【実施例】
【0059】
本発明のその他の特徴及び利点が、例として、本発明の原理を説明する以下の更に詳しい実施例から明らかになるであろう。
化合物の塩形態が明記されない場合、化合物は化学構造、合成条件並びに適用される処理及び精製の方法に応じて、遊離塩基又は塩又は双性イオンとして存在し得る。当業者は化合物が或る塩形態に限定されないことを認めるであろう。化合物の塩形態が明記される場合、対イオンの化学量論量が通常省かれる。多く荷電された対イオンの場合には、当業者は得られる塩形態が荷電されず、相当する化学量論量をもたらすことを認めるであろう。当業者は化合物がモノ塩形態に限定されないこと及びそれが二塩、三塩又はその他の化合物:対イオン化学量論量として存在し得ることを認めるであろう。更に、当業者はこのような化合物が合成条件並びに適用される処理及び精製の方法に応じて、異なる対イオンとの塩として予期せずに存在し得ることを認めるであろう。収率測定の目的のみのために、対イオンの性質及び化合物:対イオン化学量論量の推定がなされる(示される式により示されるように)。
7.1 中間体の合成
中間体A.1
3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボン酸
【0060】
【化35】
A.1
【0061】
メチル 3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボキシレート (100 g; 494 ミリモル) 、メタノール (1 l) 及びNaOH(水中6 モル/l; 240 ml; 1.44モル)の混合物を3時間還流する。その混合物を室温に冷却し、次いで塩酸(水中6 モル/l;約240 mL)の添加により中和する。水 (200 ml) を添加する。生成された沈澱を吸引濾過し、水で洗浄し、60℃で乾燥させる。
C
5H
5ClN
4O
2ESI 質量スペクトル: m/z = 189 [M+H]+; m/z = 187 [M-H]
-
中間体A.2
3,5-ジアミノ-6-ブロモピラジン-2-カルボン酸
【0062】
【化36】
A.2
【0063】
A.2 を中間体A.1 の合成について記載された操作と同様にしてメチル 3,5-ジアミノ-6-ブロモピラジン-2-カルボキシレート (これはJ.Med.Chem.10 (1967) 66-75 に記載されたようにメチル 3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボキシレートから調製される)から調製する。
中間体I.1
【0064】
【化37】
I.1
【0065】
ジオキサン (20 ml)中の中間体 XVII.1 (0.82 g; 1.73 ミリモル) の懸濁液に塩化水素( ジオキサン中4.0 モル/L; 4.33 ml; 17.3 ミリモル) を添加する。その混合物を一夜撹拌し、蒸発、乾燥させる。粗生成物を陽イオン交換クロマトグラフィー(SCX-2; 50 g; メタノール性アンモニアで溶離) により精製して標題化合物を得る。
C
19H
27N
5O
3ESI 質量スペクトル: m/z = 375 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれのBOC-保護アミンから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0066】
【化38】
【0067】
中間体 II.1
【化39】
II.1
【0068】
THF (20 ml) 及び水 (12 ml)中の中間体 III.1 (9.20 g; 19.4 ミリモル) の懸濁液に水酸化ナトリウム (水中32%; 3.73 ml; 38.8 ミリモル) を添加する。その混合物を室温で1時間撹拌し、次いで有機溶媒を蒸発させる。クエン酸を添加してpH 4を得る。その混合物をDCM で2回抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発、乾燥させて標題化合物を得る。
C
22H
30N
4O
6ESI 質量スペクトル: m/z = 447 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれのエステルから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0069】
【化40】
【0070】
中間体 III.1
【化41】
III.1
【0071】
DMF (100 ml)及び水 (10 ml)中のジアミン中間体 V.1 (10.7 g; 29.7 ミリモル) の混合物に酢酸(2.67 ml; 44.5 ミリモル) を滴下して添加する。DMF 中のtert-ブチル-N-(2-オキソエチル)カルバメート (4.72 g; 29.7 ミリモル) の溶液を添加し、その混合物を空気雰囲気下で一夜撹拌する。揮発物を蒸発させ、残渣をDCM に吸収させ、水で抽出する。有機層を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発、乾燥させる。残渣をACN/水 2:8ですり砕き、得られる固体を濾過し、真空で60℃で乾燥させて標題化合物を得る。
C
24H
34N
4O
6ESI 質量スペクトル: m/z = 475 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれのジアミンから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0072】
【化42】
【0073】
中間体 IV.1
【化43】
IV.1
【0074】
アリールハライド中間体 VII.2 (10.5 g; 41.9 ミリモル) 、アミン 1-アセチル-4-アミノピペリジン塩酸塩 (7.48 g; 41.9 ミリモル) 、炭酸カリウム (20.3 g; 147 ミリモル) 及びDMF (60 ml) の混合物を室温で2日間撹拌する。その混合物を水で希釈し、DCM で抽出する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させる。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (シクロヘキサン/酢酸エチル70:30 -> 20:80) により精製して標題化合物を得る。
C
17H
23N
3O
6ESI 質量スペクトル: m/z = 366 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれのアミン及びそれぞれのアリールハライドから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0075】
【化44】
【0076】
中間体 V.1
【化45】
V.1
【0077】
エタノール (120 ml) 中の中間体 IV.1 (11.8 g; 30.4 ミリモル) をパール装置中で一夜にわたって水素化する (室温, 3.5kg/cm
2(50 psi)の水素; 触媒: Pd/C 5%; 1.00 g) 。触媒を窒素雰囲気下で濾別し、濾液をそこに記載された次の反応工程に直接適用する。
C
17H
25N
3O
4ESI 質量スペクトル: m/z = 336 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれの出発物質から示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0078】
【化46】
【0079】
中間体 VI.1
【化47】
VI.1
【0080】
ジアミノベンゼン中間体 V.5 (THF 溶液; 理論量: 15.6 g; 94.0 ミリモル) 、N-フタロイルグリシン (19.3 g; 94.03 ミリモル) 、TBTU (33.2 g; 103 ミリモル) 及びTEA (14.3 ml; 103 ミリモル) の混合物を室温で3時間撹拌する。沈澱を濾過し、乾燥させ、氷酢酸に吸収させ、2時間還流する。その混合物を蒸発させる。残渣を水に吸収させ、酢酸エチルで抽出する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させる。残渣を酢酸エチル中で還流し、室温に冷却し、濾過し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥させる。
C
19H
17N
3O
3ESI 質量スペクトル: m/z = 336 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれのジアミノベンゼンから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0081】
【化48】
【0082】
中間体 VII.1
【化49】
VII.1
【0083】
ACN (20ml)中の3-フルオロ-4-ニトロフェノール (2.56 g; 16.30 ミリモル) 、ジエチル (3-ブロモプロピル)-ホスホネート (3.26 ml; 16.98 ミリモル) 及び炭酸カリウム (2.48 g; 17.9 ミリモル) の混合物を80℃で4時間撹拌する。室温に冷却した後、不溶性物質を濾別し、捨てる。母液を蒸発させる。
C
13H
19FNO
6P ESI 質量スペクトル: m/z = 336 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれのニトロフェノール及びアルキルハライドから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0084】
【化50】
【0085】
中間体 VIII.1
【化51】
VIII.1
【0086】
中間体 VII.1 (23.58 g; 63.30 ミリモル) 及びエチルアミン (THF 中2 M; 80.0 ml; 160 ミリモル) の混合物を90℃で1時間撹拌する(マイクロウェーブ加熱)。その混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させる。
C
15H
25N
2O
6P ESI 質量スペクトル: m/z = 361 [M+H]+
HPLC分析: RT = 0.69 分 (HPLC 方法 1)
中間体 IX.1
【化52】
IX.1
【0087】
ACN (15 ml) 中の中間体 VI.4 (1.50 g; 3.65 ミリモル) 及び2-[2-(2-ヨードエトキシ)エトキシ]エタン-1-オール (ヨウ化ナトリウムとのフィンケルシュタイン交換により2-[2-(2-クロロエトキシ)エトキシ]エタン-1-オールから調製した; 3.79 g; 14.6 ミリモル)の混合物を120 ℃で7時間撹拌する(密閉容器)。その混合物を蒸発させ、残渣をRP-HPLC (カラム: サンファイアー C18; 水-ACN;変性剤TFA)により精製して標題化合物を得る。
C
31H
34N
3O
6 x TFA ESI 質量スペクトル: m/z = 544 [M+]
HPLC分析: RT = 0.78分 (HPLC 方法 2)
下記の中間体をそれぞれのアルキルハライド及びベンゾイミダゾールから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成がTFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0088】
【化53】
【0089】
中間体 X.1
【化54】
X.1
【0090】
エタノール (10 mL)中の中間体 VI.2 (310 mg; 0.848 ミリモル) 及びヒドラジン水和物 (0.20 mL; 4.12 ミリモル) の混合物を1時間還流する。室温に冷却した後、沈澱を濾別する。母液を蒸発させ、残渣をDCM に吸収させる。不溶性物質を濾別し、捨てる。母液を蒸発させ、粗生成物を更にクロマトグラフィー精製しないで反応させる。
C
12H
17N
3O
2ESI 質量スペクトル: m/z = 236 [M+]
下記の中間体をそれぞれの保護アミンから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0091】
【化55】
【0092】
中間体 XI.1
【化56】
XI.1
【0093】
1,4-ジヨードブタン (3.97 ml; 30.1 ミリモル) 、炭酸セシウム (1.96 g; 6.02 ミリモル) 、DMF (10 ml) 及び中間体 XII.1 (1.00 g; 3.09 ミリモル) の混合物を70℃で一夜撹拌する。カリウムtert-ブチレート (338 mg; 3.09 ミリモル) を添加し、その混合物を70℃で更に2時間撹拌する。水を添加し、その混合物をDCM で抽出する。有機層を乾燥させ (MgSO
4)、蒸発させる。生成物をRP-HPLC (カラム: サンファイアー C18; 水-ACN;変性剤TFA)により精製して標題化合物を得る。
C
12H
17IN
2O
2ESI 質量スペクトル: m/z = 349 [M+H]+
中間体 XII.1
【0094】
【化57】
XII.1
【0095】
6-ヒドロキシニコチン酸 (4.3 g; 30.9 ミリモル) 及び塩化チオニル (4.5 ml; 61.7 ミリモル) の混合物を2時間還流する。揮発物を蒸発させ、残渣をトルエンとともに同時蒸留する。氷浴で冷却しながら残渣にジメチルアミン (THF 中2 モル/L; 30.9 ml; 61.8 ミリモル) を添加し、次いでその混合物を室温で一夜撹拌する。揮発物を蒸発させ、粗生成物を更にクロマトグラフィー精製しないで反応させる。
C
8H
10N
2O
2ESI 質量スペクトル: m/z = 165 [M-H]-
中間体 XIII.1
【化58】
XIII.1
【0096】
中間体 XVIII.6 (1.60 g; 4.26 ミリモル) 、三臭化ホウ素 (DCM 中1 モル/L; 21.3 ml; 21.3 ミリモル) 及びDCM (20 ml) の混合物を室温で一夜撹拌する。水を添加し、全混合物を蒸発させる。残渣をメタノールに吸収させ、不溶性物質を濾別し、捨て、濾液を蒸発させる。生成物をRP-HPLC (変性剤:TFA)により精製して標題化合物を得る。
C
15H
16ClN
7O
2ESI 質量スペクトル: m/z = 360 [M-H]-
中間体 XIV.1
【化59】
XIV.1
【0097】
中間体 XV.1 (168 mg; 0.269 ミリモル) 、TFA (2.0 ml)及びDCM (5.0 ml)の混合物を室温で1時間撹拌する。揮発物を蒸発させ、残渣をメタノール及びアンモニア (32%の水溶液; 2.0 ml) に吸収させる。その混合物を室温で1時間撹拌し、次いで揮発物を蒸発させ、残渣をRP-HPLC (変性剤:TFA)により精製して標題化合物を得る。
C
20H
32ClN
4O
3 x C
2F
3O
2ESI 質量スペクトル: m/z = 411 [M]+
中間体 XV.1
【化60】
XV.1
【0098】
ACN (5.0 ml)中の中間体 XIX.1 (500 mg; 1.21 ミリモル) 及び4-ヨードメチル-テトラヒドロピラン (1.07 g; 4.73 ミリモル) の混合物を7時間にわたって120 ℃に加熱する(マイクロウェーブ加熱;密閉容器)。追加の4-ヨードメチル-テトラヒドロピラン (1.07 g; 4.73 ミリモル) を添加し、その混合物を一夜にわたって再度120 ℃に加熱する(マイクロウェーブ加熱;密閉容器)。揮発物を蒸発させ、粗生成物をRP-HPLC (変性剤:TFA)により精製して標題化合物を得る。
C
25H
40ClN
4O
5 x C
2F
3O
2ESI 質量スペクトル: m/z = 511 [M]+
中間体 XVI.1
【0099】
【化61】
XVI.1
【0100】
中間体 IV.4 (5.00 g; 21.3 ミリモル) 、ジエタノールアミン (2.3 ml; 24.1 ミリモル) 、カリウムtert-ブチレート (5.01 g; 44.7 mミリモル) 及びDMF (50 ml) の混合物を室温で2時間撹拌する。水を添加し、その混合物を蒸発させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (DCM / メタノール 2% -> 6%)により精製して標題化合物を得る。
C
12H
18ClN
3O
4ESI 質量スペクトル: m/z = 304 [M+H]+
中間体 XVII.1
【0101】
【化62】
XXII.1
【0102】
DMF (40 ml) 中の酸中間体 II.1 (1.47 g; 2.47 ミリモル) 、TBTU (1.03 g; 3.21 ミリモル) 及びN-メチルモルホリン (0.92 ml; 8.40 ミリモル) の混合物を室温で1時間撹拌する。エチルアミン塩酸塩 (221 mg; 2.72 ミリモル) を添加する。2時間撹拌した後、その混合物を蒸発させる。残渣を酢酸エチルに吸収させ、水及びNaHCO
3(飽和水溶液)で洗浄する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させて粗標題化合物を得、これを更にクロマトグラフィー精製しないで反応させる。
C
24H
35N
5O
5ESI 質量スペクトル: m/z = 474 [M+H]+
下記の中間体をそれぞれのアミン及び酸から示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0103】
【化63】
【0104】
中間体 XVIII.1
【化64】
XXIV.1
【0105】
DMF (15 ml) 中の中間体 X.7 (2.75 g; 7.44 ミリモル) 、中間体 A.1 (1.40 g; 7.44 ミリモル) 、HATU (2.92 g; 7.44 ミリモル) 及びTEA (2.09 ml; 14.9 ミリモル) の混合物を室温で一夜撹拌する。その混合物を氷水に注ぎ、得られる沈澱を濾過し、水で洗浄し、乾燥させる。
C
22H
31ClN
7O
5P ESI 質量スペクトル: m/z = 540 [M+H]+
HPLC分析: RT = 0.68 分 (HPLC 方法 2)
下記の一般式XVIII.A の中間体をそれぞれのアミンから示されるように従って調製する。適用される条件のために、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じるかもしれず、これらを更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0106】
【化65】
XVIII.A
【0107】
中間体 XIX.1
【化66】
XIX.1
【0108】
エタノール (60 ml)中の中間体 XVI.1 (2.00 g; 6.59 ミリモル) 及びtert-ブチル-N-(2-オキソエチル)-カルバメート (1.10 g; 6.91 ミリモル) の溶液に水 (40 ml)中の亜ジチオン酸ナトリウム (6.00 g; 29.3 ミリモル) の溶液を滴下して添加する。その混合物を50℃で5時間撹拌し、室温に冷却し、炭酸ナトリウムの添加によりアルカリ性にし、酢酸エチルで抽出する。有機層を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発させる。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (DCM / メタノール 3% -> 6%)により精製して標題化合物を得る。
C
19H
29ClN
4O
4ESI 質量スペクトル: m/z = 411 [M-H]-
中間体 XX.1
【0109】
【化67】
XXXI.1
【0110】
段階 1:
3-フルオロ-4-ニトロ-フェノール (0.94 g; 5.96 ミリモル) 及びエチルアミン (THF 中2M; 10.00 mL; 20.00 ミリモル) の混合物をマイクロウェーブ中で90℃で1時間撹拌する。その混合物を水及びEtOAc で希釈する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させる。
収量: 0.63 g (理論値の58%)
C
8H
10N
2O
3ESI 質量スペクトル: m/z = 183 [M+H]+
段階 2:
DMSO (10 mL)中の中間体 XXXI.1 段階 1 (0.63 g; 3.46 ミリモル) 、炭酸カリウム (0.53 g; 3.46 ミリモル) 、ヨウ化カリウム (0.57 g; 3.46 ミリモル) 及びクロロメチル(ジメチル)ホスフィンオキシド (0.48 g; 3.80 ミリモル) を110 ℃で3日間撹拌する。室温に冷却した後、その混合物をDCM で希釈する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させる。
収量: 0.81 g (理論値の86%)
C
11H
17N
2O
4P ESI 質量スペクトル: m/z = 273 [M+H]+
【0111】
段階 3:
THF (10 mL) 中の中間体 XXXI.1 段階 2 (0.81 g; 3.46 ミリモル) 及びPd/C (10%; 0.16 g) をパール装置中で水素化する (50℃; 3*10
5 Pa; 3 日間)。触媒を濾別する。
収量: 0.72 g (理論値の100%)
C
11H
19N
2O
2P
段階 4:
残っているTHF 中のN-フタロイルグリシン (7.00 g; 0.03 モル) 、TBTU (10.96 g; 0.03モル) 及びTEA (9.59 mL; 0.07モル) の混合物を室温で10分間撹拌する。中間体 XXXI.1 段階 3 (8.27 g; 0.03モル) を添加する。5時間撹拌した後、その混合物を水で希釈し、EtOAc で抽出する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させる。
残渣を氷酢酸 (130 mL) に吸収させ、100 ℃で一夜撹拌する。溶媒を除去し、残渣をNaHCO
3水溶液及びメチルイソブチルケテンに吸収させる。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発させる。残渣をRP-HPLC (変性剤:TFA)により精製する。
収量: 2.78 g (理論値の20%)
C
21H
22N
3O
4P
ESI 質量スペクトル: m/z = 412 [M+H]+
段階 5:
ACN (30 mL) 中の中間体 XXXI.1 段階 4 (3.09 g; 7.51 ミリモル) 及び2-[2-(2-ヨードエトキシエトキシ)エタノール (19.53 g; 75.11 ミリモル) 及びDIPEA (1.40 mL; 8.14ミリモル) の混合物をマイクロウェーブ中で120 ℃で2時間そして120 ℃で更に48時間撹拌する。その混合物をRP-HPLC (変性剤:TFA)により精製する。
収量: 2.70 g (理論値の11%)
C
27H
35N
3O
7P * C
2F
3O
2
ESI 質量スペクトル: m/z = 261 [M+H]+
段階 6:
MeOH (20 mL)中の中間体 XXXI.1 段階 5 (2.70 g; 1.23 ミリモル) 及びヒドラジン水和物 (2.00 mL; 41.15 ミリモル) の混合物を60℃で一夜撹拌する。室温に冷却した後、得られる沈澱を濾別し、捨てる。溶媒を蒸発させる。残渣をRP-HPLC (変性剤:TFA)により精製する。
収量: 0.66 g (理論値の100%)
C
19H
33N
3O
5P * C
2F
3O
2ESI 質量スペクトル: m/z = 414 [M+]
【0112】
7.2 実施例の合成
実施例 1.1
【化68】
1.1
【0113】
DMF (5 ml)中の3,5-ジアミノ-6-クロロ-ピラジン-2-カルボン酸 (中間体 A.1; 10 mg; 0.053 ミリモル) 、アミン中間体 XIV.1 (TFA 塩として; 22 mg; 0.042 ミリモル) 、カップリング試薬HATU (50 mg; 0.132 ミリモル) 及びDIPEA (100 μl; 0.59 ミリモル) の混合物を室温で一夜撹拌する。その混合物をRP-HPLC (カラム: サンファイアー C18; 水-ACN; 変性剤 TFA)により精製して標題化合物を得る。
C
25H
35Cl
2N
8O
4 x Cl ESI 質量スペクトル: m/z = 581 [M]
+
HPLC分析: RT = 0.66 分 (HPLC 方法 2)
それぞれのアミンを適用して、下記の一般式1.A の化合物を示されるように従って調製する。適用される条件のために、操作が塩化物塩、TFA 塩もしくはビス-TFA塩、双性イオン又はその他の塩形態を生じるかもしれない。
【0114】
【化69】
1.A
【0115】
実施例 2.1
【化70】
2.1
【0116】
実施例 2.1を実施例 1.2の合成について記載された操作と同様にして中間体 A.2; 70 mg; 0.30 ミリモル) 及びアミン中間体 X.2 (0.162 g; 0.30 ミリモル) から調製する。
C
21H
28BrN
7O
5 x C
2F
3O
2ESI 質量スペクトル: m/z = 538 [M]
+
HPLC分析: RT = 0.58 分 (HPLC 方法 2)
それぞれのアミンを適用して、下記の一般式2.A の化合物を示されるように従って調製する。適用される条件のために、操作が塩化物塩、TFA 塩もしくはビス-TFA塩、双性イオン又はその他の塩形態を生じるかもしれない。
【0117】
【化71】
2.A
【0118】
実施例 3.1
【化72】
3.1
【0119】
ACN (4 ml)中の中間体 XVIII.2 (0.15 g; 0.248ミリモル) 及びヨウ化エチル (0.204 mL; 2.48 ミリモル) の混合物を120 ℃で2時間撹拌する(マイクロウェーブ加熱、密閉容器)。更にヨウ化エチル (0.102 mL;1.24 ミリモル) を添加し、その混合物を120 ℃で更に1時間撹拌する。その混合物をRP-HPLC (水-ACN;変性剤ギ酸アンモニウム) により精製して標題化合物を得る。
C
26H
35ClN
9O
4 x HCO
2ESI 質量スペクトル: m/z = 572 [M+]
HPLC分析: RT = 3.27 分 (HPLC 方法 5)
それぞれのアルキルハライド及びベンゾイミダゾールを使用して、下記の一般式3.A の化合物を示されるように従って調製する。適用される条件のために、操作が塩化物塩、TFA 塩もしくはビス-TFA塩、双性イオン又はその他の塩形態を生じるかもしれない。
【0120】
【化73】
3.A
【0121】
a:反応時間: 120 ℃で6時間 適用された22当量の4-ブロモブチロニトリル RP-HPLC (変性剤: TFA)による精製
b:反応時間: 120 ℃で10時間 RP-HPLC (変性剤: TFA)による精製
c:ほんの1当量のアルキル化剤; 添加された2当量のリチウムビス (トリメチルシリル)アミド; RP-HPLC (変性剤: TFA)による精製
d: RP-HPLC (変性剤: TFA)による精製
e:反応時間: 140 ℃で2時間 適用された22当量の4-ブロモブチロニトリル RP-HPLC (変性剤: TFA)による精製
実施例 4.1
【0122】
【化74】
4.1
【0123】
THF (10 ml) 中の実施例 3.6 (153 mg; 0.212 ミリモル) 、ブロモトリメチルシラン (1.28 ml; 9.76 ミリモル) 及びトリエチルアミン (0.50 ml; 3.56 ミリモル) の混合物を80℃で4時間撹拌する。その混合物をRP-HPLC (カラム: サンファイアー C18; 水-ACN; 変性剤 TFA) により精製して標題化合物を得る。
C
22H
28ClN
8O
5P x C
2F
3O
2ESI 質量スペクトル: m/z = 551 [M]
+
HPLC分析: RT = 0.58 分 (HPLC 方法 2)
実施例 5.1
【化75】
5.1
【0124】
実施例 3.4 (100.0 mg; 0.133 ミリモル) 、臭化リチウム (115 mg; 1.33 ミリモル) 及びDMF (3.0 ml)の混合物を110 ℃(浴温度)で一夜撹拌する。揮発物を蒸発させ、残渣をRP-HPLC (カラム: サンファイアー C18; 水-ACN; 変性剤 TFA)により精製する。
C
26H
38ClN
7O
6P x C
2F
3O
2ESI 質量スペクトル: m/z = 610 [M]
+
HPLC分析: RT = 0.35 分 (HPLC 方法 7)
実施例 6.1
【化76】
6.1
【0125】
実施例 6.1を実施例 1.1の合成について記載された操作と同様にして中間体 A.1 (66 mg; 0.35 ミリモル) 及びアミン中間体 X.8 (0.140 g; 0.35 ミリモル)から調製する。
C
26H
35ClN
8O
5 x C
2F
3O
2ESI 質量スペクトル: m/z = 575 [M+H]
+
HPLC分析: RT = 0.45 分 (HPLC 方法 13)
【0126】
8. 分析方法及び分取クロマトグラフィー
原則として、
1H-NMR及び質量スペクトルを調製された化合物について得た。示された質量ピーク (例えば (M+H)+, (M+HCOO)-) は単一同位体の分子量を表す。TLC からのR
f値をチャンバー飽和しない既製シリカゲル60 TLCプレートF
254 (E.Merck, Darmstadt, 品目番号1.05714)を使用して、又はチャンバー飽和しない既製酸化アルミニウム60 F
254 TLC プレート (E.Merck, Darmstadt, 品目番号1.05713)を使用して測定する。溶離剤について示された比は当該溶媒の容積基準の単位に関する。NH
3 についての容積基準の単位は水中のNH
3 の濃厚液に関する。シリカゲルクロマトグラフィー精製のために、ミリポアからのシリカゲル (MATREX
TM, 35-70 my) を使用する。
分取薄層クロマトグラフィー (TLC):
メルクからの分取TLC プレート(PLC シリカゲル60F
254;366 、2 mm)を使用する。生成物を含むバンドを掻き取り、得られる生成物/シリカ粉末を(生成物の溶解性に応じて)DCM 、メタノール又はこれらの混合物で抽出する。シリカを濾別し、濾液を蒸発、乾燥させて精製された化合物を得る。
分取HPLC:
静止相: エクスブリッジ C18; 10 μm又はサンファイアー C18; 10 μm (両方ともウォーターズ, www.waters.com
から)
分析HPLC/MS 方法
示されたHPLC保持時間を下記のパラメーターのもとに測定する。
HPLC方法 1
【0127】
【表1】
【0128】
HPLC方法 2
【表2】
【0129】
HPLC 方法 3
【表3】
【0130】
【表4】
【0131】
HPLC 方法 5
カラム: アトランチス dC18 5μm 4,6 x 50 mm, 温度35℃
移動相:A = H2O 90% + 10% CH3CN + CF3COOH 0,05%
B = CH3CN 90% + 10% H2O
時間(分) %A %B 流量(ml/分)
0.00 100 0 1.3
0.70 100 0 1.3
4.5 0 100 1.3
5.80 0 100 1.3
6.00 100 0 1.3
【0132】
HPLC方法 6
【表5】
【0133】
HPLC 方法 7
【表6】
【0134】
HPLC方法 8
カラム: シナジー・ヒドロRP100A, 2,5 μm, 3 x 50 mm
移動相:A = H2O 90% + 10% CH3CN + NH4COOH 5 mM
B = CH3CN 90% + H2O 10%
時間(分):%A %B 流量(mL/分)
0.00 100 0 1.2
4.00 0 100 1.2
5.30 0 100 1.2
5.50 100 0 1.2
6.00 100 0 1.2
【0135】
HPLC方法 9
カラム: BEH C18 1.7 μm 2.1 x 50 mm, 温度35℃
移動相: A = H2O 90% + CH3CN 10% + NH4COOH 5 mM
B = CH3CN 90% + H2O 10%
時間(分) %A %B 流量(mL/分)
0.00 100 0 0.70
1.20 0 100 0.70
1.45 0 100 0.70
1.55 100 0 0.70
1.75 100 0 0.70
【0136】
HPLC方法 10
【表7】
【0137】
HPLC方法 11
【表8】
【0138】
HPLC方法 12
【表9】
【0139】
HPLC方法 13
【表10】
【0140】
HPLC 方法 14
【表11】
【0141】
先の略号を先に、また後に使用する。
【表12】
【0142】
【化77】
【0143】
9. 薬理学的試験方法
ユシング(Ussing)チャンバー:マウス腎臓M-1 細胞を10〜12日間にわたってポリエステルトランスウェルフィルター上で5% FCS及び5μM デキサメタゾンを含むDMEM中で培養した。フィルターをテフロン被覆ウェル−プレート(これはユシングチャンバー系にフィットする)に挿入した。測定の前に、M-1 細胞の培地をCaco-2トランスポート緩衝液(インビトロゲン、ドイツ)と交換した。測定中に、ユシングチャンバー温度を37℃に保った。短回路電流 (I_sc) をデータ獲得及び分析のためのソフトウェアパッケージラボ・ビューを用いて電圧−クランプモードで測定した。経上皮電気抵抗 (TEER) を5秒毎に±5mVの電圧ステップの適用により測定した。化合物を3μM の最終濃度又は増大する濃度 (1-3-10μM) で頂端溶液に投与した。それぞれの実験の終了時に、3μM アミロリドを頂端区画に添加することによりアミロリド感受性I_SCを測定した。結果をアミロリド作用の抑制%又はIC
50として表す。
先に示された実施例化合物では、下記のIC
50値をユシングチャンバーアッセイで測定した。
【0144】
【表13】
【表14】
【0145】
CALU-3細胞における透過性:
透過性フィルター支持体上で増殖された局在化された、集密CALU-3細胞単層を横切る透過性特定を使用して肺上皮を通過する化合物の潜在性についての情報を得る。CALU-3細胞単層を横切る化合物の見掛透過性係数 (Papp) を頂端から基底への(AB)輸送方向及び基底から頂端への(BA)輸送方向で測定する (pH 7.4, 37℃) 。AB透過性 (Papp, AB) は肺ルーメンから血液への薬物吸収を表し、またBA透過性 (Papp, BA) は主として受動的透過性による血液から肺ルーメンへの薬物輸送を表す。何とならば、Calu-3細胞だけでなく、肺上皮細胞がP-gpのような外向きフラックス輸送体を発現しないが、吸収輸送体が発現されるかもしれないからである。
【0146】
CALU-3細胞 (1-2 x 10
5 細胞/1 cm
2 の面積) をフィルターインサート (コスター・トランスウェルポリカーボネートフィルター, 0.4 μm の孔サイズ) に接種し、しっかりした単層が生成されるまで10-12 日間にわたって培養する(DMEM)。関係する化合物を適当な溶液に溶解する (DMSO, 10 mM 原液) 。原液をHTP-4 緩衝液 (128.13 mM NaCl, 5.36 mM KCl, 1 mM MgSO4, 1.8 mM CaCl2, 4.17 mM NaHCO3, 1.19 mM Na2HPO4 x 7H2O, 0.41 mM NaH2PO4xH2O, 15 mM HEPES, 20 mMグルコース, 0.25 % BSA, pH 7.4) で希釈して輸送溶液(10 μMの化合物、最終DMSO <= 0.5 %)を調製する。A-B 又はB-A 透過性(3回のフィルター反復試験)をそれぞれ測定するために輸送溶液(TL)を頂端又は基底外側のドナーサイドに適用する。レシーバーサイドはドナーサイドと同じ緩衝液を含む。収容の30分後に、サンプルをドナーから実験の開始時t0 = 0分及び終了時tn = 90 分に集め、またレシーバーチャンバーから0分、30分、60分、及び90分に集める。除去された容積をHTP-4 緩衝液により補給する。サンプル中の化合物濃度をHPLC-MS/MS又はシンチレーションカウンティングにより測定する。透過性係数(Papp)及び外向きフラックス比を下記の式に従って計算する。
Papp [cm/s] =(濃度レシーバー [nM] * 容積レシーバー [mL]/時間間隔 [sec])*(1/フィルター面積)*(1/ドナー濃度 [nM])
先に示された実施例化合物では、下記の透過性値をCALU-3細胞アッセイで測定した。
【0147】
【表15】
【0148】
10. 指示
判明されたように、式 (I)の化合物は治療分野におけるそれらの広い適用の範囲により特徴づけられる。式 (I)の本発明の化合物が好ましくはENaC阻害薬としてのそれらの医薬効力のために適しているこれらの適用が特に挙げられるべきである。例として、呼吸器の疾患もしくは病気、又は気道のアレルギー性疾患が挙げられる。
増大された粘液生成、炎症及び/又は気道の閉塞性疾患により伴なわれる気道及び肺の疾患の予防及び治療が特に挙げられるべきである。例として、急性、アレルギー性もしくは慢性の気管支炎、慢性閉塞性気管支炎(COPD)、咳、肺気腫、アレルギー性もしくは非アレルギー性鼻炎もしくは副鼻腔炎、慢性鼻炎もしくは副鼻腔炎、喘息、肺胞炎、農夫肺疾患、反応性亢進気道、感染性気管支炎もしくは肺炎、小児喘息、気管支拡張、肺線維症、ARDS (急性成人呼吸困難症候群) 、気管支浮腫、肺浮腫、気管支炎、種々の原因、例えば、発汗、毒性ガスの吸引により誘発される気管支炎、肺炎もしくは間質性肺炎、又は心不全、放射線、化学療法の結果としての気管支炎、肺炎もしくは間質性肺炎、膵のう胞性線維症又はのう腫性膵臓線維症、或いはアルファ1-アンチトリプシン欠乏症が挙げられる。 特に好ましくは、本発明は肺を含む上部呼吸器及び下部呼吸器の炎症性又は閉塞性疾患、例えば、アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、気管支拡張、膵のう胞性線維症、COPD、慢性気管支炎、慢性副鼻腔炎及び喘息の治療のための医薬組成物を調製するための式 (I)の化合物の使用に関する。
式 (I)の化合物を炎症性疾患及び閉塞性疾患、例えば、COPD、慢性気管支炎、慢性副鼻腔炎、喘息、膵のう胞性線維症、特にCOPD、慢性気管支炎、喘息及び膵のう胞性線維症の治療のために使用することが最も好ましい。
実際の医薬有効量又は治療用量は、勿論、当業者により知られている因子、例えば、患者の年齢及び体重、投与の経路及び疾患の重度に依存するであろう。いかなる場合にも、組み合わせは医薬有効量が患者の特有の症状に基づいて送出されることを可能にする用量及び様式で投与されるであろう。
【0149】
11. 組み合わせ
式 (I)の化合物はそれら自体で使用されてもよく、又は本発明の式 (I)のその他の活性物質と連係して使用されてもよい。所望により、式 (I)の化合物はまたその他の薬理学的活性物質と組み合わせて使用されてもよい。
それ故、更に、本発明は式 (I)の一種以上の化合物の他に、更なる活性物質として、更なるENaC阻害薬、ベータミメチックス、坑コリン作用薬、コルチコステロイド、PDE4阻害薬、LTD4アンタゴニスト、EGFR阻害薬、ドーパミンアゴニスト、H1- 坑ヒスタミン薬、PAF-アンタゴニスト、MAP-キナーゼ阻害薬、MPR4阻害薬、iNOS阻害薬、SYK-阻害薬、膵のう胞性線維症膜貫通レギュレーター(CFTR)及びCFTR強化薬のコレクション、又はこれらの二重もしくは三重の組み合わせのカテゴリーの中から選ばれた一種以上の化合物を含むことが好ましい薬物組み合わせに関する。
【0150】
12. 製剤
投与に適した形態は、例えば、吸入可能な粉末又はエアロゾルである。それぞれの場合の一種以上の医薬有効化合物の含量は全組成物の0.2 質量%から50質量%まで、好ましくは5質量%から25質量%までの範囲、即ち、後に明記される用量範囲を得るのに充分である量であるべきである。
吸入により投与される活性物質組み合わせは粉末として、水溶液もしくは水性エタノール溶液として、又は噴射ガス製剤を使用して与えられてもよい。
それ故、医薬製剤はそれらが上記の好ましい実施態様の (I)の一種以上の化合物を含むことを特徴とすることが好ましい。
また、式 (I)の化合物は吸入により投与されることが好ましく、それらが1日1回又は2回投与されることが特に好ましい。この目的のために、式 (I)の化合物は吸入に適した形態で利用される必要がある。吸入可能な製剤として、吸入可能な粉末、噴射剤含有計量投薬エアロゾル又は無噴射剤の吸入可能な溶液が挙げられ、これらは必要により通常の生理学上許される賦形剤と混合して存在してもよい。
本発明の範囲内で、無噴射剤の吸入可能な溶液という用語はまた濃厚液又は無菌の直ぐに使用できる吸入可能な溶液を含む。本発明に従って使用し得る製剤が明細書の次の部分に更に詳しく記載される。
吸入可能な粉末
式 (I)の活性物質が生理学上許される賦形剤と混合して存在する場合、下記の生理学上許される賦形剤が本発明の吸入可能な粉末を調製するのに使用されてもよい:単糖類(例えば、グルコース又はアラビノース)、二糖類(例えば、ラクトース、蔗糖、マルトース)、オリゴ糖及び多糖類(例えば、デキストラン)、ポリアルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はこれらの賦形剤の互いの混合物。単糖類又は二糖類が使用されることが好ましいが、ラクトース又はグルコースの使用が、特に、しかし専らではなく、それらの水和物の形態で好ましい。本発明の目的のために、ラクトースが特に好ましい賦形剤であるが、ラクトース一水和物が最も特に好ましい。粉砕及び微粉砕により、また最後に成分を一緒に混合することにより本発明の吸入可能な粉末を調製する方法が従来技術から知られている。
【0151】
噴射剤を含む吸入可能なエアロゾル
本発明に従って使用し得る噴射剤を含む吸入可能なエアロゾルは噴射剤ガスに溶解され、又は分散された形態の式 (I)の化合物を含んでもよい。本発明の吸入可能なエアロゾルを調製するのに使用し得る噴射剤ガスが従来技術から知られている。好適な噴射剤ガスは炭化水素、例えば、n-プロパン、n-ブタン又はイソブタン及びハロ炭化水素、例えば、好ましくは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンのフッ素化誘導体の中から選ばれる。上記された噴射剤ガスはそれら自体で使用されてもよく、又はこれらの混合物中で使用されてもよい。特に好ましい噴射剤ガスはTG134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、TG227 (1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)及びこれらの混合物から選ばれたフッ素化アルカン誘導体である。本発明の使用の範囲内で使用される噴射剤推進吸入エアロゾルはまたその他の成分、例えば、補助溶媒、安定剤、表面活性剤、酸化防止剤、滑剤及びpH調節剤を含んでもよい。全てのこれらの成分は当業界で知られている。
【0152】
無噴射剤の吸入可能な溶液
本発明の式 (I)の化合物は無噴射剤の吸入可能な溶液及び吸入可能な懸濁液を調製するのに使用されることが好ましい。この目的に使用される溶媒として、水溶液又はアルコール溶液、好ましくはエタノール溶液が挙げられる。溶媒は水それ自体又は水とエタノールの混合物であってもよい。溶液又は懸濁液は、好適な酸を使用して、2〜7、好ましくは2〜5のpHに調節される。pHは無機酸又は有機酸から選ばれる酸を使用して調節されてもよい。特に好適な無機酸の例として、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸が挙げられる。特に好適な有機酸の例として、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及び/又はプロピオン酸等が挙げられる。好ましい無機酸は塩酸及び硫酸である。活性物質の一種と酸付加塩を既に生成した酸を使用することがまた可能である。有機酸のうち、アスコルビン酸、フマル酸及びクエン酸が好ましい。所望により、上記酸の混合物が、特にそれらの酸性化特性に加えてその他の性質、例えば、風味料、酸化防止剤又は錯生成剤としての性質を有する酸、例えば、クエン酸又はアスコルビン酸の場合に、また使用されてもよい。本発明によれば、塩酸を使用してpHを調節することが特に好ましい。
【0153】
補助溶媒及び/又はその他の賦形剤が本発明の目的に使用される無噴射剤の吸入可能な溶液に添加されてもよい。好ましい補助溶媒はヒドロキシル基又はその他の極性基を含むもの、例えば、アルコール、特にイソプロピルアルコール、グリコール、特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、ポリオキシエチレンアルコール及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルである。この状況における賦形剤及び添加剤という用語は活性物質ではないが、活性物質製剤の定性的特性を改良するために薬理学上好適な溶媒中で一種以上の活性物質とともに製剤化し得るあらゆる薬理学上許される物質を表す。これらの物質は薬理学的効果を有さず、又は、所望の治療に関連して、認められる薬理学的効果を有さず、もしくは望ましくない薬理学的効果を少なくとも有しないことが好ましい。賦形剤及び添加剤として、例えば、表面活性剤、例えば、大豆レシチン、オレイン酸、ソルビタンエステル、例えば、ポリソルベート、ポリビニルピロリドン、その他の安定剤、錯生成剤、酸化防止剤及び/又は完成医薬製剤の貯蔵寿命を保証又は延長する防腐剤、風味料、ビタミン及び/又は当業界で知られているその他の添加剤が挙げられる。添加剤として、また、薬理学上許される塩、例えば、等張剤としての塩化ナトリウムが挙げられる。好ましい賦形剤として、酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸(それがpHを調節するために既に使用されていなかったことを条件とする)、ビタミンA、ビタミンE、トコフェロール及び同様のビタミン又は人体中で生じるプロビタミンが挙げられる。防腐剤は製剤を病原体による汚染から保護するのに使用されてもよい。好適な防腐剤は当業界で知られているもの、特に塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム又は安息香酸もしくは安息香酸塩、例えば、従来技術により知られている濃度の安息香酸ナトリウムである。
【0154】
上記された治療形態について、例えば、呼吸器の疾患、COPD又は喘息という用語を含む囲み記述、本発明の化合物及び上記されたものから選ばれた一種以上の組み合わせパートナーを含む、呼吸器の病気の治療のための薬物の直ぐに使用できるパックが提供される。
以下の実施例は本発明を説明するが、その範囲を限定するものでがない。
粉末吸入のためのカプセル
1個のカプセルは下記の成分を含む。
活性物質 0.5 mg
吸入のためのラクトース
5.0 mg
5.5 mg
調製:
活性物質を吸入のためのラクトースと混合する。その混合物をカプセル製造機でカプセルに詰める(空のカプセルの質量:約50mg)。
カプセルの質量: 55.5 mg