【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度農林水産省農地の物理的除染技術体系の確立委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トラクタの後部に装着した作業機によって、地表面から所定の深さの地表層に対して作業を行うにあたり、トラクタの作業機自動昇降機能を用いて地表面に対する作業機高さを自動制御する場合、作業機による対地作業直前前の圃場面の高さを検出するのが有効であるが、地表面の凹凸が激しい現場では対地高さを精度良く検出することが困難になり、深さ自動制御を用いると反って作業深さが安定しない惧れがあった。また、地表層が硬い場合は、作業機に大きな浮き上げ力が作用するので、作業深さが浅くなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、走行機体と、該走行機体の後部に昇降自在に連結された作業機とを備え、地表面から所定の深さの地表層に対して作業を行う対地作業車であって、前記作業機は、作業位置の前方で前記走行機体が踏み固めた走行跡に接地し、前記作業機の対地高さに応じて上下動する
左右一対の転輪と、該転輪の上下位置にもとづいて前記作業機の対地高さを検出する対地高さ検出手段と、
一方の前記転輪を前記作業機の対地高さに応じて上下動自在とし、該上下位置にもとづいて前記作業機の対地高さを検出する対地高さ検出手段と、他方の前記転輪を上下動不能とし、該転輪の支持部に設けられた感圧センサで前記作業機の押し下げ荷重を検出する押し下げ荷重検出手段とを備え、前記走行機体は、前記作業機を強制的に昇降させる複動式の昇降用油圧シリンダと、前記対地高さ検出手段が検出した対地高さに応じて前記作業機を強制的に昇降制御する昇降制御手段とを備えることを特徴とする対地作業車である。
請求項2の発明は、前記転輪は、上下動自在な状態と、上下動不能な状態とに切換可能であることを特徴とする請求項1に記載の対地作業車である。
請求項3の発明は、前記作業機は、左右一対の前記転輪の上下位置にもとづいて前記作業機の左右傾斜を検出する左右傾斜検出手段を備え、前記走行機体は、前記作業機を左右傾斜させる傾斜用油圧シリンダと、前記左右傾斜検出手段が検出した左右傾斜に応じて前記作業機の左右傾斜を制御する傾斜制御手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の対地作業車である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、走行機体が踏み固めた走行跡に接地し、作業機の対地高さに応じて上下動する転輪を備え、該転輪の上下位置にもとづいて作業機の対地高さを検出するので、凹凸の激しい現場でも作業機の対地高さを精度良く検出するとともに、該検出した対地高さにもとづいて作業機を精度良く昇降制御することが可能になる。しかも、作業機は、複動式の昇降用油圧シリンダで強制的に昇降されるので、地表層が硬い場合であっても、作業機の浮き上がりを抑制し、作業深さを安定させることができる。
しかも左右一対の転輪のうち、一方の転輪のみを上下動自在とし、該上下位置にもとづいて作業機の対地高さを検出するので、凹凸の激しい地表面における転輪の過剰な上下動を抑制し、作業機の昇降制御を安定させることができる。しかも、上下動不能な他方の転輪においては、作業機の押し下げ荷重を検出するので、一定以上の押し下げ荷重を維持するように作業機を昇降制御することも可能になる。
また、請求項2の発明によれば、転輪は、上下動自在な状態と、上下動不能な状態とに切換えられるので、地表面が平坦な現場では、転輪を上下動不能に固定して効率の良い対地作業を行うことができる。
また、請求項
3の発明によれば、左右一対の転輪の上下位置にもとづいて作業機の左右傾斜を検出するとともに、該検出した左右傾斜に応じて作業機の左右傾斜を制御するので、作業機の左右傾斜に起因する作業深さの変動も抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1及び
図2において、1は対地作業車の走行機体であって、該走行機体1は、エンジン(図示せず)が搭載されるエンジン搭載部2と、エンジン動力を変速するミッションケース(図示せず)と、オペレータが乗車する運転部3と、機体を支える走行部4と、機体後部に設けられる作業機連結部6とを備えて構成されており、作業機連結部6には、対地作業機の一例として地表層を所定の深さで剥ぎ取る作業機7が連結されている。
【0010】
走行部4は、左右一対のクローラ走行装置8からなり、各クローラ走行装置8は、駆動輪9、アイドラ10、下部転輪11、上部転輪12などの輪体と、これらの輪体に巻回される無端帯状のクローラ13とを備えて構成されている。そして、クローラ走行装置8は、駆動輪9の駆動に応じて走行機体1を走行させとともに、クローラ13の左右幅に対応した走行跡を地表面に形成する。この走行跡は、走行機体1の荷重により踏み固められており、地表面に凹凸がある現場であっても、走行跡においては、凹凸が踏み固められて平坦度が向上する。なお、本実施形態では、クローラ式の走行部4としたが、車輪式の走行部であってもよい。
【0011】
作業機連結部6は、作業機7を昇降自在に連結する昇降リンク機構14と、左右一対のリフトロッド15を介して昇降リンク機構14を吊持する左右一対のリフトアーム16と、リフトアーム16の油圧動作にもとづいて作業機7を昇降させるリフトシリンダ(昇降用油圧シリンダ)17と、左右いずれか一方のリフトロッド15を構成し、その油圧伸縮動作にもとづいて作業機7を左右傾斜させるリフトロッドシリンダ(傾斜用油圧シリンダ)18とを備えて構成されている。リフトシリンダ17及びリフトロッドシリンダ18は、いずれも複動式の油圧シリンダからなり、作業機7の強制的な昇降動作や傾斜動作を行うことが可能となっている。例えば、作業機7に対して地表層から浮き上げ力が作用している状態でも、作業機7を強制的に下降させて所定の対地高さを維持できるようになっている。
【0012】
作業機7は、地表層を砕土するロータリ19と、該ロータリ19の後方で地表層を削土して作業機7の左右両側方部に集土するドーザ20と、ロータリ19の前方で接地する左右一対の転輪21とを備えて構成されている。
【0013】
ロータリ19は、左右方向に沿う回転自在なロータリ軸22と、ロータリ軸22に設けられる複数の耕耘爪23と、耕耘爪23の上方を覆うロータリカバー24と、走行機体1側から供給されるPTO動力をロータリ軸22に伝動するチェーンケース25とを備えて構成されており、ロータリ軸22の回転に応じて耕耘爪23が地表層を砕土する。
【0014】
ドーザ20は、作業機7の左右中央部を支点として前後揺動自在(開閉自在)な左右一対のブレード26と、各ブレード26の前後揺動角(開度)を変化させるブレード右開閉シリンダ27R及びブレード左開閉シリンダ27Lとを備えて構成されている。非作業時においては、左右一対のブレード26をロータリ軸22と平行な姿勢に格納するが、地表層を剥ぎ取る作業においては、
図2に示すように、左右一対のブレード26を平面視ハ字状に傾斜させる。これにより、左右一対のブレード26は、ロータリ19で砕土された地表層を所定の深さで削土するとともに、削土された土をブレード26の傾斜に沿って左右両側方に移動させ、作業機7の左右両側方部に集土することができる。なお、本実施形態のドーザ20は、削土した土を作業機7の左右両側方部に集土するが、作業機7の左右いずれか一側方部に集土してもよいし、作業機7の中央部に集土するようにしてもよい。また、本実施形態のブレード右開閉シリンダ27R及びブレード左開閉シリンダ27Lは、電動シリンダを用いて構成しているが、油圧シリンダとしてもよい。
【0015】
転輪21は、ロータリ19の前方で走行機体1(走行部4)が踏み固めた走行跡に接地し、作業機7の対地高さに応じて上下動するように構成される。例えば、本実施形態の作業機7は、
図1〜
図3に示すように、ロータリ19から前方に突出する転輪ブラケット28と、転輪ブラケット28に上下スライド自在に支持される転輪ロッド29と、転輪ロッド29を下方に付勢する加圧スプリング30と、転輪ロッド29の下端部から側方に延出して転輪21を回転自在に支持する転輪支軸31とを備える。
【0016】
作業機7には、転輪21の上下位置にもとづいて作業機7の対地高さを検出する対地高さ検出手段が設けられている。本実施形態では、転輪ロッド29の上端部に設けられるスプリング受け32と転輪ブラケット28との間にストロークセンサからなる地表面センサ33を設け、該地表面センサ33の検出値にもとづいて作業機7の対地高さを検出している。なお、本実施形態では、左右一対の転輪21のうち、いずれか一方の転輪21にのみ地表面センサ33を設けているが、後述する第2実施形態のように左右の転輪21に地表面センサ33を設けてもよい。
【0017】
転輪21は、上下動自在な状態と、上下動不能な状態とに切換可能であることが好ましい。例えば、本実施形態では、
図3に示すように、転輪ブラケット28に抜き挿し自在なロックピン34を設け、該ロックピン34を、転輪ロッド29に複数形成されるロック孔29aに選択的に挿入することにより、転輪21を任意の高さで上下動不能に固定できるようにしている。このようにすると、地表面が平坦な現場では、左右の転輪21を上下動不能に固定して効率の良い剥ぎ取り作業を行うことが可能になる。
【0018】
本実施形態では、左右一対の転輪21のうち、左側の転輪21を作業機7の対地高さに応じて上下動自在とし、該上下位置を地表面センサ33で検出する一方、右側の転輪21を上下動不能とし、該転輪21の支持部に設けられた感圧センサ35(押し下げ荷重検出手段)で作業機7の押し下げ荷重を検出している。例えば、転輪支軸31に感圧センサ35として歪センサを設け、該歪センサの検出値にもとづいて作業機7の押し下げ荷重を検出する。このようにすると、左右の転輪21を上下動自在とする場合に比べ、凹凸の激しい地表面における転輪21の過剰な上下動を抑制できるとともに、作業機7の押し下げ荷重検出にもとづいて、一定以上の押し下げ荷重を維持するように作業機7を昇降制御することも可能になる。
【0019】
つぎに、本発明の実施形態に係る対地作業車を用いた地表層剥ぎ取り作業の概要について、
図4を参照して説明する。
【0020】
対地作業車を用いて地表層を剥ぎ取る場合は、左右一対のブレード26を平面視ハ字状に傾斜させた状態で作業機7を接地させるとともに、走行機体1を前進走行させる。作業機7のロータリ19は、走行機体1側から供給されるPTO動力でロータリ軸22を回転させ、ロータリ軸22に設けられる耕耘爪23で地表層を所定の深さで砕土する。また、ロータリ19の後方に設けられるドーザ20においては、左右一対のブレード26がロータリ19で砕土された地表層を所定の深さで削土するとともに、削土された土をブレード26の傾斜に沿って左右両側方に移動させ、作業機7の左右両側方部に集土する。このような剥ぎ取り作業を往復走行しながら現場の全域に施すと、
図4に示すように、剥ぎ取られた土が所定の間隔を存して並列する畦状に集土されるので、剥ぎ取られた土は、例えば、ブルドーザや油圧ショベルを用いて容易に除去することが可能になる。以下、上記の剥ぎ取り作業において実行される自動制御について説明する。
【0021】
走行機体1には、マイコンなどを用いて構成される制御部36が設けられている。
図5に示すように、制御部36の入力側には、前述した地表面センサ33及び感圧センサ35に加え、昇降自動制御(耕深自動制御)の目標深さを設定する深さ設定器37a、昇降自動制御をON/OFFする昇降自動スイッチ37、水平自動制御をON/OFFする水平自動スイッチ38、後述するブレード26の開度(傾斜角度)を設定するブレード開度設定器39、右側ブレード26の開度を検出する右側ブレード開度検出センサ40R、右側ブレード26に作用する荷重を検出する右側荷重センサ41R、左側ブレード26の開度を検出する左側ブレード開度検出センサ40L、左側ブレード26に作用する荷重を検出する左側荷重センサ41L、リフトアーム16の上下揺動角を検出するリフトアームセンサ43、リフトロッドシリンダ18の作動長さを検出するリフトロッドセンサ44、走行機体1の操舵角を検出するステアリングセンサ45、走行機体1の走行速度を検出する速度センサ46などが接続される一方、制御部36の出力側には、前述したブレード右開閉シリンダ27R及びブレード左開閉シリンダ27Lに加え、リフトシリンダ17を伸縮動作させるリフトシリンダ用電磁弁47、リフトロッドシリンダ18を伸縮動作させるリフトロッドシリンダ用電磁弁48などが接続されている。
【0022】
本実施形態の制御部36は、地表面センサ33が検出した対地高さに応じて作業機7を強制的に昇降させる作業機昇降制御(昇降制御手段)と、荷重センサ41R、41Lが検出したブレード荷重に応じてブレード26の角度を制御するブレード角度制御を実行するように構成されており、以下、作業機昇降制御及びブレード角度制御の制御手順を
図6及び
図7を参照して説明する。
【0023】
図6に示すように、作業機昇降制御では、まず、センサ、スイッチなどからのデータの読み込みを行った後(S101)、昇降自動スイッチ37の操作状態にもとづいて昇降自動制御のON−OFFを判断する(S102)。この判断結果がOFFの場合は、そのまま上位ルーチンに復帰するが、判断結果がONの場合は、深さ設定器37aの設定値に対する地表面センサ33の検出値の偏差を演算するとともに(S103)、その偏差の絶対値が不感帯以下であるか否かを判断し(S104)、この判断結果がYESの場合は、作業機7の昇降を停止させる(S105)。
【0024】
一方、地表面センサ偏差の絶対値が不感帯を超えている場合は、地表面センサ偏差が不感帯のどちら側(上昇側又は下降側)に外れているのかを判断し(S106)、上昇側に外れていると判断した場合は、作業機7を強制的に下降させ(S107)、下降側に外れていると判断した場合は、作業機7を強制的に上昇させる(S108)。ただし、本実施形態の作業機昇降制御では、地表面センサ33の検出値にもとづいて作業機7を強制的に昇降させるにあたり、感圧センサ35の検出値を参照し(S109、S110)、感圧センサ35の検出値が不感帯以上の場合は、作業機7の強制的な下降を回避し、また、感圧センサ35の検出値が不感帯以下の場合は、作業機7の強制的な上昇を回避するべく、作業機7の昇降を停止させることにより(S111)、作業機7の適度な押し下げ荷重を維持するようになっている。
【0025】
図7に示すように、ブレード角度制御では、まず、まず、センサ、スイッチなどからのデータの読み込みを行った後(S201)、ブレード開度設定器39によるブレード角度設定操作の有無と(S202)、ブレード角自動制御のON−OFFと(S203)、作業機高さとを判断する(S204)。ここで、ブレード開度設定器39によるブレード角度設定操作があった場合、ブレード角自動制御がOFFの場合、或いは作業機高さが既定値よりも高い場合は、ブレード角度が設定角度となるようにブレード右開閉シリンダ27R及びブレード左開閉シリンダ27Lを作動させる(S205)。
【0026】
一方、ブレード角度設定操作がなく、ブレード角自動制御がONで、かつ作業機高さが既定値以下である場合は、走行速度が既定値以上であるか否かの判断と(S206)、ブレード荷重が既定値以上であるか否かの判断を行い(S207)、両判断結果がいずれもYESの場合は、ブレード右開閉シリンダ27R及びブレード左開閉シリンダ27Lを伸長させてブレード26を開き方向に動作させる(S208)。これにより、ブレード26の適度な荷重を維持しつつ安定した削土及び集土を行うことが可能になる。なお、ブレード角度は、圃場端での旋回時に、作業機7を既定値以上に上昇させたとき、設定角度に戻される。
【0027】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、走行機体1と、該走行機体1の後部に昇降自在に連結された作業機7とを備え、地表層を所定の深さで剥ぎ取る対地作業車であって、作業機7は、地表層を砕土するロータリ19と、該ロータリ19の後方で地表層を削土して作業機7の側方部に集土するドーザ20と、ロータリ19の前方で走行機体1が踏み固めた走行跡に接地し、作業機7の対地高さに応じて上下動する転輪21と、該転輪21の上下位置にもとづいて作業機7の対地高さを検出する地表面センサ33とを備え、走行機体1は、作業機7を強制的に昇降させる複動式のリフトシリンダ17と、地表面センサ33が検出した対地高さに応じて作業機7を強制的に昇降制御する作業機昇降制御とを備える。つまり、走行機体1が踏み固めた走行跡に接地し、作業機7の対地高さに応じて上下動する転輪21を備え、該転輪21の上下位置にもとづいて作業機7の対地高さを検出するので、凹凸の激しい現場でも作業機7の対地高さを精度良く検出し、該検出した対地高さにもとづいて作業機7を精度良く昇降制御することが可能になる。しかも、作業機7は、複動式の昇降用油圧シリンダからなるリフトシリンダ17で強制的に昇降されるので、地表層が硬い場合であっても、作業機7の浮き上がりを抑制し、剥ぎ取り深さを安定させることができる。
【0028】
また、転輪21は、上下動自在な状態と、上下動不能な状態とに切換えられるので、地表面が平坦な現場では、転輪21を上下動不能に固定して効率の良い剥ぎ取り作業を行うことができる。
【0029】
また、作業機7は、ロータリ19の前方で走行機体1が踏み固めた走行跡に接地する左右一対の転輪21を備え、一方の転輪21を作業機7の対地高さに応じて上下動自在とし、該上下位置にもとづいて作業機7の対地高さを検出する一方、他方の転輪21を上下動不能とし、該転輪21の支持部に設けられた感圧センサ35で作業機7の押し下げ荷重を検出するので、凹凸の激しい地表面における転輪21の過剰な上下動を抑制し、作業機7の昇降制御を安定させることができるだけでなく、上下動不能な他方の転輪21において作業機7の押し下げ荷重を検出し、該押し下げ荷重に応じた作業機7の昇降制御も可能になる。
【0030】
つぎに、本発明に第2実施形態に係る対地作業車について、
図8〜
図11を参照して説明する。ただし、前記実施形態と共通する部分については、前記実施形態と同じ符号を付与することにより、前記実施形態の説明を援用する。
【0031】
図8に示すように、第2実施形態に係る対地作業車は、作業機7が、ロータリ19の前方で走行機体1が踏み固めた走行跡に接地する左右一対の転輪21と、左右一対の転輪21の上下位置にもとづいて作業機7の左右傾斜を検出する左右傾斜検出手段とを備え、走行機体1が、作業機7を左右傾斜させるリフトロッドシリンダ18(傾斜用油圧シリンダ)と、左右傾斜検出手段が検出した左右傾斜に応じて作業機7の左右傾斜を制御する作業機水平制御(傾斜制御手段)とを備える点が前記実施形態と相違している。このような対地作業車によれば、左右一対の転輪21の上下位置にもとづいて作業機の左右傾斜を検出するとともに、該検出した左右傾斜に応じて作業機7の左右傾斜を制御することにより、作業機7の左右傾斜に起因する剥ぎ取り深さの変動も抑制することができる。
【0032】
具体的に説明すると、第2実施形態に係る対地作業車は、
図8及び
図9に示すように、左右一対の地表面センサ33L、33Rを備え、その検出値にもとづいて作業機昇降制御及び作業機水平制御を行う。以下、第2実施形態に係る作業機昇降制御及び作業機水平制御の制御手順を
図10及び
図11を参照して説明する。
【0033】
図10に示すように、第2実施形態の作業機昇降制御では、センサ、スイッチなどからのデータの読み込みを行った後(S301)、昇降自動スイッチ37の操作状態にもとづいて昇降自動制御のON−OFFを判断する(S302)。この判断結果がOFFの場合は、そのまま上位ルーチンに復帰するが、判断結果がONの場合は、低い転輪21側に設けられた地表面センサ33の検出値を取得するとともに(S303)、深さ設定器37aの設定値に対する検出値の偏差を演算する(S304)。偏差を演算したら、偏差の絶対値が不感帯以下であるか否かを判断し(S305)、この判断結果がYESの場合は、作業機7の昇降を停止させる(S306)。
【0034】
一方、地表面センサ偏差の絶対値が不感帯を超えている場合は、さらに、地表面センサ偏差の絶対値が所定値(異常判定値)よりも大きいか否かを判断し(S307)、この判断結果がYESの場合も、作業機7の昇降を停止させる(S306)。この判断結果がNOの場合は、地表面センサ偏差が不感帯のどちら側(上昇側又は下降側)に外れているのかを判断し(S308)、上昇側に外れていると判断した場合は、作業機7を強制的に下降させ(S309)、下降側に外れていると判断した場合は、作業機7を強制的に上昇させる(S310)。
【0035】
図11に示すように、作業機水平制御では、センサ、スイッチなどからのデータの読み込みを行った後(S401)、水平自動スイッチ38の操作状態にもとづいて水平自動制御のON−OFFを判断する(S402)。この判断結果がOFFの場合は、そのまま上位ルーチンに復帰するが、判断結果がONの場合は、左右の地表面センサ33L、33Rの差にもとづいて作業機7の左右傾斜値αを取得するとともに(S403)、水平値(0)に対する左右傾斜値αの偏差を演算する(S404)。偏差を演算したら、偏差の絶対値が不感帯以下であるか否かを判断し(S405)、この判断結果がYESの場合は、作業機7の左右傾斜駆動を停止させる(S406)。
【0036】
一方、偏差の絶対値が不感帯を超えている場合は、偏差が不感帯のどちら側(左傾斜側又は右傾斜側)に外れているのかを判断し(S407)、左傾斜側に外れていると判断した場合は、作業機7を右下げ駆動させ(S408)、右傾斜側に外れていると判断した場合は、作業機7を左下げ駆動させる(S409)。
【0037】
尚、本発明の対地作業の一例として、地表層剥ぎ取り作業を説明したが、当該作業に限ることなく、本発明は、対地作業後の圃場面の仕上がりよりも、作業前の圃場面を基準とした正確な作業深さを求められる対地作業全般に用いることができる。