(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
機体フレーム上に配設され、かつ、後端部外側に設けられた回動中心を中心に前端部が前記機体フレームから離間するメンテナンス位置と前記前端部が前記機体フレーム上に位置する動作位置とに亘って回動自在に設けられた穀粒を貯留するグレンタンクと、
前記機体フレーム上と前記動作位置の前記グレンタンクとの間に配設され、かつ前記グレンタンクの重量を検出する重量検出手段と、
前記グレンタンクが前記メンテナンス位置から前記動作位置に向かって回動する際に、前記前端部を前記重量検出手段上に案内する案内手段とを備え、
前記案内手段は、前記機体フレームに取り付けられ、かつ前記メンテナンス位置から前記動作位置に向かって回動する前記グレンタンクの前記前端部を、動作位置に向かうにしたがって徐々に上昇させた後に、前記前端部の少なくとも一部が前記重量検出手段の上方を通過するように案内した後、前記重量検出手段上に案内する機体側案内部材を備え、
前記重量検出手段は、前記グレンタンクが前記動作位置に位置づけられた状態において、前記グレンタンクの底部に設けられて穀粒を後方に搬送する搬送手段の下方に配設されたコンバインにおいて、
前記機体側案内部材は、
前記メンテナンス位置から前記動作位置に向かって回動する前記グレンタンクの前記前端部を乗り上げさせて徐々に上昇させる上昇傾斜部と、前記上昇傾斜部に連なり前記メンテナンス位置から前記動作位置に向かって回動する前記グレンタンクの前記前端部を水平に移動させる水平部と、前記水平部に連なりかつ前記重量検出手段上に位置する前記グレンタンクの前記前端部の少なくとも一部が侵入する凹部とを備えるとともに、前記水平部と前記凹部とが一体に構成され、前記凹部が前記機体フレームに固定手段により固定されていることを特徴とするコンバイン。
前記重量検出手段は、前記フレーム部材よりも左右方向の内側に配設された第2フレーム部材と前記フレーム部材とに掛け渡された補強部材上にも取り付けられていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のコンバイン。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0019】
[実施形態]
実施形態に係るコンバイン1を、
図1ないし
図8に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係るコンバインの概略構成を示す側面図である。
図2は、実施形態に係るコンバインの概略構成を示す平面図である。
図3は、本発明の実施形態に係るコンバインのグレンタンクなどを示す平面図である。
図4は、本発明の実施形態に係るコンバインの案内手段の機体側案内部材などを示す平面図である。
図5は、
図4中のV−V線に沿う断面図である。
図6は、本発明の実施形態に係るコンバインのグレンタンクなどを示す側断面図である。
図7は、本発明の実施形態に係るコンバインの水分計などを示す斜視図である。
図8は、本発明の実施形態に係るコンバインの案内手段のタンク側案内部材などを示す正面図である。
【0020】
以下では、便宜上、図示のように互いに直交する3つの方向をそれぞれ前後方向、左右方向および上下方向と定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。前後方向は、コンバイン(機体)1の長さ方向であり、左右方向は幅方向、上下方向は高さ方向である。このうち、前方は、刈取り作業時におけるコンバイン1の進行方向であり、左方は、前方に向かって左手方向であり、右方は、前方に向かって右手方向であり、下方は、重力が作用する方向である。なお、これらの方向は、説明をわかりやすくするために便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
コンバイン1は、走行しながら農作物の刈取りと脱穀を行う移動式農業機械である。このコンバイン1は、機体フレーム2の下部に配設された走行装置3と、機体フレーム2の前端部に取り付けられた刈取装置4と、機体フレーム2の上部左側(一側)に搭載された脱穀装置5と、機体フレーム2上の右前部に配設された運転室6と、機体フレーム2の上部右側(他側)であって運転室6の後方に配設されたグレンタンク(穀粒貯留装置)7と、機体フレーム2上であって、運転室6の後部下方に配設されたディーゼルエンジン(以下、エンジンという)8とが搭載されている。
【0022】
走行装置3は、エンジン8からの動力を左右一対の履帯3aに伝え、コンバイン1を走行させる。
【0023】
刈取装置4は、穀稈を分草する分草具4aと、分草された穀稈を引き起こす引き起こし装置4bと、引き起こされた穀稈の根元を切断する刈刃4cとを有し、圃場に植生する穀稈を所定の高さで刈り取る。刈取装置4により刈り取られた穀稈は、機体フレーム2の左端部に設けられた搬送チェーン9(
図2参照)とその上方の挟扼杆との間に挟まれ、エンジン8からの動力による搬送チェーン9の駆動により脱穀装置5に搬送される。
【0024】
脱穀装置5は、搬送チェーン9により穀稈が後方に搬送される過程で、穀稈から穀粒を切り離し(脱粒)、藁等の夾雑物と穀粒とを分離する。脱穀装置5を通過して、穀粒が扱ぎ取られた穀稈(排藁)は、搬送チェーン9により、機体フレーム2の後端部に設けられた排藁切断装置10へ搬送される。排藁は、排藁切断装置10で切断された後、例えば、圃場に放出される。
【0025】
運転室6は、作業員が着座した状態で、運転操作や刈取操作などを行うための運転座席である。運転室6は、機体フレーム2の前後方向の前方に設けられ、エンジン8の鉛直方向の上側に設けられている。また、運転室6の周囲には、作業員が着座した状態で操作可能な位置に、例えば、刈取装置4の昇降操作を行うための刈取昇降レバー(図示省略)、排出オーガの昇降操作や旋回操作を行うためのオーガ操作レバー(図示省略)、表示パネル等が設けられている。
【0026】
エンジン8は、コンバイン1で用いる駆動力の発生源であり、燃焼室で燃料を燃焼させることにより燃料のエネルギーを機械的仕事に変換して回転力として出力する熱機関である。エンジン8は、機体フレーム2の前後方向の前方で、運転室6の鉛直方向の下側に形成されたエンジンルーム(図示省略)に搭載されている。
【0027】
搬送チェーン9は、刈り取られた穀稈を脱穀装置5へ搬送するものである。搬送チェーン9は、機体フレーム2の左右方向の左側に設けられている。搬送チェーン9は、供給搬送装置(図示省略)と、脱穀搬送装置(図示省略)と、排藁搬送装置(図示省略)と、を備えている。供給搬送装置は、刈り取られた穀稈を前後方向の後方へ搬送しつつ、穀稈の株元側が左右方向の左側へ向き、穀稈の穂先側が左右方向の右側へ向くように、穀稈を倒した姿勢に変更する。
【0028】
また、供給搬送装置は、穀稈が倒れた状態で、扱ぎ深さを調節し、穀稈を脱穀搬送装置へ引き継ぐ。脱穀搬送装置は、穀稈が倒れた状態で、穀稈の株元側をフィードチェーンと挟持杆とで挟持しつつ、脱穀装置5へ搬送する。また、脱穀搬送装置は、脱穀装置5より脱穀された脱穀済みの排藁を排藁搬送装置へ引き継ぐ。排藁搬送装置は、排藁を前後方向の後方へ搬送し、排藁切断装置10で切断した後、コンバイン1の前後方向の後方から外部へ排藁を排出する。
【0029】
排藁切断装置10は、複数の回転刃を備えており、搬送チェーン9によって投入された排藁を、回転刃で切断して、コンバイン1の前後方向の後方から外部、例えば、圃場に放出する。
【0030】
グレンタンク7は、箱状に形成され、脱穀装置5により選別された穀粒を一時的に貯留する穀粒貯留装置である。グレンタンク7は、運転室6の前後方向の後方で、機体フレーム2の左右方向の右側上に配設されている。本実施形態では、グレンタンク7は、左右方向において、脱穀装置5と併設されている。また、グレンタンク7は、後端部外側である右後端部に設けられたヒンジ部7a(回動中心に相当)を中心にして、車両外側、すなわち車両の右後方(
図2の矢印A方向)に回動可能である。グレンタンク7は、ヒンジ部7aを中心に前端部が機体フレーム2から離間するメンテナンス位置(
図3中に実線で示す)と、機体フレーム2上に位置する動作位置(
図3中に二点鎖線で示す)とに亘って回動自在に設けられている。
【0031】
グレンタンク7は、動作位置からメンテナンス位置に向かって車両外側に回動されることで、グレンタンク7の左方に配設された脱穀装置5等のメンテナンス等を行うことができる。グレンタンク7は、動作位置において、脱穀装置5から穀粒が供給されるとともに、内部に貯留された穀粒を楊穀筒と横送り筒とからなる排出オーガー7bによって外部に排出する。グレンタンク7は、脱穀装置5などに設けられた図示しない係止アームが係止したり、上下方向にスライド自在に設けた位置決めピン7c(
図9に示す)が機体フレーム2に設けられた係止孔7dに係止することで、動作位置で機体フレーム2などに固定される。
【0032】
グレンタンク7は、
図3及び
図6に示すように、箱状に形成されたタンク本体71と、タンク本体71の底部に設けられたスクリューコンベア72(
図8に示し、搬送手段に相当)と、タンク側補強部材73(
図8に示す)と、水分計74とを備えている。タンク本体71は、下端部に下方に向かうにしたがって左右方向の幅が徐々に縮小する幅減少部71aを設けている。また、タンク本体71は、脱穀装置5により選別された穀粒が楊穀筒51(
図6に示す)により供給される。楊穀筒51は、脱穀装置5の選別部が選別し回収部により回収された穀粒を選別部の回収部からグレンタンク7のタンク本体71に供給するものである。楊穀筒51は、回収部から上方に延在した筒部51aと、筒部51a内に設けられかつ軸心回りに回転することで、穀粒を回収部から上方に搬送する楊穀コンベア51bなどを備えている。筒部51aは、グレンタンク7のタンク本体71の後ろ側の壁71bに向かって穀粒を排出するための排出口51cを上端に設けている。このために、楊穀筒51は、穀粒をグレンタンク7のタンク本体71の後方に排出する構成である。
【0033】
スクリューコンベア72は、タンク本体71の幅減少部71aの底部に前後方向と平行に設けられている。スクリューコンベア72は、グレンタンク7のタンク本体71の前後方向の略全長に亘って設けられ、前後方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。スクリューコンベア72は、エンジン8からの駆動力により軸心回りに回転されて、グレンタンク7のタンク本体71内の穀粒を後方即ち排出オーガー7bに向けて搬送する。
【0034】
タンク側補強部材73は、ステンレス鋼で構成され、グレンタンク7のタンク本体71の幅減少部71aの底部の外側において幅減少部71aの前部に取り付けられている。タンク側補強部材73は、幅減少部71aの底部の外側において幅減少部71aの前部に取り付けられて、スクリューコンベア72の下方の前部を覆う。タンク側補強部材73は、水平方向と平行でかつグレンタンク7の重心の下方に設けられる平坦面73aが設けられている。タンク側補強部材73は、スクリューコンベア72が後方に穀粒を搬送する際に、スクリューコンベア72と底部との間に侵入した穀粒によって、グレンタンク7の幅減少部71aの特に底部が外側に広がる方向に弾性変形することを抑制する。なお、本明細書でいう、グレンタンク7の前端部とは、グレンタンク7のタンク側補強部材73が設けられた部分及びタンク側補強部材73よりも前側の部分を含んでいる。
【0035】
水分計74は、グレンタンク7内の穀粒の一部をサンプリングして、穀粒の含有する水分の平均値及び標準偏差(ばらつき、水分ムラともいう)を測定するものである。水分計74は、グレンタンク7のタンク本体71の後ろ側の壁71bの上部に取り付けられて、
図7に示すように、カバー部材74aにより覆われている。このように、水分計74は、後ろ側の壁71bの上部に取り付けられることで、楊穀筒51から排出される穀粒の軌跡上に配設されている。このために、水分計74は、正確にグレンタンク7内に貯留された穀粒を取り込みやすくなり、穀粒の水分の平均値及び標準偏差を正確に測定することができる。水分計74は、排出オーガー7bの基端部の左右方向に並ぶ位置でかつ排出オーガー7bの左右方向の内側に設けられている。このために、水分計74は、排出オーガー7bにより異物から保護されている。
【0036】
水分計74が取り付けられた後ろ側の壁71bには、水分計74内に穀粒の一部を取り込むための開口71cと、開口71cの下縁部に取り付けられ穀粒を水分計74に取り込みやすくする樋状部材71dが設けられている。開口71cは、後ろ側の壁71bを貫通している。樋状部材71dは、グレンタンク7のタンク本体71の内側に取り付けられている。樋状部材71dは、上方が開口した断面樋状に形成され、かつ穀粒を内側に収容することで、穀粒を水分計74に取り込みやすくしている。このために、水分計74の精度向上を図ることができる。
【0037】
水分計74は、
図7に示すように、開口71cを通して穀粒を一粒ずつ取り込む円柱状の取り込み部材74bと、取り込み部材74bの下方に設けられた一対の電極ローラ74cなどを備えている。取り込み部材74bは、外周面に穀粒を一粒ずつ収容する図示しない間欠螺旋溝が設けられ、軸心回りに回転されることで、穀粒を一粒ずつ一対の電極ローラ74c間に供給する。電極ローラ74cは、一粒ずつ穀粒を互いの間で押しつぶして、一対の電極ローラ74c間の電気的な抵抗値を測定する。水分計74は、一対の電極ローラ74c間で一粒ずつ穀粒を押しつぶして、一対の電極ローラ74c間の電気的な抵抗値を測定することで、一粒ずつ穀粒の含有する水分を測定する。水分計74は、複数の穀粒の水分を測定して、穀粒の水分の平均値及び標準偏差を測定する。
【0038】
また、水分計74を覆ってグレンタンク7のタンク本体71の後ろ側の壁71bに取り付けられたカバー部材74aは、この後ろ側の壁71bにボルトなどにより取り付けられることで、着脱自在となっている。カバー部材74aを設けることで、水分計74を保護することができ、カバー部材74aを着脱自在とすることで水分計74のメンテナンス性を向上することができる。
【0039】
また、グレンタンク7は、その重心の左右方向の位置がスクリューコンベア72と上下方向に重なる位置となるように、各部品が配設されている。望ましくは、グレンタンク7は、その重心の左右方向の位置がスクリューコンベア72の軸心と上下方向に重なる位置に配設される。
【0040】
また、コンバイン1は、グレンタンク7の重量、即ち、グレンタンク7が貯留した穀粒の重量を検出するロードセル11(
図11及び
図12に示し、重量検出手段に相当)と、グレンタンク7の前端部をロードセル11上に案内する案内手段12(
図9及び
図10に示す)とを備えている。
【0041】
ロードセル11は、機体フレーム2上に取り付けられて、機体フレーム2上と動作位置のグレンタンク7の前端部との間に配設されるとともに、グレンタンク7が動作位置に位置づけられた状態においてスクリューコンベア72の下方に配設される。ロードセル11は、
図11に示すように、機体フレーム2のフレーム部材21と、フレーム部材21と第2フレーム部材22とに掛け渡された補強板23(補強部材に相当)上に取り付けられている。即ち、ロードセル11は、フレーム部材21と補強板23上に取り付けられて、少なくとも一部がフレーム部材21上に取り付けられ、補強板23上にも取り付けられている。
【0042】
フレーム部材21と第2フレーム部材22は、前後方向と平行な直線状に形成され、断面形が四角形の四角筒状に形成されている。フレーム部材21は、機体フレーム2の左右方向の外縁部に設けている。第2フレーム部材22は、フレーム部材21よりも左右方向の内側に配設されている。補強板23は、ステンレス鋼で構成され、平板状に形成されている。前述した構成のロードセル11は、グレンタンク7が動作位置に位置付けられると、その上にタンク側補強部材73の平坦面73aが重なって、グレンタンク7即ちグレンタンク7が貯留した穀粒の重量を検出する。なお、グレンタンク7は、動作位置では、上下方向にはロードセル11のみにより支持され、ヒンジ部7aと係止アームと位置決めピン7cなどにより前後方向及び左右方向に位置決めされる。また、フレーム部材21と第2フレーム部材22を表面上に固定する板状部材24(
図5に示す)などで機体フレーム2が構成されている。
【0043】
案内手段12は、グレンタンク7がメンテナンス位置から動作位置に向かって回動する際に、グレンタンク7の前端部をロードセル11上に案内するものである。案内手段12は、
図9及び
図10に示すように、機体フレーム2に取り付けられた機体側案内部材80と、グレンタンク7の前端部に設けられたタンク側案内部材90とを備える。
【0044】
機体側案内部材80は、メンテナンス位置から動作位置に向かって回動するグレンタンク7の前端部を、動作位置に向かうにしたがって徐々に上昇させた後に、グレンタンク7の前端部の少なくとも一部がロードセル11の上方を通過するように案内した後、ロードセル11上にグレンタンク7のタンク側補強部材73の平坦面73aの前端部を案内するものである。機体側案内部材80は、ロードセル11と前後方向に並び、ロードセル11の前側に設けられている。
【0045】
機体側案内部材80は、
図4及び
図5に示すように、第1上昇傾斜部81(上昇傾斜部に相当)と、第2上昇傾斜部82(上昇傾斜部に相当)と、水平部83と、凹部84とを備えている。第1上昇傾斜部81と第2上昇傾斜部82と水平部83と凹部84とは、左右方向に機体フレーム2の外側から順に並べられている。
【0046】
第1上昇傾斜部81と第2上昇傾斜部82とは、機体フレーム2よりも左右方向の外側に配設され、メンテナンス位置から動作位置に向かって回動するグレンタンク7の前端部を乗り上げさせて、グレンタンク7の前端部を徐々に上昇させるものである。第1上昇傾斜部81及び第2上昇傾斜部82は、左右方向に機体フレーム2の内側に向かうにしたがって徐々に上方に向かうように傾斜している。第2上昇傾斜部82の左右方向の外側の端は、第1上昇傾斜部81の左右方向の内側の端よりも下方に位置し、第2上昇傾斜部82の左右方向の内側の端は、第1上昇傾斜部81の左右方向の内側の端よりも上方に位置している。
【0047】
水平部83は、第2上昇傾斜部82の左右方向の内側の端に連なり、メンテナンス位置から動作位置に向かって回動するグレンタンク7の前端部を水平に移動させるものである。水平部83は、第2上昇傾斜部82の左右方向の内側の端から左右方向の内側に向かって左右方向に延びている。水平部83は、機体フレーム2上に配設されている。また、水平部83は、位置決めピン7cが係止する係止孔7dが設けられている。
【0048】
凹部84は、水平部83の左右方向の内側の端に連なり、かつロードセル11上に位置するグレンタンク7の前端部の少なくとも一部が侵入するものである。凹部84は、水平部83よりも下方に凹に形成されている。凹部84は、水平部83の左右方向の内側の端から左右方向の内側に向かって左右方向に延びている。凹部84は、ロードセル11と前後方向に並ぶ位置に配設されている。また、凹部84の深さは、動作位置のグレンタンク7のタンク側補強部材73の平坦面73aが水平部83上に重なると、タンク側案内部材90が内側に侵入して、タンク側案内部材90が底面に当接しない程度の深さに形成されている。
【0049】
また、機体側案内部材80は、凹部84と水平部83との左右方向の間に配設された傾斜部85を備えている。傾斜部85は、水平部83の表面と凹部84の底面とに連なり、機体フレーム2の左右方向の外側に向かうにしたがって徐々に上方に向かうように、水平方向と上下方向との双方に対して傾斜している。また、機体側案内部材80は、水平部83と傾斜部85と凹部84とが一体に構成され、かつ凹部84の底面がボルト86(固定手段に相当)などにより機体フレーム2に取り付けられている。
【0050】
タンク側案内部材90は、グレンタンク7がメンテナンス位置から動作位置に向かって回動する際に、機体側案内部材80上に乗り上げ、グレンタンク7が動作位置に位置付けられると、一部が機体側案内部材80の凹部84内に侵入するものである。タンク側案内部材90は、
図8に示すように、下方延在部材91と、タンク側上昇傾斜部92と、タンク側水平部93と、ピン案内部材94とを備えている。下方延在部材91は、グレンタンク7の幅減少部71aの底部の前端部に取り付けられ、かつグレンタンク7の幅減少部71aの底部の前端部から下方に延在している。
【0051】
タンク側上昇傾斜部92とタンク側水平部93とピン案内部材94とは、左右方向に機体フレーム2の内側から順に並べられ、機体側案内部材80上に重なる位置に配設されている。タンク側上昇傾斜部92は、グレンタンク7がメンテナンス位置から動作位置に向かって回動する際に、第1上昇傾斜部81及び第2上昇傾斜部82上に乗り上げるとともに、左右方向の内側に向かうにしたがって徐々に上方に傾斜している。タンク側上昇傾斜部92は、下方延在部材91の左右方向の内側の端部に設けられている。
【0052】
タンク側水平部93は、タンク側上昇傾斜部92に連なりかつ水平方向と平行である。タンク側水平部93は、下方延在部材91の左右方向の中央部に設けられている。タンク側上昇傾斜部92とタンク側水平部93とは、グレンタンク7が動作位置に位置付けられると、機体側案内部材80の凹部84内に侵入する位置に配設されている。タンク側上昇傾斜部92とタンク側水平部93とは、タンク側案内部材90の一部に相当する。
【0053】
ピン案内部材94は、位置決めピン7cを上下方向にスライド自在に支持している。ピン案内部材94は、下方延在部材91の左右方向の外側の端部に設けられている。ピン案内部材94は、グレンタンク7が動作位置に位置付けられると、機体側案内部材80の水平部83上に重なる位置に配設されている。
【0054】
前述した構成のコンバイン1のグレンタンク7をメンテナンス位置から動作位置に向かって回動させる際の動作を
図9から
図12を参照して説明する。
図9は、本発明の実施形態に係るコンバインのタンク側案内部材が機体側案内部材上に乗り上げた状態を示す断面図である。
図10は、本発明の実施形態に係るコンバインのタンク側案内部材が機体側案内部材の凹部内に侵入した状態を示す断面図である。
図11は、本発明の実施形態に係るコンバインのタンク側案内部材が機体側案内部材上に乗り上げた状態のロードセルなどを示す断面図である。
図12は、本発明の実施形態に係るコンバインのグレンタンクがロードセル上に乗り上げた状態を示す断面図である。
【0055】
ヒンジ部7aを中心にしてグレンタンク7をメンテナンス位置から動作位置に向かって回動していくと、タンク側案内部材90のタンク側上昇傾斜部92の脱穀装置5寄りの先端が機体側案内部材80の第1上昇傾斜部81に接触する。そして、さらに、グレンタンク7を動作位置に向かって回動すると、タンク側案内部材90のタンク側上昇傾斜部92の脱穀装置5寄りの先端が、機体側案内部材80の第1上昇傾斜部81上に乗り上げて、第1上昇傾斜部81に沿って徐々に上昇した後、機体側案内部材80の第2上昇傾斜部82上に乗り上げて、第2上昇傾斜部82に沿って徐々に上昇する。そして、
図9に示すように、タンク側案内部材90のタンク側水平部93が機体側案内部材80の水平部83上に乗り上げる。すると、
図11に示すように、グレンタンク7の幅減少部71aの前端部がロードセル11から間隔をあけてロードセル11の上方に位置する。
【0056】
そして、さらに、グレンタンク7を動作位置に向かって回動すると、タンク側案内部材90のタンク側水平部93が機体側案内部材80の水平部83上を摺動した後、
図10に示すように、タンク側案内部材90の下方延在部材91が機体側案内部材80の水平部83上に重なり、タンク側案内部材90のタンク側上昇傾斜部92及びタンク側水平部93が凹部84内に侵入する。そして、係止アームがグレンタンク7に係止し、位置決めピン7cが係止孔7dに係止して、グレンタンク7は、動作位置で機体フレーム2などに固定される。すると、
図11に示すように、グレンタンク7の幅減少部71aの前端部がロードセル11上に重なり、ロードセル11がグレンタンク7の重量を検出可能になる。
【0057】
次に、このように構成されたコンバイン1の動作について説明する。
【0058】
コンバイン1は、エンジン8が発生させる駆動力によって走行装置3が駆動して走行しながら、刈取装置4によって穀稈を刈り取る。刈取装置4により刈り取られた穀稈は、搬送チェーン9の駆動により脱穀装置5に搬送される。脱穀装置5においては、搬送チェーン9により穀稈が後方に搬送される過程で、穀稈から穀粒を切り離し(脱粒)、藁等の夾雑物と穀粒とを分離する。穀粒が扱ぎ取られた穀稈(排藁)は、搬送チェーン9により、機体フレーム2の後端部に設けられた排藁切断装置10へ搬送される。排藁は、排藁切断装置10で切断された後、例えば、圃場に放出される。脱穀装置5において分離された穀粒は、グレンタンク7に貯留される。
【0059】
以上のように、実施形態に係るコンバイン1によれば、ロードセル11をグレンタンク7の幅減少部71aの底部に設けられたスクリューコンベア72の下方に配設しているので、ロードセル11にグレンタンク7の重量が下方に向かって作用することとなる。したがって、コンバイン1は、グレンタンク7の重量を正確に測定することを可能とすることができる。
【0060】
また、コンバイン1は、機体側案内部材80が傾斜部85と水平部83とを備えるので、グレンタンク7をメンテナンス位置から動作位置に回動させる際に、グレンタンク7を一旦持ち上げてからロードセル11の上方を水平方向に移動させることができる。したがって、コンバイン1は、動作位置で、グレンタンク7をロードセル11上に確実に配設することができる。
【0061】
コンバイン1は、機体側案内部材80が動作位置のグレンタンク7の前端部が侵入する凹部84を備えているので、動作位置において、グレンタンク7を機体フレーム2に干渉させることなくロードセル11上に配設することができる。
【0062】
コンバイン1は、機体側案内部材80が凹部84と水平部83との間に傾斜部85を設けているので、動作位置からメンテナンス位置にグレンタンク7を容易に回動することができる。コンバイン1は、機体側案内部材80が水平部83と凹部84とを一体に構成し、凹部84をボルト86などにより機体フレーム2に固定しているので、動作位置において、グレンタンク7とボルト86などとの干渉を抑制することができる。
【0063】
コンバイン1は、ロードセル11の一部を機体フレーム2のフレーム部材21上に配設しているので、グレンタンク7の重量によりロードセル11を支持する箇所が変形することを抑制でき、グレンタンク7の重量を正確に測定することができる。
【0064】
コンバイン1は、ロードセル11の一部を配設したフレーム部材21を機体フレーム2の左右方向の外側の外縁部に配設しているので、機体側案内部材80がグレンタンク7を案内する経路の長さを抑制することができる。したがって、コンバイン1は、機体側案内部材80の小型化を図ることができる。
【0065】
コンバイン1は、ロードセル11をフレーム部材21と第2フレーム部材22との間に掛け渡された補強板23上にも配設しているので、グレンタンク7の重量により機体フレーム2が変形することを抑制でき、グレンタンク7の重量を正確に測定することができる。
【0066】
コンバイン1は、グレンタンク7の幅減少部71aの底部にタンク側補強部材73を設けているので、グレンタンク7の機械的な強度を向上することができ、グレンタンク7の重量を確実にロードセル11に作用させることができる。コンバイン1は、グレンタンク7にタンク側案内部材90を設けているので、グレンタンク7をメンテナンス位置と動作位置とに亘って確実に回動させることができる。