(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1,3−ブチレングリコール及びグリセリン以外の多価アルコールが、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプロピレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0009】
本発明は、次の構成(A)〜(C)を有する、油中水型エマルション組成物を提供する;
構成(A)非架橋型シリコーン乳化剤を含まず、乳化性部分架橋型シリコーンエラストマー、非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマー及びシリコーン油を含有し、組成物中、乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーの含有量が2.5〜4質量%、非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーの含有量が0.5〜1.5質量%であり、乳化性部分架橋型シリコーンエラストマー、非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマー及びシリコーン油の合計量が12〜14質量%である。
構成(B)1,3−ブチレングリコール及びグリセリンを含む2種以上の多価アルコールを含有し、組成物中、多価アルコールの含有量が7〜9質量%である。
構成(C)無機塩及び分子量50〜300且つ炭素数1〜8の有機酸塩を含有し、組成物中、無機塩及び分子量50〜300且つ炭素数1〜8の有機酸塩の合計量が0.6〜0.8質量%である。
【0010】
前記構成(A)の通り、本発明の組成物は、PEG−10ジメチコン、PEG−3ジメチコン等のポリエーテル変性シリコーンオイル;ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のポリグリセリン変性シリコーンオイルといった、非架橋型シリコーン乳化剤を含まない。
【0011】
非架橋型シリコーン乳化剤は、本分野において公知であり、例えば、KF−6011、KF−6011P、KF−6012、KF−6013、KF−6015、KF−6016、KF−6017、KF−6017P、KF−6004、KF−6028、KF−6028P、KF−6038、KF−6043、KF−6048、KF−6100、KF−6104、KF−6105、KF−6106(いずれも信越化学工業株式会社製)等として市販されている。
【0012】
前記構成(A)の通り、本発明の組成物は、乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーを含有する。乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーは、本分野において公知であり、例えば、次のシリコーンゲル、すなわち、(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマーとジメチコンとの混合物、(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマーとシクロペンタシロキサンとの混合物、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとミネラルオイルとの混合物、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとイソドデカンとの混合物、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとトリエチルヘキサノインとの混合物、(PEG−10/ラウリルジメチコン)クロスポリマーと(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとスクワランとの混合物、(PEG−15/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマーとイソドデカンとの混合物、(PEG−15/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマーとシクロペンタシロキサンとの混合物、(PEG−15/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマーとジメチコンとの混合物、(ジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマーとジメチコンとの混合物、(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマーとミネラルオイルとの混合物、(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマーとイソドデカンとの混合物、(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマーとトリエチルヘキサノインとの混合物、(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマーとスクワランとの混合物、(ポリグリセリン−3/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマーとイソドデカンとの混合物、(ポリグリセリン−3/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマーとシクロペンタシロキサンとの混合物等が例示される。
【0013】
本発明を制限するものではないが、乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーとして、好ましくは(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマーとジメチコンとの混合物、(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマーとシクロペンタシロキサンとの混合物、(ジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマーとジメチコンとの混合物等、より好ましくは(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマーとジメチコンとの混合物が例示される。
【0014】
このように、本発明では、各種乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーを使用でき、これらの混合物における各成分の混合比率は制限されない。本発明を制限するものではないが、例えば、(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマーとジメチコンとの混合物を例に挙げて説明すると、(ジメチコン/(PEG−10/15)クロスポリマーとジメチコンとの混合比率(質量比)が1:2.5〜1:3.5の混合物等が好ましく例示される。また、本発明を制限するものではないが、該混合物に含まれるジメチコンは25℃で粘度4〜8mm
2/s等が好ましく例示される。ここで粘度は、医薬部外品原料規格2006 粘度測定法、第1法に規定する方法に準じた手順で測定される。但し、改良オストワルド型毛細管粘度計を用い、25℃で測定する。
【0015】
乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーは、例えば、KSG−210、KSG−240、KSG−310、KSG−320、KSG−330、KSG−340、KSG−320Z、KSG−350Z、KSG−360Z、KSG−380Z、KSG−710、KSG−810、KSG−820、KSG−830、KSG−840、KSG−820Z、KSG−850Z(いずれも信越化学工業株式会社製)等として市販されている。
【0016】
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
本発明の組成物中、乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーの含有量は2.5〜4質量%であり、好ましくは2.8〜3.8質量%が例示される。
【0018】
前記構成(A)の通り、本発明の組成物は、非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーを含有する。非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーは、本分野において公知であり、例えば、次のシリコーンゲル、すなわち、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとジメチコンとの混合物、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとシクロペンタシロキサンとの混合物、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとメチルトリメチコンとの混合物、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマーとジフェニルシロキシフェニルトリメチコンとの混合物、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとミネラルオイルとの混合物、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとイソドデカンとの混合物、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとトリエチルヘキサノインとの混合物、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとスクワランとの混合物、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコン)クロスポリマーとイソドデカンとの混合物、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコン)クロスポリマーとシクロペンタシロキサンとの混合物、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコン)クロスポリマーとジメチコンとの混合物、(ジビニルジメチコン/ジメチコン)クロスポリマーとジメチコンとの混合物等が例示される。
【0019】
本発明を制限するものではないが、非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーとして、好ましくは(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとジメチコンとの混合物、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとシクロペンタシロキサンとの混合物等が例示され、より好ましくは(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとジメチコンとの混合物が例示される。
【0020】
このように、本発明では、各種非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーを使用でき、これらの混合物における各成分の混合比率は制限されない。本発明を制限するものではないが、例えば、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとジメチコンとの混合物を例に挙げて説明すると、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとジメチコンとの混合比率(質量比)が1:2.5〜1:3.5の混合物等が好ましく例示される。また、本発明を制限するものではないが、該混合物に含まれるジメチコンは25℃で粘度4〜8mm
2/s等が好ましく例示される。粘度は前述と同様にして測定される。
【0021】
非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーは、例えば、KSG−16、KSG−15、KSG−1510、KSG−1610、KSG−106、KSG−18A、KSG−41A、KSG−42A、KSG−43、KSG−44、KSG−042Z、KSG−045Z、KSG−048Z(いずれも信越化学工業株式会社製)、BELSIL EG5、BELSIL EG6000(いずれも旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)等として市販されている。
【0022】
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
本発明の組成物中、非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーの含有量は0.5〜1.5質量%であり、好ましくは0.7〜1.3質量%が例示される。
【0024】
前記構成(A)の通り、本発明の組成物は、シリコーン油を含有する。シリコーン油は、本分野において公知であり、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジシロキサン、トリシロキサン、メチルトリメチコン等が例示される。
【0025】
本発明を制限するものではないが、シリコーン油として、好ましくはジメチコン、シクロペンタシロキサン等が例示される。
【0026】
また、ジメチコンとして様々な粘度を有するジメチコンが知られており、本発明を制限するものではないが、ジメチコンとして、好ましくは25℃での粘度が4〜8mm
2/sにあるジメチコンが例示される。この他のシリコーン油についても同様に説明される。粘度は前述と同様にして測定される。
【0027】
シリコーン油は、例えばKF−96A−6csをはじめとするKF−96シリーズ、KF−995、KF−53、KF−54、KF−56A、TMF−1.5、KF−9008、KF−9011、KF−9013、KF−9014、X−21−5495、KF−9028(いずれも信越化学工業株式会社製)、BELSIL DMシリーズ(旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)等として市販されている。
【0028】
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
本発明の組成物中、シリコーン油の含有量は制限されず、後述の通り、乳化性部分架橋型シリコーンエラストマー、非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマー及びシリコーン油の合計量が12〜14質量%を充足する範囲において適宜設定すればよい。この限りにおいて制限されないが、本発明の組成物中、シリコーン油の含有量は、好ましくは6.5〜11質量%が例示される。
【0030】
本発明の組成物中、乳化性部分架橋型シリコーンエラストマー、非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマー及びシリコーン油の合計量が12〜14質量%であり、好ましくは12〜13質量%が例示される。
【0031】
前記構成(B)の通り、本発明の組成物は、1,3−ブチレングリコール及びグリセリンを含む2種以上の多価アルコールを含有する。
【0032】
このように、本発明の組成物は、多価アルコールとして1,3−ブチレングリコールとグリセリンとを少なくとも含有する。また、本発明の組成物はこれら以外の多価アルコールを含んでいてもよく、これら以外の多価アルコールとしては、本発明の効果が得られる限り制限されないが、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプロピレングリコール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、グルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が例示される。ここで、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールは、分子量が200〜20,000のものが例示される。本発明を制限するものではないが、1,3−ブチレングリコール及びグリセリン以外の多価アルコールとして、より好ましくはプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールが例示され、更に好ましくはジプロピレングリコールが例示される。
【0033】
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
本発明の組成物中、1,3−ブチレングリコール及びグリセリンを含む2種以上の多価アルコールの含有量は総量で7〜9質量%であり、好ましくは7.2〜8.8質量%が例示される。
【0035】
前記構成(C)の通り、本発明の組成物は、無機塩を含有する。無機塩としては、本発明と制限するものではないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等が例示され、好ましくは塩化ナトリウム等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
前記構成(C)の通り、本発明の組成物は、分子量50〜300且つ炭素数1〜8の有機酸塩を含有する。分子量50〜300且つ炭素数1〜8の有機酸塩は、この限りにおいて制限されないが、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が例示され、好ましくはクエン酸ナトリウムが例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
また、前記構成(C)の通り、本発明の組成物において、無機塩及び分子量50〜300且つ炭素数1〜8の有機酸塩の合計量は0.6〜0.8質量%である。
【0038】
本発明の組成物は更に水を含有する。水の含有量は制限されないが、本発明の組成物中、好ましくは73.3〜80.4質量%、より好ましくは75〜80質量%が例示される。
【0039】
本発明の組成物は、必要に応じて、薬学的または香粧学に許容可能な任意の他の成分を含有してもよい。他の成分は、本発明の効果を妨げない限り制限されないが、保湿剤、美白剤、抗炎症剤、清涼化剤、忌避成分、香料、着色料、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、安定化剤、酸化防止剤、防腐剤、pH調整剤、界面活性剤等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。任意の他の成分の含有量も、本発明の効果を妨げない限り、適宜決定すればよい。
【0040】
本発明を制限するものではないが、保湿剤として、ヒアルロン酸、そのナトリウム塩等のムコ多糖、プルラン、ポリクオタニウム−51等のポリクオタニウム、水溶性コラーゲン、アミノ酸、その塩、ビタミン、セラミド、コレステロール等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明を制限するものではないが、本発明の組成物が保湿剤を含有する場合、組成物中の保湿剤の含有量として1.5質量%以下、好ましくは0.1〜1質量%が例示される。
【0041】
本発明の組成物は、本分野において従来公知の方法に従い製造することができる。本発明の組成物は、乳化性部分架橋型シリコーンエラストマー、非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマー、シリコーン油を混合し、また、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、無機塩、分子量50〜300且つ炭素数1〜8の有機酸塩を混合し、また、水、必要に応じて1,3−ブチレングリコール及びグリセリン以外の多価アルコール、任意の他の成分を混合することにより製造することができる。
【0042】
本発明の組成物の製造方法の一例として、本発明を制限するものではないが、乳化性部分架橋型シリコーンエラストマー、非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマー、シリコーン油を混合して油相部を得て、また、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、無機塩、分子量50〜300且つ炭素数1〜8の有機酸塩及び水を混合して水相部を得て、得られた油相部と水相部とを混合することにより製造することができる。この際、必要に応じて1,3−ブチレングリコール及びグリセリン以外の多価アルコールを水相部に混合し、また、必要に応じて、任意の他の成分をその性質に応じて油相部及び/または水相部に混合することにより、本発明の組成物を製造することができる。
【0043】
また、本発明の組成物の製造方法の一例として、本発明を制限するものではないが、乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーと非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーとを別々にシリコーン油と混合し、得られた2種の混合物を混合して油相部を得て、別途、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、無機塩、分子量50〜300且つ炭素数1〜8の有機酸塩、水、任意の他の成分を混合して得た水相部と油相部とを混合することにより、本発明の組成物を製造することができる。
【0044】
本発明の組成物は、皮膚に対して外用形態で適用して使用される。このことから、本発明の組成物は、皮膚外用油中水型エマルション組成物と称することもできる。
【0045】
本発明の組成物の形態は、このように皮膚に適用できる限り制限されず、例えば、ペースト状、乳液状、ゲル状、クリーム状、軟膏状等の各種所望の形態が例示される。これらの形態は、当業界の通常の方法に従って調製される。
【0046】
本発明の組成物は、この限りにおいて制限されないが、好ましくは、30℃での粘度が20000mPa・s以上(VISCOMETER TVB−10(東機産業社製)、測定条件:M4,12rpm)であるものが例示され、より好ましくは20000〜50000mPa・sが例示される。
【0047】
本発明の組成物の用途も制限されず、化粧水、乳液、美容液、クリーム、パック、日焼け止め剤、化粧下地、マッサージクリームをはじめとする基礎化粧料等の外用化粧料、外用医薬部外品、外用医薬品等が例示される。
【0048】
本発明の組成物は、皮膚に適用することによって使用される。本発明の組成物を皮膚に適用する量や回数は、特に制限されない。例えば、配合される成分の種類や濃度、使用者の年齢、性別、症状の程度、適用形態、期待される程度などに応じて、1日に1回または数回の頻度で適当量を、全身の皮膚や所望の皮膚に部分的に適用すればよい。
【0049】
本発明の組成物によれば、皮膚への塗布時に生じるエマルションの瞬間的な崩壊により、エマルションから皮膚へ水分を放出することができる。また、本発明の組成物が保湿剤や美白剤といった任意の他の成分を含有する場合には、エマルションの崩壊と共に、該他の成分も皮膚へ放出することができる。特に、該他の成分が水相部に含有されている場合、該他の成分を水と共に皮膚へ効果的に放出することができる。
【0050】
また、本発明の組成物は、高温(45℃)での粘度、比重及び外観の安定性、また、低温(0℃)での粘度、比重及び外観の安定性に優れる。
【0051】
なお、粘度、比重及び外観は、次の手順に基づき評価する。
高温安定性:ガラススクリュー瓶(50mL)に、約9割の容量になるように約45gの組成物を入れ、スクリューキャップで封をして密閉する。このように密閉したガラススクリュー瓶を、45℃に設定した恒温室(インキュベータ MIR−253、三洋電機バイオメディカ社製)に入れ、3ヶ月間静置保管後、組成物の粘度、比重、外観に異常がないかどうかについて観察、評価する。
【0052】
粘度:3ヶ月間保管後、組成物を入れたガラススクリュー瓶を、30℃に設定した恒温室内で8時間静置する。恒温室からガラススクリュー瓶を取りだし、瓶に入れたまま、組成物の粘度をVISCOMETER TVB−10(東機産業社製)にて測定条件:M4,12rpm、30℃)で速やかに測定し、粘度規格28000〜40000mPa・sの場合に異常なし、該粘度規格外の数値の場合に異常ありとする。
【0053】
比重:同様に30℃に設定した恒温室内で8時間静置後、比重をPTFEピクノメーター(25cc、アズワン社製)にて測定し(JIS K0061:2001に従う)、比重規格0.98〜1.03の場合に異常なし、該比重規格外の数値の場合に異常ありとする。
【0054】
外観:同様に30℃に設定した恒温室内で8時間静置後、外観を専門パネラー目視により評価し、組成物が相分離せず保存前の均一な状態維持している場合に異常なし、相分離が認められた場合に異常ありとする。
○:粘度、比重、外観のいずれにも異常がない(これを高温で粘度、比重及び外観の安定性に優れると評価する)。
△:外観に異常はないが、粘度及び/または比重に異常がある。
×:粘度、比重、外観の全てに異常がある。
【0055】
低温安定性:前述と同様にして密閉したガラススクリュー瓶を、0℃に設定した恒温室(インキュベータ MIR−253、三洋電機バイオメディカ社製)に入れ、3ヶ月間静置保管後、前述と同様にして30℃に設定した恒温室内で8時間静置し、その後、組成物の粘度、比重、外観に異常がないかどうかについて、前記高温安定性と同様にして観察、評価する。前記高温安定性と同様に、粘度、比重、外観のいずれにも異常がないもの(○)を、低温で粘度、比重及び外観の安定性に優れると評価する。
【実施例】
【0056】
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
試験例1
組成物の調製
表1及び2に従い各成分を混合し、実施例1〜4及び比較例1〜26の油中水型エマルション組成物を調製した。具体的には、室温(30℃)で、表に示す油相部の成分を混合して油相部の混合物を調製し、これとは別に、表に示す水相部の成分を混合して水相部の混合物を調製し、次いで、油相部の混合物と水相部の混合物とを混合して、均一になるまで撹拌し、各組成物を調製した。
【0057】
評価手順
調製した各組成物について、次の手順に従って、水吐き力、45℃での安定性(高温安定性)、0℃での安定性(低温安定性)を評価した。
・水吐き力:組成物0.2gを片方の手の甲に取り、人差し指で半径約1cmの円を描くように組成物を塗り広げた際の水吐きの速さと量に基づき評価した。評価は、官能評価の専門パネラー5名により、次の基準に従い行った。まず、本試験例で調製した比較例22の組成物を甲に取り、塗り広げたところ、10周以上塗り広げても十分な水分が放出されなかった。そこで、比較例22の組成物で得られた結果を基準にして、次のように評価を行った。
1点:比較例22の組成物と同じく、10周以上塗り広げても十分な水分が吐き出されない、または水分が吐き出されない。
2点:塗り広げた際、4〜9周以内に多量の水分が吐き出される。
3点:塗り広げた際、3周以内に多量の水分が吐き出される。
【0058】
パネラーの合計点から求めた平均値が、1以上1.6未満の場合を×、1.6以上2.6未満の場合を△、2.6以上〜3の場合を○とした。なお、比較例22の組成物の評価結果は×である。
【0059】
・高温安定性:ガラススクリュー瓶(50mL)に、約9割の容量になるように約45gの組成物を入れ、スクリューキャップで封をして密閉した。このように密閉したガラススクリュー瓶を、45℃に設定した恒温室(インキュベータ MIR−253、三洋電機バイオメディカ社製)に入れ、3ヶ月間静置保管後、組成物の粘度、比重、外観に異常がないかどうかについて、以下の通り観察、評価した。保存中、湿度の管理は行っていないが過度な状態(相対湿度40〜70%以外)での保存は行っていない。
【0060】
粘度:3ヶ月間保管後、組成物を入れたガラススクリュー瓶を、30℃に設定した恒温室内で8時間静置した。恒温室からガラススクリュー瓶を取りだし、瓶に入れたまま、組成物の粘度をVISCOMETER TVB−10(東機産業社製)にて測定条件:M4,12rpm、30℃)で速やかに測定し、粘度規格28000〜40000mPa・sの場合に異常なし、該粘度規格外の数値の場合に異常ありとした。
【0061】
比重:同様に30℃に設定した恒温室内で8時間静置後、比重をPTFEピクノメーター(25cc、アズワン社製)にて測定し(JIS K0061:2001に従う)、比重規格0.98〜1.03の場合に異常なし、該比重規格外の数値の場合に異常ありとした。
【0062】
外観:同様に30℃に設定した恒温室内で8時間静置後、外観を専門パネラーが目視により評価し、組成物が相分離せず保存前の均一な状態維持している場合に異常なし、相分離が認められた場合に異常ありとした。
○:粘度、比重、外観のいずれにも異常がない(これを高温で粘度、比重及び外観の安定性に優れると評価した)。
△:外観に異常はないが、粘度及び/または比重に異常がある。
×:粘度、比重、外観の全てに異常がある。
【0063】
・低温安定性:前述と同様にして密閉したガラススクリュー瓶を、0℃に設定した恒温室(インキュベータ MIR−253、三洋電機バイオメディカ社製)に入れ、3ヶ月間静置保管後、前述と同様にして30℃に設定した恒温室内で8時間静置し、その後、組成物の粘度、比重、外観に異常がないかどうかについて、前記高温安定性と同様にして観察、評価した。
【0064】
結果
結果を表1及び2に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
表1から明らかなように、実施例1〜4の組成物は、水吐き力、高温安定性、低温安定性のいずれにおいても評価が○であり、水の湧き出る油中水型エマルション組成物として優れていた。このことから、実施例1〜4の組成物は、皮膚への適用時に生じるエマルションの崩壊により、速やかに組成物から皮膚へ十分な水分を放出できる、所謂ウォーター−ドロップクイックブレイクタイプとして非常に好ましく使用できることが分かった。なお、実施例1〜4の組成物はいずれも、半透明〜白色の高い粘性を有する固体のゲル状であり、前記45℃での保管前の粘度(30℃)は20000〜50000mPa・s(VISCOMETER TVB−10(東機産業社製)、測定条件:M4,12rpm)であった。
【0068】
これに対して、実施例1〜4の組成物において更に非架橋型シリコーン乳化剤を含有する比較例1〜4の組成物は、水吐き力または高温安定性の点で評価結果が△または×であり、実施例1〜4の組成物と比較して、水の湧き出る油中水型エマルション組成物として劣っていた。
【0069】
また、表2から明らかなように、実施例1〜3の組成物において、有機酸塩や無機塩の含有量を変えた比較例5〜7や、実施例1〜4の組成物において、更に非架橋型シリコーン乳化剤を含有し、多価アルコールの種類や含有量、また、乳化性部分架橋型シリコーンエラストマーの含有量を変えた場合も、水吐き力または高温安定性の点で評価結果が△または×であり、実施例1〜4の組成物と比較して、水の湧き出る油中水型エマルション組成物として劣っていた。
【0070】
試験例2
組成物の調製
表3に従い各成分を混合し、実施例5〜10の油中水型エマルション組成物を調製した。具体的には、室温(30℃)で、油相部の成分を混合して油相部の混合物を調製し、これとは別に水相部の成分を混合して水相部の混合物を調製し、次いで、油相部の混合物と水相部の混合物とを混合して、均一になるまで撹拌し、各組成物を調製した。
【0071】
評価手順
調製した各組成物について、次の手順に従って、保湿感を評価した。
・保湿感:組成物0.2gを片方の手の甲に取り、人差し指で半径約1cmの円を描くように組成物を塗布後、べたつきすぎず適度なしっとり感が得られるかどうかについて、次の基準に従い評価した。
3点:べたつかず、しっとり感を感じる。
2点:どちらかといえば、しっとり感が得られる。
1点:べたつきを強く感じる、もしくはしっとり感を感じない
パネラーの合計点から求めた平均値が、1以上1.6未満の場合を×、1.6以上2.6未満の場合を△、2.6以上〜3の場合を○とした。
【0072】
結果
結果を表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】
表3から明らかなように、従来、保湿剤として公知のプルラン、ポリクオタニウム−51、水溶性コラーゲン、ヒアルロン酸、アミノ酸を含有した実施例6〜10では、これらの保湿剤を含有していない実施例5よりも、保湿感の点で優れていた。このことから、実施例5〜10、また、前記試験例1の実施例1〜4の油中水型エマルション組成物によれば、使用目的に応じた有用成分を更に添加することにより、該有用成分が本来有する有用効果(例えば、保湿剤による保湿効果)を得ることができることが分かった。なお、実施例5〜10の組成物も、水吐き力、高温安定性、低温安定性のいずれにおいても、前記実施例1と同様に、評価が○であり、水の湧き出る油中水型エマルション組成物として優れていた。
【解決手段】構成A〜Cを有する油中水型エマルション組成物、構成A:非架橋型シリコーン乳化剤を含まず、組成物中、2.5〜4質量%の乳化性部分架橋型シリコーンエラストマー、0.5〜1.5質量%の非乳化性部分架橋型シリコーンエラストマー、及びシリコーン油を含有し、これらの合計量が12〜14質量%である、構成B:1,3−ブチレングリコール及びグリセリンを含む2種以上の多価アルコールを含有し、組成物中、多価アルコールの含有量が7〜9質量%である、構成C:無機塩及び分子量50〜300且つ炭素数1〜8の有機酸塩を含有し、組成物中、これらの合計量が0.6〜0.8質量%である。