(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461180
(24)【登録日】2019年1月11日
    
      
        (45)【発行日】2019年1月30日
      
    (54)【発明の名称】加速度計
(51)【国際特許分類】
   G01P  15/125       20060101AFI20190121BHJP        
   G01P  15/08        20060101ALI20190121BHJP        
   G01P  15/13        20060101ALI20190121BHJP        
【FI】
   G01P15/125 Z
   G01P15/08 101A
   G01P15/13 B
【請求項の数】12
【全頁数】14
      (21)【出願番号】特願2016-552946(P2016-552946)
(86)(22)【出願日】2015年2月16日
    
      (65)【公表番号】特表2017-506343(P2017-506343A)
(43)【公表日】2017年3月2日
    
      (86)【国際出願番号】GB2015050435
    
      (87)【国際公開番号】WO2015124910
(87)【国際公開日】20150827
    【審査請求日】2017年8月17日
      (31)【優先権主張番号】1402936.7
(32)【優先日】2014年2月19日
(33)【優先権主張国】GB
    
      
        
          (73)【特許権者】
【識別番号】508296554
【氏名又は名称】アトランティック・イナーシャル・システムズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Atlantic  Inertial  Systems  Limited
          (74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林  博通
          (74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡  潔
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】マルヴァーン,アラン  リチャード
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】ハリシュ,キラン
              
            
        
      
    
      【審査官】
        森  雅之
      
    (56)【参考文献】
      
        【文献】
          特許第5962900(JP,B2)    
        
        【文献】
          特許第5314979(JP,B2)    
        
        【文献】
          米国特許出願公開第2016/0334439(US,A1)    
        
        【文献】
          特表2006−519362(JP,A)      
        
        【文献】
          特許第5184880(JP,B2)    
        
        【文献】
          特許第5960155(JP,B2)    
        
        【文献】
          特許第6125514(JP,B2)    
        
        【文献】
          特許第4310325(JP,B2)    
        
        【文献】
          欧州特許第1626283(EP,B1)    
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  検知構造を備えた加速度計であって、前記検知構造が、
  支持部、および検知方向に沿って加速度が印加されるのに応じて面内移動するように前記支持部に可撓性脚部によって取り付けられたプルーフ・マスであって、前記プルーフ・マスは、前記検知方向に対してほぼ垂直に延びるとともに、前記検知方向に離間する複数の可動電極フィンガを備える、支持部およびプルーフ・マスと、
  前記検知方向に対してほぼ垂直に延びるとともに、前記検知方向に離間する固定電極フィンガの第1および第2の組を備えた少なくとも一対の固定コンデンサ電極であって、前記第1の組の固定電極フィンガが、その間の二等分線からの一方向に第1のオフセットで前記可動電極フィンガと互いに噛み合って配置され、前記第2の組の固定電極フィンガが、その間の二等分線からの反対方向に第2のオフセットで前記可動電極フィンガと互いに噛み合って配置された、少なくとも一対の固定コンデンサ電極と、
  を備え、
  前記プルーフ・マスは、前記少なくとも一対の固定コンデンサ電極を囲む外側フレームの形態をとり、前記可撓性脚部は、前記プルーフ・マスから、前記一対(または複数対)の固定コンデンサ電極に対して中心付けられた、前記検知方向に沿う位置を有する中心アンカへ、横方向内側に延び、
  前記検知構造が、前記中心アンカの上にある固定電極フィンガの第1および第2の上側の組と、前記中心アンカの下にある固定電極フィンガの第1および第2の下側の組とが、対称なオフセットを有するように配置された、2対の固定コンデンサ電極をさらに備え、固定電極フィンガの前記第1の上側の組が固定電極フィンガの前記第1の下側の組と同位相で駆動され、固定電極フィンガの前記第2の上側の組が固定電極フィンガの第2の下側の組と同位相で駆動されることを特徴とする、加速度計。
【請求項2】
  検知構造を備えた加速度計であって、前記検知構造が、
  支持部、および検知方向に沿って加速度が印加されるのに応じて面内移動するように前記支持部に可撓性脚部によって取り付けられたプルーフ・マスであって、前記プルーフ・マスは、前記検知方向に対してほぼ垂直に延びるとともに、前記検知方向に離間する複数の可動電極フィンガを備える、支持部およびプルーフ・マスと、
  前記検知方向に対してほぼ垂直に延びるとともに、前記検知方向に離間する固定電極フィンガの第1および第2の組を備えた少なくとも一対の固定コンデンサ電極であって、前記第1の組の固定電極フィンガが、その間の二等分線からの一方向に第1のオフセットで前記可動電極フィンガと互いに噛み合って配置され、前記第2の組の固定電極フィンガが、その間の二等分線からの反対方向に第2のオフセットで前記可動電極フィンガと互いに噛み合って配置された、少なくとも一対の固定コンデンサ電極と、
  を備え、
  前記プルーフ・マスは、前記少なくとも一対の固定コンデンサ電極を囲む外側フレームの形態をとり、前記可撓性脚部は、前記プルーフ・マスから、前記一対(または複数対)の固定コンデンサ電極に対して中心付けられた、前記検知方向に沿う位置を有する中心アンカへ、横方向内側に延び、
  前記検知構造が、前記中心アンカの上にある固定電極フィンガの第1および第2の上側の組と、前記中心アンカの下にある固定電極フィンガの第1および第2の下側の組とが、逆のオフセットを有するように配置された、2対の固定コンデンサ電極をさらに備え、固定電極フィンガの前記第1の上側の組が固定電極フィンガの前記第2の下側の組と同位相で駆動され、固定電極フィンガの前記第2の上側の組が固定電極フィンガの第1の下側の組と同位相で駆動されることを特徴とする、加速度計。
【請求項3】
  偶数のさらなる対の固定コンデンサ電極を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の加速度計。
【請求項4】
  各対の前記第1および第2の組の固定電極フィンガが、前記支持部に中心位置において、前記プルーフ・マスの前記中心アンカと直列に係留されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の加速度計。
【請求項5】
  前記プルーフ・マスのための中心電気接続に対し直列に配置された、各対の前記第1および第2の組の固定電極フィンガのための共有の電気接続を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の加速度計。
【請求項6】
  前記プルーフ・マスが前記中心アンカに、2つ以上の別々の対の可撓性脚部によって接続されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の加速度計。
【請求項7】
  前記プルーフ・マスは、蛇行形状を有する複数の可撓性支持脚部によって前記中心アンカに接続されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の加速度計。
【請求項8】
  各支持脚部は、少なくとも第1のほぼ直線状のセクション、第2のほぼ直線状のセクション、ならびに、前記第1のほぼ直線状のセクションと第2のほぼ直線状のセクションとを相互接続するほぼU字形状の端部セクションを備え、前記端部セクションの厚さは、前記第1および第2のほぼ直線状のセクションの両方の中心部の厚さよりも大であることを特徴とする請求項7に記載の加速度計。
【請求項9】
  前記検知構造がMEMSであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の加速度計。
【請求項10】
  前記支持部がガラスで形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の加速度計。
【請求項11】
  開ループの電子回路が、各対の固定電極フィンガの第1および第2の組を逆位相で駆動するように配置されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の加速度計。
【請求項12】
  閉ループの電子回路が、各対の固定電極フィンガの第1および第2の組を逆位相で駆動するように配置されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の加速度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本開示は、加速度計用の検知構造に関し、より詳細には、加速度計用の静電容量型検知構造に関する。
 
【背景技術】
【0002】
  加速度計は、動作および/または振動に起因する加速力を測定することができる電気機械式デバイスである。加速度計は、地震検知、振動検知、慣性検知、および傾斜検知を含む、広範囲にわたる様々な用途で使用されている。静電容量型加速度計は、通常はシリコンで製造され、微小電気機械システム(MEMS)構造として実施される。通常のMEMS静電性検知構造は、支持部に対して移動可能に取り付けられたプルーフ・マスを備えている。プルーフ・マスから延びる一組の可動電極フィンガが、検知方向におけるプルーフ・マスの偏りを検知するように、電極フィンガ間の差動静電容量が測定可能な状態で、1つまたは複数の組の固定電極フィンガと互いに噛み合わせられる。検知構造を備えている加速度計は、駆動信号およびピックオフ信号のための適切な電子回路を含む。
【0003】
  WO2004/076340およびWO2005/083451により、MEMSデバイスの検知方向に対しほぼ垂直に延びる複数の互いに噛み合う固定電極フィンガおよび可動電極フィンガを備えた静電容量型加速度計の実施例が与えられている。電極フィンガは、単一のシリコン基板から、たとえば深反応性イオン・エッチング(DRIE)を使用して形成される。シリコン基板は通常、要素が移動する場所にガラスの事前空洞形成がされたガラス製支持部に陽極接合されている。接合およびDRIEの後に、ガス媒体が内部に閉じ込められた密封アセンブリを与えるために、キャップ・ガラス・ウエハが加えられる。大気圧の気体(通常はアルゴン)により、プルーフ・マスが移動した際に、不可欠なスクイーズ・フィルム減衰をプルーフ・マスに提供する。次いで、掘り下げ孔バイアが、ガラス製支持部の頂面から作動シリコン要素への電気接続を形成するために加えられる。ガラス製支持部によって高い電気絶縁性が与えられるが、ガラスのタイプに基づく熱膨張係数に不整合がある。たとえば、SD2ガラス(アルミノケイ酸塩)は、パイレックス(ホウケイ酸塩)よりも良好な熱的整合を与える。ガラスは、接地に対する浮遊容量を低減させることから、シリコンに優先して支持部に使用される(たとえば、シリコンを酸化物上に接合する技術)。
【0004】
  従来技術の加速度計の実施例がWO2012/076837に記載され、
図1に見られる。この検知構造では、プルーフ・マスが、一対の固定コンデンサ電極の両側に配置された第1および第2の質量要素に分割されている。質量要素は、ブレース・バーによってしっかりと相互接続されて、移動可能な一体のプルーフ・マスを形成し得る。質量要素は、下に位置する支持部に、別々の頂部および底部アンカ位置に接続される一組の4つの可撓性脚部によって取り付けられている。アンカ位置および2組の固定電極フィンガが、下に位置するガラス製支持部に陽極接合されている。この設計の問題は、温度変化がある場合に、ガラス製支持部とシリコン基板との間に膨張差が生じることである。一様な熱膨張の場合、2つの固定電極は2つのアンカ位置に対して対称に(たとえば外側に)移動する。これにより、電極フィンガのギャップが変化するにつれてスケール係数がシフトする。デバイスにわたって温度勾配が生じている場合、2つの固定電極は互いに対して非対称に移動し、結果としてバイアス・シフトが生じる。開ループでの動作では、そのようなデバイスの感度は通常、(30gの範囲について)30nm/gであり、このため、30pmの相対移動により1mgのバイアス・シフトが生じる。支持ガラスの応力は、熱膨張/勾配によって生じるか、デバイスのパッケージに使用されるダイ・ボンドによって誘起される。このダイ・ボンドは、ヤング係数の低いエラストマ材料であり、通常は熱膨張係数が高く、経年変化の影響をも受ける場合がある。
【0005】
  本開示は、上で概説した欠点を低減するか、克服することを目的としている。
 
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
  本開示の第1の態様によれば、
  支持部、および検知方向に沿って加速度が印加されるのに応じて面内移動するように支持部に可撓性脚部によって取り付けられたプルーフ・マスであって、プルーフ・マスは、検知方向に対してほぼ垂直に延びるとともに、検知方向に離間する複数の可動電極フィンガを備える、支持部およびプルーフ・マスと、
  検知方向に対してほぼ垂直に延びるとともに、検知方向に離間する固定電極フィンガの第1および第2の組を備えた少なくとも一対の固定コンデンサ電極であって、第1の組の固定電極フィンガが、その間の二等分線からの一方向に第1のオフセットで可動電極フィンガと互いに噛み合って配置され、第2の組の固定電極フィンガが、その間の二等分線からの反対方向に第2のオフセットで可動電極フィンガと互いに噛み合って配置された、少なくとも一対の固定コンデンサ電極と、
  を備え、
  プルーフ・マスは、少なくとも一対の固定コンデンサ電極を囲む外側フレームの形態をとり、可撓性脚部は、プルーフ・マスから、一対(または複数対)の固定コンデンサ電極に対して中心付けられた、検知方向に沿う位置を有する中心アンカへ、横方向内側に延びる、加速度計用の検知構造が提供される。
【0007】
  したがって、この開示によれば、プルーフ・マスが、単一の位置において一対(または複数対)の固定コンデンサ電極の中心に係留される外側フレームの形態をとる。中心アンカ位置により、プルーフ・マス・フレームは、温度勾配が生じる中で固定電極フィンガに対し、あまり動くことがないように思われる。これにより、支持部とプルーフ・マスの材料(たとえばシリコン)との間の膨張比の差の結果としての加速度計のバイアスが低減される。
【0008】
  一組の実施例では、検知構造は少なくとも2対の固定コンデンサ電極を備えている。加速度計においては、各対の第1および第2の組の固定電極フィンガが互いに対して逆位相に駆動され得る。プルーフ・マス・アンカは、2つ以上の対の固定コンデンサ電極に対して中心付けられた検知方向に沿う位置を保持する。このことは、一方の対の固定コンデンサ電極が中心アンカの上に位置し得る一方、他方の対の固定電極フィンガが中心アンカの下(すなわち、検知方向に沿って見る)に位置し得ることを意味する。固定電極の各対では、第1および第2の組の固定電極フィンガが、従来技術のようにブレース・バーによって離間されるというよりは、検知方向に沿って互いに隣り合って配置され得る。逆位相に駆動される各対の第1および第2の組の固定電極フィンガにより、差動対が生じる。2つの第1の組の固定電極フィンガは、同相で電気的に接続され得る一方、2つの第2の組の固定電極フィンガは逆位相で接続され得る。温度変化が一様であれば、この2つの差動スキームにより、固定コンデンサ電極の両方の対が同じ量だけ移動し、したがって、あらゆるバイアス・シフトを相殺し、スケール係数のシフトを最小にする。従来技術の設計に比べ、スケール係数の変化が10分の1に低減され得る。
【0009】
  本開示の少なくともいくつかの実施例では、検知構造は3つ以上の対の固定コンデンサ電極を備え得る。検知構造は、3つの差動電極対、または任意の他の奇数の固定コンデンサ電極対を備え得ることが可能である。2つ以上の差動対の固定電極フィンガの構成により、温度変化が一様である条件下で、スケール係数の安定性を向上させることになるが、最適な構成は偶数の固定コンデンサ電極対を使用することが算定されてきている。したがって、いくつかの実施例では、検知構造は少なくとも4、6、8など(または任意の偶数)の対の固定コンデンサ電極を備え得、各対の固定電極フィンガの第1および第2の組は逆位相に駆動される。温度勾配がある中での開ループの感度の向上は、奇数の差動電極対を使用すると偶数に比べて低いことが算定されてきている。
【0010】
  プルーフ・マスが1つまたは複数の対の固定コンデンサ電極を囲む外側フレームの形態をとる場合、固定コンデンサ電極は外側フレーム内の中心に配置され得る。検知構造における電極の配置は検知方向において対称であり、かつ/または、検知方向に対して垂直とすることができる。固定コンデンサ電極の各対は、プルーフ・マスの中心アンカと横方向に整列されたアンカを備えてもよい。これにより、加速度計の様々な要素間における電気接続の共有が促され得る。たとえば、固定コンデンサ電極の各対は、検知方向に沿ってプルーフ・マスの中心アンカと整列した中心位置において支持部に係留され得る。固定コンデンサ電極の各対について、単一の共有電気接続が固定電極フィンガの第1および第2の組に与えられ得る。これにより、必要とされる別々の電気接続の数を低減することができる。固定コンデンサ電極の2つ以上の対が逆位相に駆動されると、固定コンデンサ電極の各対に対し1つずつ、少なくとも4つの別々の電気接続が、プルーフ・マスの第5の電気接続と直列に提供され得る。
【0011】
  実施例の第1の組では、検知構造は、中心アンカの両側に1対ずつ、検知方向に沿って対称に配置された2対の固定コンデンサ電極を備えている。上側の対の固定電極フィンガの第1および第2の組は、下側の対の固定電極フィンガの第1および第2の組と鏡像対称であり、対称軸が中心アンカを通る。検知構造が、中心アンカの上にある固定電極フィンガの第1および第2の上側の組と、中心アンカの下にある固定電極フィンガの第1および第2の下側の組とが、対称なオフセットを有するように配置された、2対の固定コンデンサ電極を備えた加速度計では、固定電極フィンガの第1の上側の組が固定電極フィンガの第1の下側の組と同位相で駆動され得、固定電極フィンガの第2の上側の組が固定電極フィンガの第2の下側の組と同位相で駆動され得る。電極フィンガが対称に配置されていることに起因して、一様な温度変化による差動静電容量の変化が相殺されることになる。さらに、駆動位相を逆にすると、信号検知が逆になり、したがって、復調器エラーを取り出すための二重復調(「チョッピング安定化」)が可能になる。このことは、加速度計の検知構造に接続された復調器の電子オフセットを取り出すために使用され得る。時効の問題の影響を受けるダイ・ボンドによって電極が支持部に取り付けられている場合、高温での動作寿命の間に予め観察されるスケール係数のシフトが著しく低減され得る。このことは、支持部の表面にわたる一様なダイ・ボンディングに依存する。
【0012】
  実施例の別のセットでは、デバイスにわたる温度勾配の結果である非一様な変化に対処するために、2対の固定コンデンサ電極が、検知方向に沿って鏡像対称とならずに中心アンカの両側に配置され得る。しかし、そのような温度勾配の影響は、一様な温度変化の影響よりも非常に小さいと思われる。そのような実施例では、検知構造は、中心アンカの上にある固定電極フィンガの第1および第2の上側の組と、中心アンカの下にある固定電極フィンガの第1および第2の下側の組とが、反対方向のオフセットを有するように配置された、2対の固定コンデンサ電極を備え得る。そのような検知構造を備えた加速度計では、固定電極フィンガの第1の上側の組が、固定電極フィンガの第2の下側の組と同位相で駆動され得、固定電極フィンガの第2の上側の組が、固定電極フィンガの第1の下側の組と同位相で駆動され得る。反対方向のオフセットが、温度勾配の下で補正するように配置され得る。このことは、外部の温度勾配の存在に起因して、または、非一様な熱流が存在する場合、たとえば電極と下に位置する支持部との間の非一様なダイ・ボンドの影響を受けて生じ得る。オフセット・ダイ・ボンドは、そうでなければ、たとえば時効によるダイ・ボンド材料の緩和差に起因するバイアスを生じる。
【0013】
  上述の実施例が2対の固定コンデンサ電極に関する場合、任意の偶数の対の固定コンデンサ電極、たとえば、4対の固定コンデンサ電極も、中心アンカの両側に配置され得ることを理解されたい。加速度計では、上述したように、そのような複数対の電極が対称に、または非対称に駆動され得る。
【0014】
  本開示の実施例では、検知構造は、適切な駆動およびピックオフ電子回路に接続されて、加速度計を形成し得る。加速度計では、固定コンデンサ電極の各対は、開ループまたは閉ループの構成で駆動され得る。開ループの構成では、たとえば、開ループの電子回路が、逆位相の各対の固定電極フィンガの第1および第2の組を駆動するように配置される。開ループの電子回路は、正弦波または方形波の駆動信号を印加し得る。開ループの動作では、固定電極フィンガの第1の組と第2の組との間で、加速度の下でプルーフ・マスが自在に移動し、静電容量の差動変化はプルーフ・マスの偏りに比例する。これらの実施例のピックオフ信号は、出力に生じる整流電圧(たとえば、ロー・パス・フィルタリングの後)であってもよい。開ループの加速度計の動作は、WO2004/076340により詳細に記載されている。この文献の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0015】
  閉ループの構成では、たとえば、閉ループの電子回路が、逆位相の各対の固定電極フィンガの第1および第2の組を駆動するように配置される。駆動回路により、可変の静電性の力が、力のバランスをとるために電極に与えられる。プルーフ・マスは、加速度に起因する慣性力をゼロにする静電性の力によって定位置に固定される。類似の方法では、閉ループの電子回路が別個の駆動および検知信号、すなわち、時間領域で分割された信号を適用し得る。たとえば、AC電圧信号が検知のために使用され得るが、静電圧の大きさは、電極を駆動するフィードバック信号を与えるように変化し、印加された加速度の慣性力のバランスをとる静電性復元力がプルーフ・マスに加えられる。デジタルでの方法では、周波数領域において励起信号とフィードバック信号を分離することにより、パルス幅変調(PWM)信号を駆動と検知の両方のために印加することができる。たとえば、約1〜3kHzの共振振動数を有するプルーフ・マスについては、PWM駆動信号の振動数は約100kHzとすることができる。いくつかの実施例では、閉ループの電子回路により、プルーフ・マスに加えられる静電性復元力を変化させるための調整可能なマーク:スペース比を有し得るパルス幅変調(PWM)駆動信号が印加され得る。これらの実施例のピックオフ信号は、PWM駆動信号を使用してプルーフ・マスから取得される。閉ループの加速度計の動作は、WO2005/083451により詳細に記載されている。この文献の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0016】
  プルーフ・マスは、任意の適切な数の可撓性脚部によって支持部に取り付けられ得る。1組の実施例では、外側フレームの両側が、一対の可撓性脚部によって中心アンカに接続され得る。たとえば、この一対の可撓性脚部は、中心アンカの両側から延びる。2つ以上の別個の対の可撓性脚部によってプルーフ・マスを支持部に取り付けることにより、面外の回転剛性を向上させることができることがわかっている。このことにより、検知構造が、好ましくない面外モードに、より高い共振振動数を提供することが可能になり得る。
【0017】
  可撓性支持脚部により、プルーフ・マスの共振振動数、ひいては、検知構造および加速度計の感度が設定される。プルーフ・マスは、中心アンカに向かって延びる複数の等間隔で離間した可撓性支持脚部、たとえば2つまたは4つの支持脚部によって取り付けられ得る。各支持脚部は、プルーフ・マスが印加された加速度に応じて移動する際に、支持脚部が曲がり、プルーフ・マスを静止位置に戻すように付勢する復元力を印加するように、加速度計の検知方向にほぼ垂直な方向に延び得る。支持脚部が短ければ、プルーフ・マスの共振振動数は高くなる。デバイス全体の寸法を著しく大きくすることなく、共振振動数を低減することが望ましい。特に適切な実施例の組では、支持脚部は蛇行形状を有する。さらに、各支持脚部は、少なくとも第1のほぼ直線状のセクション、第2のほぼ直線状のセクション、ならびに、第1および第2のほぼ直線状のセクションを相互接続するほぼU字形状の端部セクションを備え得、端部セクションの厚さは、第1および第2のほぼ直線状のセクションの両方の中心部の厚さよりも大であることが開示されている。支持脚部のこの構造は、著しい  面外の加速度が印加される場合に最も高い応力が生じる端部セクションの厚さが増大した、特に有利である蛇行形状を示している。支持脚部は、大体においてWO2013/050752に記載されたような蛇行形状を有し得る。この文献の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0018】
  本開示の多くの実施例では、プルーフ・マスおよび固定コンデンサ電極は、半導体基板、たとえばシリコン基板から一体に形成され得る。プルーフ・マスの外側フレームは、深反応性イオン・エッチング(DRIE)などのエッチング・プロセスによって半導体基板から製造され得る。MEMS構造では、プルーフ・マスおよび固定コンデンサ電極は、同一平面に形成され得る。中心アンカは、固定して接着され得る。たとえば、下に位置する電気絶縁性支持部(たとえばガラス)に陽極接合される。
【0019】
  本明細書に開示の検知構造を備える加速度計は、互いに噛み合った静電容量性電極フィンガに減衰効果を与えるために任意の適切な気体状媒体をさらに備え得る。気体状媒体は、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、またはネオンの1つまたは複数を含み得る。しかし、ネオンが、減衰係数を増大させるために(たとえばアルゴンよりは)選ばれ得る。したがって、加速度計には、相互に噛み合った電極フィンガに減衰を与えるためにネオン・ガスが含まれ得る。
【0020】
  本明細書に開示の任意の実施例では、検知構造がMEMS、特に、たとえばシリコン基板などの半導体基板から形成されたMEMSの形態をとる場合がある。支持部は、半導体基板を支持する電気絶縁性の、たとえばガラス製のベースで構成され得る。陽極接合が、当該技術分野でよく知られているように、使用され得る。半導体基板を電気絶縁性の、たとえばガラス製のベースに陽極接合することは、相互に噛み合った電極フィンガの静電容量を接地平面から電気的に絶縁する利点を有する。静電容量の小さい変化が、静電容量型加速度計の検知構造の精度に極めて重要である。
【0021】
  可動および固定電極フィンガは、くし状形状で離間するように、プルーフ・マスまたは固定コンデンサ電極からそれぞれ横方向に、すなわち、横向きに延び得る。
【0022】
  「可動」という用語は、プルーフ・マスが、可撓性脚部によって取り付けられていることに起因して、支持部に対し全体が移動可能である事実により、フィンガが支持部、および支持部に固定されているあらゆる電極に対して移動することが可能であることを示すために使用されることを理解されたい。もちろん、個別の電極フィンガはプルーフ・マスに対して移動可能ではない。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0024】
  ここで、1つまたは複数の非限定的な実施例が添付図面を参照しつつ記載される。
 
【0025】
  図1は、WO2012/076837に記載された加速度計と同様の従来技術の静電容量型加速度計1を示している。可動プルーフ・マスおよびコンデンサ電極は、下に位置する支持部に取り付けられたシリコン・ウエハからエッチングされている。第1の質量要素2が第1の可撓性脚部2a、2bによって支持部に取り付けられており、第2の質量要素4が第2の可撓性脚部4a、4bによって支持部に取り付けられている。上側可撓性脚部2a、4aは、上側アンカ6に接続されており、一方、下側可撓性脚部2b、4bは下側アンカ8に接続されている。上側アンカ6および下側アンカ8は、たとえば陽極接合することによって、支持部に別々に取り付けられている。固定コンデンサ電極の単一の対が、第1の質量要素2と第2の質量要素4との間に配置されている。この固定コンデンサ電極の対は、逆位相で駆動される固定電極フィンガ10の第1の上側の組と、固定電極フィンガ12の第2の下側の組とを備えている。固定電極フィンガ10、12は、検知方向(双頭矢印で示す)に対してほぼ垂直に延び、第1および第2の質量要素2、4から横方向内側に延びる可動電極フィンガ14、16の対応する組と相互に噛み合う。プルーフ・マス2、4は、面内の検知方向に、印加された加速度に応じて固定電極10、12に対して移動することができる。上側の組の固定電極フィンガ10および下側の組の固定電極フィンガ12は、両方向の移動が、発生される差動静電容量から計測できるように、プルーフ・マス・フィンガ14、16から両側にオフセットしている。
 
【0026】
  このデバイス1が一様な温度変化を経て、支持部(たとえばガラス)に対するシリコン層の膨張差を生じる場合、上側アンカ6および下側アンカ8がともに/別々に移動し、上側の組の固定電極フィンガ10および下側の組の固定電極フィンガ12がともに/別々に移動する。対称な膨張により、温度の関数としてのスケール係数の変化が生じることになる。支持部に、シリコンに整合する良好な熱膨張のSD−2ガラスを使用するとしても、40ppm/℃のスケール係数シフトとなる場合がある。さらに、アンカ位置6、8または固定電極10、12が、たとえば下に位置するガラス製支持部の熱膨張または応力に起因して、別々に非対称に移動する場合、バイアス・シフトが生じることになる。このことは、約1mg/℃の、温度の関数としての補償されないバイアスとなり得る。静電容量型加速度計の温度安定性を向上させることが望ましい。
 
【0027】
  差動静電容量は以下のように、
  ΔC=Aε
0{1/(d
1−x)−1/(d
1+x)}
  ただし、d
1=d+δ
と記載され、
  ここで、xは加速度に起因する偏り、dは最初のフィンガのギャップ、δは熱により誘起された偏りである。これは、以下のように、
  ΔC=(Aε
0/d
1){1/(1−x/d
1)−1/(1+x/d
1)}
      =(Aε
0/d
1){2x/d
1}
      =(2xAε
0/d
2){1−2δ/d}
と展開される。
 
【0028】
  スケール係数は、xに関する導関数によって、以下のように、
  ∂ΔC/∂x=(2Aε
0/d
2){1−2δ/d}
と与えられる。
 
【0029】
  温度勾配の影響について、差動静電容量は以下の式、
  ΔC=Aε
0{1/(d
1−x)−1/(d
2+x)}
によって与えられ、
  ここで、d
1=d−δ、d
2=d+δであり、xは加速度に起因するオフセット、δは温度勾配に起因する2つの固定電極の組の移動である。
図1から、上側の組が上方に移動してギャップを閉じ(δが負)、下側の組が上方に移動してギャップを増大させる(δが正)。
 
【0030】
  これは、以下のように、
  ΔC=Aε
0{(1/d
1)(1+x/d
1)−(1/d
2)(1−x/d
2)}
      =Aε
0{1/d
1−1/d
2+x(1/d
12+1/d
22)}
      =(Aε
0/d){(1+δ/d)−(1−δ/d)+(x/d)(1+x/d+1−x/d}
      =(2Aε
0/d
2){x+δ}
と展開される。
 
【0031】
  温度勾配下では、
  2Aε
0δ/d
2
のバイアスがあり、スケール係数のシフトはない。
 
【0032】
  これらの計算は、以下のように、本開示と比較することができる。
 
【0033】
  図2を参照すると、外側フレームの形態をとるプルーフ・マス102を備えた静電容量型加速度計100が開示されている。プルーフ・マス102は、下に位置する支持部に、中心アンカ104によって取り付けられており、残りの部分は移動自在である。一対の可撓性支持脚部112が、プルーフ・マス・フレーム102と中心アンカ104との間に延びる。
 
【0034】
  固定コンデンサ電極の2つの対106、108は、プルーフ・マス102の外側フレームの内側に配置されている。各対106、108は、逆位相に駆動される固定電極フィンガの第1および第2の組を備えている。固定電極フィンガは、検知方向(双頭矢印で示す)に対してほぼ垂直に延び、プルーフ・マス・フレーム102から横方向内側に延びる可動電極フィンガ110の対応する組と相互に噛み合う。上側差動対106では、第1の組の固定電極フィンガ106aおよび第2の組の固定電極フィンガ106bがプルーフ・マス・フィンガ110から両側にオフセットしている。この実施例では、下側差動対108の第1の組の固定電極フィンガ108aおよび第2の組の固定電極フィンガ108bは、上側差動対106と鏡像対称である。たとえば掘り下げ孔バイアをともなう上側ガラス層上の金属トラッキングで電気接続を形成することにより、第1の上側固定電極106aと第1の下側固定電極108aとがともに結合され、第2の上側固定電極106bと第2の下側固定電極108bとがともに結合される。第1の上側固定電極106aおよび第1の下側固定電極108aは、同位相の方形波(開ループ)または同位相のPWM信号(閉ループ)によって駆動され得、第2の上側固定電極106bおよび第2の下側固定電極108bは、逆位相の方形波(開ループ)または逆位相のPWM信号(閉ループ)によって駆動され得る。これは、一様な温度変化により、4つの組の固定電極フィンガすべてが同じ方式で移動し、相殺し、それにより、差動静電容量の変化が、
図1の単一の差動対に比べて除去されることを意味している。
 
【0035】
  図2では、4つの組のフィンガについての4つの組の静電容量(1、2、3、4)が存在する。差動静電容量は以下のように、
  ΔC=Aε
0{1/(d
1−x)−1/(d
2+x)+1/(d
2−x)−1/(d
1+x)}
と与えられ、
  ここで、d
1=d+αδ、d
2=d−αδであり、αは、106bおよび108aに比べ、フィンガの組106aおよび108bの中心からの距離がより大きいことを示す係数(約1.8)である。
 
【0036】
  これは、以下のように、
  ΔC=Aε
0{(1/d
1)(1+x/d
1)−(1/d
2)(1−x/d
2)+(1/d
2)(1+x/d
2)−(1/d
1)(1−x/d
1)}
      =2Aε
0{x/d
12+x/d
22}
と展開される。
 
【0037】
  スケール係数は以下のように、
  ∂ΔC/∂x=(2Aε
0/d
2){(1−2αδ/d)+(1+2δ/d)}
              =(4Aε
0/d
2){1+(1−α)δ/d}
と与えられる。
 
【0038】
  α=1.5とすると、温度変化に対するスケール係数の感度は
図1の加速度計の4倍小さい。
 
【0039】
  デバイスにわたって温度勾配が存在する場合、残留バイアス・シフトが依然として存在する。これは、たとえば、ガラス製支持部とシリコン層との間のダイ・ボンディングがデバイスの中心について対称ではない場合に生じ得る。別の非例示的な実施例では、これは、ともに結合された最も外側の固定電極106aおよび108b、ならびに、ともに結合された最も内側の固定電極106bおよび108aによって補償することができる。温度勾配下では、上側固定電極フィンガ106a、106bが中心アンカ104から外側に移動して、正の差動静電容量を与え、下側固定電極フィンガ108a、108bが中心アンカ104から外側に移動して、負の差動静電容量を与える。このスキームでは、温度勾配が2つの差動静電容量によって相殺され得る。しかし、そのような構成は、一様な温度変化に対し敏感である。
 
【0040】
  温度勾配下では、差動静電容量は以下のように、
  ΔC=Aε
0{1/(d
1−x)−1/(d
2+x)+1/(d
3−x)−1/(d
4+x)}
と与えられ、
  ここで、d
1=d+1.5δ、d
2=d−δ、d
3=d+δ、d
4=d−1.5δである。
 
【0041】
  温度勾配下では、固定組106aはギャップを増大させ、固定組106bはギャップを減少させ、固定組108aはギャップを増大させ、固定組108bはギャップを減少させる。これにより、
  ΔC=Aε
0{(1/d
1)(1+x/d
1)−(1/d
2)(1−x/d
2)+(1/d
3)(1+x/d
3)−(1/d
4)(1−x/d
4)}
と与えられる。
 
【0042】
  これにより、
  ΔC=Aε
0{1/d
1−1/d
2+1/d
3−1/d
4+x/d
12+x/d
22+x/d
32+x/d
42}
      =(Aε
0/d){(1−1.5δ/d)−(1+δ/d)+(1−δ/d)−(1+1.5δ/d)+(x/d
□)[(1−3δ/d)+(1+2δ/d)+(1−2δ/d)+(1+3δ/d)]}
      =(Aε
0/d){−5δ/d+(x/d)(4)}
と与えられる。
 
【0043】
  この場合、
  ΔC=−5δAε
0/d
2
のバイアスが存在する。
 
【0044】
  面積Aは、
図1のデバイスの面積の1/2であり、それにより、
図1の加速度計は6の係数を有する一方、
図2のデバイスは2.56の係数を有する(すなわち、約2倍だけ温度勾配下で良好である)。
 
【0045】
  さらなる実施例は、奇数の場合もある、2対以上の固定コンデンサ電極を含み得るが、中心アンカの両側に配置された偶数の対が最も好ましい。たとえば、8組の固定電極フィンガを備えた4対のスキームにより、同じ原理に基づき同様の利点が与えられる。
 
【0046】
  図2の実施例が、2対の固定電極の文脈において記載されてきたが、
図1のデバイスに対する熱膨張の影響の低減は、中心アンカの両側に逆位相で駆動される単一の対の固定電極を配置することによっても達成され得る。2つの外側アンカ位置をデバイスの中心に位置する単一のアンカ位置と取り換えることで、外側プルーフ・マス・フレームは、フレーム・アンカが固定電極フィンガの第1の組と第2の組との間の中心に配置されているため、固定電極に対してより移動しなくなると思われる。
  なお、好ましい加速度計用の検知構造について、以下に記載する。
  好ましい加速度計用の検知構造は、
  支持部、および検知方向に沿って加速度が印加されるのに応じて面内移動するように前記支持部に可撓性脚部によって取り付けられたプルーフ・マスであって、前記プルーフ・マスは、前記検知方向に対してほぼ垂直に延びるとともに、前記検知方向に離間する複数の可動電極フィンガを備える、支持部およびプルーフ・マスと、
  前記検知方向に対してほぼ垂直に延びるとともに、前記検知方向に離間する固定電極フィンガの第1および第2の組を備えた少なくとも一対の固定コンデンサ電極であって、前記第1の組の固定電極フィンガが、その間の二等分線からの一方向に第1のオフセットで前記可動電極フィンガと互いに噛み合って配置され、前記第2の組の固定電極フィンガが、その間の二等分線からの反対方向に第2のオフセットで前記可動電極フィンガと互いに噛み合って配置された、少なくとも一対の固定コンデンサ電極と、
  を備え、
  前記プルーフ・マスは、前記少なくとも一対の固定コンデンサ電極を囲む外側フレームの形態をとり、前記可撓性脚部は、前記プルーフ・マスから、前記一対(または複数対)の固定コンデンサ電極に対して中心付けられた、前記検知方向に沿う位置を有する中心アンカへ、横方向内側に延びる。
  好ましくは加速度計用の検知構造は、少なくとも2対の固定コンデンサ電極を備える。
  好ましくは加速度計用の検知構造は、偶数のさらなる対の固定コンデンサ電極を備える。
  好ましくは各対の前記第1および第2の組の固定電極フィンガが、前記支持部に中心位置において、前記プルーフ・マスの前記中心アンカと直列に係留されている。
  好ましくは加速度計用の検知構造は、前記プルーフ・マスのための中心電気接続に対し直列に配置された、各対の前記第1および第2の組の固定電極フィンガのための共有の電気接続を備える。
  好ましくは前記プルーフ・マスが前記中心アンカに、2つ以上の別々の対の可撓性脚部によって接続されている。
  好ましくは前記プルーフ・マスは、蛇行形状を有する複数の可撓性支持脚部によって前記中心アンカに接続されている。
  好ましくは各支持脚部は、少なくとも第1のほぼ直線状のセクション、第2のほぼ直線状のセクション、ならびに、前記第1のほぼ直線状のセクションと第2のほぼ直線状のセクションとを相互接続するほぼU字形状の端部セクションを備え、前記端部セクションの厚さは、前記第1および第2のほぼ直線状のセクションの両方の中心部の厚さよりも大である。
  好ましくは前記検知構造がMEMSである。
  好ましくは前記支持部がガラスで形成されている。
  また、好ましい加速度計について、以下に記載する。
  好ましい加速度計は、上記の検知構造を備える。
  好ましくは前記検知構造が、前記中心アンカの上にある固定電極フィンガの第1および第2の上側の組と、前記中心アンカの下にある固定電極フィンガの第1および第2の下側の組とが、対称なオフセットを有するように配置された、2対の固定コンデンサ電極を備え、固定電極フィンガの前記第1の上側の組が固定電極フィンガの前記第1の下側の組と同位相で駆動され、固定電極フィンガの前記第2の上側の組が固定電極フィンガの第2の下側の組と同位相で駆動される。
  好ましくは前記検知構造が、前記中心アンカの上にある固定電極フィンガの第1および第2の上側の組と、前記中心アンカの下にある固定電極フィンガの第1および第2の下側の組とが、逆のオフセットを有するように配置された、2対の固定コンデンサ電極を備え、固定電極フィンガの前記第1の上側の組が固定電極フィンガの前記第2の下側の組と同位相で駆動され、固定電極フィンガの前記第2の上側の組が固定電極フィンガの第1の下側の組と同位相で駆動される。
  好ましくは開ループの電子回路が、各対の固定電極フィンガの第1および第2の組を逆位相で駆動するように配置される。
  好ましくは閉ループの電子回路が、各対の固定電極フィンガの第1および第2の組を逆位相で駆動するように配置される。