【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1に係る弾性波デバイスの断面図である。
図1に示すように、圧電基板10の上面に弾性波共振器20、配線34およびパッド35が設けられている圧電基板10の下面には端子30が設けられている。端子30は例えばフットパッドである。圧電基板10を貫通するビア配線32が設けられている。ビア配線32は、端子30とパッド35とを電気的に接続する。圧電基板40の下面には弾性波共振器42、配線44およびパッド45が設けられている。圧電基板10と40との間にはバンプ36および環状封止部38が設けられている。バンプ36はパッド35と45とを電気的に接続する。環状封止部38は弾性波共振器20および42を囲むように設けられ、弾性波共振器20および42を空隙25に封止する。弾性波共振器20と42とは空隙25を介し対向している。
【0018】
圧電基板10および40は、例えばタンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板である。端子30、ビア配線32並びにパッド35および45は、例えば銅層、アルミニウム層または金層等の金属層である。バンプ36は、例えば金バンプ、銅バンプまたは半田バンプである。環状封止部38は、金層、銅層または半田層等の金属層、または樹脂層等の絶縁層である。
【0019】
図2(a)は、実施例1における弾性波共振器の平面図、
図2(b)は、
図2(a)のA−A断面図である。
図2(a)および
図2(b)に示すように、圧電基板10または40上にIDT21および反射器22形成されている。IDT21および反射器22は、圧電基板10または40上に形成された金属膜12により形成される。IDT21は、対向する一対の櫛型電極18を備える。櫛型電極18は、複数の電極指14と、複数の電極指14が接続されたバスバー16を備える。一対の櫛型電極18は、電極指14がほぼ互い違いとなるように、対向して設けられている。
【0020】
電極指14が励振する弾性波は、主に電極指14の配列方向に伝搬する。電極指14の周期がほぼ弾性波の波長λとなる。弾性波の伝搬方向をX方向、伝搬方向に直交する方向(すなわち電極指14の延伸方向)をY方向とする。X方向およびY方向は、圧電基板10の結晶方位のX軸方向およびY軸方向とは必ずしも対応しない。圧電基板10または40として回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板を用いる場合、X方向は結晶方位のX軸方向となる。金属膜12は、例えばアルミニウム膜または銅膜である。一対の櫛型電極18の電極指14が重なる開口長を長くすると、電極指14の抵抗が高くなる。このため、IDT21は、Y方向を短くし、X方向を長くする。また、反射器22はIDT21のX方向の両側に設けられている。これらにより、弾性波共振器20および42は、平面視においてX方向に延伸する辺が長辺およびY方向に延伸する辺が短辺となる長方形となる。
【0021】
図3は、実施例1における圧電基板10の上面の平面図である。
図3に示すように、圧電基板10の外縁に環状封止部38が設けられている。圧電基板10の上面には複数の弾性波共振器20が設けられている。弾性波共振器20が励振する弾性波の伝搬方向(電極指の配列方向)がX1方向であり、弾性波共振器20の電極指の延伸方向がY1方向である。弾性波共振器20は、X1方向が長辺およびY1方向が短辺となる長方形状を有している。複数の弾性波共振器20同士は配線34により電気的に接続されている。弾性波共振器20とパッド35とは配線34により電気的に接続されている。パッド35上にはバンプ36が設けられ、パッド35下にはビア配線32が設けられている。
【0022】
パッド35として、共通パッドPa1、送信パッドPt1、受信パッドPr1およびグランドパッドPg1が設けられている。共通パッドPa1と送信パッドPt1との間に複数の直列共振器S11からS15が配線34を介し直列に接続されている、共通パッドPa1と送信パッドPt1との間に1または複数の並列共振器P11からP13が配線34を介し並列に接続されている。このように、圧電基板10の上面にラダー型フィルタである送信フィルタ50が設けられている。圧電基板10の上面において受信パッドPr1は弾性波共振器20には電気的に接続されていない。
【0023】
図4は、実施例1における圧電基板10の下面の平面図である。理解し易いように、
図4は圧電基板10の上面から透視した平面図である。
図4に示すよう、圧電基板10の下面に端子30が設けられている。端子30として共通端子Ant、送信端子Tx、受信端子Rxおよびグランド端子Gndが設けられている。共通端子Ant、送信端子Tx、受信端子Rxおよびグランド端子Gndはビア配線32を介し
図3の共通パッドPa1、送信パッドPt1、受信パッドPr1およびグランドパッドPg1に電気的に接続されている。
【0024】
図5は、実施例1における圧電基板40の下面の平面図である。理解し易いように、
図5は圧電基板40の上面から透視した平面図である。
図5に示すように、圧電基板40の外縁に環状封止部38が設けられている。圧電基板40の下面には複数の弾性波共振器42が設けられている。弾性波共振器42が励振する弾性波の伝搬方向がX2方向であり、弾性波共振器42の電極指の延伸方向がY2方向である。弾性波共振器42は、X2方向が長辺およびY2方向が短辺となる長方形状を有している。複数の弾性波共振器42同士は配線44により電気的に接続されている。弾性波共振器42とパッド45とは配線44より電気的に接続されている。
【0025】
パッド45下にはバンプ36が設けられている。パッド45として、共通パッドPa2、受信パッドPr2およびグランドパッドPg2が設けられている。共通パッドPa2と受信パッドPr2との間に複数の直列共振器S21からS25が配線44を介し直列に接続されている、共通パッドPa2と受信パッドPr2との間に1または複数の並列共振器P21からP23が配線44を介し並列に接続されている。このように、圧電基板40の下面にラダー型フィルタである受信フィルタ52が設けられている。共通パッドPa2、受信パッドPr2およびグランドパッドPg2は、それぞれ圧電基板10の上面に設けられた共通パッドPa1、受信パッドPr1およびグランドパッドPg1を介し共通端子Ant、受信端子Rxおよびグランド端子Gndに電気的に接続されている。
【0026】
図6は、実施例1における弾性波共振器を重ねた平面図である。
図6において、弾性波共振器20を実線、弾性波共振器42を破線で示す。弾性波共振器20と42の重なる領域54をクロスハッチで示す。
図6に示すように、弾性波共振器20の弾性波の伝搬方向X1と弾性波共振器42の弾性波の伝搬方向X2とは平面視においてほぼ直交している。弾性波共振器20の電極指の延伸方向Y1と弾性波共振器42の電極指の延伸方向Y2とはほぼ直交している。
【0027】
図7は、比較例1における弾性波共振器を重ねた平面図である。
図7に示すように、比較例1では、弾性波共振器20の弾性波の伝搬方向X1と弾性波共振器42の弾性波の伝搬方向X2とはほぼ平行である。弾性波共振器20の電極指の延伸方向Y1と弾性波共振器42の電極指の延伸方向Y2とはほぼ平行である。弾性波共振器20の配置は、実施例1と同じである。実施例1とほぼ同程度の面積の弾性波共振器42を、実施例1とほぼ同様の配置になるようにレイアウトしている。
【0028】
図6と
図7とを比較すると、平面視における弾性波共振器20と42との重なる領域54の面積は、実施例1は比較例1に比べ数10%減少している。弾性波共振器20と42とを空隙25を介し
対向させた場合、弾性波共振器20と42との距離はほぼバンプ36の高さであり、10μm程度である。領域54の面積が大きいと、空隙25を介した弾性波共振器20と42との間の寄生容量が増加する。このため、弾性波共振器20を伝搬する高周波信号と弾性波共振器42を伝搬する高周波信号とが干渉し、アイソレーション特性が劣化する。実施例1では、比較例1に比べ領域54の面積が小さく、アイソレーション特性が向上する。なお、弾性波共振器20と42の重なる領域54について説明したが、配線34と44との重なる面積についても同様である。
【0029】
弾性波共振器20と42とのなす角度が任意の場合について説明する。
図8(a)は、弾性波共振器を示す図、
図8(b)は、角度θに対する重なり面積を示す図である。
図8(a)に示すように、弾性波共振器20および42の面積を10μm×100μmとし、平面視における弾性波共振器20と42のなす角度θを変え重なる領域54の面積を算出した。領域54の面積は、1/cos(90°−θ)で近似できる。
【0030】
図8(b)に示すように、領域54の面積は角度θが0から大きくなると急激に小さくなり、角度θが30°以上でほぼ一定となる。弾性波共振器20および42が各々複数設けられている場合、
図8(a)のように単純ではないが、角度θに対する領域54の面積の関係の傾向は
図8(b)と同様と考えられる。
【0031】
電極指14のピッチに比べ弾性波共振器20と42との距離が大きい場合、電極指14の1本ごとの重なりより、弾性波共振器20と42との全体としての重なりが主に寄生容量に影響する。よって、弾性波共振器20と42との重なる領域54の面積が弾性波共振器20と42との間の寄生容量に比例する。電極指14のピッチに比べ弾性波共振器20と42との距離が小さい場合、電極指14の1本ごとの重なりも寄生容量に影響する。この場合の寄生容量の算出はより複雑になるが、弾性波共振器20と42の電極指14同士の重なる面積を小さくするため、弾性波共振器20と42の電極指14は非平行であることが好ましい。
【0032】
図9は、実施例1の変形例1に係る弾性波共振器を重ねた平面図である。
図9に示すように、弾性波共振器20の弾性波の伝搬方向X1と弾性波共振器42の弾性波の伝搬方向X2とのなす角度はほぼ30°である。弾性波共振器20の電極指の延伸方向Y1と弾性波共振器42の電極指の延伸方向Y2とのなす角度はほぼ30°である。実施例1の変形例1のように、方向X1とX2(すなわち方向Y1とY2)は傾斜していてもよい。
【0033】
実施例1およびその変形例によれば、
図1のように、弾性波共振器20(第1IDT)が圧電基板10(第1圧電基板)の上面(第1面)に設けられている。弾性波共振器42(第2IDT)は圧電基板40(第2圧電基板)の下面(第2面)に設けられている。圧電基板10の上面と圧電基板40の下面は空隙25を介し対向している。
図7および
図9のように、弾性波共振器20の電極指の延伸方向Y1と弾性波共振器42の電極指の延伸方向Y2とは非平行である。これにより、弾性波共振器20と42とが重なる面積、および/または配線34と44とが重なる面積を小さくできる。よって、弾性波共振器20と42との間の寄生容量が抑制され、アイソレーション特性が向上する。
【0034】
また、
図8(b)のように、領域54の面積を抑制するため、弾性波共振器20と42との電極指のなす角度θは30°以上かつ150°以下であることが好ましく、60°以上かつ120°以下がより好ましい。さらに、弾性波共振器20と42との電極指のなす角度θは略90°であることが好ましい。略90°は、製造工程におけるばらつきを許容する範囲であり、例えば80°以上かつ100°以下であり、89°以上かつ91°以下である。
【0035】
さらに、弾性波共振器20と42との距離が短いと、弾性波共振器20と42との間の寄生容量が大きくなる。よって、弾性波共振器20と42との距離が圧電基板10の厚さおよび圧電基板40の厚さの少なくとも一方より小さいとき、弾性波共振器20と42との電極指を非平行とすることが好ましい。弾性波共振器20と42との距離は、例えば30μm以下が好ましい。
【0036】
さらに、環状封止部38は弾性波共振器20および42を囲むように設けられ、弾性波共振器20および42を空隙25に封止する。このような構造では、空隙25を介した弾性波共振器20と42との距離が短くなる。よって、弾性波共振器20と42との電極指を非平行とすることが好ましい。
【0037】
さらに、
図3のように、圧電基板10において直列共振器S11からS15(複数の第1IDT)はY1方向に配列している。
図5のように、圧電基板40において直列共振器S21からS25(複数の第2IDT)はY2方向に配列している。このように、複数の共振器が配列していると、複数の共振器S11からS15(およびS21からS25)は一塊として長方形状となる。よって、
図8(a)および
図8(b)において説明した長方形を複数の共振器の一塊として扱うことができる。これにより、弾性波共振器20と42との電極指を非平行とすることにより、圧電基板10の上面に設けられた一塊の複数の共振器S11からS15と圧電基板40の下面に設けられた一塊の共振器S21からS25とが重なる面積を小さくできる。よって、共振器S11からS15とS21からS25との間の寄生容量を削減し、これらの間のアイソレーションを
改善できる。
【0038】
さらに、
図3のように、直列共振器S11からS15は直列に接続され、
図5のように、直列共振器S21からS25は直列に接続されている。このような構成では、複数の共振器と、これらを接続する配線と、が一塊として長方形状となる。そこで、弾性波共振器20と42との電極指を非平行とすることにより、圧電基板10の上面に設けられた一塊の複数の共振器S11からS15およびこれらを接続する配線34と圧電基板40の下面に設けられた一塊の複数の共振器S21からS25およびこれらを接続する配線44とが重なる面積を小さくできる。
【0039】
さらに、送信フィルタ50および受信フィルタ52がそれぞれ圧電基板10および40上に設けられている。送信フィルタ50は、ラダー型フィルタであり、複数の直列共振器S11からS15(第1直列共振器)および並列共振器P11からP13(第1並列共振器)を有している。受信フィルタ52は、ラダー型フィルタ(であり、複数の直列共振器S21からS25(第2直列共振器)および並列共振器P21からP23(第2並列共振器)を有している。ラダー型フィルタの直列共振器を効率よくレイアウトしようとすると、直列共振器は電極指の延伸方向に配列することになる。このとき、複数の直列共振器とこれらを接続する配線が一塊として長方形状となる。よって、
図3のように、弾性波共振器20と42との電極指を非平行とする。これにより、圧電基板10の上面に設けられた直列共振器S11からS15およびこれらを接続する配線34と圧電基板40の下面に設けられた直列共振器S21からS25およびこれらを接続する配線44とが重なる面積を小さくできる。よって、送信フィルタ50と受信フィルタ52との間の寄生容量を削減し、これらの間のアイソレーションを
改善できる。
【0040】
共振端子Antと送信端子Txとの間に接続された送信フィルタ50と共通端子Antと受信端子Rxとの間に接続された受信フィルタ52とを有するデュプレクサを例に説明した。デュプレクサでは、送信端子Txから受信端子Rxへの送信信号の漏洩が問題となる。実施例1では、送信端子Txから受信端子Rxへのアイソレーション特性を改善できる。
【0041】
送信フィルタ50および受信フィルタ52を例に説明したが、基板10および基板
40に設けられたフィルタは送信フィルタおよび受信フィルタでなく、それぞれ入力端子と出力端子との間に接続されたラダー型フィルタでもよい。例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)方式の送信帯域と受信帯域とは重ならない。このように、フィルタの通過帯域が異なる場合(例えば通過帯域の中心周波数が異なる場合、または通過帯域が重ならない場合)、フィルタ間のアイソレーション特性が問題となる。よって、弾性波共振器20と42との電極指を非平行とすることが好ましい。また、フィルタは多重モードフィルタでもよい。