特許第6459935号(P6459935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6459935
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】空調用レジスタの操作機構
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
   B60H1/34 611B
【請求項の数】6
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-233175(P2015-233175)
(22)【出願日】2015年11月30日
(65)【公開番号】特開2017-100495(P2017-100495A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2017年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】柴田 実
(72)【発明者】
【氏名】寺井 伸弘
(72)【発明者】
【氏名】浅野 賢二
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−149104(JP,A)
【文献】 実開昭57−072310(JP,U)
【文献】 米国特許第3602127(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第102011050435(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用空気の流れ方向の下流端に吹出口を有する通風路が形成されたリテーナと、
前記吹出口からの空調用空気の吹出し方向を変更すべく前記流れ方向に沿って配置され、かつ互いに直交する方向へ延びるフィン軸により、前記リテーナにそれぞれ傾動可能に支持された上流フィン及び下流フィンと、
回動力が加えられることにより機能し、前記吹出口から吹出す空調用空気の状態を調整する状態調整部とを備える空調用レジスタに適用され、前記下流フィン及び前記上流フィンを傾動させるとともに前記状態調整部を回動させる際に操作される空調用レジスタの操作機構であって、
前記吹出口の外部に傾動可能かつ回動可能に配置された操作部材と、
前記下流フィンを傾動させる方向への前記操作部材の傾動を、自在継手を用いて同下流フィンに伝達する第1伝達機構部と、
前記上流フィンを傾動させる方向への前記操作部材の傾動を、前記自在継手を用いて同上流フィンに伝達する第2伝達機構部と、
前記操作部材の回動を、前記自在継手を用いて、シャフトを介して前記状態調整部に伝達する第3伝達機構部とを備え、
前記自在継手は、半球殻状をなす外殻部材と、半球殻状をなし、かつ前記外殻部材内に摺動可能に係合された中間殻部材と、半球殻状をなし、かつ前記中間殻部材内に摺動可能に係合された内殻部材とを備え、
前記外殻部材及び前記中間殻部材は、それぞれ支軸により回動可能に支持され、
前記操作部材は、その一部を前記外殻部材及び中間殻部材に挿通させた状態で前記内殻部材に固定され、
前記内殻部材は、前記シャフトの下流端に設けられた球状の係合部に対し回動を伝達可能に係合されており、
前記外殻部材及び前記中間殻部材の一方により前記第1伝達機構部の一部が構成され、他方により前記第2伝達機構部の一部が構成されるとともに、前記内殻部材により前記第3伝達機構部の一部が構成されている空調用レジスタの操作機構。
【請求項2】
前記係合部には突起が形成され、前記内殻部材の内面には、前記空調用空気の流れ方向に沿って延び、かつ前記シャフトの前記突起が係入される係合溝が形成されている請求項に記載の空調用レジスタの操作機構。
【請求項3】
前記外殻部材及び前記中間殻部材の各下流部には、自身の前記支軸に沿って延びる長孔がそれぞれ形成されており、
前記操作部材は、両長孔が交差する部分において前記外殻部材及び前記中間殻部材に挿通されている請求項1又は2に記載の空調用レジスタの操作機構。
【請求項4】
前記外殻部材は、前記下流フィンのフィン軸と同一方向へ延びる支軸により回動可能に支持され、
前記第1伝達機構部は、前記外殻部材の支軸と前記下流フィンのフィン軸との間に設けられた複数のギヤを備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の空調用レジスタの操作機構。
【請求項5】
前記中間殻部材は、前記上流フィンのフィン軸と同一方向へ延びる支軸により回動可能に支持され、
前記第2伝達機構部は、前記中間殻部材の支軸と前記上流フィンのフィン軸との間に設けられた複数のギヤを備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の空調用レジスタの操作機構。
【請求項6】
前記状態調整部は、前記吹出口からの空調用空気の吹出し量を調整すべく前記通風路の前記上流フィンよりも上流に配置され、かつ同空調用空気の流れ方向に直交するダンパ軸により前記リテーナに支持されたシャットダンパであり、
前記シャフトは、空調用空気の流れ方向に延びており、
前記第3伝達機構部は、前記内殻部材及び前記シャフトに加え、同シャフトと前記シャットダンパのダンパ軸との間に設けられた傘歯車機構を備えている請求項1〜5のいずれか1項に記載の空調用レジスタの操作機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置から送られてきた空調用空気を吹出口から室内に吹出す空調用レジスタに適用されて、その空調用空気の吹出し方向等を変更する際に操作される空調用レジスタの操作機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のインストルメントパネルには、空調装置の送風ダクトから送られてきて車室内に吹出す空調用空気の向きを変更等するための空調用レジスタが組込まれている。この空調用レジスタは、通風路が形成されたリテーナを備える。通風路は、空調用空気の流れ方向の下流端に吹出口を有する。通風路には、吹出口からの空調用空気の吹出し方向を変更するための上流フィンと下流フィンとが、同空調用空気の流れ方向に沿って配置されている。上流フィンはフィン軸によりリテーナに傾動可能に支持されている。下流フィンは、上流フィンのフィン軸に対し直交する方向へ延びるフィン軸により、リテーナに傾動可能に支持されている。さらに、通風路の上流フィンよりも上流には、同通風路の開度を調整するシャットダンパが支軸により、リテーナに傾動可能に支持されている。
【0003】
空調用レジスタには、上記下流フィン、上流フィン及びシャットダンパを傾動させるために操作される操作機構が設けられている。
例えば、特許文献1に記載された操作機構では、ボタンが前方へ押し込まれるとシャットダンパが閉じられ、ボタンが後方へ突出されるとシャットダンパが開かれる。この突出した状態のボタンが上下方向へ操作されると下流フィンが同方向へ傾動され、ボタンが左右方向へ操作されると上流フィンが同方向へ傾動される。
【0004】
また、特許文献2に記載された操作機構では、ボタンが左右方向へ操作されると、上流フィンが同方向へ傾動される。ボタンの上下方向の可動領域は、下流フィンを上下方向へ傾動させるためのフィン駆動領域と、シャットダンパを傾動させるべく、フィン駆動領域の下側に設定されたダンパ駆動領域とからなる。そして、ボタンがフィン駆動領域で上下方向へ操作されると、下流フィンが同方向へ傾動される。ボタンがダンパ駆動領域で上下方向へ操作されると、シャットダンパが傾動される。
【0005】
さらに、特許文献3に記載された操作機構では、ボタンが、その中央部分を構成するフィン駆動ボタンと、そのフィン駆動ボタンの周りに配置された環状のダンパ駆動ボタンとを備えている。フィン駆動ボタンが上下方向へ操作されると下流フィンが同方向へ傾動され、フィン駆動ボタンが左右方向へ操作されると上流フィンが同方向へ傾動される。ダンパ駆動ボタンが回動されると、シャットダンパの開度が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6893338号明細書
【特許文献2】米国特許第7056203号明細書
【特許文献3】西独国実用新案第202010013073号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献1に記載された操作機構では、シャットダンパを開く(全開)か閉じる(全閉)かしかできず、中間の開度にシャットダンパを傾動させることができない。
【0008】
また、特許文献2に記載された操作機構では、下流フィンを下方へ傾動させた状態でしかシャットダンパの開度を変更できず、空調用空気を吹出口から任意の方向へ吹出させることができない。
【0009】
さらに、特許文献3に記載された操作機構では、吹出口からの空調用空気の吹出し方向を変更した後にシャットダンパの開度を変更するための操作を行なう場合、又はその逆の操作を行なう場合、フィン駆動ボタンとダンパ駆動ボタンとを持ち替えなければならず、操作が煩雑である。
【0010】
こうした問題は、シャットダンパに代えて、吹出口から吹出す空調用空気の状態のうち、吹出し方向や吹出し量とは異なる状態を調整する状態調整部が設けられた空調用レジスタでも共通して起こり得る。
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な操作で、状態調整部を任意の状態にしつつ空調用空気を吹出口から任意の方向へ吹出させることのできる空調用レジスタの操作機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する空調用レジスタの操作機構は、空調用空気の流れ方向の下流端に吹出口を有する通風路が形成されたリテーナと、前記吹出口からの空調用空気の吹出し方向を変更すべく前記流れ方向に沿って配置され、かつ互いに直交する方向へ延びるフィン軸により、前記リテーナにそれぞれ傾動可能に支持された上流フィン及び下流フィンと、回動力が加えられることにより機能し、前記吹出口から吹出す空調用空気の状態を調整する状態調整部とを備える空調用レジスタに適用され、前記下流フィン及び前記上流フィンを傾動させるとともに前記状態調整部を回動させる際に操作される空調用レジスタの操作機構であって、前記吹出口の外部に傾動可能かつ回動可能に配置された操作部材と、前記下流フィンを傾動させる方向への前記操作部材の傾動を、自在継手を用いて同下流フィンに伝達する第1伝達機構部と、前記上流フィンを傾動させる方向への前記操作部材の傾動を、前記自在継手を用いて同上流フィンに伝達する第2伝達機構部と、前記操作部材の回動を、前記自在継手を用いて、シャフトを介して前記状態調整部に伝達する第3伝達機構部とを備える。
【0013】
上記の構成によれば、リテーナの吹出口の外部に配置された操作部材が、下流フィンを傾動させる方向へ傾動されると、その傾動は、自在継手を用いた第1伝達機構部によって下流フィンに伝達される。この伝達により、下流フィンがフィン軸を支点として傾動される。
【0014】
また、上記操作部材が、上流フィンを傾動させる方向へ傾動されると、その傾動は、自在継手を用いた第2伝達機構部によって上流フィンに伝達される。この伝達により、上流フィンが、上記下流フィンのフィン軸に対し直交する方向へ延びるフィン軸を支点として、下流フィンに対し直交する方向へ傾動される。
【0015】
リテーナ内の通風路を流れる空調用空気は、上記のように傾動された上流フィン及び下流フィンに沿って流れることで向きを変えられ、吹出口から吹出される。このようにして吹出口からの空調用空気の吹出し方向が変更される。
【0016】
さらに、上記操作部材が回動されると、その回動は、自在継手を用いた第3伝達機構部によって、シャフトを介して状態調整部に伝達される。回動力を加えられた状態調整部は作動し、吹出口から吹出す空調用空気の状態が調整される。
【0017】
このように、操作部材を傾動させることで上流フィン及び下流フィンを傾動させて、空調用空気を吹出口から任意の方向へ吹出させることが可能である、また、操作部材を回動させることで、状態調整部を任意の状態にすることが可能である。
【0018】
上記空調用レジスタの操作機構において、前記自在継手は、半球殻状をなす外殻部材と、半球殻状をなし、かつ前記外殻部材内に摺動可能に係合された中間殻部材と、半球殻状をなし、かつ前記中間殻部材内に摺動可能に係合された内殻部材とを備え、前記外殻部材及び前記中間殻部材は、それぞれ支軸により回動可能に支持され、前記操作部材は、その一部を前記外殻部材及び中間殻部材に挿通させた状態で前記内殻部材に固定され、前記内殻部材は、前記シャフトの下流端に設けられた球状の係合部に対し回動を伝達可能に係合されており、前記外殻部材及び前記中間殻部材の一方により前記第1伝達機構部の一部が構成され、他方により前記第2伝達機構部の一部が構成されるとともに、前記内殻部材により前記第3伝達機構部の一部が構成されていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、操作部材が下流フィンを傾動させる方向へ傾動されると、その傾動が、外殻部材及び中間殻部材のうち、第1伝達機構部の一部を構成するものに伝達される。そのものが支軸を支点として回動されて、その回動が下流フィンに伝達される。下流フィンがフィン軸を支点として傾動される。この際、外殻部材は中間殻部材に対し摺動する。そのため、操作部材の上記傾動は、外殻部材及び中間殻部材のうち、第2伝達機構部の一部を構成するものに伝達されない。また、操作部材の上記傾動は内殻部材に伝達されて、同内殻部材が操作部材と一体となって、その操作部材の傾動方向と同一方向へ回動する。ただし、内殻部材の傾動はシャフトには伝達されないかほとんど伝達されない。従って、上流フィンは傾動しないし、状態調整部の状態は変化しないかほとんど変化しない。
【0020】
これに対し、操作部材が上流フィンを傾動させる方向へ傾動されると、その傾動が外殻部材及び中間殻部材のうち、第2伝達機構部の一部を構成するものに伝達される。そのものが支軸を支点として回動されて、その回動が上流フィンに伝達される。上流フィンがフィン軸を支点として傾動される。この際、外殻部材は中間殻部材に対し摺動する。そのため、操作部材の上記傾動は、外殻部材及び中間殻部材のうち、第1伝達機構部の一部を構成するものに伝達されない。また、操作部材の上記傾動は内殻部材に伝達されて、同内殻部材が操作部材と一体となって、その操作部材の傾動方向と同一方向へ回動する。ただし、内殻部材の傾動はシャフトには伝達されないかほとんど伝達されない。従って、下流フィンは傾動しないし、状態調整部の状態は変化しないかほとんど変化しない。
【0021】
さらに、操作部材が回動されると、内殻部材が操作部材と一体となって回動する。この際、操作部材は外殻部材及び内殻部材に挿通されているにすぎず、操作部材の回動は外殻部材及び内殻部材に伝達されにくい。従って、下流フィン及び上流フィンは傾動しない。状態調整部が回動されて作動し、状態を変化させる。
【0022】
上記空調用レジスタの操作機構において、前記係合部には突起が形成され、前記内殻部材の内面には、前記空調用空気の流れ方向に沿って延び、かつ前記シャフトの前記突起が係入される係合溝が形成されていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、操作部材が下流フィン及び上流フィンのいずれか一方を傾動させる方向へ傾動されると、内殻部材が操作部材と一体となって、その操作部材の傾動方向と同一方向へ回動する。この際、内殻部材は、シャフトの係合部に対し摺動し、係合溝と突起との係合状態(例えば位置関係)を変化させるにとどまり、操作部材の傾動はシャフトに伝達されにくい。
【0024】
これに対し、操作部材が回動されると、内殻部材が操作部材と一体となって回動する。内殻部材の回動は、係合溝と、これに係合した突起とを介してシャフトに伝達される。シャフトが、操作部材及び内殻部材と一体となって回動する。状態調整部が回動されて作動し、状態を変化させる。
【0025】
上記空調用レジスタの操作機構において、前記外殻部材及び前記中間殻部材の各下流部には、自身の前記支軸に沿って延びる長孔がそれぞれ形成されており、前記操作部材は、両長孔が交差する部分において前記外殻部材及び前記中間殻部材に挿通されていることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、操作部材が下流フィンを傾動させる方向へ傾動されると、その傾動が、外殻部材及び中間殻部材のうち、下流フィンのフィン軸と同一方向へ延びる支軸を有するものに伝達される。この伝達は、操作部材の力が、長孔の延びる方向へ直交する方向へ加わることで行なわれる。
【0027】
操作部材の傾動は、外殻部材及び中間殻部材のうち、下流フィンのフィン軸に対し直交する方向へ延びる支軸を有するものに対しては伝達されない。操作部材が、上記支軸に沿って延びる長孔内をその延びる方向へ移動するからである。
【0028】
これに対し、操作部材が上流フィンを傾動させる方向へ傾動されると、その傾動が、外殻部材及び中間殻部材のうち、上流フィンのフィン軸と同一方向へ延びる支軸を有するものに伝達される。この伝達は、操作部材の力が、長孔の延びる方向へ直交する方向へ加わることで行なわれる。
【0029】
操作部材の傾動は、外殻部材及び中間殻部材のうち、上流フィンのフィン軸に対し直交する方向へ延びる支軸を有するものに対しては伝達されない。操作部材が、上記支軸に沿って延びる長孔内をその延びる方向へ移動するからである。
【0030】
上記空調用レジスタの操作機構において、前記外殻部材は、前記下流フィンのフィン軸と同一方向へ延びる支軸により回動可能に支持され、前記第1伝達機構部は、前記外殻部材の支軸と前記下流フィンのフィン軸との間に設けられた複数のギヤを備えることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、操作部材が下流フィンを傾動させる方向へ傾動されると、その傾動が外殻部材に伝達される。外殻部材が支軸を支点として回動されて、その回動が、外殻部材の支軸と下流フィンのフィン軸との間に設けられた複数のギヤを介して同下流フィンに伝達される。下流フィンがフィン軸を支点として傾動される。
【0032】
上記空調用レジスタの操作機構において、前記中間殻部材は、前記上流フィンのフィン軸と同一方向へ延びる支軸により回動可能に支持され、前記第2伝達機構部は、前記中間殻部材の支軸と前記上流フィンのフィン軸との間に設けられた複数のギヤを備えることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、操作部材が上流フィンを傾動させる方向へ傾動されると、その傾動が中間殻部材に伝達される。中間殻部材が支軸を支点として回動されて、その回動が、中間殻部材の支軸と上流フィンのフィン軸との間に設けられた複数のギヤを介して同上流フィンに伝達される。上流フィンがフィン軸を支点として傾動される。
【0034】
上記空調用レジスタの操作機構において、前記状態調整部は、前記吹出口からの空調用空気の吹出し量を調整すべく前記通風路の前記上流フィンよりも上流に配置され、かつ同空調用空気の流れ方向に直交するダンパ軸により前記リテーナに支持されたシャットダンパであり、前記シャフトは、空調用空気の流れ方向に延びており、前記第3伝達機構部は、前記内殻部材及び前記シャフトに加え、同シャフトと前記シャットダンパのダンパ軸との間に設けられた傘歯車機構を備えていることが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、操作部材が回動されると、その回動が、内殻部材と、空調用空気の流れ方向に延びるシャフトと、傘歯車機構と、上記流れ方向に直交するダンパ軸とを介してシャットダンパに伝達される。この際、傘歯車機構は、伝達される回動の方向を変更する。シャットダンパがダンパ軸を支点として傾動されることにより、同シャットダンパの開度が変化する。通風路においてシャットダンパを通過する空調用空気の量が調整され、吹出口からの空調用空気の吹出し量が調整される。
【発明の効果】
【0036】
上記空調用レジスタの操作機構によれば、簡単な操作で、状態調整部を任意の状態にしつつ空調用空気を吹出口から任意の方向へ吹出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】空調用薄型レジスタの操作機構に具体化した一実施形態を示す図であり、操作部材が中立状態にされた同空調用薄型レジスタの全体を空調用空気の流れ方向の下流側から見た斜視図。
図2図1における空調用薄型レジスタの構成部品の一部を示す分解斜視図。
図3図1における空調用薄型レジスタの構成部品の一部を示す分解斜視図。
図4】一実施形態における操作機構の一部を示す斜視図。
図5図1における空調用薄型レジスタの構成部品の一部を示す分解斜視図。
図6図1における空調用薄型レジスタの構成部品の一部を示す分解斜視図。
図7】一実施形態における操作機構の構成部品の一部を分解して示す斜視図。
図8】一実施形態における操作機構の構成部品の一部を分解して示す断面図であり、(a)は平断面図、(b)は側断面図。
図9図1の空調用薄型レジスタを空調用空気の流れ方向の下流側から見た正面図。
図10図9の10−10線断面図。
図11図9の11−11線部分断面図。
図12図9の12−12線断面図。
図13図9の13−13線断面図。
図14図9の14−14線断面図。
図15図11の15−15線部分断面図。
図16】操作部材が中立状態にされたときの伝達機構の一部の構成部品を第2フィン及びバレルとともに抜き出して示す断面図。
図17】操作部材が中立状態にされたときの伝達機構の一部の構成部品を第1フィン、第2フィン及びバレルとともに抜き出して示す断面図。
図18図12に対応する図であり、中立状態の操作部材が上方へ傾動されたときの操作機構の部分断面図。
図19図13に対応する図であり、中立状態の操作部材が上方へ傾動されたときの空調用薄型レジスタの部分断面図。
図20図16に対応する図であり、中立状態の操作部材が上方へ傾動されたときの伝達機構の一部の構成部品を第2フィン及びバレルとともに抜き出して示す断面図。
図21図17に対応する図であり、中立状態の操作部材が上方へ傾動されたときの伝達機構の一部の構成部品を第1フィン、第2フィン及びバレルとともに抜き出して示す断面図。
図22図12に対応する図であり、中立状態の操作部材が下方へ傾動されたときの操作機構の部分断面図。
図23図13に対応する図であり、中立状態の操作部材が下方へ傾動されたときの空調用薄型レジスタの部分断面図。
図24図16に対応する図であり、中立状態の操作部材が下方へ傾動されたときの伝達機構の一部の構成部品を第2フィン及びバレルとともに抜き出して示す断面図。
図25図17に対応する図であり、中立状態の操作部材が下方へ傾動されたときの伝達機構の一部の構成部品を第1フィン、第2フィン及びバレルとともに抜き出して示す断面図。
図26】一実施形態において、中立状態の操作部材が右方へ傾動されたときの操作機構の一部を示す部分平断面図。
図27図10に対応する図であり、中立状態の操作部材が右方へ傾動されたときの操作機構の一部を、上流フィン及びロッドとともに示す平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、車両用の空調用薄型レジスタの操作機構に具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の進行方向(前進方向)を前方とし、後進方向を後方とし、高さ方向を上下方向として説明する。また、車幅方向(左右方向)については、車両を後方から見た場合を基準として方向を規定する。
【0039】
車室内において、車両の前席(運転席及び助手席)の前方にはインストルメントパネルが設けられ、その左右方向(車幅方向)における中央部、側部等には空調用薄型レジスタが組込まれている。この空調用薄型レジスタの主な機能は、空調装置から送られてきて、長方形状の吹出口から車室内に吹出す空調用空気の向きを変更すること、同空調用空気の吹出し量を調整すること等である。
【0040】
図1図2及び図6に示すように、空調用薄型レジスタは、リテーナ10、下流フィン群、上流フィン群、シャットダンパ75、ダンパ可動範囲規定部77及び操作機構80を備えている。次に、空調用薄型レジスタを構成する各部の構成について説明する。
【0041】
<リテーナ10>
リテーナ10は、空調装置の送風ダクト(図示略)と、インストルメントパネルに設けられた開口(図示略)とを繋ぐためのものであり、図2に示すように、上流リテーナ11、下流リテーナ31及びベゼル41を備えている。このリテーナ10の内部空間は、空調用空気A1の流路(以下「通風路35」という)を構成している(図11参照)。ここで、空調用空気A1の流れ方向に関し、空調装置に近い側を「上流」、「上流側」等といい、同空調装置から遠い側を「下流」、「下流側」等というものとする。
【0042】
上流リテーナ11は、リテーナ10の最上流部分を構成する部材である。上流リテーナ11は、その上部を構成する上流リテーナ構成部12と、下部を構成する上流リテーナ構成部16とを備えている。
【0043】
下側の上流リテーナ構成部16は、自身の左右の各側部に設けられた係止孔17において、上側の上流リテーナ構成部12の対応する箇所に設けられた係止突起13に係止されることにより、同上流リテーナ構成部12に連結されている。こうして形成された上流リテーナ11は、上流端と下流端とが開放され、かつ左右方向(車幅方向)の寸法が上下方向の寸法よりも大きな略四角筒状をなしている。
【0044】
下流リテーナ31は、上流リテーナ11の下流側に配置されている。下流リテーナ31は、上流リテーナ11と同様に、上流端及び下流端が開放され、かつ左右方向(車幅方向)の寸法が上下方向の寸法よりも大きな略四角筒状をなしている。下流リテーナ31は、自身の上流端部に設けられた係止孔32において、上記上流リテーナ11の対応する箇所に設けられた係止突起28に係止されることにより、同上流リテーナ11に連結されている。
【0045】
上記通風路35は、リテーナ10の4つの壁部によって取り囲まれている。これらの4つの壁部は、左右方向(車幅方向)に相対向する一対の側壁部36,37と、上下方向に相対向する上壁部38及び底壁部39とからなる。両側壁部36,37は互いに平行な状態又はそれに近い状態で対向している。
【0046】
ベゼル41は、リテーナ10の最下流部分を構成する部材である。ベゼル41は、その複数箇所に設けられた係止孔42において、下流リテーナ31の対応する箇所に設けられた係止突起33に係止されることにより、同下流リテーナ31に連結されている。
【0047】
ベゼル41において、通風路35の下流端となる箇所には、空調用空気A1が吹出される吹出口43が形成されている(図9参照)。ベゼル41の下流側の面であって、吹出口43の周りの部分は、空調用薄型レジスタの意匠面を構成している。
【0048】
吹出口43は、一対の短辺部44と、各短辺部44よりも長い一対の長辺部45とからなる。両短辺部44は、互いに平行に離間した状態で略上下方向へ延びている。両長辺部45は、互いに平行に離間した状態で、両短辺部44に対し直交する方向である左右方向(車幅方向)へ延びている。こうした構成の吹出口43は、上下方向よりも左右方向(車幅方向)に細長い横長の長方形状をなしている。
【0049】
図2及び図11に示すように、ベゼル41の右側部は、右側の側壁部37よりも右方へ突出しており、この突出部分には、円形状をなす孔からなる窓部46が、上記吹出口43から右方へ離間した状態で形成されている。
【0050】
図6に示すように、上側の上流リテーナ構成部12の下流部には、上方へ向けて膨らむように湾曲した上湾曲部14が形成されている。同様に、下側の上流リテーナ構成部16の下流部には、下方へ向けて膨らむように湾曲した下湾曲部18が形成されている。上湾曲部14及び下湾曲部18は、後述する軸受部49を中心とする円弧に沿って湾曲している。
【0051】
図13及び図14に示すように、上壁部38における上湾曲部14の上流端と、底壁部39における下湾曲部18の上流端との間隔D1は、吹出口43の短辺部44の長さL1に合致又は近似する間隔に設定されている。ここで、間隔D1について、短辺部44の長さL1に近似する間隔とは、同長さL1に対し、圧力損失の増大に影響を及ぼさない程度に近い間隔を意味する。
【0052】
さらに、上壁部38の上湾曲部14よりも上流には、上方へ膨出する上膨出部15が形成されている。同様に、底壁部39の下湾曲部18よりも上流には、下方へ膨出する下膨出部19が形成されている。
【0053】
底壁部39において、下湾曲部18と下膨出部19との間には、上面において開口し、かつ左右方向(車幅方向)に延びる溝部21が形成されている。
図2図6に示すように、リテーナ10における左右の両側壁部36,37には、4種類の軸受部47,48,49,50がそれぞれ設けられている。
【0054】
左右の各軸受部47は、下流リテーナ31の下流端部とベゼル41との間であって、上側の長辺部45の上流近傍に設けられている。左右の各軸受部48は、下流リテーナ31の下流端部とベゼル41との間であって、下側の長辺部45の上流近傍に設けられている。
【0055】
左右の各軸受部49は、上湾曲部14と下湾曲部18との間に設けられている。左右の各軸受部49は、空調用空気A1の流れ方向については、上記左右の各軸受部47,48から上流へ離間した箇所であって、上下方向については、軸受部47と軸受部48との中間部分に位置している。
【0056】
左右の各軸受部50は、上膨出部15と下膨出部19との間に設けられている。左右の各軸受部50は、左右の上記軸受部49よりも上流に位置している。
上壁部38及び底壁部39において、上記軸受部49よりも上流であって、左右方向(車幅方向)に互いに略等間隔毎に離間した複数箇所には、軸受部51がそれぞれ設けられている。本実施形態では、上壁部38の軸受部51は上湾曲部14の上流近傍に設けられ、底壁部39の軸受部51は下湾曲部18の上流近傍に設けられている(図14参照)。
【0057】
下側の上流リテーナ構成部16の外部であって、右側の側壁部37に隣接する箇所には、延長部22が形成されている。延長部22において、溝部21の右側方となる箇所には、下面において開口し、かつ左右方向(車幅方向)に延びる溝部23が形成されている。
【0058】
右側の側壁部37には、上記延長部22の溝部23と底壁部39の溝部21とを連通させる連通孔(図示略)が形成されている。
延長部22において、上記溝部23の下流近傍には、下方へ向けて突出する軸部24が形成されている(図12参照)。また、延長部22において、軸部24よりもさらに下流側へ離れた箇所には、下方へ向けて突出する軸部25が形成されている。
【0059】
延長部22において上記溝部23の上流近傍には、軸受部52を有する支持壁部26が形成されている。支持壁部26は、左右方向(車幅方向)及び上下方向へ延びる板状をなしている。軸受部52は、支持壁部26を切り欠くことによって形成されている。
【0060】
延長部22において、上記軸受部50の右側方へ離間した箇所には、軸受部53を有する支持壁部27が形成されている(図11参照)。支持壁部27は、空調用空気A1の流れ方向及び上下方向へ延びる板状をなしている。軸受部53は、支持壁部27を切り欠くことによって形成されている。
【0061】
<下流フィン群>
図2図3及び図19に示すように、下流フィン群は、吹出口43から吹出す空調用空気A1の短辺部44に対しなす角度αを変更する3つのフィンからなる。これらのフィンは、いずれも硬質の樹脂によって形成された第1フィン55、第2フィン61及びバレル65からなる。第1フィン55及び第2フィン61のそれぞれの主要部は、長辺部45に沿って左右方向(車幅方向)に延びる板状をなしている(図14参照)。
【0062】
第1フィン55は、上側の長辺部45の上流近傍に配置されている。第1フィン55の下流端には、長辺部45に沿って左右方向(車幅方向)へ延びるフィン軸56が設けられている。フィン軸56は、上記軸受部47により両側壁部36,37に支持されている。第1フィン55の左右方向(車幅方向)に互いに離間した複数箇所には、同第1フィン55の剛性を高めることを目的として、補強リブ57が形成されている。
【0063】
第2フィン61は、下側の長辺部45の上流近傍において、上記第1フィン55に対し平行な状態で配置されている。第2フィン61の下流端には、長辺部45に沿って左右方向(車幅方向)に延びるフィン軸62が設けられている。フィン軸62は、上記軸受部48により両側壁部36,37に支持されている。第2フィン61の左右方向(車幅方向)に互いに離間した複数箇所には、同第2フィン61の剛性を高めることを目的として、補強リブ63が形成されている。
【0064】
従って、第1フィン55及び第2フィン61の下流端部間の間隔は、吹出口43における短辺部44の長さL1(図14参照)と同程度となる。
バレル65は、左右方向(車幅方向)に離間した状態で配置された円板状の側壁部66と、同方向へ延びて両側壁部66間に架け渡された一対の主フィン67と、両主フィン67間で同方向へ延びて両側壁部66間に架け渡された補助フィン68とを備えている。
【0065】
各側壁部66の中心部には、フィン軸69が設けられている。各フィン軸69は、上記軸受部49により両側壁部36,37に支持されている。
両主フィン67は、吹出口43の短辺部44に沿う方向へ互いに離間している。両主フィン67の下流部67bは、互いに平行に離間している。両主フィン67の上流部67aは、上流ほど互いの間隔が拡大するように下流部67bに対し傾斜している。両下流部67b間の間隔D2は、吹出口43の短辺部44の長さL1に近似する間隔となるように配置されている(図14参照)。従って、間隔D2は、第1フィン55及び第2フィン61の間隔に近似している。ここで、間隔D2について、短辺部44の長さL1に近似する間隔とは、同長さL1に対し、圧力損失の増大に影響を及ぼさない程度に近い間隔を意味する。
【0066】
補助フィン68は、両下流部67b間の中央部において、同下流部67bに平行な状態で配置されている。補助フィン68は、両フィン軸69から下流側へ離間した箇所に配置されている。補助フィン68の下流部は、両下流部67bの下流端よりも下流に位置している。
【0067】
<上流フィン群>
図5図11及び図14に示すように、上流フィン群は、吹出口43から吹出す空調用空気A1の長辺部45に対しなす角度βを変更するためのものである。上流フィン群は、通風路35内のバレル65の補助フィン68よりも上流に配置された複数の上流フィン71からなる。各上流フィン71は互いに同一の構成を有している。各上流フィン71は、それぞれ通風路35内で上下方向へ延びる板状体によって構成されている。複数の上流フィン71は、左右方向(車幅方向)には略等間隔で互いに略平行に離間した状態で配置されている。
【0068】
各上流フィン71は上下方向へ延びるフィン軸72を備えている。各フィン軸72は、空調用空気A1の流れ方向における上流フィン71の略中央部に位置している。上流フィン71毎のフィン軸72は、上記軸受部51により上壁部38及び底壁部39に支持されている。
【0069】
各上流フィン71の下端面であって、フィン軸72から上流へ離間した箇所からは連結ピン73が下方へ突出している。
<シャットダンパ75>
図6図11及び図14に示すように、シャットダンパ75は、状態調整部として設けられている。状態調整部は、回動力が加えられることにより機能し、かつ吹出口43から吹出す空調用空気A1の状態のうち、吹出し方向とは異なる状態を調整する部材である。本実施形態では、シャットダンパ75が、吹出口43からの空調用空気A1の吹出し量を調整するために、通風路35の上流フィン71よりも上流に配置されている。シャットダンパ75は、左右方向(車幅方向)に延びる板状をなしている。シャットダンパ75は、空調用空気A1の流れ方向に直交する方向のうち左右方向へ延びる一対のダンパ軸76を備えている。両ダンパ軸76は、空調用空気A1の流れ方向におけるシャットダンパ75の略中央部に位置している。各ダンパ軸76は、上記軸受部50により左右の両側壁部36,37に支持されるとともに、軸受部53により上記支持壁部27に支持されている。
【0070】
<ダンパ可動範囲規定部77>
図11及び図15に示すように、ダンパ可動範囲規定部77は、ダンパ軸76の回動範囲(角度)を規定するためのものであり、右側の側壁部37において、軸受部50の周りに形成された円弧部78と、ダンパ軸76上に形成された突起部79とを備えている。突起部79は、ダンパ軸76の周方向については、その一部にのみ形成されている。突起部79は、左右方向(車幅方向)については、ダンパ軸76のうち円弧部78に対応する箇所に形成されている。円弧部78の周方向の両端部は、これに突起部79が当接することで、それ以上のダンパ軸76の回動を阻止するストッパ78aを構成している。従って、突起部79は円弧部78と同一円上であって、同円弧部78の形成されていない領域で移動(旋回)可能であり、この領域はダンパ軸76が回動を許容される領域である。
【0071】
<操作機構80>
図1に示すように、操作機構80は、第1フィン55、第2フィン61、バレル65、上流フィン71及びシャットダンパ75を傾動させる際に操作される機構であり、操作部材81及び伝達機構TMを備えて構成されている。さらに、伝達機構TMは第1伝達機構部TM1、第2伝達機構部TM2及び第3伝達機構部TM3といった3つの伝達機構部を備えている。
【0072】
操作部材81は、乗員によって操作される部材であり、球状をなすノブ81aと、そのノブ81aから上流側へ突出する軸部81bとを備えている。操作部材81は、吹出口43の外部において傾動可能かつ回動可能に配置されている。
【0073】
より詳しくは、図4図7及び図12に示すように、ベゼル41における窓部46の上流近傍には、上下方向及び左右方向(車幅方向)に延びる板状の基部82が配置されている。基部82は、ねじ83によりベゼル41の右側部に締結されている。
【0074】
基部82の上下方向の中間部分には、略四角枠状の支持枠部84が形成されている。支持枠部84では、その上流端が上流壁部85により閉塞されているのに対し、下流端は開放されている。
【0075】
上流壁部85には、空調用空気A1の流れ方向に貫通する挿通孔86があけられている。挿通孔86には、上記流れ方向に沿って延びるシャフト87の下流部が挿通されている。シャフト87は、その上流部において支持壁部26の軸受部52に回動可能に支持されている。シャフト87の下流端には、球状をなす係合部88が形成されている。係合部88には空調用空気A1の流れ方向に直交する方向へ突出する一対の突起89が形成されている。
【0076】
支持枠部84の上部及びベゼル41の間と、同支持枠部84の下部及びベゼル41の間とには、それぞれ軸受部91が設けられている。また、支持枠部84の左右の各側部とベゼル41との間には、それぞれ軸受部92が設けられている。
【0077】
基部82において支持枠部84の直下には、上記流れ方向に貫通する貫通孔93があけられている。貫通孔93は、左右方向(車幅方向)に細長い形状をなしている。
図7図8(a),(b)及び図12に示すように、支持枠部84内には、半球殻状をなし、かつ上流部において開放された外殻部材94が配置されている。外殻部材94の内面には、球面の一部が形成されている。
【0078】
外殻部材94は、第1フィン55、第2フィン61及びバレル65の各フィン軸56,62,69と同一方向である左右方向(車幅方向)へ延びる一対の支軸95を有している。両支軸95は、両軸受部92により支持枠部84に対し上下方向へ回動可能に支持されている。外殻部材94の下流部には、空調用空気A1の流れ方向に貫通し、かつ自身の両支軸95に沿って略左右方向(略車幅方向)に延びる長孔96が形成されている。
【0079】
外殻部材94の内部には、半球殻状をなし、かつ上流部において開放された中間殻部材97が配置されている。中間殻部材97の内面及び外面には、それぞれ球面の一部が形成されている。中間殻部材97は、その外面を上記外殻部材94の内面に接触させた状態で同外殻部材94に対し摺動可能に係合されている。中間殻部材97は、上流フィン71の各フィン軸72と同一方向である上下方向へ延びる一対の支軸98を有している。両支軸98は、両軸受部91により支持枠部84に対し、左右方向(車幅方向)へ回動可能に支持されている。中間殻部材97の下流部には、空調用空気A1の流れ方向に貫通し、かつ自身の支軸98に沿って略上下方向に延びる長孔99が形成されている。
【0080】
中間殻部材97の内部には、半球殻状をなし、かつ上流部において開放された内殻部材101が配置されている。内殻部材101の外面には、球面の一部が形成されている。内殻部材101は、その外面を上記中間殻部材97の内面に接触させた状態で同中間殻部材97に対し摺動可能に係合されている。
【0081】
内殻部材101の内面には、球面の一部が形成されている。この内殻部材101の内面には、空調用空気A1の流れ方向に沿って延びる一対の係合溝102が形成されている。そして、シャフト87の係合部88が、自身の外面を内殻部材101の内面に接触させた状態で同内殻部材101に対し摺動可能に係合されるとともに、各突起89が対応する係合溝102に係入されている。このようにして、内殻部材101は、シャフト87に対し回動を伝達する態様で係合されている。
【0082】
上記操作部材81の軸部81bは、上記両長孔96,99の交差した部分において外殻部材94及び中間殻部材97に挿通されている。軸部81bは内殻部材101の下流端部に嵌合された状態で固定されている。
【0083】
上記外殻部材94、中間殻部材97及び内殻部材101は、自在継手(ユニバーサルジョイント)を構成する部材として用いられている。また、外殻部材94により第1伝達機構部TM1の一部が構成されている。第1伝達機構部TM1は、短辺部44に沿う方向(上下方向)の操作部材81の動きを、下流フィン群を構成するバレル65、第1フィン55及び第2フィン61に伝達して、次の動作を行なわせるための機構部である。その動作とは、操作部材81の操作に応じ、第1フィン55及び第2フィン61とバレル65とを互いに反対方向へ傾動させることである。
【0084】
図3図16及び図17に示すように、第1伝達機構部TM1は、上記外殻部材94のほかに、駆動ギヤ103、第1伝達ギヤ104、第2伝達ギヤ105、従動ギヤ106及びロッド109を備えている。
【0085】
駆動ギヤ103は、側面扇状をなしており、外殻部材94の左側の支軸95に形成されている。駆動ギヤ103は、リテーナ10の側壁部37と支持枠部84との間に配置されている(図11参照)。駆動ギヤ103の各歯は、支軸95を中心とする円弧に沿って配列されている。
【0086】
第1伝達ギヤ104は、側面扇状をなしており、バレル65の右側のフィン軸69に形成されている。第1伝達ギヤ104は、リテーナ10の側壁部37の外部に配置されている(図11参照)。第1伝達ギヤ104の各歯は、フィン軸69を中心とする円弧に沿って配列されている。そして、第1伝達ギヤ104が駆動ギヤ103に噛み合わされている。
【0087】
第2伝達ギヤ105は、側面扇状をなしており、上記第1伝達ギヤ104に重なった状態でバレル65の右側のフィン軸69に形成されている。第2伝達ギヤ105の各歯は、フィン軸69を中心とする円弧に沿って配列されている。
【0088】
従動ギヤ106は、側面扇状をなしており、第2フィン61の右側のフィン軸62に形成されている。従動ギヤ106は、側壁部37の外部に配置されている(図11参照)。従動ギヤ106の各歯は、フィン軸62を中心とする円弧に沿って配列されている。そして、従動ギヤ106が第2伝達ギヤ105に噛み合わされている。
【0089】
第1フィン55の右側部において、フィン軸56よりも上流には連結ピン107が突設されている。また、第2フィン61の右側部において、フィン軸62よりも上流には連結ピン108が突設されている。両連結ピン107,108は、略上下方向へ延びるロッド109によって連結されている。そして、上記フィン軸56,62、連結ピン107,108及びロッド109によって、第1フィン55を第2フィン61に対し平行となるように同第2フィン61に同期した状態で傾動させる平行リンク機構が構成されている。
【0090】
図5図10及び図12に示すように、上記中間殻部材97により第2伝達機構部TM2の一部が構成されている。第2伝達機構部TM2は、長辺部45に沿う方向(左右方向、車幅方向)の操作部材81の動きを、複数の上流フィン71に伝達して、フィン軸72を支点として各上流フィン71を傾動させるための機構部である。
【0091】
第2伝達機構部TM2は、上記中間殻部材97のほかに、駆動ギヤ111、伝達ギヤ114、従動ギヤ115及びロッド112を備えている。
駆動ギヤ111は平面扇状をなしており、中間殻部材97の下側の支軸98に形成されている。駆動ギヤ111は、上記基部82の貫通孔93に挿通されている。
【0092】
上記底壁部39の溝部21と、延長部22の溝部23とには、左右方向(車幅方向)に延びるロッド112が、連通孔に通された状態で配置されている。このロッド112において、左右方向(車幅方向)に略等間隔で互いに離間した箇所には孔113があけられており、これらの孔113に各上流フィン71の連結ピン73が挿入されている。そして、上流フィン71毎のフィン軸72及び連結ピン73とロッド112とによって、全ての上流フィン71を互いに平行となるように同期した状態で傾動させる平行リンク機構が構成されている。
【0093】
延長部22の軸部25には、全周に歯が形成された伝達ギヤ114が支持されており、この伝達ギヤ114が上記駆動ギヤ111に噛み合わされている。延長部22の軸部24には、全周に歯が形成された従動ギヤ115が支持されており、この従動ギヤ115が上記伝達ギヤ114に噛み合わされている。
【0094】
さらに、従動ギヤ115において、軸部24から径方向外方へ離間した箇所には上方へ向けて突出する連結ピン116が形成されており、この連結ピン116が上記ロッド112の右端部に形成された孔117に挿通されている。
【0095】
図6及び図11に示すように、上記内殻部材101により第3伝達機構部TM3の一部が構成されている。第3伝達機構部TM3は、操作部材81の回動を、シャフト87を介してシャットダンパ75に伝達するための機構部である。
【0096】
第3伝達機構部TM3は、上記内殻部材101のほかに、上述したシャフト87及び傘歯車機構を備えている。傘歯車機構は、シャットダンパ75のダンパ軸76に対し直交するシャフト87の回動を、そのダンパ軸76に伝達するためのものである。傘歯車機構は、シャフト87の上流端に形成された駆動側の傘歯車118と、右側のダンパ軸76に形成され、かつ上記傘歯車118に噛み合わされた従動側の傘歯車119との組合わせからなる。
【0097】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。
図11及び図12は、操作部材81が、上下方向の可動領域の中央部、かつ左右方向(車幅方向)の可動領域の中央部に位置し、回動方向の可動領域の一方の端に位置するときの、各部の状態を示している。このときの操作部材81の状態を「中立状態」というものとする。中立状態では、操作部材81の軸部81bがシャフト87と同一軸線上に位置している。このとき、ダンパ可動範囲規定部77では、図15において実線で示すように、突起部79が円弧部78の一方(左方)のストッパ78aに接触している。シャットダンパ75は、通風路35に導入される前の空調用空気A1の流れ方向に沿う姿勢(水平状態)、すなわち全開状態にされている(図13参照)。
【0098】
図10に示すように、第2伝達機構部TM2では、従動ギヤ115の連結ピン116が軸部24の上流に位置している。また、各上流フィン71では、連結ピン73がフィン軸72の上流に位置している。その結果、図11において実線で示すように、各上流フィン71が通風路35に導入される前の空調用空気A1の流れ方向に沿う姿勢にされている。各上流フィン71は、リテーナ10の両側壁部36,37に対し略平行となっている。
【0099】
図16及び図17に示すように、第1伝達機構部TM1では、駆動ギヤ103と第1伝達ギヤ104とが、それらの周方向の中央部分の歯において噛み合っている。バレル65における両下流部67bと補助フィン68とは、通風路35に導入される前の空調用空気A1の流れ方向に沿う姿勢(略水平状態)にされている。
【0100】
また、第2伝達ギヤ105と従動ギヤ106とが、それらの周方向の中央部分の歯において噛み合っている。第2フィン61は、バレル65と同様に、通風路35に導入される前の空調用空気A1の流れ方向に沿う姿勢(略水平状態)にされている。ロッド109を介して第2フィン61に連結された第1フィン55についても同様である。しかも、第1フィン55及び第2フィン61は、両下流部67bと略同じ高さに位置している。
【0101】
そのため、図11図13及び図14に示すように、空調用薄型レジスタに流入した空調用空気A1は、最初にシャットダンパ75の上側と下側とに分かれて流れる。シャットダンパ75を通過した空調用空気A1は、隣り合う上流フィン71間や、左右方向(車幅方向)の両端の上流フィン71とリテーナ10の側壁部36,37との間を流れた後に、バレル65内に流入する。ここで、バレル65における両主フィン67の上流部67aは、下流部67bに対し傾斜している。主フィン67では、両上流部67aの間隔が上流ほど拡がっている。そのため、バレル65に流入した空調用空気A1は、両主フィン67の傾斜した上流部67aに沿って流れることで、両下流部67b間に集められる。そして、空調用空気A1は、下流部67bと補助フィン68との間を、それらの下流部67b及び補助フィン68に沿って流れる。その後、空調用空気A1は、第1フィン55及び第2フィン61の間を、それらのフィン55,61に沿って流れる。その結果、多くの量の空調用空気A1が、左右方向(車幅方向)にも上下方向にも流れる向きを変えられることなく、吹出口43から下流側へ真っ直ぐ吹出される。
【0102】
上記中立状態の操作部材81のノブ81aが摘まれて、吹出口43の短辺部44に沿う方向(上下方向)のうち、上方へ向かう力が加えられると、その力は操作部材81の軸部81bに固定された内殻部材101に伝達される。内殻部材101は、その内面において、シャフト87の係合部88の外面に対し接触した状態で係合している。また、内殻部材101は、その外面において、中間殻部材97の内面に対し接触した状態で係合している。
【0103】
また、操作部材81の軸部81bが挿通された外殻部材94の長孔96は左右方向(車幅方向)へ延びているところ、この方向は操作部材81の操作方向に直交する方向である。また、操作部材81の軸部81bが挿通された中間殻部材97の長孔99は、上下方向へ延びているところ、この方向は操作部材81の操作方向と同一方向である。そのため、操作部材81に加えられた上方へ向かう力は、左右方向(車幅方向)へ延びる長孔96の壁面を介して外殻部材94に伝達される。また、上方へ向かう上記力は、中間殻部材97には伝達されない。操作部材81の軸部81bが上下方向に延びる長孔99に沿って上方へ移動するからである。
【0104】
操作部材81は、これに一体になった内殻部材101がシャフト87の係合部88に対し上方へ摺動するとともに、軸部81bが長孔99に沿って上方へ移動することで、係合部88を支点として上方へ傾動される。長孔96において操作部材81の軸部81bを通じて上方へ向かう力を受けた外殻部材94は、中間殻部材97に対し上方へ摺動することで、支軸95を支点として図18に示すように時計回り方向へ回動する。これに伴い支軸95上に形成された駆動ギヤ103が図20の時計回り方向へ回動する。この回動は、同図20に示すように、駆動ギヤ103に噛み合わされた第1伝達ギヤ104を介してバレル65のフィン軸69に伝達される。第1伝達ギヤ104がバレル65及び第2伝達ギヤ105を伴って駆動ギヤ103とは反対方向である反時計回り方向へ回動されることで、両下流部67b及び補助フィン68が、下流側ほど低くなるように傾斜する。
【0105】
また、上記第2伝達ギヤ105の回動は、同第2伝達ギヤ105に噛み合わされた従動ギヤ106及びフィン軸62を介して第2フィン61に伝達され、同第2フィン61が上記フィン軸62を支点として、バレル65とは反対方向(操作部材81と同一方向)へ傾動される。
【0106】
第2フィン61の上記傾動は、図21に示すようにロッド109、連結ピン108,107を介して第1フィン55にも伝達される。第1フィン55は、第2フィン61に対し平行な状態で、同第2フィン61に同期して、フィン軸56を支点として時計回り方向へ傾動する。このようにして、第1フィン55及び第2フィン61が、それぞれのフィン軸56,62を支点として、上記バレル65とは反対方向へ傾動する。第2フィン61及び第2フィン61は、上流側ほど低くなるように傾斜した状態となる。
【0107】
従って、図19に示すように、上流フィン71を通過した後にバレル65に流入した空調用空気A1は、上記のように傾斜した両下流部67b間を流れるとともに底壁部39に沿って流れることで、第1フィン55の上流端と、第2フィン61の上流端との間に導かれる。
【0108】
ここで、バレル65における両下流部67bは互いに平行に離間しているところ、補助フィン68は、両主フィン67間において、下流部67bに対し平行に配置されている。そのため、空調用空気A1はバレル65内を通過する際に、両下流部67bに加え補助フィン68に沿って流れる。従って、空調用空気A1は補助フィン68が設けられない場合に比べ、第1フィン55の上流端と第2フィン61の上流端との間に導かれやすい。
【0109】
空調用空気A1は、第1フィン55及び第2フィン61の間を流れることで、流れる向きを変えられ、吹出口43から斜め上方へ向けて吹出される。このようにして、吹出口43から吹出す空調用空気A1の短辺部44に対しなす角度αが変更される。
【0110】
なお、上記のように操作部材81に対し上方へ向かう力が加えられた場合、その力は中間殻部材97には伝達されない。中間殻部材97は支軸98を支点として回動せず、従って、上流フィン71は傾動しない。また、このときには、内殻部材101は操作部材81と一体となって、その操作部材81の傾動方向と同一方向である上方へ回動する。この際、内殻部材101は、シャフト87の係合部88に対し摺動し、係合溝102と突起89との係合状態(例えば位置関係)を変化させるにとどまり、操作部材81の傾動はシャフト87に伝達されにくい。シャフト87はほとんど回動せず、従って、シャットダンパ75の開度はほとんど変化しない。
【0111】
上記中立状態から、上記とは逆に、操作部材81のノブ81aが摘まれて、下方へ向かう力が加えられると、図22に示すように、同操作部材81は、内殻部材101がシャフト87の係合部88に対し下方へ摺動するとともに、軸部81bが長孔99に沿って下方へ移動することで、係合部88を支点として下方へ傾動される。操作部材81の軸部81bを通じて下方へ向かう力を受けた外殻部材94は、中間殻部材97に対し下方へ摺動することで、支軸95を支点として図24の反時計回り方向へ回動する。これに伴い支軸95上に形成された駆動ギヤ103が同方向へ回動する。この回動は、第1伝達ギヤ104を介してバレル65のフィン軸69に伝達される。第1伝達ギヤ104がバレル65及び第2伝達ギヤ105を伴って、操作部材81の傾動方向とは反対方向である時計回り方向へ傾動されることで、両下流部67b及び補助フィン68が、下流側ほど高くなるように傾斜する。
【0112】
また、上記第2伝達ギヤ105の回動は、従動ギヤ106及びフィン軸62を介して第2フィン61に伝達され、同第2フィン61が上記フィン軸62を支点として、バレル65とは反対方向(操作部材81と同一方向)へ傾動される。
【0113】
第2フィン61の上記傾動は、図25に示すように、ロッド109を介して第1フィン55にも伝達される。第1フィン55は、第2フィン61に対し平行な状態で、同第2フィン61に同期して、フィン軸56を支点として反時計回り方向へ傾動する。このようにして、第1フィン55及び第2フィン61が、それぞれのフィン軸56,62を支点として、上記バレル65の傾動方向とは反対方向へ傾動する。第2フィン61及び第2フィン61は、上流側ほど高くなるように傾斜した状態となる。
【0114】
従って、図23に示すように、上流フィン71を通過した後にバレル65に流入した空調用空気A1は、上記のように傾斜した両下流部67b間を流れるとともに上壁部38に沿って流れることで、第1フィン55の上流端と、第2フィン61の上流端との間に導かれる。
【0115】
この場合にも、空調用空気A1は両主フィン67間を通過する際に、両下流部67bに加え補助フィン68に沿って流れる。そのため、空調用空気A1は補助フィン68が設けられない場合に比べ、第1フィン55の上流端と、第2フィン61の上流端との間に導かれやすい。
【0116】
空調用空気A1は、第1フィン55及び第2フィン61の間を流れることで、流れる向きを変えられ、吹出口43から斜め下方へ向けて吹出される。このようにして、吹出口43から吹出す空調用空気A1の短辺部44に対しなす角度αが変更される。
【0117】
なお、上記のように操作部材81に対し下方へ向かう力が加えられた場合、その力は中間殻部材97には伝達されない。中間殻部材97は支軸98を支点として回動せず、従って上流フィン71は傾動しない。また、このときには、内殻部材101は操作部材81と一体となって、その操作部材81の傾動方向と同一方向である下方へ回動する。この際、内殻部材101は、シャフト87の係合部88に対し摺動し、係合溝102と突起89との係合状態(例えば位置関係)を変化させるにとどまり、操作部材81の傾動はシャフト87に伝達されにくい。シャフト87はほとんど回動せず、従って、シャットダンパ75の開度はほとんど変化しない。
【0118】
ところで、両下流部67bは互いに平行に離間している。また、第1フィン55と第2フィン61とは互いに平行な状態で配置されている。そのため、上記のように操作部材81が上下方向へ傾動されても、空調用空気A1が通風路35のうち、両下流部67b間と、第1フィン55及び第2フィン61の間とを流れる際に流路断面積が大きく変化しない。
【0119】
特に、本実施形態では、図14及び図19に示すように、フィン軸56が上側の長辺部45の上流近傍に位置し、かつフィン軸62が下側の長辺部45の上流近傍に位置していて、第1フィン55及び第2フィン61の間隔が吹出口43の短辺部44の長さL1に近似している。両下流部67b間の間隔D2が、上記短辺部44の長さL1に合致又は近似する間隔に設定されている。こうした設定により、両下流部67b間の流路断面積が、第1フィン55及び第2フィン61の間の流路断面積と同程度となる。そのため、空調用空気A1が両下流部67b間から第1フィン55及び第2フィン61の間を経由して吹出口43から吹出すまでに、流路断面積が大きく変化することがない。
【0120】
また、本実施形態では、図13に示すように、リテーナ10のバレル65よりも上流では、短辺部44に沿う方向の寸法(間隔D1)が、同短辺部44の長さL1に合致又は近似する寸法に設定されている。そのため、仮に、バレル65における両主フィン67が、上流部67aでも下流部67bと同様に互いに平行に離間していると、バレル65が傾動されて、両下流部67bが短辺部44に対し傾斜したとき、上流部67aが通風路35内に突出し、空調用空気A1の流通抵抗となる。
【0121】
この点、両上流部67aが上流ほど互いの間隔が拡大するように下流部67bに対し傾斜させられている本実施形態では、図19及び図23に示すように、同上流部67aが通風路35内に突出することが抑制され、通風抵抗となることが抑制される。
【0122】
上記中立状態から、操作部材81のノブ81aが摘まれて、左右方向(車幅方向)のうち、例えば、同図11において右方へ向かう力が加えられると、その力は操作部材81の軸部81bに固定された内殻部材101に伝達される。
【0123】
ここで、操作部材81の軸部81bが挿通された外殻部材94の長孔96は左右方向(車幅方向)へ延びているところ、この方向は操作部材81の操作方向と同一方向である。また、操作部材81の軸部81bが挿通された中間殻部材97の長孔99は、上下方向へ延びているところ、この方向は操作部材81の操作方向に直交する方向である。
【0124】
そのため、操作部材81に加えられた右方へ向かう力は、上下方向へ延びる長孔99の壁面を介して中間殻部材97に伝達される。また、右方へ向かう上記の力は、外殻部材94には伝達されない。操作部材81の軸部81bが左右方向に延びる長孔96に沿って右方へ移動するからである。
【0125】
従って、操作部材81は、図26に示すように、内殻部材101がシャフト87の係合部88に対し右方へ摺動するとともに、軸部81bが長孔96に沿って右方へ移動することで、係合部88を支点として右方へ傾動される。操作部材81の軸部81bを通じて右方へ向かう力を受けた中間殻部材97は、外殻部材94に対し右方へ摺動することで、支軸98を支点として反時計回り方向へ回動する。これに伴い、図27に示すように、支軸98上に形成された駆動ギヤ111が反時計回り方向へ回動する。この回動は、駆動ギヤ111に噛み合わされた伝達ギヤ114に伝達され、同伝達ギヤ114が駆動ギヤ111とは反対方向へ回動する。また、伝達ギヤ114の回動は、同伝達ギヤ114に噛み合わされた従動ギヤ115に伝達され、同従動ギヤ115が駆動ギヤ111と同一方向へ回動する。これに伴い、従動ギヤ115の連結ピン116が軸部24の周りを反時計回り方向へ旋回する。ロッド112に対し、連結ピン116を通じて左方へ向かう力が加えられ、同ロッド112が溝部21,23内を左方へ移動する。各上流フィン71の連結ピン73に対し、ロッド112を通じて左方へ向かう力が加えられる。各上流フィン71は、フィン軸72を支点として、互いに平行となるように同期した状態で反時計回り方向へ傾動する。各上流フィン71は、図11において二点鎖線で示すように、下流側ほど右方に位置するように傾斜した状態となる。
【0126】
従って、シャットダンパ75を通過した空調用空気A1は、上記のように傾斜した上流フィン71間を流れることで、流れる向きを右方へ変えられる。
この空調用空気A1は、バレル65における両主フィン67間と、第1フィン55及び第2フィン61の間とを順に流れた後に、吹出口43から、上記上流フィン71によって変えられた方向(右方)へ向けて吹出される。このようにして、吹出口43から吹出す空調用空気A1の長辺部45に対しなす角度βが変更される。
【0127】
ところで、上記のように操作部材81に対し右方へ向かう力が加えられた場合、その力は上述したように外殻部材94には伝達されない。外殻部材94は支軸95を支点として回動せず、従って、バレル65、第1フィン55及び第2フィン61は傾動しない。また、このときには、内殻部材101は操作部材81と一体となって、その操作部材81の傾動方向と同一方向である右方へ回動する。この際、内殻部材101は、シャフト87の係合部88に対し摺動し、係合溝102と突起89との係合状態(例えば位置関係)を変化させるにとどまり、操作部材81の傾動はシャフト87に伝達されにくい。シャフト87はほとんど回動せず、従って、シャットダンパ75の開度はほとんど変化しない。
【0128】
なお、上記中立状態から、操作部材81に対し左方へ向かう力が加えられると、伝達機構TMの各部は、上述した操作部材81に対し右方へ向かう力を加えた場合とは逆の方向へ作動する。
【0129】
上記中立状態から、操作部材81のノブ81aが摘まれて、周方向に向かう力が加えられると、その力は、操作部材81の軸部81bに固定された内殻部材101に伝達される。内殻部材101が操作部材81と一体となって回動する。この回動は、内殻部材101の内面の係合溝102を介して、シャフト87における係合部88の少なくとも一方の突起89に伝達される。この伝達により、空調用空気A1の流れ方向に延びるシャフト87が駆動側の傘歯車118を伴って回動する。その回動が従動側の傘歯車119を介して、上記流れ方向に直交するダンパ軸76に伝達される。この際、両傘歯車118,119は、伝達される回動の方向を変更する。シャットダンパ75がダンパ軸76を支点として傾動されることにより、同シャットダンパ75の開度が、操作部材81の回動量(角度)に応じた開度に変化する。通風路35においてシャットダンパ75を通過する空調用空気A1の量が調整され、吹出口43からの空調用空気A1の吹出し量が調整される。
【0130】
なお、操作部材81が上記のように回動される際には、その回動は外殻部材94及び内殻部材101に伝達されない。操作部材81が、外殻部材94及び内殻部材101に挿通されているにすぎないからである。従って、バレル65も上流フィン71も傾動されない。
【0131】
また、ダンパ軸76に形成された突起部79は、そのダンパ軸76の回動に伴い図15において二点鎖線の矢印で示すように旋回する。そして、図14において二点鎖線で示すように、シャットダンパ75が全閉状態となる角度まで傾動すると、突起部79が図15中右側のストッパ78aに接触し、シャットダンパ75のそれ以上の傾動が規制される。
【0132】
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)操作部材81を、傾動可能かつ回動可能に配置する。バレル65、第1フィン55及び第2フィン61を傾動させる方向への操作部材81の傾動を、自在継手を用いて、それらのバレル65、第1フィン55及び第2フィン61に伝達する第1伝達機構部TM1を設ける。上流フィン71を傾動させる方向への操作部材81の傾動を、自在継手を用いて、同上流フィン71に伝達する第2伝達機構部TM2を設ける。さらに、操作部材81の回動を、自在継手を用いて、シャフト87を介してシャットダンパ75に伝達する第3伝達機構部TM3を設けている(図10図11)。
【0133】
そのため、操作部材81を摘まんで傾動させるといった簡単な操作を行なうことで、第1フィン55、第2フィン61、バレル65及び上流フィン71をそれぞれ傾動させて、空調用空気A1を吹出口43から任意の方向へ吹出させることができる、
また、摘んだ操作部材81を回動させるといった簡単な操作を行なうことで、シャットダンパ75の開度を調整し、吹出口43からの空調用空気A1の吹出し量を調整することができる。空調用空気A1の吹出し方向の変更の後に吹出し量を調整する場合、又はその逆に、吹出し量の調整の後に、吹出し方向の調整を行なう場合に、操作部材81のノブ81aを持ち替えなくてよく、操作が容易になる。
【0134】
(2)操作部材81は吹出口43に配置された場合に通風抵抗となり、圧力損失の増大を招く。また、第1フィン55及び第2フィン61の間に、例えば中央部にフィンが配置されると、空調用空気A1の吹出し方向を変更する性能(指向性)を高めることができる反面、これも通風抵抗となり、圧力損失の増大を招く。
【0135】
この点、本実施形態では、操作部材81が吹出口43の外部に配置されている(図11)。また、第1フィン55及び第2フィン61の間にフィンが設けられていない(図13)。
【0136】
そのため、操作部材81と、第1フィン55及び第2フィン61の間のフィンとによる通風抵抗の増大、ひいては圧力損失の増大を抑制することができる。
(3)また、第1フィン55と第2フィン61との間に新たにフィンを配置すると、その分、第1フィン55及び第2フィン61が配置のうえで制約を受けることになる。隣り合うフィン間の隙間が小さくなり、傾動させたときに干渉するおそれがあるからである。
【0137】
しかし、本実施形態では、上述したように、新たなフィンを用いていない(図13)ため、第1フィン55及び第2フィン61の配置の自由度が高くなる。
(4)半球殻状をなす外殻部材94内に、半球殻状をなす中間殻部材97を摺動可能に係合し、さらに、中間殻部材97内に、半球殻状をなす内殻部材101を摺動可能に係合する。これらの外殻部材94、中間殻部材97及び内殻部材101により自在継手を構成する。外殻部材94を、バレル65、第1フィン55及び第2フィン61の各フィン軸69,56,62と同一方向へ延びる支軸95により上下方向へ回動可能に支持する。中間殻部材97を、各上流フィン71のフィン軸72と同一方向へ延びる支軸98により左右方向(車幅方向)へ回動可能に支持する。
【0138】
操作部材81の軸部81bが、外殻部材94及び中間殻部材97に挿通された状態で内殻部材101に固定される。内殻部材101は、シャフト87に対し回動を伝達する態様で係合されている。外殻部材94により第1伝達機構部TM1の一部が構成され、中間殻部材97により第2伝達機構部TM2の一部が構成されるとともに、内殻部材101により第3伝達機構部TM3の一部が構成されている(図7図12)。
【0139】
そのため、操作部材81を操作して、第1伝達機構部TM1における外殻部材94を、支軸95を支点として上下方向へ回動させることで、同第1伝達機構部TM1の他の部材により、バレル65、第1フィン55及び第2フィン61を同方向へ傾動させることができる。
【0140】
また、操作部材81を操作して、第2伝達機構部TM2における中間殻部材97を、支軸98を支点として左右方向(車幅方向)へ回動させることで、同第2伝達機構部TM2の他の部材により、上流フィン71を、同方向へ傾動させることができる。
【0141】
さらに、操作部材81を回動させて、第3伝達機構部TM3における内殻部材101を操作部材81と一体で回動させることで、同第3伝達機構部TM3の他の部材により、シャットダンパ75を傾動させて、その開度を調整することができる。
【0142】
(5)内殻部材101に、シャフト87の下流端に形成された球状の係合部88を摺動可能に係合する。内殻部材101の内面には、空調用空気A1の流れ方向に沿って延びる係合溝102を形成し、ここに、係合部88から突出する突起89が係入されている(図8(a),(b))。
【0143】
そのため、操作部材81が内殻部材101を伴って上下方向に傾動されたり、左右方向(車幅方向)へ傾動されたりした場合には、その傾動をシャフト87に全く又はほとんど伝達せず、操作部材81が回動された場合に、その回動をシャフト87に伝達して、同シャフト87を回動させることができる。
【0144】
(6)外殻部材94の下流部には、自身の支軸95に沿って左右(車幅方向)へ延びる長孔96を形成する。中間殻部材97の下流部には、自身の支軸98に沿って上下方向へ延びる長孔99を形成する。そして、操作部材81の軸部81bをこれらの長孔96,99が交差する部分において外殻部材94及び中間殻部材97に挿通している(図7)。
【0145】
そのため、操作部材81に対し上方又は下方へ向かう力が加えられた場合には、外殻部材94を同方向へ回動させることができる。また、操作部材81に対し、左方又は右方へ向かう力が加えられた場合には、中間殻部材97を同方向へ回動させることができる。
【0146】
(7)第1伝達機構部TM1として、外殻部材94の支軸95とバレル65のフィン軸69との間に複数のギヤ(駆動ギヤ103、第1伝達ギヤ104)を備えるものを用いている(図11)。
【0147】
そのため、操作部材81が上下方向へ傾動されて外殻部材94が支軸95を支点として同方向へ回動された場合、その回動を複数のギヤ(駆動ギヤ103、第1伝達ギヤ104)を介してフィン軸69に伝達し、バレル65を傾動させることができる。
【0148】
(8)第2伝達機構部TM2として、中間殻部材97の支軸98と各上流フィン71のフィン軸72との間に複数のギヤ(駆動ギヤ111、伝達ギヤ114、従動ギヤ115)を備えるものを用いている(図10)。
【0149】
そのため、操作部材81が左右方向(車幅方向)へ傾動されて中間殻部材97が支軸98を支点として同方向へ回動された場合、その回動を複数のギヤ(駆動ギヤ111、伝達ギヤ114、従動ギヤ115)を介して各上流フィン71に伝達し、同上流フィン71を傾動させることができる。
【0150】
(9)第3伝達機構部TM3として、内殻部材101及びシャフト87に加え、同シャフト87とシャットダンパ75のダンパ軸76との間に、傘歯車118,119の組合わせからなる傘歯車機構を備えるものを用いている(図11)。
【0151】
そのため、操作部材81が回動された場合に、その回動を、内殻部材101、シャフト87及び傘歯車機構を介してシャットダンパ75に伝達することができる。シャットダンパ75の開度を微調整し、空調用空気A1の吹出し量を任意の量に調整することができる。
【0152】
(10)空調用空気A1の吹出し方向の調整と、吹出し量の調整とを共通の部材(操作部材81)を操作することで行なうようにしている(図11)。
そのため、フィン駆動ボタンの周りに環状のダンパ駆動ボタンを配置した特許文献3に比べ、吹出し方向の調整と吹出し量の調整とを行なう際に操作される部材(操作部材81)を小型化することができる。このことは、上記空調用薄型レジスタのように上下方向の寸法が小さく、それに伴い操作部材81として小さなものを使うこととなる場合に好適である。
【0153】
また、空調用空気A1の吹出し方向を調整する際に操作される部材の意匠と、吹出し量を調整する際に操作される部材の意匠とが同一となるため、意匠性も向上する。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
【0154】
<状態調整部について>
・状態調整部は、回動力が加えられることにより機能し、かつ吹出口43から吹出す空調用空気A1の状態のうち、吹出し方向とは異なる状態を調整するものであることを条件に変更可能である。
【0155】
例えば、空調用空気A1を吹出口43から拡散させた状態で吹出させたり、収束させた状態で吹出させたりするものが状態調整部とされてもよい。
この場合、複数のフィンが、それらの厚み方向に並べられた状態でリテーナ10内に配置される。各フィンは、フィン軸によりリテーナ10に傾動可能に支持される。さらに、操作部材81と各フィンとの間には、同操作部材81が一方向へ回動された場合に、隣り合うフィンの上流端間の間隔が狭くなり、反対方向へ回動された場合に隣り合う上流端間の間隔が広くなるように、その操作部材81の回動を各フィンに伝達する第3伝達機構部が設けられる。この第3伝達機構部でも、操作部材81の回動が、自在継手を用いて、シャフト87を介して状態調整部に伝達される。
【0156】
上記のように操作部材81が一方向へ回動された場合、隣り合うフィンの下流端間の間隔が広くなり、空調用空気A1は拡散した状態で吹出口43から吹出される。操作部材81が反対方向へ回動された場合、隣り合うフィンの下流端間の間隔が狭くなり、空調用空気A1は収束された状態で吹出口43から吹出される。
【0157】
また、空調装置の一形態として、吹出口43から吹出される空調用空気A1の温度を調整する際に回動操作されるスイッチを備えるものがある。このスイッチが状態調整部とされ、これと操作部材81との間に、同操作部材81の回動をスイッチに伝達する第3伝達機構部が設けられてもよい。この第3伝達機構部でも、操作部材81の回動が、自在継手を用いて、シャフト87を介して状態調整部に伝達される。
【0158】
<リテーナ10について>
・ベゼル41は、鉛直面に対し傾斜した状態で配置されてもよい。
<下流フィン群について>
・第1フィン55及び第2フィン61において、充分な剛性が得られる場合には、補強リブ57,63の数が減少されてもよいし、場合によっては割愛されてもよい。
【0159】
<バレル65について>
・バレル65では、両主フィン67の下流部67bだけでなく上流部67aも互いに平行に形成されてもよい。
【0160】
・両下流部67bの間隔によっては、すなわち上記間隔が、バレル65を傾動させたときに両下流部67b間を空調用空気A1が吹き抜けることのないほど小さければ、補助フィン68が省略されてもよい。
【0161】
<操作部材81について>
・操作部材81は、リテーナ10において、吹出口43の外部であることを条件に、上記実施形態とは異なる箇所に設けられてもよい。
【0162】
<伝達機構TMについて>
・第1伝達機構部TM1における従動ギヤ106は、第2フィン61のフィン軸62に代えて第1フィン55のフィン軸56に設けられて、第2伝達ギヤ105に噛み合わされてもよい。
【0163】
・上記実施形態とは逆に、中間殻部材97によって第1伝達機構部TM1の一部が構成され、外殻部材94によって第2伝達機構部TM2の一部が構成されてもよい。
<適用対象となる空調用レジスタについて>
・上記空調用レジスタは、非薄型の空調用レジスタであってもよい。
【0164】
・上記空調用レジスタは、車室内においてインストルメントパネルとは異なる箇所に設けられるものであってもよい。
・上記空調用レジスタは、空調装置から送られてきて室内に吹出す空調用空気A1の向きをフィンによって調整することのできるものであればよく、車両に搭載されるものでなくてもよい。
【0165】
・空調用レジスタは、吹出口43が縦長となるように配置されるタイプであってもよい。この場合、第1フィン55、第2フィン61及びバレル65として、それぞれ上下方向へ延びるものが用いられ、これらが左右方向(車幅方向)に配列される。複数の上流フィン71としては、それぞれ左右方向(車幅方向)へ延びるものが用いられ、これらが互いに上下方向に離間した状態で配列される。
【符号の説明】
【0166】
10…リテーナ、35…通風路、43…吹出口、55…第1フィン(下流フィン)、56,62,69,72…フィン軸、61…第2フィン(下流フィン)、65…バレル(下流フィン)、71…上流フィン、75…シャットダンパ(状態調整部)、80…操作機構、81…操作部材、87…シャフト、88…係合部、89…突起、94…外殻部材、95,98…支軸、96,99…長孔、97…中間殻部材、101…内殻部材、102…係合溝、103,111…駆動ギヤ、104…第1伝達ギヤ、105…第2伝達ギヤ、106,115…従動ギヤ、114…伝達ギヤ、A1…空調用空気、TM1…第1伝達機構部、TM2…第2伝達機構部、TM3…第3伝達機構部。
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