(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による工作機械の制御装置の略示ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態における工作機械の操作盤の概略正面図である。
【
図3】
図2の操作盤の表示画面に表示される卓上計算機の一例を示す図である。
【
図4】加工条件として切削速度を計算するための
図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
【
図5】加工条件として一刃当たりの送り量を計算するための
図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
【
図6】加工条件として送り速度を計算するための
図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
【
図7】加工条件として主軸回転速度を計算するための
図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
【
図8】加工条件として切削速度を計算するための
図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
【
図9】加工条件としてカスプ高さを計算するための
図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
【
図10】加工条件としてピックフィード量を計算するための
図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
【
図11】加工条件としてカスプ高さを計算するための
図2の操作盤の表示画面に表示される画面の他の例を示す図である。
【
図12】加工条件として切りくず除去量(ワークから除去される材料の量)を計算するための
図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
【
図13】座標系を計算するための
図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
【
図14】現在のX、Y座標を取り込むためのコマンドを示す
図13の画面内に表示されるアイコンの一例を示す図である。
【
図15】現在のX、YまたはZ座標を取り込むためのコマンドを示す
図13の画面内に表示されるアイコンの一例を示す図である。
【
図16】2点間の中点を計算するためのコマンドを示す
図13の画面内に表示されるアイコンの一例を示す図である。
【
図17】2点間の傾きを計算するためのコマンドを示す
図13の画面内に表示されるアイコンの一例を示す図である。
【
図18】2直線の交点を計算するためのコマンドを示す
図13の画面内に表示されるアイコンの一例を示す図である。
【
図19】回転後の座標を計算するためのコマンドを示す
図13の画面内に表示されるアイコンの一例を示す図である。
【
図20】幅を計算するためのコマンドを示す
図13の画面内に表示されるアイコンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
本発明の好ましい実施形態による工作機械の制御装置の略示ブロック図である
図1を参照すると、制御装置10は、入力部12、演算部14、データベース16、記憶部18および表示部20を主要な構成要素として具備している。
【0012】
入力部12は、タッチパネル等より形成される表示部20に表示される画面により構成され、後述するように、数値を入力する入力ボックス12aおよびドロップダウンリストにより構成される計算選択部12bを含む。データベース16には、種々の計算式が計算の種類に関連付けて格納されている。更に、データベース16には、工具径D、工具長L、刃数N、一刃当たりの送り量fz、送り速度F、回転速度S等のパラメータが工具番号と関連付けて格納されている。
【0013】
計算選択部12bにおいて計算の種類が選択されると、対応する計算式や必要なパラメータがデータベース16から読み出されて演算部14に送出され、該演算部14において計算が行われる。計算結果は記憶部18に格納され、該記憶部18から、例えばNC装置(図示せず)に送出することができる。
【0014】
図2に、工作機械の制御装置に配置されている操作盤の正面図を示す。
図1、2を参照すると、操作盤30は、
図1の表示部20を形成する表示パネル44を含む。本実施の形態の表示パネル44は、画面を接触することにより所望の部分の選択が可能なタッチパネルにより形成することができ、表示パネル44には入力部12を構成する画面が表示される。
【0015】
操作盤30は、キー入力部32を含む。キー入力部32には、複数のキースイッチが配置されている。キー入力部32のキースイッチを押すことにより、所定の数字や文字を入力することができる。また、操作盤30は、所定の操作の選択を行う操作スイッチ部34、オーバライド値の設定を行うオーバライド設定部36〜40および非常停止ボタン42を含む。オーバライド設定部36〜40は、例えば、主軸の回転速度のオーバライド値や加工の送り速度のオーバライド値等を設定することができる。
【0016】
図3は、表示部20(表示パネル44)に表示される卓上計算機を示している。この表示モードではオペレータが任意の計算をすることができる。
【0017】
図4は、計算の種類として、主軸回転速度S(min
-1)と工具径(mm)から切削速度∨(m/min)を計算するための画面100を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によって切削速度(m/min)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータである工具径と、主軸回転速度が表示される。更に、入力ボックス102、104が各パラメータの下に表示される。工具径D(mm)および主軸回転速度S(min
-1)として適切な数値を入力ボックス102、104に入力すると、∨=(D×π×S)/1000の計算式によって切削速度∨(m/min)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0018】
図5は、計算の種類として、主軸回転速度S(mim
-1)、刃数Zおよび送り速度F(mm/min)から一刃当たりの送り量fz(mm/tooth)を計算するための画面110を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によって一刃当たりの送り量(mm/tooth)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータである主軸回転速度、刃数および送り速度が表示される。更に、入力ボックス112、114、116が各パラメータの下に表示される。送り速度F(mm/min)、刃数Zおよび主軸回転速度S(min
-1)として適切な数値を入力ボックス112、114、116に入力すると、fz=F/(Z×S)の計算式によって一刃当たりの送り量fz(mm/tooth)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0019】
図6は、計算の種類として、一刃当たりの送り量(mm/tooth)、主軸回転速度S(min
-1)および刃数Zから送り速度F(mm/min)を計算するための画面120を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によって送り速度(mm/min)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータである一刃当たりの送り量、主軸回転速度および刃数が表示される。更に、入力ボックス122、124、126が各パラメータの下に表示される。一刃当たりの送り量(mm/tooth)、刃数Zおよび主軸回転速度S(min
-1)として適切な数値を入力ボックス122、124、126に入力すると、F=fz×Z×Sの計算式によって送り速度F(mm/min)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0020】
図7は、計算の種類として、切削速度∨(m/min)および工具径D(mm)から主軸回転速度S(min
-1)を計算するための画面130を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によって主軸回転速度(min
-1)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータである切削速度および工具径が表示される。更に、入力ボックス132、134が各パラメータの下に表示される。切削速度∨(m/min)および工具径D(mm)として適切な数値を入力ボックス132、134に入力すると、S=(1000×∨)/(D×π)の計算式によって主軸回転速度S(min
-1)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0021】
図8は、計算の種類として、主軸回転速度S(min
-1)および工具径D(mm)から切削速度∨(m/min)を計算するための画面140を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によって切削速度(m/min)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータである主軸回転速度および工具径が表示される。更に、入力ボックス142、144が各パラメータの下に表示される。工具径D(mm)および主軸回転速度(min
-1)として適切な数値を入力ボックス142、144に入力すると、∨=(D×π×S)/1000の計算式によって切削速度∨(m/min)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0022】
図9は、計算の種類として、ピックフィード量P(mm)およびボールエンドミルの先端のボール半径R(mm)からカスプ高さH(mm)を計算するための画面150を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によってカスプ高さ(mm)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータであるピックフィード量およびボール半径が表示される。更に、入力ボックス152、154が各パラメータの下に表示される。ピックフィード量P(mm)およびボール半径R(mm)として適切な数値を入力ボックス152、154に入力すると、H=(R
2−P
2/4)
1/2の計算式によってカスプ高さH(mm)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0023】
図10は、計算の種類として、カスプ高さH(mm)およびボール半径R(mm)からピックフィード量P(mm)を計算するための画面160を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によってピックフィード量P(mm)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータであるカスプ高さおよびボール半径が表示される。更に、入力ボックス162、164が各パラメータの下に表示される。カスプ高さ(mm)およびボール半径R(mm)として適切な数値を入力ボックス162、164に入力すると、P=(8×H×R−4H
2)
1/2の計算式によってピックフィード量P(mm)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0024】
図11は、計算の種類として、一刃当たりの送り量fz(mm/tooth)およびボール半径R(mm)からカスプ高さH(mm)を計算するための画面170を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によってカスプ高さ(mm)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータである一刃当たりの送り量およびボール半径が表示される。更に、入力ボックス172、174が各パラメータの下に表示される。送り量fz(mm/tooth)およびボール半径R(mm)として適切な数値を入力ボックス172、174に入力すると、H=R−(R
2−fz
2/4)
1/2の計算式によってカスプ高さ(mm)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0025】
図12は、計算の種類として、切削幅W(mm)、切込み深さDP(mm)および送り速度F(mm/min)から切りくず除去量MRR(cm
3/min)を計算するための画面180を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によって切りくず除去量MRR(cm
3/min)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータである切削幅、切込み深さおよび送り速度が表示される。更に、入力ボックス182、184、186が各パラメータの下に表示される。切削幅W(mm)、切込み深さDP(mm)および送り速度F(mm/min)として適切な数値を入力ボックス182、184、186に入力すると、MRR=W×DP×F/1000の計算式によってMRR(cm
3/min)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0026】
こうして計算された加工条件は、制御装置10の記憶部18に格納され、例えばNC装置へ出力させたり、或いは、オペレータが加工プログラムを編集する際に加工プログラム内の引数として受け渡すことができる。引数として加工プログラムへ受け渡す際には、計算結果である数値に該数値の意味を表すアルファベット(X、Y、Z、S、F等)を付加するようにしたり、必要に応じて小数点を付したり、有効桁数を調整するようにできる。更に、切削抵抗N(kgf)の計算のような一層複雑な計算のために用いることができる。
【0027】
N=(1900×Ad×Rd×fz×Z×K)/D×Q
ここで、
Ad:軸方向の切込み量(mm)
Rd:半径方向の切込み量(mm)
fz:一刃当たりの送り量(mm/tooth)
Z:刃数
K:表1に示す材質係数
D:工具径(mm)
Q:表2に示す切削効率
【表1】
【表2】
【0028】
表1の材質係数や、表2に示す一刃当たりの送り量fzに対する切削効率のようなデータは、データベース16に格納されており、演算部14によって適宜呼び出され、計算に用いられる。オペレータは、こうして計算された切削抵抗Nが許容範囲内に入るように、加工条件を決定することが可能となる。
【0029】
図13を参照すると、ワークの座標を計算するための画面が示されている。工作機械の座標系を設定する画面を開くと、
図13の上段に示すような画面200が表示部20に表示される。画面200は、左側にアイコンが配置され、各アイコンの右側に計算内容の簡単な説明が表示される。
図13の上段は、一例として、2点を通る直線の傾きを計算して取得する傾斜取得のアイコンが選択されていることを示しており、下段はアイコンの選択により傾斜取得画面210が表示されることを示している。
【0030】
傾斜取得画面210は、計算する傾斜Cの基準となる軸を選択するための軸選択部212と、2つの点のXY座標を入力する座標入力部214、216を含んでいる。任意の2点のX、Y座標を入力するとC=ATAN(y
2−y
1)/(x
2−x
1)の計算式によって、該2点を通る直線の傾斜Cが計算され、計算結果が表示される。該傾斜Cの値が記憶部18に格納される。
【0031】
図14は、現在のXY座標を取り込むXY座標取得アイコン220を示している。XY座標取得アイコン220をクリックすると、
図13の下段と同様に座標取得画面が表示され、そこで座標を取り込むことができる。工作機械のX軸スケールや、Y軸スケール等の位置センサ(図示せず)の読みが、例えばデータベース16の所定の記憶領域に取り込まれる。
【0032】
図15は、現在のX、YまたはZ座標のうち1つを選択して取り込む1座標取得アイコン230を示している。1座標取得アイコン230をクリックすると、
図13の下段と同様に座標取得画面が表示され、そこで座標を取り込むことができる。工作機械のX軸スケール、Y軸スケール、Z軸スケール等の位置センサ(図示せず)のうち該当する軸の読みが、例えばデータベース16の所定の記憶領域に取り込まれる。
【0033】
図16は、2点間の中点を計算して取り込む中点取得アイコン240を示している。
図17は、既述した傾斜取得画面210に表示されるアイコン211を示している。
【0034】
図18は、2つの直線の交点を取得する交点取得アイコン250を示している。XY平面内で2点(x
1、y
1)、(x
2、y
2)を通る直線L
1と、他の2点(x
3、y
3)、(x
4、y
4)を通る直線L
2の交点PC(X、Y)は、
A
1=(y
2−y
1)/(x
2−x
1)
A
3=(y
4−y
3)/(x
4−x
3)
とすると、
X=(A
1×x
1−y
3−A
3×x
3+y
3)/(A
1−A
3)
Y=A
1×(X−x
1)+y
1
から計算される。4点(x
1、y
1)、(x
2、y
2)、(x
3、y
3)、(x
4、y
4)の座標値は、例えば主軸先端に装着したタッチセンサをワークの所望位置に接触させ取り込むことができる。
【0035】
図19はワークを回転させた後の座標を取得する回転後座標取得アイコン260を示している。X軸周りに角度θを以って回転させた後の座標PR(X、Y、Z)は以下の式から計算される。
X=x
Y=cosθ×y−sinθ×z
Z=sinθ×y+cosθ×z
【0036】
Y軸周りに角度θを以って回転させた後の座標PR(X、Y、Z)は以下の式から計算される。
X=cosθ×x+sinθ×z
Y=y
Z=−sinθ×x+cosθ×z
【0037】
Z軸周りに角度θを以って回転させた後の座標PR(X、Y、Z)は以下の式から計算される。
X=cosθ×x−sinθ×y
Y=sinθ×x+cosθ×y
Z=z
【0038】
現在の座標値(x、y、z)は、タッチセンサをワークの所望位置に接触させ取り込むことができる。
【0039】
図20は、ワークのX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向の距離を取得する幅取得アイコン270を示している。幅Lは以下の式にて計算される。
Lx=|x
2+x
1|
Ly=|y
2+y
1|
Lz=|z
2+z
1|
現在の座標値(x、y)は、タッチセンサをワークの所望位置に接触させ取り込むことができる。