(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は本発明に係る車両用前照灯装置の第1の実施の形態を示し、(A)は全体断面図、(B)は(A)のフランジ部分の断面図である。
図1において、灯体モジュール100と光源モジュール200Aとは離隔しており、これらは光ファイバ300−1、300−2、300−3によって接続されている。
【0009】
灯体モジュール100は、ハウジング101、アウタレンズ102及びランプ103よりなる。さらに、ランプ103は、光軸調整(エイミング)機構1031によってハウジング101に固定された高熱伝導性の金属たとえばアルミニウム、銅よりなる支持筐体1032、支持筐体1032に固定され、光ファイバ300−1、300−2、300−3を導くスリーブ1033、支持筐体1032に固定されたフランジ1034、フランジ1034の中央部に固定された拡散部材1035、拡散部材1035上に設けられ、青色光を黄色光に変換して混色して白色光を出射する蛍光体よりなる波長変換部1036、配光制御を行うためのレンズ1037、及びエクステンション1038よりなる。
【0010】
光源モジュール200Aは、筐体201及び筐体201内に収容された3つのレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3を有する。筐体201内には、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3を冷却するためのエバポレータ203が形成されている。さらに、筐体201内の各レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3近傍には、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3近傍の筐体温度T
caseを検出する温度センサ204−1、204−2、204−3(
図2に図示)が設けられている。
【0011】
マイクロコンピュータよりなる光源制御ユニット400は光源スイッチ401のハイビーム位置信号、ロービーム位置信号もしくはオフ信号を受信してレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3を制御する。また同時に、光源制御ユニット400は温度センサ204−1、204−2、204−3の各信号を受信し、温度センサ204−1、204−2、204−3のいずれかの筐体温度T
caseが上限温度ULたとえば85℃以上の場合には、エアコン駆動要求信号REQ(=“1”)をエアコンを制御するマイクロコンピュータよりなるエアコン制御ユニット500に送出する。
【0012】
次に、
図1の光源モジュール200Aの詳細を
図2を参照して説明する。
【0013】
図2において、筐体201内には、光源制御ユニット400に電気的に接続されたソケット205−1、205−2、205−3が埋め込まれ、ソケット205−1、205−2、205−3にレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3が嵌め込められている。また、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3近傍の筐体201内に温度センサ204−1、204−2、204−3が嵌め込まれている。ここで、レーザダイオード素子
202−1、202−2、202−3は、そのパッケージ近傍にペルチェモジュール(図示せず)が配置され、レーザダイオード素子
202−1、202−2、202−3の温度制御がある程度可能な構成のものでもよい。さらに、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3をフランジ206−1、206−2、206−3で押え、ボルト207で固定する。フランジ206−1、206−2、206−3には、集光レンズ208−1、208−2、208−3及びファイバコネクタ209−1、209−2、209−3が嵌め込まれており、ファイバコネクタ209−1、209−2、209−3には光ファイバ300−1、300−2、300−3が結合されている。従って、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3は光ファイバ300−1、300−2、300−3に接続されることになる。尚、筐体201は、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の熱をエバポレータ203に逃がすために、Cu、Al等の熱伝導率の高い材料よりなる。但し、光源モジュール200Aの周囲温度は約80℃と高いので、筐体201の外側を断熱部材で覆ってもよい。
【0014】
エバポレータ203の内部には、
図2の(D)に示すように、ウィッグ203aもしくは微細な凹凸構造が設けられている。従って、エバポレータ203に流れ込んだ冷媒は断熱膨張して気化熱によりレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3が発生する熱をウィッグ203aもしくは凹凸構造により吸収して冷却する。
【0015】
次に、
図1の光源モジュール200Aが組込まれたエアコン(A/C)システム600Aを
図3を参照して説明する。尚、
図3において、上側はエンジンルームであり、下側は車室内側を示す。また、エアコンシステム600Aは、車室内の空調、すなわち温度制御を行うために車両に搭載されているものである。
【0016】
エンジンルーム側に、気液分離するアキュムレータ601、アキュムレータ601からの冷媒中の気体を圧縮液化するコンプレッサ602、コンプレッサ602からの冷媒の熱を外部へ放熱するコンデンサ603、及びコンデンサ603からの冷媒を貯留して水分、不純物を取り除くレシーバ604が設けられている。尚、冷媒としてはHFC−134a、R−134a等を用いる。
【0017】
他方、車室内側には、本来の空調室内ユニットUとして、冷媒圧力調整用のエクスパンションバルブ605、エクスパンションバルブ605を境界に冷媒を減圧して断熱膨張させ気化させるエバポレータ606、及びエバポレータ606の後方温度センサ606aが設けられている。エバポレータ606で気化した冷媒はアキュムレータ601に戻る。また、エバポレータ606の送風下流にはヒータコア607が設けられている。尚、ヒータコア607の詳細の説明については省略する(参照:特許文献2)。
【0018】
さらに、車室内側には、レシーバ604から分取した液化冷媒の冷媒圧力調整用のエクスパンションバルブ210及び光源モジュール200Aに結合したエバポレータ203が接続され、エバポレータ203はエクスパンションバルブ210を境界に冷媒を減圧して断熱膨張させ気化させる。これにより、エバポレータ203はレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3を冷却する。エバポレータ203で気化した冷媒もアキュムレータ601に戻る。
【0019】
図3において、たとえば、エバポレータ606、203〜コンプレッサ602間では、冷媒の温度は0〜25℃であり、コンプレッサ602〜コンデンサ603間では、冷媒の温度は70〜80℃であり、コンデンサ603〜エクスパンションバルブ605、210間では、冷媒の温度は55〜60℃であり、エクスパンションバルブ605、210〜エバポレータ606、203間では、冷媒の温度は0℃である。
【0020】
図3のエアコン制御ユニット500の動作を
図4のフローチャートを参照して説明する。尚、
図4のフローはエアコン制御ユニット500のリードオンリメモリもしくはフラッシュメモリに格納され、所定時間毎に実行される。
【0021】
始めに、ステップ501にて、エアコンスイッチがオンか否かを判別し、ステップ502にて、他のエアコン駆動条件がすべて成立したか否かを判別する。エアコン駆動条件は、たとえば、
加速状態でないこと、
アイドリングストップ状態でないこと、
等である。加速状態であれば、加速性能を向上させるためにエアコンをオフし、また、アイドリングストップ状態であれば、バッテリの消耗を防ぐためにエアコンをオフする。但し、エアコン駆動条件は適宜設定できる。これらのエアコン駆動条件は他の制御ユニットたとえば燃料噴射制御ユニットからの運転状態パラメータによって判別する。この結果、エアコンスイッチがオンかつ他のエアコン駆動条件がすべて成立したときのみステップ503に進み、他の場合には、ステップ504に進む。
【0022】
ステップ503では、コンプレッサ602をフィードバック制御してエバポレータ606の後方温度センサ606aの温度が設定値となるようにフィードバック制御する。
【0023】
ステップ504では、光源制御ユニット300がエアコン駆動要求信号REQ(=“1”)(いずれかのT
case≧85℃)が送出しているか否かを判別する。この結果、エアコン駆動要求信号REQ(=“1”)が送出しているときには、ステップ503に進み、コンプレッサ602を強制的にフィードバック制御する。他方、エアコン駆動要求信号REQ(=“1”)が送出されていなければステップ505に進み、コンプレッサ206をオフにする。
【0024】
ステップ506にて
図4のルーチンは終了する。
【0025】
このように、エアコン制御ユニット500は、エアコンスイッチオンかつエアコン駆動条件成立時において、エバポレータ606の後方温度センサ606aの温度が設定値となるようにコンプレッサ602をフィードバック制御する。この場合、光源モジュール200Aのレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3は、エバポレータ203の冷媒によって冷却され、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の高温化を防止できる。また、コンプレッサ602がフィードバック制御されていないエアコンスイッチオフあるいはエアコン駆動条件非成立時であっても、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3近傍の筐体温度T
caseは温度センサ204−1、204−2、204−3によってモニタされている。従って、温度センサ204−1、204−2、204−3のいずれかの筐体温度T
caseが上限温度UL=85℃以上になったときには、光源制御ユニット300がエアコン駆動要求信号REQ(=“1”)をエアコン制御ユニット500に送出し、この結果、コンプレッサ602は強制的にフィードバック制御され、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3は強制的に冷却される。この場合も、光源モジュール200Aのレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3はエバポレータ203の冷媒によって冷却され、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の高温化を防止できる。
【0026】
たとえば、筐体201が500gのアルミニウムより、また、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の単位時間当たりの発熱量が80W、筐体201の筐体温度T
caseの初期温度が40℃、光源モジュール200Aの周囲温度が80℃とすれば、アイドリングストップ状態に入ってコンプレッサ602をオフにすると、温度センサ204−1、204−2、204−3近傍の筐体温度T
caseは、
図5に示すごとく、上昇し、約1分でT
case=52℃となり、約4分でT
case=85℃(上限温度UL)に到達する。この時点で、光源制御ユニット300がエアコン駆動要求信号REQ(=“1”)を送出する。この結果、たとえアイドリングストップ状態が持続しても、冷媒の流れによってレーザダイオード素子は強制的に冷却されて筐体温度T
caseが低下し、これにより、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の高温化を防止できる。
【0027】
図1〜
図3に示す車両用前照灯装置において、各レーザダイオード素子が波長ピーク450nm、出力3Wを有すれば、投入電力は約11Wであり、熱変換されるエネルギーは約8Wとなる。従って、たとえばレーザダイオード素子数を10個とすれば、発熱量は約80Wとなる。このとき、冷媒としてHFC−134aを用い、筐体201中のエバポレータ203の冷媒温度が0℃、レーザダイオード素子からエバポレータ203までの熱抵抗が約0.5℃/Wであるとき、レーザダイオード素子近傍の筐体温度T
caseは約40℃と低くなる。また、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3近傍の筐体温度T
caseが50℃程度でも、エバポレータ203の後方温度は0〜25℃であるので、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3は有効に冷却できる。
【0028】
図6は
図2の光源モジュールの変更例を示し、(A)は上面図、(B)は(A)のB−B線断面図、(C)は(A)のC−C線断面図、(D)は(A)のエバポレータ内部の拡大断面図である。
【0029】
図6の光源モジュール200A’においては、
図2の光源モジュール200Aの構成要素に対して蓄熱部材211−1、211−2を付加してある。蓄熱部材211−1、211−2はたとえば塩化カルシウム水和物(CaCl
2・6H
2O)、硫酸ナトリウム水和物(Na
2SO
4・10H
2O)、チオ硫酸ナトリウム水和物(Na
2S
2O
3・5H
2O)、酢酸ナトリウム水和物(CH
3COOH・3H
2O)等の無機水和塩、パラフィン系有機化合物(C
18H
38、C
20H
42、C
22H
46)等よりなる。この蓄熱部材211−1、211−2は、コンプレッサ602の非動作時にレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の温度変化幅を小さくし、これにより、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の劣化、故障を防止するものである。
【0030】
図6においては、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3とエバポレータ203との伝熱経路を確保するために筐体201は高熱伝導率の材料たとえばCu、Al等により構成し、蓄熱部材211−1、211−2はこの伝熱経路を妨げない位置に配置されている。従って、蓄熱部材211−1、211−2はレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3とエバポレータ203との間の熱抵抗とならない。
【0031】
蓄熱部材211−1、211−2として温度範囲約40℃に保持できる潜熱量264kJ/Lの酢酸ナトリウム3水塩を100mLを用いた場合、潜熱量は26.4kJとなる。この場合も、たとえば、筐体201が500gのアルミニウムより、また、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の単位時間当たりの発熱量が80W、筐体201の筐体温度T
caseの初期温度が40℃、光源モジュール200A’の周囲温度が80℃とすれば、アイドリングストップ状態に入ってコンプレッサ602をオフにすると、温度センサ204−1、204−2、204−3近傍の筐体温度T
caseは、
図7に示すごとく、潜熱量26.4kJに相当するエネルギーを発熱するまで約5分必要とする。その間、筐体温度T
caseはほとんど上昇せず、初期温度40℃である。その後、約4分でT
case=85℃(上限温度UL)に到達する。この時点で、光源制御ユニット300がエアコン駆動要求信号REQ(=“1”)をエアコン制御ユニット500に送出してレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3を強制的に冷却する。つまり、
図2の場合に比較して約5分だけ長くエアコンをオフにでき、従って、バッテリの消耗を防ぐことができる。また、アイドリングストップ状態が短時間たとえば5分以内であれば、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3近傍の筐体温度T
caseの上昇はほとんどない。従って、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の温度変化を小さくでき、この結果、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の劣化、故障を防止できる。
【0032】
このように、上述の第1の実施の形態によれば、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の冷却をエアコンシステム600Aによって行うので、光源モジュール200A、200A’の部品数の増加は少なく、従って、製造コストを低減できる。また、別途の冷却エネルギーを必要としないので、車両としてのエネルギー消費量を少なくできる。
【0033】
尚、上述の第1の実施の形態においては、エバポレータ203は筐体201の内部で1回の折返し構造をなして冷却効率を上げているが、エバポレータ203は非折返し構造でもよく、また、2回以上の折返し構造でもよい。また、蓄熱部材211−1、211−2の数は、1または3以上でもよい。さらに、左右の灯体モジュールを1つの光源モジュールに光ファイバで接続すれば光源モジュールの温度条件を統一でき、左右の光量を均衡できる。
【0034】
図8は本発明に係る車両用前照灯装置の第2の実施の形態を示し、(A)は全体断面図、(B)は(A)のフランジ部分の断面図である。
図8において、
図1の光源モジュール200Aと異なる光源モジュール200Bを設けてある。
【0035】
図8の光源モジュール200Bを
図9をも参照して説明する。尚、
図9の(A)は、理解し易くするために、上部は断面図、下部は側面図であり、
図9の(B)は
図9の(A)のB−B線断面図である。
【0036】
光源モジュール200Bは、
図1、
図2のエバポレータ203の代りに、ヒートパイプ221−1、221−2及び冷却フィン222を有する。ヒートパイプ221−1、221−2の入熱部221−1a、221−2aは筐体201中に設けられ、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3を冷却する。他方、ヒートパイプ221−1、221−2の放熱部221−1b、221−2bには冷却フィン222が結合され、全体で放熱器200B−1を構成する。
【0037】
次に、
図8の光源モジュール200Bが組込まれたエアコン(A/C)システム600Bを
図10を参照して説明する。尚、
図10において、上側はエンジンルームであり、下側は車室内側を示す。
【0038】
すなわち、光源モジュール200Bは車内側に設けられるが、光源モジュール200Bの筐体201及びヒートパイプ221−1、221−2の入熱部221−1a、221−2aは空調室内ユニットUの外に設けられ、ヒートパイプ221−1、221−2の放熱部221−1b、221−2b及び冷却フィン222により構成される放熱器200B−1は空調室内ユニットUのエバポレータ606とヒータコア607との間に設けられる。
【0039】
図10において、エアコンつまりコンプレッサ602が動作すると、エバポレータ606の送風下流にある放熱器200B−1の放熱によりヒートパイプ221−1、221−2の循環液を液化させてヒートパイプ221−1、221−2の入熱部221−1a、221−2aへ戻す。他方、入熱部221−1a、221−2aでは、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3が発生した熱を循環媒が吸熱して気化し、放熱器200B−1の放熱部221−1b、221−2bに運ぶ。このように、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3はヒートパイプ221−1、221−2の循環媒によって効率的に冷却される。
【0040】
図10のエアコン制御ユニット500も
図4のフローチャートに基づいて実行される。
【0041】
つまり、エアコン制御ユニット500は、エアコンスイッチオンかつエアコン駆動条件成立時において、エバポレータ606の後方温度センサ606aの温度が設定値となるようにコンプレッサ602をフィードバック制御する。この場合、光源モジュール200Bのレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3は、エバポレータ606からの送風によって冷却されたヒートパイプ221−1、221−2の循環媒によって冷却され、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の高温化を防止できる。また、コンプレッサ602がフィードバック制御されていないエアコンスイッチオフあるいはエアコン駆動条件非成立時であっても、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3近傍の筐体温度T
caseは温度センサ204−1、204−2、204−3によってモニタされている。従って、温度センサ204−1、204−2、204−3のいずれかの筐体温度T
caseが上限温度85℃以上になったときには、光源制御ユニット300がエアコン駆動要求信号REQ(=“1”)をエアコン制御ユニット500に送出し、この結果、コンプレッサ602は強制的にフィードバック制御される。この場合も、光源モジュール200Aのレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3はエバポレータ606からの送風によって冷却されたヒートパイプ221−1、221−2の循環媒によって冷却され、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の高温化を防止できる。
【0042】
このように、上述の第2の実施の形態によれば、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の冷却をエアコンシステム600Bによって行うので、光源モジュール200Bの部品数の増加は少なく、従って、製造コストを低減できる。また、別途の冷却エネルギーを必要としないので、車両としてのエネルギー消費量を少なくできる。
【0043】
尚、上述の第2の実施の形態に
図6の蓄熱部材211−1、211−2を適用してレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の温度変化を小さくでき、この結果、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の劣化、故障を防止できる。また、ヒートパイプ221−1、221−2の数は1もしくは3以上にもなし得る。さらに、冷却フィン222をヒートパイプ221−1、221−2の放熱部221−1b、221−2bに共通に設けているが、別個に設けてもよい。さらに、左右の灯体モジュールを1つの光源モジュールに光ファイバで接続すれば光源モジュールの温度条件を統一でき、左右の光量を均衡できる。
【0044】
図11は本発明に係る車両用前照灯装置の第3の実施の形態を示し、(A)は全体断面図、(B)は(A)のフランジ部分の断面図である。
図11においては、
図1の光源モジュール200Aと
図8の光源モジュール200Bを組合わせた光源モジュール200Cを設けてある。
【0045】
図11の光源モジュール200Cを
図12をも参照して説明する。尚、
図12の(A)は、理解し易くするために、上部は断面図、下部は側面図であり、
図12の(B)は
図12の(A)のB−B線断面図である。
【0046】
光源モジュール200Cにおいては、
図1、
図2のエバポレータ203は折返さず、筐体201の中を通過する。また、光源モジュールCはヒートパイプ221及び冷却フィン222を有する。ヒートパイプ221の入熱部221aは筐体201中にエバポレータ203と平行に設けられ、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3を冷却する。他方、ヒートパイプ221の放熱部221bには冷却フィン222が結合され、全体で放熱器200C−1を構成する。
【0047】
次に、
図11の光源モジュール200Cが組込まれたエアコン(A/C)システム600Cを
図13を参照して説明する。尚、
図13において、上側はエンジンルームであり、下側は車室内側を示す。
【0048】
すなわち、光源モジュール200Cは車内側に設けられるが、光源モジュール200Cの筐体201及びヒートパイプ221の入熱部221aは空調室内ユニットU外に設けられ、ヒートパイプ221の放熱部221b及び冷却フィン222により構成される放熱器200C−1は空調室内ユニットUのエバポレータ606とヒータコア607との間に設けられる。
【0049】
図13において、エアコンつまりコンプレッサ602が動作すると、エバポレータ203の冷媒によってレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3が冷却される。また同時に、エバポレータ606の送風下流にある放熱器200C−1の放熱によりヒートパイプ221の循環液を液化させてヒートパイプ221の入熱部221aへ戻す。他方、入熱部221aでは、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3が発生した熱を循環媒が吸熱して気化し、放熱器200C−1の放熱部221bに運ぶ。このように、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3はエバポレータ203の冷媒及びヒートパイプ221の循環媒によって効率的に冷却される。
【0050】
図13のエアコン制御ユニット500も
図4のフローチャートに基づいて実行される。
【0051】
つまり、エアコン制御ユニット500は、エアコンスイッチオンかつエアコン駆動条件成立時において、エバポレータ606の後方温度センサ606aの温度が設定値となるようにコンプレッサ602をフィードバック制御する。この場合、光源モジュール200Cのレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3は、エバポレータ203の冷媒及びエバポレータ606からの送風によって冷却されたヒートパイプ221の循環媒によって冷却され、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の高温化を防止できる。また、コンプレッサ602がフィードバック制御されていないエアコンスイッチオフあるいはエアコン駆動条件非成立時であっても、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3近傍の筐体温度T
caseは温度センサ204−1、204−2、204−3によってモニタされている。従って、温度センサ204−1、204−2、204−3のいずれかの筐体温度T
caseが上限温度85℃以上になったときには、光源制御ユニット300がエアコン駆動要求信号REQ(=“1”)をエアコン制御ユニット500に送出し、この結果、コンプレッサ602は強制的にフィードバック制御される。この場合も、光源モジュール200Aのレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3はエバポレータ203の冷媒及びエバポレータ606からの送風によって冷却されたヒートパイプ221の循環媒によって冷却され、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の高温化を防止できる。
【0052】
このように、上述の第3の実施の形態によれば、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の冷却をエアコンシステム600Cによって行うので、光源モジュール200Cの部品数の増加は少なく、従って、製造コストを低減できる。また、別途の冷却エネルギーを必要としないので、車両としてのエネルギー消費量を少なくできる。
【0053】
尚、上述の第3の実施の形態に
図6の蓄熱部材211−1、211−2を適用してレーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の温度変化を小さくでき、この結果、レーザダイオード素子202−1、202−2、202−3の劣化、故障を防止できる。また、ヒートパイプ221の数は2以上にもなし得る。さらに、左右の灯体モジュールを1つの光源モジュールに光ファイバで接続すれば光源モジュールの温度条件を統一でき、左右の光量を均衡できる。
【0054】
また、上述の実施の形態において、半導体発光素子としてレーザダイオード素子を用いているが、半導体発光素子として発光ダイオード素子を用いてもよい。
【0055】
さらに、本発明は上述の実施の形態の自明の範囲内のいかなる変更にも適用し得る。