(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461112
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】圧力隔離マニホールド
(51)【国際特許分類】
G01L 19/06 20060101AFI20190121BHJP
G01L 19/00 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
G01L19/06 102
G01L19/00 101
G01L19/00 B
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-517336(P2016-517336)
(86)(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公表番号】特表2016-532851(P2016-532851A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】US2014057792
(87)【国際公開番号】WO2015048500
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年7月13日
(31)【優先権主張番号】14/037,856
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】ヘツキ, ロバート シー.
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第4570677(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0178822(US,A1)
【文献】
特公昭58−29865(JP,B2)
【文献】
実開昭50−57027(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔離マニホールドであって、
マニホールド本体と、
前記マニホールド本体の第1端にて、プロセス流体が入ったプロセス容器又は導管に前記隔離マニホールドを流体的に接続する1つのプロセス接続部と、
前記マニホールド本体の第2端にて、前記隔離マニホールドを、圧力センサと、プロセス流体の検出した圧力に基づく電気信号を発生する伝送回路とを含む圧力伝送器に流体的に接続する圧力伝送器接続部と、
前記マニホールド本体を貫通して前記プロセス接続部を前記圧力伝送器接続部に流体的に接続する通路と、
前記圧力伝送器接続部から前記プロセス接続部を隔離するために、前記通路を選択的に閉塞すべく作動可能な隔離弁と、
前記隔離弁と前記圧力伝送器接続部との間にて前記通路に流体的に接続された圧力制限装置と
を具備する、隔離マニホールド。
【請求項2】
前記通路のフローインピーダンスを増加すべく前記通路内に配置された圧力緩衝器を更に具備する、請求項1に記載の隔離マニホールド。
【請求項3】
前記圧力緩衝器は焼結金属からなる多孔質のフィルタ媒体を含む、請求項2に記載の隔離マニホールド。
【請求項4】
前記圧力緩衝器は前記通路よりも小径のオリフィスでプロセス流体の流れを制限するノズルを含む、請求項2に記載の隔離マニホールド。
【請求項5】
前記隔離弁と前記圧力伝送器接続部との間にて前記流路に流体的に接続されたブリードポートを更に具備する、請求項1に記載の隔離マニホールド。
【請求項6】
前記ブリードポートに流体的に接続され、前記ブリードポートを選択的に開くべく作動可能なブリード螺子を更に具備する、請求項5に記載の隔離マニホールド。
【請求項7】
前記ブリードポートに流体的に接続され、前記ブリードポートを選択的に開くべく作動可能なブリード弁を更に具備する、請求項5に記載の隔離マニホールド。
【請求項8】
前記圧力制限装置は容積拡張補償器である、請求項1に記載の隔離マニホールド。
【請求項9】
前記圧力制限装置は圧力解放弁である、請求項1に記載の隔離マニホールド。
【請求項10】
圧力センサと、プロセス流体の検出した圧力に基づく電気信号を発生する伝送回路とを含む圧力伝送器と、
プロセス流体が入ったプロセス容器又導管に前記圧力伝送器を流体的に接続する隔離マニホールドと
を具備し、
前記隔離マニホールドは、
マニホールド本体と、
前記マニホールド本体の第1端にて、前記隔離マニホールドを前記プロセス容器又は前記導管に流体的に接続する1つのプロセス接続部と、
前記マニホールド本体の第2端にて、前記隔離マニホールドを前記圧力伝送器に流体的に接続する圧力伝送器接続部と、
前記マニホールド本体を貫通して前記プロセス接続部を前記圧力伝送器接続部に流体的に接続する通路と、 前記圧力伝送器接続部から前記プロセス接続部を隔離するために前記通路を選択的に閉塞すべく作動する隔離弁と、
前記隔離弁と前記圧力伝送器接続部との間にて前記通路に流体的に接続された圧力制限装置と
を含む、圧力測定システム。
【請求項11】
前記隔離マニホールドは、前記通路のフローインピーダンスを増加するために前記通路内に圧力緩衝器を更に含む、請求項10に記載の圧力測定システム。
【請求項12】
前記隔離マニホールドは、前記隔離弁と前記圧力伝送器接続部との間にて前記通路に流体的に接続されたブリードポートを更に含む、請求項10に記載の圧力測定システム。
【請求項13】
前記隔離マニホールドは、前記ブリードポートに流体的に接続され、前記ブリードポートを選択的に開くべく作動可能なブリード螺子を更に含む、請求項12に記載の圧力測定システム。
【請求項14】
前記隔離マニホールドは、前記ブリードポートに流体的に接続され、前記ブリードポートを選択的に開くべく作動可能なブリード弁を更に含む、請求項12に記載の圧力測定システム。
【請求項15】
前記圧力制限装置は容積拡張補償器である、請求項10に記載の圧力測定システム。
【請求項16】
前記圧力制限装置は圧力解放弁である、請求項10に記載の圧力測定システム。
【請求項17】
隔離マニホールドであって、
マニホールド本体と、
前記マニホールド本体の第1端にて、プロセス流体が入ったプロセス容器又は導管に前記隔離マニホールドを流体的に接続する1つのプロセス接続部と、
前記マニホールド本体の第2端にて、前記隔離マニホールドを、圧力センサと、プロセス流体の検出した圧力に基づく電気信号を発生する伝送回路とを含む圧力伝送器に流体的に接続する圧力伝送器接続部と、
前記マニホールド本体を貫通して前記プロセス接続部を前記圧力伝送器接続部に流体的に接続する通路と、
前記圧力伝送器接続部から前記プロセス接続部を隔離するために前記通路を選択的に閉塞すべく作動する隔離弁と、
前記隔離弁と前記圧力伝送器接続部との間にて前記通路に流体的に接続されたブリードポートと、
前記隔離弁と前記圧力伝送器接続部との間にて前記通路に流体的に接続された圧力制限装置と
を具備する隔離マニホールド。
【請求項18】
前記通路のフローインピーダンスを増加するために、前記通路内に圧力緩衝器を更に具備する、請求項17に記載の隔離マニホールド。
【請求項19】
前記ブリードポートに流体的に接続され、前記ブリードポートを選択的に開くべく作動可能なブリード螺子と、
前記ブリードポートに流体的に接続され、前記ブリードポートを選択的に開くべく作動可能なブリード弁と
の少なくとも1つを含む、請求項17に記載の隔離マニホールド。
【請求項20】
前記圧力制限装置は、容積拡張補償器と圧力解放弁の少なくとも1つである、請求項17に記載の隔離マニホールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、工業プロセスで使用する隔離マニホールドに関する。特に、本発明は圧力伝送器と共に使用する隔離マニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
工業プロセスで使用されるプロセス流体の圧力を監視するために圧力伝送器が使用される。或る圧力伝送器は圧力センサを含み、該圧力センサは、水ラインや化学タンク等におけるプロセス流体の圧力の関数としての電気出力を発生する。また、各圧力伝送器はセンサの電気出力を受け取って処理する伝送電子機器を含み、伝送器及びプロセスパラメータが現地又は遠隔地にて監視可能である。現地で監視される伝送器はLCDスクリーン等の表示装置を含み、該表示装置は圧力伝送器の場所で電気出力を表示する。遠隔地で監視される伝送器は、制御室等の中央監視場所に有線の制御又は監視ループ、又は、無線のネットワークを介して電気出力を伝送する電子機器を含む。このような構成によれば、制御ループに自動化スイッチ、弁、ポンプ及び他の同様な構成部品を含むことで、プロセスパラメータが制御室から調整可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
圧力伝送器は隔離マニホールドによって監視されるべきプロセスに接続されている。マニホールド内の隔離弁(又は閉塞弁)は、圧力伝送器の保守点検(例えば、較正)又は取り外しのために、プロセスから圧力伝送器を隔離すべく閉鎖可能である。また、隔離マニホールドは圧力伝送器の保守点検又は取り外しの前に、マニホールド内の如何なる圧力をも解放するブリードポートを含むことができる。一般的には、ブリードポートは、該ブリードポートを選択的に開くか又はシールすべく作動可能なブリード螺子又はブリード弁を含む。また、隔離弁及びブリードポートを含む隔離マニホールドは閉鎖・ブリードマニホールドとして参照される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は隔離マニホールドであり、該隔離マニホールドはマニホールド本体と、該マニホールド本体の第1端でのプロセス接続部と、マニホールド本体の第2端での圧力伝送器接続部と、マニホールド本体を貫通する通路と、隔離弁と、圧力制限装置とを含む。プロセス接続部は、プロセス流体を含んだプロセス容器又は導管に隔離マニホールドを流体的に接続するためのものである。圧力伝送器接続部は、圧力伝送器に隔離マニホールドを流体的に接続するためのものである。通路は圧力伝送器接続部にプロセス接続部を流体的に接続する。隔離弁、圧力伝送器接続部からプロセス接続部を隔離するために通路を選択的に閉塞すべく作動可能である。圧力制限装置は隔離弁と圧力伝送器接続部との間にて通路に流体的に接続している。
【0005】
本発明の他の実施形態は圧力測定システムであり、該圧力測定システムは圧力伝送器と、隔離マニホールドとを含む。隔離マニホールドは、プロセス流体が入っているプロセス容器又は導管に圧力伝送器を流体的に接続する。隔離マニホールドは、マニホールド本体と、該マニホールド本体における第1端のプロセス接続部と、マニホールド本体における第2端の圧力伝送器接続部と、マニホールド本体を貫通する通路と、隔離弁と、圧力制限装置とを含む。プロセス接続部はプロセス容器又は導管に隔離マニホールドを流体的に接続する。圧力伝送器接続部は圧力伝送器に隔離マニホールドを流体的に接続する。通路は圧力伝送器接続部にプロセス接続部を流体的に接続する。隔離弁は圧力伝送器接続部からプロセス接続部を隔離するため、通路を選択的に閉塞すべく作動可能である。圧力制限装置は、隔離弁と圧力伝送器接続部の間にて通路に流体的に接続している。
【0006】
更に、本発明の他の実施形態は隔離マニホールドであり、該隔離マニホールドは、マニホールド本体と、該マニホールド本体における第1端のプロセス接続部と、マニホールド本体における第2端の圧力伝送器接続部と、マニホールド本体を貫通する通路と、隔離弁と、ブリードポートと、圧力制限装置とを含む。プロセス接続部は、プロセス流体が入っているプロセス容器又は導管に隔離マニホールドを流体的に接続する。圧力伝送器接続部は圧力伝送器に隔離マニホールドを流体的に接続する。通路は圧力伝送器接続部にプロセス接続部を流体的に接続する。隔離弁は圧力伝送器接続部からプロセス接続部を隔離するために、通路を選択的に閉塞すべく作動可能である。ブリードポートは、隔離弁と圧力伝送器接続部との間にて通路に流体的に接続している。圧力制限装置は、隔離弁と圧力伝送器接続部との間にて通路に流体的に接続している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明を具体化した隔離マニホールドが使用されたプロセスの制御又は監視システムの概略図である。
【
図2】本発明を具体化した一実施形態を図示する隔離マニホールドの斜視図である。
【
図3】
図2に示された隔離マニホールドの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
圧力伝送器は典型的に、その作動範囲を遙かに超えた過剰圧力に耐え得るように構成されている。例えば、150psiまでの圧力を測定すべく構成された圧力伝送器は損傷無しに、1500psiまでの過剰圧力条件に耐えることができる。監視されるべきプロセスは、圧力伝送器の過剰圧力リミットを超えないように注意深く計画且つ制御される。それでもなお、圧力伝送器における過剰圧力の能力を遙かに超える圧力に圧力伝送器を晒すようなプロセス現象が現れ得る。圧力伝送器に接触するプロセス流体が封じ込め又は閉じ込められているときに1つの現象が生じ、この後、該現象は封じ込められたプロセス流体の体積を増加させる温度変化を体験する。体積変化は、温度増加に伴うプロセス流体の膨脹又は温度減少に伴うプロセス流体の凝固(例えば、氷への水の凍結)に起因する。このような体積変化は、圧力伝送器の過剰圧力リミットを超えた圧力増加をもたらす。このことは、隔離マニホールドによってプロセスに接続された圧力伝送器にとって特に問題となる。隔離弁が一旦閉じられると、プロセス流体が流れる前に隔離マニホールドは著しい温度変化を体験し、閉じ込められたプロセス流体は膨脹して圧力伝送器を損傷する。
【0009】
本発明の実施形態は、隔離弁と圧力伝送器接続部との間に圧力制限装置を含んだ隔離マニホールドでもって、上述の問題を解消する。圧力制限装置は、取り付けられた圧力伝送器の過剰圧力リミットを閉じ込められたプロセス流体が超える前に、閉じ込められたプロセス流体が膨脹可能な容積を自動的に提供することで隔離弁内の圧力を制限する。例えば、この圧力制限装置は容積拡張補償器又は圧力リリーフ弁である。
【0010】
プロセスの設計、即ち、圧力伝送器における過剰圧力の能力を超えた圧力に圧力伝送器が晒される他の現象は流体ハンマーである。これは例えば、弁の迅速な開閉によってプロセス流体の急激な停止又は流動により発生する圧力衝撃である。典型的には、流体ハンマーから発生する圧力衝撃は数ミリ秒のみ持続するだけであるが、圧力衝撃は、取り付けられた圧力伝送器の過剰圧力リミットを超える可能性がある。付け加えて、流体ハンマーはキャビテーションを引き起こし、このキャビテーションは流体内に損害を及ぼす衝撃波を発生させる。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態は、閉じ込められた流体の問題を処理することに加え、隔離マニホールド内に圧力緩衝器を含むことで流体ハンマーの問題もまた解消する。圧力緩衝器は隔離マニホールドを通じたフローインピーダンスを増加させ、該フローインピーダンスは圧力衝撃が隔離マニホールドを通じて圧力伝送器に至る速度、つまり、圧力衝撃の大きさを減少させる。例えば、圧力緩衝器は焼結金属からなる多孔質のフィルタ媒体又はプロセス流体が通過する小径の孔を有したノズルである。
【0012】
本発明を具体化した隔離マニホールドは、その組み込みや使用が容易であり、隔離マニホールド内に閉じ込められたプロセス流体の体積膨脹に起因する過剰圧力に対する圧力伝送器の保護を自動的に提供する。圧力緩衝器を含むことで流体ハンマーからの圧力伝送器の付加的な保護が自動的に提供される。
【0013】
図1はプロセスの制御又は監視システムを概略的に示し、該システム内に本発明を具体化した隔離マニホールドが使用されている。プロセスの制御又は監視システム10は隔離マニホールド12、圧力伝送器14、衝撃ライン16、サポート18、制御又は監視ループ20、制御室22及びプロセス容器24を含む。プロセス容器24はタンクとして図示されているが、プロセス流体が入れられた多数のプロセス容器又は導管の何れであってもよく、プロセス配管、貯蔵タンク、熱交換器、ボイラ、蒸溜塔、炉又は反応器を含む。本実施形態において、隔離マニホールド12は衝撃ライン16を経てプロセス容器12及び圧力伝送器14に流体的に接続されている。圧力伝送器14はサポート18によって正規の位置に保持され、該サポート18は図示されているようにプロセス容器24に取り付けられている。制御又は監視ループ20は圧力伝送器14を制御室22に接続する。圧力伝送器14は圧力センサと、プロセス流体の検出した圧力に基づく電気信号を発生する伝送回路とを含む。また、圧力伝送器14は他の電気構成部品をも含み、該電気構成部品は制御又は監視ループ20によって制御室22、又は、LCDスクリーン等の現地表示装置、又は、その両者に電気信号を伝送する。隔離マニホールド12は圧力制限装置を含み、該圧力制限装置は
図2に関して記述されているように、閉じ込められたプロセス流体が膨脹可能な容積を自動的に提供することで隔離マニホールド内の圧力を制限する。
【0014】
一実施形態において、圧力伝送器14は4−20mAループで作動する2線式伝送器である。該一実施形態において、制御又は監視ループ20は制御室20から圧力伝送器14に給電する一対のワイヤを含む。また、制御又は監視ループ20は圧力伝送器14へのデータの伝送や、圧力伝送器14からのデータの受け取りを制御室22にて可能とする。制御又は監視ループ20での通信は、4〜20mA間で変化するアナログの電流レベルの形態、デジタル情報が4〜20mAで変調されるHART(登録商標)通信プロトコル、又は、デジタルバスでのFieldbus又はProfibus通信プロトコルの形態をなす。他の実施形態において、圧力伝送器14は例えば、無線のHART(IEC62951)等の無線プロトコルを使用する無線ネットワークでもって制御室22と通信する。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態における隔離マニホールド12の斜視図である。隔離マニホールド12は、マニホールド本体30、プロセス接続部32、圧力伝送器接続部34、隔離弁36、ブリード弁38及び圧力制限装置42を含む。
図3は
図2に示された隔離マニホールドの概略図である。
図3に示されるように、隔離マニホールド12はブリードポート40及び通路44を更に含む。
【0016】
図2及び
図3を共に考慮すると、プロセス接続部32はマニホールド本体30の第1端にあって、圧力伝送器接続部34はマニホールド本体30の第2端にある。そして、通路44はプロセス接続部32を圧力伝送器接続部34に流体的に接続している。本実施形態によれば、隔離弁36はプロセス接続部32から圧力伝送器接続部34を隔離するために通路44を選択的に閉塞すべく作動される。圧力制限装置42は隔離弁36と圧力伝送器接続部34との間にて通路44に流体的に接続されている。ブリードポート40は隔離弁36と圧力伝送接続部34との間にて通路44に流体的に接続されている。ブリード弁38はブリードポート40を選択的に開くべく作動される。
【0017】
図1〜
図3を共に参照すれば、作動において、ブリード弁38はブリードポート40を閉じるべく作動されている。隔離弁36は通路4を開くべく作動され、これにより、圧力伝送器14は衝撃ライン16及び隔離マニホールド12の通路44を経てプロセス容器24のプロセス圧力を検出する。圧力制限装置42は通路44に流体的に接続されているものの、一般的にプロセス容器24のプロセス圧力は圧力伝送器14の過剰圧力よりも十分に低く制御されるので、通常の作動中にて一般的には、圧力制限装置42が作動することはない。
【0018】
圧力伝送器14の作動停止が望まれるとき、隔離弁36は通路44を閉塞すべく作動される。このことは圧力伝送器接続部34からプロセス接続部32を、つまり、衝撃ライン16及びプロセス容器24から圧力伝送器14を隔離する。通路44内のプロセス流体圧力はブリードポート40を開くべく作動するブリード弁38によって解放される。
【0019】
幾つかの場合、例えば、ブリード弁38が不所望にしてブリードポート40を開くべく作動されず、又は、ブリードポート40が不所望にして除去されない栓を含んでいれば、通路44内にプロセス流体が閉じ込められることがある。このようにして通路44内に閉じ込められたプロセス流体は例えば、温度変化に起因して体積を増加させ、閉じ込められたプロセス流体の圧力増加をもたらす。圧力が圧力伝送器14の作動範囲を超えても、圧力伝送器14の過剰圧力リミットに達する前に、圧力制限装置42は閉じ込められたプロセス流体の圧力が更に増加するのを阻止すべく自動的に作動する。閉じ込められたプロセス流体が圧力伝送器14の過剰圧力リミットを超える前に、圧力制限装置42は閉じ込められたプロセス流体が膨脹可能な容積を自動的に提供することで隔離弁内の圧力を制限する。
【0020】
例えば、圧力制限装置42は容積拡張補償器であり、該補償器は閉じ込められたプロセス流体が既知の圧力に抗して膨脹可能な封じ込め容積を提供する。容積拡張補償器は本質的に、可撓性の膜内に閉じ込む圧力閉じ込み構造をなし、加圧された不活性ガスの容積からプロセス流体を分離する。不活性ガスの容積を所望の圧力に調整又は変更することによって、容積拡張補償器はプロセス流体圧力が所望レベルを超えて増加するとき、プロセス流体の増加する体積を収容することができる。可撓性の膜はプロセス流体と非反応で、予期される温度範囲に亘って可撓性を維持すべく選択されている。このよう補償器は商業的に入手可能であり、熱拡張報償器とも称される。
【0021】
代替的には、圧力制限装置42は圧力解放弁であってもよく、閉じ込められたプロセス流体は隔離マニホールド12に対して非閉じ込めの容積である大気内、又は、圧力解放弁の流出先に取り付けられた閉じ込め容積内で膨脹してもよい。如何なる場合でも、圧力制限装置42は、圧力伝送器14の過剰圧力リミットに達する前に圧力の解放を自動的に提供すべく調整され、従って、隔離マニホールド12内に閉じ込められたプロセス流体の膨脹に起因する損傷から圧力伝送器14を保護する。
【0022】
上述したように閉じ込められたプロセス流体の問題に加えて、圧力伝送器14がその過剰圧力の能力を超える圧力に晒される他の現象は流体ハンマーである。また、圧力制限装置42は、損傷させる圧力衝撃の幾つかの影響を吸収することで、流体ハンマーに対する圧力伝送器14の幾つかの保護を提供する。しかしながら、流体ハンマーから生じる圧力衝撃は数ミリ秒のみ持続するだけであり、このような短時間に対して圧力制限装置42の自動作動は十分に反応できない。
【0023】
図3の実施形態は、流体ハンマーによる損傷の影響を減少するための圧力緩衝器46を含むことにで、圧力伝送器14を更に保護する。
図3に示されるように、好ましくは、隔離マニホールド12は通路44内に圧力緩衝器46を含む。該圧力緩衝器46は隔離マニホールド12を通じたフローインピーダンスを増加させ、圧力衝撃が通路44を通過する速度及び圧力衝撃の大きさを減少させる。圧力緩衝器46は通路44を通じたフローインピーダンスを増加させ、圧力衝撃が隔離マニホールド12を通じて圧力伝送器14に至る速度、つまり、圧力衝撃の大きさを減少させる。例えば、圧力緩衝器は、焼結金属からなる多孔質のフィルタ媒体又は通路44よりも小径のオリフィスでもってプロセス流体の流れを制限するノズルであってもよい。
【0024】
図3に示されるように、圧力緩衝器46はプロセス接続部32と隔離弁36との間の通路44の一部に配置されている。この配置は圧力緩衝器46を含む隔離マニホールド12の組み付けを容易にする一方、圧力緩衝器46がプロセス接続部32と圧力伝送器接続部34との間のフローインピーダンスを増加させる限り、本発明は通路44内の如何なる位置に圧力緩衝器46を有した実施形態を含むものであることが理解される。
【0025】
上述の実施形態は、直列の圧力伝送器と共に使用する隔離マニホールドのために図示されているが、本発明が差圧伝送器と共に使用する隔離マニホールドの実施形態を含むことは当業者に理解される。付け加えて、上述の実施形態はブリード弁(ときには、2弁構成として参照される)を備えて示されているが、本発明は、ブリード弁(ときには、閉塞・ブリード構成として参照される)に代えて、ブリード螺子を含む実施形態を包含することが理解される。
【0026】
本発明の実施形態は、取り付けられた隔離マニホールド内に閉じ込められた体積膨脹に起因する圧力伝送器の損傷を、隔離弁と圧力伝送器との間の隔離マニホールドに圧力制限装置を含むことによって解消する。圧力制限装置は、取り付けられた圧力伝送器の過剰圧力リミットを閉じ込められたプロセス流体が超える前に、閉じ込められたプロセス流体が膨脹可能な容積を自動的に提供することにで、隔離弁内の圧力を制限する。本発明を用いた隔離マニホールドは、その組み込み及び使用が容易であり、閉じ込められたプロセス流体に起因する損傷に対して自動的な保護を提供する付加的な訓練や活動が要求されない。
【0027】
また、本発明の幾つかの実施形態は、隔離マニホールド内に圧力緩衝器を含むことによって流体ハンマーに起因した圧力伝送器の損傷を防止する。圧力緩衝器は隔離マニホールドを通じたフローインピーダンスを増加し、隔離マニホールドを通過して圧力伝送器に至る圧力衝撃の速度、つまり、圧力衝撃の大きさを減少する。
【0028】
本発明は例示的な実施形態を参照して記載されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更や要素の等価物への置換が可能であることは当業者によって理解される。付け加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示に対して特別な状況又は材料に適合させるべく多くの変更もまた可能である。それ故、本発明は、記載された実施形態に制限されるものでなく、添付の特許請求の範囲内に全ての実施形態を含む。