(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、食用穀物を破砕しないで排出し、飼料用穀物を破砕装置で連続して破砕できることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、
穀物を貯留する貯溜室(2)側から流下した穀物、又は、張込ホッパに張り込んだ穀物を揚穀する昇降機(11)を備え、
昇降機(11)の揚穀投げ出し部(11a)側には、穀物排出パイプ(32)を接続し、
揚穀された穀物を貯溜室(2)側、又は、穀物排出パイプ(32)側のいずれかに穀物を搬送するための排出/循環切換弁(31)を備え、
穀物排出パイプ(32)の中途部には、穀物を破砕する破砕装置(36)に供給する第1案内パイプ(32a)、又は、破砕装置(36)を迂回する第2案内パイプ(32b)側のいずれかに穀物を搬送するための破砕/排出切換弁(39)を備え
た穀物乾燥調製設備を用い、
貯溜室(2)に貯溜している穀物が食用穀物の場合には、排出/循環切換弁(31)を穀物排出パイプ(32)側に切り換えると共に、破砕/排出切換弁(39)を第2案内パイプ(32b)側に切り換えることで、食用穀物が破砕装置(36)を迂回して排出し、
貯留室(2)に貯留している穀物が飼料用穀物の場合には、排出/循環切換弁(31)を穀物排出パイプ(32)側に切り換えると共に、破砕/排出切換弁(39)を第1案内パイプ(32a)側に切り換えることで、飼料用穀物を破砕装置(36)で破砕し、
張込ホッパから飼料用穀物を張り込んだ場合には、排出/循環切換弁(31)を穀物排出パイプ(32)側に切り換えると共に、破砕/排出切換弁(39)を第1案内パイプ(32a)側に切り換えることで、飼料用穀物を破砕装置(36)で破砕することを特徴とする食用穀物及び飼料用穀物用の調製方法とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によると、貯溜室(2)内の飼料用穀物を第1案内パイプ(32a)を経由して破砕装置(36)で連続して破砕することができる。また、張込ホッパから張り込んだ飼料用穀物は、昇降機(11)を有効活用して破砕装置(36)に円滑に供給して破砕することができる。
【0007】
また、貯溜室(2)内の食用穀物は、第2案内パイプ(32b)を経由することで破砕装置(36)を迂回して排出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
前記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下図面を参照しつつ説明する。
【0010】
まず、
図1〜
図3に基づき本発明を具備する循環式穀物乾燥機の全体構成について説明する。
【0011】
1は乾燥機の機枠で、この機枠1内には貯溜室2、乾燥室3及び集穀室4を順次積み重ね、乾燥室3には左右穀粒流下通路9,9を形成し、左右穀粒流下通路9,9の中央よりにはバーナ5のバーナ風胴に通じる左右熱風室6,6を配設し、左右穀粒流下通路9,9の左右両側には吸引排気ファン7のファン胴に通じる排風室8,8を配設し、左右穀粒流下通路9,9の下端部に繰出バルブ10を設けている。
【0012】
また、排風室4における左右穀粒流下通路9,9の左右中間部には、遠赤外線放射体23を配設している。この遠赤外線放射体23は前後方向に沿う左右側板,傾斜状の左右上側板,左右下側板で構成され且つ遠赤外線放射塗料を塗布したもので、その前側部をバーナ5に対向させて、乾燥室3の左右穀粒流下通路9,9を流下する穀粒に遠赤外線放射熱を浴びせて穀粒の乾燥を促進させる。この遠赤外線放射体23の放射熱は、機体の前側及び後側から導入された外気と混合されながら左右穀粒流下通路9,9を経て左右排風室8,8に流れる。前記繰出バルブ10の往復揺動により、左右穀粒流下通路9,9の穀粒を所定量ずつ繰り出しながら流下させ、熱風を浴びせて乾燥させる。
【0013】
前記機枠1の外側前側部には昇降機11を立設し、集穀室4の前側に集められた穀粒を貯溜室2に揚穀還元している。この昇降機11内の上下の駆動プーリ12a及び従動プーリ12bにバケットベルト13を巻き掛け、集穀室4の底部に設ける下部搬送装置14で乾燥穀粒を前側に移送し、昇降機11により揚穀する。昇降機11で揚穀された穀粒を上部搬送装置16の始端側に供給され、更に上部搬送装置16により横送して貯溜室2の上部中央部の回転拡散板18に送り、貯溜室2内に拡散落下させる。
【0014】
バーナ風胴25の上方にコントロールボックス27を設け、コントロールボックス27にはコントローラ41を内装し、前面には操作盤43を設けている。
【0015】
前記昇降機11,下部搬送装置14,上部搬送装置16から構成されている穀粒循環系は、昇降機11の機枠上部に配設している昇降機モータ(図示省略)により駆動される。また、昇降機11における上下中途部の壁面には水分計26を設け、バケットベルト13の上昇行程と下降行程の間隔部に設けた取込み口(図示省略)からサンプル粒を取り込み、水分値を測定する。この水分計26は、例えば一対の電極ロール間でサンプル粒を1粒づつ圧縮粉砕し、その抵抗値を電気的に処理して一粒づつの水分値に換算する公知のものである。
【0016】
また、コントロールボックス27の前側面には操作盤43を設け、該操作盤43には図示省略したが、張込スイッチ,通風乾燥スイッチ,バーナ5の燃焼を開始し繰出バルブ10を駆動し乾燥作業を開始する乾燥スイッチ,貯溜室2内の穀粒を機外に排出する排出スイッチ,機体の各種駆動を停止する停止スイッチ,乾燥穀粒種類(うるち籾,小麦,大麦,ビール麦,そば,もち籾)を選択設定する穀粒種類設定スイッチ,乾燥速度を設定する乾燥速度設定スイッチ,仕上げ水分値を設定する水分設定スイッチ,張込量設定スイッチ,乾燥時間などを増加調節する増加スイッチ,乾燥時間などを減少調節する減少スイッチ,乾燥休止時間設定スイッチ,タイマスイッチ,設定項目表示手段,液晶式の表示装置,緊急停止スイッチ,熱風温度表示ランプ,検出水分値表示ランプ,乾燥残時間表示ランプ設けている。
【0017】
前記コントローラ41の入力側には前記スイッチや、外気温度センサ,熱風温度センサ,排風温度センサ,水分計電極温度センサ,水分計26の水分センサ,昇降機モータ(図示省略)の負荷電流値を検出する負荷電流センサ,張込量検出装置を接続している。
【0018】
コントローラ41の出力側には、出力回路,駆動回路を経由して吸引排気ファン,昇降機モータ,繰出バルブモータ,バーナ駆動手段(図示省略),水分計駆動手段(図示省略)を接続している。また、出力回路を経由して各種表示項目を液晶表示する表示装置,モニタ表示部,設定項目表示手段,熱風温度表示ランプ,検出水分値表示ランプ,乾燥残時間表示ランプを接続している。
【0019】
なお、コントローラ41のバーナ駆動信号は、燃料供給用電磁ポンプ(図示省略)のON/OFF信号及び大小供給信号、バーナ気化筒モータ(図示省略)の回転数指令信号、バーナファンモータ(図示省略)の回転数指令信号、イグナイタ(図示省略)の通電信号等があり、燃料供給量、燃焼空気供給量及び気化筒回転数を同調制御し、液体燃料を気化燃焼させる。
【0020】
また、乾燥作業中には、予め設定記憶されている熱風設定温度と熱風温度センサ(図示省略)の検出熱風温度とを比較し、その差が小になるように周期的にオンされる燃料供給用電磁ポンプ(図示省略)のオンタイム信号を長短に変更制御しながら乾燥作業をし、穀粒水分が目標水分値に到達すると乾燥作業を停止する。
【0021】
次に、穀物乾燥機の通常乾燥制御について説明する。
【0022】
張込ホッパ(図示省略)から昇降機11を利用して貯溜室2に所定量の穀粒を張り込む。次いで、穀粒種類,乾燥仕上げ水分値,乾燥速度,自動検出あるいは手動設定した穀粒張込量に応じた燃焼量にてバーナ5を燃焼制御して乾燥作業をする。貯溜室2内の穀粒は乾燥室3の左右穀粒流下通路9,9を流下中に熱風を浴びながら乾燥され集穀室4に流下する。乾燥された穀粒は下部搬送装置14で前側に移送され、次いで昇降機11により揚穀され、上部搬送装置16に引き継がれ再び貯溜室2に循環移送され、暫くの間調質作用を受ける。このような行程を繰り返しながら水分計26による測定水分値が仕上水分値に到達すると、乾燥作業は終了する。
【0023】
次に
図1,
図4,
図5に基づき穀物乾燥機に組み込んだ破砕装置36の具体構成について説明する。
【0024】
昇降機11上端の揚穀投げ出し部11aには上部搬送装置16の始端側を接続し、上部搬送装置16により終端側に搬送された穀粒は貯溜室2の上部中央の回転拡散板18に流下供給される。上部搬送装置16の始端側には排出/循環切換弁31を設け、排出/循環切換弁31の排出側に穀物排出パイプ32の始端側を接続し、排出/循環切換弁31を循環側に切り換えると、揚穀穀粒は上部搬送装置16に送られる。
【0025】
穀物排出パイプ32の中途部には破砕/排出切換弁39を設け、破砕/排出切換弁39の下方には切換モータ46を配設し、切換モータ46の切換アーム46a,バネ47を介して破砕/排出切換弁39の切換片に連繋し切換作動するように構成している。
【0026】
しかして、破砕/排出切換弁39が左右一側に切り換えられると、穀物は穀物排出パイプ32を経て破砕装置36の破砕装置用ホッパ36aに送られ、互いに逆回転する一対の破砕ロール36b,36bで破砕され、破砕された穀物は排出口36cから破砕穀物排出パイプ37,機外排出パイプ38を経て機外へ排出される。また、破砕/排出切換弁39が左右他側に切り換えられると、穀物は第2案内パイプ32b,機外排出パイプ38を経て機外へ排出される。
【0027】
また、貯溜室2,乾燥室3,集穀室4をそれぞれブロック構成し、これらの前後左右周辺から上,下組立て片35,35をそれぞれ突設している。貯溜室2,乾燥室3,集穀室4を機枠1内に順次積重ね、機枠1の上下複数の取付片と貯溜室2,乾燥室3,集穀室4の上,下組立て片35,35をボルト締結し組み立てている。
【0028】
また、貯溜室2を上下複数の貯溜室に分割構成し、分割貯溜室の上下端部に上,下組立て片35,35をそれぞれ設け、上,下組立て片35,35をボルト締結し組み立てている。
【0029】
破砕装置用ホッパ36aと破砕装置36は破砕フレームで一体構成されていて、破砕装置36の下端部には左右一側に突出するように連結具40を突設している。そして、
図4に示すように、破砕装置36を貯溜室2の前側面に近接し、且つ、昇降機11上部の中央寄り空間部に近接するように配置し、前記貯溜室2の上,下組立て片35,35と破砕装置36の連結具40とをボルト締結し、穀物乾燥機に破砕装置36を簡単に組み付けことができる。
【0030】
前記構成によると、穀物乾燥機内の乾燥済みの飼料用穀物を破砕装置36で連続して能率良く破砕し、破砕穀物を破砕穀物排出パイプ37,機外排出パイプ38を経由して円滑に排出することができする。また、穀物乾燥機の張込ホッパ(図示省略),昇降機11を有効活用し、飼料用穀物を破砕装置36に円滑に供給することができる。また、穀物乾燥機に破砕装置36をコンパクトに組み付け、穀物乾燥機を飼料用穀物の貯溜施設として活用することができる。
【0031】
なお、破砕装置36を昇降機11あるいは機枠1に取り付けるようにしてもよい。
【0032】
また、食用穀物の場合には、昇降機11,排出/循環切換弁31,穀物排出パイプ32,破砕/排出切換弁39,第2案内パイプ32bを経由し破砕装置36を迂回しながら機外排出パイプ38から機外へ排出することができる。また、飼料用穀物の場合には、昇降機11,排出/循環切換弁31,穀物排出パイプ32,破砕/排出切換弁39,第1案内パイプ32a,破砕装置36,破砕穀物排出パイプ37を経て機外排出パイプ38から排出することができる。
【0033】
コントロールボックス27の前側面には操作盤43を設け、操作盤43には図示は省略したが食用乾燥穀粒種類(うるち籾,小麦,大麦,ビール麦,そば,もち籾)を選択設定する穀粒種類設定スイッチ,乾燥速度を設定する乾燥速度設定スイッチ,仕上げ水分値を設定する水分設定スイッチ,張込量設定スイッチ,乾燥時間などを増加調節する増加スイッチ,乾燥時間などを減少調節する減少スイッチ,乾燥休止時間設定スイッチ,飼料穀物破砕スイッチを設けている。破砕装置用ホッパ36aには穀物の満量を検出する満量検出センサを設けている。
【0034】
しかして、前記飼料穀物破砕スイッチをONにすると、破砕モータが駆動されて破砕装置36が駆動され、且つ、コントローラ41の切換弁切換機能に基づき前記破砕/排出切換弁39が第1案内パイプ32a側に切り換えられ、穀物排出パイプ32の穀物が破砕装置36に供給され破砕作業が開始される。また、前記飼料穀物破砕スイッチをOFFにすると、破砕モータの駆動が停止されて破砕装置36の駆動が停止され、且つ、コントローラ41の切換弁切換機能に基づき前記破砕/排出切換弁39が第2案内パイプ32b側の機外排出状態に切り換えられる。
【0035】
従って、破砕作業を円滑に開始すると共に破砕作業を終了すると、破砕/排出切換弁39が機外排出状態に切り換えられて穀物乾燥機の食用穀物の乾燥作業状態に復帰し、食用穀物の乾燥作業に円滑に移行することができる。
【0036】
また、破砕/排出切換弁39切換用の切換スイッチ(図示省略)を設けると共に、切換弁ロックスイッチ(図示省略)を設け、切換スイッチを穀物機外排出側に切り換えた状態で切換弁ロックスイッチをONにすると、切換スイッチの穀物機外排出状態から穀物破砕装置供給状態に変更できないようにし、切換弁ロックスイッチをOFFにすると、切換スイッチの穀物機外排出状態から穀物破砕装置供給状態に変更できるようにし、破砕/排出切換弁39の切換操作を安定させるようにしてもよい。
【0037】
また、切換スイッチをに切り換えた状態で切換弁ロックスイッチをONにすると、切換スイッチの破砕装置供給状態から穀物機外排出状態に変更できないようにし、切換弁ロックスイッチをOFFにすると、切換スイッチの破砕装置供給状態から穀物機外排出状態に変更できるようにし、破砕/排出切換弁39の切換操作を安定させるようにしてもよい。
【0038】
また、満量検出センサが破砕装置用ホッパ36aの穀物満量を検出すると、コントローラ41の穀物供給停止機能に基づき前記繰出バルブ10の繰出を停止すると共に、破砕装置満量LED(図示省略)を点灯しオペレータに報知するようにしている。また、満量検出センサが破砕装置用ホッパ36aの穀物非満量検出をすると、繰出バルブ10の駆動を再開するようにし、破砕装置36の穀物の詰まりを防止しながら穀物の破砕作業を円滑にできるようにしている。
【0039】
また、破砕装置36駆動用の破砕駆動モータのロック状態を検出する破砕モータセンサ(図示省略)を設け、破砕モータが破砕モータのロック状態を検出すると、コントローラ41の破砕モータ停止機能に基づき破砕モータの回転を停止すると共に、破砕モータ異常表示LED(図示省略)を点灯し、オペレータに知らせるようにしてもよい。
【0040】
また、破砕/排出切換弁39切換用の切換弁切換モータのロック状態を検出する切換弁切換モータセンサ(図示省略)を設け、切換弁切換モータのロック状態を検出すると、コントローラ41の切換弁切換モータ停止機能に基づき切換弁切換モータの回転を停止すると共に、切換弁切換モータ異常表示LED(図示省略)を点灯しオペレータに知らせるようにしてもよい。