(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6460210
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】コイル電子部品及びコイル電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20190121BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20190121BHJP
H01F 41/12 20060101ALI20190121BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01F17/04 F
H01F41/12 Z
H01F41/04 C
【請求項の数】37
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-223889(P2017-223889)
(22)【出願日】2017年11月21日
(65)【公開番号】特開2018-148200(P2018-148200A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2017年11月21日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0028671
(32)【優先日】2017年3月7日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0033269
(32)【優先日】2017年3月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジャエ フン
【審査官】
竹下 翔平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−017139(JP,A)
【文献】
特開2001−203109(JP,A)
【文献】
特開2015−216336(JP,A)
【文献】
特開2015−076603(JP,A)
【文献】
実開平03−097386(JP,U)
【文献】
特開2017−017140(JP,A)
【文献】
特開2007−266105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00−21/02
27/00
27/02
27/06
27/08
27/23
27/26
27/28−27/29
27/30−27/32
27/36
27/42
38/42−41/04
41/08
41/10−41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイルパターン、互いに隣接する複数のコイルパターンの間に配置される複数の絶縁パターン、前記複数のコイルパターンの上面と接する絶縁コーティング部、及び前記複数のコイルパターンと前記複数の絶縁パターンを支持する支持部材を含む本体と、
前記本体の外部面上に配置される外部電極と、を含むコイル電子部品であって、
前記複数の絶縁パターンは、最外側絶縁パターン、最内側絶縁パターン、及び前記最外側絶縁パターンと前記最内側絶縁パターンとの間に配置される複数の中央側絶縁パターンを含み、
前記複数の中央側絶縁パターンのうち一つ以上は、厚さ方向の断面を基準に上部及び前記上部の下の下部を含み、前記複数の中央側絶縁パターンのそれぞれの幅は、前記下部が前記支持部材と接する地点において最も大きく、前記複数の中央側絶縁パターンのそれぞれの最上面及び最下面の間に前記幅が変化する変更部を含み、
前記複数のコイルパターンは、最外側に配置される最外側コイルパターン、最内側に配置される最内側コイルパターン、前記最外側コイルパターンと前記最内側コイルパターンの間に配置される複数の中央側コイルパターンを含んでおり、
前記最外側コイルパターンおよび前記最内側コイルパターンの長さ方向の断面形状は、前記複数の中央側コイルパターンのうちの少なくとも一以上のコイルパターンの長さ方向の断面形状と異なる、コイル電子部品。
【請求項2】
複数のコイルパターン、互いに隣接する複数のコイルパターンの間に配置される複数の絶縁パターン、前記複数のコイルパターンの上面と接する絶縁コーティング部、及び前記複数のコイルパターンと前記複数の絶縁パターンを支持する支持部材を含む本体と、
前記本体の外部面上に配置される外部電極と、を含むコイル電子部品であって、
前記複数の絶縁パターンは、最外側絶縁パターン、最内側絶縁パターン、及び前記最外側絶縁パターンと前記最内側絶縁パターンとの間に配置される複数の中央側絶縁パターンを含み、
前記複数の中央側絶縁パターンのうち一つ以上は、厚さ方向の断面を基準に上部及び前記上部の下の下部を含み、前記複数の中央側絶縁パターンのそれぞれの幅は、前記下部が前記支持部材と接する地点において最も大きく、前記複数の中央側絶縁パターンのそれぞれの最上面及び最下面の間に前記幅が変化する変更部を含み、
前記複数の中央側絶縁パターン内の前記変更部は、前記中央側絶縁パターンの長さ方向に沿って断続的に配置される、コイル電子部品。
【請求項3】
前記変更部は、前記複数のコイルパターンによって形成されるコイル部の直線区間において断続的に配置される、請求項2に記載のコイル電子部品。
【請求項4】
前記複数の中央側絶縁パターンのうち、隣接する中央側絶縁パターンは、それぞれ長さ方向に沿って断続的に前記変更部が配置されており、
隣接する中央側絶縁パターンの間で、前記変更部が配置される前記長さ方向の位置が異なる、請求項1または2に記載のコイル電子部品。
【請求項5】
前記複数のコイルパターンは、前記支持部材の上面に配置される複数の上部コイルパターンと、前記支持部材の下面に配置される複数の下部コイルパターンと、を含み、前記複数の上部コイルパターンと前記複数の下部コイルパターンは、前記支持部材内に形成されたビアを介して電気的に連結される、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項6】
前記一つ以上の変更部を含む前記中央側絶縁パターンのそれぞれは前記変更部内の境界面を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項7】
前記境界面の下の前記中央側絶縁パターンの下部の幅は、前記境界面の上の前記中央側絶縁パターンの上部の幅より大きい、請求項6に記載のコイル電子部品。
【請求項8】
前記絶縁コーティング部は、前記複数の絶縁パターンの側面または上面上に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項9】
前記複数の中央側絶縁パターンのそれぞれの前記変更部の上部における前記支持部材に平行な断面積は一定であり、前記変更部の下部における前記支持部材に平行な断面積は一定である、請求項1から8のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項10】
前記複数の絶縁パターンは互いに連結されて複数の開口部を有する絶縁壁を形成する、請求項1から9のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項11】
支持部材と、
前記支持部材により支持され、互いに連結される複数のコイルパターンと、
前記支持部材により支持され、前記複数のコイルパターンのそれぞれの側面と上面をともに被覆する絶縁部と、を含むコイル電子部品であって、
前記複数のコイルパターンのそれぞれの側面を被覆する側面絶縁部と、前記複数のコイルパターンのそれぞれの上面を被覆する上面絶縁部とが一体に構成されており、
前記側面絶縁部の幅は、前記側面絶縁部が前記支持部材と接する前記絶縁部の下面において最も大きく、
前記複数のコイルパターンは、最外側に配置される最外側コイルパターン、最内側に配置される最内側コイルパターン、前記最外側コイルパターンと前記最内側コイルパターンの間に配置される複数の中央側コイルパターンを含んでおり、
前記側面絶縁部のうち一つ以上は、幅が変更される一つ以上の変更部を含み、
前記最外側コイルパターンおよび前記最内側コイルパターンの長さ方向の断面形状は、前記複数の中央側コイルパターンのうちの少なくとも一以上のコイルパターンの長さ方向の断面形状と異なる、コイル電子部品。
【請求項12】
支持部材と、
前記支持部材により支持され、互いに連結される複数のコイルパターンと、
前記支持部材により支持され、前記複数のコイルパターンのそれぞれの側面と上面をともに被覆する絶縁部と、を含むコイル電子部品であって、
前記複数のコイルパターンのそれぞれの側面を被覆する側面絶縁部と、前記複数のコイルパターンのそれぞれの上面を被覆する上面絶縁部とが一体に構成されており、
前記側面絶縁部の幅は、前記側面絶縁部が前記支持部材と接する前記絶縁部の下面において最も大きく、
前記側面絶縁部のうち一つ以上は、幅が変更される一つ以上の変更部を含み、
前記側面絶縁部のうち一つ以上に含まれる前記変更部は、前記側面絶縁部の長さ方向に沿って断続的に配置されている、コイル電子部品。
【請求項13】
前記変更部は、前記複数のコイルパターンによって形成されるコイル部の直線区間において断続的に配置される、請求項12に記載のコイル電子部品。
【請求項14】
複数の側面絶縁部のうち、隣接する側面絶縁部は、それぞれ長さ方向に沿って断続的に前記変更部が配置されており、
隣接する側面絶縁部の間で、前記変更部が配置される前記長さ方向の位置が異なる、請求項12または13に記載のコイル電子部品。
【請求項15】
前記絶縁部は、ペリレンを含む、請求項11から14のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項16】
前記絶縁部は、前記支持部材の上面に配置される上部絶縁部と、前記上面に対向する前記支持部材の下面に配置される下部絶縁部と、を含み、
前記変更部は、前記上部絶縁部及び前記下部絶縁部の両方に配置される、請求項11から15のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項17】
前記絶縁部と前記支持部材を封止する磁性物質をさらに含み、前記磁性物質は磁性粒子と樹脂の複合体で構成される、請求項11から16のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項18】
前記側面絶縁部と前記上面絶縁部とが連結される部分において、前記側面絶縁部の上方における前記上面絶縁部の上面に溝が形成されている、請求項11から17のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項19】
前記複数のコイルパターンは、前記支持部材の上面に配置される複数の上部コイルパターンと、前記上面に対向する前記支持部材の下面に配置される複数の下部コイルパターンと、を含み、前記複数の上部コイルパターンと前記複数の下部コイルパターンは、前記支持部材内に形成されたビアを介して電気的に連結される、請求項11から18のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項20】
前記複数の上部コイルパターンのうち最外側に配置されるコイルパターンの一端部と連結される第1外部電極と、
前記複数の下部コイルパターンのうち最外側に配置されるコイルパターンの一端部と連結される第2外部電極と、をさらに含む、請求項19に記載のコイル電子部品。
【請求項21】
貫通孔を含む支持部材と、
コイル状に前記貫通孔の周りにおいて前記支持部材の一面上に配置されるコイルであって、互いに連結され、厚さ方向の断面を基準に互いに離隔している複数のコイルパターンを含むコイルと、
前記貫通孔に隣接する前記コイルの内側面上に配置される最内側絶縁パターンと、
前記コイルの外側面上に配置される最外側絶縁パターンと、
前記コイルの隣接するコイルパターンの間に配置される複数の中央側絶縁パターンと、
前記複数の中央側絶縁パターンの上面、及び前記コイルパターンの上面上の絶縁コーティング部と、
前記貫通孔を充填し、前記コイルを封止する磁性本体と、
前記磁性本体の厚さ方向と直交する長さ方向に沿って互いに対向するそれぞれの端面上に配置される外部電極と、を含み、
前記複数の中央側絶縁パターンは、
前記支持部材と接し、前記厚さ方向に沿って実質的に同一の第1幅を含む一つ以上の下部中央絶縁部と、
前記下部中央絶縁部上に配置され、前記厚さ方向に沿って実質的に同一の第2幅を含む上部中央絶縁部と、を含み、
前記第1幅は前記第2幅より大きく、
前記複数のコイルパターンは、最外側に配置される最外側コイルパターン、最内側に配置される最内側コイルパターン、前記最外側コイルパターンと前記最内側コイルパターンの間に配置される複数の中央側コイルパターンを含んでおり、
前記最外側コイルパターンおよび前記最内側コイルパターンの長さ方向の断面形状は、前記複数の中央側コイルパターンのうちの少なくとも一以上のコイルパターンの長さ方向の断面形状と異なる、コイル電子部品。
【請求項22】
貫通孔を含む支持部材と、
コイル状に前記貫通孔の周りにおいて前記支持部材の一面上に配置されるコイルであって、互いに連結され、厚さ方向の断面を基準に互いに離隔している複数のコイルパターンを含むコイルと、
前記貫通孔に隣接する前記コイルの内側面上に配置される最内側絶縁パターンと、
前記コイルの外側面上に配置される最外側絶縁パターンと、
前記コイルの隣接するコイルパターンの間に配置される複数の中央側絶縁パターンと、
前記複数の中央側絶縁パターンの上面、及び前記コイルパターンの上面上の絶縁コーティング部と、
前記貫通孔を充填し、前記コイルを封止する磁性本体と、
前記磁性本体の厚さ方向と直交する長さ方向に沿って互いに対向するそれぞれの端面上に配置される外部電極と、を含み、
前記複数の中央側絶縁パターンは、
前記支持部材と接し、前記厚さ方向に沿って実質的に同一の第1幅を含む一つ以上の下部中央絶縁部と、
前記下部中央絶縁部上に配置され、前記厚さ方向に沿って実質的に同一の第2幅を含む上部中央絶縁部と、を含み、
前記第1幅は前記第2幅より大きく、
一つ以上の前記下部中央絶縁部は、長さ方向に沿って断続的に配列された複数の下部中央絶縁部を含む、コイル電子部品。
【請求項23】
一つ以上の前記下部中央絶縁部は、前記複数のコイルパターンによって形成されるコイル部の直線区間において断続的に配置される、請求項22に記載のコイル電子部品。
【請求項24】
前記複数の中央側絶縁パターンのうち、隣接する中央側絶縁パターンは、それぞれ長さ方向に沿って断続的に前記下部中央絶縁部が配置されており、
隣接する中央側絶縁パターンの間で、前記下部中央絶縁部が配置される前記長さ方向の位置が異なる、請求項22または23に記載のコイル電子部品。
【請求項25】
前記最内側絶縁パターン、前記最外側絶縁パターン、前記複数の中央側絶縁パターン、及び前記絶縁コーティング部が一体に構成される絶縁層を構成する、請求項21から24のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項26】
前記絶縁層は、ペリレンを含む、
請求項25に記載のコイル電子部品。
【請求項27】
前記複数の中央側絶縁パターンのうち一つ以上は、前記下部中央絶縁部と前記上部中央絶縁部との間に一つ以上の変更部をさらに含み、前記変更部は、前記下部中央絶縁部が前記上部中央絶縁部と接する地点において急に変化する変更部、及び前記下部中央絶縁部と隣接する第1幅から前記上部中央絶縁部と隣接する第2幅まで次第に変化する変更部のうち一つである、請求項21から26のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項28】
支持部材上に中央絶縁パターンの下部である下部中央絶縁部を形成する段階と、
前記支持部材上に最内側絶縁パターン及び最外側絶縁パターンを形成する段階と、
前記下部中央絶縁部上に上部中央絶縁部を形成して前記中央絶縁パターンを形成する段階と、
前記最内側絶縁パターン、前記最外側絶縁パターン、及び前記中央絶縁パターンの間に形成される領域内にコイルパターンを形成する段階と、を含み、
前記コイルパターンを形成する段階において形成される複数のコイルパターンは、最外側に配置される最外側コイルパターン、最内側に配置される最内側コイルパターン、前記最外側コイルパターンと前記最内側コイルパターンの間に配置される複数の中央側コイルパターンを含んでおり、
前記最外側コイルパターンおよび前記最内側コイルパターンの長さ方向の断面形状は、前記複数の中央側コイルパターンのうちの少なくとも一以上のコイルパターンの長さ方向の断面形状と異なる、コイル電子部品の製造方法。
【請求項29】
支持部材上に中央絶縁パターンの下部である下部中央絶縁部を形成する段階と、
前記支持部材上に最内側絶縁パターン及び最外側絶縁パターンを形成する段階と、
前記下部中央絶縁部上に上部中央絶縁部を形成して複数の中央絶縁パターンを形成する段階と、
前記最内側絶縁パターン、前記最外側絶縁パターン、及び前記複数の中央絶縁パターンの間に形成される領域内にコイルパターンを形成する段階と、を含み、
一つ以上の前記下部中央絶縁部は、長さ方向に沿って断続的に配列された複数の下部中央絶縁部を含む、コイル電子部品の製造方法。
【請求項30】
前記下部中央絶縁部は、コイルパターンを形成する段階において形成された複数のコイルパターンによって構成されるコイル部の直線区間において断続的に配置される、請求項29に記載のコイル電子部品の製造方法。
【請求項31】
複数の前記下部中央絶縁部のうち、隣接する前記下部中央絶縁部において、それぞれ長さ方向に沿って断続的に前記下部中央絶縁部が配置されており、
隣接する前記下部中央絶縁部の間で、前記下部中央絶縁部が配置される前記長さ方向の位置が異なる、請求項29または30に記載のコイル電子部品の製造方法。
【請求項32】
前記コイルパターンの上面上に絶縁コーティング部をさらに形成する段階を含む、請求項28から31のいずれか一項に記載のコイル電子部品の製造方法。
【請求項33】
前記コイルパターンを形成する段階後に、前記最内側絶縁パターン、前記最外側絶縁パターン、及び前記中央絶縁パターンを除去する段階と、前記コイルパターンの上面及び側面をコーティングし、前記支持部材と接する統合絶縁部を形成する段階と、を含む、請求項28から32のいずれか一項に記載のコイル電子部品の製造方法。
【請求項34】
前記最内側絶縁パターン、前記最外側絶縁パターン、及び前記中央絶縁パターンの上部中央絶縁部は、前記中央絶縁パターンの下部中央絶縁部及び前記支持部材上に形成されたレジストパターンを用いて同時に形成される、請求項28から33のいずれか一項に記載のコイル電子部品の製造方法。
【請求項35】
支持部材と、
前記支持部材により支持され、互いに連結される複数のコイルパターンと、
前記支持部材により支持され、前記複数のコイルパターンのそれぞれの側面及び上面をコーティングする絶縁部と、を含み、
前記複数のコイルパターンの下面の幅は、前記複数のコイルパターンが前記支持部材と接する部分において最も小さく、
前記複数のコイルパターンは幅が変化する変更部を含み、
前記複数のコイルパターンは、最外側に配置される最外側コイルパターン、最内側に配置される最内側コイルパターン、前記最外側コイルパターンと前記最内側コイルパターンの間に配置される複数の中央側コイルパターンを含んでおり、
前記最外側コイルパターンおよび前記最内側コイルパターンの長さ方向の断面形状は、前記複数の中央側コイルパターンのうちの少なくとも一以上のコイルパターンの長さ方向の断面形状と異なる、コイル電子部品。
【請求項36】
支持部材と、
前記支持部材により支持され、互いに連結される複数のコイルパターンと、
前記支持部材により支持され、前記複数のコイルパターンのそれぞれの側面及び上面をコーティングする絶縁部と、を含み、
前記複数のコイルパターンの下面の幅は、前記複数のコイルパターンが前記支持部材と接する部分において最も小さく、
前記複数のコイルパターンは幅が変化する変更部を含み、
前記変更部は前記複数のコイルパターンに沿って断続的に配列される、コイル電子部品。
【請求項37】
前記複数のコイルパターンは、前記支持部材の上面上の上部コイルパターンと、前記上面に対向する下面の下部コイルパターンと、を含み、前記変更部は、上部コイルパターン及び下部コイルパターンの両方に配置される、請求項36に記載のコイル電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル電子部品及びコイル電子部品の製造方法に関し、特に、小型及び高容量の要求特性に有利なパワーインダクターに関する。
【背景技術】
【0002】
IT技術の発展に伴い、装置の小型化及び薄膜化が加速化しており、これに伴って、小型薄膜素子に対する市場の要求が増加している。
【0003】
このような技術傾向に対応するべく、下記の特許文献1では、ビアホールを有する基板と、上記基板の両面に配置され、上記基板のビアホールを介して電気的に連結されるコイルと、を含むパワーインダクターを提供することで、均一で、且つアスペクト比の大きいコイルを含むインダクターを提供しようと努力したが、製造工程の限界により、均一で且つアスペクト比の大きいコイルを形成するには、依然として限界がある状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10−1999−0066108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の限界を解消し、高アスペクト比を有するコイルを含み、且つ全体的な構造が安定した信頼性のあるインダクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例によるコイル電子部品は、複数のコイルパターン、互いに隣接する複数のコイルパターンの間に配置される複数の絶縁パターン、上記コイルパターンの上面と接する絶縁コーティング部、及び上記コイルパターンと上記絶縁パターンを支持する支持部材を含む本体と、上記本体の外部面上に配置される外部電極と、を含む。上記複数の絶縁パターンは、最外側絶縁パターン、最内側絶縁パターン、及び上記最外側絶縁パターンと最内側絶縁パターンとの間に配置される複数の中央側絶縁パターンを含み、上記中央側絶縁パターンのうち一つ以上は、上記支持部材と平行な断面において、上記支持部材と互いに接する断面の断面積が最も大きく、上記中央側絶縁パターンのそれぞれの最上面と最下面との間に、断面の面積が小さくなる一つ以上の変更部を含む。
【0007】
本発明の他の例によるコイル電子部品は、支持部材と、上記支持部材により支持され、互いに連結される複数のコイルパターンと、上記支持部材により支持され、上記コイルパターンの側面と上面を被覆する絶縁部と、を含む。上記コイルパターンの側面を被覆する絶縁部と、上記コイルパターンの上面を被覆する絶縁部は、一体に構成される。上記コイルパターンの側面と接する絶縁部が上記支持部材と平行な断面積において、上記絶縁部と上記支持部材が互いに接する上記絶縁部の断面積が最も大きい。
【0008】
本発明の他の例によるコイル電子部品の製造方法は、支持部材上に中央絶縁パターンの下部である下部中央絶縁部を形成する段階と、上記支持部材上に最内側絶縁パターン及び最外側絶縁パターンを形成する段階と、上記下部中央絶縁部上に上部中央絶縁部を形成する段階と、上記最内側、最外側、及び中央絶縁パターンの間に形成される領域内にコイルパターンを形成する段階と、を含む。
【0009】
本発明の他の一例によるコイル電子部品の製造方法において、上記コイルパターンの上面上に絶縁コーティング部をさらに形成する段階を含むことができる。
【0010】
本発明の他の一例によるコイル電子部品の製造方法において、上記コイルパターンを形成する段階後に、上記最内側、最外側、中央絶縁パターンを除去する段階と、上記コイルパターンの上面及び側面をコーティングし、上記支持部材と接する統合絶縁部を形成する段階と、を含むことができる。
【0011】
本発明の他の一例によるコイル電子部品の製造方法において、上記最内側絶縁パターン、最外側絶縁パターン、上記中央側絶縁パターンの上部中央絶縁部は、上記中央側絶縁パターンの下部中央絶縁部及び上記支持部材上に形成されたレジストパターンを用いてともに形成される、
【発明の効果】
【0012】
本発明の様々な効果のうちの一効果は、3:1以上の高アスペクト比を有し、構造的に安定したコイルパターンを含むコイル電子部品を提供することができることである。ここで、構造的に安定したコイルパターンとは、コイルパターン間のショートが発生せず、コイルパターンの崩れや反りが起こらないコイルパターンを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図1のI−I'線に沿って切断した概略的な断面図である。
【
図3】
図1のコイルパターンと絶縁パターンの概略的な上面図である。
【
図4】本発明の他の例による概略的な斜視図である。
【
図5】
図4のII−II'線に沿って切断した概略的な断面図である。
【
図6】
図4のコイル電子部品の一変形例による概略的な断面図である。
【
図7】
図4のコイル電子部品の他の変形例による概略的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0015】
以下では、本発明の一例によるコイル電子部品を説明するが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0016】
図1は本発明の一例によるコイル電子部品の概略的な斜視図である。
図1には例示的にインダクターが示されているが、本発明がインダクターにのみ限定されるのではなく、コイルを含む素子部品に幅広く適用可能である。
【0017】
図1を参照すると、コイル電子部品100は、外観を構成する本体1と、上記本体1の外部面上に配置される第1外部電極21及び第2外部電極22と、を含む。
【0018】
上記本体1は、インダクターの外観を成すものであって、厚さ(T)方向に互いに対向する上面及び下面、長さ(L)方向に互いに対向する第1端面及び第2端面、及び幅(W)方向に互いに対向する第1側面及び第2側面を含み、実質的に六面体であることができるが、これに限定されるものではない。上記本体1は磁気特性を有する磁性物質を含み、例えば、上記本体1中の磁性物質は、フェライトまたは金属磁性粒子が樹脂に充填されたものであることができる。上記金属磁性粒子は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、及びニッケル(Ni)からなる群から選択される一つ以上を含むことができる。
【0019】
図2は
図1のI−I'線に沿って切断した概略的な断面図であり、
図2を参照して、
図1の本体の内部構造をより詳細に説明する。
【0020】
図2を参照すると、本体1の内部には、支持部材11、上記支持部材により支持される複数のコイルパターン12、上記支持部材により支持される複数の絶縁パターン13、及び上記コイルパターンの上面と接する絶縁コーティング部14が含まれている。
【0021】
上記複数のコイルパターン12は互いに連続的に連結されて一つのコイルを構成し、上記コイルパターン12は、支持部材の上面に配置される上部コイルパターン121と、支持部材の下面に配置される下部コイルパターン122と、を含む。上記上部コイルパターンと上記下部コイルパターンは、支持部材に形成されたビアを介して互いに電気的に連結される。上記上部コイルパターンは互いに連結されて全体的に渦巻き状を構成し、同様に、上記下部コイルパターンも互いに連結されて全体的に渦巻き状を構成することができるが、これに限定されるものではない。
【0022】
上記支持部材11は、それにより支持されるコイルパターンをより薄型に、且つより容易に形成するためのものである。上記支持部材は、絶縁樹脂からなる絶縁基材であることができる。この際、絶縁樹脂としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、またはこれらにガラス繊維または無機フィラーなどの補強材が含浸された樹脂、例えば、プリプレグ(preprag)、ABF(Ajinomoto Build−up Film)、FR−4、BT(Bismaleimide Triazine)樹脂、PID(Photo Imageable Dielectric)樹脂などが用いられることができる。支持部材にガラス繊維が含まれる場合、より優れた剛性を有することができる。上記支持部材の中央部には貫通孔が形成され、上記貫通孔が磁性材料で充填されてコア部が形成されることができる。
【0023】
上記支持部材11の中央部には貫通孔が形成されることができ、上記貫通孔に磁性物質を充填することで、コイル電子部品の透磁率を向上させることができる。
【0024】
上記支持部材により支持される複数の絶縁パターン13は、互いに隣接する絶縁パターンの間にコイルパターンを充填した構造で配置される。絶縁パターンの幅に対する厚さの比である、絶縁パターンのアスペクト比(Aspect Ratio)は略20以上であることができる。
【0025】
上記絶縁パターン13の下面13Lは上記支持部材により支持される面であって、上記支持部材と接しており、上記絶縁パターン13の上面13Uは上記下面13Lに対向する面であって、その上に配置される絶縁コーティング部14と接する。
【0026】
上記絶縁パターン13は複数の絶縁パターンで構成されるが、具体的に、最外側絶縁パターン131、最内側絶縁パターン132、及び上記最外側絶縁パターンと上記最内側絶縁パターンとの間に配置される複数の中央側絶縁パターン133a、133b、133c・・・で構成される。
【0027】
上記最外側絶縁パターン131と上記最内側絶縁パターン132に関し、支持部材と平行な最外側絶縁パターンの断面積は、本体の厚さ方向(T)に沿って実質的に変更されず、同様に、支持部材と平行な最内側絶縁パターンの断面積は、本体の厚さ方向(T)に沿って実質的に変更されない。
【0028】
また、最外側絶縁パターンの下面と最外側コイルパターンの上面との間にはいかなる境界面も観察されないが、これは、最外側絶縁パターンの下面から上面まで、絶縁パターンが単一の工程により形成されることを意味する。同様に、最内側絶縁パターンの下面と最内側コイルパターンの上面との間にもいかなる境界面も観察されない。
【0029】
選択的に、上記最外側絶縁パターンと上記最内側絶縁パターンは2重層で構成されることもできるが、上記最外側及び最内側絶縁パターンが上部層及び下部層の2重層である場合、下部層は、剥離液により剥離可能な感光性絶縁物質(PID:Photo Imageable dielectric)を含み、例えば、環状ケトン化合物及びヒドロキシ基を有するエーテル化合物を主成分として含む感光性物質を含むことができる。この際、環状ケトン化合物は、例えば、シクロペンタノンなどであることができ、ヒドロキシ基を有するエーテル化合物は、例えば、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどであることができるが、これに限定されるものではなく、剥離液によって容易に剥離できるものであれば何れも適用可能である。上記下部層上に配置される上記上部層はパーマネント(permanent)タイプの感光性絶縁物質を含み、例えば、ビスフェノール系エポキシ樹脂を主成分として含む感光性物質を含むことができる。上記最外側絶縁パターンと上記最内側絶縁パターンが単一層で構成されてもよいことは言うまでもなく、この場合、パーマネントタイプの感光性絶縁物質として、例えば、ビスフェノール系エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
【0030】
次に、上記最外側絶縁パターンと上記最内側絶縁パターンとの間に配置される複数の中央側絶縁パターン133a、133b、133c・・・に関し、上記複数の中央側絶縁パターンのうち一つ以上133a、133b、133cは、上記支持部材と平行な断面において、上記支持部材と互いに接する断面(下面)の断面積が最も大きく、上記中央側絶縁パターンの下面と上面との間に、支持部材と平行な断面の断面積が変更される一つ以上の変更部134が含まれる。
【0031】
上記中央側絶縁パターン133a、133b、133c内の変更部134には境界面135が含まれることができる。これは、中央側絶縁パターンが、上記境界面を基準として下部中央側絶縁パターン133al、133bl、133clと上部中央側絶縁パターン133au、133bu、133cuとに区別可能であることを意味する。ここで、下部中央側絶縁パターンは、支持部材と接する中央側絶縁パターンの下面を含み、上部中央側絶縁パターンの断面の断面積に比べて大きい断面積を含む。これにより、中央側絶縁パターンが支持部材により支持される際に、中央側絶縁パターンのアスペクト比が大きいため、反りや崩れが発生する恐れを最小限にすることができる。支持部材と中央側絶縁パターンが互いに連結される下部中央側絶縁パターンを、上部中央側絶縁パターンよりも大きい断面積を有するように構成することで、全体のチップサイズを増加させずとも、構造的に信頼性のあるコイル電子部品を提供することができる。
【0032】
また、中央側絶縁パターン内の境界面135を基準として下部に該当する下部中央側絶縁パターン133al、133bl、133clにおいて、支持部材と平行な断面の断面積は厚さ方向に沿って実質的に一定であり、下部中央側絶縁パターンの下面、すなわち、支持部材と当接する断面の断面積と同一である。
【0033】
同様に、中央側絶縁パターン内の境界面135を基準として上部に該当する上部中央側絶縁パターン133au、133bu、133cuにおいて、支持部材と平行な断面の断面積は厚さ方向に沿って実質的に一定であり、中央側絶縁パターンの下面、すなわち、支持部材と当接する断面の断面積より小さい。
【0034】
この際、中央側絶縁パターン内の上部中央側絶縁パターンの厚さは、下部中央側絶縁パターンの厚さの2倍以上20倍以下であることができる。上部中央側絶縁パターンの厚さが下部中央側絶縁パターンの厚さの2倍より小さい場合には、高アスペクト比を有する絶縁パターンの実現に限界があり、下部中央側絶縁パターンの断面積が増加した分だけ、それに隣接したコイルパターンが充填される空間が減少するようになるため、Rdc特性に悪影響を与える恐れがある。これに対し、上部中央側絶縁パターンの厚さが下部中央側絶縁パターンの厚さの20倍より大きい場合には、中央側絶縁パターンの一定の全体厚さに比べて下部中央側絶縁パターンの厚さを十分に確保することができないため、構造的安定性が十分に保障されない恐れがある。
【0035】
一方、最外側絶縁パターン131、最内側絶縁パターン132、及び上記最外側絶縁パターンと上記最内側絶縁パターンとの間に配置される複数の中央側絶縁パターン133a、133b、133c…の間には、複数のコイルパターン121、122、123…が配置される。それぞれのコイルパターンの側面は、それに隣接する絶縁パターンの側面と互いに接する。複数のコイルパターンは、互いに連続的に連結されて全体的に渦巻き状を構成するが、その形状は全く制限されず、当業者が適切に設計変更することができる。
【0036】
また、最外側絶縁パターン、最内側絶縁パターン、及び複数の中央側絶縁パターンは互いに連結され、全体的に見て複数の開口部を有する絶縁壁を形成する。この場合、複数の開口部のそれぞれの内部空間として、コイルパターンが充填された内部空間の体積は同一ではない。
【0037】
上記中央側絶縁パターンのうち、最上面と最下面との間に断面積が小さくなる一つ以上の変更部134を含む中央側絶縁パターンは、上記絶縁壁内に断続的に(intermittently)配置されるものである。
【0038】
また、上記コイルパターンの上側に配置される絶縁コーティング部14は、上記絶縁コーティング部14は、コイルパターンの表面のうち絶縁パターンによって絶縁されていない表面を絶縁コーティングするように採択されたものである。絶縁コーティング部は、コイルパターンの上部、絶縁パターンの上面、及び絶縁パターンの側面のうちコイルパターンと接さずに外部に露出する側面を覆うように配置される。絶縁コーティング部の形成方法にはいかなる制約もなく、例えば、絶縁シートをラミネーション(lamination)するか、絶縁樹脂を含むペースト内にディッピング(dipping)することができる。
【0039】
図示していないが、コイルパターンのめっきバラツキを低減するために、コイルパターンとそれに隣接した絶縁パターンに対して、後処理、例えば、機械的研磨、化学的エッチングなどを適用することができる。少なくとも一つのコイルパターンがそれに隣接した絶縁パターンの上面より高くめっきされ、他のコイルパターンとめっきバラツキが発生した場合、その高くめっきされたコイルパターンの一部を除去することで、複数のコイルパターン、それに隣接する絶縁パターンの厚さを均一にすることができる。この場合、厚さを均一にした後、コイルパターンの上面のうち絶縁パターンによって絶縁されていない部分を絶縁させるために絶縁コーティング部を配置する。
【0040】
次に、
図3は
図1及び
図2に示されたコイルパターンと絶縁パターンの概略的な上面図である。
図3では、説明の便宜のために、絶縁コーティング部、及びコイルパターンと絶縁パターンを封止する磁性物質を省略した。また、説明の便宜のために、
図3の中央側絶縁パターンのうち、支持部材と接する下面の断面積が中央側絶縁パターンの上面の断面積に比べて大きい中央側絶縁パターンを斜線で示した。
【0041】
図3を参照すると、複数のコイルパターンは互いに連続的に連結されて渦巻き状を構成し、複数の絶縁パターンも互いに連続的に連結されて複数のコイルパターンに対応する渦巻き状を構成する。絶縁パターンの上面の断面積に比べて下面の断面積が大きい場合、その絶縁パターンに隣接するコイルパターンは、反対に上面の断面積に比べて下面の断面積が小さくなることは言うまでもない。
【0042】
図3を参照すると、斜線で示された中央側絶縁パターンの一部分は、特にコイルの直線部に主に配置されていることが分かる。斜線で示された中央側絶縁パターンの一部分は変更部を含むものであり、上記変更部内に中央側絶縁パターンの境界面が含まれる。そのため、変更部の境界面を基準として、中央側絶縁パターンの下部中央側絶縁パターンの断面積が増加し、支持部材とさらに強固な付着が可能となり、絶縁パターンの反りや崩れが主に発生するコイルの直線部を効果的に支持することができる。
【0043】
次に、
図4は本発明の他の例によるコイル電子部品の概略的な斜視図である。
図4に開示されたコイル電子部品は、
図1に開示されたコイル電子部品と比較して、コイルパターンの上面と接する別の絶縁物質である絶縁コーティング部を含む代わり、コイルパターンの上面と側面をともに被覆するように一体に構成される絶縁部を含むという点で異なる。したがって、
図4に開示されたコイル電子部品と
図1に開示されたコイル電子部品の両方に適用され得る内容として、
図1に開示されたコイル電子部品について既に説明した内容と重複する内容は、説明の便宜のために省略する。
【0044】
図4を参照すると、コイル電子部品200は、本体201と、上記本体の外部面上に配置される第1及び第2外部電極221、222と、を含む。
【0045】
上記本体201内には、支持部材211、上記支持部材により支持される複数のコイルパターン212、及び上記支持部材により支持される絶縁部213が含まれている。
【0046】
上記絶縁部213は、コイルパターンの側面と上面をともに被覆することができるように一体に構成される。上記絶縁部213は、最外側絶縁部2131、最内側絶縁部2132、及び上記最外側絶縁部と上記最内側絶縁部との間の中央側絶縁部2133で構成される。この場合、上記最外側絶縁部、上記最内側絶縁部、及び上記中央側絶縁部の全てが連結され、全体的に一つの絶縁部を形成する。
【0047】
また、上記支持部材とそれにより支持される絶縁部213は、磁性特性を有する磁性粒子及び樹脂を含む複合物質により封止されている。
【0048】
次に、
図5は
図4のII−II'線に沿って切断した概略的な断面図であり、
図5を参照すると、コイルパターンの側面と上面を被覆する絶縁部213のうち支持部材と平行な断面において、上記絶縁部と上記支持部材が互いに接する上記絶縁部の下面の断面積が最も大きい。この場合、下面の断面積が最も大きい絶縁部は中央側絶縁部2133に含まれる。これに対し、最外側絶縁部2131及び最内側絶縁部2132のそれぞれは、支持部材と接する最下面からそれに対向する最上面まで、断面の断面積が実質的に一定である。
【0049】
このように、上記中央側絶縁部の少なくとも一部は、支持部材と互いに接する絶縁部の下面の断面積を最も大きく構成し、その下面とそれに対向する上面との間に、支持部材と平行な断面の断面積が小さくなる一つ以上の変更部2134を含む。上記変更部を基準として、上記中央側絶縁部が、上記支持部材の上部に配置される上部中央側絶縁部2133Uと、上記支持部材の下部に配置される下部中央側絶縁部2133Lと、に区別されることができる。
【0050】
上記変更部2134は中央側絶縁部内に断続的に配置されることができる。上記変更部により、上記中央側絶縁部と支持部材が互いに接する下面の面積を広く確保しながらも、コイルパターンが充填される空間を十分に確保することができるため、コイル電子部品の構造的信頼性を改善し、コイルショートなどの問題を改善するとともに、高アスペクト比を確保することができる。
【0051】
また、上記変更部2134は、中央側絶縁部内のどこにでも断続的に配置されることができることは言うまでもないが、この場合、複数のコイルパターンが全体的に連結されて形成された渦巻き状のコイル部内において、直線区間に配置されることが好ましい。その理由は、渦巻き状のコイル部は直線区間と曲線区間を交互に含むが、曲線区間に比べて直線区間で絶縁部の反りや崩れが頻繁に発生するためである。そのため、直線区間に変更部を含む絶縁部を配置させる場合、直線区間で支持部材が絶縁部をより安定的に支持することで、コイルパターン間のショートや構造的な崩れの恐れを除去することができる。
【0052】
次に、
図6は
図5に示す断面図の一変形例を示す概略的な断面図であって、
図6は
図5と比較して、中央側絶縁部2133内の少なくとも一つの変更部2134の配列が異なって、実質的に
図5と同一のコイル電子部品を示す。
【0053】
図6を参照すると、変更部2134は、支持部材を基準として、支持部材の上部及び下部に交互に配置される。
図6に例示された変更部の配列にのみ限定されるものではなく、支持部材が高アスペクト比の絶縁部を安定的に支持するように、当業者が適切に設計変更可能であることは言うまでもない。また、変更部の厚さ方向の位置、換言すると、上部中央側絶縁部と下部中央側絶縁部が区別される位置を設定することも当業者が適切に設計変更可能であり、上部中央側絶縁部の断面の面積に対する下部中央側絶縁部の断面の面積の比(ratio)も、当業者が適切に設計変更できることは言うまでもない。また、図示していないが、変更部の具体的な形状を、
図6に示されたように、ハングル母音の
字に形成せず、変更部の側面を曲線にしたり、階段状にしたりするなどの設計変更が可能であることも言うまでもない。
【0054】
図7は
図4のコイル電子部品の他の変形例による概略的な上面図である。
図7において、中央側絶縁パターンのうち支持部材と接する下面の断面積が中央側絶縁パターンの上面の断面積に比べて大きい中央側絶縁パターンを斜線で示す。
【0055】
図7を参照すると、複数のコイルパターンは互いに連続的に連結されて渦巻き状を構成し、複数の絶縁パターンも互いに連続的に連結されて複数のコイルパターンに対応する渦巻き状を構成する。絶縁パターンの上面の断面積に比べて下面の断面積が大きい場合、その絶縁パターンに隣接するコイルパターンは、これとは反対に上面の断面積に比べて下面の断面積が小さくなることは言うまでもない。
【0056】
図7を参照すると、斜線で示された中央側絶縁パターンの一部分は、中央側絶縁パターンの全体にわたって断続的に配置されていることが分かる。これは、当業者が製作環境、及び最終コイル電子部品のチップサイズに対するそれぞれの絶縁パターンのアスペクト比を総合的に考慮して、中央側絶縁パターンのうち下部中央側絶縁パターンの断面積を大きくした中央側絶縁パターンの位置を自由に制御できることを示す。
【0057】
後述する
図8a〜
図8jは、
図1のコイル電子部品100及び
図4のコイル電子部品200を製造する製造方法の一例を説明するための図である。
図4のコイル電子部品は、
図1のコイル電子部品と比較して、コイルパターンの側面に配置される絶縁パターンと、コイルパターンの上面に配置される絶縁コーティング部とが互いに連結されて一体に構成されるという点でのみ異なるため、互いに共通する製造工程を含む。したがって、
図4のコイル電子部品200の製造にのみ適用される製造工程は、
図8i及び
図8jを参照して説明する。また、説明の便宜のために、
図8a〜
図8jにおける図面符号は、
図1のコイル電子部品で説明した図面符号を用いる。
【0058】
先ず、
図8aに示されたように、支持部材11の両面にそれぞれシードパターン71を形成する。上記シードパターンは、全体的にコイル形状の導体パターンを有する。これらシードパターンは公知の方法により形成することができ、例えば、ドライフィルム(dry film)などを用いて、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)、スパッタリング(Sputtering)などにより形成することができるが、これに限定されるものではない。選択的に、支持部材の中央部を貫通する貫通孔を形成することができ、シードパターンをめっきする前に、レーザー及び/または機械的ドリル加工などを用いることができる。
【0059】
図8bを参照すると、シードパターンの形成が完了した支持部材の両面に、それぞれ第1レジストDFRをラミネーションする。この場合、ラミネーション方法としては、例えば、高温で一定時間加圧してから減圧して室温まで冷やすホットプレスを行った後、コールドプレスにおいて冷やして作業ツールを分離する方法などを用いることができる。ラミネーション後に硬化することができるが、この際、フォトリソグラフィ工法などを用いるために、完全硬化せずに乾燥することができる。
【0060】
次に、
図8cを参照すると、中央側絶縁パターンのうち下部中央側絶縁パターンを形成するための1次露光工程を行う。これは、第1レジストをパターニングすることであり、パターニング方法は、用いられた第1レジストの感光特性に応じて適宜選択することができる。この場合、中央側絶縁パターンの全体を形成するのではなく、その一部である下部中央側絶縁パターンのみを形成するため、第1レジストの厚さは高くない。
【0061】
次いで、
図8dを参照すると、最終的な中央側絶縁パターンの厚さに該当する厚さを有する第2レジストDFRをラミネーションする。第2レジストをラミネーションする方法は、第1レジストをラミネーションする方法と実質的に同一である。第2レジストは、下部中央側絶縁パターンの間だけでなく、支持部材の上面及び下面に接するようにラミネーションする。
【0062】
図8eを参照すると、最外側絶縁パターン、最内側絶縁パターン、及び中央側絶縁パターンのうち上部中央側絶縁パターンを形成するための2次露光を行う。これは、第2レジストをパターニングすることであり、パターニング方法は、用いられた第2レジストの感光特性に応じて適宜選択することができる。この場合、最内側絶縁パターン、最外側絶縁パターン、及び中央側絶縁パターンの上部中央側絶縁パターンの全体を形成するため、2次露光により決定されるそれぞれの絶縁パターンのアスペクト比は、実質的に最終製品の絶縁パターンのアスペクト比と同一程度である。
【0063】
図8fは、
図8cと
図8eでそれぞれ完了した1次及び2次露光された部分に対して、現像工程を行う図である。その結果、互いに連結される複数の絶縁パターンの形状が導出される。中央側絶縁パターンは、境界面を基準として上部中央側絶縁パターンと下部中央側絶縁パターンに区別されることが明確である。また、支持部材により支持された絶縁パターンは通常、後述のコイルパターンが充填される開口部を含む絶縁壁の構造を有する。
【0064】
図8gを参照すると、
図8fの現像工程を経て導出された開口部内に銅電気めっきを行う。これは、互いに隣接する絶縁パターンの空き空間を充填することであり、これによって、全体的に渦巻き状を有するコイル部が導出される。図示していないが、支持部材に形成されたビアホールを充填するビア電極を介して上部コイルパターンと下部コイルパターンが互いに電気的に連結されることは言うまでもない。この際、銅電気めっきにより、高アスペクト比を有するコイルパターンを実現することができ、コイルパターンのアスペクト比は当業者が適切に設計することができることはもちろん、互いに隣接する絶縁パターンの上面に比べてコイルパターンの上面が少し低いか、実質的に同一であることが好ましい。
【0065】
次に、
図8hを参照すると、コイルパターンの上面が絶縁パターンによって被覆されていないため、コイルパターンの上面を被覆するための絶縁コーティング部を配置することができる。これは、隣接するコイルパターン間のショートを防止するためのものであって、その形成方法は特に制限されず、例えば、絶縁シートをラミネーションするか、ディッピングを適用することができる。この場合、コイルパターンの上面と絶縁パターンの上面との高さ差を解消するために、選択的に機械的加工または化学的加工を施した後、絶縁コーティング部を配置することができることは言うまでもない。
【0066】
一方、
図4に開示されたコイル電子部品は絶縁コーティング部を別に含んでいないため、前記
図8gの後、
図8iの工程を行う。
図8iを参照すると、第1及び第2レジストを除去するキャビティ(cavity)工程を行う。その結果、複数のコイルパターンの間に配置された絶縁パターンが除去され、複数のコイルパターンの間には空き空間が形成される。
【0067】
次に、
図8jを参照すると、コイルパターンの側面と上面をともに被覆する絶縁部を形成する。この絶縁部の形成方法にはいかなる制約もなく、絶縁シートをラミネーションするか、絶縁特性を示す絶縁物質を化学気相蒸着して形成することができる。この際、絶縁特性を示す絶縁物質は、例えば、ペリレンであることができるが、これに制限されない。
【0068】
その後、具体的に示していないが、磁性粒子と樹脂の複合体で構成された磁性物質を上記支持部材の上面と下面上に充填することでコイル電子部品の外観を構成し、ダイシング工程によりコイルパターンの引き出し部を露出させた後、その引き出し部と連結される外部電極を配置することは、通常のチップ製作工程と同一である。
【0069】
上記の説明を除き、上述の本発明の一例によるコイル電子部品の特徴と重複される説明はここで省略する。
【0070】
上述のコイル電子部品によると、少なくとも3:1以上の高アスペクト比を有し、構造的に安定したコイルパターンを含むコイル電子部品が提供されることができる。ここで、構造的に安定したコイルパターンとは、コイルパター 間のショートが発生せず、コイルパターンの崩れや反りが起こらないコイルパターンを意味する。
【0071】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0072】
100 コイル電子部品
1 本体
11 支持部材
12 コイルパターン
13 絶縁パターン
131 最外側絶縁パターン
132 最内側絶縁パターン
133 中央側絶縁パターン
134 変更部
135 境界面
14 絶縁コーティング部
21 第1外部電極
22 第2外部電極