特許第6460495号(P6460495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6460495ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6460495
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20190121BHJP
   C08J 3/24 20060101ALI20190121BHJP
   C08F 220/18 20060101ALI20190121BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20190121BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20190121BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20190121BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20190121BHJP
   C08K 5/06 20060101ALI20190121BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20190121BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20190121BHJP
   A61L 15/24 20060101ALI20190121BHJP
   A61L 15/60 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   C08J3/12 ACEY
   C08J3/24 Z
   C08F220/18
   C08L33/02
   C08K5/17
   C08L71/02
   C08K5/053
   C08K5/06
   A61F13/15 320
   A61F13/53 300
   A61L15/24 200
   A61L15/60 200
【請求項の数】17
【全頁数】95
(21)【出願番号】特願2017-524903(P2017-524903)
(86)(22)【出願日】2016年6月20日
(86)【国際出願番号】JP2016068311
(87)【国際公開番号】WO2016204302
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2017年9月12日
(31)【優先権主張番号】特願2015-123529(P2015-123529)
(32)【優先日】2015年6月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】従野 剛
(72)【発明者】
【氏名】武田 大介
(72)【発明者】
【氏名】池内 義貴
(72)【発明者】
【氏名】阪本 繁
(72)【発明者】
【氏名】正保 好啓
(72)【発明者】
【氏名】足立 芳史
(72)【発明者】
【氏名】若林 亮太
(72)【発明者】
【氏名】高木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】北畑 幸恵
【審査官】 岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/126079(WO,A1)
【文献】 特開昭55−133413(JP,A)
【文献】 特開平10−119042(JP,A)
【文献】 特開2014−198853(JP,A)
【文献】 特開2014−098172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00−3/28、99/00
C08C 19/00−19/44
C08F 6/00−246/00、301/00
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
A61F 13/15−13/84
A61L 15/24、15/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液を調製する工程と、
(ii)前記(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液を重合する工程と、
(iii)重合中又は重合後の含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕し、含水ゲル粒子を得る工程と、
(iv)前記含水ゲル粒子を乾燥し、乾燥物を得る工程と、
(v)前記乾燥物を粉砕及び/又は分級して吸水性樹脂粉末を得る工程と、
(vi)前記吸水性樹脂粉末を表面架橋し、吸水性樹脂粒子を得る工程と、
(vii)前記吸水性樹脂粉末または前記吸水性樹脂粒子に通液性向上剤を添加する工程と、を含み、
工程(iii)ないし工程(iii)以前に、前記含水ゲル状架橋重合体及び/又は前記含水ゲル粒子が接着することを制御する接着制御剤を添加することを有し、ここで、前記接着制御剤が、非イオン性物質、両イオン性物質、アニオン性物質およびカチオン性物質から選ばれる1種以上の化合物であり、前記非イオン性物質が、(a)ポリオール類、(b)ポリオール類のヒドロキシ基の変性物、(c)側鎖及び/又は末端ポリエーテル変性ポリシロキサン、(d)高級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物であり、前記両イオン性物質が、(e)アルキルアミノベタインまたは(f)アルキルアミンオキサイドであり、前記アニオン性物質が、(g)高級アルコールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩または(h)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩であり、前記カチオン性物質が、(i)アンモニウム塩であり、
前記含水ゲル粒子の固形分が10〜80重量%となり、かつ、乾燥物として換算した際の前記含水ゲル粒子の重量平均粒子径が50〜650μmとなるように調整し、
ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤の表面張力が60mN/m以上となり、無加圧下吸収倍率(CRC)が28g/g以上となるように調整する、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とする、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤の製造方法。
【請求項2】
前記接着制御剤の添加量が、前記含水ゲル状架橋重合体の原料モノマーに対して0.01〜5重量%である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記非イオン性物質または前記(g)高級アルコールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩の重量平均分子量が、それぞれ独立して、200〜200,000である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記(a)ポリオール類が、(ポリ)アルキレングリコールである、請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記(b)ポリオール類のヒドロキシ基の変性物が、(b−1)グリシジル変性ポリオール類、(b−2)高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、または(b−3)多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物であり、
(b−1)が、(ポリ)アルキレングリコールの末端の少なくとも一つがグリシジル基で修飾されているものであり、
(b−2)が、(ポリ)アルキレングリコールの片末端がC1〜C30の炭化水素を有する置換基で修飾されたものであり、
(b−3)が、多価アルコールのヒドロキシ基の少なくとも1つがアルキレンオキサイドで修飾され、かつ、多価アルコールのヒドロキシ基の少なくとも1つにエステル結合を介してC1〜C30の炭化水素を有する置換基で修飾されたものであり、該多価アルコールが、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタンまたは糖類である、請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記(d)高級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物が、下記式5:
【化1】
で示される化合物であり、Rは、炭素数C1〜C30の炭化水素基、AOおよびAOは、C2nO(nは1〜6の自然数)を表し、a、bはそれぞれ異なっていても、同じでもよく、a+bは、1〜1000を満たす、請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記(g)高級アルコールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩が、(ポリ)アルキレングリコールの1つの末端がC1〜C30の炭化水素を有する置換基で修飾され、かつ、もう1つの末端が硫酸エステル塩である、請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
工程(i)における、前記(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の中和率が、40〜90モル%である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ゲル粉砕の工程を、複数のゲル粉砕機を用いて行う、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤の重量平均粒子径(D50)が、300〜500μmである、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記通液性向上剤が、水不溶性無機微粒子である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記乾燥物として換算した際の前記含水ゲル粒子の重量平均粒子径が、130〜460μmである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とする、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤であって、以下(1)〜(5):
(1)無加圧下吸収倍率(CRC)が28g/g以上、
(2)GCAが28.0g/g以上、
(3)FGBPとGCAの関係が、
GCAが28.0g/g以上、35.0g/g未満の範囲においては
FGBP≧−10×10−9×GCA+380×10−9cmを満たし、
GCAが35.0g/g以上においては、FGBP≧30×10−9cmを満たし、
(4)粒子状吸水剤の重量平均粒子径(D50)が300〜500μm、
(5)表面張力が60mN/m以上、
を満たす、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤。
【請求項14】
GCAが31.0g/g以上である、請求項13に記載のポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤。
【請求項15】
内部及び/又は表面に、非イオン性物質、両イオン性物質、アニオン性物質およびカチオン性物質から選ばれる1種以上の化合物に含まれ、前記非イオン性物質が、(a)ポリオール類、(b)ポリオール類のヒドロキシ基の変性物、(c)側鎖及び/又は末端ポリエーテル変性ポリシロキサン、(d)高級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物であり、前記両イオン性物質が、(e)アルキルアミノベタインまたは(f)アルキルアミンオキサイドであり、前記アニオン性物質が、(g)高級アルコールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩または(h)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩であり、前記カチオン性物質が、(i)アンモニウム塩である、請求項13または14に記載のポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤。
【請求項16】
通液性向上剤をさらに含む、請求項1315のいずれか1項に記載のポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤。
【請求項17】
請求項1316のいずれか1項に記載のポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤を含む、衛生材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とする粒子状吸水剤に関する。さらに詳しくは、紙おむつ等の吸収性物品の性能を向上させることが出来る粒子状吸水剤に関する。
【背景技術】
【0002】
吸水性樹脂(SAP/Super Absorbent Polymer)は水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤であり、体液の吸収性に優れた特性を示す。その為、吸水性樹脂を主成分とする吸水剤は、紙おむつ、生理用ナプキン等の吸収物品、さらには、農園芸用保水剤、工業用止水材等の用途に多用されている。このような吸水剤を構成する吸水性樹脂の原料として多くの単量体や親水性高分子が提案されているが、価格と性能の観点から、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩を主成分として用いたポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂が工業的に最も多く用いられている。かかる吸水性樹脂は、重合工程、乾燥工程、必要により未乾燥物の除去工程、粉砕工程、分級工程、表面架橋工程等を経て製造される(非特許文献1)。
【0003】
吸水性樹脂(吸水剤)の主用途である紙おむつを例に挙げると、尿漏れ、肌かぶれの改善が求められている。これらを評価する方法としては、圧力がかかった状態で紙おむつからの戻り量を測定する方法、圧力がかかった状態で紙おむつの吸液時間を測定する方法が提案されている。紙おむつ着用者の体重がかかった状態において尿が紙おむつの中に取り込まれにくくなる場合、あるいは、取り込まれても吸水剤による吸収が遅い場合に尿漏れや肌かぶれが起こると推定されている。そして、圧力がかかった状態での吸水剤の吸収性を改善しつつ吸水剤の吸水速度を向上させる事が、紙おむつの戻り量、吸液時間を低減し、引いては尿漏れ、肌かぶれの低減につながると考えられている。
【0004】
近年、紙おむつが普及し、広く世界で使用されている。紙おむつにおいては、吸水剤はパルプと混合した形で使用される。地域によってはパルプの重量が吸水剤の重量より多い、いわゆる低吸水剤濃度(吸水性樹脂濃度が50重量%未満)吸収体が好んで使用されるが、別の地域では吸水剤量がパルプの重量より多い、いわゆる高吸水剤濃度(吸水性樹脂濃度が50重量%以上の)吸収体が好んで使用され、パルプを使用しない吸水性樹脂のみの吸収体も好んで使用される。
【0005】
従来から、これらの紙おむつの戻り量を低減し、紙おむつの吸液時間を短縮する為に、圧力がかかった状態での吸収特性を向上させる技術が数多く提案されている。
【0006】
具体的には、4種類の異なる圧力下での吸水倍率の総和(PAI)が高い吸水剤を紙おむつに使用する技術(特許文献1)、圧力がかかった状態のSAP層において、垂直方向だけでなく水平方向の液の拡散性を向上させる技術(特許文献2、3)、単位面積当たりのSAP量が多い状態での加圧下吸水倍率を向上させる技術(特許文献4、5)、吸水剤と接触するガラスフィルターと液供給側の液面との間に高さの差をつけた状態で測定される加圧下吸水倍率を向上させる技術(特許文献6,7)等が提案されている。特に特許文献7では、GCA(Gel Capilary Absorption。ゲル毛管吸収)という短時間での液の吸引能力を評価する新規なパラメータを導入し、この値が高いほど戻り量が低減できることが提案されている。
【0007】
確かに、GCAを向上させた吸水剤を使用した場合、従来主流であった吸水剤の含有量が少ない吸収体では戻り量低減効果を発揮するが、高濃度、或いはパルプを使用しない吸収体では液の取り込み速度や戻り量の点で必ずしも期待した効果が確認できないという問題を抱えていた。
【0008】
また、特許文献7においてGCAが向上した吸水剤の製造方法としては、発泡を導入する技術、微粒子状の吸水性樹脂乾燥物を水又はお湯と高速混合して造粒する技術等が使用されている。
【0009】
また、重合ゲルを粉砕する技術としては、重合ゲルを粉砕する際に特定のエネルギーで粉砕しゲル粒子を形成する技術(特許文献8〜10)や特定形状のゲル粉砕機(ミートチョパー)を使用する技術(特許文献11〜14)が提案されている。
【0010】
上記特許文献7などに記載の発泡技術については、モノマー溶液中への気泡の分散安定化が難しく、安定的に製造することが難しかった。また、多量の界面活性剤などで気泡を安定化させた場合には、表面張力の低下等の問題が発生する場合もあった。
【0011】
上記特許文献7などに記載の発泡を導入する技術については、粉砕時に製品とならない微粉の生成量が多くなり、生産効率が大きく低下してしまう問題や、吸水性樹脂乾燥物が脆くなり、輸送工程でのダメージを受けやすくなるため、加圧下吸収倍率などの物性が大きく低下する問題を抱えていた。また上記特許文献7などに記載の造粒技術については、微粒子状の吸水性樹脂乾燥物に水又はお湯を添加して造粒して乾燥するため、製造効率に改善の余地があり、乾燥プロセスを複数回行うことによる吸水性樹脂の劣化による性能低下の問題を抱えていた。また、ゲル粉砕機や粉砕条件に関する技術である(特許文献8〜14)や重合ゲルの重合時或いは粉砕時にポリエチレングリコールや疎水性物質などの添加剤を添加する技術(特許文献15〜12)では、その粉砕条件がGCAを向上させるには不十分なものであったり、表面張力が大きく低下したりする問題を抱えたものであった。逆相懸濁重合法で造粒粒子を作る技術(特許文献21、22)も提案されているが、工程が煩雑である問題、有機溶媒の残存による問題があるほか、表面張力の低下により戻り量が増えるなど紙おむつでの性能改善効果が不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5601542号明細書
【特許文献2】米国特許第5760080号明細書
【特許文献3】米国特許第5797893号明細書
【特許文献4】米国特許第6297335号明細書
【特許文献5】国際公開第2011/040472号パンフレット
【特許文献6】米国特許第7108916号明細書
【特許文献7】国際公開第2015/129917号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2011/126079号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2013/002387号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2014/118024号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2015/030129号
【特許文献12】国際公開第2015/030130号
【特許文献13】欧州特許出願公開第0574248
【特許文献14】米国特許第5275773号
【特許文献15】国際公開第2008/096713号パンフレット
【特許文献16】国際公開第2009/075204号パンフレット
【特許文献17】日本国特許第4341143号明細書
【特許文献18】国際公開第2010/073658号パンフレット
【特許文献19】国際公開第97/19116号パンフレット
【特許文献20】国際公開第2004/096304
【特許文献21】米国特許第5180798号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2013/0130017号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Modern Superabsorbent Polymer Technology(1998)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、以下の少なくとも1つの課題を解決することを目的とする。
【0015】
戻り量が低減され、優れた液の取り込み速度を有する、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤を提供することを目的とする。
【0016】
また、戻り量が低減され、優れた液の取り込み速度を持つ、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤の製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
高い吸収剤濃度において戻り量が低減され、優れた液の取り込み速度を持った、衛生材料(例えば、紙おむつ)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以上、多くのパラメーターを制御した吸水性樹脂が提案されており、特許文献1〜6などの従来技術に対して本発明者らは、新規パラメーターであるGCA(Gel Capillary Absorption。ゲル毛管吸収)に着目した特許文献7で示される出願したが、いまだ不十分な点が見出された。
【0019】
そこで、上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、新規パラメーターであるGCA(Gel Capillary Absorption。ゲル毛管吸収)に着目した特許文献7では通液性がいまだ不十分であり、本発明者らは、GCAに加えて、通液性の新たな指標であるFGBP(Free Gel Bed Permeability)が高いことで、前記課題を解決できること見出した。
【0020】
すなわち、本発明は、(i)(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液を調製する工程と、(ii)前記(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液を重合する工程と、(iii)重合中又は重合後の含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕し、含水ゲル粒子を得る工程と、
(iv)前記含水ゲル粒子を乾燥し、乾燥物を得る工程と、(v)前記乾燥物を粉砕及び/又は分級して吸水性樹脂粉末を得る工程と、(vi)前記吸水性樹脂粉末を表面架橋し、吸水性樹脂粒子を得る工程と、(vii)前記吸水性樹脂粉末または前記吸水性樹脂粒子に通液性向上剤を添加する工程と、を含み、工程(iii)ないし工程(iii)以前に、前記含水ゲル状架橋重合体及び/又は前記含水ゲル粒子が接着することを制御する接着制御剤を添加することを有し、前記含水ゲル粒子の固形分が10〜80重量%となり、かつ、乾燥物として換算した際の前記含水ゲル粒子の重量平均粒子径が50〜650μmとなるように調整し、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤の表面張力が60mN/m以上となり、無加圧下吸収倍率(CRC)が28g/g以上となるように調整する、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とする、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤の製造方法が提供される。
【0021】
また、本発明によれば、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とする、ポリアクリル酸(塩)系粒子状吸水剤であって、以下(1)〜(5):(1)無加圧下吸収倍率(CRC)が28g/g以上、(2)GCAが28.0g/g以上、(3)FGBPとGCAの関係が、GCAが28.0g/g以上、36.0g/g未満の範囲においては、FGBP≧−10×10−9×GCA+380×10−9cmを満たし、GCAが36.0g/g以上においては、FGBP≧30×10−9cmを満たし、(4)粒子状吸水剤の重量平均粒子径(D50)が300〜500μm、(5)表面張力が60mN/m以上、を満たす、ポリアクリル酸(塩)系粒子状吸水剤が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、以下の少なくとも1つの効果がある。
【0023】
戻り量が低減され、優れた液の取り込み速度を有する、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤を提供することができる。
【0024】
また、戻り量が低減され、優れた液の取り込み速度を持つ、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤の製造方法を提供することができる。
【0025】
高い吸収剤濃度において戻り量が低減され、優れた液の取り込み速度を持った、衛生材料(例えば、紙おむつ)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は本発明のGCA測定に使用される装置の模式図である。
図2図2は実施例9の吸水性樹脂粉末のSEM写真(倍率30倍)である。
図3図3は実施例9の吸水性樹脂粉末のSEM写真(倍率130倍)である。
図4図4は比較例1の吸水性樹脂粉末のSEM写真(倍率30倍)である。
図5図5は比較例5の吸水性樹脂粉末のSEM写真(倍率130倍)である。
図6図6は実施例、比較例との関係を示す相関図である。
図7図7は本発明の吸収体評価に使用される装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る粒子状吸水剤及びその製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。具体的には、本発明は下記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0028】
〔1〕用語の定義
(1−1)「粒子状吸水剤」
本発明において、「粒子状吸水剤」とは、吸水性樹脂粒子を主成分(好ましくは全体の60重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上)とする水性液のゲル化剤であり、その他に任意の成分として水、無機微粒子、吸湿ブロッキング抑制剤、カチオン性高分子化合物、水溶性多価金属カチオン含有化合物、界面活性剤、発塵抑制剤、着色防止剤、耐尿性向上剤、消臭剤、香料、抗菌剤、発泡剤、顔料、染料、肥料、酸化剤、還元剤等を、それぞれ0〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜1重量%含有してもよい。なお、本明細書において、「粒子状吸水剤」を単に「吸水剤」と称する場合もある。
【0029】
(1−2)「吸水性樹脂」
本発明における吸水性樹脂とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味する。なお、「水膨潤性」とは、ERT441.2−02で規定するCRC(無加圧下吸水倍率)が5g/g以上であることをいい、また、「水不溶性」とは、ERT470.2−02で規定するExt(可溶分)が0〜50重量%であることをいう。
【0030】
また、吸水性樹脂は全量(100重量%)が重合体に限定されず、上記性能を維持する範囲内において、添加剤等を含んでもよく、少量の添加剤を含有する吸水性樹脂組成物も本発明では吸水性樹脂と総称する。なお、吸水性樹脂の形状として粉末状が好ましく、特に好ましくは後述の粒度を有する粉末状の吸水性樹脂がよい。なお、本発明においては、「吸水性樹脂」を「吸水性樹脂粉末」また「吸水性樹脂粒子」と称することもある。
【0031】
(1−3)「ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂」
本発明における「ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂」とは、任意にグラフト成分を含み、繰り返し単位として、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩(以下、(メタ)アクリル酸(塩)と称する)を主成分とする重合体を意味する。
【0032】
具体的には、重合に用いられる総単量体(架橋剤を除く)のうち、(メタ)アクリル酸(塩)を50〜100モル%含む重合体をいい、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは実質100モル%を含む吸水性樹脂をいう。また、本発明では、ポリ(メタ)アクリル酸塩型(中和型)の重合体もポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂と総称する。
【0033】
(1−4)「EDANA」及び「ERT」
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(EDANA Recommended Test Methods)の略称である。本発明では、特に断りのない限り、ERT原本(2002年改定/公知文献)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
【0034】
(1−4−1)「CRC」(ERT441.2−02)
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率(「吸水倍率」と称する場合もある)を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して自由膨潤させ、その後、遠心分離機(250G)で水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
【0035】
(1−4−2)「AAP」(ERT442.2−02)
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、吸水性樹脂の加圧下吸水倍率を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.9gを大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対して、1時間、2.06kPa(21g/cm、0.3psi)荷重下で膨潤させた後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。また、ERT442.2−02には、Absorption Under Pressureと表記されているが、実質的に同一内容である。
【0036】
(1−4−3)「PSD」(ERT420.2−02)
「PSD」は、Particle Size Distributionの略称であり、篩分級により測定される、吸水性樹脂の粒度分布を意味する。なお、重量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、米国特許第7638570号に記載された「(3)Mass−Average Particle Diameter (D50) and Logarithmic Standard Deviation (σζ) of Particle Diameter Distribution」と同様の方法で測定する。
【0037】
(1−4−4)「Ext」(ERT470.2−02)
「Ext」は、Extractablesの略称であり、吸水性樹脂の水可溶分(水可溶成分量)を意味する。具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで16時間攪拌した後の溶解ポリマー量(単位;重量%)のことをいう。溶解ポリマー量の測定は、pH滴定を用いて行う。
【0038】
(1−5)GCA(参照;特許文献7)
特許文献7で初めて着目され記載の新規パラメーター(ゲル毛管吸収力)であり、ガラスフィルターの上面とマリオット管の下部のメニスカスとの間に高さ10cmの差をつけた状態で0.05psiの荷重下、10分間の液吸収能力を評価するものである。
【0039】
(1−6)FGBP(Free Gel Bed Permeabilty)
吸水剤0.9gをそのままセル中で生理食塩水に対して自由膨潤させた後に荷重下で、ゲル層の通液性を測定するものである。特許文献WO2004/096304など「GBP」として知られている従来技術のGBPが全粒子中の特定粒度(300μm〜600μmのみを篩い分けしてする)の測定を行うことに対して、FGBPは篩分けを行わずにあり姿のままの粒度(即ち全吸収剤粒子)での測定であり、吸水剤本来の通液性が評価できる。
【0040】
(1−7)その他
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、「X以上Y以下」であることを意味する。又、重量の単位である「t(トン)」は、「Metricton(メトリックトン)」であることを意味し、さらに、特に注釈のない限り、「ppm」は「重量ppm」を意味する。又、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」、「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。さらに、「〜酸(塩)」は「〜酸及び/又はその塩」を意味し、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。又、物性等の測定に関しては、特に断りのない限り、室温(20〜25℃)、相対湿度40〜50%RHで測定する。
【0041】
〔2〕粒子状吸水剤の製造方法
上述したように、本発明に係る粒子状吸水剤の製造方法は、(i)(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液を調製する工程と、(ii)前記(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液を重合する工程と、(iii)重合中又は重合後の含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕し、含水ゲル粒子を得る工程と、(iv)前記含水ゲル粒子を乾燥し、乾燥物を得る工程と、(v)前記乾燥物を粉砕及び/又は分級して吸水性樹脂粉末を得る工程と、(vi)前記吸水性樹脂粉末を表面架橋し、吸水性樹脂粒子を得る工程と、(vii)前記吸水性樹脂粉末または前記吸水性樹脂粒子に通液性向上剤を添加する工程と、を含み、工程(iii)ないし工程(iii)以前に、前記含水ゲル状架橋重合体及び/又は前記含水ゲル粒子が接着することを制御する接着制御剤を添加することを有し、前記含水ゲル粒子の固形分が10〜80重量%となり、かつ、乾燥物として換算した際の前記含水ゲル粒子の重量平均粒子径が50〜650μmとなるように調整し、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤の表面張力が60mN/m以上となり、無加圧下吸収倍率(CRC)が28g/g以上となるように調整する、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とする、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤の製造方法である。
【0042】
このように、重合工程で得られた含水ゲル状架橋重合体を特定の重量平均粒子径(乾燥物として換算した際の前記含水ゲル粒子の重量平均粒子径が50〜650μm)まで粉砕し、乾燥した後、表面架橋中又は表面架橋後に通液向上剤を添加することによって、GCA(Gel Capillary Absorption)とFGBP(Free Gel Bed Permeability)に優れた吸水剤を得ることが出来、本発明の所期の課題を解決できる。
【0043】
また、本発明によれば、(i)(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液を調製する工程と、(ii)前記(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液を重合する工程と、(iii)重合中又は重合後の含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕し、含水ゲル粒子を得る工程と、(iv)前記含水ゲル粒子を乾燥し、乾燥物を得る工程と、(v)前記乾燥物を粉砕及び/又は分級して吸水性樹脂粉末を得る工程と、(vi)前記吸水性樹脂粉末を表面架橋し、吸水性樹脂粒子を得る工程と、(vii)前記吸水性樹脂粉末または前記吸水性樹脂粒子に通液性向上剤を添加する工程と、を含み、工程(iii)ないし工程(iii)以前に、前記含水ゲル状架橋重合体及び/又は前記含水ゲル粒子が接着することを制御する接着制御剤を添加することを有し、前記含水ゲル粒子の固形分が10〜80重量%となり、かつ、前記含水ゲル粒子の重量平均粒子径が100〜900μmとなるように調整し、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤の表面張力が60mN/m以上となり、無加圧下吸収倍率(CRC)が28g/g以上となるように調整する、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とする、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤の製造方法も提供される。
【0044】
このように、重合工程で得られた含水ゲル状架橋重合体を特定の重量平均粒子径(含水ゲル粒子の重量平均粒子径が100〜900μm)まで粉砕し、乾燥した後、表面架橋中又は表面架橋後に通液向上剤を添加することによって、GCA(Gel Capillary Absorption)とFGBP(Free Gel Bed Permeability)に優れた吸水剤を得ることが出来、本発明の所期の課題を解決できる。
【0045】
本明細書においては、「乾燥物として換算した際の含水ゲル粒子の重量平均粒子径が50〜650μm」であること、および、「含水ゲル粒子の重量平均粒子径が100〜900μm」であることの少なくとも一方を、単に「ゲル粉砕後の粒径が有意に小さい」と称する場合がある。
【0046】
なお、上記製造方法において、工程(i)〜工程(vii)はこの順で「順次」行われることが好ましいが、各工程が前或いは後工程と当時に行われてもよい。
【0047】
上記の各工程間の時間は、輸送時間や貯蔵時間を含めて適宜決定され、その時間として好ましくは0秒以上2時間以内、より好ましくは1秒以上1時間以内である。
【0048】
以下、本発明に係る粒子状吸水剤の製造方法について主として経時的な順序に沿って説明するが、製造方法は上述した必須の工程をそれぞれ有していればよく、各製造方法の主旨を逸脱しない範囲でその他の工程をさらに含んでもよい。
【0049】
(2−1)(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製工程(工程(i))
本明細書において、「(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液」とは、(メタ)アクリル酸(塩)を主成分とする単量体の水溶液であって、必要により架橋剤、グラフト成分や微量成分(キレート剤、界面活性剤、分散剤等)等の吸水性樹脂を構成する成分が調合されたものを指し、そのままの状態で重合開始剤を添加して重合に供されるものをいう。
【0050】
上記(メタ)アクリル酸(塩)としては、未中和でも、塩型(完全中和型又は部分中和型)でもよく、また、単量体水溶液としては、飽和濃度を超えてもよく、(メタ)アクリル酸(塩)の過飽和水溶液やスラリー水溶液(水分散液)であっても、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液として扱う。なお、得られる吸水性樹脂の物性の観点から、飽和濃度以下の(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液を用いることが好ましい。
【0051】
また、単量体を溶解させる溶媒としては水が好ましく、(メタ)アクリル酸(塩)系単量体は水溶液として扱われる。ここで、「水溶液」とは、溶媒の100重量%が水である場合のみに限定されず、水に加えて水溶性有機溶剤(例えば、アルコール等)を、溶媒の全量100重量%としたときに0〜30重量%、好ましくは0〜5重量%の量で併用してもよく、本発明ではこれらを水溶液として扱う。
【0052】
本明細書において、後述する「調製中の(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液」とは、上記(メタ)アクリル酸(塩)を主成分とする単量体水溶液に、すべての構成成分が混合される前の(メタ)アクリル酸(塩)の水溶液をいい、具体的には(メタ)アクリル酸水溶液、完全中和又は部分中和の(メタ)アクリル酸(塩)水溶液が該当する。
【0053】
調製中の(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液をさらに中和したり、溶媒である水を混合したり、上記微量成分等を混合したりすることで、最終的な(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液とされる。なお、この最終的な(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液について、重合装置に投入される前又は重合装置に投入された後重合が開始する前の状態を、「重合工程前の調製後の(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液」という。
【0054】
(2−1−1)単量体
本発明の吸水性樹脂には、(メタ)アクリル酸(塩)を主成分とする単量体が使用される。主成分とは、単量体(内部架橋剤を除く)全体に対して、(メタ)アクリル酸(塩)が通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上(上限は100モル%)含まれる状態を指す。
【0055】
なお、本発明においてポリ(メタ)アクリル酸(塩)は、未中和(中和率0モル%)に限定されず、部分中和或いは完全中和(中和率100モル%)を含む概念である。
【0056】
(メタ)アクリル酸(塩)を単量体の主成分として含んでいれば、それ以外に重合により吸水性樹脂となる単量体を含んでもよく、例えば、(無水)マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、ビニルスルホン酸、アリルトルエンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート等のアニオン性不飽和単量体(塩);メルカプト基含有不飽和単量体;フェノール性水酸基含有不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体等が挙げられる。また前記吸水性樹脂は前記他の単量体が共重合成分として含まれていてもよい。
【0057】
本発明において、(メタ)アクリル酸(塩)系単量体又は重合後の含水ゲル状架橋重合体の中和率については特に限定されないが、得られる吸水性樹脂の物性や表面架橋剤の反応性の観点から、40〜90モル%が好ましく、50〜85モル%がより好ましく、65〜80モル%がさらに好ましい。よって、本発明の好ましい実施形態によれば、工程(i)における、前記アクリル酸(塩)系単量体水溶液の中和率が、40〜90モル%である。
【0058】
上記中和率が低い場合は吸水速度が低下する(例えば、Vortex法による吸水時間が増大する)傾向にあり、逆に中和率が高い場合はポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂と、表面架橋剤(特に後述の脱水反応性表面架橋剤)との反応性が低下し、生産性が低下したり、加圧下吸水倍率(例えば、AAP)が低下したりする傾向にあるため、上記範囲内の中和率が好ましい。
【0059】
該中和は重合前の前記単量体及び/又は前記単量体水溶液に対して行う以外に、重合後の含水ゲル(含水ゲル状架橋重合体)に行ってもよく、両方を併用してもよい。なお、複数回行う場合には全ての塩基性化合物の添加量を考慮して、前記中和率の範囲に調整するのが好ましい。
【0060】
特に、中和率が0モル%の未中和重合を行い、後工程で中和を行うと中和が不均一となり、表面処理工程で、吸水性樹脂粒子ごとで表面処理の進み具合にムラができるため加圧下吸水倍率が大幅に低下する懸念があり、中和重合が好ましい。
【0061】
また、得られる吸水性樹脂粒子(粒子状吸水剤)の無加圧下吸水倍率(CRC)や吸水速度の観点から、(メタ)アクリル酸(塩)系単量体又は含水ゲル状架橋重合体は一部又は全部が塩型でもよく、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン類等の一価塩の1種以上が好ましく、中でも1種以上のアルカリ金属塩がより好ましく、さらにナトリウム塩及び/又はカリウム塩が好ましく、コストや物性の観点から特にナトリウム塩が好ましい。
【0062】
(2−1−2)内部架橋剤
本発明では、上記重合に際して、必要に応じて内部架橋剤が用いられる。該内部架橋剤としては、公知のものが使用でき、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチルロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中から、反応性を考慮して、1種又は2種以上を使用することができ、中でも2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を使用することが好ましい。
【0063】
上記内部架橋剤の使用量は、所望する吸水性樹脂の物性により適宜決定できるが、本発明の吸水剤のCRCが28g/g以上を示すように適宜調整される。
【0064】
具体的には、上記(メタ)アクリル酸(塩)系単量体100モル%に対して、0.001〜1モル%が好ましく、0.005〜0.5モル%がより好ましく、0.01〜0.3モル%がさらに好ましく、0.01〜0.1モル%が特に好ましい。
【0065】
該使用量が0.001モル%未満であれば、得られる吸水性樹脂の可溶分が多くなり、加圧下での吸水量を充分に確保できなくなる上、GCA、FGBPの値も悪くなるため好ましくない。一方、該使用量が1モル%超であれば、得られる吸水性樹脂の架橋密度が高くなりすぎ、吸水量が充分に確保できず、結果としてGCAが低い値となるため好ましくない。
【0066】
上記内部架橋剤を用いて架橋構造を重合体内部に導入するには、上記内部架橋剤を、上記単量体の重合前あるいは重合途中、あるいは重合後、又は中和後に反応系に添加するようにすればよい。なお、内部架橋剤は、反応系に一括添加でも、分割添加でもよい。
【0067】
(接着制御剤)
本発明の課題を高度に解決するためには、(2−3−2)で詳述する接着制御剤(融着制御剤と呼称することもできる)を添加し、それは、(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製工程中又は後に添加してもよく、具体的には、具体的には、工程(iii)ないし工程(iii)以前に添加する。
【0068】
(2−2)重合工程(工程(ii))
本発明の吸水性樹脂粒子(含水ゲル状架橋重合体)を得るための重合方法としては、噴霧重合、液滴重合、バルク重合、沈殿重合、水溶液重合又は逆相懸濁重合等を挙げることができるが、本発明の課題解決には、単量体を水溶液とする水溶液重合や逆相懸濁重合が好ましい。
【0069】
なお、上記水溶液重合は、分散溶媒を用いずに単量体水溶液を重合する方法であり、例えば、米国特許第4625001号、同第4873299号、同第4286082号、同第4973632号、同第4985518号、同第5124416号、同第5250640号、同第5264495号、同第5145906号、同第5380808号、欧州特許第0811636号、同第0955086号、同第0922717号等に開示されている。
【0070】
また、上記逆相懸濁重合は、単量体水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させて重合する方法であり、例えば、米国特許第4093776号、同第4367323号、同第4446261号、同第4683274号、同第5244735号等に開示されている。これらの特許文献に開示された単量体、重合開始剤等も本発明に適用することができる。上記重合時における単量体水溶液の濃度については、特に制限がないが、20重量%〜飽和濃度以下が好ましく、25〜80重量%がより好ましく、30〜70重量%がさらに好ましい。該濃度が20重量%以上であれば、高い生産性が達成できるため、好ましい。なお、単量体のスラリー((メタ)アクリル酸塩の水分散液)での重合は物性の低下が見られるため、飽和濃度以下で重合を行うことが好ましい(参照;特開平1−318021号公報)。
【0071】
本発明における重合工程は、常圧、減圧、加圧のいずれでも行うことができるが、好ましくは常圧(又はその近傍、通常±10mmHg)で行われる。また、重合を促進して物性を向上させるため、重合時に必要に応じて溶存酸素の脱気工程(例えば、不活性ガスでの置換工程)を設けてもよい。また、重合開始時の温度は、使用する重合開始剤の種類にもよるが、15〜130℃が好ましく、20〜120℃がより好ましい。
【0072】
(重合開始剤)
本発明において使用される重合開始剤は、重合形態によって適宜決定され、特に限定されないが、例えば、光分解型重合開始剤、熱分解型重合開始剤、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。これらの重合開始剤によって、本発明の重合が開始される。
【0073】
上記光分解型重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アゾ化合物等が挙げられる。
【0074】
また、上記熱分解型重合開始剤としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等の過酸化物;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0075】
さらに、上記レドックス系重合開始剤としては、例えば、上記過硫酸塩や過酸化物にL−アスコルビン酸や亜硫酸水素ナトリウム等の還元性化合物を併用した系が挙げられる。また、上記光分解型重合開始剤と熱分解型重合開始剤とを併用することも、好ましい態様である。これらの重合開始剤の中でも、熱分解によってNを発生するアゾ系の重合開始剤を使用して発泡を促進してもよい。さらに、紫外線、電子線、γ線等の活性エネルギー線を単独で、或いは上記重合開始剤と併用してもよい。
【0076】
上記重合開始剤の使用量は、上記単量体100モル%に対して、0.0001〜1モル%が好ましく、0.0005〜0.5モル%がより好ましい。該使用量が1モル%以下であれば吸水性樹脂の色調悪化が抑制されるため好ましく、0.5モル%以下であればより色調悪化が抑制されるためにより好ましい。また、該使用量が0.0001モル%以上であれば、残存モノマーの増加が抑えられるため好ましく、0.0005モル%以上であれば残存モノマーの増加がより抑えられるためにより好ましい。
【0077】
(接着制御剤)
本発明の課題を高度に解決するためには、(2−3−2)で詳述する接着制御剤を添加する。接着制御剤は、重合工程の前、中、後のいずれかで添加してもよく、具体的には、工程(iii)ないし工程(iii)以前に添加する。
【0078】
(さらに好適な重合方法)
本発明において、(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の重合方法として、吸水性樹脂の物性(例えば、吸水速度や通液性)や重合制御の容易性等の観点から、水溶液重合が採用される。中でもニーダー重合又はベルト重合が好ましく、連続水溶液重合がより好ましく採用される。
【0079】
上記水溶液重合の好ましい形態として、連続ベルト重合(米国特許第4893999号、同第6241928号、米国特許出願公開第2005/215734号等に開示)、連続ニーダー重合、バッチニーダー重合(米国特許第6987151号、同第6710141号等に開示)等が挙げられる。これらの水溶液重合の中でも特開2002−212204号公報に記載の方法は、重合開始温度を50℃以上と高温に設定することで、重合工程の短時間化できる。さらに、水の蒸発潜熱を利用することで最高到達温度を抑制することができる結果として、主鎖分子量が高分子量かつ分子量分布が狭い吸水性樹脂が得られるため特に好ましい。
【0080】
上記水溶液重合の好ましい形態の一例として、(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液中の単量体濃度を好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜60重量%、さらに好ましくは30〜50重量%である。なお、本願の実施例は、38重量%、39重量%であった。
【0081】
これらの範囲であれば、次のゲル粉砕工程での機械の負荷が過度に高くならず、効率的に粒子状含水ゲルの重量平均粒子径を所望の範囲に制御できる。
【0082】
さらに、GCA、FGBPを所望の範囲に制御するためには、重合時の最高到達温度が制御されることが好ましく、具体的には70℃〜130℃が好ましく、80℃〜120℃がより好ましく、85℃〜110℃がさらに好ましい。
【0083】
また重合に際して、さらに必要に応じて、重合前又は重合途中の反応系に、次亜燐酸(塩)等の連鎖移動剤、例えば、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウムなどのキレート剤等を、単量体100重量%に対して好ましくは0〜3重量%、より好ましくは0.001〜1重量%添加してもよい。
【0084】
(2−3)ゲル粉砕工程(工程(iii))
本工程は、上記重合工程等を経て得られる、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する場合がある)を粉砕することによって、粒子状の含水ゲル(以下、「含水ゲル粒子」または「粒子状含水ゲル」と称する場合がある)を得る工程である。上記含水ゲルのゲル粉砕、特に混練によるゲル粉砕によって粒子状含水ゲルを特定の粒子径範囲まで細粒化されることで、GCA、vortexが向上する。
【0085】
ここで、含水ゲル状架橋重合体の固形分は、ゲル粉砕のしやすさ、およびゲル粉砕後の粒子状含水ゲルの乾燥の観点から、10〜80重量%であると好ましい。20〜70重量%であることがより好ましく、20〜60重量%であることがさらに好ましく、30〜50重量%であることがよりさらに好ましく、35〜48重量%がより特に好ましい。
【0086】
固形分が10重量%より低くなると、粉砕後の粒子状含水ゲルの含水率が高くなり、乾燥に必要なエネルギーが増えることでのコストアップ、乾燥時間が長くなることでの生産効率低下が懸念される。また固形分が80重量%を超えると、ゲルが硬くなり、粉砕装置の負荷が高くなり、粉砕装置が壊れるおそれがある。
【0087】
なお、含水ゲル状架橋重合体の固形分を10〜80重量%とする方法にも特に制限はないが、例えば、重合時の総単量体量を制限することによって行えばよい。
【0088】
本ゲル粉砕工程後の「粒子状含水ゲル(含水ゲル粒子)の重量平均粒子径」は、100μm〜900μmであり、120〜870μmが好ましく、130〜860μmがより好ましく、140〜850μmがさらに好ましく、150〜800μmであってもよく、160〜700μmであってもよく、170〜600μmであってもよいし、100〜350μmであってもよい。
【0089】
本ゲル粉砕工程後の、「乾燥物として換算した際の前記含水ゲル粒子の重量平均粒子径」は、50〜650μmであり、80〜640μmが好ましく、100〜630μmがより好ましく、110〜600μmであることがよりさらに好ましく、120〜500μmが、130〜460μmであることが特に好ましく、140〜400μmであってもよい。
【0090】
ここで、「乾燥物(固形分100重量%)として換算した際の前記含水ゲル粒子の重量平均粒子径(RB)」は、「含水ゲル粒子の重量平均粒子径(RA)」×「(含水ゲル粒子の固形分)1/3」によって導き出すことができる。
【0091】
かかる数式がどのように導出されたかを説明する。含水ゲル粒子は吸水量(吸水倍率)により相似形で体積が変化し、体積変化に伴い粒子径も相似形で変化する。ここでは、含水ゲル粒子およびその乾燥体を球と考え説明する。
【0092】
球の体積Vは、球の直径をRとすると、(π×R)/6で表すことができる。同様に、前記含水ゲル粒子を球とすると、体積VAは、{π×(RA))/6と表すことができる。一方、乾燥物の体積VBは固形分を100重量%とすると{π×(RB))/6と表記できる。従って、VA:VB={π×(RA))/6:{π×(RB))/6と比を取ることができ、RB=RA×(VB/VA)1/3で表すことができる。
【0093】
ここで、含水ゲル粒子の体積VA、VBは固形分の逆数と比例する。例えば、含水ゲル粒子の固形分が40重量%である場合、含水ゲル粒子は、乾燥物の固形分を100重量%とすると、100/40=2.5倍の体積となる。
【0094】
前記含水ゲル粒子の固形分をSA、含水ゲル粒子の乾燥物の固形分をSBとすると、VA:VB=(1/SA):(1/SB)と表せることから、先ほどのRB=RA×(VB/VA)1/3のVA、VBの代わりにそれぞれ1/SA、1/SBを用いて計算すると、RB=RA×(SA/SB)1/3で表すことができる。ここで、SB=100とすると、RB=RA×(SA/100)1/3が導かれる。
【0095】
例えば、具体的には固形分40重量%のゲルを粉砕した場合、100μm〜900μmの粒子状含水ゲルは乾燥物に換算するとしては74μm〜663μmとなる。
【0096】
(ゲル粉砕装置)
本発明においては、粒子状含水ゲル(含水ゲル粒子)の重量平均粒子径が上記範囲に制御されることが重要であり、それを達成する手段は問わないが、例えば、バッチ式又は連続式の双腕型ニーダー等、複数の回転撹拌翼を備えたゲル粉砕機、1軸押出機、2軸押出機、ミートチョッパー等が挙げられる。中でも、先端に多孔板を有するスクリュー型押出機(例えば、ミートチョッパー)が好ましく、例えば、特開2000−063527号公報に開示されたスクリュー型押出機が挙げられる。
【0097】
中でも、本工程で使用されるゲル粉砕装置は、より好ましくはスクリュー型押出機、さらに好ましくはケーシングの一方の端部に多孔板が設置されたスクリュー型押出機(例えば、ミートチョッパー)であり、例えば、特開2000−63527号公報、国際公開第2015/030129号および国際公開第2015/030130号に開示されたスクリュー型押出機が挙げられる。以下に、本工程で使用されるスクリュー型押出機の一例について説明する。本実施例でも同様の装置が用いられている。
【0098】
本工程で使用されるスクリュー型押出機は、例えば、ケーシング、台、スクリュー、供給口、ホッパー、押出口、多孔板、回転刃、リング、逆戻り防止部材、モーター、筋状突起等から構成されている。ケーシングは円筒状であり、その内部にスクリューが配置されている。ケーシングの一方の端部には、含水ゲル状架橋重合体を押し出してゲル粉砕する押出口、及び、その手前に多孔板が設置され、もう一方の端部には、スクリューを回転させるためのモーター及び駆動系等が配置されている。ケーシングの下方には台が備えられており、これによってスクリュー式押出機を安定的に設置することができる。一方、ケーシングの上方には、含水ゲル状架橋重合体を供給する供給口があり、含水ゲル状架橋重合体を供給し易くするために、ホッパーが備えられている。上記ケーシングの形状や大きさは、スクリューの形状に対応する円筒状の内面を有していればよく、特に限定されるものではない。また、スクリューの回転数は、スクリュー押出機の形状によって異なるため、特に限定されるものではないが、後述するように、スクリューの回転数が変化可能となっていることが好ましい。また、押出口の近傍に逆戻り防止部材、スクリューに配設した筋状突起等を備えることもできる。これらの構成、部材の材質、サイズ、逆戻り部材やスクリューに付属する各種回転刃の素材、その他スクリュー押出機に関連する全ての構成は、上記特開2000−63527号公報、国際公開第2015/030129号および国際公開第2015/030130号に開示された方法に準じて選択することができる。
【0099】
例えば、逆戻り防止部材は、押出口近傍での含水ゲル状架橋重合体の逆戻りを防止できる構造であれば特に限定されるものではなく、ケーシングの内壁に設置した螺旋状や同心円状の帯状突起、又はスクリューと平行に設置した筋状、粒状、球状若しくは角状の突起等が挙げられる。ゲル粉砕の進行に伴って押出口付近の圧力が高まると、含水ゲル状架橋重合体は供給口方向に逆戻りしようとするが、逆戻り防止部材を設置することにより、逆戻りを防止しながら含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕することができる。
【0100】
本発明においては、ゲル粉砕後の粒径が有意に小さい。そのようにする方法には特に制限はないが、ケーシングの一方の端部に多孔板が設置されたスクリュー型押出機を使用する場合、含水ゲル状架橋重合体のゲル粉砕処理量に合わせて、装置サイズを変更する必要がある。その際には、使用する装置に合わせて多孔板の厚み、多孔板の孔径、多孔板の開孔率、スクリュー軸回転数、含水ゲル状架橋重合体の投入速度等を適宜調整することによって調整することができる。
【0101】
上記ゲル粉砕装置のケーシングの出口に備えられた多孔板に関して、その厚み、孔径、及び開孔率は、ゲル粉砕装置の単位時間当りの処理量や含水ゲル状架橋重合体の性状等によって適宜選択でき、特に限定されるものではないが、多孔板の厚みは、好ましくは3.5mm〜100mm、より好ましくは6mm〜80mmの範囲である。直径は、30〜1500mmであることが好ましく、40〜1000mmであることがより好ましい。
【0102】
また、多孔板の孔径は、好ましくは1.0mm〜50mm、より好ましくは2.0mm〜30mmの範囲である。
【0103】
さらに、多孔板の開孔率は、好ましくは10%〜80%、好ましくは20%〜60%であり、より好ましくは25%〜55%の範囲である。
【0104】
また、孔数は、10〜2000個であることが好ましく、20〜1000個であることがより好ましい。
【0105】
なお、孔径(mm)が異なる複数の多孔板を使用する場合は、各多孔板の孔径の単純平均値をそのゲル粉砕装置における多孔板の孔径とする。また、当該孔の形状は円形であることが好ましいが、円形以外の形状、例えば、四角形、楕円形、スリット形等である場合は、その開孔面積を円に換算して孔径(mm)とする。
【0106】
また、スクリュー軸の外径は、10〜2000mmであることが好ましく、20〜1000mmであることがより好ましい。
【0107】
また、含水ゲル状架橋重合体の投入速度は、0.10〜550kg/分であることが好ましく、0.12〜500kg/分であることがより好ましい。
【0108】
上記多孔板の厚みが3.5mm未満、孔径が50mm超、及び開孔率が80%超の何れか1つ以上に該当する場合、含水ゲル状架橋重合体を所望の粒子径を有する粒子状含水ゲルに粉砕できない場合がある。逆に、上記多孔板の厚みが100mm超、孔径が1.0mm未満、及び開孔率が10%未満の何れか1つ以上に該当する場合、含水ゲル状架橋重合体に過剰なせん断・圧縮力を与えてしまい、物性低下を招く場合がある。
【0109】
上記含水ゲル状架橋重合体の投入速度が0.10kg/分以下となると、含水ゲル状架橋重合体に過剰なせん断・圧縮力を与えてしまい、物性低下を招く場合がある。逆に、550kgを超えると、含水ゲル状架橋重合体を所望の粒子径を有する粒子状含水ゲルに粉砕できない場合がある。
【0110】
また、上記のように、本発明によれば、ゲル粉砕後の粒径が有意に小さい。そのようにする方法には特に制限はないが、ゲル粉砕エネルギーを適切なものに設定することによって行ってもよい。
【0111】
ゲル粉砕エネルギー(GGE(1))は、好ましくは10〜500J/gであり、より好ましくは15〜400J/gであり、さらに好ましくは20〜300J/gであり、よりさらに好ましくは45〜250J/gであり、特に好ましくは25〜200J/gである。
【0112】
上記ゲル粉砕エネルギー(GGE(1))が10J/g未満である場合、含水ゲル状架橋重合体を所望の粒子径を有する粒子状含水ゲルに粉砕できない場合がある。逆に、上記ゲル粉砕エネルギー(GGE(1))が500J/gを超える場合、粉砕装置への負荷が大きくなり、連続運転において壊れるおそれがあるとともに、含水ゲル状架橋重合体に過剰なせん断・圧縮力を与えてしまい、水可溶分生成量が増えたり、CRC、AAPが低下するなどの物性低下を招く場合がある。
【0113】
ゲル粉砕エネルギー(GGE(2))は、好ましくは5〜300J/gであり、より好ましくは6〜280J/gであり、8〜260J/gであり、9〜250J/gであり、10〜240J/gである。
【0114】
上記ゲル粉砕エネルギー(GGE(2))が5J/g未満である場合、含水ゲル状架橋重合体を所望の粒子径を有する粒子状含水ゲルに粉砕できない場合がある。逆に、上記ゲル粉砕エネルギー(GGE(2))が300J/gを超える場合、含水ゲル状架橋重合体に過剰なせん断・圧縮力を与えてしまい、水可溶分生成量が増えたり、CRC、AAPが低下するなどの物性低下を招く場合がある。
【0115】
なお、複数回粉砕を行う場合は、各粉砕時のゲル粉砕エネルギーを足し算することにって求められる。
【0116】
GGE算出方法
「ゲル粉砕エネルギー」(GGE(1),GGE(2))
本発明における「ゲル粉砕エネルギー」とは、含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕する際、ゲル粉砕装置が必要とする単位重量(含水ゲル状架橋重合体の単位重量)あたりの機械的エネルギーをいい、ジャケットを加熱冷却するエネルギーや投入する水・スチームのエネルギーは含まれない。尚、「ゲル粉砕エネルギー」は、英語表記の「Gel Grinding Energy」から「GGE(1)」と略称する。GGEは、ゲル粉砕装置が三相交流電力で駆動する場合、以下の式(1)によって算出される。
【0117】
【数1】
【0118】
上記、「力率」及び「モーター効率」は、ゲル粉砕装置の稼動条件等によって変化する装置固有の値であり、0〜1までの値をとる。これらの値は、装置メーカー等への問い合わせ等で知ることができる。ゲル粉砕装置が単相交流電力で駆動する場合、GGEは、上記式中の「√3」を「1」に変更して算出することができる。尚、電圧の単位は[V]、電流の単位は[A]、含水ゲル状架橋重合体の重量の単位は[g/s]である。
【0119】
本発明においては、含水ゲル状架橋重合体に対して加えられる機械的エネルギーが重要であるため、ゲル粉砕装置が空運転時の電流値を差し引いて、上記ゲル粉砕エネルギーを計算することが好ましい。特に複数の装置でゲル粉砕を行う場合、空運転時の電流値の合計が大きくなるため、空運転時の電流値を差し引いて計算する方法が好適である。この場合のゲル粉砕エネルギーは以下の式(2)によって算出される。尚、上記GGE(1)と区別するため、GGE(2)と表記する。
【0120】
【数2】
【0121】
本発明の好ましい形態によれば、含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕し、含水ゲル粒子を得、前記含水ゲル粒子を乾燥し、乾燥物を得た後、前記乾燥物を「粉砕」する。このように、後の工程において「粉砕」を行うため、わざわざ粉砕し難い「含水ゲル状架橋重合体」の粉砕を複数回行ったり、あるいは、ゲル粉砕エネルギーを所定以上としたりすることによって、ゲル粉砕後の粒径が有意に小さいものとする必要はないと考えられていた。
【0122】
これに対し、本発明は、ゲル粉砕後の粒径が有意に小さいものとし、また、接着制御剤を使用するとの独特な構成を採用することによって、戻り量が低減され、優れた液の取り込み速度を有するポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤およびその製造方法を提供することができる。
【0123】
(ゲル粉砕前のゲル切断又は粗砕)
また、上記重合工程がベルト重合の場合、ゲル粉砕を行う前に、重合中又は重合後の含水ゲル状架橋重合体、好ましくは重合後の含水ゲル状架橋重合体を数10cm程度の大きさに切断又は粗砕することができる。ここで、ゲル切断又はゲル粗砕とは、粉砕機への連続投入できる大きさへの一次処理(例えば1000cm以下ないし平面で1000cm以下の一次処理)のことであり、いっぽう、ゲル粉砕とは、細粒化(特に乾燥物に換算した50〜650ミクロンの重量平均粒子径等への細粒化)である点において区別される。
【0124】
この操作によって、ゲル粉砕装置に含水ゲル状架橋重合体を充填し易くなり、ゲル粉砕工程をより円滑に実施することができる。なお、上記切断又は粗砕する方法としては、含水ゲル状架橋重合体を練らないように切断又は粗砕できる方法が好ましく、例えば、ギロチンカッターによる切断又は粗砕等が挙げられる。また、上記切断又は粗砕で得られる含水ゲル状架橋重合体の大きさや形状は、ゲル粉砕装置に充填できればよく、特に限定されないが、形状としては、ブロック状であることが好ましい。
【0125】
(ゲル粉砕前の含水ゲル状架橋重合体の重合率)
本発明において上記ゲル粉砕は、重合中及び/又は重合後に行われ、好ましくは重合後の含水ゲル状架橋重合体に対してに行われる。なお、重合中でのゲル粉砕を行う重合としてニーダー重合が挙げられるが、さらに重合後にゲル粉砕を行ってもよい。また重合後にゲル粉砕を行う重合としてベルト重合やタンク中での静置水溶液重合(実質無攪拌での水溶液重合)が好ましく挙げられるが、特にこれら重合に限定されない。
【0126】
ゲル粉砕される含水ゲル状架橋重合体の重合率は、好ましくは90モル%以上、より好ましくは93モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは97モル%以上である。また、上限は好ましくは99.5モル%である。ゲル粉砕される含水ゲル状架橋重合体の重合率が90モル%以上であれば、吸水性樹脂に含まれる残存モノマーを低減できるため好ましい。なお、重合中にゲル粉砕を行う場合も上記重合率を示すまで下記のように重合を継続すればよい。なお、ここで、重合率とは、転化率とも称され、含水ゲル状架橋重合体のポリマー量と、未反応モノマー量とから算出される値をいう。
【0127】
ゲル粉砕される含水ゲル状架橋重合体の重合率は、上記範囲であることが好ましいが、ニーダー重合等、重合中にゲル粉砕を行う形態の場合、単量体水溶液が「十分にゲル化」した状態をもって、ゲル粉砕工程とする。
【0128】
例えば、ニーダー重合を採用する場合、重合時間の経過とともに、単量体水溶液が含水ゲル状架橋重合体に変化していく。即ち、重合開始時の単量体水溶液の攪拌領域、重合途中での一定粘度を有する低重合度の含水ゲル状架橋重合体の攪拌領域、重合の進行に伴い一部の含水ゲル状架橋重合体のゲル粉砕開始領域、及び、重合後半又は終盤でのゲル粉砕領域が連続的に行われる。従って、重合開始時の「単量体水溶液の攪拌」と終盤での「ゲル粉砕」とを明確に区別するため、「十分にゲル化」した状態をもって、ゲル粉砕工程に移行したと判断する。
【0129】
上記「十分にゲル化」とは、重合温度が最大となった時点(重合ピーク温度)以降において、せん断力をかけて含水ゲル状架橋重合体を細分化できる状態のことをいう。或いは、単量体水溶液中のモノマーの重合率が好ましくは90モル%以上、より好ましくは93モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは97モル%以上となった時点以降において、せん断力をかけて含水ゲル状架橋重合体を細分化できる状態のことをいう。即ち、本発明のゲル粉砕工程においては、モノマーの重合率が上記範囲である含水ゲル状架橋重合体がゲル粉砕されると好ましい。なお、上記重合ピーク温度を示さない重合反応(例えば、常に一定温度で重合が進行する場合、重合温度が上昇し続ける場合等)においても、上記モノマーの重合率が好ましくは90モル%以上、より好ましくは93モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは97モル%以上になったことをもって、「十分にゲル化」したと判断する。
【0130】
(ゲル粉砕装置の稼働条件)
本発明のゲル粉砕工程で使用されるゲル粉砕装置が、スクリュー押出機(例えば、ミートチョッパー)である場合、そのスクリュー押出機のスクリュー軸回転数は、そのケーシングの内径、スクリュー軸外径等によって適宜調整すればよいが、軸回転数は、好ましくは80rpm〜500rpm、より好ましくは90rpm〜400rpm、さらに好ましくは100rpm〜300rpmである。
【0131】
なお、ケーシングの内径としては、15〜2500mm程度が好適であり、25〜1500mm程度がより好適である。
【0132】
上記軸回転数が80rpm以上の場合、ゲル粉砕に必要なせん断・圧縮力が得られ、また、上記軸回転数が500rpm以下である場合、含水ゲル状架橋重合体に与えるせん断・圧縮力が過剰とならないため、物性低下を招きにくく、ゲル粉砕装置にかかる負荷が小さく装置の破損の虞がない。
【0133】
他方、上記軸回転数が80rpmを下回る場合、ゲル粉砕に必要なせん断・圧縮力が得られにくく、上記軸回転数が500rpmを上回る場合、含水ゲル状架橋重合体に与えるせん断・圧縮力が過剰となり、物性低下を招く虞があり、ゲル粉砕装置にかかる負荷が大きくなり装置の破損の虞がある。
【0134】
また、この時の回転羽根の外周速度は、好ましくは0.5m/s〜10m/s、より好ましくは0.5m/s〜8m/sである。
【0135】
また、本発明におけるゲル粉砕装置の温度は、含水ゲル状架橋重合体の付着等を防ぐために、好ましくは30℃〜120℃、より好ましくは40℃〜100℃に加熱又は保温される。
【0136】
また、本発明におけるゲル粉砕装置の温度を、下記に記載のゲル温度の温度範囲に設定することも好適である。
【0137】
(ゲル粉砕の処理回数)
本発明においては、ゲル粉砕後の粒径が有意に小さいものとなるのであれば、ゲル粉砕の処理回数は特に限定されないが、本発明の一形態によれば、複数回である。
【0138】
複数回のゲル粉砕を行う場合は、一つのゲル粉砕機で複数回処理する方法でもよいし、ゲル粉砕機を複数直列に設置して連続的に処理してもよい。ゲル粉砕を複数回とすることにより、比較的温和な条件でのゲル粉砕によって粒子状含水ゲルの重量平均粒子径を所望の範囲とする事ができ、吸水性樹脂の物性低下を招きにくく、またゲル粉砕装置にかかる負荷が小さく装置の破損の虞が無い。
【0139】
複数回処理する場合のゲル粉砕機は同種の機械である必要は無く、異なる種類の機械を組み合わせたり、同種の機械であっても設定条件、運転条件を変更したりしてもよい。
【0140】
よって、本発明の好ましい実施形態によれば、前記ゲル粉砕の工程を、複数のゲル粉砕機を用いて行う。かかる実施形態によれば、粉砕機1台にかかる負荷を下げるとの技術的効果を有する。
【0141】
複数回処理する場合の好ましい回数は2〜5回が好ましく、2〜4回がより好ましく、2〜3回がさらに好ましい。なお、ゲル粉砕を2回行うとは、ゲル粉砕装置の排出口から排出された含水ゲル粒子を再度ゲル粉砕装置に導入しゲル粉砕を行うことをいう。3回以降も同様に考える。
【0142】
また、ゲル粉砕後の粒径が有意に小さいものとなるのであれば、ゲル粉砕は1回でもよい。1回でゲル粉砕を行う場合は、ゲル粉砕機導入、メンテナンスのコストが抑えられ、製造設備のスペースも抑えられる。また、エネルギー負荷も低減でき好ましい。
【0143】
(ゲル温度)
ゲル温度、即ち、ゲル粉砕前の含水ゲル状架橋重合体の温度は、粒度制御や物性の観点から、好ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは52〜110℃、よりさらに好ましくは48〜80℃であり、特に好ましくは56〜70℃である。なお、65℃〜110℃であってもよい。
【0144】
また、ゲル温度の数値は、ゲル粉砕装置の温度に対しても適用されてよいものとする。
【0145】
上記ゲル温度が40℃未満の場合、含水ゲル状架橋重合体の特性上、比較的付着性が高くなるため、ゲル粉砕時に粒子形状や粒度分布の制御が困難となる。また、上記ゲル温度が120℃超である場合、ゲルからの水の蒸発が顕著となり含水ゲルの固形分が変化するために粉砕が難しくなり、粒子状含水ゲルの粒子径や粒子形状の制御が困難となる。かようなゲル温度は、重合温度や重合後の加熱、保温又は冷却等で適宜制御することができる。
【0146】
(ゲルCRC)
ゲル粉砕前の含水ゲル状架橋重合体、及び、ゲル粉砕後の粒子状含水ゲル(含水ゲル粒子)のCRCは、好ましくは何れか一方、より好ましくは両方の値が25〜50g/g、より好ましくは26〜45g/g、さらに好ましくは27〜40g/gである。上記ゲルCRCが上記範囲内である場合、ゲル粉砕時の粒子形状や粒度分布の制御が容易になるため好ましい。かようなゲルCRCは、重合時の架橋剤の添加量、その他重合濃度等で適宜制御することができる。なお、高CRCを有する吸水性樹脂が好ましいことは周知の事実であるが、上記ゲルCRCが上記範囲を超えて高い場合、粒子形状や粒度分布の制御がしにくくなる場合がある。
【0147】
ゲル粉砕前の含水ゲル状架橋重合体とゲル粉砕後の含水ゲル粒子でCRCが変化する場合、含水ゲル状架橋重合体を粉砕し含水ゲル粒子を得るゲル粉砕工程におけるCRC変化(ゲル粉砕前の含水ゲル状架橋重合体のCRCからゲル粉砕後の含水ゲル粒子のCRCを引いた値、単位はg/g)は、好ましくは−10〜+10であり、より好ましくは−8〜+8であり、さらに好ましくは−6〜+6であり、特に好ましくは−5〜+5であり、最も好ましくは−4〜+4である。
【0148】
CRC変化が−10よりも大きくなり、得られる含水ゲル粒子のCRCが小さくなると、乾燥工程でのCRCの調整が難しくなる。CRC変化が+10よりも大きくなると、ゲル粉砕工程におけるゲルへのダメージが大きくなり、溶出成分が増加し、吸水剤のGCA、FGBPが低下してしまうおそれがある。
【0149】
なお、ゲルCRCは、含水ゲル状架橋重合体については、ハサミやカッター等を使用して、ゲル粉砕前の含水ゲル状架橋重合体を、一辺が1mm〜3mmとなるように切断・細粒化してから、ゲル粉砕後の粒子状含水ゲル(含水ゲル粒子)のCRCについては切断・細粒化する必要なく、下記〔実施例〕に記載の測定方法によって求められる。
【0150】
(ゲル粉砕前後の樹脂固形分)
本発明において、ゲル粉砕前の含水ゲル状架橋重合体の樹脂固形分は、物性の観点から、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜60重量%、さらに好ましくは30〜55重量%であり、よりさらに好ましくは33〜50重量%であり、特に好ましくは36〜46重量%である。
【0151】
本発明において、ゲル粉砕後の粒子状含水ゲル(含水ゲル粒子)の樹脂固形分は、物性の観点から、10〜80重量%であり、好ましくは20〜60重量%、より好ましくは30〜55重量%であり、さらに好ましくは33〜50重量%であり、よりさらに好ましくは36〜46重量%である。
【0152】
ゲル粉砕後の粒子状含水ゲル(含水ゲル粒子)の樹脂固形分を上記範囲とし、好ましくは、ゲル粉砕前の含水ゲル状架橋重合体樹脂固形分を上記範囲とすることで、乾燥によるダメージ(水可溶分の増加等)が少なくなる。
【0153】
なお、ゲル粉砕後の含水ゲル粒子の樹脂固形分は、必要によりゲル粉砕前又はゲル粉砕中に水を添加したり、ゲル粉砕時に加熱による水分蒸発したりすること等によって、適宜制御することができる。
【0154】
ゲル粉砕前の含水ゲル状架橋重合体とゲル粉砕後の含水ゲル粒子で固形分に変化がある場合、含水ゲル状架橋重合体を粉砕し含水ゲル粒子を得るゲル粉砕工程における固形分変化(ゲル粉砕前の含水ゲル状架橋重合体の固形分からゲル粉砕後の含水ゲル粒子の固形分を引いた値、単位は重量%)は、好ましくは−10〜+10であり、より好ましくは−8〜+8であり、さらに好ましくは−6〜+6であり、特に好ましくは−5〜+5であり、最も好ましくは−4〜+4である。ここでのマイナス符号は固形分が低くなる(含水率が高くなる)ことを意味し、+符号は固形分が高くなる(含水率が低くなる)ことを意味する。
【0155】
固形分変化が、−10よりも大きくなると、含水ゲル粒子の含水率が大きくなることによる乾燥工程の負荷が上がり、十分な乾燥が難しくなったり、より多くの熱エネルギーが必要になるなど生産効率が低下する。
【0156】
固形分変化が、+10よりも大きくなると、ゲル粉砕工程におけるゲルへのダメージが大きくなり、溶出成分が増加し、吸水剤のGCA、FGBPが低下してしまうおそれがある。
【0157】
(水の使用)
本発明のゲル粉砕工程においては、含水ゲル状架橋重合体に水を添加してゲル粉砕することもできる。なお、本発明において、「水」には、固体、液体、及び気体の少なくとも1つの形態を含むものとする。
【0158】
上記水の添加については、添加方法及び添加時期に制限はなく、含水ゲル状架橋重合体がゲル粉砕装置内に滞留している間に装置内に水が供給されればよい。また、予め含水ゲル状架橋重合体に水を添加したものをゲル粉砕装置に投入してもよい。さらに、上記水は「水単独」に限らず、他の添加剤(例えば、界面活性剤、中和用塩基等)や水以外の溶媒を加えてもよい。但し、この場合、水含有量は好ましくは90重量%〜100重量%、より好ましくは99〜100重量%、さらに好ましくは実質100重量%である。
【0159】
本発明において、上記水は、固体、液体、及び気体の少なくとも1つの形態で使用できるが、取り扱い性の観点から、液体及び/又は気体が好ましい。水の供給量は、含水ゲル状架橋重合体100重量部に対して、好ましくは0〜4重量部、より好ましくは0〜2重量部である。上記水の供給量が4重量部を超える場合、乾燥時での未乾燥物発生等、不具合が生じる虞がある。
【0160】
上記水を液体で供給する場合、供給時の水の温度は、好ましくは10〜100℃、より好ましくは40〜100℃である。液体の水は噴霧、ミスト、シャワリーング、液滴、直管などで適宜添加される。また、水を気体で供給する場合、供給時の水の温度は、好ましくは100〜220℃、より好ましくは100〜160℃、さらに好ましくは100〜130℃である。なお、水を気体で供給する際、その調製方法については特に限定されず、例えば、ボイラーの加熱によって発生する水蒸気を利用する方法、超音波で水を振動させて、水表面から発生する気体状の水を利用する方法等が挙げられる。本発明において、水を気体で供給する場合、大気圧より高圧の水蒸気が好ましく、ボイラーで発生する水蒸気がより好ましい。
【0161】
本発明の課題を解決するためには、ゲル粉砕が不要な逆相懸濁重合を採用するよりも水溶液重合を採用する方が好ましく、特に重合中(例えば、ニーダー重合)又は重合後(例えば、ベルト重合、さらに必要によりニーダー重合)に、ゲル粉砕を行う水溶液重合を採用する方が好ましい。
【0162】
(2−3−2)接着制御剤の添加
本発明の課題をより高度に解決するためには、ゲル粉砕時にゲルが接着制御剤を含んでいる。換言すれば、ゲル粉砕が完全に終わりきる前に、接着制御剤を添加すればよい。そのためには、上記工程(i)の(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調整工程、工程(ii)の重合工程、工程(iii)のゲル粉砕工程の少なくとも一つの工程で接着制御剤が加えられ、また工程(i)と工程(ii)の間、或いは、工程(ii)と工程(iii)の間に添加する工程を設けてもよい。工程(i)と工程(ii)の間の工程としては、例えば、調製した(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の貯蔵や輸送の工程が挙げられ、工程(ii)と工程(iii)の間の工程としては、例えば、含水ゲル状重合体の熟成工程が挙げられる。このように、工程(iii)ないし工程(iii)以前に、含水ゲル粒子の内部及び/又は表面に接着制御剤が含まれるようにすることによって、本発明の所期の効果を奏することができる。
【0163】
また、工程(iii)は、重合中又は重合後の含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕し、含水ゲル粒子を得る工程であるが、ゲル粉砕を行う前の「含水ゲル状架橋重合体」あるいは「含水ゲル状架橋重合体を切断又は粗砕したもの」に対して、接着制御剤を添加することも「(iii)の工程で、接着制御剤を添加する」との概念に含まれるものとする。
【0164】
接着制御剤は液体の場合も固体の場合もありうるが、そのまま添加されてもよいし、溶液状態や懸濁状態で添加されてもよい。
【0165】
また、不飽和結合を有するラジカル重合性の接着制御剤は、工程(i)や工程(ii)での添加は重合時の反応によって消費されてゲル粉砕時には残存しない恐れがあり、また工程(iii)での添加では充分に消費されず最終製品に残存して着色の原因となる恐れがあり、接着制御剤は非ラジカル重合性であることが好ましい。
【0166】
溶液状態で添加する場合の溶媒、懸濁状態で添加する場合の分散媒は特に限定されないが、水、アルコールが好ましく、特に水が好ましい。
【0167】
溶液状態や懸濁状態で添加する場合の接着制御剤の濃度は0.1〜99重量%が好ましく、0.1〜75重量%がより好ましく、0.1〜50重量%がさらに好ましい。
【0168】
溶液で添加する際の温度は融点以上沸点以下、さらには0〜100℃、20〜50℃で使用され、溶解度の向上のために必要により加熱してもよい。
【0169】
(接着制御剤の添加量)
接着制御剤の添加量は、特に制限されず、添加する接着制御剤の種類を考慮して決定すればよい。
【0170】
接着制御剤の添加量は、添加する接着制御剤の種類にもよるが、含水ゲル状架橋重合体の原料モノマーに対して0.01〜5重量%が好ましく、0.02〜3重量%がより好ましく、0.03〜2重量%がさらに好ましい。
【0171】
なお、工程(iii)で接着制御剤が添加される際の原料モノマーに対する添加量とする場合、該原料モノマーは残存原料モノマーではなく、工程(i)で調整されるときに使用される原料モノマー量を示す。
【0172】
よって、本発明の好ましい実施形態によれば、前記接着制御剤の添加量が、前記含水ゲル状架橋重合体の原料モノマーに対して0.01〜5重量%である。これらの下限を下回ると接着制御効果が確認されにくくなり、これらの上限を上回ると接着防止効果の向上が添加量に見合わなくなるため不経済となる。
【0173】
後述する、(a)ポリオール類、(b−1)グリシジル変性ポリオール類については、含水ゲル状架橋重合体の原料モノマーに対して、上記の接着制御剤の添加量の範囲であってもよいが、0.01〜5重量%が好ましく、0.02〜3重量%がより好ましく、0.03〜2重量%がさらに好ましく、0.1〜1.8重量%がよりさらに好ましく、0.2〜1.5重量%が特に好ましい。
【0174】
これらの下限を下回ると接着制御効果が確認されにくくなり、これらの上限を上回ると接着防止効果の向上が添加量に見合わなくなるため不経済となる。
【0175】
また、後述する、(b−2)高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、(b−3)多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物、(c)側鎖及び/又は末端ポリエーテル変性ポリシロキサン、(d)高級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物、(e)アルキルアミノベタイン、(f)アルキルアミンオキサイド、(g)高級アルコールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、(h)アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、(i)アンモニウム塩に関しては、含水ゲル状架橋重合体に対して、上記の範囲であってもよいが、0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜2重量%がより好ましく、0.01〜1重量%がさらに好ましく、0.01〜0.5重量%が特に好ましい。
【0176】
これらの下限を下回ると接着制御効果が確認されにくくなり、これらの上限を上回ると接着防止効果の向上が添加量に見合わなくなるため不経済となる。
【0177】
なお、本実施例では、原料モノマーは、アクリル酸およびアクリル酸ナトリウムである。
【0178】
本発明で言う接着制御剤とは、ゲル粉砕時に接着制御剤が前記含水ゲル状架橋重合体及び/又は前記含水ゲル粒子の表面に存在することで、ゲル粉砕後ないし乾燥後の、ゲル含水ゲル状架橋重合体同士、含水ゲル粒子同士または乾燥物同士が接着すること;含水ゲル状架橋重合体および含水ゲル粒子が接着すること:あるいは含水ゲル粒子および乾燥物が接着すること;を低減できる剤である。
【0179】
その接着低減の指標としては、未添加の場合に比べて、ゲル粉砕後の吸水性樹脂粉末を同一粒度(篩の目開き500μmを通過し、篩の目開き425μmを通過しない吸水性樹脂粉末)で比較した場合に、BET比表面積が増大するもの、あるいは、vortexが、未添加の場合に比べて、3秒以上、より好ましくは5秒以上、さらに好ましくは7秒以上短縮されるものである。本実施例では「同一粒度」で比較している。
【0180】
後述する(2−4)の乾燥工程で述べるように、本発明においては、吸水剤の重量平均粒子径より、ゲル粉砕後の含水ゲル粒子の重量平均粒子径の方が小さいことが好ましく、得られる吸水剤は一次粒子が造粒した形状がより多く見られるようになる。つまり、一次粒子の一粒一粒が緩やかに接触(接触面積が比較的小さい)するようになる。これによって、表面積を増大さることができ所望の物性を得ることができる。
【0181】
これに対し、接着制御剤を添加しない場合、接着が低減できていないため造粒が過度に進み一次粒子として存在することが難しくなり、所望の物性を得ることが困難となる。
【0182】
吸水剤の重量平均粒子径を、ゲル粉砕後の含水ゲル粒子の乾燥物に換算した重量平均粒子径で除算した値は、0.40〜10.0であることが好ましく、より好ましくは0.45〜5.0であり、さらに好ましくは0.50〜4.0である。
【0183】
接着制御剤を添加し得られた含水ゲル粒子は、含水ゲル粒子同士の接着が制御されて滑りが良くなる。このため、ゲル粉砕工程を経た含水ゲル粒子を乾燥機内に流し込みやすくなり、処理量を上げることができ、生産性を向上させることができる。また、ゲルを流し込みやすくなることで、乾燥機内での厚みムラが少なくなり、乾燥時の乾燥ムラが少なくなり、得られる乾燥物の物性が安定することから、接着制御剤を用いることがより好ましい。
【0184】
乾燥工程(iv)を経て得られるゲル乾燥物の強度が高すぎると、粉砕及び分級工程(工程v)の中で、粉砕機を用いた乾燥物の粉砕工程において、粉砕機に大きな負荷がかかり装置寿命が短くなるおそれがある。このため乾燥物の強度は低いほうが良い。接着制御剤を添加し製造された含水ゲル粒子の乾燥物は、吸水性樹脂粉末同士の接着も制御できることから、含水ゲル粒子の乾燥物の強度を低下させることができる。このことからも接着制御剤を用いることが好ましい。
【0185】
本接着制御剤は、造粒形状粒子を構成する粒子(一次粒子ともいう)が過度に接着することを抑制する添加剤であるので、換言すれば、一次粒子の適度な接着が生じて造粒が行われる。一次粒子の適度な造粒の結果、吸水剤(造粒形状粒子)においては表面近傍だけでなく、内部にも接着制御剤が存在していることがある。
【0186】
接着制御剤が粒子表面近傍に存在するか内部に存在するかについては、吸水剤粒子の切断面を分析して接着制御剤の分布を調べてもよいし、研磨法やスパッタリング法により吸水剤粒子を研磨し、接着制御剤成分の含有量変化を調べてもよい。その際の分析する粒子の数は、重量平均粒子径近傍の粒子から任意に10粒以上を取り出し、その分析値の平均値で評価することが好ましい。ここで言う内部とは、吸水剤粒子表面から50μm以上の深さの部分をさす。
【0187】
本発明の好ましい形態によれば、前記接着制御剤が、非イオン性物質、両イオン性物質、アニオン性物質およびカチオン性物質から選ばれる1種以上の化合物であり前記非イオン性物質が、(a)ポリオール類、(b)ポリオール類のヒドロキシ基の変性物、(c)側鎖及び/又は末端ポリエーテル変性ポリシロキサン、(d)高級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物であり、前記両イオン性物質が、(e)アルキルアミノベタインまたは(f)アルキルアミンオキサイドであり、前記アニオン性物質が、(g)高級アルコールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩または(h)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩であり、前記カチオン性物質が、(i)アンモニウム塩である。かかる構成によって、本発明の所期の効果を効率よく奏することができる。
【0188】
本発明で言う接着制御剤として、具体例を挙げると、
非イオン性物質として、
(a)ポリオール類、
(b)ポリオール類のヒドロキシ基の変性物、
(c)側鎖及び/又は末端ポリエーテル変性ポリシロキサン、
(d)高級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物、
両イオン性物質として、
(e)アルキルアミノベタイン、
(f)アルキルアミンオキサイド
アニオン性物質として、
(g)高級アルコールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、
(h)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩
カチオン性物質として、
(i)アンモニウム塩
が挙げられる。
【0189】
((a)ポリオール類)
複数のヒドロキシ基を有するポリオール類として、(a−1)非高分子ポリオール類、(a−2)高分子ポリオール類が挙げられる。
【0190】
((a−1)非高分子ポリオール)
具体的には、複数のヒドロキシ基を有する非高分子ポリオール類として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等のジ、トリ、テトラオールが挙げられる。
【0191】
((a−2)高分子ポリオール)
具体的には、複数のヒドロキシ基を有する高分子ポリオール類として、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロック共重合体またはランダム共重合体等のポリアルキレングリコールを挙げることが出来る。ここで繰り返し単位のアルキレンユニットの炭素数はC1〜C6が好ましく、C2〜C4がより好ましく、C2〜C3が特に好ましい。(本明細書において、炭素数の事をCのあとに数字を記載して表すことがある。例えば炭素数1であればC1、炭素数10であればC10と記載することがある)。
【0192】
なお、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロック共重合体またはランダム共重合体等のポリアルキレングリコールは、市場から容易に入手でき、例えば以下の商品が好ましく例示される。
【0193】
株式会社アデカ製
・プルロニックシリーズ
プルロニックL−34、プルロニックL−44、プルロニックL−64、プルロニックP−84、プルロニックP−85、プルロニックP−103、プルロニックF−68、プルロニックF−88、プルロニックF−108、プルロニック17R−3、プルロニック17R−4、プルロニックTR−704、プルロニックTR−913R
日油株式会社製
プロノン#104、プロノン#204、プロノン#208、ユニルーブ70DP−600B、ユニルーブ70DP−950B
第一工業製薬株式会社製
エパン450、エパン485、エパン680、エパン740、エパン750、エパン785、エパンU−103、エパンU−105、エパンU−108。
【0194】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記(a)ポリオール類が、(ポリ)アルキレングリコールである。かかる実施形態によって、粉砕された含水ゲル粒子同士の接着を制御できる。
【0195】
((b)ポリオール類のヒドロキシ基の変性物)
ポリオール類のヒドロキシ基の変性物とは、1つ以上のヒドロキシ基がエステル変性及び/又はエーテル変性されていることが好ましい。エ−テル及び/又はエステルの変性は炭化水素基が好ましく、炭化水素基はC1〜C30が好ましく、C2〜C28がより好ましく、C3〜C26がさらに好ましく、C4〜C24が特に好ましく、C6〜C22が最も好ましい。炭素数がC30を超えると疎水性が強くなり、表面張力が低下する恐れがあり好ましくない。
【0196】
また、上記炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、フェニル基やアルキルフェニル基などの芳香族炭化水素基であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよい。
【0197】
ただし、上記不飽和炭化水素結合を化合物の構造末端に2つ以上を有する化合物は含まない。具体的には、ポリエチレングリコールの両末端ジ(メタ)アクリレート化合物は含まない。化合物の構造末端に2つ以上の複数の不飽和結合を有するラジカル重合性の接着制御剤は工程(i)や工程(ii)での添加は重合時の反応によって消費されてゲル粉砕時には残存しない恐れがあり、また工程(iii)での添加では充分に消費されず最終製品に残存して着色の原因となる恐れがある。
【0198】
吸水性樹脂の官能基であるカルボキシル基との反応性を有するヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の置換基を有する接着制御剤を使用すると、接着制御剤がゲル粒子表面に存在することでゲル粉砕時に、過度のゲルの付着を低減しつつ、乾燥時に官能基が反応することでゲル粒子間の架橋も起こり、膨潤時の造粒粒子の崩壊をさらに抑制することが出来る。
【0199】
ポリオール類のヒドロキシ基の変性物として、(b−1)グリシジル変性ポリオール類、(b−2)高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、(b−3)多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0200】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記(b)ポリオール類のヒドロキシ基の変性物が、(b−1)グリシジル変性ポリオール類、(b−2)高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、または(b−3)多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物であり、(b−1)が、(ポリ)アルキレングリコールの末端の少なくとも一つがグリシジル基で修飾されているものであり、(b−2)が、(ポリ)アルキレングリコールの片末端がC1〜C30の炭化水素を有する置換基で修飾されたものであり、(b−3)が、多価アルコールのヒドロキシ基の少なくとも1つにアルキレンオキサイドが付加され、かつ、多価アルコールのヒドロキシ基の少なくとも1つにエステル結合を介してC1〜C30の炭化水素を有する置換基で修飾されたものであり、該多価アルコールが、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタンおよびまたは糖類である。かかる構成によって、粉砕された含水ゲル同士の接着を制御できる。
【0201】
((b−1)グリシジル変性ポリオール類)
グリシジル変性ポリオール類は、(ポリ)アルキレングリコールの末端の少なくとも1つがグリシジル基で修飾されているものである。具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどの水溶性(ポリ)アルキレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等のポリオールの水溶性ポリグリシジルエーテル類が挙げられる。
【0202】
(ポリ)アルキレングリコールのヒドロキシ基の2つ以上がグリシジル基で修飾された化合物である接着制御剤は、工程(i)や工程(ii)での添加は、重合時の反応によって消費されてゲル粉砕時に少なくなる、もしくは残存しない恐れがあり、工程(ii)以降で添加されることが好ましい。
【0203】
(b−1)グリシジル変性ポリオールの添加量は、上記の接着制御剤の添加量の範囲であってもよいが、含水ゲル状架橋重合体の原料モノマーに対して、0.01〜5重量%が好ましく、0.02〜3重量%がより好ましく、0.03〜2重量%がさらに好ましい。
【0204】
グリシジル変性ポリオール類は、市場から容易に入手でき、例えば以下の商品が好ましく例示される。
【0205】
・ナガセケムテックス株式会社製
デナコールEX−145、デナコールEX−171、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−252、デナコールEX−810、デナコールEX−811、デナコールEX−850、デナコールEX−851、デナコールEX−821、デナコールEX−830、デナコールEX−832、デナコールEX−841、デナコールEX−861、デナコールEX−911、デナコールEX−941、デナコールEX−920、デナコールEX−931、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−321、デナコールEX−411、デナコールEX−421、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−614B。
【0206】
((b−2)高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物)
高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物は、(ポリ)アルキレングリコールの片末端がC1〜C30の炭化水素を有する置換基で修飾されているものであり、一般式を「化1」に示す。
【0207】
【化1】
【0208】
Rとしては、炭素数C1〜C30の上記炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、アルキルフェニル基やアルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基、ナフチル基などの多環芳香族炭化水素であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、C1〜C30が好ましく、C2〜C28がより好ましく、C3〜C26がさらに好ましく、C4〜C24が特に好ましく、C6〜C22が最も好ましい。上記炭化水素基がC30を超えると疎水性が強くなりすぎて、吸水剤の表面張力の低下が顕著になるため好ましくない。
【0209】
AOは、C2nO(nは自然数)で表すこともできる繰り返し単位であり、炭素数は、C1〜C6が好ましく、C1〜C3がより好ましく、C2〜C3がさらに好ましく、C2つまりエチレンオキサイド付加あるいはエチレングリコールの縮合に由来する構造であるCHCHOが繰り返し単位であることが特に好ましい。
【0210】
上記繰り返し単位が炭素数が同じユニットの重合体であってもよく、異なるユニットのブロック重合体またはランダム重合体であってもよい。
【0211】
aはAOの繰り返し単位の繰り返し数であり、1〜1000までが好ましく、2〜500がより好ましく、2〜300がさらに好ましい。繰り返し単位が1000を超えると粘度が上がり、添加が不均一になるため好ましくない。
【0212】
(b−2)高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物のHLBはグリフィン法で10〜20が好ましく、12〜20がより好ましく、14〜20がさらに好ましい。上記範囲を下回ると、疎水性が強くなるため、GCAが低下したり、吸収速度が遅くなったり、表面張力の低下が顕著になったりして好ましくない。また上記HLBの求め方では20が上限値となる。
【0213】
(b−2)高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物の添加量は、上記の接着制御剤の添加量の範囲であってもよいが、含水ゲル状架橋重合体の原料モノマーに対して、0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜2重量%がより好ましく、0.01〜0.5重量%がさらに好ましい。
【0214】
(b−2)高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物は、市場から容易に入手でき、例えば以下の商品が好ましく例示される。
【0215】
花王株式会社製
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル
エマルゲン106(HLB=10.5)、エマルゲン108(HLB=12.1)、エマルゲン109P(HLB=13.6)、エマルゲン120(HLB=15.3)、エマルゲン123P(HLB=16.9)、エマルゲン130K(HLB=18.1)、エマルゲン147(HLB=16.3)、エマルゲン150(HLB=18.4)
・ポリオキシエチレンセチルエーテル
エマルゲン210P(HLB=10.7)、エマルゲン220(HLB=14.2)
・ポリオキシエチレンステアリルエーテル
エマルゲン320P(HLB=13.9)、エマルゲン350(HLB=17.8)
・ポリオキシエチレンオレイルエーテル
エマルゲン408(HLB=10.0)、エマルゲン409PV(HLB=12.0)、エマルゲン420(HLB=13.6)、エマルゲン430(HLB=16.2)
・ポリオキシエチレンミリスチルエーテル
エマルゲン4085(HLB=18.9)
・ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル
エマルゲン2020G−HA(HLB=13.0)、エマルゲン2025G(HLB=15.7)
日油株式会社製
・ポリオキシエチレンイソデシルエーテル
ノニオンID−203(HLB=12.5)、ノニオンID−209(HLB=14.3)
・ポリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル
ノニオンEH−204(HLB=11.5)、ノニオンEH−208(HLB=14.6)
日本乳化剤株式会社性
・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
ニューコール560(HLB=10.9)、ニューコール564(HLB=12.3)、ニューコール565(HLB=13.3)、ニューコール566(HLB=14.1)、ニューコール568(HLB=15.2)、ニューコール504(HLB=16.0)、ニューコール506(HLB=17.2)、ニューコール509(HLB=18.0)、ニューコール516(HLB=18.8)。
【0216】
((b−3)多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物)
多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物は多価アルコールの少なくとも1つが(ポリ)アルキレングリコールで修飾されており、かつ少なくとも1つがエステル結合を介してC1〜C30の炭化水素を有する置換基で修飾されているものである。多価アルコールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタンおよび糖類などが挙げられる。
【0217】
好ましくは、グリセリン脂肪酸モノエステルのアルキレンオキシド付加物、およびソルビタン脂肪酸モノエステルのアルキレンオキシド付加物が挙げられ、グリセリン脂肪酸モノエステルのアルキレンオキシド付加物の一般式を「化2」に示す。ソルビタン脂肪酸モノエステルのアルキレンオキシド付加物は構造異性体を含むため、一般式「化3」、「化4」に分けて示す。
【0218】
【化2】
【0219】
Rとしては、炭素数C1〜C30の上記炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、アルキルフェニル基やアルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基、ナフチル基などの多環芳香族炭化水素であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、C1〜C30が好ましく、C2〜C28がより好ましく、C3〜C26がさらに好ましく、C4〜C24が特に好ましく、C6〜C22が最も好ましい。上記炭化水素基がC30を超えると疎水性が強くなりすぎて、吸水剤の表面張力の低下が顕著になるため好ましくない。
【0220】
OおよびAOは、C2nO(nは自然数)で表すこともできる繰り返し単位であり、炭素数は、C1〜C6が好ましく、C1〜C3がより好ましく、C2〜C3がさらに好ましく、C2つまりエチレンオキサイド付加あるいはエチレングリコールの縮合に由来する構造であるCHCHOであることが特に好ましい。
【0221】
上記繰り返し単位が炭素数が同じユニットの重合体であってもよく、異なるユニットのブロック重合体またはランダム重合体であってもよい。AO、AOは、それぞれ異なっていても、同じでもよい。
【0222】
a、bはAO、AOの繰り返し単位の繰り返し数であり、a+bの合計は、1〜1000までが好ましく、2〜500がより好ましく、2〜300がさらに好ましい。a、bは、それぞれ異なっていても、同じでもよい。a+bの合計が1000を超えると粘度が上がり、添加が不均一になるため好ましくない。
【0223】
【化3】
【0224】
【化4】
【0225】
Rとしては、炭素数C1〜C30の上記炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、アルキルフェニル基やアルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基、ナフチル基などの多環芳香族炭化水素であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、C1〜C30が好ましく、C2〜C28がより好ましく、C3〜C26がさらに好ましく、C4〜C24が特に好ましく、C6〜C22が最も好ましい。上記炭化水素基がC30を超えると疎水性が強くなりすぎて、吸水剤の表面張力の低下が顕著になるため好ましくない。
【0226】
O、AO、AOは、C2nO(nは自然数)で表すこともできる繰り返し単位であり、炭素数は、C1〜C6が好ましく、C1〜C3がより好ましく、C2〜C3がさらに好ましく、C2つまりエチレンオキサイド付加あるいはエチレングリコールの縮合に由来する構造であるCHCHOであることが特に好ましい。
【0227】
上記繰り返し単位が炭素数が同じユニットの重合体であってもよく、異なるユニットのブロック重合体またはランダム重合体であってもよい。AO、AO、AOは、それぞれ異なっていても、同じでもよい。
【0228】
a、b、cは上記繰り返し単位の繰り返し単位の繰り返し数であり、a+b+cの合計は、1〜1000までが好ましく、2〜500がより好ましく、2〜300がさらに好ましい。a、bは、それぞれ異なっていても、同じでもよい。a+b+cの合計が1000を超えると粘度が上がり、添加が不均一になるため好ましくない。
【0229】
a、b、cはポリエチレングリコールの平均繰り返し単位であり、a+b+cの合計量で、1〜300までが好ましく、2〜200がより好ましく、2〜100がさらに好ましい。a、b、cは、それぞれ異なっていても、同じでもよい。
【0230】
(b−3)多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物のHLBはグリフィン法で10〜20が好ましく、12〜20がより好ましく、14〜20がさらに好ましい。上記範囲を下回ると、疎水性が強くなるため、GCAが低下したり、吸収速度が遅くなったり、表面張力の低下が顕著になったりして好ましくない。また上記HLBの求め方では20が上限値となる。
【0231】
(b−3)多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物の添加量は、上記の接着制御剤の添加量の範囲であってもよいが、含水ゲル状架橋重合体の原料モノマーに対して、0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜2重量%がより好ましく、0.01〜0.5重量%がさらに好ましい。
【0232】
(b−3)多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物は、市場から容易に入手でき、例えば以下の商品が好ましく例示される。
【0233】
花王株式会社製
・ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート
レオドールTW−L120(HLB=16.7)、レオドールTW−L106(HLB=13.3)、レオドールスーパーTW−L120
・ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート
レオドールTW−P120(HLB=15.6)
・ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート
レオドールTW−S120V(HLB=14.9)
・ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート
レオドールTW−S320V(HLB=10.5)
・ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート
レオドールTW−O120V(HLB=15.0)、レオドールTW−O106V(HLB=10.0)
・ポリオキシエチレンソルビタントリオレート
レオドールTW−O320V(HLB=11.0)
日油株式会社製
・ポリオキシエチレンヤシ脂肪酸グリセリル
ユニグリMK−207(HLB=13.0)、ユニグリMK−230(HLB=17.4)
((c)側鎖及び/又は末端ポリエーテル変性ポリシロキサン)
ポリシロキサンのポリエーテル変性部位は特に限定はしないが、ポリシロキサンの側鎖、ポリシロキサンの両末端、ポリシロキサンの片末端、ポリシロキサンの側鎖と両末端との両方のいずれでもよい。ポリエーテル変性基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレン基およびポリオキシプロピレン基の両方を有するものが含まれる。
【0234】
ポリエーテル変性ポリシロキサンのHLBはグリフィン法で10〜20が好ましく、12〜20がより好ましく、14〜20がさらに好ましい。上記範囲を下回ると、疎水性が強くなるため、GCAが低下したり、吸収速度が遅くなったり、表面張力の低下が顕著になったりして好ましくない。また上記HLBの求め方では20が上限値となる。
【0235】
(c)側鎖及び/又は末端ポリエーテル変性ポリシロキサンの添加量は、上記の接着制御剤の添加量の範囲であってもよいが、含水ゲル状架橋重合体の原料モノマーに対して、0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜2重量%がより好ましく、0.01〜0.5重量%がさらに好ましい。
【0236】
ポリエーテル変性シロキサンは、市場から容易に入手でき、例えば以下の商品が好ましく例示される。
【0237】
信越化学工業株式会社製
KF−351A(HLB=12)、KF−353(HLB=10)、KF−354L(HLB=16)、KF−355A(HLB=12)、KF−615A(HLB=10)、KF−640(HLB=14)、KF−642(HLB=12)、KF−643(HLB=14)、KF−6011(HLB=12)
東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−77(HLB=11)、L−7604(HLB=11)
((d)高級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物)
本発明の好ましい実施形態によれば、前記(d)高級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物が、C1〜C30の炭化水素を有する1級アミンの2つの水素にアルキレンオキサイドが付加されたものである。かかる構成によって、粉砕された含水ゲル同士の接着を制御できる。
【0238】
高級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物は、C1〜C30の炭化水素基を有する1級アミンの2つの水素が(ポリ)アルキレングリコールで修飾されているものであり、一般式を「化5」に示す。
【0239】
【化5】
【0240】
Rとしては、炭素数C1〜C30の上記炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、アルキルフェニル基やアルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基、ナフチル基などの多環芳香族炭化水素であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、C1〜C30が好ましく、C2〜C28がより好ましく、C3〜C26がさらに好ましく、C4〜C24が特に好ましく、C6〜C22が最も好ましい。上記炭化水素基がC30を超えると疎水性が強くなりすぎて、吸水剤の表面張力の低下が顕著になるため好ましくない。
【0241】
OおよびAOは、C2nO(nは自然数)で表すこともできる繰り返し単位であり、炭素数は、C1〜C6が好ましく、C1〜C3がより好ましく、C2〜C3がさらに好ましく、C2つまりエチレンオキサイド付加あるいはエチレングリコールの縮合に由来する構造であるCHCHOであることが特に好ましい。アルキレンユニットは炭素数が同じユニットの重合体であってもよく、異なるユニットのブロック重合体またはランダム重合体であってもよい。AO、AOは、それぞれ異なっていても、同じでもよい。
【0242】
a、bはアルキレングリコールユニットの繰り返し単位であり、a+bの合計は、1〜1000までが好ましく、2〜500がより好ましく、2〜300がさらに好ましい。a、bは、それぞれ異なっていても、同じでもよい。a+bの合計が1000を超えると粘度が上がり、添加が不均一になるため好ましくない。
【0243】
(d)高級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物のHLBはグリフィン法で10〜20が好ましく、12〜20がより好ましく、14〜20がさらに好ましい。上記範囲を下回ると、疎水性が強くなるため、GCAが低下したり、吸収速度が遅くなったり、表面張力の低下が顕著になったりして好ましくない。また上記HLBの求め方では20が上限値となる。
【0244】
(d)高級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物の添加量は、上記の接着制御剤の添加量の範囲であってもよいが、含水ゲル状架橋重合体の原料モノマーに対して、0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜2重量%がより好ましく、0.01〜0.5重量%がさらに好ましい。
【0245】
(d)高級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物は、市場から容易に入手でき、例えば以下の商品が好ましく例示される。
【0246】
日油株式会社製
・ポリオキシエチレンラウリルアミン
ナイミーンL−207(HLB=12.5)、
・ポリオキシエチレンアルキル(ヤシ)アミン
ナイミーンF−215(HLB=15.4)
・ポリオキシエチレンステアリルアミン
ナイミーンS−210(HLB=12.5)、ナイミーンS−215(HLB=14.5)、ナイミーンS−220(HLB=15.4)
・ポリオキシエチレン牛脂アルキルアミン
ナイミーンT2−210(HLB=12.5)、ナイミーンT2−230(HLB=16.7)
・ポリオキシエチレンアルキルプロピレンジアミン
ナイミーンDT−208(HLB=10.7)
花王株式会社製
アミート105A(HLB=10.8)、アミート320(HLB=15.4)
((e)アルキルアミノベタイン)
アルキルアミノベタインは同一分子内の隣接しない位置に、カチオン性基とアニオン性基を有しており、カチオン性基が2〜4級アンモニウムであり、2〜4級アンモニウムの少なくとも1つがC1〜C30の炭化水素基を有する置換基で修飾されているものであり、一般式を「化6」に示す。
【0247】
【化6】
【0248】
としては、炭素数C1〜C30の上記炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、アルキルフェニル基やアルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基、ナフチル基などの多環芳香族炭化水素であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、C1〜C30が好ましく、C2〜C28がより好ましく、C3〜C26がさらに好ましく、C4〜C24が特に好ましく、C6〜C22が最も好ましい。上記炭化水素基がC30を超えると疎水性が強くなりすぎて、吸水剤の表面張力の低下が顕著になるため好ましくない。
【0249】
、Rは水素または、上記炭素数C1〜C30の炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、アルキルフェニル基やアルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基、ナフチル基などの多環芳香族炭化水素であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、C1〜C30が好ましく、C1〜C25がより好ましく、C1〜C20がさらに好ましい。上記炭化水素基がC30を超えると疎水性が強くなりすぎて、吸水剤の表面張力の低下が顕著になるため好ましくない。R、R、Rは、それぞれ異なっていても、同じでもよい。
【0250】
Xは炭素数C1以上を含有している以外は、構造を特に限定されるものではない。
【0251】
アニオン部(Z)は、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩が挙げられる。
【0252】
ただし、一般式「化6」で表せる以外にも、次の「化7」に示すアンヒトール20YB(花王株式会社製)のようにイミダゾリウム環上にカチオン基を有するものもある。
【0253】
【化7】
【0254】
としては、炭素数C1〜C30の上記炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、アルキルフェニル基やアルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基、ナフチル基などの多環芳香族炭化水素であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、C1〜C30が好ましく、C2〜C28がより好ましく、C3〜C26がさらに好ましく、C4〜C24が特に好ましく、C6〜C22が最も好ましい。上記炭化水素基がC30を超えると疎水性が強くなりすぎて、吸水剤の表面張力の低下が顕著になるため好ましくない。
【0255】
は水素または、上記炭素数C1〜C30の炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、アルキルフェニル基やアルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基、ナフチル基などの多環芳香族炭化水素であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、C1〜C30が好ましく、C1〜C25がより好ましく、C1〜C20がさらに好ましい。上記炭化水素基がC30を超えると疎水性が強くなりすぎて、吸水剤の表面張力の低下が顕著になるため好ましくない。R、Rは、それぞれ異なっていても、同じでもよい。
【0256】
Xは炭素数C1以上を含有している以外は、構造を特に限定されるものではない。
【0257】
アニオン部(Z)は、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩が挙げられる。
【0258】
(f)アルキルアミンオキサイド
アルキルアミンオキシドは同一分子内の隣接する位置に、カチオン性基とアニオン性基を有しており、カチオン性基が2〜4級アンモニウムであり、2〜4級アンモニウムの少なくとも1つがC1〜C30の炭化水素基を有する置換基で修飾されているものであり、一般式を「化8」に示す。
【0259】
【化8】
【0260】
としては、炭素数C1〜C30の上記炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、アルキルフェニル基やアルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基、ナフチル基などの多環芳香族炭化水素であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、C1〜C30が好ましく、C2〜C28がより好ましく、C3〜C26がさらに好ましく、C4〜C24が特に好ましく、C6〜C22が最も好ましい。上記炭化水素基がC30を超えると疎水性が強くなりすぎて、吸水剤の表面張力の低下が顕著になるため好ましくない。
【0261】
、Rは水素または、上記炭素数C1〜C30の炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、アルキルフェニル基やアルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基、ナフチル基などの多環芳香族炭化水素であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、C1〜C30が好ましく、C1〜C25がより好ましく、C1〜C20がさらに好ましい。上記炭化水素基がC30を超えると疎水性が強くなりすぎて、吸水剤の表面張力の低下が顕著になるため好ましくない。R、R、Rは、それぞれ異なっていても、同じでもよい。
【0262】
(e)アルキルアミノベタイン、(f)アルキルアミンオキサイドの添加量は、上記の接着制御剤の添加量の範囲であってもよいが、含水ゲル状架橋重合体の原料モノマーに対して、0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜2重量%がより好ましく、0.01〜0.5重量%がさらに好ましい。
【0263】
(e)アルキルアミノベタイン、(f)アルキルアミンオキサイドは、市場から容易に入手でき、例えば以下の商品が好ましく例示される。
【0264】
花王株式会社製:
アンヒトール20BS、アンヒトール24B(20BSの脱塩品)、アンヒトール86B、アンヒトール20N、アンヒトール20YB、アンヒトール20AB、アンヒトール55AB、アンヒトール20HD
第一工業製薬株式会社製:
アモーゲンS−H、アモーゲンK、アモーゲンLB−C、アモーゲンCB−H、アモーゲンHB−C、アモーゲンAOL
株式会社アデカ製:
アデカアンホートPB−30L、アデカアンホートAB−35L
日油株式会社製:
ニッサンアノンBF、ニッサンアノンBL、ニッサンアノンBL−SF、ニッサンアノンBDF−R、ニッサンアノンBDF−SF、ニッサンアノンBDC−SF、ニッサンアノンBDL−SF、ニッサンアノンGLM−R、ユニセーフA−LM、ユニセーフA−SM、ユニセーフA−LE
日本乳化剤製:
テクスノールR2。
【0265】
((g)高級アルコールエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩)
本発明の好ましい実施形態によれば、前記(g)高級アルコールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩が、(ポリ)アルキレングリコールの1つの末端がC1〜C30の炭化水素を有する置換基で修飾され、かつ、もう1つの末端が硫酸エステル塩である。かかる構成によって、粉砕された含水ゲル同士の接着を制御できる。
【0266】
高級アルコールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩は、(ポリ)アルキレングリコールの一方がC1〜C30の炭化水素を有する置換基で修飾されていて、もう一方が硫酸エステル塩であり、一般式を「化9」に示す。
【0267】
【化9】
【0268】
Rとしては、炭素数C1〜C30の上記炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、アルキルフェニル基やアルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基、ナフチル基などの多環芳香族炭化水素であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、C1〜C30が好ましく、C2〜C28がより好ましく、C3〜C26がさらに好ましく、C4〜C24が特に好ましく、C6〜C22が最も好ましい。上記炭化水素基がC30を超えると疎水性が強くなりすぎて、吸水剤の表面張力の低下が顕著になるため好ましくない。
【0269】
AOは、C2nO(nは自然数)で表すこともできる繰り返し単位であり、炭素数は、C1〜C6が好ましく、C1〜C3がより好ましく、C2〜C3がさらに好ましく、C2つまりエチレンオキサイド付加あるいはエチレングリコールの縮合に由来する構造であるCHCHOがであることが特に好ましい。
【0270】
上記繰り返し単位が炭素数が同じユニットの重合体であってもよく、異なるユニットのブロック重合体またはランダム重合体であってもよい。
【0271】
aはAOの繰り返し単位の繰り返し数であり、1〜1000までが好ましく、2〜500がより好ましく、2〜300がさらに好ましい。繰り返し単位が1000を超えると粘度が上がり、添加が不均一になるため好ましくない。
【0272】
Mとしては、アルカリ金属(Li、Na、K)、アンモニウムイオンが挙げられる。
【0273】
(g)高級アルコールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩の添加量は、上記の接着制御剤の添加量の範囲であってもよいが、含水ゲル状架橋重合体の原料モノマーに対して、0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜2重量%がより好ましく、0.01〜0.5重量%がさらに好ましい。
【0274】
(g)高級アルコールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩は、市場から容易に入手でき、例えば以下の商品が好ましく例示される。
【0275】
花王株式会社製
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム
エマール20C、エマールE−27C、エマール270J、エマール20CM
日本乳化剤株式会社製
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩
ニューコール1020−SN、ニューコール2308−SF、ニューコール2320−SN、ニューコール2360−SN、ニューコール1305−SN、ニューコール1330−SF、ニューコール1703−SFD、ニューコール1525−SFC
日油株式会社製
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム
パーソフトEP、ニッサントラックスK−40、ニッサントラックスK−300、パーソフトEF、パーソフトEDO、パーソフトEL、パーソフトEK
((h)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩)
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩の一般式を「化10」に示す。
【0276】
【化10】
【0277】
Rとしては、炭素数C1〜C30の上記炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、アルキルフェニル基やアルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基、ナフチル基などの多環芳香族炭化水素であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、C1〜C30が好ましく、C2〜C28がより好ましく、C3〜C26がさらに好ましく、C4〜C24が特に好ましく、C6〜C22が最も好ましい。上記炭化水素基がC30を超えると疎水性が強くなりすぎて、吸水剤の表面張力の低下が顕著になるため好ましくない。
【0278】
Mとしては、アルカリ金属(Li、Na、K)、アンモニウムイオンが挙げられる。
【0279】
(h)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩の添加量は、上記の接着制御剤の添加量の範囲であってもよいが、含水ゲル状架橋重合体の原料モノマーに対して、0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜2重量%がより好ましく、0.01〜0.5重量%がさらに好ましい。
【0280】
(h)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩は、市場から容易に入手でき、例えば以下の商品が好ましく例示される。
【0281】
花王株式会社製
・アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム
ペレックスSS−L、ペレックスSS−H
竹本油脂株式会社製
・アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム
パイオニンA−43−D、タケサーフA−43−NQ
((i)アンモニウム塩)
アンモニウム塩は、アンモニウム塩の少なくとも1つの水素がC1〜C30の炭化水素を有する置換基で修飾されているものであり、一般式を「化11」に示す。
【0282】
【化11】
【0283】
としては、炭素数C1〜C30の上記炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、アルキルフェニル基やアルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基、ナフチル基などの多環芳香族炭化水素であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、C1〜C30が好ましく、C2〜C28がより好ましく、C3〜C26がさらに好ましく、C4〜C24が特に好ましく、C6〜C22が最も好ましい。上記炭化水素基がC30を超えると疎水性が強くなりすぎて、吸水剤の表面張力の低下が顕著になるため好ましくない。
【0284】
、R、Rは水素または、上記炭素数C1〜C30の炭化水素基は直鎖に限らず、分岐または環状の飽和炭化水素基及び/又は不飽和炭化水素基、アルキルフェニル基やアルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基、ナフチル基などの多環芳香族炭化水素であってもよい。さらに、上記炭化水素基はヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等の反応性官能基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、C1〜C30が好ましく、C1〜C25がより好ましく、C1〜C20がさらに好ましい。上記炭化水素基がC30を超えると疎水性が強くなりすぎて、吸水剤の表面張力の低下が顕著になるため好ましくない。R、R、R、Rは、それぞれ異なっていても、同じでもよい。
【0285】
Nはアンモニウムカチオンのカウンターアニオンであり、例えばハロゲンイオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、ヒドロキシイオン、BF4−、PF6−、ClO4−、AsF6−、SbF6−などが挙げられる。
【0286】
(i)アンモニウム塩の添加量は、上記の接着制御剤の添加量の範囲であってもよいが、含水ゲル状架橋重合体の原料モノマーに対して、0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜2重量%がより好ましく、0.01〜0.5重量%がさらに好ましい。
【0287】
(i)アンモニウム塩は、市場から容易に入手でき、例えば以下の商品が好ましく例示される。
【0288】
花王株式会社製
・ココナットアミンアセテート
アセタミン24
・ステアリルアミンアセテート
アセタミン86
・ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド
コータミン24P
・ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド
コータミン86W
・セチルトリメチルアンモニウムクロライド
コータミン60W
・ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド
コータミンD86P
・アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド
サニゾールC、サニゾールB−50
日油株式会社製
・テトラデシルアミンアセテート
ニッサンカチオンMA
・ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド
ニッサンカチオンBB
・ヤシアルキルトリメチルアンモニウムクロライド
ニッサンカチオンFB
・ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド
ニッサンカチオンPB−300
・牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライド
ニッサンカチオンABT2−500
・オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド
ニッサンカチオンAB、ニッサンカチオンAB−600
・ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド
ニッサンカチオンVB−Mフレーク、ニッサンカチオンVB−F
・ジデシルジメチルアンモニウムクロライド
ニッサンカチオン2−DB−500E
・ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド
ニッサンカチオン2−OLR
・ヤシアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド
ニッサンカチオンF2−50R
・テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド
ニッサンカチオンM2−100R
本願で用いる接着制御剤は、親水性ユニット(4級アンモニウム塩等のカチオン性基、スルホン酸塩、アミン、ポリエチレングリコール鎖)と疎水性ユニット(炭化水素基)を同一化合物内に有することが好ましい。親水性ユニットとしては、特に4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール鎖が好ましい。
【0289】
接着制御剤の親水性ユニットは、親水性である粒子状吸収剤の内部または/および表面と相互作用し、吸収剤から溶出しにくくなっていると考えられる。このため、吸収剤の表面張力の低下が抑えられ、表面張力低下に伴う吸水体からの液の戻り量を抑えられると考えられる。
【0290】
接着制御剤の疎水性ユニットは、その疎水的な性質のために、ゲル粉砕後の含水ゲル粒子の表面層(空気層に近い部分)に集まることで、粉砕されたゲル同士の接着を抑える効果が高まり、ゲル粒子同士が再接着してしまうのを抑制できていると考えられる。一方で親水性ユニットはゲルとの相互作用により、ゲル粒子表面に留まるためのアンカーとして作用していると考えられる。
【0291】
また、本願で用いる接着制御剤は、疎水性ユニットを持たず、親水性ユニットのみからなるポリエチレングリコールも好ましい。特に親水性ユニットのみからなるポリエチレングリコールは、親水性である粒子状吸収剤の内部または/および表面と相互作用し、吸収剤から特に溶出しにくくなっていると考えられる。また、添加量の最適値範囲が広く、添加量の振れに対して鈍感であることが、製造時の運転制御範囲を広くとることができ好ましい。さらに、含水ゲル粒子表面にポリエチレングリコールが存在すると、乾燥工程において、吸水性樹脂の官能基であるカルボキシル基とポリエチレングリコールの両末端のヒドロキシ基が反応し、造粒形状粒子を構成する一次粒子を架橋することとなり、造粒形状粒子が吸水して膨潤する際に、崩壊するのを抑制する効果があり好ましい。
【0292】
接着制御剤を使用することによる主効果としては、含水ゲル粒子の1次粒子同士の接着制御が挙げられる。また。付随的効果としては、含水ゲルの流動性の向上および含水ゲル粒子の乾燥物強度低下が挙げられる。
【0293】
また、接着制御剤を使用すると、その潤滑効果からゲル粉砕機の負荷を低減することが可能となり、より生産性があがると共に、ゲル粉砕時のゲルの劣化が抑えられるため好ましい。
【0294】
非イオン性物質のHLBはグリフィン法で10〜20が好ましく、12〜20がより好ましく、14〜20がさらに好ましい。上記範囲を下回ると、疎水性が強くなるため、GCAが低下したり、吸収速度が遅くなったり、表面張力の低下が顕著になったりして好ましくない。また上記HLBの求め方では20が上限値となる。
【0295】
接着制御剤の分子量(重量平均分子量)は特に制限はないが、より少量の添加量で効果を発現したり、吸収倍率が低下したりするといった弊害を避けるためには、分子量(以下、接着制御剤が高分子の場合は重量平均分子量)が100〜1,000,000の範囲が好ましく、150〜500,000がより好ましく、200〜500,000、300〜300,000がさらに好ましく、500〜200,000であることがよりさらに好ましく、1,000〜50,000以下であることが特に好ましく、30,000以下であることが最も好ましい。また、特に、接着制御剤としてポリエチレングリコールを使用する場合、重量平均分子量が500以上であることによって、本発明の所期の効果を効率的に奏することができる。
【0296】
分子量が上記範囲を下回ると、揮発しやすくなり、効果が小さくなるため好ましくない。分子量が上記範囲を上回ると、粘度が大きくなり、添加が不均一になるため好ましくない。
【0297】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記非イオン性物質または前記(g)高級アルコールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩の重量平均分子量が、それぞれ独立して、200〜200,000である。かかる実施形態によって、粉砕された含水ゲル同士の接着を制御できる。また、本形態では、50,000以下であることが特に好ましく、30,000以下であることが最も好ましい。
【0298】
(2−4)乾燥工程(工程(iv))
本工程は、上記重合工程等を経て得られる含水ゲル(含水ゲル粒子)を乾燥して乾燥重合体(乾燥物)を得る工程である。なお、上記重合工程が水溶液重合である場合、含水ゲルの乾燥前に、ゲル粉砕(細粒化)が行われる。また、乾燥工程で得られる乾燥重合体(凝集物)(乾燥物)はそのまま粉砕工程に供給されてもよい。
【0299】
本発明における乾燥方法としては、特に限定されず、種々の方法を採用することができる。具体的には、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、疎水性有機溶媒での共沸脱水乾燥、高温の水蒸気を用いた高湿乾燥等が挙げられ、これらの1種又は2種を併用することもできる。
【0300】
本乾燥工程で乾燥されることによって、細かく粉砕された粒子状含水ゲルはお互いの付着し合い、造粒形状の粒子が形成される。
【0301】
尚、本発明において造粒とは、粒子同士を物理的、化学的な手法により付着させることにより元の粒子(1次粒子)より大きな粒子を形成させることであり、その1次粒子同士の付着が、緩やか、あるいは、点接触となっていることをいう。本発明の造粒物又は造粒粒子は、実施例の図に示すように1次粒子が明確に区別できる状態で付着している粒子である。なお、接着制御剤の有無、種類によって付着の程度は制御され、GCA、FGBP、vortex、AAP等が制御可能である。
【0302】
本発明における乾燥温度は100〜300℃が好ましく、150〜250℃がより好ましい。また、乾燥時間としては、含水ゲル粒子の表面積や含水率、乾燥機の種類等に依存するため、例えば、1分間〜5時間が好ましく、5分〜1時間がより好ましい。
【0303】
さらに、乾燥減量(粉末又は粒子1gを180℃で3時間乾燥)から求められる吸水性樹脂(乾燥物)の固形分は、80重量%以上が好ましく、85〜99重量%がより好ましく、90〜98重量%がさらに好ましく、92〜97重量%が特に好ましい。
【0304】
(2−5)粉砕及び分級工程(工程(v))
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体(乾燥物)を粉砕及び/又は分級して、好ましくは特定粒度の吸水性樹脂粉末を得る工程である。なお、上記(2−3)ゲル粉砕工程とは、粉砕対象物が乾燥工程を経ている点で異なる。
【0305】
本工程は、(2−6)表面架橋工程の前、及び/又は、後に実施され、好ましくは(2−6)表面架橋工程の前に実施され、(2−6)表面架橋工程の前後の少なくとも2回実施されてもよい。
【0306】
本発明の粉砕工程で使用される機器(粉砕機)としては、例えばロールミル、ハンマーミル、スクリューミル、ピンミル等の高速回転式粉砕機、振動ミル、ナックルタイプ粉砕機、円筒型ミキサー等が挙げられ、必要により併用される。
【0307】
(粒度)
表面架橋前の吸水性樹脂粉末の重量平均粒子径(D50)は、取り扱い性(特に吸湿下での取り扱い性)、GCA、FGBP、吸水速度、加圧下吸水倍率等の観点から、300〜500μmが好ましく、310〜480μmがより好ましく、320〜450μmがさらに好ましい。
【0308】
また、標準篩分級で規定される粒子径150μm未満の微粒子の含有量は少ない程よく、吸水性樹脂粉末全体に対して0〜5重量%が好ましく、0〜3重量%がより好ましく、0〜2重量%がさらに好ましい。
【0309】
さらに、標準篩分級で規定される粒子径850μm以上の粗大粒子も少ない程よく、吸水速度等の観点から、吸水性樹脂粉末全体に対して0〜5重量%が好ましく、0〜3重量%がより好ましく、0〜1重量%がさらに好ましい。
【0310】
また、粒子径が150μm以上850μm未満の粒子の割合は、GCA、FGBP、吸水速度、加圧下吸水倍率等の面から、吸水性樹脂粉末全体に対して90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましく、98重量%以上がさらに好ましく、99重量%以上が特に好ましい(上限は100重量%)。
【0311】
また、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は好ましくは0.20〜0.50、より好ましくは0.25〜0.45、さらに好ましくは0.30〜0.40である。
【0312】
150μm未満の微粒子の含有量が上記範囲のように少なく調整されることにより、発塵が低減し、扱い易くなるとともに、GCA、FGBP、加圧下吸水倍率の向上が見出される。
【0313】
この範囲を粉砕及び分級工程で調整される粒子径範囲や吸水剤の粒子径範囲と比較すると、ゲル粉砕段階での粒子径の方が細かく、乾燥された吸水性樹脂粒子は高度に造粒形状が発達したものである。
【0314】
つまり、吸水剤の重量平均粒子径を、ゲル粉砕後の含水ゲル粒子の乾燥物に換算した重量平均粒子径で除算した値が大きくなると図2で示す造粒粒子の比率{造粒粒子/(不定形破砕状粒子+造粒粒子)}が多くなる。粒子状吸収剤(吸水性樹脂粉末)で設定する重量平均粒子径300〜500μmに対し、含水ゲル粒子の乾燥物に換算した重量平均粒子径が小さくなり、小さい粒子の割合が増えるに従い、粒子状吸水剤中の造粒粒子率が増える(図2参照)。
【0315】
図4(比較例1の吸水性樹脂粉末)に対し、図2(実施例9の吸水性樹脂粉末)で見られるように、含水ゲル粒子の乾燥物に換算した重量平均粒子径が小さくなるに従い、吸水性樹脂粉末の造粒粒子率が増えるに従い表面積が大きくなることが明白である。
【0316】
また、図5(比較例5の吸水性樹脂粉末)に対し、図3(実施例9の吸水性樹脂粉末)で見られるように、接着制御剤が用いられることで、吸水性樹脂粉末の造粒粒子自体の表面積が大きくなることも明白である。
【0317】
表面積は、実施例にて後述するBET比表面積を指標とできる。
【0318】
同一粒度(篩の目開き425μmを通過し、篩の目開き300μmを通過しない吸水性樹脂粉末)の吸水性樹脂粉末のBET比表面積は29m/kg以上が好ましく、30m/kg以上がより好ましく、31m/kg以上がさらに好ましい。なお、300μm以上、425μm未満で粒度分画した吸水性樹脂粉末を、表5において、吸水性樹脂粉末(425/300)と表記した。
【0319】
上記粒度の制御は、重合時、ゲル粉砕時又は乾燥後の粉砕、分級時に行うことができるが、特に乾燥後の粉砕及び/又は分級時に行うことが好ましい。また、上記粒度の測定は、JIS標準篩を用いて、国際公開第2004/69915号パンフレットやEDANA−ERT420.2−02で規定される方法に準じて行われる。
【0320】
本発明の課題をより解決するためには、上記粒度は、表面架橋後の吸水性樹脂粒子、最終製品である粒子状吸水剤にも適用されうる。
【0321】
上記粒度の制御により発生する微粒子(例えば150μmの金網を通過する粒子)は、廃棄してもよいし、従来公知のように、重合前の単量体水溶液への回収方法(国際公開第92/001008号、同第92/020723号)や、重合中の含水ゲルへの回収方法(国際公開第2007/074167号、同第2009/109563号、同第2009/153196号、同第2010/006937号)によって回収してもよい。
【0322】
また、本発明の吸水性樹脂粉末の形状としては、球状、繊維状、棒状、略球状、偏平状、不定形状、造粒粒子状、多孔質構造を有する粒子等特に限定されるものではない。
【0323】
(表面架橋前のCRC)
本発明の吸水剤は、CRC≧28g/gであることが好ましいため、表面架橋前の吸水性樹脂粉末のCRCも28g/g以上、さらには30g/g以上であることが好ましく、その範囲で上記重合時の架橋剤量などが適宜調整されるとよい。表面架橋前の吸水性樹脂粉末のCRCは好ましくは30〜60g/g、さらには32〜55g/g、33〜50g/gの範囲に架橋剤量や重合温度や乾燥温度など適宜調整される。
【0324】
一般に高温の重合や乾燥はCRCが向上する傾向にあり、また架橋剤量の増量はCRCの低下となり、適宜、表面架橋前のCRC及び後述の表面架橋の架橋剤量や反応温度及び時間で本発明の吸水剤のCRCは制御されうる。
【0325】
(2−6)表面架橋工程(工程(vi))
本工程は、さらに細かくは、以下の(2−6−1)に示す表面架橋剤添加工程と、(2−6−2)に示す加熱処理工程とからなる。
【0326】
(2−6−1)表面架橋剤添加工程
本工程は、上記吸水性樹脂粉末と、表面架橋剤とを混合することで、表面架橋工程に供する表面架橋剤を含有する吸水性樹脂粉末を調製する工程である。
【0327】
一般に、表面架橋は、後述の有機表面架橋剤の添加や、吸水性樹脂粉末表面での単量体(重合性表面架橋剤)の重合、又は、過硫酸塩等のラジカル重合開始剤(広義の表面架橋剤)の添加及び加熱・紫外線照射等によって行われる。本発明においては、上記で得られた吸水性樹脂粉末に有機表面架橋剤を添加するのが好ましい。
【0328】
(有機表面架橋剤)
本発明で使用できる有機表面架橋剤としては、得られる吸水性樹脂粒子の物性の観点から、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子の官能基であるカルボキシル基と、脱水エステル化反応、あるいは脱水アミド化反応する、ヒドロキシ基及び/又はアミノ基等の反応性基を有する有機化合物が好ましい。
【0329】
該有機化合物は、ヒドロキシ基やアミノ基を直接有するアルコール化合物やアミン化合物に限られず、アルキレンカーボネート化合物やオキサゾリジノン化合物のように環状化合物であっても、ヒドロキシ基やアミノ基を生成する反応性基及び/又は直接的に前記カルボキシル基と反応するような反応性基を有する化合物も含まれる。
【0330】
前記有機表面架橋剤としては、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物又はそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、(モノ、ジ、又はポリ)オキサゾリジノン化合物、オキセタン化合物、アルキレンカーボネート化合物等が挙げられ、多価アルコール化合物、アルキレンカーボネート化合物、オキサゾリジノン化合物がより好ましい。
【0331】
前記有機表面架橋剤の具体例として、(ジ、トリ、テトラ、ポリ)エチレングリコール、(ジ、ポリ)プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオール、(ポリ)グリセリン、2−ブテンー1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ジ又はトリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等のポリアルコール化合物(多価アルコール);
(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ジ、ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;
2−オキサゾリドン、N−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドン
1,2−エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;
1,3−ジオキソラン−2−オン(つまり、エチレンカーボネート)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;
エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物、及び、その多価アミン付加物(例えばハーキュレス製カイメン;登録商標);
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γーアミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;
3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル3−オキセタンエタノール、3−クロロメチル−3−メチルオキセタン、3−クロロメチル−3−エチルオキセタン、多価オキセタン化合物などのオキセタン化合物、2−イミダゾリジノン等の環状尿素化合物等が挙げられる。
【0332】
前記多価アルコールとしては、炭素数が2〜8の多価アルコールが好ましく、炭素数3〜6の多価アルコールがより好ましく、炭素数3又は4の多価アルコールがさらに好ましい。さらに、ジオールが好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールが例示され、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールから選ばれる多価アルコールが好ましい。
【0333】
また、エポキシ化合物としてはポリグリシジル化合物が好ましく、エチレングリコールジグリシジルエーテルが好適に使用され、
オキサゾリン化合物としては2−オキサゾリジノンが好適に使用され、
アルキレンカーボネート化合物としては1,3−ジオキソラン−2−オン(つまり、エチレンカーボネート)が好適に使用される。
【0334】
さらに、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アルキレンカーボネート化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせて用いることが好ましい。より高物性という観点から、多価アルコールと多価アルコール以外の前記有機表面架橋剤との組合せが好ましく、多価アルコールとエポキシ化合物又はアルキレンカーボネート化合物との組合せがより好ましく、多価アルコールとアルキレンカーボネート化合物との組合せがさらに好ましい。
【0335】
前記複数の有機表面架橋剤を組み合わせる場合、特に多価アルコールと多価アルコール以外の前記有機表面架橋剤との組合せにおいては、その比率(重量比)は、多価アルコール:多価アルコール以外で1:100〜100:1が好ましく、1:50〜50:1がより好ましく、1:30〜30:1がさらに好ましい。
【0336】
(溶媒及び濃度)
前記有機表面架橋剤の添加量は、その総量が、添加前の前記吸水性樹脂粉末100重量部に対して、0.001〜15重量部であることが好ましく、0.01〜5重量部であることがさらに好ましい。
【0337】
また、前記有機表面架橋剤として、多価アルコール化合物と多価アルコール以外の化合物から選ばれる2種類を用いる場合には、
添加前の前記吸水性樹脂粉末100重量部に対して、多価アルコール化合物の総量が0.001〜10重量部であることが好ましく、0.01〜5重量部であることがさらに好ましい。
【0338】
また、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、多価アルコール以外の化合物の総量が0.001〜10重量部であることが好ましく、0.01〜5重量部であることがさらに好ましい。
【0339】
前記有機表面架橋剤は、水溶液として添加されるのが好ましい。該水溶液に用いられる水の量は、添加処理前の前記吸水性樹脂粉末100重量部に対する総量で、0.5〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。なお、表面架橋剤の結晶水や水和水等も該水の量に含まれる。
【0340】
さらに、前記有機表面架橋剤水溶液に、親水性有機溶媒を添加してもよく、この際、該親水性有機溶媒の量は、添加処理前の吸水性樹脂粉末100重量部に対して、0重量部を超え10重量部以下が好ましく、0重量部を超え5重量部以下がより好ましい。該親水性有機溶媒としては、炭素数1〜炭素数4、さらには炭素数2〜炭素数3の一級アルコール、その他、アセトン等の炭素数4以下の低級ケトン等が挙げられ、特に沸点が150℃未満、より好ましくは100℃未満の揮発性アルコール類は表面架橋処理時に揮発してしまうので残存物が残らず、より好ましい。
【0341】
具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、メトキシ(ポリ)エチレングリコール等のエーテル類;ε−カプロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体等の多価アルコール類等が挙げられる。
【0342】
また、さらに、吸水性樹脂粉末への表面架橋剤溶液の混合に際し、水不溶性微粒子や界面活性剤を、本発明の効果を妨げない範囲内で、添加処理前の吸水性樹脂粉末100重量部に対して、0重量部を超え10重量部以下、好ましくは0重量部を超え5重量部以下、より好ましくは0重量部を超え1重量部以下を共存させることもできる。この際、用いられる界面活性剤等については、米国特許第7473739号等に開示されている。
【0343】
前記表面架橋剤水溶液中の表面架橋剤の濃度は適宜決定されるが、物性面から1〜80重量%、さらには5〜60重量%、10〜40重量%、15〜30重量%の水溶液とされる。なお、残余として、前記親水性有機溶媒やその他の成分を含んでいる。
【0344】
前記有機表面架橋剤水溶液の温度は、用いる前記有機表面架橋剤の溶解度や該水溶液の粘度等から適宜決定されるが、−10〜100℃が好ましく、5〜70℃がより好ましく、10〜65℃がさらに好ましく、25〜50℃の範囲であると特に好ましい。
【0345】
温度が高いと、吸水性樹脂粉末と混合又は反応する前に、環状化合物が加水分解(例えば、エチレンカーボネートからエチレングリコールへの分解、オキサゾリジノンからエタノールアミンへの分解)したり、水や親水性有機溶媒が揮発するなどして混合性が低下したりすることがあるので好ましくない。また、温度が低すぎると、該表面架橋剤溶液が凝固したり、表面架橋剤が析出したりする虞があるため好ましくない。
【0346】
(表面架橋剤溶液への酸又は塩基の併用)
前記表面架橋剤溶液は、表面架橋剤の反応や均一な混合を促進するため、前記有機表面架橋剤、前記親水性有機溶媒、前記界面活性剤及び前記水不溶性微粒子以外に、酸又は塩基を含んでいてもよい。
【0347】
前記酸又は塩基としては、有機酸又はその塩、無機酸又はその塩、無機塩基が使用され、添加処理前の前記吸水性樹脂粉末100重量部に対して0〜10重量部、より好ましくは0.001〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜3重量部で適宜使用される。該有機酸としては、炭素数が1〜6、より好ましくは2〜4の水溶性有機酸、水溶性飽和有機酸、特にヒドロキシ基含有の飽和有機酸である。
【0348】
その他としては、非架橋性の水溶性無機塩基類(好ましくは、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカリ金属水酸化物、及び、アンモニアあるいはその水酸化物)や、非還元性アルカリ金属塩pH緩衝剤(好ましくは炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素塩等)などが挙げられる。
【0349】
(有機表面架橋剤溶液の添加方法)
添加処理により、前記有機表面架橋剤は吸水性樹脂粉末に添加される。該添加処理の方法は特に限定されず、例えば、吸水性樹脂粉末を親水性有機溶剤に浸漬し、添加架橋剤を吸着させる方法、吸水性樹脂粉末に直接、添加し、架橋剤溶液を噴霧又は滴下して混合する方法等が例示でき、所定量を均一に添加する観点から、後者が好ましい。さらに、均一に添加するために、吸吸水性樹脂粉末を攪拌しながら添加処理を行うのが好ましく、さらに前記有機表面架橋剤溶液を噴霧するのが好ましい。
【0350】
添加処理において、組成の異なる2種類以上の前記添加架橋剤を例えば異なる噴霧ノズルを用いて同時に添加してもよいが、均一性などの点から単一組成の方が好ましい。また、単一組成であるならば、添加処理装置の大きさや処理量及び噴霧ノズルの噴霧角等を勘案して、複数の噴霧ノズルを使ってもよい。
【0351】
前記添加処理に用いられる装置(以下、混合装置と称することがある)としては、例えば、円筒型混合機、二重壁円錐型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、流動型炉、ロータリーディスク混合機、気流型混合機、双腕型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機、タービュラーザー、プロシェアミキサー等が好適である。さらに、商業生産等の大規模生産においては、連続混合できる装置が好ましい。また、各々の添加処理は、同じ装置を用いても良く、異なる装置を用いてもよい。
【0352】
本工程に供される吸水性樹脂粉末は、加熱・保温されていることが好ましく、該温度は、好ましくは10〜100℃、より好ましくは15〜80℃、さらに好ましくは20〜70℃の範囲である。
【0353】
この温度が10℃以上であれば、表面架橋剤の析出や吸水性樹脂粉末の吸湿などが抑制され、表面処理が充分かつ均一に行われるため、好ましい。また、この温度が100℃以下であれば、表面架橋剤水溶液からの水の蒸発が抑制され、表面架橋剤の析出などの虞が低減されるため、好ましい。
【0354】
(2−6−2)加熱処理工程
本工程は、吸水性樹脂粒子の加圧下吸水倍率やGCAを向上させるために、吸水性樹脂粉末の表面又は表面近傍を架橋処理するために加熱処理を行う工程である。ただし、過度の表面架橋処理はCRCを低下させすぎることがあることから、CRCが28g/g以上まで表面架橋処理する工程を有することが好ましい。
【0355】
好ましい表面架橋の程度は、表面架橋前後でのCRCの低下幅で確認することができ、表面架橋によるCRCの低下が0.5g/g以上、さらには1〜20g/g、2〜15g/gの低下となるように、表面架橋剤の量や反応温度時間を適宜選択すれよい。
【0356】
加熱処理工程は、前記表面架橋剤添加工程と同時に実施してもよいし、又は前記表面架橋剤添加工程の後に実施してもよいが、前記表面架橋剤添加工程の後に実施するのが好ましい。また、本工程の実施は一回でもよく、同じ条件又は別の条件で複数回行ってもよい。
【0357】
上記(2−5)の工程までで得られた、乾燥された吸水性樹脂粒子は造粒形状をしているが、表面架橋前は、造粒粒子を構成する一次粒子が物理的に付着している状態であり、膨潤時に造粒形状が崩れてバラバラになり、吸水性能や通液性能が低下する場合もある。
【0358】
しかし、本表面架橋工程を施すことにより、造粒粒子の表面近傍の架橋密度を上げるだけでなく、造粒粒子を形成する一次粒子(ゲル粉砕工程で得られたゲル粒子)同士を化学的に結びつけ、緩やかに、あるいは、点接触しながらも、粒子間架橋も達成されるため、表面架橋後の粒子は膨潤時に崩壊しにくくなり、本発明の課題が達成される。
【0359】
このように、本発明においては、接着制御剤を添加することのみならず、表面架橋工程を組み合わせて行うことにも意義がある。
【0360】
(加熱装置)
本発明で用いられる加熱装置としては、公知の乾燥機又は加熱炉に所定の雰囲気とするための気体排出機構及び/又は気体供給機構を具備せしめた連続式又は回分式(バッチ式)加熱装置、好ましくは連続式加熱装置が好適である。該加熱装置の加熱方式としては、伝導伝熱型、輻射伝熱型、熱風伝熱型、誘電加熱型が好適である。より好ましくは、伝導伝熱及び/又は熱風伝熱型の加熱方式であり、さらに好ましくは伝導伝熱型の方式である。
【0361】
該加熱装置のいわゆる制御温度は、吸水性樹脂粉末を後述する温度に加熱することができればよく、該工程の最初から最後まで一定である必要はない。ただし、部分的な過加熱などを防ぐため、50℃〜300℃であると好ましい。得られる吸水性樹脂粒子および吸水剤の物性として、耐ダメージ性を重視する場合には、250℃以下がより好ましく、70℃〜230℃がさらに好ましく、90℃〜220℃がよりさらに好ましい。
【0362】
一方、吸水性能を重視する場合には、120℃〜280℃であるとより好ましく、150℃〜250℃であるとさらに好ましく、170℃〜230℃であると特に好ましい。
【0363】
また、加熱時間は、1分〜180分が好ましく、5分〜120分がより好ましく、10分〜120分がさらに好ましく、15〜60分がよりさらに好ましい。加熱処理時間が1分よりも短いと、表面架橋処理が不十分となり、加圧下吸収倍率(AAP)が低下する。一方、加熱処理時間が長くなると、着色したり、無加圧下吸収倍率(CRC)が低下し過ぎたりしてしまう。
【0364】
また、加熱の効率を高め、均一な加熱処理を行うために、被加熱物を連続で攪拌及び/又は流動させる機構を備えている装置が好ましい。攪拌及び/又は流動させる方式としては、溝型攪拌式、スクリュー型、回転型、円盤型、捏和型、流動槽式等が好ましく、攪拌翼(パドル)による攪拌方式や回転レトルト炉のような伝熱面自体の運動による攪拌方式が、より好ましい。なお、該攪拌及び/又は流動機構は、均一な加熱処理を行うことを目的としているため、処理量が少ない場合、例えば、被乾燥物の厚みが1cmに満たないような場合には用いなくても構わない。
【0365】
前記排出機構は、単なる排気口だけでなく加熱処理物の出口から気体が排出される場合には該出口も排出機構に該当する。さらに、ブロワー等を用いて排出される気体量や圧力を調整するのが好ましい。また、排気の箇所は1箇所に限らず、前記加熱装置の大きさと露点及び温度の調整状態とを勘案して複数設けることができる。該加熱装置は、気体供給機構を備え、該機構の調整、例えば供給量により加熱部の雰囲気の露点及び温度を制御することもできる。
【0366】
前記加熱部の気体圧力は常圧からわずかに減圧になっていることが好ましい。その範囲としては大気圧に対して差圧が0kPa〜−10kPaであることが好ましく、0kPa〜−5kPaであることがより好ましく、0kPa〜−2kPaであることがさらに好ましい。工業的連続生産を行う際には、上記の機構を備えた回分処理方式や連続処理方式の加熱装置を用いることができる。
【0367】
なお、加熱処理の前後または両方で添加剤の添加処理を行う場合には、前記添加処理と同一の装置を用いて、あるいは異なる装置を用いて添加処理を行ってもよい。特に連続式の生産装置を用いる場合には、加熱前の添加処理と加熱処理とを同じ装置を用いて、加熱後の添加処理は別装置を用いるのが、生産効率上、好ましいことがある。
【0368】
また、必要に応じて加熱装置から取り出した吸水性樹脂粒子は、過度の架橋反応の抑制や後工程での取扱い性向上を目的として、好ましくは100℃未満、さらには0℃〜95℃、40℃〜90℃に冷却してもよい。
【0369】
(2−7)通液向上剤の添加(工程(vii))
本工程は、FGBPを向上させるため通液向上剤を添加する工程であり、好ましくは上記表面架橋工程中又は後に行われる。
【0370】
(通液性向上剤)
本発明における通液向上剤は、不溶性微粒子化合物及び多価カチオン性化合物から選択される添加剤、又は、通液向上剤を未使用の場合に比べてFGBPを向上させる添加剤をさす。
【0371】
本発明における、水不溶性微粒子化合物及びカチオン性化合物は、吸水性樹脂粒子の表面で立体的スペーサーないし静電的スペーサーとして作用し、得られる吸水剤に対して“通液向上(例えば、未使用に比べてFGBPで、10×10−9cm以上、好ましくは30×10−9cm以上、さらに好ましくは50×10−9cm以上の向上)を示す剤のことである。
【0372】
その他、添加剤によっては、”Anti−Caking“、“消臭・抗菌”、“残存表面架橋剤の低減”などの作用をなすことができるが、本発明において、その効果や使用目的は特に問わない。
【0373】
本発明に係る製造方法において必須に添加される通液向上剤は、水不溶性無機微粒子、多価カチオン性化合物(カチオン性高分子化合物又は水溶性多価金属カチオン含有化合物)から選択されることが好ましい。
【0374】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記通液性向上剤が、水不溶性無機微粒子である。かかる実施形態によって、通液性が向上する技術的効果を有する。
【0375】
本明細書中にて「水溶性」化合物とは、25℃の水100gに対して1g以上、さらには5g以上溶解する化合物をいい、「水不溶性」化合物とは、25℃の水100gに対して1g未満、さらには0.5g未満、0.1g未満しか溶解しない化合物をさす。
【0376】
本発明では、上記有機表面架橋剤が、吸水性樹脂粉末の官能基と共有結合で架橋するのに対して、本発明における通液向上剤として好ましく用いられる多価カチオン性化合物(カチオン性高分子化合物又は水溶性多価金属カチオン含有化合物)は、吸水性樹脂粉末または吸水性樹脂粒子とイオン架橋で架橋する、或いは、立体的スペーサー又は静電的スペーサーとして作用し、通液性を向上させると推測される。
【0377】
(無機微粒子)
上記無機微粒子としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、金属リン酸塩(例えばリン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸アルミニウム)、金属硼酸塩(例えばホウ酸チタン、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸鉄、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガン、及びホウ酸カルシウム)、珪酸又はその塩、粘土、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、カオリン、ハイドロタルサイト、活性白土等の水不溶性微粒子状無機粉体、乳酸カルシウム、乳酸アルミニウム、金属石鹸(長鎖脂肪酸の多価金属塩)等の有機微紛末が挙げられる。上記無機微粒子は、体積平均粒子径は10μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。
【0378】
上記無機微粒子は、粉体の形態で、吸水性樹脂粉末又は吸水性樹脂粒子に混合してもよいし、水分散体(スラリー、例えばコロイダルシリカ)で、吸水性樹脂粉末又は吸水性樹脂粒子に混合してもよく、表面架橋剤やその水溶液に分散させて吸水性樹脂粒子に混合してもよい。
【0379】
(カチオン性高分子化合物)
カチオン性高分子化合物は、特に限定されないが、米国特許5382610号、同7098284号、WO2009/110645号、WO2009/041731号、WO2009/041727号に記載のカチオン性高分子化合物が好適に使用できる。
【0380】
本発明におけるカチオン性高分子化合物は、上記文献に記載されている中でも、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ジメチルアミン/アンモニア/エピクロロヒドリンの縮合物が好ましい。
【0381】
上記カチオン性高分子化合物の分子量は、重量平均分子量1000〜5000000が好ましく、2000〜1000000がより好ましく、10000〜500000がさらに好ましい。
【0382】
上記カチオン性高分子化合物は、混合を容易にする観点から水溶性であることが好ましい。ここで、水溶性とは、25℃の水100gに対して1g以上溶解することをいう。
【0383】
上記カチオン性高分子化合物は吸水性樹脂粒子に直接混合してもよいし、溶液、特に水溶液で混合してもよく、表面架橋剤やその水溶液に溶解させて混合してもよい。
【0384】
(水溶性多価金属カチオン含有化合物)
上記水溶性多価金属カチオン含有化合物は、2価以上、好ましく3価以上の、金属カチオンを含有する化合物を指す。該3価以上の金属カチオンとしては、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムが例示され、これらの中でもアルミニウムが好ましい。
【0385】
該多価金属カチオン含有化合物としては、無機系表面架橋剤である硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、炭酸ジルコニウムカリウム、硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウムなどの多価金属の無機塩、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、チタントリエタノールアミネート、チタンラクテートなどの多価金属の有機塩等の多価金属化合物等が挙げられる。
【0386】
中でも、多価金属カチオンとしてアルミニウムを含有する化合物であることが好ましい。
【0387】
これらは吸水性樹脂粒子に粉体として直接混合してもよいし、溶液又は分散液でもよく、特に水溶液で混合してもよく、表面架橋剤やその水溶液に溶解させて混合してもよい。
【0388】
本発明に係る製造方法において、水溶性多価金属カチオン含有化合物を複数回添加してもよい。例えば水溶性多価金属カチオン含有化合物を2回添加する場合、その添加する比率(1回目/2回目)としては1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10の範囲に規定される。上記の範囲を超えると、極めて1回での添加と同じ状況に近くなり複数回添加の効果が乏しくなるため好ましくない。
【0389】
なお、カチオン性高分子化合物等の非金属性イオン架橋剤は、上述した混合時に粘着性を発現することがあるため、最後の加熱処理後に添加することが好ましい。
【0390】
水溶性多価金属カチオン含有化合物を混合する際に溶媒を使用する場合、水ないし架橋剤水溶液が好ましく、必要により水には親水性有機溶媒(アルコールないしポリグリコール)や界面活性剤を併用して分散性や溶解性や混合性を向上させてもよい。
【0391】
使用する水の量は、添加剤の種類や添加方法で適宜決定されるが、例えば、吸水性樹脂粒子100重量部に対して0重量部(乾式混合)〜50重量部、さらには0.1〜10重量部、0.5重量部〜5重量部である。
【0392】
さらに上記以外の通液向上剤としては、国際公開2009/093708号パンフレット記載の水溶性ポリシロキサンや、国際公開2008/108343号パンフレット記載の1〜3級アミン化合物なども好ましく使用される。
【0393】
通液向上剤の量としては、添加される吸水性樹脂粒子100重量部に対して0.001重量部〜5重量部であることが好ましく、0.002重量部〜2重量部であることがより好ましく、0.005重量部〜1重量部であることがさらに好ましい。
【0394】
尚、水溶性多価金属カチオン含有化合物の場合には、多価金属カチオン量に換算した値である(例えば、硫酸アルミニウムの場合はAl3+の量で規定する値である)。
【0395】
またその添加時期は、粉砕後であって、表面架橋前、表面架橋中あるいは表面架橋後に適宜添加される。
【0396】
(2−8)その他添加剤の添加工程
本工程は吸水性樹脂粉末または表面架橋された吸水性樹脂粒子に種々の機能を付与するために、その他の添加剤を添加する工程であり、一つ又は複数の工程から構成される。上記添加剤としては、消臭剤、香料、抗菌剤、発泡剤、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウムなどのキレート剤、界面活性剤、着色防止剤、顔料、染料、肥料、酸化剤、還元剤等、機能を付与あるいは高めることが出来る剤である。また上記添加剤の添加においては、溶液で添加しても、ドライブレンドによる添加でもよい。
【0397】
本工程は、前記工程(i)〜(vii)のどの工程の間で行ってもよく、また、工程(i)から(vii)のどれかの工程と同時に行ってもよい。好ましくは(vi)の工程中または(vi)の工程後に行われるのがよい。
【0398】
これら添加物の使用割合は、吸水性樹脂粉末または表面架橋された吸水性樹脂粒子10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満である。また、これらの添加剤は、上記表面架橋工程と同時に添加しても別途添加してもよい。
【0399】
上記の本発明の製造方法は、得られるポリアクリル酸(塩)系吸水剤が、表面張力を60mN/m以上、無加圧下吸収倍率を28g/g以上となるように調整する。
【0400】
無加圧下吸収倍率を28g/g以上とするためには、架橋密度を含水ゲルの乾燥温度および時間、また、吸水性樹脂粉末の表面架橋の強弱によって制御することによって行うことが好ましい。また表面張力は、添加剤の種類および添加剤の添加量によって制御することが好ましい。
【0401】
本発明の好ましい実施形態によれば、吸水剤の無加圧下吸収倍率(CRC)、表面張力を特定の範囲に調整することで、GCA(Gel Capillary Absorption)とFGBP(Free Gel Bed Permeability)に優れ、所期の課題を効率よく解決することができる。
【0402】
〔3〕ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤の物性
本発明では、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とする粒子状吸水剤であって、以下の(1)〜(5)を満たす粒子状吸水剤も提供される。
【0403】
つまり、当該粒子状吸水剤は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とする、ポリアクリル酸(塩)系粒子状吸水剤であって、以下(1)〜(5):(1)無加圧下吸収倍率(CRC)が28g/g以上、(2)GCAが28.0g/g以上、(3)FGBPが、GCAが28.0g/g以上、36.0g/g未満の範囲で、数式(FGBP=−10×10−9×GCA+380×10−9)cm以上、GCAが36.0g/g以上では、FGBPが30×10−9cm以上、(4)粒子状吸水剤の重量平均粒子径(D50)が300〜500μm、(5)表面張力が60mN/m以上、を満たす、ポリアクリル酸(塩)系粒子状吸水剤である。
【0404】
なお、本発明の吸水剤は上記(1)〜(5)を満たす限り、本発明の製造方法に限定されるものではない。
【0405】
(3−1)吸水剤で上記物性(1)無加圧下吸水倍率(CRC)
本発明の粒子状吸水剤の無加圧下吸水倍率(CRC)は、上記製造方法で内部架橋又は表面架橋を適宜製造することで28g/g以上、より好ましくは29g/g以上、さらに好ましくは30g/g以上、特に好ましくは31g/g以上、最も好ましくは32g/g以上に制御される。
【0406】
CRCは高いほど好ましく上限値は特に限定されないが、他の物性(特に通液性)とのバランスから、好ましくは50g/g以下、より好ましくは45g/g以下、さらに好ましくは42g/g以下である。
【0407】
CRCは、重合時又は表面架橋での架橋剤量種類と、量とを上記(2−1)〜(2−6)に記載の範囲内で調整することで制御できる。
【0408】
本発明に係るGCAの範囲を達成するためには、上記範囲内に無加圧下吸水倍率(CRC)を制御することが好ましい。
【0409】
(3−2)吸水剤で上記物性(2);GCA(Gel Capillary Absorption)
GCAとは、ガラスフィルターの上面とマリオット管の下部のメニスカスとの間に高さ10cmの差をつけた状態で0.05psiの荷重下、10分間の液吸収能力を評価するものである。GCAは10分間という短時間での吸収性能を評価しており、従来公知の加圧下吸水倍率(AAP)や、米国特許第7108916号に記載のFHAの場合、1時間での飽和状態での吸収性能を評価していることから、本発明に係るGCAとは思想を異にする評価方法である。粒子状吸水剤のGCAの値が高いほど、紙おむつにおいてパルプからの尿の吸い取り能力に優れ、戻り量を低減でき、肌かぶれや尿漏れを抑制できるようになる。
【0410】
本発明の粒子状吸水剤のGCAの値は、後述する実施例に記載の方法により算出され、その値は高いほど性能が優れていることを示し、28.0g/g以上、29.0g/g以上、30.0g/g以上の順で高いほど好ましく、31.0g/g以上がより好ましく、31.5g/g以上がさらに好ましく、33/g以上がさらに好ましく、34g/g以上が最も好ましい。GCAの上限は高いほど好ましいが、他の物性とのバランスから通常50.0g/g程度が好ましい。
【0411】
よって、本発明の好ましい実施形態によれば、GCAが31.0g/g以上である。かかる実施形態によれば、液の戻り量を低減でき、液の取り込み速度が向上する技術的効果を有する。
【0412】
なお、本発明においてはこのGCAが上記範囲内にあることが特に重要であり、その上で、加圧下吸水倍率が高く、吸水速度が速い(Vortex法による吸水時間が短い)ことが好ましい。
【0413】
(3−3)吸水剤の物性(3);FGBP
FGBPとは、底面がメッシュ構造となっているセル中で自由膨潤させた吸水剤層に0.3psiの荷重をかけた状態でゲル層上部から生理食塩水を注水し、ゲル層の生理食塩水透過能力を評価する方法である。FGBPの値が高いほど高吸収剤濃度吸収体での液の取り込み速度や戻り量が低減できる。
【0414】
本発明では、GCAが28.0g/g以上、35.0g/g未満の範囲においては、FGBP≧−10×10−9×GCA+380×10−9cm(式1)を満たすことが好ましい。
【0415】
また、GCA≧35.0g/gにおいては、FGBP≧30×10−9cmを満たすことが好ましく、FGBP≧50×10−9cmを満たすことがより好ましく、FGBP≧75×10−9cmを満たすことがさらに好ましい。
【0416】
他方、FGBP単体で考えると、FGBP≧100×10−9cmを満たす事がより好ましく、FGBP≧120×10−9cmを満たす事がより好ましく、FGBP≧140×10−9cmを満たす事がより好ましく、FGBP≧160×10−9cmを満たす事がさらに好ましく、FGBP≧200×10−9cmを満たす事が特に好ましく、FGBP≧300×10−9cmを満たす事が最も好ましい。FGBPの上限は高いほど好ましいが、他の物性とのバランスから通常500×10−9cm程度が好ましい。
【0417】
なお本発明においてはこのFGBPが上記範囲内にあることが特に重要であり、その上で、加圧下吸水倍率が高く、吸水速度が速い(Vortex法による吸水時間が短い)ことが好ましい。
【0418】
(3−4)吸水剤の物性(4);粒度
本発明の粒子状吸水剤の重量平均粒子径(D50)は、300〜500μmが好ましく、310〜480μmがさらに好ましく、320μm〜450μmがよりさらに好ましい。
【0419】
よって、本発明の好ましい実施形態によれば、前記ポリアクリル酸(塩)系粒子状吸水剤の重量平均粒子径(D50)が、300〜500μmである。かかる実施形態によって、GCA、FGBPの向上、加圧下吸水倍率を向上させることができる。
【0420】
その他好ましい粒度特性としては、粒子状吸水剤中の粒子径150μm未満の微粒子の含有量は100重量%中で0重量%〜5重量%が好ましく、0重量%〜3重量%がより好ましく、0重量%〜2重量%がさらに好ましい。
【0421】
さらに粒子状吸水剤中の850μm以上の粗大粒子は全粒子の0重量%〜5重量%が好ましく、0重量%〜3重量%がより好ましく、0重量%〜1重量%がさらに好ましい。
【0422】
また、粒子状吸水剤中の粒子径が150μm以上850μm未満の粒子の割合は、全体の90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましく、98重量%以上がさらに好ましく、99重量%以上が特に好ましい(上限は100重量%)。
【0423】
また、粒子状吸水剤の粒度分布の対数標準偏差(σζ)は好ましくは0.20〜0.50、より好ましくは0.25〜0.45、さらに好ましくは0.30〜0.40である。
【0424】
(3−5)吸水剤の物性(5);表面張力
本発明の粒子状吸水剤の表面張力(実施例の測定法で規定)は、60mN/m以上であり、より好ましくは61mN/m以上、さらに好ましくは62mN/m以上、63mN/m以上であってもよく、64mN/m以上であってもよい。上限としては通常75mN/mで十分である。
【0425】
従来、文献13のように吸水速度の制御のために、ゲル粉砕時に多量の界面活性剤や疎水性物質(例えば0.1〜10重量%)を使用すると、得られた吸水性樹脂粒子の表面張力が低下(特に60mN/m未満、さらには55mN/m未満)し、紙おむつの戻り量が増加する問題を有していた。
【0426】
本発明ではこの表面張力を上記範囲に制御することが特に重要である。そのための制御方法としては、上記(2−3−2)に記載の接着制御剤の構造、HLB、添加量を記載の範囲内で調整することにより制御できる。
【0427】
なお、本発明の粒子状吸水剤の表面張力を60mN/m以上にするための制御方法には特に制限はないが、接着制御剤の種類や添加量を調整するなどが挙げられる。
【0428】
(3−6)さらに好ましい物性(1);加圧下吸水倍率(AAP)
本発明の粒子状吸水剤の加圧下吸水倍率は、後述の実施例で示すように、2.06kPaの圧力下における0.90重量%塩化ナトリウム水溶液に対する吸水倍率として規定されるが、好ましくは24g/g以上、より好ましくは25g/g以上、さらに好ましくは26g/g以上、特に好ましくは27g/g以上、最も好ましくは28g/g以上に制御される。
【0429】
AAPの上限は高いほど好ましいが、他の物性とのバランスから通常40g/g程度が好ましい。
【0430】
GCAを本発明に規定する範囲に向上させた上で、さらに加圧下吸水倍率(AAP)を上記範囲に制御することができれば紙おむつの性能をさらに向上させることができる。
【0431】
(3−7)さらに好ましい物性(2);吸水時間(Vortex法)
本発明の粒子状吸水剤の吸水時間(Vortex法)は40秒以下が好ましく、35秒以下がより好ましく、30秒以下がより好ましく、28秒以下がより好ましく、26秒以下がより好ましく、24秒以下がさらに好ましく、22秒以下が特に好ましく、19秒以下が最も好ましい。
【0432】
GCA、FGBPを本発明に規定する範囲に向上させたうえで、更に吸水時間(Vortex法)を上記範囲に制御することができれば、紙おむつの性能を更に向上させることができる。
【0433】
(3−8)さらに好ましい物性(4);含水率
本発明の粒子状吸水剤の含水率(180℃×3時間の乾燥減量で規定)は上記物性を満たす限り特に問わないが、0.1%〜20%、さらには1%〜15%、特に2%〜10%に調整される。含水率が高いと物性を満たすのが困難になり、低いと吸水速度の低下や粒子の耐摩耗性が劣る傾向にある。
【0434】
本発明の好ましい実施形態によれば、内部及び/又は表面に、非イオン性物質、両イオン性物質、アニオン性物質およびカチオン性物質から選ばれる1種以上の化合物に含まれ、前記非イオン性物質が、(a)ポリオール類、(b)ポリオール類のヒドロキシ基の変性物、(c)側鎖及び/又は末端ポリエーテル変性ポリシロキサン、(d)高級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物であり、前記両イオン性物質が、(e)アルキルアミノベタインまたは(f)アルキルアミンオキサイドであり、前記アニオン性物質が、(g)高級アルコールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩または(h)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩であり、前記カチオン性物質が、(i)アンモニウム塩である。
【0435】
本発明の好ましい実施形態によれば、ポリアクリル酸(塩)系粒子状吸水剤は、通液性向上剤をさらに含む。かかる実施形態によって、通液性が向上する技術的効果を有する。
【0436】
〔4〕吸収性物品
本発明の粒子状吸水剤の用途は特定に限定されないが、好ましくは、紙おむつや生理用ナプキンに使用される吸収体に好適に使用される。
【0437】
本発明で吸収体とは、本発明の粒子状吸水剤と親水性繊維とを主成分して成型された吸収材のことであり、本発明の吸収体において、粒子状吸水剤と親水性繊維との合計重量に対する粒子状吸水剤の含有量(コア濃度)は好ましくは20重量%〜100重量%であり、さらには好ましくは30重量%〜95重量%であり、特に好ましくは50重量%〜90重量%である。上記のように、GCAを向上させた吸水剤を使用した場合、吸水剤の含有量が少ない吸収体(20重量%未満)では戻り量低減効果を発揮するが、高濃度、或いはパルプを使用しない吸収体では液の取り込み速度や戻り量の点で必ずしも期待した効果が確認できないという問題を抱えていた。これに対し、本発明では、GCAとFGBPを高度に両立させることで、高濃度、或いはパルプを使用しない吸収体においても、液の取り込み速度を向上できるとともに、液の戻り量も低減できる。
【0438】
また、本発明の吸収体が薄型の場合には、吸収体の厚みが1mm〜5mmの薄型であることが好ましい。このような薄型の吸収体を使用して、薄型吸収性物品とすることができる。たとえば、上記した本発明の薄型の吸収体、液透過性を有する表面シート、及び液不透過性を有する背面シートを備える吸収性物品とする。
【0439】
本発明の薄型吸収性物品の製造方法は、例えば繊維基材と粒子状吸水剤とをブレンドないしサンドイッチすることで吸収体(吸収コア)を作成し、液透過性を有する表面シートなどの基材と液不透過性を有する背面シートなどの基材で吸収体をサンドイッチして、必要に応じて、弾性部材、拡散層、粘着テープ等を装備することで、吸収性物品、特に紙おむつや生理用ナプキンとすればよい。かかる吸収性物品は密度0.06g/cc〜0.50g/cc、坪量0.01g/cm〜0.20g/cmの範囲に圧縮成形される。なお、用いられる繊維基材としては、親水性繊維、例えば、粉砕された木材パルプ、その他、コットンリンターや架橋セルロース繊維、レーヨン、綿、羊毛、アセテート、ビニロン等を例示できる。好ましくはそれらをエアレイドしたものである。
【0440】
本発明の粒子状吸水剤は優れた吸収特性を示すものである。従って、本発明の吸収性物品としては、具体的には、近年成長の著しい大人用紙おむつをはじめ、子供用オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料等が挙げられる。吸収性物品の中に存在する本発明の粒子状吸水剤により漏れ量も少なく、肌かぶれも少なくなる為、装着している本人、介護の人々の負担を大きく低減することができる。
【0441】
本発明の好ましい実施形態によれば、衛生材料は、上記のポリアクリル酸(塩)系粒子状吸水剤を含む。
【0442】
[5]上記従来技術との対比
以上、多くのパラメーター制御の吸水性樹脂があり、特許文献1〜6などの従来技術に対して本発明者らは新規パラメーターであるGCA(Gel Capillary Absorption。ゲル毛管吸収)に着目した特許文献7を出願したが、いまだ不十分な点が見出された。そこで、上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、新規パラメーターであるGCA(Gel Capillary Absorption ゲル毛管吸収)に着目した特許文献7では通液性がいまだ不十分であり、本発明者らは、GCAに加えて、通液性の新たな指標してFGBP(Free Gel Bed Permeability)が高いことで、上記課題を解決できること見出し、上記新規な吸水剤及びその製造方法を提供する。
【0443】
多くのパラメーター制御の吸水性樹脂が提案される中、特許文献1〜6及び先願特許文献7などに開示の従来の吸水剤では、GCAとFGBを両立した本発明の吸水剤を示唆も開示もしない。また吸水性樹脂の製造工程で重合後ないし重合中のゲル粉砕は上記特許文献10〜21など多く提案されているが、従来技術では、接着制御剤を使用したうえで、ゲル粉砕後の粒径が有意に小さいものとすること、さらにその後の通液性向上剤の使用を開示しない。
【0444】
本発明はゲル粉砕後の粒径が有意に小さいものとし、さらに接着制御剤及び通液性向上剤を使用するという新規な製造方法を提供する。かかる新規な上記製造方法が本発明の新規な上記吸水剤を提供することは上記明細書及び下記の実施例に記載の通りである。
【実施例】
【0445】
以下、実施例に従って発明を説明するが、本発明は実施例に限定されて解釈されるものではない。また、本発明の特許請求の範囲や実施例に記載の諸物性は、以下の測定法(a)〜(i)に従って求めた。なお、特に断りのない限り、各実施例での各工程は実質常圧(大気圧の±5%、さらに好ましくは1%以内)で行なわれ、同一工程では意図的な加圧又は減圧による圧力変化は加えずに実施した。
【0446】
(a)無加圧下吸水倍率(CRC)(ERT441.1−02)
無加圧下吸水倍率(CRC)は、ERT441.2−02に準じて測定した。即ち、試料0.200g(重量W0(g))を秤量し、不織布製の袋(60×85mm)に均一に入れヒートシールした後、23±2℃に調温した0.90重量%塩化ナトリウム水溶液500mL中に浸漬した。30分経過後、袋を引上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製遠心機:形式H−122)を用いて、250G、3分間の条件で水切りを行った。その後、袋の重量(W1(g))を測定した。同様の操作を、試料を入れずに行い、そのときの袋の重量(W2(g))を測定した。得られたW0(g)、W1(g)、W2(g)から下記(式1)にしたがって、無加圧下吸水倍率(CRC)を算出した。
【0447】
【数3】
【0448】
ゲルCRCは、試料として含水ゲル状架橋重合体または含水ゲル粒子0.6gを用い、自由膨潤時間を24時間とした以外は上記と同様の操作を行った。さらに、別途、含水ゲル状架橋重合体または含水ゲル粒子の樹脂固形分を測定し、上記0.6gの含水ゲル状架橋重合体または含水ゲル粒子中の吸水性樹脂重量を求め、次式(2)に従ってゲルCRCを算出した。なお、1サンプルにつき5回測定し、その平均値を採用した。
【0449】
【数4】
【0450】
なお、ここで、
msi:測定前の含水ゲル状架橋重合体、または含水ゲル粒子の重量(g)
mb :自由膨潤して水切り後のBlank(不織布のみ)の重量(g)
mwi:自由膨潤して水切り後の含水ゲル状架橋重合体および不織布の合計重量(g)
Wn :含水ゲル状架橋重合体、または含水ゲル粒子の固形分(重量%)
である。
【0451】
(b)加圧下吸水倍率(AAP)(ERT442.2−02)
本発明に係る粒子状吸水剤の加圧下吸水倍率(AAP)は、ERT442.2−02に準じて測定した。即ち、粒子状吸水剤0.900g(重量W3(g))を測定装置に投入し、測定装置一式の重量(W4(g))を測定した。次に、23±2℃に調温した0.90重量%塩化ナトリウム水溶液を2.06kPa(0.3psi,21g/cm)の荷重下で吸収させた。1時間経過後、測定装置一式の重量(W5(g))を測定し、得られたW3(g)、W4(g)、W5(g)から下記(式3)にしたがって、加圧下吸水倍率(AAP)を算出した。
【0452】
【数5】
【0453】
(c)吸水時間(Vortex法)
予め調製された0.90重量%塩化ナトリウム水溶液の1000重量部に食品添加物である食用青色1号0.02重量部を添加し、液温30℃に調整した。青色に着色した0.90重量%塩化ナトリウム水溶液50mlを100mlビーカーに計り取り、長さ40mmで太さ8mmの円筒型攪拌子で、600rpmで攪拌する中に、粒子状吸水剤2.00gを投入し、吸水時間(秒)を測定した。終点は、JISK 7224−1996年度「高吸水性樹脂の吸水速度試験方法解説」に記載されている基準に準じ、吸水剤が生理食塩水を吸液して試験液がスターラーチップを覆うまでの時間を吸水時間(秒)として測定した。
【0454】
(d)吸水剤(吸水性樹脂粉末)の粒径分布、重量平均粒子径(D50)及び対数標準偏差(σζ)
本発明に係る粒子状吸水剤(吸水性樹脂粉末)の粒度(PSD)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、米国特許出願公開第2006/204755号に開示された測定方法に準じて測定した。
【0455】
即ち、目開き850μm、600μm、500μm、425μm、300μm、150μm、45μmを有するJIS標準篩(The IIDA TESTING SIEVE:内径80mm;JIS Z8801−1(2000))、又はJIS標準篩に相当する篩を用いて、試料10.00gを分級した。分級後、各篩の重量を測定し、粒子径150μm未満の重量百分率(重量%)を算出した。なお、「粒子径150μm未満の重量百分率」とは、目開き150μmのJIS標準篩を通過する粒子の、試料全体に対する重量割合(%)である。
【0456】
また、重量平均粒子径(D50)は、上記各粒度の残留百分率Rを対数確率紙にプロットし、このグラフからR=50重量%に相当する粒子径を重量平均粒子径(D50)として読み取った。なお、重量平均粒子径(D50)は、粒子状吸水剤(試料)全体の50重量%に対応する粒子径のことをいう。また粒度分布の対数標準偏差(σζ)は下記(式4)で表され、σζの値が小さいほど粒度分布が狭いことを意味する。
【0457】
【数6】
【0458】
(X1はR=84.1%、X2は15.9%の時のそれぞれの粒径、lnは自然対数を意味する。)
(e)表面張力
十分に洗浄された100mlのビーカーに20℃に調整された0.90重量%塩化ナトリウム水溶液50mlを入れ、まず、0.90重量%塩化ナトリウム水溶液の表面張力を表面張力計(KRUSS社製のK11自動表面張力計)を用いて測定する。この測定において表面張力の値が71mN/m〜75mN/mの範囲でなくてはならない。次に、20℃に調整した表面張力測定後の0.90重量%塩化ナトリウム水溶液50mlを含んだビーカーに、十分に洗浄された長さ25mmの円筒型攪拌子及び粒子状吸水剤0.500gを投入し、350rpmの条件で3分間攪拌する。3分後、攪拌を止め、2分間静置させて含水した粒子状吸水剤が沈降した後に、上澄み液の表面張力を再度同様の操作を行い測定した。ただし、粒子状吸水剤による吸水速度が速いため、もしくは吸収倍率が高いために粒子状吸水剤が沈降した後に、測定に必要な量の上澄み液が残らない場合は、0.90重量%塩化ナトリウム水溶液50mlの量を測定に必要な最低限の範囲で適宜調整して測定した。なお、本発明では白金プレートを用いるプレート法を採用し、プレートは各測定前に十分脱イオン水にて洗浄し、かつガスバーナーで加熱洗浄して使用する。
【0459】
(f)固形分及び含水率
底面の直径が約5cmのアルミカップ(重量W8(g))に、約1gの吸水性樹脂(吸水剤)(粒子状含水ゲル)を量り取り(重量W9(g))、180℃の無風乾燥機中において3時間静置し、乾燥させた。乾燥後のアルミカップと吸水性樹脂(吸水剤)との合計重量(W10(g))を測定し、下記(式5)より固形分を求めた。また、含水率は、下記(式6)より求められる。
【0460】
【数7】
【0461】
【数8】
【0462】
(g)GCA(Gel Capillary Absorption)
図1を参照してGCAを測定する装置及び方法を記載する。この測定法で使用されるガラスフィルター2はISO4793(1980)で規定される通りの500mlガラス濾過器であり、孔径がP40(16〜40μm)、厚さ7mmであり、例えばSchott社のDuranガラス製濾過器のグレード3である。また20℃で30cm半径のフィルターが50mbarの圧力差にて50ml/minの水流能力を持たなければならない。このガラスフィルター付きの濾過器1の下部にシリコン製チューブ3をつなぎ、さらにガラス管5及びストップコック4を完備しているタンク6の下部につなぐ。このとき、ガラスフィルターの上面を、タンク内のガラス管の下部のメニスカスより10cm高い位置で固定する。系に0.90重量%塩化ナトリウム水溶液を満たす。内径60mmのプラスチックの支持円筒7の底に、8cmの正方形に切断された高湿潤強度セルロースティッシュ8を金属リングにより固定する。該ティッシュは坪量max24.6g/m、湿潤引っ張り強度Min0.32N/cm(CD方向)、0.8N/cm(MD方向)(抄紙機で抄かれる際の流れ方向をMD方向、これに垂直な方向をCD方向)であり、例えばドイツのフリパ社(Fripa)から入手可能である。室温(20℃〜25℃)、湿度50RH%の条件下で、該ティッシュ上に粒子状吸水剤100.2g(重量W11(g)を均一に散布し、その上に、吸水剤に対して0.39kPa(0.05psi)の荷重を均一に加えることができるよう調整された、外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒との隙間が生じず、かつ上下の動きが妨げられないピストン9を載置し、この測定装置一式の重量(W12[g])を測定した。上記測定装置一式をガラスフィルター上に載せ、マリオット管付き流体貯槽のバルブを開けて、10分間吸収させる。その後測定装置一式を持ち上げ、その重量(W13(g))を測定した。W11、W12、W13から下記(式7)に従って、GCA(g/g)を算出した。
【0463】
【数9】
【0464】
(h)FGBP
本発明のFGBPは、300μm〜600μmの範囲の吸水剤を選別せず、吸水剤ありのままの粒子径で測定し、データ採取の時間を少なくとも20秒間にわたって1秒ごとから、180秒間にわたって5秒ごととした以外は国際公開WO2004/096304に記載の「自由膨潤」条件下でのゲルベッド透水性試験に準拠して行われる。
【0465】
(i)含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル粒子)の粒径分布及び、重量平均粒子径(D50)
温度20℃〜25℃の含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル粒子)(固形分α重量%)20gを、0.08重量%エマール20C(界面活性剤、花王株式会社製)を含む20重量%塩化ナトリウム水溶液(以下、「エマール水溶液」と称する)1000g中に添加して分散液とし、長さ50mm×直径7mmのスターラーチップを300rpmで16時間攪拌した(高さ21cm、直径8cmの円柱のポリプロピレン製 約1.14L容器を使用)。
【0466】
攪拌終了後、回転盤の上に設置したJIS標準の篩(直径21cm、篩の目開き;8mm/4mm/2mm/1mm/0.60mm/0.30mm/0.15mm/0.075mm)の中央部に、上記分散液を投入した。エマール水溶液100gを使用して全含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル粒子)を篩上に洗い出した後、上部からエマール水溶液6000gを、篩を手で回転させながら(20rpm)、30cmの高さからシャワー(孔72個あき、液量;6.0L/min)を使って注水範囲(50cm)が篩全体にいきわたるよう満遍なく注ぐ作業を4回繰り返し、含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル粒子)を分級した。分級した一段目の篩上の含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル粒子)を約2分間水切り後、秤量した。二段目以降の篩についても同様の操作で分級し、水切り後にそれぞれの篩の上に残留した、含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル粒子)を秤量した。なお、含水ゲル粒子径が細かくなり、篩の目開きが0.15mmおよび0.075mmで、目詰まりが発生する場合には、より大きい直径のJIS標準の篩(直径30cm、篩の目開き;0.15mm/0.075mm)に置き換えて測定を行った。
【0467】
各篩の上に残留した含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル粒子)の重量から下記式(8)より、含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル粒子)全体に対する重量%割合を算出した。水切り後の篩の目開きは下記の式(9)に従って換算して、含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル粒子)の粒度分布を対数確率紙にプロットした。このグラフから残留百分率が50重量%に相当する粒子径を含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル粒子)の重量平均粒子径(D50)として読み取った。
【0468】
【数10】
【0469】
【数11】
【0470】
尚、ここで、
X;分級、水切り後に各篩上に残留した含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル粒子)の重量%(%)
w;分級、水切り後に各篩上に残留した含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル粒子)のそれぞれの重量(g)
W;分級、水切り後に各篩上に残留した含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル粒子)の総重量(g)
R(α);固形分α重量%の含水ゲル状架橋重合体に換算したときの篩の目開き(mm)
r;20重量%塩化ナトリウム水溶液中で膨潤した含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル粒子)が分級された篩の目開き(mm)である。
【0471】
(j)含水ゲル粒子の乾燥物に換算した重量平均粒子径
GelD50:含水ゲル粒子の重量平均粒子径(μm)
GS:含水ゲル粒子の固形分(重量%)
SolidD50:含水ゲル粒子の乾燥物に換算した重量平均粒子径(μm)
とすると次式で定義される。
(式)SolidD50=GelD50×(GS/100)1/3
(k)重量平均分子量
ポリエチレングリコール換算によるサイズ排除クロマトグラフィ(GPC)によって以下の測定条件で測定した。
【0472】
測定条件
装置:Waters社製、Waters Alliance(2695)
解析ソフト:Waters社製、Empowerプロフェッショナル+GPCオプション
使用カラム:東ソー社製、TSK guard column SWXL+TSKgel G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters社製、Waters 2414)
溶離液:水10,999g、アセトニトリル6,001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶解し、さらに酢酸でpH6.0に調整した溶液
較正曲線作成用標準物質:ポリエチレングリコール[ピークトップ分子量(Mp)300000、200000、107000、50000、27700、11840、6450、1470、472]
較正曲線:上記ポリエチレングリコールのMp値と溶出時間とを基礎にして3次式で作成
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
測定時間:45分
試料液注入量:100μL(試料濃度0.5wt%の溶離液調製溶液)
(l)BET比表面積
本発明の吸水性樹脂粉末のBET比表面積は、以下の手法に基づいて測定した。該BET比表面積の測定には、高精度ガス/蒸気吸着量測定装置(日本ベル株式会社製、BELSORP−max)を、また、前処理には吸着測定用前処理装置(日本ベル株式会社製、BELSORP−vacII)を用いた。
【0473】
上記BET比表面積測定装置に付属のパイレックス(登録商標)製試験管に付属のパイレックス(登録商標)製ガラス棒を入れ、吸着測定用前処理装置を用いて減圧脱気した。装置所定圧力に達した後、該パイレックス(登録商標)製試験管に、付属のBELSORP−max用サンプリングロート(パイレックス(登録商標))を用いて吸水性樹脂粉末を、目視で試験管下部試料室の8割程度入れた。この際、吸水性樹脂粉末の重量を記録した。その後、該試験管は吸着測定用前処理装置を用いて減圧脱気した。装置所定圧力に達した後、高精度ガス/蒸気吸着量測定装置により、吸着質としてクリプトンガスを用い、液体窒素温度にて測定を行った。解析ソフトを用いて、得られた吸着等温線からBET理論によりBET比表面積を求めた。
【0474】
[実施例1]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
温度計、窒素ガス導入管および排気孔を備えた蓋と底面300mm×220mm、深さ60mmのバットからなる反応容器に、アクリル酸170g、37重量%アクリル酸ナトリウム水溶液1800g、ポリエチレングリコールジアクリレート(重量平均分子量523)0.99g、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬株式会社製)6.688g(モノマー成分に対して0.8重量%)および脱イオン水216gを供給混合し、20℃の水浴に底から10mmの高さまで浸した。
【0475】
この水溶液に窒素ガスを導入し20分間脱気した。この溶液が20℃になったのを確認後、窒素気流雰囲気下20重量%過硫酸ナトリウム水溶液6.61g、および0.1重量%L−アスコルビン酸水溶液6.33gを添加し、攪拌混合した。単量体濃度は38重量%であった。1分後に重合が開始し、その時の反応系温度は20℃であった。重合開始後、重合系は攪拌せず、引き続き20℃の水浴に反応容器を浸して冷却を行った。17分後に重合系は最高到達温度の89℃を示した。この後、水浴の温度を70℃にして20分間重合反応を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK1)を得た。
【0476】
(ゲル粉砕工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体(GK1)をブロックに切り分け、ユニパック(株式会社生産日本社製)に入れ、恒温器内に1時間静置し60℃に恒温させた。60℃に恒温させた含水ゲル状架橋重合体(GK1)を、3.5mmのダイス口径プレートを設置し、シートヒーターを用いて60℃に暖めたミートチョッパー(レマコム株式会社製、モデル:HL−G22SN)に2回通すことにより、含水ゲル粒子(「含水ゲル状架橋重合体粉砕物」とも称する)(GKF1)を得た。
【0477】
該ミートチョッパーのスクリュー軸回転数を210rpmとして、含水ゲル状架橋重合体(GK1)を360g/minで供給し、得られたゲル粉砕物も同様に360g/minで供給し2回通した。
【0478】
含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF1)の物性を以下の表に示す。下記の含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF)も同様に以下の表に示す。
【0479】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF1)を、160℃、45分間熱風乾燥機で乾燥し、乾燥物を得、その後ロールミル(有限会社井ノ口技研社製)で粉砕し、目開き850μm、600μm、500μm、300μm、150μmを有する篩で篩い分けた後、850μmを通過し600μmを通過しない粒子が3重量%、600μmを通過し500μmを通過しない粒子が10重量%、500μmを通過し300μmを通過しない粒子が54重量%、300μmを通過し150μmを通過しない粒子が31重量%、150μmを通過し45μmを通過しない粒子が2重量%に調合することにより、吸水性樹脂粉末(B1)を得た。なお、当該調合は、実施例15以外同様に行った。
【0480】
吸水性樹脂粉末(B1)の重量平均粒子径D50、対数標準偏差およびCRCを以下の表に示す。下記の吸水性樹脂粉末(B)も同様に以下の表に示す。
【0481】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B1)100重量部に、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025重量部と、エチレンカーボネート0.3重量部と、プロピレングリコール0.5重量部と、脱イオン水2.0重量部とからなる表面架橋剤溶液を噴霧することによって混合した。上記の混合物を200℃で35分間加熱処理することにより、表面架橋された吸水性樹脂粒子(S1)を得た。
【0482】
(通液向上剤添加工程)
表面架橋された吸水性樹脂粒子(S1)100重量部に対して、キレート剤として、1重量%のDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム)水溶液1重量部を攪拌しながら添加し、1分間混合した。キレート剤を含有させることで、耐尿性が向上する。
【0483】
次いで60℃の熱風乾燥機中に30分間放置してから、目開き850μmの金網を通過させ、フュームドシリカ(アエロジル200、日本アエロジル株式会社製)0.6重量部を混合した。混合は表面架橋された吸水性樹脂粒子(S1)30gを容量225mlのマヨネーズ瓶にヒュームドシリカと共に入れ、ペイントシェーカーを用いて3分間振とうし、粒子状吸水剤(EX−1)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−1)の性能を下記に示した。以下、同様である。
【0484】
[実施例2]
使用したポリエチレングリコールの量を3.344g(モノマー成分に対して0.4重量%)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B2)、表面処理された吸水性樹脂粒子(S2)、粒子状吸水剤(EX−2)を得た。
【0485】
[実施例3]
使用したポリエチレングリコールの量を10.03g(モノマー成分に対して1.2重量%)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B3)、表面処理された吸水性樹脂粒子(S3)、粒子状吸水剤(EX−3)を得た。
【0486】
[実施例4]
使用したポリエチレングリコールの重量平均分子量を400に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B4)、表面処理された吸水性樹脂粒子(S4)、粒子状吸水剤(EX−4)を得た。
【0487】
[実施例5]
使用したポリエチレングリコールの重量平均分子量を20000に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B5)、表面処理された吸水性樹脂粒子(S5)、粒子状吸水剤(EX−5)を得た。
【0488】
[実施例6]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
温度計、窒素ガス導入管及び排気孔を備えた蓋と底面300mm×220mm、深さ60mmのバットからなる反応容器に、アクリル酸170g、37重量%アクリル酸ナトリウム水溶液1800g、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)0.99g、及び脱イオン水216gを供給混合し、20℃の水浴に底から10mmの高さまで浸した。この水溶液に窒素ガスを導入し20分間脱気した。この溶液が20℃になったのを確認後、窒素気流雰囲気下20重量%過硫酸ナトリウム水溶液6.61g、及び0.1重量%L−アスコルビン酸水溶液6.33gを添加し、攪拌混合した。単量体濃度は38重量%であった。1分後に重合が開始し、その時の反応系温度は20℃であった。重合開始後、重合系は攪拌せず、引き続き20℃の水浴に反応容器を浸して冷却を行った。17分後に重合系は最高到達温度の89℃を示した。この後、水浴の温度を70℃にし、20分間重合反応を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK6)を得た。得られた含水ゲル状架橋重合体(GK6)をブロック状に切り分けた。
【0489】
得られた含水ゲル状架橋重合体(GK6)をブロックに切り分け、ユニパック(株式会社生産日本社製)に入れ、恒温器内に1時間静置し60℃に恒温させた。60℃に恒温させた含水ゲル状架橋重合体(GK6)に、10重量%のポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬株式会社製)を含むメタノール溶液66.9gを上記ブロック状の含水ゲル状架橋重合体(GK6)2200gの表面に均一に振りかけ、3.5mmのダイス口径プレートを設置し、シートヒーターを用いて60℃に暖めたミートチョッパー(レマコム株式会社製、モデル:HL−G22SN)に2回通すことにより、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF6)を得た。
【0490】
該ミートチョッパーのスクリュー軸回転数を210rpmとして、含水ゲル状架橋重合体(GK6)を360g/minで供給し、得られたゲル粉砕物も同様に360g/minで供給し2回通した。
【0491】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF6)を、160℃、45分間熱風乾燥機で乾燥し、乾燥物を得、その後ロールミル(有限会社井ノ口技研社製)で粉砕し、目開き850μm、600μm、500μm、300μm、150μmを有する篩で篩い分けた後調合することにより、吸水性樹脂粉末(B6)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(B6)の性能を表1に示した。
【0492】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B6)100重量部に、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025重量部と、エチレンカーボネート0.3重量部と、プロピレングリコール0.5重量部と、脱イオン水2.0重量部とからなる表面架橋剤溶液を混合した。上記の混合物を200℃で35分間加熱処理することにより、表面架橋された吸水性樹脂粒子(S6)を得た。
【0493】
(通液向上剤添加工程)
表面架橋された吸水性樹脂粒子(S6)100重量部に対して、1重量%のDTPA水溶液1重量部を攪拌しながら添加し、1分間混合した。次いで60℃の熱風乾燥機中に30分間放置してから、目開き850μmの金網を通過させ、ハイドロタルサイト(DHT−6、協和化学工業株式会社)0.6重量部を混合した。混合は表面架橋された吸水性樹脂粒子(S6)30gを容量225mlのマヨネーズ瓶にハイドロタルサイトと共に入れ、ペイントシェーカーを用いて3分間振とうし、粒子状吸水剤(EX−6)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−6)の性能を下記表に示した。
【0494】
[実施例7]
実施例1における表面架橋された吸水性樹脂粒子(S1)100重量部に対して、1重量%のDTPA水溶液1重量部を攪拌しながら添加して1分間混合後、さらに、27.5重量%硫酸アルミニウム水溶液(酸化アルミニウム換算で8重量%)1.17重量部、60重量%乳酸ナトリウム水溶液0.196重量部及びプロピレングリコール0.029重量部からなる溶液を添加して1分間混合後、熱風乾燥機中に30分間放置してから、目開き850μmの金網を通過させ、粒子状吸水剤(EX−7)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−7)の性能を下記表に示した。
【0495】
[実施例8]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK8)を得た。
【0496】
(ゲル粉砕工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体(GK8)をブロック状に切り分け、ユニパック(株式会社生産日本社製)に入れ、恒温器内に1時間静置し60℃に恒温させた。60℃に恒温させた含水ゲル状架橋重合体(GK8)を、シートヒーターを用いて60℃に暖めたスクリュー押出機に供給しゲル粉砕した。該スクリュー押出機としては、先端部に直径100mm、孔径3.2mm、孔数316個、開口率32.3%、厚さ10mmの多孔板が供えられた、スクリュー軸の外径が86mm、ケーシング内径が88mmであるミートチョッパーを使用した。
【0497】
該ミートチョッパーのスクリュー軸回転数を126rpmとして、含水ゲル状架橋重合体(GK8)を1680g/minで供給し、1回通すことにより含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF8)を得た。
【0498】
この時のゲル粉砕エネルギー GGE(1)は、174.8J/g、GGE(2)は、40.4J/gであった。
【0499】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF8)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B8)を得た。
【0500】
(表面架橋工程)、(通液向上剤添加工程)
得られた吸水性樹脂粉末(B8)を実施例1と同様の操作を行い、表面架橋された吸水性樹脂粒子(S8)、粒子状吸水剤(EX−8)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−8)の性能を下記表に示した。
【0501】
[実施例9]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコールを使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK9)を得た。
【0502】
(ゲル粉砕工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体(GK9)を1680g/minで供給すると同時に、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)6.688g(モノマー濃度に対して0.8重量%)を20重量%水溶液として20.5g/minで供給した以外は実施例8と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF9)を得た。
【0503】
この時のゲル粉砕エネルギー GGE(1)は175.7J/g、GGE(2)は41.3J/gであった。
【0504】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF9)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B9)を得た。
【0505】
(表面架橋工程)、(通液向上剤添加工程)
得られた吸水性樹脂粉末(B9)を実施例1と同様の操作を行い、表面架橋された吸水性樹脂粒子(S9)、粒子状吸水剤(EX−9)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−9)の性能を下記表に示した。
【0506】
上記の実施例9は、接着制御剤を重合時に添加するのではなく、ミートチョッパーを実施しながら(ゲル粉砕時に)接着制御剤を添加する形態である。
【0507】
[実施例10]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK10)を得た。
【0508】
(ゲル粉砕工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体(GK10)を、実施例8と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF11)を得た。
【0509】
この時のゲル粉砕エネルギー GGE(1)は174.8J/g、GGE(2)は40.4J/gであった。
【0510】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF10)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B10)を得た。
【0511】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B10)の加熱処理時間を45分とすること以外は、実施例1と同様の操作を行い表面処理された吸水性樹脂粒子(S10)を得た。
【0512】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S10)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−10)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−10)の性能を下記表に示した。
【0513】
実施例11は、表面架橋工程の熱処理時間を比較的長くしている。これによって、FGBPを向上させる効果がある。
【0514】
[実施例11]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
アクリル酸380g、48重量%水酸化ナトリウム水溶液158g、ポリエチレングリコールジアクリレート(重量平均分子量523)1.53g、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬株式会社製)3.74g(モノマー成分に対して0.8重量%)、0.1重量%ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム水溶液23.4gからなる単量体溶液を作成する。次に、45℃に調温した該単量体溶液を攪拌しながら、48重量%水酸化ナトリウム水溶液162gを加える。この時の中和熱によって80℃まで上昇する。さらに、4重量%過硫酸ナトリウム水溶液18.58gを加えたのち、雰囲気温度を60℃の中で、あらかじめ50℃に底面を加温しておいたテフロン(登録商標)シート(四方を1.5cmの高さを有する堰で囲われた30cm×30cmの反応容器)上に流し込み重合を行った。過硫酸ナトリウム水溶液を加えてから1分後に、重合系は最高到達温度が105℃を示した。さらに4分経過後に得られた重合物を取り出し、含水ゲル状架橋重合体(GK11)を得た。
【0515】
(ゲル粉砕工程)
スクリュー軸回転数を130rpm、含水ゲル状架橋重合体(GK11)を4640g/minでミートチョッパーに供給した以外は、実施例8と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF11)を得た。
【0516】
この時のゲル粉砕エネルギー GGE(1)は69.4J/g、GGE(2)は24.0J/gであった。
【0517】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF11)を、190℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B11)を得た。
【0518】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B11)の加熱温度処理時間を25分としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S11)を得た。
【0519】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S11)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−11)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−11)の性能を下記表に示した。
【0520】
[実施例12]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.39gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)の代わりにアンヒトール20BS(花王株式会社、有効成分30重量%)1.17g(モノマー成分に対して有効成分で0.075重量%)を使用した以外は、実施例11と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK12)を得た。
【0521】
(ゲル粉砕工程)
スクリュー押出機として、先端部に直径100mm、孔径6.4mm、孔数83個、開口率34.0%、厚さ10mmの多孔板を有し、スクリュー軸の外径が86mm、ケーシング内径が88mmであるミートチョッパーを使用した。ミートチョッパーを用い、含水ゲル状架橋重合体(GK12)を、スクリュー軸回転数130rpm、4640g/minでミートチョッパーに供給した以外は、実施例8と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF12)を得た。
【0522】
この時のゲル粉砕エネルギー GGE(1)は57.5J/g、GGE(2)は13.3J/gであった。
【0523】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF12)を、190℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B12)を得た。
【0524】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B12)の加熱温度処理時間を30分としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S12)を得た。
【0525】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S12)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−12)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−12)の性能を下記表に示した。
【0526】
実施例12は、GGEを下げることによって含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF12)の粒子径を大きくしている。
【0527】
[実施例13]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)の代わりにアンヒトール20BS(花王株式会社製、有効成分30重量%)1.17g(モノマー成分に対し有効成分で0.075重量%)を使用した以外は、実施例11と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK13)を得た。
【0528】
(ゲル粉砕工程)
スクリュー軸回転数を130rpmとし、含水ゲル状架橋重合体(GK13)を4640g/minでミートチョッパーに供給した以外は、実施例8と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF13)を得た。
【0529】
この時のゲル粉砕エネルギー GGE(1)は65.5J/g、GGE(2)は24.4J/gであった。
【0530】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF13)を、190℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B13)を得た。
【0531】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B13)の加熱温度処理時間を25分とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S13)を得た。
【0532】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S13)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−13)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−13)の性能を下記表に示した。
【0533】
本実施例は、他の実施例に比べても優れた結果を有する。その理由としては、重合方法が中和熱を利用した短時間重合であり、主鎖分子量が大きく、分子量分布も狭く物性が向上し、さらに、接着制御剤が特に好適なものであったためと推測される。
【0534】
[実施例14]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)の代わりにアンヒトール20BS(花王株式会社製、有効成分30重量%)2.090g(モノマー成分に対して有効成分で0.075重量%)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK14)を得た。
【0535】
(ゲル粉砕工程)
スクリュー軸回転数を225rpmとした以外は、実施例8と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF14)を得た。
【0536】
この時のゲル粉砕エネルギー GGE(1)は182.2J/g、GGE(2)は58.3J/gであった。
【0537】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF14)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥し、850μmを通過し600μmを通過しない粒子が12重量%、600μmを通過し500μmを通過しない粒子が25重量%、500μmを通過し300μmを通過しない粒子が41重量%、300μmを通過し150μmを通過しない粒子が21重量%、150μmを通過し45μmを通過しない粒子が1重量%に調合すること以外は実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B14)を得た。
【0538】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B14)の加熱温度処理時間を25分としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S14)を得た。
【0539】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S14)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−14)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−14)の性能を下記表に示した。
【0540】
[実施例15]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)の代わりにアンヒトール20BS(花王株式会社製、有効成分30重量%)2.090g(モノマー成分に対して有効成分で0.075重量%)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK15)を得た。
【0541】
(ゲル粉砕工程)
スクリュー軸回転数を225rpmとした以外は、実施例8と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF15)を得た。
【0542】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF15)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B15)を得た。
【0543】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B15)の加熱温度処理時間を25分としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S15)を得た。
【0544】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S15)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−15)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−15)の性能を下記表に示した。
【0545】
[実施例16]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK16)を得た。
【0546】
(ゲル粉砕工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体(GK16)をブロックに切り分け、ユニパック(株式会社生産日本社製)に入れ、恒温器内に1時間静置し60℃に恒温させた。60℃に恒温させた含水ゲル状架橋重合体(GK16)の表面に均一に1重量%のアンヒトール20BS(花王株式会社製、有効成分30重量%)を含むメタノール溶液62.7g(工程(i)の原料モノマー成分量に対して有効成分で0.075重量%)を振りかけ、4.7mmのダイス口径プレートを設置し、シートヒーターを用いて60℃に暖めたミートチョッパー(飯塚工業株式会社製、モデル:ROYAL、タイプ:VR−400K)に2回通すことにより、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF16)を得た。
【0547】
該ミートチョッパーのスクリュー軸回転数を170rpmとして、含水ゲル状架橋重合体(GK17)を150g/minで供給し、得られたゲル粉砕物も同様に150g/minで供給し2回通した。
【0548】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF16)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B16)を得た。
【0549】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B16)の加熱温度処理時間を30分としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S16)を得た。
【0550】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S16)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−16)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−16)の性能を下記表に示した。
【0551】
[実施例17]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK17)を得た。
【0552】
(ゲル粉砕工程)
1重量%のアンヒトール20HD(花王株式会社製、有効成分30重量%)を含むメタノール溶液62.7g(工程(i)の原料モノマー成分量に対して有効成分で0.075重量%)を、得られた含水ゲル状架橋重合体(GK17)を切り分けたブロックの表面に均一に振りかけた以外は、実施例16と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF17)を得た。
【0553】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF17)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B17)を得た。
【0554】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B17)の加熱温度処理時間を30分としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S17)を得た。
【0555】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S17)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−17)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−17)の性能を下記表に示した。
【0556】
[実施例18]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK18)を得た。
【0557】
(ゲル粉砕工程)
1重量%のアンヒトール20N(花王株式会社製、有効成分30重量%)を含むメタノール溶液62.7g(工程(i)の原料モノマー成分量に対して有効成分で0.075重量%)を、得られた含水ゲル状架橋重合体(GK18)を切り分けたブロックの表面に均一に振りかけた以外は、実施例17と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF18)を得た。
【0558】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF18)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B18)を得た。
【0559】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B18)の加熱温度処理時間を30分としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S18)を得た。
【0560】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S18)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−18)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−18)の性能を下記表に示した。
【0561】
[実施例19]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK19)を得た。
【0562】
(ゲル粉砕工程)
0.75重量%のアミート105A(花王株式会社製、有効成分100重量%)を含むメタノール溶液55.7g(工程(i)の原料モノマー成分量に対して有効成分で0.050重量%)を、得られた含水ゲル状架橋重合体(GK19)を切り分けたブロックの表面に均一に振りかけた以外は、実施例16と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF19)を得た。
【0563】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF19)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B19)を得た。
【0564】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B19)の加熱温度処理時間を30分とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S19)を得た。
【0565】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S19)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−19)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−19)の性能を下記表に示した。
【0566】
[実施例20]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK20)を得た。
【0567】
(ゲル粉砕工程)
1重量%のエマール20C(花王株式会社製、有効成分25重量%)を含むイソプロピルアルコール溶液62.7g(工程(i)の原料モノマー成分量に対して有効成分で0.075重量%)を、得られた含水ゲル状架橋重合体(GK20)を切り分けたブロックの表面に均一に振りかけた以外は、実施例16と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF20)を得た。
【0568】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF20)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B20)を得た。
【0569】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B20)の加熱温度処理時間を30分とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S20)を得た。
【0570】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S20)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−20)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−20)の性能を下記表に示した。
【0571】
[実施例21]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK21)を得た。
【0572】
(ゲル粉砕工程)
1重量%のアセタミン24(花王株式会社製、有効成分98重量%)を含むメタノール溶液62.7g(工程(i)の原料モノマー成分量に対して有効成分で0.075重量%)を、得られた含水ゲル状架橋重合体(GK21)を切り分けたブロックの表面に均一に振りかけた以外は、実施例16と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF21)を得た。
【0573】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF21)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B21)を得た。
【0574】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B21)の加熱温度処理時間を20分とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S21)を得た。
【0575】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S21)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−21)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−21)の性能を下記表に示した。
【0576】
[実施例22]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK22)を得た。
【0577】
(ゲル粉砕工程)
1重量%のアデカプルロニックL−44(株式会社ADEKA製、有効成分100重量%)を含むメタノール溶液62.7g(工程(i)の原料モノマー成分量に対して有効成分で0.075重量%)を、得られた含水ゲル状架橋重合体(GK22)を切り分けたブロックの表面に均一に振りかけた以外は、実施例16と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF22)を得た。
【0578】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF22)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B22)を得た。
【0579】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B22)の加熱温度処理時間を30分としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S22)を得た。
【0580】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S22)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−22)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−22)の性能を下記表に示した。
【0581】
[実施例23]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK23)を得た。
【0582】
(ゲル粉砕工程)
1重量%のエマルゲン430(花王株式会社製、有効成分100重量%)を含むメタノール溶液62.7g(工程(i)の原料モノマー成分量に対して有効成分で0.075重量%)を、得られた含水ゲル状架橋重合体(GK23)を切り分けたブロックの表面に均一に振りかけた以外は、実施例16と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF23)を得た。
【0583】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF23)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B23)を得た。
【0584】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B23)の加熱温度処理時間を30分とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S23)を得た。
【0585】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S23)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−23)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−23)の性能を下記表に示した。
【0586】
[実施例24]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK24)を得た。
【0587】
(ゲル粉砕工程)
1重量%のペレックスSS−L(花王株式会社製、有効成分50重量%)を含むメタノール溶液62.7g(工程(i)の原料モノマー成分量に対して有効成分で0.075重量%)を、得られた含水ゲル状架橋重合体(GK24)を切り分けたブロックの表面に均一に振りかけた以外は、実施例16と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF24)を得た。
【0588】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF24)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B24)を得た。
【0589】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B24)の加熱温度処理時間を30分とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S24)を得た。
【0590】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S24)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−24)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−24)の性能を下記表に示した。
【0591】
[実施例25]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK25)を得た。
【0592】
(ゲル粉砕工程)
10重量%のデナコールEX−861(ナガセケムテックス株式会社製、有効成分100重量%)を含むメタノール溶液66.9g(工程(i)の原料モノマー成分量に対して有効成分で0.8重量%)を、得られた含水ゲル状架橋重合体(GK25)を切り分けたブロックの表面に均一に振りかけた以外は、実施例16と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF25)を得た。
【0593】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF25)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B25)を得た。
【0594】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B25)の加熱温度処理時間を20分とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S25)を得た。
【0595】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S25)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−25)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−25)の性能を下記表に示した。
【0596】
[実施例26]
(ゲル重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK26)を得た。
【0597】
(ゲル粉砕工程)
1重量%のレオドールTW−S120V(花王株式会社製、有効成分100重量%、カタログHLB値14.9)を含むメタノール溶液62.7g(工程(i)の原料モノマー成分量に対して有効成分で0.050重量%)を、得られた含水ゲル状架橋重合体(GK26)を切り分けたブロックの表面に均一に振りかけた以外は、実施例16と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF26)を得た。
【0598】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF26)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B26)を得た。
【0599】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B26)の加熱温度処理時間を20分とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S26)を得た。
【0600】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S26)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−26)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−26)の性能を下記表に示した。
【0601】
[実施例27]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK27)を得た。
【0602】
(ゲル粉砕工程)
1重量%のKF−354L(信越シリコーン株式会社製、有効成分100重量%、カタログHLB値16)を含むメタノール溶液62.7g(工程(i)の原料モノマー成分量に対して有効成分で0.050重量%)を、得られた含水ゲル状架橋重合体(GK27)を切り分けたブロックの表面に均一に振りかけた以外は、実施例16と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF27)を得た。
【0603】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF27)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B27)を得た。
【0604】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B27)の加熱温度処理時間を20分とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S27)を得た。
【0605】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S27)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−27)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−27)の性能を下記表に示した。
【0606】
[実施例28]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更する以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK28)を得た。
【0607】
(ゲル粉砕工程)
スクリュー押出機として、先端部に直径100mm、孔径8.0mm、孔数54個、開口率34.5%、厚さ10mmの多孔板を有し、スクリュー軸の外径が86mm、ケーシング内径が88mmであるミートチョッパーを使用した以外は、実施例8と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF28)を得た。
【0608】
この時のゲル粉砕エネルギー GGE(1)は108.0J/g、GGE(2)は14.2J/gであった。
【0609】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF28)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B28)を得た。
【0610】
(表面架橋工程)、(通液向上剤添加工程)
得られた吸水性樹脂粉末(B28)を、実施例1と同様の操作を行い、表面架橋された吸水性樹脂粒子(S28)、粒子状吸水剤(EX−28)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−28)の性能を下記表に示した。
【0611】
[実施例29]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)の代わりにアンヒトール20BS(花王株式会社製、有効成分30重量%)2.090g(モノマー成分に対して有効成分で0.075重量%)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK29)を得た。
【0612】
(ゲル粉砕工程)
スクリュー軸回転数を225rpmとした以外は、実施例8と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF29)を得た。
【0613】
この時のゲル粉砕エネルギーGGE(1)は、182.2J/g、GGE(2)は58.3J/gであった。
【0614】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF29)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B29)を得た。
【0615】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B29)の加熱温度処理時間を40分としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S29)を得た。
【0616】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S29)を実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−29)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−29)の性能を下記表に示した。
【0617】
[実施例30]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールジアクリレートの量を1.73gに変更し、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000、和光純薬工業株式会社製)の代わりにアンヒトール20BS(花王株式会社製、有効成分30重量%)2.090g(モノマー成分に対して有効成分で0.075重量%)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK30)を得た。
【0618】
(ゲル粉砕工程)
スクリュー軸回転数を225rpmとした以外は、実施例8と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF30)を得た。
【0619】
この時のゲル粉砕エネルギーGGE(1)は182.2J/g、GGE(2)は58.3J/gであった。
【0620】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF30)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B30)を得た。
【0621】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B30)の加熱温度処理時間を20分としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S30)を得た。
【0622】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S30)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−30)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−30)の性能を下記表に示した。
【0623】
[実施例31]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
実施例11と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK31)を得た。
【0624】
(ゲル粉砕工程)
スクリュー押出機として、先端部に直径100mm、孔径6.4mm、孔数83個、開口率34.0%、厚さ10mmの多孔板を有し、スクリュー軸の外径が86mm、ケーシング内径が88mmであるミートチョッパーを用い、スクリュー軸回転数を130rpm、含水ゲル状架橋重合体(GK32)を4640g/minでミートチョッパーに供給した以外は、実施例8と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF31)を得た。
【0625】
この時のゲル粉砕エネルギーGGE(1)は56.4J/g、GGE(2)は13.1J/gであった。
【0626】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF31)を、190℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(B31)を得た。
【0627】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B31)の加熱温度処理時間を20分としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S31)を得た。
【0628】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S31)を実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−31)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−31)の性能を下記表に示した。
【0629】
[実施例32]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
実施例13と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK32)を得た。
【0630】
(ゲル粉砕工程)
スクリュー押出機としては、先端部に直径100mm、孔径6.4mm、孔数83個、開口率34.0%、厚さ10mmの多孔板を有し、スクリュー軸の外径が86mm、ケーシング内径が88mmであるミートチョッパーを用い、スクリュー軸回転数を130rpm、含水ゲル状架橋重合体(GK33)を4640g/minでミートチョッパーに供給した以外は、実施例8と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF32)を得た。
【0631】
この時のゲル粉砕エネルギーGGE(1)は56.7J/g、GGE(2)は12.6J/gであった。
【0632】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF32)を、190℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末((B32)を得た。
【0633】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(B32)の加熱温度処理時間を20分としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(S32)を得た。
【0634】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(S32)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(EX−32)を得た。得られた粒子状吸水剤(EX−32)の性能を下記表に示した。
【0635】
[比較例1]
実施例1において、ゲル粉砕工程で使用したミートチョッパーのダイス口径を3.5mmから9.0mmに変更した以外は、実施例1と同様の処理を行い、含水ゲル粒子(CGKF−1)、吸水性樹脂粉末(CB−1)、表面処理された吸水性樹脂粒子(CS1)、粒子状吸水剤(CEX−1)を得た。
【0636】
得られた含水ゲル粒子(CGKF−1)、吸水性樹脂粉末(CB−1)、粒子状吸水剤(CEX−1)の性能を下記表に示した。
【0637】
[比較例2]
実施例1で得られたS1を比較用吸水剤(CEX−2)とした。得られた粒子状吸水剤(CEX−2)の性能を下記表に示した。
【0638】
[比較例3]
出願番号PCT/JP2015/56110の実施例1と同様に行い、造粒形状を有する吸水性樹脂粉末(CB−3)、比較用吸水剤(CEX−3)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(CB−3)、粒子状吸水剤(CEX−3)の性能を下記表に示した。
【0639】
[比較例4]
出願番号PCT/JP2015/56110の実施例2と同様に行い、造粒形状を有する吸水性樹脂粉末(CB−4)、比較用吸水剤(CEX−4)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(CB−4)、粒子状吸水剤(CEX−4)の性能を下記表に示した。
【0640】
[比較例5]
国際公開第2011/126079号パンフレット実施例6に記載の方法により含水ゲル粒子(CGKF−5)、吸水性樹脂粉末(CB−5)、比較用粒子状吸水剤(CEX−5)を作成した。得られた含水ゲル粒子(CGKF−5)、吸水性樹脂粉末(CB−5)、吸水性樹脂粉末(CEX−5)、粒子状吸水剤(CEX−6)の性能を下記表に示した。
【0641】
[比較例6]
国際公開第2015/030130の実施例13と同様に行い、含水ゲル粒子(CGKF−6)、吸水性樹脂粉末(CB−6)、比較用吸水剤(CEX−6)を得た。得られた含水ゲル粒子(CGKF−6)、吸水性樹脂粉末(CB−6)、粒子状吸水剤(CEX−6)の性能を下記表に示した。
【0642】
[比較例7]
国際公開第2008/096713の実施例6と同様に行い、含水ゲル粒子(CGKF−6)、比較用吸水剤(CEX−7)を得た。得られた含水ゲル粒子(CGKF−6)、粒子状吸水剤(CEX−7)の性能を下記表に示した。
【0643】
[比較例8]
((メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液の調製、重合工程)
ポリエチレングリコールの代わりに、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムを0.418g(モノマー成分に対して0.05重量%)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体(CGK8)を得た。
【0644】
(ゲル粉砕工程)
実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状架橋重合体粉砕物(CGKF8)を得た。
【0645】
(乾燥、粉砕、分級工程)
得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF8)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(CB8)を得た。
【0646】
(表面架橋工程)
吸水性樹脂粉末(CB8)の加熱温度処理時間を60分とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、表面処理された吸水性樹脂粒子(CS8)を得た。
【0647】
(通液向上剤添加工程)
表面処理された吸水性樹脂粒子(CS8)を、実施例1と同様の操作を行い、粒子状吸水剤(CEX−8)を得た。得られた粒子状吸水剤(CEX−8)の性能を下記表に示した。
【0648】
【表1-1】
【0649】
【表1-2】
【0650】
【表2-1】
【0651】
【表2-2】
【0652】
【表3-1】
【0653】
【表3-2】
【0654】
【表4-1】
【0655】
【表4-2】
【0656】
【表5】
【0657】
<SEM写真>
図2は、実施例9の吸水性樹脂粉末(粒度カット500/425)のSEM写真を示すものであり、測定条件は、倍率30倍、印加電圧:1.3kVである。
【0658】
図3は、実施例9の吸水性樹脂粉末(粒度カット500/425)のSEM写真を示すものであり、測定条件は、倍率130倍、印加電圧:1.3kVである。
【0659】
図4は、比較例1の吸水性樹脂粉末(粒度カット500/425)のSEM写真を示すものであり、測定条件は、倍率30倍、印加電圧:1.3kVである。
【0660】
図5は、比較例6の吸水性樹脂粉末(粒度カット500/425)のSEM写真を示すものであり、測定条件は、倍率130倍、印加電圧:1.3kVである。
【0661】
[吸収体性能評価]
(吸収体の生理食塩水取り込み速度(コア・アクイジション)・戻り量の評価方法)
測定すべき吸収体は、下記の方法により作製した。即ち、先ず、アクリル樹脂製容器11(内寸80mm×80mm、高さ4cm)の中へ、80mm×80mm、厚さ約0.1mmの吸水紙12を敷いて、次に、吸水剤13を2.4g均一に散布し、この上に80mm×80mm、厚さ約0.1mmの吸水紙14を敷き、さらにこの上に市販のオムツより採取した液透過性を有する表面シート15(80mm×80mm、厚さ約0.1mm)を載せてモデルオムツの吸収体18を作成した。(吸水紙を含めた吸水剤濃度:約82%)。
【0662】
そして、上記モデルオムツの吸収体18の上に荷重が均一にかかるように液投入装置16(重さ80g、吸収体への荷重1.25g/cm(0.1kPa)、中心部分に液を投入することができる直径30mm、高さ120mmの円筒を有する)を載せた。次いで、該円筒内に37℃の生理食塩水(0.90%塩化ナトリウム水溶液)48gを素早く(一気に)注いだ。生理食塩水を注ぎ始めた時点から、該生理食塩水が吸収体に全て吸収されるまでの時間を測定し、一回目の生理食塩水の取り込み速度(秒)とした。30分後に、上記の吸収体全体に、12.5g/cm(1.2kPa)の荷重が均一にかかるように、液投入装置16の円筒周辺に重さ180gの錘17を4つ載せ、該円筒内に上記37℃の生理食塩水24gを素早く(一気に)注いだ。生理食塩水を注ぎ始めた時点から、該生理食塩水が吸収体18に全て吸収されるまでの時間を測定し、2回目の生理食塩水の取り込み速度(秒)とした。3分後、吸収体18の上に載せた液投入装置16および錘17を外して、ペーパータオル(製造元:王ネピア株式会社、キッチンタオル、80mm×80mmに裁断して30枚重ねたもの)を吸収体18にのせ、その上に、30g/cm(3.0kPa)の荷重を乗せ1分間放置した。ペーパータオルの重量変化を測定することで、ペーパータオルが吸収した液量を求め、これを戻り量(g)とした。
【0663】
(吸収体評価結果)
実施例1、比較例2、比較例6、比較例8で得られた粒子状吸水剤(EX−1)、(CEX−2)、(CEX−6)、(CEX−8)それぞれについて、生理食塩水の吸収体への取り込み速度(コア・アクイジション)、吸収体からの戻り量の評価の測定を行った。これら測定あるいは評価の方法は、上記の吸収体性能評価に従って測定した。結果を下記表に示す。
【0664】
実施例1に示すように、GCA、FGBPが高度に両立した粒子状吸水剤(EX−1)を用いた吸水体では、1回目および特に2回目に優れた取り込み速度を示し、戻り量も低減することが可能となる。
【0665】
一方で、比較例2に示すように、GCAは高いが、FGBPが低い発明範囲外の粒子状吸水剤(CEX−2)を用いた吸水体では、戻り量は低減できているが、1回目および特に2回目の取り込み速度が遅くなり、戻り量と取り込み速度との性能の両立ができない。また、比較例6に示すように、GCAが低く、FGBPが高い発明範囲外の粒子状吸水剤(CEX−6)を用いた吸水体では、1回目および特に2回目は優れた取り込み速度を示すが、戻り量が大幅に増えてしまい、戻り量と取り込み速度との性能の両立ができない。
【0666】
また、比較例8に示すように、FGBPは高いが、CRCおよびGCAが低く、表面張力が低い発明範囲外の粒子状吸水剤(CEX−8)を用いた吸水体では、1回目および特に2回目は優れた取り込み速度を示すが、戻り量が大幅に増えてしまい、戻り量と取り込み速度との性能の両立ができない。
【0667】
【表6】
【符号の説明】
【0668】
1…濾過器
2…ガラスフィルター、
3…シリコン製チューブ、
4…ストップコック、
5…ガラス管、
6…タンク、
7…支持円筒、
8…高湿潤強度セルロースティッシュ、
9…ピストン、
10…金属リング、
11…アクリル樹脂製容器、
12…吸水紙、
13…吸水剤、
14…吸水紙、
15…表面シート、
16…液投入装置、
17…錘、
18…吸収体。
【0669】
なお、本出願では、2015年 6月19日に出願された日本国特許出願2015−123529号の開示内容が参照により全体として引用されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7