【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、物理的操作によって核酸分子に対するタンパク質の結合を判定するための方法に関する。
【0010】
物理的技術と電気的処理に基づく本発明による方法は、化学的または生化学的な現行アプローチとは異なる。本発明による方法は、従来技術に優る利点を与える。
1)単一の核酸分子に対する、単一のタンパク質またはタンパク質複合体分子の検出に基づくことから高感度であること。単一分子を使用することで、タンパク質がその核酸標的を見つけるのに必要な時間およびそれがその標的上に留まる時間だけでなく、その結合事象の正確な位置も測定することができる。
2)高価な標識ヌクレオチド(蛍光団または何らかの他の基を有する)を使用しないこと。
3)二本鎖核酸分子の二末端間の距離を測定することにより、二本鎖核酸上のタンパク質結合部位の正確な位置(bp単位)を測定可能なこと。
4)秒単位で周期的に測定を繰り返すことができるので、偽陽性が排除され、統計値が改善され、装置のドリフトが有意に軽減されること。
5)同じ分子で実験を何回も繰り返すことができるので、統計値および測定の信頼性が改善されること。
6)いずれの核酸結合タンパク質の検出も可能であること。従って、核酸の構造的修飾を特異的に認識するタンパク質が同定でき、その構造的修飾の部位が検出できる。
【0011】
本発明は、配列決定された核酸分子上の、タンパク質が結合している部位の物理的位置に基づき、核酸配列に対するタンパク質の結合を検出するための方法に関する。
【0012】
本発明に関して、「結合」とは、高分子間(例えば、タンパク質と核酸間)の非共有結合的相互作用を意味する。このような相互作用は一般に、10
−6M
−1以下の解離定数(K
d)を特徴とする。「親和性」とは、結合の強度を意味し、高い結合親和性ほど低いK
dと相関している。
【0013】
「核酸分子に対するタンパク質の結合の検出」とは、本明細書では、前記タンパク質と前記核酸分子の間の相互作用の有無に関する何らかの情報の取得に直接的または間接的につながるあらゆる取り組みを意味する。前記結合の検出は、例えば、結合反応の動態パラメーターまたはタンパク質が結合した部位の配列などの付加的情報の決定を含んでも含まなくてもよい。当業者には自明であるように、本発明の方法は、このような決定を容易に実行可能とする。
【0014】
本発明は、変性した二本鎖核酸の二鎖が適当な条件下で再ハイブリダイズするという所見に基づく。もし、復元工程の際に、ある分子が前記変性二本鎖核酸分子の鎖のいずれかに結合すれば、再ハイブリダイゼーションは部分的でしかなくなる。本発明者らは、今般、ある特定の条件下で、この再ハイブリダイゼーションの停止が、恒久的であれ一時的であれ、タンパク質と前記変性二本鎖核酸分子の間の相互作用を検出するために使用可能であることを見出した。本発明によれば、二本鎖核酸分子の再ハイブリダイゼーションの遮断を検出することができ、その後、この遮断に関連する物理的パラメーター(例えば、遮断の持続時間、二本鎖核酸分子上の遮断の位置)が、タンパク質と核酸の配列との間の相互作用の検出を可能とする。
【0015】
よって、本発明は、ある核酸分子に対するタンパク質の結合を判定するための方法であって、変性した二本鎖核酸分子の復元の遮断を検出する工程を含んでなる方法に関する。
【0016】
「変性」とは、本明細書では、二本鎖間の水素結合の大部分が切れた際に起こる二本鎖核酸分子の二鎖の分離のプロセスを意味する。変性プロセスにより変性した核酸分子が得られ、この変性した核酸分子とは本明細書では、二本鎖核酸分子の変性から生じる2本の分離した相補鎖を意味する。「復元」とは、本明細書では、2本の分離した相補鎖がハイブリダイゼーションを介して二重らせんに再形成するプロセスを意味する。本明細書で用いる場合、「ハイブリダイゼーション」は、核酸の2以上の相補鎖間の非共有結合的、配列特異的相互作用を確立して単一のハイブリッドとするプロセスである。
【0017】
核酸を変性させるために当業者に公知の可能性がいくつかある。最も好ましい様式では、2本の鎖を、それらに物理的力をかけることによって分離する。本発明による「物理的力」は、ある物体にその移動、方向または幾何学的構成のいずれかに関して特定の変化を受けさせる任意の作用である。本発明による力が、例えば、温度などの他の物理的パラメーター(すなわち、それに対して及ぼされる作用というよりむしろ物体の特性そのものである)とは異なるということが当業者には明らかであろう。本発明による物理的力は、摩擦、張力、垂直力、空気抵抗力、付加力、および弾力などの力を含んでなる。最も好ましくは、本発明による物理的力は張力である。この実施形態によれば、前記二本鎖核酸の遊離末端を引き離して、対合塩基間の総ての結合を破断し、二本鎖核酸を開くことができる。
【0018】
本発明は、いずれのタイプの二本鎖核酸にも当てはまる。ほとんどの場合、二本鎖核酸はDNAであるが、本発明はまた、完全に対合したまたは完全には対合していない一本鎖DNA−一本鎖DNAの二重鎖、あるいはまた完全に対合したまたは完全には対合していない一本鎖DNA−一本鎖RNAの二重鎖、あるいはまた完全に対合したまたは完全には対合していない一本鎖RNA−一本鎖RNAの二重鎖にも当てはまると理解される。さらに、二重鎖は、異なる起源のサンプルから得られた2本の一本鎖が少なくとも部分的に再対合したものからなってもよい。最後に、本発明はまた、単一の一本鎖DNAまたは単一の一本鎖RNAの二次構造にも当てはまる。
【0019】
よって、本発明の方法は、ある核酸分子に対するタンパク質の結合を検出するための方法であって、
・二本鎖核酸分子を、前記分子に物理的力をかけることによって変性させる工程;および
・前記二本鎖核酸の復元の遮断を検出する工程
を含んでなる方法に関する。
【0020】
有利には、前記方法は、前記遮断の位置を決定するさらなる工程を含んでなる。
【0021】
DNA分子に対するタンパク質の結合をアッセイするためのこのタイプの方法では、再対合を促進するために、引き離す前に、二本鎖DNAの遊離末端(すなわち、支持体に結合されていない末端)が互いに共有結合的にまたは擬共有結合的に連結されるようにしておくことが有利であり得る。好ましい実施形態では、二本鎖核酸分子はヘアピンである。本発明に関して二本鎖核酸を図示することが望まれる場合には、開いた(または閉じた)「ジップファスナー」に模することができ、二本鎖核酸の変性はジップが開いた状態であり、復元は再び閉じた状態である。
【0022】
本発明者らは、ある特定の条件下で、ある分子が変性した二本鎖核酸分子に結合すると、前記二本鎖核酸分子の復元が遮断されることを見出した。この結合分子は、前記変性二本鎖核酸分子、例えば、核酸、タンパク質または小分子上の特定の配列に親和性を有するいずれのタイプの分子であってもよい。
【0023】
本発明の第1の態様では、タンパク質を用いて、前記二本鎖核酸の復元を遮断する。
【0024】
用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、本明細書使用する場合、同義であり、ペプチド結合を介して共有結合的に連結されて鎖となったアミノ酸のポリマーを意味する。ペプチド結合は、あるアミノ酸のカルボキシル基と次のアミノ酸のアミノ基との間で形成される。これらの用語はまた、1以上のアミノ酸が、対応する天然アミノ酸の化学類似体または修飾誘導体であるアミノ酸ポリマーにも当てはまる。用語「アミノ酸」は、D型およびL型両方の立体異性形の、天然に存在する総てのαアミノ酸、ならびにそれらの類似体および誘導体を意味する。類似体は、アミノ酸の原子の、通常類似の特性を有する異なる原子での置換と定義される。誘導体は、別の分子または原子がそれに結合されているアミノ酸と定義される。誘導体には、例えば、アミノ基のアセチル化、カルボキシル基のアミノ化、または2つのシステイン分子の硫黄残基の酸化によるシスチンの形成が含まれる。
【0025】
タンパク質は複数の機能を持ち得る。「結合タンパク質」は、別の分子と非共有結合的に結合し得るタンパク質である。結合タンパク質は、例えば、DNA分子と結合することができ(DNA結合タンパク質)、RNA分子と結合することができ(RNA結合タンパク質)、および/またはタンパク質分子と結合することができる(タンパク質結合タンパク質)。タンパク質結合タンパク質の場合、それはそれ同士で結合することができ(多量体の形成)、かつ/または異なる1または複数のタンパク質の1以上の分子と結合することができる。結合タンパク質は、2種類以上の結合活性を持ち得る。例えば、ジンクフィンガータンパク質は、DNA結合活性とRNA結合活性とタンパク質結合活性を持つ。よって、本発明による「核酸結合タンパク質」は、核酸と相互作用し得るタンパク質である。よって、本発明による「一本鎖核酸結合タンパク質」は、一本鎖核酸と相互作用し得るタンパク質であり、よって、本発明による「二本鎖核酸結合タンパク質」は、二本鎖核酸と相互作用し得るタンパク質である。
【0026】
よって、この実施形態によれば、本発明の方法は、ある核酸配列を含んでなる核酸分子に対するタンパク質の結合を判定するための方法であって、
a)前記配列を含んでなる前記二本鎖核酸分子を、前記分子に物理的力をかけることによって変性させる工程;
b)前記タンパク質を準備する工程;
c)前記タンパク質の存在下で前記二本鎖核酸分子を復元する工程;および
d)前記二本鎖核酸の復元の遮断を検出する工程
を含んでなる方法に関する。
【0027】
有利には、前記方法は、遮断の位置を決定するさらなる工程を含んでなる。
【0028】
当技術分野で周知のように、核酸結合タンパク質は、それらが一本鎖核酸(ssDNAおよびssRNA)と結合し得るか、または二本鎖核酸(dsDNA、dsRNA、DNA/RNAハイブリッドなど)と結合し得るかによって区別され得る。
【0029】
本発明の方法の第1の実施形態では、変性した二本鎖核酸の復元を遮断するために使用されるタンパク質は、一本鎖核酸と結合し得るタンパク質である。
【0030】
一本鎖核酸に対して親和性を有する核酸結合タンパク質は、変性した二本鎖分子それ自体と相互作用でき、従って、二本鎖核酸の復元の遮断をもたらす。当業者であれば、本発明が、タンパク質が特定の配列と結合しなくとも、結合反応動態のパラメーターの容易かつ正確な決定を可能とすることを理解するであろう。実際に、一本鎖核酸結合タンパク質は、ほとんどの場合、特定の配列に親和性を持たず、むしろ核酸全般に親和性を持つ。例えば、ヘリカーゼは、dsDNAをほどくためにssDNAギャップに結合することが知られている。細菌の一本鎖DNA結合タンパク質、すなわちSSBは、未熟なアニーリングを防ぐため、一本鎖DNAがヌクレアーゼによって消化されないようにするため、およびDNAから二次構造を除くために、DNAの一本鎖領域と結合する。DNA二本鎖切断修復および相同組換えに重要なタンパク質であるRad52タンパク質は、一本鎖DNA末端に結合し、相補的DNA鎖のアニーリングに必要なDNA−DNA相互作用を媒介する。
【0031】
これらの一本鎖核酸結合タンパク質は核酸に全般的親和性を有し、このことは、本発明に関して、これらのタンパク質が、前記核酸の配列とは無関係に、一本鎖核酸と結合し得ることを意味する。このような非配列特異的核酸結合タンパク質は、異なる配列と100倍未満、通常は10倍未満の解離定数の違いで、複数の無関連のDNA配列と結合する。
【0032】
他方、特定の配列を含む核酸分子に親和性を有する核酸結合タンパク質もあり、すなわち、それらは前記配列を含んでなる核酸のみを認識して結合する。相互作用が全体として配列特異的である限り、結合相互作用の総ての成分が配列特異的である必要はない(例えば、DNA骨格のリン酸残基との接触)。実際に、大多数の一本鎖核酸結合タンパク質は、核酸に全般的親和性しか持たず、これらのタンパク質の一部が一本鎖核酸の特異的配列と結合することができる。従って、配列特異的核酸結合タンパク質は、特定の配列、または互いに高い程度の配列同一性(例えば、少なくとも約80%の配列同一性)を示す特定の配列のファミリーと、無関連の配列の少なくとも100倍の親和性で結合する。配列特異的核酸結合タンパク質の、その特定の配列に対する解離定数は、通常、約100nM未満であり、10nM、1nM、1pM、または1fMといった低いものである場合もある。
【0033】
核酸結合タンパク質の多くは、一本鎖核酸と結合することができない。これらのタンパク質は、むしろ二本鎖核酸に対して親和性を有し、変性した二本鎖分子それ自体とは相互作用できない。これらのタンパク質は、これらの条件下で二本鎖核酸の復元の遮断を誘発しない可能性が高い。
【0034】
これらのタンパク質のほとんどは、二本鎖核酸配列を認識して結合する。例えば、二本鎖DNA結合タンパク質は、新たなタンパク質の発現の調節に重要な役割を果たす。これらのタンパク質は、種々の構造モチーフの手段でDNAと相互作用し、それらが結合するDNA配列の特性および位置に応じて、メッセンジャーRNAの転写を刺激したり抑制したりすることができる。
【0035】
この場合、前記二本鎖分子を変性させた後に、一本鎖核酸分子を前記二本鎖核酸結合タンパク質とともに提供することが有利であり得る。実際に、前記一本鎖核酸は、変性した二本鎖核酸の鎖の一方上にある相補配列とハイブリダイズして、そのタンパク質が結合できる二本鎖核酸ハイブリッドを形成することができることが当技術分野で周知である。この一本鎖核酸は、復元プロセスを遮断するのに十分な長さである限りいずれの長さであってもよい。優先的には、一本鎖核酸の長さは、3〜50ヌクレオチドの間、より優先的には、3〜45ヌクレオチドの間、3〜40ヌクレオチドの間、3〜35ヌクレオチドの間、3〜30ヌクレオチドの間、3〜25ヌクレオチドの間、3〜20ヌクレオチドの間、3〜15の間、いっそうより優先的には3〜12の間で構成される。本発明の一本鎖核酸は、特に、DNAまたはRNA分子であってよく、天然型または修飾型のいずれでもよい。前記一本鎖核酸はまた、例えば、リボース部分が2’酸素および4’炭素をつなぐ付加的架橋で修飾されているヌクレオチドであるロックド核酸(LNA)、または主鎖がペプチド結合で連結されたN−(2−アミノエチル)−グリシン単位の繰り返しで構成されるペプチド核酸(PNA)などの修飾ヌクレオチドから作製されてよい。
【0036】
従って、一本鎖核酸分子を復元前に変性した二本鎖核酸に加えた場合、再ハイブリダイゼーションの遮断は、その一本鎖核酸分子の配列が二本鎖核酸分子の配列の少なくとも一部に相補的であることを示す。
【0037】
本発明者らは、二本鎖核酸結合タンパク質が存在する場合、それは変性した二本鎖核酸と一本鎖核酸分子の間で形成されたハイブリッドと結合できることを示した。このタンパク質と核酸ハイブリッドの間の相互作用は、遮断の持続時間の変化をもたらす。ほとんどの場合、この相互作用は、復元の遮断の延長をもたらす。例えば、プライマーゼは、そうでなければヘアピンの復元を検出に十分な時間遮断するには十分安定でなかったであろうDNAオリゴを安定化する。同様に、プライマーとして使用される小オリゴヌクレオチドの3’末端へのDNAポリメラーゼの結合はその安定性を増す。あるいは、遮断の持続時間は短縮することもできる。実際に、本発明者らは、いくつかのヘリカーゼの結合が前記ハイブリッドの不安定化を誘発し、より短い遮断時間で翻訳されることを示した。
【0038】
よって、この好ましい実施形態によれば、本発明の方法は、
a)特定の配列を含んでなる二本鎖核酸分子を、前記分子に物理的力をかけることによって変性させる工程;
b)前記タンパク質と前記核酸配列に対応する一本鎖核酸分子を準備する工程;
c)前記タンパク質と前記一本鎖核酸分子の存在下で前記二本鎖核酸分子を復元する工程;および
d)前記二本鎖核酸の復元の遮断を検出する工程
を含んでなる。
【0039】
この実施形態は、二本鎖核酸内に含まれる配列に対する前記タンパク質の結合の判定を可能とすることから特に有利である。
【0040】
典型的な構成では、二本鎖核酸分子は、2つの固体基質(例えば、顕微鏡スライド、マイクロピペット、微粒子)に特異的に固定することができる。一方の末端を表面に直接的または間接的に固定し、他方の末端を可動表面に直接的または間接的に固定することができる。この実施形態では、これらの支持体を遠ざけると、二本鎖核酸の両末端に張力がかけられる。張力が閾値よりも大きいと、2本の鎖は分離され、核酸分子は変性される。かけられる張力は優先的には15pN以上であり、より優先的には16pN以上であり、いっそうより優先的には17pN以上であり、極めて好ましい態様では、18pN以上である。この力は、温度、ヌクレオチドタイプおよびバッファーによって変わり得るが、当業者ならば、2本の鎖の分離を得るためにこれらのパラメーターに対して前記の力を容易に適合させることができる。他方、張力が最小値よりも小さくなれば、変性した二本鎖核酸の2本の鎖は再ハイブリダイズすることができる。前記2本の鎖の再ハイブリダイゼーションを得るためには、12pN以下の張力が優先的にかけられ、より優先的には、11pN以下であり、いっそうより優先的には10pN以下である。
【0041】
最も好ましくは、二本鎖核酸はヘアピンである。本明細書で用いる場合、「ヘアピン」とは、一方の鎖の5’末端が他方の鎖の3’末端に不対合ループによって物理的に連結されている二重らせんを意味する。前記の物理的連結は、共有結合または非共有結合のいずれであってもよい。優先的には、前記物理的連結は共有結合であっても非共有結合であってもよい。優先的には、前記物理的連結は共有結合である。よって、ヘアピンは、二本鎖ステムと、不対合の一本鎖ループからなる。ヘアピンにおいて、ループに関与していない2本の鎖の末端は遊離状態であり、従って引き離すことができる。その結果、二本鎖核酸の対合解除が起こり、変性した二本鎖核酸分子が生じる。閾値より大きな力で前記核酸分子の各末端を引っ張ることによって、ヘアピン二本鎖核酸分子を完全に開くことができる。この分子にかけられる張力が最小値よりも小さくなると、核酸分子は再ハイブリダイズしてヘアピンを再形成する。前記の変性した核酸分子(例えば、ssDNA)に結合したタンパク質が存在すると、再ハイブリダイゼーションの停止が起こる。同様に、開いたヘアピンの核酸鎖の一方にハイブリダイズした一本鎖核酸分子が存在しても再ハイブリダイゼーションの停止が起こり、この停止の持続時間は、二本鎖核酸結合タンパク質がその複合体に結合している場合には変更される(すなわち、延長または短縮される)。従って、このような停止の持続時間における変化の検出は、タンパク質が二本鎖ステムの少なくとも一部に結合していることを示す。
【0042】
この点で、ヘアピンが短い期間、例えば1秒の後にリフォールディングするようなループの配列および長さを設計することが有利である。この効果に対する方法は従来技術、例えば、Woodside et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 103(16): 6190-6195, 2006に記載されている。この力を開状態から試験値まで小さくすると、開いたヘアピンの伸長は一本鎖DNAの弾性のために変動する。このヘアピンのリフォールドまでの小さな遅延により、ユーザーは、遮断状態を検出するために使用したものと同じ力でヘアピン伸長を測定することが可能となる。
【0043】
ヘアピンを使用すれば、特に、対合と対合解除のサイクルを行うこと、従って、シグナル/ノイズ比を改善することが可能となる。
【0044】
二本鎖核酸の遊離末端を互いに連結させる技術は公知であり、いくつかを以下にさらに詳しく記載する。
【0045】
遮断の判定とは、本明細書では、遮断に関連する物理的パラメーターの決定を意味する。1つの有用なパラメーターは二本鎖核酸分子上の遮断の位置であり、この位置は開いた二本鎖核酸分子に対するタンパク質の結合の位置、または開いた二本鎖核酸分子上への一本鎖核酸分子のハイブリダイゼーションに相当する。実際に、本発明者らは、復元の停止が起こる二本鎖核酸上の位置が正確に決定可能であることを見出し、ヘアピンの使用は、当業者に変性/復元プロセス中の任意の時点でヘアピンの2つの遊離末端間の物理的距離を測定する手段を与える。
【0046】
よって、本発明によれば、前記方法は遮断の位置を決定するさらなる工程を含んでなることが特に有利である。
【0047】
この好ましい実施形態によれば、本発明は、ある核酸配列を含んでなる核酸分子に対するタンパク質の結合を判定するための方法であって、
a)ある核酸配列を含んでなる二本鎖核酸分子を、前記分子に物理的力をかけることによって変性させる工程;
b)前記タンパク質を準備する工程;
c)前記タンパク質の存在下で前記二本鎖核酸分子を復元する工程;
d)前記二本鎖核酸の復元の遮断を検出する工程;および
e)前記二本鎖核酸分子上の前記遮断の位置を決定する工程
を含んでなる方法を提供する。
【0048】
「遊離末端」とは、本明細書では、もう一方の鎖の末端に共有結合的に連結されていない一方の鎖の末端を意味し、上述したように、これらの遊離末端はそれぞれ異なる表面に結合させることができる。例えば、これらの表面の一方は可動であり得、他方は不動であり得る。従って当業者は、ヘアピン二本鎖核酸の遊離末端間の距離を測定するために、単にその2つの表面間の距離を測定すればよいということを容易に理解するであろう。
【0049】
この距離は、ヘアピン核酸はその後完全に伸長されるため、ヘアピン分子が完全に変性された際に最大(z
high(F
open))となり、ヘアピン分子が完全に復元された際に最小(z
low(F
test))となる。長さの比較は総て、一本鎖核酸が同じ弾性特性を有するように同じ力F
testで行うことが有利である。当業者は、ループが閉じる時間の遅れを用いてZ
high(F
test)を測定することができる。同様に、復元プロセスが一時的に停止された場合の2つの遊離末端間の距離を測定することができ、予想されるように、この距離zはz
highとz
lowの間を含む(zは総てF=F
testで測定される)。距離zは、ヘアピン分子内の、一本鎖核酸結合タンパク質の結合の位置、またはそれに対して一本鎖核酸が相補的である配列の結合の位置によって異なることは自明である。前記タンパク質がヘアピンの遊離末端付近に位置する配列に結合すれば、自己再ハイブリダイゼーションプロセスは、完全なヘアピンが再形成される直前で遮断され、この場合にz
pauseは最小となる。他方、前記タンパク質がヘアピンの、不対合ループ付近の部分に結合すれば、復元プロセスは、ヘアピンが完全にまたはほぼ完全に変性された状態で停止され、この場合にz
pauseは最大となる。同様に、前記一本鎖核酸が、ヘアピンの遊離末端付近に位置する配列とハイブリダイズすれば、自己再ハイブリダイゼーションプロセスは、完全なヘアピンが再形成される直前で遮断され、この場合にz
pauseは最小となる。他方、前記一本鎖核酸がヘアピンの、不対合ループ付近の部分に結合すれば、復元プロセスは、ヘアピンが完全にまたはほぼ完全に変性された状態で停止され、この場合にz
pauseは最大となる(
図1)。
【0050】
二本鎖核酸分子における物理的距離と塩基数は正確に相関させることができる。例えば、距離0.8nmは、10pNの力の下で、一本鎖核酸において2つの連続するヌクレオチドにわたる距離(1bp)に相当する。力に対する伸長の正確な較正は、一本鎖核酸の弾性により与えられる。従って、部分的に再閉鎖した二本鎖核酸分子の2つの遊離末端(または分子上の任意の2つ参照位置)の間の距離を単に測定することにより、復元が遮断された場所を正確に決定することができる。
【0051】
よって、一実施形態では、本発明は、核酸分子に対するタンパク質の結合を判定するための方法からなり、この場合、前記二本鎖核酸分子をまず、物理的力をかけることによって変性させ、次に、前記タンパク質および場合により一本鎖核酸の存在下で再ハイブリダイズさせ、再ハイブリダイゼーションの遮断の存在を検出する。一態様において、復元プロセスが遮断された際に、部分的に復元した二本鎖分子の2つの末端間の距離が決定される。優先的には、分子が完全に変性された際に、前記分子の2つの末端間の距離が決定される。より優先的には、これら2つの距離が比較され、遮断の位置が決定される。より優先的には、完全に伸長されたループと参照ハイブリダイゼーション位置の間の距離が測定され、遮断の位置を決定するために使用される。いっそうより優先的には、2つの参照ハイブリダイゼーション位置の間の距離が測定され、遮断の位置を決定するために使用される。
【0052】
分子上のその位置の他、復元の遮断に関連する最も有用なパラメーターは、復元が遮断されている時間(本明細書では復元停止の持続時間と呼ばれる)である。実際に、再ハイブリダイゼーションが遮断されている時間を測定することが可能である。例えば、当業者ならば、二本鎖核酸の2つの末端間の距離が上記で定義されたようなz、すなわち、z
highとz
lowの間の中間値である時間を決定することができる。
【0053】
変性した二本鎖核酸と相補的な一本鎖核酸の間のハイブリダイゼーションにより遮断が生じる場合、遮断の持続時間は、2配列間の相補性の程度に依存する。相補性が高いほど、2分子間で確立される結合の数が増え、従って、持続時間が長くなる。また、遮断時間は2配列間の相補性の領域の長さに依存することも明らかである。領域が長いほど、2分子間で確立される結合の数が増え、従って、持続時間が長くなる。従って、ある特定の条件下では復元停止の持続時間がほぼ恒久的となることが容易に想像できる。特に、一本鎖核酸が変性した二本鎖核酸とハイブリダイズ可能な20を超える、好ましくは25を超える、いっそうより好ましくは30を超えるヌクレオチドを含んでなる場合には、その一本鎖核酸は、前記二本鎖核酸にかけられる力がF
testまで小さくなって二本鎖ヘアピンとハイブリダイズしたままとなり(何分も)、従って、前記二本鎖ヘアピンの自己再ハイブリダイゼーションを妨げる。このような場合、一本鎖核酸分子の放出のために酵素を使用すること、または力を数秒間0.5もしくは1pNに引き下げて、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドを効率的に放出する第三相を加えることが有利であり得る。従って、前記一本鎖核酸分子の放出は、対合と対合解除のサイクルを行うこと、従って、シグナル/ノイズ比を改善することを可能とする。
【0054】
停止の持続時間はまた、反応条件によって異なり得る。前記持続時間は、温度が高くなるほど短くなる。同様に、バッファー条件も停止の持続時間を変調することができ、例えば、マグネシウム、ベタインおよび塩化テトラメチルアンモニウム(TMACはモル濃度で使用される)は遮断時間を延長する。これらの化合物はGC対よりもAT対を強めるので、これらの対の間の強度の違いを小さくする。しかしながら、温度およびバッファーが固定された場合、停止の持続時間は、変性した二本鎖核酸上の引っ張り力および一本鎖核酸とのその相補性にのみ依存する。実際に、本発明者らは、力が小さくなると遮断時間が指数関数的に短くなることを示した。
【0055】
最後に、停止の持続時間は、タンパク質と変性した二本鎖核酸と相補的一本鎖核酸の間で形成される複合体の特性にも依存する。二本鎖核酸結合タンパク質(double-stranded acid nucleic-binding protein)はこの複合体を安定化させ得る。その二本鎖核酸に対する親和性が高いほど、停止は長くなる。また、タンパク質が二本鎖核酸を不安定化して(例えば、RNAポリメラーゼの開放型複合体の場合)停止を短くすることもできる。
【0056】
同様に、変性した二本鎖核酸と結合し得るタンパク質の存在は、前記核酸分子の復元を一時的に遮断する。この遮断の持続時間もまた、核酸に対するタンパク質の親和性に依存する。前記分子に対して高い親和性を有するタンパク質が、より低い親和性を有するタンパク質よりも長い停止をもたらすのは明らかである。
【0057】
当業者ならば、停止の測定が、実験の節に説明されるように、平均遮断時間、従って、結合反応の動態パラメーターの決定を可能とすることを容易に理解するであろう。
【0058】
よって、1つの特定の態様では、本発明の方法は、
a)前記二本鎖核酸分子を、前記分子に物理的力をかけることによって変性させる工程;
b)タンパク質と、場合により一本鎖核酸分子を準備する工程;
c)前記タンパク質と、場合により前記一本鎖核酸分子の存在下で前記二本鎖核酸分子を復元する工程;
d)前記二本鎖核酸の復元の遮断を検出する工程;および
e)停止の持続時間を決定する工程
を含んでなる。
【0059】
好ましくは、前記方法は、遮断の位置を決定するさらなる工程を含んでなる。
【0060】
この実施形態では、この停止の持続時間を対照と比較してもよい。特に、前記タンパク質が二本鎖核酸結合タンパク質である場合、前記の停止を、その方法をそのタンパク質の不在下で行った場合に測定された停止と比較することが有利であり得る。上記で説明したように、変性した二本鎖核酸と相補的一本鎖核酸の間で形成された複合体に対する前記タンパク質の結合は、復元遮断の持続時間を変化させる。前記の遮断は、停止の持続時間の延長または短縮(具体的なタンパク質による)として解釈される。
【0061】
よって、好ましい一実施形態では、本発明の方法は、
a)前記二本鎖核酸分子を、前記分子に物理的力をかけることによって変性させる工程;
b)タンパク質と、場合により一本鎖核酸分子を準備する工程;
c)前記タンパク質と、場合により前記一本鎖核酸分子の存在下で前記二本鎖核酸分子を復元する工程;
d)前記二本鎖核酸の復元の遮断を検出する工程;
e)停止の持続時間を決定する工程;および
f)タンパク質の不在下での持続時間と比較する工程
を含んでなる。
【0062】
有利には、前記方法は、遮断の位置を決定するさらなる工程を含んでなる。
【0063】
結合部位の配列に関する情報を求めずに核酸に対するタンパク質の結合を検出および測定することができるが、適用によっては、そのような配列を決定することが有用な場合もある。例えば、前記タンパク質の結合を排除する前記結合部位の突然変異を同定することに着目される場合がある。
【0064】
よって、好ましい一実施形態では、本発明の方法は、ある核酸配列を含んでなる二本鎖核酸分子の対するタンパク質の結合を判定するための方法であって、
a)前記二本鎖核酸分子を、前記分子に物理的力をかけることによって変性させる工程;
b)前記タンパク質と、場合により前記二本鎖核酸分子の少なくとも一部に相補的な一本鎖核酸分子を準備する工程;
c)前記タンパク質と、場合により前記一本鎖核酸分子の存在下で前記二本鎖核酸分子を復元する工程;
d)前記二本鎖核酸の復元の遮断を検出する工程;および
e)前記タンパク質が結合した核酸配列の配列を決定する工程
を含んでなる。
【0065】
有利には、復元の遮断の検出の後に、遮断の位置を決定する工程を行う。
【0066】
好ましくは、前記タンパク質および前記一本鎖核酸分子は、結合部位の配列決定を行う前に、二本鎖核酸分子を洗い流す。
【0067】
本発明の方法は単一分子の検出に基づくので、事前の増幅なく単一分子を配列決定できる方法を使用することが好都合である。このような単一分子の同定および配列決定法は、従前に記載されている(WO2011/147931;WO2011/147929;Ding et al., Nature Met, 9(4): 367-372, 2012)。これらの配列決定法は、変性した二本鎖核酸分子の復元の遮断の検出に基づく。よって、本発明による配列決定法は、好ましくは、
a)前記核酸配列に対応する二本鎖核酸分子を、前記分子に物理的力をかけることによって変性させる工程;
b)一本鎖核酸分子を準備する工程;
c)前記一本鎖核酸分子の存在下で前記二本鎖核酸分子を復元する工程;および
d)前記二本鎖核酸の復元の遮断を検出する工程
を含んでなる。
【0068】
有利には、前記方法は、遮断の位置を決定するさらなる工程を含んでなる。
【0069】
これらの配列決定法は、本方法と同じ装置を使用するので、本発明の方法と容易に組み合わせることができる。ヘアピンにより表面につなぎ止められた磁性ビーズを引っ張ることにより、分子のジップを開くことができる。この開状態で、それは相補的一本鎖核酸とハイブリダイズすることができ、これにより、引張力が小さくなった際にヘアピンの再閉を一時的に遮断する。表面から遮断されたヘアピンのビーズまでの距離を測定することにより、分子上のハイブリッドの位置をほぼ一塩基の精度で決定することができ、従って、そのローカル配列(溶液中の既知の一本鎖核酸の配列の相補物)がどこにあるかを確認することができる。従って、実験の構成を変更することなく、タンパク質および場合により相補的一本鎖核酸を含有するバッファーを、前記方法に従って配列決定を行うのに好適なバッファーに置き換えるだけで、前記タンパク質が結合した分子を直接、配列決定することができる。
【0070】
DNAシス調節エレメントの効率的な同定は、ポストゲノム生物学の中心的課題である。ゲノム内の特定の核酸結合タンパク質の結合部位を総て同定することは、その発現が前記タンパク質により調節される可能性のある総ての遺伝子を同定することになるので、特に有用である。DNAシス調節エレメントの包括的同定は、転写ネットワーク動態の予測的理解に重要である。
【0071】
全ゲノムDNA配列データ、ハイスループット技術、および新規なアルゴリズムの合流は、我々の転写調節エレメントの同定および特性決定能を急速に高めている(Eisen et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 95: 14863-14868, 1998; Tavazoie et al., Nat. Genet., 22: 281-285, 1999; Bussemaker et al., Nat. Genet., 27: 167-171, 2001; Lee et al., Science, 298: 799-804, 2002)。しかしながら、これらのアプローチは内在限界を持つ。例えば、遺伝子発現クラスタリングおよびシス調節モチーフの発見を用いるハイブリッド法の成功は、実験室で使用される生理学的摂動の範囲により制限される。チップに基づくクロマチン免疫沈降法(ChIP)などのin vivoアプローチについても、DNA−タンパク質の相互作用が、まさにそれらの調節的役割のために特定の環境条件下でしか起こらず、同じことが言える(Lee et al., Science, 298: 799-804, 2002)。これらの制限は、実験データを得るのがより難しい後生動物真核生物ではいっそうより厳しい。
【0072】
本方法は、ChIP(染色体免疫沈降法)およびDNアーゼIフットプリント法などの従来技術の方法に代わる、ゲノムにおける転写因子の結合位置をマッピングするための別法を与える(The ENCODE Project Consortium, Nature, 489: 57-74, 2012)。
【0073】
よって、別の態様によれば、本発明はまた、特定の核酸結合タンパク質と結合し得る配列を含んでなる核酸分子を同定するための方法であって、
a)二本鎖核酸分子の集団を準備する工程;
b)前記核酸分子に対する前記タンパク質の結合を、上記の方法によって試験する工程;および
c)前記タンパク質と結合し得る核酸分子を選択する工程
を含んでなる方法を提供する。
【0074】
好ましくは、本方法は、前記核酸分子の結合部位に相補的な一本鎖核酸の提供を含む。
【0075】
よって、この実施形態によれば、本方法は、
a)二本鎖核酸分子の集団を準備する工程;
b)前記二本鎖核酸分子を、前記分子に物理的力をかけることによって変性させる工程;
c)前記タンパク質と前記結合部位に相補的な一本鎖核酸分子を準備する工程;
d)前記タンパク質と前記一本鎖核酸分子の存在下で、前記二本鎖核酸分子を復元する工程;
e)前記二本鎖核酸の復元の遮断の有無を検出する工程;および
f)復元が一時的または恒久的に遮断される核酸分子を選択する工程
を含んでなる。
【0076】
有利には、前記方法は、遮断の位置を決定するさらなる工程を含んでなる。
【0077】
このようにして単離される核酸分子は、前記の特定の結合配列を含んでなる核酸分子の集団に相当する。従って、それらは、この特異的配列を含むという点で他の核酸分子とは異なる。これらの分子は総てこの配列を有しているが、それ以外の点は同じであってもなくてもよい。特定の実施形態では、当業者には、前記の特定の結合配列外で異なる各核酸分子の配列を同定することが好ましい場合がある。実際に、特定の核酸結合タンパク質に対する1以上の結合部位を含む核酸分子を同定する場合には、同定された分子を、例えば、上記の配列決定法で配列決定することが有利であり得る。この工程によって得られた情報によって、全ゲノムにおける前記分子の位置決定が可能となり、従って、この結合部位によって調節され得るまたは調節されないと思われる発現単位が同定できる。これは、配列決定工程により得られた情報を用いてデータベースを注意深く検索することによって容易に達成でき、当業者は、配列決定により得られた配列を含むクローンを、公開配列データベース(例えば、Genbank)を助けにどのようにして探せばよいかを知っており、これはここでさらに詳しく述べる必要はない。
【0078】
好ましい実施形態では、二本鎖核酸分子の集団は、全ゲノムを表す。
【0079】
二本鎖核酸分子の集団は有利には、まず、染色体をレアカッター制限酵素により消化することによって得られる。当業者に知られているように、レアカッター制限酵素は、ゲノムに稀にしか存在しない認識配列、例えば、7または8塩基を含んでなる認識配列を有する制限酵素である。このようなレアカッター酵素の例としては、SfiI、Xma I、Asc I、AsiS I(イソ制限酵素Sgf I)、Not I(イソ制限酵素CciN I)、Sbf I(イソ制限酵素Sse8387 I、Sda I)、Fse I、Pac Iなどが挙げられる。これらの酵素は総て市販されている。第2段階において、このようにして得られた制限断片をEcoRI、BamHI、XhoIなどの通常の6塩基制限酵素で消化する。次に、得られた直鎖二本鎖断片をヘアピンへ変換することができる。二本鎖の遊離末端を互いに連結させる技術は公知であり、いくつかを以下にさらに詳しく記載する。
【0080】
本発明の方法のもう1つの特定の適用は、エピジェネティック修飾の検出におけるものである。このような試験は現在のところ実施が極めて難しく、多くのDNA修飾を見過ごす。しかしそれでも、エピジェネティック修飾は、微生物感染および腫瘍学を含む様々な病理に極めて重要である。上記発明は、ゲノムDNAに対する修飾を全領域または選択領域においてスクリーニングするために使用できることが有利である。
【0081】
DNAに対するエピジェネティック修飾は、ほとんど総ての生物のゲノムに存在する。それらの種類および位置は、生物、組織、および細胞種によって、経時的に、また、環境との相互作用によって異なる。これらの修飾には慎重に制御されたプロセスによって生じるものがある。他のものはDNA損傷の結果である。
【0082】
このような修飾は、DNA内に保存可能な情報の量を著しく拡大する。例えば、大腸菌(Escherichia coli)の
dam遺伝子は、二本鎖DNAの−GATC−配列のアデニンをメチル化するDNAメチルトランスフェラーゼをコードし、これにより遺伝子発現を調節する(例えば、Calmann and Marinus, J. Bacteriol., 185(16): 5012-5014, 2003)参照)。他方、真核生物において最も一般的なエピジェネティックマーカーは5−メチルシトシン(5mC)である。この特異的修飾は、多様な重要細胞プロセスおよびより広い生理学的プロセスを制御および調節するために必要とされ、ヒトにおけるDNAメチル化の問題は、様々な疾患、最も顕著には特定のタイプの癌に関連付けられている。5mCの他、真核生物には多様な他のDNA修飾が存在する(Korlach and Turner, Curr.Opin.Struct.Biol., 22: 251-261, 2012)。
【0083】
本時点で、5mCの判定の標準は「バイサルファイト変換」であり、メチル化されているもの(不変で残る)以外の全てのシトシン残基がウラシルに変換される。次に、このDNA産物を増幅させると、ウラシルがチミンへ変換される。その後、これらの変換の変化をDNAの配列決定により検出することができる(Song et al., Nature Biotechnol, 30(11): 1107-1116, 2012)。しかしながら、これは煩雑で、時間がかかり、コストもかかる方法であり、誤り率は5〜34%である(Beck, Nature Biotechnol, 10: 1026- 1028, 2010)。
【0084】
本発明は、核酸のエピジェネティック修飾を検出するための容易な方法を提供する。「エピジェネティック修飾」は、本明細書において、前記核酸分子の合成後に起こる核酸分子を構成する塩基の修飾を意味する。このようなエピジェネティック修飾には、とりわけ、4−メチルシトシン(m4C)、5−メチルシトシン(5mC)、5−ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)、5−ホルミルシトシン(5fC)および5−カルボキシルシトシン(5caC)、ならびにDNAにおける6−メチルアデノシン(m6A)、およびRNAにおける5−ヒドロキシメチルウラシル(5hmU)およびN
6−メチルアデノシン(m6A)が含まれる。
【0085】
よって、1つの特定の態様では、本発明は、二本鎖核酸分子内に含まれる少なくとも1つの修飾塩基を検出するための方法であって、
a)前記二本鎖核酸を準備する工程;
b)前記修飾塩基と結合し得るタンパク質を準備する工程;および
c)前記核酸分子に対する前記タンパク質の結合を上記の方法によって試験する工程
を含んでなる方法を提供する。
【0086】
場合により、本発明の方法は、結果をより良くバリデートするために可能性のある修飾の部位を認識する単純なオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを試験するさらなる工程を含んでなり得る。例えば、5mCメチル化をその抗体で検出した後に、配列ATGCをオリゴNNTACGNNで検出することができる。
【0087】
この方法は、非修飾結合分子を可逆的プロセスで使用するので特に有利である。例えば、5mCを検出するために使用される場合には、DNAに対する化学的(重硫酸ナトリウム)反応は必要とされない。さらに、本発明の方法は、単一分子の単位で修飾塩基の検出を可能とするので、従来技術のいずれの方法よりもはるかに感度が高い。
【0088】
好ましい実施形態では、修飾塩基は、5−メチルシトシン(5mC)、5−ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)、5−ホルミルシトシン(5fC)、5−カルボキシルシトシン(5caC)、5−ヒドロキシメチルウラシル(5hmU)、およびN6−メチルアデノシン(m6A)からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、前記塩基は5mCと5hmCの間で選択される。いっそうより好ましい実施形態では、前記塩基は5mCである。これらの修飾塩基を特異的に認識し結合するタンパク質が記載されている。例えば、5mCに対する抗体が記載されており、細胞に基づく可視化のためにこの修飾を染色することにより使用される(Ito et al., Nature, 466: 1129-1133, 2010; Ko et al., Nature, 468: 839-843, 2010; Szulwach etal., Nature Neurosci, 14: 1607-1611, 2011; Haffner et al., Oncotarget, 2: 627-637, 2011; Inoue et al., Science, 334: 194, 2011; Inoue et al., Cell Res, 21: 1670-1676, 2011)。このような抗体は市販されている(例えば、クローン33D3;ref:Active Motifの39649)。抗体の他、対象とするヌクレオチドを特異的に認識してそれと反応する酵素が同定されている(Song et al., Nature Biotechnol, 30(11): 1107-1116, 2012)。例えば、T4バクテリオファージ酵素β−グルコシルトランスフェラーゼ(βGT)は、グルコース部分を5hmCに転移する。Tet1−3タンパク質は、5mCの5hmCへの変換を担う。メチル−CpG結合タンパク質2(MeCP2)は、5−mCを含むDNAに対するその親和性により最初に同定された。好ましくは、前記タンパク質は、前記修飾塩基に対する抗体または前記塩基を特異的に認識する酵素である。より好ましくは、前記タンパク質は抗体である。
【0089】
同じ方法が核酸の他の修飾の検出にも適用できることが明らかである。例えば、二本鎖核酸分子に存在するミスマッチを検出することができる。細菌MutSなどのタンパク質は、娘鎖上のミスマッチ塩基を認識し、突然変異したDNAと結合することが長年知られている。このような特性は、二本鎖核酸分子中のミスマッチを検出および同定するために利用することができる。
【0090】
従って、二本鎖核酸分子中の少なくとも1つのミスマッチを検出するための方法であって、
a)前記二本鎖核酸分子を準備する工程;
b)ミスマッチ塩基と結合し得るタンパク質を準備する工程;および
c)前記核酸分子に対する前記タンパク質の結合を、上記の方法によって試験する工程
を含んでなる方法を提供することも本発明の一態様である。
【0091】
MutSはミスマッチにダイマーとして結合することが知られているので、本発明の方法においてMutSダイマーを使用することが有利である。真核生物では、MutSホモログは、2つの主要なヘテロ二量体:Msh2/Msh6(MutSα)およびMsh2/Msh3(MutSβ)を形成する。好ましくは、前記タンパク質は、MutSダイマー、Msh2/Msh6(MutSα)、およびMsh2/Msh3(MutSβ)の間で選択される。
【0092】
一塩基多型(SNP、pronounced snip; plural snips)は、生物種のメンバー間またはヒトの対をなす染色体間で、ゲノム(または他の共有配列)中の一塩基、すなわちA、T、CまたはGが異なる場合に生じるDNA配列バリエーションである。平均して、SNPはヒト集団中に1%を超える割合で見られる。ヒトのDNA配列のうち約3〜5パーセントのみがタンパク質の産生をコードしているので、ほとんどのSNPはコード配列外に見られる。コード配列内に見られるSNPは、タンパク質の生体機能を変化される可能性が高いことから、特に注目される。
【0093】
SNPを含んでなる分子は、その集団の大多数に見られる配列を含んでなる分子とハイブリダイズした際にミスマッチを生じる。よって、本発明は、SNPの容易な検出を可能とする。
【0094】
よって、この実施形態は、核酸分子に含まれる配列中のSNPを検出するための方法であって、
a)前記核酸を、その集団の大多数に見られる配列を含んでなる一本鎖核酸とハイブリダイズさせる工程;および
b)生じたミスマッチを、上記の方法によって検出する工程
を含んでなる方法に関する。
【0095】
供試核酸が二本鎖核酸である場合、工程a)の前に前記核酸を変性させることが有利であり得る。
【0096】
これらの方法は、上記の方法の簡単な適合によって全ゲノムスケールで実施可能であることが明らかである。これは、例えば、ゲノムにおいて特定の修飾塩基を含む総ての部位の同定につながるであろう。その発現が前記の修飾塩基によって影響を受けやすい遺伝子は、このような修飾塩基を含む核酸分子の配列決定を行うことによって同定することができる。さらに、次に、前記修飾塩基の後代への伝達を評価することもできる。これらの情報は、サイレントで留まる遺伝子もあれば世代を経て発現を維持する遺伝子もあることを確認することが重要である動物または植物の選抜などの分野で注目され得る。
【0097】
さらに別の態様では、タンパク質のその特定の結合配列に対する結合を妨げる化合物を同定するための方法が提供される。これらの化合物は、前記タンパク質のその結合部位への結合を減少させるか、または無くす。このような化合物は、治療薬として有用であり得る。例えば、発癌型のcMycのその結合部位との相互作用を妨げる化合物は、癌を治療するために有用となろう。
【0098】
この実施形態によれば、本発明は、タンパク質とその結合部位の間の相互作用を妨げ得る少なくとも1つの化合物を同定するための方法であって、
a)前記タンパク質と、前記結合部位に対応する配列を含んでなる核酸分子とを準備する工程;
b)化合物を準備する工程;および
c)前記核酸分子に対する前記タンパク質の結合を、上記の方法によって試験する工程
を含んでなる方法に関する。
【0099】
好ましい実施形態では、化合物は、前記核酸分子に対する前記タンパク質の結合が減少するか、または無くなる場合に選択される。
【0100】
癌に関与するほとんどの核酸結合タンパク質は、二本鎖核酸と結合する転写因子であることが明らかである。従って、別の好ましい実施形態では、前記核酸分子は二本鎖核酸分子である。さらなる好ましい実施形態では、本方法は、前記二本鎖核酸分子の配列に相補的な一本鎖核酸を準備する工程をさらに含んでなる。当然のことながら、これらの分子は、結合の試験を行う前に準備される。
【0101】
本発明の方法の実施は、特に、単一分子のレベルでリアルタイム核酸互作用をプロービングするように設計されたデバイスの存在によって可能となった。このようなデバイスは、例えば、米国特許第7,052,650号および同第7,244,391号に記載されている。そこに記載されている装置では、ミクロンサイズの超常磁性ビーズにピコニュートン規模の力をかけるために磁気トラップを使用する。簡単に述べれば、前記装置は、光学顕微鏡、磁石およびPCを含んでなる。二本鎖核酸分子の一方の末端が静止部材、例えば、表面に複数の点で固定され、他方の末端は可動表面、この場合には磁性ビーズに固定される。このビーズに作用する磁石を設ける。特に、これらの磁石は前記表面からビーズを引き離すために使用することができる。しかしながら、本発明の方法の実施は、上記の装置に限定されない。本発明の方法を実施するためには、一分子の二本鎖核酸を完全に伸長させ、次いでリフォールディングし、同時に前記分子の伸長をモニタリングすることを可能とするいずれのデバイスも使用可能である。例えば、光ピンセットが使用可能であるが、それらは事前の力の較正を必要とし、ハイスループット測定のための並列化が容易ではない。さらなる欠点は、核酸のねじれの制御の調節が複雑なこと、および集束レーザーにより溶液が局所的に加熱される可能性があり、ハイブリダイゼーション条件を変化させるおそれがあることである。
【0102】
二本鎖核酸を、その一方の標識(例えば、ビオチン)末端で結合する適当なビーズ(例えば、ストレプトアビジンでコーティングされたもの)の溶液中で数分間インキュベートする。これらのビーズは、後に光ピンセットが操作に使用される場合には透明であり得、または磁気トラップもしくは磁気ピンセットを操作に使用する場合には磁性であり得る。
【0103】
ビーズ−核酸アセンブリは流体チャンバー中に注入され、その流体チャンバーの表面は、分子の他方の標識末端と結合するような処理が施されている(例えば、核酸のDig標識末端と結合するように抗Digでコーティングされた表面)。従って、これらのビーズは、核酸ヘアピンを介して表面に固定される(
図1a参照)。次に、前記ビーズと前記表面の距離が当業者に公知の様々な手段でモニタリングされるが、例えば、カメラでのそれらの画像の回折リングを用いてそれらの距離を導き出すこともできるし、またはエバネッセントモードで照射を行う場合には、それらが散乱する(もしくは蛍光により発する)光強度を用いてそれらの距離を測定することができる。あるいは、それらが生じる磁場を測定して(GMRまたはHallセンサなどの磁気センサを使用)、固定表面上のセンサまでのそれらの距離を導き出すことができる。
【0104】
ビーズを固定する核酸分子を表面に引き寄せるため、種々の技術が記載されている。集束レーザービームの光を用いれば、焦点付近の透明ビーズを捕捉することができる。固定表面に対する光線の相対的並進により、つなぎ止めている分子に力をかけることができる(典型的な光ピンセットアッセイ)。かけられている力はその平衡位置からのビーズの移動に比例し、つなぎ止めている分子に一定の力をかけるには、トラッピングビームにフィードバックループを必要とする。
【0105】
ビーズに一定の力をかけるためには、ビーズ周囲の流れによって生じる流体力学的抵抗の使用が記載されているが、通常、それから得られる空間精度は低い(>100nm)。好ましい実施形態は、上記のように、核酸ヘアピンによって表面に固定された超常磁性ビーズを引き寄せるために磁気トラップを使用する。この構成では、サンプル上に配置した小さな磁石を用いて、固定されたビーズに一定の力をかけるが、その位置は<1nmの精度で決定することができる(引張力および流体力学的抵抗による散逸による)。
【0106】
どの場合においても、つなぎ止めているヘアピンは、約16pNより大きな力でビーズを引き寄せることによって機械的に完全に開くことができることを注記しておく。分子にかける張力を約11pNより小さくすると、ヘアピンに自発的に再閉させることができる(開状態の移行はヒステリシス的ではあるが可逆的である)。もし、開状態の際に、伸長した一本鎖核酸に、溶液中の一部の分子(例えば、タンパク質、またはDNA、RNA、LNAもしくはPNAの相補的オリゴヌクレオチド)が結合していれば、力が11pNよりも小さくなった場合に、これらの分子はヘアピンの再閉を遮断する。従って、このアッセイの原理は2つの力の間の切り替えであり、大きい方のF
openはヘアピンを開き、小さい方のF
testは、再閉させ、一時的遮断の際の分子の伸長を測定するために用いられる。遮断位置は、完全伸長と遮断状態の間の直線関係により、配列に関連づける。精度を最も良くするためには、完全伸長は、好ましくは、テスト張力F
testで測定する。これは、力がF
openからF
testへと小さくなったところで、一瞬でリフォールディングされるようにヘアピンループを設計することによって達成される。
【0107】
核酸を表面または支持体に結合させるためには、当技術分野で公知のいずれの技術を用いてもよい。本質的に、核酸は、例えばマイクロビーズなどの支持体に直接的に固定され、支持体は、例えば核酸の官能基化末端と反応することができるストレプトアビジン、COOH基などでコーティングすることによるなど、この表面の官能基化を含む。
【0108】
このような方法では一般に、核酸の、特に3’および5’末端の官能基化、すなわち、適当な化学基をそれらにグラフトすることが必要となる。さらに、操作の終了時に鎖が解離するのを防ぎ、適切な場合、後者を繰り返すことができるように、分子の他の2つの遊離末端をループにより連結することが好ましい。この目的で、様々な手順を採用することができる。
【0109】
最も単純なのは、合成オリゴヌクレオチドを用いて二本鎖核酸の一方の末端を2種類の異なる官能基(例えば、ビオチンとアミン)で官能基化することであり、これにより2つの異なる前処理面への固定が可能となる。この2本の鎖の他方の末端は、部分的に対合したループの形態の合成ヌクレオチドを用いて連結することができる。このようにして、対合した一本鎖核酸、すなわちヘアピンが二本鎖核酸から生成される。この方法の利点は、大きな核酸断片の異種集団(遺伝子または染色体の分画で得られるような)を官能基化し、次に同時に分析できる能力にある。この場合、核酸サンプルは2種類の(またはそれを越える)制限酵素を用いて分画され、その酵素は、断片全体は類似している、その末端に2種類の異なる制限部位を有する部分集団を得ることを可能にする。これにより、二末端に異なる処理を施すことができる(例えば、一方の末端を、その末端に適当な制限部位を有するループの形態のオリゴヌクレオチドに連結することによる)。この方法の欠点は2つの隣接する官能基間の立体的障害にあり、これにより表面への結合が困難となる場合がある。この問題を解決するために、ヘアピン分子の各遊離末端に塩基の「スペーサー」配列を付加し、次にその末端に官能基を付加し、2つのスペーサー配列は非相補的であり、各官能基に、その専用の表面に結合する十分なスペースを提供することが有利であり得る。さらに有利には、各スペーサー配列の配列が、既知配列の一本鎖シークエンシングプライマーを本発明の配列決定法において使用するために設計される。二本鎖核酸分子へのループおよび/またはスペーサーの付加は、分子生物学で慣用されている任意の方法を用いて行うことができる。これらの方法は当業者に周知であり、従ってここでは詳細に記載する必要はない。
【0110】
実際の固定技術については、多数あり、それらは高分子(タンパク質、DNAなど)を市販の前処理表面に固定するための技術から派生したものである。これらの技術の大部分は免疫学的検査のために開発されたものであり、タンパク質(免疫グロブリン)を、タンパク質のカルボキシル(−COOH)末端またはアミン(−NH
2)末端と反応できる基(−COOH、−NH
2、−OHなど)を有する表面に連結させる。
【0111】
核酸の共有結合による固定は、直接的に、分子の5’末端の遊離のリン酸基を介して行うことができ、それは第二級アミン(ストラスブールのPolylaboにより市販されているCovalink−NH表面)と反応して共有結合を形成する。また、DNAをアミン基で官能基化し、次にタンパク質と同様に処理することも可能である。
【0112】
ストレプトアビジンでコーティングした表面(Dynalビーズなど)もあり、ストレプトアビジンとビオチン化DNA分子との間の擬共有結合的固定を可能にする。最後に、ジゴキシゲニンに対する抗体を表面にグラフトすることにより(上述の方法による)、ジゴキシゲニンで官能基化された核酸がそこに固定され得る。これは多くの潜在的な固定技術の一例にすぎない。
【0113】
結合および固定技術としては、例えば、欧州特許第152886号に記載の、セルロースなどの固相支持体へのDNAの結合のために酵素的カップリングを用いる技術も挙げておくべきである。
【0114】
また、欧州特許第146815号は、支持体へのDNAの結合の種々の方法を記載している。
【0115】
同様に、特許出願WO92/16659は、DNAを結合させるためにポリマーを使用する方法を提案している。
【0116】
当然ながら、核酸は支持体に直接結合させてもよいが、必要であれば、特に表面の作用を限定することを目的に、例えば、欧州特許329198号に記載されているように、核酸をペプチドまたは他の種の不活性アームの末端に結合させてもよい。
【0117】
以下の実施例は、本発明のその他の特徴および利点を明らかにすることを明らかにすることを可能にするであろう。