(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外郭を形成する本体と、前記本体内に収納される内鍋と、前記本体内に設けられる加熱手段と、蓋体と、前記内鍋内で発生する蒸気を調圧する調圧ユニットと、を有する炊飯器において、
前記調圧ユニットは、前記蓋体の上部に着脱自在に装着され、上流から下流に向かって分離及び貯留機能を有する第1分離室と、分離及び通路機能を有する第2分離室と、調圧及び貯留機能を有する内部空間とを有し、
前記第2分離室の底面は、前記第1分離室の底部及び前記内部空間の底部より上方に位置し、下流に向かって下がる傾斜面であり、
前記第1分離室は、底部に第1の開口を有し、
前記内部空間は、底部に第2の開口を有し、
前記第1の開口及び前記第2の開口は、1個の同じ弁で開閉されることを特徴とする炊飯器。
前記第1分離室は、縦壁により入口側蒸気通路と区画され且つ連通開口を介して前記第2分離室と連通するとともに、前記縦壁の上端は、前記連通開口の下端より低いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炊飯器。
【実施例】
【0026】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の好適な実施例について述べる。
図1及び
図2は炊飯器の平面図及び断面図、
図3乃至
図9は調圧ユニットの本体部及び蓋部の斜視図等である。なお、
図1において操作部がある下側を前方とし、その反対側のヒンジ機構がある上側を後方とし、前後方向に直交する方向を左右方向とし、上側を上方とし、下側を下方とする。なお、
図2、
図3、
図8及び
図9にも方向を示した。
【0027】
炊飯器20の略全体を
図1及び
図2に示す。炊飯器20は、本体21及び蓋体40からなる。本体21は、合成樹脂製の一体成形品からなる外ケース22を有し、この外ケース22の内部には、金属鍋或いは土鍋等の内鍋23が着脱自在にセットされるとともに、この内鍋23の外側には当該内鍋23の形状に沿った保護枠である内ケース24を有する。
【0028】
この内ケース24は、例えばポリエチレンテレフタレート等の耐熱性の合成樹脂製のもので、その底部中央にはサーミスタからなる温度センサ25を臨ませるためのセンサ挿入孔を有する。
【0029】
内ケース24の上端は、外ケース22の上端と肩部である肩部材26を介して一体に結合される。内ケース24の底部外面及び底部から側部にかけての湾曲部外面には、内鍋23を誘導加熱する加熱手段である底部ワークコイル27及び側部ワークコイル28を有する。これら底部ワークコイル27及び側部ワークコイル28は、内ケース24の底部及び湾曲部の各位置に、内ケース24の底部中央を中心として同心円状に設けられる。
【0030】
これら底部ワークコイル27及び側部ワークコイル28の下方には合成樹脂製のコイル支持台29を有し、このコイル支持台29がネジ等で内ケース24に取り付けられることにより、底部ワークコイル27及び側部ワークコイル28は図示する所定位置に位置決め固定される。
【0031】
前記外ケース22の底部は側部と一体に形成されており、全体で上方に開口を有する容器を形成する。外ケース22の後方内部には、肩部材26から垂下する形態で、制御基板32が設けられる。
【0032】
この制御基板32には、底部ワークコイル27、側部ワークコイル28等の加熱手段を制御するためのマイコン及び電源回路等の電気部品が搭載される。なお、制御基板32の後方側にはコード巻取器33を有する。
【0033】
図2に示すように内鍋23内には蒸し容器30が設けられている。この蒸し容器30は蒸す具材を内部に入れて炊飯中に生じる蒸気により内部の具材を蒸すものであり、内鍋23の上端に載置する形態で取り付けられ、蒸し容器30が不要の場合は取り外して通常の炊飯を行う。
【0034】
前記蓋体40は、外周面を形成する樹脂製の蓋上部材41と、蓋下部材42を有する。蓋上部材41の前方側には、ロックレバー43を有し、ロックレバー43を押すと、ロックレバー43の下方に位置する係止部と本体21の上端部に設けられる係止部との係合が解除される。すると蓋体40は後部に設けられるコイルばね等からなるヒンジ機構44のばね力により開蓋する。
【0035】
蓋上部材41の前方側には、
図1に示すように炊飯ボタン、予約ボタン、取消ボタン及びメニューボタン等からなる各種タッチスイッチ45及び表示部46が設けられ、ユーザーは各種タッチスイッチ45を押して所望の調理を行う。そして、操作されたメニュー等が表示部46に表示される。
【0036】
また、蓋上部材41の後方側には、後記の調圧ユニット60を装着するための凹部領域47を有する。この凹部領域47は、略同じ深さ窪んだ平面視矩形状の領域であり、この凹部領域47の前方側中央には、上下に貫通する蓋上部材側開口48を有し、更に、凹部領域47の後方側には後方側に向かって順次せり上がる円弧状凹部49を有する。
【0037】
そして、調圧ユニット60を取り外す際、この円弧状凹部49に指を入れ、指を斜め前方側に押し上げて取り外すことになる。このような形態にすることにより調圧ユニット60の取り外しを容易に行うことができる。
【0038】
この蓋上部材側開口48は、円形状であり、その内周端にリング状の蒸気パッキン50(
図1及び
図6参照)を嵌合する。そして、この蒸気パッキン50の内周面には調圧ユニット60の筒状体63が嵌合し、筒状体63の外周面からの蒸気漏れを防止する。
【0039】
前記蓋下部材42は、蓋上部材41と同様に樹脂製の部材であり、蓋下部材42の中央且つ後方よりには蓋下部材側開口51を有する。そして、蓋上部材41と蓋下部材42とが組み付けられると、蓋上部材41と蓋下部材42との間に蓋体蒸気通路52が形成される。
【0040】
そして、内鍋23内で発生するおねばを含む蒸気は、実線矢印で示すように、蓋下部材側開口51及び蓋体蒸気通路52を介して蓋上部材側開口48の蒸気パッキン50に嵌合される筒状体63より調圧ユニット60内に浸入する。
【0041】
なお、蓋下部材42の中央部の蒸気が流れる箇所には蒸気センサ53が垂下されており、発生蒸気を早期に検知して消費電力を低減する。
【0042】
調圧ユニット60について説明する。調圧ユニット60は内部に調圧弁を有するものと有しないものがあるが、以下に説明する調圧ユニット60は後者のタイプであり、調圧弁の代わりに内部に温度を下げて調圧する広い内部空間62を有する。
【0043】
調圧ユニット60は、樹脂製であり、本体部61及び蓋部80を有する。前記本体部61は、上方開口で平面視左右方向に長い矩形状の容器状部材であり、その底壁61bは前方側且つ中央の円形の凹嵌部641に向かって下方に傾斜し、内部に広い内部空間62を有する。なお、凹嵌部641は後記する筒状体63内の中空状の部分であり、内部空間62は傾斜する底壁61bに沿って流下するおねばを回収し、内鍋23側に戻す機能を奏する。即ち、前記内部空間62は調圧及び貯留機能を有する。
【0044】
本体部61の左方底部の側面から底面にかけての箇所に係止ユニット挿入凹部611を有し、その右方には、水平方向に並ぶ2つの第1係止突起613、613を有し、その後方には、内側に円弧状にへこんだ窪み614を有する。
【0045】
そして、係止ユニット挿入凹部611には、
図3の左方に破線で示す係止ユニット615が2つのねじ孔612、612(
図4参照)にねじ止めされる。この係止ユニット615は、係止ユニット挿入凹部611にはまり得る形状を有し、内部に図示しないバネで外方に向かってバネ力が付加される1つの押圧ボタン615aと、その押圧ボタン615aの両側に位置し、同じく図示しないバネで外方に向かってバネ力が付加される2つの第2係止突起615b、615bを有し、これら2つの第2係止突起615b、615bは、後記する蓋部80の2つの第2係止溝85、85に係合する。
【0046】
また、前記2つの第1係止突起613、613は、後記する蓋部80の2つの第1係止溝83、83に係合し、窪み614は、蓋上部材41後方の円弧状凹部49に対向し、円弧状凹部49に指が入りやすくする。
【0047】
本体部61の前方側且つ中央の底壁61bには、有底で円形の筒状体63が底壁61bより下方に垂下する形態で設けられるとともに、本願発明の第1分離室、第2分離室及び入口側蒸気通路67を一体的に組み込んでなる流路兼分離室構造体100がこの筒状体63内の領域Eと、筒状体63の上方の内部空間62の領域Fと、領域Fより右方の内部空間62の領域Gとに亘る領域に一体のものとして形成される(
図7参照)。
【0048】
まず、流路兼分離室構造体100の領域E及び領域Fの部分について説明する。
【0049】
水平断面略U字状の筒状突出体64が筒状体63の底部から本体部61の内部空間62内に立設する形態で形成される。この筒状突出体64は、
図5で示すように1つの円弧部64aと、対向する2つの直線部64bとを有し、2つの直線部64bの端部64bb、64bbは筒状体63の内周面にまで伸びるとともに、筒状体63の内周面と一体化されて筒状体63の内周面と筒状突出体64の内周面との間に水平断面がU字状の中空部66(
図6の領域P+Q(Q=Q1+Q2)参照)を形成する。
【0050】
また、2つの直線部64bのほぼ中央の内面には2つの直線部64bを連結する形態で外方に円弧状に突き出る円弧状の縦壁65が、筒状体63の底部から本体部61の内部空間62内に亘って立設し、中空部66を水平断面円形の入口側蒸気通路67(
図6で矩形状の破線で示す領域P)と、外方に若干円弧状に湾曲した円弧状且つ矩形状の第1おねば貯留室68(
図6で矩形状の破線で示す領域Q2)とに区画する。
【0051】
即ち、入口側蒸気通路67である領域Pは、円弧部64aの内周面と2つの直線部64bの内周面と縦壁65の内周面とで形成されるとともに、その下端部には円形の蒸気開口67aを有し、第1おねば貯留室68である領域Q2は、筒状体63の内周面と2つの直線部64bの内周面と縦壁65の外周面とで形成されるとともに、その下端部には円弧状且つ矩形状の第1おねば戻し口68aを有する(
図4参照)。
【0052】
筒状突出体64の先端部64c(
図6参照)は、本体部61の上端61a(
図3参照)とほぼ同じ位置を占め、前記縦壁65の上端65aは本体部61の底壁61bより上方であるとともに、筒状突出体64の先端部64cより下方に位置する。そして、縦壁65の上端65aの上方に上部室69(
図6で矩形状の破線で示す領域Q1領域)を形成する。
【0053】
なお、領域Pが本願発明の入口側蒸気通路に相当し、領域Q(即ち、領域Q1+領域Q2)が本願発明の第1分離室に相当する。別言すれば、第1分離室に相当する領域Qは分離及び貯留機能を有する。
【0054】
次いで、領域Fより右方の内部空間62の領域Gについて説明する。この領域Gは矩形状突出部70及び2つの対向する第2直線部71、71を有する。
【0055】
前記矩形状突出部70は本体部61の底壁61bから上方に突き出て形成される下方解放で水平断面矩形状の突状部分であり、
図6に示すように、内壁面70a、外壁面70b、上壁面70c及び対向する2つの側壁面70d、70dを有する。
【0056】
そして、内壁面70aは、筒状体63の内周面の一部から上方に伸びて第1おねば貯留室68及び上部室69の一部壁面を兼用し、外壁面70bは、本体部61の内部空間62の内壁面を兼用し、上壁面70cは、下流側に向かって下がる傾斜面(本願発明の第2分離室の底面に相当)とされ、2つの側壁面70d、70dは、本体部61の内部空間62の内壁面を兼用する。
【0057】
前記2つの第2直線部71、71は、前記2つの側壁面70d、70dと一体になり且つ沿う形態で上方に伸びる部分であって、上下方向では本体部61の上端61aの高さまで伸び、左右方向では矩形状突出部70の内壁面70aと外壁面70bとの間の長さまで伸びている。
【0058】
そして、2つの第2直線部71、71と上壁面70c(本願発明の第2分離室の底面に相当)と後記する蓋部80の底面との間で縦断面矩形状の通路空間75を形成する。この通路空間75は、
図6で矩形状の破線の領域Rに相当し、本願発明の第2分離室に相当する。
【0059】
2つの第2直線部71、71は、2つの直線部64b、64bに対し一体化されるとともに、若干折り曲げられた方向に伸びており、全体として平面視で根本近傍がく字状に折れ曲がった形状を呈し、蒸気通路兼おねば分離室を形成する。そのため、流路兼分離室構造体100を上から見ると、
図5に示すように中央が若干折れ曲がった略U字状を呈する。なお、通路空間75の形状は矩形状以外のもの、例えば、円、楕円、多角状等のものでもよく、く字状は直線状であっても、複数に折れ曲がったり、円弧状等いろいろな形状であってもよい。
【0060】
また、通路空間75の底壁面75aは、矩形状突出部70の上壁面70cの上面に相当し、上壁面70cと同様に下流に向かって下がる傾斜面であり、その上流端である上端部75aaは上部室69に臨み、その下流端である下端部75abは内部空間62に臨む(
図6参照)。
【0061】
そして、上端部75aaの上方に縦断面矩形状の連通開口76(本願発明の連通開口に相当)を形成し、下端部75abの上方に縦断面矩形状の出口開口77を形成する。なお、蓋部80の底面(
図6の水平な破線、
図7の蓋部80参照)はほぼ水平であるため、連通開口76の一部である上端部75aa(本願発明の連通開口の下端に相当)は、縦壁65の上端65aより上方に位置するとともに、連通開口76の面積は、出口開口77のものより小さい。別言すれば、両開口76、77の幅は同じであり、連通開口76の高さhは、出口開口77の高さHより小さい(
図6及び
図7参照)。
【0062】
上記のように、領域Rである上部室69から通路空間75に浸入するおねばを含んだ蒸気は、連通開口76により絞られて流速が増すとともに、通路空間75は上部室69に対して折り曲げられているので、外側に位置する第2直線部71に当接する。さらに、通路空間75は下流側に向かって底壁面75aが広がっているので、軽い蒸気は蓋部80の底面に沿って流れ、重いおねばは傾斜する底壁面75aに沿って流れるようになる。その結果、通路空間75内でのおねばの分離が向上するとともに、蒸気の流速が早まって省エネ効果が向上する。
【0063】
流路兼分離室構造体100は、上記したように集約して形成されるため全体をコンパクトに形成することができ、その結果、調圧ユニット60を小型化することができる。
【0064】
上記したように、筒状突出体64は、本体部61の底壁61bの前方側且つ中央に設けられる円形の凹嵌部641内に配設されるため、凹嵌部641は水平断面C字状になり、その下端にC字状の第2おねば戻し口641aを有する(
図5参照)。
【0065】
更にC字状の第2おねば戻し口641aの中央には放射方向に幅の狭い1個の補強部材である連結片78が形成されており、第2おねば戻し口641aを左右の2個に分割している。
【0066】
このように、筒状体63の底部に、その中央に蒸気開口67aと、その同一外周上に第1おねば戻し口68aと第2おねば戻し口641aとを集約して設けることにより調圧ユニット60の形状を簡素化し、且つ小型化することができる。
【0067】
そして、蒸気開口67aの下端には逆止弁79が嵌合される(
図6及び
図7参照)。逆止弁79は筒状部79a及びリング部79bからなるシリコン製の部材であり、筒状部79aは中空状のもので内部に蒸気が流れ、その上端外周部には外方に突き出て蒸気開口67aに嵌合するリング状突部79cを有する。
【0068】
また、前記リング部79bは筒状部79aの下端より外方に広がる形態で筒状部79aに一体的に連結する厚さの薄いリング状の部材であり、その上面は1つの第1おねば戻し口68aと2つの第2おねば戻し口641a、641aとに同時に対向する。
【0069】
そして、筒状部79aのリング状突部79cが蒸気開口67aに嵌合すると、
図6及び
図7に示すように、リング部79bは1つの第1おねば戻し口68aと2つの第2おねば戻し口641a、641aとの間に隙間を有して位置するが、内鍋23内で蒸気が発生するとその蒸気圧で持ち上げられ、第1おねば戻し口68aと第2おねば戻し口641aとを同時に閉鎖し、第1おねば貯留室68と凹嵌部641内に所定量のおねばが溜まるとその重さで下方に下がり、第1おねば戻し口68aと第2おねば戻し口641aを同時に解放しておねばを内鍋23内に戻す。
【0070】
このように、第1おねば戻し口68aと第2おねば戻し口641aとを1個の弁で開閉することにより、部品点数を低減し生産コストを低減することができるとともに、調圧ユニット60をより小型化することができる。
【0071】
前記蓋部80は、
図8及び
図9に示すように平面視矩形状の板状部材であり、その上面中央には上下方向に貫通し左右方向に細長い蒸気排出口81を有し、その全外周下端には高さの低いスカート状側壁部82が垂下している。
【0072】
スカート状側壁部82の右方には、水平方向に並ぶ2つの第1係止溝83、83を有し、その左方には、中央に1つの切欠き84と、切欠き84の両側に2つの第2係止溝85を有し、その後方には、内側に円弧状にへこんだ窪み86を有する。
【0073】
そして、蓋部80の取り付け時、まず、本体部61の2つの第1係止突起613、613を蓋部80の2つの第1係止溝83、83に係止し、次いで、その係止箇所を支点にして蓋部80を左方に回転し、本体部61の2つの第2係止突起615b、615bを蓋部80の2つの第2係止溝85、85に係合して取り付けることになり、取り外し持には、本体部61側の押圧ボタン615aを押し、本体部61の2つの第2係止突起615b、615bを押し下げ、蓋部80の2つの第2係止溝85、85との係合を解除して取り外すことになる。
【0074】
なお、窪み86は、本体部61の窪み614と一致し、蓋上部材41後方の円弧状凹部49に対向し、円弧状凹部49に指が入りやすくする。
【0075】
また、蓋部80のスカート状側壁部82の内側には、略矩形状のシール材87が取り付けられており(
図9参照)、蓋部80の閉蓋持、本体部61内を密封する。
【0076】
更に、蓋部80の底面には、
図9に示すようなカバー部材88が垂下する形態で設けられる。このカバー部材88は、上記流路兼分離室構造体100の上端形状より若干大きい相似形、即ち、中央が若干折れ曲がった略U字状で、蓋部80の閉蓋持、流路兼分離室構造体100の全上端を外側からカバーし、本体部61と蓋部80とで調圧ユニット60に第1分離室及び第2分離室を形成する。
【0077】
調圧ユニット60内でのおねば及び蒸気の流れ等について流路兼分離室構造体100の上部に蓋部80を取り付けた
図7により説明する。なお、破線矢印はおねばの流れを示し、実線矢印は蒸気の流れを示す。
【0078】
内鍋23内で発生する蒸気は、おねばとともに蓋体40内の蓋体蒸気通路52を介して流れ、逆止弁79の筒状部79aの中空部を介して破線矢印(1)、実線矢印(1’)のように入口側蒸気通路67に浸入し、破線矢印(2)、実線矢印(2’)に示すようにその大部分は蓋部80の底面に衝突し、向きを出口方向に変える。
【0079】
上記のように衝突するとおねば中の粘りが強く重いおねばはその重力で早めに下方に下がる形態で破線矢印(3)(但し、一部蒸気も含む。)のように流れる、即ち、蒸気から分離されて流れるようになり、おねば中の粘りが弱く軽いおねばは蒸気に混入した状態で破線矢印(6)のように流れる、即ち、蒸気の流れである実線矢印(3’)に沿って流れるようになる。
【0080】
破線矢印(3)のように流れる一部蒸気を含む粘りが強いおねばは、矩形状突出部70の内壁面70aに衝突して含む蒸気を分離して破線矢印(4)のように流れて第1おねば貯留室68に溜まる。そして、溜まる量が一定以上になると、その重みで逆止弁79を解放して破線矢印(5)で示すように流れ出て内鍋23内に戻る。
【0081】
このように、縦壁65の上端65aは、連通開口76の下端、即ち、上端部75aaより低いため、連通開口76に直接流れるおねば量を低減する、即ち、上部室69でのおねばの分離効率を高めることができる。
【0082】
破線矢印(6)及び実線矢印(3’)として連通開口76に流れる蒸気等は、連通開口76で絞られる結果、早い速度で第2分離室である通路空間75に浸入し、その一部は折れ曲がり部近傍の第2直線部71内周面に衝突し、一部のおねばを分離する。
【0083】
連通開口76は先に行くほど広くなっているとともに、その底壁面75aは下方に向かって傾斜しているので、蒸気より重い残りのおねばである主として粘りが弱いおねばは、蒸気衝突及び/又は重力により破線矢印(7)のように底壁面75aに沿って流れ、おねばより軽い蒸気は実線矢印(4’)のように蓋部80の底面に沿って流れるようになる。即ち、通路空間75は分離及び通路機能を有する。
【0084】
通路空間75で分離される粘りが弱いおねばは、底壁面75aに沿って流れて破線矢印(8)のように内部空間62に流入し、傾斜する底壁61bに沿って凹嵌部641に流れ込み、貯留され、一定量溜まるとその重みで逆止弁79を解放して内鍋23内に戻る。
【0085】
また、実線矢印(4’)のように流れる蒸気は、おねばの抵抗が低減するため早い速度で内部空間62に流入し、調圧されて蒸気排出口81から放出される。このように蒸気の流れを速めることができるため蒸気の流動性が高まり、その結果、省エネに資することができる。
【0086】
本発明は、前記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。