(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6460764
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20190121BHJP
B65D 47/36 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
B65D51/22 120
B65D47/36
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-248638(P2014-248638)
(22)【出願日】2014年12月9日
(65)【公開番号】特開2016-108031(P2016-108031A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100088052
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100189968
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 浩司
(72)【発明者】
【氏名】酒本 学
【審査官】
家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−173631(JP,A)
【文献】
特表2008−504176(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/126062(WO,A1)
【文献】
米国特許第08251236(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上蓋と、該上蓋が螺着可能に設けられた中栓とを備え、
該中栓は、筒状の出口筒を有し、
該出口筒は、その先端部の外周面に案内面が形成されると共に該先端部に該案内面と連続する弱化部を介して連結させた開口予定部とを有しており、
該上蓋は、天壁と、該天壁の内面に設けられた中足とを有し、
該中足は、基部と端部とを有すると共に該基部と該端部との間に屈曲可能部が設けられ、
該端部は、該基部よりも内方に、該開口予定部に引掛り可能の設けられると共に該屈曲可能部によって反転可能に設けられるキャップであって、
該上蓋が該中栓に螺着された際に、該端部が該案内面に当接すると共に該上蓋と該中栓との螺合を最初に解除させる際に該端部が該案内面に沿って移動して、該開口予定部に引掛けられ、更に該上蓋部を離脱させると該弱化部が破断することを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記上蓋の前記中足より内方の天壁には、保持部が設けられており、
該保持部は、前記破断部が破断した後に前記開口予定部が落下しない様に保持可能となっていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記中栓は、前記出口筒よりも外側に、注出筒を更に有し、
前記中足は、前記上蓋を該中栓に螺着させた際に該注出筒と当接可能となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップに関し、より詳細には、開封手段としてプルリングの用いないキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器の密封性等を確保するために、容器口部には上蓋及び中栓からなるキャップが装着される。該中栓と該容器との連通部には、弱化部によって区画された開口予定部によって最初は塞がれており、該開口予定部に立設されたプルリング等を引っ張ることで該弱化部を破断させ、該開口予定部を除去することで容器の開封を行っていた。しかしながら、プルリング等を引っ張ることで開口予定部を除去する作業は、煩わしいだけでなく、通常、指1本で行われる作業であるため、力の弱い者にとっては比較的困難な作業であった。
【0003】
そこで、近年、開封にプルリング等を用いないキャップの開発が求められている。この様なキャップとして、例えば、特許文献1に記載されたキャップがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/126062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたキャップにおいては、外部より衝撃が加わった際に、開口予定部を繋ぎ止めている弱化部が切断され、内容物が漏れてしまう危険性があるという問題があった。又、開封する際に、上蓋を一体閉蓋方向に回動させ、弱化部を破断すると共に上蓋に開口予定部を螺着させてから再度上蓋を開蓋方向に回動させる必要があり、非常に開封作業が煩わしいという問題があった。そして、一般的なキャップに慣れている需要者は、先ず開蓋方向に上蓋を回動させてしまし、上蓋を離脱後に開封作業が異なることに気付いて再度開封作業をやり直すことが多々あり、このことが開封作業の煩わしさが更に助長している。
【0006】
そこで、本発明は、開蓋方向に上蓋を回動させることのみで、開封可能なキャップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上蓋と、該上蓋が螺着可能に設けられた中栓とを備え、該中栓は、筒状の出口筒を有し、該出口筒は、その先端部の外周面に案内面が形成されると共に該先端部に該案内面と連続する弱化部を介して連結させた開口予定部とを有しており、該上蓋は、天壁と、該天壁の内面に設けられた中足とを有し、該中足は、基部と端部とを有すると共に該基部と該端部との間に屈曲可能部が設けられ、該端部は、該基部よりも内方に、該開口予定部に引掛り可能の設けられると共に該屈曲可能部によって反転可能に設けられるキャップであって、該上蓋が該中栓に螺着された際に、該端部が該案内面に当接すると共に該上蓋と該中栓との螺合を最初に解除させる際に該端部が該案内面に沿って移動して、該開口予定部に引掛けられ、更に該上蓋部を離脱させると該弱化部が破断することを特徴とするキャップである。
【0009】
尚、本発明は、前記上蓋の前記中足より内方の天壁に、保持部が設け、該保持部を、前記破断部が破断した後に前記開口予定部が落下しない様に保持可能とすることも可能である。又、本発明は、前記中栓が、注出筒を更に有するものとし、前記中足を前記上蓋が該中栓に螺着された際に、該注出筒と当接可能とすることも可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、特に、上蓋に中足を設け、該中足を上記の様に構成したので、該上蓋を開蓋方向に回動させるのみで、弱化部を破断し、キャップを開封することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図2の中栓を省略したIII−III矢視拡大図に相当する立体図である。
【
図4】
図2の要部拡大略図であり。(A)は開封前の様子を、(B)は開封直前の様子を、(C)は開封後の様子を示す図である。
【
図5】本発明の第2実施形態を示す図であり、
図2の相当する図である。
【
図7】本発明の第3実施形態を示す図であり、
図2の相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1実施形態について
図1乃至4に基づき説明する。先ず、本実施形態の構成について
図1乃至
図3に基づいて説明する。キャップ1は、上蓋2と、上蓋2が螺着可能に設けられた中栓3とを備える。
【0013】
中栓3は、頂壁4、螺合筒5、外筒6及び出口筒7とを有している。螺合筒5は、頂壁4の外周縁より垂下するように設けられており、その外周面には、螺条8を有している。又、螺合筒5の下端は、内筒9と連続している。
【0014】
外筒6は、螺条筒5の下端より外方に突出する様に連続して設けられ、内筒9と共にキャップ1が装着される容器(図示せず)の口部が嵌着される嵌着溝10を形成する様に設けられる。又、外筒6の頂部には、凹条10が形成されている。
【0015】
出口筒7は、開口予定部13を有していると共に筒状に形成されており、本実施形態においては、注出筒を兼ねている。又、出口筒7は、頂壁4の内周縁より立設する様に設けられている。出口筒7の先端部7aには、その外周面に案内面11が形成されていると共に案内面11と連続する弱化部12を介して開口予定部13が連結されている。
【0016】
開口予定部13は、出口筒7の先端部7aを閉塞する様に形成されており、キャップ1が装着される容器の初期の密封性を確保するために設けられる。開口予定部13には、出口筒7を閉塞するための閉塞板14と、係合筒15とを有している。本実施形態において、閉塞板14は、係合筒15の内方に位置する様に形成されている。又、係合筒15の外周面の内、特に上方の外周面は、円弧面16となっている。係合筒15の下端は、弱化部12と連続しており、弱化部12を介して出口筒7に連結されている。
【0017】
上蓋2は、天壁17と、スカート壁18と、開封バンド19とを有している。スカート壁18は、天壁17の外周縁より垂下する様に形成されており、開封バンド19は、スカート壁18の下端と弱化線を介して連続する様に形成されている。開封バンド19は、悪戯や容器の落下等の衝撃等で不意に上蓋2と中栓3との螺着が解除されることを防止するために設けられており、開封時に開封バンド19を除去するために把持される把持部19aが形成されている。
【0018】
スカート壁18は、主筒部18aと、主筒部18aの下端より外方に突出する様に設けられた、周筒部18bとを有しており、主筒部18aの内周面に、螺合筒5の螺条8と螺合可能に形成され、上蓋2を中栓3に螺着するための螺条20が形成されている。又、主筒部18aの下端には、凸条21が形成されている。凸条21は、上蓋2を中栓3に螺着した際に、中栓3の凹条10に嵌着し、それ以上、上蓋2が下がらぬ様にするため、つまり上蓋2の嵌着位置を規定するためのものである。
【0019】
天壁17の内面からは、中足22が垂設されており、更に、中足22より内方の天壁17には、開口予定部13の係合筒15と係合可能に形成された保持筒23が垂設されている。保持筒23は、上蓋2を最初に中栓3から離脱させる際に、開口予定部13の係合筒15と係合可能に形成されており、開封後に開口予定部13を上蓋2内に留め、その落下を防止するための保持部として設けられている。
【0020】
中足22は、略円筒状に形成されると共に基部22aと端部22bとを有している。基部22aと端部22bとは、屈曲可能部22cを介して連続している。基部22aの内径は、少なくとも出口筒7の先端部7aの外径よりも大きくなる様に形成され、上蓋2を中栓3に螺着した際に、出口筒7の先端部7aが基部22aの内方に位置する様になっている。
【0021】
端部22bは、屈曲可能部22cによって反転可能形成されており、本実施形態においては、鋸刃状の刃部24が形成されている。又、端部22bは、基部
22aよりも内方に突出する様に設けられており、上蓋2が、最初に中栓3に螺着されるまでは、下方に向いている。本実施形態において、刃部24は、端部22bの全周に亘って連続して形成されているが、複数の鋸刃状の刃部24を間欠的に形成してもよく、又、刃部24が形成されていない部分を設けることも可能である。
【0022】
本実施形態において、端部22bは、最初に上蓋2が中栓3に螺着される際に、先ず、係合筒15の円弧面16に当接し、円弧面16に沿って、上方(矢印A方向)へと反転する様に形成されていると共にその後、更に上蓋2を中栓3に螺合させた際に、出口筒7の案内面11に当接する様に形成されている。尚、本実施形態においては、上蓋2は、端部22bを予め反転させておき、その状態で中栓3に螺着する様にすることも可能となっており、どの段階で端部22bを反転させるかを適宜選択可能となっている。
【0023】
次に、本実施形態の開封工程について
図4に基づき説明する。
(1)開封前は、中足22の端部22bは、上方に反転した状態で、出口筒7の案内面11に当接している(
図4(A)を参照)。
【0024】
(2)容器の開封のために上蓋2を開蓋方向(上蓋2が開く方向)に回動させ、上蓋2と中栓3との螺合を解除していくと、上蓋2が上方へと移動するに連れて、端部22bは案内面11に沿って弱化部12に向かって移動し、端部22bの刃部24が、弱化部12に当接する(
図4(B)を参照)。
【0025】
(3)その後、更に上蓋2を開蓋方向に回動させ、上蓋2と中栓3との螺合を解除していくと、刃部24は、弱化部12を切断(破断)させ、出口筒7と開口予定部13とが完全に分離され、開口部13Aが形成される。その際、本実施形態においては、開口予定部13の係合筒15と上蓋2の保持筒23とが係合状態にあるため、当該分離した開口予定部13は、落下することなく、上蓋2内に留められる(
図4(C)を参照)。
【0026】
従って、上蓋2を開蓋方向に回動させるだけで、容器を開封することが可能である。又、中足22の端部22bを、案内面11に沿って、弱化部12向かって移動させることができるため、より確実に刃部24を弱化部12に当接させ、弱化部12を切断することができる。更に、刃部24が鋸刃状になっているため、より小さい力で弱化部12を破断(切断)することができる。
【0027】
本発明の第2実施形態について。
図5及び
図6に基づき説明する。本実施形態と第1実施形態との相違は、弱化部12を、端部22bに形成された刃部24によって切断する替りに、端部22bによって開口予定部13を引掛け、つまりは、端部22bと開口予定部13とを引掛け合い、上蓋2の移動と共に開口予定部13を引っ張り上げることで弱化部12を破断させることである。尚、第1実施形態と同符号で示した構成については、同実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0028】
本実施形態においては、開口予定部13には、最初に上蓋2と中栓3との螺合を解除する際、つまり開封する際に、反転した中足22の端部22bが引掛け可能に形成された被被引掛部13aが形成されている。つまり、端部22bは、被引掛部13aに引掛け可能の形成された引掛部25を有することとなり、本実施形態においては、端部22bの先端部に引掛部25が形成されている。尚、引掛部25の位置等については、適宜選択可能である。又、被引掛部13aは、弱化部12の近傍に設けることが好ましく、本実施形態においては、出口筒7の案内面11、弱化部12及び開口予定部13の係合筒15の下端とで、凹部26を形成することで、係合筒15の下端に被引掛部13aを形成している。
【0029】
本実施形態においては、上記開封工程(2)及び(3)において、先ず、中足22における端部22bの引掛部25と開口予定部13の被引掛部13aとが引掛り合い、更に上蓋2と中栓3との螺合を解除していき上蓋2を上方へと移動させると、端部22bによって、開口予定部13が上方へと引っ張り上げられと共に弱化部12に負荷を掛け、弱化部12を破断し、開口部13Aを形成する。
【0030】
尚、本実施形態においては、上蓋2を中栓3に螺着した際に、中足22の端部22bを開口部13Aの案内面11に全周に亘って当接させることが可能であるため、より高いリシール性を確保することが可能である。
【0031】
以上、本発明を上記実施形態に基づき説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本発明の第3実施形態(
図7を参照)の様に出口筒7を注出筒を兼ねるものとせず、別途、出口筒7よりも外側に注出筒27を設けることも可能である。その場合、上蓋2を中栓3に螺着させた際に、中足22の外周面を注出筒27の内周面に当接させるようにすることで、中足22に端部22bと案内面11との当接によって、中足22と注出筒27との間の当接力が高まり、より高いリシール性を確保することが可能である。
【0032】
又、刃部24に補強のためのリブ等を設けてもよい。更に、弱化部12にローレットや段差又は凹凸等(図示せず)を設け、刃部24は弱化部12に喰い込み易いようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 キャップ 2 上蓋 3 中栓
4 頂壁 5 螺合筒 6 外筒
7 出口筒 7a 先端部 8 螺条
9 内筒 10 凹条 11 案内面
12 弱化部 13 開口予定部 13A 開口部
13a 被引掛部 14 閉塞板 15 係合筒
16 円弧面 17 天壁 18 スカート壁
18a 主筒部 18b 周筒部 19 開封バンド
19a 把持部 20 螺条 21 凸条
22 中足 22a 基部 22b 端部
22c 屈曲可能部 23 保持筒 24 刃部
25 引掛部 26 凹部 27 注出筒