特許第6461133号(P6461133)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6461133新規4置換及び5置換ベンゾイミダゾリウム化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461133
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】新規4置換及び5置換ベンゾイミダゾリウム化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20190121BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20190121BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20190121BHJP
   C07F 9/6558 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20190121BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20190121BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20190121BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20190121BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20190121BHJP
   A61P 11/14 20060101ALI20190121BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20190121BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20190121BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   C07D401/14CSP
   C07D403/12
   C07D405/14
   C07F9/6558
   A61K31/497
   A61K31/675
   A61K45/00
   A61P1/18
   A61P11/00
   A61P11/02
   A61P11/06
   A61P11/14
   A61P29/00
   A61P37/08
   A61P43/00 111
【請求項の数】13
【全頁数】64
(21)【出願番号】特願2016-526504(P2016-526504)
(86)(22)【出願日】2014年7月1日
(65)【公表番号】特表2016-527220(P2016-527220A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】EP2014063959
(87)【国際公開番号】WO2015007517
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年7月3日
(31)【優先権主張番号】13176480.5
(32)【優先日】2013年7月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】クレイ ヨルグ
(72)【発明者】
【氏名】フラッティーニ サラ
(72)【発明者】
【氏名】ハンプレヒト ディーター
【審査官】 吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−522860(JP,A)
【文献】 特開2008−110935(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/079087(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式 (I)
【化1】
(I)
の化合物であって、
XはCl又はBrを表し、
R1はアリル- 、NC-C3-4-アルキレン- 、H-(O-CH2-CH2)q-、CH3-(O-CH2-CH2)m-、テトラヒドロピラニル-(CH2)r-、N-[R11-(O-CH2-CH2)s-CH2-C(O)]-ピペリジン-4-イル-(CH2)r- 又はR9R10N-C(O)-(2-オキソ-2H-ピリド-1-イル)-C3-5-アルキレン- を表し、
R2はC1-3-アルキル- を表し、
R3及びR4は独立にH、ハロゲン、HO- 、(HO-C2-3-アルキレン)2N-、(R7O-)(R8O-)P(O)-(CH2)n-O- 、R5R6N-C(O)-CH2-O- 、HO-(CH2)2-O- 、(CH3)2P(O)-CH2O- 又は式(bg)の置換基を表し、
【化2】
かつ、R3がH又はハロゲンを表す場合には、R4がH又はハロゲンを表さず、
また、R4がH又はハロゲンを表す場合には、R3がH又はハロゲンを表さず、
R5及びR6は独立にH、又はC1-2-アルキル- を表し、又は
R5及びR6はそれらが結合されている窒素原子と一緒にチオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-ジオキシドからなる群から選ばれた6員複素環を形成し、
R7及びR8は独立にH又はC1-3-アルキル- を表し、
R9及びR10 は独立にH又はC1-3-アルキル- を表し、
R11 はH又はC1-3-アルキル- を表し、
mは2、3又は4を表し、
nは2又は3を表し、
qは3又は4を表し、
rは0、1、2又は3を表し、
sは0、1又は2を表し、
Z-は塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、水酸化物イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、マンデル酸イオン、メタンスルホン酸イオン及びp-トルエンスルホン酸イオンからなる群から選ばれた生理学上許される陰イオンを表し、
zは負に荷電された置換基R1-R4 について0を表し、非荷電置換基R1-R4 について1を表し、又は正に荷電された置換基R1-R4 について2を表すことを特徴とする前記化合物、又は並びにその互変異性体、又は薬理学上許される酸付加塩。
【請求項2】
R1がアリル- 、NC-C3-4-アルキレン- 、H-(O-CH2-CH2)q- 、テトラヒドロピラニル-(CH2)0-1-、N-アセチル-ピペリジニル- 、又はR9R10N-C(O)-(2-オキソ-2H-ピリド-1-イル)-C3-5-アルキレン- を表し、
R9及びR10 が独立にH又はメチル- を表し、
qが3又は4を表すことを特徴とする、請求項1記載の式 (I)の化合物。
【請求項3】
R3がH、HO- 、(HO-C2-3-アルキレン)2N-、(R7O-)(R8O-)P(O)-(CH2)n-O- 、R5R6N-C(O)-CH2-O-又はHO-(CH2)2-O- を表し、かつ
R3がHを表す場合には、R4がH又はハロゲンを表さず、
R5及びR6が独立にH又はC1-2-アルキル-を表し、
R7及びR8が独立にH又はC1-3-アルキル-を表し、
nが2又は3を表すことを特徴とする、請求項1又は2記載の式 (I)の化合物。
【請求項4】
R4がH、ハロゲン又はR5R6N-C(O)-CH2-O- を表し、かつ
R4がH又はハロゲンを表す場合には、R3がHを表さず、
R5、R6が独立にH又はC1-2-アルキル-を表すことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の式 (I)の化合物。
【請求項5】
R1が式(aa)- (ag)
【化3】
からなる群から選ばれた置換基を表すことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の式 (I)の化合物。
【請求項6】
R2がエチル- を表すことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の式 (I)の化合物。
【請求項7】
R3がH、HO- を表し、又は
R3が式(ba)- (bf)
【化4】
からなる群から選ばれた置換基を表し、かつ
R3がHを表す場合には、R4がH又はClを表さないことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の式 (I)の化合物。
【請求項8】
R4がH、Cl又は式(ca)
【化5】
の置換基を表し、かつ
R4がH又はClを表す場合には、R3がHを表さないことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の式 (I)の化合物。
【請求項9】
XがCl又はBrを表し、
R1が式(aa)- (ag)
【化6】
からなる群から選ばれた置換基を表し、
R2がエチル- を表し、
R3がH、HO- を表し、又は
R3が式(ba)- (bf)
【化7】
からなる群から選ばれた置換基を表し、かつ
R3がHを表す場合には、R4がH又はClを表さず、
R4がH、Cl又は式(ca)
【化8】
の基を表し、かつ
R4がH又はClを表す場合には、R3がHを表さず、
Z-が塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、水酸化物イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、マンデル酸イオン、メタンスルホン酸イオン及びp-トルエンスルホン酸イオンからなる群から選ばれた生理学上許される陰イオンを表し、
zが負に荷電された置換基R1-R4 について0を表し、非荷電置換基R1-R4 について1を表し、又は正に荷電された置換基R1-R4 について2を表すことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の式 (I)の化合物、又はその互変異性体又は薬理学上許される酸付加塩。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の少なくとも一種の化合物又はその医薬上許される塩及び任意に医薬上許される担体を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項11】
呼吸器の疾患又は病気及び気道のアレルギー性疾患の中から選ばれた疾患の治療のための、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
慢性気管支炎、急性気管支炎、細菌感染もしくはウイルス感染又は真菌類もしくはぜん虫により生じた気管支炎、アレルギー性気管支炎、中毒性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎(COPD)、喘息(内因性又はアレルギー性)、小児喘息、気管支拡張、アレルギー性肺胞炎、アレルギー性又は非アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、膵のう胞性線維症又は膵線維症、アルファ-1-アンチトリプシン欠乏症、咳、肺水腫、間質性肺疾患、肺胞炎、反応性亢進性気道、鼻内ポリープ、肺水腫及び異なる起源の肺炎の中から選ばれた疾患の治療のための、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
請求項1から9のいずれかに記載の一種以上の化合物または薬学的に許容されるその塩と、更なる活性物質とを含む医薬組成物であって、前記更なる活性物質が、更なるENaC阻害薬、ベータミメチックス、坑コリン作用薬、コルチコステロイド、PDE4阻害薬、LTD4アンタゴニスト、EGFR阻害薬、ドーパミンアゴニスト、H1- 坑ヒスタミン薬、PAF-アンタゴニスト、MAP-キナーゼ阻害薬、MPR4阻害薬、iNOS阻害薬、SYK-阻害薬、膵のう胞性線維症膜貫通レギュレーター(CFTR)及びCFTR強化薬のコレクションのカテゴリーの中から選ばれた一種以上の化合物である、医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般式 (I)
【化1】
(I)
の化合物並びにこれらの互変異性体及び塩、特に双性イオンを含む無機又は有機の酸とのこれらの医薬上許される塩(これらは有益な薬理学的性質、特に上皮ナトリウムチャンネルについての抑制作用を有する)、疾患、特に肺及び気道の疾患の治療のためのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2011079087はENaC(上皮ナトリウムチャンネル)抑制活性を示す同様の構造の化合物を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は上皮ナトリウムチャンネルの遮断により治療し得る病態生理学的プロセスの治療、特に肺及び気道の治療のために治療上使用し得る新規化合物を調製することである。本発明の新規化合物は局所肺治療に有益である低減された透過性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は本発明の式 (I)の化合物により解決されることが驚くことにわかった。
それ故、本発明は式 (I)の化合物並びにこれらの互変異性体そして必要によりこれらの薬理学上許される酸付加塩に関する。
【化2】
(I)
【0005】
式中、
XはCl又はBrを表し、
R1はアリル- 、NC-C3-4-アルキレン- 、H-(O-CH2-CH2)q-、CH3-(O-CH2-CH2)m-、テトラヒドロピラニル-(CH2)r-、N-[R11-(O-CH2-CH2)s-CH2-C(O)]-ピペリジン-4-イル-(CH2)r- 又はR9R10N-C(O)-(2-オキソ-2H-ピリド-1-イル)-C3-5-アルキレン- を表し、
R2はC1-3-アルキル- を表し、
R3及びR4は独立にH、ハロゲン、HO- 、(HO-C2-3-アルキレン)2N-、(R7O-)(R8O-)P(O)-(CH2)n-O- 、R5R6N-C(O)-CH2-O- 、HO-(CH2)2-O- 、(CH3)2P(O)-CH2O- 又は式(bg)の置換基を表し、
【化3】
【0006】
かつ、R3がH又はハロゲンを表す場合には、R4がH又はハロゲンを表さず、
また、R4がH又はハロゲンを表す場合には、R3がH又はハロゲンを表さず、
R5及びR6は独立にH、C1-2-アルキル- を表し、又は
R5及びR6はそれらが結合されている窒素原子と一緒にチオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-ジオキシドからなる群から選ばれた6員複素環を形成し、
R7及びR8は独立にH又はC1-3-アルキル- を表し、
R9及びR10 は独立にH又はC1-3-アルキル- を表し、
R11 はH又はC1-3-アルキル- を表し、
mは2、3又は4を表し、
nは2又は3を表し、
qは3又は4を表し、
rは0、1、2又は3を表し、
sは0、1又は2を表し、
Z-は塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、水酸化物イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、マンデル酸イオン、メタンスルホン酸イオン及びp-トルエンスルホン酸イオンからなる群から選ばれた生理学上許される陰イオンを表し、
zは負に荷電された置換基R1-R4 について0を表し、非荷電置換基R1-R4 について1を表し、又は正に荷電された置換基R1-R4 について2を表す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
式 (I)の好ましい化合物は
R1がアリル- 、NC-C3-4-アルキレン- 、H-(O-CH2-CH2)q-、テトラヒドロピラニル-(CH2)0-1- 、N-アセチル-ピペリジニル- 、又はR9R10N-C(O)-(2-オキソ-2H-ピリド-1-イル)-C3-5-アルキレン- を表し、
R9及びR10 が独立にH又はメチル- を表し、
qが3又は4を表す、化合物である。
また、式 (I)の好ましい化合物は
R2がC1-3-アルキル- を表す、化合物である。
また、式 (I)の好ましい化合物は
R3がH、HO- 、(HO-C2-3-アルキレン)2N-、(R7O-)(R8O-)P(O)-(CH2)n-O-、R5R6N-C(O)-CH2-O-又はHO-(CH2)2-O-を表し、かつ
R3がHを表す場合には、R4がH又はハロゲンを表さず、
R5及びR6が独立にH又はC1-2-アルキル- を表し、
R7及びR8が独立にH又はC1-3-アルキル- を表し、
nが2又は3を表す、化合物である。
また、式 (I)の好ましい化合物は
R4がH、ハロゲン又はR5R6N-C(O)-CH2-O-を表し、かつ
R4がH又はハロゲンを表す場合には、R3がHを表さず、
R5及びR6が独立にH又はC1-2-アルキル- を表す、化合物である。
R1が下記の式(aa)- (ag)からなる群から選ばれた置換基を表す、式 (I)の化合物が特に好ましい。
【0008】
【化4】
【0009】
また、R2がエチル- を表す、式 (I)の化合物が特に好ましい。
また、R3がH、HO- を表し、又は
R3が下記の式(ba)- (bf)からなる群から選ばれた置換基を表し、
【化5】
【0010】
かつ、R3がHを表す場合には、R4がH又はClを表さない、式 (I)の化合物が特に好ましい。
また、R4がH、Cl又は下記の式(ca)の置換基を表し、
【化6】
【0011】
かつ、R4がH又はClを表す場合には、R3がHを表さない、式 (I)の化合物が特に好ましい。
下記の式 (I)の化合物及びこれらの互変異性体そして必要により薬理学上許される酸付加塩が特に好ましい。
【化7】
(I)
【0012】
式中、
XがCl又はBrを表し、
R1が下記の式(aa)- (ag)からなる群から選ばれた置換基を表し、
【化8】
【0013】
R2がエチル- を表し、
R3がH、HO- を表し、又は
R3が下記の式(ba)- (bf)からなる群から選ばれた置換基を表し、
【化9】
【0014】
かつ、R3がHを表す場合には、R4がH又はClを表さず、
R4がH、Cl又は下記の式(ca)の置換基を表し、
【化10】
【0015】
かつ、R4がH又はClを表す場合には、R3がHを表さず、
Z-が塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、水酸化物イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、マンデル酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオンからなる群から選ばれた生理学上許される陰イオンを表し、
zが負に荷電された置換基R1-R4 について0を表し、非荷電置換基R1-R4 について1を表し、又は正に荷電された置換基R1-R4 について2を表す。
本発明の更なる実施態様は薬物としての使用のための式 (I)の化合物、又はこれらの医薬上許される塩である。
本発明の更なる実施態様は呼吸器の疾患又は病気及び気道のアレルギー性疾患の中から選ばれた疾患の治療における使用のための式 (I)の化合物、又はこれらの医薬上許される塩である。
慢性気管支炎、急性気管支炎、細菌感染もしくはウイルス感染又は真菌類もしくはぜん虫により生じた気管支炎、アレルギー性気管支炎、中毒性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎(COPD)、喘息(内因性又はアレルギー性)、小児喘息、気管支拡張、アレルギー性肺胞炎、アレルギー性又は非アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、膵のう胞性線維症又は膵線維症、アルファ-1-アンチトリプシン欠乏症、咳、肺水腫、間質性肺疾患、肺胞炎、反応性亢進性気道、鼻内ポリープ、肺水腫及び異なる起源の肺炎、好ましくは慢性気管支炎、急性気管支炎、気管支炎、慢性閉塞性気管支炎(COPD)、喘息(内因性又はアレルギー性)、膵のう胞性線維症及び小児喘息、好ましくは慢性気管支炎、COPD及び膵のう胞性線維症の中から選ばれた疾患の治療における使用のための式 (I)の化合物、又はこれらの医薬上許される塩が好ましい。
本発明の更なる実施態様は本発明の少なくとも一種の化合物又はその医薬上許される塩及び医薬上許される担体を含む医薬組成物である。
本発明の更なる実施態様は本発明の一種以上の化合物の他に、更なる活性物質として、更なるENaC阻害薬、ベータミメチックス、坑コリン作用薬、コルチコステロイド、PDE4-阻害薬、LTD4-アンタゴニスト、EGFR-阻害薬、ドーパミンアゴニスト、H1-坑ヒスタミン薬、PAF-アンタゴニスト、MAP-キナーゼ阻害薬、MPR4-阻害薬、iNOS-阻害薬、SYK-阻害薬、膵のう胞性線維症膜貫通レギュレーター(CFTR)及びCFTR強化薬のコレクション又はこれらの二重又は三重の組み合わせ、好ましくはVX-770 及びVX-809、又はこれらの二重又は三重の組み合わせのカテゴリーの中から選ばれた一種以上の化合物を含む薬物組み合わせである。
【0016】
4.用語及び定義
本明細書に特に定義されない用語は開示及び状況に鑑みて当業者によりそれらに与えられる意味を与えられるべきである。しかしながら、明細書に使用される下記の用語は、その逆に明記されない限り、示される意味を有し、下記の通例に従われる。
以下に定義される基又は部分中で、炭素原子の数が基に先行してしばしば明記され、例えば、C1-6-アルキルは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
一般に、HO、H2N 、OS、O2S 、NC(シアノ)、HOOC、F3C 等のような単一の基において、当業者は基それ自体の自由原子価から分子への一つ以上の基結合位置を知ることができる。二つ以上のサブグループを含む組み合わされた基について、末端結合が基結合位置を示し、例えば、置換基“アリール-C1-3-アルキル- ”はC1-3-アルキル-基(これはコアー又はその置換基が結合されている基に結合されている)に結合されているアリール基を意味する。
【0017】
本発明の化合物が化学名の形態で、また式として示されている場合、不一致の場合には式が優先すべきである。アステリスクが定義されたコアー分子に連結されている結合を示すために下位の式中に使用されてもよい。
例えば、“3-カルボキシプロピル- 基”という用語は下記の置換基を表す。
【化11】
【0018】
式中、カルボキシ基はプロピル基の3番目の炭素原子に結合されている。
“1-メチルプロピル- ”、“2,2-ジメチルプロピル- ”又は“シクロプロピルメチル- ”基という用語は下記の基を表す。
【化12】
【0019】
アステリスクが定義されたコアー分子に連結されている結合を示すために下位の式中に使用されてもよい。
同様に、アステリスクと一緒の矢印が定義されたコアー分子に連結されている結合を示すために下位の式中に使用されてもよい。
【化13】
【0020】
下記の用語の多くが式又は基の定義に繰り返して使用されてもよく、それぞれの場合に、互いに独立に、先に示された意味の一つを有する。
特に示されない限り、本発明によれば、所定の化学式又は名称は互変異性体及び全ての立体異性体、光学異性体及び幾何異性体(例えば、鏡像体、ジアステレオマー、E/Z 異性体等)並びにこれらのラセミ体だけでなく、別々の鏡像体の異なる比率の混合物、ジアステレオマーの混合物、又は以上の形態のいずれかの混合物(このような異性体及び鏡像体が存在する場合)だけでなく、これらの医薬上許される塩を含む、塩並びにこれらの溶媒和物、例えば、遊離化合物の溶媒和物又はその化合物の塩の溶媒和物を含む水和物を含むべきである。
本明細書に使用される“置換された”という用語は、指定された原子にあるいずれか一つ以上の水素が示された基からの選択で置換されていることを意味し、但し、指定された原子の通常の原子価が超えられないこと、及びその置換が安定な化合物をもたらすことを条件とする。
【0021】
“必要により置換されていてもよい”という用語は本発明の範囲内で低分子の基により必要により置換されていてもよい、上記基を意味する。化学上有意と見なされる低分子の基の例は1-200 個の原子からなる基である。好ましくは、このような基は化合物の薬理学的効力に悪影響を有しない。例えば、これらの基は下記の基を含んでもよい。
・直鎖又は分枝炭素鎖(必要によりヘテロ原子により中断されていてもよく、必要により環、ヘテロ原子又はその他の普通の官能基により置換されていてもよい)
・炭素原子そして必要によりヘテロ原子からなる芳香族又は非芳香族環系(これらは順に官能基により置換されていてもよい)
・炭素原子そして必要によりヘテロ原子からなる幾つかの芳香族又は非芳香族環系(これらは1個以上の炭素鎖により結合されてもよく、必要によりヘテロ原子により中断されてもよく、必要によりヘテロ原子又はその他の普通の官能基により置換されていてもよい)
本明細書に使用される“予防”又は“予防措置”という表現は前記症状を発生するリスクが、特に前記症状についての上昇されたリスク又は相当する病歴、例えば、代謝障害、例えば、糖尿病もしくは肥満又は本明細書に挙げられた別の障害を発生する上昇されたリスクを有する患者で軽減されるという意味で同義語と理解されるべきである。こうして、本明細書に使用される“疾患の予防”という表現は疾患の臨床的発生の前に疾患を発生するリスクのある個体の管理及びケアーを意味する。予防の目的は疾患、症状又は障害の発生と闘うことであり、症候又は合併症の発生を予防又は遅延し、かつ関連疾患、症状又は障害の発生を予防又は遅延するための活性化合物の投与を含む。前記予防措置の成功は予防措置しない同等の患者集団と較べてこの症状のリスクのある患者集団内の前記症状の低下された発生率により統計上反映される。
【0022】
“治療”という表現は特別な指示の症候を軽減するための対症治療又は症状及びその重度に応じて、症状を反転もしくは部分反転し、もしくは指示の進行を遅延するための原因治療(これが可能であり得る限り)を含む、顕在、急性又は慢性の形態の前記症状の一つ以上を既に発生した患者の治療措置を意味する。こうして、本明細書に使用される“疾患の治療”という表現は疾患、症状又は障害を発生した患者の管理及びケアーを意味する。治療の目的は疾患、症状又は障害と闘うことである。治療は疾患、症状又は障害を排除又はコントロールするためだけでなく、疾患、症状又は障害と関連する症候又は合併症を軽減するための活性化合物の投与を含む。
“医薬上許される”という表現は、理にかなった医療判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題もしくは合併症を生じないでヒト及び動物の組織と接触しての使用に適し、かつ妥当な利益/リスク比と相応するこれらの化合物、物質、組成物、及び/又は剤形を表すのに本明細書に使用される。
【0023】
本明細書に使用される“医薬上許される塩”は親化合物がその酸塩又は塩基塩をつくることにより変性されている開示された化合物の誘導体を表す。医薬上許される塩の例として、塩基性残基、例えば、アミンの鉱酸塩又は有機酸塩、酸性残基、例えば、カルボン酸のアルカリ塩又は有機塩等が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、このような塩として、アンモニア、L-アルギニン、ベタイン、ベネタミン、ベンザシン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン(2,2’-イミノビス(エタノール))、ジエチルアミン、2-(ジエチルアミノ)-エタノール、2-アミノエタノール、エチレンジアミン、N-エチル-グルカミン、ヒドラバミン、1H-イミダゾール、リシン、水酸化マグネシウム、4-(2-ヒドロキシエチル)-モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1-(2-ヒドロキシエチル)-ピロリジン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン(2,2’,2”-ニトリロトリス(エタノール))、トロメタミン、水酸化亜鉛、酢酸、2,2-ジクロロ-酢酸、アジピン酸、アルギニン酸、アスコルビン酸塩、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、4-アセトアミド-安息香酸、(+)-ショウノウ酸、(+)-ショウノウ-10-スルホン酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、デカン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、D-グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、D-グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリシン、グリコール酸、ヘキサン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イソ酪酸、DL-乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、リシン、マレイン酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ガラクタル酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オクタン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸(エンボン酸)、リン酸塩、プロピオン酸、(-)-L-ピログルタミン酸、サリチル酸塩、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸及びウンデシレン酸からの塩が挙げられる。更なる医薬上許される塩がアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛等のような金属からのカチオンで生成し得る(またPharmaceutical salts, Birge, S.M. ら著, J. Pharm. Sci., (1977), 66, 1-19を参照のこと)。
【0024】
本発明の医薬上許される塩は塩基性部分又は酸性部分を含む親化合物から通常の化学方法により合成し得る。一般に、このような塩はこれらの化合物の遊離酸形態又は塩基形態を水又はエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、もしくはアセトニトリルのような有機希釈剤、或いはこれらの混合物中で充分な量の適当な塩基又は酸と反応させることにより調製し得る。
例えば、本発明の化合物を精製又は単離するのに有益である上記酸以外の酸の塩(例えば、トリフルオロ酢酸塩)がまた本発明の一部を構成する。
本明細書に使用される“プロドラッグ”という用語は(i) 生体内でそれを使用可能な形態もしくは活性形態に変換する代謝プロセス後にその効果を与える薬物の不活性形態、又は(ii)それ自体活性ではないが、薬理学的活性代謝産物を生じる物質(即ち、不活性前駆体)を表す。
【0025】
“プロドラッグ”又は“プロドラッグ誘導体”という用語はその薬理学的作用を示す前に少なくとも或る生物変換を受ける親化合物又は活性薬物物質の共有結合された誘導体、キャリヤー又は前駆体を意味する。このようなプロドラッグは代謝により開裂し得る基又はそれ以外の変換可能な基を有し、例えば、血液中の加水分解又はチオエーテル基の場合のような酸化による活性化により生体内で迅速に変換されて親化合物を生じる。最も普通のプロドラッグとして、親化合物のエステル及びアミド類似体が挙げられる。プロドラッグは改良された化学安定性、改良された患者許容性及びコンプライアンス、改良された生物利用能、作用の延長された期間、改良された器官選択性、改良された製剤化(例えば、増大された水溶性)、及び/又は減少された副作用(例えば、毒性)の目的で製剤化される。一般に、プロドラッグ自体は弱い活性を有し、又は生物学的活性を有さず、しかも通常の条件下で安定である。プロドラッグは当業界で知られている方法、例えば、“薬物設計及び開発の書籍”, Krogsgaard-Larsen 及びH.Bundgaard (編集), Gordon & Breach,1991, 特に5章: “プロドラッグの設計及び適用”; “プロドラッグの設計”, H.Bundgaard (編集), Elsevier, 1985; “プロドラッグ: 局所及び眼への薬物送出”, K.B.Sloan (編集), Marcel Dekker, 1998;“免疫学における方法”, K.Widderら(編集), 42巻, Academic Press, 1985, 特に309-396 頁; “Burgerの医療化学及び薬物発見”, 第5編, M.Wolff (編集), John Wiley & Sons, 1995,特に1巻並びに172-178 頁及び949-982 頁; “新規送出系としてのプロドラッグ”, T.Higuchi 及びV.Stella(編集), Am.Chem.Soc., 1975; “薬物設計における生物可逆的キャリヤー”, E.B.Roche(編集), Elsevier,1987(これらのそれぞれが参考として本明細書にそのまま含まれる)に記載された方法を使用して親化合物から直ぐに調製し得る。
本明細書に使用される“医薬上許されるプロドラッグ”という用語は、理にかなった医療判断の範囲内で、不当な毒性、刺激、アレルギー反応等を生じないでヒト及び下等動物の組織と接触しての使用に好適であり、妥当な利益/リスク比と相応し、かつそれらの意図される使用に有効である本発明の化合物のプロドラッグだけでなく、可能な場合には双性イオン形態を意味する。
【0026】
単独で、又は別の基と組み合わせて本明細書に使用される“アリール”という用語は、6個の炭素原子を含む炭素環式芳香族単環基(これは第二の5員又は6員炭素環式基(これは芳香族、飽和又は不飽和であってもよい)に更に融合されてもよい)を表す。アリールとして、フェニル、インダニル、インデニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、テトラヒドロナフチル及びジヒドロナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。
“複素環”という用語は3〜14個の環原子からなる、N、O又はS(O)r(式中、r=0, 1 又は2)から選ばれた1個以上のヘテロ原子を含む芳香族環系を含む飽和又は不飽和単環式又は多環式環系(そのヘテロ原子のいずれもが芳香族環の一部ではない)を意味する。“複素環”という用語は全ての可能な異性体形態を含むことが意図されている。
こうして、“複素環”という用語は下記の例示の構造(これらは適当な原子価が維持される限り、それぞれの形態がいずれかの原子に共有結合を介して結合されてもよいというような基として示されていない)を含む。
【0027】
【化14】
【0028】
【化15】
【0029】
【化16】
【0030】
ヘテロ芳香族という用語はヘテロアリール、単環式C5-14-ヘテロアリール、又は多環式C5-14-ヘテロアリールを意味する。
“ヘテロアリール”という用語は5〜14個の環原子からなる、N、O又はS(O)r(式中、r=0, 1 又は2)から選ばれた1個以上のヘテロ原子を含む単環式又は多環式環系(そのヘテロ原子の少なくとも一つが芳香族環の一部である)を意味する。“ヘテロアリール”という用語は全ての可能な異性体形態を含むことが意図されている。
こうして、“ヘテロアリール”という用語は下記の例示の構造(これらは適当な原子価が維持される限り、それぞれの形態がいずれかの原子に共有結合を介して結合されてもよいというような基として示されていない)を含む。
【0031】
【化17】
【0032】
【化18】
【0033】
“単環式C5-7-複素環”という用語は5〜7個の環原子からなる、N、O又はS(O)r(式中、r=0, 1 又は2)から選ばれた1個以上のヘテロ原子を含む飽和又は不飽和非芳香族単環式環系を意味する。“単環式C5-7-複素環”という用語は全ての可能な異性体形態を含むことが意図されている。
こうして、“単環式C5-7-複素環”という用語は下記の例示の構造(これらは適当な原子価が維持される限り、それぞれの形態がいずれかの原子に共有結合を介して結合されてもよいというような基として示されていない)を含む。
【0034】
【化19】
【0035】
【化20】
【0036】
“単環式C5-6-ヘテロアリール”という用語は5個又は6個の環原子からなる、N、O又はS(O)r(式中、r=0, 1 又は2)から選ばれた1個以上のヘテロ原子を含む単環式環系を意味し、この場合、ヘテロ原子の少なくとも一つが芳香族環の一部である。“単環式C5-6-ヘテロアリール”という用語は全ての可能な異性体形態を含むことが意図されている。
こうして、“単環式C5-6-ヘテロアリール”という用語は下記の例示の構造(これらは適当な原子価が維持される限り、それぞれの形態がいずれかの原子に共有結合を介して結合されてもよいというような基として示されていない)を含む。
【0037】
【化21】
【0038】
“二環式C8-10-複素環”という用語は8〜10個の環原子からなる、N、O又はS(O)r(式中、r=0, 1 又は2)から選ばれた1個以上のヘテロ原子を含む芳香族環系を含む飽和又は不飽和二環式環系を意味し、この場合、ヘテロ原子が必要により芳香族環の一部であってもよい。“二環式C8-10-複素環”という用語は全ての可能な異性体形態を含むことが意図されている。
こうして、“二環式C8-10-複素環”という用語は下記の例示の構造(これらは適当な原子価が維持される限り、それぞれの形態がいずれかの原子に共有結合を介して結合されてもよいというような基として示されていない)を含む。
【0039】
【化22】
【0040】
【化23】
【0041】
単独で、又は別の置換基と組み合わせて本明細書に使用される“アリール又は複素環の環化種”という用語(この場合、環化種はアリール-het (a)、het-アリール (b)又はhet-het (c)環化として存在する)は
炭素原子を含む芳香族単環式系又は芳香族多環式系(これは炭素原子と窒素、酸素及び硫黄から選ばれた1個、2個、3個又は4個の環ヘテロ原子とを含む5員、6員又は7員飽和又は不飽和(芳香族を含む)複素環に環化される)又は
炭素原子と窒素、酸素及び硫黄から選ばれた1個、2個、3個又は4個の環ヘテロ原子とを含む5員、6員又は7員飽和又は不飽和(芳香族を含む)複素環(これは炭素原子を含む芳香族単環式系又は芳香族多環式系に環化される)又は
炭素原子と窒素、酸素及び硫黄から選ばれた1個、2個、3個又は4個の環ヘテロ原子とを含む5員、6員又は7員飽和又は不飽和(芳香族を含む)複素環(これは炭素原子と窒素、酸素及び硫黄から選ばれた1個、2個、3個又は4個の環ヘテロ原子とを含む5員、6員又は7員飽和又は不飽和(芳香族を含む)複素環に環化される)
から1個の水素の除去により誘導された1価の置換基を意味する。
アリール又はhet の環化種の好適な例として、キノリニル、1-インドイル、3-インドイル、5-インドイル、6-インドイル、インドリジニル、ベンゾイミダジル又はプリニルが挙げられる。
【0042】
本明細書に使用される“ハロゲン”という用語はフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードから選ばれるハロゲン置換基を意味する。
“C1-n-アルキル”という用語(nは2からnまでの整数である)は、単独で、又は別の基と組み合わせて、1〜n個のC原子を有する非環式、飽和、分枝又は線状炭化水素基を表す。例えば、用語C1-5-アルキルは基H3C-、H3C-CH2-、H3C-CH2-CH2-、H3C-CH(CH3)-、H3C-CH2-CH2-CH2-、H3C-CH2-CH(CH3)-、H3C-CH(CH3)-CH2-、H3C-C(CH3)2-、H3C-CH2-CH2-CH2-CH2-、H3C-CH2-CH2-CH(CH3)-、H3C-CH2-CH(CH3)-CH2-、H3C-CH(CH3)-CH2-CH2-、H3C-CH2-C(CH3)2-、H3C-C(CH3)2-CH2-、H3C-CH(CH3)-CH(CH3)-及びH3C-CH2-CH(CH2CH3)-を含む。
“C1-n-アルキレン”という用語(nは2〜nの整数である)は、単独で、又は別の基と組み合わせて、1個からn個までの炭素原子を含む非環式、直鎖又は分枝鎖の2価のアルキル基を表す。例えば、C1-4-アルキレンという用語は-CH2- 、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-C(CH3)2- 、-CH(CH2CH3)-、-CH(CH3)-CH2-、-CH2-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH(CH3)-、-CH(CH3)-CH2-CH2-、-CH2-CH(CH3)-CH2-、-CH2-C(CH3)2-、-C(CH3)2-CH2-、-CH(CH3)-CH(CH3)-、-CH2-CH(CH2CH3)- 、-CH(CH2CH3)-CH2-、-CH(CH2CH2CH3)-、-CHCH(CH3))2- 及び-C(CH3)(CH2CH3)-を含む。
【0043】
“C2-n-アルケニル”という用語は、前記基のこれらの炭素原子の少なくとも2個が二重結合により互いに結合されている場合に、少なくとも2個の炭素原子を有する“C1-n-アルキル”の定義に定義される基について使用される。
“C2-n-アルケニレン”という用語は、前記基のこれらの炭素原子の少なくとも2個が二重結合により互いに結合されている場合に、少なくとも2個の炭素原子を有する“C1-n-アルキレン”の定義に定義される基について使用される。
“C2-n-アルキニル”という用語は、前記基のこれらの炭素原子の少なくとも2個が三重結合により互いに結合されている場合に、少なくとも2個の炭素原子を有する“C1-n-アルキル”の定義に定義される基について使用される。
“C2-n-アルキニレン”という用語は、前記基のこれらの炭素原子の少なくとも2個が三重結合により互いに結合されている場合に、少なくとも2個の炭素原子を有する“C1-n-アルキレン”の定義に定義される基について使用される。
“C1-6-アルコキシ”という用語(その他の基の一部である基を含む)は1〜6個の炭素原子を有する分枝アルコキシ基及び非分枝アルコキシ基を意味し、“C1-4-アルコキシ”という用語は1〜4個の炭素原子を有する分枝アルコキシ基及び非分枝アルコキシ基を意味する。1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基が好ましい。例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ又はペントキシが挙げられる。略号OMe 、OEt 、OPr 等が必要により上記基について使用されてもよい。特にことわらない限り、定義プロポキシ、ブトキシ及びペントキシはそれぞれの基の全ての可能な異性体形態を含む。こうして、例えば、プロポキシはn-プロポキシ及びイソ-プロポキシを含み、ブトキシはイソ-ブトキシ、sec-ブトキシ及びtert-ブトキシ等を含む。
単独の、又は別の基と組み合わせての“C3-n-シクロアルキル”という用語(nは4〜nの整数である)は3〜n個のC原子を有する環式、飽和、非分枝炭化水素基を表す。例えば、C3-7-シクロアルキルという用語はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを含む。
単独の、又は別の基と組み合わせての“C3-n-シクロアルケニル”という用語(nは3〜nの整数である)は、3〜n個のC原子(その少なくとも2個が二重結合により互いに結合されている)を有する環式、不飽和だが非芳香族の非分枝炭化水素基を表す。例えば、C3-7-シクロアルケニルという用語はシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル及びシクロヘプタトリエニルを含む。
構造とそれらの名称の間の矛盾の全ての場合には、構造が優先すべきである。
【0044】
5. 好ましい実施態様
置換基XはCl又はBr、好ましくはClを表す。
置換基R1はアリル- 、NC-C3-4-アルキレン- 、H-(O-CH2-CH2)q-、CH3-(O-CH2-CH2)m- 、テトラヒドロピラニル-(CH2)r-、N-[R11-(O-CH2-CH2)s-CH2-C(O)]-ピペリジン-4-イル-(CH2)r- 又はR9R10N-C(O)-(2-オキソ-2H-ピリド-1-イル)-C3-5-アルキレン- 、好ましくはアリル- 、NC-C3-4-アルキレン- 、H-(O-CH2-CH2)q- 、テトラヒドロピラニル-(CH2)0-1-、N-アセチル-ピペリジニル - 、又はR9R10N-C(O)-(2-オキソ-2H-ピリド-1-イル)-C3-5-アルキレン- を表し、下記の式(aa)- (ag)からなる群から選ばれた置換基が特に好ましい。
【0045】
【化24】
【0046】
また、下記の式(ab)- (af)からなる群から選ばれた置換基が特に好ましい。
【化25】
【0047】
置換基R2はC1-3-アルキル- 、好ましくはエチル- を表す。
置換基R3はH、ハロゲン、HO- 、(HO-C2-3-アルキレン)2N-、(R7O-)(R8O-)P(O)-(CH2)n-O-、R5R6N-C(O)-CH2-O- 、HO-(CH2)2-O- 、(CH3)2P(O)-CH2O- 又は下記の式(bg)の置換基を表し、
【化26】
【0048】
かつ、R3がH又はハロゲンを表す場合には、R4がH又はハロゲンを表さず、H、HO- 、(HO-C2-3-アルキレン)2N-、(R7O-)(R8O-)P(O)-(CH2)n-O- 、R5R6N-C(O)-CH2-O- 又はHO-(CH2)2-O- が好ましく、またR3がHを表す場合には、R4がH又はハロゲンを表さず、H、HO- 又は下記の式(ba)- (bf)からなる群から選ばれた置換基が特に好ましく、
【化27】
【0049】
かつ、R3がHを表す場合には、R4がH又はClを表さず、また、HO- 又は下記の式(ba)、(be)又は(bf)からなる群から選ばれた置換基が特に好ましく、
【化28】
【0050】
また、下記の式(bb)- (bd)からなる群から選ばれた置換基が特に好ましい。
【化29】
【0051】
置換基R4はH、ハロゲン、HO- 、(HO-C2-3-アルキレン)2N-、(R7O-)(R8O-)P(O)-(CH2)n-O-、R5R6N-C(O)-CH2-O- 、HO-(CH2)2-O-, (CH3)2P(O)-CH2O- 又は下記の式(bg)の基を表し、
【化30】
【0052】
かつ、R4がH又はハロゲンを表す場合には、R3がH又はハロゲンを現さず、H、Cl又はR5R6N-C(O)-CH2-O- が好ましく、また、R4がH又はClを表す場合には、R3がHを表さず、H、Cl又は下記の式(ca)の基が特に好ましく、
【化31】
【0053】
かつ、R4がH又はClを表す場合には、R3がHを表さず、またCl又は下記の式(ca)の置換基が特に好ましく、
【化32】
【0054】
かつ、R4がClを表す場合には、R3がHを表さない。
置換基R5はH又はC1-2-アルキル- 、好ましくはH又はエチル- を表す。
置換基R6はH又はC1-2-アルキル- 、好ましくはH又はエチル- を表し、又は
置換基R5、R6はそれらが結合されている窒素原子と一緒にチオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-ジオキシドからなる群から選ばれた6員複素環を形成する。
置換基R7はH又はC1-3-アルキル- 、好ましくはH又はエチル- を表す。
置換基R8はH又はC1-3-アルキル-、好ましくはH又はエチル- 、特に好ましくはHを表す。
置換基R9はH又はC1-3-アルキル- 、好ましくはH又はメチル、特に好ましくはメチルを表す。
置換基R10 はH又はC1-3-アルキル- 、好ましくはH又はメチルを表し、メチルが特に好ましい。
置換基R11 はH又はC1-3-アルキル- 、好ましくはHを表す。
変数mは2、3又は4、好ましくは2又は3を表し、2が特に好ましい。
変数nは2又は3、好ましくは3を表す。
変数qは3又は4、好ましくは3を表す。
変数rは0、1、2又は3、好ましくは0又は1を表す。
変数sは0、1又は2、好ましくは0又は1を表す。
陰イオンZ-は塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、水酸化物イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、マンデル酸イオン、メタンスルホン酸イオン又はp-トルエンスルホン酸イオン、好ましくは塩化物イオン、ギ酸イオン及びトリフルオロ酢酸イオンからなる群から選ばれた生理学上許される陰イオンを表す。
変数zは負に荷電された置換基R1-R4 について0を表し、非荷電置換基R1-R4 について1を表し、又は正に荷電された置換基R1-R4 について2を表す。
また、これらの化合物の互変異性体及び任意の薬理学上許される酸付加塩が好ましい。
先に定義された置換基のいずれか及びそれぞれのその他が互いに組み合わされてもよい。
【0055】
6. 調製
下記の方法が一般式 (I)の化合物を調製するのに適している。
本発明の化合物は当業者に知られており、また有機合成の文献に記載されている方法を使用して得られてもよい。官能基の保護工程及び脱保護工程についての一般方法が、例えば、Greene, T.W.及びWuts, P.G.M.(編集): 有機合成における保護基, 第三編1999; John Wiley and Sons 社に記載されている。これらの化合物は以下に更に充分に説明され、特に実験の節に記載されている調製の方法と同様に得られることが好ましい。
一般式 (I)の化合物は、例えば、カップリング試薬HATUを適用して一般式(II)のアミンと適当な3,5-ジアミノピラジン-2-カルボン酸から通常のアミド化操作により調製し得る。アミン(II)は通常の脱保護操作により一般式 (III)のN-保護前駆体から調製し得る。(III) 中の好適な保護基は、例えば、BOC (式中、RPG がNHPGを表し、PGがtert-BuOC(O)- を表す)及びフタロイル(式中、RPG がフタルイミドを表す)である。化合物 (III)はアルキル化剤R1-LG を適用して一般式 (IIIa) のベンゾイミダゾールのアルキル化により調製し得る。脱離基LGは、例えば、Br又はIであってもよい。
また、一般式 (I)の化合物はアルキル化剤R1-LG を適用して一般式(Ia)のベンゾイミダゾールのアルキル化により調製し得る。脱離基LGは、例えば、Br又はIであってもよい。一般式(Ia)の化合物は、例えば、カップリング試薬HATUを適用して一般式(IIa)のアミンと適当な3,5-ジアミノピラジン-2-カルボン酸から通常のアミド化操作により調製し得る。アミン (IIa)は通常の脱保護操作により一般式 (IIIa) のN-保護前駆体から調製し得る。(IIIa)中の好適な保護基は、例えば、BOC (式中、RPG がNHPGを表し、PGがtert-BuOC(O)- を表す)及びフタロイル(式中、RPG がフタルイミドを表す)である。
【0056】
ベンゾイミダゾール(IIIa)はフェニレンジアミン(IV)から(i) 例えば、カップリング試薬TBTUを使用するN-保護グリシンによるアミド化及び(ii)例えば、高温での氷酢酸中の、酸触媒作用下の閉環を含む2工程操作で調製し得る。
フェニレンジアミンはそれぞれのニトロアニリン (V)から通常のニトロ還元条件(例えば、触媒としてラネーニッケルを使用する接触水素化)により調製し得る。
化合物 (V)は誘導体(VI)から求核試薬としての一級アミン R2-NH2 による脱離基LG(例えば、F又はCl)の求核置換により調製し得る。また、化合物 (V)はニトロアニリン(Va)からアルキル化(アルキル化剤R2-LG を使用する)又は芳香族アミノ基の還元アミノ化(適当なアルデヒドを使用する)により入手し得る。
化合物 (I)、(Ia)、(III) 、(IIIa)及び (V)は当業者に知られており、また有機合成の文献に記載されている合成の方法を使用して、好ましくは官能基の保護工程もしくは脱保護工程、エステル化、アミド化、水素化、又は1,3-双極環付加により変性し得る。それにより、このような変性の前に、R1、R2、R3、及びR4の構造が以下に特許請求されるものを超えるかもしれない。
当業者は、これらの一般合成スキーム内で、置換基R1及びR2が一般に相互に変えられ、R1に代えてR2がアルキル化剤R2-LG を適用する後のアルキル化工程で導入し得ることを意味することを認めるであろう。
【0057】
【化33】
【0058】
【化34】
【実施例】
【0059】
本発明のその他の特徴及び利点が、例として、本発明の原理を説明する以下の更に詳しい実施例から明らかになるであろう。
化合物の塩形態が明記されない場合、化合物は化学構造、合成条件並びに適用される処理及び精製の方法に応じて、遊離塩基又は塩又は双性イオンとして存在し得る。当業者は化合物が或る塩形態に限定されないことを認めるであろう。化合物の塩形態が明記される場合、対イオンの化学量論量が通常省かれる。多く荷電された対イオンの場合には、当業者は得られる塩形態が荷電されず、相当する化学量論量をもたらすことを認めるであろう。当業者は化合物がモノ塩形態に限定されないこと及びそれが二塩、三塩又はその他の化合物:対イオン化学量論量として存在し得ることを認めるであろう。更に、当業者はこのような化合物が合成条件並びに適用される処理及び精製の方法に応じて、異なる対イオンとの塩として予期せずに存在し得ることを認めるであろう。収率測定の目的のみのために、対イオンの性質及び化合物:対イオン化学量論量の推定がなされる(示される式により示されるように)。
7.1 中間体の合成
中間体A.1
3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボン酸
【0060】
【化35】
A.1
【0061】
メチル 3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボキシレート (100 g; 494 ミリモル) 、メタノール (1 l) 及びNaOH(水中6 モル/l; 240 ml; 1.44モル)の混合物を3時間還流する。その混合物を室温に冷却し、次いで塩酸(水中6 モル/l;約240 mL)の添加により中和する。水 (200 ml) を添加する。生成された沈澱を吸引濾過し、水で洗浄し、60℃で乾燥させる。
C5H5ClN4O2ESI 質量スペクトル: m/z = 189 [M+H]+; m/z = 187 [M-H]-
中間体A.2
3,5-ジアミノ-6-ブロモピラジン-2-カルボン酸
【0062】
【化36】
A.2
【0063】
A.2 を中間体A.1 の合成について記載された操作と同様にしてメチル 3,5-ジアミノ-6-ブロモピラジン-2-カルボキシレート (これはJ.Med.Chem.10 (1967) 66-75 に記載されたようにメチル 3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボキシレートから調製される)から調製する。
中間体I.1
【0064】
【化37】
I.1
【0065】
ジオキサン (20 ml)中の中間体 XVII.1 (0.82 g; 1.73 ミリモル) の懸濁液に塩化水素( ジオキサン中4.0 モル/L; 4.33 ml; 17.3 ミリモル) を添加する。その混合物を一夜撹拌し、蒸発、乾燥させる。粗生成物を陽イオン交換クロマトグラフィー(SCX-2; 50 g; メタノール性アンモニアで溶離) により精製して標題化合物を得る。
C19H27N5O3ESI 質量スペクトル: m/z = 375 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれのBOC-保護アミンから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0066】
【化38】
【0067】
中間体 II.1
【化39】
II.1
【0068】
THF (20 ml) 及び水 (12 ml)中の中間体 III.1 (9.20 g; 19.4 ミリモル) の懸濁液に水酸化ナトリウム (水中32%; 3.73 ml; 38.8 ミリモル) を添加する。その混合物を室温で1時間撹拌し、次いで有機溶媒を蒸発させる。クエン酸を添加してpH 4を得る。その混合物をDCM で2回抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発、乾燥させて標題化合物を得る。
C22H30N4O6ESI 質量スペクトル: m/z = 447 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれのエステルから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0069】
【化40】
【0070】
中間体 III.1
【化41】
III.1
【0071】
DMF (100 ml)及び水 (10 ml)中のジアミン中間体 V.1 (10.7 g; 29.7 ミリモル) の混合物に酢酸(2.67 ml; 44.5 ミリモル) を滴下して添加する。DMF 中のtert-ブチル-N-(2-オキソエチル)カルバメート (4.72 g; 29.7 ミリモル) の溶液を添加し、その混合物を空気雰囲気下で一夜撹拌する。揮発物を蒸発させ、残渣をDCM に吸収させ、水で抽出する。有機層を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発、乾燥させる。残渣をACN/水 2:8ですり砕き、得られる固体を濾過し、真空で60℃で乾燥させて標題化合物を得る。
C24H34N4O6ESI 質量スペクトル: m/z = 475 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれのジアミンから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0072】
【化42】
【0073】
中間体 IV.1
【化43】
IV.1
【0074】
アリールハライド中間体 VII.2 (10.5 g; 41.9 ミリモル) 、アミン 1-アセチル-4-アミノピペリジン塩酸塩 (7.48 g; 41.9 ミリモル) 、炭酸カリウム (20.3 g; 147 ミリモル) 及びDMF (60 ml) の混合物を室温で2日間撹拌する。その混合物を水で希釈し、DCM で抽出する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させる。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (シクロヘキサン/酢酸エチル70:30 -> 20:80) により精製して標題化合物を得る。
C17H23N3O6ESI 質量スペクトル: m/z = 366 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれのアミン及びそれぞれのアリールハライドから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0075】
【化44】
【0076】
中間体 V.1
【化45】
V.1
【0077】
エタノール (120 ml) 中の中間体 IV.1 (11.8 g; 30.4 ミリモル) をパール装置中で一夜にわたって水素化する (室温, 3.5kg/cm2(50 psi)の水素; 触媒: Pd/C 5%; 1.00 g) 。触媒を窒素雰囲気下で濾別し、濾液をそこに記載された次の反応工程に直接適用する。
C17H25N3O4ESI 質量スペクトル: m/z = 336 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれの出発物質から示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0078】
【化46】
【0079】
中間体 VI.1
【化47】
VI.1
【0080】
ジアミノベンゼン中間体 V.5 (THF 溶液; 理論量: 15.6 g; 94.0 ミリモル) 、N-フタロイルグリシン (19.3 g; 94.03 ミリモル) 、TBTU (33.2 g; 103 ミリモル) 及びTEA (14.3 ml; 103 ミリモル) の混合物を室温で3時間撹拌する。沈澱を濾過し、乾燥させ、氷酢酸に吸収させ、2時間還流する。その混合物を蒸発させる。残渣を水に吸収させ、酢酸エチルで抽出する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させる。残渣を酢酸エチル中で還流し、室温に冷却し、濾過し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥させる。
C19H17N3O3ESI 質量スペクトル: m/z = 336 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれのジアミノベンゼンから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0081】
【化48】
【0082】
中間体 VII.1
【化49】
VII.1
【0083】
ACN (20ml)中の3-フルオロ-4-ニトロフェノール (2.56 g; 16.30 ミリモル) 、ジエチル (3-ブロモプロピル)-ホスホネート (3.26 ml; 16.98 ミリモル) 及び炭酸カリウム (2.48 g; 17.9 ミリモル) の混合物を80℃で4時間撹拌する。室温に冷却した後、不溶性物質を濾別し、捨てる。母液を蒸発させる。
C13H19FNO6P ESI 質量スペクトル: m/z = 336 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれのニトロフェノール及びアルキルハライドから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0084】
【化50】
【0085】
中間体 VIII.1
【化51】
VIII.1
【0086】
中間体 VII.1 (23.58 g; 63.30 ミリモル) 及びエチルアミン (THF 中2 M; 80.0 ml; 160 ミリモル) の混合物を90℃で1時間撹拌する(マイクロウェーブ加熱)。その混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させる。
C15H25N2O6P ESI 質量スペクトル: m/z = 361 [M+H]+
HPLC分析: RT = 0.69 分 (HPLC 方法 1)
中間体 IX.1
【化52】
IX.1
【0087】
ACN (15 ml) 中の中間体 VI.4 (1.50 g; 3.65 ミリモル) 及び2-[2-(2-ヨードエトキシ)エトキシ]エタン-1-オール (ヨウ化ナトリウムとのフィンケルシュタイン交換により2-[2-(2-クロロエトキシ)エトキシ]エタン-1-オールから調製した; 3.79 g; 14.6 ミリモル)の混合物を120 ℃で7時間撹拌する(密閉容器)。その混合物を蒸発させ、残渣をRP-HPLC (カラム: サンファイアー C18; 水-ACN;変性剤TFA)により精製して標題化合物を得る。
C31H34N3O6 x TFA ESI 質量スペクトル: m/z = 544 [M+]
HPLC分析: RT = 0.78分 (HPLC 方法 2)
下記の中間体をそれぞれのアルキルハライド及びベンゾイミダゾールから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成がTFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0088】
【化53】
【0089】
中間体 X.1
【化54】
X.1
【0090】
エタノール (10 mL)中の中間体 VI.2 (310 mg; 0.848 ミリモル) 及びヒドラジン水和物 (0.20 mL; 4.12 ミリモル) の混合物を1時間還流する。室温に冷却した後、沈澱を濾別する。母液を蒸発させ、残渣をDCM に吸収させる。不溶性物質を濾別し、捨てる。母液を蒸発させ、粗生成物を更にクロマトグラフィー精製しないで反応させる。
C12H17N3O2ESI 質量スペクトル: m/z = 236 [M+]
下記の中間体をそれぞれの保護アミンから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0091】
【化55】
【0092】
中間体 XI.1
【化56】
XI.1
【0093】
1,4-ジヨードブタン (3.97 ml; 30.1 ミリモル) 、炭酸セシウム (1.96 g; 6.02 ミリモル) 、DMF (10 ml) 及び中間体 XII.1 (1.00 g; 3.09 ミリモル) の混合物を70℃で一夜撹拌する。カリウムtert-ブチレート (338 mg; 3.09 ミリモル) を添加し、その混合物を70℃で更に2時間撹拌する。水を添加し、その混合物をDCM で抽出する。有機層を乾燥させ (MgSO4)、蒸発させる。生成物をRP-HPLC (カラム: サンファイアー C18; 水-ACN;変性剤TFA)により精製して標題化合物を得る。
C12H17IN2O2ESI 質量スペクトル: m/z = 349 [M+H]+
中間体 XII.1
【0094】
【化57】
XII.1
【0095】
6-ヒドロキシニコチン酸 (4.3 g; 30.9 ミリモル) 及び塩化チオニル (4.5 ml; 61.7 ミリモル) の混合物を2時間還流する。揮発物を蒸発させ、残渣をトルエンとともに同時蒸留する。氷浴で冷却しながら残渣にジメチルアミン (THF 中2 モル/L; 30.9 ml; 61.8 ミリモル) を添加し、次いでその混合物を室温で一夜撹拌する。揮発物を蒸発させ、粗生成物を更にクロマトグラフィー精製しないで反応させる。
C8H10N2O2ESI 質量スペクトル: m/z = 165 [M-H]-
中間体 XIII.1
【化58】
XIII.1
【0096】
中間体 XVIII.6 (1.60 g; 4.26 ミリモル) 、三臭化ホウ素 (DCM 中1 モル/L; 21.3 ml; 21.3 ミリモル) 及びDCM (20 ml) の混合物を室温で一夜撹拌する。水を添加し、全混合物を蒸発させる。残渣をメタノールに吸収させ、不溶性物質を濾別し、捨て、濾液を蒸発させる。生成物をRP-HPLC (変性剤:TFA)により精製して標題化合物を得る。
C15H16ClN7O2ESI 質量スペクトル: m/z = 360 [M-H]-
中間体 XIV.1
【化59】
XIV.1
【0097】
中間体 XV.1 (168 mg; 0.269 ミリモル) 、TFA (2.0 ml)及びDCM (5.0 ml)の混合物を室温で1時間撹拌する。揮発物を蒸発させ、残渣をメタノール及びアンモニア (32%の水溶液; 2.0 ml) に吸収させる。その混合物を室温で1時間撹拌し、次いで揮発物を蒸発させ、残渣をRP-HPLC (変性剤:TFA)により精製して標題化合物を得る。
C20H32ClN4O3 x C2F3O2ESI 質量スペクトル: m/z = 411 [M]+
中間体 XV.1
【化60】
XV.1
【0098】
ACN (5.0 ml)中の中間体 XIX.1 (500 mg; 1.21 ミリモル) 及び4-ヨードメチル-テトラヒドロピラン (1.07 g; 4.73 ミリモル) の混合物を7時間にわたって120 ℃に加熱する(マイクロウェーブ加熱;密閉容器)。追加の4-ヨードメチル-テトラヒドロピラン (1.07 g; 4.73 ミリモル) を添加し、その混合物を一夜にわたって再度120 ℃に加熱する(マイクロウェーブ加熱;密閉容器)。揮発物を蒸発させ、粗生成物をRP-HPLC (変性剤:TFA)により精製して標題化合物を得る。
C25H40ClN4O5 x C2F3O2ESI 質量スペクトル: m/z = 511 [M]+
中間体 XVI.1
【0099】
【化61】
XVI.1
【0100】
中間体 IV.4 (5.00 g; 21.3 ミリモル) 、ジエタノールアミン (2.3 ml; 24.1 ミリモル) 、カリウムtert-ブチレート (5.01 g; 44.7 mミリモル) 及びDMF (50 ml) の混合物を室温で2時間撹拌する。水を添加し、その混合物を蒸発させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (DCM / メタノール 2% -> 6%)により精製して標題化合物を得る。
C12H18ClN3O4ESI 質量スペクトル: m/z = 304 [M+H]+
中間体 XVII.1
【0101】
【化62】
XXII.1
【0102】
DMF (40 ml) 中の酸中間体 II.1 (1.47 g; 2.47 ミリモル) 、TBTU (1.03 g; 3.21 ミリモル) 及びN-メチルモルホリン (0.92 ml; 8.40 ミリモル) の混合物を室温で1時間撹拌する。エチルアミン塩酸塩 (221 mg; 2.72 ミリモル) を添加する。2時間撹拌した後、その混合物を蒸発させる。残渣を酢酸エチルに吸収させ、水及びNaHCO3(飽和水溶液)で洗浄する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させて粗標題化合物を得、これを更にクロマトグラフィー精製しないで反応させる。
C24H35N5O5ESI 質量スペクトル: m/z = 474 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれのアミン及び酸から示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0103】
【化63】
【0104】
中間体 XVIII.1
【化64】
XXIV.1
【0105】
DMF (15 ml) 中の中間体 X.7 (2.75 g; 7.44 ミリモル) 、中間体 A.1 (1.40 g; 7.44 ミリモル) 、HATU (2.92 g; 7.44 ミリモル) 及びTEA (2.09 ml; 14.9 ミリモル) の混合物を室温で一夜撹拌する。その混合物を氷水に注ぎ、得られる沈澱を濾過し、水で洗浄し、乾燥させる。
C22H31ClN7O5P ESI 質量スペクトル: m/z = 540 [M+H]+
HPLC分析: RT = 0.68 分 (HPLC 方法 2)
下記の一般式XVIII.A の中間体をそれぞれのアミンから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0106】
【化65】
XVIII.A

【0107】
中間体 XIX.1
【化66】
XIX.1
【0108】
エタノール (60 ml)中の中間体 XVI.1 (2.00 g; 6.59 ミリモル) 及びtert-ブチル-N-(2-オキソエチル)-カルバメート (1.10 g; 6.91 ミリモル) の溶液に水 (40 ml)中の亜ジチオン酸ナトリウム (6.00 g; 29.3 ミリモル) の溶液を滴下して添加する。その混合物を50℃で5時間撹拌し、室温に冷却し、炭酸ナトリウムの添加によりアルカリ性にし、酢酸エチルで抽出する。有機層を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発させる。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (DCM / メタノール 3% -> 6%)により精製して標題化合物を得る。
C19H29ClN4O4ESI 質量スペクトル: m/z = 411 [M-H]-
中間体 XX.1
【0109】
【化67】
XXXI.1
【0110】
段階 1:
3-フルオロ-4-ニトロ-フェノール (0.94 g; 5.96 ミリモル) 及びエチルアミン (THF 中2M; 10.00 mL; 20.00 ミリモル) の混合物をマイクロウェーブ中で90℃で1時間撹拌する。その混合物を水及びEtOAc で希釈する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させる。
収量: 0.63 g (理論値の58%)
C8H10N2O3ESI 質量スペクトル: m/z = 183 [M+H]+
段階 2:
DMSO (10 mL)中の中間体 XXXI.1 段階 1 (0.63 g; 3.46 ミリモル) 、炭酸カリウム (0.53 g; 3.46 ミリモル) 、ヨウ化カリウム (0.57 g; 3.46 ミリモル) 及びクロロメチル(ジメチル)ホスフィンオキシド (0.48 g; 3.80 ミリモル) を110 ℃で3日間撹拌する。室温に冷却した後、その混合物をDCM で希釈する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させる。
収量: 0.81 g (理論値の86%)
C11H17N2O4P ESI 質量スペクトル: m/z = 273 [M+H]+
【0111】
段階 3:
THF (10 mL) 中の中間体 XXXI.1 段階 2 (0.81 g; 3.46 ミリモル) 及びPd/C (10%; 0.16 g) をパール装置中で水素化する (50℃; 3*105 Pa; 3 日間)。触媒を濾別する。
収量: 0.72 g (理論値の100%)
C11H19N2O2P
段階 4:
残っているTHF 中のN-フタロイルグリシン (7.00 g; 0.03 モル) 、TBTU (10.96 g; 0.03モル) 及びTEA (9.59 mL; 0.07モル) の混合物を室温で10分間撹拌する。中間体 XXXI.1 段階 3 (8.27 g; 0.03モル) を添加する。5時間撹拌した後、その混合物を水で希釈し、EtOAc で抽出する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させる。
残渣を氷酢酸 (130 mL) に吸収させ、100 ℃で一夜撹拌する。溶媒を除去し、残渣をNaHCO3水溶液及びメチルイソブチルケテンに吸収させる。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させる。残渣をRP-HPLC (変性剤:TFA)により精製する。
収量: 2.78 g (理論値の20%)
C21H22N3O4P
ESI 質量スペクトル: m/z = 412 [M+H]+
段階 5:
ACN (30 mL) 中の中間体 XXXI.1 段階 4 (3.09 g; 7.51 ミリモル) 及び2-[2-(2-ヨードエトキシエトキシ)エタノール (19.53 g; 75.11 ミリモル) 及びDIPEA (1.40 mL; 8.14ミリモル) の混合物をマイクロウェーブ中で120 ℃で2時間そして120 ℃で更に48時間撹拌する。その混合物をRP-HPLC (変性剤:TFA)により精製する。
収量: 2.70 g (理論値の11%)
C27H35N3O7P * C2F3O2
ESI 質量スペクトル: m/z = 261 [M+H]+
段階 6:
MeOH (20 mL)中の中間体 XXXI.1 段階 5 (2.70 g; 1.23 ミリモル) 及びヒドラジン水和物 (2.00 mL; 41.15 ミリモル) の混合物を60℃で一夜撹拌する。室温に冷却した後、得られる沈澱を濾別し、捨てる。溶媒を蒸発させる。残渣をRP-HPLC (変性剤:TFA)により精製する。
収量: 0.66 g (理論値の100%)
C19H33N3O5P * C2F3O2ESI 質量スペクトル: m/z = 414 [M+]
【0112】
7.2 実施例の合成
実施例 1.1
【化68】
1.1
【0113】
DMF (5 ml)中の3,5-ジアミノ-6-クロロ-ピラジン-2-カルボン酸 (中間体 A.1; 10 mg; 0.053 ミリモル) 、アミン中間体 XIV.1 (TFA 塩として; 22 mg; 0.042 ミリモル) 、カップリング試薬HATU (50 mg; 0.132 ミリモル) 及びDIPEA (100 μl; 0.59 ミリモル) の混合物を室温で一夜撹拌する。その混合物をRP-HPLC (カラム: サンファイアー C18; 水-ACN; 変性剤 TFA)により精製して標題化合物を得る。
C25H35Cl2N8O4 x Cl ESI 質量スペクトル: m/z = 581 [M]+
HPLC分析: RT = 0.66 分 (HPLC 方法 2)
それぞれのアミンを適用して、下記の一般式1.A の化合物を示されるように従って調製する。適用される条件のために、操作が塩化物塩、TFA 塩もしくはビス-TFA塩、双性イオン又はその他の塩形態を生じるかもしれない。
【0114】
【化69】
1.A

【0115】
実施例 2.1
【化70】
2.1
【0116】
実施例 2.1を実施例 1.2の合成について記載された操作と同様にして中間体 A.2; 70 mg; 0.30 ミリモル) 及びアミン中間体 X.2 (0.162 g; 0.30 ミリモル) から調製する。
C21H28BrN7O5 x C2F3O2ESI 質量スペクトル: m/z = 538 [M]+
HPLC分析: RT = 0.58 分 (HPLC 方法 2)
それぞれのアミンを適用して、下記の一般式2.A の化合物を示されるように従って調製する。適用される条件のために、操作が塩化物塩、TFA 塩もしくはビス-TFA塩、双性イオン又はその他の塩形態を生じるかもしれない。
【0117】
【化71】
2.A

【0118】
実施例 3.1
【化72】
3.1
【0119】
ACN (4 ml)中の中間体 XVIII.2 (0.15 g; 0.248ミリモル) 及びヨウ化エチル (0.204 mL; 2.48 ミリモル) の混合物を120 ℃で2時間撹拌する(マイクロウェーブ加熱、密閉容器)。更にヨウ化エチル (0.102 mL;1.24 ミリモル) を添加し、その混合物を120 ℃で更に1時間撹拌する。その混合物をRP-HPLC (水-ACN;変性剤ギ酸アンモニウム) により精製して標題化合物を得る。
C26H35ClN9O4 x HCO2ESI 質量スペクトル: m/z = 572 [M+]
HPLC分析: RT = 3.27 分 (HPLC 方法 5)
それぞれのアルキルハライド及びベンゾイミダゾールを使用して、下記の一般式3.A の化合物を示されるように従って調製する。適用される条件のために、操作が塩化物塩、TFA 塩もしくはビス-TFA塩、双性イオン又はその他の塩形態を生じるかもしれない。
【0120】
【化73】
3.A


【0121】
a:反応時間: 120 ℃で6時間 適用された22当量の4-ブロモブチロニトリル RP-HPLC (変性剤: TFA)による精製
b:反応時間: 120 ℃で10時間 RP-HPLC (変性剤: TFA)による精製
c:ほんの1当量のアルキル化剤; 添加された2当量のリチウムビス (トリメチルシリル)アミド; RP-HPLC (変性剤: TFA)による精製
d: RP-HPLC (変性剤: TFA)による精製
e:反応時間: 140 ℃で2時間 適用された22当量の4-ブロモブチロニトリル RP-HPLC (変性剤: TFA)による精製
実施例 4.1
【0122】
【化74】
4.1
【0123】
THF (10 ml) 中の実施例 3.6 (153 mg; 0.212 ミリモル) 、ブロモトリメチルシラン (1.28 ml; 9.76 ミリモル) 及びトリエチルアミン (0.50 ml; 3.56 ミリモル) の混合物を80℃で4時間撹拌する。その混合物をRP-HPLC (カラム: サンファイアー C18; 水-ACN; 変性剤 TFA) により精製して標題化合物を得る。
C22H28ClN8O5P x C2F3O2ESI 質量スペクトル: m/z = 551 [M]+
HPLC分析: RT = 0.58 分 (HPLC 方法 2)
実施例 5.1
【化75】
5.1
【0124】
実施例 3.4 (100.0 mg; 0.133 ミリモル) 、臭化リチウム (115 mg; 1.33 ミリモル) 及びDMF (3.0 ml)の混合物を110 ℃(浴温度)で一夜撹拌する。揮発物を蒸発させ、残渣をRP-HPLC (カラム: サンファイアー C18; 水-ACN; 変性剤 TFA)により精製する。
C26H38ClN7O6P x C2F3O2ESI 質量スペクトル: m/z = 610 [M]+
HPLC分析: RT = 0.35 分 (HPLC 方法 7)
実施例 6.1
【化76】
6.1
【0125】
実施例 6.1を実施例 1.1の合成について記載された操作と同様にして中間体 A.1 (66 mg; 0.35 ミリモル) 及びアミン中間体 X.8 (0.140 g; 0.35 ミリモル)から調製する。
C26H35ClN8O5 x C2F3O2ESI 質量スペクトル: m/z = 575 [M+H]+
HPLC分析: RT = 0.45 分 (HPLC 方法 13)
【0126】
8. 分析方法及び分取クロマトグラフィー
原則として、1H-NMR及び質量スペクトルを調製された化合物について得た。示された質量ピーク (例えば (M+H)+, (M+HCOO)-) は単一同位体の分子量を表す。TLC からのRf値をチャンバー飽和しない既製シリカゲル60 TLCプレートF254 (E.Merck, Darmstadt, 品目番号1.05714)を使用して、又はチャンバー飽和しない既製酸化アルミニウム60 F254 TLC プレート (E.Merck, Darmstadt, 品目番号1.05713)を使用して測定する。溶離剤について示された比は当該溶媒の容積基準の単位に関する。NH3 についての容積基準の単位は水中のNH3 の濃厚液に関する。シリカゲルクロマトグラフィー精製のために、ミリポアからのシリカゲル (MATREXTM, 35-70 my) を使用する。
分取薄層クロマトグラフィー (TLC):
メルクからの分取TLC プレート(PLC シリカゲル60F254;366 、2 mm)を使用する。生成物を含むバンドを掻き取り、得られる生成物/シリカ粉末を(生成物の溶解性に応じて)DCM 、メタノール又はこれらの混合物で抽出する。シリカを濾別し、濾液を蒸発、乾燥させて精製された化合物を得る。
分取HPLC:
静止相: エクスブリッジ C18; 10 μm又はサンファイアー C18; 10 μm (両方ともウォーターズ, www.waters.comから)
分析HPLC/MS 方法
示されたHPLC保持時間を下記のパラメーターのもとに測定する。
HPLC方法 1
【0127】
【表1】
【0128】
HPLC方法 2
【表2】
【0129】
HPLC 方法 3
【表3】
【0130】
【表4】
【0131】
HPLC 方法 5
カラム: アトランチス dC18 5μm 4,6 x 50 mm, 温度35℃
移動相:A = H2O 90% + 10% CH3CN + CF3COOH 0,05%
B = CH3CN 90% + 10% H2O
時間(分) %A %B 流量(ml/分)
0.00 100 0 1.3
0.70 100 0 1.3
4.5 0 100 1.3
5.80 0 100 1.3
6.00 100 0 1.3
【0132】
HPLC方法 6
【表5】
【0133】
HPLC 方法 7
【表6】
【0134】
HPLC方法 8
カラム: シナジー・ヒドロRP100A, 2,5 μm, 3 x 50 mm
移動相:A = H2O 90% + 10% CH3CN + NH4COOH 5 mM
B = CH3CN 90% + H2O 10%
時間(分):%A %B 流量(mL/分)
0.00 100 0 1.2
4.00 0 100 1.2
5.30 0 100 1.2
5.50 100 0 1.2
6.00 100 0 1.2
【0135】
HPLC方法 9
カラム: BEH C18 1.7 μm 2.1 x 50 mm, 温度35℃
移動相: A = H2O 90% + CH3CN 10% + NH4COOH 5 mM
B = CH3CN 90% + H2O 10%
時間(分) %A %B 流量(mL/分)
0.00 100 0 0.70
1.20 0 100 0.70
1.45 0 100 0.70
1.55 100 0 0.70
1.75 100 0 0.70
【0136】
HPLC方法 10
【表7】
【0137】
HPLC方法 11
【表8】
【0138】
HPLC方法 12
【表9】
【0139】
HPLC方法 13
【表10】
【0140】
HPLC 方法 14
【表11】
【0141】
先の略号を先に、また後に使用する。
【表12】
【0142】
【化77】
【0143】
9. 薬理学的試験方法
ユシング(Ussing)チャンバー:マウス腎臓M-1 細胞を10〜12日間にわたってポリエステルトランスウェルフィルター上で5% FCS及び5μM デキサメタゾンを含むDMEM中で培養した。フィルターをテフロン被覆ウェル−プレート(これはユシングチャンバー系にフィットする)に挿入した。測定の前に、M-1 細胞の培地をCaco-2トランスポート緩衝液(インビトロゲン、ドイツ)と交換した。測定中に、ユシングチャンバー温度を37℃に保った。短回路電流 (I_sc) をデータ獲得及び分析のためのソフトウェアパッケージラボ・ビューを用いて電圧−クランプモードで測定した。経上皮電気抵抗 (TEER) を5秒毎に±5mVの電圧ステップの適用により測定した。化合物を3μM の最終濃度又は増大する濃度 (1-3-10μM) で頂端溶液に投与した。それぞれの実験の終了時に、3μM アミロリドを頂端区画に添加することによりアミロリド感受性I_SCを測定した。結果をアミロリド作用の抑制%又はIC50として表す。
先に示された実施例化合物では、下記のIC50値をユシングチャンバーアッセイで測定した。
【0144】
【表13】
【表14】
【0145】
CALU-3細胞における透過性:
透過性フィルター支持体上で増殖された局在化された、集密CALU-3細胞単層を横切る透過性特定を使用して肺上皮を通過する化合物の潜在性についての情報を得る。CALU-3細胞単層を横切る化合物の見掛透過性係数 (Papp) を頂端から基底への(AB)輸送方向及び基底から頂端への(BA)輸送方向で測定する (pH 7.4, 37℃) 。AB透過性 (Papp, AB) は肺ルーメンから血液への薬物吸収を表し、またBA透過性 (Papp, BA) は主として受動的透過性による血液から肺ルーメンへの薬物輸送を表す。何とならば、Calu-3細胞だけでなく、肺上皮細胞がP-gpのような外向きフラックス輸送体を発現しないが、吸収輸送体が発現されるかもしれないからである。
【0146】
CALU-3細胞 (1-2 x 105 細胞/1 cm2 の面積) をフィルターインサート (コスター・トランスウェルポリカーボネートフィルター, 0.4 μm の孔サイズ) に接種し、しっかりした単層が生成されるまで10-12 日間にわたって培養する(DMEM)。関係する化合物を適当な溶液に溶解する (DMSO, 10 mM 原液) 。原液をHTP-4 緩衝液 (128.13 mM NaCl, 5.36 mM KCl, 1 mM MgSO4, 1.8 mM CaCl2, 4.17 mM NaHCO3, 1.19 mM Na2HPO4 x 7H2O, 0.41 mM NaH2PO4xH2O, 15 mM HEPES, 20 mMグルコース, 0.25 % BSA, pH 7.4) で希釈して輸送溶液(10 μMの化合物、最終DMSO <= 0.5 %)を調製する。A-B 又はB-A 透過性(3回のフィルター反復試験)をそれぞれ測定するために輸送溶液(TL)を頂端又は基底外側のドナーサイドに適用する。レシーバーサイドはドナーサイドと同じ緩衝液を含む。収容の30分後に、サンプルをドナーから実験の開始時t0 = 0分及び終了時tn = 90 分に集め、またレシーバーチャンバーから0分、30分、60分、及び90分に集める。除去された容積をHTP-4 緩衝液により補給する。サンプル中の化合物濃度をHPLC-MS/MS又はシンチレーションカウンティングにより測定する。透過性係数(Papp)及び外向きフラックス比を下記の式に従って計算する。
Papp [cm/s] =(濃度レシーバー [nM] * 容積レシーバー [mL]/時間間隔 [sec])*(1/フィルター面積)*(1/ドナー濃度 [nM])
先に示された実施例化合物では、下記の透過性値をCALU-3細胞アッセイで測定した。
【0147】
【表15】
【0148】
10. 指示
判明されたように、式 (I)の化合物は治療分野におけるそれらの広い適用の範囲により特徴づけられる。式 (I)の本発明の化合物が好ましくはENaC阻害薬としてのそれらの医薬効力のために適しているこれらの適用が特に挙げられるべきである。例として、呼吸器の疾患もしくは病気、又は気道のアレルギー性疾患が挙げられる。
増大された粘液生成、炎症及び/又は気道の閉塞性疾患により伴なわれる気道及び肺の疾患の予防及び治療が特に挙げられるべきである。例として、急性、アレルギー性もしくは慢性の気管支炎、慢性閉塞性気管支炎(COPD)、咳、肺気腫、アレルギー性もしくは非アレルギー性鼻炎もしくは副鼻腔炎、慢性鼻炎もしくは副鼻腔炎、喘息、肺胞炎、農夫肺疾患、反応性亢進気道、感染性気管支炎もしくは肺炎、小児喘息、気管支拡張、肺線維症、ARDS (急性成人呼吸困難症候群) 、気管支浮腫、肺浮腫、気管支炎、種々の原因、例えば、発汗、毒性ガスの吸引により誘発される気管支炎、肺炎もしくは間質性肺炎、又は心不全、放射線、化学療法の結果としての気管支炎、肺炎もしくは間質性肺炎、膵のう胞性線維症又はのう腫性膵臓線維症、或いはアルファ1-アンチトリプシン欠乏症が挙げられる。 特に好ましくは、本発明は肺を含む上部呼吸器及び下部呼吸器の炎症性又は閉塞性疾患、例えば、アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、気管支拡張、膵のう胞性線維症、COPD、慢性気管支炎、慢性副鼻腔炎及び喘息の治療のための医薬組成物を調製するための式 (I)の化合物の使用に関する。
式 (I)の化合物を炎症性疾患及び閉塞性疾患、例えば、COPD、慢性気管支炎、慢性副鼻腔炎、喘息、膵のう胞性線維症、特にCOPD、慢性気管支炎、喘息及び膵のう胞性線維症の治療のために使用することが最も好ましい。
実際の医薬有効量又は治療用量は、勿論、当業者により知られている因子、例えば、患者の年齢及び体重、投与の経路及び疾患の重度に依存するであろう。いかなる場合にも、組み合わせは医薬有効量が患者の特有の症状に基づいて送出されることを可能にする用量及び様式で投与されるであろう。
【0149】
11. 組み合わせ
式 (I)の化合物はそれら自体で使用されてもよく、又は本発明の式 (I)のその他の活性物質と連係して使用されてもよい。所望により、式 (I)の化合物はまたその他の薬理学的活性物質と組み合わせて使用されてもよい。
それ故、更に、本発明は式 (I)の一種以上の化合物の他に、更なる活性物質として、更なるENaC阻害薬、ベータミメチックス、坑コリン作用薬、コルチコステロイド、PDE4阻害薬、LTD4アンタゴニスト、EGFR阻害薬、ドーパミンアゴニスト、H1- 坑ヒスタミン薬、PAF-アンタゴニスト、MAP-キナーゼ阻害薬、MPR4阻害薬、iNOS阻害薬、SYK-阻害薬、膵のう胞性線維症膜貫通レギュレーター(CFTR)及びCFTR強化薬のコレクション、又はこれらの二重もしくは三重の組み合わせのカテゴリーの中から選ばれた一種以上の化合物を含むことが好ましい薬物組み合わせに関する。
【0150】
12. 製剤
投与に適した形態は、例えば、吸入可能な粉末又はエアロゾルである。それぞれの場合の一種以上の医薬有効化合物の含量は全組成物の0.2 質量%から50質量%まで、好ましくは5質量%から25質量%までの範囲、即ち、後に明記される用量範囲を得るのに充分である量であるべきである。
吸入により投与される活性物質組み合わせは粉末として、水溶液もしくは水性エタノール溶液として、又は噴射ガス製剤を使用して与えられてもよい。
それ故、医薬製剤はそれらが上記の好ましい実施態様の (I)の一種以上の化合物を含むことを特徴とすることが好ましい。
また、式 (I)の化合物は吸入により投与されることが好ましく、それらが1日1回又は2回投与されることが特に好ましい。この目的のために、式 (I)の化合物は吸入に適した形態で利用される必要がある。吸入可能な製剤として、吸入可能な粉末、噴射剤含有計量投薬エアロゾル又は無噴射剤の吸入可能な溶液が挙げられ、これらは必要により通常の生理学上許される賦形剤と混合して存在してもよい。
本発明の範囲内で、無噴射剤の吸入可能な溶液という用語はまた濃厚液又は無菌の直ぐに使用できる吸入可能な溶液を含む。本発明に従って使用し得る製剤が明細書の次の部分に更に詳しく記載される。
吸入可能な粉末
式 (I)の活性物質が生理学上許される賦形剤と混合して存在する場合、下記の生理学上許される賦形剤が本発明の吸入可能な粉末を調製するのに使用されてもよい:単糖類(例えば、グルコース又はアラビノース)、二糖類(例えば、ラクトース、蔗糖、マルトース)、オリゴ糖及び多糖類(例えば、デキストラン)、ポリアルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はこれらの賦形剤の互いの混合物。単糖類又は二糖類が使用されることが好ましいが、ラクトース又はグルコースの使用が、特に、しかし専らではなく、それらの水和物の形態で好ましい。本発明の目的のために、ラクトースが特に好ましい賦形剤であるが、ラクトース一水和物が最も特に好ましい。粉砕及び微粉砕により、また最後に成分を一緒に混合することにより本発明の吸入可能な粉末を調製する方法が従来技術から知られている。
【0151】
噴射剤を含む吸入可能なエアロゾル
本発明に従って使用し得る噴射剤を含む吸入可能なエアロゾルは噴射剤ガスに溶解され、又は分散された形態の式 (I)の化合物を含んでもよい。本発明の吸入可能なエアロゾルを調製するのに使用し得る噴射剤ガスが従来技術から知られている。好適な噴射剤ガスは炭化水素、例えば、n-プロパン、n-ブタン又はイソブタン及びハロ炭化水素、例えば、好ましくは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンのフッ素化誘導体の中から選ばれる。上記された噴射剤ガスはそれら自体で使用されてもよく、又はこれらの混合物中で使用されてもよい。特に好ましい噴射剤ガスはTG134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、TG227 (1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)及びこれらの混合物から選ばれたフッ素化アルカン誘導体である。本発明の使用の範囲内で使用される噴射剤推進吸入エアロゾルはまたその他の成分、例えば、補助溶媒、安定剤、表面活性剤、酸化防止剤、滑剤及びpH調節剤を含んでもよい。全てのこれらの成分は当業界で知られている。
【0152】
無噴射剤の吸入可能な溶液
本発明の式 (I)の化合物は無噴射剤の吸入可能な溶液及び吸入可能な懸濁液を調製するのに使用されることが好ましい。この目的に使用される溶媒として、水溶液又はアルコール溶液、好ましくはエタノール溶液が挙げられる。溶媒は水それ自体又は水とエタノールの混合物であってもよい。溶液又は懸濁液は、好適な酸を使用して、2〜7、好ましくは2〜5のpHに調節される。pHは無機酸又は有機酸から選ばれる酸を使用して調節されてもよい。特に好適な無機酸の例として、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸が挙げられる。特に好適な有機酸の例として、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及び/又はプロピオン酸等が挙げられる。好ましい無機酸は塩酸及び硫酸である。活性物質の一種と酸付加塩を既に生成した酸を使用することがまた可能である。有機酸のうち、アスコルビン酸、フマル酸及びクエン酸が好ましい。所望により、上記酸の混合物が、特にそれらの酸性化特性に加えてその他の性質、例えば、風味料、酸化防止剤又は錯生成剤としての性質を有する酸、例えば、クエン酸又はアスコルビン酸の場合に、また使用されてもよい。本発明によれば、塩酸を使用してpHを調節することが特に好ましい。
【0153】
補助溶媒及び/又はその他の賦形剤が本発明の目的に使用される無噴射剤の吸入可能な溶液に添加されてもよい。好ましい補助溶媒はヒドロキシル基又はその他の極性基を含むもの、例えば、アルコール、特にイソプロピルアルコール、グリコール、特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、ポリオキシエチレンアルコール及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルである。この状況における賦形剤及び添加剤という用語は活性物質ではないが、活性物質製剤の定性的特性を改良するために薬理学上好適な溶媒中で一種以上の活性物質とともに製剤化し得るあらゆる薬理学上許される物質を表す。これらの物質は薬理学的効果を有さず、又は、所望の治療に関連して、認められる薬理学的効果を有さず、もしくは望ましくない薬理学的効果を少なくとも有しないことが好ましい。賦形剤及び添加剤として、例えば、表面活性剤、例えば、大豆レシチン、オレイン酸、ソルビタンエステル、例えば、ポリソルベート、ポリビニルピロリドン、その他の安定剤、錯生成剤、酸化防止剤及び/又は完成医薬製剤の貯蔵寿命を保証又は延長する防腐剤、風味料、ビタミン及び/又は当業界で知られているその他の添加剤が挙げられる。添加剤として、また、薬理学上許される塩、例えば、等張剤としての塩化ナトリウムが挙げられる。好ましい賦形剤として、酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸(それがpHを調節するために既に使用されていなかったことを条件とする)、ビタミンA、ビタミンE、トコフェロール及び同様のビタミン又は人体中で生じるプロビタミンが挙げられる。防腐剤は製剤を病原体による汚染から保護するのに使用されてもよい。好適な防腐剤は当業界で知られているもの、特に塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム又は安息香酸もしくは安息香酸塩、例えば、従来技術により知られている濃度の安息香酸ナトリウムである。
【0154】
上記された治療形態について、例えば、呼吸器の疾患、COPD又は喘息という用語を含む囲み記述、本発明の化合物及び上記されたものから選ばれた一種以上の組み合わせパートナーを含む、呼吸器の病気の治療のための薬物の直ぐに使用できるパックが提供される。
以下の実施例は本発明を説明するが、その範囲を限定するものでがない。
粉末吸入のためのカプセル
1個のカプセルは下記の成分を含む。
活性物質 0.5 mg
吸入のためのラクトース 5.0 mg
5.5 mg
調製:
活性物質を吸入のためのラクトースと混合する。その混合物をカプセル製造機でカプセルに詰める(空のカプセルの質量:約50mg)。
カプセルの質量: 55.5 mg