特許第6461177号(P6461177)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461177
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】工作機械の制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/409 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
   G05B19/409 C
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-551420(P2016-551420)
(86)(22)【出願日】2014年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2014076228
(87)【国際公開番号】WO2016051549
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154990
【氏名又は名称】株式会社牧野フライス製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】河合 理恵
(72)【発明者】
【氏名】瓶子 英樹
(72)【発明者】
【氏名】大野 堅一
(72)【発明者】
【氏名】星野 喜弘
【審査官】 田村 耕作
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−008152(JP,A)
【文献】 特開2012−213830(JP,A)
【文献】 特開昭62−088544(JP,A)
【文献】 特開平03−014005(JP,A)
【文献】 特開平03−168805(JP,A)
【文献】 特開昭62−120940(JP,A)
【文献】 特開昭62−256104(JP,A)
【文献】 特開2006−068901(JP,A)
【文献】 特表2009−544482(JP,A)
【文献】 特開2009−282909(JP,A)
【文献】 特開2009−295056(JP,A)
【文献】 特表2002−529843(JP,A)
【文献】 特開平04−075108(JP,A)
【文献】 特開平06−083434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/409
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工プログラムに基づいてワークを加工する工作機械の制御装置において、
計算の種類に対応した計算式と該計算を実行するために必要なパラメータの種類と、材質によって変わる係数または切削条件で決定されるデータとが格納されているデータベースと、
オペレータによって計算の種類を選択する計算選択部と、前記パラメータとしての数値を入力する入力ボックスとを有する入力部と、
前記入力部で選択した計算の種類と、該計算の種類に対応した計算式と、該計算式により計算するために入力すべきパラメータの種類と、計算結果とを表示する表示部とを具備し
前記入力すべきパラメータの種類とともに前記入力ボックスを表示し、前記入力ボックスに前記パラメータとしての数値を入力すると、前記表示部に計算結果を表示することを特徴とする工作機械の制御装置。
【請求項2】
前記パラメータに入力する数値として工作機械の現在の座標値を自動的に前記データベースに取り込むようにした請求項1に記載の工作機械の制御装置。
【請求項3】
前記計算選択部は、ドロップダウンメニューによって前記表示部に表示される請求項に記載の工作機械の制御装置。
【請求項4】
計算結果を記憶する記憶部を更に具備する請求項に記載の工作機械の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械のオペレータが容易に加工条件の計算を可能とし、オペレータによる計算ミスと入力ミスとを防止する工作機械の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械の送り軸装置は、送り速度や主軸回転速度等の加工条件は加工プログラムに記載されているが、実際には、オペレータが工場等の現場において、経験等に基づいて送り速度や主軸回転速度等をNC装置に直接入力したり、工作機械の近傍でNCプログラムを作成または編集しなければならないことがある。このようにオペレータが工場等の現場においてNCプログラムを作成または編集する際にNC装置に入力すべきデータには、オペレータが、卓上計算機を用いて数値を計算しなければならないものがある。また、計算に必要なデータやパラメータは、オペレータが仕様書等から目視にて選択し卓上計算機等に入力しなければならないこともあり、作業が煩雑で卓上計算機へのデータの入力ミスの原因ともなっている。また、計算結果をNC装置へ入力する際にも入力ミスが生じる可能性がある。
【0003】
そうした人的ミスを防止するために、特許文献1には、工具の直径または半径、工具の刃数、工具長等の工具データを保持する工具データベースを備え、現在の送り速度および主軸回転速度から周速と一刃当たりの送り量を計算、表示するようにした工作機械のNC装置が記載されている。また、特許文献2には、設定表示装置でデータの設定や表示を行う数値制御装置において、表示画面のウインドウ内に卓上計算機の機能を持たせた数値制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−296214号公報
【特許文献2】実開平05−2207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明では、工具の切刃の周速と一刃当たりの送り量を計算することができるが、加工条件として、切削速度、送り速度、主軸回転速度、カスプ高さ、ピックフィード量、切りくず除去量を計算することができず、人的な入力ミスや計算ミスを防止することができない。特許文献2の発明では、卓上計算機が表示画面に表示されるが、オペレータは手操作で入力しなければならないので、やはり人的な入力ミスや計算ミスを防止することができない。
【0006】
更に、引用文献1、2の発明では、工作機械の現在の座標値を入力データとして取り込んだり、計算結果を加工プログラムへ引数として受け渡したりすることができず、人的な入力ミスを防止することができない。
【0007】
本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、オペレータが容易に加工条件の計算を可能とし、オペレータによる計算ミスと入力ミスとを防止した工作機械の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、加工プログラムに基づいてワークを加工する工作機械の制御装置において、計算の種類に対応した計算式と該計算を実行するために必要なパラメータの種類と、材質によって変わる係数または切削条件で決定されるデータとが格納されているデータベースと、オペレータによって計算の種類を選択する計算選択部と、前記パラメータとしての数値を入力する入力ボックスとを有する入力部と、前記入力部で選択した計算の種類と、該計算の種類に対応した計算式と、該計算式により計算するために入力すべきパラメータの種類と、計算結果とを表示する表示部とを具備し前記入力すべきパラメータの種類とともに前記入力ボックスを表示し、前記入力ボックスに前記パラメータとしての数値を入力すると、前記表示部に計算結果を表示するようにした工作機械の制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、計算の種類に対応した計算式と該計算を実行するために必要なパラメータの種類とをデータベースに格納し、オペレータが入力部で計算の種類を選択すると、選択した計算の種類に基づいて入力すべきパラメータが表示部に表示されるようにしたので、オペレータによる人的な入力ミスや計算ミスを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の好ましい実施形態による工作機械の制御装置の略示ブロック図である。
図2】本発明の実施形態における工作機械の操作盤の概略正面図である。
図3図2の操作盤の表示画面に表示される卓上計算機の一例を示す図である。
図4】加工条件として切削速度を計算するための図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
図5】加工条件として一刃当たりの送り量を計算するための図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
図6】加工条件として送り速度を計算するための図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
図7】加工条件として主軸回転速度を計算するための図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
図8】加工条件として切削速度を計算するための図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
図9】加工条件としてカスプ高さを計算するための図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
図10】加工条件としてピックフィード量を計算するための図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
図11】加工条件としてカスプ高さを計算するための図2の操作盤の表示画面に表示される画面の他の例を示す図である。
図12】加工条件として切りくず除去量(ワークから除去される材料の量)を計算するための図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
図13】座標系を計算するための図2の操作盤の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
図14】現在のX、Y座標を取り込むためのコマンドを示す図13の画面内に表示されるアイコンの一例を示す図である。
図15】現在のX、YまたはZ座標を取り込むためのコマンドを示す図13の画面内に表示されるアイコンの一例を示す図である。
図16】2点間の中点を計算するためのコマンドを示す図13の画面内に表示されるアイコンの一例を示す図である。
図17】2点間の傾きを計算するためのコマンドを示す図13の画面内に表示されるアイコンの一例を示す図である。
図18】2直線の交点を計算するためのコマンドを示す図13の画面内に表示されるアイコンの一例を示す図である。
図19】回転後の座標を計算するためのコマンドを示す図13の画面内に表示されるアイコンの一例を示す図である。
図20】幅を計算するためのコマンドを示す図13の画面内に表示されるアイコンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
本発明の好ましい実施形態による工作機械の制御装置の略示ブロック図である図1を参照すると、制御装置10は、入力部12、演算部14、データベース16、記憶部18および表示部20を主要な構成要素として具備している。
【0012】
入力部12は、タッチパネル等より形成される表示部20に表示される画面により構成され、後述するように、数値を入力する入力ボックス12aおよびドロップダウンリストにより構成される計算選択部12bを含む。データベース16には、種々の計算式が計算の種類に関連付けて格納されている。更に、データベース16には、工具径D、工具長L、刃数N、一刃当たりの送り量fz、送り速度F、回転速度S等のパラメータが工具番号と関連付けて格納されている。
【0013】
計算選択部12bにおいて計算の種類が選択されると、対応する計算式や必要なパラメータがデータベース16から読み出されて演算部14に送出され、該演算部14において計算が行われる。計算結果は記憶部18に格納され、該記憶部18から、例えばNC装置(図示せず)に送出することができる。
【0014】
図2に、工作機械の制御装置に配置されている操作盤の正面図を示す。図1、2を参照すると、操作盤30は、図1の表示部20を形成する表示パネル44を含む。本実施の形態の表示パネル44は、画面を接触することにより所望の部分の選択が可能なタッチパネルにより形成することができ、表示パネル44には入力部12を構成する画面が表示される。
【0015】
操作盤30は、キー入力部32を含む。キー入力部32には、複数のキースイッチが配置されている。キー入力部32のキースイッチを押すことにより、所定の数字や文字を入力することができる。また、操作盤30は、所定の操作の選択を行う操作スイッチ部34、オーバライド値の設定を行うオーバライド設定部36〜40および非常停止ボタン42を含む。オーバライド設定部36〜40は、例えば、主軸の回転速度のオーバライド値や加工の送り速度のオーバライド値等を設定することができる。
【0016】
図3は、表示部20(表示パネル44)に表示される卓上計算機を示している。この表示モードではオペレータが任意の計算をすることができる。
【0017】
図4は、計算の種類として、主軸回転速度S(min-1)と工具径(mm)から切削速度∨(m/min)を計算するための画面100を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によって切削速度(m/min)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータである工具径と、主軸回転速度が表示される。更に、入力ボックス102、104が各パラメータの下に表示される。工具径D(mm)および主軸回転速度S(min-1)として適切な数値を入力ボックス102、104に入力すると、∨=(D×π×S)/1000の計算式によって切削速度∨(m/min)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0018】
図5は、計算の種類として、主軸回転速度S(mim-1)、刃数Zおよび送り速度F(mm/min)から一刃当たりの送り量fz(mm/tooth)を計算するための画面110を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によって一刃当たりの送り量(mm/tooth)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータである主軸回転速度、刃数および送り速度が表示される。更に、入力ボックス112、114、116が各パラメータの下に表示される。送り速度F(mm/min)、刃数Zおよび主軸回転速度S(min-1)として適切な数値を入力ボックス112、114、116に入力すると、fz=F/(Z×S)の計算式によって一刃当たりの送り量fz(mm/tooth)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0019】
図6は、計算の種類として、一刃当たりの送り量(mm/tooth)、主軸回転速度S(min-1)および刃数Zから送り速度F(mm/min)を計算するための画面120を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によって送り速度(mm/min)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータである一刃当たりの送り量、主軸回転速度および刃数が表示される。更に、入力ボックス122、124、126が各パラメータの下に表示される。一刃当たりの送り量(mm/tooth)、刃数Zおよび主軸回転速度S(min-1)として適切な数値を入力ボックス122、124、126に入力すると、F=fz×Z×Sの計算式によって送り速度F(mm/min)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0020】
図7は、計算の種類として、切削速度∨(m/min)および工具径D(mm)から主軸回転速度S(min-1)を計算するための画面130を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によって主軸回転速度(min-1)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータである切削速度および工具径が表示される。更に、入力ボックス132、134が各パラメータの下に表示される。切削速度∨(m/min)および工具径D(mm)として適切な数値を入力ボックス132、134に入力すると、S=(1000×∨)/(D×π)の計算式によって主軸回転速度S(min-1)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0021】
図8は、計算の種類として、主軸回転速度S(min-1)および工具径D(mm)から切削速度∨(m/min)を計算するための画面140を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によって切削速度(m/min)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータである主軸回転速度および工具径が表示される。更に、入力ボックス142、144が各パラメータの下に表示される。工具径D(mm)および主軸回転速度(min-1)として適切な数値を入力ボックス142、144に入力すると、∨=(D×π×S)/1000の計算式によって切削速度∨(m/min)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0022】
図9は、計算の種類として、ピックフィード量P(mm)およびボールエンドミルの先端のボール半径R(mm)からカスプ高さH(mm)を計算するための画面150を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によってカスプ高さ(mm)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータであるピックフィード量およびボール半径が表示される。更に、入力ボックス152、154が各パラメータの下に表示される。ピックフィード量P(mm)およびボール半径R(mm)として適切な数値を入力ボックス152、154に入力すると、H=(R2−P2/4)1/2の計算式によってカスプ高さH(mm)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0023】
図10は、計算の種類として、カスプ高さH(mm)およびボール半径R(mm)からピックフィード量P(mm)を計算するための画面160を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によってピックフィード量P(mm)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータであるカスプ高さおよびボール半径が表示される。更に、入力ボックス162、164が各パラメータの下に表示される。カスプ高さ(mm)およびボール半径R(mm)として適切な数値を入力ボックス162、164に入力すると、P=(8×H×R−4H21/2の計算式によってピックフィード量P(mm)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0024】
図11は、計算の種類として、一刃当たりの送り量fz(mm/tooth)およびボール半径R(mm)からカスプ高さH(mm)を計算するための画面170を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によってカスプ高さ(mm)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータである一刃当たりの送り量およびボール半径が表示される。更に、入力ボックス172、174が各パラメータの下に表示される。送り量fz(mm/tooth)およびボール半径R(mm)として適切な数値を入力ボックス172、174に入力すると、H=R−(R2−fz2/4)1/2の計算式によってカスプ高さ(mm)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0025】
図12は、計算の種類として、切削幅W(mm)、切込み深さDP(mm)および送り速度F(mm/min)から切りくず除去量MRR(cm3/min)を計算するための画面180を示している。オペレータがドロップダウンリスト98によって切りくず除去量MRR(cm3/min)を選択すると、計算式と計算に必要なパラメータである切削幅、切込み深さおよび送り速度が表示される。更に、入力ボックス182、184、186が各パラメータの下に表示される。切削幅W(mm)、切込み深さDP(mm)および送り速度F(mm/min)として適切な数値を入力ボックス182、184、186に入力すると、MRR=W×DP×F/1000の計算式によってMRR(cm3/min)が計算され、計算結果が出力ボックス94に表示される。
【0026】
こうして計算された加工条件は、制御装置10の記憶部18に格納され、例えばNC装置へ出力させたり、或いは、オペレータが加工プログラムを編集する際に加工プログラム内の引数として受け渡すことができる。引数として加工プログラムへ受け渡す際には、計算結果である数値に該数値の意味を表すアルファベット(X、Y、Z、S、F等)を付加するようにしたり、必要に応じて小数点を付したり、有効桁数を調整するようにできる。更に、切削抵抗N(kgf)の計算のような一層複雑な計算のために用いることができる。
【0027】
N=(1900×Ad×Rd×fz×Z×K)/D×Q
ここで、
Ad:軸方向の切込み量(mm)
Rd:半径方向の切込み量(mm)
fz:一刃当たりの送り量(mm/tooth)
Z:刃数
K:表1に示す材質係数
D:工具径(mm)
Q:表2に示す切削効率
【表1】
【表2】
【0028】
表1の材質係数や、表2に示す一刃当たりの送り量fzに対する切削効率のようなデータは、データベース16に格納されており、演算部14によって適宜呼び出され、計算に用いられる。オペレータは、こうして計算された切削抵抗Nが許容範囲内に入るように、加工条件を決定することが可能となる。
【0029】
図13を参照すると、ワークの座標を計算するための画面が示されている。工作機械の座標系を設定する画面を開くと、図13の上段に示すような画面200が表示部20に表示される。画面200は、左側にアイコンが配置され、各アイコンの右側に計算内容の簡単な説明が表示される。図13の上段は、一例として、2点を通る直線の傾きを計算して取得する傾斜取得のアイコンが選択されていることを示しており、下段はアイコンの選択により傾斜取得画面210が表示されることを示している。
【0030】
傾斜取得画面210は、計算する傾斜Cの基準となる軸を選択するための軸選択部212と、2つの点のXY座標を入力する座標入力部214、216を含んでいる。任意の2点のX、Y座標を入力するとC=ATAN(y2−y1)/(x2−x1)の計算式によって、該2点を通る直線の傾斜Cが計算され、計算結果が表示される。該傾斜Cの値が記憶部18に格納される。
【0031】
図14は、現在のXY座標を取り込むXY座標取得アイコン220を示している。XY座標取得アイコン220をクリックすると、図13の下段と同様に座標取得画面が表示され、そこで座標を取り込むことができる。工作機械のX軸スケールや、Y軸スケール等の位置センサ(図示せず)の読みが、例えばデータベース16の所定の記憶領域に取り込まれる。
【0032】
図15は、現在のX、YまたはZ座標のうち1つを選択して取り込む1座標取得アイコン230を示している。1座標取得アイコン230をクリックすると、図13の下段と同様に座標取得画面が表示され、そこで座標を取り込むことができる。工作機械のX軸スケール、Y軸スケール、Z軸スケール等の位置センサ(図示せず)のうち該当する軸の読みが、例えばデータベース16の所定の記憶領域に取り込まれる。
【0033】
図16は、2点間の中点を計算して取り込む中点取得アイコン240を示している。図17は、既述した傾斜取得画面210に表示されるアイコン211を示している。
【0034】
図18は、2つの直線の交点を取得する交点取得アイコン250を示している。XY平面内で2点(x1、y1)、(x2、y2)を通る直線L1と、他の2点(x3、y3)、(x4、y4)を通る直線L2の交点PC(X、Y)は、
1=(y2−y1)/(x2−x1
3=(y4−y3)/(x4−x3
とすると、
X=(A1×x1−y3−A3×x3+y3)/(A1−A3
Y=A1×(X−x1)+y1
から計算される。4点(x1、y1)、(x2、y2)、(x3、y3)、(x4、y4)の座標値は、例えば主軸先端に装着したタッチセンサをワークの所望位置に接触させ取り込むことができる。
【0035】
図19はワークを回転させた後の座標を取得する回転後座標取得アイコン260を示している。X軸周りに角度θを以って回転させた後の座標PR(X、Y、Z)は以下の式から計算される。
X=x
Y=cosθ×y−sinθ×z
Z=sinθ×y+cosθ×z
【0036】
Y軸周りに角度θを以って回転させた後の座標PR(X、Y、Z)は以下の式から計算される。
X=cosθ×x+sinθ×z
Y=y
Z=−sinθ×x+cosθ×z
【0037】
Z軸周りに角度θを以って回転させた後の座標PR(X、Y、Z)は以下の式から計算される。
X=cosθ×x−sinθ×y
Y=sinθ×x+cosθ×y
Z=z
【0038】
現在の座標値(x、y、z)は、タッチセンサをワークの所望位置に接触させ取り込むことができる。
【0039】
図20は、ワークのX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向の距離を取得する幅取得アイコン270を示している。幅Lは以下の式にて計算される。
Lx=|x2+x1
Ly=|y2+y1
Lz=|z2+z1
現在の座標値(x、y)は、タッチセンサをワークの所望位置に接触させ取り込むことができる。
【符号の説明】
【0040】
10 制御装置
12 入力部
12a 入力ボックス
12b 計算選択部
14 演算部
16 データベース
18 記憶部
20 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20