前記統計処理部は、前記各真偽判定要素の真偽の組合せ毎に前記偽造券の前記データベース上の登録件数を集計し、集計した値を順位付けして、前記指標情報として生成する、
ことを特徴とする請求項5に記載の紙葉類情報処理システム。
前記統計処理部は、前記各真偽判定要素の真偽の組合せ毎に前記偽造券の前記データベース上の登録件数の比率を算出し、算出した比率を順位付けして、前記指標情報として生成する、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の紙葉類情報処理システム。
前記統計処理部は、所定期間毎に前記各真偽判定要素について真または偽と判定された前記データベース上の登録件数の比率を算出し、算出した前記比率に基づくグラフを、前記指標情報として生成する、
ことを特徴とする請求項8に記載の紙葉類情報処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態には、紙幣に関する情報を処理する情報処理システムに本発明を適用した例が示されている。
【0013】
本実施の形態において、情報処理システム1は、特許請求の範囲に記載の「紙葉類情報処理システム」に対応する。データベース32aは、特許請求の範囲に記載の「データベース部」に対応する。
【0014】
<システム構成>
図1は、実施の形態に係る情報処理システム1の全体構成を示す模式図である。
図1に示すとおり、中央銀行は、各地に複数の支店2と、支店2を統括する本店3とを有する。情報処理システム1は、支店2内の機器と、本店3内の機器とが、インターネットなどのネットワーク網4で接続されることにより構成される。情報処理システム1は、紙幣に関する情報の他、貨幣の取扱に必要な各種情報を処理する。なお、便宜上、
図1には支店2が一つしか示されていないが、実際には、多数の支店2が各地に存在する。
【0015】
支店2には、紙幣処理装置10と、紙幣処理装置10に併設された情報処理装置20とが設置されている。紙幣処理装置10は、表示部11と、入力部12と、投入部13と、複数の集積部14と、排出部15と、を備える。表示部11は液晶パネルからなり、入力部12はボタンからなる。紙幣処理装置10は、投入部13に投入された紙幣を処理して、真券を金種ごと等に分けて集積部14に集積し、偽造券等を排出部15に排出する。また、紙幣処理装置10は、後述するように、投入部13に投入された偽造券を処理して、偽造券の情報を取得する。
【0016】
情報処理装置20は、パーソナルコンピュータ等であり、本体21と、表示部22と、入力部23と、を備える。本体21は、同一店舗内の紙幣処理装置10と通信可能に接続されている。また、本体21は、ネットワーク網4に通信可能に接続されている。表示部22はディスプレイであり、入力部23はマウスやキーボードである。情報処理装置20は、入力部23を介してユーザにより入力された指示を紙幣処理装置10に対して送信するとともに、紙幣処理装置10から受信した偽造券の情報を本店3のサーバ30に送信する。
【0017】
本店3には、支店2と同様、紙幣処理装置10と、紙幣処理装置10に併設された情報処理装置20とが設置されている。また、本店3には、サーバ30と、統計処理装置40と、スイッチングハブ等からなるHUB50とが設置されている。本店3の情報処理装置20の本体21と、サーバ30と、統計処理装置40とは、HUB50に通信可能に接続されており、HUB50は、ネットワーク網4に通信可能に接続されている。
【0018】
サーバ30は、支店2の情報処理装置20および本店3の情報処理装置20から送信された偽造券の情報を記憶する。統計処理装置40は、情報処理装置20と同様、パーソナルコンピュータ等であり、本体41と、表示部42と、入力部43と、を備える。統計処理装置40は、ユーザがサーバ30に記憶された偽造券の情報を閲覧する際に用いられる。
【0019】
<登録・閲覧の流れ>
次に、偽造券の情報がサーバ30に登録される流れ、および、ユーザが偽造券の情報を閲覧する流れの概要について説明する。
【0020】
一般に流通している紙幣は、所定のタイミングで中央銀行の支店2に集められる。支店2に集められた紙幣は、紙幣処理装置10により処理される。具体的には、支店2のユーザは、情報処理装置20の入力部23を操作して紙幣処理装置10の動作モードを「通常モード」に設定した上で、紙幣処理装置10の投入部13に紙幣を投入し、入力部12を操作して紙幣の繰り出しを開始させる。これにより、紙幣処理装置10は、投入部13の紙幣を1枚ずつ繰り出して、各紙幣について金種の識別と、真偽の判定と、正損の判定とを行う。紙幣処理装置10は、紙幣が真券である場合、この紙幣を金種に応じた集積部14に集積する。また、紙幣処理装置10は、紙幣が偽造券である場合、この紙幣を排出部15に排出する。なお、排出部15には損券も排出される。
【0021】
通常モードと後述する偽造券登録モードとにおいて、真偽の判定処理が変更されることはなく、両モードにおいては、同様の真偽判定処理が実行される。
【0022】
続いて、支店2のユーザは、情報処理装置20の入力部23を操作して紙幣処理装置10の動作モードを「偽造券登録モード」に設定した上で、それまでに回収した偽造券のみを投入部13に投入し、入力部12を操作して紙幣の繰り出しを開始させる。紙幣処理装置10は、投入部13の偽造券を1枚ずつ繰り出して、各偽造券について金種の識別と真偽の判定を行う。
【0023】
ここで、紙幣には、偽造されることを防ぐために、異なる観点から特徴づけられた複数の真偽判定要素(以下、単に「要素」という)が適用されている。本実施の形態の紙幣処理装置10は、紙幣に適用された7つの要素についてそれぞれ真偽の判定を行うことにより、紙幣の真偽を判定することができる。以下、本実施の形態の紙幣処理装置10が真偽判定可能な7つの要素を、要素1〜7とする。
【0024】
要素1は、たとえば赤外光の観点から特徴付けられる要素である。要素2は、たとえば磁気の観点から特徴付けられる要素である。要素3は、たとえば蛍光の観点から特徴付けられる要素である。要素4は、たとえば燐光の観点から特徴付けられる要素である。要素5は、たとえば導電性の観点から特徴付けられる要素である。要素6、7は、それぞれ、その他の2つの観点から特徴付けられる要素である。
【0025】
偽造券登録モードにおいて、紙幣処理装置10は、1つの偽造券から金種と記番号を取得するための画像を取得し、取得した画像に基づいて金種と記番号を取得する。また、紙幣処理装置10は、1つの偽造券から要素1〜7の真偽判定に用いるためのデータを、各要素を検出するために設けたセンサを用いて取得し、取得したデータに基づいて要素1〜7に対する真偽の判定を行う。続いて、紙幣処理装置10は、要素の検出時に取得した各データを画像化する。
【0026】
そして、紙幣処理装置10は、金種と記番号の取得に用いた画像と、要素1〜7の真偽判定の際に取得した画像と、要素1〜7に対する真偽の判定結果と、その他の付加情報とを、1つの偽造券の情報(以下、「取得データ」と称する)として、記憶部17(
図2(a)参照)に記憶する。なお、その他の付加情報は、偽造券の金種と、偽造券の記番号と、要素1〜7に対する真偽の判定結果の組合せを示す組合せ番号と、処理を行った紙幣処理装置10を識別するための装置情報と、を含む。
【0027】
投入部13の全ての偽造券に対して取得データの記憶が終了すると、紙幣処理装置10は、記憶した全ての取得データを、併設された情報処理装置20に送信する。情報処理装置20は、受信した取得データを、ネットワーク網4を介して本店3のサーバ30に送信する。サーバ30は、受信した取得データに、登録番号と登録日を付与した情報(以下、「登録データ」と称する)を、データベース32a(
図2(c)参照)に登録する。
【0028】
なお、中央銀行の本店3にも、一般に流通している紙幣が所定のタイミングで集められ、本店3に集められた紙幣についても、支店2と同様に処理が行われる。すなわち、本店3の紙幣処理装置10は、偽造券ごとの取得データを、併設された情報処理装置20に送信する。本店3の情報処理装置20は、受信した取得データを、HUB50を介してサーバ30に送信する。サーバ30は、受信した取得データに基づく登録データを、データベース32a(
図2(c)参照)に登録する。
【0029】
本店3のユーザは、統計処理装置40を用いることにより登録データを閲覧することができる。具体的には、本店3のユーザは、入力部43を操作して検索条件を設定し、データベース32aの登録データのうち検索条件に合致する登録データを、表示部42に表示させることができる。また、本店3のユーザは、入力部43を操作して集計条件を設定し、データベース32aの登録データから集計条件に応じて集計された情報を、表示部42に表示させることができる。検索結果の表示については、追って
図7(a)〜
図8を参照して説明し、集計された情報の表示については、追って
図9〜
図11を参照して説明する。
【0030】
<各装置の構成>
図2(a)〜(d)は、それぞれ、紙幣処理装置10と、情報処理装置20と、サーバ30と、統計処理装置40の構成を示すブロック図である。
【0031】
図2(a)に示すように、紙幣処理装置10は、表示部11と、入力部12と、制御部16と、記憶部17と、通信部18と、検出部19と、を備える。この他、紙幣処理装置10は、紙幣を搬送するための機構や、
図1に示す投入部13および排出部15等を備える。制御部16は、記憶部17に記憶されたプログラムにより、紙幣処理装置10の各部を制御するとともに各種の処理を行う。また、制御部16には、記憶部17に記憶されたプログラムにより、識別部16aと判定部16bの機能が付与される。なお、紙幣処理装置10では、通常、識別部16aが紙幣の金種識別、真偽判定、正損判定等を行い、判定部16bが個別に存在していないが、ここでは、本発明を理解しやすくする為に、識別部16aと判定部16bを分けて記載しており、当然、これらが1つの識別部16aで構成されても良い。通信部18は、併設された情報処理装置20の通信部26に接続されている。
【0032】
検出部19は、要素1〜7に対する真偽判定と、金種の取得と、記番号の取得とに用いるための情報を検出するための構成を備えている。具体的には、検出部19は、紙幣に可視光と、赤外光と、紫外光とを照射する構成を備えている。また、検出部19は、紙幣によって反射された可視光、赤外光を検出するセンサと、紙幣を透過した可視光、赤外光を検出するセンサと、紙幣に印刷された磁気インクを検出するセンサと、紙幣に紫外光が照射されることにより生じる蛍光を検出するセンサと、紙幣に紫外光が照射されることにより生じる燐光を検出するセンサと、紙幣の導電性を検出するセンサと、紙幣に適用された要素6を検出するセンサと、紙幣に適用された要素7を検出するセンサと、を有する。
【0033】
制御部16は、赤外光を検出するセンサ、磁気インクを検出するセンサ、蛍光を検出するセンサ、燐光を検出するセンサ、導電性を検出するセンサ、要素6を検出するセンサ、および要素7を検出するセンサの検出信号に基づいて、それぞれ、センサの検出信号に対応する画像(以下、「要素画像1〜7」と称する)を生成する。また、制御部16は、可視光を検出するセンサの検出信号に基づいて、金種と記番号等を取得するための画像(以下、「可視光画像」と称する)を生成する。
【0034】
図2(b)を参照して、情報処理装置20は、表示部22と、入力部23と、制御部24と、記憶部25と、通信部26と、を備える。表示部22と入力部23以外の構成は、
図1に示す本体21に収容されている。制御部24は、記憶部25に記憶されたプログラムにより、情報処理装置20の各部を制御するとともに各種の処理を行う。通信部26は、併設された紙幣処理装置10の通信部18と、
図1に示すネットワーク網4とに接続されている。
【0035】
図2(c)を参照して、サーバ30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33、と、を備える。制御部31は、記憶部32に記憶されたプログラムにより、サーバ30の各部を制御するとともに各種の処理を行う。記憶部32には、登録データを格納するデータベース32aが構築されている。データベース32aの詳細な構成については、追って
図4(a)、(b)を参照して説明する。通信部33は、
図1に示すHUB50に接続されている。
【0036】
図2(d)を参照して、統計処理装置40は、表示部42と、入力部43と、制御部44と、記憶部45と、通信部46と、を備える。表示部42と入力部43以外の構成は、
図1に示す本体41に収容されている。制御部44は、記憶部45に記憶されたプログラムにより、統計処理装置40の各部を制御するとともに各種の処理を行う。また、制御部44には、記憶部45に記憶されたプログラムにより、統計処理部44aの機能が付与される。通信部46は、
図1に示すHUB50に接続されている。
【0037】
<真偽判定の概要>
次に、
図3(a)〜(f)を参照して、真偽判定の概要について説明する。
【0038】
図3(a)〜(c)は、それぞれ、金種の異なる紙幣A〜Cの真券に適用されている要素を示す模式図である。ここでは、紙幣Aの真券に要素1〜5が適用され、紙幣Bの真券に要素1〜4、6が適用され、紙幣Cの真券に要素1〜4、7が適用されている。なお、紙幣に適用される要素は、同じ番号(同じ種類の要素)であっても、互いに異なる構成のこともある。たとえば、要素2は、紙幣Aの場合左下に配され、紙幣Bの場合2箇所に配され、紙幣Cの場合右下に配されている。
【0039】
図3(d)〜(f)は、それぞれ、紙幣Aの偽造券の一例であるタイプT1〜T3を示す模式図である。
図3(d)〜(f)において、実線は、対応する要素が偽造券に含まれており、且つ、当該要素が紙幣処理装置10により真と判定されたことを示している。また、破線は、対応する要素が偽造券に含まれており、且つ、当該要素が紙幣処理装置10により偽と判定されたことを示している。対応する要素が偽造券に含まれていない場合、
図3(e)、(f)に示すように、当該要素の図示が省略され、当該要素の領域が空白となっている。
【0040】
タイプT1の場合、要素1〜3は真券と同様と判断される構成となっており、要素4、5は真券と同様と判断するには不十分な構成となっている。この場合、紙幣処理装置10は、要素1〜3について「真」と判定し、要素1〜3の各判定結果を「1」する。また、紙幣処理装置10は、要素4、5について「偽」と判定し、要素4、5の各判定結果を「0」とする。こうして、紙幣処理装置10は、紙幣Aに適用されるべき要素1〜5のうち1以上の要素について「偽」と判定したため、言い換えれば、要素1〜5のうち判定結果が0となっている要素が存在したため、この紙幣を偽造券と判定する。なお、紙幣処理装置10は、要素1〜5の全ての要素について「真」と判定した場合、言い換えれば、要素1〜5の判定結果が全て1となっている場合、この紙幣を真券と判定する。
【0041】
タイプT2の場合、タイプT1の場合と同様に要素1〜3は真券と判断される構成となっており、要素4、5は紙幣に含まれていない。この場合、紙幣処理装置10は、要素1〜3について「真」と判定し、要素1〜3の各判定結果を「1」とする。また、紙幣処理装置10は、要素4、5について「偽」と判定し、要素4、5の各判定結果を「0」とする。こうして、紙幣処理装置10は、この紙幣を偽造券と判定する。
【0042】
タイプT3の場合、要素1〜3は真券と同様と判断するには不十分な構成となっており、要素4、5は紙幣に含まれていない。この場合、紙幣処理装置10は、要素1〜5について「偽」と判定し、要素1〜5の各判定結果を「0」とする。こうして、紙幣処理装置10は、この紙幣を偽造券と判定する。
【0043】
<データベースの構成>
図4(a)、(b)は、データベース32aを示す概念図である。なお、データベース32aは、便宜上、
図4(a)、(b)に示すように登録番号で関連付けて2つに分けて構成されているが、
図4(a)、(b)に示す構成が一体となるよう構成されても良い。
【0044】
図4(a)に示すように、データベース32aは、項目として、登録データを識別するための「登録番号」と、登録データがデータベース32aに登録された日付を示す「登録日」と、偽造券の「金種」と、偽造券の「記番号」と、要素1〜7の判定結果を示す「要素1〜7」と、要素1〜7の判定結果の組合せを示す「組合せ番号」と、真偽判定が行われた装置を示す「装置情報」と、を備える。また、
図4(b)に示すように、データベース32aは、項目として、要素画像1〜7のファイル名を示す「要素画像1〜7」と、可視光画像のファイル名を示す「可視光画像」と、を備える。データベース32aにおいて、1件の登録データは偽造券1枚に相当する。
【0045】
なお、組合せ番号は、要素1〜7の判定結果(1または0)の組合せを、個別に識別することができる番号である。要素画像1〜7と可視光画像のファイル本体は、記憶部32に記憶されている。要素画像1、3および4と可視光画像は、紙幣の両面に対応してそれぞれ2つのファイルが存在する。
【0046】
本実施の形態では、金種ごとに、
図4(a)、(b)に示す構成の登録データの群がデータベース32aに格納されている。
図4(a)に示す例には、要素1〜5のみが適用された金種の登録データが示されている。この金種の紙幣には要素6、7が適用されていないため、要素6、7の判定結果には「***」が格納されている。
【0047】
なお、本実施の形態では、後述のように、判定結果に「***」を格納する処理が、サーバ30ではなく、紙幣処理装置10側で行われる。これに代えて、判定結果に「***」を格納する処理がサーバ30側で行われても良い。
【0048】
<データベースへの登録>
次に、
図5と
図6(a)、(b)を参照して、偽造券登録モードにおいて登録データがデータベース32aに登録される手順について説明する。
【0049】
図5を参照して、ユーザが、情報処理装置20の入力部23を操作して偽造券登録モードを設定すると(S11)、情報処理装置20の制御部24は、偽造券登録モードを設定する指示を紙幣処理装置10に送信する。紙幣処理装置10の制御部16は、偽造券登録モードを設定する指示を受信すると(S21:YES)、ユーザにより入力部12を介して開始指示が入力されるのを待つ(S22)。開始指示が入力されると(S22:YES)、制御部16は、投入された偽造券を1枚ずつ繰り出して、偽造券ごとに、識別部16aによる識別処理および判定部16bによる判定処理を行う(S23)。
【0050】
ここで、識別部16aは、可視光画像に基づいて、金種の識別と記番号の取得を行う。判定部16bは、識別部16aにより得られた金種と、検出部19のセンサにより紙幣から読み取った検出信号とに基づいて、各要素に対する真偽の判定を行う。このように、判定部16bは、紙幣に適用された要素だけでなく、全ての要素(要素1〜7)に対して真偽の判定を行う。その後、制御部16は、取得データを記憶部17に記憶する際に、対象の金種に設定されていない要素に対する判定結果を「***」とする。
【0051】
全ての偽造券に対する処理が終わると、制御部16は、記憶部17に記憶した全ての取得データを情報処理装置20に送信する(S24)。情報処理装置20の制御部24は、併設された紙幣処理装置10から取得データを受信すると(S12:YES)、受信した取得データを記憶部25に記憶し、取得データを登録するための受け付けを行う(S13)。この受け付けにおいて、ユーザは、後述のように、適宜、各偽造券に対して記番号の修正を行うことが可能である。
【0052】
記番号の修正の後、ユーザにより登録操作が行われると(S14:YES)、制御部24は、記憶部25に記憶している取得データをサーバ30へ送信する(S15)。サーバ30の制御部31は、取得データを受信すると(S31:YES)、受信した取得データに登録番号と登録日を付与した登録データを、金種ごとに振り分けて、データベース32aに登録する(S32)。
【0053】
図6(a)、(b)は、それぞれ、
図5のS13において表示される偽造券登録画面110および記番号修正画面120の構成を示す図である。S13では、まず、
図6(a)の偽造券登録画面110が表示される。
【0054】
図6(a)を参照して、偽造券登録画面110は、偽造券リスト111と、画像領域112と、登録ボタン113と、を備える。偽造券リスト111は、取得データに含まれる金種と記番号とを、偽造券ごとにリスト形式で表示する。画像領域112は、取得データに含まれる可視光画像を表示する。ユーザは、可視光画像を確認する場合、偽造券リスト111の対象となる偽造券の項目をクリックする。これにより、
図6(a)に示すように対象となる偽造券の項目が反転表示され、画像領域112に対象となる偽造券の各面の可視光画像が表示される。さらに、ユーザは、記番号の修正を行う場合、偽造券リスト111の対象となる偽造券の項目をダブルクリックする。これにより、
図6(b)の記番号修正画面120が表示される。
【0055】
図6(b)を参照して、記番号修正画面120は、画像領域121と、テキストボックス122と、修正ボタン123と、閉じるボタン124と、を備える。画像領域121は、
図6(a)の偽造券リスト111でダブルクリックされた偽造券の各面の可視光画像を表示する。ユーザは、画像領域121の可視光画像から記番号を確認し、修正後の記番号をテキストボックス122に入力し、修正ボタン123をクリックする。これにより、修正後の記番号が、対象となる取得データの記番号に上書きされる。その後、ユーザは、閉じるボタン124をクリックして、記番号修正画面120を閉じる。これにより、再び、
図6(a)の偽造券登録画面110が表示される。その後、ユーザは、適宜、同様の操作を行って、偽造券の記番号を修正する。こうして、修正が必要な全ての偽造券に対して記番号の修正を行った後、ユーザは、偽造券登録画面110の登録ボタン113をクリックすることにより、登録操作を行う(
図5のS14:YES)。これにより、
図5のS15が実行され、取得データの登録が完了する。
【0056】
このように、本実施の形態では、取得データの記番号を可視光画像に応じて修正できるため、データベース32aに正確な記番号を登録することができる。これにより、データベース32aの登録データを参照する場合に、偽造に関する有益な情報として記番号を用いることができる。
【0057】
なお、情報処理装置20の制御部24は、併設された紙幣処理装置10から取得データを受信したときに(S12:YES)、S13、S14の処理を行わず、所定のタイミングで、取得データをサーバ30へ送信する処理(S15)を行っても良い。
【0058】
<データベースの検索>
次に、
図7(a)〜
図8を参照して、本店3のユーザが統計処理装置40を使用してデータベース32aを検索する手順について説明する。
【0059】
データベース32aの検索時には、まず、
図7(a)の検索設定画面130が統計処理装置40の表示部42に表示される。ユーザは、この検索設定画面130を介して、検索条件を入力する。
【0060】
図7(a)を参照して、検索設定画面130は、登録日領域131と、要素領域132と、その他領域133と、検索ボタン134と、を備える。ユーザは、登録日領域131のテキストボックスに、データベース32aから抽出したい登録データの登録日の範囲を入力する。また、ユーザは、要素領域132のテキストボックスに、データベース32aから抽出したい登録データの、要素1〜7に対する判定結果または組合せ番号を入力する。また、ユーザは、その他領域133のテキストボックスに、データベース32aから抽出したい登録データの、登録番号と、金種と、記番号と、装置情報のいずれか、もしくはすべてを入力する。
【0061】
図7(a)に示す例では、開始日と終了日のテキストボックスに、それぞれ“2015/01/28”と“2015/02/01”が入力され、金種のテキストボックスに、所定の金種が入力されている。また、要素2、3のテキストボックスに“1”が入力され、組合せ番号のテキストボックスに“12”が入力されている。なお、この金種においては、要素2、3の判定結果のみが“1”である組合せ番号は“12”である。
【0062】
なお、要素1〜7のテキストボックスに値が入力されると、組合せ番号のテキストボックスに自動的に値が入力されるよう、検索設定画面130が構成されても良い。たとえば、ユーザが要素2、3のテキストボックスに“1”を入力すると、対応する組合せ番号である“12”が、組合せ番号のテキストボックスに自動的に入力される。同様に、組合せ番号のテキストボックスに値が入力されると、要素1〜7のテキストボックスに自動的に値が入力されるよう、検索設定画面130が構成されても良い。
【0063】
ユーザは、検索条件の入力が終わると、検索ボタン134をクリックして検索を開始させる。これにより、統計処理装置40からサーバ30に検索条件が送信される。
【0064】
サーバ30の制御部31は、受信した検索条件に基づいてデータベース32aに格納された登録データに対して検索を実行し、検索結果を統計処理装置40に送信する。ここで送信される検索結果には、偽造券の画像が含まれておらず、画像以外の登録データが含まれる。こうして送信された検索結果に基づいて、
図7(b)の検索結果画面140が統計処理装置40の表示部42に表示される。
【0065】
図7(b)を参照して、検索結果画面140は、検索条件領域141と検索結果リスト142を備える。検索条件領域141は、検索設定画面130で設定された検索条件を表示する。検索結果リスト142は、サーバ30から受信された検索結果を、偽造券ごとに(登録番号ごとに)リスト形式で表示する。
図7(b)は、
図7(a)に示すように検索条件が設定され、検索ボタン134がクリックされた場合に表示される検索結果画面140を示している。
図7(b)を参照すると、金種と登録日で絞り込まれた偽造券のうち、さらに要素2、3の判定結果が“1”である偽造券が表示されていることが確認できる。また、要素2、3の判定結果が“1”である場合の組合せ番号は“12”であることも確認できる。
【0066】
ユーザは、偽造券の画像を表示させたい場合、検索結果リスト142の対象となる偽造券の項目をダブルクリックする。これにより、当該偽造券の画像の送信要求が、統計処理装置40からサーバ30に送信される。サーバ30は、受信した送信要求に応じて、当該偽造券の画像をデータベース32aから抽出し、抽出した画像を統計処理装置40に送信する。これにより、
図8に示す登録データ画面150が表示される。
【0067】
図8を参照して、登録データ画面150は、データリスト151と、画像領域152a〜152hと、を備える。データリスト151は、
図7(b)の検索結果画面140でダブルクリックされた偽造券の情報を表示する。画像領域152a〜152hは、それぞれ、可視光画像と、要素画像1〜7とを表示する。なお、画像領域152a〜152eには、それぞれ、真券から取得される可視光画像と要素画像1〜4とが参照画像として表示されている。
図8は、
図7(b)において登録番号3の偽造券の項目がダブルクリックされた場合に表示される登録データ画面150を示している。
【0068】
<指標情報の表示>
次に、
図9〜
図11を参照して、本店3のユーザが統計処理装置40を使用してデータベース32aに基づいて集計された情報を閲覧する手順について説明する。
【0069】
まず、
図9を参照して、処理手順について説明する。統計処理装置40の制御部44は、表示部42に後述する集計設定画面160を表示し、集計条件の設定を受け付ける(S101)。集計条件の設定が完了すると、制御部44は、集計条件をサーバ30に送信する(S102)。
【0070】
サーバ30の制御部31は、統計処理装置40から集計条件を受信すると(S111:YES)、受信した集計条件に含まれる金種と登録日に基づいて、データベース32aに格納された登録データを抽出し(S112)、抽出結果を統計処理装置40に送信する(S113)。
【0071】
統計処理装置40の制御部44が、サーバ30から抽出結果を受信すると(S103:YES)、制御部44の統計処理部44aは、受信した抽出結果に基づいて、要素に対する真偽の判定結果を統計処理することにより、紙幣に適用されている各要素の偽造に対する有効性を、数値化された指標情報として生成する(S104)。そして、制御部44は、統計処理部44aが生成した指標情報を、表示部42に表示する(S105)。
【0072】
次に、閲覧手順の詳細について、
図10(a)〜
図11を参照して説明する。
【0073】
図10(a)は、
図9のS101で表示される集計設定画面160の構成を示す図である。集計設定画面160は、選択ボタン161〜163と、設定期間領域164と、テキストボックス165と、登録日領域166と、表示ボタン167と、を備える。選択ボタン161〜163は、何れか1つが選択可能である。設定期間領域164は、選択ボタン163が選択された場合に有効になる。
【0074】
ユーザは、集計内容に応じて選択ボタン161〜163のうち1つを選択する。選択ボタン163を選択した場合、ユーザは、さらに、設定期間領域164の3つの選択ボタンのうち1つを選択する。また、ユーザは、テキストボックス165に、集計の対象とする金種を入力し、登録日領域166のテキストボックスに、集計したい登録データの登録日の範囲を入力する。
【0075】
図10(a)に示す例では、選択ボタン161が選択されている。また、テキストボックス165に、所定の金種が入力され、開始日と終了日のテキストボックスに、それぞれ“2006/01/01”と“2014/12/31”が入力されている。
【0076】
ユーザは、集計条件の入力が終わると、表示ボタン167をクリックして集計を開始させる。これにより、集計条件がサーバ30に送信される。サーバ30の制御部31は、集計条件に含まれる金種と、集計条件に含まれる登録日の範囲とに基づいて、これに合致する登録データをデータベース32aから抽出し、抽出結果(登録データ)を統計処理装置40に送信する。そして、統計処理装置40の統計処理部44aは、抽出された登録データに基づいて、
図10(a)の選択ボタン161〜163のうち選択された項目の統計処理を行う。
【0077】
選択された項目が“組合せごとの登録件数”(選択ボタン161)である場合、統計処理部44aは、組合せごとの登録件数と登録割合を集計する。具体的には、統計処理部44aは、抽出された登録データを組合せ番号ごとに計数して、組合せごとの登録件数を取得する。また、統計処理部44aは、抽出された登録データの総数(登録総数)を取得する。続いて、統計処理部44aは、組合せごとの登録件数が登録総数に占める割合を算出して、組合せごとの登録割合(登録総数に占める割合)を取得する。
【0078】
選択された項目が“要素ごとの登録件数”(選択ボタン162)である場合、統計処理部44aは、要素ごとの登録件数と登録割合を集計する。具体的には、統計処理部44aは、抽出された登録データにおいて、判定結果がそれぞれ1となっているものの数を要素1〜7のそれぞれについて計数することにより、要素ごとの登録件数を取得する。また、統計処理部44aは、抽出された登録データの総数(登録総数)を取得する。続いて、統計処理部44aは、要素ごとの登録件数が登録総数に占める割合を算出して、要素ごとの登録割合(登録総数に占める割合)を取得する。
【0079】
選択された項目が“要素ごとの有効率の推移”(選択ボタン163)である場合、統計処理部44aは、要素ごとの有効率を集計する。具体的には、統計処理部44aは、まず、集計条件に含まれる登録日の範囲(登録日領域166)を、集計条件に含まれる設定期間(設定期間領域164の年、月または日)に応じて分割し、分割した設定期間ごとに、抽出された登録データをグループに分ける。
【0080】
続いて、統計処理部44aは、各グループの登録データにおいて、判定結果が1となっているものの数を要素1〜7のそれぞれについて計数することにより、各設定期間における要素ごとの登録件数(当該要素の登録件数)を取得する。また、統計処理部44aは、各グループの登録データを計数することにより、各設定期間における登録データの総数(当該登録総数)を取得する。続いて、統計処理部44aは、各設定期間において要素ごとに、以下の式(1)により有効率を算出する。
【0081】
有効率=100−{(当該要素の登録件数)/(当該登録総数)}×100 …(1)
【0082】
次に、統計処理部44aは、上記のような統計処理を行った後、選択ボタン161〜163により選択された項目の内容に応じて、以下に述べるように、紙幣の各要素の偽造に対する有効性を、数値化された指標情報として生成する。そして、制御部44は、生成された指標情報を表示する。
【0083】
選択された項目が“組合せごとの登録件数”(選択ボタン161)である場合、統計処理部44aは、組合せ一覧画面170を指標情報として生成し、制御部44は、組合せ一覧画面170を表示部42に表示する。
【0084】
図10(b)を参照して、組合せ一覧画面170は、集計条件領域171と集計結果リスト172を備える。集計条件領域171は、集計設定画面160で設定された集計条件を表示する。集計結果リスト172は、統計処理で取得された組合せごとの登録件数と登録割合とをリスト形式で表示する。集計結果リスト172の表示内容は、登録件数の多さと登録総数に占める割合の大きさの順に上から下に向かって並べられている。
【0085】
選択された項目が“要素ごとの登録件数”(選択ボタン162)である場合)、統計処理部44aは、要素一覧画面180を指標情報として生成し、制御部44は、要素一覧画面180を表示部42に表示する。
【0086】
図10(c)を参照して、要素一覧画面180は、集計条件領域181と集計結果リスト182を備える。集計条件領域181は、集計設定画面160で設定された集計条件を表示する。集計結果リスト182は、統計処理で取得された要素ごとの登録件数と登録割合とをリスト形式で表示する。集計結果リスト182の表示内容は、登録件数の多さと登録総数に占める割合の大きさの順に上から下に向かって並べられている。
【0087】
選択された項目が、“要素ごとの有効率の推移”(選択ボタン163)である場合、統計処理部44aは、要素ごとの有効率の推移に関する推移画面190を指標情報として生成し、制御部44は、推移画面190を表示部42に表示する。
【0088】
図11を参照して、推移画面190は、集計条件領域191とグラフ領域192を備える。集計条件領域191は、集計設定画面160で設定された集計条件を表示する。グラフ領域192は、統計処理で取得された各設定期間における要素ごとの有効率を示すグラフを表示する。グラフの縦軸は、要素の有効率を示し、グラフの横軸は、
図10(a)の登録日領域166で設定された登録日の範囲を時系列で示している。また、グラフの横軸の目盛り間隔は、
図10(a)の設定期間領域164で設定された設定期間(設定期間領域164の年、月または日)に対応している。
図11には、設定期間領域164の“年”が選択されたことにより、横軸の目盛り間隔が1年とされた場合の画面が表示されている。
【0089】
なお、
図10(b)の組合せ一覧画面170において、ユーザが集計結果リスト172の組合せ番号の項目をダブルクリックすると、ダブルクリックされた組合せ番号で絞り込まれた登録データの一覧が表示される。具体的には、統計処理装置40は、集計条件領域171の集計条件と、選択された組合せ番号とを含む新たな検索条件を設定する。そして、統計処理装置40は、新たな検索条件に基づいて、組合せ一覧画面170の生成時にサーバ30から受信した登録データを絞り込み、絞り込んだ結果に基づいて、表示部42に、
図12(a)に示す検索結果画面140を表示する。
図12(a)は、
図10(b)の集計結果リスト172において、組合せ番号が6の項目がダブルクリックされた場合の検索結果画面140を示している。
【0090】
また、
図10(c)の要素一覧画面180において、ユーザが集計結果リスト182の要素の項目をダブルクリックすると、ダブルクリックされた要素で絞り込まれた登録データの一覧が表示される。具体的には、統計処理装置40は、集計条件領域181の集計条件と、選択された要素とを含む新たな検索条件を設定する。そして、統計処理装置40は、新たな検索条件に基づいて、要素一覧画面180の生成時にサーバ30から受信した登録データを絞り込み、絞り込んだ結果に基づいて、表示部42に、
図12(b)に示す検索結果画面140を表示する。
図12(b)は、
図10(c)の集計結果リスト182において、要素が4の項目がダブルクリックされた場合の検索結果画面140を示している。
【0091】
このように、組合せ一覧画面170と要素一覧画面180から絞り込みを行うことができると、組合せ一覧画面170と要素一覧画面180に表示された情報に関連する登録データを、少ない手順で容易に確認することができる。
【0092】
<実施形態の効果>
本実施の形態によれば、紙幣に適用されている真偽判定のための要素の偽造に対する有効性が、数値化された指標情報として表示される。具体的には、指標情報として、組合せ一覧画面170と、要素一覧画面180と、推移画面190が、表示される。これらの画面は、以下に述べるように、何れも紙幣の各要素の偽造に対する有効性を示すものである。このため、ユーザは、指標情報を参照することにより、紙幣に施された要素が偽造防止に有効であるか否かを定量的に判断できる。
【0093】
たとえば、本実施の形態では、
図10(c)に示す集計結果リスト182が、指標情報として統計処理装置40の表示部42に表示される。ここで、集計結果リスト182は、要素ごとに登録件数と登録割合を示しており、また、登録件数の多さおよび登録割合の大きさの順に各要素が順位づけされるように、各要素が上から下に向かって並べられている。
【0094】
したがって、集計結果リスト182においては、相対的に判定結果が1となり易い要素、すなわち、真偽判定に有効でない要素ほど上方に位置し、相対的に判定結果が0となり易い要素、すなわち、真偽判定に有効である要素ほど下方に位置する。また、各要素の登録割合から各要素の偽造に対する相対的な有効性の比較(要素間の有効性の比較)を評価でき、また、各要素の登録件数から各要素の絶対的な有効性(当該要素の有効性)を評価できる。よって、ユーザは、集計結果リスト182を参照することにより、各偽造防止要素の真偽判定に対する有効性を把握することができる。
【0095】
また、本実施の形態によれば、
図11に示すグラフ領域192に、各要素の有効率の遷移を示すグラフが、指標情報として表示される。グラフ領域192に表示される各要素のグラフは、上記式(1)の演算により、当該要素の判定結果が1となり易いほど、すなわち、真偽判定に有効でない要素ほど、有効性は0%に近づく。したがって、ユーザは、グラフ領域192に表示される各要素の有効性のグラフから、各要素の真偽判定に対する有効性の状態、すなわち、現在の有効性や、有効性が急激に低下しているか否か等を把握することができる。
【0096】
また、本実施の形態によれば、
図10(b)に示す集計結果リスト172が、指標情報として統計処理装置40の表示部42に表示される。ここで、集計結果リスト172は、組合せ番号ごとに登録件数と登録割合を示しており、また、登録件数の多さおよび登録割合の大きさの順に各組合せ番号が順位付けされるように、各組合せ番号が上から下に向かって並べられている。
【0097】
ここで、集計結果リスト172においては、下へ向かうほど、組合せ番号に対応する各要素の判定結果の組合せについての登録件数が少ない。たとえば、
図13の例において、組合せ番号28は、
図13の右表のように、要素1〜5の真偽判定結果が、それぞれ、1、1、1、0、0であり、この組合せ(1、1、1、0、0)で真偽判定がなされた偽造券は、
図13の集計結果リスト172では、僅か5枚しかデータベース32aに登録されていない。このように偽造券の登録件数が少ないことは、その組合せによる偽造券が出回っていないということであるので、その組合せにより、偽造に対するセキュリティ能力が高くなっていると評価できる。したがって、集計結果リスト172においては、下方の組合せ番号ほどセキュリティ能力が高いと考えられる。
【0098】
この場合、セキュリティ能力は、組合せられた真偽判定結果のうち、特に判定結果が0となっている要素、すなわち、真偽判定に有効な要素によって確保されていると評価できる。たとえば、
図13の例において、組合せ番号28が下方に位置するのは、判定結果が0である要素4、5によるものであり、これら要素4、5は、特に真偽判定に有効であり、これら要素4、5によって偽造に対するセキュリティ能力が確保されていると評価できる。
【0099】
ここで、一般に、下方の組合せ番号で判定結果が0となっている要素は、それ単独でも、真偽判定に対する有効性が高いと考えられる。たとえば、
図13の例において、組合せ番号28で判定結果が0である要素4、5は、
図10(c)に示すように、それ単独でも真偽判定に対する有効性が高い。しかしながら、要素単独での有効性は高くないが、他の要素と組合せると相乗的に有効性が高まるといった要素もあり得る。
【0100】
たとえば、
図13の例において、組合せ番号21は、組合せ番号28の一つ上に位置しており、偽造に対するセキュリティ能力が高い。この場合、組合せ番号21において判定結果が0であるのは要素2、4であるが、
図10(c)に示すように、要素2はそれ単独では真偽判定に対する有効性が低い。しかしながら、要素2に要素4を組合せた場合には、
図13に示すように、偽造に対するセキュリティ能力が高くなっている。このように、集計結果リスト172は、各要素の組合せにより偽造に対するセキュリティ能力が高まるか否かを評価する際の指標情報として利用できる。
【0101】
たとえば、紙幣の改刷の際に、要素4、5を採用するとコストが嵩むが、要素2、4を採用するとコストが抑えられるような場合は、
図13の集計結果リスト172に基づいて、セキュリティ能力が確保され得る要素2、4の組合せを、改札の採用候補として検討することができる。
【0102】
また、本実施の形態によれば、
図4(b)に示すように、データベース32aの登録データは、要素画像1〜7と可視光画像のファイル名を含んでいる。また、ユーザにより検索結果画面140の偽造券の項目がダブルクリックされると、表示部42に、これらの画像を含む登録データ画面150が表示される。これにより、ユーザは、要素1〜7に対する真偽判定にそれぞれ用いられた要素画像1〜7を確認することができる。また、ユーザは、偽造券に対応する可視光画像を確認することができる。
【0103】
<変更例>
上記実施の形態では、
図4(a)に示すように、データベース32aの登録データにおいて、金種に適用されていない要素に対する判定結果には「***」が格納されたが、これに代えて、金種に適用されていない要素に対する判定結果もデータベース32aに格納されるようにしても良い。この場合、
図10(c)と
図11には、金種に適用されていない要素も表示に含められ、また、
図10(b)の組合せ番号の数が実施の形態に比べて増加する。
【0104】
たとえば、上記実施の形態では、
図4(a)に示すように要素6、7がマスクされ、要素1〜5について真偽の判定結果の組合せが設定された。このため、実施の形態において生じ得る組合せ番号の総数は、2
5−1=31である。これに対し、マスクされていた要素6、7にも判定結果が付されると、生じ得る組合せ番号の総数は、2
7−1=127となる。
【0105】
なお、この変更例では、金種に適用されていない要素の判定結果についても表示がなされるが、金種に適用されていない要素の判定結果について表示を行うか否かを設定するための画面が別途設けられても良い。こうすると、ユーザは、金種に適用されていない要素を評価対象とするか否かに応じて、要素の判定結果の表示を行うことができる。
【0106】
また、上記実施の形態では、
図10(a)の選択ボタン162が選択された場合に、判定結果が1となっている数が要素ごとに計数されて、要素ごとの登録件数が取得された。しかしながら、これに限らず、判定結果が0となっている数が要素ごとに計数されることにより、要素ごとの登録件数が取得されても良い。この場合の集計結果リスト182に並ぶ要素は、上記実施の形態とは上下逆方向に並ぶことになる。
【0107】
また、上記実施の形態では、
図10(a)の選択ボタン163が選択された場合に、判定結果が1となっている数が要素ごとに計数されて、各設定期間における要素ごとの登録件数が取得された。しかしながら、これに限らず、判定結果が0となっている数が要素ごとに計数されることにより、各設定期間における要素ごとの登録件数が取得されても良い。この場合、上記式(1)によって算出される値は、有効率ではなく“無効率”となり、
図11のグラフの推移は、上記実施の形態から上下方向に反転されたものとなる。
【0108】
また、上記実施の形態では、
図10(a)の選択ボタン163が選択された場合に、判定結果が1となっている数が要素ごとに計数されて上記式(1)により有効率が算出されたが、これに代えて、判定結果が1となっている数が要素ごとに計数されて以下の式(2)により“無効率”が算出されても良い。この場合、
図11のグラフの推移は、上記実施の形態から上下方向に反転されたものとなる。
【0109】
無効率={(当該要素の登録件数)/(当該登録総数)}×100 …(2)
【0110】
また、上記実施の形態では、
図11の推移画面190には、各設定期間における要素ごとの有効率を時系列で示すグラフが表示されたが、これに限らず、各設定期間における要素ごとの登録件数や登録割合を時系列で示すグラフが表示されても良い。また、推移画面190には、各設定期間における要素ごとの有効率が数値として時系列で一覧表示されても良い。
【0111】
また、上記実施の形態では、
図10(b)の組合せ一覧画面170には、組合せごとの登録件数と登録割合がリスト形式で表示されたが、これに限らず、組合せごとの登録件数と登録割合の推移を時系列で示すグラフが表示されても良い。また、
図10(c)の要素一覧画面180には、要素ごとの登録件数と登録割合がリスト形式で表示されたが、これに限らず、要素ごとの登録件数と登録割合の推移を時系列で示すグラフが表示されても良い。これらの場合、
図10(a)の設定期間領域164は、選択ボタン161、162が選択された場合にも有効とされ、組合せ一覧画面170と要素一覧画面180に表示するグラフの設定期間が設定される。
【0112】
また、上記実施の形態では、組合せ一覧画面170には、組合せごとの登録件数と登録割合が表示されたが、これに限らず、組合せごとの有効率が算出され、算出された組合せごとの有効率を時系列で示すグラフが表示されても良い。組合せごとの有効率は、各設定期間において、たとえば以下の式(3)により算出される。
【0113】
有効率=100−{(当該組合せの登録件数)/(当該登録総数)}×100 …(3)
【0114】
また、上記実施の形態では、
図10(a)に示す選択ボタン161〜163の何れか1つが選択されることにより、組合せ一覧画面170と、要素一覧画面180と、推移画面190の何れか1つが表示された。しかしながら、これに限らず、選択ボタン161〜163のうち複数の選択ボタンが選択可能であっても良い。複数の選択ボタンが選択された場合、選択されたボタンに対応する複数の集計結果を含む画面が、表示部42に表示される。また、選択ボタン161〜163を省略しても良い。この場合、表示ボタン167がクリックされると、選択ボタン161〜163に対応する全ての集計結果を含む画面が、表示部42に表示される。
【0115】
また、上記実施の形態では、集計設定画面160において1つの金種が選択され、選択された1つの金種について行われた集計結果が、組合せ一覧画面170と、要素一覧画面180と、推移画面190に表示された。しかしながら、これに限らず、集計設定画面160において複数または全ての金種が選択されることにより、選択された複数または全ての金種についてまとめて行われた集計結果が表示されても良い。
【0116】
また、上記実施の形態では、金種ごとに登録データの群がデータベース32aに格納されたが、これに限らず、全ての金種が1つのデータベース32aに格納されても良い。
【0117】
また、上記実施の形態では、統計処理装置40は、本店3にのみ設置されたが、支店2に設置されても良い。この場合、支店2に設置されたHUB50に、統計処理装置40が通信可能に接続される。これにより、支店2のユーザも、支店2に設置された統計処理装置40を用いることにより、サーバ30と通信を行って検索結果と集計された情報とを閲覧できる。
【0118】
また、上記実施の形態では、紙幣処理装置10は、動作モードが偽造券登録モードのときに限り、偽造券に関する取得データを情報処理装置20に送信したが、これに限らず、動作モードが通常モードの場合にも、偽造券に関するデータを取得して取得データを生成し、生成した取得データを情報処理装置20に送信しても良い。こうすると、動作モードが通常モードの場合にも、上記実施の形態と同様、データベース32aに登録データを登録することができる。
【0119】
また、上記実施の形態では、サーバ30が、集計条件に含まれる金種と登録日に基づいて登録データを抽出し、統計処理装置40の統計処理部44aが、抽出結果に基づいて統計処理を行って指標情報を生成した。しかしながら、これに限らず、サーバ30が、登録データの抽出に加えて、統計処理と指標情報の生成とを行っても良い。
【0120】
また、上記実施の形態では、指標情報は、統計処理装置40の表示部42に表示されたが、これに限らず、他の装置の表示部に表示されても良い。たとえば、サーバ30に設けられた表示部に表示されても良い。
【0121】
また、上記実施の形態では、サーバ30と統計処理装置40は、別々の装置として構成されたが、1台の装置として構成されても良い。また、紙幣処理装置10と情報処理装置20は、別々の装置として構成されたが、1台の装置として構成されても良い。また、紙幣処理装置10と、情報処理装置20と、サーバ30と、統計処理装置40とが、1台の装置として構成されても良い。
【0122】
また、上記実施の形態では、情報処理システム1は、紙幣に関する情報を処理したが、これに限らず、商品券、小切手、クーポン券等の、紙幣以外の紙葉類(金券類)に関する情報を処理しても良い。
【0123】
以上、本発明の実施の形態および変更例について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記以外に種々の変更が可能である。