(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、持ち運び可能なノート型のPC(Personal Computer)等といった端末装置を、例えばエレベータのメンテナンスの現場および事務所で使用する場合、以下のように運用されている。
【0003】
すなわち、利用者が、端末装置の起動後に使用場所に合わせて手動でネットワーク設定(LAN(Local Area Network)設定)を切り替えている。具体的には、現場でのネットワークは、構成簡略化のためにDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバを置かず、固定IPアドレスで運用する。そこで、利用者は、現場で端末装置を使用する場合には、LAN設定を固定IPアドレスに設定し、事務所で端末装置を使用する場合には、LAN設定をDHCPに設定する。
【0004】
一方、利用者が現場から持ち帰った端末装置は、LANケーブルに接続され、電源オフ状態で事務所に保管される。また、IT管理者が、夜間等に、保管された端末装置をリモート管理装置からリモート起動し、リモートデスクトップ接続により端末装置の設定変更、S/W(Software)の更新作業等を行う場合がある。
【0005】
しかしながら、上記のように運用される場合、端末装置のネットワーク設定は、利用者が手動で切り替えているので、LAN設定が現場設定から事務所設定に戻されず、現場設定のままになっている場合には、リモート起動後にリモートデスクトップ接続をすることができず、IT管理者が端末装置の設定変更等を行うことができない。
【0006】
つまり、リモート起動は、例えばWake on LANやAMT(Active Management Technology)リモート管理により行うことができるが、リモート起動が成功しても、リモートデスクトップ接続は、OS(Operating System)の管理で動作するので、OSへのネットワーク設定が適切に行われている必要がある。
【0007】
そこで、上記の問題点を解決するための技術として、端末装置のネットワーク設定が現場設定のまま事務所LANに接続されて電源オフ状態で保管された場合でも、リモート管理装置から端末装置にリモートデスクトップ接続することのできるネットワークシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるネットワークシステムを、好適な実施の形態にしたがって図面を用いて説明する。なお、図面の説明においては、同一部分または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるネットワークシステムを示すブロック構成図である。
図1において、このネットワークシステムは、リモート管理装置10と、リモートデスクトップ接続によりリモート管理装置10と接続される端末装置20と、端末装置20によってアクセスされる配信サーバ30とから構成されている。
【0017】
リモート管理装置10は、端末装置20をリモート起動する、すなわち、端末装置20を休止状態から活動状態にする。また、リモート管理装置10は、リモート起動された複数の端末装置20に対して同一の全体データを配信する。なお、ここでいう全体データとは、複数の端末装置20に向けて配信する共通のデータを意味し、例えば、更新ファイル等が挙げられる。
【0018】
端末装置20は、操作されることにより、電源オンでOSが稼働している状態である活動状態と、ソフトウエアによる電源オフ(ただし一部デバイスへの給電あり)でOSが非稼働の状態である休止状態とに切り替わるようになっている。
【0019】
端末装置20は、端末装置20の状態が活動状態のときにのみ動作する活動状態動作部21(OS)と、端末装置20が活動状態であるか休止状態であるかに関係なく動作する定常動作部22とを有している。
【0020】
定常動作部22には、端末装置20の活動状態および休止状態で動作する不揮発メモリである端末装置用記憶部23が設けられている。また、端末装置用記憶部23には、個人情報が書き込まれている。なお、ここでいう個人情報とは、端末装置20の使用者個人を特定するための情報を意味し、例えば、マンナンバ、パスワード等が挙げられる。
【0021】
このように、端末装置20は、個人情報が書き込まれている端末装置用記憶部23を備えて構成されている。
【0022】
ここで、端末装置用記憶部23への個人情報の書き込み手順の一例について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における端末装置用記憶部23への個人情報の書き込み手順の一例を示すフローチャートである。なお、
図2のフローチャートは、リモート管理装置10を操作することで特定のWeb画面がオープンになった場合に実行される。
【0023】
ステップS11において、リモート管理装置10を操作することで、リモート管理装置10のWeb画面にて個人情報を入力し、処理がステップS12へと進む。
【0024】
ステップS12において、リモート管理装置10を操作することで、リモート管理装置10のWeb画面にて、ステップS11で入力された個人情報を書き込む対象の端末装置20を指定し、処理がステップS13へと進む。
【0025】
ステップS13において、リモート管理装置10は、ステップS11で入力された個人情報を、その端末装置20の端末装置用記憶部23に書き込み、一連の処理が終了する。
【0026】
図2に示すとおり、一例として、端末装置20の端末装置用記憶部23への個人情報の書き込みは、リモート管理装置10側から行われる。
【0027】
続いて、端末装置用記憶部23への個人情報の書き込み手順の別例について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、本発明の実施の形態1における端末装置用記憶部23への個人情報の書き込み手順の別例を示すフローチャートである。なお、
図3のフローチャートは、端末装置20を操作することで活動状態動作部21が起動した場合に実行される。
【0028】
ステップS21において、端末装置20を操作することで、端末装置20に個人情報を入力し、処理がステップS22へと進む。
【0029】
ステップS22において、端末装置20は、ステップS21で入力された個人情報を、端末装置用記憶部23に書き込み、一連の処理が終了する。
【0030】
図3に示すとおり、別例として、端末装置20の端末装置用記憶部23への個人情報の書き込みは、端末装置20側から行われる。
【0031】
図1の説明に戻り、活動状態動作部21は、リモート管理装置10によって休止状態から活動状態にされた場合、個人情報を端末装置用記憶部23から読み出して、その個人情報を配信サーバ30へ送信する。
【0032】
配信サーバ30は、配信サーバ用記憶部31を有している。配信サーバ用記憶部31には、個別データが個人情報と関連付けられて書き込まれている。配信サーバ30は、端末装置20からのアクセスに応答して、端末装置20から受信した個人情報に対応する個別データを配信サーバ用記憶部31から読み出して、その個別データを端末装置20へ配信する。なお、ここでいう個別データとは、端末装置20の使用者個人に紐付くようなデータを意味し、例えば、使用者個人に固有の編成表のデータ等が挙げられる。
【0033】
このように、配信サーバ30は、個別データが個人情報と関連付けられて書き込まれている配信サーバ用記憶部31を備えて構成されている。
【0034】
なお、
図1では、リモート管理装置10と配信サーバ30とを別個に設ける場合を例示しているが、これに限定されず、リモート管理装置10内に配信サーバ30を設けてもよい、すなわち、リモート管理装置10に配信サーバ30の機能を組み込んでもよい。
【0035】
また、本実施の形態1におけるネットワークシステムにおいては、特許文献1に記載の従来技術と同様の機能として、活動状態動作部21が、端末装置20のネットワーク設定をリモート用ネットワーク設定としての事務所LAN設定にする機能が具備されている。当該機能については、特許文献1において詳述されているので、以下、当該機能について簡潔に説明する。
【0036】
ここで、端末装置20は、休止状態であり、端末装置20のネットワーク設定が現場設定または事務所設定のいずれかになっており、このままでは、リモート管理装置10が端末装置20を活動状態にしても、事務所LANでリモート管理装置10と接続できない可能性がある。
【0037】
そこで、リモート管理装置10は、端末装置用記憶部23に事務所LAN設定を書き込んだ後に、端末装置20を活動状態にする。また、活動状態動作部21は、起動する際に、端末装置用記憶部23から事務所LAN設定を読み出して、読み出した事務所LAN設定を端末装置20のネットワーク設定として設定する。
【0038】
このように、リモート管理装置10は、端末装置用記憶部23にリモート用ネットワーク設定を書き込んだ後、端末装置20を休止状態から活動状態にする。また、端末装置20は、休止状態から活動状態へ移行する際、リモート用ネットワーク設定を端末装置用記憶部23から読み出して、そのリモート用ネットワーク設定を端末装置20のネットワーク設定として設定する。
【0039】
上記のように構成することで、端末装置20のネットワーク設定が現場設定のまま事務所LANに接続されて休止状態で保管された場合であっても、リモート管理装置10が端末装置20を活動状態にしたときに、事務所LANでリモート管理装置10と接続することができる。
【0040】
次に、本実施の形態1におけるネットワークシステムの一連の動作について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本発明の実施の形態1におけるネットワークシステムの一連の動作を示すフローチャートである。なお、
図4のフローチャートは、リモート管理装置10によって、端末装置20が休止状態から活動状態にされた場合に実行される。
【0041】
ステップS31において、端末装置20は、端末装置用記憶部23からリモート用ネットワーク設定を読み出し、処理がステップS32へと進む。
【0042】
ステップS32において、端末装置20は、ステップS31で読み出したリモート用ネットワーク設定を、端末装置20のネットワークとして設定し、処理がステップS33へと進む。
【0043】
ステップS33において、端末装置20は、リモート管理装置10から全体データを受信し、処理がステップS34へと進む。
【0044】
ステップS34において、端末装置20は、端末装置用記憶部23への個人情報の書き込みの有無を判断する。ステップS34において、端末装置用記憶部23に個人情報の書き込みが有る(すなわち、YES)と判断された場合には、処理がステップS35へと進み、端末装置用記憶部23に個人情報の書き込みが無い(すなわち、NO)と判断された場合には、処理がステップS38へと進む。
【0045】
ステップS35において、端末装置20は、端末装置用記憶部23から個人情報を読み出して、その個人情報を配信サーバ30へ送信し、処理がステップS36へと進む。この場合、配信サーバ30は、端末装置20から個人情報を受信し、その個人情報に対応する個別データを配信サーバ用記憶部31から読み出して、その個人情報に対応する端末装置20へその個別データを配信する。
【0046】
このように、端末装置20は、リモート管理装置10によって休止状態から活動状態にされた場合、個人情報を端末装置用記憶部23から読み出して配信サーバ30へ送信する。また、配信サーバ30は、端末装置20から受信した個人情報に対応する個別データを配信サーバ用記憶部31から読み出して端末装置20へ配信する。
【0047】
ステップS36において、端末装置20は、配信サーバ30から個別データを受信し、処理がステップS37へと進む。
【0048】
ステップS37において、端末装置20は、端末装置用記憶部23から個人情報を削除し、処理がステップS38へと進む。
【0049】
このように、端末装置20は、配信サーバ30から配信された個別データの受信が完了した場合、端末装置用記憶部23に書き込まれている個人情報を削除する。
【0050】
なお、
図4のフローチャートにおいて、ステップS37を設けなくてもよい。この場合、ステップS36が実行された後、処理がステップS38へと進む。
【0051】
ステップS38において、端末装置20は、リモート管理装置10へ完了信号を送信し、処理がステップS39へと進む。
【0052】
ステップS39において、端末装置20は、活動状態から休止状態へ移行し、一連の処理が終了する。
【0053】
具体的には、端末装置20は、配信サーバ30から配信された個別データの受信が完了した場合、リモート管理装置10へ完了信号を送信する。また、端末装置20は、完了信号送信後に、活動状態から休止状態にする。なお、端末装置20の活動状態から休止状態への移行は、端末装置20側から行われるように構成する場合を例示しているが、リモート管理装置10側から行われるように構成してもよい。
【0054】
以上、本実施の形態1によれば、端末装置は、リモート管理装置によって休止状態から活動状態にされた場合、個人情報を端末装置用記憶部から読み出して配信サーバへ送信し、配信サーバは、端末装置から受信した個人情報に対応する個別データを配信サーバ用記憶部から読み出して端末装置へ配信するように構成されている。
【0055】
これにより、リモート起動された端末装置の使用者個人に紐付くようなデータをその使用者の端末装置へ個別に配信することができる。また、夜間等の端末装置が使用されていない時間帯に使用者個人に紐付くデータの配信が可能となり、その結果、使用者個人が端末装置を操作することで個別データをダウンロードする場合と比べて、ダウンロードの待ち時間をなくすことができる。