特許第6459510号(P6459510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6459510
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】空調制御システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/56 20180101AFI20190121BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20190121BHJP
【FI】
   F24F11/56
   F24F11/65
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-264406(P2014-264406)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-125675(P2016-125675A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久木田 知美
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−099172(JP,A)
【文献】 特開2005−233490(JP,A)
【文献】 特開2011−122768(JP,A)
【文献】 特開2014−149099(JP,A)
【文献】 特開2008−005297(JP,A)
【文献】 特開2014−224671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/56
F24F 11/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機と、移動端末とを有する空調制御システムであって、
前記移動端末は、
画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影した画像の撮影時の環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記撮影手段で撮影した画像の画像データを、当該画像データにかかる画像の前記環境情報と関連付けて記憶可能な画像記憶手段と、
前記環境情報から、暖房運転、冷房運転、および、自動運転のいずれかの運転モード、設定温度、および、設定風量を、運転設定として決定する運転設定決定手段と、
運転設定を運転指示信号として前記空気調和機に送信可能な第1通信手段とを有しており、
前記空気調和機は、前記移動端末から送信された前記運転指示信号に基づいて空間の空気調和を行う制御手段を有することを特徴とする空調制御システム。
【請求項2】
前記環境情報を検出する第1センサをさらに備えており、
前記環境情報取得手段は、前記撮影手段により画像を撮影する時に、前記第1センサから前記環境情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の空調制御システム。
【請求項3】
前記移動端末は、前記撮影手段で撮影した画像の撮影場所及び撮影時刻の少なくともいずれか一方の環境特定情報を取得する環境特定情報取得手段をさらに備えており、
前記環境情報取得手段は、環境特定情報取得手段により取得された前記環境特定情報に対応する環境情報を通信ネットワークを介して取得することを特徴とする請求項1に記載の空調制御システム。
【請求項4】
前記移動端末は、ユーザからの入力を受け付ける受付手段、及び前記受付手段からの信号に基づいて、前記画像記憶手段に記憶された前記画像データの中の1つを選択する選択手段をさらに備えており、
前記第1通信手段は、前記選択手段により選択された画像データの前記環境情報に対応する前記運転指示信号を前記空気調和機に送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空調制御システム。
【請求項5】
前記移動端末は、前記画像記憶手段に記憶されている前記画像データにかかる画像を表示する画像表示手段をさらに備えており、
前記受付手段は、前記画像表示手段に表示された画像の中の1つを決定する指示を受け付け可能であることを特徴とする請求項4に記載の空調制御システム。
【請求項6】
前記移動端末は、前記選択手段によって選択された画像データに対応する前記環境情報に関するパラメータが所定範囲外である場合に、ユーザにその旨を報知する第1報知手段をさらに有していることを特徴とする請求項4又は5に記載の空調制御システム。
【請求項7】
前記第1通信手段は、前記選択手段によって選択された画像データに対応する環境情報に含まれるパラメータが所定範囲外である場合に、当該環境情報に対応する前記運転指示信号を前記空気調和機に送信しないことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の空調制御システム。
【請求項8】
空気調和が行われる前記空間の環境情報を検出する第2センサと、
前記選択手段によって選択された画像データに対応する前記環境情報に関するパラメータと、前記第2センサによって検出された前記環境情報に関するパラメータとを比較する比較手段とをさらに備えており、
前記移動端末は、前記比較手段による比較の結果、両者の差が所定値以内である場合に、ユーザにその旨を報知する第2報知手段をさらに有していることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の空調制御システム。
【請求項9】
前記移動端末は、別の移動端末に対して情報を送信可能な第2通信手段をさらに備えており、
前記第2通信手段は、前記画像記憶手段に記憶されている前記画像データを、当該画像データに対応する前記環境情報と共に別の移動端末に送信することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の空調制御システム。
【請求項10】
空気調和機と、移動端末とを有する空調制御システムであって、
前記移動端末は、
位置情報を取得可能な位置取得部と時刻情報を取得可能な時刻取得部の少なくとも一方を有し、
温度、湿度及び風量のいずれかの環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記位置情報または前記時刻情報と前記環境情報とを関連付けて記憶可能な記憶手段と、
前記環境情報から、暖房運転、冷房運転、および、自動運転のいずれかの運転モード、設定温度、および、設定風量を、運転設定として決定する運転設定決定手段と、
を備え、
運転設定を運転指示信号として前記空気調和機に送信可能な第1通信手段を有しており、
前記空気調和機は、前記移動端末から送信された前記運転指示信号に基づいて空間の空気調和を行う制御手段を有することを特徴とする空調制御システム。
【請求項11】
前記環境情報は、温度に関するパラメータを含んでいることを特徴する請求項1〜10のいずれか1項に記載の空調制御システム。
【請求項12】
前記環境情報は、湿度に関するパラメータを含んでいることを特徴する請求項1〜11のいずれか1項に記載の空調制御システム。
【請求項13】
前記環境情報は、風量に関するパラメータを含んでいることを特徴する請求項1〜12のいずれか1項に記載の空調制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機と移動端末とを有する空調制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機により空調制御を行う際には、温度、湿度、及び風量等の設定を行う必要がある。従来、温度や湿度の設定は数値で、風量の設定はあらかじめ定められた複数のレベル(例えば、大、中、小)の中から1つを選択することで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−042186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、所望の温度、湿度が数値で表すとどの程度であるか、また所望の風量がどのレベルに対応するのかは分かりにくく、思い描く空調を再現することは困難である。
【0005】
そこで、本発明の目的は、思い描く空調を容易に実現できる空調制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明にかかる空調制御システムは、空気調和機と、移動端末とを有する空調制御システムであって、前記移動端末は、画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影した画像の撮影時の環境情報を取得する環境情報取得手段と、前記撮影手段で撮影した画像の画像データを、当該画像データにかかる画像の前記環境情報と関連付けて記憶可能な画像記憶手段と、前記環境情報から、暖房運転、冷房運転、および、自動運転のいずれかの運転モード、設定温度、および、設定風量を、運転設定として決定する運転設定決定手段と、前記運転設定を運転指示信号として前記空気調和機に送信可能な第1通信手段とを有しており、前記空気調和機は、前記移動端末から送信された前記運転指示信号に基づいて空間の空気調和を行う制御手段を有することを特徴とする。
【0007】
この空調制御システムでは、画像の撮影時の環境情報に基づいて空気調和を行うことができる。したがって、撮影時に体験した環境を再現できるので、思い描く空調を確実に再現できる。
【0008】
第2の発明にかかる空調制御システムは、第1の発明にかかる空調制御システムにおいて、前記環境情報を検出する第1センサをさらに備えており、前記環境情報取得手段は、前記撮影手段により画像を撮影する時に、前記第1センサから前記環境情報を取得することを特徴とする。
【0009】
この空調制御システムでは、画像を撮影する時に第1センサにより検知された環境情報を取得し、その環境情報を画像記憶手段に記憶するので、撮影時の環境情報を確実に記憶できる。
【0010】
第3の発明にかかる空調制御システムは、第1の発明にかかる空調制御システムにおいて、前記移動端末は、前記撮影手段で撮影した画像の撮影場所及び撮影時刻の少なくともいずれか一方の環境特定情報を取得する環境特定情報取得手段をさらに備えており、前記環境情報取得手段は、環境特定情報取得手段により取得された前記環境特定情報に対応する環境情報を通信ネットワークを介して取得することを特徴とする。
【0011】
この空調制御システムでは、環境情報を検出するためのセンサを備えていなくても、環境特定情報に基づいて通信ネットワーク上から撮影時の環境情報を取得できる。
【0012】
第4の発明にかかる空調制御システムは、第1−第3のいずれかの発明にかかる空調制御システムにおいて、前記移動端末は、ユーザからの入力を受け付ける受付手段、及び前記受付手段からの信号に基づいて、前記画像記憶手段に記憶された前記画像データの中の1つを選択する選択手段をさらに備えており、前記第1通信手段は、前記選択手段により選択された画像データの前記環境情報に対応する前記運転指示信号を前記空気調和機に送信することを特徴とする。
【0013】
この空調制御システムでは、画像記憶手段に記憶されている画像データの中からユーザにより選択された画像データにかかる画像の撮影時の環境を再現できる。
【0014】
第5の発明にかかる空調制御システムは、第4の発明にかかる空調制御システムにおいて、前記移動端末は、前記画像記憶手段に記憶されている前記画像データにかかる画像を表示する画像表示手段をさらに備えており、前記受付手段は、前記画像表示手段に表示された画像の中の1つを決定する指示を受け付け可能であることを特徴とする。
【0015】
この空調制御システムでは、ユーザは、画像表示手段に表示された画像の中から、撮影時の環境の再現を望む画像を容易に選択できる。
【0016】
第6の発明にかかる空調制御システムは、第4又は第5の発明にかかる空調制御システムにおいて、前記移動端末は、前記選択手段によって選択された画像データに対応する前記環境情報に関するパラメータが所定範囲外である場合に、ユーザにその旨を報知する第1報知手段をさらに有していることを特徴とする。
【0017】
この空調制御システムでは、環境情報のパラメータが、空気調和機で再現することができない大きさである場合に、その旨をユーザに報知できる。
【0018】
第7の発明にかかる空調制御システムは、第4−第6のいずれかの発明にかかる空調制御システムにおいて、前記第1通信手段は、前記選択手段によって選択された画像データに対応する環境情報に含まれるパラメータが所定範囲外である場合に、当該環境情報に対応する前記運転指示信号を前記空気調和機に送信しないことを特徴とする。
【0019】
この空調制御システムでは、環境情報のパラメータが、空気調和機で再現することができない大きさである場合に、その環境情報に対応する運転指示信号を空気調和機に送信しないようにできる。
【0020】
第8の発明にかかる空調制御システムは、第4−第7のいずれかの発明にかかる空調制御システムにおいて、空気調和が行われる前記空間の環境情報を検出する第2センサと、前記選択手段によって選択された画像データに対応する前記環境情報に関するパラメータと、前記第2センサによって検出された前記環境情報に関するパラメータとを比較する比較手段とをさらに備えており、前記移動端末は、前記比較手段による比較の結果、両者の差が所定値以内である場合に、ユーザにその旨を報知する第2報知手段をさらに有していることを特徴とする。
【0021】
この空調制御システムでは、空調空間の環境情報に関するパラメータと、選択された画像データに対応する環境情報に関するパラメータとの差が小さく、空気調和の必要性が低い場合に、その旨をユーザに報知できる。
【0022】
第9の発明にかかる空調制御システムは、第1−第8のいずれかの発明にかかる空調制御システムにおいて、前記移動端末は、別の移動端末に対して情報を送信可能な第2通信手段をさらに備えており、前記第2通信手段は、前記画像記憶手段に記憶されている前記画像データを、当該画像データに対応する前記環境情報と共に別の移動端末に送信することを特徴とする。
この空調制御システムでは、撮影時の環境を別の移動端末の所有者と共有できる。
第10の発明にかかる空調制御システムは、空気調和機と、移動端末とを有する空調制御システムであって、前記移動端末は、位置情報を取得可能な位置取得部と時刻情報を取得可能な時刻取得部の少なくとも一方を有し、温度、湿度及び風量のいずれかの環境情報を取得する環境情報取得手段と、前記位置情報または前記時刻情報と前記環境情報とを関連付けて記憶可能な記憶手段と、前記環境情報から、暖房運転、冷房運転、および、自動運転のいずれかの運転モード、設定温度、および、設定風量を、運転設定として決定する運転設定決定手段と、を備え、前記運転設定を運転指示信号として前記空気調和機に送信可能な第1通信手段を有しており、前記空気調和機は、前記移動端末から送信された前記運転指示信号に基づいて空間の空気調和を行う制御手段を有することを特徴とする。
第11の発明にかかる空調制御システムは、第1−第10のいずれかの発明にかかる空調制御システムにおいて、前記環境情報は、温度に関するパラメータを含んでいることを特徴する。
【0023】
この空調制御システムでは、撮影時の温度を空調により再現できる。
【0024】
第12の発明にかかる空調制御システムは、第1−第11のいずれかの発明にかかる空調制御システムにおいて、前記環境情報は、湿度に関するパラメータを含んでいることを特徴する。
【0025】
この空調制御システムでは、撮影時の湿度を空調により再現できる。
【0026】
第13の発明にかかる空調制御システムは、第1−第12のいずれかの発明にかかる空調制御システムにおいて、前記環境情報は、風量に関するパラメータを含んでいることを特徴する。
【0027】
この空調制御システムでは、撮影時の風量を空調により再現できる。
【0028】
【0029】
【発明の効果】
【0030】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0031】
第1の発明では、画像の撮影時の環境情報に基づいて空気調和を行うことができる。したがって、撮影時に体験した環境を再現できるので、思い描く空調を確実に再現できる。
【0032】
第2の発明では、画像を撮影する時に第1センサにより環境情報を取得し、その環境情報を画像記憶手段に記憶するので、撮影時の環境情報を確実に記憶できる。
【0033】
第3の発明では、環境情報を検出するためのセンサを備えていなくても、環境特定情報に基づいて通信ネットワーク上から撮影時の環境情報を取得できる。
【0034】
第4の発明では、画像記憶手段に記憶されている画像データの中からユーザにより選択された画像データにかかる画像の撮影時の環境を再現できる。
【0035】
第5の発明では、ユーザは、画像表示手段に表示された画像の中から、撮影時の環境の再現を望む画像を容易に選択できる。
【0036】
第6の発明では、環境情報のパラメータが、空気調和機で再現することができない大きさである場合に、その旨をユーザに報知できる。
【0037】
第7の発明では、環境情報のパラメータが、空気調和機で再現することができない大きさである場合に、その環境情報に対応する運転指示信号を空気調和機に送信しないようにできる。
【0038】
第8の発明では、空調空間の環境情報に関するパラメータと、選択された画像データに対応する環境情報に関するパラメータとの差が小さく、空気調和の必要性が低い場合に、その旨をユーザに報知できる。
【0039】
第9の発明では、撮影時の環境を別の移動端末の所有者と共有できる。
第11の発明では、撮影時の温度を空調により再現できる。
【0040】
第12の発明では、撮影時の湿度を空調により再現できる。
【0041】
第13の発明では、撮影時の風量を空調により再現できる。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の実施形態にかかる空調制御システムを説明する模式図である。
図2図1の空気調和機の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図3図1の移動端末の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図4図3の画像記憶部に画像データと共に記憶されるメタデータの項目の一例を示す図である。
図5図1の移動端末のタッチパネルに表示される選択画面を示す図である。
図6】運転モードの決定方法を説明するための図である。
図7】設定温度及び設定湿度の決定方法を説明するための図である。
図8】画像データの環境情報に含まれる温度及び湿度を設定温度及び設定湿度に変換する方法を説明するための図である。
図9】画像データの環境情報に含まれる温度及び湿度を設定温度及び設定湿度に変換する方法を説明するための図であり、(a)は湿度が設定可能エリア外である場合、(b)は温度及び湿度が設定可能エリア外である場合を示す。
図10】設定風量の決定方法を説明するための図である。
図11図1の移動端末のタッチパネルに表示される指示入力画面を示す図である。
図12図11の指示入力画面を示す図であり、(a)は第1メッセージが表示されたもの、(b)は第2メッセージが表示されたものある。
図13図1の移動端末で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態にかかる空調制御システム1について、図面を参照しつつ説明する。
【0045】
<空調制御システム1の全体構成>
図1に示すように、本実施形態の空調制御システム1は、空気調和機2と移動端末4とを、通信ネットワークを介して相互に通信可能とすることにより構築されている。通信ネットワークは、家庭内ネットワーク7、外部通信インターフェース8、及びインターネット9により構成される。
【0046】
図2に示すように、空気調和機2は、空気調和運転の制御を行う制御部21と、空気調和を行う空間の環境情報である温度及び湿度を検知する室内センサ22aと、室外の温度を検知する室外センサ22bと、通信部23とを備えている。通信部23は、家庭内ネットワーク7を介して移動端末4と情報の通信を行う機能を有しており、移動端末4に情報を送信するとともに、移動端末4から送信された情報を受信できる。具体的には、通信部23は、室内センサ22aで検知された温度及び湿度の環境情報、及び室外センサ22bで検知された温度を移動端末4に送信し、後で詳述するように移動端末4から送信される運転指示信号を受信する。制御部21は、移動端末4から送信された運転指示信号に基づいて、空間の空気調和を行う。
【0047】
移動端末4は、例えばスマートフォンなどの液晶端末であって、図3に示すように、表示手段及びユーザからの入力を受け付ける受付手段の機能を兼ねるタッチパネル41と、画像を撮影するためのカメラ42と、現在の時刻を計時する計時部43と、GPS衛星からの電波を受信するGPS受信機44と、家庭内ネットワーク7又はインターネット9に接続して情報の通信を行う機能を有する通信部45と、制御部5とを備えている。また、移動端末4は、たとえばマイクロUSBなどの接続端子を備えており、温度、湿度、及び風量を検知するセンサ6が接続されている。
【0048】
制御部5には、移動端末4にかかる各種動作の制御プログラムやデータなどが格納されたROM、移動端末4の各部の動作を制御する信号を生成するために各種演算を実行するCPU、各種設定やCPUでの演算結果などのデータを一時保管するRAMなどの部材が含まれている。これら各種部材およびソフトウェアによって、図3に示すように、環境情報取得部51と、撮影時刻取得部52、撮影位置取得部53と、画像記憶部54と、表示制御部55と、選択部56と、運転設定決定部57と、比較部58とが形成されている。制御部5は、タッチパネル41、カメラ42、計時部43、GPS受信機44、通信部45、及びセンサ6に接続されている。
【0049】
環境情報取得部51は、カメラ42で撮影した画像の撮影時の環境情報を取得する。具体的には、カメラ42により画像を撮影する時に、センサ6で検知された温度、湿度、及び風量の環境情報を取得する。なお、環境情報取得部51は、センサ6を移動端末4に接続していない状態で画像が撮影された場合は、この画像の環境情報を撮影後にインターネット9を介して取得することができる。具体的には、後で詳述するように撮影時刻取得部52で取得される撮影時刻、及び撮影位置取得部53で取得される撮影位置と一致する時刻及び位置における、温度、湿度、及び風量の情報をインターネット9上から取得する。
【0050】
撮影時刻取得部52は、計時部43で計時された時刻に基づいて、カメラ42での撮影時の時刻の情報を取得する。撮影位置取得部53は、GPS受信機44で受信されたGPS衛星からの電波に基づいて、カメラ42での撮影時の位置(経度、緯度等)の情報を取得する。
【0051】
画像記憶部54は、カメラ42により撮影した複数の画像の画像データを記憶する。また、画像記憶部54は、例えばExif形式等の規格で画像データを記憶しており、画像データと、この画像データにかかる画像のメタデータとを関連付けて記憶する。メタデータの項目としては、図4に示すように、撮影時刻、画像形式、画像の縦・横のピクセル数、撮影位置、及びメーカーノート等がある。撮影時刻の項目には、撮影時刻取得部52が取得した撮影時刻が記憶される。撮影位置の項目には、撮影位置取得部53が取得した撮影位置が記憶される。また、メーカーノートの項目には、環境情報取得部51が取得した環境情報が記憶される。画像記憶部54に記憶されている画像データは、環境情報を含むメタデータと共に、インターネット9を介して別の移動端末4に送信することができる。
【0052】
表示制御部55は、タッチパネル41への出力を制御する。具体的には、ユーザが画像記憶部54に記憶されている複数の画像データの中から1つを選択するための選択画面70(図5参照)と、空気調和機2に対して運転指示信号を送信するための指示入力画面80(図11、及び図12(a)、(b)参照)とをタッチパネル41に表示する。選択画面70では、図5に示すように、画像記憶部54に記憶されている複数の画像データにかかる画像の複数のサムネイル画像61が表示される。指示入力画面80の詳細については、後述する。
【0053】
選択部56は、ユーザがタッチパネル41に表示された複数のサムネイル画像61のうちの1つをタッチしたときにタッチパネル41から出力される信号に基づいて、画像記憶部54に記憶されている複数の画像データの中から1つを選択する。すなわち、画像記憶部54に記憶されている複数の画像データの中から、ユーザがタッチしたサムネイル画像61に対応する画像データを選択する。
【0054】
運転設定決定部57は、選択部56により選択された画像データの環境情報から、空気調和機2の運転設定を決定する。ここで、空気調和機2を運転する際には、運転モード、設定温度、設定湿度、及び設定風量を決定する必要がある。運転モードは、暖房モード、冷房モード、及び自動モードの3つのモードのいずれかである。設定温度は、例えば、運転モードが暖房モードである場合には14℃〜30℃の間で、冷房モードである場合には18℃〜32℃の間で1℃刻みで設定できる。設定湿度は、例えば、40%、45%、50%、55%、60%の5段階で設定できる。設定風量は、風量0.5のしずか運転、風量1、風量2、風量3、風量4、風量5及び風量8のターボの7段階で設定できる。運転設定決定部57は、選択部56により選択された画像データの環境情報から、運転モード、設定温度、設定湿度、及び設定風量の各運転設定を決定する。運転設定決定部57で決定された運転設定は、運転指示信号として空気調和機2に送信される。
【0055】
運転モードは、図6に示すように、室外温度が、18℃未満の場合は暖房モードに、18℃以上、且つ、21℃未満の場合は自動モードに、21℃以上の場合は冷房モードに決定される。
【0056】
ここで、図7を参照しつつ、設定温度及び設定湿度についてより詳細に説明する。図7に示すように、設定可能な温度の範囲を温度T1〜T2とし、設定可能な湿度の範囲を湿度H1〜H2とすると、斜線で示すエリアが空気調和機2に対して運転の設定を行うことができる設定可能エリアである。図7においては、設定可能エリアに、破線で示す1℃刻みの縦線と5%刻みの横線とで正方形のマス目が描かれている。このマス目の縦線と横線との交点に対応する値が設定可能値となる。すなわち、運転設定決定部57は、画像データの環境情報に含まれている温度及び湿度を設定可能値に変換する必要がある。なお、図7に示すように、設定可能エリア内には、快適ゾーン(図7において黒塗りで示すエリア)が予め定められている。本実施形態では、画像データの環境情報に含まれている温度及び湿度を、快適ゾーンに近い設定可能値に変換する。
【0057】
次に、画像データの環境情報が、温度Tr、湿度Hr、風量Frである場合の運転設定の決定方法について説明する。設定温度及び設定湿度は、まず、図7において点rで示すように、画像データの環境情報の温度Tr及び湿度Hrをプロットする。次に、図8に示すように、点rが位置するマス目の四隅の点a、b、c、dの4点をピックアップする。続いて、点a、b、c、dの4点のうち、快適ゾーンから最も遠い点である点bを除く点a、c、dの3点と点rまでのそれぞれの距離A、C、Dを測定する。そして、点a、c、dのうち、点rとの距離が最も短い点における設定可能値を、設定温度及び設定湿度に決定する。なお、点rとの距離が最も短い点が複数ある場合には、快適ゾーンに最も近い点における設定可能値を、設定温度及び設定湿度に決定する。快適ゾーンまでの距離も同じ場合には、温度が快適ゾーンに近い点における設定可能値を、設定温度及び設定湿度に決定する。なお、快適ゾーン内には温湿度の最適ポイントが存在し、快適ゾーンまでの距離も同じ、且つ、温度の快適ゾーンまでの近さも同じ2点の場合は、温度がこの最適ポイントに近い点における設定可能値を、設定温度及び設定湿度に決定する。
【0058】
なお、画像データの環境情報の温度Tr及び湿度Hrをプロットした点が、図7において斜線で示す設定可能エリア外に位置している場合について説明する。図7に示すように、斜線で示される設定可能エリアの周囲には、ドットで示される設定値変換可能エリアが設けられている。設定値変換可能エリアは、温度が設定可能温度範囲±0.5℃の範囲、及び/又は、湿度が設定可能湿度範囲±5%の範囲である。
【0059】
画像データの環境情報の温度Tr及び湿度Hrのいずれか一方が設定可能な範囲外であり、図7において点r0で示すように、温度Tr及び湿度Hrをプロットした点がドットで示される設定値変換可能エリアに位置している場合には、図9(a)に示すように、設定可能エリア内のマス目の複数の交点のうち、点r0との距離が最も短い点eと2番目に短い点fとの2点をピックアップする。次に、点e、点fの2点のうち、快適ゾーンに近い方の点fにおける設定可能値を、設定温度及び設定湿度に決定する。なお、点e、点fの2点の快適ゾーンまでの距離が同じ場合には、点r0との間の距離が短い方の点における設定可能値を、設定温度及び設定湿度に決定する。
【0060】
画像データの環境情報の温度Tr及び湿度Hrの両方が設定可能な範囲外であり、図7において点r1で示すように、温度Tr及び湿度Hrをプロットした点がドットで示される設定値変換可能エリアに位置している場合には、図9(b)に示すように、設定可能エリア内のマス目の複数の交点のうち、点r1との距離が最も短い点gにおける設定可能値を、設定温度及び設定湿度に決定する。
【0061】
なお、画像データの環境情報の温度Trが設定可能温度範囲±0.5℃の範囲外である場合、及び/又は、湿度Hrが設定可能湿度範囲±5%の範囲外である場合、すなわち、温度Tr及び湿度Hrをプロットした点が、図7においてドットで示される設定値変換可能エリアの外側に位置している場合には、通信部45による空気調和機2への温度及び湿度の運転設定の送信は行われない。
【0062】
設定風量は、図10に示すように、風量Frが0以上、且つ、0.5未満の場合にはしずか運転に決定し、0.5以上、且つ、1.5未満の場合には風量1に決定し、1.5以上、且つ、2.5未満の場合は風量2に決定し、2.5以上、且つ、3.5未満の場合は風量3に決定し、3.5以上、且つ、4.5未満の場合は風量4に決定し、4.5以上、且つ、5.5未満の場合は風量5に決定し、5.5以上、且つ、8.5未満の場合はターボに決定する。風量Frが、8.5以上である場合は、通信部45による空気調和機2への風量の運転設定の送信は行われない。
【0063】
ここで、表示制御部55によりタッチパネル41に表示される指示入力画面80について説明する。図11に示すように、指示入力画面80には、現在の設定内容と、選択部56で選択された画像データのサムネイル画像と、運転設定決定部57で決定された運転モード、設定温度、設定湿度、及び設定風量の各設定内容が表示される。また、指示入力画面80には、運転指示をキャンセルするためのキャンセルボタン81と、運転指示を決定するための決定ボタン82とが表示される。運転モード、設定温度、設定湿度、及び設定風量の各項目の表示領域の横にはチェックボックス83が表示されており、ユーザは、チェックボックス83にチェックを入れることで、運転モード、設定温度、設定湿度、及び設定風量のうち、空気調和機2に運転指示信号として送信する設定内容を選択できる。
【0064】
選択部56で選択された画像データの環境情報の温度Trが設定可能温度範囲±0.5℃の範囲外である場合や、湿度Hrが設定可能湿度範囲±5%の範囲外である場合や、風量Frが−0.5未満又は4.5以上である場合には、図12(a)に示すように、その旨をユーザに報知する第1メッセージ85が表示される。また、温度Trが設定可能温度範囲±0.5℃の範囲外である場合、及び/又は、湿度Hrが設定可能湿度範囲±5%の範囲外である場合は、運転モード、設定温度、及び設定湿度のチェックボックス83は入力不可となる。風量Frが−0.5未満又は4.5以上である場合には、設定風量のチェックボックス83は入力不可となる。なお、全てのチェックボックス83が入力不可であり、空気調和機2にいずれの運転指示信号も送信できない場合には、決定ボタン82は表示されない。
【0065】
比較部58は、選択部56によって選択された画像データに対応する環境情報の温度及び湿度のパラメータと、空気調和機2から送信された空気調和を行う空間の温度及び湿度のパラメータとを比較する。比較部58による比較の結果、両者の差が所定範囲以内である場合には、図12(b)に示すように、その旨をユーザに報知するための第2メッセージ86が指示入力画面80に表示される。具体的には、画像データに対応する環境情報の温度と、空気調和を行う空間の温度との差が0.5℃以内である場合、及び画像データに対応する環境情報の湿度と、空気調和を行う空間の湿度との差が5%以内である場合に、指示入力画面80に第2メッセージ86を表示する。
【0066】
次に、図13を参照しつつ、空気調和機2に運転指示信号を送信する際に移動端末4で行われる処理の手順の一例について説明する。この処理は、移動端末4にインストールされているアプリケーションソフトを起動することによって開始される。
【0067】
まず、空調空間の温度及び湿度の環境情報、及び室外の温度を取得する(S1)。具体的には、空気調和機2対して、室内センサ22aで検知された温度及び湿度と、室外センサ23bで検知された温度を送信するよう要求する信号を送信する。そして、この信号に応じて空気調和機2から送信された温度及び湿度の環境情報を取得する。
【0068】
次に、図5に示すような選択画面70をタッチパネル41に表示する(S2)。そして、ユーザにより選択画面70に表示された複数のサムネイル画像61のうちの1つが選択されたか否かを判断する(S3)。ステップS3の処理は、サムネイル画像61の選択が行われたと判断されるまで繰り返し行われる。そして、サムネイル画像61の選択が行われたと判断された場合には(S3:YES)、タッチパネル41から出力される信号に基づいて、画像記憶部54に記憶された画像データの中から、ユーザがタッチしたサムネイル画像61に対応する画像データを選択する(S4)。
【0069】
続いて、ステップS4で選択された画像データに環境情報が含まれているか否かを判断する(S5)。環境情報が含まれていると判断した場合には(S5:YES)、後述するステップS6の処理を省略してステップS7に進む。一方、環境情報が含まれていないと判断した場合には(S5:NO)、画像データに含まれている撮影時刻及び撮影位置と一致する時刻及び位置における温度、湿度、及び風量の情報をインターネット9上から取得する(S6)。
【0070】
ステップS4で選択された画像データの環境情報に基づいて、運転モード、設定温度、設定湿度、及び設定風量の各運転設定を決定する(S7)。そして、タッチパネル41に、図11、及び図12(a)、(b)に示すような指示入力画面80を表示する。その後、指示入力画面80においてユーザによりキャンセルボタン81の操作が行われたか否かを判断する(S9)。キャンセルボタン81の操作が行われたと判断した場合には(S9:YES)、ステップS2に戻って、選択画面70をタッチパネル41に表示する。
【0071】
一方、キャンセルボタン81の操作が行われていないと判断した場合には(S9:NO)、指示入力画面80においてユーザにより決定ボタン82が操作されたか否かを判断する(S10)。決定ボタン82が操作されていないと判断した場合には(S10:NO)、ステップS9に戻って、キャンセルボタン81の操作が行われたか否かの判断を繰り返す。決定ボタン82が操作されたと判断した場合には(S10:YES)、運転指示信号を空気調和機2に送信する(S11)。
【0072】
<本実施形態の空調制御システムの特徴>
以上のように、本実施形態の空調制御システム1は、空気調和機2と、カメラ42を備えており且つ空気調和機2に情報を送信可能な移動端末4とにより構築されており移動端末4は、カメラ42で撮影した画像の撮影時の環境情報を空気調和機2に送信し、空気調和機2は、移動端末4から送信された環境情報に基づいて空間の空気調和を行う。したがって、画像の撮影時の環境情報に基づいて空気調和を行うことができる。よって、撮影時に体験した環境を再現できるので、思い描く空調を確実に再現できる。
【0073】
また、本実施形態の空調制御システム1では、移動端末4は、温度、湿度、及び風量を検知可能なセンサ6を接続可能であり、カメラ42により画像を撮影する時に、センサ6から温度、湿度、及び風量の環境情報を取得する。したがって、画像を撮影する時にセンサ6により検知された環境情報を取得し、その環境情報を画像記憶部54に記憶するので、撮影時の環境情報を確実に記憶できる。
【0074】
さらに、本実施形態の空調制御システム1では、移動端末4は、計時部43で計時された時刻に基づいて、カメラ42での撮影時の時刻の情報を取得し、GPS受信機44で受信されたGPS衛星からの電波に基づいて、カメラ42での撮影時の位置の情報を取得する。そして、この撮影時刻及び撮影位置に対応する環境情報をインターネット9を介して取得する。したがって、センサ6を接続していない状態で撮影した画像であっても、撮影時刻及び撮影位置の環境特定情報に基づいてインターネット9上から撮影時の環境情報を取得できる。
【0075】
加えて、本実施形態の空調制御システム1では、移動端末4は、タッチパネル41からの出力信号に基づいて、画像記憶部54に記憶された画像データの中の1つを選択する選択部56を備えている。そして、選択部56により選択された画像データの環境情報に対応する運転指示信号を空気調和機2に送信する。したがって、画像記憶部54に記憶されている画像データの中からユーザにより選択された画像データにかかる画像の撮影時の環境を再現できる。
【0076】
さらに、本実施形態の空調制御システム1では、移動端末4は、画像記憶部54に記憶されている画像データにかかるサムネイル画像61を表示する選択画面70をタッチパネル41に表示する。タッチパネル41は、選択画面70に表示されたサムネイル画像61の中の1つを決定する指示を受け付け可能である。したがって、ユーザは、選択画面70に表示された複数のサムネイル画像61の中から、撮影時の環境の再現を望む画像を容易に選択できる。
【0077】
また、本実施形態の空調制御システム1では、移動端末4は、選択部56によって選択された画像データに対応する環境情報の温度Trが設定可能温度範囲±0.5℃の範囲外である場合や、湿度Hrが設定可能湿度範囲±5%の範囲外である場合や、風量Frが−0.5未満又は4.5以上である場合には、ユーザにその旨を報知する第1メッセージ85をタッチパネル41に表示する。したがって、環境情報のパラメータが、空気調和機2で再現することができない大きさである場合に、その旨をユーザに報知できる。
【0078】
また、本実施形態の空調制御システム1では、選択部56によって選択された画像データに対応する環境情報の温度Trが設定可能温度範囲±0.5℃の範囲外である場合、及び/又は、湿度Hrが設定可能湿度範囲±5%の範囲外である場合に、運転モード、設定温度、及び設定湿度の運転指示信号を空気調和機2に送信しない。また、選択部56によって選択された画像データに対応する環境情報の風量Frが、−0.5未満である場合及び4.5以上である場合に、設定風量の運転指示信号を空気調和機2に送信しない。したがって、環境情報のパラメータの大きさが、空気調和機2で再現することができない大きさである場合に、その環境情報に対応する運転指示信号を空気調和機2に送信しないようにできる。
【0079】
加えて、本実施形態の空調制御システム1では、空気調和機2は、空気調和を行う空間の温度及び湿度を検知する室内センサ22aを備えている。移動端末4は、選択部56によって選択された画像データに対応する環境情報の温度及び湿度のパラメータと、室内センサ22aによって検出された温度及び湿度のパラメータとを比較し、両者の差が所定値以内である場合に、ユーザにその旨を報知する第2メッセージ86を指示入力画面80に表示する。したがって、空調空間の温度及び湿度と、選択された画像データに対応する環境情報の温度及び湿度との差が小さく、空気調和の必要性が低い場合に、その旨をユーザに報知できる。
【0080】
さらに、本実施形態の空調制御システム1では、環境情報は、温度、湿度、及び風量に関するパラメータを含んでいる。したがって、撮影時の温度、湿度、及び風量を空調により再現できる。
【0081】
加えて、本実施形態の空調制御システム1では、移動端末4は、インターネット9を介して、画像記憶部54に記憶されている画像データを、当該画像データに対応する環境情報と共に別の移動端末4に送信できる。したがって、撮影時の環境を別の移動端末4の所有者と共有できる。
【0082】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。
【0083】
例えば、上述の実施形態では、空気調和機2と移動端末4とが、家庭内ネットワーク7、外部通信インターフェース8、及びインターネット9により構成される通信ネットワークを介して相互通信可能である場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、空気調和機2と移動端末4との通信は、インターネット9に接続されていない家庭内ネットワーク7や、赤外線通信等の通信ネットワーク以外の手段で行われてもよい。また、空気調和機2と移動端末4とは相互通信可能である必要はなく、移動端末4から空気調和機2への情報の送信が可能であればよい。
【0084】
また、上述の実施形態では、移動端末4は、選択部56により選択された画像データの環境情報から、運転モード、設定温度、設定湿度、設定風量の各運転設定を決定し、この運転設定を運転指示信号として空気調和機2に送信する場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、移動端末4は、選択部56により選択された画像データの環境情報を運転指示信号として空気調和機2に送信し、空気調和機2で運転設定の決定を行ってもよい。
【0085】
また、上述の実施形態では、移動端末4は、温度、湿度、及び風量を検知可能なセンサ6を接続可能である場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、移動端末4はセンサ6を内蔵していてもよい。さらに、空調制御システム1は、センサ6を備えていなくてもよい。この場合、画像記憶部54には、画像データにかかる画像の撮影時刻及び撮影位置に基づいてインターネット9を介して取得した環境情報が記憶される。
【0086】
さらに、上述の実施形態では、移動端末4は、計時部43で計時された時刻に基づいて、カメラ42での撮影時の時刻の情報を取得し、且つ、GPS受信機44で受信されたGPS衛星からの電波に基づいて、カメラ42での撮影時の位置の情報を取得し、この撮影時刻及び撮影位置に対応する環境情報をインターネット9を介して取得する場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、撮影時刻及び撮影位置のいずれか一方に対応する環境情報をインターネット9を介して取得してもよい。また、撮影時刻及び撮影位置は取得しなくてもよい。
【0087】
また、上述の実施形態では、画像記憶部54に記憶されている画像データにかかるサムネイル画像61を表示する選択画面70をタッチパネル41に表示する場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、サムネイル画像61に替えて、画像記憶部54に記憶されている画像データのファイル名や撮影日等を選択画面70に表示してもよい。
【0088】
加えて、上述の実施形態では、移動端末4は、選択部56によって選択された画像データに対応する環境情報のパラメータが所定範囲外である場合に、ユーザにその旨を報知する第1メッセージ85をタッチパネル41に表示し、且つ、この環境情報に対応する運転指示信号を空気調和機2に送信しない場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、第1メッセージ85に替えて音声等の別の手段で報知してもよい。また、ユーザへの報知は行われなくてもよい。さらに、画像データに対応する環境情報のパラメータが所定範囲外であっても、運転指示信号を空気調和機2に送信するようにしてもよい。
【0089】
また、上述の実施形態では、移動端末4は、選択部56によって選択された画像データに対応する環境情報の温度及び湿度のパラメータと、空調空間の温度及び湿度のパラメータとを比較する比較部58を有しており、両者の差が所定値以内である場合に、ユーザにその旨を報知する第2メッセージ86を指示入力画面80に表示する場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、第2メッセージ86に替えて音声等の別の手段で報知してもよい。また、ユーザへの報知は行われなくてもよい。さらに、比較部58は、空気調和機2の制御部21に備えられていてもよい。
【0090】
さらに、上述の実施形態では、空気調和機2が空調空間の温度及び湿度を検知する室内センサ22aを備えている場合について説明したが、移動端末4に接続されたセンサ6により空調空間の温度及び湿度を検知してもよい。
【0091】
また、上述の実施形態では、環境情報は、温度、湿度、及び風量に関する3つのパラメータを含んでいる場合について説明したが、環境情報は、温度、湿度、及び風量に関する3つのパラメータのうちの少なくとも1つを含んでいればよい。
【0092】
さらに、上述の実施形態では、移動端末4は、インターネット9を介して、画像記憶部54に記憶されている画像データを、当該画像データに対応する環境情報と共に別の移動端末4に送信できる場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、移動端末4は、赤外線通信などの手段により、画像データを環境情報と共に別の移動端末4に送信可能であってもよい。また、移動端末4は、画像データを環境情報と共に別の移動端末4に送信できなくてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 空調制御システム
2 空気調和機
4 移動端末
6 センサ(第1センサ)
21 制御部(制御手段)
22a 室内センサ(第2センサ)
41 タッチパネル(画像表示手段)
42 カメラ(撮影手段)
45 通信部(第1通信手段、第2通信手段)
51 環境情報取得部(環境情報取得手段)
52 撮影時刻取得部(環境特定情報取得手段)
53 撮影位置取得部(環境特定情報取得手段)
54 画像記憶部(画像記憶手段)
55 表示制御部(第1報知手段)
56 選択部(選択手段)
58 比較部(比較手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13