特許第6460052号(P6460052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6460052
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】物品収納設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20190121BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   B65G1/04 541
   B65G1/00 511Z
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-122417(P2016-122417)
(22)【出願日】2016年6月21日
(65)【公開番号】特開2017-226504(P2017-226504A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2018年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】宮本 雅哉
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−185606(JP,A)
【文献】 特開2002−120993(JP,A)
【文献】 特開昭59−144000(JP,A)
【文献】 特開2000−229713(JP,A)
【文献】 特開2007−161410(JP,A)
【文献】 特開2005−138955(JP,A)
【文献】 米国特許第5199582(US,A)
【文献】 特開2000−264410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B65G 1/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する物品収納棚と、
前記物品収納棚に物品を搬送する物品搬送装置と、
前記物品搬送装置の作動を制御する制御部と、を備え、
前記物品収納棚は、上下方向に複数並んで配置された物品支持部を備え、
前記物品支持部は、幅方向に並ぶ複数の物品を下方から支持できると共に、前記幅方向に離間して立設される複数の支柱により支持されている物品収納設備であって、
前記物品には、前記幅方向の寸法により分類された複数種別の物品が含まれ、
前記物品支持部の夫々は、上下方向に貫通する貫通部を備え、
前記制御部は、前記物品支持部に支持される物品が収納される領域であって前記幅方向で隣り合う一対の支柱の間に形成される領域を単位収納領域として、前記単位収納領域における前記物品の収納位置を決定する収納位置決定処理を実行し、前記収納位置決定処理にて決定された前記収納位置に前記物品を収納するように前記物品搬送装置を制御し、
前記収納位置決定処理では、前記単位収納領域内における前記幅方向で物品が空間を占有しない単一又は複数の物品不存在領域が、上下方向に並ぶ複数の前記物品支持部について前記幅方向の同じ位置でかつ前記貫通部と上下方向視で重複する位置に形成されるように前記物品の収納位置を決定する物品収納設備。
【請求項2】
消火用流体を噴出する流体噴出口が、前記物品収納棚よりも上方に設けられている請求項1に記載の物品収納設備。
【請求項3】
前記流体噴出口が、上下方向視で前記物品不存在領域と重複する位置に配置され、
前記流体噴出口は、前記消火用流体の少なくとも一部を下方に向けて噴出する請求項2記載の物品収納設備。
【請求項4】
前記制御部は、前記単位収納領域を、前記物品不存在領域により前記幅方向に分断された複数の小収納領域として設定し、
前記制御部は、さらに、前記収納位置決定処理において、前記小収納領域に収納する物品を当該小収納領域に最初に収納した物品と同じ種別の物品に限定する請求項1〜3の何れか1項に記載の物品収納設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納する物品収納棚と、前記物品収納棚に物品を搬送する物品搬送装置と、前記物品搬送装置の作動を制御する制御部と、を備え、前記物品収納棚は、上下方向に複数並んで配置された物品支持部を備え、前記物品支持部は、幅方向に並ぶ複数の物品を下方から支持できると共に、前記幅方向に離間して立設される複数の支柱により支持されている物品収納設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品収納設備として、例えば、特開2005−138955号公報(特許文献1)に示されるように、物品を幅方向に並ぶ一対の支柱の間の任意の位置に支持可能な物品支持部を備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−138955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような物品収納設備において、収納対象の物品に火災が発生した場合に備えて、消火用水や炭酸ガス等の消火用流体を物品収納棚に対して噴出する流体噴出口(スプリンクラー等)を複数備えた消火装置を設置する場合がある。
【0005】
特許文献1には、物品支持部の具体的な構成については記載がないが、物品収納設備における物品支持部は、上下方向に貫通する貫通部を有さない板状体で構成されている場合がある。この場合、消火用流体は平面視で物品支持部が存在する箇所において上下方向に円滑に通流できないため、流体噴出口を上下方向に並ぶ物品支持部の夫々に対応して上下方向に複数設ける必要がある。このため、消火装置の構成が複雑化する。
【0006】
上下方向での流体噴出口の数量を削減するため、複数の物品支持部の夫々を、上下方向に貫通して消火用流体が通流可能な貫通部を有する構成とすることが考えられる。しかしながら、特許文献1の物品収納設備では、以下に説明するように、貫通部を有する物品支持部を用いたとしても問題が生じることがある。
【0007】
特許文献1の物品収納設備における物品収納棚は、幅方向で隣り合う一対の支柱の間に形成される単位収納領域において、物品を任意の位置に支持可能に構成されている。そして、制御部が、各単位収納領域について、物品が支持されていない領域の幅方向の寸法(空き領域寸法と称する)を管理している。制御部は、物品収納棚への物品の収納が指令された場合には、当該物品の幅方向の寸法(物品幅と称する)と空き領域寸法とに基づいて、当該物品を支持可能な単位収納領域を検索し、その単位収納領域に、隣接する物品との間隔が所定の間隔となるように物品を支持させるべく物品搬送装置の作動を制御する。
【0008】
制御部は、物品の収納が指令される都度、その物品の物品幅と複数の単位収納領域における空き領域寸法とから物品を何れの単位収納領域に収納するかを判断している。このため、幅方向の寸法が異なる複数の種別の物品が同一の単位収納領域に混在して収納される状態が起こり得る。
【0009】
しかしながら、上記のように幅方向の寸法が異なる複数の種別の物品が同一の単位収納領域に混在して収納された場合には、物品支持部を上下方向に貫通する貫通部を有する構成としたとしても、上方の段の物品支持部に対応する流体噴出口から噴出されて当該物品支持部の貫通孔から下方に流れ出た消火用流体の下方に当該物品支持部の一段下の物品支持部に支持された物品が存在していると、その物品が邪魔になって消火用流体がそれよりも下方に円滑に通流しない虞がある。このため、上下方向に複数の流体噴出口を設ける必要がある。このため、やはり、複数の物品支持部の夫々に対応して上下方向に複数の流体噴出口を設ける必要があり、消火装置の構成が複雑化する。
【0010】
そこで、消火装置を設置する場合に、当該消火装置が複雑化することを抑制することが可能な物品収納設備が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明にかかる物品収納設備は、物品を収納する物品収納棚と、前記物品収納棚に物品を搬送する物品搬送装置と、前記物品搬送装置の作動を制御する制御部と、を備え、前記物品収納棚は、上下方向に複数並んで配置された物品支持部を備え、前記物品支持部は、幅方向に並ぶ複数の物品を下方から支持できると共に、前記幅方向に離間して立設される複数の支柱により支持されているものであって、
前記物品には、前記幅方向の寸法により分類された複数種別の物品が含まれ、前記物品支持部の夫々は、上下方向に貫通する貫通部を備え、前記制御部は、前記物品支持部に支持される物品が収納される領域であって前記幅方向で隣り合う一対の支柱の間に形成される領域を単位収納領域として、前記単位収納領域における前記物品の収納位置を決定する収納位置決定処理を実行し、前記収納位置決定処理にて決定された前記収納位置に前記物品を収納するように前記物品搬送装置を制御し、前記収納位置決定処理では、前記単位収納領域内における前記幅方向で物品が空間を占有しない単一又は複数の物品不存在領域が、上下方向に並ぶ複数の前記物品支持部について前記幅方向の同じ位置でかつ前記貫通部と上下方向視で重複する位置に形成されるように前記物品の収納位置を決定する点に特徴を有する。
【0012】
すなわち、幅方向で隣り合う一対の支柱の間に形成される単位収納領域において、単一又は複数の物品不存在領域が、上下方向に並ぶ複数の物品支持部について幅方向で同じ位置に形成される。
物品不存在領域は、上下方向視で貫通部と重複する位置に形成されているので、例えば、消火用流体を噴出する流体噴出口(例えばスプリンクラー等)を備えて、当該流体噴出口から噴出された消火用流体で物品を消火する消火装置を備える場合において、流体噴出口から噴出された消火用流体が物品不存在領域の貫通部を上方から下方に円滑に通流することが可能となる。
【0013】
このため、上下方向で上段側の物品支持体に対して噴出された消火用流体がそれよりも下の段の物品支持体に到達することができ、流体噴出口の上下方向での設置数を削減することができる。したがって、消火装置を設置する場合に、当該消火装置が複雑化することを抑制することが可能となる。
【0014】
本発明にかかる物品収納設備においては、消火用流体を噴出する流体噴出口が、前記物品収納棚よりも上方に設けられていることが好ましい。
【0015】
すなわち、物品収納棚よりも上方に設けられた流体噴出口から噴出した消火用流体が物品不存在領域の貫通部を通じて上下方向に並ぶ物品支持体の最上段から最下段まで良好に通流する。このため、物品収納棚の各段に対応して複数の流体噴出口を配設する必要がなく、消火装置の構成を簡素化することが可能となる。
【0016】
本発明にかかる物品収納設備においては、前記流体噴出口が、上下方向視で前記物品不存在領域と重複する位置に配設され、前記流体噴出口は、前記消火用流体の少なくとも一部を下方に向けて噴出することが好ましい。
【0017】
すなわち、流体噴出口から噴出された消火用流体の一部が、直下方に位置する物品支持部の物品不存在領域に向けて噴出される。この為、流体噴出口から噴出された消火用流体が、物品不存在領域の貫通部を通じて上下方向に並ぶ物品支持体の最上段から最下段まで効率よく良好に通流する。このため、物品収納棚の各段に対応して複数の流体噴出口を配設する必要がなく、消火装置の構成を簡素化することが可能となる。
【0018】
本発明にかかる物品収納設備においては、前記制御部は、前記単位収納領域を、前記物品不存在領域により前記幅方向に分断された複数の小収納領域として設定し、前記制御部は、さらに、前記収納位置決定処理において、前記小収納領域に収納する物品を当該小収納領域に最初に収納した物品と同じ種別の物品に限定することが好ましい。
【0019】
すなわち、物品収納棚が、幅方向で隣り合う一対の支柱の間に形成される単位収納領域に関して物品を任意の位置に支持可能に構成されている場合において、単位収納領域を物品不存在領域により幅方向に分断された複数の小収納領域として設定するから、単位収納領域内に物品不存在領域を確実に形成できる。
【0020】
また、小収納領域に収納する物品を当該小収納領域に最初に収納した物品と同じ種別の物品に限定するから、物品を小収納領域に収納可能か否かを簡単な処理により判別できる。つまり、小収納領域には同じ種別(例えば物品幅に基づく種別)の物品のみが収納されることになるため、物品の種別ごとに当該小収納領域に収納可能な個数が定まる。このため、例えば、制御部が小収納領域の空き領域寸法を管理して、当該空き領域寸法と物品幅とに基づいて物品の収納の可否を判別するという煩雑な処理を行うことなく、小収納領域に収納されている物品の種別と個数を管理するだけで、小収納領域に物品を収納可能か否かを判別することができ、制御構成を簡素化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】物品収納設備の要部を示す斜視図
図2】物品収納棚の構成を示す斜視図
図3】物品収納棚とそれに収納された物品とを示す正面図
図4】単位収納領域、小収納領域、及び物品不存在領域の関係を説明する図
図5】制御ブロック図
図6】制御部の制御動作を示すフローチャート
図7】物品収納棚における消火用水の通流経路を模式的に説明する図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の物品収納設備を自動倉庫に適用した場合を例に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図3に示すように、本実施形態の自動倉庫は、下方に位置する床面Fと上方に位置する天井Cとの間に形成された収納空間Sを備えており、当該収納空間Sに、図1に示すように、物品Bを収納する物品収納棚Tと、物品授受部15と物品収納棚Tとの間で物品Bを搬送するスタッカークレーン20とを備えている。
【0023】
図1〜4及び7に示すように、物品収納棚Tは、上下方向に複数並んで配置された物品支持部TS(下方から順に第1段物品支持部TS1、第2段物品支持部TS2、第3段物品支持部TS3、第4段物品支持部TS4)を備えている。各段の物品支持部TSの夫々は、幅方向(図1、2においてXで表す方向。以降、幅方向Xと称する。)に並ぶ複数の物品Bを支持できると共に、幅方向Xに離間して立設される複数の支柱11により支持されている。なお、本実施形態では、物品収納棚Tの物品支持部TSを上下方向に4つ備える構成としたが、これを3つ以下、又は5つ以上としてもよい。
【0024】
物品支持部TSの夫々は、図1、2に示すように、幅方向Xに沿う棒状の部材で形成され、かつ、上下方向視で幅方向Xと直交する奥行き方向(図1、2においてYで示す方向。以降、奥行方向Yと称する。)に並ぶ一対の横行部材12と、幅方向Xに互いに離間して並ぶ状態で、奥行方向Yに沿って一対の横行部材12を接続する複数の支持部材13と、を備えている。支持部材13は奥行方向Yに長手方向が沿う形状の板状体で構成されており、物品収納棚Tに収納される物品Bは、支持部材13の上端に載置される状態で支持される。隣り合う支持部材13同士の間には、上下に貫通する空間(貫通部)が形成されている。すなわち、物品支持部TSの夫々は、上下方向に貫通する貫通部を備えている。
【0025】
物品支持部TSにおいて幅方向Xで隣接する支持部材13同士の間隔は、後述する複数種の物品Bのうち、幅方向Xの寸法が最小の物品B(図3における第1種物品B1)の幅方向Xでの寸法よりも小さく設定されており、第1種物品B1の幅方向Xの寸法の3分の1以下の間隔とすることが好ましい。
【0026】
すなわち、物品収納棚Tは、上下方向に複数並んで配置された物品支持部TSを備え、物品支持部TSは、幅方向Xに並ぶ複数の物品Bを下方から支持できると共に、幅方向Xに離間して立設される複数の支柱11により支持されている。
【0027】
また、図3に示すように、消火用流体としての消火用水を噴出するスプリンクラーの噴出口Psが、物品収納棚Tの最上段である第4段物品支持部TS4よりも上方に設けられている。噴出口Psは、天井Cから吊り下げられた送水管Pの所定の位置に取付けられており、物品収納棚Tは、物品支持部TSと噴出口Psとが上下方向視で重複する位置となるように設置されている。本実施形態では、スプリンクラーの噴出口Psが流体噴出口に相当する。なお、物品支持部TSにおいて噴出口Psの下方に相当する箇所には、隣接する支持部材13同士の幅方向Xでの間隔が大きな幅広の貫通部が設けられている。
【0028】
物品収納棚Tの前面には、幅方向Xに沿って走行レールが敷設されている。スタッカークレーン20は、走行レール上を転動する走行輪を備えて走行レールに沿って移動する走行部21と、走行部21の走行方向に沿って離間して並ぶ状態で走行部21に立設される一対のマスト22と、一対のマスト22の間に配置され当該マスト22に案内されて昇降移動する昇降体23と、走行部を走行移動させる走行モータ24と、昇降体を昇降移動させる昇降モータ25と、昇降体23に設けられて物品Bを昇降体23と物品支持部TSとの間で移載する移載装置26と、を備えている。また、走行レールの一方側の端部の外方に、スタッカークレーン20の作動を制御する制御部Hが設けられている。
本実施形態においては、スタッカークレーン20が物品搬送装置に相当する。すなわち、物品収納設備は、物品Bを収納する物品収納棚Tと、物品収納棚Tに物品Bを搬送するスタッカークレーン20と、スタッカークレーン20の作動を制御する制御部Hと、を備えている。
【0029】
移載装置26は、幅方向Xに離間しかつ幅方向Xに接近又は離間移動可能な一対の挟持体を備えている。したがって、物品Bの幅方向Xでの寸法がどのような寸法であっても、当該物品Bを幅方向Xの両側面から挟持することができる(図1には、一対の挟持体の一方のみを図示している)。また、図示は省略するが、一対の挟持体の夫々は、物品Bの側面に当接可能なローラやベルトを備えており、ローラ又はベルトの回転によって物品Bを奥行方向Yに沿って移動させることができるようになっている。
【0030】
次に、図5に基づいて、本実施形態の物品収納設備の制御構成を説明する。制御部Hは、例えば演算装置と記憶装置とを備えたコンピュータにて構成されており、記憶装置に記憶したプログラムを実行することによって、各種の制御を実行するようになっている。
【0031】
制御部Hは、有線LANや無線LANで管理装置Kと通信可能に構成されている。管理装置Kは、例えば演算装置と記憶装置とを備えたコンピュータにて構成されており、物品収納棚Tに対する物品Bの入出庫を管理し、制御部Hに物品Bの入庫や出庫を指令する。
【0032】
図4に示すように、制御部Hは、物品支持部TSに支持される物品Bが収納される領域であって幅方向Xで隣り合う一対の支柱11の間に形成される領域を単位収納領域Atとして、単位収納領域Atにおける物品Bの収納位置を決定する収納位置決定処理を実行する。収納位置決定処理においては、当該物品Bを収納する物品支持部TSを決定すると共に、既に単位収納領域Atに物品Bが存在する場合には、隣接する物品Bとの距離が、幅方向Xで物品Bを移載装置26の一対の挾持体が進入可能な幅だけ離間する形態で、収納する物品Bの位置を決定する。
【0033】
また、制御部Hは、図4に示すように、収納位置決定処理において、単位収納領域At内において幅方向Xで物品Bが空間を占有しない物品不存在領域A2が、上下方向に並ぶ複数の物品支持部TSについて幅方向Xで同じ位置でありかつ貫通部と上下方向視で重複する位置に形成されるように物品Bの収納位置を決定する。本実施形態では、噴出口Psが物品不存在領域A2と平面視で重複する位置に配置され、かつ、噴出口Psは、消火用水の少なくとも一部を下方に向けて噴出するように設定されている。
【0034】
スタッカークレーン20は、自己の走行モータ24、昇降モータ25、及び移載装置26の作動を制御するコントローラ20Cを備えている。制御部Hが、スタッカークレーン20に対して収納位置決定処理にて決定された位置(決定位置と称する)への物品Bの搬送を指令すると、コントローラ20Cは、当該決定位置に対応する走行位置に走行部21を移動させるべく走行モータ24を制御すると共に、物品Bを収納する物品支持部TSに対応する高さに昇降体23を位置させるべく昇降モータ25を制御する。そして、決定位置において、昇降体23に支持する物品Bを物品支持部TSに移載するように移載装置26を制御する。すなわち、制御部Hは、収納位置決定処理にて決定された収納位置に物品Bを収納するようにスタッカークレーン20を制御する。
【0035】
また、制御部Hは、物品Bを、幅方向Xの寸法に基づいて複数の種別に分類して管理している。具体的には、幅方向Xの寸法が小さい方から順に、第1種物品B1、第2種物品B2、第3種物品B3、第4種物品B4として管理している(図4参照)。すなわち、収納対象の物品Bとして、幅方向Xの寸法により分類された複数種別の物品B(第1種物品B1、第2種物品B2、第3種物品B3、第4種物品B4)が含まれている。なお、物品Bの種別としては、上記4種類に限定されるものではなく、3種類以下、又は5種類以上としてもよい。
【0036】
また、図4に示すように、制御部Hは、単位収納領域Atを、物品不存在領域A2により幅方向Xに分断された複数の小収納領域A1として設定し、さらに、収納位置決定処理において、小収納領域A1に収納する物品Bを当該小収納領域A1に最初に収納した物品Bと同じ種別の物品Bに限定するようになっている。制御部Hは、小収納領域A1に対して収納することが可能な物品Bの個数を、例えば、図3に示すように、第1種物品B1については5個、第2種物品B2については4個、第3種物品B3については3個、第4種物品B4については2個、というように、物品Bの種別ごとに管理している。以降の説明においては、小収納領域A1に対して収納することが可能な物品Bの個数を収納可能個数と称する。
【0037】
続いて、図6のフローチャートに基づいて、制御部Hが実行する制御を説明する。制御部Hは、管理装置Kから物品Bの入庫を指令されると(ステップ#1:Yes)、収納対象の物品B(以下、収納対象物品と称する)の種別情報(第1種物品B1、第2種物品B2、第3種物品B3、第4種物品B4の何れか)を取得する(ステップ#2)。なお、制御部Hによる種別情報の取得方法は、制御部Hが管理装置Kに通知要求を送信し、その要求に対する応答として管理装置Kが制御部Hに種別情報を送信する形態でもよいし、管理装置Kが物品Bの入庫の指令と共に当該物品Bの種別情報を制御部Hに送信するようにしてもよい。
【0038】
引き続き、制御部Hは、収納対象物品と同じ種別情報の物品Bを収納した小収納領域A1が存在するか否かを判別する(ステップ#3)。制御部Hは、収納対象物品と同じ種別情報の物品Bを収納した小収納領域A1が存在すると判別すると(ステップ#3:Yes)、小収納領域A1に既に収納されている物品Bの個数と当該小収納領域A1についての収納可能個数とに基づいて、当該小収納領域A1に収納対象物品を収納可能であるか否かを判別する(ステップ#4)。なお、ステップ#3及びステップ#4の処理は、収納対象物品を収納可能な小収納領域A1が発見されるまで実行される。
【0039】
制御部Hは、収納対象物品と同一の種別用に設定され且つ収納対象物品を収納可能な小収納領域A1があると判別すると(ステップ#4:Yes)、スタッカークレーン20に対して当該小収納領域A1において上記位置決定処理にて決定した決定位置に収納対象物品を搬送するように指令し(ステップ#5)、当該フローを終了する。
【0040】
一方、制御部Hは、収納対象物品と同じ種別情報の物品Bを収納した小収納領域A1が存在しないと判別した場合(ステップ#3:No)、又は、小収納領域A1に収納対象物品を収納可能でないと判別した場合(ステップ#4:No)には、続いて、物品収納棚Tに空き(物品Bが1つも支持されていない)である小収納領域A1が存在するか否かを判別する(ステップ#6)。
【0041】
制御部Hは、物品収納棚Tに空きがあると判別すると(ステップ#6:Yes)、続いて、その小収納領域A1を収納対象物品と同じ種別に限定するように設定し(ステップ#7)、続いてステップ#5の処理に遷移する。
一方、制御部Hは、物品収納棚Tに空きがないと判別すると(ステップ#6:No)、物品収納棚Tにおいて収納領域が満杯であることを通知するべく警告灯を作動させたり、管理装置Kや制御部Hの表示画面にその旨を表示し(ステップ#8)、当該フローを終了する。
【0042】
これにより、本実施形態の物品収納設備においては、幅方向Xの寸法が異なる複数の種別の物品Bの収納位置を簡易に管理することができると共に、物品収納棚Tにおいては上下方向に並ぶ複数の物品支持部TSの夫々について物品不存在領域A2が幅方向Xで同じ位置に形成されるため、図4及び図7に示すように、上下方向に沿う連通空間Aaを形成することができる。したがって、図7に示すように、スプリンクラーの噴出口Psから噴出した消火用水を、連通空間Aaを通して上下方向に第1段物品支持部TS1の位置まで到達させることができ、上下方向で下方に位置する物品支持部TSに支持されている物品Bが着火しても、着火した物品Bを消火し易い物品収納設備を提供できる。
【0043】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、物品収納棚Tにおける物品支持部TSを、奥行方向Yに長手方向が沿う板状の支持部材13を、幅方向Xで隣接するもの同士が離間する状態で幅方向Xに複数並べて構成し、隣接する支持部材13同士の間に形成される空間を貫通部とする構成を例示したが、このような構成に限定されるものではない。例えば、物品支持部TSを、上下方向視で矩形状の枠と、その枠の内部に装着される網目又はパンチングメタル等の支持部材とを備える形態で形成してもよい。この場合、網目又はパンチングメタルのパンチ穴の夫々が貫通部となる。また、物品支持部TSを、横行部材12のみで形成し、物品Bを奥行方向Yに並ぶ一対の横行部材12に支持する形態としてもよい。この場合、一対の横行部材12の間に形成される空間が貫通部となる。
【0044】
(2)上記実施形態では、消火用流体を消火用水としたが、このような構成に限定されるものではなく、消火用流体として、例えば粉末消火剤を含有する気体や炭酸ガス、水系、泡系、ガス系等、想定し得るあらゆる性状であってもよい。なお、何れの場合においても、消火用流体は重力によって下方に流動するものであることが好ましい。
【0045】
(3)上記実施形態では、幅方向Xで隣り合う一対の支柱11の間に形成される1つの単位収納領域Atに対して1つの物品不存在領域A2を設定することにより、物品不存在領域A2によって幅方向Xに分断される小収納領域A1を2つ設定する構成としたが、1つの単位収納領域Atに対して幅方向Xで2つ以上の物品不存在領域A2を設ける構成としてもよい。
【0046】
(4)上記実施形態では、スプリンクラーの噴出口Psを、物品収納棚Tの最上段の物品支持部TS(第4段物品支持部TS4)よりも上方に設ける例を示したが、物品収納棚Tにおける複数の高さの位置(例えば、第4段物品支持部TS4より上下方向で上方となる位置と、第2段物品支持部TS2より上下方向で上方となる位置等)で且つ幅方向Xで物品不存在領域A2に対応する位置に噴出口Psを設けてもよい。この場合においても、上下方向に並ぶ複数の物品支持部TS夫々の物品不存在領域A2が幅方向Xで同じ位置に形成されているから、物品不存在領域A2が上下方向で連通して、上段側の物品支持部TSから下方側の物品支持部TSに消火用水が通過するため、少ない数の噴出口Psでも適切に着火した物品Bの消火を行うことができる。
【0047】
(5)上記実施形態では、収納位置決定処理において、小収納領域A1に収納する物品Bを当該小収納領域A1に最初に収納した物品Bと同じ種別の物品Bに限定する構成としたが、小収納領域A1に収納する物品Bの種別を1種類に限定しない構成としてもよい。この場合、小収納領域A1において物品Bが位置していない領域(空き領域と称する)の幅方向Xの寸法を制御部Hが管理し、制御部Hが、管理装置Kから物品Bの入庫が指令されると当該物品Bの幅方向の寸法(物品幅)を管理装置Kから取得すると共に、物品幅と空き領域の寸法とから、その物品Bが空き領域に収納可能か否かを判別するように構成してもよい。
【0048】
(6)上記実施形態では、物品収納棚Tを、物品支持部TSと噴出口Psとが上下方向視で重複する位置となるように設置する構成を例示したが、物品支持部TSと噴出口Psとが上下方向視で重複しない位置となるように物品収納棚Tを配設してもよい。この場合においても、物品不存在領域A2が奥行方向Yに見て噴出口Psの下方となるように物品収納棚Tを配設することが好ましい。
また、上記実施形態では、噴出口Psを、物品不存在領域A2と平面視で重複する位置に配設する例を示したが、噴出口Psを、物品不存在領域A2と平面視で重複しない位置に配設してもよい。この場合、消火用水を物品収納棚Tにおける最上段の物品支持部TSの物品不存在領域A2に向けて噴出するように噴出口Psからの消火用水の噴出方向を設定することが望ましい。
【0049】
(7)上記実施形態では、物品搬送装置としてスタッカークレーンを設けた自動倉庫を例示したが、物品搬送装置はスタッカークレーン以外のものを用いてもよい。例えば、物品支持部の各段毎に、幅方向に沿って走行する物品搬送用の移動体を備える物品搬送装置とすること等が考えられる。
【符号の説明】
【0050】
11 支柱
20 スタッカークレーン(物品搬送装置)
A1 小収納領域
A2 物品不存在領域
At 単位収納領域
B 物品
H 制御部
Ps 噴出口(流体噴出口)
T 物品収納棚
TS 物品支持部
X 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7