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特許6460557配信システム、配信サーバ、配信方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6460557
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】配信システム、配信サーバ、配信方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/08 20120101AFI20190121BHJP
   H04N 21/472 20110101ALI20190121BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   G06Q30/08
   H04N21/472
   G06F13/00 650B
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-137683(P2018-137683)
(22)【出願日】2018年7月23日
【審査請求日】2018年7月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506143492
【氏名又は名称】クックパッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100167667
【弁理士】
【氏名又は名称】安高 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100210815
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 聡子
(72)【発明者】
【氏名】新里 千晶
【審査官】 冨田 高史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−211195(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0188629(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0257997(US,A1)
【文献】 特開2018−093498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 30/00 − 30/08
G06F 13/00
H04N 21/00 − 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザがコンテンツを視聴するユーザ端末と、前記コンテンツに連動して表示される表示コメントを配信する配信サーバと、前記コンテンツの制作者が使用する制作者端末と、を備える配信システムであって、
前記ユーザ端末は、
前記コンテンツに対するコメントの入力を受け付けるコメント入力部と、
前記コメントに対する入札額を受け付けるコメント入札部と、
前記入力されたコメントおよび前記入札額を含むコメント入札データを前記配信サーバに送信する送信部と、を含み、
前記配信サーバは、
前記コメント入札データを受信するコメント受信部と、
前記受信したコメント入札データのうち、前記入札額が所定の条件を満たすコメント入札データを選択するコメント選択部と、
前記選択されたコメント入札データの中から前記表示コメントを配信するコメント配信部と、を含み、
前記コメント選択部は、前記選択したコメント入札データを前記制作者端末に送信し、
前記コメント配信部は、前記制作者端末によって指定されたコメント入札データを前記表示コメントとして配信する、配信システム。
【請求項2】
前記配信サーバは、前記制作者端末によって指定されたコメント入札データを送信したユーザ端末に、入札確認の通知および決済処理を行う決済部をさらに含む、請求項に記載の配信システム。
【請求項3】
前記コメント配信部は、前記入札確認によって前記ユーザが承諾した後、前記表示コメントを配信する、請求項に記載の配信システム。
【請求項4】
前記コメント入札部は、前記ユーザが購入したポイントによる指定額を前記入札額として受け付け、
前記決済部は、前記入札確認によって前記ユーザが承諾した後に、前記ポイントによる決済処理を行う、請求項に記載の配信システム。
【請求項5】
前記表示コメントは、前記コメントおよび前記入札額を少なくとも含む、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の配信システム。
【請求項6】
前記表示コメントは、前記コンテンツに重畳表示される、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の配信システム。
【請求項7】
前記配信サーバは、現在の前記入札額を配信する入札額配信部をさらに含み、
前記ユーザ端末は、前記現在の入札額を表示する入札額表示部をさらに含む、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の配信システム。
【請求項8】
コンテンツに連動して表示される表示コメントを配信する配信サーバであって、
ユーザ端末から、前記コンテンツに対するコメントおよび入札額を含むコメント入札データを受信するコメント受信部と、
前記受信したコメント入札データのうち、前記入札額が所定の条件を満たすコメント入札データを選択するコメント選択部と、
前記選択されたコメント入札データの中から前記表示コメントを配信するコメント配信部と、を備え、
前記コメント選択部は、前記選択したコメント入札データを前記コンテンツの制作者が使用する制作者端末に送信し、
前記コメント配信部は、前記制作者端末によって指定されたコメント入札データを前記表示コメントとして配信する、配信サーバ。
【請求項9】
コンテンツに連動して表示される表示コメントを配信する配信方法であって、
ユーザ端末から、前記コンテンツに対するコメントおよび入札額を含むコメント入札データを受信するステップと、
前記受信したコメント入札データのうち、前記入札額が所定の条件を満たすコメント入札データを選択するステップと、
前記選択したコメント入札データを前記コンテンツの制作者が使用する制作者端末に送信するステップと、
前記選択されたコメント入札データの中から前記制作者端末によって指定されたコメント入札データを前記表示コメントとして配信するステップと、
を含む、配信方法。
【請求項10】
請求項に記載の配信方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配信システム、配信サーバ、配信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザ端末において視聴されるコンテンツと連動させ、ユーザ端末から入力されたコメントをコンテンツ画面と共に表示して複数のユーザ端末間で共有させる技術が存在する。また、近年では、コンテンツに対するユーザ端末からのコメントにより、コンテンツの演出を決定するサービスが提供されている。例えば、特許文献1には、ステージの配信ライブ映像に対するコメントの入力をネットワーク上のユーザ端末から受け付け、そのコメントによって、ステージ上の演出を制御する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−037670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるようなサービスにおいて、ユーザ端末から送信される大量のコメント全てをライブコンテンツの演出に反映させることは困難である。例えば、ライブコンテンツの出演者がユーザ端末から送信された大量のコメント全てを読み、対応することは難しい。
【0005】
また、コメント数を低減させるために、コメント送信を有料にした場合であっても、有料ユーザが多くいれば、送信されたコメント全てをライブコンテンツの出演者に把握させることは容易ではない。さらに、出演者にコメントを読んでもらいたいユーザには、支払いに見合う結果が得られなかったという不満感が募る。
【0006】
そこで、本開示は、このような事情に鑑み、コンテンツに連動して表示されるコメントを入札額によって表示制御することができる配信システム、配信サーバ、配信方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示に係る配信システムは、ユーザがコンテンツを視聴するユーザ端末と、コンテンツに連動して表示される表示コメントを配信する配信サーバと、コンテンツの制作者が使用する制作者端末と、を備える配信システムであって、ユーザ端末は、コンテンツに対するコメントの入力を受け付けるコメント入力部と、コメントに対する入札額を受け付けるコメント入札部と、入力されたコメントおよび入札額を含むコメント入札データを配信サーバに送信する送信部と、を含み、配信サーバは、コメント入札データを受信するコメント受信部と、受信したコメント入札データのうち、入札額が所定の条件を満たすコメント入札データを選択するコメント選択部と、選択されたコメント入札データの中から表示コメントを配信するコメント配信部と、を含み、コメント選択部は、選択したコメント入札データを制作者端末に送信し、コメント配信部は、制作者端末によって指定されたコメント入札データを表示コメントとして配信する
【0008】
また、上記目的を達成するため、本開示に係る配信サーバは、コンテンツに連動して表示される表示コメントを配信する配信サーバであって、ユーザ端末から、コンテンツに対するコメントおよび入札額を含むコメント入札データを受信するコメント受信部と、受信したコメント入札データのうち、入札額が所定の条件を満たすコメント入札データを選択するコメント選択部と、選択されたコメント入札データの中から表示コメントを配信するコメント配信部と、を備え、コメント選択部は、選択したコメント入札データをコンテンツの制作者が使用する制作者端末に送信し、コメント配信部は、制作者端末によって指定されたコメント入札データを表示コメントとして配信する
【0009】
また、上記目的を達成するため、本開示に係る配信方法は、コンテンツに連動して表示される表示コメントを配信する配信方法であって、ユーザ端末から、コンテンツに対するコメントおよび入札額を含むコメント入札データを受信するステップと、受信したコメント入札データのうち、入札額が所定の条件を満たすコメント入札データを選択するステップと、選択したコメント入札データをコンテンツの制作者が使用する制作者端末に送信するステップと、選択されたコメント入札データの中から制作者端末によって指定されたコメント入札データを表示コメントとして配信するステップと、を含む。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本開示に係る配信プログラムは、上述の配信方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、コンテンツに連動して表示されるコメントを入札額によって表示制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】配信システム1の構成図である。
図2】ユーザ端末400に表示されるコメント入札中の画面例を示す図である。
図3】ユーザ端末400に表示されるコメントの画面例を示す図である。
図4】配信システム1の処理の流れを示すシーケンス図である。
図5】コメント配信サーバ200のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。
【0014】
<実施の形態>
図1は、配信システム1の構成図である。図1を参照して、配信システム1の概要および構成について説明する。
【0015】
<配信システム1の概要>
本実施形態に係る配信システム1は、コンテンツに連動して表示されるコメントを入札額によって表示制御するシステムである。表示されるコメントは、例えば、ライブコンテンツの出演者に対しユーザからの質問や、感想である。
【0016】
ユーザとコミュニケーションを取りながら番組を進行するようなライブコンテンツは、番組を収録する時間が限られるため、ユーザから送信される大量のコメント全てについて、出演者が番組中に応えることは困難であるという課題がある。そこで、本実施形態に係る配信システム1では、ユーザのコメントを入札制にし、入札額に基づいて出演者に読ませるコメントを選択する。これにより、コメント数を絞ることができるので、限られた時間であっても出演者はユーザからの質問などのコメントに応じることができる。
【0017】
また、ユーザは、出演者へのコメントに対して、自身の希望に沿って入札額を設定するので、出演者にコメントを読ませることができなかったとしても、支払いに対する不満感をユーザに持たせないようにすることができる。
【0018】
<配信システム1の構成>
配信システム1は、コンテンツ配信サーバ100と、コメント配信サーバ200と、制作者端末300と、複数のユーザ端末400(ユーザ端末400−1,ユーザ端末400−2,…,ユーザ端末400−N、ただしNは自然数)と、を備え、ネットワークNWを介して通信可能に接続される。ネットワークNWは、WAN(World Area Network)、LAN(Local Area Network)等から構成される。なお、ユーザ端末400―Nは、同様の構成であるため、特に区別しない場合には、ユーザ端末400として説明する。
【0019】
コンテンツ配信サーバ100は、ユーザ端末400によって視聴されるコンテンツを配信するサーバ装置であって、コンテンツ生成部110と、コンテンツ配信部120とを備える。
【0020】
コンテンツ生成部110は、キッチンスタジオSに設置されたカメラ11が撮影した映像に基づいてライブコンテンツ(番組)を生成する。キッチンスタジオSにおいて、番組の出演者であるタレントTは出演者端末10を見ながら調理を行う。なお、コンテンツ生成部110が生成するコンテンツは、本実施形態のような料理コンテンツに限られない。
【0021】
出演者端末10は、タレントTが番組の進行などを確認するために使用する端末であって、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯端末、PC(Personal Computer)等の情報処理端末である。出演者端末10には、コメント配信サーバ200から配信されたコメントが表示される。また、出演者端末10には、後述するコンテンツ配信部120が配信したコンテンツや、コンテンツの制作者からの番組進行等に関する指示、調理に関するレシピなどが表示されてもよい。なお、出演者端末10は、ユーザ端末400と同様の構成であってもよい。
【0022】
コンテンツ配信部120は、コンテンツ生成部110が生成したコンテンツを、ネットワークNWを介して、ユーザ端末400等に配信する。
【0023】
コメント配信サーバ200は、ユーザ端末400から送信されたコメントを入札額に基づいて選択し、ユーザ端末400や出演者端末10に配信するサーバ装置である。詳細は後述する。
【0024】
制作者端末300は、コンテンツの制作者が使用する端末であって、例えば、PC等の情報処理端末である。制作者端末300は、コメント配信サーバ200が入札額に基づいて選択したコメントの中から、コンテンツの制作上、好ましいコメントを指定する。これは、以下のような理由に基づく。
【0025】
すなわち、コメント配信サーバ200は、入札額に基づいてコメントを機械的に選択するため、例えば、出演者のタレントTに対し、番組の内容と関係のないコメント(プライベートな質問など。)を選択する場合がある。このようなコメントを配信することは、コンテンツの制作上好ましくない。このため、コンテンツの制作者は、制作者端末300を介して、コメント配信サーバ200によって選択されたコメントの中から、タレントTに対する質問のコメントとして相応しいものを指定する。当該指定に応じて、コメント配信サーバ200は、制作者端末300によって指定されたコメントを配信する。これにより、限られた番組時間内でも、コンテンツの制作者の意図に沿ったコメントをタレントTが閲覧する出演者端末10に表示させることができ、コンテンツの制作者は番組の演出がし易くなる。また、上述のコメントの指定において、予めコメントに含まれる言葉として好ましくない用語などを設定しておくことにより、自動的に好ましくないコメントを除くようにしてもよい。
【0026】
なお、コンテンツの制作者は、コメントの最低落札価格を設定することもできる。これにより、コンテンツの出演者の人気などに基づいて最低料金を設定することができ、出演者の人気に合わせた価格帯でサービスを提供することが可能である。
【0027】
ユーザ端末400は、ユーザがコンテンツを視聴し、コンテンツに対するコメントや入札額を入力する端末であって、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯端末や、PC等の情報処理端末である。ユーザ端末400は、汎用端末に、配信アプリケーションをインストールして実現することができる。
【0028】
ユーザ端末400は、通信部410と、入力部420と、表示部430と、を備える。
【0029】
通信部410は、コンテンツ配信サーバ100から配信されるコンテンツや、コメント配信サーバ200から配信されるコメントを受信する。また、後述するコメント入力部421やコメント入札部422により受け付けられたコメントおよび入札額を含むコメント入札データをコメント配信サーバ200に送信する送信部としても機能する。
【0030】
入力部420は、例えば、タッチパネルやキーボード、音声入力のためのマイクなど、ユーザからの入力を受け付ける入力インターフェイスであり、コメント入力部421と、コメント入札部422とを含む。
【0031】
コメント入力部421は、コンテンツ配信サーバ100により配信されるコンテンツに対するユーザからのコメントを受け付ける。
【0032】
コメント入札部422は、上述のコメントに対する入札額を受け付ける。コメントを番組中に取り上げてもらいたいユーザは、任意に入札額を設定することができる。すなわち、どうしてもタレントTに質問したい、コメントを読んでもらいたい、というユーザは、高額の入札額を設定するなど、ユーザの希望に沿った料金設定が可能である。なお、本実施形態では、コメントの入札は、ユーザが配信システムの運営者などから事前に購入したポイントによって行われ、ポイントの指定額を入札額とする。
【0033】
表示部430は、通信部410が受信したコンテンツとコメントとを連動させて表示する。また、コメントに対する現在の入札額を表示する入札額表示部としても機能する。現在の入札額とは、例えば、コメント配信サーバ200が受け付けた入札額のうち最高値のものである。
【0034】
ユーザは、現在の入札額を参考にして、自身の入札額を設定することができる。上述のように、ユーザからのコメントは、最終的には、コンテンツの制作者によって指定されるため、例えば、入札額が最高値であったからといって、必ずしも番組中に取り上げられるとは限らない。したがって、ユーザは、現在の入札額を参考にしながらも、コメントの内容や、自身が保有する購入ポイントなどのバランスを考えてコメントを送信することができる。これにより、ユーザは単にコメントを送信するだけでなく、コメントが採用されるか否かというようなゲーム感覚を味わうことができ、コメント送信にエンターテイメント性を持たせることが可能である。
【0035】
図2は、ユーザ端末400の表示部430に表示されるコメント入札中の画面例を示す図である。表示領域20には、コンテンツ21と、入力領域22および入札額表示領域24とが重畳表示されている。
【0036】
入力領域22には、入力部420を介してユーザからのコメントや入札額が入力される。コメントや入札額を含むコメント入札データは、送信ボタン23を選択することによって、コメント配信サーバ200に送信される。
【0037】
また、入札額表示領域24は、現在の入札額を表示する。現在の入札額とは、例えば、コメント配信サーバ200が現在までに受け付けたコメント入札データに含まれる入札額のうち、最高値の入札額である。ユーザは、入札額表示領域24に表示された入札額を参考にして、自分の入札額を設定することができる。
【0038】
図3は、ユーザ端末400の表示部430に表示されるコメントの画面例を示す図である。表示領域20には、コンテンツ配信サーバ100から配信される動画などのコンテンツ21と、コメント配信サーバ200によって配信された表示コメント25とが重畳表示されている。コンテンツ21と表示コメント25とを重ねて表示させることで、携帯端末の小さなディスプレイの表示領域を有効に活用することができる。また、重ねて表示させることにより、ユーザは視線を変えることなくコンテンツ21と表示コメント25とを同時に見ることができ、コンテンツ21の視聴に集中することができる。
【0039】
表示コメント25は、コメント26および入札額27を含む。ただし、表示コメント25として、コメント26のみ表示するようにしてもよい。表示コメント25には、ユーザを示すアイコンやユーザ名、ユーザIDなどを含めてもよい。
【0040】
また、表示コメント25は、例えば、コンテンツ21に重ねて、コメント配信サーバ200がコメントを受け付けた順に、画面の下から上へ流れるように時間軸に沿って移動しながら表示され、所定時間以上表示または、所定の場所まで移動すると消えるようにしてもよい。なお、タレントTの顔や作業の様子がコメントで隠れるなどして、ユーザが邪魔に感じることがないように表示されればどのように表示されてもよい。また、表示コメント25を、入札額の順に表示させてもよい。
【0041】
なお、図2図3では、ディスプレイのサイズが小さなスマートフォンなどでの画面例を示したが、例えば、PCなどの大きなディスプレイでコンテンツを表示する場合は、動画などのコンテンツとコメント、入力領域が重ならないように別々の領域に表示してもよい。また、ユーザ端末400の表示部430に表示される画像と同様の画像を出演者端末10に表示させてもよい。
【0042】
<コメント配信サーバ200の構成>
図1に戻って、コメント配信サーバ200は、上述したように、複数のユーザ端末400から送信されたコメントを、入札額に基づいて選択し、ユーザ端末400や出演者端末10に配信するサーバ装置であって、通信部210と、記憶部220と、制御部230と、を備える。
【0043】
通信部210は、ネットワークNWに接続された装置と通信を行うための通信インターフェイスであって、コメント受信部211と、コメント配信部212と、入札額配信部213と、を含む。
【0044】
コメント受信部211は、ユーザ端末400から送信されたコメント入札データを受信する。受信したコメント入札データは、後述する記憶部220に送られる。コメント配信部212は、後述するコメント選択部231が選択したコメント入札データを表示コメントとして配信する。
【0045】
入札額配信部213は、後述する制御部230の制御により、コメント受信部211が受信したコメント入札データに基づいて、コメントに付けられた現在の価格(入札額)を配信する。
【0046】
なお、上述したように、コンテンツの制作者は、コメントの最低落札価格を設定することもできる。コンテンツ配信サーバ100により、コンテンツの配信が開始されると、入札額配信部213は、最低落札価格を現在の価格として配信してもよい。これにより、出演者の人気に合わせた価格帯で番組を提供することが可能である。
【0047】
記憶部220は、コメント受信部211が受信したコメント入札データを記憶する。
【0048】
制御部230は、コメント配信サーバ200全体を制御し、コメント選択部231と、決済部232とを含む。
【0049】
コメント選択部231は、記憶部220が記憶した、ユーザ端末400から送信されたコメント入札データの中から、入札額が所定の条件を満たすコメント入札データを選択する。所定の条件は、例えば、入札額が、ある閾値以上や、最高値のものなど、コンテンツの制作者が任意に設定することができる。
【0050】
また、コメント選択部231は、選択したコメント入札データを制作者端末300に送信するよう通信部210に指示する。上述したように、コンテンツの制作者は、制作者端末300を介して、コンテンツの制作上好ましいコメント入札データを指定する。そして、制作者端末300からの指定を通信部210が受け付けたことに応じて、コメント選択部231は、制作者端末300によって指定されたコメント入札データを表示コメントとして配信するようコメント配信部212に指示する。
【0051】
また、コメント選択部231は、後述する決済部232により行われた入札確認の後、表示コメントを配信するようコメント配信部212に指示してもよい。
【0052】
決済部232は、制作者端末300によって指定されたコメント入札データを送信したユーザ端末400に対し、入札確認の通知および決済処理を行う。すなわち、ユーザに対し、本当にコメントに対する落札を行うか否かを確認する。これは、入札の際、ユーザが操作を間違って入札額を設定していたり、競争心に煽られて高額な入札額を設定していたりする場合があり、ユーザに再確認を促すことにより、ユーザに納得して支払いを行わせるためである。
【0053】
決済部232は、入札確認によりユーザが入札を承諾した後、決済処理を行う。決済処理は、ユーザが事前にシステムの運営者等から購入したポイントで行うようにしてもよい。また、決済処理が行われると、ユーザは入札をキャンセルできないよう構成してもよい。その際、決済処理が行われると、入札のキャンセルはできない旨をユーザに通知して、入札の確認を行うようにしてもよい。
【0054】
図4は、配信システム1の処理の流れを示すシーケンス図である。図4を参照して、配信システム1における処理の流れを説明する。
【0055】
ステップS300において、ユーザ端末400は、コメントの入札に参加するためのポイントを購入する。例えば、ユーザは、ユーザ端末400を介して、配信システム1の運営者が管理するユーザ管理サーバ(不図示)にユーザアカウントを送信し、配信システム1にログインする。次いで、クレジットカード等の支払い情報を入力し、ポイントを購入する。なお、ポイントの購入は、システムにログイン後は、任意のタイミングで行うことができるようにしてもよい。
【0056】
ステップS301において、ユーザ端末400は、コンテンツ配信サーバ100に対しコンテンツの配信要求を行う。
【0057】
ステップS302において、コンテンツ配信サーバ100は、ユーザ端末400から送信されたコンテンツ配信要求に応じて、コンテンツの配信を開始する。
【0058】
ステップS303において、ユーザ端末400は、コメント配信サーバ200に対しコメントの配信要求を行う。
【0059】
ステップS304において、コメント配信サーバ200は、コメントの配信要求およびコンテンツの配信開始に応じて、コメントの受付を開始するとともに、現在の入札額を配信する。なお、配信当初は、コンテンツの制作者が設定した最低落札価格を現在の入札額として配信してよい。ユーザ端末400は、受信した現在の入札額を表示部430に表示させる。上述したように、表示コメントとして配信されるコメントは、最終的には、コンテンツの制作者が指定するので、必ずしも現在の入札額より高い必要はない。すなわち、現在の入札額より低くても、表示コメントとして指定される可能性はある。したがって、ユーザは、現在の入札額を知ることにより、これから入力するコメントに対する入札額を設定する際の参考にすることができる。
【0060】
ステップS305において、ユーザ端末400は、ユーザがコメント入力部421を介して入力したコメント、およびコメント入札部422を介して入力した入札額を受け付ける。
【0061】
ステップS306において、ユーザ端末400は、ステップS305において入力されたコメントおよび入札額を含むコメント入札データをコメント配信サーバ200に送信する。
【0062】
ステップS307において、コメント配信サーバ200は、ユーザ端末400から送信されたコメント入札データを受け付け、記憶部220に記憶させる。なお、コメント配信サーバ200は、配信システム1にログインした複数のユーザ端末400からコメント入札データを受け付ける。コメントの入札は、サーバ処理量の負荷を考慮して、回数制限を設けるなどしてもよい。
【0063】
ステップS304からステップS307の処理は、コンテンツの制作者がライブコンテンツ(番組)の進行に応じて設定したコメントの受付期間中に行われ、受付期間が終了すると、ステップS308の処理に進むようにしてもよい。また、コメント配信サーバ200がコメントを所定数以上受け付けるとコメント受付を終了し、ステップS308の処理に進むようにしてもよい。
【0064】
ステップS308において、コメント配信サーバ200は、記憶部220に記憶された複数のコメント入札データの中から、入札額が所定の条件を満たすコメント入札データを選択する。所定の条件は、例えば、入札額が所定の閾値以上や、最高値のものなど、コンテンツの制作者によって任意に設定することができる。
【0065】
ステップS309において、コメント配信サーバ200は、選択したコメント入札データを制作者端末300に送信する。
【0066】
ステップS310において、制作者端末300は、コンテンツの制作者からコメントの指定を受け付ける。コンテンツの制作者は、コメント配信サーバ200が選択したコメントのうち、コンテンツの制作上、好ましいものを選択することができる。例えば、コメント入札データに含まれるコメントがコンテンツの内容に関係するか否か、番組が配信できる残り時間などを考慮して、コメントを選択する。これにより、コンテンツの制作者は、コンテンツの出演者であるタレントTが把握できる程度にコメント数を絞ることができる。
【0067】
ステップS311において、制作者端末300は、ステップS310において指定されたコメント入札データを特定する情報をコメント配信サーバ200に送信する。
【0068】
ステップS312において、コメント配信サーバ200は、制作者によって指定されたコメント入札データを送信したユーザ端末400に対し、コメントの入札確認の通知を行う。
【0069】
ステップS313において、ユーザ端末400は、コメント配信サーバ200から送信された入札確認について応答する。例えば、ユーザは、入札を承諾するか、キャンセルするかを、ユーザ端末400を介して入力する。
【0070】
ステップS314において、ユーザ端末400は、入札確認に対する応答をコメント配信サーバ200に送信する。
【0071】
ステップS315において、コメント配信サーバ200は、ユーザ端末400から送信された応答を確認する。
【0072】
ステップS316において、コメント配信サーバ200は、ステップS315において確認した応答が、入札承諾であった場合は、承諾されたコメントの入札について決済を行う。例えば、入札承諾したユーザが保有しているポイントから、入札額のポイントを減じる処理を行う。決済処理後は、入札のキャンセルはできないように構成してもよい。
【0073】
ステップS317において、コメント配信サーバ200は、決済処理が済んだコメント入札データに含まれるコメントを表示コメントとして配信する。表示コメントの配信タイミングは、コンテンツの制作者が制御することができる。
【0074】
ステップS318において、ユーザ端末400は、コメント配信サーバ200から表示コメントを受信し、コンテンツ配信サーバ100から配信されたコンテンツとともに表示させる。
【0075】
ステップS319において、出演者端末10は、コメント配信サーバ200から表示コメントを受信し、ディスプレイに表示させる。これにより、出演者であるタレントTは、出演者端末10に表示されたコメントに対して、応えることができる。
【0076】
(ハードウェア構成図)
図5は、コメント配信サーバ200のハードウェア構成を示すブロック図である。コメント配信サーバ200は、コンピュータ401に実装される。コンピュータ401は、CPU402と、主記憶装置403と、補助記憶装置404と、インターフェイス405と、を備える。
【0077】
コメント配信サーバ200の各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置404に記憶されている。CPU402は、プログラムを補助記憶装置404から読み出して主記憶装置403に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU402は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置403に確保する。当該プログラムは、具体的には、コンピュータ401に、コンテンツに連動して表示される表示コメントを配信させるための配信プログラムである。
【0078】
なお、補助記憶装置404は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インターフェイス405を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムがネットワークを介してコンピュータ401に配信される場合、配信を受けたコンピュータ401が当該プログラムを主記憶装置403に展開し、処理を実行しても良い。
【0079】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置404に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。なお、図5に示したハードウェア構成は、出演者端末10、コンテンツ配信サーバ100、制作者端末300、およびユーザ端末400も同様の構成としてもよい。これらの装置における各構成要素の動作も、上述のコメント配信サーバ200と同様に、補助記憶装置に記憶されたプログラムに従ったCPUにより実現する。
【0080】
(効果の説明)
本実施形態に係る配信システムは、コンテンツに連動して表示されるコメントを入札額によって表示制御する。ユーザとコミュニケーションを取りながら番組を進行するような(生放送の)コンテンツは、番組を収録する時間が限られるため、ユーザから送信される大量のコメント全てについて、出演者が番組中に応えることは困難である。しかしながら、ユーザのコメントを入札制にし、コメント数を絞ることにより、限られた時間であっても出演者はユーザからのコメントに対し応えることができるようになる。
【0081】
また、ユーザは、出演者へのコメントに対して、自身の希望に沿って入札額を設定するので、出演者にコメントを読ませることができなかったとしても、支払いに対する不満感をユーザに持たせないようにすることができる。
【0082】
また、本実施形態に係る配信システムは、制作者端末が、コメント配信サーバが入札額に基づいて選択したコメント入札データの中からコンテンツの制作者の意図に沿ったコメントを指定する。これにより、限られた番組時間内でも、コンテンツの制作者の意図に沿ったコメントを出演者に提示させることができ、コンテンツの制作者は番組の演出がし易くなる。
【0083】
また、本実施形態に係る配信システムは、ユーザ端末に現在の入札価格を配信する。これにより、ユーザは、現在の入札額を参考にして、自身の入札額を設定することができる。ユーザからのコメントは、最終的には、コンテンツの制作者によって指定されるため、例えば、入札額が最高値であったからといって、必ずしも番組中に取り上げられるとは限らない。したがって、ユーザは、現在の入札額を参考にしながらも、コメントの内容や、自身が保有する購入ポイントなどのバランスを考えてコメントを送信することができる。これにより、ユーザは単にコメントを送信するだけでなく、コメントが採用されるか否かというようなゲーム感覚を味わうことができ、コメント送信にエンターテイメント性を持たせることが可能である。
【0084】
また、本実施形態に係る配信システムは、コメントの最低落札価格を設定する。これにより、コンテンツの出演者の人気などに基づいて最低料金を設定することができ、出演者の人気に合わせた価格帯でサービスを提供することが可能である。
【0085】
また、本実施形態に係る配信システムは、コンテンツとコメントとを重ねて表示させる。これにより、携帯端末等の小さなディスプレイの表示領域を有効に活用することができる。また、重ねて表示させることにより、ユーザは視線を変えることなくコンテンツとコメントとを同時に見ることができ、コンテンツの視聴に集中することができる。
【0086】
また、本実施形態に係る配信システムは、コメントの入札確認を行う。これにより、操作ミスなどの意図しない支払いを防ぐとともに、ユーザに納得感をもって支払いを行わせることができる。
【0087】
本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0088】
1 配信システム、10 出演者端末、11 カメラ、100 コンテンツ配信サーバ、110 コンテンツ生成部、120 コンテンツ配信部、200 コメント配信サーバ、210 通信部、211 コメント受信部、212 コメント配信部、213 入札額配信部、220 記憶部、230 制御部、231 コメント選択部、232 決済部、300 制作者端末、400 ユーザ端末、410 通信部、420 入力部、421 コメント入力部、422 コメント入札部、430 表示部、401 コンピュータ、402 CPU、403 主記憶装置、404 補助記憶装置、405 インターフェイス

【要約】
【課題】コンテンツに連動して表示されるコメントを入札額によって表示制御する。
【解決手段】ユーザがコンテンツを視聴するユーザ端末と、コンテンツに連動して表示される表示コメントを配信する配信サーバと、を備える配信システムであって、ユーザ端末は、コンテンツに対するコメントの入力を受け付けるコメント入力部と、コメントに対する入札額を受け付けるコメント入札部と、入力されたコメントおよび入札額を含むコメント入札データを配信サーバに送信する送信部と、を含み、配信サーバは、コメント入札データを受信するコメント受信部と、受信したコメント入札データのうち、入札額が所定の条件を満たすコメント入札データを選択するコメント選択部と、選択されたコメント入札データの中から表示コメントを配信するコメント配信部と、を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5