(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の発光素子を配置する工程において、前記透光片と前記発光素子とを、前記溶解性接着剤層と異なる材料からなる透光性接着剤層により接合して配置する請求項2〜7のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
複数の発光素子に設けられた複数の透光片を備える車両用ヘッドライトに利用される従来の光源は、個々の発光素子をそれぞれ独立に点灯制御する場合、点灯した発光素子に隣接して非点灯の発光素子があると、点灯した発光素子からの光漏れが発生し、非点灯の発光素子に設けられた透光片が微小発光するという現象が生じる。この対策として、隣接する発光素子間に対応して極薄膜の遮光膜を透光片間に高精度に配置した配光部材を開発するなか、1つの配光部材において、点灯/非点灯の発光素子に起因して、配光部材に部分的な熱膨張が生じ、遮光膜の剥がれ又は透光片にクラック等が発生する可能性を見出した。そして、これら剥がれ及び/又はクラック等は、エアギャップを利用して応力を吸収することにより、効果的に防止し得ることを着想し、本発明に至った。なお、応力吸収の効果は後述のとおり遮光膜がなくても得ることができる。
【0010】
本願においては、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。以下の説明において、同一の名称、符号については同一又は同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。一実施例及び一実施形態において説明された内容は、他の実施例及び他の実施形態等に利用可能である。
【0011】
〔配光部材の準備〕
まず、配光部材を準備する。配光部材は、発光素子から出射される光を透過し得る透光片を有する部材である。配光部材は、例えば、複数の透光片と、複数の透光片の間に設けられた溶解性接着剤層と、を含む。透光片の少なくとも1つには、蛍光体が含有されている。透光片の側面には遮光膜が形成されていることが好ましい。このとき、溶解性接着剤層は、隣接する遮光膜間に配置されることとなる。なお、本明細書において「透光片」とは、配光部材を構成する透光性の小片を意味する。
【0012】
このような配光部材は、例えば、
(a)第1遮光膜付部材の準備
(b)第1接合体の形成
(c)第1接合体の切断等を行うことにより形成することができる。さらに、
(d)第2遮光膜付部材の形成
(e)第2接合体の形成
(f)第2接合体の切断等を行ってもよい。
【0013】
(a)第1遮光膜付部材の準備
透光板の少なくとも一面に第1遮光膜が被覆された、第1遮光膜付部材を複数準備する。
使用される透光板は、透光性を有する板状の部材である限り、柔軟性のあるもの、剛性のあるもののいずれを用いてもよい。
【0014】
このような透光板は、例えば、樹脂、ガラス、又は無機物からなる結合剤を含んで構成することができる。また、蛍光体及び/又は充填剤等を含有していてもよい。特に、蛍光体を含有していることが好ましい。
【0015】
樹脂としては、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、TPX樹脂、ポリノルボルネン樹脂又はこれらの樹脂を1種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂等を用いることができる。なおこのとき、溶融性接着剤層に用いる材料とは異なる材料を用いるものとする。
【0016】
蛍光体は、当該分野で公知のものを使用することができる。例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)系蛍光体、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al
2O
3−SiO
2)系蛍光体、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)
2SiO
4)系蛍光体、βサイアロン蛍光体、KSF(K
2SiF
6:Mn)系蛍光体などが挙げられる。上述した蛍光体を含有する場合には、これらは、透光板の全重量に対して、5〜50%程度で含有することが好ましい。透光板として、樹脂又はガラスに蛍光体を含有させたものを用いてもよいが、好ましくは蛍光体そのもの又は蛍光体と無機物からなる結合剤との焼結体を用いる。こうすることで、耐熱性の高い透光板とすることができる。
【0017】
充填材(例えば、光拡散剤、着色剤等)としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガン、等の粒子が挙げられる。
【0018】
透光板の厚み及び大きさは、特に限定されるものではなく、得ようとする配光部材の形態によって、適宜調整することができる。例えば、透光板の厚み(
図1(a)の上下方向における長さ)は、発光装置の配光部材として使用する際の発光素子のサイズ及び/又は発光素子間の間隔に対応したものであり、発光素子の全周と同等又はそれもよりも若干大きいことが好ましい。具体的には、100μm〜数mm程度が挙げられ、100〜1000μm程度が好ましい。これにより、得られた配光部材を発光装置に利用する場合に、発光装置のより一層の小型化が可能となることに加え、より一層高い輝度が得られる。
透光板の形状は、特に限定されるものではないが、平面形状が、例えば、長方形であることが好ましい。なお、本明細書において「長方形」とは、正方形も含むこととする。
【0019】
透光板の少なくとも一面に形成する第1遮光膜は、薄膜状で、発光素子からの光を80%以上遮光し得る材料によって形成することが好ましい。例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、チタン、タンタル、タングステン、コバルト、ルテニウム、錫、亜鉛、鉛等の金属又はこれらの合金(例えば、Al合金としては、Alと、Cu、Ag、Pt等の白金族系の金属との合金)の単層若しくは多層構造膜、又は2種以上の誘電体を複数積層させた誘電体多層膜等が挙げられる。誘電体多層膜としては、DBR(distributed Bragg reflector:分布ブラッグ反射)膜が好ましい。
【0020】
DBR膜を構成する誘電体としては、例えば、Si、Ti、Zr、Nb、Ta、Alからなる群より選択された少なくとも一種の元素を含む酸化物又は窒化物が挙げられる。誘電体の多層構造膜では、通常、一方の誘電体の屈折率n1、他方の誘電体の屈折率n2、発光層から発光される光の波長をλとすると、一方の誘電体の厚みd1及び他方の誘電体の厚みd2は、
d1=λ/(4n×1) (1)
d2=λ/(4n×2) (2)とすることが好ましい。
第1遮光膜の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、0.数〜数十μm程度が挙げられ、0.1〜10μm程度が好ましく、0.3〜7μm程度がより好ましい。
【0021】
第1遮光膜は、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオン・ベーパー・デポジション(IVD)法、スパッタリング法、ECRスパッタリング法、プラズマ蒸着法、化学的気相成長(CVD)法、ECR−CVD法、ECR−プラズマCVD法、電子ビーム蒸着(EB)法、原子層堆積(ALD)法等の公知の方法によって形成することができる。なかでも、比較的短い時間で形成可能なスパッタリング法により第1遮光膜を形成するのが好ましい。
【0022】
第1遮光膜は、透光板の一面にのみに形成してもよいが、互いに反対側に位置する二面に形成することが好ましい。また、透光板の表面のうち発光素子からの光が入射する面及び発光素子からの光を出射する面を除く全域に第1遮光膜を形成することもできる。これにより、第1接合体を切断して配光部材を得る際に、透光片の側面全域に第1遮光膜が形成された配光部材とすることができ、横方向へ向かう光を反射することができる。第1遮光膜は全体に均一厚みで形成することがより好ましいが、部分的(格子状、海島状、縞状等)に形成してもよい。
【0023】
第1遮光膜付部材を複数準備する場合、それらは、異なる平面形状及び厚みであってもよいが、平面形状及び厚みが同一又は略同一のものが好ましい。ここで略とは、±10%程度のばらつきを許容することを意味する。厚みの異なる第1遮光膜付部材として、例えば、薄い第1遮光膜付部材とこれよりも厚い第1遮光膜付部材の2種類の第1遮光膜付部材を準備する場合、薄い第1遮光膜付部材を複数積層したものは、1つの厚い第1遮光膜付部材と同等の厚みのものを用いることが好ましい。つまり、厚みの薄い第1遮光膜付部材は、厚みの厚い第1遮光膜付部材の、2分の1程度、3分の1程度の厚みに相当するものが好ましい。これにより、列又は行方向に大きさの異なる透光片を有する配光部材を形成することができる。さらに、第2接合体の形成において、列又は行方向に大きさの異なる透光厚みの異なる第2遮光膜部材と組み合わせて積層することにより、
図7A、7Bに示すような行列方向に大きさの異なる透光片を有する配光部材を形成することができる。
【0024】
第1遮光膜付部材は、透光板に第1遮光膜を形成した後、所望の形状、大きさ等になるように、切断、研磨等してもよい。
【0025】
(b)第1接合体の形成
複数の第1遮光膜付部材を接合して、第1接合体を形成する。
ここでの接合は、第1遮光膜付部材の第1遮光膜がそれぞれ対面するように、溶解性接着剤を利用して接合することが好ましい。
溶解性接着剤とは、接着剤の硬化後においても有機溶剤によって溶解除去することができる接着剤を意味する。
溶解性接着剤としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、スチレン系、エポキシ系、ポリイミド系、シリコーン系、BTレジン系、エステル系、エーテル系、ユリア系、ポリアミド系、フェノール系、セルロース誘導体による接着剤が挙げられ、好ましくはエポキシ系、ポリイミド系、アクリル系、フェノール系を用いることができる。これらの接着剤は必要に応じて、二種類以上を組み合わせて使用することもできる。なかでもポリイミド系接着剤は硬化後に比較的硬くなり、第1接合体の切断がしやすくなるため好ましい。
【0026】
第1遮光膜付部材の接合では、最端に位置する第1遮光膜付部材として第1遮光膜が側面のうち二面に形成されたものを用いてもよいし、最端面に第1遮光膜が配置されないように一面にのみ形成されたものを用いてもよい。第1接合体のうち端部以外に位置する第1遮光膜付部材としては、第1遮光膜が少なくとも二面に形成された第1遮光膜付部材を用いることが好ましい。また、配光部材のうち発光素子からの光が入射する面及び発光素子からの光を出射する面を除く四面に形成された第1遮光膜付部材を用いることもできる。
【0027】
いずれの場合においても、第1遮光膜がそれぞれ向かい合うように溶解性接着剤を介して第1遮光膜付部材を接合することによって、第1接合体を形成することができる。第1接合体における第1遮光膜付部材の積層数は、特に限定されず、2以上、3以上、4以上又は5以上が挙げられる。また、百以下、数十以下、十数以下が挙げられる。好ましくは、2以上10以下とすることができる。前述の下限値以上とすることで複数の透光片を備える配光部材を一括で形成することができる、前述の上限値以下とすることで第1接合体の切断が容易となる。
【0028】
隣接する遮光膜間の最短距離(溶解性接着剤の幅)は、好ましくは1μm以上1000μm以下、より好ましくは3μm以上100μm以下、さらに好ましくは5μm以上20μm以下とすることができる。前述の下限値以上とすることで応力緩和の効果を得やすくなり、前述の上限値以下とすることで隣接する発光素子を同時に点灯させる場合に遮光膜間の空隙の影響を受けずに均一な発光を得ることができる。
【0029】
(c)第1接合体の切断
得られた第1接合体を切断する。発光素子からの光が透過する程度の厚みに切断するのが好ましい。ここでの切断は、第1遮光膜付部材の積層面に対して垂直に行うことが好ましい。以下、この切断を第1の切断ということがある。
【0030】
第1の切断としては、第1遮光膜付部材の積層面に対する垂直方向での切断であればどのような切断であってもよいが、切断面を平坦とする切断方法を利用することが好ましい。このような切断方法は、当該分野で公知の方法を利用することができる。例えば、ブレードダイシング、レーザダイシング又はワイヤーソー等が挙げられる。なかでも、ワイヤーソーによれば第1遮光膜付部材をまとめて切断することができるため好ましい。なお、本明細書において「垂直」とは、±10%以内の傾きを含む。
【0031】
第1遮光膜付部材の積層面に対する垂直方向は、積層面内においては、その切断部位(線)が種々の方向に向かう切断が可能である。よって、透光板が長方形である場合には、第1遮光膜が形成された面に隣接する一端面(例えば、
図1(c)の端面19)に平行な切断面が得られるように切断することが好ましい(例えば、
図1(d)参照)。このような1回の切断によって、均一膜厚の第1接合体の薄片を形成することができる(
図1(e)参照)。
【0032】
1つの接合体の平面形状によって、第1遮光膜付部材の積層面に対する垂直方向での切断を1回行うのみで、所望の配光部材を製造することができるが、2回以上、互いに平行に切断することによって、所望の配光部材を複数製造することができる(例えば、
図1(d)及び
図3(d)参照)。
【0033】
また、上述したように、第1遮光膜付部材の積層面に対する垂直方向での1回又は2回以上の互いに平行な第1の切断によって得られた配光部材に対して、さらに、第1遮光膜付部材の積層面に対する垂直方向であって、第1の切断に対して交差(好ましくは、直交)する方向において、切断してもよい(
図4(b)参照)。このような2方向での切断を行うことにより、接合体の形状にかかわらず、所望形状の配光部材を複数製造することができる。
【0034】
ここでの切断は、配光部材が、用いた透光板と同程度の厚みとなるように切断することができる。例えば、100μm〜数mm程度又は100〜1000μm程度、さらに100〜500μm程度となるように切断することが好ましい。切断した後、研磨等を行って、これらの厚みとしてもよい。
【0035】
この工程での切断は、第1遮光膜付部材の積層面に対して垂直に行う代わりに、傾斜して行ってもよい。このような切断は、特定の方向への配光を意図する配光部材を製造する場合に利用することができる。
【0036】
(d)第2遮光膜付部材の形成
上述したように、第1の切断を行って得られた薄片状の配光部材の切断面に、さらに第2遮光膜を形成してもよい。つまり、第1の切断を行って得られた配光部材を、上述した透光板とみなして、その表面に第2遮光膜を形成する。これによって、1又は複数の第2遮光膜付部材を形成することができる。従って、第2遮光膜は、第1遮光膜に対して垂直に交わるように形成することとなる。
【0037】
第2遮光膜は、第1遮光膜で例示した材料によって、上述した公知の方法を利用して形成することができる。なかでも、第2遮光膜は、第1遮光膜と同じ材料によって形成することが好ましい。これによって、後述するように、各透光片からの発光の配光特性を均一にすることができる。
第2遮光膜は、第1遮光膜と同じ膜厚でなくてもよいが、配光特性の均一化の観点から、同じであることが好ましい。
【0038】
(e)第2接合体の形成
第2遮光膜付部材を接合して第2接合体を形成する方法は、上述した溶解性接着剤を利用して、第1接合体を形成する方法と同様に行うことができる。ここでの第2遮光膜付部材の積層数も、任意に設定することができる。
【0039】
(f)第2接合体の切断
得られた第2接合体を切断する。ここでの切断は、第1接合体の切断と同様に行うことができる。
この場合の切断は、第2遮光膜付部材の積層面に対して垂直に切断していればよいが、第1遮光膜付部材の積層面及び前記第2遮光膜付部材の積層面の双方に対して垂直に切断することが好ましい。
【0040】
薄片化された配光部材は、透光板の形状、第1遮光膜付部材の積層数、第1接合体の切断形態、第2遮光膜付部材の積層数、第2接合体の切断形態等により、さらに切断して、任意の形状、透光板と第1遮光膜及び第2遮光膜との任意の数に加工することができる。これにより、適用する発光素子数に対応した配光部材を製造することができる。
【0041】
このように、第1接合体を第1の切断に対して垂直な方向に切断するか、第2接合体を第1の切断に対して垂直な方向に切断することにより、均一厚みの直方体形状である透光片を、縦方向及び/又は横方向に規則的に配置させることができる。また、隣接する透光片の間に遮光膜を備えるために、隣接する透光片においてそれぞれ遮光を確保した配光部材を、高精度に、簡便かつ容易に製造することができる。なお、ここでいう「直方体」とは立方体も含むこととする。
【0042】
〔発光素子の配置〕
配光部材に対して発光素子を配置する。
ここでの発光素子の配置は、透光片に対して発光素子が設けられ、好ましくは、1つの透光片に対して1つの発光素子が設けられ、複数の発光素子がそれぞれ離間して設けられている。発光素子の配置は、支持基板上に実装された複数の発光素子に配光部材を取り付けてもよいし、配光部材に複数の発光素子を取り付けた後に支持基板上に実装してもよい。これによって、溶解性接着剤層で分画された複数の透光片に対してそれぞれ複数の発光素子を離間して設けることができる。配光部材は、発光素子の光取り出し面側、つまり、発光装置における光取り出し面側に配置する。
【0043】
例えば、溶解性接着剤層及び/又は遮光膜によって分画された透光片が一列に配列された配光部材を用いる場合には、複数の発光素子を、透光片に対応して一列に配列する。また、溶解性接着剤層及び/又は遮光膜によって分画された透光片が行列状に配列された配光部材を用いる場合には、複数の発光素子を、透光片に対応して行列状に配列する。これによって、上述した簡便な製造方法によって、各透光片に対して各発光素子を設けた発光装置を得ることができる。隣接する発光素子間で光漏れを確実に防止するために遮光膜を形成するのが好ましい。
【0044】
配列する複数の発光素子は、隣接する発光素子間で互いに近接していることが好ましく、車両用途、さらに輝度分布等を考慮すると、1つの発光素子と隣り合う発光素子との離間距離は、発光素子自体のサイズ(例えば一辺の長さ)よりも短いものが好ましい。例えば、発光素子自体のサイズの30%程度以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。具体的には5μm以上500μm以下が好ましく、50μm以上200μm以下がより好ましい。前述の下限値以上にすることで点灯した発光素子から非点灯の発光素子への光漏れを抑制することができ、前述の上限値以下とすることで発光ムラの少ない発光品位の高い発光装置とすることができる。
【0045】
発光素子の配光部材に対する配置は、発光素子を配光部材に対して離間して設けてもよいが、発光素子を配光部材に近接又は接触させて配置することが好ましい。これにより、少なくとも発光素子から出射された光のうち、配光部材側に出射される光を効率的に配光部材に導入することができる。ここで近接とは、実質的に両者の接着に関与する部材(例えば、透光性の接着剤層又は透光性の金属膜)のみを介して配置していることを意味する。
ここで、配光部材を発光素子に透光性接着剤層を用いて接着する場合には、上述した溶解性接着剤層を構成する接着剤とは異なる透光性接着剤を用いる。つまり、溶解性接着剤層を、後述するように溶解及び除去する際に用いる溶剤に溶解しない又は溶解し難い透光性接着剤を用いる。ここでの溶解し難いとは、溶解性接着剤を溶解する溶剤に対する溶解速度が5分の1以下であるもの、10分の1以下であるもの、15分の1以下であるもの、20分の1以下であるものを意味する。
【0046】
配光部材に対して発光素子を配置する他の方法としては、例えば原子拡散接合法や表面活性化接合法が挙げられる。原子拡散接合法により配光部材と発光素子とを接合する場合は、発光素子と透光片との間に透光性の金属膜が形成される。金属膜としては、例えばAg,Cu,Au,Ti,Co,Fe,Cr,Pt,Ru,Ta,Si,Ni,Al等が挙げられる。なかでも、Ti,Au,Crが耐食性に優れるため好ましい。このとき金属膜の厚みは、金属膜における光の吸収を抑制することができる程度に薄い膜厚とする。例えば、成膜速度換算で0.1nm以上0.8nm以下、好ましくは0.1nm以上0.4nm以下、より好ましくは0.1nm以上0.2nm以下とすることができる。
【0047】
本明細書における「成膜速度換算」について説明する。まず、一平面を有する基台上に所定の時間だけ金属膜を形成する。次に、所定の時間と実際に得られた金属膜の膜厚との関係に基づいて、所望の膜厚の金属膜を得るための所要時間を決定する。そして、所要時間だけ金属膜を形成した場合は、その所要時間に対応する所望の膜厚の金属膜が得られるものを成膜速度換算で形成した膜厚と想定している。つまり、所要時間から想定される膜厚を成膜速度換算で形成した膜厚としている。ここでは1原子よりも小さな値も含まれているが、この場合は金属膜が膜になっておらず島状に形成されている。したがって、金属膜の全体において前述の膜厚で形成されていなくても、成膜速度換算で前述の膜厚で形成されていれば本発明の範囲内とする。また、表面活性化接合法を用いる場合は、発光素子と透光片とが直接接触して接合される。表面活性化接合によれば、透光片と発光素子との間に光を吸収する部材がないため、発光素子からの光を効率よく透光片へ入射することができる。
【0048】
発光素子は、当該分野で一般的に用いられている発光素子のいずれをも用いることができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、ZnSe、窒化物系半導体(In
XAl
YGa
1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPなどの半導体層を用いたもの、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどの半導体層を用いたものが挙げられる。発光素子は、通常、これらの半導体層が、半導体成長用の基板上に積層されて、基板とともに構成されたものでもよいし、基板が除去されたものでもよい。
発光素子は、半導体層の異なる側に電極が配置されているものであってもよいが、同じ側に電極が配置されているものが好ましい。これによって、後述するフェイスダウン形態で実装することができる。
【0049】
発光素子として、側面全面に反射膜が形成された発光素子を用いることもできる。これにより、発光素子から横方向へ向かう光を反射膜で反射させて取り出すことができるため、光取り出し効率を向上させることができる。また、発光素子からの光が漏れることがなくなるため、発光素子間に反射部材を設ける必要がなくなる。反射膜としては、第1遮光膜と同様の材料、例えば、金属膜の単層又は多層構造、誘電体多層膜等が挙げられる。これらの反射膜は、発光素子の側面に接触して形成されていることが好ましい。
【0050】
発光素子を、上述した配光部材に対応して互いに離間して設ける場合、通常、支持基板の上に、複数の発光素子を直列、並列、直並列又は並直列等の接続形態で配列される。発光素子は、共晶材料等の接合部材又はワイヤ等利用して支持基板と電気的に接続される。発光素子は、フェイスダウン、フェイスアップの何れかの接合形態で接続されていてもよいが、フェイスダウンの形態で接続されることが好ましい。このような接続により、発光素子を配光部材に近接又は接触して配置することができ、所望の配光特性を容易に得ることができる。
【0051】
〔反射部材の配置〕
発光素子間に、反射部材を配置する。反射部材としては、溶解性接着剤層と異なる材料を用いることができる。これにより、発光素子の側面を被覆した状態で反射部材を残存させることができ、点灯した発光素子からの光が非点灯の発光素子に設けられた透光片へと入射するのを抑制することができる。反射部材は必須の構成ではない。例えば、発光素子として側面全面に反射膜が形成された発光素子を用いる場合は、反射部材を配置しなくてもよい。ここで、反射部材は、例えば、発光素子から出射される光の60%以上を反射するもの、さらに、70%以上、80%以上又は90%以上を反射するものを用いるのが好ましい。
【0052】
反射部材の材料は特に限定されるものではなく、第1遮光膜で例示したものの中から選択してもよいが、反射部材の配置の精度、簡便性、容易性等を考慮すると、樹脂を用いることが好ましい。
【0053】
樹脂としては、透光板の材料として例示したものと同様のものが挙げられ、特に、発光素子から出射される光が透過しないように、これらの材料に、反射性物質を含有させることが好ましい。反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが挙げられる。反射性物質等の含有量は、用いる反射性物質の種類等によって適宜調整することができる。例えば、反射部材の全重量に対して、30%程度以上とすることが好ましい。なかでも、白色樹脂が好ましい。
また、反射部材を構成する材料は、透光性接着剤層を構成する材料と同じ材料、例えば、同じ樹脂を含むことが好ましい。これにより、溶解性接着剤層を溶解する際に、反射部材が溶解されるおそれがなくなる。
【0054】
反射部材は、透光性接着剤層の有無にかかわらず、少なくとも隣り合う発光素子間を満たしていることが好ましい。また、反射部材は、発光素子間において、配光部材における第1遮光膜、第2遮光膜及び/又は溶解性接着剤層と接触するように配置することが好ましい。ここでの接触は、配光部材の発光素子側に露出した第1遮光膜、第2遮光膜及び/又は溶解性接着剤層の全てが反射部材と接触していることが好ましい。このような接触により、発光素子間及び発光素子上の配光部材によって、個々の発光素子から出射される光を発光素子ごとに分離することができ、発光装置内で、隣接する発光素子間での光漏れを防止することができる。その結果、非点灯の発光素子に設けられた透光片が微小発光するという現象を回避することができる。
【0055】
反射部材は、発光素子の側面に接触して配置しなくてもよいが、側面の一部又は全部に接触するように配置することが好ましい。このような配置によって、発光素子の側面から横方向に出射される光を反射部材で反射させて、光取り出し面に光を出射させることができる。また、光は発光素子内で伝播するのみであるために、他の部材による光吸収を回避することができる。
【0056】
反射部材は、発光素子の光取り出し面側と反対側の面、つまり、発光素子と上述した支持基板との間にも配置することが好ましい。この配置によって、光取り出し面側に光を取り出すことができる。
【0057】
さらに、反射部材は、配光部材の外周、つまり、配光部材の端面が第1遮光膜及び/又は第2遮光膜で被覆されていない場合には、配光部材の端面の全部を被覆していることが好ましい。これによって、配光部材の外周から出射する光を反射させて、光取り出し面に出射させることができる。なお、配光部材の端面が第1遮光膜及び/又は第2遮光膜で被覆されている場合には、配光部材の端面は反射部材により被覆されていなくてもよい。こうすることで、配光部材の外周を発光装置の最外周とすることができるため、配光部材の外周に反射部材を配置する場合と比較して発光装置を小型化することができる。
【0058】
反射部材は、スクリーン印刷、ポッティング、トランスファーモールド、コンプレッションモールド等により形成することができる。反射部材は、製造された発光装置では、配光部材の光取り出し面側の表面を被覆しないが、反射部材の形成工程で、一旦配光部材の光取り出し面側の表面を被覆した後、研磨等によって配光部材の光取り出し面を反射部材から露出させる加工を行ってもよい。
従って、反射部材の最大厚みは、支持基板に接続した際の発光素子の高さ及び配光部材の厚みの合計と同等とすることが好ましい。
【0059】
この反射部材の配置は、配光部材に対して発光素子を配置した後に行ってもよいし、後述する透光片をそれぞれ離間させた後に行ってもよいし、配光部材に対して発光素子を配置する前に、各発光素子に反射部材を被覆した後に、反射部材が被覆された発光素子に対して配光部材を配置してもよい。好ましくは、配光部材に対して発光素子を配置した後であって透光片をそれぞれ離間する前に反射部材を配置する。これにより、透光片間に形成された空隙に反射部材が入るのを防ぐことができるため、空隙による応力緩和の効果を得やすくなる。
【0060】
〔透光片の離間〕
溶解性接着剤層を溶剤により溶解する。これによって、その側面に形成された遮光膜とともに複数の透光片を、それぞれ離間させることができる。ただし、ここでの溶解性接着剤層の溶解は、溶解性接着剤層を完全に除去するように行われることが好ましいが、溶解性接着剤層の厚み方向の全部において溶解性接着剤層を溶解及び除去した部位がある限り、遮光膜で被覆された透光片の全周囲において、その一部の溶解性接着剤層が溶解及び除去されずに、残存していてもよい。つまり、透光片をそれぞれ完全に離間させていなくてもよい。厚み方向の全部の溶解性接着剤層を溶解させる部位が存在する限り、上述した応力の吸収及び/又は緩和をすることができる。
【0061】
ここで用いる溶剤は、用いた溶解性接着剤層の種類によって、溶解性接着剤層を溶解して除去することができる公知の材料を適宜選択することが好ましい。
【0062】
例えば、溶解性接着剤としてポリイミド樹脂を用いる場合には、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが好ましい。この場合、発光素子上に透光片を載置、固定するために使用する透光性接着剤層はシリコーン樹脂であることが好ましく、反射部材は酸化チタンを含有するシリコーン樹脂を用いることが好ましい。
【0063】
溶解性接着剤層を溶剤により溶解する方法は、当該分野で公知の方法が挙げられる。例えば、溶剤中に浸漬する方法、噴霧する方法などが挙げられる。なかでも、比較的短い時間で溶解できる溶剤中に浸漬する方法を用いるのが好ましい。なお、噴霧する方法を用いる場合は、噴霧した後にさらに溶剤中に浸漬することで残存した溶解性接着剤層を除去することもできる。
【0064】
〔発光装置〕
本発明の一実施形態における発光装置は、例えば、支持基板と、支持基板上にそれぞれ離間して設けられた複数の発光素子と、蛍光体を含有し、複数の発光素子のそれぞれに設けられた透光片と、この透光片の側面に設けられた遮光膜と、発光素子間に充填された反射部材とを有する。加えて、遮光膜間には空隙が形成されている。遮光膜間に形成される空隙は、遮光膜の厚み方向の全部に渡って連続しており、遮光膜間の一部又は全部に渡って配置されている。さらに言い換えると、隣接する透光片は、互いに離間して配置されている。
このような構成により、個々の発光素子から出射される光を発光素子ごとに分離することができ、発光装置内で、隣接する発光素子間での光漏れを防止することができる。その結果、非点灯の発光素子に設けられた透光片が発光するのを回避することができる。
加えて、点灯/非点灯の発光素子に起因する、配光部材に負荷される部分的な熱膨張による応力を、遮光膜間の空隙によって効果的に吸収することができる。これによって、遮光膜の剥がれ又は透光片にクラック等が生じない、長期に渡って信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0065】
1つの配光部材に形成された各透光片は同様の構成(形状、厚み、特性等)とすることもできるし、
図7A、7Bに示すように透光片ごとに異なる構成とすることもできる。例えば、各透光片の大きさを変えること、異なる波長の光となるように透光片ごとに異なる蛍光体を含有させること、透光片を段差状に形成することなどができる。車両用ヘッドライトにおいては1つの発光装置に複数の異なる構成の透光片が要求されることがある。このように異なる構成の透光片を採用する場合にも、実施形態によれば空隙で応力を吸収することができるため特性劣化の影響を受けにくくなる。
【0066】
各透光片に配置される発光素子の構成は同じであっても異なっていてもよい。例えば、
図7A、7Bに示すように1つの透光片に対して複数の発光素子を設けてもよいし、各透光片の大きさに対応した大きさの発光素子をそれぞれ設けてもよい。
【0067】
以下に、本発明の実施形態における発光装置の製造方法及び発光装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0068】
実施形態1
〔配光部材の準備〕
この実施形態1の配光部材の製造方法では、まず、
図1(a)に示すように、透光板10bを準備する。この透光板10bは、ガラス材料にYAG蛍光体を10重量%程度混合して焼結することにより得られる大判のYAG板を適当な大きさに切断することによって得られる。
透光板10bの厚みは、最終的に発光素子を配置することができる最大幅になる。従って、透光板10bの厚みは、平面視における発光素子の一辺(幅)より大きいことが好ましく、例えば、発光素子の一辺より50μm以上大きいものとすることが好ましい。
【0069】
図1(b)に示すように、この透光板10bの片面のみに、(Nb
2O
5(下)/SiO
2(上))n、n=20、厚み:1.5/2.5μm(合計厚み:80μm)のDBR構造からなる第1遮光膜11をスパッタ法によって順次成膜し、第1遮光膜付部材10aを2つ形成する。また、透光板10bの両面に第1遮光膜11を成膜した第1遮光膜付部材10aを複数形成する。
【0070】
次いで、
図1(c)に示すように、第1遮光膜付部材10aを、第1遮光膜11が対面するように、ポリイミド樹脂からなる溶解性接着剤層17を介して接合し、例えば、4つの第1遮光膜付部材10aを積層した第1接合体18を形成する。この場合、第1接合体18の最下面及び最上面には、第1遮光膜11が形成されていない面を配置する。
【0071】
その後、
図1(d)に示すように、第1接合体18を、第1遮光膜付部材10aの積層面に対して、所望の厚みになるように垂直に薄片状に切断する。切断は、第1接合体18の端面19(
図1(c)参照)に対して平行に行う。その後、平坦化のために切断面に対して研磨を行う。
これによって、
図1(e)に示すように、透光片10と、隣り合う透光片10の側面を被覆する第1遮光膜11とを、第1遮光膜11間に溶解性接着剤層17を介して一列に備え、所望する厚みの配光部材12を形成することができる。
【0072】
この配光部材では、透光片を接合する第1遮光膜として、DBR構造を利用するために、高い光反射率が得られ、遮光効果をより一層向上させることができる。また、光吸収率が低いため、このような遮光膜を配光部材に利用しても、配光部材としての光束低下を回避することが可能となる。
【0073】
〔発光素子の配置〕
図2(a)に示すように、配光部材12に対応して、発光素子13を設ける。つまり、配光部材12の溶解性接着剤層17によって分画された透光片10のそれぞれの位置に4つの発光素子13をそれぞれ離間して設ける。
発光素子13の配置は、配線パターンが表面に形成された支持基板15の上に、発光素子13を一列に並べて、共晶材料を用いてフェイスダウン実装することによって行う。そして、このように配置された発光素子13の光取り出し面側に、配光部材12を透光性接着剤層によって固定する。ここでの透光性接着剤層は、溶解性接着剤層17とは異なるものを用いる。例えば、透光性接着剤層として、シリコーン樹脂からなる接着部材を用いることが好ましい。
【0074】
〔反射部材の配置〕
続いて、
図2(b)に示すように、発光素子13間に二酸化チタン粒子を50%程度含有したシリコーン樹脂を含む反射部材14を配置する。反射部材14は、発光素子13間において、配光部材12側で、第1遮光膜11、溶解性接着剤層17と接触させる。また、反射部材14は、発光素子13の側面の全てを被覆するように配置する。さらに、発光素子13の側面及び配光部材12の最外周の全てを被覆するように反射部材14を配置する。
【0075】
〔透光片の離間〕
図2(c)に示すように、溶解性接着剤層17を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いて溶解する。これによって、支持基板15に固定された4つの発光素子13に、溶解性接着剤層17が存在していた部位に隙間が形成されてそれぞれ離間した4つの透光片10を配置させた、発光装置16を得ることができる。このとき、反射部材14は溶解されずに発光素子の上面とほぼ同一の高さで残存している。
【0076】
このような製造方法によって得られた発光装置は、支持基板15と、支持基板上に互いに離間して配置された複数の発光素子13と、蛍光体を含有し、複数の発光素子のそれぞれに設けられた透光片10と、この透光片10の側面に設けられた遮光膜と、発光素子13間に充填された反射部材14とを有する。そして、隣接する遮光膜は、互いに離間している。
【0077】
上述したような製造方法によれば、側面に遮光膜を有する透光片を備える配光部材12を、高精度かつ簡便に形成することができる。
また、得られた発光装置は、個々の発光素子をそれぞれ独立に点灯制御する場合に、点灯した発光素子に隣接する非点灯の発光素子に設けられた透光片が発光するのを阻止することができる。しかも、透光片が熱により膨張すると透光片間で応力が発生して透光片が割れるおそれがあるが、透光片10は、それぞれ離間しているために、応力をその隙間によって吸収することができる。その結果、透光片の剥がれ又は遮光膜等のクラックの発生を有効に防止することができ、長期に渡る信頼性を確保することができる。
【0078】
実施形態2
この実施形態の発光装置の製造方法及び発光装置では、透光板を2方向に対して切断すること以外、実施形態1の発光装置の製造方法及び発光装置と実質的に同様である。
【0079】
まず、
図3(a)に示すように、透光板20bを準備する。
そして、
図3(b)に示すように、この透光板20bの表面に、DBR構造からなる第1遮光膜21を成膜し、第1遮光膜付部材20aを形成する。例えば、この場合の第1遮光膜付部材20aの幅(
図3(b)の横方向における一辺の長さ)を200μm程度とする。
次いで、
図3(c)に示すように、第1遮光膜付部材20aを、第1遮光膜21がそれぞれ向かい合うように、ポリイミド樹脂からなる溶解性接着剤層27を介して接合し、例えば、4つの第1遮光膜付部材20aを積層した、第1接合体28を形成する。
【0080】
その後、
図3(d)に示すように、第1接合体28を、第1遮光膜付部材20aの積層面に対して垂直に第1の切断を行い、中間物22aを得る。なお、本実施形態においては、
図3(d)は中間物22aとしているが、
図3(d)の中間物22aを配光部材として用いることもできる。
さらに、
図4(a)に示すように、薄片化した配光部材22aに対して、再度、第1遮光膜付部材20aの積層面に対して垂直方向であって、第1遮光膜付部材20aの積層面において、上述した第1の切断に対して直交する方向において、切断する。
このような2方向に対する切断を行うことによって、
図4(b)に示すように、所望の形状の配光部材22を複数製造することができる。
【0081】
このように、2方向に対して切断を行う場合は、
図3(a)に示すように、透光板20bの奥行きが大きいことが好ましい。
【0082】
その後、発光素子の配置、反射部材の配置及び透光片の離間等、実施形態1と同様に行うことにより、発光素子が一列に配置された発光装置を得ることができる。
【0083】
このような製造方法によれば、実施形態1と同様の効果を備える配光部材をまとめて製造することができる。つまり、高精度で簡便な方法で、隣接する発光素子の光漏れを防止することができる配光部材を大量に製造することができる。
【0084】
実施形態3
〔配光部材の準備〕
この実施形態では、
図3(d)に示す配光部材22aをさらに加工する。
つまり、
図5(a)に示すように、得られた配光部材22aの表面に、第1遮光膜21の形成と同様に、DBR構造からなる第2遮光膜31を成膜し、第2遮光膜付部材22cを形成する。
次いで、
図5(b)に示すように、第2遮光膜付部材22cを、第2遮光膜31がそれぞれ向かい合うように、ポリイミド樹脂からなる溶解性接着剤層37を介して接合し、例えば、4つの第2遮光膜付部材22cを積層した、第2接合体38を形成する。
【0085】
続いて、
図5(c)に示すように、第2接合体38を、第2遮光膜付部材22cの積層面に対して垂直に切断して、配光部材32aを形成する。
その後、任意に、得られた配光部材32aを研磨及び/又は切断して、例えば、
図5cに示す、所望の形状の配光部材32aaを製造する。この配光部材32aaは、透光片20が行列状に複数配置されている。
【0086】
このような製造方法によれば、実施形態2と同様の効果を備える配光部材を製造することができる。つまり、高精度で簡便な方法で、隣接する発光素子の光漏れを防止することができる配光部材を大量に製造することができる。
なお、得られた配光部材32aaは、透光部材の数を調整するために、任意に切断してもよい。
【0087】
〔発光素子の配置〕
図6(a)に示すように、配光部材32aaを任意に切断した配光部材32に対応して、発光素子13を行列状に複数配置する。
この際の発光素子13の配列は、実施形態1及び2と同様に行うことができ、さらに、実施形態1と同様の方法により、反射部材14を形成し、透光片20を離間させる。これによって、支持基板15に固定された8つの発光素子13に、溶解性接着剤層17が存在していた部位(透光片間)に隙間が形成されてそれぞれ離間した透光片20を配置させた、発光装置36を得ることができる。
【0088】
このような製造方法によって得られた発光装置は、支持基板15と、支持基板上に互いに離間して配置された複数の発光素子13と、蛍光体を含有し、複数の発光素子のそれぞれに設けられた透光片20と、この透光片20の側面に設けられた第1遮光膜21及び第2遮光膜31と、発光素子13間に充填された反射部材14とを有する。そして、遮光膜間には空隙が形成されている。つまり、隣接する遮光膜は、互いに離間している。
このような発光装置においても、実施形態1及び2と同様の効果が得られる。
【0089】
実施形態4
本実施形態に係る発光装置46は、
図7A及び
図7Bに示すように、配光部材42において、1つの配光部材に配置された透光片は、最も小さい大きさであって、蛍光体濃度が最も高い透光片41a、最も小さい大きさであって、蛍光体濃度が二番目に高い透光片41b、二番目に小さい大きさであって、蛍光体濃度が最も高い透光片41c、最も大きい大きさであって、蛍光体濃度が二番目に高い透光片41d、最も大きい大きさであって、蛍光体濃度が最も低い透光片41eとを備える以外、実質的に発光装置36と同様の構成を有する。従って、発光素子の側面から配光部材42の側面に渡って、反射部材14が設けられている。
【0090】
図7Bに示すように、最も大きい大きさの透光片41d及び41eに対してそれぞれ2つの発光素子13が設けられている点が実施形態1及び実施形態2と異なる。こうすることで、発光装置全体として均一に発光させることができる。
【0091】
このような配光部材42は、実施形態1において一列に透光片が並ぶ配光部材の製造を複数回、本実施例の場合は3回以上、異なる厚みの配光板を用いて行い、それぞれで得られた配光部材を組み合わせることにより製造することができる。
このような発光装置においても、実施形態1及び2と同様の効果が得られる。また、このような形態の配光部材を用いる場合には、例えば、車両用ヘッドライト等種々の適用に対応した特性の発光装置とすることができる。