(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のエレベーターのそれぞれに対応する乗場ドアが設けられた乗場の乗場呼びボタンに対する操作として予め設定された通常操作及び特殊操作を検出する乗場操作検出部と、
前記乗場操作検出部により検出された前記通常操作に基づく乗場呼びに対して前記複数のエレベーターのうち運転モードが通常運転モードであるエレベーターのかごを割り当て、運転モードが乗場運転モードであるエレベーターのかごを割り当てないかご割当部と、
前記乗場操作検出部により検出された前記特殊操作に基づいて前記複数のエレベーターのうち運転モードが乗場運転モードであるエレベーターのかごを移動させる乗場運転制御部と、
エレベーターを示す情報と乗場呼びボタンを示す情報とを関連付けて記憶している記憶部と、
を備え、
前記記憶部は、エレベーターを示す情報に対し当該エレベーターの乗場ドアと隣り合わない位置に設けられた乗場呼びボタンを示す情報を関連付けて記憶しておらず、
前記乗場操作検出部は、前記複数のエレベーターのうち運転モードが乗場運転モードであるエレベーターと関連付けて前記記憶部に記憶されている乗場呼びボタンに対する前記特殊操作を検出し、運転モードが乗場運転モードであるエレベーターと関連付けて前記記憶部に記憶されていない乗場呼びボタンに対する前記特殊操作を検出しないエレベーターの群管理装置。
前記乗場運転制御部は、前記乗場操作検出部により前記特殊操作が検出されている間は運転モードが乗場運転モードであるエレベーターのかごの移動を継続させ、前記乗場操作検出部により前記特殊操作が検出されなくなった場合は当該かごの移動を停止させる請求項1又は請求項3に記載のエレベーターの群管理装置。
前記乗場運転制御部は、前記乗場操作検出部により前記特殊操作が検出された場合に、運転モードが乗場運転モードであるエレベーターのかごを予め設定された位置まで移動させる請求項1又は請求項3に記載のエレベーターの群管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。各図では、同一又は相当する部分に同一の符号を付している。重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。
【0010】
実施の形態1.
エレベーター制御システムは、複数の階を備えた図示しない建物に適用される。建物には、複数のエレベーターが設けられている。エレベーターの乗場は、例えば、建物の各階に設けられている。
【0011】
図1は、実施の形態1におけるエレベーター群管理システムの構成図である。
【0012】
図1に示すように、エレベーター群管理システムは、複数のエレベーター1を備える。
図1は、一例として、建物に2つのエレベーター1が設けられている場合を示している。
【0013】
図1に示すように、エレベーター1は、昇降路2、かご3及び制御装置4を備える。昇降路2は、例えば、建物の各階を貫くように形成されている。かご3は、昇降路2の内部に位置している。昇降路2は、かご3が移動するための昇降経路である。制御装置4は、例えば、昇降路2又は図示しない機械室等に設けられている。かご3には、かご操作盤5及びブザー6が設けられている。かご操作盤5には、例えば、図示しない戸開ボタン、戸閉ボタン、行先階ボタン、表示器及びスピーカー等が設けられている。かご操作盤5及びブザー6は、制御装置4と電気的に接続されている。
【0014】
図1に示すように、建物の各階の乗場には、乗場ドア7及び少なくとも1つの乗場操作盤8が設けられている。乗場には、複数のエレベーター1のそれぞれに対応する乗場ドア7が設けられている。乗場操作盤8には、乗場呼びボタンとして、上ボタン9及び下ボタン10の少なくとも一方が設けられている。上ボタン9は、例えば、かご3が停止可能な全ての階の中での最上階には設けられていない。下ボタン10は、例えば、かご3が停止可能な全ての階の中での最下階には設けられていない。
【0015】
図1に示すように、エレベーター群管理システムは、群管理装置11を備える。群管理装置11は、例えば、建物内に設けられている。群管理装置11は、制御装置4及び乗場操作盤8と電気的に接続されている。群管理装置11は、乗場操作検出部12、運転モード検出部13、かご割当部14、通常運転制御部15、乗場運転制御部16、運転モード設定部17及び記憶部18を有している。
【0016】
制御装置4は、例えば、図示しない巻上機を駆動させることで、かご3を移動させる。制御装置4は、例えば、かご操作盤5に設けられた機器及びブザー6の動作を制御する。制御装置4は、例えば、昇降路2におけるかご3の位置を検出する。かご3の位置の検出は、例えば、巻上機の電動機に取り付けられたエンコーダからの信号に基づいて行われる。また、かご3の位置の検出は、例えば、昇降路2又はかご3に設けられた図示しないセンサからの信号に基づいて行われてもよい。
【0017】
乗場操作盤8に設けられた乗場呼びボタンは、例えば、乗場呼びを発生させる操作を受け付ける。上ボタン9は、例えば、上方向を行き先とする乗場呼びを発生させるために用いられる。下ボタン10は、例えば、下方向を行き先とする乗場呼びを発生させるために用いられる。
【0018】
乗場操作検出部12は、乗場呼びボタンに対する操作を検出する。乗場呼びボタンに対する操作には、予め設定された通常操作及び特殊操作が含まれる。通常操作は、乗場呼びを発生させるための操作である。上ボタン9に対する通常操作が行われると、上方向を行き先とする乗場呼びが発生する。下ボタン10に対する通常操作が行われると、下方向を行き先とする乗場呼びが発生する。通常操作は、例えば、エレベーター1の利用者によって行われる。特殊操作は、例えば、エレベーター1の保守作業員によって行われる。
【0019】
乗場操作検出部12は、例えば、乗場呼びボタンを一定時間よりも短い間押し続けることを通常操作として検出する。乗場操作検出部12は、例えば、後述する運転モードが乗場運転モードに切り替えられたエレベーター1のかご3が停止している階の乗場呼びボタンを当該一定時間以上の間押し続けることを特殊操作として検出する。当該一定時間は、例えば、5秒に設定されている。
【0020】
運転モード検出部13は、各エレベーター1の運転モードを検出する。エレベーター1の運転モードには、通常運転モード及び保守モードが含まれる。保守モードには、乗場運転モードが含まれる。保守モードへの切り替えは、エレベーター1の利用者が操作できないように、例えば制御装置4内、かご操作盤5内又は乗場操作盤8内等に設けられた図示しないスイッチ等を操作することで行われる。乗場運転モードへの切り替えは、例えば、保守モードの状態において、かご操作盤5の戸閉ボタン等を5秒以上の間押し続けることで行われる。保守モード及び乗場運転モードへの切り替えは、例えば、制御装置4、かご操作盤5又は乗場操作盤8等に接続された保守用の携帯端末を操作することで行われてもよい。
【0021】
かご割当部14は、乗場操作検出部12により検出された通常操作に基づく乗場呼びに対して、複数のエレベーター1のうち運転モードが通常運転モードであるエレベーター1のいずれかのかご3を割り当てる。かご割当部14は、通常操作に基づく乗場呼びに対して、運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3を割り当てない。
【0022】
通常運転制御部15は、制御装置4を介してエレベーター1のかご3を移動させる機能を有する。通常運転制御部15は、かご割当部14により乗場呼びに対するかご3の割り当てが行われた場合に、当該乗場呼びを発生させる通常操作を受け付けた乗場呼びボタンが設けられた階に当該割り当てられたかご3を移動させる。つまり、通常運転制御部15は、運転モードが通常運転モードであるエレベーター1のかご3を乗場呼びに応答させる。
【0023】
乗場運転制御部16は、制御装置4を介してエレベーター1のかご3を移動させる機能を有する。乗場運転制御部16は、乗場操作検出部12により検出された特殊操作に基づいて、複数のエレベーター1のうち運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3を移動させる。乗場運転制御部16は、上ボタン9に対する特殊操作に基づいて、上方向にかご3を移動させる。乗場運転制御部16は、下ボタン10に対する特殊操作に基づいて、下方向にかご3を移動させる。つまり、乗場運転制御部16は、特殊操作を受け付けた乗場呼びボタンに対応する方向にかご3を移動させる。乗場運転制御部16は、通常運転制御部15によってかご3が移動される速度よりも低い速度でかご3を移動させる。
【0024】
乗場操作検出部12は、乗場呼びボタンに対応する方向を行き先とする乗場呼びが発生していない状態で当該乗場呼びボタンが受け付けた操作を全て通常操作として検出する。例えば、上方向を行き先とする乗場呼びが発生していない状態では、上ボタン9に対する特殊操作が行われたとしても、上方向を行き先とする乗場呼びが発生する。例えば、下方向を行き先とする乗場呼びが発生していない状態では、下ボタン10に対する特殊操作が行われたとしても、下方向を行き先とする乗場呼びが発生する。つまり、乗場運転制御部16は、乗場呼びが発生していない状態では、運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3を移動させない。
【0025】
乗場操作検出部12は、乗場呼びボタンに対応する方向を行き先とする乗場呼びが発生している状態であれば、当該乗場呼びボタンが受け付けた特殊操作を検出する。乗場操作検出部12は、例えば、上方向を行き先とする乗場呼びが発生している状態で、上ボタン9に対する特殊操作を検出する。乗場操作検出部12は、例えば、下方向を行き先とする乗場呼びが発生している状態で、下ボタン10に対する特殊操作を検出する。
【0026】
乗場運転制御部16は、かご割当部14によるかご3の割り当てが行われ且つ通常運転制御部15による当該割り当てられたかご3の移動が完了していない状態で、乗場操作検出部12により特殊操作が検出されている間は運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3の移動を継続させる。乗場運転制御部16は、乗場操作検出部12により特殊操作が検出されなくなった場合は当該かごの移動を停止させる。つまり、乗場運転制御部16は、例えば、乗場呼びに対する通常運転モードのエレベーター1の応答が終了していない状態で乗場呼びボタンが押し続けられている間だけ乗場運転モードのエレベーター1のかご3を移動させる。
【0027】
乗場運転制御部16は、運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3が予め設定された位置に到達した場合に当該かご3の移動を停止させる。位置に基づくかご3の停止は、乗場操作検出部12により特殊操作が検出されているか否かに関係なく行われる。予め設定された位置とは、例えば、ピット進入位置及びかご上搭乗位置である。ピット進入位置とは、例えば、最下階の乗場ドア7の上端付近の高さにかご3の下端が位置するようなかご3の位置である。かご上搭乗位置とは、例えば、最上階又は中間階のうち特殊操作を受け付けた乗場呼びボタンが設けられた階の乗場ドア7の下端付近の高さにかご3の上端が位置するようなかご3の位置である。
【0028】
運転モード設定部17は、エレベーター1の運転モードを設定する機能を有する。運転モード設定部17は、運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3が予め設定された位置に到達した場合に、当該エレベーター1の乗場運転モードを解除する。つまり、運転モード設定部17は、例えば、乗場運転モードのエレベーター1のかご3がピット進入位置又はかご上搭乗位置で停止した際に、当該エレベーター1の乗場運転モードを解除する。なお、このとき、当該エレベーター1の保守モードは解除されない。
【0029】
記憶部18は、予めエレベーター1を示す情報と乗場呼びボタンを示す情報とを関連付けて記憶している。記憶部18は、1つのエレベーター1を示す情報に対して、同一の乗場に存在する複数の乗場呼びボタンを示す情報を関連付けて記憶していてもよい。乗場呼びボタンを示す情報には、乗場操作盤8を示す情報が含まれる。
【0030】
記憶部18は、例えば、エレベーター1を示す情報に当該エレベーター1の乗場ドア7と隣り合う位置に設けられた乗場呼びボタンを示す情報を関連付けて記憶している。記憶部18は、例えば、エレベーター1を示す情報に当該エレベーター1の乗場ドア7と隣り合わない位置に設けられた乗場呼びボタンを示す情報を関連付けて記憶していない。
【0031】
乗場操作検出部12は、運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1と関連付けて記憶部18に記憶されている乗場呼びボタンに対する特殊操作を検出する。乗場操作検出部12は、運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1と関連付けて記憶部18に記憶されていない乗場呼びボタンに対する特殊操作を検出しない。つまり、記憶部18は、複数のエレベーター1のそれぞれについて、乗場運転モードの状態で特殊操作が有効である乗場呼びボタンを記憶している。
【0032】
図2は、実施の形態1におけるエレベーターと乗場操作盤の位置関係の一例を示す第1の模式図である。
図3は、実施の形態1におけるエレベーターと乗場操作盤の位置関係の一例を示す第2の模式図である。
図4は、実施の形態1におけるエレベーターと乗場操作盤の位置関係の一例を示す第3の模式図である。
図5は、実施の形態1におけるエレベーターと乗場操作盤の位置関係の一例を示す第4の模式図である。
図6は、実施の形態1におけるエレベーターと乗場操作盤の位置関係の一例を示す第5の模式図である。
図2から
図6において、エレベーター1及び乗場操作盤8は、個別に特定する必要がある場合、符号の後に小文字の英字を付して表記される。
図2から
図6において、現在の運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1には、丸印が付されている。
【0033】
図2は、2つのエレベーター1に対して1つの乗場操作盤8が設けられた場合を示している。乗場操作盤8は、乗場において、双方のエレベーター1の乗場ドア7に隣り合う位置にある。この場合、記憶部18は、エレベーター1aに乗場操作盤8を関連付けて記憶している。つまり、エレベーター1aが乗場運転モードの状態において、乗場操作盤8aに対する特殊操作は有効である。なお、記憶部18は、エレベーター1bにも乗場操作盤8を関連付けて記憶している。つまり、エレベーター1bが乗場運転モードの状態であっても、乗場操作盤8に対する特殊操作は有効である。
【0034】
図3は、3つのエレベーター1に対して2つの乗場操作盤8が設けられた場合を示している。各乗場操作盤8は、乗場において、3つのエレベーター1の乗場ドア7のうち2つに隣り合う位置にある。この場合、記憶部18は、例えば、エレベーター1cに乗場操作盤8bを関連付けず乗場操作盤8aを関連付けて記憶している。つまり、エレベーター1cが乗場運転モードの状態において、乗場操作盤8bに対する特殊操作は無効であり、乗場操作盤8aに対する特殊操作は有効である。なお、エレベーター1dは、乗場操作盤8a及び8bの少なくとも一方と関連付けられている。
【0035】
図4は、4つのエレベーター1に対して2つの乗場操作盤8が設けられた場合を示している。エレベーター1f及び1gは、乗場の通路部分から見て一側に位置する。エレベーター1h及び1iは、乗場の通路部分から見て他側に位置する。乗場操作盤8cは、エレベーター1f及び1gの乗場ドア7に隣り合う位置にある。乗場操作盤8dは、エレベーター1h及び1iの乗場ドア7に隣り合う位置にある。この場合、記憶部18は、例えば、エレベーター1gに乗場操作盤8dを関連付けず乗場操作盤8cを関連付けて記憶している。つまり、エレベーター1gが乗場運転モードの状態において、乗場操作盤8dに対する特殊操作は無効であり、乗場操作盤8cに対する特殊操作は有効である。
【0036】
図5は、5つのエレベーター1に対して4つの乗場操作盤8が設けられた場合を示している。各乗場操作盤8は、乗場において、5つのエレベーター1の乗場ドア7のうち2つに隣り合う位置にある。この場合、記憶部18は、例えば、エレベーター1lに乗場操作盤8e及び8hを関連付けず乗場操作盤8f及び8gの少なくとも一方を関連付けて記憶している。つまり、エレベーター1lが乗場運転モードの状態において、乗場操作盤8e及び8hに対する特殊操作は無効であり、乗場操作盤8f及び8gの少なくとも一方に対する特殊操作は有効である。
【0037】
図6は、8つのエレベーター1に対して6つの乗場操作盤8が設けられた場合を示している。エレベーター1o,1p,1q及び1rは、乗場の通路部分から見て一側に位置する。エレベーター1s,1t,1u及び1vは、乗場の通路部分から見て他側に位置する。乗場の通路部分から見た一側において、各乗場操作盤8は、4つのエレベーター1の乗場ドア7のうち2つに隣り合う位置にある。乗場の通路部分から見た他側において、各乗場操作盤8は、4つのエレベーター1の乗場ドア7のうち2つに隣り合う位置にある。この場合、記憶部18は、例えば、エレベーター1rに乗場操作盤8kのみを関連付けて記憶している。つまり、エレベーター1rが乗場運転モードの状態において、乗場操作盤8kに対する特殊操作は有効であり、乗場操作盤8k以外に対する特殊操作は無効である。
【0038】
また、
図6に示す場合、記憶部18は、例えば、乗場操作盤8i,8j及び8kのうち2つ以上をエレベーター1rに関連付けて記憶していてもよい。つまり、例えば、乗場の通路部分から見てエレベーター1と同じ側に位置する複数の乗場操作盤8を当該エレベーター1に関連付けてもよい。
【0039】
図7は、実施の形態1における群管理装置の動作例を示すフローチャートである。
【0040】
保守作業員は、保守点検の対象とするエレベーター1の運転モードを乗場運転モードに切り替える(ステップS101)。ステップS101の際に、当該エレベーター1の制御装置4は、例えば、ブザー6を鳴動させる。群管理装置11は、乗場呼びボタンが押されたか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102で乗場呼びボタンが押されていないと判定された場合、群管理装置11は、再びステップS102の処理を行う。
【0041】
ステップS102で乗場呼びボタンが押されたと判定された場合、群管理装置11は、既に乗場呼びが発生中であるか否かを判定する(ステップS103)。ステップS103で既に乗場呼びが発生中であると判定された場合、群管理装置11は、乗場呼びボタンの押下時間が5秒以上であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0042】
ステップS104で押下時間が5秒以上であると判定された場合、群管理装置11は、乗場運転モードのエレベーター1のかご3の移動を開始させる(ステップS105)。ステップS105に続いて、群管理装置11は、かご3が予め設定された位置に到達したか否かを判定する(ステップS106)。ステップS106でかご3が予め設定された位置に到達していないと判定された場合、群管理装置11は、再びステップS106の処理を行う。ステップS106でかご3が予め設定された位置に到達したと判定された場合、群管理装置11は、かご3を停止させるとともにエレベーター1の乗場運転モードを解除する(ステップS107)。
【0043】
ステップS103で既に乗場呼びが発生中でないと判定された場合、群管理装置11は、ステップS108の処理を行う。ステップS104で押下時間が5秒よりも短いと判定された場合、群管理装置11は、ステップS108の処理を行う。ステップS108において、群管理装置11は、通常運転モードのエレベーター1を乗場呼びに応答させる。
【0044】
実施の形態1において、乗場操作検出部12は、乗場の乗場呼びボタンに対する操作として予め設定された通常操作及び特殊操作を検出する。かご割当部14は、乗場操作検出部12により検出された通常操作に基づく乗場呼びに対して複数のエレベーター1のうち運転モードが通常運転モードであるエレベーター1のかご3を割り当てる。かご割当部14は、乗場呼びに対して運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3を割り当てない。乗場運転制御部16は、乗場操作検出部12により検出された特殊操作に基づいて複数のエレベーター1のうち運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3を移動させる。このため、実施の形態1によれば、同一の乗場呼びボタンに対する操作に基づいて動作し得るエレベーターが複数存在する場合であっても、保守点検の際に乗場呼びボタンを操作することでかごの位置を設定することができる。その結果、例えば、エレベーターのピット内又はかご上で行われる作業を迅速に開始することができる。
【0045】
実施の形態1において、乗場運転制御部16は、かご割当部14によるかご3の割り当てが行われ且つ通常運転制御部15による当該割り当てられたかご3の移動が完了していない状態で乗場操作検出部12により特殊操作が検出されている間は運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3の移動を継続させる。このため、実施の形態1によれば、通常操作が行われても新たな乗場呼びが発生しない期間を利用して、かごの位置を設定することができる。その結果、利用者が通常運転モードのエレベーターを使用することを妨げずに、乗場運転モードのエレベーターの保守点検を行うことができる。
【0046】
実施の形態1において、乗場運転制御部16は、乗場操作検出部12により特殊操作が検出されなくなった場合は乗場運転モードのエレベーターのかご3の移動を停止させる。このため、実施の形態1によれば、乗場呼びボタンに対する直感的な操作でかごの位置を設定することができる。
【0047】
実施の形態1において、乗場運転制御部16は、運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3が予め設定された位置に到達した場合に当該かご3の移動を停止させる。運転モード設定部17は、当該かご3が予め設定された位置に到達した場合に当該エレベーター1の乗場運転モードを解除する。つまり、かご3の位置が設定された後は、乗場呼びボタンの操作が行われても当該かご3は移動しない。このため、実施の形態1によれば、保守作業者がピット内又はかご上に居る状態でかごが移動することを防止できる。その結果、エレベーターの保守点検における安全性を向上させることができる。
【0048】
実施の形態1において、記憶部18は、例えば、エレベーター1を示す情報に対し当該エレベーター1の乗場ドア7と隣り合わない位置に設けられた乗場呼びボタンを示す情報を関連付けて記憶していない。乗場操作検出部12は、複数のエレベーター1のうち運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1と関連付けて記憶部18に記憶されている乗場呼びボタンに対する特殊操作を検出する。乗場操作検出部12は、運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1と関連付けて記憶部18に記憶されていない乗場呼びボタンに対する特殊操作を検出しない。このため、実施の形態1によれば、特殊操作が有効な乗場呼びボタンをエレベーターごとに限定することができる。その結果、例えば、保守作業者でない者が行った特殊操作によって乗場運転モードのエレベーターのかごが移動することを防止できる。
【0049】
実施の形態2.
以下、実施の形態1との相違点を中心に、エレベーター群管理システムの構成を説明する。実施の形態1と同一又は相当する部分には同一の符号を付して、一部の説明を省略する。
【0050】
実施の形態2において、乗場操作検出部12は、例えば、乗場呼びボタンが5秒よりも短い間押された場合は、実施の形態1と同様に通常操作を検出する。実施の形態2において、乗場操作検出部12は、例えば、乗場呼びボタンが5秒以上の間押された場合は、乗場呼びが発生していない状態であっても特殊操作を検出する。つまり、実施の形態2における乗場操作検出部12は、乗場呼びが発生しているか否かに関係なく、乗場呼びボタンが受け付けた特殊操作を検出する。
【0051】
実施の形態2において、乗場運転制御部16は、例えば、乗場呼びボタンが5秒以上押し続けられると、乗場運転モードのエレベーター1のかご3の移動を開始させる。つまり、実施の形態2における乗場運転制御部16は、乗場呼びに対する通常運転モードのエレベーター1の応答が終了したか否かに関係なく、乗場運転モードのエレベーター1のかご3を移動させる。
【0052】
図8は、実施の形態2における群管理装置の動作例を示すフローチャートである。
【0053】
図8におけるステップS201からステップS202の処理は、
図7におけるステップS101からステップS102の処理と同様である。
【0054】
ステップS202で乗場呼びボタンが押されたと判定された場合、群管理装置11は、乗場呼びボタンの押下時間が5秒以上であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0055】
図8におけるステップS204からステップS207の処理は、
図7におけるステップS105からステップS108の処理と同様である。
【0056】
実施の形態2において、乗場運転制御部16は、実施の形態1と同様に、乗場操作検出部12により検出された特殊操作に基づいて複数のエレベーター1のうち運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3を移動させる。このため、実施の形態1と同様に、同一の乗場呼びボタンに対する操作に基づいて動作し得るエレベーターが複数存在する場合であっても、保守点検の際に乗場呼びボタンを操作することでかごの位置を設定することができる。
【0057】
実施の形態2において、乗場運転制御部16は、実施の形態1と同様に、乗場操作検出部12により特殊操作が検出されなくなった場合は乗場運転モードのエレベーターのかご3の移動を停止させる。このため、実施の形態1と同様に、乗場呼びボタンに対する直観的な操作でかごの位置を設定することができる。
【0058】
実施の形態2において、乗場運転制御部16は、実施の形態1と同様に、運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3が予め設定された位置に到達した場合に当該かご3の移動を停止させる。群管理装置11は、実施の形態1と同様に、運転モード設定部17を備える。このため、実施の形態1と同様に、保守作業者がピット内又はかご上に居る状態でかごが移動することを防止できる。
【0059】
実施の形態2において、群管理装置11は、実施の形態1と同様に、記憶部18を備える。このため、実施の形態1と同様に、特殊操作が有効な乗場呼びボタンをエレベーターごとに限定することができる。
【0060】
実施の形態2において、乗場運転制御部16は、乗場操作検出部12により特殊操作が検出されている間は運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3の移動を継続させる。このため、実施の形態2によれば、運転モードが通常運転モードであるエレベーター1の動作に関係なく、かごの位置を設定することができる。その結果、利用者が通常運転モードのエレベーターを使用することを妨げずに、乗場運転モードのエレベーターの保守点検を行うことができる。
【0061】
実施の形態3.
以下、実施の形態1及び2との相違点を中心に、エレベーター群管理システムの構成を説明する。実施の形態1及び2と同一又は相当する部分には同一の符号を付して、一部の説明を省略する。
【0062】
実施の形態3において、乗場操作検出部12は、実施の形態2と同様に、乗場呼びが発生しているか否かに関係なく、乗場呼びボタンが受け付けた特殊操作を検出する。
【0063】
実施の形態3において、乗場運転制御部16は、例えば、乗場呼びボタンが5秒以上押し続けられると、乗場運転モードのエレベーター1のかご3の移動を開始させる。つまり、乗場運転制御部16は、乗場呼びに対する通常運転モードのエレベーター1の応答が終了したか否かに関係なく乗場運転モードのエレベーター1のかご3を移動させる点では、実施の形態2と同様である。ただし、乗場運転制御部16は、乗場呼びボタンが押されなくなったとしても、例えば、ピット進入位置又はかご上搭乗位置まで当該かご3を移動させる。つまり、実施の形態3における乗場運転制御部16は、特殊操作が一旦行われると、特殊操作が継続されなくとも自動でかご3の移動が継続される。なお、実施の形態3では、通常操作及び特殊操作とは別に、かご3の移動を停止させるための乗場呼びボタンに対する操作が設定されてもよい。
【0064】
図9は、実施の形態3における群管理装置の動作例を示すフローチャートである。
【0065】
図9におけるステップS301からステップS303の処理は、
図8におけるステップS201からステップS203の処理と同様である。
【0066】
ステップS303で押下時間が5秒以上であると判定された場合、群管理装置11は、乗場運転モードのエレベーター1のかご3を予め設定された位置まで移動させる(ステップS304)。
【0067】
図9におけるステップS305からステップS306の処理は、
図8におけるステップS206からステップS207の処理と同様である。
【0068】
実施の形態3において、乗場運転制御部16は、実施の形態1及び2と同様に、乗場操作検出部12により検出された特殊操作に基づいて複数のエレベーター1のうち運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3を移動させる。このため、実施の形態1及び2と同様に、同一の乗場呼びボタンに対する操作に基づいて動作し得るエレベーターが複数存在する場合であっても、保守点検の際に乗場呼びボタンを操作することでかごの位置を設定することができる。
【0069】
実施の形態2において、乗場運転制御部16は、実施の形態1及び2と同様に、運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3が予め設定された位置に到達した場合に当該かご3の移動を停止させる。群管理装置11は、実施の形態1及び2と同様に、運転モード設定部17を備える。このため、実施の形態1及び2と同様に、保守作業者がピット内又はかご上に居る状態でかごが移動することを防止できる。
【0070】
実施の形態2において、群管理装置11は、実施の形態1及び2と同様に、記憶部18を備える。このため、実施の形態1及び2と同様に、特殊操作が有効な乗場呼びボタンをエレベーターごとに限定することができる。
【0071】
実施の形態3において、乗場運転制御部16は、乗場操作検出部12により特殊操作が検出された場合に、運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1のかご3を予め設定された位置まで移動させる。このため、実施の形態3によれば、運転モードが通常運転モードであるエレベーター1の動作に関係なく、且つ容易にかごの位置を適切に設定することができる。その結果、利用者が通常運転モードのエレベーターを使用することを妨げずに、且つ容易に乗場運転モードのエレベーターの保守点検を行うことができる。
【0072】
実施の形態1,2及び3において、群管理装置11は、表示制御部を有していてもよい。表示制御部は、現在の運転モードが乗場運転モードであるエレベーター1を示す情報を乗場に設けられた図示しない表示部に表示させる。表示部は、エレベーター1ごとに設けられてもよい。表示部は、複数のエレベーター1に対して1つ設けられてもよい。群管理装置11が表示制御部を有する場合、例えば、保守点検を行うエレベーター1を保守作業者が間違うことを防止できる。また、この場合、例えば、保守点検が行われているエレベーター1に利用者が近づくことを防止できる。
【0073】
図10は、群管理装置のハードウェア構成図である。
【0074】
群管理装置11における乗場操作検出部12、運転モード検出部13、かご割当部14、通常運転制御部15、乗場運転制御部16、運転モード設定部17及び記憶部18の各機能は、処理回路により実現される。処理回路は、専用ハードウェア50であってもよい。処理回路は、プロセッサ51及びメモリ52を備えていてもよい。処理回路は、一部が専用ハードウェア50として形成され、更にプロセッサ51及びメモリ52を備えていてもよい。
図10は、処理回路が、その一部が専用ハードウェア50として形成され、プロセッサ51及びメモリ52を備えている場合の例を示している。
【0075】
処理回路の少なくとも一部が、少なくとも1つの専用ハードウェア50である場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
【0076】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ51及び少なくとも1つのメモリ52を備える場合、乗場操作検出部12、運転モード検出部13、かご割当部14、通常運転制御部15、乗場運転制御部16、運転モード設定部17及び記憶部18の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ52に格納される。プロセッサ51は、メモリ52に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ51は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ52は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等が該当する。
【0077】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、群管理装置の各機能を実現することができる。なお、制御装置4の各機能も、
図10に示す処理回路と同様の処理回路により実現される。