であったり細部の形状が異なったりするが、特に問題はない。開閉ユニット55のベース部58の底壁58Aは、断熱部材72の凹部72Aの底72Bに上方Z1から載り、底壁58Aの第2連通穴58Cは、底72Bの通過穴72Cに上方Z1から直接連通する。この場合、第1冷凍室4Dからの冷気は、下部品74の貫通穴74Aから通過穴72Cおよび第2連通穴58Cを通って上方Z1の変温室4Cへ流れる。
【0067】
比較例の構成では、発泡スチロール製の断熱部材72における凹部72Aの底72Bの上面部が、開閉ユニット55のベース部58の底壁58Aに接触するシール面を構成するが、発泡スチロール製のシール面は、断熱部材72の生産工程において荒れる虞がある。シール面が荒れると、冷気が凹部72Aの底72Bとベース部58の底壁58Aとの間から漏れてしまい、シール性の向上を図れない。
【0068】
このような比較例とは異なり、本実施形態では、
図11に示すように、気泡を含まない樹脂で形成された上部品57の凹部57Eの底57Fに、開閉ユニット55のベース部58の底壁58Aとのシール面をなすシール領域57Iが直接設けられる。これにより、カバー部材53と同様に気泡を含まない樹脂によって形成されたシール領域57Iは、ベース部58の底壁58Aにおける第2連通穴58Cの周縁部に隙間なく密着できる。そのため、通過穴54Cと第2連通穴58Cとの間を流れる冷気が、シール領域57Iと第2連通穴58Cの周縁部との間で漏れることを防止できるので、前述したシール性の向上を図れる。
【0069】
また、比較例の場合、
図13に示すように、上部品73における貫通穴73Aの周辺に爪73Bを設け、この爪73Bをベース部58に上方Z1から引っ掛けることによって、開閉ユニット55の位置が固定される。この場合、開閉ユニット55では、ベース部58を上方Z1の爪73Bに接近して配置する必要があるので、ベース部58の第2連通穴58Cが、本体部70において比較的上方Z1に位置する。第2連通穴58Cは、前述したように、第1冷凍室4D側のマイナス雰囲気の影響を常に受ける範囲における上限位置である。比較例のように第2連通穴58Cが本体部70において比較的上方Z1に位置する
場合には、第1冷凍室4D側のマイナス雰囲気が、変温室4Cの上方Z1の冷蔵室4Aに接近するので、冷蔵室4Aでは、マイナス雰囲気の影響を受けやすい。
【0070】
しかし、本実施形態では、
図10に示すように、流路部材65が開閉ユニット55をカバー部材53に押し付けることによって、開閉ユニット55を固定する。そのため、開閉ユニット55をカバー部材53に固定するために、前述した爪73B(
図13参照)を設けなくても、流路部材65が開閉ユニット55をカバー部材53に押し付けるだけで済むので、部品点数の低減も図れる。また、流路部材65が、開閉ユニット55をカバー部材53に押し付けるので、カバー部材53の上部品57のシール領域57Iと開閉ユニット55の第2連通穴58Cの周縁部との間における密着性を向上させることができる。
【0071】
本実施形態では、爪73Bを省略することにより、ベース部58を上方Z1寄りに配置する必要がない。そのため、前述したように、冷蔵室4Aがマイナス雰囲気の影響を受けないように、開閉ユニット55のベース部58の第2連通穴58Cを上部品57の凹部57Eの最深部に配置できる(
図11参照)。
【0072】
次に、本体部51のカバー部材53の上部品57の前端部57Aに関する構成について詳しく説明する。
図7の要部拡大図である
図14を参照して、前端部57Aの前側面部には、その上端および下端から左右方向Xにおける全域にわたって前方Y1に張り出したフランジ部80が一体的に設けられる。
【0073】
前端部57Aの前側面部において、上下のフランジ部80の間の領域には、押圧部81が設けられる。押圧部81は、前端部57Aの前側面部において、たとえば、左右方向Xの両端部に設けられるが(
図7も参照)、押圧部81の数や位置は任意に変更できる。押圧部81は、この実施形態では前端部57Aと一体形成されるが、上部品57とは別部品であって、前端部57Aに後から取り付けられてもよい。押圧部81は、上下方向Zから見て前方Y1へ円弧状に突出するように形成される。押圧部81は、複数の横リブ81Aと、上下方向Zに延びる1つの縦リブ81Bとを一体的に含む。それぞれの横リブ81Aは、上下方向Zに薄く前方Y1へ円弧状に膨出した半円形の板状であって、複数の横リブ81Aは、上下方向Zに略等間隔で並んだ状態で、縦リブ81Bによって連結される。
【0074】
図15は、冷蔵庫1の本体2に組み付けられた状態における本体部51の要部斜視図である。
図15を参照して、本体部51では、カバー部材53の上部品57の前端部57Aが、少なくとも流路26を通せる隙間を隔てて、本体2の前方Y1の側面部2Aから後方向Y2にずれた位置にある。前述した流路26の一部が、前端部57Aの前方Y2を左右方向Xに横切るように配置される。
図15では、流路26の一部のうち、上下方向Zに並んで平行に延びる2つの領域が図示される。
【0075】
前述した対向部52は、金属製であり、前後方向Yに薄く左右方向Xに細長い帯状に形成される(
図2参照)。仕切部材17の前部の縦断面右側面図である
図16を参照して、対向部52の上端部および下端部には、後方Y2へ略直角に折り曲げられたフランジ部52Aが設けられる。対向部52において上下のフランジ部52Aの間の部分は、上下方向Zに沿って左右方向Xに延びる縦部分52Bである。対向部52が本体部51に対して前方Y1から取り付けられると、仕切部材17が完成する。完成した仕切部材17では、対向部52が、本体部51のカバー部材53の上部品57の前端部57Aに対して前方Y1から対向配置され、前端部57Aの上下のフランジ部80の間に、対向部52の上下のフランジ部52Aが挟み込まれた状態にある。対向部52の縦部分52Bは、仕切部材17において前方Y1に露出される表面部を構成する。前端部57Aの前方Y1に位置する流路26は、対向部52の縦部分52Bと前端部57Aとの間で前後方向Yから挟まれ、前端部56Aの押圧部81によって縦部分52Bへ向けて後方Y2から押圧される。
【0076】
仕切部材17の前部およびその周辺の平断面図である
図17を参照して、流路26と前端部57Aとの間には、発泡ポリエチレンや発泡スチロールなどで形成されたクッション材82が介在される。圧縮器25に圧縮されて高温となった冷媒が流れる流路26は、クッション材82の弾力によって対向部52の縦部分52Bに向けて前方Y1へ付勢された状態にある。ただし、クッション材82の弾力だけでは、流路26は縦部分52Bに十分密着できない。そこで、流路26は、押圧部81に押圧されることによって、縦部分52Bに接近するように矯正される。これにより、流路26が左右方向Xにおける広い範囲にわたって縦部分52Bに密着できる。そのため、流路26から対向部52への放熱効果、つまり、熱伝導が向上する。その結果、仕切部材17の表面部である対向部52の縦部分52Bの温度が上がりやすくなるので、縦部分52Bに結露が生じることを防止できる。
【0077】
次に、冷蔵内箱15と冷凍内箱16とを連結する連結部20について詳しく説明する。
図18は、連結部20およびその周辺の縦断面右側面図である。
図18を参照して、連結部20は、金属製であり、左右方向Xに細長い。連結部20は、前後方向Yに薄く左右方向Xに延びる平板部90と、平板部90の後側面部90Aに設けられた上フランジ部91および下フランジ部92とを一体的に含む。平板部90の後側面部90Aは、連結部20において後方Y2を臨む部分である。
【0078】
上フランジ部91は、平板部90の上端から下方Z2へ折り返された前部91Aと、前部91Aの下端から後方Y2へ略直角に折り曲げられた下部91Bと、下部91Bの後端から上方Z1へ略直角に折り曲げられた後部91Cとを一体的に含む。下フランジ部92は、平板部90の下端から上方Z1へ折り返された前部92Aと、前部92Aの上端から後方Y2へ略直角に折り曲げられた上部92Bと、上部92Bの後端から下方Z2へ略直角に折り曲げられた後部92Cとを一体的に含む。
【0079】
冷蔵内箱15の下壁15Aの前端部には、左右方向Xにおける全域にわたって下方Z2へ略直角に折り曲げられた折曲部15Bが一体的に設けられる。折曲部15Bの前側面部には、後方Y2へ窪みつつ左右方向Xに沿って延びる収容溝15Cが設けられる。冷凍内箱16の上壁16Aの前端部には、左右方向Xにおける全域にわたって上方Z1へ略直角に折り曲げられた折曲部16Cが一体的に設けられる。折曲部16Cの前側面部には、後方Y2へ窪みつつ左右方向Xに沿って延びる収容溝16Dが設けられる。収容溝15Cおよび収容溝16Dのそれぞれには、流路26において左右方向Xに延びた部分が1つずつ前方Y1から収容される。
【0080】
冷蔵内箱15の下壁15Aの折曲部15Bと、冷凍内箱16の上壁16Aの折曲部16Cとは、上下方向Zに隣り合う冷蔵内箱15と冷凍内箱16との境界部分93を構成する。連結部20は、この境界部分93に沿って左右方向Xに延び、境界部分93Aに対して前方Y1から対向配置される。このとき、連結部20では、上フランジ部91の前部91Aが折曲部15Bに対して前方Y1から接触し、収容溝15Cを前方Y1から塞ぐ。折曲部15Bは、上フランジ部91の前部91Aと後部91Cとによって前後方向Yから挟まれた状態にある。また、連結部20では、下フランジ部92の前部92Aが折曲部16Cに対して前方Y1から接触し、収容溝16Dを前方Y1から塞ぐ。折曲部16Cは、下フランジ部92の前部92Aと後部92Cとによって前後方向Yから挟まれた状態にある。
【0081】
これにより、冷蔵内箱15の下壁15Aと冷凍内箱16の上壁16Aとが連結部20によって連結される。収容溝15Cおよび収容溝16Dのそれぞれに収容された流路26の流れる冷媒の熱によって、連結部20が温められるので、連結部20における結露の発生が抑制される。なお、連結部20の平板部90の前側面部は、下壁15Aの折曲部15Bにおいて平板部90より上方Z1の部分の前側面部と面一の状態にあり、上壁16Aの折曲部16Cにおいて平板部90より下方Z2の部分の前側面部と面一の状態にある。
【0082】
図19を参照して、連結部20の平板部90の後側面部90Aでは、左右方向Xにおける両端部に切欠き94が設けられる。それぞれの切欠き94の左右方向Xにおける大きさは、この実施形態では100mm程度である。上フランジ部91および下フランジ部92のそれぞれは、両側の切欠き94の分だけ、平板部90よりも左右方向Xに短い。
【0083】
図20は、冷蔵内箱15と冷凍内箱16との境界部分93の正面図である。
図20を参照して、冷蔵内箱15の折曲部15Bの収容溝15Cに収容された流路26Bと、冷凍内箱16の折曲部16Cの収容溝16Dに収容された流路26Cとは、それぞれの右端部において接続される。流路26における流路26Bと流路26Cとの接続部分26Dは、右方X2へ膨出するように湾曲する。流路26は、接続部分26Dの右方X2において上下方向Zに直線的に延びる直線部分26Eも有する。連結部20に切欠き94を設ける場合には、切欠き94に、流路26の接続部分26Dや直線部分26Eを通すことができる。
【0084】
図21には、比較例に係る連結部95が図示される。連結部95も平板部90、上フランジ部91および下フランジ部92を有するが、平板部90の後側面部90Aの左右方向Xにおける両端部には、切欠き94が設けられない。そのため、上フランジ部91および下フランジ部92のそれぞれは、左右方向Xにおいて平板部90とほほ同じ長さを有する。
【0085】
比較例の連結部95によって冷蔵内箱15と冷凍内箱16とを連結する際、流路26が邪魔にならないように、流路26を、連結部95から左右方向Xにおける外側へ迂回するように余分に長くする必要がある。具体的には、
図22に示すように、流路26の接続部分26Dを連結部95の右端部よりも右方X2に延長し、直線部分26Eには、接続部分26Dに沿って右方Y2へはみ出した湾曲部26Fを設ける必要がある。さらに、連結部95によって冷蔵内箱15と冷凍内箱16とを連結した後には、右方X2に延長した接続部分26Dや湾曲部26Fといった流路26において余分な部分を、本体2から出っ張らないように後方Y2へ折り曲げる必要がある。この場合、流路26における余分な部分の存在により、流路26の形状の適正化を図ることが困難であるし、流路26が銅などの固く折れやすい材料で形成された場合には、この余分な部分を折り曲げることが困難である。
【0086】
しかし、本実施形態の連結部20では、切欠き94が設けられるので(
図19参照)、冷蔵内箱15と冷凍内箱16との境界部分93における流路26を、
図20に示すように、前述した余分な部分が存在しない適正な形状に構成できるし、この余分な部分を折り曲げる手間を省ける。また、この切欠き94に流路26を通すことによって、流路26が邪魔になることなく、冷蔵内箱15と冷凍内箱16とを円滑に連結できる。なお、切欠き94は、連結部20において左右方向Xにおける両端部に設けられてもよいが、当該両端部のうち、流路26の接続部分26Dや直線部分26Eと同じ側の端部だけに少なくとも設けられればよい。
【0087】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0088】
たとえば、仕切部材17において押圧部81によって流路26を前方Y1に押圧する構成は、仕切部材18(
図2参照)にも適用できる。