(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
合成樹脂からなる細幅のテープ状体の表面に、同樹脂からなる突起部がテープ状体長さ方向にほぼ等間隔で列をなして並んで直立しており、かつ突起部にはテープ状体の幅方向に突出する出っ張り部が存在しており、さらに以下の条件1)〜4)を満足している自己結合性を有する縛り紐。
1)テープ状体の厚さ(T2)が0.05〜0.5mm、幅(W2)が0.5〜3.0mmであること、
2)テープ状体表面から突起部頂点までの距離(H3)がテープ状体幅(W2)の0.4〜1.4倍であること、
3)突起部同士の間隔(B3)が、突起部厚さ(T3)の1.1〜3.0倍であること、
4)突起部のテープ状体と平行な断面での断面形状が平行四辺形であること、
袋の開口部や、棒状物や線状物を束ねた集束物に、請求項1〜3のいずれかに記載の縛り紐を、周回後の縛り紐が周回前の縛り紐と重なり会うように2回以上巻き付ける縛り方法。
直線状のスリットおよび同スリットと直交する方向に伸びる複数本のT字型または矢印型のスリットを有するノズルから溶融した熱可塑性樹脂を押し出し、冷却することにより幅広のテープ状体の表面にテープ状体長さ方向に伸びるT字型または矢印型の断面を有する突起列を複数本有するテープ状体を製造し、次に突起列を横切る方向に突起列に切れ目を入れ、そしてテープ状体を長さ方向に2倍以上延伸することにより突起列を独立した突起部の列に変更し、しかる後に突起部列間でテープ状体を裂くことにより、細幅のテープ状体の表面に突起部がテープ状体長さ方向に列をなして並んで直立しており、かつ突起部の先端にテープ状体の幅方向に突出する出っ張り部を有する縛り紐を製造する方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術のように、袋掛け作業者に傷を与えることがなく、取り付け作業および取り外し作業が極めて簡単な果実袋用の縛り紐を提供するものであり、さらに果実袋以外の用途にも縛り紐や結束紐として適した紐を提供するものである。
【0006】
さらに本発明は、袋の開口部や集束物の周りに2回以上巻きつけた場合に、重なり合った部分が容易に自己結合して縛る性能を有する縛り紐であって、自己結合を外して縛り状態を解く場合には、紐の端部を軽く引っ張るだけで自己結合が外れて縛り状態を解放することとなる縛り紐を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、合成樹脂からなる細幅のテープ状体の表面に、同樹脂からなる突起部がテープ状体長さ方向にほぼ等間隔で列をなして並んで直立しており、かつ突起部にはテープ状体の幅方向に突出する出っ張り部が存在しており、さらに以下の条件1)〜3)を満足している自己係合性を有する縛り紐である。
1)テープ状体の厚さ(T
2)が0.05〜0.5mm、幅(W
2)が0.5〜3.0mmであること、
2)テープ状体表面から突起部頂点までの距離(H
3)がテープ状体幅(W
2)の0.4〜1.4倍であること、
3)突起部同士の間隔(B
3)が、突起部厚さ(T
3)の1.1〜3.0倍であること、
【0008】
そして好ましくは、テープ状体は長さ方向に延伸されているが、突起部は実質的に延伸されていない上記の縛り紐である。また好ましくは、出っ張り
部が、その先端部がテープ状体表面に近付く方向に突起部から突出している上記の縛り紐である。
また本発明は、上記の縛り紐を果実袋の縛り紐として使用するものである。そして好ましくは、袋の開口部の側に、接着、特に熱融着により上記の縛り紐の端部または中間部が固定されている果実袋である。
さらに好ましくは、袋の開口部や、棒状物や線状物を束ねた集束物に、上記の縛り紐を、周回後の縛り紐が周回前の縛り紐と重なり会うように2回以上巻き付ける縛り方法である。
【0009】
また本発明は、直線状のスリットおよび同スリットと直交する方向に伸びる複数本のT字型または矢印型のスリットを有するノズルから溶融した熱可塑性樹脂を押し出し、冷却することにより幅広のテープ状体の表面にテープ状体長さ方向に伸びるT字型または矢印型の断面を有する突起列を複数本有するテープ状体を製造し、次に突起列を横切る方向に突起列に切れ目を入れ、そしてテープ状体を長さ方向に2倍以上延伸することにより突起列を独立した突起部の列に変更し、しかる後に突起部列間でテープ状体を裂くことにより、細幅のテープ状体の表面に突起部がテープ状体長さ方向に列をなして並んで直立しており、かつ突起部の先端にテープ状体の幅方向に突出する出っ張り部を有する縛り紐を製造する方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の縛り紐は、袋の開口部や、棒状物や線状物を束ねた集束物等に、周回後の縛り紐が周回前の縛り紐と重なり会うように2回以上巻き付けることにより、重なり合った部分に存在している突起部が噛み合うことにより自己結合して縛り状態を固定できることとなる。
しかも、ベースとなるテープ状体は細幅で、さらにその表面にテープ幅にほぼ等しい高さを有する突起部が存在しており、巻き付ける際に、縛り紐が容易に捩れて周回前のテープ表面の突起部と重なり合って噛み合うこととなる。
しかも長さ方向に連続しているのは幅が狭く厚さの薄いテープ状体、すなわちベース部分だけであることから、縛り紐は巻き付け易く、巻き付けた後においても、樹脂の反発性により、縛り紐が最初の直線状に戻ろうとする力も低く、巻きつけた状態を保ち、縛り紐の自己結合が自然に剥がれて直線状に戻ることも少ない。同様の理由により、縛り紐で作業者が怪我をしたり、果実の表面に傷を付けるという問題も生じ難い。
【0011】
さらに、本発明の縛り紐の自己結合を解除する際には、縛り紐の端部を軽く引っ張るだけで縛り状態を解放することができ、従来の針金と比べて作業者の手間が極めて軽減する。
そして本発明の縛り紐は熱可塑性の合成樹脂からなり、熱可塑性という性質を利用して、果実袋等の開口部近辺に縛り紐の端部等を固定することにより、作業者の労力・手間を大きく軽減することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の縛り紐(1)は、
図1〜3に示すように、細幅のテープ状体(2)およびその表面から直立し、テープ状体の長さ方向に列をなして存在している突起部(3)からなる。そして、突起部(3)には、テープ状体の幅方向に突出する出っ張り部(4)が存在している。なお、突起部は、テープ状体の裏面にも存在していてもよい。
【0014】
テープ状体(2)の厚さ(T
2)としては0.05〜0.5mmの範囲で、またテープ状体の幅(W
2)としては、0.5〜3.0mmの範囲であることが、縛り紐として巻き付け易く、さらに巻き付けた後も樹脂の反発性により、縛り紐が最初の直線状の形状に戻ろうとする力も低く、巻きつけた縛り紐の自己結合が自然に剥がれて直線状に戻ることも少ないこと、さらに縛り紐で作業者が怪我をしたり、果実の表面に傷を付けるという問題も生じ難いことから必要である。好ましくは、T
2が0.06〜0.3mmで、W
2が0.6〜2.5mm、より好ましくはT
2が0.07〜0.25mmで、W
2が0.8〜2.0mmの範囲である。
【0015】
また本発明の縛り紐では、テープ状体の表面に、突起部がテープ状体長さ方向にほぼ等間隔で列をなして並んで直立している。そして、テープ状体表面から突起部頂点までの距離(H
3)がテープ状体幅(W
2)の0.4〜1.4倍であることが自己結合性の点で必要である。0.4〜1.4倍の範囲を外れると、縛り紐が捩れ難く、自己結合し難くなる。好ましくは、0.5〜1.3倍の範囲であり、より好ましくは0.6〜1.2倍の範囲である。そして突起部は、テープ状体に対してほぼ垂直に直立して、テープ状体長さ方向に列をなして並んでおり、一列に存在する突起部の数としては5〜20個/cm程度が好ましい。
【0016】
また本発明の縛り紐は、突起部同士の間隔(B
3)が、突起部厚さ(T
3)の1.1〜3.0倍であることが自己結合性の点で必要である。1.1倍より狭い場合には、自己結合し難く、また3.0倍を超える場合には、自己結合が容易に外れ易く、使用上支障となる。好ましくは1.2〜2.7倍の範囲であり、さらに好ましくは1.5〜2.5倍の範囲である。
【0017】
そして本発明において、突
起部のテープ状体長さ方向の厚さ(T3)としては、0.1〜1.0mmが好ましく、より好ましくは、0.15〜0.5mmであり、またテープ状長さ方向に隣り合う突
起部同士の間隔(B3)としては、0.22〜2.5mmの範囲が好ましく、より好ましくは、0.4〜1.5mmの範囲である。また、突
起部の幅(W3)としては、テープ状体の幅(W2)の0.15〜0.5倍が好ましく、より好ましくは0.2〜0.4倍の範囲である。なお、突起部の幅は、突起部の根元から出っ張り部が突出している間でもっとも幅が狭くなっている部分の幅を意味する。
また本発明で言う幅、厚さ、高さ、間隔、長さ等は、任意に選び出した10箇所の値の平均値である。
【0018】
さらに本発明の縛り紐は、テープ状体の表面に存在している突起部には、
図1や
図2に示すように、テープ状体の幅方向に突出する出っ張り部が存在している必要がある。この出っ張り部が存在していることにより、自己結合性は大きく向上する。すなわち、この出っ張り部が噛み合うことにより自己結合し易くなる。出っ張り部は、
図1や
図2に示すように、突起部の先端部からテープ状体の幅方向、かつ出っ張り部の先端部がテープ状体の表面に近づく方向、すなわち、下方向を向いているのが、自己結合が外れ難いことから好ましい。
【0019】
出っ張り部は、突起部の全周に突出していてもよいが、
図1や
図2に示すように、突起部の先端部からテープ状体の幅方向の両方に突出しているのが好ましく、したがって、突起部は、出っ張り部と合わせて、
図1や
図2に示すように、先端部が丸みを有するやじり型を有しているのが好ましい。また出っ張り部は突起部から上下2段以上で突出していてもよい。そして、出っ張り部の出っ張り長さ(L
4)としては、0.1〜0.6mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.15〜0.5mmの範囲である。またテープ状体表面から出っ張り部の最下端までの距離(H
4)としては、0.2〜1.0mmが好ましく、より好ましくは0.3〜0.7mmの範囲である。
【0020】
テープ状体、突起部および出っ張り部を構成する素材としては、熱可塑性でかつ常温付近で弾性変形しにくい合成樹脂が挙げられる。かかる樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系等の熱可塑性樹脂が挙げられる。中でもポリオレフィン系、特にポリエチレンを少量ブレンドしたポリプロピレン樹脂が好ましく用いられる。
【0021】
これら熱可塑性樹脂には、剛性を下げ、柔軟性を高め、そして易曲性を高めるために、エラストマー系の熱可塑性樹脂が混合されているのが好ましい。エラストマー系の熱可塑性樹脂とは、特に常温付近でゴムのような弾性や屈曲性をもつものであって、かつ高温条件下では軟化して容易に成形できる材料であって、具体的にはスチレン系、塩ビ系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、アミド系のエラストマーが挙げられるが、特にテープ状体を構成する主材としてポリオレフィン系の樹脂、例えばポリプロピレンを選択した場合には、それに添加する熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系エラストマーが主材との均一混合性や成形性や得られる係合部材の強度等の点で優れている。
【0022】
なお、オレフィン系エラストマーとは、ポリプロピレン樹脂にエチレン−プロピレンラバーやEPDM等を添加してゴム弾性を付与したものである。
テープ状体の主体となる非エラストマー系熱可塑性樹脂に対するこれら熱可塑性エラストマーの添加量としては5〜40重量%、特に10〜30重量%が適切である。
【0023】
表面に突起部を有する本発明の縛り紐は以下に述べる方法により製造される。すなわち、まず直線状の1本のスリットおよび同スリットと直交する方向にスリットから伸びる複数本のT字型または矢印型のスリットを有するノズルから溶融した熱可塑性樹脂をテープ状にまず押し出す。次に、これを冷却することにより、幅広のテープ状体の表面にテープ状体長さ方向に伸びるT字型または矢印型の断面を有する突起列を複数本有するテープ状体が得られる。
【0024】
次に突起列を横切る方向に突起列に、突起列の頂部から付け根に至る切れ目を前記したT
3の間隔で入れ、そしてテープ状体を長さ方向に2倍以上延伸する。これにより突起列の切れ目が広がり、出っ張り部を有する厚さT
3の突起部が列をなしてテープ状体長さ方向に並んでおり、かつテープ状体幅方向に、このような突起部の列が複数列並行に存在している状態とする。
【0025】
この際の切れ目の角度がテープ状体の長さ方向と直角である場合には、突起部のテープ状体と平行な断面での断面形状が正方形または長方形となり、直角よりずれている場合には平行四辺形となる。直角から外れるにしたがって、より鋭角な平行四辺形となる。本発明において、突起部の断面形状がわずかに平行四辺形である場合には、正方形や長方形の場合と比べて尖った頂点が自己結合し易いため好ましい。しかしながら、角度があまりに鋭角である場合には返って自己結合しにくくなる。好ましくは2〜10°直角から傾いている場合である。
【0026】
しかる後に突起部列間でテープ状体を裂くことにより、細幅のテープ状体の表面に突起部がテープ状体長さ方向に列をなして並んで直立しており、かつ突起部の先端にテープ状体の幅方向に突出する出っ張り部を有する縛り紐が得られる。
【0027】
このような製造方法を用いることにより、テープ状体の部分は延伸されているが突起部および出っ張り部は延伸されていないこととなり、その結果、テープ状体は引っ張りに対する強度が高く、そして突起部および出っ張り部は柔軟となり、自己結合し易くなる。
【0028】
本発明の縛り紐は、前記したように、果実袋の縛り紐として適している。すなわち、梨、林檎、葡萄、桃、蜜柑、マンゴー、キウイ、琵琶等の果実が適当な大きさに成長した時点で、果実に、撥水性能を有する紙製や不織布製やフィルム製の袋を被せ、そして袋の開口部を縛るための縛り紐として適している。
【0029】
特に本発明の縛り紐は、熱可塑性の合成樹脂で製造されていることから、袋の開口部近辺に熱融着により取り付けることにより、袋掛けの作業が向上する。しかも、本発明の縛り紐は自己結合性を有することから、袋の開口部近辺の袋端部に複数回巻き付けるだけで、突起部同士または出っ張り部同士、あるいは突起部と出っ張り部が噛み合い、自己結合を生じることとなる。したがって、従来の針金のように、端部同士を合わせて捩り合わせる作業が不要となり、作業性も大きく向上する。しかも袋を取り外す際には、縛り紐の端部を軽く引っ張るだけで自己結合を解除でき、この点でも作業性が向上する。本発明の縛り紐は繰り返しの使用が可能である。
【0030】
本発明の縛り紐は、上記した果実袋の縛り紐以外にも、多くの農園芸や土木の分野、さらに日常生活にも使用でき、たとえば、棒状体を束ねて縛る際に、さらには電線等の線状体を束ねて縛る際の、縛り紐としても使用できる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例および比較例により説明する。
【0032】
実施例1
直線状のスリットおよび同スリットと、同スリットから直交する方向に伸びる15本の矢印型のスリットを有するノズルから、ポリエチレンとポリプロピレンを20:80の重量比でブレンドし、さらにポリエチレン系エラストマーを前記ブレンド物100に対して8の重量割合となるようにブレンドした樹脂混合物を溶融押し出し、それを冷却して広幅のテープ状体を得た。
【0033】
テープ状体の幅方向に等間隔で15列の突起部用列条を有している。そして、このテープ状物の該係合素子用列条にテープ状物長さ方向に85°の角度で該列条の頭部から付け根部に至る切れ目を0.3mm間隔で入れ、そしてテープ状物の長さ方向に3倍延伸し、さらに突起部列の中間でテープ状体を裂くことにより、細幅のテープ状体の表面に突起部がテープ状体長さ方向に列をなして並んで直立しており、かつ突起部の先端にテープ状体の幅方向に突出する出っ張り部を有する15本の縛り紐を得た。
【0034】
得られた縛り紐の断面形状は
図2の通りであり、テープ状体の厚さ(T2)は0.07mm、幅(W2)は1.0mm、テープ状体表面から突起部頂点までの距離(H3)がテープ状体幅(W2)の0.8倍、突起部同士の間隔(B3)が、突起部厚さ(T3)の2.0倍であり、突
起部高さ(H3)は0.87mm、出っ張り部長さ(L4)は0.23mm、突
起部幅(W3)は0.27mm、テープ状体表面から出っ張り部の最下端までの距離(H4)は0.45mmであった。
【0035】
この縛り紐の端部を、熱可塑性繊維からなる不織布からなる袋の開口部付近の表面に熱融着により取り付け、この袋を二十世紀梨の果実袋として使用したところ、袋の口を同縛り紐で3周程巻き付けるだけで完了し、縛りつけるのが極めて簡単で手間がかからず、さらに取り外す際には、縛り紐の端部を引っ張るだけで解くことができ、極めて楽であった。さらに、作業者の手を傷つけたり、果実の表面を傷つけることがなかった。以上のことから、果樹園の作業者から、極めて使い勝手がよいと好評であった。
【0036】
比較例1〜4
上記実施例1において、テープ状体の厚さ(T
2)を0.03mmに変更する以外は実施例1と同一の条件で縛り紐を作製した(比較例1)。また上記実施例1において、テープ状体の厚さ(T
2)を0.8mmに変更する以外は実施例1と同一の条件で縛り紐を作製した(比較例2)。
【0037】
また上記実施例1において、テープ状体の幅(W
2)を0.3mmに変更し、テープ状体を裂く際に、出っ張り部を傷付けないように慎重に行い、突起部間のテープ状体を長さ方向に切り取った以外は実施例1と同様の条件で縛り紐を作製した(比較例3)。同様に、テープ状体の幅が広く取れるように、突起部列条間隔を広くしたノズルを使用する以外は実施例1と同様にし、テープ状体の幅が5mmである縛り紐を作製した(比較例4)。
【0038】
比較例1のものは、引っ張るとすぐに切断してしまうため、縛り紐としての用をなさないものであり、一方、比較例2のものは、巻き付けても、樹脂の反発性により、巻きつけ状態が解けることから、これまた縛り紐として適するものではなかった。また比較例3および4のものは、巻き付ける際に、紐が捩れることが少なく、自己結合性の点で劣るものであった。
【0039】
比較例5〜8
上記実施例1において、テープ状体表面から突起部頂点までの距離(H
3)がテープ状体幅(W
2)の0.2倍となるように、突起部高さH
3を低くしたノズルを用いる以外は実施例1と同様の方法により縛り紐を作製した(比較例5)。同様に、上記実施例1において、テープ状体表面から突起部頂点までの距離(H
3)がテープ状体幅(W
2)の1.8倍となるように、突起部高さH3を高くしたノズルを用いる以外は実施例1と同様の方法により縛り紐を作製した(比較例6)。
【0040】
また、上記実施例1において、突起部同士の間隔(B
3)が突起部厚さ(T
3)の0.8倍となるように、延伸倍率を抑える以外は実施例1と同様にして縛り紐を作製した(比較例7)。さらに上記実施例1において、突起部同士の間隔(B3)が突起部厚さ(T
3)の4.2倍となるように、延伸倍率を高める以外は実施例1と同様にして縛り紐を作製した(比較例8)。
【0041】
比較例5および比較例6の縛り紐は、縛り付ける際に、縛り紐が捩れることが少なく、その結果、ともに自己結合性の点で劣っていた。比較例7の縛り紐は、突起部同士が噛み合わず自己結合性を殆ど有していなかった。一方、比較例8のものは、一応、自己結合性を有しているものの、結合が簡単に外れるため、縛り紐としては使用できないものであった。
【0042】
実施例2
上記実施例1において、使用するノズルを変更し、さらに延伸倍率を変更することにより、テープ状体の厚さ(T
2)が0.15mm、幅(W
2)が1.5mm、テープ状体表面から突起部頂点までの距離(H
3)がテープ状体幅(W
2)の0.9倍、突起部同士の間隔(B
3)が、突起部厚さ(T
3)の1.7倍である縛り紐を実施例1と同様に作製した。このものの突起部幅(W
3)、出っ張り部長さ(L
4)、テープ状体表面から出っ張り部最下端までの距離(H
4)は、いずれも実施例1のものの約1.5倍である。
【0043】
この縛り紐に実施例1と同様に、その端部を熱可塑性繊維からなる不織布からなる袋の開口部付近の表面に熱融着により取り付け、この袋を林檎の果実袋として使用したところ、実施例1のものと同様に、縛りつける際の作業が極めて簡単で手間がかからず、さらに取り外す際も、縛り紐の端部を引っ張るだけで解くことができ、極めて作業性に優れたものであった。さらに、作業者の手を傷つけたり、果実の表面を傷つけることがなかった。以上のことから、林檎栽培者から、極めて使い勝手がよいと好評であった。
【0044】
実施例3〜7
実施例1において、ノズルを変更してテープ状体の厚さを0.055mmに変更する以外は実施例1と同様にして縛り紐を作製した(実施例3)。
また同様に、実施例1において、ノズルを変更してテープ状体表面から突起部頂点までの距離(H
3)がテープ状体幅(W
2)の0.6倍となるようにした以外は実施例1と同様にして縛り紐を作製した(実施例4)。同様にノズルを変更してテープ状体表面から突起部頂点までの距離(H
3)がテープ状体幅(W
2)の1.1倍となるようにした以外は実施例1と同様にして縛り紐を作製した(実施例5)。
【0045】
また、実施例1において、テープ状体を延伸する際の延伸倍率を変更し、突起部同士の間隔(B
3)が突起部厚さ(T
3)の1.3倍とした以外は実施例1と同様にして縛り紐を作製した(実施例6)。同様に、実施例1において、延伸倍率を変更し、突起部同士の間隔(B
3)が突起部厚さ(T
3)の2.5倍とした以外は実施例1と同様にして縛り紐を作製した(実施例7)。
【0046】
以上の実施例3〜7で得られた縛り紐を用いて、実施例1と同様に、二十世紀梨の果実袋の縛り紐として用いたところ、いずれも、作業性に優れ、作業者や果実に傷を付けることなく、さらに自然に縛り紐が外れるというトラブルもなく作業者から好評であった。ただ、実施例3のものは、縛り紐が薄く、作業者に不安感を若干与えるものであり、また実施例6のものは、自己結合性が実施例1のものより弱く、重ね合わせた縛り紐を押さえ付けてやる必要があった。