特許第6460291号(P6460291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6460291
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】エレベーターのデータ取得システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20190121BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   B66B3/00 R
   B66B5/00 G
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-542798(P2018-542798)
(86)(22)【出願日】2018年4月3日
(86)【国際出願番号】JP2018014315
【審査請求日】2018年8月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】引地 剛樹
(72)【発明者】
【氏名】村上 博行
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 智史
(72)【発明者】
【氏名】中谷 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】上西 一輝
(72)【発明者】
【氏名】安方 慎吾
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−040585(JP,A)
【文献】 特開平10−302180(JP,A)
【文献】 特開2004−250116(JP,A)
【文献】 特開平06−107388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00− 5/28
G08B 23/00−31/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの運転データを各々が更新しながら記憶し、互いに同一の報告期間の切替時刻における前記運転データを前記切替時刻の後に再現するための再現用データを各々が記憶する複数の記憶装置と、
前記複数の記憶装置の各々から前記切替時刻の後の互いに異なる時刻に前記再現用データを取得し、前記切替時刻における運転データを再現するデータ取得装置と、
を備え
前記複数の記憶装置の各々は、前記切替時刻における運転データと現在時刻における運転データとの差分を再現用データとして更新しながら記憶する
エレベーターのデータ取得システム。
【請求項2】
エレベーターの運転データを各々が更新しながら記憶し、互いに同一の報告期間の切替時刻における前記運転データを前記切替時刻の後に再現するための再現用データを各々が記憶する複数の記憶装置と、
前記複数の記憶装置の各々から前記切替時刻の後の互いに異なる時刻に前記再現用データを取得し、前記切替時刻における運転データを再現するデータ取得装置と、
を備え、
前記複数の記憶装置の各々は、更新によって要素の値が変化する計測データおよび更新によって要素が追加される履歴データを運転データとして記憶し、前記切替時刻における計測データを前記再現用データの一部として記憶し、前記切替時刻における履歴データと現在時刻における履歴データとの差分を再現用データの他の一部として更新しながら記憶す
エレベーターのデータ取得システム。
【請求項3】
エレベーターの運転データを各々が更新しながら記憶し、互いに同一の報告期間の切替時刻における前記運転データを前記切替時刻の後に再現するための再現用データを各々が記憶する複数の記憶装置と、
前記複数の記憶装置の各々から前記切替時刻の後の互いに異なる時刻に前記再現用データを取得し、前記切替時刻における運転データを再現するデータ取得装置と、
を備え、
前記複数の記憶装置の各々は、更新によって要素の値が変化する計測データおよび更新によって時刻と関連付けられた要素が追加される履歴データを運転データとして記憶し、前記切替時刻における計測データと現在時刻における計測データとの差分を再現用データとして更新しながら記憶す
エレベーターのデータ取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターのデータ取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にデータ取得システムの例が記載されている。データ取得システムは、複数の記憶装置とデータ取得装置とを備える。複数の記憶装置の各々は、運転の状態を表すデータをエレベーターから読み出して運転データとして記憶する。データ取得装置は、複数の記憶装置の各々が記憶している運転データを得るための通信を、互いに異なる時刻に分散する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開平10−302180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のデータ取得システムにおいて、データ取得装置が取得する運転データは、取得された時刻における運転データである。すなわち、データ取得装置は、複数のエレベーターの各々から互いに異なる時刻の運転データを取得する。一方、運転データを得る対象となる報告期間が指定されている場合に、報告期間の切替時刻における運転データが必要になる。このため、データ取得装置は、同じ報告期間の運転データを得るための通信を、複数の記憶装置の各々について互いに異なる時刻に分散できない。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされた。本発明の目的は、同じ報告期間の運転データを得るための通信を、複数の記憶装置の各々について互いに異なる時刻に分散できるデータ取得システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエレベーターのデータ取得システムは、エレベーターの運転データを各々が更新しながら記憶し、互いに同一の報告期間の切替時刻における運転データを切替時刻の後に再現するための再現用データを各々が記憶する複数の記憶装置と、複数の記憶装置の各々から切替時刻の後の互いに異なる時刻に再現用データを取得し、切替時刻における運転データを再現するデータ取得装置と、を備え、複数の記憶装置の各々は、切替時刻における運転データと現在時刻における運転データとの差分を再現用データとして更新しながら記憶する。
本発明に係るエレベーターのデータ取得システムは、エレベーターの運転データを各々が更新しながら記憶し、互いに同一の報告期間の切替時刻における運転データを切替時刻の後に再現するための再現用データを各々が記憶する複数の記憶装置と、複数の記憶装置の各々から切替時刻の後の互いに異なる時刻に再現用データを取得し、切替時刻における運転データを再現するデータ取得装置と、を備え、複数の記憶装置の各々は、更新によって要素の値が変化する計測データおよび更新によって要素が追加される履歴データを運転データとして記憶し、切替時刻における計測データを再現用データの一部として記憶し、切替時刻における履歴データと現在時刻における履歴データとの差分を再現用データの他の一部として更新しながら記憶する。
本発明に係るエレベーターのデータ取得システムは、エレベーターの運転データを各々が更新しながら記憶し、互いに同一の報告期間の切替時刻における運転データを切替時刻の後に再現するための再現用データを各々が記憶する複数の記憶装置と、複数の記憶装置の各々から切替時刻の後の互いに異なる時刻に再現用データを取得し、切替時刻における運転データを再現するデータ取得装置と、を備え、複数の記憶装置の各々は、更新によって要素の値が変化する計測データおよび更新によって時刻と関連付けられた要素が追加される履歴データを運転データとして記憶し、切替時刻における計測データと現在時刻における計測データとの差分を再現用データとして更新しながら記憶する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の記憶装置の各々は、再現用データを記憶する。再現用データは、報告期間の切替時刻における運転データを切替時刻の後に再現するためのデータである。データ取得装置は、複数の記憶装置の各々から切替時刻の後の互いに異なる時刻に再現用データを取得する。これにより、データ取得システムは、同じ報告期間の運転データを得るための通信を、複数のエレベーターの各々について互いに異なる時刻に分散できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るデータ取得システムの構成図である。
図2】実施の形態1に係るデータ取得テーブルの例を示す図である。
図3】実施の形態1に係るデータ取得システムにおけるデータの例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る遠隔監視装置の動作の例を示すフローチャートである。
図5】実施の形態1に係るデータ取得装置の動作の例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態1に係るデータ取得システムの主要部のハードウェア構成を示す図である。
図7】実施の形態2に係るデータ取得システムにおけるデータの例を示す図である。
図8】実施の形態3に係るデータ取得システムにおけるデータの例を示す図である。
図9】実施の形態3に係る遠隔監視装置の動作の例を示すフローチャートである。
図10】実施の形態4に係るデータ取得システムにおけるデータの例を示す図である。
図11】実施の形態5に係るデータ取得システムにおけるデータの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るデータ取得システムの構成図である。
【0011】
データ取得システム1は、複数のエレベーター2の各々について適用される。
【0012】
複数のエレベーター2の各々は、複数の建築物3の各々に設けられる。
【0013】
複数の建築物3の各々は、複数の階を有する。複数の建築物3の各々において、昇降路4は、複数の階の各々を貫く。複数の建築物3の各々は、複数の乗場5を有する。複数の乗場5の各々は、複数の階の各々に設けられる。複数の乗場5の各々は、昇降路4に対向する。複数の乗場5の各々は、乗場扉6を備える。
【0014】
複数のエレベーター2の各々は、かご7と、釣合オモリ8と、巻上機9と、主ロープ10と、制御盤11と、を備える。
【0015】
かご7は、昇降路4の内部において昇降しうるように設けられる。かご7は、かご扉12を備える。かご扉12は、かご7が複数の階のいずれかに停止している場合に、乗場扉6を連動させて開閉しうるように構成される。
【0016】
釣合オモリ8は、昇降路4の内部において昇降しうるように設けられる。
【0017】
巻上機9は、昇降路4の内部の上部に設けられる。
【0018】
主ロープ10は、巻上機9に巻き掛けられる。主ロープ10は、両端部がかご7および釣合オモリ8にそれぞれ保持される。
【0019】
制御盤11は、昇降路4の内部の上部に設けられる。制御盤11は、かご7の動作を制御しうるように、かご7と接続される。かご7の動作は、かご扉12の開閉を含む。制御盤11は、巻上機9の動作を制御しうるように、巻上機9と接続される。巻上機9の動作は、起動および停止を含む。制御盤11は、かご7および巻上機9から状態データを受信しうるように構成される。状態データは、エレベーター2の運転の状態を表すデータである。
【0020】
データ取得システム1は、複数の遠隔監視装置13と、データ取得装置14と、を備える。
【0021】
複数の遠隔監視装置13の各々は、記憶装置の例である。複数の遠隔監視装置13の各々は、複数のエレベーター2の各々に対応する。複数の遠隔監視装置13の各々は、対応するエレベーター2が設けられる建築物3の例えば管理室に設けられる。複数の遠隔監視装置13の各々は、第1記憶部131と、生成部132と、第2記憶部133と、送信部134と、を備える。
【0022】
第1記憶部131は、状態データを受信しうるように制御盤11に接続される。第1記憶部131は、受信する状態データによって運転データを更新しながら記憶しうるように構成される。運転データは、エレベーター2の運転の状態を表すデータである。ここで、運転の状態は、例えば、運転の履歴および異常または変調の情報などを含む。変調は、異常に至る前の変化である。
【0023】
生成部132は、運転データを取得しうるように、第1記憶部131に接続される。生成部132は、報告期間の切替時刻に、運転データから再現用データを生成しうるように構成される。報告期間は、エレベーター2の管理者などに対してエレベーター2の運転の履歴および異常または変調などを報告する対象となる期間である。切替時刻は、報告期間の開始時刻または終了時刻である。報告期間は、生成部132に記憶される。再現用データは、報告期間の切替時刻における運転データを再現するためのデータである。生成部132は、再現用データを更新しうるように第2記憶部133に接続される。
【0024】
第2記憶部133は、再現用データを記憶しうるように構成される。
【0025】
送信部134は、再現用データを取得しうるように、第2記憶部133に接続される。送信部134は、再現用データを送信しうるように、通信回線15を通じてデータ取得装置14に接続される。通信回線15は、例えば電話回線である。
【0026】
データ取得装置14は、データ取得部141と、運転データ記憶部142と、報告データ生成部143と、を備える。
【0027】
データ取得部141は、データ取得テーブルに基づいて再現用データを受信しうるように、通信回線15を通じて複数の遠隔監視装置13の各々に接続される。データ取得テーブルは、複数のエレベーター2の各々について報告期間およびデータ取得時刻を対応させるテーブルである。データ取得時刻は、複数のエレベーター2の各々が対応する遠隔監視装置13の各々とデータ取得部141とがデータの通信を行う時刻である。データ取得時刻は、複数のエレベーター2の各々について、互いに異なる時刻が設定される。データ取得部141は、取得したデータに基づいて、報告期間の切替時刻における運転データを再現しうるように構成される。データ取得部141は、再現された運転データを送信しうるように、運転データ記憶部142に接続される。
【0028】
運転データ記憶部142は、運転データを記憶しうるように構成される。
【0029】
報告データ生成部143は、運転データを取得しうるように運転データ記憶部142に接続される。報告データ生成部143は、取得した運転データに基づいて報告データを生成しうるように構成される。報告データは、報告期間のエレベーター2の運転の履歴および異常または変調などを含む。
【0030】
エレベーター2の運転において、制御盤11は、巻上機9を起動させる。主ロープ10は、巻上機9に駆動されて移動する。かご7と釣合オモリ8とは、図示しないガイドレールに沿って主ロープ10の移動に追従して昇降する。かご7は、乗場5が設けられる階に停止する。乗場扉6は、かご扉12に連動して開く。エレベーター2の利用者は、乗場5からかご7に乗車または降車する。
【0031】
制御盤11は、運転データを更新しながら記憶する。報告期間の切替時刻に、制御盤11は、再現用データを生成する。データ取得装置14は、データ取得テーブルに基づいて、複数のエレベーター2の各々から互いに異なる時刻に再現用データを取得する。データ取得装置14は、再現用データから運転データを再現する。データ取得装置14は、再現された運転データから報告データを生成する。
【0032】
続いて、図2を用いてデータ取得テーブルの例を説明する。
図2は、実施の形態1に係るデータ取得テーブルの例を示す図である。
【0033】
データ取得テーブルは、データ取得部141に記憶される。
【0034】
データ取得テーブルは、複数のエレベーター2の各々について、例えば、報告期間、報告データ生成時刻およびデータ取得時刻を対応させる。報告データ生成時刻は、データ取得装置14が再現された運転データから報告データを生成する時刻である。報告期間の終了時刻は、次の報告期間の開始時刻である。ここで、ある日の24時00分は、翌日の0時00分と同時刻である。データ取得テーブルが複数のエレベーター2の各々に対応づける報告期間は、各々のエレベーター2に対応する遠隔監視装置13の生成部132と同じである。
【0035】
この例において、エレベーターE1の報告期間は、毎月の1日の0時00分から末日の24時00分になるまでである。エレベーターE1の報告期間の終了時刻は、毎月の末日の24時00分である。エレベーターE1の報告データ生成時刻は、翌月の15日の12時00分である。エレベーターE1のデータ取得時刻は、翌月の5日の0時30分である。
【0036】
エレベーターE2の報告期間は、毎月の1日の0時00分から末日の24時00分になるまでである。エレベーターE2の報告データ生成時刻は、翌月の20日の12時00分である。エレベーターE2のデータ取得時刻は、翌月の10日の3時00分である。
【0037】
エレベーターE3の報告期間は、毎月の1日の0時00分から末日の24時00分になるまでである。エレベーターE3の報告データ生成時刻は、翌月の20日の12時00分である。エレベーターE3のデータ取得時刻は、翌月の15日の4時45分である。
【0038】
エレベーターE1、エレベーターE2およびエレベーターE3の報告期間は、互いに同一である。エレベーターE1、エレベーターE2およびエレベーターE3のデータ取得時刻は、互いに異なる。
【0039】
続いて、図3を用いてデータ取得システム1の機能を説明する。
図3は、実施の形態1に係るデータ取得システムにおけるデータの例を示す図である。
図3において、3月の報告データを図2のエレベーターE2について生成する場合が例として説明される。
【0040】
運転データD1は、履歴データDaと計測データDbとを含む。履歴データDaは、更新によって時刻と関連付けられた要素が追加されるデータである。履歴データDaの要素は、例えば、異常または変調の事象が発生した時刻と関連付けられる当該時刻を表すコードである。図3において、要素に関連付けられる時刻のうち、日付のみが表示される。計測データDbは、更新によって要素の値が変化するデータである。計測データDbの要素は、例えば、巻上機9の起動回数、かご7の累積走行時間またはかご扉12の開閉回数である。図3において、計測データDbの要素の一部の例として、起動回数が表示される。
【0041】
異常または変調の事象を表す状態データを受信したときに、第1記憶部131は、当該事象が発生した時刻と関連付けて当該事象を表すコードを履歴データDaの要素として追加する。第1記憶部131は、記憶容量の範囲の内で、追加される要素を記憶し続ける。記憶容量が不足する場合に、第1記憶部131は、関連付けられる時刻の古い要素から削除する。第1記憶部131は、例えば少なくとも2月以上の間は要素が削除されないために充分な記憶容量を持つ。すなわち、第1記憶部131は、3月以前の情報を含む履歴データDaを記憶している。
【0042】
巻上機9の起動を表す状態データを受信したときに、第1記憶部131は、巻上機9の起動回数を表す計測データDbの要素の値に1を加算する。第1記憶部131は、例えば少なくとも2月以上の間累積された起動回数を、計測データDbの要素の1つの値として記憶する。すなわち、第1記憶部131は、3月以前の情報を含む計測データDbを記憶している。
【0043】
遠隔監視装置13の生成部132は、3月1日の0時00分に、第1記憶部131から運転データD1を取得する。3月1日の0時00分は、2月の報告期間の終了時刻および3月の報告期間の開始時刻である。生成部132は、取得した運転データD1をコピーすることによって再現用データD2を生成する。生成部132が生成した再現用データD2は、3月1日の0時00分における運転データD1と同一である。すなわち、再現用データD2は、履歴データDaと計測データDbとを含む。生成部132は、再現用データD2を第2記憶部133に送信する。
【0044】
第2記憶部133は、再現用データD2を記憶している。第2記憶部133は、生成部132から受信した再現用データD2で上書きすることによって記憶している再現用データD2を更新する。3月の報告期間の間、第2記憶部133は、3月1日の0時00分における運転データD1と同一の再現用データD2を記憶している。
【0045】
データ取得装置14のデータ取得部141は、3月10日の3時00分に、データ要求信号をエレベーターE2に対応する遠隔監視装置13に送信する。3月10日の3時00分は、データ取得テーブルによってエレベーターE2に対応づけられるデータ取得時刻である。
【0046】
データ要求信号を受信したときに、遠隔監視装置13の送信部134は、第2記憶部133から再現用データD2を取得する。送信部134は、再現用データD2をデータ取得部141に送信する。
【0047】
データ取得部141は、取得した再現用データD2をコピーすることによって3月1日の0時00分における運転データD1を再現する。データ取得部141は、再現した運転データD1を運転データ記憶部142に送信する。
【0048】
運転データ記憶部142は、受信した2月の報告期間の終了時刻における運転データD1を記憶する。
【0049】
4月においても同様にして、データ取得装置14は4月1日の0時00分における運転データD1を、4月10日の3時00分に取得する再現用データD2によって再現する。4月1日の0時00分は、3月の報告期間の終了時刻および4月の報告期間の開始時刻である。4月10日の3時00分は、データ取得テーブルによってエレベーターE2に対応づけられるデータ取得時刻である。
【0050】
エレベーターE2の報告データ生成時刻に、報告データ生成部143は、2月の報告期間の終了時刻における運転データD1および3月の報告期間の終了時刻における運転データD1を運転データ記憶部142から取得する。報告データ生成部143は、取得した運転データD1に基づいて報告データD3を生成する。
【0051】
報告データ生成部143は、2月の報告期間の終了時刻における履歴データDaに含まれず、かつ、3月の報告期間の終了時刻における履歴データDaに含まれる要素を抽出する。この例において、報告データ生成部143は、3月2日に発生した事象Bを表す要素および3月12日に発生した事象Cを表す要素を抽出する。報告データ生成部143は、抽出した要素を報告データD3の履歴データDaとする。
【0052】
報告データ生成部143は、2月の報告期間の終了時刻における計測データDbの要素の値と3月の報告期間の終了時刻における計測データDbの要素の値との差分を算出する。この例において、報告データ生成部143は、3月1日0時00分における起動回数30000回と4月1日0時00分における起動回数31000回との差分を1000回として算出する。報告データ生成部143は、算出した値を報告データD3の計測データDbの要素の値とする。
【0053】
続いて、図4を用いて遠隔監視装置13の動作を説明する。
図4は、実施の形態1に係る遠隔監視装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0054】
ステップS101において、第1記憶部131は、受信した状態データに基づいて、記憶している運転データを更新する。その後、遠隔監視装置13の動作は、ステップS102に進む。
【0055】
ステップS102において、生成部132は、現在時刻が報告期間の切替時刻であるかを判定する。判定結果がYesの場合、遠隔監視装置13の動作は、ステップS103に進む。判定結果がNoの場合、遠隔監視装置13の動作は、ステップS104に進む。
【0056】
ステップS103において、生成部132は、再現用データを生成する。その後、第2記憶部133は、生成部132から受信した再現用データに基づいて、記憶している再現用データを更新する。その後、遠隔監視装置13の動作は、ステップS104に進む。
【0057】
ステップS104において、送信部134は、データ要求信号を受信したかを判定する。判定結果がNoの場合、遠隔監視装置13の動作は、ステップS101に進む。判定結果がYesの場合、遠隔監視装置13の動作は、ステップS105に進む。
【0058】
ステップS105において、送信部134は、再現用データをデータ取得装置14に送信する。その後、遠隔監視装置13の動作は、ステップS101に進む。
【0059】
続いて、図5を用いてデータ取得装置14の動作を説明する。
図5は、実施の形態1に係るデータ取得装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0060】
ステップS201において、データ取得部141は、未選択リストから1つのエレベーター2を選択する。未選択リストは、まだ選択されていないエレベーター2のリストである。その後、データ取得部141は、選択されたエレベーター2を未選択リストから除く。その後、データ取得装置14の動作は、ステップS202に進む。
【0061】
ステップS202において、データ取得部141は、データ取得テーブルに基づいて、現在時刻が選択したエレベーター2のデータ取得時刻であるかを判定する。判定結果がYesの場合、データ取得装置14の動作は、ステップS203に進む。判定結果がNoの場合、データ取得装置14の動作は、ステップS205に進む。
【0062】
ステップS203において、データ取得部141は、選択したエレベーター2に対応する遠隔監視装置13にデータ要求信号を送信する。その後、データ取得部141は、遠隔監視装置13から再現用データを受信するまで待機する。その後、データ取得装置14の動作は、ステップS204に進む。
【0063】
ステップS204において、データ取得部141は、受信した再現用データに基づいて、選択したエレベーター2の報告期間の切替時刻における運転データを再現する。その後、運転データ記憶部142は、データ取得部141が再現した運転データを記憶する。その後、データ取得装置14の動作は、ステップS205に進む。
【0064】
ステップS205において、報告データ生成部143は、データ取得テーブルに基づいて、現在時刻が選択したエレベーター2の報告データ生成時刻であるかを判定する。判定結果がYesの場合、データ取得装置14の動作は、ステップS206に進む。判定結果がNoの場合、データ取得装置14の動作は、ステップS207に進む。
【0065】
ステップS206において、報告データ生成部143は、報告データを生成する。その後、データ取得装置14の動作は、ステップS207に進む。
【0066】
ステップS207において、データ取得部141は、例えば未選択リストが空であるかによって、全てのエレベーター2を選択したかを判定する。判定結果がNoの場合、データ取得装置14の動作は、ステップS201に進む。判定結果がYesの場合、データ取得装置14の動作は、ステップS208に進む。
【0067】
ステップS208において、報告データ生成部143は、例えばデータ取得テーブルに基づいて全てのエレベーター2を未選択リストに戻すことによって、未選択リストをリセットする。その後、データ取得装置14の動作は、ステップS201に進む。
【0068】
以上に説明したように、実施の形態1に係るデータ取得システム1は、複数の遠隔監視装置13と、データ取得装置14と、を備える。複数の遠隔監視装置13の各々は、対応するエレベーター2の運転データを更新しながら記憶する。複数の遠隔監視装置13の各々は、再現用データを記憶する。再現用データは、報告期間の切替時刻における運転データを当該切替時刻の後に再現するためのデータである。データ取得装置14は、複数の遠隔監視装置13の各々から当該切替時刻の後の互いに異なる時刻に再現用データを取得する。
【0069】
再現用データの生成は、複数の遠隔監視装置13の各々によって、データ取得装置14との通信を伴わずに同時刻に行われる。一方、再現用データの通信は、複数の遠隔監視装置13の各々について互いに異なる時刻に行われる。これにより、データ取得装置14は、同じ報告期間の運転データを得るための通信を、複数の遠隔監視装置13の各々について互いに異なる時刻に分散できる。データ取得システム1は、同時刻における運転データを得るために同時刻に通信する必要がない。このため、データ取得システム1は、同時刻に通信を行うために通信機器を増設することなく、同時刻における運転データを得ることができる。
【0070】
再現用データは、データ取得装置14との通信を伴わずに生成される。これにより、データ取得装置14は、指定された時刻における運転データを通信状況によらずに得ることができる。
【0071】
また、複数の遠隔監視装置13の各々は、切替時刻における運転データを再現用データとして記憶する。
【0072】
第2記憶部133は、切替時刻における運転データと同一の再現用データを記憶する。これにより、データ取得部141は、例えばコピーによって容易に運転データを再現できる。
【0073】
なお、制御盤11は、遠隔監視装置13の代わりにまたは遠隔監視装置13と協同して記憶装置として働いてもよい。記憶装置は、制御盤11および遠隔監視装置13と別体に設けられてもよい。
【0074】
複数のエレベーター2の一部または全部は、同一の建築物3に設けられてもよい。
【0075】
遠隔監視装置13およびデータ取得装置14が記憶する報告期間、データ取得時刻および報告データ生成時刻は、遠隔からの信号または保守員などの直接の操作によって変更されてもよい。
【0076】
複数のエレベーター2の一部の報告期間は、複数のエレベーター2の他の一部と異なってもよい。報告期間は、1月より長い期間または短い期間でもよい。
【0077】
報告データは、保守員などの操作によって生成されてもよい。報告データ生成時刻は、複数のエレベーター2の一部または全部について同一でもよい。
【0078】
続いて、図6を用いてデータ取得システム1のハードウェア構成の例について説明する。
図6は、実施の形態1に係るデータ取得システムの主要部のハードウェア構成を示す図である。
【0079】
データ取得システム1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ1bと少なくとも1つのメモリ1cとを備える。処理回路は、プロセッサ1bおよびメモリ1cと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用のハードウェア1aを備えてもよい。
【0080】
処理回路がプロセッサ1bとメモリ1cとを備える場合、データ取得システム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ1cに格納される。プロセッサ1bは、メモリ1cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、データ取得システム1の各機能を実現する。
【0081】
プロセッサ1bは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ1cは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等により構成される。
【0082】
処理回路が専用のハードウェア1aを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0083】
データ取得システム1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、データ取得システム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。データ取得システム1の各機能について、一部を専用のハードウェア1aで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア1a、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせでデータ取得システム1の各機能を実現する。
【0084】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0085】
図7は、実施の形態2に係るデータ取得システムにおけるデータの例を示す図である。
図7において、3月の報告データを図2のエレベーターE2について生成する場合が例として説明される。
【0086】
遠隔監視装置13の送信部134は、運転データを取得しうるように、第1記憶部131に接続される。送信部134は、再現用データを取得しうるように、第2記憶部133に接続される。送信部134は、運転データおよび再現用データを送信しうるように、通信回線15を通じてデータ取得装置14に接続される。
【0087】
データ取得装置14のデータ取得部141は、データ取得テーブルに基づいて運転データおよび再現用データを受信しうるように、通信回線15を通じて複数の遠隔監視装置13の各々に接続される。
【0088】
遠隔監視装置13の生成部132は、3月1日の0時00分に、第1記憶部131から運転データD1の計測データDbを取得する。3月1日の0時00分は、2月の報告期間の終了時刻および3月の報告期間の開始時刻である。生成部132は、取得した計測データDbをコピーすることによって再現用データD2を生成する。生成部132が生成した再現用データD2は、3月1日の0時00分における運転データD1の計測データDbと同一である。生成部132は、再現用データD2を第2記憶部133に送信する。
【0089】
第2記憶部133は、再現用データD2を記憶している。第2記憶部133は、生成部132から受信した再現用データD2で上書きすることによって記憶している再現用データD2を更新する。3月の報告期間の間、第2記憶部133は、3月1日の0時00分における運転データD1の計測データDbと同一の再現用データD2を記憶している。
【0090】
データ取得装置14のデータ取得部141は、3月10日の3時00分に、データ要求信号をエレベーターE2に対応する遠隔監視装置13に送信する。3月10日の3時00分は、データ取得テーブルによってエレベーターE2に対応づけられるデータ取得時刻である。
【0091】
データ要求信号を受信したときに、遠隔監視装置13の送信部134は、第2記憶部133から再現用データD2を取得する。送信部134は、運転データD1および再現用データD2をデータ取得部141に送信する。
【0092】
データ取得部141は、取得した運転データD1の履歴データDaから、3月1日の0時00分以前の時刻に関連付けられる要素を抽出する。データ取得部141は、抽出された要素によって履歴データDaを生成する。データ取得部141は、取得した再現用データD2をコピーすることによって計測データDbを生成する。データ取得部141は、生成した履歴データDaおよび計測データDbによって、3月1日の0時00分における運転データD1を再現する。データ取得部141は、再現した運転データD1を運転データ記憶部142に送信する。
【0093】
運転データ記憶部142は、受信した2月の報告期間の終了時刻における運転データD1を記憶する。
【0094】
以上に説明したように、実施の形態2に係る複数の遠隔監視装置13の各々は、計測データおよび履歴データを運転データとして記憶する。計測データは、更新によって要素の値が変化する。履歴データは、更新によって時刻と関連付けられた要素が追加される。複数の遠隔監視装置13の各々は、報告期間の切替時刻における計測データを再現用データとして記憶する。
【0095】
第2記憶部133は、切替時刻における運転データと同一の計測データを記憶する。これにより、データ取得部141は、例えばコピーによって容易に運転データの計測データを再現できる。履歴データの要素は、時刻と関連付けられる。このため、データ取得部141は、現在時刻の運転データから当該切替時刻における運転データを再現できる。したがって、再現用データは、計測データを再現するためのデータのみで構成できる。これにより、第2記憶部133に必要な記憶容量が少なくなる。
【0096】
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1または実施の形態2で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0097】
図8を用いてデータ取得システム1の機能を説明する。
図8は、実施の形態3に係るデータ取得システムにおけるデータの例を示す図である。
図8において、図2のエレベーターE2について3月の報告データを生成する場合を例として説明する。
【0098】
遠隔監視装置13の生成部132は、状態データを受信しうるように制御盤11に接続される。生成部132は、受信する状態データによって再現用データを更新しうるように第2記憶部133に接続される。
【0099】
生成部132は、3月1日の0時00分に、再現用データをリセットする。生成部132は、要素を空にすることによって再現用データの履歴データをリセットする。生成部132は、要素の値を例えば0にすることによって再現用データの計測データをリセットする。3月1日の0時00分は、2月の報告期間の終了時刻および3月の報告期間の開始時刻である。
【0100】
異常または変調の事象を表す状態データを受信したときに、生成部132は、当該事象が発生した時刻と関連付けて当該事象を表すコードを再現用データD2の履歴データDaの要素として追加する。巻上機9の起動を表す状態データを受信したときに、生成部132は、巻上機9の起動回数を表す再現用データD2の計測データDbの要素の値に1を加算する。生成部132は、履歴データDaおよび計測データDbによって再現用データD2を生成する。生成部132は、再現用データD2を第2記憶部133に送信する。
【0101】
第2記憶部133は、再現用データD2を記憶している。第2記憶部133は、生成部132から受信した再現用データD2で上書きすることによって記憶している再現用データD2を更新する。3月の報告期間の間、第2記憶部133は、3月1日の0時00分を基点として、運転データD1と同一の変化によって再現用データD2を更新しながら記憶する。すなわち、再現用データD2は、3月1日の0時00分における運転データと現在時刻における運転データとの差分を表す。
【0102】
データ取得装置14のデータ取得部141は、3月10日の3時00分に、データ要求信号をエレベーターE2に対応する遠隔監視装置13に送信する。3月10日の3時00分は、データ取得テーブルによってエレベーターE2に対応づけられるデータ取得時刻である。
【0103】
データ要求信号を受信したときに、遠隔監視装置13の送信部134は、第2記憶部133から再現用データD2を取得する。送信部134は、運転データD1および再現用データD2をデータ取得部141に送信する。
【0104】
データ取得部141は、再現用データD2が表す差分を運転データD1から引き戻すことによって3月1日の0時00分における運転データD1を再現する。データ取得部141は、運転データD1の履歴データDaに含まれ、かつ、再現用データD2の履歴データDaに含まれない要素を抽出することによって履歴データDaを引き戻す。この例において、データ取得部141は、2月25日に発生した事象Aを表す要素およびそれ以前の時刻に発生した事象を表す要素を抽出する。データ取得部141は、運転データD1の計測データDbの要素の値から再現用データD2の計測データDbの要素の値を引くことによって計測データDbを引き戻す。この例において、データ取得部141は、運転データD1における起動回数30300回から再現用データD2における起動回数300回を引いて計測データDbを30000回に引き戻す。データ取得部141は、再現した運転データD1を運転データ記憶部142に送信する。
【0105】
この例のデータ取得時刻において、運転データD1の履歴データDaは、3月2日に発生した事象Bを表す要素を持つ。再現用データD2の履歴データDaは、3月2日に発生した事象Bを表す要素およびそれより前の時刻に発生した事象を表す要素を持つ。このように、再現用データD2の履歴データDaの要素の数は、運転データD1の履歴データDaの要素の数より少ない。すなわち、差分データである再現用データD2は、記憶容量の確保が必要な要素数が運転データD1より少ない。
【0106】
この例のデータ取得時刻において、運転データD1の計測データDbの起動回数を表す要素の値は、30300回である。30300は、符号なし整数として15ビット以上の情報量である。再現用データD2の計測データDbの起動回数を表す要素の値は、300回である。300は、符号なし整数として9ビット以上の情報量である。このように、再現用データD2の計測データDbを表現するために必要なビット数は、運転データD1の計測データDbを表現するために必要なビット数より少ない。すなわち、差分データである再現用データD2は、記憶容量の確保が必要なビット数が運転データD1より少ない。
【0107】
運転データ記憶部142は、受信した2月の報告期間の終了時刻における運転データD1を記憶する。
【0108】
続いて、図9を用いて遠隔監視装置13の動作を説明する。
図9は、実施の形態3に係る遠隔監視装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0109】
ステップS301において、第1記憶部131は、受信した状態データに基づいて、記憶している運転データを更新する。その後、生成部132は、受信した状態データに基づいて、再現用データを生成する。その後、第2記憶部133は、生成部132から受信した再現用データに基づいて、記憶している再現用データを更新する。その後、遠隔監視装置13の動作は、ステップS302に進む。
【0110】
ステップS302において、生成部132は、現在時刻が報告期間の切替時刻であるかを判定する。判定結果がYesの場合、遠隔監視装置13の動作は、ステップS303に進む。判定結果がNoの場合、遠隔監視装置13の動作は、ステップS304に進む。
【0111】
ステップS303において、生成部132は、再現用データをリセットする。その後、遠隔監視装置13の動作は、ステップS304に進む。
【0112】
ステップS304において、送信部134は、データ要求信号を受信したかを判定する。判定結果がNoの場合、遠隔監視装置13の動作は、ステップS301に進む。判定結果がYesの場合、遠隔監視装置13の動作は、ステップS305に進む。
【0113】
ステップS305において、送信部134は、運転データおよび再現用データをデータ取得装置14に送信する。その後、遠隔監視装置13の動作は、ステップS301に進む。
【0114】
以上に説明したように、実施の形態3に係る複数の遠隔監視装置13の各々は、報告期間の切替時刻における運転データと現在時刻における運転データとの差分を再現用データとして更新しながら記憶する。
【0115】
第2記憶部133は、再現用データとして差分を表すデータを記憶する。これにより、第2記憶部133に必要な記憶容量が少なくなる。
【0116】
実施の形態4.
実施の形態4では、実施の形態1から実施の形態3で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態4で説明しない特徴については、実施の形態1から実施の形態4で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0117】
図10を用いてデータ取得システム1の機能を説明する。
図10は、実施の形態4に係るデータ取得システムにおけるデータの例を示す図である。
図10において、図2のエレベーターE2について3月の報告データを生成する場合を例として説明する。
【0118】
遠隔監視装置13の生成部132は、3月1日の0時00分に、再現用データD2の履歴データをリセットする。生成部132は、第1記憶部131から運転データD1の計測データDbを取得する。3月1日の0時00分は、2月の報告期間の終了時刻および3月の報告期間の開始時刻である。
【0119】
異常または変調の事象を表す状態データを受信したときに、生成部132は、当該事象が発生した時刻と関連付けて当該事象を表すコードを再現用データD2の履歴データDaの要素として追加する。生成部132は、取得した計測データDbをコピーすることによって再現用データD2の計測データDbを生成する。生成部132は、履歴データDaおよび計測データDbによって再現用データD2を生成する。生成部132は、再現用データD2を第2記憶部133に送信する。
【0120】
第2記憶部133は、再現用データD2を記憶している。第2記憶部133は、生成部132から受信した再現用データD2で上書きすることによって記憶している再現用データD2を更新する。3月の報告期間の間、第2記憶部133は、再現用データD2の一部として、3月1日の0時00分における運転データD1と同一の計測データDbを記憶している。3月の報告期間の間、第2記憶部133は、3月1日の0時00分を基点として、運転データD1の履歴データDaと同一の変化によって再現用データD2の履歴データDaを更新しながら記憶する。すなわち、再現用データD2の履歴データDaは、3月1日の0時00分における運転データの履歴データと現在時刻における運転データの履歴データとの差分を表す。
【0121】
データ取得装置14のデータ取得部141は、3月10日の3時00分に、データ要求信号をエレベーターE2に対応する遠隔監視装置13に送信する。3月10日の3時00分は、データ取得テーブルによってエレベーターE2に対応づけられるデータ取得時刻である。
【0122】
データ要求信号を受信したときに、遠隔監視装置13の送信部134は、第1記憶部131から運転データD1を取得する。送信部134は、第2記憶部133から再現用データD2を取得する。送信部134は、運転データD1および再現用データD2をデータ取得部141に送信する。
【0123】
データ取得部141は、運転データD1および再現用データD2によって3月1日の0時00分における運転データD1を再現する。データ取得部141は、再現した運転データD1を運転データ記憶部142に送信する。
【0124】
運転データ記憶部142は、受信した2月の報告期間の終了時刻における運転データD1を記憶する。
【0125】
以上に説明したように、実施の形態4に係る複数の遠隔監視装置13の各々は、計測データおよび履歴データを運転データとして記憶する。計測データは、更新によって要素の値が変化する。履歴データは、更新によって要素が追加される。複数の遠隔監視装置13の各々は、報告期間の切替時刻における計測データを再現用データの一部として記憶する。複数の遠隔監視装置13の各々は、当該切替時刻における履歴データと現在時刻における履歴データとの差分を再現用データの他の一部として更新しながら記憶する。
【0126】
第2記憶部133は、再現用データの一部として履歴データの差分を表すデータを記憶する。これにより、第2記憶部133に必要な記憶容量が少なくなる。第2記憶部133は、切替時刻における運転データと同一の計測データを記憶する。これにより、データ取得部141は、例えばコピーによって容易に運転データの計測データを再現できる。
【0127】
実施の形態5.
実施の形態5では、実施の形態1から実施の形態4で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態5で説明しない特徴については、実施の形態1から実施の形態5で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0128】
図11を用いてデータ取得システム1の機能を説明する。
図11は、実施の形態5に係るデータ取得システムにおけるデータの例を示す図である。
図11において、図2のエレベーターE2について3月の報告データを生成する場合が例として説明される。
【0129】
遠隔監視装置13の生成部132は、3月1日の0時00分に、再現用データD2をリセットする。3月1日の0時00分は、2月の報告期間の終了時刻および3月の報告期間の開始時刻である。
【0130】
巻上機9の起動を表す状態データを受信したときに、生成部132は、巻上機9の起動回数を表す再現用データD2の要素の値に1を加算することによって再現用データを生成する。生成部132は、再現用データD2を第2記憶部133に送信する。
【0131】
第2記憶部133は、再現用データD2を記憶している。第2記憶部133は、生成部132から受信した再現用データD2で上書きすることによって記憶している再現用データD2を更新する。3月の報告期間の間、第2記憶部133は、3月1日の0時00分を基点として、運転データD1の計測データDbと同一の変化によって再現用データD2を更新しながら記憶する。すなわち、再現用データD2は、3月1日の0時00分における運転データの計測データと現在時刻における運転データの計測データとの差分を表す。
【0132】
データ取得装置14のデータ取得部141は、3月10日の3時00分に、データ要求信号をエレベーターE2に対応する遠隔監視装置13に送信する。3月10日の3時00分は、データ取得テーブルによってエレベーターE2に対応づけられるデータ取得時刻である。
【0133】
データ要求信号を受信したときに、遠隔監視装置13の送信部134は、第1記憶部131から運転データD1を取得する。送信部134は、第2記憶部133から再現用データD2を取得する。送信部134は、運転データD1および再現用データD2をデータ取得部141に送信する。
【0134】
データ取得部141は、運転データD1および再現用データD2によって3月1日の0時00分における運転データD1を再現する。データ取得部141は、再現した運転データD1を運転データ記憶部142に送信する。
【0135】
運転データ記憶部142は、受信した2月の報告期間の終了時刻における運転データD1を記憶する。
【0136】
以上に説明したように、実施の形態5に係る複数の遠隔監視装置13の各々は、計測データおよび履歴データを運転データとして記憶する。計測データは、更新によって要素の値が変化する。履歴データは、更新によって時刻と関連付けられた要素が追加される。複数の遠隔監視装置13の各々は、報告期間の切替時刻における計測データと現在時刻における計測データとの差分を再現用データとして更新しながら記憶する。
【0137】
第2記憶部133は、再現用データとして計測データの差分を表すデータを記憶する。これにより、第2記憶部133に必要な記憶容量が少なくなる。履歴データの要素は、時刻と関連付けられる。このため、データ取得部141は、現在時刻の運転データから切替時刻における運転データを再現できる。したがって、再現用データは、計測データを再現するためのデータのみで構成できる。これにより、第2記憶部133に必要な記憶容量がより少なくなる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明に係るデータ取得システムは、運転データを通信する複数のエレベーターに適用できる。
【符号の説明】
【0139】
1 データ取得システム、 1a ハードウェア、 1b プロセッサ、 1c メモリ、 2 エレベーター、 3 建築物、 4 昇降路、 5 乗場、 6 乗場扉、 7 かご、 8 釣合オモリ、 9 巻上機、 10 主ロープ、 11 制御盤、 12 かご扉、 13 遠隔監視装置、 14 データ取得装置、 15 通信回線、 131 第1記憶部、 132 生成部、 133 第2記憶部、 134 送信部、 141 データ取得部、 142 運転データ記憶部、 143 報告データ生成部
【要約】
本発明は、同じ報告期間の運転データを得るための通信を、複数の記憶装置の各々について互いに異なる時刻に分散できるデータ取得システム(1)を提供することを目的とする。データ取得システム(1)は、複数の遠隔監視装置(13)と、データ取得装置(14)と、を備える。複数の遠隔監視装置(13)の各々は、対応するエレベーター(2)の運転データを更新しながら記憶する。複数の遠隔監視装置(13)の各々は、再現用データを記憶する。再現用データは、報告期間の切替時刻における運転データを当該切替時刻の後に再現するためのデータである。データ取得装置(14)は、複数の遠隔監視装置(13)の各々から当該切替時刻の後の互いに異なる時刻に再現用データを取得する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11