特許第6461023号(P6461023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6461023独立したカスタマーサービスエージェント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461023
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】独立したカスタマーサービスエージェント
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/523 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
   H04M3/523
【請求項の数】33
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2016-5414(P2016-5414)
(22)【出願日】2016年1月14日
(62)【分割の表示】特願2014-1969(P2014-1969)の分割
【原出願日】2008年11月12日
(65)【公開番号】特開2016-140066(P2016-140066A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2016年2月15日
(31)【優先権主張番号】60/987,744
(32)【優先日】2007年11月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/037,678
(32)【優先日】2008年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/192,064
(32)【優先日】2008年8月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506329306
【氏名又は名称】アマゾン テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド エル. コーフマン
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン イングリス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ジェイ. ウェイランド
(72)【発明者】
【氏名】ロレイン エイ. ニコルソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アール. ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー シー. プラット
【審査官】 西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−077922(JP,A)
【文献】 特開2002−057801(JP,A)
【文献】 特開2007−281649(JP,A)
【文献】 特開2005−150905(JP,A)
【文献】 特開2007−033754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/60
H04M 3/00、
3/16− 3/20、
3/38− 3/58、
7/00− 7/16、
11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエージェントを識別するためのシステムであって、前記複数のエージェントには、複数のユーザからの複数の到来するコールが自動的に分散され、
前記システムは、データ記憶装置と、当該データ記憶装置と通信しているコンピューティングデバイスとを備えており、
前記データ記憶装置は、ユーザ履歴情報、ユーザ識別情報、エージェント能力情報、システムオペレーション情報、または、到来するコールの情報のうちの少なくとも1つに関する情報を維持するように適合されており、
前記コンピューティングデバイスは、前記データ記憶装置に維持されている、システムオペレーション情報またはエージェント能力情報のうちの少なくとも1つに基づいて、到来するコールを処理する資格を与えられたエージェントのグループを維持するように動作し、
前記コンピューティングデバイスは、前記到来するコールを処理する資格を与えられた前記エージェントのグループから、前記到来するコールが分散されるエージェントを識別するように動作し、
当該識別は、前記データ記憶装置に維持されている、前記ユーザ履歴情報、前記ユーザ識別情報、前記エージェント能力情報、前記システムオペレーション情報、または、前記到来するコールの情報のうちの少なくとも1つに関する情報に、少なくとも部分的に基づいており、
前記コンピューティングデバイスは、前記到来するコールを、前記識別されたエージェントに自動的に分散するように動作し、
前記識別されたエージェントの前記エージェント能力情報は、前記到来するコールを処理するための前記エージェントのグループ内の各エージェントの利用可能性に少なくとも部分的に基づいて決定された、前記エージェントのグループに対する稼働情報を含み、
前記エージェントのグループ内の複数のエージェントは、優先選択順位においてランク付けされており、
前記エージェント能力情報は、エージェント履歴情報及びエージェントスキル情報を含み、
前記エージェント履歴情報は、前記エージェントに関連付けられたフィードバックを含み、
前記システムは、前記フィードバックに基づいて前記到来するコールのルーティング決定を行い、
前記フィードバックの少ないエージェントに対して、当該エージェントにルーティングされるコールを減らすか、または、当該フィードバックの少ないエージェントにトレーニングを選択させる、
システム。
【請求項2】
前記到来するコールの情報は、コール履歴情報またはコール識別情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記エージェント履歴情報は、前記ユーザと前記エージェントとの間の以前の履歴を含む、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記コンピューティングデバイスは、ユーザ履歴情報、ユーザ識別情報または到来するコールの情報のうちの少なくとも1つに関する情報を、前記到来するコールが分散される前記エージェントに提供するようにさらに動作する、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記コンピューティングデバイスは、前記エージェントが前記到来するコールを処理している間に、前記エージェントに情報を提供するようにさらに動作する、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記コンピューティングデバイスは、到来するコールを処理するための前記エージェントの利用可能性を、エージェントが表すことを可能にするようにさらに動作する、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
コール分散システム内で、複数のエージェントを識別するためのコンピュータ実施方法であって、前記複数のエージェントには、複数のユーザからの複数の到来するコールがルーティングされ、前記コンピュータ実施方法は、
ユーザからの到来するコールに関する情報を受信するステップと、
前記到来するコールを処理するために、エージェントノード内の利用可能なエージェントを選択するステップであって、前記エージェントノードは、前記コール分散システムのオペレーションに関する情報、または、各エージェントの能力に関する情報のうちの少なくとも1つに基づいて、前記到来するコールを処理する資格を与えられたエージェントのグループを含み、前記エージェントは、前記ユーザ、前記選択されたエージェントの能力、前記コール分散システムのオペレーション、または、前記到来するコールのうちの少なくとも1つに関する情報に、少なくとも部分的に基づいて、前記到来するコールを処理する資格を与えられた前記エージェントのグループから選択される、ステップと、
前記到来するコールをルーティングする命令を、前記選択されたエージェントに提供するステップと
を含み、
前記選択されたエージェントの能力に関する情報は、前記到来するコールを処理する前記エージェントノード内の各エージェントの利用可能性に少なくとも部分的に基づいて決定された前記エージェントノードに対する稼働情報を含み、
前記エージェントノード内の複数のエージェントは、優先選択順位でランク付けされ、
前記エージェントの能力に関する情報は、エージェント履歴情報及びエージェントスキル情報を含み、
前記エージェント履歴情報は、前記エージェントに関連付けられたフィードバックを含み、
前記コンピュータ実施方法は、前記フィードバックに基づいて前記到来するコールをルーティングし、
前記フィードバックの少ないエージェントに対して、当該エージェントにルーティングされるコールを減らすか、または、当該フィードバックの少ないエージェントにトレーニングを選択させる、
コンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記エージェントの能力に関する情報は、前記エージェントのプロフィールを含む、請求項7記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記エージェントノードに対する稼働情報は、エージェントノード利用可能性、エージェントノードキャパシティ、または、エージェントノード稼働目標のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項7記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記ユーザに関する情報は、前記到来するコールを開始するユーザのタイプを含む、請求項7記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
前記到来するコールに関する情報は、前記到来するコールに関連付けられるスキルを含む、請求項7記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
前記到来するコールおよび前記エージェントノードに関する測定指標を収集するステップをさらに含む、請求項7記載のコンピュータ実施方法。
【請求項13】
前記ユーザまたは前記到来するコールのうちの少なくとも1つに関する情報を、前記選択されたエージェントに提供するステップをさらに含む、請求項7記載のコンピュータ実施方法。
【請求項14】
前記選択されたエージェントが前記到来するコールを処理している間に、前記情報が、前記選択されたエージェントに提供される、請求項13記載のコンピュータ実施方法。
【請求項15】
到来するコールを処理するための前記エージェントの利用可能性を表すために、エージェントに、選択可能な制御を提供するステップをさらに含む、請求項7記載のコンピュータ実施方法。
【請求項16】
複数の到来するコールを処理するために利用可能な複数のエージェントを識別するシステムであって、
前記システムは、ユーザからの到来するコールに関する情報を維持するように適合されたデータ記憶装置と、関係マネージャとを備えており、
前記関係マネージャは、前記到来するコールを処理するために、エージェントノード内の利用可能なエージェントを識別するように動作し、ここで、前記エージェントノードは、前記データ記憶装置から得られた、前記システムのオペレーションに関する情報、または、各エージェントの能力に関する情報のうちの少なくとも1つに基づいて、前記到来するコールを処理する資格を与えられたエージェントのグループを含み、前記関係マネージャは、前記ユーザ、前記識別されたエージェントの能力、前記システムのオペレーション、または、前記到来するコールのうちの少なくとも1つに関する、前記データ記憶装置から得られた情報に少なくとも部分的に基づいて、前記到来するコールを処理する資格を与えられたエージェントのグループから前記エージェントを識別するようにさらに動作し、
前記関係マネージャは、前記到来するコールが、前記利用可能なエージェントに割り当てられたことを指示するように動作し、
前記識別されたエージェントの能力に関する情報は、前記到来するコールを処理するための前記エージェントノード内の各エージェントの利用可能性に少なくとも部分的に基づいて決定された、前記エージェントノードに対する稼働情報を含み、
前記エージェントのグループ内の複数のエージェントは、優先選択順位でランク付けされており、
前記エージェントの能力に関する情報は、エージェント履歴情報及びエージェントスキル情報を含み、
前記エージェント履歴情報は、前記エージェントに関連付けられたフィードバックを含み、
前記システムは、前記フィードバックに基づいて前記到来するコールのルーティング決定を行うことができ
前記フィードバックの少ないエージェントに対して、当該エージェントにルーティングされるコールを減らすか、または、当該フィードバックの少ないエージェントにトレーニングを選択させる、
ことを特徴とする、システム。
【請求項17】
前記コールに関する情報は、前記エージェントと前記ユーザとの間の以前のインタラクションを含む、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記コールに関する情報は、前記到来するコールに関連付けられるスキルを含む、請求項16記載のシステム。
【請求項19】
前記エージェントノードに対する稼働情報は、エージェントノード利用可能性、エージェントノードキャパシティ、または、エージェントノード稼働目標のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項16記載のシステム。
【請求項20】
前記エージェントの能力に関する情報は、前記エージェントに関連付けられるプロフィールを含む、請求項16記載のシステム。
【請求項21】
前記到来するコールに関する情報は、前記到来するコールを開始するユーザのタイプを含む、請求項16記載のシステム。
【請求項22】
前記エージェントの能力に関する情報は、前記エージェントのタイプを含む、請求項16記載のシステム。
【請求項23】
前記関係マネージャは、前記到来するコールに関する情報を、前記利用可能なエージェントに提供させるようにさらに動作する、請求項16記載のシステム。
【請求項24】
前記情報は、前記利用可能なエージェントに表示されるユーザインタフェースコンポーネントを介して前記利用可能なエージェントに提供される、請求項23記載のシステム。
【請求項25】
前記情報は、つぶやきを介して前記利用可能なエージェントに提供される、請求項23記載のシステム。
【請求項26】
前記関係マネージャは、前記到来するコールおよび前記ユーザのうちの少なくとも1つに関する情報について、記録されたコールの分析を可能にするようにさらに動作する、請求項16記載のシステム。
【請求項27】
前記関係マネージャは、到来するコールに関する測定指標を生成する、請求項16記載のシステム。
【請求項28】
コール分散システム内で複数のコールを処理することが可能な複数のエージェントを自動的に選択するためのコンピュータ実行可能コンポーネントを有する非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体であって、
前記コンピュータ実行可能コンポーネントは、関係マネージャコンポーネントと、ユーザインタフェースコンポーネントとを備えており、
前記関係マネージャコンポーネントは、到来するコールを、前記到来するコールを処理する資格を与えられたエージェントのグループからのエージェントノード内のエージェントと関連付け、ここで、前記コールはユーザによって開始され、前記エージェントノードは、前記コール分散システムのオペレーションに関する情報、または、各エージェントの能力に関する情報のうちの少なくとも1つに基づいて、前記到来するコールを処理する資格を与えられたエージェントのグループを含み、
前記関連付けは、ユーザ履歴情報、ユーザ識別情報、前記エージェントの能力、前記コール分散システムのオペレーション、または、前記到来するコールのうちの少なくとも1つに関する情報に少なくとも部分的に基づいており、
前記関係マネージャコンポーネントは、前記到来するコールが、処理を行う前記エージェントに割り当てられるように自動的に命令し、
前記ユーザインタフェースコンポーネントは、前記到来するコールを処理するための前記エージェントの利用可能性を、前記エージェントが表すことを可能にし、
前記エージェントの能力は、前記到来するコールを処理するための前記エージェントノード内の各エージェントの利用可能性に少なくとも部分的に基づいて決定される前記エージェントノードに対する稼働情報を含み、
前記到来するコールに関する情報は、前記到来するコールに関連付けられたスキル、または、前記到来するコールがアクティブである持続時間のうちの少なくとも1つを含み、
前記エージェントの能力に関する情報は、エージェント履歴情報及びエージェントスキル情報を含み、
前記エージェント履歴情報は、前記エージェントに関連付けられたフィードバックを含み、
前記コール分散システムは、前記フィードバックに基づいて前記到来するコールのルーティング決定を行い、
前記フィードバックの少ないエージェントに対して、当該エージェントにルーティングされるコールを減らすか、または、当該フィードバックの少ないエージェントにトレーニングを選択させる、
非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項29】
前記エージェントの能力に関する情報は、前記エージェントのエージェントノードの割り当て、前記エージェントに関連付けられたプロフィール、または、前記エージェントのタイプのうちの少なくとも1つを含む、請求項28記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項30】
前記ユーザに関する情報は、前記ユーザのタイプを含む、請求項28記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項31】
前記ユーザインタフェースコンポーネントは、ユーザインタフェースコントロールを生成し、当該ユーザインタフェースコントロールは、前記エージェントによって選択されたときに、前記エージェントの利用可能性を、前記関係マネージャコンポーネントに示す、請求項28記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項32】
前記ユーザインタフェースコンポーネントは、前記到来するコールに関する情報を、前記エージェントに提供させる、請求項28記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項33】
前記関係マネージャコンポーネントは、コールの監視が可能である、請求項28記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、アメリカ合衆国仮特許出願第60/987,744号、Jay等、発明の名称「Global Automatic Call Distribution」、2007年11月13日出願、および、アメリカ合衆国仮特許出願第61/037,678号、Jay等、発明の名称「Global Automatic Call Distribution」、2008年3月18日出願の優先権を主張するものである。これら仮特許出願の内容は全て参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
多くの企業は販売前および販売後に顧客とコンタクトを取る機会がますます増えてきている。コールセンターは、例えば、販売ならびにマーケティングコンタクト、テクニカルサポートおよび請求書などの種々のコンタクト状況にわたる大量のコールを処理するための集中型のスケーラブルなメカニズムとして開発されたものである。しかしながら、コールセンターは種々の短所を有している。
【0003】
例えば、コールセンターコントローラは各コールセンターにおける顧客コールのキュー長を推定し、最も待機時間が短いと思われるキューに特定のコールをルーティングする。判断が正しくない場合、コールはその後異なるコールセンターに転送されない可能性がある。これによって、他のコールセンターのエージェントを利用可能であっても、顧客が1つのコールセンターにおいて待ち続ける事態が引き起こされる可能性がある。この仕様に基づき種々のコールセンター間でサービスレベルが異なる可能性があり、これはネットワーク全体のサービスレベルに悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
コールセンターはリアルタイム情報の遅れに起因してコールバースト、すなわちコール量の突発的な増加も経験する可能性がある。リアルタイム情報は数秒の時代遅れ(out of date)の古いものになる可能性がある。コールセンターコントローラが時代遅れの情報に基づきルーティングの判断を行う場合、過度に多くのコールを1つの小さいコールセンターにルーティングしてしまうか、顧客のキューの長さを誤って推定してしまう可能性がある。これを処理することを意図したヒューリスティックスが存在するが、それらのヒューリスティックスは幾つかのケースに分類されることが考えられ、したがって全体のシステムがより複雑になる傾向にある。さらには、コールセンターコントローラがコールをひとたびコールセンターにルーティングしてしまえば、コールセンターコントローラには制限が課され、転送にどれ程の時間が掛かったのか、また転送は成功したのか否かも分からなくなる可能性がある。ヒューリスティックは単純な問題を処理するために存在するが、(例えば非標準的なルーティング、または障害のあるキャリアのルーティングに起因する)緩慢な転送期間は依然としてコールバーストを生じさせる可能性がある。
【0005】
さらにはコールセンターが、このコールセンターを運営している組織によって管理されていない基礎となるプラットフォームに依存している可能性もある。つまり、例えば、基礎となるプラットフォームに問題がある場合に、コールセンターはその問題に直接的に対処できない可能性がある。むしろ、これらの問題点を単に許容するようにコールセンターコントローラを設計することが考えられる。これにより、基礎となるプラットフォームにおける問題を検出するよう設計されたヒューリスティックを有する多数の「ウォッチャー」システムが形成されることになる。しかしながらそのようなウォッチャーシステムによって生成されるコードは複雑になる可能性がある。
【0006】
コールタイプを基礎としたコールのルーティングは多くの理由により、すなわち、(1)コールルーティングの決定は種々異なる場所でなされる可能性がある(すなわち、決定が分散的に行われる可能性がある)、(2)コールルーティングは構内交換機(PBX;Private Branch eXchange)の能力に制限される可能性がある、(3)リアルタイム情報が利用可能でない可能性がある、といった理由により困難になる可能性がある。これら全ての問題点は、より小さいルーティングキューを効果的に管理するタスクを過度に困難にする可能性がある。ルーティングにおける非能率により、コールセンターに過剰な割り当て(つまり、センターのエージェントは自身に割り当てられたコールの割合よりも多くのコールを受信しているか、受信した)が行われるか、不十分な割り当てが行われる可能性がある。コールセンターリソースの過剰な割り当ておよび不十分な割り当てにより、カスタマーサービスエージェントは過度に忙しくなるか、暇になる可能性がある。そうなるとカスタマーサービスエージェント間での摩擦が増加しかねない。さらには、過剰な割り当てまたは不十分な割り当て、および/または、コールの区分とエージェントのスキルの釣り合いにおけるその他の非能率により、顧客が安定していないレベルのサービスを受ける可能性がある。
【0007】
改善されたルーティングアルゴリズムによりコールセンターのオペレーションにおける非能率を改善することはできるが、この非能率を無くすことはできない。殊に、何らかの特定の期間においては、到来するコールの量、すなわち着信量がカスタマーサービスエージェントの利用可能数を上回るか、その数に達しない可能性がある。したがって、種々のコールとエージェント数との間での1対1の対応を達成することは困難になる。コールボリュームのばらつき(到来するコールのタイプのばらつきを含む)は系統的な経過と無作為な経過の両方に帰すことができる。例えば、1日のピーク時中のコールボリュームは同日の非ピーク時のコールボリュームの2倍にもなる可能性がある。ピーク日には休みの日に比べてより多くのコールが見込まれる。さらには、無作為(または単に予測不可能)な変化もコールボリュームに影響を及ぼす。ソフトウェアメーカがバグのある製品をある日リリースしたならば、その次の日のコールボリュームは、困惑した顧客が何故新しいソフトウェアが正常に動作しないのかを尋ねるために通常に比べて著しく多くなる可能性がある。
【0008】
カスタマーサービスエージェントのアベイラビリティはコールボリュームの変動の遭遇に適していないことが考えられる。コールセンターの人員配置が数週間または数ヶ月にわたり事前に計画されることも考えられる。さらには、時間内ボリュームの大きな予測外のピークには全く対処できなくなるであろう。マネージャがさらなるエージェントが必要であることに気付き、そのようなエージェントと連絡を取り、それらのエージェントを使用できるようになったときには、短期間のピークは既に過ぎてしまっていることが考えられる。反対にコールボリュームが少ない期間では、貴重なコールセンターリソースを使用しながらも仕事の無いカスタマーサービスエージェントが現われることも考えられる。
【0009】
以上の考察の原理は電話を基礎とするコールセンターに限定されるものではない。他の種類の分野もサービスに対する需要を供給に適合させることが困難であることによって同様に影響を受けることが考えられる。例えば、Eメール応答センター(例えば、顧客のEメールによる問合せにエージェントが応答するセンター)も同様に予測不能な大量のEメールに直面する可能性がある。
【0010】
本発明に伴う多くの利点および態様は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照することにより容易に認められ、またより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】顧客とカスタマーサービスエージェントとの間のコンタクトを管理するための例示的なコール分散システムの概略的なブロック図を示す。
図2図1に示されているようなシステムのコールキューイングおよびコールルーティングコンポーネントの詳細を表す概略的なブロック図を示す。
図3A図1に示されているようなシステムによって分散されるコールにカスタマーサービスエージェントが影響を及ぼすことを可能にするユーザインタフェースの例示的な構成要素を示す。
図3B図1に示されているようなシステムによって分散されるコールにカスタマーサービスエージェントが影響を及ぼすことを可能にするユーザインタフェースの例示的な構成要素を示す。
図3C図1に示されているようなシステムによって分散されるコールにカスタマーサービスエージェントが影響を及ぼすことを可能にするユーザインタフェースの例示的な構成要素を示す。
図3D図1に示されているようなシステムによって分散されるコールにカスタマーサービスエージェントが影響を及ぼすことを可能にするユーザインタフェースの例示的な構成要素を示す。
図3E図1に示されているようなシステムによって分散されるコールにカスタマーサービスエージェントが影響を及ぼすことを可能にするユーザインタフェースの例示的な構成要素を示す。
図3F図1に示されているようなシステムによって分散されるコールにカスタマーサービスエージェントが影響を及ぼすことを可能にするユーザインタフェースの例示的な構成要素を示す。
図3G図1に示されているようなシステムによって分散されるコールにカスタマーサービスエージェントが影響を及ぼすことを可能にするユーザインタフェースの例示的な構成要素を示す。
図3H図1に示されているようなシステムによって分散されるコールにカスタマーサービスエージェントが影響を及ぼすことを可能にするユーザインタフェースの例示的な構成要素を示す。
図3I図1に示されているようなシステムによって分散されるコールにカスタマーサービスエージェントが影響を及ぼすことを可能にするユーザインタフェースの例示的な構成要素を示す。
図4図1に示されているシステムを使用するカスタマーサービスエージェントに対するキャパシティ情報を記憶している例示的な割当テーブルを示す。
図5A図1に示されているシステムを使用するカスタマーサービスエージェントに対する例示的な履歴ルーティング情報を示す。
図5B図1に示されているシステムを使用するカスタマーサービスエージェントに対する例示的な履歴ルーティング情報を示す。
図5C図1に示されているシステムを使用するカスタマーサービスエージェントに対する例示的な履歴ルーティング情報を示す。
図6図1に示されているシステムを使用するカスタマーサービスエージェントに対する例示的なコンフィギュレーション情報を示す。
図7図1に示されているシステムによって管理されるエージェントサブノードに関する例示的なサンプルリアルタイムデータ、殊にコールアクティビティを示す。
図8図1に示されているシステムによって記録することができる潜在的なコール測定指標の例示的なテーブルを示す。
図9図1に示されているシステムによって管理されるエージェントサブノードおよびカスタマーサービスエージェントに関する例示的なサンプル履歴データを示す。
図10】特定のカスタマーサービスエージェントに関する例示的なサンプル履歴データを示す。
図11A図1に示されているシステムによって記録することができる統計量の例示的なテーブルを示す。
図11B図1に示されているシステムによって記録することができる統計量の例示的なテーブルを示す。
図11C図1に示されているシステムによって記録することができる統計量の例示的なテーブルを示す。
図12】複数のタイプのコンタクトを独立したカスタマーサービスエージェントにルーティングするために、市場を基礎とした価格情報を利用することができる例示的なコンタクト分散システムの概略的なブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
概観
顧客、発呼者または他のユーザからのコールまたは他のタイプのコンタクト、例えば電子メールメッセージ、テキストメッセージ、ワークアイテムリクエストなどをカスタマーサービスエージェント(CSA)に自動的に分散するための方法およびシステムを説明する。幾つかの実施形態により、標準的な閉じられた電話システムおよび高価なプロプライエタリな電話機よりも適した、オープンセッション開始プロトコル(SIP;Session Initiation Protocol)標準および廉価な「オフ・ザ・シェルフ」な機器を取り巻くコール分散機能を確立することができる。そのような実施形態は、(企業内の従業員のために頻繁に使用されるような廉価なSIP電話交換機を含む)あらゆる電話システムによってサポートされ、カスタマーサービスエージェントに直接的にダイアルすることができる機能を超えるものはコール分散システムに要求しない。したがってそれらの実施形態により、コールセンター(本明細書においては「エージェントノード」とも称する)に比較的廉価な電話機ハードウェアを備えさせることができる。さらにそのような実施形態では、アウトソーサーズと電話を軸にした商業パートナとを、それらの既存の電話システムに依存せずに容易に統合させることができる。またそのような実施形態は、新たなカスタマーサービスの作業シナリオ、例えば自宅からのCSA業務、また非常に高価で本格的なPBXまたは他の構内交換機システムを用いることのない廉価な期間「ショッピングモール」エージェントノードの準備もサポートすることができる。
【0013】
幾つかの実施形態は集中型のコールキュー管理を可能にする。集中型のキュー管理は高度なコールルーティングを実現し、そのようなコールルーティングにより顧客の保留時間を短縮することができる。もしくは、同一の顧客負荷を既存のネットワークと同じサービスレベルで処理する回数を減らすことができる。そのような集中型のキュー管理は、電話のキューが従来のように各コールセンターにおいて維持管理される場合に発生する非能率を低減することができる。そのような実施形態はルーティングの決定を可能な限り長く、例えばコールを受けるためにエージェントが利用可能になるまで遅らせる。これによりネットワーク全体のサービス品質を改善することができる。集中型のコールキュー管理によりネットワーク内の全てのエージェントノードの一様なサービス品質レベル(SL)を維持することができる。
【0014】
例示的なコール分散システムのコンポーネント
図1は、顧客からCSAへのコールを自動的に分散させるための例示的なコール分散システム100を示す。さらに図2は、殊にコールキューイングおよびコールルーティングに関するシステム100の例示的な付加的な構成要素を示す。以下において説明する構成要素の内の多くは任意のものであると解され、システムのその実施形態は複数の構成要素を組み合わせることができるが、複数の構成要素を組み合わせなくてもよい。複数の構成要素が異なるもの、または別個のものである必要はない。構成要素をシステム内で再編することができる。システムは、以下において説明する全てのサブシステムを含む単一の物理的なサーバにおいて表すことができるか、システムを複数の物理的なサーバに分割することができる。
【0015】
システム100はカスタマーリレーションモジュール(CRM;customer relations module)101、コールコントローラサービス102、コネクティビティコントローラ103および測定指標サービス104を有することができ、これらは各々ハードウェア、ソフトウェアまたはそれらの組み合わせで表すことができる。システムは顧客(典型的には電話口の顧客)105とCSA電話106とコンピューティングデバイス107との間のコネクションの割り当て、ルーティングおよび維持管理に対して権限を有している。システムは典型的には、電話キャリア108および109およびデータキャリア110を介して顧客とエージェントを接続する。
【0016】
1つの実施形態においては、CRM101によりシステム100は顧客とのコンタクトおよびリレーション、すなわち関係を管理することができる。CRMを種々のデータベース(図示せず)から構成することができ、また他のシステムとのリンク(図示せず)を有することができ、これらはいずれも直接的および間接的に顧客コンタクト管理と関連付けられている。CRMはエージェントノードを管理するためのビジネスロジックも提供することができる。
【0017】
コールコントローラサービス102は到来する顧客コールを処理する:この顧客コールは以下のものを含むが、それらに限定されるものではない:エージェントの状態/利用可能性の追跡(すなわち、到来する顧客コールを処理するためにどのエージェントが利用可能であるか)、(保留中の顧客がメディアサービス112に接続できる間に)特定のCSAまたはコールタイプに関して保留中の顧客の(場合によっては順番通りではない)論理キュー(図示せず)の維持;コールのルーティング、すなわち利用可能なエージェントと到来する顧客コールとの組み合わせ;電話サブシステム(103および付随するコンポーネント)のオペレーションによって生成された情報の測定指標サービス104への転送。
【0018】
測定指標サービス104は典型的にはコールコントローラサービス102に接続されている。このサービスは顧客コールおよびCSAの両方に関する情報を記憶する。さらには、このサービスはリアルタイムデータおよび履歴データに基づいてレポート(例えばSLレポート)を作成することができる。測定指標サービスはコールコントローラサービス102に情報を提供することができる。
【0019】
コネクティビティコントローラ103はSIPシグナリング(ボイス・オーバIP技術)を使用してテレフォンコールを処理するメカニズムを扱い、他のシステム(例えばコールコントローラサービス)によるコールの処理を可能にする機能を提示し、システム100を介して電話イベントを伝播させることができる。コネクティビティコントローラ103は顧客電話105をエージェント電話106に接続することができる。コネクティビティコントローラ103は以下のサブシステム、すなわち、メディアサーバ112、自動音声応答装置(IVR;interactive voice response)システム113およびコールレコーダシステム114を使用することができる。
【0020】
メディアサーバ112はアナウンスの機械的な再生を処理し、システム内の複数の異なるコンテクストにおいて音楽を保持する。顧客が保留状態にあるときに顧客をこのサーバに接続することができる。このシステムは、CSAが顧客に接続される直前に、CSAへの「つぶやき」(すなわち、連絡的な前置きのメッセージ)を再生することができる。
【0021】
自動音声応答装置113は、顧客が繋がったCSAに転送される前に、顧客コールを時々処理する「ロボット」でもよい。IVRは、コールをルーティングするため、および/または、コールタイプを分類するために使用される予備的な情報を取得することができる。
【0022】
コールレコーダシステム114は顧客コールを記録する。コールレコーダは行われているコールまたは行われたコールをシステム100内のどこでも聞けるようにするための共通のインタフェースを提供することができる。
【0023】
CSAは典型的にはシステムとの2つのコネクション、すなわち参照番号107で表されたコンピューティングマシンコネクションと、参照番号106で表された電話コネクションとを有することになる。コンピューティングマシンは一般的にシステム100とのユーザインタフェース111を表示することができる。当業者であれば、1人または複数のCSAを通常のモノリシックなコールセンター内に配置できることが分かる(ただし、CSAおよびシステム100は物理的に近接している)。択一的に、CSAが他のCSA(例えば「コールセンター」内のCSA)に近接させて配置されていることも考えられるが、システムからは離されている(この場合は「データセンター」内に収容されることなる)。さらに別の択一形態として、1人または複数のCSAをシステムデータセンターおよび他のCSAの両方から離すことができる。「コンピューティングマシン」という術語自体は広範に制限なく使用されており、システム100からのユーザインタフェースを表示することができるあらゆる種類の通信装置、例えばPC、キオスク、シンクライアント、ホームコンピュータ、専用マシンまたは組み込みマシンが含まれる。同様に、エージェント電話システムも広範に制限なく使用されており、専用電話装置、VoIP装置、複合型PBXシステム、通常の電話線上のオフ・ザ・シェルフ電話などが含まれる。幾つかの実施形態において、PBXまたは他の電話交換システムを介してエージェント電話システム106を接続することは必要ではない。さらには本明細書の目的に関して、物理的にはモノリシックなコールセンターかデータセンター内の1つまたは複数のCSAのグルーピング、論理的には、例えば相互に近接していないCSAのグルーピングをエージェントノードとも称する。
【0024】
CSAユーザインタフェース111はコールコントローラサービス102またはCRM101からのコンテンツを表示する。そのようなインタフェースはコンピューティングマシンにおいて実行されるプロプライエタリなアプリケーションでよい。択一的に、インタフェースはコールコントローラサービス102またはCRM101によって形成された、さもなければ提供されたウェブページ、ブラウザ、アプレットなどを表示することができる。システム100とユーザインタフェース111との間のリンクはデータキャリアのあらゆるホスト、HTTP、HTTPS、インスタントメッセージ、分散メモリまたはプロプライエタリプロトコルを含むプロトコル、もしくはそれらの組み合わせによって媒介される。
【0025】
参照番号105でもって表されている顧客および顧客電話システムはコールシステム100のエンドユーザに相当する。そのような顧客は一般的に電話キャリア108の内の1つを介してシステムに接続される。そのようなコネクションは比較的新しい、慣例のものではないプロトコル、例えばSIP、HTTP、IRC、他のインスタントメッセージプロトコルなどを介しても確立することができる。顧客を廉価な電話装置、複合型PBXシステムまたは通信の他のあらゆるメカニズムを使用するシステムと接続することができる。
【0026】
システムオペレーションおよびCSAの利用可能性
1つの実施形態によるシステム100と顧客とCSAとの間のインタラクションの概観を説明する。CSAには自身のコンピューティングマシン107においてCRM101とのユーザインタフェース111を提供することができる。リンクは直接的なものでよい。もしくは、リンクをコールコントローラサービス102によって媒介させてもよい。利用可能性をシステムにシグナリングするために、CSAはキーを押すか、コンピューティングマシン107におけるCRMユーザインタフェースからユーザインタフェースコントロールを選択することができる。続いてコールコントローラサービス102は、コネクティビティコントローラ103を介してCSAの電話システム106を用いたCSAとのコールを開始することができる。CSAはこのコールに応答し、顧客からのコールに対し準備が整っており、受け入れ可能であることをシステムにシグナリングする。
【0027】
キューにおいてサービスを待機している顧客がいない場合、CSAは利用可能状態が継続していることを指示するために、システムとのこの静かに開かれている(すなわち受話器が外れている)コネクションを継続することができる。利用可能状態から利用不可能状態への移行(例えば昼食を取る、もしくはコーヒーブレークを取るため)をシグナリングするために、CSAは単純に受話器を置くことができる。コネクティビティコントローラ103とのコネクションが切断されたことにより、CSAはもはや顧客コールを取ることができない(またはCSAは例えばネットワーク内の障害に起因してシステムから意図せずに切り離された)ことがCSAにより指示されていることを、コールコントローラサービス102およびCRM101にシグナリングすることができる。
【0028】
択一的に、CSAが利用可能状態であることをシグナリングしているときに、コールコントローラサービス102によって維持管理されている集中型のキューにおいて待機している顧客が存在するならば、コネクティビティコントローラ103によって顧客とCSAを即座に接続することができるか、IVR113によって提供されるコールに関する情報、例えばコールタイプまたは顧客区分を指示するつぶやきの直後に接続することができる。つぶやきの代わりに、またはつぶやきに加えて、CRM101はCSAのユーザインタフェースに提供されるべきコール、顧客もしくはCSAに関する情報を提供することができる。そのような情報を例えば「ポップアップ」または「バブル」として表示することができる。つぶやき、ポップアップ、バブルおよび状況情報を通知する方法をコール中に使用することもできる。つまり、例えば、CRM101がコールの最中に顧客に関する付加的な情報を導き出した場合、CRMはそのような情報を対応中のCSAにつぶやくまたは表示することができる。
【0029】
コールが終了した後に、CSAは受話器を置き、その後に「アフター・コール・ワーク(After Call Work)」状態に入ることができる。当業者であれば、この状態はCSAが例えばメモを書き、他のCSAにコールし、コンセッションを承認するなどにより、コールのディブリーフィングまたはアフター・アクション・レビューを行う時間に相当するものであることが分かる。CSAが別のコールを取る準備が整うと、CSAは利用可能状態を改めて上記のようにシグナリングすることができる。
【0030】
CRMシステム101が故障すると、CSAはシステムに利用可能性をシグナリングするためのボタンを押すことができない、またはクリックすることができない、もしくはCSAがボタンをクリックしても、CSAは利用可能状態になることはできず、したがってコールを受け取ることができない。幾つかの実施形態は、CSAに自身の利用可能性を自身の電話システム106を介してシグナリングできるようにする、電話システムを基礎としたインタラクティブ音声アプリケーションを含むことができる。
【0031】
幾つかのケースにおいては、「1分毎」の課金は行われないキャリア協定を取り決めることができる。その代わりに、ピークの同時発生(一回に使用されるラインの最大数)に関する課金を取り決めることができる。その場合、この静かに開かれたコネクションの維持に関する罰金は存在しない。そのような実施形態においては、保留中の顧客はコネクティビティコントローラ103に接続されるのではなく、CSAの電話装置106の物理的なロケーションに接続されるので、エージェントノードへのピークの同時発生を改善することができる(すなわち減らすことができる)。このことは、良くあるケースであるが、CSAが配置される傾向にある場所よりも電話の同時処理に費用の掛からない場所にコネクティビティコントローラ103のためのデータセンターが配置されている場合には有利となる。このことは、システムを収容している1つの(または複数の)データセンターが優れたコネクティビティを有する領域に配置されている場合には当てはまるであろう。
【0032】
静かに開かれているコネクションがシステムのオペレーションに必要ないことが分かるであろう。択一的な実施形態においては、CSAはユーザインタフェース111または他のデバイスにおけるコントロールにアクセスすることによって利用可能性をシグナリングすることができる。コールコントローラ102は続いて、このコールコントローラ102がCSAに接続すべき顧客を有している場合には、例えばCSAにコールすることによって、CSAの電話装置106と接続することをコネクティビティコントローラ103に指示できる。
【0033】
コールコントロールパネル
幾つかの実施形態においては、CSAが顧客からの電話コンタクトを取ることを認可されている場合(またはCRM101に既知であるようなCSAのプロフィールが作成されている場合)、「コールコントロールパネル」300をコンピューティングマシン107におけるCSAのユーザインタフェース111に表すことができる(図3A〜3Iを参照されたい)。このユーザインタフェースは当業者には周知の手段、例えばHTTP、HTTPS、リモートデスクトップなどによって確立することができる。コールコントロールパネル300はCSAの今現在の状態301を指示することができる。幾つかの実施形態においては、たとえ他の状態、例えば「利用可能」から始動できる場合であっても、CSAはデフォルトで「オフライン」状態から出発する。CSAは「状態セット」ドロップダウン302を選択することによって状態を変更することができる。ドロップダウン302を用いて状態メニューオプション302aを表すことができる(図3Bを参照されたい)。状態セットドロップダウン302は、CSAがコールを受け取ると消すことができる(つまり、その場合CSAは状態を変更することはできない)。コールコントロールパネル300を、図3Cに示されているようにCSAのその時点における状態に依存して種々に描写することができる。状態インディケータ303は種々の状態に関して種々のコード、例えば、コールの待機に関しては色無し、コール中には緑色、または利用不可能状態に関しては黄色を示すことができる。タイマ304は状態または他のイベントの時間を計ることができる。発呼者のID305を表示することができる。他の詳細306も表示することができる。CSAの状態が変化すると、例えば顧客またはCSAが受話器を置くと、コールコントロールパネル300を非同期で再描写することができる。
【0034】
高度なエージェント状態
コールコントロールパネル300に状態の多数の選択肢を表示することができる。状態のサンプルセットを以下において説明する。この列記は排他的なものではなく、他の多くの状態、またそれらの状態の組合せも本願発明の範囲に含まれる。さらには、本発明の実施形態を実施するためにそれらの全ての状態、または幾つかの状態を満たしている必要はない。
【0035】
オフライン:電話コールを取るCSAが先ずシステムにサインインすると、CSAを自動的にオフライン状態にすることができる。通常の場合、システムはこの状態にあるCSAにコールを送らない。しかしながら幾つかの実施形態は、この状態にあるCSAが他の作業を行うことを妨げるものではない。例えば、オフライン状態のCSAが顧客のEメールによるコンタクトに応答することを妨げることはできない。オフラインを「補助」状態として分類することができ、この状態は補助を行いながら過ごす時間に寄与する(下記の測定指標の節を参照されたい)。
【0036】
利用可能:CSAまたはシステム100が状態を利用可能にセットすると、CRMはCSAへのコールを開始することができる。上述のように、CSAはコールに応答することができ、またコールを取るための利用可能状態を継続していることを指示するために静かに開かれたコネクションを維持することができる。この状態にある間は、CSAは何時でも受話器を置くことができる。その場合、CSAは「オフライン」状態に移行することができる。さらにCSAは、例えば「休憩中」に切り替えるために、状態セットドロップダウンメニュー302aから別の状態を選択することができる。この時点においてシステム100はコールを切断することができ、またCSAが利用可能状態に戻るまで顧客コールを一切送らない。利用可能状態にある間に、CSAをあらゆる補助状態に切り替えることができる。システム100のサインアウトにより、有利にはCSAを自動的にオフライン状態に切り替えることができる。
【0037】
コールについて利用可能:CSAまたはシステム100が状態を「コールについて利用可能」にセットすると、CRMはCSAへのコールを開始することができるが、CSAは通常の場合、静かに開かれたコネクションを維持しない。顧客とCSAとの間のコネクションをCSAへのコールの指示によって開始することができる。CSAは、例えば、状態セットドロップダウンメニュー302aにアクセスすることによって利用不可能状態または他の状態を指示することができる。
【0038】
通話中:CSAが顧客と通話している間、ドロップダウンメニュー302aは表示されないので、CSAは有利には状態をオフラインまたは利用可能に切り替えることができない。CSAが(例えば、ページが再描写されなかったために)依然としてドロップダウンメニュー302aを利用できる場合には、状態を変更するためのコールに失敗する可能性があり、また問題を示唆するためにポップアップを表示することができる。通話中に、この状態に関する適切なオプションをCSAに与えるためにコールコントロールパネル300を変更することができる(図3Dを参照されたい)。これらのオプションは、顧客を保留状態にするオプション307、コールを切断するオプション308、顧客を転送する、または他の機能を実施するオプション309を含む。
【0039】
保留中:例えば図3Dに示されているように、保留コントロール307を選択することによって顧客を保留状態にすることができる。顧客はメディアサーバ112から流される保留音を聴くことができる。顧客を保留状態にしている間、CSAのコネクションは無音であってもよい(場合によっては周期的なビープ音を出すことも考えられる)。コールタイマ310は顧客のその時点における保留時間をトラックすることができる。
【0040】
アフター・コール・ワーク:切断コントロール308を選択するか、単に受話器を置くことによって、CSAを通話中状態からアフター・コール・ワーク(ACW)状態に移行させることができる。上述のように、この状態はコールの「ラップアップ」、すなわち要約にとって有用となる。
【0041】
転送:通話中状態からCSAが転送コントロール309を選択する場合、ポップアップを表示することができ、これによりCSAは転送先を入力することができる(図3Eを参照されたい)。CSAが転送先311を入力し、ダイアルコントロール312を選択すると、ダイアルパッド313を非表示にすることができ、またCSAがコネクションを開始している間は顧客を保留状態にすることができる(図3Fを参照されたい)。転送先のコネクションに基づき、コールコントロールパネル300は、図3Gに示されているように、2つの会話のトラッキングを展開することができる。この状態においては、図3Hに示されているように、CSAは全ての関係者の間でのカンファレンスを開始するためにオールトークコントロール315を選択することができる。択一的に、CSAは(適切な「×」316を選択することにより)関係者のコネクションを選択的に切断することができるか、CSA自身が(チャット終了コントロール317を選択することにより)そのコールから離れることができる。例えば、コールコントロールパネル300における適切なコントロールを選択するか転送先番号をダイアルし、顧客をその転送番号に接続し、それと同時にCSA自身のコネクションを切断することによって、CSAは顧客に対して「突然の転送」を行うことができる。択一的に、別の適切なコントロールを選択するか転送先番号をダイアルし、転送番号に顧客を接続し、一定時間の経過後にCSAを会話から切断することによって、CSAは「丁寧な転送」を開始することができる。CSAは選択的に、図3Iに示されているように、適切な再生コントロール318または一時停止コントロール319を選択することによって関係者を保留状態にすることができる(後には、保留状態を解除することができる)。
【0042】
上記の記載から、システム100は以下のいずれの事項、すなわち(1)CSAは複数のコネクションを受け取ることができる電話装置を有していること;もしくは(2)PBXまたは他の電話装置は転送を実行することができること、を要求することなく、発呼者の転送先への丁寧な転送または突然の転送を実施できることが分かる。転送はオープンな標準的なコネクティビティコントローラ103によって実施されており、またコールコントローラサービス102によって指示されているので、転送を実施するために使用されるシステムのコストおよび複雑性を低減することができる。
【0043】
他の状態:測定指標の収集(下記において説明する)を改善するために、幾つかの実施形態はより多くの状態を使用することができる。これにより、CSAがどのように時間を過ごしているかのより細密な考察を行うことができる。そのような状態として、昼食、私用、トレーニング、Eメール、プロジェクト、システム問題、休憩X(ここでXは休憩番号、例えば休憩1および休憩2を表す)が挙げられるが、これらの状態は排他的なものではない。
【0044】
CSAの認可
上述のように、システム100の幾つかの実施形態は、通常のコールセンター外に配置されている複数のCSAを提供する。幾つかの実施形態はそのようなCSAを認可および許可するためのメカニズムを提供する。特別なメカニズムはエージェントノードまたは個々のCSAに固有のものである。択一的に、メカニズムを全てのタイプのCSAに対して有効にすることもできる。
【0045】
図1を参照すると、認証メカニズムをCSAのコンピューティングデバイス107および/またはCSAの電話装置106におけるユーザインタフェース111によって提供することができる。幾つかの実施形態においては、CSAのコンピューティングデバイス107に表示すべき、ユーザインタフェース111の一連の表示を形成することができる。
【0046】
例えば、CSAを先ずユーザインタフェースディスプレイ、例えばcallcenter.com/loginのようなウェブページまたはポータルにナビゲートすることができる。CSAは自身の電話グリーティング名、電話ログインおよびシティコードを入力することができる。さらにCSAは(場合によっては他のオプションに加えて)コールコントロールパネルを表示するための好みを選択することができる。しかしながら、パネル(および好み)を全てのユーザが利用できるものではなく、殊にCSAとして許可されていない者は利用することはできない。CSAは、コネクティビティコントローラ103が電話装置106を介してCSAとコンタクトを取る場合に使用されるべき内線をセットすることができる。ログインの成功および内線のセットに基づき、コールコントロールパネル300はCSAを「オフライン」状態または幾つかの別の状態にすることができる。
【0047】
コールキューイングおよびコールルーティング
図2は、図1のシステム100の幾つかの実施形態による、コールのキューイングおよびルーティングに関する詳細を示す。図示されているシステム100はコールコントローラサービス102、集中型のコールキュー202およびデータ記憶装置203を有する。システム100の外部には到来するコールボリューム206(種々のネットワーク上にいることが考えられる顧客105からの複数のコールから成る)と、単純に単一のオブジェクト205として表されている、個々のCSAマシン107および/または電話106の集合体が示されている。1つまたは複数のエージェントノード204内に幾つかのCSA、全てのCSAを配置することができるが、エージェントノード204内にCSAが配置されていなくてもよい。上述のように、エージェントノード204は1つまたは複数のCSAを含むことができる。さらに、エージェントノード204に相互に近接するCSAまたは相互に離れたCSAを含ませることができる。1つの実施形態において、CSAは共通のプロフィールに基づき1つのエージェントノードに物理的または論理的にグループ分けされる。したがって、ノード内のCSAのプロフィールに少なくとも部分的に基づき特定のエージェントノードにコールをルーティングすることができる。図2は、完全なシステム100に含まれていることが考えられる構成要素の内の一部のみが示されていると解するべきである。図2は、説明を簡単にするために簡単なものに留められている。したがって、付加的な構造上の詳細については図1およびそれに付随する説明を参照すべきである。前述のように、また図面に示されているように、複数のCSA205を共通のエージェントノード内に配置することができるが、それらのCSAは独立して機能することができる。CSAは通常の場合、上記のようなシステム100とのユーザインタフェースリンク(図示せず)を維持管理する。集中型のコールキュー202は物理的、論理的および/または他のキューに付加的に、コネクティビティコントローラ103によって管理される。
【0048】
到来するコール206はシステム100によって(例えば、組織の800番(フリーダイアル)へのダイアル、ローカル番号へのダイアル、SIPまたはインスタントメッセージなどを介する接続によって)受け取られるので、それらのコール206は通常の場合、待機中の顧客のキュー202に置かれる。このとき顧客はメディアサーバ112からの音楽またはIVR113からの統合音声レコーディングを聴かされている。
【0049】
コールコントローラサービス102は経時的にキュー202内の顧客とCSA205との間のリンクを確立する。このリンクの確立はコネクティビティコントローラ103によって行われる。コントローラはファースト・イン・ファースト・アウト(FIFO)またはラスト・イン・ファースト・アウト(LIFO)のような何らかの特定の順序でCSA205にキュー202内の顧客を割り当てる必要はない。むしろコントローラ102は、以下において説明するような考察および/または優先キューに基づく順番通りでない割り当てを使用することができる。幾つかの実施形態においては、ここで説明したような全てのキュー、または幾つかのキューをプールとも称する。コントローラは二次的なコールセンターレベルのキューを要求または使用することなく、エージェントノード204内のCSAをキュー202内の顧客と直接的にリンクさせることができる。
【0050】
コールコントローラサービス102は一般的に、どの顧客をどのCSAにルーティングするかを決定するために、少なくとも1つのデータ記憶装置203もしくは付加的なシステムまたはコンポーネントにアクセスする。この情報を以下においてより詳細に説明するが、一般的にこの情報は、顧客がどれ程長く保留状態にあるかのような情報、顧客クラス、特定のCSAの特性、コールタイプ、顧客履歴、また特定のCSA205およびエージェントノード204のユーティライゼーション(多忙さおよび配分)などの情報を含む。
【0051】
殊に、幾つかの実施形態においては、システム100のオペレーションに関する状態測定指標、例えばある特定のCSA205はどれ程の間「利用可能」状態で待機し続けているかに基づいて、到来するコールに繋ぐためのCSA205を選択することができる。つまり、例えば、コールコントローラサービス102は通常の場合、他の全て(または大半の)利用可能なCSA205と少なくとも同じ程度はコールを待機しているCSA205に所定のコールを接続することができる。そのような状態測定指標の他の例は、CSAに任せられた他のキューの数およびタイプに関する情報を含む。
【0052】
別の実施形態では、システム100のオペレーションに関連する状態測定指標とは異なる要因に基づいて、特定の到来するコールに接続するためのCSA205を選択することができる。例えば、発呼者のID、コールタイプ、要求されるスキル、および/または、システム100を用いた以前の履歴のようなコールに関連する情報に基づいて所定のコールに応答するために特定のCSA205を選択することができる。例えば、異常な数のコールをシステム100に行った発呼者をルーティング時に特別に考慮することができる。この情報をデータ記憶装置203において管理することができる。
【0053】
システム100のオペレーションに関連する状態測定指標とは異なる要因に基づいた、特定の到来するコールに接続するためのCSA205の選択の別の例として、CSA205をCSA205の能力に基づき選択することができる。これらの能力にCSA205のID、プロファイル、および/または、スキルを含ませることができる。以下ではこれらの能力をより詳細に説明する。CSAのIDにはCSAの地理的な位置、国籍、語学の腕前、方言などを含ませることができる。能力にはCSA205の履歴情報、例えばフィードバックおよびトレーニング、特定のCSA205のエージェントノードに関連する情報なども含ませることができる。CSA205の履歴情報にはCSA205と発呼者との間の何らかの以前の履歴(例えば以前のコールまたはコンタクト)を含ませることができる。関連するエージェントノードに関する情報もCSA205のIDの一部とみなすことができる。
【0054】
所定のコールを特定のCSA205にルーティングするための決定を、上述の要因の内の1つまたは複数のカテゴリに依存させることができる。つまり、例えば、幾つかの実施形態においては、(1)CSAがキューにおいて待機している総時間のような状態測定指標;(2)コールタイプまたは発呼者がシステムとコンタクトを取った回数のようなコール特性または発呼者特性;(3)発呼者との以前の履歴のようなCSA能力の各々に基づきルーティングを決定することができる。もちろんこれらの実施形態は一般的に、ルーティングをCRM101またはシステム102に既知であるか、他のシステムからインポートしたいずれかの情報またはデータに基づいて決定することができる。
【0055】
幾つかのシステム100は複数のキューを実現することができ、応答すべき到来したコールが少なくとも1つのキューに保持され、CSA205は少なくとも1つの別のキューにおいて管理されることが分かる。コールとCSA205をそれらのそれぞれのキューのでたらめな順序で合わせることができる。幾つかの実施形態はコールおよびCSA205の各々または1つに関するキューの複数のレベルを管理することができる。
【0056】
システム100は所定のコールを受け取るために(幾つかの測定指標にしたがい)資格を与えられたエージェントのキューを管理することができる。つまり、例えば、高額支払い層に属する顧客からのコールを処理または取り扱うために「プレミアム」CSAのキューを管理することができる。プレミアムCSAの資格を与えるために使用される測定指標として、例えば、CSA205としての勤続年数、トレーニング、包括的なフィードバック、平均顧客満足度、言語スキルなどが考えられる。幾つかの実施形態においては、資格測定指標は少なくとも部分的に、何らかの特定のコールに固有のものではない要因を基礎とする。「資格キュー」の別の例は、特定のスキルを有するCSA205のキュー、特定の期間にわたり利用可能である、および/または、利用可能であったCSA、所定のエージェントノードからのCSAなどを含む。
【0057】
CSA205は特定のコールを処理するために資格キューから選択(または選抜)することができる。システム100は、LIFOまたはFIFOのような静的な順序に基づいて資格キューからCSAを割り当てることができるが、これは必ずしも必要ではない。むしろ、システム100は資格のあるエージェントのキューから(上述の資格測定指標とは異なっていてもよい)選択測定指標に従い特定の資格のあるエージェントを動的に選択または識別することができる。選択測定指標はシステム100のオペレーションに関する状態測定指標、例えば、所定のCSA205はどれ程「利用可能」状態で待機し続けているかを基礎とすることができる。
【0058】
他方では、選択測定指標はシステム100の状態測定指標とは異なる情報を基礎とすることができる。例えば、特別なコールに関連する情報、例えば発呼者のIDおよび/またはシステム100との以前の履歴に基づいて所定のコールに応答するために、「資格を与えられた」キューから少なくとも部分的に特定のCSA205を選択することができる。別の例として、CSA205を少なくとも部分的に、上述のようなCSA205の能力に基づき選択することができる。
【0059】
幾つかの実施形態はこの2レベルの資格および選択システムを使用し、コールの分散およびルーティングに関する細密な制御を提供する。例えば、CSA205はコールタイプに広範に応答できることを指示するために、資格キュー(換言すれば、プール)をあらゆる特定のコールに依存せずに管理することができる。そのようなコールタイプのコールがシステム100に到来すると、例えばその所定のコールに特有の特性、システムニーズまたはCSA能力に基づき資格キューからCSAを選択することができる。
【0060】
つまり、上述の例を引き続き説明すると、例えば、(1)CSA205と発呼者は以前に会話しており、発呼者はCSAの能力に満足している、(2)CSAのエージェントノードはその時点において十分に利用されていないという理由から、「プレミアム」資格キューにおける特定のCSA205をそのキューから選択し、特定の発呼者に割り当てることができる。このCSA205をプレミアムCSAキューにおいてより長い期間待機し続けているCSA205に優先して選択することができる。
【0061】
もちろん、選択機能(また資格機能)を本明細書において説明した幾つかのパラメータまたは全てのパラメータに依存させることができる。さらには、選択機能および資格機能を動的に変更することができる。もちろん、選択および資格の複数のレベルを実現することもできる。幾つかのシステムは幾つかの測定指標に従いCSAの選択を取り消す、または資格を取り消すことができる。特定のキューに割り当てられたコールまたはCSA205をキューから除外する、および/または、経時的に他のキューに再割り当てすることができる。CSA205、発呼者およびコールを選択機能または資格機能に従い優先選択順位においてランク付けすることもできる。したがって、到来するコールを一番上のランクのCSAに割り当てることができるか、この到来するコールにとって最適なCSAに割り当てることができる。
【0062】
上記においては、種々のタイプの要因、例えばコールタイプ、CSAスキル、エージェントノード割り当てなどに基づいた、CSA205およびコールのルーティング(接続)を参照した。以下の節においてはこれらの種々のタイプのルーティングを説明する。
【0063】
スキルに基づくルーティング
本明細書においては、スキルとはコールタイプまたはコール区分、例えばUSPrimary800番、シューズ(Shoes)、優先顧客などを参照することができる。種々のスキルを別個の無料番号に対応付けることができる。択一的に、種々の無料番号を同じスキルに対応付けることができ、また同一番号に対するコールをその後に得られた知識に基づき割り当てることができる。システムは種々の電話番号(PBXによってしか提供されない番号も含む)から全てのコールをルーティングすることができる。
【0064】
スキルコンフィギュレーションはシステムを適切にスケーリングできるようにするために可能な限り簡潔になされる。スキルを追加、編集および削除できるようユーザインタフェースを形成することができる。したがってコール分散システム100は、スキルについての変更がなされる度にEメール通知を(必要に応じてEメールエイリアスに記載された全てのユーザに)送信することができる。択一的に、ハードコーディングされたスキルコンフィギュレーションを使用することができる。以下のタイプの情報を各スキルに関連付けることができる。この列記は代表的なものであり、排他的なものではない。全ての項目が実施されなければならない訳ではない。
【0065】
スキル名:スキルの略名、例えばUSPrimary,UKPrimary,ShoesUSPrimaryなど。
【0066】
記述:スキルの比較的長い記述、場合によってはデータ作成日も含む。
【0067】
ルーティングタイプ:スキルに関して使用されるルーティングロジック。選択肢は「シンプル」(例えば先着順サービス)または「割当テーブル」(このタイプのコールは以下において説明するパーセント割当テーブルに従いルーティングされる)が考えられる。
【0068】
ウェルカムメッセージ/IVRホームページ:再生すべきメディアファイル名またはIVRの統一資源識別子(URI;Uniform Resource Identifier)またはスキルに関して実行すべきスクリプト。
【0069】
ウィザード:着呼に基づき実行することができるウィザード。ウィザードはコールに関連付けられたスキルを変更することができる。
【0070】
オペレーション時間:このスキルに関するオペレーション時間。システム100は週間スケジュールを管理することができる。システムは間隔を空けて、このスキルに関してトレーニングを受けているCSAを集めている特定のエージェントノード204が開かれているか閉じられているかを指示することができる。
【0071】
勤務時間外メッセージ:(1)勤務時間外(スキルに関する時間によって規定される)であるか、(2)コールを処理できるCSAが誰もログインしていないときにコールがそのエリアに到来すると再生されるメディアメッセージ。メッセージを種々のコンテクストで再生することができる。
【0072】
保留音メッセージ:保留音として再生されるメディア。必要な何らかのメッセージ(例えば「そのまま暫くお待ち下さい」)を組み込むことができる。
【0073】
スキル情報をデータ記憶装置203に記憶することができる。さらに、システム100は各スキルに対応付けられた電話番号のリストを管理することができる。コールが到来すると、コールコントローラサービス201はコールをどのように分類するかを決定するためにダイアル番号識別サービス(DNIS;Dialed Number Identification Service)をスキャンすることができる。管理することができるデータの排他的ではないサンプルリストは以下の通りである:
DNIS名:顧客によってダイアルされた番号の表現。
記述:このDNISの記述。
スキル:このDNISに関連付けられたスキル。
メディア/IVRホームページ:このDNISへのコールに使用されるべきメディアファイルまたはIVRホームページの名称/URI。このセッティングは対応するスキルのセッティングを無効にすることができる。
【0074】
特別なルーティング:コールが非標準的または特別なルーティングプログラムを有することを許可する。例えば、所定のエージェントノード204になされたコールはそのエージェントノード内のCSAにルーティングされるべきである。さらに、特定のエージェントノードを特別なDNISから除外することができる。例えば、特定のエリアコードまたは場所からなされたコールを、それと同一のエリアコードまたは場所にある特定の(1つまたは複数の)コールセンター内のCSAに接続することを予め排除することができる。
【0075】
システム100の幾つかの実施形態はスキルを基礎とするルーティング(SBR;skills-based routing)プロトコルをサポートする。一般的に、コールの到来に関するSBRはシステム100が到来するコール206を考えられる最高のCSA205に合わせることを試みることができる。コールコントロールサービス102はSBRを実施することがで、またSBRプロトコルにおける種々の次元のトレードオフのバランスを取ることができる。一般的に、SBRを以下のコールルーティング優先順位の内の幾つかまたは全てをサポートするよう設計できる(ここで各優先順位はスキル固有であるか汎用的である):(1)可能であれば常に各顧客に関するサービスレベル品質の目標に達する;(2)適切な量のコールトラフィックを各エージェントノード204にルーティングする(場合によっては、サービスレベルに悪影響が及ぼされないように修正される);および/または、(3)到来するコールに関して要求されるスキル/トレーニングをその要求されるスキルを備えたCSA(データ記憶装置203に記憶されている)に合わせる。もちろん、他の優先順位またはそれらの優先順位の組合せも考えられる。これらのプロトコルのサブセットの内ただ1つを実施するだけで、またはそのようなプロトコルに近似するものの内ただ1つを実施するだけで、コールコントローラサービス102を開始することができる。
【0076】
スキルを基礎としたルーティングを達成するために、キューを使用することができ、これによりコールが分類される。それらのキューは論理的で到来するコールに相補的なキュー202でよい。ルーティングキューは一般的に以下のように機能する:
1.コールがシステム100に到来すると、それらのコールをダイアルされた番号に依存するデフォルトスキルに割り当てることができる。例えば、特定の800番への各コールを(キューに関連付けられた)USPrimaryスキルに割り当てることができる。
2.コールのスキル割り当てをウィザードによって変更することができる。この変更をコールがいずれかのキューに置かれる前に行うことができる。択一的に、コールをキューに置いた後に、スキル割り当てを変更することができる。これにより異なるキューへの再分類を行うこともできる。コールがキューに置かれると、(1)応答が行われるまで;(2)コールが切断されるまで;または、(3)(オプション)再割り当てが行われるまで、コールはそのキュー内に留まることができる。
3.一般的に、キュー内の最も古いコールが最初に応答される。システムの複数の実施形態は優先順位または好み、すなわち贔屓の顧客に関して区別されたサービスレベル(SL)をサポートすることができる。これは「重み」係数を介して達成することができ、キューにおける総時間は例えば(キュー内の#秒)×(コールに対する重み係数)とみなすことができる。2の重みを有する好みの顧客に相対的に、デフォルトコールの重みを1とすることができる。この場合、好みの顧客のコールは一般的に、同じキュー内の好みでない顧客のコールに比べて2倍早く応答されることになる。
4.上述のように、到来するコールにキューを再割り当てするためにウィザードを使用することができる。これらのウィザードはIVR113または他のメカニズムを使用する発呼者によって提供された情報、もしくはそこから導出できる何らかの情報を使用することができる。これらのウィザードはコンタクトを分析する多くのシステムに依存することが考えられるので、全てのコールが単純に(有利にはいずれのウィザードアクションも要求しない)そのデフォルトキューに置かれる場合には、ウィザードは失敗することも考えられる。
5.幾つかの実施形態においては、無制限の数のキューを生成することができ、またそれらのキューをコールボリューム、コールタイプまたはCSAスキルなどの条件が変更された際に、コールコントローラサービス102によって動的に生成することができる。
【0077】
一度コールがキューに割り当てられると、それらのコールをCSAに割り当てる(ルーティングする)ことができる。幾つかの実施形態においては、各CSAが正確に1つのキューに割り当てられ、そのキューのみからコールを取ることができる。しかしながら別の実施形態においては、コールコントローラサービス102が融合型のCSA割り当てをサポートし、これによりCSAは複数のキューからのコールを処理することができる。融合型の割り当てを達成するために、各CSAに対してコールコントローラサービス102は以下のものを提供することができる:
1.キューのリスト。このリストに基づきCSAは作業を行うことができる。融合タイプに依存して、あるキューはそれよりも後にリストに記載された別のキューよりも高い優先順位を取得することができる。
2.複数のキューからどのようにして1つのCSAを選ぶかを決定する融合タイプ。融合タイプはCSAが単一のキューにしか割り当てられない場合には重要ではない。融合タイプは以下のものを含む(ただし、それらに制限されるものではない)。
【0078】
一番古いコール。CSAが一番古いコール融合タイプでもって構成されている場合、CSAにはこのCSAが処理を行うよう構成されているいずれかのキューにおける一番古いコール(必要に応じて重み係数を含む)が割り当てられる。この場合にはキューの順序は問題にならない。
【0079】
順序正しいキューの排出(drain)。このタイプによれば、第1のキューはCSAに第2のキューからのコールが割り当てられる前は空でなければならず、最初の2つのキューはCSAが第3のキューからいずれかのコールを受け取る前には空でなければならない(以下同様)。
【0080】
混合型。このタイプでは、コールが別のキューにおいて長い時間にわたり保留されていない限り(例えば時間閾値Tが規定される)、CSAは1つのキューに集中することができる。より詳細には、CSAのいずれのキューにおけるいずれのコールも(重み係数に関して調整される)T秒よりも前のものでない場合、CSAは順序正しくキューを排出する(上記を参照されたい)。択一的には、(重み係数に関して調整された後の)T秒よりもキュー内に長くいる1つまたは複数のコールが存在する場合、CSAにはCSAのいずれかのキューにおける一番古いコールが割り当てられる(上記を参照されたい)。
【0081】
幾つかの実施形態では、スキルおよびCSAプロフィールを構成するためのメカニズムが提供される。幾つかの実施形態においては、キューおよびCSAプロフィールのリストを中央で修正することができ、また電話コンタクト分析ウィザード(上述のように、このウィザードは到来したコールに適切なキューを割り当てることができる)を用いた変更と連携させて修正することができる。これらのキュー名へのアクセスを制限することができる。例えばいくつかの実施形態では、無関係のマーチャントのキューのビューからアウトソーサー(例えば、自身の顧客のシステムとのコンタクトをアウトソーシングする事業)を排除することができるか、他のいずれかのキューに対してアウトソーサーは処理を行えるよう設定されていない。
【0082】
CSAプロフィールを複数のCSAに適用することができるので、単一のプロフィールの変更により複数のCSAのコンフィギュレーションが変化することになる。幾つかの実施形態はこの機能を使用し、コールボリュームの動的な変動を処理できるようにするために、複数のCSAのプロフィールを変更する方式を提供することができる。そのようにするために、システムは以下の動作を実施することができる:
1.CSAプロフィール(融合タイプを用いる、スキルの順序付けられたリスト)の作成
2.特定のCSAに関するプロフィールの割り当て/編集
【0083】
このコンフィギュレーションを、各エージェントノード204におけるマネージャによって、中央システム100におけるマネージャによって、種々のイベントに応答するシステムによって自動的に、またはそれらの内の幾つかによって、もしくはいずれにもよらずに実施することもできる。個々のエージェントノードマネージャは、コールボリュームの急増に応じた要求により、このコンフィギュレーション情報を変更することができる。システムの幾つかの実施形態は、コンフィギュレーションエラーの可能性を低減するために、(それらのコンフィギュレーションが変更されたインタフェースへのアクセスを制限することによって)CSAプロフィールの作成および管理を中央に集中させる。幾つかの実施形態においては、各アウトソーサーに対するCSAプロフィールをシステムまたはシステム管理者によって作成および管理することができる。別の実施形態においては、アウトソーサーが自身のプロフィールを作成および管理するためのインタフェースを有することができる。幾つかの実施形態によれば、プロフィールについての比較的細密なセキュリティ権限が提供される。
【0084】
割当テーブルを基礎とするルーティング
割当テーブルは、各エージェントノードが適切なコールボリュームを受け取ること、すなわち自身の割り当てまたは稼働目標に合わせることの保証の助けとするために使用することができる。割当テーブルは、人員過剰のエージェントノード(すなわち、コールに関して利用可能なCSAを過度に多く保有しているエージェントノード)が適切な人員数のエージェントノードから大量のコールを引き抜く(したがってペナルティを科す)ことを阻止するメカニズムを提供する。そのようなペナルティの阻止は予算管理または事業計画の一部である。
【0085】
割当テーブルを以下の少なくとも3つの目的のために使用することができる:(1)複数のエージェントノードから利用可能な複数のCSAが存在する場合のCSAおよびエージェントノードの選択;(2)全てのエージェントノードに複数のキューが存在する場合に、それらのキューをエージェントノードのキャパシティに比例して維持できるようにするためのエージェントノードキャパシティの評価;および(3)リアルタイム情報(CSAの利用可能性)を利用できない場合のコールの割り当て。実施形態がこれらの各目的に対して割当テーブルを実施することは必要ない。
【0086】
(1)に従いCSAを選択するために、コールコントローラサービス102は、所定のコールを取るために利用可能であり、且つ資格のあるCSAのリストを編集することができる。利用可能な複数のCSAが存在する場合、コールコントローラサービス102は、実際の(現在または過去の)理想的な割当パーセンテージ間の差が最小になるように選択を行うことができる。いずれかの特定のキューに適用される割当テーブルが存在しない場合、最も長く利用可能であったCSAに、そのCSAが何処に位置しているかを考慮することなく、コールを単純にルーティングすることができる。
【0087】
幾つかの実施形態においては、割当テーブルは複数のエージェントノードのキャパシティを相互に相対的に規定する。例えば、エージェントノードAが25%のキャパシティを有し、エージェントノードBが50%のキャパシティを有する場合、割当テーブルが使用されると、エージェントノードBはエージェントノードAよりもおよそ2倍の量のコールを受け取ることになる。曜日および各期間に対して別個のパーセント割当テーブルが存在していてもよい。割当テーブルに表される期間は連続的であるか離散的であり、例えば30分刻みで増加する。図4には、割当テーブルにおいて1日の経過にわたり記憶することができるキャパシティ情報の例が示されている。
【0088】
割当テーブルを個々のキュー(1つのスキル)またはキューのセット(複数のスキル)に適用することができる。システムは多くの細密なスキルを有することができるので、割当テーブルを複数のキューにわたり適用することができる。幾つかの実施形態においては、各キューに対して1つのテーブルを提供することは必要ない。つまり、例えば、システムはCSAを「型にはめ続ける」ように意図された、つまり、CSAが特的の限定的なタイプの問題に反復的に従事し、その問題の領域における自身の効率を改善または維持することが意図されたスキル定義を提供することができる。コンセプトとしては、これら2つのスキルの各々がゼネラリストプライマリCSAに関する仕事量の一部を含むので、したがってシステムはそれらのキューの各々に対する個別の割当テーブルを予測し提供することを試みようとはしない。
【0089】
コールを種々のサブエージェントノード204におけるCSAにルーティングできるようにするために、コールコントローラサービス102はそれらのルーティング決定の内の少なくとも幾つかの履歴を保存することができる。この履歴によりシステムを関連するテーブル割当パーセンテージに適合または近似させることができる。例として、エージェントノードAが(所定の期間にわたり)コールトラフィックの70%を受け取り、エージェントノードBが残りの30%を受け取ることを想定したケースを考察する。エージェントノードAにおける全てのCSAがコールバースト中に話中である場合、システムは顧客のサービスレベル(SL)を維持するためにコールをエージェントノードBにおけるCSAにルーティングする。したがって、エージェントノードAはバースト中の所定のコールボリュームよりは少ないコールを受け取ることになるであろう。コールコントローラサービス102はこの履歴を管理するか、その履歴の表現を管理し、後に区別することができる。つまり、例えば、バーストの終了後にコールコントローラサービス102はエージェントノードAへの不均衡なコールボリューム(例えば70%よりも多いコールボリューム)をルーティングすることができる。この履歴は無期限、終日とすることができるか、幾つかの他の期間に構成することができるが、割当値が変化した時(期間の境界において発生する可能性がある)には常にクリアされる。
【0090】
1つの例として、ルーティングする必要がある新たなUSPrimaryコールを想定する。コールコントローラサービス102は、図5Aに示されているように(図中DAK、GFK、HTSおよびPSCはエージェントノード204のコード名である)、関連する各キューに関する割当テーブルおよび履歴情報を考慮することができる。図5Bに示されているように、複数のキューにわたり履歴情報が集計され、図5Cに示されているように、関連する割当テーブルに表されている理想的な割当情報と比較される。図5B図5Cの差に表されているように、その時点における割り当てと理想的な割り当てとの間の差は、将来のルーティング選択(例えば、理想的なルーティングパーセンテージと、その時点における(履歴、すなわち過去の)パーセンテージとの差が最小になるようなルーティング)の基礎を形成することができる。
【0091】
幾つかの実施形態は、過去の選択パターンがある程度の精度レベルまで(割り当てテーブルを基礎としているか、割り当てテーブルから導出される)理想的な割り当てに合うように、キューからのコールの選択を試み、またコールをルーティングするためにどのCSAを選択するかについて適合される。したがって幾つかの実施形態は以下の入力を使用することができる:
1.選択が行われるグループ(例えばキュー);
2.選択の履歴(例えば過去の測定指標);および、
3.考慮中の各グループに関する理想的な選択分散を指示するテーブル(例えば割当テーブル)。
【0092】
幾つかの実施形態によれば、この情報を考慮すれば後続の選択を行う方法は以下のようなものでよい:
1.CSAへのコールの考えられる各選択に関して、各グループに関するものであろう仮想分散はその選択に基づくものであろうことを計算する。
2.その選択に関して生じた包括的なエラーを、理想的な分散とその選択の結果である分散との差を合計することによって計算する。つまり、選択に関する包括的なエラーが計算され、これは以下のように表すことができる:
選択に関する包括的なエラー=
合計(ABS(グループに関する実際の%−グループに関する理想的な%))、ただし合計は全てのグループについて行われる。
3.実際の分散が理想的な分散に最も良く整合する選択肢を選ぶ。択一的には、包括的なエラーを増加させない第1選択肢が選ばれる。
【0093】
しかしながら当業者であれば、多くの代替手段が考えられ、またそのような代替手段を図7,8および9にリスト化された統計量を含む他の統計量、また他の数学的な機能、例えば乗算および加算、ならびに全称記号および存在記号に依存させられることが分かる。
【0094】
高度なルーティング
コールコントローラサービス102の幾つかの実施形態は細密なルーティング決定を行うために必須のフレキシビリティを有することになる。この節では、以下の3つの代表的なルーティング判定基準、すなわち:(1)携帯電話機を最近購入した特別扱いの発呼者;(2)標準的でない支払い方式を利用している発呼者に対する特別な扱い;および(3)CSAを型にはめたままにする(上記を参照されたい)、を提供するためにそのようなシステムをどのように構成できるかを説明する。これらは、システムの変動性を強調するために選択された3つの代表的な判定基準に過ぎず、これら3つの判定基準の代わりにより多くの判定基準、より少ない判定基準および異なる判定基準を使用することも考えられる。
【0095】
第1に、時折、エージェントノードのオペレータの無線キャリアとの契約は、そのオペレータがワイヤレスキャリアの顧客とのコンタクトの処理を国外のCSAに許可することを阻止する。したがってシステムの幾つかの実施形態を、携帯電話機を最近購入した顧客を国内のCSA(国内のCSAはこのキューを処理するために資格が与えられているものとする)にルーティングするために適合させることができる。そのようなシステムは「携帯電話機ゼネラリスト」キューと、そのようなコールを国内のCSAに割り当てるよう構成されたコールコントローラとを有することができる。専門の携帯電話機トレーニングを受けたCSAのための別の「携帯電話機スペシャリスト」キューがあってもよい。そのような専門のCSAに権限を与え、またそのCSAがプライマリキューおよび携帯電話機ゼネラリストキューの両方から選べるようにすることができる。
【0096】
CSAはサービスレベル融合タイプ(上記を参照されたい)により構成することができるか、有利には、複合型融合タイプを使用して、(プライマリCSAよりも少ない数のCSAが働くことになるので)電話キューに関して重み付けされた好みをCSAに与えることもできる。それらのコンタクトを検出するウィザードが正常に機能しなかった場合には、コールは有利にはプライマリキューに置かれることになる。したがって、幾つかの実施形態においては、プライマリキューから選ばれる全てのCSAはそのようなコンタクトを処理するための指示を受け取ることになる。
【0097】
第2に、顧客は標準的でない手段(電信送金など)を利用して支払いをしようとすることがある。したがって幾つかの実施形態では、そのようなコンタクトを、それらの比較的稀なケースを処理することができるCSAのプールへのルーティングを試みることができる。このことは「標準的でない支払い」キューを作成することによって行うことができる。続いて、特定のCSAに標準的でない支払いキューからコールを選ぶ権限が与えられる。そのようなCSAとして例えば、1ヶ月以上の経験を有するCSA、または必要な特定のコンピュータセットアップを有するCSA、または他の何らかの適切な判定基準に従ったCSAが挙げられる。
【0098】
第3に、上述のように、CSAを制限された数のスキル領域において少なくとも特定の期間、例えば1時間、1日、1ヶ月、または不定の期間にわたり集中させることによって、CSAを「型にはめ続ける」ことは有利である。これを達成するために、CSAを「型にはめる」ことができる各々の(または種々の)コンタクトタイプに1つのキューを割り当て、またCSAをそれぞれ特定の1つまたは複数の専門キューに割り当てるようコールコントローラサービス102を設計することができる。専門的なキューまたは一般的なキューのいずれにおいてもサービスレベルが低下しないことを保証するために複合型融合タイプを使用することができる。
【0099】
システム100のフレキシビリティの別の例として、図6は、1つの実施形態に従い上述の各ルーティング判定基準を同時に満たすコンフィギュレーション情報を示す。図面に関して、参照番号601では訓練を積んだCSAがサービスレベル融合機能において標準的でない支払コールを受け取るよう構成されている。参照番号602においては、新規採用者が複合型混合機能のもとで、型(Groove)1のコールを受け取るように構成されている。
【0100】
測定されて利用されるべきCSA能力(また必要に応じて、発呼者能力)に関するフィードバックを提供するようにシステム100を構成することもできる。システム100はレビュープロシージャを実施することができ、CSA(またはマネージャ)は他のCSAのアクションをレビューすることができる。つまり、例えば、コールが先ず第1のCSAにルーティングされ、顧客が後にコールバックする場合、コンタクトを(意図的に、または意図せずに)異なる第2のCSAにルーティングすることができる。第2のCSAは、コール、チケットまたは履歴および先行のコールに関連付けられたいずれかの記録をレビューする過程において、第1のCSAの能力を満足、不満、良好などにフラグをセットすることを決定する。
【0101】
システム100の幾つかの実施形態においては、顧客自身が例えばコールの終了時に実施した電話概括によってフィードバックを提供することができる。マネージャは会話を聴くこともでき、さらなるレビューのためにその会話にフラグをセットすることができる。同様に、システム100自体が、会話にフラグを立てるためのオートメーション化された手段、例えば高度音声応答検出器を有することができる。顧客に関するフィードバック(すなわち顧客の評判)も同様に実施することができる。
【0102】
システム100はフィードバックに基づいてルーティング決定を行うことができる。例えば、例外的に高いレビューを有するCSAには「最高の」コール、すなわち最も優先順位の高いコール(例えば高いサーバ層のコール)をルーティングすることができる。同様に、フィードバックの少ないCSAにルーティングするコールを減らすことができるか、トレーニングを選択させることができる。所定のコンタクトのCSAの会話に関して肯定的なフィードバックがある場合、システムは今後その顧客によるコールをそのCSAによりルーティングしやすくすることができる。フィードバックの記憶およびフィードバックに基づいたコールのルーティングをフィードバックコンポーネント、コネクティビティコントローラ102、CRM101または他のコンポーネントによって実施することができる。
【0103】
独立したCSAおよび市場を基礎としたプライシングおよびルーティング
上述のように、需要を所定のコンタクトのサービスに合わせるために、そのコンタクト(ここでコンタクトとして通信、タスク、サービスまたはワークアイテム、例えばコール、電子メッセージ、ジョブなどが考えられる)を処理することができるエージェントの供給を調整することは容易なタスクではない。電子メッセージはEメールメッセージ、テキストメッセージ、ファックス、音声メール、チャットメッセージ、ツイッターメッセージなどを含むことができる。
【0104】
タスク完了に関する需要は非常に短い期間の予測困難な変動にさらされている。例えば、製品またはプロジェクトの販売開始または販売延期、バグの発見、コンピュータウィルスの発生、停電、天候条件などはいずれも、別個にまたは組み合わされて作用して、予測された需要を上回るか下回る特定のコンタクトタイプのサービスに関する実際の需要を生じさせる可能性がある。過剰または不足が1分、1時間、1日または1年にわたり続く可能性もある。例えば、ソフトウェア会社は製品のリリースを6月1日に予定していたとする。分散センターまたはシステムのマネージャ、例えばコールセンターまたはEメール応答システムは、販売開始後の最初の1週間における(新製品の新規の顧客全てを処理するための)コンタクトボリュームの増加を予定して計画を立てることができ、また2週目にはコールボリュームが通常に戻るであろうと想定することができる。しかしながら、ぎりぎりの所での販売延期によって製品の販売が1週間後(6月8日)にずらされた場合、マネージャは6月2日における実際の需要は予測した需要を遥かに下回り、他方では6月9日における実際の需要が予測した需要を遥かに上回ることを発見できる。そのような状況においてマネージャが実際の需要に応じて供給を迅速に調整できなければ、マネージャは顧客が満足しないことを経験して知るであろうし、また第2週には不適当な数のCSAを使用することになるであろう。
【0105】
実際の需要に合わせるために利用可能な供給を調整することはマネージャにとってチャレンジである。例えばCSAが前もって仕事のスケジュールを立てていた場合、タスクを完了するためのCSAの利用可能な供給は難しくなる可能性があり、また需要の調整を遅らせる可能性がある。雇用者であるCSAのスケジュールをぎりぎりの通知で調整することは困難になりかねない。さらに一般的には、通常の分散センターはCSAの補充に平均的な時間を要することになる。コンタクトを取る時間、通勤時間、職場の設定時間などが含まれるこの平均時間が、予測不可能な顕著な需要変動の最小時間(それどころか平均時間)を上回ることも考えられる。さらに、CSAの供給は顕著な短期変動性を有する。例えば、インフルエンザの集団発生または悪天候により、分散センターの人員が、特定の日または特定の時間に関して予算に計上した人員を遥かに下回ることも考えられる。
【0106】
これらの要因(供給における柔軟性の欠如、需要と供給の両方における短気の予測できない変動)はコンタクト・割当システムの効果的な管理についての障害の克服を困難にする可能性がある。他の目的との関係において、本発明の実施形態は供給の柔軟性の欠如を低減する市場メカニズムを提供し、短気の変動の影響を緩和することができる。(需要を考慮せずに)タスクを完了できるようにするために利用可能なCSAに対して固定給を支払うのではなく、市場メカニズムを実施するシステムは実際に完了させたタスクに対するタスク毎の報酬に(完全にまたは部分的に)基づきCSAに給与を支払うことができる。さらに市場メカニズムは、所定の作業単位に応じてCSAに支払われる報酬をその作業単位に対する需要により変動させることができる。
【0107】
CSAが自身の市場への関与を動的に調整できなければ、タスク毎の報酬の価値および需要に応じた報酬レベルの変動を制限することができる。したがって幾つかの実施形態においては、CSAは特定の価格で作業単位を提供することを承諾または拒絶することができる。しかしながら、ある期間にわたり分散センターにおいて(または分散センターを用いて)作業することへの同意がCSAに要求される場合、CSAが個々の作業単位を拒絶できることは、乗り換えコストに起因して実際的というよりは理論的である。
【0108】
したがって、システムの幾つかの実施形態ではCSAが固定の供給スケジュールから切り離される。短い通知に基づき、また乗り換えコストが低減されたことにより、CSAが作業単位を完了させるための供給を提供するか否かを選択できることによって、システムはより効果的に実際の供給を実際の需要に合わせることができる。1つの例として、供給を上回る過剰な需要を調整するために、システムは作業単位毎に支払われる報酬額を上げることができる。新たな報酬レベルが特定の独立したCSAの機会コストおよび乗り換えコストを超える場合、その独立したCSAには(それまで利用可能でなかった場合には)供給の提供を開始すること、または、既に働いていた場合には(より一層働くことによって)付加的な供給を提供することの動機が与えられることになる。反対に、実際の供給が実際の需要を上回る場合、システムは作業単位毎の報酬額を下げることができる。新たな報酬レベルが機会コストおよび乗り換えコストを下回る場合、独立したCSAは作業にあまり精を出さないことによって、または何か他のことをすることによって自身の利用可能性を下げることになる。
【0109】
そのようなシステムにおいて需要に合わせるよう調整を行うレートはCSAが経験した乗り換えコストに少なくとも部分的に依存する。例えば、分散センターにおいて席に着くまで例えば45分の通勤時間を必要とするCSAは高い乗り換えコストを経験する可能性がある。したがって、幾つかの実施形態では乗り換えコストを低減するためのメカニズムを提供する。例えば、本明細書に記載したシステムの幾つかの実施形態ではCSAを分散センターから切り離すことが試みられる。例えば、CSAが自宅に居るか近所のコーヒーショップに居る間にコンタクトを提供できる場合、CSAは市場により関与することになるであろうし、また自身の利用可能性を効果的に調整できるようになるであろう。もちろん幾つかの実施形態では、分散センターに出社するオプションをCSAに提供することができる。CSAを分散センターから切り離すために、幾つかの実施形態はタスクを完了するためのリモートインタフェースを提供することができる。それらのリモートインタフェースは完了されるべきタスクに応じて変更され、また(例えば)コンピュータ器機、電話機、ユーザインタフェースおよび/または物理的なオブジェクトならびにツールを含むことができる。リモートインタフェースを例えばコンピュータ、電話網および/または通信網によってサポートすることができる。
【0110】
殊に幾つかの実施形態は独立したCSAおよび/または市場を基礎としたプライシングを許可することができるので、CSAを通常の分散センターの外部に配置することができ、またCSAにコールの完了に関して動的に変動する価格を提示することができる。独立したCSAは特定のコールまたはコールクラスを受諾するか拒絶するかを選択することができる。
【0111】
例えば、独立したCSAおよび市場を基礎とするプライシングは顧客のチャットセッションに応答するためにCSAのジャスト・イン・タイム(just-in-time)の利用可能性を提供することができる。到来するチャット要求の量がピークに達すると、システムはチャット要求に応答するために独立したCSAに増額された報酬のオファーを自動的に開始することができる。報酬がCSAの機会コストを上回って増額されれば、より多くのCSAがチャット要求に応答するようになるであろう。したがって、ピークに達している量のチャット要求も、応答のサービスレベル(品質)の僅かな低下で、もしくは無視できる程度の低下で処理を行うことができる。
【0112】
上記の別の例として、独立したCSAの1つの特定のタイプのコンタクト、すなわちテレフォンコールへの適用を以下において詳細に説明する。以下に記述する原理は他のタイプのコンタクトにも適用できることが分かる。つまり多くのケースにおいては、熟練者がそのようなオブジェクトを処理するためのシステムを設計できることを保証するために、「コール」という用語を「コンタクト」、「作業単位」、「Eメール」、「タスク」、「チャット」などに置き換えることができる。
【0113】
したがって、電話コールセンターを例示的に参照すると、上記のコールセンターシステム100の幾つかの実施形態によれば、CSAをシステム100および/またはエージェントノード204から切り離すことができる。したがって、CSAには電話コネクションおよび/またはデータコネクションだけが要求される。エージェントノードにおける実際の物理的な位置は要求されない。この場合には当然、幾つかの実施形態ではCSAは通常とは異なる方式で雇用され、報酬を受け取ることになる。そのような実施形態は新たなカスタマーサービスのワークシナリオ、例えば自宅で働くCSA、インディペンデントコントラクターとして雇用されたCSA、または廉価で一時的な「ショッピングモール」エージェントノードをサポートすることができる。
【0114】
幾つかの実施形態は、(時給または固定給とは異なり、もしくはそれらに付加的に)その都度のコールを基礎として報酬を受ける少なくとも幾つかのCSAに対して市場メカニズムを提供することもできる。コールに対して市場を基礎とするプライシングを達成するために、幾つかの実施形態は4つの別個の機能を含むことができる:(1)コールに対する価格の決定;(2)その価格のCSAへの通知;(3)コールに対する価格のCSAによる受諾;および(4)所定の価格での受諾されたコールへの課金。
【0115】
再び図1を参照すると、幾つかの実施形態においては、CRM101、測定指標サービス104、収益サービス115、コネクティビティコントローラ103またはコールコントローラを用いることにより、それらが単独で、または組み合わされて価格を決定することができる。幾つかの実施形態においては、価格はある程度固定されたものでもよい。例えば、コールに関する価格を所定の固定額に設定することができる。択一的に、価格を個人のコールスキルに関して固定することができ、またリアルタイム市場状況に先立って決定することができる(例えば、価格が経営者側によって設定されている場合)。別の実施形態においては、例えば(制限を課すことなく)、CSAの利用可能性およびスキルセットの集合、コール量およびスキルセットの集合、時刻、エージェントノード割り当てなどのような多数の要因に基づき価格はフレキシブルで可変のものでもよい。
【0116】
測定指標サービス104およびCRM101は「コール応答能力」の供給に関連する情報、例えばCSAの状態および特性を記憶することができる。上述のように、CSAプロフィールはスキルを基礎としたルーティングと関連して存在する。応答能力の供給の決定に有効な情報を含ませるためにそれらのプロフィールを拡張することができる。つまり、例えば、システムは現在オンライン中のCSAの1%しか特定のコールの応答に必要なスキルを有していないことを知ることができる。この情報は特定のコールの応答に関して比較的高い価格をサポートすることになるであろう。択一的に、特定のコールを95%のCSAが応答できる場合、この情報はコールの応答に関して比較的低い価格をサポートできるであろう。1日の特定の時間において利用可能なCSAの数が少ない場合、コールコントローラサービス102はコールの応答に関してより高い価格を設定することができる。一般的に、図7図8または図9において挙げた統合的な情報のいずれかに基づいて、または応答能力に関して取得された他の何らかの統合データに基づいて価格を変更することができる。
【0117】
特定のCSAに対して価格を決定することもできる。つまり、例えば、特に古参のCSAまたは有能なCSAには経験の少ないCSAまたは未熟なCSAよりも高い価格をオファーすることができる。同様に、上述のような「型にはめられている」CSAには異なる価格をオファーすることができる。特定のCSAの電話コストまたは計算コストに関する特別な情報に基づき価格を変更することができる。また、特定のCSAに関して取得された何らかのフィードバックに基づいて価格を決定することもできる。一般的に、CSAの固有情報に基づいて価格を変更することができる。
【0118】
測定指標サービス104およびキューはコール応答能力に対する需要に関連する情報、例えば到来するコール206の状態および特性を記憶することができる。上述のように、キューはコール量およびスキルタイプに関する情報を表し、また測定指標サービス104はそのような情報を管理する。したがって、特定のコールタイプの予想されるコールボリュームまたはスキル、時刻、もしくは特定のコールがサービスを待機し続けた時間の長さに基づき価格を変更することができる。また一般的に、図7図8または図9に挙げたコール固有の情報に従い、または到来するコールに関して既知であるいずれかの情報に従い、コール全体を基礎として、またはその都度のコールを基礎として価格を変更することができる。アウトソーシング会社が進んで支払う報酬に基づき価格を変更することができる。
【0119】
幾つかの実施形態においては、リアルタイムの情報に基づき価格を決定することができ、また迅速に変動させることができる。別の実施形態においては、価格を前もって決定することができる、および/または、ある程度の期間にわたり固定することができる。CSAの受諾パターンに基づき価格を変動させるか、変更することができる。幾つかの実施形態においては、CSA、エージェントノードまたは他のエンティティは、それらが進んでコールを受諾するであろう価格の付け値を提示することができるコールコントローラサービス102または他のコンポーネントは価格の低い順、ダッチオークションまたは他の何らかのアルゴリズムで示された価格を受諾することができる。価格はコール毎、1分毎(または他の期間)のコールまたは1分毎(または他の期間)の利用可能性、またはそれらの組み合わせ、もしくは他のイベントタイプにより決定することができる。
【0120】
図1を参照すると、価格情報はユーザインタフェース111(上記を参照されたい)を介してCSAのコンピューティングマシン107に通知される。コールコントロールパネル300(図3A図3Iを参照されたい)を、特定のコールに対してオファーされた価格、将来のコールに対してオファーされた価格、コールに対する将来の価格スケジュールなどを表示するために補完することができる。CSAは特定の価格オファーを選択または拒絶することができる。CSAは異なるコールタイプまたは時間に関する代替的な価格の中から選択を行うことができる。別の実施形態においては、CSAは特定のコールタイプに関して自身で価格を提示することができる。CSAは複数のコールスキルタイプに関する価格を受諾することができる。択一的に、少なくとも幾つかの価格受諾機能をエージェントノードおよびエージェントノード管理部に設けることができる。つまり、例えば、特定のエージェントノードはその全てのCSAに関する価格を設定または管理することができる。
【0121】
幾つかの実施形態では、価格が所定のレベルに合致する、または所定のレベルを上回るか下回ると、例えばEメール、ポップアップ、インスタントメッセージ、テキスト、テレフォンコールまたは他の通知方法によってCSAに通知を行うことができる。別の実施形態では、特定のCSAは価格のサブセットしか見ることができないように、価格のフィルタリングをサポートすることができる。CSAは1つまたは複数の何らかの判定基準に従い価格をフィルタリングすることができ、これはコールコントロールパネルまたは他のユーザインタフェースにおける表示に作用を及ぼす。
【0122】
幾つかの実施形態においては、CSAはオファーされた価格をコントロールパネル300または他のユーザインタフェースにおける適切なユーザインタフェースコントロールの選択によって受諾することができる。択一的に、CSAは利用可能状態に移行することによって価格を受諾することができる。価格の変更は利用可能状態に留まっているCSAによって暗示的に受諾されるか、CSAが受諾を取り消すまで受諾される。択一的に、価格の変更はCSAの受諾を自動的に終了させることができ、これによりCSAをオフライン状態に移行させることができる。択一的に、幾つかの実施形態においては、CSAが能動的に(例えばコントロールをアクティブ化することによって)、または受動的に(例えばコールに応答しないことによって、または代替的な状態に移行することによって)コールまたはコールに関する価格を拒絶することができる。
【0123】
ユーザインタフェースまたはコントロールパネル300は受諾をコールコントローラ102に通知することができ、このコールコントローラ102は続けて受諾情報を記憶するか、受諾情報を収益サービス(図1の参照番号115を参照されたい)にルーティングする。受諾情報を個々のCSAプロフィール、システム100のアカウンティングサブシステム、またはネットワークリンクによってシステム100と接続されている外部アカウンティングシステムと関連させて記憶することができる。択一的に、価格の受諾情報を局所的にCSAのコンピューティングマシン107に記憶し、続けてシステム100または外部システムに伝送することができる。価格受諾情報はCSAが属するエージェントノード204(CSAが実際にそのようなセンターに属している場合)によって受信され、管理されることも考えられる。
【0124】
幾つかの実施形態においては、CSAが一度価格を受諾すると、上述の実施形態に従いコールをCSAにルーティングすることができる。CSAがコールを受け取ると(またはコールを完了すると)、そのコールの交渉価格をCSAの口座に振り込むことができる。完了または受け取ったコールの記録を、そのような記録を管理するエンティティに伝送することができる。このエンティティは上述のような価格受諾情報を管理するために使用されるエンティティ(例えば収益サービス115)と同一でもよいが、それらのエンティティは異なるものでもよい。
【0125】
幾つかの実施形態では価格受諾情報およびコール受け取り情報を含む記録が管理される。この情報を収益サービス115によって管理および統制することができる。いずれか時点でCSAにはその労力に対して賃金が支払われる。特定の期間の支払い総額は各支払い分(例えば受け取ったコール、完了したコール、利用可能時間)と支払いイベント毎の交渉価格との積の合計である。当業者には既知の収益・給与メカニズムを使用して、この総額を従業員CSAの口座に支払いを目的として送金することができる。特定のエージェントノードの従業員であるCSAはエージェントノードから支払いを受けるか、システム(またはシステムオーナ)または収益サービス115がそのような資金を調達し、エージェントノードに直接的に送金することができる(エージェントノードは続いてCSAに支払いを行う)。エージェントノードの下では働いていないCSAはシステム100、収益サービス115または適切な金額を振り込むことができる別のシステムを用いる個人的な給与アカウントを有することができる。
【0126】
択一的に、CSAはシステム100、システムオペレータ、第3パーティーの支払いオペレータ、クレジットカードまたはデビットカードを用いる消費者アカウントまたは他の形態のアカウントを有することができる。システムは例えば資金の適切なアカウントへの直接的な送金によって入金することができる。このアカウントを、システム100のオペレータが所有する代替目的のシステム間で共有することができる。収益サービス115はこの情報を管理することができるか、この情報を管理するために他のシステムに通知することができる。つまり、例えば、CSAは小売店から本を購入することができ(したがって$20の借方記入)、ある期間内に1コールにつき3$でコールに10回応答することができる(したがって30$の貸方記入)。幾つかの実施形態を、CSAのアカウントへの貸方記入および借方記入の両方を指示するよう構成することができる。幾つかの実施形態においては、CSAのアカウントはその後10$の貸方残高を示すことができる。
【0127】
当業者であれば、動的なプライシングおよび/またはイベント毎のプライシングを含む実施形態はCSAの雇用およびトレーニングにおけるフレキシビリティおよび効率を提供できることが分かる。例えば、そのような実施形態はCSAに最適な回数のトレーニングを終えることを推奨することができる。従来の時給計算に従った支払いが行われる場合、CSAは過度に多いトレーニングまたは過度に少ないトレーニングを受ける可能性がある。殊に、CSAはコールの処理に先だって一定の期間(例えば2週間)トレーニングを受けることが考えられる。そのようなトレーニングには、(殊に「型にはめる」ルーティングシステムが使用される場合には)CSAが仕事中に自発的には発揮しない、または発揮の機会が見込まれないスキルに関するトレーニングも含まれる。
【0128】
他方では、CSAが特定のコールを進んで処理しようとするが、そのようなスキルについてのトレーニングまたは許可を受けていない場合、CSAは(最適なトレーニングレベルに比べて)トレーニング不足とされる。この事態は、トレーニングを受けて特別なスキルで働くことについての動機がCSAに与えられていない場合(CSAがコールタイプに関係なく時間給で支払いを受けている場合に起きる)、細密なルーティングに関して効果的なメカニズムが存在しない場合、または、特定のCSAの細密なスキルの検出に関して効果的なメカニズムが存在しない場合に起こりうる。
【0129】
本発明の幾つかの実施形態では、スキルの一般的な市場価格を考慮して、トレーニングを受けることが理に適っていると思わせる十分な量(また最低限の量)のトレーニングを受けさせる動機をCSAに与える。つまり、例えば特定のコールスキルを処理する資格が与えられたCSAの数が少ない場合、そのようなスキルについてのコール毎の価格は(上述のように)他のスキルに比べて高くなるであろう。そのような高い価格はそのスキルに関する資格を得るために自発的にトレーニングを受けることをCSAに促すことになる。そのスキルに関する資格を与えられたCSAが殺到すると、利用可能なコール応答の供給は増加することになり、したがってそのスキルに関するコール毎の価格は下がることになる。択一的に、過度に多くの(または十分な数の)CSAが特定のタスクを実施するためにトレーニングを受けている場合、そのタスクに関する価格は下がる可能性があり、これにより特定のタスクに関してトレーニングを受ける将来のCASの数は減少することが考えられる。
【0130】
幾つかの実施形態では、就業時間の厳格性を低減することもできる。上述のように、システムに到来するコールボリュームは、分、時、日また月の経過にわたり非常に広範に変化することが考えられる。伝統的な時間決めでの支払いシステム、すなわち時給システムでは、(実際に殺到したコールボリュームが予想されたコールボリューム上回る場合には)人員不足が発生するか、(予想されたコールボリュームが実際のコールボリュームを上回る場合には)過剰人員が発生する可能性がある。しかしながら、そのような状況をある期間、例えば次の予測周期、または次の1時間、または翌日中に調整することはできない。動的なプライシングおよび/または独立したCSAを用いるシステムでは、過剰人員の状況が価格を下げることになるので、このことは何人かのCSAに何かをしながら時間を過ごすことを推奨する。これについて、自宅または他の場所にいるCSAに関しては単純に別のタスクに移ることが考えられ、このようなことは伝統的なコールセンターでは許可または許容されないであろう。他方、人員不足の場合、CSAにはこの価格がより高い状況を利用することが推奨される。それらのCSAには価格水準または価格限度についてのEメールまたはテキスト(または他のシステム)による通知が行われる設定になっているか、CSAが自身のコンピュータまたは他の機器においてシステムとのユーザインタフェースを開いた状態で維持している場合には、CSAに高い価格を通知することができる。幾つかの実施形態では、CSA(およびエージェントノードのオペレータ)に対して比較的低い乗り換えコストを提供することができる。例えば、CSAの1つのスキルに関する価格が$5/コールである通知をCSAが受け取ったときに、CSAが自宅で勤務時間外に状況をオンライン検索するようCSAを誘導することができる。これによりCSAはログインして、その価格についての好機を利用するために自身の状態を利用可能にすることができる。
【0131】
幾つかの実施形態は、CSAの独立的および/または非伝統的なトレーニングを提供することができる。トレーニングをモジュール方式で(例えばCSAが個別に受けることができる比較的連続していない単位で)行うことができ、またユーザインタフェース(図1の参照番号111を参照されたい)または電話コネクション、もしくは両方を介して提供することができる。エージェントノードまたは他の物理的な場所においてトレーニングを提供することができる。
【0132】
上記においてはコールセンターに関連させて説明したが、当業者であれば独立したCSAの原理をより広範に適用できることが分かる。殊に、独立したCSAが契約を結ぶことができる作業単位を「コール」と表したが、単純に、通信、サービス、課業、もしくは、Eメール、チャットまたはインスタントメッセージなどによるコンタクトと表すこともできる。システム100は複数のタイプのコンタクト(例えばCSAが電話に応答し、Eメールを送信する)を実施することもできる。つまりそのようなシステムにおいては、例えばコールコントローラ102および/または電話コントローラ103を、相補的または付加的に、コールコントローラおよび電話コントローラによってコールについて実施される機能に類似する、Eメールについての機能を実施することができる「Eメールコントローラ」に置換することができる。
【0133】
図12は、コンタクトの分散を実施するシステム100’の代替的な例を示す。図12において、システム100’は到来するコンタクトボリューム1210を複数のCSA205にルーティングする。このコンテクストにおいて、コンタクトは本明細書において記載した項目、例えば電話コール、Eメール、インスタントメッセージなどのいずれかでよい。到来するコンタクトボリューム1210は複数のタイプのコンタクトを含むことができる。システム100’は到来するコンタクトボリューム1210の中から複数のコンタクトを受け取る。システム100’のルーティングおよび分散コンポーネント1220は到来するコンタクトをCSA205のリモートインタフェースに直接的に転送、ルーティング、接続することができる。システム100’およびCSAリモートインタフェース1225は、到来するコンタクトタイプに関するコネクティビティを実現するために使用される特別なハードウェアおよび/またはソフトウェアを有することができる。例えば、システム100’がEメールおよび電話コールを処理すべき場合には、ネットワーキングおよび電話ソフトウェアおよび/またはハードウェアを、ルーティングおよび分散コンポーネント1220および幾つかのCSAリモートインタフェース1225の一方または両方に含ませることができる。リモートインタフェース1225を標準化させることができるが、変更することもできる。全てのリモートインタフェースが各コンタクトタイプに関する機能を実施する必要はない。リモートインタフェース1225は、利用可能状態、利用不可能状態、また本明細書において記載した状態の幾つかまたは全てを指示することができるメカニズムをCSA205に提供することができる。リモートインタフェース1225はシステム100’と通信することができ、これによりシステム100’のコンポーネントによって提供される情報または機能をリモートインタフェース1225に伝送することができる。したがって、リモートインタフェース1225も同様に情報(例えばCSAの受諾)をシステム100’のコンポーネントに伝送することができる。
【0134】
ルーティングおよび分散コンポーネント1220をプライシングコンポーネント1230に接続することができる。プライシングコンポーネント1230は上述したようなコンタクトに関連付けられた価格および他のデータを決定することができる。つまり、例えば、プライシングコンポーネント1230は1つの特定のタイプのコンタクト(例えばインスタントメッセージ)に関する提供価格を市場情報または市場状況、例えば、非常に多数のインスタントメッセージが到来する状況などに応じて調整することができる。プライシング情報をリモートインタフェース1225にプッシュすることができる。
【0135】
収益コンポーネント1231は複数のコンポーネントおよびリモートインタフェース1225からの情報、例えばプライシングおよび受諾情報を追跡、利用もしくは処理することができる。フィードバックコンポーネント1232をルーティングおよび分散コンポーネント1220、リモートインタフェース1225または他のコンポーネントに情報を提供するために使用することができる。フィードバックを顧客のルーティングに利用することができる(例えば、顧客が前もってCSAに対して肯定的なフィードバックを残していた場合、その顧客が後続のコールにおいてそのCSAに再びルーティングされる可能性がより高くなる)。
【0136】
トレーニングコンポーネント1233も同様に情報を利用し、また提供することができる。例えば、トレーニングコンポーネント1233はトレーニング情報をプライシングコンポーネント1233に提供することができ、このトレーニング情報を特定のCASスキルの供給の決定に利用することができる。トレーニングコンポーネントは情報を受け取り、これによりどのCSAが特定の単位のトレーニングからの利益を必要としているか、利益を得るか、または利益を得そうであるかを計算することができる。トレーニングコンポーネントは特定のCSA205にそのCSA205に属するリモートインタフェース1225を介して直接的にトレーニングを提供することができる。
【0137】
図12のシステム100’のオペレーションの例として、到来するコンタクトボリュームは特定のユーザからのEメールを含むものとする。プライシングコンポーネントは、この特定のユーザおよびコンタクトタイプおよびスキルに関するEメール応答の一般的なレートは2$であると決定することができる。情報をリモートインタフェース1225にプッシュすることができ、CSAは$2/EメールでEメールに応答するために自身は「利用可能である」か否かを決定することができる。したがって、ルーティングおよび分散コンポーネント1220は$2/Eメールを受諾しようとするCSAの中から1人のCSAを選択することができる。
【0138】
ルーティングおよび分散コンポーネント1220は、例えばリモートインタフェース1225の表示装置上に表示されるべきEメールの同様のバージョンが生じることによって、選択されたCSA205のリモートインタフェース1225にEメールを送信(さもなければ配布)することができる。
【0139】
コンタクトの終了時に(もっとも他の時間トリガおよびイベントトリガも考えられる)、収益、フィードバックおよびトレーニングについての情報を形成することができる。CSA205に$2を振り込むことができ、ユーザはフィードバックを問い合せることができ、(また必要に応じてこのフィードバックに基づいて)CSA205に特定のトレーニングを受けるよう提案することができる。
【0140】
その後ユーザはシステム100’と、以前のコンタクトタイプとは異なるタイプであることが考えられる別のコンタクトを取ることも考えられる。したがって、例えば、ユーザはインスタントメッセージを介してシステムとコンタクトを取ることが考えられる。ここで、ルーティングおよび分散コンポーネント1220は、最初のEメールを処理したCSAと同一のCSA205にユーザのメッセージをルーティングするために、それぞれのコンポーネント1232および1233によって提供されたフィードバックおよびトレーニング情報を利用することができる。
【0141】
図12は、システム100’内に包含させることができるコンポーネントの内の一部のみを示している。多くの付加的なコンポーネント、例えば異なるタイプのコンタクトのためのコントローラ、CRM、測定指標サービスなどを含ませることができる。さらには、本明細書において記載したような各コンポーネントに属する機能を他のコンポーネントに伝送することができるか、そのような機能を共有することができる。本明細書においては「コール」または「コンタクト」と記述していることが多い、システムによってルーティングされる作業単位は通信に制限されるものではない。システム100’はパーティー間の通信を要求しない分散ユニットまたはオブジェクトにも適している。つまり、例えば、システム100’は雑用およびタスク(例えば印刷要求、調査要求、会計報告および物理的な構築要求)、追跡調査、遅れが生じているインタラクションなどを分散させることができる。そのような場合、システム100’はサービスレベルおよび品質期待値を維持および遵守するためのメカニズムを提供するという利点をもたらすことができる。
【0142】
測定指標
図1に示されているように、コールコントローラサービス102(およびシステム100の他の構成要素)は、コール、顧客、CSAなどに関する測定指標の記憶も検索も行う測定指標サービス104を使用することができる。そのような統計量を収集し、分析し、および/または、表示することができ、正当な許可が与えられている人間はそれらをビューすることができる。
【0143】
表示および分類を目的として、測定指標をリアルタイム統計量と履歴統計量に分類することができる。この区別は表示の形式設定を目的とした場合に重要な役割を果たす。リアルタイム統計量は、単一のデータポイント、一般的には「現在」値のみを有する統計量として規定される。これに対し、履歴統計量は時間(例えば、数分の期間、30分の期間、数日または不定の期間)にわたる範囲の値のセットを有する。多くの場合、リアルタイム統計量はシステムの目下の状態、例えばキューにおけるコールの数、利用可能なCSAの数などを反映する。しかしながら、幾つかの「リアルタイム」統計量は履歴情報を含む。例えば「目下の」SLを他のリアルタイム統計量と共に表示することができ、またこのSLはそのコンテクストにおいて、当日における(その時点までの)全てのコール(またはSL計算において使用されたいずれかのコール)に関するサービスレベルを意味する。
【0144】
システム100、例えばCRM101はCMSを基礎とするウェブページを提供することができ、このウェブページにおいて(正当な許可が与えられている)人々はリアルタイムデータを検索することができる。幾つかの実施形態は、各エージェントノードに関するデータをビューすることができるユーザを制限することができる。例えば、カスタマーサービス課出身の人は全てのエージェントノードに関するリアルタイムデータをビューすることができるが、外部のエージェントノードは自身のオペレーションに関するデータをビューするためのアクセスしかできない。リアルタイム測定指標は種々のやり方で「ロールアップ」(結合および/または統合)することができ、また位置、チームおよびスキルの適切な組み合わせを反映することができる。サンプルデータが図7に示されている。この図7には、位置(上側半分、参照番号701)およびスキル(下側半分、参照番号702)によって編成されたリアルタイムデータを示す。これらの図面は例示的なものに過ぎず、また本発明の範囲から逸脱することなく種々に変更することができる。測定指標サーバ(図1,参照番号104)は、(1)企業;(2)所定の位置;および/または(3)チームを含む種々の編成レベルにおけるデータのビューを提供することもできる。これらのビュー(企業、位置、チーム)はそれぞれ、例えばサブグループおよび/またはスキルによって生じる同様の統計量を提供することができる。
【0145】
図8は、測定指標サービス104によって保存またはレポートすることができる、幾つかの統計量の名前および記述の表を示す。この表は強制的なもの、または排他的なものを意図しているのではない。さらに幾つかの実施形態は個々のCSAに関する詳細な統計量を保存およびレポートすることができる。保存または計算することができる、したがってユーザに表示するために選択することができる幾つかの情報は以下の情報を含む:
CSAログイン:CSAのログインまたはID。
CSA名:CSAの姓名。
CSA内線:CSAの内線番号または電話番号。
目下の状態:CSAの目下の状態、必要に応じてキューも含まれる。
状態継続時間:CSAがその状態にある合計時間。
融合タイプ:CSAの融合タイプ。以下のタイプの内の1つでよい:(1)最も古いコール;(2)順番通りのキューの選択;または(3)ハイブリッド。
スキル:CSAが処理できる全てのスキルのリスト。
【0146】
測定指標サービス104は、種々の状態における時間閾値を超えたCSAを識別するための機能を提供することもできる。これは、例えば何らかの条件が度を超え強調されているCSA、Eメールを送信する適切なマネージャによって達成することができる。幾つかの実施形態は、異なるCSA状態に対して異なる閾値を提供することによって、または複数の閾値(例えば「警告」および「危険」)を提供することによって、この機能を部分的に実施することができる。幾つかの実施形態は、例えばスキルタイプ、位置またはCSAの経験などによって閾値を動的に変更することができる。択一的に、静的な「万能(one-size-fits-all)」アプローチを利用することができる。
【0147】
履歴統計量を一般的に、特定の期間にわたるログにアクセスすることによって計算することができる。履歴統計量は、システム100において今現在何が起きているかを反映することができない。リアルタイムデータを用いる場合のように、許可されたユーザには履歴データの種々のビューを表示することができる。履歴データをビューさせるための判定基準の例はサービスレベル、コール数、種々の状態で過ごしたCSA時間、平均時間のようなコール測定指標などが含まれるが、これらに制限されるものではない。
【0148】
図9に示されているように、履歴データのビューはエージェントノード204と個々のCSAに関する以下のものを各々含んでいてもよい:受け取ったコール数901、平均サービスレベル902、平均保留時間、平均通話時間903、他の状態に関する平均時間(例えば904)および平均放棄時間905(すなわちCSAによって応答されることなく顧客が「電話を切った」平均時間)など。ビューをエージェントノード906、日時907または他のいずれかのカテゴリ毎に記憶することができる。カテゴリを一般的に開く(参照番号908を参照されたい)ことができ、カテゴリは履歴情報(例えばエージェントノードに属するCSA)から成る。図10に示されているように、幾つかの実施形態は、ビューアが特定のエンティティに関するより詳細な結果をビューするために個々のCSA(または他のカテゴリにおける他のエントリ)を選択することができる。
【0149】
図11A図11Cは、測定指標サービス104によって計算することができる幾つかの統計量を表の形で示したものである。このリストは排他的なものではない。列の先頭の「統合タイプ」1101は非排他的なカテゴリを表し、このカテゴリの下において特定の統計量を統合または結合することができる。「スキルロールアップ」1102は非排他的なスキルグループ分けを表し、このカテゴリの下において所定の統計量を統合することができる。「インターバルロールアップ」1103は非排他的な例示的な期間を表し、このカテゴリの下において統計量を統合することができる。これらの列におけるデータは見易くするために限定されたものと解される。当業者であれば、ここに示していない多数の代替的なデータも考えられることが分かる。
【0150】
測定指標をシステムによって収集することができ、また、例えば管理者による使用のために出力することができる。例えば、希望のコンタクトまたは容易に応答できる(easy-to-answer)コンタクトのCSAによるチェリーピッキングを発見または緩和するために特定のコンタクトに関する放棄率を利用することができる。幾つかの実施形態においては、あるコンタクトが特定のCSAのスキルレベルを超えている場合、コンタクトについての属性の追加によってCSAを補うことができる、および/または、CSAはコンタクトを適切にルーティングさせることができる。
【0151】
フォールトトレランス
幾つかの実施形態を、特定のシステムコンポーネントが利用不可能な状況に直面した際にロバストであるよう設計することができる。例えば、幾つかの実施形態は、システム100内の障害およびシステム100の障害(またCSA利用可能性情報に関して、情報システムが依存している基礎をなすサービス、例えばネットワーキングおよびプロキシサーバの障害)に耐性があるよう設計することができる。CRMアクセスを妨げるネットワーキングの問題が存在する場合、耐性のないシステムはコールを受け取るためにどのCSAが利用可能であるかを知ることはできない。したがって幾つかの実施形態は、CSAが顧客からのコールを受け取るために利用可能であることをシステムに知らせるためにCRMシステムを使用することができない場合には、CSAがコールすることができるIVRアプリケーションを含むことができる。CSAの電話システムがコールを行うことができるときは何時でも、IVRアプリケーションを利用することができる。
【0152】
別の例として、システム100およびそのコンポーネントを可能な限り高度に利用できるように幾つかの実施形態を設計することができる。幾つかの実施形態は、部分的に、システム100およびそのコンポーネントを可能な限り簡潔に設計することによってこの問題に取り組むことができる。これにより、機能停止の最も一般的な原因として考えられるソフトウェアの問題を最小にすることができる。この設計の追究において、システム内のハードウェア、ソフトウェアまたはネットワーキングの障害が常に存在するような場合には、機能を短時間停止させることも考えられる。この問題に取り組むために、幾つかの実施形態は主たるシステム100に障害が発生した場合に、その機能を引き継ぐことができるウォームスタンバイシステムを含むことができる。幾つかの実施形態は、主たるシステムに1〜2分の障害が発生した場合には、ウォームスタンバイシステムを主たるシステムに置き換えることができる。この間、コールは繋がらない可能性がある。択一的には、システムをバックアップに移行させている間、コールを途絶えさせず、またはコールを切断させずに、顧客は通常よりも少し長く単純に保留状態で待機させられる。
【0153】
ネットワークの機能停止の処理
幾つかのケースにおいては、システム100が到来するいずれのコールも処理しないことを選択することができる。例えば、キーサービスにアクセスすることができず、またシステムが顧客はCSAのヘルプを受けられないことを知る場合、サービス機能が復帰するまでの期間は、単純に、到来する顧客コールを処理しないことは有利である。
【0154】
幾つかの実施形態はユーザインタフェースを提供することができ、このインタフェースにおいて管理者は(場合によっては選択されたスキルに関して)保留中の顧客とのコネクションを切断することができ、新たな顧客とのコネクションの確立を阻止することができる。幾つかの実施形態では、選択されたスキルに関して保留中の各顧客に対してメディアメッセージを再生し、その後に顧客とのコネクションを切断することができる。いずれのコールも受諾しないように構成されているスキルについてコールを行った新たな顧客の各々に対して、幾つかの実施形態ではメディアメッセージを再生し、続いて顧客とのコネクションを切断することができる。幾つかの実施形態においては、このスキルを処理するCSAと今現在接続されているコールは切断されない(場合によっては、CSAは必要に応じて単純に電話を切ることができるため)。セキュリティおよび監査に関する予防措置として、システム100はEメール通知を特定のEメールリストに送信することができ、これは誰かがこの機能に従事しているときには何時でも行われ、場合によっては、この状態を使用可能な管理者のログインも、(管理者が与えた)この動作を行うための理由も捕捉することができる。
【0155】
エージェントノードの停止
幾つかの実施形態は、エージェントノード204を停止させるオプションを提供し、このオプションではコールがエージェントノードにルーティングされない。このアクションが実施されると、(1つまたは全ての)スキルもエージェントノードも特定することができる。択一的に、1つのエージェントノードにおいて問題が発生している場合、CSAには単純にコールを要求しないことを指示することができ、続いてシステムはそれらのCSAにコールをルーティングしなくなる。
【0156】
エージェントノードの停止はノード固有のキューへのあらゆるコールの到来を阻止することができるので、それらのコールは即座にそれらを受け取ることができるエージェントノードにルーティングすることができる(この際に、最初にプライオリティキューに移されることは必要ない)。
【0157】
結論
条件を表す記述、例えば、とりわけ「可能である」、「可能性がある」、「であろう」または「できる」は、別個の記載が無い限り、もしくは使用されているコンテクスト内で理解される限り、一般的に特定の実施形態は特定の特徴、構成要素および/またはステップを含むが、他の実施形態はそれらの特定の特徴、構成要素および/またはステップを含まないことを意味する。したがってそのような条件を表す言葉は、特徴、構成要素および/またはステップが1つまたは複数の実施形態にいずれにせよ必要とされること、または1つまたは複数の実施形態が、ユーザ入力またはプロンプトの使用の有無に拘らず、それらの特徴、構成要素および/またはステップがいずれかの特定の実施形態に含まれるか否か、またはいずれかの特定の実施形態において実施されるべきか否かを決定するためのロジックを含んでいなければならないことを意味しているのではない。
【0158】
本明細書において説明した、および/または、添付の図面に示したフローチャートにおけるあらゆるプロセスの説明、構成要素またはブロックは、プロセスにおける特定の論理的な機能またはステップを実施するための1つまたは複数の実行可能な命令を含むコードモジュール、コードセグメントまたはコード部分を潜在的に表すものと解されるべきである。当業者であれば分かるように、択一的な実施形態は、そこに含まれる機能に依存して構成要素または機能を削除することができるか、(実施的に同時の実施または反対の順序での実行も含めて)図示または説明した順序とは異なる順序で実行することができる、本明細書において説明した実施形態の範囲に含まれる。
【0159】
上記の実施形態についての種々のヴァリエーションおよび修正形態が考えられ、それらの構成要素は他の許容される実施例に含まれると解するべきである。そのような全ての修正形態およびヴァリエーションは本願明細書の範囲に含まれ、添付の特許請求の範囲に記載された発明によって保護されることが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12