(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態に係る作業車両について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態によってこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0025】
実施形態に係る作業車両を、走行しながら圃場に苗を植え付ける苗移植機1として説明する。
図1は、実施形態に係る作業車両としての苗移植機1を示す側面図、
図2は、同苗移植機1を示す平面図である。
【0026】
なお、以下では、苗移植機1の前進方向を前方側(
図1および
図2の左側)とし、苗移植機1の後退方向を後方側(
図1および
図2の右側)とする。また、苗移植機1の前後方向に直交する直交方向を左右方向とし、前進方向の右側を右側(
図2の上側)、前進方向の左側を左側(
図2の下側)とする。そして、苗移植機1の前後方向に直交する鉛直方向を上下方向とする。
【0027】
図1および
図2に示すように、苗移植機1は、圃場を走行する走行車体2と、走行車体2の後部(後方側)に装着された苗植付機3(作業機)とを備える。そして、苗植付機3は、着脱機構6(
図3〜
図5Bを参照)を介して走行車体2に着脱自在に連結される。
【0028】
走行車体2は、走行するための左右一対の前輪12a,12aおよび左右一対の後輪(走行輪)12b,12bからなる4つの車輪12を有し、かかる4つの車輪12を駆動輪とする4輪駆動車である。走行車体2は、メインフレーム10と、メインフレーム10に搭載されたエンジン11や動力伝達機構4などを備える。かかる苗移植機1において、エンジン11の駆動力は、走行車体2を前進または後退させるために使用されるだけでなく、苗植付機3を駆動させるためにも使用される。
【0029】
エンジン11は、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関であって、図示しない出力軸から駆動力を出力する。エンジン11は、走行車体2の左右方向における略中央で、かつ、作業者が乗車時に足を載せるフロアステップ20よりも上方に突出させた状態で配置される。
【0030】
フロアステップ20は、走行車体2の前部(前方側)とエンジン11の後部(後方側)との間に亘って設けられており、メインフレーム10上に取り付けられる。フロアステップ20は、その一部が格子状となっており、靴に付いた泥を圃場に落とせる構造となっている。また、フロアステップ20の後方には、後輪12b,12bのフェンダを兼ねたリアステップ21が設けられる。このリアステップ21は、後方に向かうにしたがって上方に向かって傾斜する傾斜面を有し、エンジン11の左右側方にそれぞれ配置される。
【0031】
エンジン11は、これらのフロアステップ20とリアステップ21とから上方に突出しており、これらのステップから突出している部分には、エンジン11を覆うエンジンカバー14が配設される。すなわち、エンジンカバー14は、フロアステップ20とリアステップ21とから上方に突出した状態でエンジン11を覆う。
【0032】
また、走行車体2には、エンジンカバー14の上部に操縦席22が設置される。そして、操縦席22の前方であって、かつ走行車体2の前部には、フロントカバー23が配設される。このフロントカバー23は、フロアステップ20の床面から上方に突出した状態で配置されており、フロアステップ20の前方側を左右に分断している。
【0033】
このフロントカバー23の前端中央位置には、走行の指標となるセンターマスコット300が取り付けられる。このセンターマスコット300については、後に詳述する。
【0034】
また、フロントカバー23の内側上部には、操作パネル等の操作装置が設けられるとともに、その内部には、苗移植機1の走行や作業などを実行するための各処理を制御する制御部8やステアリング機構やエンジン用燃料の燃料タンクなどが収納される。また、フロントカバー23の上部には、各種操作レバーや各種操作具や計器類、さらにはハンドル24が配設される。このハンドル24は、作業者が回転操作することにより、前輪12a,12aをステアリング操舵する操舵部材として設けられており、フロントカバー23内のステアリング機構等を介して前輪12a,12aをステアリング操舵(転舵)させることができる。
【0035】
フロントカバー23の上部に設けられた各種操作レバーとしては、走行車体2の前後進、停止及び移動速度を切り換える主変速レバー81や、走行車体2が路上を走行する「路上走行モード」と、走行車体2が走行しながら圃場に苗を植え付ける「作業走行モード」とを切り換える副変速レバー(不図示)が配設される。
【0036】
また、主変速レバー81のグリップ部には、苗移植機1をトラックなどに積み込む際の「積載モード」と通常使用時の「通常モード」とに切り替えるモード切替スイッチ82が配設される。モード切替スイッチ82は、指操作可能なレバーであり、これを上に操作すると、第1上昇モードである「通常モード」から、第2上昇モードである「積載モード」に変わる。かかるモード切替スイッチ82は、制御部8に接続しており(
図8参照)、制御部8は、モード切替スイッチ82の切替操作を検出してモード切替を実行する。
【0037】
本実施形態の「通常モード」では、例えばフロントカバー23の上部に設けられた作業機上昇スイッチ84を操作して苗植付機3を上昇させる場合、苗植付機3は最大上昇位置まで上昇する。他方、「積載モード」においては、同じように作業機上昇スイッチ84を操作しても、苗植付機3の上昇は、最大上昇位置よりも下方に設定された所定位置までに規制される。
【0038】
したがって、例えば、苗移植機1をトラックなどに積み込む場合、苗植付機3の高さ調整が容易となり、わずらわしい操作をすることなく、安全に苗移植機1の積込みが行える。
【0039】
また、フロントカバー23の上部には、他のスイッチ類、例えば、苗植付機3を昇降リンク機構32から外すための作業機分離スイッチ83などが設けられる。作業機分離スイッチ83については、後に詳述する。また、各種操作具としては、苗植付機3が圃場に植え付ける苗の間隔(走行車体2の進行方向における苗の植付間隔)を変更する株間変更ダイヤル(図示せず)が配設される。
【0040】
さらに、フロントカバー23の上部に設けられる各種操作レバーとしては、整地装置5の高さを調整する整地高さ調整レバー(図示せず)が配設される。なお、フロントカバー23内には、整地高さ調整レバーの操作位置を検知する図示しない検知センサが配設される。また、フロントカバー23の上部などには、苗植付機3を動作させるための作業用スイッチ類(図示せず)が設けられる。
【0041】
また、
図2に示すように、フロントカバー23における走行車体2の操縦席22から作業者が視認可能な位置には、後に詳述する着脱機構6に関する報知ランプ19が設けられる。すなわち、報知ランプ19は、着脱機構6の受けヒッチ61と取付ヒッチ62との接近を検出したこと、さらには受けヒッチ61と取付ヒッチ62とが連結されたことを報知する。かかる報知ランプ19は、例えば、近接検出スイッチ66が受けヒッチ61と取付ヒッチ62との接近を検出すると点滅し、受けヒッチ61と取付ヒッチ62とが連結されると点灯する構成とする。なお、ランプに代えて、音で報知するブザーなどを用いたり、ランプとブザーとを併用したりすることもできる。
【0042】
フロアステップ20におけるフロントカバー23の左右それぞれの側方に位置する部分には、補給用の苗を載せておく予備苗載台25が配置される。本実施形態における予備苗載台25は、フロアステップ20の床面から突出した支持軸(鉛直軸)によって回転自在に支持されており、作業者の手によって回動させることが可能である。
【0043】
すなわち、予備苗載台25は、3つの予備苗載台25が縦方向に3段に並ぶ積層状態(
図1参照)と、前方位置25aおよび後方位置25bまで延びて前後方向に並ぶ略水平状態(
図2参照)とに姿勢を変更する可動式としている。
【0044】
そして、本実施形態では、かかる可動式の予備苗載台25を、水平状態に延ばした場合は、予備苗の補給や補充であると想定できるため、制御部8は、例えば、エンジン回転をローアイドルに強制的に設定する制御を行うようにしている。通常、エンジン11の回転数は、調整ボリューム(不図示)で設定した回転数が維持されていたが、かかる制御を行うことにより、燃費性能を向上させることができるとともに、振動や騒音の低減をも図ることができる。
【0045】
また、走行車体2の操縦席22の後方には施肥装置26が設けられる。施肥装置26は、肥料ホッパ27に貯留されている粒状の肥料を植付作業中に一定量ずつ圃場に放出する。
【0046】
本実施形態では、かかる肥料ホッパ27の蓋271を開けた場合、肥料の補充中であると想定できるため、制御部8は、例えば、エンジン回転をローアイドルに強制的に設定する制御を行う。かかる制御を行うことによっても、燃費性能を向上させることができるとともに、振動や騒音の低減を図ることができる。
【0047】
苗植付機3は、走行車体2の後部に連結されるとともに、苗を圃場に植え付ける苗植付部30と、苗植付部30を走行車体2に対して昇降させる苗植付部昇降機構31とを備える。苗植付部昇降機構31は、走行車体2の後部に設けられた作業機連結装置である昇降リンク機構32を有し、苗植付部30は、この昇降リンク機構32を介して走行車体2に取り付けられる。
【0048】
昇降リンク機構32は、走行車体2の後部と苗植付部30とを連結させる上リンク32aと下リンク32bとを備える。そして、上リンク32aおよび下リンク32bの一端側が、メインフレーム10の後部端に立設した背面視門型のリンクベースフレーム33に回動自在に連結され、上リンク32aおよび下リンク32bの他端側が苗植付部30に回転自在に連結される。かかる構成により、苗植付部30を昇降可能に走行車体2に連結することができる。
【0049】
また、苗植付部昇降機構31は、連結装置昇降部として、エンジン11の駆動力により発生する油圧によって伸縮する油圧昇降シリンダ34を有する。この油圧昇降シリンダ34の伸縮動作によって、昇降リンク機構32は苗植付部30を昇降させることが可能となる。こうして、苗植付部昇降機構31は、苗植付部30を、非作業位置まで上昇させたり、対地作業位置(苗の植付位置)まで下降させたりすることが可能である。
【0050】
苗植付部30は、苗の植付範囲を複数の区画あるいは複数の列で、苗を圃場に植え付けることができる。本実施形態に係る苗植付部30は、苗を6つの区画で植え付ける、いわゆる6条植タイプである。
【0051】
また、苗植付部30は、昇降リンク機構32により昇降自在に設けられた植付フレーム(図示せず)と、植付機構36と、走行車体2の後部に設けられた苗載台37と、フロート38とを備える。植付フレームは、着脱機構6を介して、昇降リンク機構32の上リンク32aと下リンク32bの後端が取り付けられる。苗載台37は、植付フレームに重ねられるなどして設けられており、植付フレーム、着脱機構6などを介して走行車体2の後部に昇降自在に配置される。
【0052】
植付機構36は、苗載台37の下方に配置され、かつ苗載台37に積載された苗を圃場に植え付ける。この植付機構36は、2条毎に一つずつ配設されており、2条分の複数の植込杆36cを備えている。本実施形態では、植付機構36は、合計三つ設けられ、各植付機構36は、1条につき植込杆36cを二つ備えている。また、植付機構36は、植付フレームの下端部から後方に延びた伝動ケース36aと、中央部を中心に伝動ケース36aに回転自在に設けられた回転支持部36bを備えている。
【0053】
回転支持部36bは、各条に対応した二つの植込杆36cを両端部それぞれに回転自在に支持している。回転支持部36bは、エンジン11からの駆動力により中央部を中心として回転されるとともに、エンジン11からの駆動力により二つの植込杆36cを回転させる。
【0054】
植付機構36は、回転支持部36bが中央部を中心として回転されながら、植込杆36cが回転支持部36bの両端部で回転されることで、植込杆36cが苗載台37に積載された苗を圃場に植え付ける。
【0055】
フロート38は、走行車体2の移動と共に、圃場上を滑走して整地する。フロート38は、走行車体2の左右方向における苗植付部30の中央に設けられた一つのセンターフロート38aと、該センターフロート38aの左右両側にそれぞれ設けられたサイドフロート38b,38bとの3枚で構成される。
【0056】
また、各フロート38a,38bは、圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられる。苗植付機3は、センターフロート38aの上下動を検知するフロートセンサ807(
図8参照)を設けており、植付作業時には、センターフロート38aの前部の上下動がフロートセンサ807により検知される。そして、その検知結果に応じて制御部8により油圧昇降シリンダ34を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部30を昇降させることにより、苗植付機3は、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0057】
また、サイドフロート38bは、図示しないモータなどの駆動源により前端部を圃場に押し付ける力が変更可能となっている。さらに、サイドフロート38bには、圃場の水深を検知可能な水深センサ(図示せず)、圃場の硬軟を検知可能な硬軟センサ(図示せず)などが取り付けられる。また、苗植付機3の苗植付部30には、前後方向に沿う図示しない軸心回りの苗植付機3の姿勢(左右の回動角度)を検出する図示しない水平センサが取り付けられる。
【0058】
次に動力伝達機構4について説明する。動力伝達機構4は、主変速機としての油圧式無段変速機15と、この油圧式無段変速機15にエンジン11からの駆動力を伝えるベルト式動力伝達機構16と、植付伝動機構(不図示)とを備える。先ず、油圧式無段変速機15について説明する。
【0059】
油圧式無段変速機15は、HST(Hydro Static Transmission)と呼ばれる静油圧式の無段変速機として構成される。油圧式無段変速機15は、エンジン11からの駆動力で駆動する油圧ポンプと、油圧ポンプによって発生させた油圧により機械的な力(回転力)を出力する油圧モータとを有する。
【0060】
油圧ポンプによって発生させた油圧は、油圧モータを作動させるだけでなく、後述する苗植付部昇降機構31の油圧昇降シリンダ34を作動させるためにも用いられる。また、油圧式無段変速機15は、エンジン11の駆動力が入力される油圧ポンプの入力軸に対して傾斜可能な図示しない斜板と、走行車体2の目標とする走行速度に応じて斜板の傾斜角を変更させるサーボモータであるHSTモータ151とを有する。斜板は、油圧ポンプの入力軸に対して傾斜させることで、油圧ポンプから油圧モータへ向けて供給される作動油の流量を可変させる。
【0061】
斜板の傾斜角を変更させるHSTモータ151は、制御部8に接続されており(
図8参照)、制御部8は、走行車体2の目標とする走行速度に応じて、HSTモータ151により斜板の傾斜角を変更する。具体的に、走行車体2を停止させる停止位置の場合、制御部8は、HSTモータ151により斜板を中立状態とする。ここで、斜板の中立状態とは、斜板と入力軸とがなす角度が90°となる状態である。そして、制御部8は、HSTモータ151により斜板を中立状態とすると、油圧ポンプは、油圧モータへ向けて供給する作動油の流量をゼロとする。
【0062】
一方で、走行車体2を前進させる前進位置の場合、制御部8は、HSTモータ151により斜板の傾斜角が正側に大きくなるように変更させる。すると、油圧ポンプは、油圧モータの出力軸が正回転するように、油圧モータへ向けて供給する作動油の流量を多くする。他方で、走行車体2を後退させる後退位置の場合、制御部8は、HSTモータ151により斜板の傾斜角が負側に大きくなるように変更させる。すると、油圧ポンプは、油圧モータの出力軸が逆回転するように、油圧モータへ向けて供給する作動油の流量を多くする。なお、油圧モータは、供給される作動油の流量が多ければ多いほど、出力軸の回転数が大きくなる。
【0063】
このため、油圧式無段変速機15は、エンジン11の駆動力を、走行車体2が前進方向に駆動する駆動力として出力したり、走行車体2を停止させる制動力として出力したり、走行車体2が後退方向に駆動する駆動力として出力したりすることが可能となっている。
【0064】
図1に示すように、油圧式無段変速機15は、エンジン11よりも前方でかつフロアステップ20の床面よりも下方に配置される。本実施形態では、走行車体2の上面から見て、エンジン11の前方に油圧式無段変速機15を配置している。また、油圧式無段変速機15は、エンジン11の出力軸が走行車体2の左側方から突出しているため、走行車体2の左側に寄せて配置され、その入力軸15aが走行車体2の左側方から突出している。
【0065】
ベルト式動力伝達機構16は、エンジン11の出力軸に取り付けたプーリ41と、油圧式無段変速機15の入力軸15aに取り付けたプーリ42と、双方のプーリ41,42に巻き掛けたベルト43と、を備える。かかる構成により、ベルト式動力伝達機構16は、エンジン11で発生した駆動力を、ベルト43を介して油圧式無段変速機15に伝達する。
【0066】
さらに、動力伝達機構4は、エンジン11からの駆動力がベルト式動力伝達機構16と油圧式無段変速機15とを介して伝達されるミッションケース(図示せず)などを備える。ミッションケースは、メインフレーム10の前部に取り付けられる。かかるミッションケースは、ベルト式動力伝達機構16と油圧式無段変速機15とを介して伝達されたエンジン11からの駆動力を、当該ミッションケース内の副変速機で変速して、前輪12a,12aと後輪12b,12bへの走行用動力と、苗植付機3への植付用動力などに分けて出力する。
【0067】
このうち、走行用動力は、走行車体2に設けられた後輪12bに駆動力を供給するドライブシャフト(図示せず)及び左右の後輪ギヤケース29を介して後輪12bに伝達される。また、走行用動力は、図示しない前輪用デフ装置に伝達された後、左右の前輪ファイナルケース28を介して前輪12aに伝達される。
【0068】
なお、左右の前輪ファイナルケース28は、ミッションケースの左右それぞれの側方に配設されており、左右一対の前輪12aは、前輪側車軸を介して左右の前輪ファイナルケース28に連結されている。また、この前輪ファイナルケース28は、ハンドル24の操舵操作に応じて駆動し、前輪12aをステアリング操舵させることが可能になっている。同様に、左右それぞれの後輪ギヤケース29には、後輪側車軸を介して後輪12bが連結される。
【0069】
また、図示しない植付伝動機構は、エンジン11からの駆動力を苗植付機3へ植付用動力として伝達するものである。すなわち、ミッションケースから出力される苗植付機3への植付用動力が、走行車体2の後部に設けた植付伝動機(図示せず)の植付クラッチ(図示せず)に伝達され、この植付クラッチの係合時に苗植付機3へ伝達される。
【0070】
作業機の一例でもある整地装置5は、圃場を整地するものであり、苗植付機3の苗植付部30の下方で、かつ前方に設けられる。なお、整地装置5は、植付フレームなどに取り付けられたモータや吊下げフレームなどにより昇降自在に設けられる。
【0071】
また、整地装置5は、フロート38a,38bと同様に、
図1に示すように、走行車体2の左右両端部に設けられた一対のサイドロータ51と、一対のサイドロータ51間に設けられかつサイドロータ51よりも前方に配置されたセンターロータ50と、センターロータ50の左右両端と一対のサイドロータ51とを連結する一対の連結伝動機構52とを備える。
【0072】
センターロータ50と一対のサイドロータ51の長手方向は、左右方向と平行に配置されており、連結伝動機構52により軸心回りに回転自在に支持される。一対の連結伝動機構52は、センターロータ50と一対のサイドロータ51とを軸心回りに連動させて回転させる。
【0073】
図示するように、一対の連結伝動機構52には、エンジン11からの駆動力が伝達される動力入力軸430が設けられる。すなわち、エンジン11側に連結した動力伝達軸410と動力入力軸430の先端部同士とが連結されており、これにより、センターロータ50とサイドロータ51とは、共にエンジン11からの出力によって回転することができる。
【0074】
ここで、本実施形態に係る苗移植機1の特徴的な構成を有する着脱機構6について説明する。着脱機構6は、昇降リンク機構32に苗植付機3を着脱する機構である。
図3は、着脱機構の受けヒッチと取付ヒッチとを分離して示す側面視による説明図、
図4は、着脱機構の受けヒッチと取付ヒッチとを接続した状態を示す側面視による説明図である。また、
図5Aおよび
図5Bは、それぞれヒッチロックの動作を示す説明図である。
図6は、変形例に係る着脱機構の説明図、
図7は、変形例に係る着脱機構6によるヒッチロックの解除動作を示す説明図である。
【0075】
図3および
図4に示すように、着脱機構6は、受けヒッチ61と、取付ヒッチ62と、ローリング軸63と、ローリングロック部材64と、ヒッチロック65と、近接検出スイッチ66と、ヒッチ連結検出スイッチ200(連結検出部に相当)とを備える。さらに、本実施形態に係る着脱機構6は、昇降リンク機構32の上昇動作に連動して、ヒッチロック65を作動させて取付ヒッチ62をロックするヒッチロック作動部32cを備える。
【0076】
苗植付機3は着脱自在に装着されており、苗植付機3を外した状態であれば、装着した状態では作業者が接近しにくい箇所であっても作業者が容易に接近できるので、掃除や部品交換などのメンテナンス作業を能率よく行える。これに加えて、苗の植付作業以外の圃場で作業を行うときには、苗植付機3を外して別の作業機を装着することが可能になる。他の作業機も、苗植付機3と同じように着脱機構6を共有する構成として、着脱可能にする。
【0077】
なお、苗植付以外の作業としては、例えば、作物の種子を圃場に播く播種作業があり、このときには、種子を貯留して設定量ずつ圃場に供給する播種作業機を装着するとよい。あるいは、他の作業としては、苗の傍に生える雑草を取り除く除草作業がある。この場合は除草作業機を装着する。さらには、苗の左右両側の圃場面に溝を形成し、土中に溜まったガスを除去しつつ酸素を取り込みやすくする溝切り作業がある。この場合は、圃場に溝を形成する溝切り作業機を装着する。
【0078】
着脱機構6の受けヒッチ61は、上下方向に延びた平板状に形成されており、苗移植機1の後部において、後方から見た状態で左右方向に間隔をあけて2つ設けられている。かかる2つの受けヒッチ61は、互いに左右方向と平行に配置された上下一対の連結軸67,67により連結される。
【0079】
一方、苗植付機3に設けられて受けヒッチ61に接続する取付ヒッチ62は、苗植付機3の植付フレームの前方側に取り付けられる。かかる取付ヒッチ62は、上下方向に延びた平板状に形成されており、2つの受けヒッチ61の間に一つ設けられる。
【0080】
また、取付ヒッチ62は、受けヒッチ61と接続するためのロックピン68が取り付けられる。ロックピン68は、丸棒状に形成されており、
図3及び
図4に示すように、取付ヒッチ62の下端部から左右方向の外側に突出している。また、取付ヒッチ62は、受けヒッチ61側に2つ設けられた連結軸67,67のうちの上側の連結軸67の上側に係止する鉤状の係止部62aが上端部に設けられるとともに、下側の連結軸67を内側に通す凹状部62bが下端部に設けられる。
【0081】
さらに、受けヒッチ61は、取付ヒッチ62のロックピン68を内側に通す凹状部61aを設けている。かかる凹状部61aは、受けヒッチ61の下端部に切欠状に形成されており、受けヒッチ61の後縁から前方側に向かって設けられる。かかる凹状部61aは、図示するように、側面視で円弧状に形成されている。
【0082】
ローリング軸63は、植付フレーム等を介して取付ヒッチ62に取り付けられており、走行車体2の平面視において前後方向に沿う軸心P(
図3及び
図4を参照)回りに苗植付機3を左右回動させることができる。
【0083】
ローリングロック部材64は、取付ヒッチ62の下端部に設けられており、苗植付機3の左右回動を規制することができる。かかるローリングロック部材64は、平板状のロック部材本体64aと、ロック部材本体64aの上端部に取り付けられたロックピン64bとを備える。ロック部材本体64aは、中央部を中心として、取付ヒッチ62に回転自在に支持される。ロック部材本体64aの回転中心は、左右方向と平行である。ロック部材本体64aの下端部には、先細の曲面に形成されたカム面64cが形成される。ロックピン64bは、円柱状に形成されており、ロック部材本体64aの上端部から後方に突出している。このようにロックピン64bを配置したことにより、ロック部材本体64aは、上端部に位置するロックピン64bが下方に向かうように回転しようとする。
【0084】
また、ロック部材本体64aは、カム面64cなどに何も接触していない場合は、ロックピン64bが、植付フレームなどに取り付けられたロック片69のロック溝69a内に侵入可能となる。このように、ローリングロック部材64は、ロック部材本体64aのカム面64cなどに何も接触していないときは、ロックピン64bがロック片69のロック溝69a内に侵入して、苗植付機3の左右回動を規制して、苗植付機3の姿勢を水平状態に維持する。
【0085】
ヒッチロック65は、受けヒッチ61の下端部に設けられる。かかるヒッチロック65は、受けヒッチ61に取付ヒッチ62を接続した際に、取付ヒッチ62をロックする装置である。
【0086】
ヒッチロック65は、揺動部材としての平板状に形成されたロック部材本体65aと、このロック部材本体65aの基端部に取り付けられた操作レバー65bとを備える。
【0087】
ロック部材本体65aは、中央部に設けられた枢支部651を中心として、
受けヒッチ61に回転自在に支持される。枢支部651の軸中心は左右方向と平行である。また、ロック部材本体65aの後端部には、受けヒッチ61の凹状部61a内に侵入したロックピン68の後方側に係止する鉤状のフック部65cが設けられる。
【0088】
フック部65cは、ロックピン68の後方側に係止するように、下側から上側に向かって延在している。また、フック部65cの外周面には、ローリングロック部材64のカム面64cに接触可能なカム面65dが設けられる。かかるカム面65dは、フック部65cがロックピン68に係止した状態で後方側に向かうにしたがって徐々に下方に向かうように傾斜している。
【0089】
また、ヒッチロック65のロック部材本体65aの前側部には、フック部65cがロックピン68に係止する方向にヒッチロック65を付勢するねじりコイルばね70が取り付けられる。ねじりコイルばね70は、ヒッチロック65のロック部材本体65aの前側部と受けヒッチ61に設けられたステーとの間に取り付けられており、受けヒッチ61及び取付ヒッチ62の前方に位置するように設けられる。ねじりコイルばね70をこのように配置することにより、コンパクトな構成でヒッチロック65をロックピン68に係止する方向に付勢することができる。
【0090】
操作レバー65bは、ロック部材本体65aの基端部から前方に延在したシャフト状に形成されている。かかる操作レバー65bを押し引き操作することで、ヒッチロック65は回転中心回りに回転することができる。
【0091】
ところで、ヒッチロック65は、受けヒッチ61の凹状部61a内に侵入したロックピン68の後方側にフック部65cが係止することで、取付ヒッチ62を受けヒッチ61から外れないようにロックすることができる。また、ヒッチロック65は、受けヒッチ61の凹状部61a内に侵入したロックピン68の後方側にフック部65cが係止する際に、カム面65dがローリングロック部材64のカム面64cに接触して、ロックピン64bがロック溝69aから抜け出る方向にローリングロック部材64を回転させる。こうして、ヒッチロック65は、受けヒッチ61に取付ヒッチ62を接続して取付ヒッチ62をロックすると、ローリングロック部材64に苗植付機3の左右回動を許容させることもできる。
【0092】
近接検出スイッチ66は、受けヒッチ61と取付ヒッチ62との接近を検出するものである。近接検出スイッチ66は、例えば、周知の近接スイッチが用いられ、受けヒッチ61に取り付けられている。
図8は苗移植機1の制御ブロック図であり、図示するように、近接検出スイッチ66は、制御部8と接続しており、検出結果を制御部8に出力する。
【0093】
また、連結検出部であるヒッチ連結検出スイッチ200は、受けヒッチ61と取付ヒッチ62とが連結されたことを検出するもので、受けヒッチ61に取り付けられている。ヒッチ連結検出スイッチ200についても周知の近接スイッチを用いることができ、検出結果を制御部8に出力する。近接検出スイッチ66は、受けヒッチ61の凹状部61a内にロックピン68が侵入するには至らないが、ヒッチロック65をねじりコイルばね70の付勢力に抗して一旦回転させることで、ヒッチロック65のフック部65cがロックピン68の後方側に係止できる程度に、受けヒッチ61と取付ヒッチ62とが接近したことを検出すればよい。
【0094】
なお、本実施形態では、近接検出スイッチ66とヒッチ連結検出スイッチ200とを設けた構成としたが、例えば、近接検出スイッチ66が受けヒッチ61の凹状部61a内にロックピン68が侵入する状態まで検出できるようにして、ヒッチ連結検出スイッチ200の機能を兼用させることもできる。
【0095】
本実施形態に係る着脱機構6は、上述した構成に加え、さらに、昇降リンク機構32の上昇動作に連動して、ヒッチロック65を作動させて取付ヒッチ62をロックするヒッチロック作動部650を備える。
【0096】
本実施形態に係るヒッチロック作動部650は、昇降リンク機構32に設けられたヒッチロック作動杆32cを備える。すなわち、ヒッチロック作動部650は、昇降リンク機構32の下リンク32bに基端を連結して下方へ延在させたヒッチロック作動杆32cを備える。なお、ヒッチロック作動杆32cは、
図5Aに示すように、ロックピン68のロックをしていない状態のロック部材本体65aに取付けられた操作レバー65bに先端が当接する程度の長さに形成されている。
【0097】
そして、
図5Aに示す状態から昇降リンク機構32を上昇させて苗植付機3を上昇させると、昇降リンク機構32は、
図5Bに示すように、相対的に苗植付機3側の端部が上方に位置する斜め状態となる。したがって、ヒッチロック作動杆32cは、昇降リンク機構32の上昇動作に連動して、ヒッチロック65の操作レバー65bを押圧する。ヒッチロック作動杆32cに押し込まれたロック部材本体65aは、枢支部651を中心に揺動し、凹状部61a内のロックピン68にフック部65cが係合する。
【0098】
このように、これまでは、ヒッチロック65によるロック操作を、ロック部材本体65aの基端部から延在する操作レバー65bを作業者が操作することで行っていたが、本実施形態においては、昇降リンク機構32の上昇動作に連動してロックがなされる。したがって、取付ヒッチ62のロックが容易となり、苗植付機3の着脱作業に要する時間と労力が軽減される。しかも、作業者の手によらないので、安全性も向上する。
【0099】
また、本実施形態では、
図8に示すように、ヒッチ連結検出スイッチ200が、受けヒッチ61に取付ヒッチ62が連結されたことを検出すると、制御部8が、油圧昇降シリンダ34を駆動して昇降リンク機構32を上昇させるようにしている。
【0100】
すなわち、ヒッチロック作動部650は、取付ヒッチ62と受けヒッチ61との連結状態を検出するヒッチ連結検出スイッチ200と、制御部8とを含む構成となる。したがって、きわめて簡単な構成でありつつ、なおかつ取付ヒッチ62のロックを自動的に行えるようになり、きわめて高い利便性を実現することができる。
【0101】
また、本実施形態における苗移植機1は、着脱機構6とともに、ローリング機構7を備える。ローリング機構7は、走行車体2が前後方向に沿う図示しない軸心回りに左右回動しても、苗植付機3を軸心P回りに左右回動していない水平状態に維持するものである。ローリング機構7は、走行車体2の昇降リンク機構32と苗植付機3の植付フレームとの間に設けられており、
図3および
図4に示すように、ローリングシリンダ71と、作業機側取付部材72とを備える。
【0102】
ローリングシリンダ71は、連結軸67に取り付けられたシリンダ本体71aと、シリンダ本体71aから伸縮するシリンダロッド71bとを備えている。シリンダロッド71bの先端には、ボールジョイント74を介してねじ軸(不図示)が取り付けられる。一方、作業機側取付部材72は、取付ヒッチ62に取り付けられ、受けヒッチ61と取付ヒッチ62とが接続すると、ローリングシリンダ71のシリンダロッド71bの先端に設けられたねじ軸を内側に通す装着孔72aを有する。そして、このねじ軸を所定のハンドルで回し、ローリング機構7を取付ヒッチ62に取り付けることができる。
【0103】
ここで、
図6および
図7を参照しながら着脱機構6の変形例について説明する。
図6に示すように、変形例に係る着脱機構6は、ヒッチロック解除部100を備える。ヒッチロック解除部100は、昇降リンク機構32の下降に連動してヒッチロック65によるロックを解除するもので、本実施形態では、ヒッチロック65を所定の方向に回動させるロック解除モータ101を備える。
【0104】
そして、ロック解除モータ101の駆動軸と、ヒッチロック65の操作レバー65bとを、第1解除リンク102および第2解除リンク103を介して連結している。すなわち、図示するように、ロック解除モータ101の駆動軸に第1解除リンク102の基端を回動自在に連結するとともに、この第1解除リンク102の先端と、先端側をヒッチロック65の操作レバー65bに連結した第2解除リンク103の基端とを回動自在に連結している。図示するように、ヒッチロック65がロックピン68をロックしている状態では、第1解除リンク102および第2解除リンク103は「へ」字状に連結されている。
【0105】
また、本実施形態に係る苗移植機1は、苗植付機3を昇降リンク機構32から外すための作業機分離スイッチ83を備える。これは、前述したように、フロントカバー23の上部に設けられている(
図2参照)。かかる作業機分離スイッチ83が作業者によりオン操作されると、制御部8は、ヒッチロック解除部100の主要素であるロック解除モータ101を駆動して、ヒッチロック65によるロックを解除する。
【0106】
すなわち、ロック解除モータ101の駆動により、第1解除リンク102が上方へ回動し、それに伴って第2解除リンク103が引き上げられ、その結果、ヒッチロック65の操作レバー65bも上方へ引き上げられ、ロック部材本体65aのフック部65cとロックピン68との係合が外れる。このとき、第1解除リンク102および第1解除リンク103は、
図7に示すように、略L字状に変動している。
【0107】
このように、変形例に係る着脱機構6によれば、ヒッチロック65を解除する際に特別な操作は不要となり、自動的にヒッチロック65のロックを解除できるようになるため、苗植付機3の着脱作業が容易となって作業能率が向上する。
【0108】
ここで、本実施形態に係る苗移植機1における作業機の一例である整地装置5について説明を加える。前述したように、整地装置5には動力入力軸430が設けられており、走行車体2に搭載したエンジン11からの駆動力が動力伝達軸410を介して入力される(
図1参照)。
【0109】
すなわち、整地装置5を用いる場合、動力伝達軸410と動力入力軸430の先端部同士とを連結するのであるが、整地装置5を取り外した場合、あるいは整地装置5に代えて異なる作業装置を装着する場合などには、動力伝達軸410と動力入力軸430との連結を解除して両軸410,430を分離することができる。
【0110】
このとき、先端から動力入力軸430を切り離された動力伝達軸410は、基端側は走行車体2側に連結されているものの、先端側は自由端となって不安定な状態となる。
【0111】
そこで、本実施形態では、
図9Aおよび
図9Bに示すように、動力入力軸430との連結が解除された動力伝達軸410を下方から受けた状態で回転自在に保持する軸保持部420を備える構成としている。
図9Aおよび
図9Bは、動力伝達軸410を収納する軸保持部420を側面視で示す模式的説明図である。
【0112】
すなわち、本実施形態に係る苗移植機1は、一端が走行車体2に連結され、他端が整地装置5の動力入力軸430に連結自在に設けられた動力伝達軸410と、走行車体2側において、動力入力軸430との連結が解除された動力伝達軸410を下方から受けた状態で回転自在に保持する軸保持部420とを備える。
【0113】
すなわち、軸保持部420は、
図9Bに示すように、例えば走行車両側部材440に取り付けられたフック状の部材であり、動力伝達軸410を下方から受けつつ、動力伝達軸410が回転した状態であっても抱持可能に構成される。
図9Bに示すように、本実施形態においては、動力伝達軸410の軸径よりも一回り大きい径を有する断面略半円状の軸受け面421が内面に形成されている。
【0114】
したがって、動力入力軸430との連結が解除された動力伝達軸410の先端が接地したり、走行車体2の外方へ突出したりすることがなく安全性が向上するとともに、泥などが付着したりするおそれがない。しかも、動力伝達軸410が空転しても、例えばユニバーサルジョイントや、周囲の部材を破損させるおそれもない。
【0115】
なお、軸保持部420については、
図9Bに示した形状などに限定されるものではない。動力入力軸430との連結が解除された動力伝達軸410を、軸周りに回転した状態であっても保持可能な構成であれば、どのような形状、構造であっても構わない。
【0116】
次に、本実施形態に係る苗移植機1における苗植付機3の動作およびその制御について説明する。
図10は、苗載台の端寄せ機構を示す模式的説明図、
図11は、苗載台の端寄せ動作の流れを示す説明図である。
【0117】
ところで、本実施形態に係る苗載台37は、
図1および
図2に示すように、走行車体2の左右方向において仕切られた植付条数分の苗載せ面37aを有しており、それぞれの苗載せ面37aに土付きのマット状苗510(
図12および
図13を参照)を積載することが可能である。これにより、苗載台37に積載した苗が植え付けられて無くなるたびに、圃場外に用意している苗を取りに戻る必要が無く、連続した作業を行えるので、作業能率が向上する。また、苗載台37は、積載された苗を下方に移動させて、下端に設けられた苗取口に苗を移動させる苗搬送装置37bを備えている。
【0118】
そして、本実施形態における苗植付機3では、
図10に示すように、苗載台37を上部フレーム
370に沿って横移動して端寄せする端寄せ機構700を備える。端寄せ機構700は、苗載台37に連動連結した横送り用螺旋軸741と、この横送り用螺旋軸741を回転駆動する駆動モータ742とを有する苗載台駆動装置740を備えている。
【0119】
また、図示するように、端寄せ機構700は、上部フレーム370にそれぞれ設けられ、苗載台37が一端に位置したことを検出する第1端寄せスイッチである苗載台左端スイッチ805と、この苗載台左端スイッチ805よりも手前に設けられた第2端寄せスイッチである苗載台左端手前スイッチ806とを備える。
【0120】
制御部8(
図8参照)は、自動端寄せスイッチ801がオンされると、苗載台駆動装置740の駆動モータ742を制御して端寄せ処理を行う。すなわち、制御部8は、苗載台左端手前スイッチ806がオンするまでは、苗載台37を相対的に高速で移動させ(矢印F1)、苗載台左端手前スイッチ806がオンすると相対的に低速で移動させる(矢印F2)。そして、苗載台左端スイッチ805がオンすると、制御部8は苗載台37の移動を停止させるのである。
【0121】
すなわち、制御部8は、
図11に示すような処理を実行する。なお、ここでは、苗載台37を左端に寄せる場合としている。図示するように、制御部8は、先ず、主変速レバーセンサ802がHSTモータ151の中立フラグを検出したか否かを判定する(ステップS100)。すなわち、走行中でないことを判定する。中立でないと判定した場合(ステップS100:No)、制御部8は端寄せ処理を行わない。一方、中立フラグがあると判定した場合(ステップS100:Yes)、制御部8は、自動端寄せスイッチ801がONされたか否かを判定する(ステップS110)。
【0122】
ONされていないと判定した場合(ステップS110:No)、制御部8は、HSTモータ151の中立フラグを解除する(ステップS115)。自動端寄せスイッチ801がONされている場合(ステップS110:Yes)、制御部8は、端寄せ処理を行い、苗載台37を通常の速度で右から左へ向けて移動させるとともに、植付昇降レバーセンサ804のオンフラグを検出したか否かを判定する(ステップS120)。すなわち、植付状態にあるか否かを判定する。
【0123】
制御部8は、オンフラグを検出するまでこれまでの処理を繰り返し、オンフラグを検出すると(ステップS120:Yes)、制御部8は、苗載台左端手前スイッチ806がオンか否かを判定する(ステップS130)。このとき、苗載台左端手前スイッチ806は、苗載台37が右から左へ移動していることを検出可能なものとする。したがって、制御部8は、苗載台37が右から左へ移動している中での苗載台左端手前スイッチ806がオンになったことを判定する。
【0124】
苗載台左端手前スイッチ806がオンになった場合(ステップS130:Yes)、制御部8はHSTモータ151を低速側に規制する処理を行い(ステップS140)、処理をステップS150に移す。すなわち、苗載台左端手前スイッチ806がオンになれば、たとえHSTモータ151が主変速レバー81により高速側に設定されていたとしても、強制的に低速側に規制する。なお、ステップS130において、苗載台左端手前スイッチ806がオンになるまでは(ステップS130:No)、ステップS150の処理を行う。すなわち、苗載台左端スイッチ805がオンになったか否かを判定する(ステップS150)。
【0125】
ステップS150では、制御部8は、苗載台左端スイッチ805がオンになることを判定するまでステップS110からステップS150までの処理を繰り返し(ステップS150:No)、苗載台左端スイッチ805がオンになったと判定すると(ステップS150:Yes)、制御部8は、低速側に規制していたHSTモータ151を「中立」にする。すなわち、苗載台37の移動を停止して、端寄せ処理を終了する。
【0126】
このように、端寄せの途中段階までは苗載台37を相対的に高速で移動させ、途中からは相対的に低速で移動させるようにしている。そのため、高速移動させながらも安全性を向上させるとともに、端寄せ機構(700)の駆動軸の破損などを防止することができる。
【0127】
図12は、苗補充装置の模式的説明図である。また、
図13は、苗補充装置の構成の一例を示す模式的説明図である。
図12に示すように、本実施形態に係る苗移植機1は、苗載台37の前方側に苗補充装置600を備えており、苗載台37に積載された苗マット510が無くなった場合、それを自動的に補充できるように構成されている。なお、苗載台37の各苗受面には、図示しない苗マット検出センサが設けられており、苗マット510が切れたことを苗マット検出センサが検出して制御部8に送信するようになっている。
【0128】
苗載台37の前方側に設けられた苗補充装置600は、
図12に示すように、苗マット510が載置されたことを検出する第1検出スイッチ501を有する苗マット載置部601から、苗切れとなった苗受面に至るまでの略L字形の苗搬送路602を有する。また、苗補充装置600は、苗マット載置部601から、左右に延在する主搬送路603へ苗マット510を縦送りする所定の縦送り装置(不図示)と、主搬送路603を構成するとともに、苗補充を必要とする苗受面まで苗マット510を横送りする横送り装置660(
図13参照)を備える。
【0129】
また、苗搬送路602において、苗マット載置部601の直後方には、搬送された補充用の苗マット510を検出する第2検出スイッチ502が設けられる。すなわち、図示しない所定の縦送り装置により縦送りされてきた苗マット510を第2検出スイッチ502が検出すると、縦送り装置の駆動が停止し、横送り装置660が起動して苗マット510を横移動させることができる。
【0130】
また、左右に延在する主搬送路603には、苗マット510の横移動を規制する規制板500が移動自在に配設されており、この規制板500の内側面には第3検出スイッチ503が設けられる。すなわち、
図12に示すように、苗補充が必要な苗受面が右端から2番目である場合、先ず規制板500が対応する位置まで移動する。そして、横送り装置660により移動してきた苗マット510を第3検出スイッチ503が検出すると、横送り装置660の駆動が停止し、図示しないマット押し出し装置により苗マット510が後方へ押し出され、所望する苗受面に補充される。なお、
図12では、規制板500を移動させる機構についての図示は省略したが、規制板500を横移動可能な構成であればどのような機構を採用しても構わない。
【0131】
かかる苗補充装置600において、本実施形態では、補充の必要な苗受面が複数あった場合、補充用の苗マット510を載置する場所から遠い方の条位置に対応する苗受面に対して優先的に補充するようにしている。すなわち、遠い位置まで苗マット510を運ぶ間に、苗マット載置部601へ補充用の苗マット510を次々とセットすることで、苗補充作業の効率化を図れるようにしている。
【0132】
実際に、苗マット510を補充する作業の処理について説明する。このとき、補充の必要な苗受面が、2条目、4条目、5条目であったとする。すなわち、先ず、補充用の苗マット510を用意し(S1)、苗マット載置部601へ苗マット510が載置されると、それを第1検出スイッチ501が検出する(S2)。第1検出スイッチ501が苗マット510を検出すると、縦送り装置が駆動され、苗マット510は第2検出スイッチ502により検出されるまで縦搬送される(S3)。
【0133】
なお、制御部8は、2条目、4条目、5条目の苗受面の中から、苗マット載置部601からもっとも遠い2番目の苗受面に対応する位置へ規制板500を予め移動させておく。そして、第2検出スイッチ502により苗マット510が検出されると、横送り装置660が駆動し、苗マット510は、第3検出スイッチ503により検出されるまで横搬送される(S4)。すなわち、主搬送路603における2条目の苗受面に対応する位置に予め移動されていた規制板500に苗マット510が当接すると、横送り装置660が停止する。そして、この位置において、マット押し出し装置(不図示)が駆動して苗マット510を苗載台37側へ押し込み、2条目の苗受面へ補充される(S5)。なお、マット押し出し装置は、主搬送路603の苗載台37側に、各苗受面に対応してそれぞれ設けられた第4検出スイッチ504が苗マット510を検出しなくなるまで駆動を継続するようになっている。
【0134】
ところで、主搬送路603を構成する横送り装置660は、
図13に示すように、一対のローラ体680間に、例えば所定幅に形成された複数の搬送ベルト690を巻回したコンベヤ装置により構成される。図中、670で示された部材は、複数の搬送ベルト690間に設けられた複数のマットガイド体である。
【0135】
すなわち、コンベヤ装置は、その全体が上下方向へ移動可能に構成されており(上下矢印を参照)、苗マット510が搬送ベルト690に載せられて横移動し、所定の位置で停止すると、コンベヤ装置全体が下降する(例えば、二点鎖線位置Fまで下降)。搬送ベルト690と離れた苗マット510は、複数の各搬送ベルト690の間から相対的に上昇した状態となるマットガイド体670上に支持される。その後、マットガイド体670上に載置された状態の苗マット510が、マット押し出し装置により苗載台37側へ押し出される。
【0136】
以上、説明したような苗補充装置600としたことから、効率的、かつより確実に目的の苗受面へ苗補充することが可能となる。
【0137】
また、本実施形態に係る苗移植機1は、例えば、枕地1工程を行うために、畦際に苗移植機1を後進させる場合、主変速レバー81を後進位置に操作しただけで、自動的に走行車体2を停止させたままで苗の植付作業を行うようにしている。なお、走行車体2を停止させたままでの苗の植付作業を走行停止植付と呼ぶ。
【0138】
図14は、主変速レバー81の操作と苗植付機3との動作を関連付けた自動植付処理の流れを示す説明図である。図示するように、制御部8は、先ず、走行停止植付状態であるか否かを判定する(ステップS200)。具体的には、副変速レバーセンサ803(
図8参照)が走行停止植付けを行わせるための副変速レバーの操作を検出したか否かを判定する。走行停止植付状態であると判定した場合(ステップS200:Yes)、制御部8は処理をステップS210に移す一方、走行停止植付状態ではないと判定した場合(ステップS200:No)、処理をステップS250に移す。
【0139】
ここで、ステップS200〜ステップS240までは、従来行われている走行停止植付であり、ステップS210において、制御部8は、フロートセンサ807(
図8参照)がONであるか否かを判定し、ONではないと判定すると(ステップS210:No)、処理を終える一方、ONであり、フロート38が接地状態であると判定すると(ステップS210:Yes)、植付クラッチモータ401をONして作動させるとともに、HSTモータ151を前進側へ設定する(ステップS220)。
【0140】
そして、制御部8は所定時間が経過するまで待機し(ステップS230:No)、所定時間が経過したと判定すると(ステップS230:Yes)、植付クラッチモータ401、HSTモータ151、および副変速モータ402をそれぞれ停止する(ステップS240)。こうして、走行車体2を停止させたままで1株の苗の植付けが行われる。
【0141】
上述した走行停止植付の処理において、本実施形態では、ステップS200において、副変速レバーが操作されていなくても、すなわち走行停止植付状態でない場合でも(ステップS200:No)、所定の条件を満たせば、制御部8は自動的に走行停止植付けを行うようにしている。
【0142】
すなわち、制御部8は、主変速レバーセンサ802を介して主変速レバー81が後進に設定されたか否かを判定し(ステップS250)、検出した場合(ステップS250:Yes)、走行距離を検出する後輪回転センサ808からの信号により、所定距離だけ前進して停止した状態であるか否かを判定する(ステップS260)。所定距離だけ前進した状態であると判定すると(ステップS260:Yes)、制御部8は、副変速モータ402を中立位置に設定して苗移植機1が走行しないように設定し、処理をステップS210に移す。すなわち、走行停止植付けを実行していく。なお、ステップS250において、主変速レバー81が後進に設定されたことを検出しなかった場合(ステップS250:No)、およびステップS260において、所定距離だけ前進していないと判定した場合(ステップS260:No)、制御部8は処理を終了する。
【0143】
なお、ステップS260では、所定距離だけ前進し、作業者により苗移植機1が停止した状態で、その状態において所定距離だけ前進しているかどうかを判定したが、予め設定された所定距離だけ前進したことを検出すると、自動的に走行を停止するようにしてもよい。
【0144】
このように、本実施形態によれば、主変速レバー81の操作と組み合わせて自動的に走行停止植付作業を行うようにしたため、例えば枕地1工程を行う場合に畦際の苗植えを容易に行うことができる。
【0145】
次に、苗移植機1における他の構成について説明する。
図15は、施肥装置の繰出ロール軸を示す模式的説明図である。前述したように、本実施形態に係る苗移植機1は、肥料を植付作業中に一定量ずつ圃場に放出する施肥装置26が設けられる。そして、施肥装置26には、
図15に示すように、肥料ホッパ27に貯留されている粒状の肥料を繰り出す繰出ロール(不図示)を回転させる繰出ロール軸63を備える。
【0146】
従来、この繰出ロール軸63は、図示しないカバー体よりも外方へ突出させて、操作ハンドル701などを連結して、手動により回転させることで、肥料の繰り出し量などを事前にチェックできるようにしていた。
【0147】
しかし、繰出ロール軸63がカバー体よりも突出していると、当該繰出ロール軸63の回転に何らかのものが巻き込まれたりするおそれがある。そこで、本来のカバー体よりも外方へハンドル挿入孔631が形成されたセカンドカバー630を設け、繰出ロール軸63の先端がセカンドカバー630の内側に位置するようにした。
【0148】
かかる構成により、繰出ロール軸63への操作ハンドル701の連結もハンドル挿入孔631を介して容易に行え、なおかつ安全性が向上する。なお、図の矢印fで示すように、例えば、繰出ロール軸63をノック式ボールペンなどに採用される機構を用いて、セカンドカバー630から出没自在に構成することもできる。
【0149】
次に、走行の指標とするためにフロントカバー23の前端中央位置に取り付けられたセンターマスコット300について説明する。
図16は、センターマスコット300の一例を示す説明図、
図17Aは、マスコットカバーの装着状態を平面視で示す説明図、
図17Bは、マスコットカバーの説明図である。
【0150】
図16に示すように、センターマスコット300は、光源カバー301の後面の上下位置に、操縦席22側に向けて発光するLEDランプ310,310が設けられる。例えば、上側には赤色のLEDランプ310を、下側には緑色のLEDランプ310を設けている。かかるLEDランプ310を点灯あるいは点滅させることで、苗移植機1の状態に関する情報、例えば、苗の欠株情報、肥料切れ情報などを、例えば操縦席22にいる作業者に報知することができる。
【0151】
しかし、現状の構成では、苗移植機1の前方にいる補助作業者からはLEDランプ310の点灯や点滅などを視認することができず、操縦席22にいる作業者と情報を共有することができない。そこで、本実施形態に係るセンターマスコット300では、光源カバー301の後方に透光性材料で形成した後部カバー302を設け、この後部カバー302に形成した右張出部303内に、LEDランプ310の光を前方へ反射する反射板320を設けた構成としている。
【0152】
図16(a)に示す例では、上側の赤色のLEDランプ310の光を、例えば苗移植機1の前方にいる補助作業者から見て、センターマスコット300の右側から見えるように構成されている。また、
図16(b)に示す例では、後部カバー302に同じく反射板320を設けた左張出部304を形成し、上側の赤色のLEDランプ310の光が、苗移植機1の前方にいる補助作業者から見て、センターマスコット300の左右両側から見えるように構成されている。したがって、より視認性が高められる。また、
図16(c)に示す例では、上側の赤色のLEDランプ310と下側の緑色のLEDランプ310の光を、苗移植機1の前方にいる補助作業者から見て、それぞれセンターマスコット300の右側から見えるように構成されている。すなわち、後部カバー302には、反射板320を設けた下側右張出部305が形成される。よって、苗移植機1の前方にいる補助作業者は、2種類の情報を知ることが可能となる。また、
図16(d)に示す例では、上側の赤色のLEDランプ310と下側の緑色のLEDランプ310の光を、苗移植機1の前方にいる補助作業者から見て、それぞれセンターマスコット300の左右両側から見えるように構成しており、より視認性を高めている。すなわち、後部カバー302には、それぞれ反射板320が設けられた左張出部304および下側左張出部306が形成される。
【0153】
このように、本実施形態に係る苗移植機1では、センターマスコット300の前後にそれぞれLEDランプを設けることなく、操縦席22にいる作業者と、苗移植機1の前方にいる補助作業者とが情報を共有できる。したがって、例えば、苗や肥料の補給準備などを効率良く行うことができる。そして、苗移植機1の前方にいる補助作業者に視認させるためのLEDランプを別途設ける必要がないため、安価に構成することができる。
【0154】
図17Aおよび
図17Bに示した例は、既存のセンターマスコット300にマスコットカバー330を装着し、このマスコットカバー330によって苗移植機1の前方にいる補助作業者からもLEDランプ310の光を視認可能としたものである。
【0155】
すなわち、
図17Aに示すように、マスコットカバー330は、所定の厚みを有する透過性材料によって、既存のセンターマスコット300を内嵌可能な内径を有する円筒状に形成される。
【0156】
そして、図示するように、センターマスコット300に対応する位置に反射板321をそれぞれ設けている。したがって、
図17Bに示すように、センターマスコット300のみであれば、LEDランプ310の光は光源カバー301で遮られるために、後方側でしか視認できないが、マスコットカバー330を装着した状態では、前方側からも視認可能となる。
【0157】
この場合、必要に応じて、操縦席22にいる作業者と、苗移植機1の前方にいる補助作業者とが情報を共有できる。また、この場合でも、苗移植機1の前方にいる補助作業者に視認させるためのLEDランプを別途設ける必要がないため、安価に構成することができる。
【0158】
ところで、上述してきたように、本実施形態に係る苗移植機1が備える制御部8(
図8参照)は、苗移植機1を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御する。例えば、油圧式無段変速機15のHSTモータ151を制御する変速制御、油圧昇降シリンダ34による苗植付部30の昇降制御、かかる昇降制御に伴う着脱機構6による苗植付機3の自動着脱制御、また、ロック解除モータ101の制御による着脱機構6のロック解除制御などを行う。またさらに、制御部8は、植付クラッチモータ401による植付制御やエンジン11を制御するエンジン制御、整地装置5の昇降制御などを実行する。なお、説明を容易にするために図示は省略したが、制御部8には、
図8にしたものの他にも多くの検出スイッチや検出センサ類と各種のアクチュエータとが接続される。
【0159】
上述してきた実施形態より、以下の苗移植機1(作業車両)が実現できる。
【0160】
(1)走行車体2の後部に設けられた昇降リンク機構32(作業機連結装置)と、昇降リンク機構32を昇降させる油圧昇降シリンダ34(連結装置昇降部)と、昇降リンク機構32に設けられ、苗植付機3(作業機)の取付ヒッチ62を連結する受けヒッチ61と、受けヒッチ61に設けられ、当該受けヒッチ61に装着された取付ヒッチ62をロックするヒッチロック65と、昇降リンク機構32の上昇動作に連動して、ヒッチロック65を作動させて取付ヒッチ62をロックするヒッチロック作動部650と、を備える苗移植機1。
【0161】
(2)上記(1)において、ヒッチロック65は、取付ヒッチ62に設けられたロックピン68に係脱自在なフック部65cを有するロック部材本体65a(揺動部材)を備え、ヒッチロック作動部650は、昇降リンク機構32に設けられ、当該昇降リンク機構32の上昇動作に連動してロック部材本体65aを押し込みながら揺動させてロックピン68にフック部65cを係合させるヒッチロック作動杆32cを備える苗移植機1。
【0162】
(3)上記(1)または(2)において、ヒッチロック作動部650は、取付ヒッチ62と受けヒッチ61との連結状態を検出するヒッチ連結検出スイッチ200(連結検出部)と、ヒッチ連結検出スイッチ200が受けヒッチ61に取付ヒッチ62が連結されたこと検出した場合、油圧昇降シリンダ34を駆動して昇降リンク機構32を上昇させる制御部8と、を備える苗移植機1。
【0163】
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一つにおいて、苗植付機3を昇降リンク機構32から外すための作業機分離スイッチ83と、作業機分離スイッチ83がオン操作されると、昇降リンク機構32の下降に連動してヒッチロック65によるロックを解除するヒッチロック解除部100と、を備える苗移植機1。
【0164】
(5)上記(4)において、ヒッチロック解除部100は、ヒッチロック65を所定の方向に回動させるロック解除モータ101であり、作業機分離スイッチ83がオン操作されると、ヒッチロック解除部100を駆動して、ヒッチロック65によるロックを解除する制御部8を備える苗移植機1。
【0165】
(6)上記(3)〜(5)のいずれか一つにおいて、油圧昇降シリンダ34を介して苗植付機3を上昇させる作業機上昇スイッチ84と、苗植付機3の上昇量が異なる第1上昇モードと第2上昇モードとに切り替えるモード切替スイッチ82と、第1上昇モードでは、作業機上昇スイッチ84がオン操作された場合、苗植付機3を最大上昇位置まで上昇させる一方、第2上昇モードでは、作業機上昇スイッチ84がオン操作された場合、苗植付機3の上昇を、最大上昇位置よりも下方に設定された所定位置までに規制する制御部8と、を備える苗移植機1。
【0166】
(7)上記(1)〜(6)のいずれか一つにおいて、一端が走行車体2に連結され、他端が苗植付機3の動力入力軸430に連結自在に設けられた動力伝達軸410と、走行車体2側において、動力入力軸430との連結が解除された動力伝達軸410を下方から受けた状態で回転自在に保持する軸保持部420と、を備える移植機1。
【0167】
(8)上記(1)〜(7)のいずれか一つにおいて、苗植付機3の苗載台37を横移動して端寄せする端寄せ機構700を備え、端寄せ機構700は、苗載台37が一端に位置したことを検出する苗載台左端スイッチ805(第1端寄せスイッチ)と、苗載台左端スイッチ805よりも手前に設けられた苗載台左端手前スイッチ806(第2端寄せスイッチ)と、苗載台左端手前スイッチ806がオンするまでは、苗載台37を相対的に高速で移動させ、当該苗載台左端手前スイッチ806がオンすると相対的に低速で移動させ、苗載台左端スイッチ805がオンすると苗載台37の移動を停止する苗載台駆動装置740と、を備える苗移植機1。
【0168】
上述してきた実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、表示要素などのスペック(構造、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質など)は、適宜に変更して実施することができる。