特許第6461176号(P6461176)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6461176製剤管理システム、製剤管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461176
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】製剤管理システム、製剤管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20190121BHJP
【FI】
   G16H20/10
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-551129(P2016-551129)
(86)(22)【出願日】2014年9月29日
(86)【国際出願番号】JP2014075811
(87)【国際公開番号】WO2016051448
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】596057549
【氏名又は名称】オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】庄司 喜雪
【審査官】 阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−163357(JP,A)
【文献】 特開2002−123600(JP,A)
【文献】 特開2013−220184(JP,A)
【文献】 特開2002−279067(JP,A)
【文献】 特開2002−132962(JP,A)
【文献】 特開2006−025941(JP,A)
【文献】 特開2011−070429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 − 80/00
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療施設において使用される製剤に関する情報を管理する製剤管理サーバと、
手術室の出入り口に固定的に設置される第1のICタグリーダと、前記手術室の出入り口に固定的に設置され、前記第1のICタグリーダに対応付けられた第1の警告灯と、
前記手術室内に搬入され、投与が実行される製剤のICタグを読み取り可能な所定の場所に設置される第2のICタグリーダと、前記手術室内において前記製剤の投与が実行される場所に設置され、前記第2のICタグリーダに対応付けられた第2の警告灯と、を備え、
前記製剤管理サーバは、
前記医療施設における製剤に関する情報として、前記製剤を識別するための製剤IDと、前記製剤の種類と、前記製剤の使用期限とを少なくとも対応付けて記憶する製剤情報記憶手段と、
患者に対する前記製剤の投与に関する情報として、患者を識別するための患者IDと、患者に投与する製剤を識別するための製剤IDと、患者に前記製剤が投与される手術室を識別する手術室IDとを少なくとも対応付けて記憶する投与情報記憶手段と、
前記製剤情報記憶手段に記憶された前記医療施設における製剤に関する情報と、前記投与情報記憶手段に記憶された前記患者に対する前記製剤の投与に関する情報と、前記第1のICタグリーダまたは前記第2のICタグリーダで読み取られた前記製剤のICタグのデータとに基づいて、前記製剤の適否を判定する製剤情報判定手段と、
前記製剤情報判定手段の判定結果に基づいて、当該製剤のICタグのデータを読み取った前記第1のICタグリーダまたは前記第2のICタグリーダと対応付けられた前記第1の警告灯または前記第2の警告灯を点灯させる信号を出力する信号出力手段と、
を備え
前記製剤情報判定手段は、前記第1のICタグリーダから前記患者IDを受信することに対応して、当該第1のICタグリーダが設置されている前記手術室を当該患者に割り当てることを特徴とする製剤管理システム。
【請求項2】
前記製剤情報判定手段は、前記第1のICタグリーダまたは前記第2のICタグリーダで前記製剤のICタグが読み取られた前記製剤の判定結果が不適合である場合に、前記投与情報記憶手段に記憶された前記患者に対する前記製剤の投与に関する情報に基づいて、当該製剤に関係する患者または手術室に関する注意喚起の表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の製剤管理システム。
【請求項3】
前記第1のICタグリーダ及び前記第1の警告灯と、前記第2のICタグリーダ及び前記第2の警告灯を複数の前記手術室それぞれに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の製剤管理システム。
【請求項4】
医療施設において使用される製剤に関する情報を管理する製剤管理サーバと、
手術室の出入り口に固定的に設置される第1のICタグリーダと、前記手術室の出入り口に固定的に設置され、前記第1のICタグリーダに対応付けられた第1の警告灯と、
前記手術室内に搬入され、投与が実行される製剤のICタグを読み取り可能な所定の場所に設置される第2のICタグリーダと、前記手術室内において前記製剤の投与が実行される場所に設置され、前記第2のICタグリーダに対応付けられた第2の警告灯と、を備え、
前記製剤管理サーバが、
前記医療施設における製剤に関する情報として、前記製剤を識別するための製剤IDと、前記製剤の種類と、前記製剤の使用期限とを少なくとも対応付けて記憶する製剤情報記憶手段と、
患者に対する前記製剤の投与に関する情報として、患者を識別するための患者IDと、患者に投与する製剤を識別するための製剤IDと、患者に前記製剤が投与される手術室を識別する手術室IDとを少なくとも対応付けて記憶する投与情報記憶手段と、を備える製剤管理システムにおいて実行される製剤管理方法であって、
前記製剤情報記憶手段に記憶された前記医療施設における製剤に関する情報と、前記投与情報記憶手段に記憶された前記患者に対する前記製剤の投与に関する情報と、前記第1のICタグリーダまたは前記第2のICタグリーダで読み取られた前記製剤のICタグのデータとに基づいて、前記製剤の適否を判定する製剤情報判定ステップと、
前記製剤情報判定ステップにおける判定結果に基づいて、当該製剤のICタグのデータを読み取った前記第1のICタグリーダまたは前記第2のICタグリーダと対応付けられた前記第1の警告灯または前記第2の警告灯を点灯させる信号を出力する信号出力ステップと、
を含み、
前記製剤情報判定ステップは、前記第1のICタグリーダから前記患者IDを受信することに対応して、当該第1のICタグリーダが設置されている前記手術室を当該患者に割り当てることを特徴とする製剤管理方法。
【請求項5】
医療施設において使用される製剤に関する情報を管理する製剤管理サーバと、
手術室の出入り口に固定的に設置される第1のICタグリーダと、前記手術室の出入り口に固定的に設置され、前記第1のICタグリーダに対応付けられた第1の警告灯と、
前記手術室内に搬入され、投与が実行される製剤のICタグを読み取り可能な所定の場所に設置される第2のICタグリーダと、前記手術室内において前記製剤の投与が実行される場所に設置され、前記第2のICタグリーダに対応付けられた第2の警告灯と、を備え、
前記製剤管理サーバが、
前記医療施設における製剤に関する情報として、前記製剤を識別するための製剤IDと、前記製剤の種類と、前記製剤の使用期限とを少なくとも対応付けて記憶する製剤情報記憶手段と、
患者に対する前記製剤の投与に関する情報として、患者を識別するための患者IDと、患者に投与する製剤を識別するための製剤IDと、患者に前記製剤が投与される手術室を識別する手術室IDとを少なくとも対応付けて記憶する投与情報記憶手段と、を備える製剤管理システムの前記製剤管理サーバを制御するコンピュータに、
前記製剤情報記憶手段に記憶された前記医療施設における製剤に関する情報と、前記投与情報記憶手段に記憶された前記患者に対する前記製剤の投与に関する情報と、前記第1のICタグリーダまたは前記第2のICタグリーダで読み取られた前記製剤のICタグのデータとに基づいて、前記製剤の適否を判定する製剤情報判定機能と、
前記製剤情報判定機能の判定結果に基づいて、当該製剤のICタグのデータを読み取った前記第1のICタグリーダまたは前記第2のICタグリーダと対応付けられた前記第1の警告灯または前記第2の警告灯を点灯させる信号を出力する信号出力機能と、
を実現させ
前記製剤情報判定機能は、前記第1のICタグリーダから前記患者IDを受信することに対応して、当該第1のICタグリーダが設置されている前記手術室を当該患者に割り当てることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製剤管理システム、製剤管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、患者及び製剤の誤認を防止して、患者に対して適切な製剤を投与するための技術が知られている。
例えば、特許文献1には、携帯端末を利用した輸血用血液製剤照合システムが記載されている。具体的に、特許文献1には、作業者が、携帯端末でバーコード化された患者のID番号を読み取り、照合に必要な情報を携帯端末に手動で入力することにより、患者に輸血すべき輸血予定血液製剤の照合を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−170174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、作業者は携帯端末を操作しなければならず、携帯端末に触れることにより汚染の可能性が生じ、また、作業が煩雑であるため、作業性に問題があった。また、特許文献1では、携帯端末の画面に表示される情報が多く、さらに、主として携帯端末を操作する作業者が単独で携帯端末の画面を介した照合を行うため、照合の確実性に問題があった。即ち、特許文献1に記載された技術では、製剤を適切に管理することが困難であった。
【0005】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、製剤をより適切に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の製剤管理システムは、
医療施設において使用される製剤に関する情報を管理する製剤管理サーバと、
手術室の出入り口に固定的に設置される第1のICタグリーダと、前記手術室の出入り口に固定的に設置され、前記第1のICタグリーダに対応付けられた第1の警告灯と、
前記手術室内に搬入され、投与が実行される製剤のICタグを読み取り可能な所定の場所に設置される第2のICタグリーダと、前記手術室内において前記製剤の投与が実行される場所に設置され、前記第2のICタグリーダに対応付けられた第2の警告灯と、を備え、
前記製剤管理サーバは、
前記医療施設における製剤に関する情報が記憶された製剤情報記憶手段と、
患者に対する前記製剤の投与に関する情報が記憶された投与情報記憶手段と、
前記製剤情報記憶手段に記憶された前記医療施設における製剤に関する情報と、前記投与情報記憶手段に記憶された前記患者に対する前記製剤の投与に関する情報と、前記第1のICタグリーダまたは前記第2のICタグリーダで読み取られた前記製剤のICタグのデータとに基づいて、前記製剤の適否を判定する製剤情報判定手段と、
前記製剤情報判定手段の判定結果に基づいて、当該製剤のICタグのデータを読み取った前記第1のICタグリーダまたは前記第2のICタグリーダと対応付けられた前記第1の警告灯または前記第2の警告灯を点灯させる信号を出力する信号出力手段と、
を備える。
【0007】
また、本発明の一態様の製剤管理システムでは、
前記製剤情報記憶手段は、前記製剤に関する情報として、前記製剤を識別するための製剤IDと、前記製剤の種類と、前記製剤の使用期限とを少なくとも対応付けて記憶し、
前記投与情報記憶手段は、前記患者に対する前記製剤の投与に関する情報として、患者を識別するための患者IDと、患者に投与する製剤を識別するための製剤IDと、患者に前記製剤が投与される手術室を識別する手術室IDとを少なくとも対応付けて記憶している。
【0008】
また、本発明の一態様の製剤管理システムでは、
前記製剤情報判定手段は、前記第1のICタグリーダから前記患者IDを受信することに対応して、当該第1のICタグリーダが設置されている前記手術室を当該患者に割り当てる。
【0009】
また、本発明の一態様の製剤管理システムでは、
前記製剤情報判定手段は、前記第1のICタグリーダまたは前記第2のICタグリーダで前記製剤のICタグが読み取られた前記製剤の判定結果が不適合である場合に、前記投与情報記憶手段に記憶された前記患者に対する前記製剤の投与に関する情報に基づいて、当該製剤に関係する患者または手術室に関する注意喚起の表示を行う。
【0010】
また、本発明の一態様の製剤管理システムでは、
前記第1のICタグリーダ及び前記第1の警告灯と、前記第2のICタグリーダ及び前記第2の警告灯を複数の前記手術室それぞれに備える。
【0011】
また、本発明の一態様の製剤管理方法は、
医療施設において使用される製剤に関する情報を管理する製剤管理サーバと、
手術室の出入り口に固定的に設置される第1のICタグリーダと、前記手術室の出入り口に固定的に設置され、前記第1のICタグリーダに対応付けられた第1の警告灯と、
前記手術室内に搬入され、投与が実行される製剤のICタグを読み取り可能な所定の場所に設置される第2のICタグリーダと、前記手術室内において前記製剤の投与が実行される場所に設置され、前記第2のICタグリーダに対応付けられた第2の警告灯と、を備え、
前記製剤管理サーバが、
前記医療施設における製剤に関する情報が記憶された製剤情報記憶手段と、
患者に対する前記製剤の投与に関する情報が記憶された投与情報記憶手段と、を備える製剤管理システムにおいて実行される製剤管理方法であって、
前記製剤情報記憶手段に記憶された前記医療施設における製剤に関する情報と、前記投与情報記憶手段に記憶された前記患者に対する前記製剤の投与に関する情報と、前記第1のICタグリーダまたは前記第2のICタグリーダで読み取られた前記製剤のICタグのデータとに基づいて、前記製剤の適否を判定する製剤情報判定ステップと、
前記製剤情報判定ステップにおける判定結果に基づいて、当該製剤のICタグのデータを読み取った前記第1のICタグリーダまたは前記第2のICタグリーダと対応付けられた前記第1の警告灯または前記第2の警告灯を点灯させる信号を出力する信号出力ステップと、
を含む。
【0012】
また、本発明の一態様のプログラムは、
医療施設において使用される製剤に関する情報を管理する製剤管理サーバと、
手術室の出入り口に固定的に設置される第1のICタグリーダと、前記手術室の出入り口に固定的に設置され、前記第1のICタグリーダに対応付けられた第1の警告灯と、
前記手術室内に搬入され、投与が実行される製剤のICタグを読み取り可能な所定の場所に設置される第2のICタグリーダと、前記手術室内において前記製剤の投与が実行される場所に設置され、前記第2のICタグリーダに対応付けられた第2の警告灯と、を備え、
前記製剤管理サーバが、
前記医療施設における製剤に関する情報が記憶された製剤情報記憶手段と、
患者に対する前記製剤の投与に関する情報が記憶された投与情報記憶手段と、を備える製剤管理システムの前記製剤管理サーバを制御するコンピュータに、
前記製剤情報記憶手段に記憶された前記医療施設における製剤に関する情報と、前記投与情報記憶手段に記憶された前記患者に対する前記製剤の投与に関する情報と、前記第1のICタグリーダまたは前記第2のICタグリーダで読み取られた前記製剤のICタグのデータとに基づいて、前記製剤の適否を判定する製剤情報判定機能と、
前記製剤情報判定機能の判定結果に基づいて、当該製剤のICタグのデータを読み取った前記第1のICタグリーダまたは前記第2のICタグリーダと対応付けられた前記第1の警告灯または前記第2の警告灯を点灯させる信号を出力する信号出力機能と、
を実現させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、製剤をより適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る製剤管理システム1が手術室8に対して設置されている状態の一例を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る製剤管理システム1が備える製剤管理サーバ2のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る製剤管理システム1が備える製剤管理サーバ2の機能的構成を示す機能ブロック図である。
図4】製剤管理サーバ2が管理している製剤情報管理テーブル41の一例を示す図である。
図5】製剤管理サーバ2が管理している投与情報管理テーブル51の一例を示す図である。
図6】製剤管理サーバ2が管理している製剤情報判定テーブル61の一例を示す図である。
図7】製剤管理サーバ2に表示される表示画面71の一例を示す。
図8】本発明の一実施形態に係る製剤管理システム1の製剤の管理方法の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、以下の説明における「製剤」には、医薬品、及び輸血用血液製剤(例えば、赤血球製剤、血漿製剤、血小板製剤、及び全血製剤)が含まれる。
【0016】
本実施形態の製剤管理システム1は、RFID(Radio Frequency IDentifier)を利用することにより実現される。つまり、患者を識別する患者ID及び製剤を識別する製剤IDはRFタグに記録される。RFタグに記録されたIDは、RFタグのリーダにより非接触で読み取り可能である。以下の説明では、IDが記録されるタグをICタグとし、ICタグを読み取る装置をICタグリーダとして説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る製剤管理システム1が手術室8に設置されている状態の一例を示す模式図である。なお、破線で結ばれている装置同士は、ネットワークで接続されていることを示す。
【0018】
製剤管理システム1は、製剤管理サーバ2と、第1のICタグリーダ3と、第1の警告灯4と、第2のICタグリーダ5と、第2の警告灯6と、を備える。
【0019】
製剤管理サーバ2は、医療機関において製剤の管理を行う部門(輸血部等)に配置され、運用される。製剤管理サーバ2と、第1のICタグリーダ3及び第1の警告灯4とは、所定の閉じられたネットワーク(例えば、LAN(Local Area Netwоrk))を介して接続されている。また、製剤管理サーバ2と、第2のICタグリーダ5及び第2の警告灯6とは、同様に、所定のネットワーク7を介して接続されている。
【0020】
製剤管理サーバ2は、医療施設において使用される製剤に関する情報を管理し、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって構成される。製剤管理サーバ2の詳細は後述する。
第1のICタグリーダ3及び第2のICタグリーダ5は、ICタグに記録されたデータを非接触で読み取る。
第1の警告灯4及び第2の警告灯6は、例えば、赤色及び青色のランプを備える回転警告灯(パトランプ)によって構成され、製剤管理サーバ2の指示に従って、製剤の適合または不適合を示す色のランプを点灯する。
【0021】
第1のICタグリーダ3及び第1の警告灯4は、対応付けられた機器として手術室8の出入り口8aに固定的に設置される。具体的には、第1のICタグリーダ3及び第1の警告灯4は、図1に示すような手術室8の内部における出入り口8a付近の場所、あるいは、手術室8の外部における出入り口8a付近の場所に固定的に設置される。
第1のICタグリーダ3は、出入り口8aから手術室8内に進入する患者のICタグ、及び出入り口8aから手術室8内に搬入される製剤のICタグを読み取り、読み取ったICタグのデータ(患者IDや製剤ID)を製剤管理サーバ2に送信する。
第1の警告灯4は、第1のICタグリーダ3に対応付けられている。即ち、第1の警告灯4は、第1のICタグリーダ3で読み取られたICタグのデータに基づく報知指示信号を製剤管理サーバ2から受信して、受信した報知指示信号に基づくランプを点灯させる。
【0022】
第2のICタグリーダ5及び第2の警告灯6は、対応付けられた機器として手術室8内部の所定の場所に設置される。具体的には、第2のICタグリーダ5は、手術室8内部において、使用される状態に設置された製剤等、投与が実行される製剤のICタグを読み取り可能な場所に設置される。
例えば、第2のICタグリーダ5は、手術台8bの近傍や製剤のバッグを吊り下げるスタンドに設置される。なお、第2のICタグリーダ5は、使用される状態に設置された製剤の他、投与が実行される際に保管庫8cから取り出される製剤のICタグを読み取り可能な場所(保管庫8cの取り出し口周辺等)に設置することとしてもよい。
第2のICタグリーダ5は、手術室8内に搬入され、投与が実行される製剤のICタグを読み取り、読み取ったICタグのデータを製剤管理サーバ2に送信する。
第2の警告灯6は、前記第2のICタグリーダに対応付けられている。即ち、第2の警告灯6は、第2のICタグリーダ5で読み取られたICタグのデータに基づく報知指示信号を製剤管理サーバ2から受信して、受信した報知指示信号に基づくランプを点灯させる。
【0023】
なお、製剤管理システム1は、手術室8毎に、第1のICタグリーダ3及び第1の警告灯4と、第2のICタグリーダ5及び第2の警告灯6とを備える。図1においては、1つの手術室8を例として示している。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態に係る製剤管理システム1が備える製剤管理サーバ2のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0025】
製剤管理サーバ2は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入力部15と、出力部16と、記憶部17と、通信部18と、ドライブ19と、を備えている。
【0026】
CPU11は、製剤を管理するためのプログラム等、ROM12に記録されているプログラム、または、記憶部17からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理(後述する製剤管理処理等)を実行する。
【0027】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0028】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。バス14には、入力部15、出力部16、記憶部17、通信部18及びドライブ19が接続されている。
【0029】
入力部15は、各種釦等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
記憶部17は、ハードディスクあるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、後述する管理テーブル等を記憶する。
通信部18は、他の装置(所定のネットワーク7を介して、第1のICタグリーダ3、第1の警告灯4、第2のICタグリーダ5、及び第2の警告灯6)との間で行う通信を制御する。
【0030】
ドライブ19には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ19によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部17にインストールされる。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態に係る製剤管理システム1が備える製剤管理サーバ2の機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0032】
製剤管理サーバ2では、製剤管理処理が実行される場合、CPU11において、製剤情報登録部31と、投与情報登録部32と、製剤情報受信部33と、製剤情報判定部34と、信号出力部35と、製剤情報管理部36と、が機能する。
【0033】
製剤情報登録部31は、医療施設における全ての製剤に関する情報を製剤情報管理テーブル41に登録する。製剤に関する情報として、例えば、医療施設に納品された製剤の種類(「医薬品」あるいは「血液製剤」等)、製剤の使用期限、及び製剤の納品日等が登録される。製剤情報登録部31によって、医療施設に納入された全ての製剤に関する情報が製剤情報管理テーブル41に登録されるため、製剤管理システム1においては、医療施設において用いられる製剤を統合的に管理することができる。
【0034】
投与情報登録部32は、患者と、患者に投与する製剤と、患者が製剤を投与される手術室(即ち、患者が手術あるいは治療を受ける手術室)と、を対応付けて投与情報管理テーブル51に登録する。投与情報管理テーブル51を参照することにより、患者の手術室及び投与される製剤が患者毎に管理される。
【0035】
製剤情報受信部33は、第1のICタグリーダ3から送信されたICタグのデータ、及び第2のICタグリーダ5から送信されたICタグのデータを受信する。製剤情報受信部33は、受信したデータを製剤情報判定テーブル61に登録する。
【0036】
製剤情報判定部34は、製剤情報受信部33が受信したICタグのデータ(製剤情報判定テーブル61内の読み取り結果)に基づき、製剤情報管理テーブル41及び投与情報管理テーブル51を参照して、出入り口8aから手術室8に搬入される製剤が、手術室8に入室した患者に投与されるべき製剤であるか否か(その患者及び手術室と対応付けられているか、製剤の使用期限が過ぎていないか等)を判定する。また、製剤情報判定部34は、製剤情報受信部33が受信したICタグのデータ(製剤情報判定テーブル61内の読み取り結果)に基づき、製剤情報管理テーブル41及び投与情報管理テーブル51を参照して、手術室8において投与が実行される製剤が手術室8に入室した患者に投与されるべき製剤であるか否か(その患者と対応付けられているか、製剤の使用期限が過ぎていないか等)を判定する。
また、製剤情報判定部34は、第1のICタグリーダ3から患者の患者IDが受信されると、受信した患者IDを製剤情報判定テーブル61に登録し、手術室8をその患者に割り当てる。
【0037】
信号出力部35は、第1の警告灯4及び第2の警告灯6に対して、製剤情報判定部34が判定した判定結果に基づく報知指示信号を送信する。
具体的には、製剤情報判定部34が、手術室8に搬入される製剤が患者に投与されるべき製剤(以下「適合した製剤」という)であると判定した場合、信号出力部35は、製剤が適合していることを示す報知指示信号を第1の警告灯4に対して送信する。また、製剤情報判定部34が、手術室8内部において、投与が実行される製剤が患者に投与されるべき製剤であると判定した場合、信号出力部35は、製剤が適合していることを示す報知指示信号を第2の警告灯6に対して送信する。
【0038】
また、製剤情報判定部34が、手術室8に搬入される製剤が患者に投与されるべき製剤ではない(以下「不適合の製剤」という)と判定した場合、信号出力部35は、製剤が不適合であることを示す報知指示信号を第1の警告灯4に対して送信する。また、製剤情報判定部34が、手術室8内に搬入されたものの、患者に投与されるべき製剤ではない(例えば、保管中に使用期限が経過した製剤や以前の手術で他の患者のために搬入された未使用の製剤等)と判定した場合、信号出力部35は、製剤が不適合であることを示す報知指示信号を第2の警告灯6に対して送信する。
【0039】
製剤情報管理部36は、製剤情報受信部33が受信したデータに基づいて、製剤が手術室8に搬入されたか否かに関する情報、及び、手術室8に搬入された製剤が使用されたか否かに関する情報を投与情報管理テーブル51に登録する。これにより、製剤の搬入状況や使用状況が逐次管理される。
【0040】
図4は、製剤情報管理テーブル41の一例を示す図である。
【0041】
製剤情報管理テーブル41は、医療施設に納入された全ての製剤に関する情報を製剤毎に管理するために使用されるテーブルである。
【0042】
具体的には、製剤情報管理テーブル41には、製剤毎に、製剤ID411、種類412、使用期限413、及び納品日414が対応付けて登録される。
製剤ID411は、納品された製剤を識別するための情報である。
種類412は、納品された製剤の種類を示す情報である。
使用期限413は、各製剤に設定された使用期限を示す情報である。製剤情報管理テーブル41では、使用期限413が「年月日」で示される。
納品日414は、医療施設に製剤が納品された日付を示す情報である。使用期限413の表記(年月日)に合わせて、納品日414も「年月日」で示される。ただし、使用期限や納品日を時分の単位で示すことも可能である。
【0043】
図5は、投与情報管理テーブル51の一例を示す図である。
【0044】
投与情報管理テーブル51は、手術が行われる予定の手術室8、手術室8で使用される予定の製剤、手術室8で手術される予定の患者、製剤が手術室8に搬入されたか否か、及び製剤が手術室8で使用されたか否かを、製剤管理サーバ2が管理するために使用されるテーブルである。なお、投与情報管理テーブル51において、手術が行われる予定の手術室8と対応付けて、手術が行われる日時及び所要時間を管理することとしてもよい。
【0045】
投与情報管理テーブル51には、手術室ID511、製剤ID512、患者ID513、搬入状況514、及び使用状況515が対応付けて登録される。
手術室ID511は、手術が行われる予定の手術室8を識別するための情報である。
製剤ID512は、患者に投与される予定の製剤を識別するための情報である。
患者ID513は、手術される予定の患者を識別するための情報である。
【0046】
搬入状況514は、患者に投与すべき製剤が手術室8に搬入されたか否かを示す情報である。製剤が搬入された場合、搬入状況514は「1」となる。一方、製剤が搬入されていない場合、搬入状況514は「0」となる。
具体的に、搬入状況514が「1」の製剤とは、製剤IDが、第1のICタグリーダ3で読み取られ、製剤情報判定部34により「適合した製剤」と判定され、手術室8内に搬入された製剤を示す。
また、搬入状況514が「0」の製剤とは、手術室8内にまだ搬入されていない製剤を示す。また、出入り口8aから手術室8内に搬入される製剤の製剤IDが、第1のICタグリーダ3で読み取られ、製剤情報判定部34により「不適合の製剤」と判定された場合にも、搬入状況514が「0」となる。なお、手術室8に、投与される予定のない製剤が搬送され、製剤の製剤IDが、第1のICタグリーダ3で読み取られた場合(即ち、製剤が不適合であることを示す報知指示信号を受信した場合)、製剤情報判定部34によって、その製剤に関係する他の手術室8や患者のデータが識別して表示(色を識別したり、メッセージを表示したりする等)されることにより、関係者に注意喚起される。
【0047】
使用状況515は、手術室8に搬入された製剤が使用されたか否かを示す情報である。製剤が使用された場合、使用状況515は「1」となる。製剤が使用されていない場合、使用状況515は「0」となる。
具体的に、使用状況515が「1」の製剤とは、搬入状況514が「1」として管理されている製剤のうち、製剤IDが、第2のICタグリーダ5で読み取られ、製剤情報判定部34により、再度「適合した製剤」と判定された製剤(即ち、使用された状態)を示す。
また、使用状況515が「0」の製剤とは、搬入状況514が「1」として管理されている製剤のうち、製剤IDが、第2のICタグリーダ5で読み取られ、製剤情報判定部34により、「不適合の製剤」と判定された製剤(即ち、使用されていない状態)を示す。
【0048】
図6は、製剤情報判定テーブル61の一例を示す図である。
【0049】
製剤情報判定テーブル61は、手術室8に搬入される製剤、及び手術室8内に搬入され、投与が実行される製剤が患者に投与されるべき製剤であるか否かを判定するために使用されるテーブルである。
製剤情報判定テーブル61には、手術室ID611、ICタグリーダID612、読み取り結果X613、読み取り結果Y614、受信日時615、及び警告灯ID616が対応付けて登録される。
手術室ID611は、手術室8を識別するための情報である。
ICタグリーダID612は、手術室8に対応付けられている2台のICタグリーダを識別するための情報である。2台のICタグリーダのうち、ICタグリーダID612の1行目に示されているIDによって識別されるICタグリーダは、手術室8の出入り口8aに固定的に設置されている。一方、ICタグリーダID612の2行目に示されているIDによって識別されるICタグリーダは、手術室8内の所定の場所(上述した投与が実行される製剤のICタグを読み取り可能な場所)に設置されている。
読み取り結果X613は、ICタグリーダID612の1行目に示されているIDによって識別されるICタグリーダ(つまり、出入り口8aに設置されているICタグリーダ)によって読み取られた患者IDを示す。
読み取り結果Y614は、ICタグリーダID612によって識別される2台のICタグリーダ(例えば、図1で示す第1のICタグリーダ3及び第2のICタグリーダ5)によってそれぞれ読み取られた製剤IDを示す。なお、同一種類の製剤が複数使用される場合、製剤情報判定テーブル61において、手術室8に搬入された製剤の数を併せて管理することとしてもよい。
受信日時615は、ICタグリーダID612の2行目に示されているIDによって識別されるICタグリーダ(例えば、図1で示す第2のICタグリーダ5)が送信した製剤IDを、製剤情報受信部33が受信した日時(「年月日」)を示す。
警告灯ID616は、各ICタグリーダに対応付けて設置されている警告灯を識別するための情報である。例えば、ICタグリーダID612が「TAG1」の第1のICタグリーダ3には警告灯ID616が「PT1」の第1の警告灯4が対応付けられている。また、ICタグリーダID612が「TAG2」の第2のICタグリーダ5には警告灯ID616が「PT2」の第2の警告灯6が対応付けられている。
【0050】
図7は、製剤管理サーバ2に表示される表示画面71の一例を示す図である。
製剤管理サーバ2を操作する作業者は、表示画面71を介して、医療施設内に存在する手術室8において製剤が適切に管理されているか否かを確認できる。
表示画面71には、手術室毎に、手術室ID711、製剤ID712、患者ID713、ICタグリーダID714、読み取り結果715、及び報知内容716が表示される。
手術室ID711は、手術室8を識別するための情報である。
製剤ID712は、製剤を識別するための情報である。
患者ID713は、患者を識別するための情報である。
ICタグリーダID714は、製剤情報判定テーブル61のICタグリーダID612と同様に、手術室8に対応付けられている2台のICタグリーダを識別するための情報である。
読み取り結果715は、ICタグリーダID714によって識別されるICタグリーダ(例えば、図1で示す第1のICタグリーダ3及び第2のICタグリーダ5)からそれぞれ送信された製剤IDの製剤情報判定部34による判定結果を示す。
報知内容716は、信号出力部35が各ICタグリーダに対応付けられている警告灯(4及び5)に送信した報知指示信号の内容を示す。
【0051】
図8は、本発明の一実施形態に係る製剤管理システム1が実行する製剤管理処理の流れを説明するフローチャートである。
【0052】
製剤管理処理の実行に先立ち、製剤情報登録部31によって製剤情報管理テーブル41に製剤に関する情報が登録され、及び投与情報登録部32によって投与情報管理テーブル51(手術室ID511、製剤ID512、及び患者ID513)に必要な情報が登録される。
【0053】
なお、図8においては、手術室IDが「OP1」の手術室8を使用して患者を手術する場合を例として示している。
手術室IDが「OP1」の手術室8には、ICタグリーダIDが「TAG1」の第1のICタグリーダ3と、ICタグリーダIDが「TAG2」の第2のICタグリーダ5とが対応付けられている。第1のICタグリーダ3は、手術室8の出入り口8aに固定的に設置されている。第2のICタグリーダ5は、手術室8内の所定の場所(投与が実行される製剤のICタグを読み取り可能な場所)に設置されている。
また、第1のICタグリーダ3には、警告灯IDが「PT1」の第1の警告灯4が対応付けられており、第2のICタグリーダ5には、警告灯IDが「PT2」の第2の警告灯6が対応付けられている。
【0054】
製剤管理処理は、入力部15等を介して、製剤管理処理の起動が指示入力されることにより開始される。
【0055】
ステップS1において、製剤情報受信部33は、第1のICタグリーダ3から送信された患者の患者IDを受信する。患者IDは、例えば、患者のリストバンドに内蔵されたICタグに記憶されている。
【0056】
ステップS2において、製剤情報判定部34は、患者が入室した手術室8を製剤情報受信部33が受信した患者IDの患者に割り当てる。具体的に、製剤情報判定部34は、製剤情報判定テーブル61の読み取り結果X613に、製剤情報受信部33が受信した患者ID「0001」を記憶し、患者ID「0001」と手術室ID611「OP1」とを対応付ける。
【0057】
ステップS3において、製剤情報受信部33は、第1のICタグリーダ3から製剤の製剤IDを受信したか否かの判定を行う。
第1のICタグリーダ3から製剤の製剤IDを受信していない場合、ステップS3においてNOと判定されて、処理はステップS6に移行する。
一方、第1のICタグリーダ3から製剤の製剤IDを受信した場合、ステップS3においてYESと判定されて、処理はステップS4に移行する。
【0058】
ステップS4において、製剤情報判定部34は、製剤情報管理テーブル41及び投与情報管理テーブル51を参照して、製剤情報受信部33が受信した製剤IDが患者IDと適合するか否かの判定を行う。
受信した製剤IDが患者IDと適合しない場合(つまり、受信した製剤IDによって識別される製剤が「不適合の製剤」である場合)、ステップS4においてNOと判定されて、処理はステップS10に移行する。
一方、受信した製剤IDが患者IDと適合している場合(つまり、受信した製剤IDによって識別される製剤が「適合した製剤」である場合)ステップS4においてYESと判定されて、処理はステップS5に移行する。
【0059】
ステップS5において、製剤情報管理部36は、投与情報管理テーブル51の搬入状況514に製剤が搬入されたことを示す「1」を記憶する。また、ステップS5において、信号出力部35は、第1の警告灯4に対して製剤が適合していることを示す報知指示信号を送信する。
【0060】
ステップS6において、製剤情報受信部33は、第2のICタグリーダ5から製剤の製剤IDを受信したか否かの判定を行う。
第2のICタグリーダ5から製剤の製剤IDを受信していない場合、ステップS6においてNOと判定されて、処理はステップS9に移行する。
一方、第2のICタグリーダ5から製剤の製剤IDを受信した場合、ステップS6においてYESと判定されて、処理はステップS7に移行する。
【0061】
ステップS7において、製剤情報判定部34は、製剤情報管理テーブル41及び投与情報管理テーブル51を参照して、製剤情報受信部33が受信した製剤IDが患者IDと適合するか否かの判定を行う。
受信した製剤IDが患者IDと適合しないと判定された場合(つまり、受信した製剤IDによって識別される製剤が、患者に対応するものでない、あるいは使用期限が切れている等、投与が実行されるべき製剤ではない場合)、ステップS7においてNOと判定されて、処理はステップS11に移行する。
一方、受信した製剤IDが患者IDと適合している判定された場合(つまり、受信した製剤IDによって識別される製剤が、投与が実行されるべき製剤である場合)、ステップS7においてYESと判定されて、処理はステップS8に移行する。
【0062】
ステップS8において、製剤情報管理部36は、投与情報管理テーブル51の使用状況515に製剤が使用されたことを示す「1」を記憶する。また、ステップS8において、信号出力部35は、第2の警告灯6に対して製剤が適合していることを示す報知指示信号を送信する。
【0063】
ステップS9において、製剤情報判定部34は、製剤管理処理の終了条件が充足したか否かの判定を行う。終了条件として、例えば、第1のICタグリーダ3が患者の患者IDを再び読み取り、製剤管理サーバ2がその患者IDを受信すること(即ち、手術等が終了して患者が手術室8から退出すること)、製剤管理サーバ2において手術終了を示す指示入力あるいは製剤管理処理を終了させる指示入力が行われたこと等を設定することができる。なお、手術室8において、次の患者の患者IDが第1のICタグリーダ3で読み取られ、製剤管理サーバ2がその患者IDを受信することを製剤管理処理の終了条件に含めることとしてもよい。
製剤管理処理の終了条件が充足した場合、ステップS9においてYESと判定されて、製剤管理処理は終了となる。
なお、これにより、投与情報登録部32により手術室8に対応付けられていた製剤、及び患者に関する情報がリセットされる。即ち、投与情報管理テーブル51の手術室ID「OP1」に対応付けられていた製剤ID512「A」、患者ID「0001」、搬入状況514「1」、及び使用状況515「0」がリセットされる。
一方、製剤管理処理の終了条件が充足していないと判定された場合、ステップS9においてNOと判定されて、処理はステップS3に移行する。
【0064】
ステップS10において、製剤情報管理部36は、投与情報管理テーブル51の搬入状況514に製剤が搬入されていないことを示す「0」を記憶する。また、ステップS10において、信号出力部35は、第1の警告灯4に対して製剤が不適合であることを示す報知指示信号を送信する。この送信結果は、表示画面71の報知内容716に反映される。
このとき、信号出力部35が、いずれかの警告灯に対して製剤が不適合であることを示す報知指示信号を送信する場合には、表示画面71全体を識別表示すること(画面全体を赤色に網掛けする等)もできる。
【0065】
ステップS11において、製剤情報管理部36は、投与情報管理テーブル51の使用状況515に製剤が使用されていないことを示す「0」を記憶する。また、ステップS12において、信号出力部35は、第2の警告灯6に対して製剤が不適合であることを示す報知指示信号を送信する。この送信結果は、表示画面71の報知内容716に反映される。
【0066】
このような処理により、製剤管理サーバ2は、製剤が手術室8に搬入される段階、及び、製剤が手術室8内に搬入され投与が実行される段階において、製剤の適否を判定することができる。そして、製剤管理サーバ2は、製剤管理サーバ2による判定結果を、第1の警告灯4及び第2の警告灯6に出力させることができる。
これにより、作業者は製剤のICタグを第1のICタグリーダ3あるいは第2のICタグリーダ5にかざすだけで、製剤の適否を確認することができる。即ち、作業者は、第1のICタグリーダ3あるいは第2のICタグリーダ5に非接触で製剤のICタグを読み取らせ、読み取られたICタグのデータに基づく判定結果を第1の警告灯4あるいは第2の警告灯6に出力させることができる。つまり、作業者は、製剤を照合するにあたり、消毒が行われていないバーコードリーダ等を手術室8内で取り扱う必要がない。そのため、手術室8において医療行為を行う際の作業性を高めることができる。また、製剤の適否の判定結果が第1の警告灯4あるいは第2の警告灯6によって報知されるため、わかりやすい形態で、複数の関係者に製剤の適否を知らせることができ、製剤の適否を確認する際の確実性を高めることができる。さらに、手術等を行う際の各段階に応じて適切に製剤の適否を確認することができるため、手術室8内に搬入される製剤の適切性を高めることができる。そのため、手術室8内において、製剤を使用するに際して、その製剤が使用できないと判明することによる手術や治療の遅れ、あるいは効率の低下を防ぐことができる。また、医療施設における製剤を統合的に管理できるため、1つの不具合が生じた場合に、関連する箇所に影響する以前に注意喚起することができ、より適切に医療施設を運営することが可能となる。
したがって、製剤管理システム1によれば、製剤をより適切に管理することが可能となる。
【0067】
<応用例1>
上記実施形態において、製剤情報管理テーブル41のデータを製剤管理サーバ2において登録することとしたが、医療施設に製剤を納入する製剤メーカによって製剤情報管理テーブル41のデータを生成し、製剤管理サーバ2に提供することとしてもよい。即ち、製剤メーカは、医療施設に納入する製剤について、製剤の名称、種類、使用期限、及び納品日等のデータを保有していることから、これを利用することで、医療施設における登録時の誤入力等を防ぎ、製剤をより適切に管理することが可能となる。
【0068】
[作用効果]
本発明の実施形態によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0069】
本実施形態の製剤管理システム1は、医療施設において使用される製剤に関する情報を管理する製剤管理サーバ2と、手術室8の出入り口8aに固定的に設置される第1のICタグリーダ3と、手術室8の出入り口8aに固定的に設置され、第1のICタグリーダ3に対応付けられた第1の警告灯4と、手術室8内に搬入され、投与が実行される製剤のICタグを読み取り可能な所定の場所に設置される第2のICタグリーダ5と、第2のICタグリーダ5に対応付けられた第2の警告灯6と、を備える。
製剤管理サーバ2は、医療施設における製剤に関する情報が記憶された製剤情報管理テーブル41と、患者に対する製剤の投与に関する情報が記憶された投与情報管理テーブル51と、製剤情報管理テーブル41に記憶された医療施設における製剤に関する情報と、投与情報管理テーブルに記憶された患者に対する製剤の投与に関する情報と、第1のICタグリーダ3または第2のICタグリーダ5で読み取られた製剤のICタグのデータとに基づいて、製剤の適否を判定する製剤情報判定部34と、製剤情報判定部34の判定結果に基づいて、当該製剤のICタグのデータを読み取った第1のICタグリーダ3または第2のICタグリーダ5と対応付けられた第1の警告灯4または第2の警告灯6を点灯させる信号を出力する信号出力部35と、を有する。
この構成によれば、製剤管理サーバ2は、製剤が手術室8に搬入される段階、及び、製剤が手術室8内に搬入され投与が実行される段階において、製剤の適否を判定することができる。そして、製剤管理サーバ2は、製剤管理サーバ2による判定結果を、第1の警告灯4及び第2の警告灯6に出力させることができる。
これにより、作業者は製剤のICタグを第1のICタグリーダ3あるいは第2のICタグリーダ5にかざすだけで、製剤の適否を確認することができる。即ち、作業者は、第1のICタグリーダ3あるいは第2のICタグリーダ5に非接触で製剤のICタグを読み取らせ、読み取られたICタグのデータに基づく判定結果を第1の警告灯4あるいは第2の警告灯6に出力させることができる。つまり、作業者は、製剤を照合するにあたり、消毒が行われていないバーコードリーダ等を手術室8内で取り扱う必要がない。そのため、手術室8において医療行為を行う際の作業性を高めることができる。また、製剤の適否の判定結果が第1の警告灯4あるいは第2の警告灯6によって報知されるため、わかりやすい形態で、複数の関係者に製剤の適否を知らせることができ、製剤の適否を確認する際の確実性を高めることができる。さらに、手術等を行う際の各段階に応じて適切に製剤の適否を確認することができるため、手術室8内に搬入される製剤の適切性を高めることができる。そのため、手術室8内において、製剤を使用するに際して、その製剤が使用できないと判明することによる手術や治療の遅れ、あるいは効率の低下を防ぐことができる。
したがって、製剤をより適切に管理することが可能となる。
【0070】
また、製剤情報管理テーブル41では、製剤に関する情報として、製剤を識別するための製剤IDと、製剤の種類と、製剤の使用期限とが少なくとも対応付けて記憶される。
また、投与情報管理テーブルでは、患者に対する製剤の投与に関する情報として、患者を識別するための患者IDと、患者に投与する製剤を識別するための製剤IDと、患者に製剤が投与される手術室を識別する手術室IDとが少なくとも対応付けて記憶される。
これにより、製剤の種類及び使用期限等が管理された製剤を、製剤が投与される手術室及び患者と対応付けて、より適切に管理することができる。
【0071】
また、製剤情報判定部34は、第1のICタグリーダ3から患者IDを受信することに対応して、当該第1のICタグリーダが設置されている手術室8を当該患者に割り当てる。
これにより、患者の手術等が行われる手術室に、不適切な製剤が搬入される可能性を低下させることができる。
【0072】
また、製剤情報判定部34は、第1のICタグリーダ3または第2のICタグリーダ5で製剤のICタグが読み取られた製剤の判定結果が不適合である場合に、投与情報管理テーブル51に記憶された患者に対する製剤の投与に関する情報に基づいて、当該製剤に関係する患者または手術室に関する注意喚起の表示を行う。
これにより、1つの不具合が生じた場合に、関連する箇所に影響する以前に注意喚起することができ、より適切に医療施設を運営することが可能となる。
【0073】
また、第1のICタグリーダ3及び第1の警告灯4と、第2のICタグリーダ5及び第2の警告灯6を複数の手術室8それぞれに備える。
これにより、医療施設における複数の手術室における製剤の管理をより適切に行うことが可能となる。
【0074】
上述の実施形態における処理は、ハードウェア及びソフトウェアのいずれにより実行させることも可能である。
即ち、上述の処理を実行できる機能が製剤管理システム1に備えられていればよく、この機能を実現するためにどのような機能構成及びハードウェア構成とするかは上述の例に限定されない。
上述の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにネットワークや記憶媒体からインストールされる。
【0075】
プログラムを記憶する記憶媒体は、装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディア、あるいは、装置本体に予め組み込まれた記憶媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク、光ディスク、または光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu−ray Disc(ブルーレイディスク)(登録商標)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた記憶媒体は、例えば、プログラムが記憶されているROMやハードディスク等で構成される。
【符号の説明】
【0076】
1…製剤管理システム、2…製剤管理サーバ、3…第1のICタグリーダ、4…第1の警告灯、5…第2のICタグリーダ、6…第1の警告灯、33…製剤情報受信部(製剤情報受信手段)、34…製剤情報判定部(製剤情報判定手段)、35…信号出力部(信号出力手段)、41・・・製剤情報管理テーブル(製剤情報記憶手段)、51…投与情報管理テーブル(投与情報記憶手段)、61…製剤情報判定テーブル、71…表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8