(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、各図は、実施の形態またはその変形例に係る蓄電装置の説明のための図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0041】
また、以下で説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、組み立て方法、組み立ての順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0042】
(実施の形態)
まず、蓄電装置1の構成について
図1〜
図4を用いて説明する。
【0043】
図1は、実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。また、
図2は、実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0044】
なお、これらの図では、Z軸方向を上下方向として示しており、以下ではZ軸方向を上下方向として説明するが、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるため、Z軸方向は上下方向となることには限定されない。他の図においても、同様である。
【0045】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される高電圧の電池モジュールである。
【0046】
これらの図に示すように、蓄電装置1は、複数の単位モジュール11、12及び13を有するモジュール群10、下側連結部材20及び上側連結部材30を備えている。なお、蓄電装置1における単位モジュールの数は1であってもよい。また、単位モジュールのそれぞれを「蓄電装置」と表現することもできる。
【0047】
また、蓄電装置1は、例えばX軸方向プラス側の端部に、モジュール群10の内方に冷却媒体(空気等)を流入させる冷却用のファンなどの冷却装置を備えてもよい。
【0048】
モジュール群10は、X軸方向に一列に並ぶ複数の単位モジュール11、12及び13を備えている。また、単位モジュール11には、後述する正極外部端子のカバーである正極外部端子カバー11aと、後述する負極外部端子のカバーである負極外部端子カバー11bとが設けられている。蓄電装置1は、この正極外部端子カバー11a内の正極外部端子と、負極外部端子カバー11b内の負極外部端子とを介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。
【0049】
単位モジュール11、12及び13は、1以上の蓄電素子を外装体14に収容した矩形状のモジュールであり、それぞれ同様の構成を有している。また、単位モジュール11、12及び13のうちの隣り合う単位モジュールの正極端子と負極端子とが電気的に接続されることで、単位モジュール11、12及び13内の全ての蓄電素子が直列に接続されている。この単位モジュール11、12及び13の詳細な構成についての説明は、後述する。
【0050】
下側連結部材20及び上側連結部材30は、複数の単位モジュール11、12及び13を連結する部材である。下側連結部材20は下側の連結部材、上側連結部材30は、上側の連結部材である。つまり、下側連結部材20と上側連結部材30とで単位モジュール11、12及び13を挟み込むように固定することで、単位モジュール11、12及び13が連結される。
【0051】
具体的には、下側連結部材20及び上側連結部材30は、平板状の部材であり、例えば金属などによって形成されている。これにより、単位モジュール11、12及び13を強固に安定して固定することができる。また、下側連結部材20には、複数の単位モジュール11、12及び13のそれぞれが有する外装体14が載置される。
【0052】
次に、モジュール群10に含まれる単位モジュール11、12及び13の詳細な構成について、説明する。なお、単位モジュール11、12及び13はそれぞれ同様の構成を有するため、以下では単位モジュール11についての説明を行い、単位モジュール12及び13の構成の説明については省略する。
【0053】
図3は、実施の形態に係る単位モジュール11の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0054】
同図に示すように、単位モジュール11は、外装体本体100と内蓋500と蓋体800とからなる外装体14、及び、外装体14に収容される1以上の蓄電素子200(同図では4つの蓄電素子200)と流路形成部300と断熱材400と基板700などを備えている。
【0055】
複数の蓄電素子200のうちの隣り合う2つの蓄電素子200の一方は第一蓄電素子の一例であり、他方は第二蓄電素子の一例である。
【0056】
外装体14は、1以上の蓄電素子200を内包する、単位モジュール11の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。外装体14は、複数の蓄電素子200および基板700などを所定の位置に配置し、複数の蓄電素子200および基板700などを衝撃などから保護する。また、外装体14は、例えばポリカーボネートやポリプロピレン(PP)等の樹脂などの絶縁性の材料により構成されており、蓄電素子200や基板700などが外部の金属部材などに接触することを回避する。
【0057】
外装体14は、外装体本体100と内蓋500と蓋体800とを有している。外装体本体100は、外装体14の本体を構成する有底矩形筒状の部材である。また、外装体本体100の内方には、仕切部材110と支持部材120とが配置されている。
【0058】
仕切部材110は、単位モジュール11が備える蓄電素子200のうちのいずれかの蓄電素子200の側方に配置される部材である。本実施の形態では、仕切部材110は、隣り合う2つの蓄電素子200の間に配置され、当該2つの蓄電素子200の間の空間を仕切る板状部材である。本実施の形態では、4つの蓄電素子200を仕切るように3つの仕切部材110が配置されている。
【0059】
また、各仕切部材110は、第一板材111と第二板材112とを含む。第一板材111と第二板材112との間には、第一板材111及び第二板材112よりも熱伝導率の低い物質の層である低熱伝導層が形成されている。また、各仕切部材110は、いずれの蓄電素子200とも接触しないように配置されている。仕切部材110の詳細については、
図5〜
図12を用いて後述する。
【0060】
支持部材120は、仕切部材110(第一板材111及び第二板材112)を支持する部材である。本実施の形態では、仕切部材110の下端部が支持部材120によって支持されている。なお、支持部材120は、外装体本体100の底面に一体に設けられた第一支持部材と、外装体本体100とは別体として配置された第二支持部材とで構成されている。第一支持部材及び第二支持部材については
図5等を用いて後述する。
【0061】
蓄電素子200は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子200は、外装体本体100の内方の2つの仕切部材110の間、または仕切部材110と外装体本体100の壁面との間に配置され、外装体本体100内に収容される。
【0062】
また、それぞれの蓄電素子200は、上面に安全弁221を備えている。つまり、それぞれの蓄電素子200は、内圧が上昇した場合に、安全弁221から上方へ向けてガスを放出する。なお、単位モジュール11が備える蓄電素子200のうちの全ての蓄電素子200が安全弁221を備えていることには限定されず、少なくとも1つの蓄電素子200が安全弁221を備えていればよい。
【0063】
また、蓄電素子200は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
【0064】
流路形成部300は、内蓋500とで、蓄電素子200の安全弁221からの排気の流路を形成する部材であり、安全弁221からの排気を外方へ導く部材である。
【0065】
断熱材400は、蓄電素子200の安全弁221の排気の流路の内方に配置される矩形状かつ平板形状の部材である。つまり、断熱材400は、内蓋500と流路形成部300とで形成される当該排気の流路の内方に配置される。具体的には、断熱材400は、内蓋500と流路形成部300との間に配置され、また、安全弁221と対向する位置かつ基板700と対向する位置に配置されている。
【0066】
なお、安全弁221からの排気を蓄電装置1(単位モジュール)の外方に向けて排出しようとすれば、当該排気が基板700に熱などの悪影響を与えることを避けるために、基板700が配置される空間を当該排気が通過することを避ける必要がある。つまり、排気の流路を基板700が設けられている空間の下方に設ける必要がある。さらに、複数の蓄電素子200は、Y軸方向に並んで配置されており、かつ、それぞれがX軸方向に並ぶ正極端子230及び負極端子240を有している。つまり、複数の蓄電素子200の正極端子230及び負極端子240の間の空間は、Y軸方向に延びている。このため、排気の流路がY軸方向に沿うように形成することで、正極端子230及び負極端子240の間の空間を有効利用して基板700を配置でき、かつ、安全弁221からの排気による悪影響を基板700に与えないようにできる構成を実現している。また、排気の流路がY軸方向に沿うように形成されるため、当該排気の排出口は、蓄電装置1(単位モジュール)のY軸方向側の側面に形成される。
【0067】
内蓋500は、外装体14の内蓋を構成する扁平な矩形状の部材であり、複数の蓄電素子200の上方に配置される。ここで、内蓋500は、安全弁221と対向する位置に配置されるとともに、基板700を保持している。つまり、内蓋500は、安全弁221と基板700との間に配置されている。
【0068】
このように、内蓋500は、蓄電素子200の安全弁221側に配置されており、外装体本体100内での蓄電素子200の安全弁221側への移動を規制する機能も有している。つまり、内蓋500は、外装体本体100の内方に嵌め込まれ、複数の蓄電素子200を上方から押さえ込むことで、複数の蓄電素子200を外装体本体100に固定する。
【0069】
内蓋500はさらに、
図6を用いて後述する、仕切部材110の上端を支持する支持部材の位置を固定する役割も担っている。
【0070】
また、内蓋500には、正極外部端子610、負極外部端子620、バスバー630、外部配線接続部640及び配線経路形成部650等が配置されている。
【0071】
基板700は、単位モジュール11が備える蓄電素子200のうちの少なくとも1つの蓄電素子200に電気的に接続される電気機器である。具体的には、基板700は、複数の蓄電素子200の状態を取得し、監視し、制御することのできる基板であり、配線(リード線)によって複数の蓄電素子200の正極端子または負極端子に接続されている。
【0072】
具体的には、基板700は、複数の蓄電素子200の充電状態及び放電状態(電圧、温度などの電池状態)などを監視するための制御基板である。基板700には、例えば、当該監視、リレーのオン及びオフの制御、ならびに、他の機器と通信を行うための制御回路(図示せず)が設けられている。
【0073】
また、基板700は、内蓋500上に配置され、かつ、蓋体800に覆われるように配置されている。つまり、基板700は、内蓋500と蓋体800とで挟まれることで、内蓋500と蓋体800とに保護されるように配置されている。また、このように、上部に電装部品を一体化させることで、蓄電装置1の組立性及びメンテナンス性が向上する。
【0074】
なお、基板700は、各単位モジュールに備えられていなくともよく、例えば単位モジュール11にのみ備えられていてもよい。また、各単位モジュールは、電気機器として、基板700ではなく、ヒューズなど他の電気機器を内蓋500上に配置している構成であってもよい。
【0075】
蓋体800は、外装体14の蓋を構成する部材であり、外装体本体100の開口を塞ぐ扁平な矩形状の部材である。
【0076】
具体的には、外装体本体100内方に、複数の蓄電素子200、流路形成部300、断熱材400、内蓋500、基板700等の順に配置され、外装体本体100の開口部が蓋体800で閉止される。
【0077】
次に、単位モジュール11が備える各構成要素について、詳細に説明する。まず、蓄電素子200の構成について、詳細に説明する。
【0078】
図4は、実施の形態に係る蓄電素子200を内部を透視して示す斜視図である。
【0079】
同図に示すように、蓄電素子200は、容器210、正極端子230及び負極端子240を備え、容器210は、上壁である容器蓋部220を備えている。また、容器210内方には、電極体250、正極集電体260及び負極集電体270が配置されており、容器蓋部220には安全弁221が形成されている。なお、容器210の内部には電解液などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。
【0080】
容器210は、金属からなる矩形筒状で底を備える筐体本体と、当該筐体本体の開口を閉塞する金属製の容器蓋部220とで構成されている。また、容器210は、電極体250等を内部に収容後、容器蓋部220と筐体本体とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、容器210の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼やアルミニウムなど溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0081】
電極体250は、正極と負極とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる発電要素である。具体的には、電極体250は、正極と負極との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものを全体が長円形状となるように巻回されて形成された巻回型の電極体である。なお、電極体250の種類は巻回型に限定されず、例えば、平板状極板を積層した積層型の電極体であってもかまわない。
【0082】
ここで、正極は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる長尺帯状の導電性の正極集電箔の表面に正極活物質層が形成された電極板である。負極は、銅または銅合金などからなる長尺帯状の導電性の負極集電箔の表面に負極活物質層が形成された電極板である。セパレータは、微多孔性のシートである。
【0083】
なお、蓄電素子200に用いられる正極、負極及びセパレータは、特に従来用いられてきたものと異なるところはなく、蓄電素子200の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。
【0084】
また、容器210に封入される電解液(非水電解質)としても、蓄電素子200の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
【0085】
正極端子230は、正極集電体260を介して、電極体250の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子240は、負極集電体270を介して、電極体250の負極に電気的に接続された電極端子であり、いずれも容器蓋部220に取り付けられている。つまり、正極端子230及び負極端子240は、電極体250に蓄えられている電気を蓄電素子200の外部空間に導出し、また、電極体250に電気を蓄えるために蓄電素子200の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。
【0086】
具体的には、蓄電装置1に備えられた複数の蓄電素子200のうち正極外部端子610に最も近い蓄電素子200の正極端子230が正極外部端子610と接続され、当該蓄電素子200の負極端子240は、隣の蓄電素子200の正極端子230と接続される。
【0087】
また同様に、当該複数の蓄電素子200のうち負極外部端子620に最も近い蓄電素子200の負極端子240が負極外部端子620と接続され、当該蓄電素子200の正極端子230は、隣の蓄電素子200の負極端子240と接続される。
【0088】
また、その他の蓄電素子200の正極端子230または負極端子240は、隣接する蓄電素子200の負極端子240または正極端子230と接続される。
【0089】
正極集電体260は、電極体250の正極と容器210の側壁との間に配置され、正極端子230と正極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、正極集電体260は、正極の正極集電箔と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。また、負極集電体270は、電極体250の負極と容器210の側壁との間に配置され、負極端子240と電極体250の負極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、負極集電体270は、負極の負極集電箔と同様、銅または銅合金などで形成されている。
【0090】
次に、実施の形態に係る仕切部材110及びその周辺の構造等について、
図5〜
図12を用いて説明する。
【0091】
図5は、実施の形態に係る仕切部材110及びその周辺の構造を示す分解斜視図である。
【0092】
図6は、実施の形態に係る仕切部材110の支持構造を示す斜視図である。
【0093】
図7は、実施の形態に係る外装体本体100の構成を示す斜視図である。
【0094】
図5に示すように、外装体本体100の内方には、3つの仕切部材110が配置される。なお、
図5では、これら3つの仕切部材110を区別するために、各仕切部材110に、110a、110b及び110cのいずれかが付されている。
【0095】
仕切部材110は、
図5及び
図6に示されるように、互いの面が対向するように配置された第一板材111及び第二板材112を含む。
【0096】
第一板材111及び第二板材112は、断熱性を有する部材であり、例えば、マイカ片を集積し結合させることで得られるダンマ材によって形成されている。なお、第一板材111及び第二板材112の素材はダンマ材に限定されず、例えば、セラミック、ガラス繊維、及び、フェノール樹脂またはエポキシ樹脂等の樹脂のそれぞれ、またはこれらのうちの2以上の組み合わせによって、第一板材111及び第二板材112が形成されてもよい。また、第一板材111及び第二板材112のそれぞれの表面に耐熱塗料がコーティングされていてもよい。
【0097】
仕切部材110の、外装体本体100の底面側の端部(以下「下端部」という。)115は、支持部材120によって支持されている。
【0098】
本実施の形態に係る支持部材120は、仕切部材110(第一板材111及び第二板材112)の幅方向(本実施の形態におけるX軸方向)に長尺状であり、一部が他の部分とは別体として配置されている。
【0099】
具体的には、支持部材120は、外装体本体100の底面に一体に設けられた第一支持部材121と、外装体本体100とは別体として配置された第二支持部材122とで構成されている。
【0100】
なお、本実施の形態では、1つの支持部材120は、3つの第一支持部材121と2つの第二支持部材122とを有する。つまり、1つの支持部材120には2つの第二支持部材122が取り付けられ、外装体本体100には、合計6つの第二支持部材122が配置される。なお、
図5では、これら6つの第二支持部材122を区別するために、各第二支持部材122に、122a〜122fのいずれかが付されている。また、
図6では、第一支持部材121は、点線により概念的に図示されている。
【0101】
支持部材120は、例えば
図6に示すように、基部123と、第一板材111及び第二板材112を両側から挟むように基部123に立設された一対の壁部124と、基部123における一対の壁部124の間の位置に突出状に設けられた凸部125とを有する。
【0102】
凸部125は、第一板材111及び第二板材112の間に挿入された場合に、第一板材111及び第二板材112の間を、後述する低熱伝導層の厚みに対応する距離だけ離隔させる。つまり、支持部材120は、第一板材111及び第二板材112を、凸部125によって所定の距離だけ離した状態で支持する。
【0103】
ここで、支持部材120が有する、仕切部材110の支持のための構成は、第一支持部材121と第二支持部材122とで共通である。つまり、基部123、一対の壁部124、及び凸部125は、第一支持部材121及び第二支持部材122の双方に備えられている。
【0104】
本実施の形態に係る複数の第二支持部材122は、外装体本体100の底面における複数の配置面部105(
図7参照)に配置される。
【0105】
仕切部材110が外装体本体100に配置される場合、例えば、一列に並ぶ3つの第一支持部材121の間に存在する2つの配置面部105のそれぞれに、第二支持部材122を配置する。これにより、1つの仕切部材110に対応する一条の支持部材120が構成される。
【0106】
その後、当該支持部材120に仕切部材110の下端部115が挿入される。このとき、第一板材111の下端部115が、一対の壁部124の一方と凸部125との間に挿入され、第二板材112の下端部115が、一対の壁部124の他方と凸部125との間に挿入される。
【0107】
なお、仕切部材110の配置手順はこれに限られない。例えば、仕切部材110(第一板材111及び第二板材112)の下端部115に2つの第二支持部材122を取り付け、その状態で、一列に並ぶ3つの第一支持部材121への仕切部材110の下端部115の挿入と、2つの第二支持部材122それぞれの配置面部105への配置とを実行してもよい。
【0108】
また、本実施の形態に係る仕切部材110は、
図6に示すように、外装体本体100の底面とは反対側の端部(以下、「上端部」という。)116が、第三支持部材150によって支持されている。
【0109】
本実施の形態では、第三支持部材150は、主として、仕切部材110の厚み方向の傾きの抑制、ならびに、上端部116における第一板材111と第二板材112との間隔維持の役目を担っている。
【0110】
第三支持部材150は、支持部材120(第一支持部材121、第二支持部材122)と同様に、基部153と、基部153に立設された一対の壁部154と、一対の壁部154の間に配置された凸部155とを有する。
【0111】
なお、本実施の形態では、第三支持部材150における一対の壁部154の間の距離は、支持部材120における一対の壁部124の間の距離と等しい。また、第三支持部材150における壁部154と凸部155との間の距離は、支持部材120における壁部124と凸部125との間の距離に等しい。
【0112】
仕切部材110を第三支持部材150に取り付ける場合、第一板材111の上端部116が、一対の壁部154の一方と凸部155との間に挿入され、第二板材112の上端部116が、一対の壁部154の他方と凸部155との間に挿入される。
【0113】
なお、3つの仕切部材110のそれぞれに取り付けられる第三支持部材150それぞれの基部153は、例えば内蓋500(
図3参照)の、蓄電素子200側の面(内面)に嵌合する。これにより、各第三支持部材150の、横方向(実施の形態におけるXY平面に平行な方向)の移動が規制される。また、内蓋500そのものが、第三支持部材150と同じ機能を有していてもよい。例えば、一対の壁部154および凸部155が、内蓋500の一部として内蓋500の内面に形成されていてもよい。
【0114】
また、
図6に示すように、第一板材111及び第二板材112の端縁に凹状の係合部117が設けられており、第三支持部材150は、係合部117と係合する要素を有している。
【0115】
図8は、実施の形態に係る第三支持部材150の外観を示す斜視図である。
【0116】
図8に示すように、第三支持部材150は、一対の壁部154の間に、基部153から突出状に設けられた位置決め部156を有している。
【0117】
位置決め部156が、係合部117と係合することで、例えば、第三支持部材150の、仕切部材110(第一板材111及び第二板材112)に対する位置決めが可能となる。
【0118】
また、上述のように、例えば内蓋500によって、第三支持部材150の横方向の位置が規制される。そのため、第三支持部材150が位置決め部156を有することで、例えば、仕切部材110の、幅方向における位置決め及び位置ずれの抑制も可能となる。
【0119】
なお、係合部117と位置決め部156とは、互いに係合する構造を有していればよい。例えば、第三支持部材150の基部153に凹状に設けられた位置決め部156と、仕切部材110の上端部116に凸状に設けられた係合部117とが係合してもよい。
【0120】
また、係合部117は、第一板材111及び第二板材112の少なくとも一方に備えられていればよい。係合部117が第一板材111及び第二板材112の一方にのみ備えられている場合であっても、係合部117と位置決め部156とが係合することで、例えば、第三支持部材150の、仕切部材110に対する位置決めは可能である。
【0121】
このように、本実施の形態に係る仕切部材110は、蓄電素子200の側方に配置され、仕切部材110は、互いの面が対向するように配置された第一板材111及び第二板材112を有する。
【0122】
また、第一板材111及び第二板材112は、互いに離隔して配置されており、その結果、第一板材111と第二板材112との間に、第一板材111及び第二板材112の面に平行な方向に広がる空間が形成されている。
【0123】
本実施の形態では、支持部材が有する凸部によって、第一板材111と第二板材112との間の距離が維持されている。
【0124】
図9は、仕切部材110の、第二支持部材122の周辺の構造を示す正面図であり、
図10は、仕切部材110の、第三支持部材150の周辺の構造を示す正面図である。
【0125】
なお、ある蓄電素子200に着目した場合、当該蓄電素子200と、当該蓄電素子200の側方に配置された仕切部材110との並び方向から(本実施の形態におけるY軸方向)から蓄電素子200及び仕切部材110の少なくとも一方を見る場合を「側面視」と表現し、側面視における図(透視図を含む)を「側面図」と表現する。また、本実施の形態におけるX軸方向から蓄電素子200及び仕切部材110の少なくとも一方を見る場合を「正面視」と表現し、正面視における図(透視図を含む)を「正面図」と表現する。
【0126】
図9及び
図10に示すように、第一板材111及び第二板材112の端部の間に、支持部材に備えられた凸部が存在する。
【0127】
具体的には、第一板材111及び第二板材112の下端部115の間に、第二支持部材122(支持部材120)の凸部125が存在し、第一板材111及び第二板材112の上端部116の間に、第三支持部材150の、凸部155が存在する。
【0128】
また、第一板材111及び第二板材112はともに平板状である。その結果、第一板材111及び第二板材112の間に連続する空間が形成され、この空間が、低熱伝導層160として機能する。
【0129】
なお、
図9及び
図10では、第一板材111、第二板材112、及び低熱伝導層160を視認し易いように、第一板材111及び第二板材112には細かいドットが付され、低熱伝導層160には粗いドットが付されている。このことは、後述する
図11、
図13、
図16〜
図18、及び
図20でも同じである。
【0130】
低熱伝導層160は、第一板材111及び第二板材112よりも熱伝導率の低い物質の層である。本実施の形態では、例えばダンマ材を素材とする第一板材111及び第二板材112の間に存在する空気によって、低熱伝導層160が形成されている。なお、空気の熱伝導率は、ダンマ材の熱伝導率の10分の1程度である。
【0131】
また、第一板材111及び第二板材112の厚みは例えば1mmであり、低熱伝導層160の厚みも例えば1mmである。この場合、凸部125及び凸部155の厚み(突出方向と直交する方向の幅)も1mmである。
【0132】
また、低熱伝導層160は、蓄電素子200の電極体250の側面視における幅に応じた領域において連続して広がっている。
【0133】
図11は、2つの蓄電素子200とその間の仕切部材110との位置関係の一例を示す正面図であり、
図12は、蓄電素子200とその側方に配置された仕切部材110との位置関係の一例を示す側面図である。
【0134】
なお、
図11に示す2つの蓄電素子200を第一蓄電素子200a及び第二蓄電素子200bとし、第一蓄電素子200aが有する電極体250を第一電極体250aとし、第二蓄電素子200bが有する電極体250を第二電極体250bとする。
【0135】
また、
図12は、第一蓄電素子200a及び仕切部材110を、仕切部材110の側から見た図であり、仕切部材110を透視した状態で、第一蓄電素子200aが図示されている。また、低熱伝導層160はドットを付した領域で表されている。これらのことは、後述する
図14及び
図15でも同じである。
【0136】
この場合において、本実施の形態に係る低熱伝導層160の範囲は以下のように説明される。すなわち、本実施の形態では、例えば
図12に示すように、低熱伝導層160は、側面視における第一電極体250aの全体を含む領域において、連続して形成されている。
【0137】
そのため、例えば、第一蓄電素子200aの第一電極体250aが発熱した場合において、その熱の第二蓄電素子200bへの伝導が効果的に抑制される。また、第二蓄電素子200bが発熱した場合において、その熱の第一電極体250aへの伝導が効果的に抑制される。
【0138】
より詳細には、仕切部材110は、第一板材111及び第二板材112を有するため、これら2枚の板材により、第一蓄電素子200a及び第二蓄電素子200bの一方から他方への輻射熱が遮断される。
【0139】
また、第一板材111と第二板材112との間には低熱伝導層160が存在するため、例えば、第一板材111及び第二板材112の一方から他方への熱伝導が抑制される。
【0140】
さらに、このような効果を奏する低熱伝導層160が、側面視における第一電極体250aの全体を含む領域に広がっている。そのため、第一電極体250aで発生する熱からの、他の物体(
図11では第二蓄電素子200b)の保護が効果的に行える。また、逆に、他の物体(
図11では第二蓄電素子200b)で発生する熱からの、第一電極体250aの保護も効果的に行える。
【0141】
なお、本実施の形態では、第一板材111及び第二板材112の外側(蓄電素子200側)の面は、蓄電素子200と接触していない。つまり、蓄電素子200と仕切部材110との間にも空気層が存在し、このことによっても、蓄電素子200に対する仕切部材110による断熱効果は向上される。
【0142】
ここで、本実施の形態では、複数の蓄電素子200は同一種類の単電池であり、各蓄電素子200は、外装体本体100の底面に沿って並べられる。そのため、
図11及び
図12に示すように、低熱伝導層160は、第一電極体250aと第二電極体250bとの重複領域Aaを含む領域において連続して広がるように形成されていることになる。
【0143】
その結果、第一蓄電素子200a及び第二蓄電素子200bの相互間の熱影響を効果的に抑制することができる。
【0144】
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1では、蓄電素子200の側方に、第一板材111及び第二板材112が、互いの面が対向するように配置されている。また、第一板材111及び第二板材112の間には低熱伝導層160が形成されている。この低熱伝導層160は、第一板材111及び第二板材112よりも熱伝導率の低い物質の層である。
【0145】
これにより、蓄電素子200からの輻射熱、および、蓄電素子200に向かう輻射熱は2枚の板材(111、112)によって遮断され、これら2枚の板材(111、112)の一方から他方への熱の移動は低熱伝導層160によって抑制される。つまり、蓄電素子200についての効果的な断熱が実現される。また、この効果は、第一板材111、低熱伝導層160、及び第二板材112を、この順に並ぶように配置するという簡易な構成で得ることができる。
【0146】
また、低熱伝導層160は、側面視における電極体250の全体を含む領域において、連続して形成されている。つまり、側面視における電極体250の全体が2枚の板材(111、112)及びその間の低熱伝導層160の配置範囲に収められる。これにより、蓄電素子200についての断熱の確実性が向上される。
【0147】
また、第一板材111及び第二板材112は、2つの蓄電素子200の間に配置されており、低熱伝導層160は、側面視における、当該2つの蓄電素子200それぞれの電極体250の重複領域を含む領域において連続して形成されている。そのため、当該2つの蓄電素子200の相互間の熱影響を効果的に抑制することができる。
【0148】
また、蓄電装置1は、第一板材111及び第二板材112を支持する支持部材120を備える。支持部材120は、基部123と、基部123に立設された一対の壁部124と、基部123における一対の壁部124の間の位置に突出状に設けられた凸部125とを有する。
【0149】
支持部材120が凸部125を有することで、第一板材111及び第二板材112の間に凸部125が挿入された場合に、第一板材111及び第二板材112の間を、低熱伝導層160の厚みに対応する距離だけ離隔させることができる。
【0150】
このように、第一板材111及び第二板材112は、支持部材120によって支持され、かつ、互いの間の距離が支持部材120によって維持される。その結果、例えば低熱伝導層160が安定的に維持される。
【0151】
なお、本実施の形態における第三支持部材150は、支持部材120と共通する構造を有しており、これにより、低熱伝導層160の安定的な維持等の、支持部材120と同じ効果を奏することができる。
【0152】
また、第三支持部材150は、突出状に設けられた位置決め部156を有しており、位置決め部156は、仕切部材110の係合部117と係合する。これにより、例えば、第三支持部材150の、仕切部材110(第一板材111及び第二板材112)に対する位置決め等が可能となる。
【0153】
また、第一板材111及び第二板材112に対して少なくとも2つの支持部材が配置されている。本実施の形態では、一組の第一板材111及び第二板材112を有する仕切部材110に対し、支持部材120と第三支持部材150とが配置されている。また、支持部材120の一部である第二支持部材122が、支持部材120の他の部分である第一支持部材121と別体であることに着目すると、仕切部材110に対し、2つの第二支持部材122が配置されているということもできる。
【0154】
このように、第一板材111及び第二板材112を複数の支持部材で支持することで、第一板材111及び第二板材112のより安定的な支持が可能となる。
【0155】
また、第一板材111及び第二板材112に対して配置された少なくとも2つの支持部材のうちの1つの支持部材は、他の支持部材と対向する位置に配置されている。本実施の形態では、支持部材120(第一支持部材121及び第二支持部材122)と、第三支持部材150とが、第一板材111及び第二板材112を含む仕切部材110において互いに対向する位置に配置されている。そのため、例えば、蓄電装置1に振動が加えられた場合において、仕切部材110の厚み方向への傾きが抑制される。
【0156】
また、支持部材120の一部は、支持部材120の他の部分とは別体として配置されている。本実施の形態では、支持部材120は、第一支持部材121と第二支持部材122とを含み、第二支持部材122は、第一支持部材121とは別体である。そのため、例えば、第二支持部材122を、外装体本体100の一部である第一支持部材121よりも強度の高い材料で作製することなどが可能となる。
【0157】
なお、蓄電装置1は、
図11等に示す仕切部材110とは異なる構成の仕切部材110を備えてもよい。そこで、以下に、実施の形態に係る仕切部材110に関する各種の変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0158】
(変形例1)
図13は、実施の形態の変形例1に係る2つの蓄電素子200とその間の仕切部材110との位置関係を示す正面図である。
図14は、実施の形態の変形例1に係る蓄電素子200と、その側方に配置された仕切部材110との位置関係を示す側面図である。
【0159】
図13及び
図14に示す仕切部材110は、第一板材111及び第二板材112を有し、第一板材111及び第二板材112の間に、低熱伝導層160が形成されている。この点においては、上記実施の形態に係る仕切部材110と同じである。
【0160】
しかし、本変形例に係る仕切部材110に形成された低熱伝導層160は、側面視における電極体250の全体を含む領域(本変形例では重複領域Aa)の一部には広がっていない。
【0161】
具体的には、低熱伝導層160は、側面視における電極体250の一方向の幅(本変形例では、X軸方向)の全域を含む領域において連続して形成されている。また、低熱伝導層160は、側面視における電極体250の他方向(本変形例では、Z軸方向)の一部のみに連続して広がっている。
【0162】
つまり、本変形例に係る低熱伝導層160の領域は、上記実施の形態に係る低熱伝導層160の領域よりも狭い。
【0163】
しかしながら、
図12及び
図13に示すように、低熱伝導層160が存在しない領域に例えば支持部材120が存在することで、側面視における電極体250の全体が2枚の板材(111、112)、低熱伝導層160、及び支持部材120の配置範囲に収められる。
【0164】
このように、低熱伝導層160は、側面視における電極体250の全体を含む領域の全てにおいて連続して広がっている必要はなく、例えば、側面視における電極体250の一方向のみの幅の全域を含む領域において連続して形成されていてもよい。
【0165】
この場合であっても、低熱伝導層160を有する仕切部材110により、例えば、仕切部材110を挟んで隣り合う2つの蓄電素子200(第一蓄電素子200a及び第二蓄電素子200b)の相互間の熱影響が抑制される。
【0166】
(変形例2)
図15は、実施の形態の変形例2に係る蓄電素子200とその側方に配置された仕切部材110との位置関係を示す側面図である。
【0167】
図15に示す仕切部材110は、第一板材111及び第二板材112を有し、第一板材111と第二板材112と間に、低熱伝導層160が形成されている。この点については、上記実施の形態に係る仕切部材110と共通している。しかし、本変形例では、低熱伝導層160が広がる領域が上記実施の形態よりも広い点に特徴を有する。
【0168】
具体的には、本変形例に係る低熱伝導層160は、側面視における、蓄電素子200の容器210を含む領域において、連続して形成されている。
【0169】
具体的には、本変形例では、側面視において、電極体250を含む容器210の全体が2枚の板材(第一板材111、第二板材112)及びその間の低熱伝導層160の配置範囲に収められている。
【0170】
その結果、容器210を介した他の物体(他の蓄電素子200等)との熱のやり取りが抑制される。つまり、仕切部材110の側方の蓄電素子200についての断熱の確実性がさらに向上される。
【0171】
(変形例3)
図16は、実施の形態の変形例3に係る2つの蓄電素子200とその間の仕切部材170との位置関係を示す正面図である。
【0172】
図16に示す、本変形例に係る仕切部材170は、第一板材111及び第二板材112を有し、第一板材111と第二板材112との間に、低熱伝導層160が形成されている。この点については、上記実施の形態に係る仕切部材110と共通している。しかし、本変形例に係る仕切部材170は、第一板材111と第二板材112とが接続部119によって接続されている点で、上記実施の形態に係る仕切部材110とは異なる。
【0173】
つまり、本変形例において、第一板材111及び第二板材112は、互いの端部が結合された一体物(仕切部材170)として、蓄電素子200の側方に配置されている。
【0174】
この場合、第一板材111及び第二板材112を、1つの部品(1つの仕切部材)として扱うことができる。そのため、例えば、蓄電装置1の生産における作業効率の向上、または、部品管理の容易化などが実現される。
【0175】
また、接続部119は、仕切部材110の一端において、第一板材111と第二板材112との間の距離(低熱伝導層160の厚み)を維持する役目を果たすこともできる。
【0176】
なお、このような態様の仕切部材170は、例えば、ダンマ材を
図16に示す形状に成形することで作製される。また、塑性変形可能な板材に折り曲げ加工を行うことで、仕切部材170が作製されてもよい。
【0177】
ここで、仕切部材170では、第一板材111と第二板材112との熱的な接合部分として接続部119が存在することになる。しかし、例えば、接続部119の厚みを第一板材111および第二板材112の厚み以下とすることで、第一板材111および第二板材112の一方から他方への、接続部119を介した熱の伝導量は抑制される。また、例えば、接続部119を、仕切部材170の幅方向(X軸方向)の一部のみに設けることでも、第一板材111および第二板材112の一方から他方への、接続部119を介した熱の伝導量は抑制される。
【0178】
また、接続部119は、仕切部材170における端部に設けられるため、仕切部材170の側方の蓄電素子200が有する電極体250からは比較的に遠い位置に存在する。そのため、仮に、接続部119が比較的に高温になった場合であっても、接続部119が当該蓄電素子200に与える熱の影響は抑えられる。
【0179】
また、
図16では、第一板材111及び第二板材112と、正面視において直線状の接続部119との間は略直角である。つまり、
図16に示す仕切部材170は、1枚の板材の2箇所の屈曲させた形状を有している。しかし、仕切部材170の形状はこれに限られず、例えば、接続部119が
図16において上方に凸の湾曲状であってもよい。つまり、仕切部材170は、1枚の板材の一箇所を湾曲させることで得られる形状を有していてもよい。
【0180】
なお、
図16における仕切部材170の上端部に第三支持部材150(例えば
図10参照)を配置する場合、例えば、第三支持部材150の一対の壁部154に仕切部材170の上端部を挟持させてもよい。また、例えば、仕切部材170の上端部に切り欠きを設けることで、第三支持部材150の位置決め部156(
図8参照)と、当該切り欠きとを係合させてもよい。
【0181】
つまり、第三支持部材150における一対の壁部154の基部153からの高さは、凸部155の基部153からの高さよりも高い。そのため、このように、一対の壁部154に仕切部材170の上端部(接続部119が存在する端部)を挟持させることは可能である。
【0182】
また、外装体本体100の底面に配置される支持部材120における一対の壁部124と凸部125との高さの関係も同様である。すなわち、支持部材120における一対の壁部124の基部123からの高さは、凸部125の基部123からの高さよりも高い。そのため、仕切部材170の、接続部119が存在する側の端部を、支持部材120(第一支持部材121、第二支持部材122)に支持させることも可能である。
【0183】
図17は、実施の形態の変形例3に係る仕切部材170の接続部119側の端部を第二支持部材122に支持させた状態を示す正面図である。
【0184】
図17に示すように、仕切部材170の接続部119側の端部は、接続部119が存在することにより、凸部125を第一板材111と第二板材112との間に挿入することができない。しかし、第二支持部材122における壁部124の基部123からの高さは、凸部125の基部123からの高さよりも高いため、仕切部材170の当該端部を、一対の壁部124に挟持させることは可能である。
【0185】
そのため、例えば、上記実施の形態に係る蓄電装置1において、外装体本体100に配置される3つの仕切部材110(
図5参照)のうちのいずれかを、仕切部材170に置き換え、
図17に示す態様で支持させることが可能である。
【0186】
なお、仕切部材170と同一(略同一も含む、以下同じ)の厚みを有する仕切部材であれば、低熱伝導層160の有無に関わらず、支持部材120(第一支持部材121、第二支持部材122)の一対の壁部124に端部を挟持させることで支持させることは可能である。このことは、第三支持部材150についても同じである。
【0187】
そのため、例えば、上記実施の形態に係る蓄電装置1において、外装体本体100に配置される3つの仕切部材110(例えば
図5参照)のうちのいずれかを、仕切部材170と同一の厚みを有し、かつ、内側に低熱伝導層160が形成されていない仕切部材に置き換えることも可能である。
【0188】
(変形例4)
図18は、実施の形態の変形例4に係る2つの蓄電素子200とその間の仕切部材110との位置関係を示す正面図である。
【0189】
図19は、実施の形態の変形例4に係る2つの電極体250の側面視における重複領域を示す図である。
【0190】
図18に示すように、本変形例における2つの蓄電素子200(第一蓄電素子200a、第二蓄電素子200b)は、上記実施の形態とは異なり、仕切部材110(第一板材111、第二板材112)の厚み方向と交差する方向(本実施の形態では、XZ平面に平行な方向)にずれて配置されている。
【0191】
本変形例では、このようにずれて配置された第一蓄電素子200aと第二蓄電素子200bとの間に、仕切部材110が配置されている。
【0192】
本変形例に係る仕切部材110は、上記実施の形態に係る仕切部材110と同じく、第一板材111及び第二板材112を有し、第一板材111と第二板材112との間に、低熱伝導層160が形成されている。
【0193】
本変形例に係る低熱伝導層160は、具体的には、側面視における第一電極体250aと第二電極体250bとの重複領域Abを含む領域において連続して形成されている。
【0194】
つまり、2つの蓄電素子200がずれて配置された場合、側面視における2つの電極体250の重複領域Abは、他の領域と比較すると、2つの電極体250の一方からの熱が他方に影響を与えやすい領域である。
【0195】
従って、この重複領域Abの奥行き方向(2つの蓄電素子200の並び方向)の空間を遮断するように仕切部材110を配置する。これにより、側面視における2つの電極体250の領域の全体のうちの熱の問題が生じやすい部分が、2枚の板材(111、112)及びその間の低熱伝導層160の配置範囲に収められる。
【0196】
その結果、仕切部材110によって、2つの蓄電素子200の相互間の熱影響が効果的に抑制される。
【0197】
なお、
図19では、第一電極体250aと第二電極体250bとは、X軸方向およびZ軸方向の両方にずれて配置されているが、第一電極体250aと第二電極体250bとがX軸方向およびZ軸方向の一方にのみずれている場合であっても上記効果は奏される。
【0198】
(変形例5)
図20は、実施の形態の変形例5に係る2つの蓄電素子200とその間の仕切部材110との位置関係を示す正面図である。
【0199】
図21は、実施の形態の変形例5に係る2つの電極体250の側面視における重複領域を示す図である。
【0200】
図20に示すように、本変形例における2つの蓄電素子200(第一蓄電素子200a、第二蓄電素子200b)は、上記実施の形態とは異なり、互いの大きさが異なっている。また、第一蓄電素子200aの第一電極体250aと、第二蓄電素子200bの第二電極体250bの大きさも互いに異なっている。
【0201】
本変形例では、このように互いに大きさの異なる第一蓄電素子200aと第二蓄電素子200bとの間に、仕切部材110が配置されている。
【0202】
本変形例に係る仕切部材110は、上記実施の形態に係る仕切部材110と同じく、第一板材111及び第二板材112を有し、第一板材111と第二板材112との間に、低熱伝導層160が形成されている。
【0203】
本変形例に係る低熱伝導層160は、具体的には、側面視における第一電極体250aと第二電極体250bとの重複領域Acを含む領域において連続して形成されている。
【0204】
より詳細には、
図21に示すように、第一蓄電素子200aと第二蓄電素子200bとは、側面視における第一電極体250aの領域が、側面視における第二電極体250bの領域に含まれるように配置されている。
【0205】
この場合、側面視における2つの電極体250の重複領域Acは、上記変形例4における重複領域Abと同じく、他の領域と比較すると、2つの電極体250の一方からの熱が他方に影響を与えやすい領域である。
【0206】
従って、この重複領域Acの奥行き方向(2つの蓄電素子200の並び方向)の空間を遮断するように仕切部材110を配置する。これにより、側面視における第二電極体250bの領域のうちの、熱の問題が生じやすい部分である、側面視における第一電極体250aの領域が、2枚の板材(111、112)及びその間の低熱伝導層160の配置範囲に収められる。
【0207】
その結果、仕切部材110によって、2つの蓄電素子200の相互間の熱影響が効果的に抑制される。
【0208】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る蓄電装置について、実施の形態およびその変形例に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態およびその変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態またはその変形例に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0209】
例えば、仕切部材110は3枚以上の板材を有してもよい。仕切部材110は、例えば上記実施の形態に係る第一板材111及び第二板材112に加え、第三板材を有してもよい。この場合、第二板材112を挟んで、第一板材111とは反対側に、第二板材112との間隔をあけて第三板材を配置する。
【0210】
これにより、仕切部材110には、上述の低熱伝導層160に加え、第二板材112と第三板材との間に、低熱伝導層としての空気層が形成される。その結果、仕切部材110の断熱性がより向上する。
【0211】
なお、この場合、例えば支持部材120が、基部123における一対の壁部124の間に2つの凸部125を有することで、3枚の板材それぞれを隣接する板材と離した状態で支持することができる。具体的には、2つの凸部125の間に第二板材112が挿入され、2つの凸部125の一方と、一対の壁部124の一方との間に第一板材111が挿入される。また、2つの凸部125の他方と、一対の壁部124の他方との間に第三板材が挿入される。このようにして、3枚の板材が、2つの凸部125を有する支持部材120に支持される。
【0212】
また、例えば第二支持部材122が、位置決め部156(
図8参照)と同様の突起を一対の壁部124の間に有してもよい。この場合、仕切部材110の下端部115に凹状の係合部117(
図6参照)を設けることで、第二支持部材122の突起と係合部117とを係合させることができる。これにより、例えば第二支持部材122の仕切部材110に対する位置決めが容易となる。
【0213】
また、低熱伝導層160は空気以外の物質の層によって実現されてもよい。例えば、アルゴン等の不活性ガスの層が低熱伝導層160として採用されてもよい。
【0214】
また、低熱伝導層160は真空層によって実現されてもよい。つまり、仕切部材110が、真空断熱材としての機能を有してもよい。
【0215】
また、気体ではなく固体を含む層が、低熱伝導層160として採用されてもよい。例えば、熱伝導率が比較的に低いガラス繊維の層を、第一板材111と第二板材112との間に挟み込むことで、低熱伝導層160が形成されてもよい。
【0216】
このように、低熱伝導層160の少なくとも一部としてガラス繊維等の固体を採用することで、例えば、振動等により、第一板材111または第二板材112が変形した場合において、第一板材111と第二板材112との接触が抑制される。つまり、低熱伝導層160が固体を含むことにより、低熱伝導層160の厚みがゼロとなる部分が生じる可能性が低減される。
【0217】
なお、大気中で使用される蓄電装置1において、第一板材111および第二板材112を、所定の距離だけ離した状態で蓄電素子200の側方に配置することで、低熱伝導層160としての空気層が形成される。そのため、低熱伝導層160として空気層を採用することは、低熱伝導層160を構成する材料を用意する必要がなく、かつ、空気の熱伝導率が非常に低い値である点において有利である。
【0218】
また、仕切部材110を支持する支持部材120は、一部が別体である必要はない。例えば、支持部材120の全体が、外装体本体100の底面に一体に設けられた部材であってもよい。また、例えば、支持部材120の全体が、外装体本体100に対して着脱可能な部材であってもよい。
【0219】
また、仕切部材110を支持する支持部材が、第一支持部材121、第二支持部材122、および第三支持部材150のうちの1つのみであってもよい。
【0220】
また、仕切部材110は、本実施の形態における上下方向(Z軸方向)の両端部が支持された状態で、外装体本体100に配置される(例えば
図6参照)。しかし、仕切部材110は、例えば幅方向(X軸方向)の両端部が支持された状態で、外装体本体100に配置されてもよい。
【0221】
また、本実施の形態では、2つの蓄電素子200の間の空間を仕切るように仕切部材110が配置されている。しかし、仕切部材110は、蓄電素子200と、蓄電素子200以外の物体であって、熱を発する可能性のある他の物体(例えば電気回路など)との間に配置されてもよい。つまり、蓄電装置1が備える蓄電素子200の個数は1であってもよい。この場合であっても、蓄電素子200と当該他の物体との間の熱の移動の抑制が、仕切部材110によって効果的に実行される。
【0222】
また、それぞれが1以上の蓄電素子200を含む2つの装置の間に、仕切部材110が配置されてもよい。
【0223】
例えば、単位モジュール11と単位モジュール12との間に、仕切部材110が配置されてもよい。また、例えば、蓄電装置1が複数並べられる場合、隣り合う2つの蓄電装置1の間に、仕切部材110が配置されてもよい。
【0224】
いずれの場合であっても、1つの装置(単位モジュールまたは蓄電装置)が発熱した場合において、当該装置に隣接する他の装置への熱の移動を、例えば空気層である低熱伝導層160を有する仕切部材110によって効果的に抑制することができる。
【0225】
すなわち、仕切部材110の支持の態様、及び、その側方に配置される物体(熱源となりうる物体、または、他からの熱の影響を排除したい物体)の種類に関わらず、2枚の板材(第一板材111及び第二板材112)及びその間に形成された低熱伝導層160による高い断熱効果を発揮させることは可能である。
【0226】
また、支持部材120に対する第一板材111および第二板材112の取り付けは、互いに独立して行うことができる。つまり、支持部材120に、第一板材111および第二板材112の一方のみを支持させることも可能である。このことは、第三支持部材150についても同じである。
【0227】
従って、例えば、高温となる可能性が低い物体の側方に配置される仕切部材110を、第一板材111および第二板材112の一方のみとすることも可能である。