特許第6460329号(P6460329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6460329
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】リアクトル
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20190121BHJP
   H01F 27/26 20060101ALI20190121BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20190121BHJP
   H01F 27/06 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   H01F37/00 A
   H01F37/00 M
   H01F37/00 T
   H01F27/26 130Q
   H01F27/24 K
   H01F27/06
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-39355(P2015-39355)
(22)【出願日】2015年2月27日
(65)【公開番号】特開2016-162859(P2016-162859A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2017年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】西 康二
(72)【発明者】
【氏名】山本 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 和宏
【審査官】 久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/208317(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/112064(WO,A1)
【文献】 特開2004−241475(JP,A)
【文献】 特開2007−173699(JP,A)
【文献】 実公平02−015307(JP,Y2)
【文献】 国際公開第2007/108201(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3195212(JP,U)
【文献】 特開2008−182075(JP,A)
【文献】 実開昭53−072124(JP,U)
【文献】 実開昭57−022217(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/06、27/24−27/26、37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、前記コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアと、の組合体を備えるリアクトルであって、
前記コイルは、横並びされた一対の巻回部を備え、
前記磁性コアは、各巻回部の内側に配置される内側コア部と、前記コイルの外側に配置され、横並びされた一対の前記内側コア部の一端部同士、他端部同士をそれぞれ繋ぐ二つの外側コア部とを備え、
少なくとも一方の前記外側コア部は、
樹脂中に磁性体粉末を分散させた複合材料で構成され、
前記組合体を設置対象に固定するボルトが挿通され、前記巻回部の軸方向及び前記巻回部の横並び方向の双方に直交する方向に沿って設けられる複数のボルト孔を有し、
各ボルト孔の中心は、各内側コア部の内側面と前記外側コア部の内側面との接続部分近傍を中心として、前記外側コア部における前記コイルの軸方向に沿った方向の厚さを半径として形成される円の外方に位置し、
更に、前記ボルトによって前記外側コア部に締め付けられると共に、前記コイルを露出するように配置される平板部材を備え
前記平板部材は、前記各ボルト孔に対応した複数の貫通孔を有すると共に、前記複数のボルト孔を跨る大きさを有するリアクトル。
【請求項2】
前記ボルト及び前記平板部材はいずれも、非磁性材料からなる請求項1に記載のリアクトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車などの車両に搭載される車載用DC−DCコンバータや電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトルに関する。特に、設置対象に対して固定状態を維持可能であり、磁性コアに損傷が生じ難いリアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。特許文献1には、巻線を巻回してなるコイルと、そのコイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアと、を備え、その磁性コアのうちコイルの外側に配置される連結コア部(外側コア部)は、磁性材料と樹脂との混合物から構成されているリアクトルが開示されている。このリアクトルの外側コア部は、設置対象にリアクトルを固定するためのボルトが貫通される貫通孔を有する取付部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−129593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のリアクトルでは、外側コア部が樹脂を含む混合物で構成されているため、強度やクリープ特性などの面で劣る傾向にある。そのため、取付部(外側コア部)の貫通孔にボルトを貫通して締め付けた場合、そのボルトの締め付け時や、リアクトルの動作時における振動衝撃などの荷重印加時に、ボルトの締め付け部分に応力が集中することで、外側コア部に割れなどの損傷が生じる虞がある。特に、リアクトルの動作時、通電によりコイルと磁性コアが発熱して高温になると、クリープ変形が生じ易く、ボルトの締付力が低下し易いため、外側コア部に割れなどの損傷が生じると、リアクトルの固定状態が緩む虞がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、本発明の目的の一つは、設置対象に対して固定状態を維持可能であり、磁性コアに損傷が生じ難いリアクトルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るリアクトルは、コイルと、前記コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアと、の組合体を備えるリアクトルであって、前記磁性コアのうち、前記コイルの外側に配置される外側コア部は、樹脂中に磁性体粉末を分散させた複合材料で構成され、前記組合体を設置対象に固定するボルトが挿通されるボルト孔を有する。そして、前記ボルトによって前記外側コア部に締め付けられると共に、前記コイルを露出するように配置される平板部材を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記リアクトルは、設置対象に対して固定状態を維持可能であり、磁性コアに損傷が生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係るリアクトルの概略斜視図である。
図2】実施形態1に係るリアクトルの概略分解斜視図である。
図3】実施形態1に係るリアクトルが備える磁性コアの上面図である。
図4図1のリアクトルの(IV)−(IV)断面図である。
図5】実施形態2に係るリアクトルの概略斜視図である。
図6】実施形態3に係るリアクトルの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施態様を列記して説明する。
【0010】
(1)本発明の実施形態に係るリアクトルは、コイルと、前記コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアと、の組合体を備えるリアクトルであって、前記磁性コアのうち、前記コイルの外側に配置される外側コア部は、樹脂中に磁性体粉末を分散させた複合材料で構成され、前記組合体を設置対象に固定するボルトが挿通されるボルト孔を有する。そして、前記ボルトによって前記外側コア部に締め付けられると共に、前記コイルを露出するように配置される平板部材を備える。
【0011】
上記のリアクトルは、外側コア部のボルト孔にボルトを挿通して締め付けると、平板部材がボルトによる締付力に伴って作用する応力を受けることになる。そのため、外側コア部が受ける上記締付力に伴う応力が、平板部材がない場合に比較して緩和される。よって、外側コア部が樹脂を含む混合物で構成されていたとしても、外側コア部が受ける最大応力が小さくなるため、ボルトの締め付け時や、リアクトルの動作時における振動衝撃などの荷重印加時でも、外側コア部に割れなどの損傷が生じ難い。平板部材がコイルを露出するように配置されることで、コイルを平板部材で覆う場合に比較して、放熱性に優れる。そのため、リアクトルの動作時、通電によりコイルと磁性コアとが発熱しても、コイルを放熱経路として放熱できるため、磁性コアの昇温を抑制できることで、磁性コア(外側コア部)のクリープ変形を抑制できる。よって、ボルトの締付力の低下を抑制でき、リアクトルの固定状態を維持することができる。
【0012】
上記のリアクトルは、組合体を設置対象に固定するボルトが挿通されるボルト孔が外側コア部に形成されていることで、組合体を設置対象に固定するための固定構造を別途設ける必要がなく、部品点数を低減することができる。このボルト孔は、外側コア部の成形と同時に形成できるため、リアクトルの生産性に優れる。
【0013】
(2)上記のリアクトルの一例として、前記コイルは、横並びされた一対の巻回部を備え、前記磁性コアは、前記コイルの内側に配置される内側コア部と、前記コイルの外側に配置されて、前記コイルの軸方向と直交する方向に配置される外側コア部と、を備え、前記ボルト孔の中心は、前記内側コア部の内側面と前記外側コア部の内側面との接続部分近傍を中心として、前記外側コア部における前記コイルの軸方向に沿った方向の厚さを半径として形成される円の外方に位置することが挙げられる。
【0014】
ボルト孔の中心が上記円の外方に位置することで、コイルを励磁した際に磁性コアに形成される主たる磁路から離れた位置にボルト孔が形成されることとなり、磁路に影響を実質的に及ぼさない。
【0015】
(3)上記のリアクトルの一例として、前記平板部材は、前記ボルト孔ごとに個別に配置されている形態が挙げられる。
【0016】
外側コア部に形成された複数のボルト孔に対応する複数の貫通孔を有する1枚の平板部材であれば、複数の貫通孔を同時にボルト孔に位置合わせする必要がある。上記構成によれば、外側コア部の各ボルト孔に対応して平板部材自体が個別に設けられるため、個々の平板部材の貫通孔とボルト孔との位置合わせは、互いに影響を及ぼさない。よって、外側コア部のボルト孔に対する平板部材の貫通孔の位置合わせが容易であり、効率的である。また、複数のボルト孔に亘るような平板部材とする場合に比較して、平板部材の構成材料を削減でき、材料コストの低減を図ることができる。
【0017】
(4)上記のリアクトルの一例として、前記外側コア部は、磁路となる部分を有する本体部と、前記本体部に一体に成形され、前記本体部のうち前記設置対象の近傍において、前記本体部の外周に張出す取付部と、を備え、前記ボルト孔は、前記取付部に形成されている形態が挙げられる。
【0018】
ボルト孔が取付部に形成されていることで、磁路となる部分にボルト孔を形成する必要はなく、磁路に影響を及ぼさない。リアクトルは、通常、冷却ベースなどの設置対象に固定される。つまり、リアクトルは、設置対象に近い箇所ほど低温になる。上記構成によれば、ボルト孔が形成されている取付部が設置対象の近傍にあるため、外側コア部のうちボルトによる締付力を受ける部分は、放熱性が高く低温に維持され易いため、クリープ変形が生じ難い。よって、ボルトの締付力の低下をより抑制でき、リアクトルの固定状態をより安定して維持することができる。
【0019】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態の詳細を、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図中の同一符号は、同一名称物を示す。
【0020】
<実施形態1>
図1図4を参照して、実施形態1のリアクトル1αを説明する。
【0021】
〔リアクトル〕
・全体構成
実施形態1のリアクトル1αは、巻線を螺旋状に巻回してなる巻回部2a,2bを有するコイル2と、巻回部2a,2bの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3と、の組合体10を備える。リアクトル1α(組合体10)は、冷却ベースなどの設置対象9に設置されて利用される。磁性コア3は、巻回部2a,2bの内側に配置される内側コア部31と、巻回部2a,2bの外側に配置される外側コア部32と、を有する。外側コア部32は、樹脂中に磁性体粉末を分散させた複合材料で構成されている。そして、外側コア部32は、リアクトル1α(組合体10)を設置対象9に固定するボルト5が挿通されるボルト孔32hを有する。実施形態1のリアクトル1αは、外側コア部32とボルト5の頭部との間に介在されて、外側コア部32側に締め付けられる平板部材7を備える点を特徴の一つとする。以下、各構成を詳細に説明する。なお、以下の説明では、リアクトル1αを設置対象9に設置したときに、リアクトル1αの設置対象9側を下側、その対向側を上側として説明する。
【0022】
・コイル
コイル2は、図2に示すように、一本の連続する巻線を螺旋状に巻回して形成された一対の筒状の巻回部2a,2bと、両巻回部2a,2bを連結する連結部2rと、を備える。各巻回部2a,2bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行になるように並列(横並び)されている。連結部2rは、両巻回部2a,2bを繋ぐU字状に屈曲された部分である。このコイル2は、接合部の無い一本の巻線を螺旋状に巻回して形成しても良いし、各巻回部2a,2bを別々の巻線により作製し、各巻回部2a,2bの巻線の端部同士を溶接や圧着などにより接合することで形成しても良い。コイル2の両端部は、巻回部2a,2bから適宜な方向に引き延ばされて、図示しない端子部材に接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行なう電源などの外部装置が接続される。
【0023】
本実施形態の各巻回部2a,2bは角筒状に形成されている。角筒状の巻回部2a,2bとは、その端面形状が四角形状(正方形状を含む)の角を丸めた形状の巻回部のことである。もちろん、巻回部2a,2bは円筒状に形成しても構わない。円筒状の巻回部とは、その端面形状が閉曲面形状(楕円形状や真円形状、レーストラック形状など)の巻回部のことである。
【0024】
巻回部2a,2bを含むコイル2は、銅やアルミニウム、マグネシウム、あるいはその合金といった導電性材料からなる平角線や丸線などの導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を備える被覆線によって構成することができる。本実施形態では、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線をエッジワイズ巻きにすることで、各巻回部2a,2bを形成している。
【0025】
・磁性コア
磁性コア3は、図2に示すように、概略U字状の第一分割コア3A及び第二分割コア3Bと、両分割コア3A,3Bの各端面間に介在される二枚のギャップ材33,33と、を組み合わせて構成されている。第一分割コア3Aと第二分割コア3Bは、同一形状の部材であり、第一分割コア3Aを180°回転させれば、第二分割コア3Bとなる。なお、両分割コア3A,3Bは、必ずしも同一形状でなければならないわけではない。第一分割コア3Aの二股に分かれた突出部の先端と、第二分割コア3Bの二股に分かれた突出部の先端と、の間にギャップ材33,33を介在させて、両分割コア3A,3Bが配置されることで、磁性コア3は環状に組み付けられ、コイル2を励磁したときに閉磁路を形成する。
【0026】
磁性コア3は、図1,2に示すように、巻回部2a,2bの内側に配置される部分となる内側コア部31と、コイル2が実質的に配置されずに巻回部2a,2bの外側に突出するように配置される部分となる外側コア部32と、を有する。ここでは、内側コア部31と、外側コア部32の一部と、が巻回部2a,2bの軸方向に沿って配置されている。例えば、外側コア部32のうち、図1,2に示す二点鎖線よりも巻回部2a,2b側の一部分が、巻回部2a,2bの端面よりも巻回部2a,2bの外側に突出している。以下では、巻回部2a,2bの軸方向と直交する方向に配置される部分のことを外側コア部32として説明する。
【0027】
・・外側コア部
外側コア部32は、一対の内側コア部31,31の端部を繋ぐ形状である。ここでは、レーストラック形状の上面及び下面を有する柱状の外側コア部32としている。外側コア部32の下側の面は、コイル2の巻回部2a,2bの下側の面と面一になっている。そのため、後述する接合層8を介して設置対象9に接触するようになっている。また、外側コア部32の下側の面は、内側コア部31の下側の面よりも突出して成形されている。
【0028】
外側コア部32は、バインダとなる樹脂中に磁性体粉末を分散させた複合材料で構成されている。
【0029】
複合材料に含まれる磁性体粉末には、純鉄や、鉄基合金、希土類金属を含む合金などで構成される軟磁性金属粉末を利用することができる。また、磁性体粉末として、磁性体粒子の表面に絶縁被覆を備える被覆粉末を利用することもできる。特に、被覆粉末を用いることで、リアクトルにおける渦電流損を効果的に低減することができる。絶縁被覆としては、例えば、リン酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物などが挙げられる。
【0030】
磁性体粉末の平均粒径は、1μm以上1000μm以下、特に10μm以上500μm以下が挙げられる。磁性体粉末は、粒径が異なる複数種の粉末(粗大粉末及び微粒粉末)が混合されたものでもよいし、材質が異なる複数種の粉末が混合されたものでもよい。なお、複合材料中の磁性体粉末は、原料の粉末と実質的に同じである(維持されている)。平均粒径が上記範囲を満たす粉末を原料に用いると、流動性に優れ、射出成形などを利用して外側コア部32を生産性よく製造することができる。
【0031】
複合材料に含まれる樹脂には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂、常温硬化性樹脂、あるいは低温硬化性樹脂を利用することができる。
【0032】
外側コア部32を構成する複合材料中の磁性体粉末の含有量は、複合材料を100体積%とするとき、20体積%以上75体積%以下とすることが挙げられる。磁性体粉末の含有量が20体積%以上であることで、磁性成分の割合が十分に高いため、飽和磁束密度を高め易い。一方、磁性体粉末の含有量が75体積%以下であることで、磁性体粉末と樹脂との混合物の流動性が高く、外側コア部32の製造性に優れる。磁性体粉末の含有量は、さらに30体積%以上、特に40体積%以上とすることが挙げられる。一方、磁性体粉末の含有量は、さらに70体積%以下、特に65体積%以下、60体積%以下とすることが挙げられる。
【0033】
その他、複合材料には、アルミナやシリカなどのセラミックスといった非磁性体からなる粉末(フィラー)を含有させてもよい。このフィラーは、外側コア部32の放熱性の向上、複合材料における磁性体粉末の偏在の抑制(均一的な分散)に寄与する。フィラーの含有量は、複合材料を100質量%とするとき、0.2質量%以上20質量%以下とすることが挙げられる。
【0034】
上記複合材料は、磁性体粉末の材質や含有量、フィラーの有無などを調整することで、外側コア部32の磁気特性を容易に調整できる。つまり、所望の磁気特性を有する外側コア部32や磁性コア3を製造し易い。また、複合材料は、樹脂を含有することから、磁性体粉末の材質が圧粉成形体を構成する粒子の材質と同じである場合でも、飽和磁束密度が低く、かつ比透磁率も低くなる傾向にある。複合材料の飽和磁束密度は0.6T以上であることが望ましく、1.0T以上であることがより望ましい。また、複合材料の比透磁率は5以上50以下であることが望ましく、10以上35以下であることがより望ましい。
【0035】
上記複合材料から構成される外側コア部32は、代表的には、射出成形、トランスファー成形、MIM(Metal Injection Molding)、注型成形などにより製造することができる。射出成形は、磁性体粉末と樹脂との混合物を所定の圧力をかけて成形型に充填して成形した後、上記樹脂を固化させることで外側コア部32を得ることができる。トランスファー成形やMIMも、上記混合物を成形型に充填して成形を行う。注型成形では、上記混合物を、圧力をかけることなく成形型に注入して成形・固化させることで外側コア部32が得られる。
【0036】
外側コア部32は、リアクトル1α(組合体10)を設置対象9に固定するボルト5が挿通されるボルト孔32hを有する。ボルト孔32hは、外側コア部32の上側の面から下側の面に貫通した貫通孔である。このボルト孔32hの中心は、コイル2を励磁した際に磁性コア3に形成される主たる磁路から離れた位置に配置されている。この主たる磁路から離れた位置は、例えば、図3に示すように、内側コア部31の内側面と外側コア部32の内側面との接続部分近傍を中心Pとして、外側コア部32の厚さr(コイル2の軸方向に沿った方向の大きさ)を半径として形成される円の外方の領域(ハッチング部分)が挙げられる。ここでは、中心Pは、内側コア部31の内側面(コイル2の軸方向に沿った方向)に沿った線Mと、外側コア部32の内側面(コイル2の軸方向と直交する方向)と、の交点としている。主たる磁路から離れた位置は、外側コア部32の角部領域である。ボルト孔32hの中心が、上記領域内に設けられていることで、磁路への影響は実質的にないと考えられる。
【0037】
また、主たる磁路から離れた位置として、図3に示すように、上記円と外側コア部32の外側面と、の交点をQ、上記円と外側コア部32の内側面と、の交点をR、としたとき、交点Qと交点Rとを結んだ直線よりも外方の領域とすることが挙げられる。これは、磁路の特徴として、磁束が最も短い経路を通ろうとする性質を有することに起因する。この磁路の特徴より、交点Qと交点Rとを結ぶ直線よりも外方の領域であれば、磁路への影響は少ないと考えられる。
【0038】
本実施形態では、ボルト孔32hは、真鍮、ステンレス鋼、鋼などの金属製の筒体と、筒体の各周縁からそれぞれ外方に突出した環状のフランジと、を備える筒部材(カラー)4によって構成されている。カラー4は、外側コア部32に埋設されており、カラー4の外表面(フランジの端面)は、外側コア部32の外表面と面一になっている(図4を参照)。カラー4は、ボルト5による締付力を受けて、外側コア部32を構成する複合材料が損傷することを抑制する。このカラー4からなるボルト孔32hは、上記外側コア部32の成形時に、カラー4を中子として容易に成形できる。なお、カラー4は必須ではない。カラー4を用いない場合、ボルト孔32hは、外側コア部32の成形時に、ボルト孔32hに対応した棒状体を中子として配置しておくことで成形できる。
【0039】
・・内側コア部
内側コア部31は、巻回部2a,2bの内部形状に沿った形状である。ここでは、略直方体状である。本実施形態では、第一分割コア3Aの一方の突出部と、第二分割コア3Bの一方の突出部と、これら突出部に挟まれたギャップ材33と、で一つの内側コア部31が形成されている。
【0040】
内側コア部31は、外側コア部32と同様に、バインダとなる樹脂中に磁性体粉末を分散させた複合材料で構成されている。本実施形態では、内側コア部31と外側コア部32とは、概略U字状の一体物であるため、同一の材料で構成されている。内側コア部31が外側コア部32と独立して構成されている(図1,2に示す二点鎖線部分で独立している)場合、内側コア部31を、上記磁性体粉末を加圧成形してなる圧粉成形体と、その表面に成形される樹脂モールド部と、を備える構成とすることもできる。樹脂モールド部を構成する樹脂としては、例えば、PPS樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン6、ナイロン66といったポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂などの熱可塑性樹脂を利用することができる。その他、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂を利用することも可能である。これらの樹脂にアルミナやシリカなどのセラミックスフィラーを含有させて、樹脂モールド部の放熱性を向上させても良い。内側コア部31と外側コア部32とが独立して構成されている場合、両コア部31,32は、接着や嵌合によって接続することで、第一分割コア3A及び第二分割コア3Bを形成できる。
【0041】
ギャップ材33は、アルミナなどのセラミックスやポリプロピレンなどの樹脂といった非磁性材を利用することができる。その他、両分割コア3A,3Bの二股に分かれた突出部分を接着する接着剤によってギャップ材33を構成することも可能である。
【0042】
・平板部材
平板部材7は、ボルト5の締付力に伴う複合材料への応力を緩和する部材で、リアクトル1α(組合体10)を設置対象9に固定するボルト5が挿通される貫通孔7hを有する板状部材である。平板部材7の貫通孔7hと外側コア部32のボルト孔32hとを合わせた状態で、ボルト5を貫通孔7h及びボルト孔32hに挿通すると、平板部材7は、外側コア部32とボルト5の頭部との間に介在される。ここでは、ボルト孔32hがカラー4によって構成されているため、平板部材7の一部がカラー4のフランジとボルト5の頭部との間に介在されている(図4を参照)。
【0043】
平板部材7は、機械的強度に優れる各種の材料を利用することができる。例えば、平板部材7の構成材料として、アルミニウムやその合金、マグネシウムやその合金、銅やその合金、鉄やオーステナイト系ステンレス鋼などの金属材料を利用することが挙げられる。特に、オーステナイト系ステンレス鋼などの非磁性材料であることが好ましい。また、熱伝導性に優れると、リアクトル1αの動作時に外側コア部32が発熱しても、平板部材7を放熱経路として放熱することも期待できる。他に、リアクトル1αの動作時における温度などに耐え得る耐熱性を有する樹脂、例えば、PTFEといったフッ素樹脂も利用できる。平板部材7が樹脂で構成される場合、リアクトル1αの使用温度において耐クリープ特性が複合材料の樹脂よりも高い樹脂や、リアクトル1αの使用温度において複合材料の樹脂よりも高硬度の樹脂を好適に利用できる。
【0044】
平板部材7は、ボルト5の頭部の外周縁よりも外方に延出した大きさを有する(図4を参照)。そうすることで、ボルト5の頭部が確実に平板部材7に接した状態とでき、ボルト5による締付力に伴う複合材料への応力を平板部材7で緩和できる。平板部材7の上記外方に延出した面積が大きいほど、上記締付力に伴う応力を平板部材7の広範囲に亘って受けることができるため、上記締付力に伴う複合材料への応力をさらに緩和でき、外側コア部32が受ける最大応力をより低減できる。平板部材7の上記外方に延出した面積は、ボルト5の頭部を平面視したときの面積に対して10%以上大きいことが挙げられる。ボルト孔32hのカラー4のフランジがボルト5の外周縁よりも大きい場合、平板部材7は、そのフランジの外周縁よりも外方に延出した大きさを有することが好ましい。
【0045】
ここでは、平板部材7は、各外側コア部32の上面の大きさと実質的に同等の大きさを有する(図1,4を参照)。平板部材7には二つの貫通孔7hが形成されている。つまり、平板部材7は、各外側コア部32に形成された二つのボルト孔32hに跨る大きさを有する。このように、各外側コア部32に形成された複数のボルト孔32hに対応した貫通孔7hを有する一枚の平板部材7であると、外側コア部32のボルト孔32hに対応した複数の平板部材7とする場合に比較して、部品点数を低減することができる。平板部材7が外側コア部32のボルト孔32hに跨る大きさを有する場合、外側コア部32のボルト孔32hを構成するカラー4は、上述したように、外側コア部32に埋設されていることが好ましい。つまり、カラー4のフランジの端面と外側コア部32の上側の面とが面一であることで、ボルト5による締付力に伴う複合材料への応力をカラー4と外側コア部32の上側の面とで分散できる。また、平板部材7は、カラー4及び外側コア部32の上側の面に接することになり、安定した配置状態を維持し易い(図4を参照)。
【0046】
外側コア部32のうち、コイル2の連結部2rが配置される側は、連結部2rの下側の面と外側コア部32の上側の面との間に、平板部材7が介在されることになる。この場合、平板部材7は、少なくとも連結部2rとの対向箇所に絶縁材料が配置されたものが好ましい。具体的には、平板部材7を、上記対向箇所に樹脂などの絶縁被覆を有する金属で構成したり、全てを樹脂で構成したりすることが挙げられる。
【0047】
平板部材7は、コイル2を露出するように配置されている。つまり、各外側コア部32に配置されて、内側コア部31側やコイル2側には延伸されていない。そのため、リアクトル1αの動作時、通電によりコイル2と磁性コア3とが発熱しても、コイル2を放熱経路として放熱できるため、磁性コア3(外側コア部32)の昇温を抑制でき、外側コア部32のクリープ変形を抑制できる。ここでは、コイル2の表面は平板部材7及びそれ以外の部材覆われておらず、コイル2の表面が外方に露出しているが、コイル2の表面は平板部材7とは異なる別部材で覆われていてもよい。この別部材は、放熱性に優れるものが好ましい。
【0048】
平板部材7の厚さは、ボルト5による締付力に伴って作用する応力を平板部材7で緩和することができれば、適宜選択することができる。平板部材7の厚さは、例えば、0.2mm以上3.0mm以下とすることが挙げられる。平板部材7の厚さが上記範囲であることで、平板部材7が無駄に厚くならずに、上記締付力に伴う複合材料への応力を十分に緩和することができる。
【0049】
ボルト5は、オーステナイト系ステンレス鋼などの非磁性金属材料で構成されるものを使用することが好ましい。
【0050】
・接合層
本実施形態に示すリアクトル1αは、図1,2,4に示すように、組合体10の下側に接合層8を備える。接合層8は、組合体10と設置対象9との間に介在される。接合層8を備えることで、組合体10を設置対象9に強固に固定でき、コイル2の動きの規制、放熱性の向上、設置対象9への固定の安定化などを図ることができる。接合層8の構成材料は、絶縁性樹脂、特にセラミックスフィラーなどを含有して放熱性に優れるもの(例えば、熱伝導率が0.1W/m・K以上、更に1W/m・K以上、特に2W/m・K以上)が好ましい。具体的な樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、LCPなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。接合層8としてシート状のものを用いると、接合層8を配置し易い。
【0051】
・その他の構成
上記リアクトル1αは、内側コア部31の外周面と巻回部2a,2bの内周面との間に配置され、内側コア部31と巻回部2a,2bとを接着させる接着シート(図示せず)を備えることができる。接着シートによって、コイル2と磁性コア3との相対的な位置を固定することができるので、リアクトル1αの動作時における振動などによるコイル2と磁性コア3との相対的な位置ずれを抑制することができる。
【0052】
接着シートは、接着性を有する絶縁性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、LCPなどの熱可塑性樹脂で構成することができる。これら絶縁性樹脂に、上述したセラミックスフィラーなどを含有させることで、接着シートの熱伝導性を向上させても良い。また、接着シートを発泡樹脂で構成することもできる。発泡樹脂製の接着シートであれば、第一分割コア3A及び第二分割コア3Bの各突出部(内側コア部31)に未発泡の接着シートを貼り付けた後、各分割コア3A,3Bの突出部を巻回部2a,2bに挿入し易い。突出部を巻回部2a,2bに挿入した後、未発泡の樹脂を発泡させれば、コイル2と磁性コア3とを固定することができる。
【0053】
〔効果〕
以上説明したリアクトル1αは、平板部材7が外側コア部32(カラー4のフランジ)とボルト5の頭部との間に介在されていることで、平板部材7でボルト5による締付力に伴う複合材料への応力を緩和することができる。よって、ボルト5の締め付け時や、リアクトル1αの動作時における振動衝撃などの荷重印加時でも、上記締付力によって外側コア部32が受ける最大応力が小さくなるため、外側コア部32が樹脂を含む混合物で構成されていたとしても、外側コア部32のボルト孔32hの近傍に割れなどの損傷が生じることを抑制できる。平板部材7がコイル2を露出するように配置されているため、リアクトル1αの動作時、通電によりコイル2と磁性コア3とが発熱しても、コイル2を放熱経路として放熱できるため、磁性コア3(外側コア部32)の昇温を抑制できることで、クリープ変形を抑制できる。よって、ボルト5の締付力の低下を抑制でき、リアクトル1αの固定状態を維持することができる。
【0054】
<変形例1>
平板部材は、各外側コア部に跨って配置されていてもよい。例えば、平板部材を配置する側の組合体の面(例えば上面)が実質的に面一(コイルの上面と外側コア部の上面とが面一)である場合、一枚の平板部材で各外側コア部に対する配置を行うことが挙げられる。つまり、平板部材をコイルの軸方向に沿って配置することが挙げられる。ただし、平板部材は、コイルがその軸方向に平板部材から露出された露出部分を有するように配置される必要がある。このような平板部材として、各外側コア部の上面の大きさと実質的に同等の大きさを有する外側コア部分と、この二つの外側コア部分を繋ぎ、コイルの各巻回部間に配置されるような矩形状の繋ぎ部分と、を有するI字状(H字状)の平板部材とすることが挙げられる。このように、各外側コア部に跨って配置される一枚の平板部材とすることで、各平板部材に対応した二枚の平板部材とする場合に比較して、部品点数を低減することができる。
【0055】
<実施形態2>
実施形態2では、図5に示すように、平板部材7が、外側コア部32のボルト孔32hごとに個別に配置されているリアクトル1βを説明する。実施形態2では、平板部材7がボルト孔32hごとに配置されている点のみが異なり、その他の構成については実施形態1と同様である。平板部材7は、ここでは、実施形態1に比較して短いレーストラック形状である。外側コア部32に形成された複数のボルト孔32hに対応する複数の貫通孔7hを有する1枚の平板部材7であれば、複数の貫通孔7hを同時にボルト孔32hに位置合わせする必要がある。平板部材7が、外側コア部32のボルト孔32hごとに個別に配置されることで、外側コア部32のボルト孔32hに対応して平板部材7自体が個別に設けられるため、個々の平板部材7の貫通孔7hとボルト孔32hとの位置合わせは、互いに影響を及ぼさない。よって、外側コア部32のボルト孔32hに対する平板部材7の貫通孔7hの位置合わせが容易であり、効率的である。また、複数のボルト孔32hに亘るような平板部材とする場合に比較して、平板部材の構成材料を削減でき、材料コストの低減を図ることができる。
【0056】
<実施形態3>
実施形態3では、図6に示すように、外側コア部32が、磁路となる本体部32aと、この本体部32aに一体に成形され、本体部32aのうち設置対象9の近傍において、本体部32aの外周に張出す取付部32bと、を備えるリアクトル1γを説明する。実施形態3のリアクトル1γは、リアクトル1γを設置対象9に固定するボルト5が挿通されるボルト孔32hが、取付部32bに形成されていること、及びボルト孔32hにカラーが用いられていない点を特徴の一つとする。その他の構成については実施形態1と同様である。以下に、実施形態1との相違点を中心に、リアクトル1γの各構成を説明する。
【0057】
本体部32aは、コイル2を励磁した際に磁性コア3に形成される主たる磁路となる部分を有する。この主たる磁路は、実施形態1で説明したように、内側コア部31の内側面に沿った線Mと、外側コア部32の内側面と、の交点を中心Pとし、外側コア部32の厚さrを半径として形成される円の内方の領域が挙げられる図3を参照)。ここでは、本体部32aは、略台形状の上面及び下面を有する柱状としており、本体部32aの幅方向(コイル2の軸方向と直交する方向)の端部近傍において主たる磁路から離れた部分を有する。外側コア部32における巻回部2a,2bの並列方向における中央部は、その他の部分よりも突出している。
【0058】
取付部32bは、リアクトル1γ(組合体10)を設置対象9に固定するための部分である。本実施形態では、取付部32bは、本体部32aの下側で本体部32aの外方に張出す突片状となっている。リアクトル1γを設置対象9に固定するボルト5が挿通されるボルト孔32hが、この取付部32bに形成されている。取付部32bが本体部32aの下側に形成されていることで、取付部32bは、設置対象9(冷却ベース)に近いために全体に亘って高温となることを抑制できる。そのため、この取付部32bは、クリープ変形が生じ難く、ボルト5の締付力の低下を抑制し易い。よって、ボルト孔32hに実施形態1で用いたカラーを用いなくとも、外側コア部32を構成する複合材料の損傷を抑制することができる。カラーを用いないことで、部品点数を削減でき、かつカラーを外側コア部32に埋設する工程を削減できるため、生産性に優れる。
【0059】
平板部材7は、ここでは、矩形の一端側のみを半円状とした半レーストラック形状である。この平板部材7を取付部32bに形成された各ボルト孔32hに対応して配置することで、平板部材7でボルト5による締付力に伴う複合材料への応力を緩和することができる。上記ボルト5の締付力の低下の抑制に加え、外側コア部32のボルト孔32hの近傍に生じる割れなどの損傷を抑制できることで、リアクトル1γの固定状態をより安定して維持することができる。
【0060】
<変形例2>
上述した実施形態1〜3では、平板部材として、外側コア部を平面視した輪郭形状よりも若干内側となる大きさのものを用いて説明した。平板部材が上記輪郭形状に対応した大きさとすることで、平板部材の外周縁部が面取りされた外側コア部の角部の上方に位置するため、外側コア部の角部損傷を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などの車両に搭載される車載用コンバータ(代表的にはDC−DCコンバータ)や、空調機のコンバータなどの種々のコンバータ、並びに電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1α,1β,1γ リアクトル 10 組合体
2 コイル
2a,2b 巻回部 2r 連結部
3 磁性コア 3A 第一分割コア 3B 第二分割コア
31 内側コア部 32 外側コア部 33 ギャップ材
32h ボルト孔
32a 本体部 32b 取付部
4 筒部材(カラー)
5 ボルト
7 平板部材 7h 貫通孔
8 接合層
9 設置対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6