(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6460972
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】クランクアームアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01L 5/22 20060101AFI20190121BHJP
G01L 5/16 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
G01L5/22
G01L5/16
【請求項の数】38
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-248639(P2015-248639)
(22)【出願日】2015年12月21日
(65)【公開番号】特開2017-116281(P2017-116281A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】手塚 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 文昭
(72)【発明者】
【氏名】森 進太郎
(72)【発明者】
【氏名】荒井 徹
(72)【発明者】
【氏名】李 奎
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 友昭
【審査官】
公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−134507(JP,A)
【文献】
特開2014−044176(JP,A)
【文献】
特表2015−529330(JP,A)
【文献】
米国特許第04463433(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00−5/28
G01L 3/10
B62M 1/36
B62M 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダル軸に連結するように構成されるペダル軸連結部を有し、クランク軸の軸心のまわりに回転可能な自転車用クランクアームと、
前記ペダル軸を介して前記自転車用クランクアームに荷重が与えられているときに、前記クランク軸の軸心を中心とする円の前記ペダル軸における接線方向である第1方向に作用する力(Fθ)、を検出可能な第1検出回路と、
前記ペダル軸を介して前記自転車用クランクアームに荷重が与えられているときに、前記クランク軸の軸心を中心とする円の半径方向に平行な第2方向に作用する力(Fr)、を検出可能な第2検出回路と、
前記ペダル軸を介して前記自転車用クランクアームに荷重が与えられているときに、前記自転車用クランクアームの前記クランク軸と前記ペダル軸とに交差する軸線のまわりに作用するモーメント(L)、を検出可能な第3検出回路と、
を備え、
前記自転車用クランクアームは、前記クランク軸の軸心に交差する取付面を含み、
前記第1検出回路は、前記取付面に配置される第1ひずみセンサを含み、
前記第2検出回路は、前記取付面に配置される第2ひずみセンサを含み、
前記第3検出回路は、前記取付面に配置される第3ひずみセンサを含む、
クランクアームアッセンブリ。
【請求項2】
前記第1ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、前記第2方向に対して第1角度で傾斜する、
請求項1に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項3】
前記第1角度は、前記自転車用クランクアームの形状に応じて設定される、
請求項2に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項4】
前記第1角度は、25°以内である、
請求項2または3に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項5】
前記第2ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、前記第2方向に対して第2角度で傾斜する、
請求項1から4のいずれかに記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項6】
前記第2角度は、前記自転車用クランクアームの形状に応じて設定される、
請求項5に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項7】
前記第2角度は、25°以内である、
請求項5又は6に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項8】
前記第3ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、前記第1方向と前記第2方向とに交差するように設けられる、
請求項1から7のいずれか1つに記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項9】
前記第1検出回路は、複数の前記第1ひずみセンサを含み、
前記複数の第1ひずみセンサの少なくとも1つの前記第1ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、前記第2方向に対して第3角度で傾斜する、
請求項1から8のいずれか1つに記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項10】
前記第3角度は、前記自転車用クランクアームの形状に応じて設定される、
請求項9に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項11】
前記第3角度は、25°以内である、
請求項9又は10に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項12】
前記複数の第1ひずみセンサの少なくとも1つの前記第1ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、前記第2方向に沿う、
請求項9から11のいずれかに記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項13】
前記第1検出回路は、4つの前記第1ひずみセンサを含み、
前記取付面は、前記クランク軸の軸心を含み且つ前記第2方向に平行な平面によって第1領域と第2領域とに分けられ、
前記4つの第1ひずみセンサのうちの2つの前記第1ひずみセンサが、前記第1領域に配置され、
前記4つの第1ひずみセンサのうちの他の2つの前記第1ひずみセンサが、前記第2領域に配置される、
請求項1から12のいずれか1つに記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項14】
前記第1領域に配置される前記2つの第1ひずみセンサは、前記第2方向に間隔をあけて配置され、
前記第2領域に配置される前記他の2つの第1ひずみセンサは、前記第2方向に間隔をあけて配置される、請求項13に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項15】
前記第1領域に配置される前記2つの第1ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、前記第2方向に平行であり、
前記第2領域に配置される前記他の2つの第1ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、前記第2方向に対して第4角度で傾斜する、
請求項13または14に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項16】
前記第4角度は、前記自転車用クランクアームの形状に応じて設定される、
請求項15に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項17】
前記第4角度は、25°以内である、
請求項15又は16に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項18】
前記第2検出回路は、前記取付面に設けられる第4ひずみセンサをさらに含み、
前記第4ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、前記第1方向に対して第5角度で傾斜する、
請求項1から17のいずれか1つに記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項19】
前記第5角度は、前記自転車用クランクアームの形状に応じて設定される、
請求項18に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項20】
前記第5角度は、25°以内である、
請求項18又は19に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項21】
前記第2検出回路は、2つの前記第2ひずみセンサと、2つの前記第4ひずみセンサを含み、
前記2つの第4ひずみセンサのうち少なくとも一つの前記第4ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、前記第1方向に対して第6角度で傾斜する、
請求項18から20のいずれかに記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項22】
前記第6角度は、前記自転車用クランクアームの形状に応じて設定される、
請求項21に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項23】
前記第6角度は、25°以内である、
請求項21又は22に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項24】
前記取付面は、前記クランク軸の軸心を含み且つ前記第2方向に平行な平面によって第1領域と第2領域とに分けられ、
前記2つの第2ひずみセンサのうちの一方の前記第2ひずみセンサと、前記2つの第4ひずみセンサのうち一方の前記第4ひずみセンサとが、前記第1領域に配置され、
前記2つの第2ひずみセンサのうちの他方の前記第2ひずみセンサと、前記2つの第4ひずみセンサのうち他方の前記第4ひずみセンサとが、前記第2領域に配置される、
請求項21から23のいずれかに記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項25】
前記第1方向において、前記2つの第2ひずみセンサは、前記2つの第4ひずみセンサの間に配置される、
請求項21から24のいずれかに記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項26】
前記2つの第4ひずみセンサの検出方向は、互いに異なる、
請求項24又は25に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項27】
前記第3検出回路は、少なくとも2つの前記第3ひずみセンサを含み、
前記2つの第3ひずみセンサの検出方向は、相互に異なる、
請求項1から26のいずか1つに記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項28】
前記第3検出回路は、4つの前記第3ひずみセンサを含み、
前記取付面は、前記クランク軸の軸心を含み且つ前記第2方向に平行な平面によって第1領域と第2領域とに分けられ、
前記4つの第3ひずみセンサのうちの2つの前記第3ひずみセンサは、前記第1領域に配置され、
前記4つの第3ひずみセンサのうちの他の2つの前記第3ひずみセンサは、前記第2領域に配置される、
請求項27に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項29】
前記第1領域に配置される前記2つの第3ひずみセンサは、前記第2方向に間隔をあけて配置され、
前記第2領域に配置される前記2つの第3ひずみセンサは、前記第2方向に間隔をあけて配置される、請求項28に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項30】
前記4つの第3ひずみセンサのうち少なくとも一つの前記第3ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、前記第1方向から45°傾斜した方向に対して第7角度で傾斜する、
請求項28又は29のいずれか1つに記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項31】
前記第7角度は、前記自転車用クランクアームの形状に応じて設定される、
請求項30に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項32】
前記第7角度は、25°以内である、
請求項30又は31に記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項33】
前記第1検出回路、前記第2検出回路、及び前記第3検出回路が取り付けられたシート部材をさらに備える、
請求項1から32のいずれか1つに記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項34】
ペダル軸に連結するように構成されるペダル軸連結部を有し、クランク軸の軸心のまわりに回転可能な自転車用クランクアームと、
前記ペダル軸を介して前記自転車用クランクアームに荷重が与えられているときに、前記クランク軸の軸心を中心とする円の前記ペダル軸における接線方向である第1方向に作用する力(Fθ)を検出可能な第1検出回路と、
を備え、
前記自転車用クランクアームは、前記クランク軸の軸心に交差する取付面を有し、
前記第1検出回路は、前記取付面に設けられる第1ひずみセンサを含み、
前記第1ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、前記第1方向に直交する第2方向から25°の範囲以内で傾斜する、クランクアームアッセンブリ。
【請求項35】
ペダル軸に連結するように構成されるペダル軸連結部を有し、クランク軸の軸心のまわりに回転可能な自転車用クランクアームと、
前記ペダル軸を介して前記自転車用クランクアームに荷重が与えられているときに、前記クランク軸の軸心を中心とする円の半径方向に平行な第2方向に作用する力(Fr)を検出可能な第2検出回路と、
を備え、
前記自転車用クランクアームは、前記クランク軸の軸心に交差する取付面を有し、
前記第2検出回路は、前記取付面にそれぞれ設けられる第2ひずみセンサと第4ひずみセンサとを含み、
前記第2ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、前記第2方向となす角度が25°以内であり、
前記第4ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、前記第2方向に直交する第1方向から25°の範囲以内で傾斜する、
クランクアームアッセンブリ。
【請求項36】
ペダル軸に連結するように構成されるペダル軸連結部を有し、クランク軸の軸心のまわりに回転可能な自転車用クランクアームと、
前記ペダル軸を介して前記自転車用クランクアームに荷重が与えられているときに、前記自転車用クランクアームの前記クランク軸と前記ペダル軸とに交差する軸のまわりに作用するモーメント(L)を検出可能な第3検出回路と、
を備え、
前記自転車用クランクアームは、前記クランク軸の軸心に交差する取付面を有し、
前記第3検出回路は、前記取付面に設けられる第3ひずみセンサを含み、
前記第3ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、
前記クランク軸の軸心を中心とする円の前記ペダル軸における接線方向である第1方向に対して45°傾斜する第3方向に関して、25°の範囲以内で傾斜する、
クランクアームアッセンブリ。
【請求項37】
前記自転車用クランクアームは、前記クランク軸の軸心と前記ペダル軸の軸心とを含む平面に関して非対称に形成されている、
請求項34から36のいずれか1つに記載のクランクアームアッセンブリ。
【請求項38】
ペダル軸に連結するように構成されるペダル軸連結部を有し、クランク軸の軸心のまわりに回転可能な自転車用クランクアームと、
前記ペダル軸を介して前記自転車用クランクアームに荷重が与えられているときに、前記クランク軸の軸心を中心とする円の前記ペダル軸における接線方向である第1方向に作用する力(Fθ)を検出可能な第1検出回路と、
を備え、
前記自転車用クランクアームは、前記クランク軸の軸心まわりの回転方向の上流側端面および下流側端面の少なくとも一方に取付面を有し、
前記第1検出回路は、前記取付面に設けられる第1ひずみセンサを含み、
前記第1ひずみセンサの検出方向は、前記クランク軸の軸心と前記ペダル軸の軸心とを含む平面に垂直な方向から見て、前記クランク軸の軸心と前記ペダル軸の軸心とに垂直な平面に関して、25°の範囲以内で傾斜する、
クランクアームアッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランクアームアッセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自転車用クランクに作用する力を測定する測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−134507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自転車用クランクに作用する力をより正確に測定することができるクランクアームアッセンブリが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に係るクランクアームアッセンブリは、自転車用クランクアームと、第1〜第3検出回路と、を備える。自転車用クランクアームは、ペダル軸に連結するように構成されるペダル軸連結部を有する。自転車用クランクアームは、クランク軸の軸心のまわりに回転可能である。ペダル軸を介して自転車用クランクアームに荷重が与えられているときに、第1検出回路は、第1方向に作用する力(Fθ)を検出可能である。第1方向は、クランク軸の軸心を中心とする円のペダル軸における接線方向である。ペダル軸を介して自転車用クランクアームに荷重が与えられているときに、第2検出回路は、第2方向に作用する力(Fr)を検出可能である。第2方向は、クランク軸の軸心を中心とする円の半径方向に平行な方向である。ペダル軸を介して自転車用クランクアームに荷重が与えられているときに、第3検出回路は、自転車用クランクアームのクランク軸とペダル軸とに交差する軸線のまわりに作用するモーメント(L)を検出可能である。自転車用クランクアームは、クランク軸の軸心に交差する取付面を含む。第1検出回路は、取付面に配置される第1ひずみセンサを含む。第2検出回路は、取付面に配置される第2ひずみセンサを含む。第3検出回路は、取付面に配置される第3ひずみセンサを含む。
【0006】
この構成によれば、第1検出回路によって第1方向に作用する力(Fθ)を検出し、第2検出回路によって第2方向に作用する力(Fr)を検出し、第3検出回路によって自転車用クランクアームのクランク軸とペダル軸とに交差する軸線のまわりに作用するモーメント(L)を検出することができる。この結果、本発明に係るクランクアームアッセンブリは、自転車用クランクに作用する力をより正確に測定することができる。また、第1から第3検出回路が全て取付面上に取り付けられている。すなわち、第1〜第3検出回路は全て同じ面に取り付けられているため、クランクアームアッセンブリの構造が簡易なものとなる。
【0007】
好ましくは、第1ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸方向に平行な方向から見て第2方向に対し第1角度で傾斜している。好ましくは、第1角度は、自転車用クランクアームの形状に応じて設定される。好ましくは、第1角度は、25°以内である。
【0008】
好ましくは、第2ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、第2方向に対し第2角度で傾斜している。好ましくは、第2角度は、自転車用クランクアームの形状に応じて設定される。好ましくは、第2角度は、25°以内である。
【0009】
好ましくは、第3ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、第1方向と第2方向とに交差するように設けられる。
【0010】
好ましくは、第1検出回路は、複数の第1ひずみセンサを含む。複数の第1ひずみセンサの少なくとも1つの第1ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、第2方向に対し第3角度で傾斜している。好ましくは、第3角度は、自転車用クランクアームの形状に応じて設定される。好ましくは、第3角度は、25°以内である。
【0011】
好ましくは、複数の第1ひずみセンサの少なくとも1つの第1ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、第2方向に沿う。
【0012】
好ましくは、第1検出回路は、4つの第1ひずみセンサを含む。取付面は、クランク軸の軸心を含み且つ第2方向に平行な平面によって第1領域と第2領域とに分けられる。4つの第1ひずみセンサのうちの2つの第1ひずみセンサが、第1領域に配置される。4つの第1ひずみセンサのうちの他の2つの第1ひずみセンサが、第2領域に配置される。
【0013】
好ましくは、第1領域に配置される2つの第1ひずみセンサは、第2方向に間隔をあけて配置される。第2領域に配置される2つの第1ひずみセンサは、第2方向に間隔をあけて配置される。
【0014】
好ましくは、第1領域に配置される2つの第1ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、第2方向に平行である。第2領域に配置される2つの第1ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、第2方向に対し第4角度で傾斜している。好ましくは、第4角度は、自転車用クランクアームの形状に応じて設定される。好ましくは、第4角度は、25°以内である。
【0015】
好ましくは、第2検出回路は、取付面に設けられる第4ひずみセンサをさらに含む。第4ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、第1方向に対し第5角度で傾斜している。好ましくは、第5角度は、自転車用クランクアームの形状に応じて設定される。好ましくは、第5角度は、25°以内である。
【0016】
好ましくは、第2検出回路は、2つの第2ひずみセンサと、2つの第4ひずみセンサを含む。2つの第4ひずみセンサのうち少なくとも一方の第4ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、第1方向に対し第6角度で傾斜している。好ましくは、第6角度は、自転車用クランクアームの形状に応じて設定される。好ましくは、第6角度は、25°以内である。
【0017】
好ましくは、取付面は、クランク軸の軸心を含み且つ第2方向に平行な平面によって第1領域と第2領域とに分けられる。2つの第2ひずみセンサのうちの一方の第2ひずみセンサと、2つの第4ひずみセンサのうち一方の第4ひずみセンサとが、第1領域に配置される。2つの第2ひずみセンサのうちの他方の第2ひずみセンサと、2つの第4ひずみセンサのうち他方の第4ひずみセンサとが、第2領域に配置される。
【0018】
好ましくは、第1方向において、2つの第2ひずみセンサは、2つの第4ひずみセンサの間に配置される。
【0019】
好ましくは、2つの第4ひずみセンサの検出方向は、互いに異なる。
【0020】
好ましくは、第3検出回路は、少なくとも2つの第3ひずみセンサを含む。2つの第3ひずみセンサの検出方向は、相互に異なる。
【0021】
好ましくは、第3検出回路は、4つの第3ひずみセンサを含む。取付面は、クランク軸の軸心を含み且つ第2方向に平行な平面によって第1領域と第2領域とに分けられる。4つの第3ひずみセンサのうちの2つの第3ひずみセンサは、第1領域に配置される。4つの第3ひずみセンサのうちの他の2つの第3ひずみセンサは、第2領域に配置される。
【0022】
好ましくは、第1領域に配置される2つの第3ひずみセンサは、第2方向に間隔をあけて配置される。第2領域に配置される2つの第3ひずみセンサは、第2方向に間隔をあけて配置される。
【0023】
好ましくは、4つの第3ひずみセンサのうち少なくとも一つの第3ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、第1方向から45°傾斜した方向に対して第7角度で傾斜している。好ましくは、第7角度は、自転車用クランクアームの形状に応じて設定される。好ましくは、第7角度は、25°以内である。
【0024】
好ましくは、クランクアームアッセンブリは、第1検出回路、第2検出回路、及び第3検出回路が取り付けられたシート部材をさらに備える。
【0025】
本発明の第2側面に係るクランクアームアッセンブリは、自転車用クランクアームと、第1検出回路とを備える。自転車用クランクアームは、ペダル軸に連結するように構成されるペダル軸連結部を有する。自転車用クランクアームは、クランク軸の軸心のまわりに回転可能である。ペダル軸を介して自転車用クランクアームに荷重が与えられているときに、第1検出回路は、第1方向に作用する力(Fθ)を検出可能である。第1方向は、クランク軸の軸心を中心とする円のペダル軸における接線方向である。自転車用クランクアームは、クランク軸の軸心に交差する取付面を有する。第1検出回路は、取付面に設けられる第1ひずみセンサを含む。第1ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、第1方向に直交する第2方向から25°の範囲以内で傾斜する。
【0026】
本発明の第3側面に係るクランクアームアッセンブリは、自転車用クランクアームと、第2検出回路とを備える。自転車用クランクアームは、ペダル軸に連結するように構成されるペダル軸連結部を有する。自転車用クランクアームは、クランク軸の軸心のまわりに回転可能である。ペダル軸を介して自転車用クランクアームに荷重が与えられているときに、第2検出回路は、第2方向に作用する力(Fr)を検出可能である。第2方向は、回転軸線を中心とする円の半径方向に平行な方向である。自転車用クランクアームは、クランク軸の軸心に交差する取付面を有する。第2検出回路は、取付面にそれぞれ設けられる第2ひずみセンサと第4ひずみセンサとを含む。第2ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、第2方向となす角度が25°以内である。第4ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、第2方向に直交する第1方向から25°の範囲以内で傾斜する。
【0027】
本発明の第4側面に係るクランクアームアッセンブリは、自転車用クランクアームと、第3検出回路とを備える。自転車用クランクアームは、ペダル軸に連結するように構成されるペダル軸連結部を有する。自転車用クランクアームは、クランク軸の軸心のまわりに回転可能である。ペダル軸を介して自転車用クランクアームに荷重が与えられているときに、第3検出回路は、自転車用クランクアームのクランク軸とペダル軸とに交差する軸のまわりに作用するモーメント(L)を検出可能である。自転車用クランクアームは、クランク軸の軸心に交差する取付面を有する。第3検出回路は、取付面に設けられる第3ひずみセンサを含む。第3ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸方向に平行な方向から見て、クランク軸の軸心を中心とする円のペダル軸における接線方向である第1方向に対して45°傾斜する第3方向に関して、25°の範囲以内で傾斜する。
【0028】
好ましくは、自転車用クランクアームは、クランク軸の軸心とペダル軸の軸心とを含む平面に関して非対称に形成されている。
【0029】
本発明の第5側面に係るクランクアームアッセンブリは、自転車用クランクアームと、第1検出回路とを備えている。自転車用クランクアームは、ペダル軸に連結するように構成されるペダル軸連結部を有し、クランク軸の軸心のまわりに回転可能である。ペダル軸を介して自転車用クランクアームに荷重が与えられているときに、第1検出回路は、第1方向に作用する力(Fθ)を検出可能である。第1方向は、クランク軸の軸心を中心とする円のペダル軸における接線方向である。自転車用クランクアームは、クランク軸の軸心まわりの回転方向の上流側端面および下流側端面の少なくとも一方に取付面を有する。第1検出回路は、取付面に設けられる第1ひずみセンサを含む。第1ひずみセンサの検出方向は、クランク軸の軸心とペダル軸の軸心とを含む平面に垂直な方向から見て、クランク軸の軸心とペダル軸の軸心とに垂直な平面に関して、25°の範囲以内で傾斜する。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るクランクアームアッセンブリによれば、自転車用クランクに作用する力をより正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】第1の実施形態のクランクアームアッセンブリの斜視図。
【
図4】第2の実施形態のクランクアームアッセンブリの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[第1の実施形態]
以下、本発明に係るクランクアームアッセンブリの第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、右、左とは、自転車の進行方向を基準とした方向であり、その方向を車幅方向と定義する。
【0033】
図1に示すように、自転車200は、第1クランクアーム101、第2クランクアーム(図示省略)、クランク軸102、第1ペダル103、及び第2ペダル(図示省略)を有する。
【0034】
クランク軸102は、自転車200の車幅方向に延びている。クランク軸102は、軸心まわりに回転可能に自転車200に支持されている。第1クランクアーム101は、クランク軸102の第1端部(右端部)に設けられ、第1端部から径方向に延びており、第2クランクアームは、クランク軸102の第2端部(左端部)に設けられ、第2端部から径方向に延びている。第1クランクアーム101と第2クランクアームとは、クランク軸102からクランク軸102の軸心まわりに位相が180°異なる方向に延びている。第1クランクアーム101及び第2クランクアームは、クランク軸102の軸心を回転軸線として、回転可能である。第1ペダル103は、ペダル軸103aを介して第1クランクアーム101の遊端部に取り付けられており、第2ペダルは第2クランクアームの遊端部に取り付けられている。
【0035】
図2に示すように、第1クランクアーム101は、ペダル軸103aに連結するように構成されるペダル軸連結部101bを有する。具体的には、ペダル軸連結部101bは、ネジ孔である。第1ペダル103のペダル軸103aは、第1クランクアーム101のペダル軸連結部101bに螺合している。同様に、第2ペダルのペダル軸は、第2クランクアームのペダル軸連結部に螺合している。第1クランクアーム101は、フロントスプロケット104を連結可能なスプロケット連結部105をさらに含む。スプロケット連結部105は、クランク軸102の径方向に延びる複数のアームによって構成され、複数のアームの遊端部にクランク軸102の軸方向に平行な貫通孔を有する。第1クランクアーム101は、圧入または接着などの固定構造によって、クランク軸102に固定される。第2クランクアームは、第1クランクアーム101と異なり、スプロケット連結部を備えない。第2クランクアームは、ボルトなどの固定構造によって着脱可能にクランク軸102に固定される。第1クランクアーム101は、長手方向と幅方向とを有している。長手方向と幅方向とは互いに直交する。
【0036】
第1クランクアーム101は、取付面101aを有する。取付面101aは、平面のみによって構成されてもよいし、曲面のみによって構成されていてもよいし、平面および曲面の両者を含んで構成されていてもよい。取付面101aは、クランク軸102の軸心102aと交差する面である。具体的には、取付面101aは、車幅方向を向く。より具体的には、取付面101aは、車幅方向において、左側、すなわち、自転車200のフレーム側を向く面である。第1クランクアーム101は、クランク軸102の軸心102aとペダル軸103aの軸心103bとを含む平面Pに対して非対称である。
【0037】
図3に示すように、測定装置10は、第1クランクアーム101に取り付けられており、ライダーがペダルを踏むことにより第1クランクアーム101に作用する力を測定する。詳細には、測定装置10は、第1クランクアーム101に生じるひずみを検出することによって、第1クランクアーム101に作用する力を測定することができる。なお、第2クランクアームのひずみを検出するために、測定装置10と同様の構成を有する別の測定装置を第2クランクアームに取り付けでもよい。測定装置10は、第1検出回路1、第2検出回路2、及び第3検出回路3を備えている。第1検出回路1、第2検出回路2、及び第3検出回路3は、シート部材4に設けられている。シート部材4は、電気絶縁性を有する。第1検出回路1、第2検出回路2、及び第3検出回路3は、シート部材4の表面または内部に設けられる。このシート部材4が、第1クランクアーム101に取り付けられている。シート部材4は、たとえば接着によって取付面101aに固定される。なお、第1検出回路1、第2検出回路2、及び第3検出回路3が取り付けられたクランクアームが、本発明のクランクアームアッセンブリに相当する。このように、計測装置10は、一体で形成されているので、適切な応力場に各ひずみセンサを高精度に位置・角度を決めて容易に貼り付け出来る。また、1つずつひずみセンサを貼りつけることに比較して、生産性を上げることが出来る。さらに、同じ抵抗体からひずみセンサを作成しているので、温度特性の向上が見込める。
【0038】
第1検出回路1は、ペダル軸103aを介して第1クランクアーム101に荷重が与えられているときに、第1方向に作用する力(Fθ)を検出可能である。なお、第1方向とは、クランク軸102の軸心102aを中心とする円のペダル軸103
aにおける接線方向である。第1方向は、クランク軸102の軸心102aを中心とする円のペダル軸103
aの軸心
103bにおける接線方向であってもよい。具体的には、第1方向は、第1クランクアーム101の幅方向(
図2参照)に平行である。また、後述する第2方向とは、クランク軸102の軸心102aを中心とする円の半径方向に平行な方向である。詳細には、第2方向とは、ペダル軸103aにおいて、クランク軸102の軸心102aとペダル軸103aの軸心103bに垂直な方向である。第2方向は、第1クランクアーム101の長手方向(
図2参照)に平行である。
【0039】
第1検出回路1は、取付面101aに配置される少なくとも1つの第1ひずみセンサ11を有している。具体的には、第1検出回路1は、4つの第1ひずみセンサ11を含んでいる。第1検出回路1は、4つの第1ひずみセンサ11を用いてホイートストンブリッジ回路を構成している。4つの第1ひずみセンサ11をそれぞれ、第1ひずみセンサ11A,11B,11C,11Dとする。第1ひずみセンサ11は、ひずみゲージ素子によって構成される。ひずみゲージ素子は、薄膜型、静電容量型、半導体型、厚膜型、圧電型に限定されず、クランクアームのひずみを検出することができるものであれば種類を問わない。
【0040】
取付面101aは、第1領域A1と第2領域A2とに分けられる。なお、クランク軸102の軸心102aを含み且つ第2方向に平行な平面Pが、取付面101aを第1領域A1と第2領域A2とに分ける。4つの第1ひずみセンサ11のうち、2つの第1ひずみセンサ11A,11Bが第1領域A1に配置され、残りの2つの第1ひずみセンサ11C,11Dが第2領域A2に配置される。4つの第1ひずみセンサ11は、第1ひずみセンサ11A,11Bがホイートストンブリッジ回路において一方の対向する辺を構成し、第1ひずみセンサ11C,11Dがホイートストンブリッジ回路において他方の対向する辺を構成するように接続される。
【0041】
第1領域A1に配置される2つの第1ひずみセンサ11A,11Bは、第2方向に間隔をあけて配置されている。また、第2領域A2に配置される2つの第1ひずみセンサ11C,11Dも、第2方向に間隔をあけて配置されている。
【0042】
各第1ひずみセンサ11の検出方向は、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、第2方向となす角度が25°以内である。第1ひずみセンサ11の検出方向とは、第1ひずみセンサ11を構成する抵抗体が延びる方向である。
【0043】
詳細には、第1領域A1に配置される2つの第1ひずみセンサ11A,11Bの検出方向は、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、第2方向と実質的に平行である。また、第2領域A2に配置される2つの第1ひずみセンサ11C,11Dの検出方向は、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、第2方向となす角度が25°以内である。クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、
各第1ひずみセンサ11の検出方向と第2方向となす角度が、本発明の第1角度、第3角度、及び第4角度に相当する。好ましくは、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、第2領域A2に配置された2つの第1ひずみセンサ11C,11Dの検出方向は、第2方向に対して25°以内で、第2方向に対して傾斜している。この傾斜角度は、第1クランクアーム101の形状に応じて決定される。特に非対称に設計されたクランクアームでは、各第1のひずみセンサ11の検出方向を、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、第2方向と平行に配置すると誤差が多くなることが解った。これに対して、上述したように第1ひずみセンサ11C、11Dの検出方向に傾斜をつけることでこの誤差を減らすことが出来る。ここで、誤差とは、Frを負荷した時のFθ
の干渉出力を示す。よって、検出精度を向上させることが出来る。なお、4つの第1ひずみセンサ11A,11B,11C,11Dのうち、少なくとも1つの検出方向が、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、第2方向に対して傾斜していればよい。
【0044】
第2検出回路2は、ペダル軸103aを介して第1クランクアーム101に荷重が与えられているときに、第2方向に作用する力(Fr)を検出可能である。なお、第2方向とは、クランク軸102の軸心102aを中心とする円の半径方向に平行な方向である。詳細には、第2方向とは、ペダル軸103aにおいて、クランク軸102の軸心102aとペダル軸103aの軸心103bに垂直な方向である。第2方向は、第1クランクアーム101の長手方向(
図2参照)に平行である。
【0045】
第2検出回路2は、少なくとも1つの第2ひずみセンサ21と、少なくとも1つの第4ひずみセンサ22を有する。第2ひずみセンサ21および第4ひずみセンサ22は、ひずみゲージ素子によって構成される。ひずみゲージ素子は、薄膜型、静電容量型、半導体型、厚膜型、圧電型に限定されず、クランクアームのひずみを検出することができるものであれば種類を問わない。具体的には、第2検出回路2は、2つの第2ひずみセンサ21A,21Bと、2つの第4ひずみセンサ22A,22Bと、を有する。第2検出回路2は、2つの第2ひずみセンサ21A,21B及び2つの第4ひずみセンサ22A,22Bを用いてホイートストンブリッジ回路を構成している。詳細には、第2ひずみセンサ21Aおよび第4ひずみセンサ22Aがホイートストンブリッジ回路において一方の対向する辺を構成し、第
2ひずみセンサ21Bおよび第4ひずみセンサ22Bがホイートストンブリッジ回路において他方の対向する辺を構成するように接続される。
【0046】
第2ひずみセンサ21及び第4ひずみセンサ22は、取付面101aに配置される。詳細には、1つの第2ひずみセンサ21Aと1つの第4ひずみセンサ22Aとが第1領域A1に配置され、残りの第2ひずみセンサ21B及び第4ひずみセンサ22Bが第2領域A2に配置されている。
【0047】
クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、各第2ひずみセンサ21の検出方向は、第2方向となす角度が25°以内である。好ましくは、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、各第2ひずみセンサ21の検出方向は、実質的に平行である。なお、第2ひずみセンサ21の検出方向とは、第2ひずみセンサ21を構成する抵抗体が延びる方向である。
【0048】
クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、各第4ひずみセンサ22の検出方向は、第1方向となす角度が25°以内である。クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、各第4ひずみセンサ22の検出方向が第1方向となす角度が、本発明の第5角度及び第6角度に相当する。好ましくは、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、各第4ひずみセンサ22の検出方向は、第1方向に対して25°以内で、第1方向に対して傾斜している。この傾斜角度は、第1クランクアーム101の形状に応じて決定される。特に非対称に設計されたクランクアームでは、各第4ひずみセンサ22の検出方向を、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、第1方向と平行に配置すると誤差が多くなることが解った。これに対して、上述したように第4ひずみセンサ22の検出方向に傾斜をつけることでこの誤差を減らすことが出来る。ここで、誤差とは、Fθを負荷した時のFrの干渉出力を示す。よって、検出精度を向上させることが出来る。なお、第4ひずみセンサ22A,22Bのうち、少なくとも1つの検出方向が、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、第1方向に対して傾斜していればよい。
【0049】
2つの第4ひずみセンサ22の検出方向は、互いに異なっている。すなわち、2つの第4ひずみセンサ22の検出方向が第1方向に対して傾斜する方向が、互いに逆である。詳細には、2つの第4ひずみセンサ22の検出方向は、平面Pに対して、実質的に線対称となっている。なお、第4ひずみセンサ22の検出方向とは、第4ひずみセンサ22を構成する抵抗体が延びる方向である。
【0050】
各第2ひずみセンサ21は、第1方向において互いに間隔をあけて配置されている。そして、この2つの第2ひずみセンサ21は、第1方向において、2つの第4ひずみセンサ22のよりも平面Pに近接して配置され、好ましくは、2つの第4ひずみセンサ22の間に、配置されている。各第2ひずみセンサ21および各第4ひずみセンサ22は、第1のひずみセンサ11よりもクランク軸102寄りに配置されている。
【0051】
第3検出回路3は、ペダル軸103aを介して第1クランクアーム101に荷重が与えられているときに、モーメント(L)を検出可能である。なお、第3検出回路3によって検出されるモーメント(L)は、第1クランクアーム101のクランク軸102とペダル軸103aとに交差する軸線のまわりに作用するモーメントである。モーメント(L)は、たとえば、第1クランクアーム101のクランク軸102の軸心102aとペダル軸103aの軸心103bとに交差する軸線のまわりに作用する。
【0052】
第3検出回路3は、取付面101aに取り付けられる少なくとも1つの第3ひずみセン
サ31を有している。具体的には、第3検出回路3は、4つの第3ひずみセンサ31A,31B,31C,31Dを有している。第3検出回路3は、4つの第3ひずみセンサ31を用いてホイートストンブリッジ回路を構成している。第3ひずみセン
サ31は、ひずみゲージ素子によって構成される。ひずみゲージ素子は、薄膜型、静電容量型、半導体型、厚膜型、圧電型に限定されず、クランクアームのひずみを検出することができるものであれば種類を問わない。
【0053】
2つの第3ひずみセンサ31A,31Bは、第1領域A1に配置されており、残りの2つの第3ひずみセンサ31C,31Dは、第2領域A2に配置されている。第1領域A1に配置された2つの第3ひずみセンサ31A,31Bは、第2方向において、互いに間隔をあけて配置されている。また、第2領域A2に配置された2つの第3ひずみセンサ31C,31Dは、第2方向において、互いに間隔をあけて配置されている。2つの第3ひずみセンサ31A,31Bがホイートストンブリッジ回路において一方の対向する辺を構成し、2つの第3ひずみセンサ31C,31Dがホイートストンブリッジ回路において他方の対向する辺を構成するように接続される。各第3ひずみセンサ31は、第1方向において、
2列の第1ひずみセンサ11の間に配置されているのが好ましい。
【0054】
各第3ひずみセンサ31の検出方向は、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、第1方向と第2方向とに交差する方向である。各第3ひずみセンサ31C,31Dの検出方向は、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、第1方向から45°傾斜した方向となす角度が25°以内である。クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、各第3ひずみセンサ31C,31Dの検出方向が第1方向から45°傾斜した方向となす角度が、第7角度に相当する。クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、第1方向から45°傾斜した方向が、本発明の第3方向に相当する。第2領域A2に配置される第3ひずみセンサ31C,31Dの検出方向は、第1方向から45°傾斜した方向に対して25°以内で、第1方向に対して傾斜している。この傾斜角度は、第1クランクアーム101の形状に応じて決定される。特に非対称に設計されたクランクアームでは、各第3ひずみセンサ31C,31Dの検出方向を、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、第1方向から45°傾斜した方向に配置すると誤差が多くなることが解った。これに対して、上述したように第3ひずみセンサ31の検出方向に傾斜をつけることでこの誤差を減らすことが出来る。ここで、誤差とは、Frを負荷した時のLの干渉出力を示す。よって、検出精度を向上させることが出来る。なお、第3ひずみセンサ31A,31B,31C,31Dのうち、少なくとも1つの検出方向が、第1方向から45°傾斜した方向に対して傾斜していればよい。
【0055】
第1領域A1に配置される各第3ひずみセンサ31A,31Bの検出方向と、第2領域A2に配置される各第3ひずみセンサ31C,31Dの検出方向とは、互いに異なる。すなわち、第1領域A1に配置される各第3ひずみセンサ31A,31Bの検出方向と、第2領域A2に配置される各第3ひずみセンサ31C,31Dの検出方向とは、第1方向に対して傾斜する方向が逆である。詳細には、第1領域A1に配置される各第3ひずみセンサ31A,31Bの検出方向と、第2領域A2に配置される各第3ひずみセンサ31C,31Dの検出方向とは、検出方向が65°〜115°の範囲で異なっている。なお、第3ひずみセンサ31の検出方向とは、第3ひずみセンサ31を構成する抵抗体が延びる方向である。
【0056】
第1ひずみセンサ11および第3ひずみセンサ31と、第2ひずみセンサ21および第4ひずみセンサ22との間には、複数の電極40が形成されている。複数の電極40はシート部材4に設けられ、シート部材4の
外表面に露出している。複数の電極40は、第1方向に一列に並んで設けられている。定電圧を印加するための電極およびグランド電極の少なくともいずれか一方は、第1検出回路1、第2検出回路2、および第3検出回路3において共通化されていてもよい。
図3に示す例では、第1検出回路1および第
2検出回路2において定電圧を印加するための電極およびグランド電極が共通化される。そして、第2検出回路2および第3検出回路3において定電圧を印加するための電極およびグランド電極が共通化されている。複数の電極には、電線またはフレキシブルプリント配線基板を介して、外部の電気回路が接続される。測定装置10では、複数の電極を一列に並べて配置しているので、外部の回路との接続がしやすくなる。外部の電気回路は、定圧電源、ADコンバータおよびマイクロコンピュータなどを含んで構成される。マイクロコンピュータは、各検出回路から出力される信号が表す第1方向に作用する力(Fθ)、第2方向に作用する力(Fr)およびモーメント(L)と所定の演算式とを用いて、ライダーがクランクアームに与えている力を測定することによって、測定精度を向上させることができる。マイクロコンピュータは、無線通信装置に接続され、無線通信装置を介して測定した結果を外部のコンピュータ、サイクルコンピュータなどに送信する。
【0057】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0058】
変形例1
例えば、上記実施形態では、第1〜第3検出回路1〜3は、4ゲージ法のブリッジ回路を構成しているが、各検出回路1〜3の構成は特にこれに限定されない。例えば、各検出回路1〜3は、1ゲージ法のブリッジ回路、または2ゲージ法のブリッジ回路であってもよい。1又は2ゲージ法のブリッジ回路を用いる場合、電極に接続される外部の回路基板に、取付面101aに設けられるひずみセンサと共にブリッジ回路を形成する固定抵抗が設けられる。第1検出回路1を、1ゲージ法のブリッジ回路によって構成する場合、1つの第1ひずみセンサ11を、たとえば第1領域A1に設ける。第2検出回路2を、1ゲージ法のブリッジ回路によって構成する場合、1つの第2ひずみセンサ21を、たとえば平面Pに重なる位置に設ける。第3検出回路3を、1ゲージ法のブリッジ回路によって構成する場合、1つの第4ひずみセンサ22は、たとえば平面Pに重なる位置に設ける。第1検出回路1を、2ゲージ法のブリッジ回路によって構成する場合、2つの第1ひずみセンサ11のうち一方の第1ひずみセンサを第1領域A1に設け、他方の第1ひずみセン
サを第2領域A2に設ける。第2検出回路
2を、2ゲージ法のブリッジ回路によって構成する場合、1つの第2ひずみセンサ21および1つの第4ひずみセンサ22を、たとえば平面Pに重なる位置に設ける。第3検出回路3を、2ゲージ法のブリッジ回路によって構成する場合、2つの検出方向の異なる第4ひずみセンサ22を、たとえば平面Pに重なる位置に設ける。
【0059】
変形例2
上記実施形態では、第1〜第3検出回路1〜3が取り付けられる面である取付面101aは車幅方向において左側を向いているが、特にこれに限定されない。例えば、取付面101aは、車幅方向において右側、すなわち自転車200のフレームとは反対側を向く面であってもよい。また、第1クランクアーム101が中空状である場合は、内部空間を画定する面であって車幅方向を向くいずれかの面に第1〜第3検出回路1〜3が取り付けられていてもよい。
【0060】
変形例3
上記実施形態において、第2領域A2に配置される第1ひずみセンサ11の検出方向は第2方向に対して傾斜しているが、特にこれに限定されない。例えば、全ての第1ひずみセンサ11の検出方向は、第2方向と実質的に平行であってもよい。例えば、第2領域A2に配置される第1ひずみセンサ11のうち少なくとも一方の検出方向が、第2方向と実質的に平行であってもよい。
【0061】
変形例4
上記実施形態において、第4ひずみセンサ22の検出方向は第1方向に対して傾斜しているが、特にこれに限定されない。例えば、全ての第4ひずみセンサ22の検出方向は、第1方向と実質的に平行であってもよい。例えば、2つの第4ひずみセンサ22のうち少なくとも一方の検出方向が、第1方向と実質的に平行であってもよい。
【0062】
変形例5
上記実施形態において、第2領域A2に配置される第3ひずみセンサ31の検出方向は、第1方向から45°傾斜した方向に対して傾斜しているが、特にこれに限定されない。例えば、全ての第3ひずみセンサ31の検出方向は、第1方向から45度傾斜した方向と実質的に平行であってもよい。例えば、第2領域A2に配置される第3ひずみセンサ31のうち少なくとも一方の検出方向が、第1方向から45°傾斜した方向と実質的に平行であってもよい。
【0063】
変形例6
上記実施形態において、第1検出回路1、第2検出回路2、および第3検出回路3の少なくともいずれか一つを備え、他の検出回路は備えない構成としてもよい。
【0064】
変形例7
上記実施形態において、各第2ひずみセンサ21A,21Bおよび各第4ひずみセンサ22A,22Bのうち、少なくとも1つのひずみセンサの検出方向が、基準となる方向に対して傾斜していてもよい。たとえば各第2ひずみセンサ21A,21Bのうち、少なくとも1つの検出方向が、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、基準となる第2方向に対して傾斜し、第4ひずみセンサ22A,22Bのうち、少なくとも1つの検出方向が、クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、基準となる第1方向に対して傾斜していてもよい。クランク軸102の軸方向に平行な方向から見て、各第2ひずみセンサ21A、21Bの検出方向が第2方向となす角度が、本発明の第2角度に相当する。
【0065】
変形例8
第1クランクアーム101および第2クランクアームの両方に、検出装置10を設けてもよく、第1クランクアーム101および第2クランクアームのいずれか一方のみに検出装置10を設けてもよい。第1クランクアーム101および第2クランクアームの両方に、検出装置10を設ける場合、第1クランクアーム101に設ける検出装置10と、第2クランクアームに設ける検出装置10とで、構成を異ならせてもよい。たとえば、第1クランクアーム101に設ける検出装置10と、第2クランクアームに設ける検出装置10とで、ひずみセンサの検出方向を、異ならせることによって、各クランクアームにおいて、最適な計測を行うことができる。
【0066】
[
第2の実施形態]
第2の実施形態のクランクアームアッセンブリは、第1の実施形態のクランクアームアッセンブリとは、第1検出回路が設けられる位置および第1検出回路の構成のみが異なり、他の構成は第1の実施形態のクランクアームアッセンブリと同様である。よって、異なる部分についてのみ説明し、同様の構成については同一の参照符号を用いて説明を省略する。
【0067】
図4に示すように、第2の実施形態のクランクアームアッセンブリは、第1クランクアーム101と、第1検出回路50とを備えている。第1検出回路50は、第1検出回路1と同様に、ペダル軸103aを介して第1クランクアーム101に荷重が与えられているときに、第1方向に作用する力(Fθ)を検出可能である。第1クランクアーム101は、クランク軸102の軸心102aまわりの回転方向の上流側端面および下流側端面の少なくとも一方に取付面101cを有する。上流側端面および下流側端面は、幅方向の両端面である。第1検出回路50は、取付面101cに設けられる第1ひずみセンサ51を含む。第1ひずみセンサ51の検出方向は、クランク軸102の軸心102aとペダル軸103aの軸心103bとを含む平面Pに垂直な方向から見て、クランク軸の軸心102aとペダル軸103aの軸心103bとに垂直な平面に関して、25°の範囲以内で、前記平面に対して傾斜する。この傾斜角度は、第1クランクアーム101の形状に応じて決定される。
【0068】
クランク軸102の上流側端面および下流側端面のそれぞれに取付面101cを有し、それぞれの取付面101cに設けられる各第1ひずみセンサ51を接続してホイートストンブリッジ回路を形成してもよい。この場合、各取付面101
cの第1ひずみセンサ51がホイートストンブリッジ回路において対向する辺を構成するように接続される。上流側端面および下流側端面のそれぞれに
設けられた取付面101cに設けられる各第1ひずみセンサ51の検出方向は、平面Pに垂直な方向から見て、異なる方向であってもよく、同じ方向であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1:第1検出回路、2:第2検出回路、3:第3検出回路、4:シート部材、101a,101c:取付面、101b:ペダル軸連結部、102:クランク軸、102a:軸心、103a:ペダル軸、103b:軸心、200:自転車、A1:第1領域、A2:第2領域、P:平面