(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、上述の給湯器について、例示的な実施形態を挙げて説明する。
(1)第一実施形態
まず、第一実施形態について説明する。
【0012】
[給湯器の構成]
図1に示すように、給湯器1は、図示しない出湯箇所にある給湯栓や浴槽3などへ湯を供給する給湯機能と、浴槽3内にある湯の保温及び追い焚きを行うふろ機能とを備える装置である。
【0013】
給湯器1は、給湯燃焼室5及びふろ燃焼室6を有する。給湯燃焼室5内には、給湯バーナ11、給湯一次熱交換器12A、給湯二次熱交換器12B、給湯点火プラグ13、及び給湯フレームロッド14などが配設されている。また、ふろ燃焼室6内には、ふろバーナ15、ふろ一次熱交換器16A、ふろ二次熱交換器16B、ふろ点火プラグ17、ふろフレームロッド18、及びふろ燃焼室サーミスタ19などが配設されている。
【0014】
給湯一次熱交換器12Aは、給湯バーナ11での燃焼に伴って発生する高温の排気中から主に顕熱を回収する熱交換器である。給湯二次熱交換器12Bは、給湯一次熱交換器12Aでの熱交換に伴って温度が低下した排気中から主に潜熱を回収する熱交換器である。ふろ一次熱交換器16Aは、ふろバーナ15での燃焼に伴って発生する高温の排気中から主に顕熱を回収する熱交換器である。ふろ二次熱交換器16Bは、ふろ一次熱交換器16Aでの熱交換に伴って温度が低下した排気中から主に潜熱を回収する熱交換器である。
【0015】
給湯二次熱交換器12B及びふろ二次熱交換器16Bでは、相応に相対湿度が高い排気から更に熱を奪う。そのため、排気中の水蒸気が凝縮してドレン(凝縮水)が発生する。このドレンを処理するため、給湯器1には、ドレン排水管20A,20B、中和器21、及びドレンパン22が設けられている。ドレンパン22によって集められたドレンは、ドレン排水管20Aを介して中和器21へと流入する。中和器21は、窒素酸化物や硫黄酸化物を含有する酸性のドレンを中和するために設けられたものである。中和器21の内部には、ドレンを中和させる中和剤(例えば、炭酸カルシウム)が充填されている。また、中和器21の内部には、中和器21内の水位が上限値を超えたときにオフからオンに切り替わる中和器水位電極21Aが設けられている。中和器21から流出する中和後のドレンはドレン排水管20Bを介して器外へ排出される。
【0016】
また、給湯器1は、燃焼ファン23を有し、ファンモータ23Aによって燃焼ファン23を回転駆動することにより、給湯燃焼室5及びふろ燃焼室6への給気ができるように構成されている。給湯燃焼室5及びふろ燃焼室6の上部には、排気トップ24が設けられ、排気トップ24を介して給湯燃焼室5及びふろ燃焼室6の外部へ排気ができる構造とされている。また、給湯燃焼室5の近傍には、周囲が異常な高温状態となったときに溶断することで給湯器1の作動を強制停止させる過熱防止装置25が付設されている。
【0017】
また、給湯器1は、給湯バーナ11及びふろバーナ15へのガス供給路となるガス供給管26を備えている。このガス供給管26は、上流端側がガス供給源(例えば、都市ガス内管やプロパンガス用配管等)に接続された本管260、及び本管260から分岐した支管261,262,263,264によって構成され、支管261〜264を介して給湯バーナ11及びふろバーナ15へガスを供給可能に構成されている。ガス供給管26において、本管260には元ガス電磁弁27及びガス比例弁28が設けられている。支管261〜264には給湯ガス電磁弁291,292,293、及びふろガス電磁弁294が設けられている。
【0018】
さらに、給湯器1には、給湯機能用の配管として、給湯二次熱交換器12Bへの入水路をなす給水管30、給湯一次熱交換器12Aからの出湯路をなす出湯管31、及び給水管30の流路途中から分岐して出湯管31へと連通するバイパス管32が設けられている。また、ふろ機能用の配管として、浴槽3内の湯をふろ二次熱交換器16Bへと戻すふろ戻り流路をなすふろ戻り配管33、及びふろ一次熱交換器16Aから浴槽3へのふろ往き流路をなすふろ往き配管34が設けられている。これらふろ戻り配管33及びふろ往き配管34は、浴槽3からふろ二次熱交換器16B、ふろ一次熱交換器16Aを経て浴槽3へと戻る循環流路の一部を形成している。出湯管31とふろ戻り配管33との間には、出湯管31の流路途中から分岐してふろ戻り配管33の流路途中に連通する分岐管35が設けられている。
【0019】
これらの配管のうち、給水管30は、その上流端側が水供給源(例えば、水道管)に接続されている。給水管30の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、上流端側から順に、上流側から下流側へと流れる水を濾過するストレーナ36、給水管30内を流れる水量を検出する給湯水量センサ37(本明細書でいう流量検知部の一例に相当。)、給湯一次熱交換器12Aへ流れる水の温度を検出する給湯入水サーミスタ38、及び給水管30内を流れる水量を増減制御する水量制御モータ39などが設けられている。
【0020】
出湯管31は、その下流端側が配管を介して出湯箇所に接続される。出湯管31の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、上流端側から順に、空だきを感知した際に給湯器1を強制停止させるための給湯空だき安全装置40、給湯一次熱交換器12Aから流出する湯の温度を検出する給湯熱交換器サーミスタ41、出湯管31とバイパス管32の合流点よりも下流側において湯の温度を検出する給湯出湯サーミスタ42、出湯管31内の圧力が過大になったときに作動して圧力を逃がす過圧逃がし弁兼水抜栓43、及び出湯停止時に発生する水撃作用を緩和する水撃緩衝弁44などが設けられている。バイパス管32には、バイパス管32内を流れる水量を増減制御するバイパス制御モータ45が設けられている。
【0021】
分岐管35は、出湯管31側を上流側として下流側にあるふろ戻り配管33への給湯路を形成する配管である。分岐管35の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、分岐管35を介して浴槽3へ給湯を行う際に開弁される落とし込み水電磁弁46、分岐管35を流れる水量を検出するふろ水量センサ47、及び分岐管35における逆流を阻止する逆止弁48A,48Bなどが設けられている。分岐管35には縁切弁49が設けられ、上水側(給水管30側)の水圧低下等に起因して、分岐管35よりも下流側となるべき流路から上流側となるべき流路へ水を吸い上げてしまうような負圧が生じた際には、縁切弁49が開くことで、分岐管35を介して水が逆流するのを防止している。
【0022】
ふろ戻り配管33は、上流端側がバスアダプタ50を介して浴槽3に取り付けられている。ふろ戻り配管33の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、浴槽3から流入する湯の温度を検出するふろ戻りサーミスタ51、ふろ戻り配管33において上流側から下流側へ湯を圧送するポンプ52、ふろ戻り配管33内を水(湯)が流れたことを検出するふろ水流スイッチ53、及びふろ戻り配管33内の圧力に基づいて浴槽3内の水位を検出する水位センサ54などが設けられている。
【0023】
ちなみに、ふろ戻り配管33は、浴槽3内の湯をふろ二次熱交換器16Bへと圧送する際には、上述の通り、バスアダプタ50側が上流端、ふろ二次熱交換器16B側が下流端となる配管であるが、分岐管35を介して浴槽3への給湯を行う際には、ふろ戻り配管33と分岐管35との合流点からバスアダプタ50側へ向かって湯が逆向きに流れる状態になる。
【0024】
ふろ往き配管34は、下流端側がバスアダプタ50を介して浴槽3に取り付けられている。ふろ往き配管34の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、空だきを感知した際に給湯器1を強制停止させるためのふろ空だき安全装置55、ふろ一次熱交換器16Aから流出する湯の温度を検出するふろ往きサーミスタ56が設けられている。
【0025】
また、給湯器1が備える各種配管には、水抜き栓57A,57B,57C,57E,57Fが設けられ、これらの水抜き栓57A〜57Fを開くことで、配管内の水を器外へ排出可能に構成されている。
【0026】
加えて、給湯器1は、給湯機能やふろ機能の作動状態を制御するためのコントローラ60(本明細書でいう制御部の一例に相当。)、浴室外に配設される給湯リモコン61、及び浴室内に配設されるふろリモコン62を備えている。コントローラ60は、CPU,ROM,RAMなどを備えたマイクロコンピュータを内蔵しており、上述した各種センサ(給湯フレームロッド14、ふろフレームロッド18、給湯入水サーミスタ38、給湯熱交換器サーミスタ41、給湯出湯サーミスタ42、ふろ戻りサーミスタ51、ふろ往きサーミスタ56等。)から情報を入力するとともに、上述した各種電磁弁(元ガス電磁弁27、ガス比例弁28、給湯ガス電磁弁291〜293、ふろガス電磁弁294、落とし込み水電磁弁46等。)、各種モータ(ファンモータ23A、水量制御モータ39、バイパス制御モータ45)、ポンプ52などの作動を制御する。
【0027】
また、コントローラ60は、長期使用状態に至った場合に、その旨の履歴情報を不揮発性メモリ(本明細書でいう履歴記憶部の一例に相当。)に記憶するように構成されている。なお、本実施形態の場合、給湯器1が使用開始から保守・点検を受けないまま10年以上にわたって使われている場合、あるいは最後に保守・点検を受けてから10年以上にわたって使われている場合に、長期使用状態に至ったと判断されて、その旨の履歴情報が不揮発性メモリに記憶される。
【0028】
給湯リモコン61及びふろリモコン62は、双方とも利用者からの入力操作を受け付ける入力部と利用者に対する情報表示や音出力を行う出力部などのユーザーインターフェースを備え、入力部から入力された情報がコントローラ60へ伝達されるとともに、コントローラ60から伝達される情報に基づいて出力部から情報表示や音出力を行う仕組みになっている。入力部には、給湯器1を運転状態にするか運転停止状態にするかを切り替え可能な運転スイッチを含む複数のスイッチが設けられている。
【0029】
給湯リモコン61及びふろリモコン62から出力される音としては、利用者に対して注意喚起するための警報音又は警報メッセージ、各種スイッチが操作された際に出力される受付音などがある。また、給湯リモコン61及びふろリモコン62は、給湯リモコン61とふろリモコン62との間で利用者が通話を実行可能に構成されている。給湯リモコン61及びふろリモコン62のうち、いずれか一方のリモコンにおいて利用者が通話を開始するための操作を行うと、他方のリモコンにおいては呼び出し音が出力される。この呼び出し音に応じて、他方のリモコンにおいて所定の操作を行うと、給湯リモコン61とふろリモコン62との間で通話を開始することができる。
【0030】
[給湯操作時の作動状態]
次に、利用者が給湯操作を行ったときの給湯器1の作動状態について、その概要を説明する。利用者が出湯箇所にある給湯栓を開くと、水入口より流入した水は、給湯水量センサ37、給湯二次熱交換器12Bを経て給湯一次熱交換器12Aへと向かう。このとき、給湯水量センサ37からは、流速に応じた周波数の信号が出力され、この信号が規定周波数に達したことをコントローラ60が感知すると、コントローラ60はファンモータ23Aを制御して燃焼ファン23を回転させる。
【0031】
燃焼ファン23が回転してプリパージ動作が行われた後、元ガス電磁弁27と給湯ガス電磁弁291〜293が同時に開かれ、ガス比例弁28が緩点火動作となり、給湯バーナ11にガスが供給される。これと同時に給湯点火プラグ13から連続的に放電して給湯バーナ11に点火する。点火後、給湯フレームロッド14にて炎を検知し燃焼していることを確認したら緩点火動作を終了する。
【0032】
緩点火動作を終了すると、続いて比例制御が開始される。給湯出湯サーミスタ42で検出した湯温と利用者が任意に設定する設定温度との間に差があると、そのことをコントローラ60が判断し、給湯ガス電磁弁291〜293の開閉及びガス比例弁28によって、ガス量を連続的に変化させて出湯温度を一定に保つ。また、水量制御モータ39により適切な水量に調節を行うため、常に最大能力の出湯量を確保する。このとき、コントローラ60からは、ガス比例弁28によるガス量の変化に応じて、ファンモータ23Aへ信号が送られ、これにより、常にガス量と空気量の関係が一定に保たれる。
【0033】
以上のような給湯が行われている状況において、利用者が給湯栓を閉じると、給湯水量センサ37からの周波数の信号がなくなるので、コントローラ60は、元ガス電磁弁27、給湯ガス電磁弁291〜293を閉じて消火し、ポストパージ動作に入る。その後、ポストパージ動作がタイムアップすると、燃焼ファン23は停止する。
【0034】
[ふろ操作時の作動状態]
次に、利用者がふろ操作を行ったときの給湯器1の作動状態について、その概要を説明する。利用者が給湯リモコン61又はふろリモコン62の自動スイッチを押すと、落とし込み水電磁弁46がオンとされ、給湯水量センサ37がオンとなって給湯燃焼動作を開始する。湯は、逆止弁48A,48B、ふろ水量センサ47を通って浴槽3に給湯される。その後、ふろ水量センサ47で検出した水量が設定水量になれば、落とし込み水電磁弁46がオフとされ、給湯水量センサ37がオフとなって給湯燃焼が止まる。
【0035】
次に、ポンプ52が作動し、湯の循環を始める。湯が循環していることはふろ水流スイッチ53によって検出される。このとき、ふろ戻りサーミスタ51で感知した温度が設定温度以下であれば、コントローラ60はファンモータ23Aを制御して燃焼ファン23を回転させる。燃焼ファン23が回転し、回転数の信号がコントローラ60に伝えられたら、その後、元ガス電磁弁27、ふろガス電磁弁294が開かれ、ふろバーナ15にガスが供給されるのと同時にふろ点火プラグ17から連続的に放電する。
【0036】
ふろバーナ15に点火すると、ふろフレームロッド18により炎を感知し、点火プラグによる放電を停止し、ふろの加熱を始める。ポンプ52にて循環されているふろの湯が設定温度に達すると、ふろ戻りサーミスタ51にて温度を感知して、ふろバーナ15を消火し、ポンプ52を停止する。その後、沸き上がりを知らせる、お知らせブザーを鳴らす。
【0037】
以上のような追い焚き燃焼が停止し、その後、浴槽3湯温確認までのインターバル時間が経過したら、ポンプ52のみを作動させて、ふろの湯を循環させる。このとき、ふろの温度が設定温度より下がっていれば、追い焚きを行う。その後、ふろの温度が設定温度以上になれば、ポンプ52の作動はそこで止まり、またインターバル時間が経過した後にポンプ52が作動し、上記同様の動作を繰り返す。なお、これらの一連の動作は、給湯リモコン61又はふろリモコン62の自動スイッチを押すと停止する。
【0038】
[給湯処理]
以下、本実施形態の給湯器1において実行される給湯処理について、
図2及び
図3に基づいて説明する。この給湯処理は、給湯器1が作動状態(作動スイッチをオンにした状態)にある場合に、コントローラ60において常時実行されている処理である。
【0039】
給湯処理を開始すると、
図2に示すように、コントローラ60は、まず、判定処理を実行する(S10)。S10の判定処理は、詳しくは
図3に示すような処理となる。すなわち、
図3に示す判定処理を開始すると、コントローラ60は、給湯器1が長期使用状態に至っているか否かを判断する(S11)。なお、S11を実行するコントローラ60が本明細書でいう判定部の一例に相当する。本実施形態の場合、給湯器1が使用開始から保守・点検を受けないまま10年以上にわたって使われている場合、あるいは最後に保守・点検を受けてから10年以上にわたって使われている場合に、給湯器1が長期使用状態に至っていると判断される。
【0040】
S11において、給湯器1が長期使用状態に至っていないと判断された場合(S11:NO)、コントローラ60は、給湯水量センサ37によって検出される流量が所定の第一上限値以上か否かを判断する(S12)。S12において流量が所定の第一上限値未満であった場合には(S12:NO)、S12へと戻ることにより、S12を繰り返す。また、S12において流量が所定の第一上限値以上であった場合には(S12:YES)、
図3に示す判定処理を終了する。つまり、給湯器1が長期使用状態に至っていないと判断された場合には、給湯水量センサ37によって検出される流量が第一上限値未満である限り、判定処理の実行を継続する一方、流量が第一上限値以上になれば判定処理を終える。
【0041】
一方、上述のS11において、給湯器1が長期使用状態に至っていると判断された場合には(S11:YES)、コントローラ60は、給湯器1が長期使用状態に至っている旨の履歴情報を、コントローラ60の有する不揮発性メモリに記憶する(S13)。そして、コントローラ60は、給湯水量センサ37によって検出される流量が所定の第二上限値以上か否かを判断する(S14)。S14で利用される第二上限値は、S12で利用される第一上限値よりも大きい値(例えば、第一上限値の2倍の値。)とされる。
【0042】
S14において流量が所定の第二上限値未満であった場合には(S14:NO)、S14へと戻ることにより、S14を繰り返す。また、S14において流量が所定の第二上限値以上であった場合には(S14:YES)、
図3に示す判定処理を終了する。つまり、給湯器1が長期使用状態に至っていると判断された場合には、給湯水量センサ37によって検出される流量が第二上限値未満である限り、判定処理の実行を継続する一方、流量が第二上限値以上になれば判定処理を終える。なお、S12及びS14を実行するコントローラ60が本明細書でいう点火時期変更部の一例に相当する。
【0043】
図3に示す判定処理を終えると、
図2に示すS10を終えたことになるので、続いて、コントローラ60は、点火処理を実行する(S20)。S20の点火処理では、コントローラ60は、燃焼ファン23を駆動し、給湯点火プラグ13から放電し、給湯ガス電磁弁291〜293のうち、必要な燃焼段に対応するものを開くとともに、必要アウトプットを得られるようにガス比例弁28の開度を調整する。その結果、給湯バーナ11においてガスへの点火が行われる。コントローラ60は、給湯フレームロッド14により、給湯バーナ11における着火を確認し、着火を確認できたら給湯点火プラグ13からの放電を終了させて、点火処理を終了する。
【0044】
続いて、コントローラ60は、給湯水量センサ37によって検出される流量が所定の下限値以下か否かを判断し(S30)、流量が所定の下限値を上回っている場合には(S30:NO)、入水温度、設定温度、又は流量に変更があったか否かを判断する(S40)。S40において、入水温度、設定温度、又は流量に変更がないと判断された場合(S40:NO)、コントローラ60は、フィードバック温度制御を実行する(S50)。
【0045】
S50のフィードバック温度制御では、コントローラ60は、出湯温度と設定温度との温度差に基づき、その温度差を小さくするために必要なアウトプット(燃焼出力)を算出し、燃焼ファン23の回転数、及びガス比例弁28の開度を調節する。また、更にアウトプットの増減調整が必要な場合には、コントローラ60は、給湯ガス電磁弁291,292,293それぞれの開閉を切り替えることで、四段階ある燃焼段をいずれかに切り替える。S50を終えた場合は、S30へと戻る。これにより、流量が所定の下限値を上回っており、かつ入水温度、設定温度、又は流量に変更がない場合は(S30:NO,S40:NO)、S30〜S50が繰り返し実行されることになる。
【0046】
一方、S30〜S50が繰り返し実行される中で、入水温度、設定温度、又は流量に変更があった場合には、S40において肯定判断がなされる(S40:YES)。この場合、コントローラ60は、フィードフォワード温度制御を実行する(S60)。
【0047】
S60のフィードフォワード温度制御では、入水温度、設定温度、及び流量に基づいて、必要アウトプットを算出する。そして、必要アウトプットに応じて、燃焼段の設定を行うとともに、その燃焼段で必要アウトプットを得られるように、燃焼ファン23の回転数、及びガス比例弁28の開度を設定する。S60を終えた場合は、S30へと戻る。これにより、流量が所定の下限値を上回っており、かつ入水温度、設定温度、又は流量に変更がない場合は(S30:NO,S40:NO)、再びS30〜S50が繰り返し実行されることになる。
【0048】
また、S30〜S50が繰り返し実行される中で、流量が所定の下限限値以下となった場合には(S30:NO)、S30において肯定判断がなされる(S30:YES)。この場合、コントローラ60は、消火処理を実行する(S70)。S70の消火処理では、給湯ガス電磁弁291〜293を全て閉じ、給湯バーナ11での燃焼を停止させる。また、排気及び放熱のために所定時間の間はファンモータ23Aの駆動を継続してから、ファンモータ23Aを停止させる。S70の消火処理を終えたらS10へと戻る。これにより、給湯水量センサ37によって検出される流量があらためて第一上限値又は第二上限値以上となるまでは、判定処理を実行しつつ待機する状態になる。
【0049】
[効果]
以上のように構成された給湯器1によれば、給湯器1が所定以上の長期間にわたって使用された長期使用状態に至っていない場合と長期使用状態に至った場合とでは、S12及びS14のいずれかが実行されることにより、給湯器1において点火を行う契機となる流量が変更される。そのため、長期使用状態に至った場合には、より出湯量が多くなるような操作をしないと点火が行われなくなり、出湯量が少ない場合には所期の湯温が得られなくなる。したがって、このような問題に気づいた利用者は違和感を覚え、給湯器1の故障等を疑う。また、以前と同様の出湯量で所期の湯温が得たいと利用者が考えれば、給湯器1の故障等を直したいと考える可能性も高まる。したがって、給湯器1の利用者が業者への問い合わせを行う可能性を高めることができ、利用者が保守・点検を受けないまま給湯器1を使い続けてしまうのを抑制することができる。
【0050】
また、上記給湯器1の場合、S13を実行することによって長期使用状態に至ったと判定された旨の履歴情報がコントローラ60の不揮発性メモリに記憶される。したがって、専門の技術者が現場へ訪問した際には、履歴情報を確認することにより、長期使用状態に至ったことに起因して点火処理に長時間を要する状態となったのか、真の故障に起因して点火処理に長時間を要する状態となったのかを、容易に判断することができる。
【0051】
(2)第二実施形態
次に、第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態は、第一実施形態で例示した構成の一部を変更しただけなので、第一実施形態との相違点を中心に詳述し、第一実施形態と同様な部分に関しては、その詳細な説明を省略する。第一実施形態との相違点は、以下に説明する判定処理にある。
【0052】
[点火処理]
以下、第二実施形態における判定処理について、
図4に基づいて説明する。
図4に示す判定処理は、
図3に示す判定処理の代わりに実行される処理である。
図4に示す判定処理を開始すると、コントローラ60は、給湯器1が長期使用状態に至っているか否かを判断する(S11)。なお、S11を実行するコントローラ60が本明細書でいう判定部の一例に相当する。第二実施形態においても、給湯器1が使用開始から保守・点検を受けないまま10年以上にわたって使われている場合、あるいは最後に保守・点検を受けてから10年以上にわたって使われている場合に、給湯器1が長期使用状態に至っていると判断される。
【0053】
S11において、給湯器1が長期使用状態に至っていないと判断された場合(S11:NO)、コントローラ60は、給湯水量センサ37によって検出される流量が所定の第一上限値以上か否かを判断する(S12)。S12において流量が所定の第一上限値未満であった場合には(S12:NO)、S12へと戻ることにより、S12を繰り返す。また、S12において流量が所定の第一上限値以上であった場合には(S12:YES)、
図4に示す判定処理を終了する。つまり、給湯器1が長期使用状態に至っていないと判断された場合には、第一実施形態と同様に、給湯水量センサ37によって検出される流量が第一上限値未満である限り、判定処理の実行を継続する一方、流量が第一上限値以上になれば判定処理を終える。
【0054】
一方、上述のS11において、給湯器1が長期使用状態に至っていると判断された場合には(S11:YES)、コントローラ60は、給湯器1が長期使用状態に至っている旨の履歴情報を、コントローラ60の有する不揮発性メモリに記憶する(S13)。そして、コントローラ60は、給湯水量センサ37によって検出される流量が所定の第一上限値以上か否かを判断する(S21)。S21において流量が所定の第一上限値未満であった場合には(S21:NO)、S21へと戻ることにより、S21を繰り返す。
【0055】
一方、S21において流量が所定の第一上限値以上であった場合には(S21:YES)、コントローラ60は、経過時間を計測するためのタイマーをリセットする(S22)。そして、コントローラ60は、S22のタイマーリセット後から所定時間が経過したか否かを判断する(S23)。S23において、まだ所定時間が経過していない場合(S23:NO)、コントローラ60は、給湯水量センサ37によって検出される流量が所定の第二上限値以上か否かを判断する(S14)。S14は第一実施形態と同様の処理であり、S14で利用される第二上限値は、S12で利用される第一上限値よりも大きい値(例えば、第一上限値の2倍の値。)とされる。
【0056】
S14において流量が所定の第二上限値未満であった場合(S14:NO)、コントローラ60は、更に給湯水量センサ37によって検出される流量が所定の第一上限値以上か否かを判断する(S24)。S24において流量が所定の第一上限値未満であった場合には(S24:NO)、流量が第一上限値以上から第一上限値未満まで減少していることになるので、この場合はS21へと戻ることにより、S21を繰り返す。また、S24において流量が所定の第一上限値以上であった場合には(S24:YES)、S23へと戻る。この場合、S23においてまだ所定時間が経過しておらず(S23:NO)、かつS14において流量が所定の第二上限値未満であり(S14:NO)、かつS24において流量が所定の第一上限値以上であれば、S23,S14,及びS24を繰り返すことになる。
【0057】
S23,S14,及びS24を繰り返した結果、S22のタイマーリセット後から所定時間が経過した場合には(S23:YES)、
図4に示す判定処理を終了する。また、S14において流量が所定の第二上限値以上であった場合にも(S14:YES)、
図4に示す判定処理を終了する。つまり、給湯器1が長期使用状態に至っていると判断された場合には、給湯水量センサ37によって検出される流量が第二上限値以上になれば判定処理を終える。また、給湯水量センサ37によって検出される流量が第一上限値以上かつ第二上限値未満である場合には、所定時間が経過するまでは判定処理の実行を継続し、所定時間が経過したら判定処理を終える。なお、S12及びS14を実行するコントローラ60が本明細書でいう点火時期変更部の一例に相当する。
【0058】
[効果]
以上のように構成された給湯器1においても、第一実施形態と同様に、給湯器1が所定以上の長期間にわたって使用された長期使用状態に至っていない場合と長期使用状態に至った場合とでは、S12及びS14のいずれかが実行されることにより、給湯器1において点火を行う契機となる流量が変更される。そのため、長期使用状態に至った場合には、より出湯量が多くなるような操作をしないと点火が行われなくなり、出湯量が少ない場合には所期の湯温が得られなくなる。したがって、このような問題に気づいた利用者は違和感を覚え、給湯器1の故障等を疑う。また、以前と同様の出湯量で所期の湯温が得たいと利用者が考えれば、給湯器1の故障等を直したいと考える可能性も高まる。したがって、給湯器1の利用者が業者への問い合わせを行う可能性を高めることができ、利用者が保守・点検を受けないまま給湯器1を使い続けてしまうのを抑制することができる。
【0059】
また、上記給湯器1の場合、給湯水量センサ37によって検知された流量が第一上限値(本明細書でいう第一のしきい値の一例に相当。)以上かつ第二上限値(本明細書でいう第二のしきい値の一例に相当。)未満となっている場合に、その状態が上記所定時間以上にわたって続けばバーナへの点火が行われる。したがって、上記所定時間の範囲内で利用者に対して違和感を与えながら、所期の湯温が得られない状態が過度に長時間にわたって続くのを回避することができる。
【0060】
(3)補足
以上、給湯器について、例示的な実施形態を挙げて説明したが、上述の実施形態は本発明の一態様として例示されるものに過ぎない。すなわち、本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な形態で実施することができる。
【0061】
例えば、上記実施形態では、上述の判定処理において、S11,S13の処理ステップを実行していたが、これらの処理ステップを、判定処理とは別処理にして、給湯処理とは異なるタイミングで実行されるようにしてもよい。その場合、上述の判定処理においては、上記S11,S13の処理ステップを省略してもよい。また、判定処理とは別処理で履歴情報を記憶する場合、上述の判定処理においては、上記S11,S13の処理ステップに代えて、上記のような別処理によって記憶される履歴情報がコントローラの有する不揮発性メモリに記憶されているか否かを判断する処理ステップを採用してもよい。
【0062】
なお、以上説明した例示的な実施形態から明らかなように、本明細書で説明した給湯器は、更に以下に挙げるような構成を備えていてもよい。
まず、本明細書で説明した給湯器において、点火時期変更部は、判定部によって長期使用状態に至ったと判定された場合に、流量検知部によって検知された流量が第一のしきい値以上かつ第二のしきい値未満となっている状態が所定時間以上継続したときには、バーナへの点火を行うように構成されていてもよい。
【0063】
このように構成された給湯器によれば、流量検知部によって検知された流量が第一のしきい値以上かつ第二のしきい値未満となっている場合に、その状態が上記所定時間以上にわたって続けばバーナへの点火が行われる。したがって、上記所定時間の範囲内で利用者に対して違和感を与えながら、所期の湯温が得られない状態が過度に長時間にわたって続くのを回避することができる。
【0064】
また、本明細書で説明した給湯器において、制御部は、判定部によって長期使用状態に至ったと判定された場合に、その旨の履歴情報を記憶する履歴記憶部を有していてもよい。
【0065】
このように構成された給湯器によれば、判定部によって長期使用状態に至ったと判定された旨の履歴情報が履歴記憶部に記憶される。したがって、専門の技術者が現場へ訪問した際には、履歴情報を確認することにより、長期使用状態に至ったことに起因して点火に至るときの流量が増大したのか、真の故障に起因して点火に至るときの流量が増大したのかを、容易に判断することができる。