特許第6461183号(P6461183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461183
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】カテーテル張力緩和クリップ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/02 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
   A61M25/02 502
【請求項の数】28
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-554932(P2016-554932)
(86)(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公表番号】特表2017-500176(P2017-500176A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】IB2014064868
(87)【国際公開番号】WO2015079333
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年9月18日
(31)【優先権主張番号】14/089,957
(32)【優先日】2013年11月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514300557
【氏名又は名称】アヴェント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハラジュ、スティーブ・サイード
【審査官】 寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05800402(US,A)
【文献】 特表2011−527609(JP,A)
【文献】 特開2009−018186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル張力緩和クリップであって、
上面を有する本体部と、
前記上面から上向きに延出する複数のアーム部材であって、前記各アーム部材により、カテーテルを受容するためのアンダーカット領域が画定され、前記アーム部材は、前記本体部の第1の側部から第2の側部まで前記各アーム部材の下側に通される前記カテーテルのための曲がった経路を画定するように配置される、該アーム部材と、
前記各アーム部材間の前記上面に形成され、前記各アーム部材間で前記カテーテルを受容するための凹部チャンネルを画定する溝であって、前記溝の各々は、前記カテーテルのための前記曲がった経路の一部に沿って延びる、該溝とを含むことを特徴とするクリップ。
【請求項2】
前記アーム部材は、前記本体部の前記第1の側部と前記第2の側部との間に、所定の傾斜角をなして配向された区間を少なくとも2つ有する曲がった経路を画定することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項3】
前記アーム部材を少なくとも3つ含み、
前記曲がった経路は、前記本体部の前記第1の側部および前記第2の側部に位置する最外側の一対の前記アーム部材を互いに結ぶ仮想線に対する一方の側に画定されることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項4】
前記アーム部材は、前記上面に、互いに対して平行に配向されていることを特徴とする請求項3に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項5】
少なくとも2つの前記アーム部材が、前記上面に、互いに対して非平行な角度をなして配向されており、
前記曲がった経路での方向変更は、前記互いに対して非平行な角度をなして配向された前記アーム部材間の傾斜角にも起因することを特徴とする請求項3に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項6】
前記最外側の一対のアーム部材が、前記上面に、互いに対して非平行な角度をなして配向されており、
前記曲がった経路は、前記本体部の前記第1の側部および前記第2の側部に、所定の傾斜角をなして配向された区間をさらに有することを特徴とする請求項5に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項7】
前記アーム部材は、前記アンダーカット領域への前記カテーテルの挿入のために撓むことができるように、前記本体部の前記上面に可撓性を有して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項8】
前記アーム部材が、該アーム部材の下面に設けられた保持リップを有することを特徴とする請求項7に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項9】
前記アーム部材が、前方自由端と、前記前方自由端から前記保持リップまで延在する傾斜面とを有することを特徴とする請求項8に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項10】
前記本体部の前記各アンダーカット領域に、前記カテーテルにおける前記アンダーカット領域に位置する部分が嵌り込んで垂直方向に撓むことができる凹部または孔が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項11】
カテーテル張力緩和クリップであって、
上面を有する本体部と、
前記上面から上向きに延出する複数のアーム部材であって、前記各アーム部材により、カテーテルを受容するためのアンダーカット領域が画定され、前記アーム部材は、前記本体部の第1の側部から第2の側部まで前記各アーム部材の下側に通される前記カテーテルのための曲がった経路を画定するように配置される、該アーム部材と、
前記各アーム部材間の前記上面に形成され、前記アーム部材間で前記カテーテルを受容するための凹部チャンネルを画定する溝とを含み、
前記各溝の前記各アーム部材に隣接する両溝端部は、前記各アーム部材の両側に設けられた仕切り壁により画定されており、
前記カテーテルにおける前記溝から前記アンダーカット領域にかけて位置する部分が、前記仕切り壁により垂直方向に撓むように構成したことを特徴とするカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項12】
前記本体部の前記各アンダーカット領域に、前記カテーテルにおける前記アンダーカット領域に位置する部分が嵌り込んで垂直方向に撓むことができる凹部または孔が形成されたことを特徴とする請求項11に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項13】
前記本体部が、平坦な下面を有しており、
前記平坦な下面に設けられた、当該クリップを目標位置に固定するための接着層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項14】
前記本体部の下面に結合された、当該クリップを目標位置に固定するための取付パッドをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項15】
カテーテル張力緩和クリップであって、
上面を有する本体部と、
前記上面から上向きに延出する複数のアーム部材であって、前記各アーム部材により、カテーテルを受容するためのアンダーカット領域が画定され、前記アーム部材は、前記本体部の第1の側部から第2の側部まで前記各アーム部材の下側に通される前記カテーテルのための曲がった経路を画定するように配置され、前記カテーテルは、前記各アーム部材の遊端からその下側に挿入される、該アーム部材と、
前記各アーム部材間の前記上面に形成され、隣接する前記アーム部材間で前記カテーテルを受容するための凹部チャンネルを画定する溝であって、前記溝の各々は、前記カテーテルのための前記曲がった経路の一部に沿って延びる、該溝とを含むことを特徴とするクリップ。
【請求項16】
前記アーム部材は、前記本体部の前記第1の側部と前記第2の側部との間に、所定の傾斜角をなして配向された区間を少なくとも2つ有する曲がった経路を画定することを特徴とする請求項15に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項17】
前記アーム部材を少なくとも3つ含み、
前記曲がった経路は、前記本体部の前記第1の側部および前記第2の側部に位置する最外側の一対の前記アーム部材を互いに結ぶ仮想線に対する一方の側に画定されることを特徴とする請求項16に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項18】
前記アーム部材は、前記上面に、互いに対して平行に配向されていることを特徴とする請求項17に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項19】
少なくとも2つの前記アーム部材が、前記上面に、互いに対して非平行な角度をなして配向されており、
前記曲がった経路での方向変更は、前記互いに対して非平行な角度をなして配向された前記アーム部材間の傾斜角にも起因することを特徴とする請求項17に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項20】
前記最外側の一対のアーム部材が、前記上面に、互いに対して非平行な角度をなして配向されており、
前記曲がった経路は、前記本体部の前記第1の側部および前記第2の側部に、所定の傾斜角をなして配向された区間をさらに有することを特徴とする請求項19に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項21】
前記アーム部材は、前記アンダーカット領域への前記カテーテルの挿入のために撓むことができるように、前記本体部の前記上面に可撓性を有して設けられていることを特徴とする請求項15に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項22】
前記アーム部材が、該アーム部材の下面に設けられた保持リップを有することを特徴とする請求項21に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項23】
前記アーム部材が、前方自由端と、前記前方自由端から前記保持リップまで延在する傾斜面とを有することを特徴とする請求項22に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項24】
前記本体部の前記各アンダーカット領域に、前記カテーテルにおける前記アンダーカット領域に位置する部分が嵌り込んで垂直方向に撓むことができる凹部または孔が形成されたことを特徴とする請求項15に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項25】
前記各溝の前記各アーム部材に隣接する両溝端部は、前記各アーム部材の両側に設けられた仕切り壁により画定されており、
前記カテーテルにおける前記溝から前記アンダーカット領域にかけて位置する部分が、前記仕切り壁により垂直方向に撓むように構成したことを特徴とする請求項15に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項26】
前記本体部の前記各アンダーカット領域に、前記カテーテルにおける前記アンダーカット領域に位置する部分が嵌り込んで垂直方向に撓むことができる凹部または孔が形成されたことを特徴とする請求項25に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項27】
前記本体部が、平坦な下面を有しており、
前記平坦な下面に設けられた、当該クリップを目標位置に固定するための接着層をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【請求項28】
前記本体部の下面に結合された、当該クリップを目標位置に固定するための取付パッドをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載のカテーテル張力緩和クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して医療カテーテルの分野に関し、より詳細にはカテーテルを患者の目標位置に固定するためのクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医療処置のために、カテーテルを使用して患者に流体を送達するまたは患者から流体を引き出すことがよく知られている。例えば、米国特許第7,959,623号明細書(特許文献1)には、様々な実施形態の注入カテーテルを使用して、ポンプからチューブを介して創傷部位に流体薬剤を送達する疼痛管理システムが記載されている。このようなシステムでは、カテーテルを様々な器具、例えばチューブ、リザーバ(流体貯蔵タンク)、または他の流体送達デバイスなどに接続するのに、通常はカテーテルコネクタが使用される。特許文献1のシステムでは、カテーテルの近位端に医療用チューブの遠位端を接続するのに、従来のトーイボースト(Toughy Borst)型コネクタが使用される。
【0003】
加えて、一般的にカテーテルとコネクタとの連結部またはその近傍において、カテーテルが横方向の曲げ力を受けたときに、カテーテルが捩れたり潰れたりするのを防止するために「張力緩和」デバイスを使用することも一般的に行われている。このデバイスは一般的に、曲げ力をカテーテルチューブの適切な長さに沿ってコネクタから離れる方向に分散させることにより、前記連結部に曲げ力が集中するのを防止するように設計されている。例えば、米国特許第6,074,379号明細書(特許文献2)には、エラストマー材料から形成された細長い本体部を有するカテーテル張力緩和デバイスが記載されている。本体部にはルーメンが貫通して形成されており、本体部は、ルーメンにより、直径がそれぞれ異なる近位部分、中央部分および遠位部分に分けられている。カテーテルチューブは、ルーメンにスライド挿通される。このカテーテル張力緩和デバイスは、該デバイスを患者の目標位置に取り付けるための、取付ウイングをさらに含む。
【0004】
従来のカテーテル張力緩和デバイスは、米国ユタ州ソルトレイクシティ所在のバードアクセスシステム社(Bard Access Systems)社製の「STATLOCK(商標)」固定具である。この固定具は、特に、局部麻酔に使用される硬膜外カテーテルを固定するために設計されており、接着性アンカーパッドと、該アンカーパッドの上に配置されたリテーナとを含む。リテーナは、カテーテルが通される曲がりくねった保持経路と、カテーテルをさらに固定すべくカテーテルを接着する(およびカテーテルが圧入される)部分を画定する。
【0005】
そして、医療分野では、カテーテルを目標部位に固定するとともに、曲げ応力を緩和するための、さらには、信頼性が高く、使用が容易で、カテーテルの挿入および抜去を迅速に行うことができる、新規な改良された固定具が絶えず求められている。本発明は、そのような固定具を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,959,623号明細書
【特許文献2】米国特許第6,074,379号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的および利点は、その一部が以下の説明に記載されており、あるいは以下の説明から明らかであり、あるいは本発明の実施により学ぶことができるであろう。
【0008】
ある態様では、本発明は、上面を有する本体部を含むカテーテル張力緩和クリップに関する。本体部は、例えば円形、楕円形、正方形などの任意の従来型の全体形状を有することができる。特定の実施形態では、本体部は、長方形の全体形状を有する。複数のアーム部材が、本体部の上面から上向きに延出している。各アーム部材は、アーム部材の下面と本体部の上面の平面との間に、アーム部材の下側にカテーテルを受容するためのアンダーカット領域を画定する。
【0009】
アーム部材は、本体部の第1の側部から(例えばその反対側の)第2の側部まで各アーム部材の下側に通されるカテーテルのための曲がった経路を画定するために、本体部の上面に十分な数および向きで設けられる。例えば、一実施形態では、3つ以上のアーム部材により、本体部の第1の側部とその反対側の第2の側部との間で、カテーテルの方向が少なくとも3回変更され、かつカテーテルが少なくとも2つの所定の傾斜角をなして配向された区間に沿って通される曲がった経路が画定される。曲がった経路は、曲がりくねった、曲がった、所定の傾斜角をなして配向された区間、または他の形状であり得る。
【0010】
特定の実施形態では、少なくとも3つのアーム部材が設けられ、曲がった経路は、最外側に位置する一対のアーム部材を互いに結ぶ仮想線に対する一方の側に画定される。換言すれば、カテーテルは、本体部に第1の側部から入り、各アーム部材で方向が変更された後、第1の側部の反対側の第2の側部から第1の側部に入ったときの方向と同じ方向で本体部から出る。そして、最外側に位置する一対のアーム部材の間に位置するアーム部材は全て、最外側に位置する一対のアーム部材を互いに結ぶ仮想線の一方の側に位置する。この実施形態は、本体部の全体幅を短くし、それと同時に、張力緩和の目的のためのカテーテルの適切な保持および方向変更を提供するのに好適である。
【0011】
特定の実施形態では、全てのアーム部材が本体部の上面に互いに対して平行に配向されており、曲がった経路での方向変更は、実質的には、アーム部材の互いに対する位置のオフセットのみに起因する。別の実施形態では、少なくとも2つのアーム部材が互いに対して非平行な角度をなして配向されており、曲がった経路での方向変更は、あるアーム部材間の傾斜角にも起因する。例えば、最外側に位置する一対のアーム部材が、本体部の上面に(互いに対してまたは一対のアーム部材間に位置するアーム部材に対して)非平行な角度をなして配向されており、それにより、一対のアーム部材間に位置するアーム部材が互いに対して平行に配向されているにも関わらず、本体部の第1の側部および第2の側部において、曲がった経路での方向変更が増えている。
【0012】
アーム部材は、アンダーカット領域へのカテーテルの挿入およびアンダーカット領域からのカテーテルの除去のために撓むことができるように、本体部上に可撓性を有して設けられ得る。加えて、アーム部材の下側からのカテーテルの予期せぬ滑脱を防止するために、アーム部材の下面には、保持リップが形成され得る。また、アーム部材の下側へのカテーテルのスライド挿入を容易にするために、アーム部材の下面には、保持リップからアーム部材の自由端まで延在する傾斜面が形成され得る。
【0013】
ある実施形態では、各アンダーカット領域に、カテーテルにおけるアンダーカット領域に位置する部分が嵌り込んで垂直方向に撓むことができる凹部または孔が形成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、各アーム部材間の本体部の上面に、カテーテルを受容するための凹部チャンネルを画定するため、または隣接する平面(本体部の上面)に対する高低差を形成するための「溝」が形成されている。この溝の両溝端部は、アーム部材の両側に設けられ、アンダーカット領域に隣接する仕切り壁により画定される。このような構成により、溝内に受容されたカテーテルは、各アンダーカット領域の両側において、壁により垂直方向に撓む。加えて、本体部のアンダーカット領域に凹部または孔が形成されている場合、カテーテルは、アンダーカット領域において凹部または孔内に嵌り込んで垂直方向下向きに撓む。カテーテルの様々な垂直方向の撓みの相乗効果は、特にカテーテルがある一方向からのみの引っ張り力を受けた場合における、カテーテルの保持および軸方向応力の緩和に有益である。
【0015】
クリップは、該クリップを患者の目標位置に固定するための様々な接着手段を備え得る。例えば、一実施形態では、本体部は平坦な下面を有しており、下面には接着層が直接的に設けられている(接着層は、クリップの使用時までは剥離可能な保護層により保護される)。別な実施形態では、本体部には、クリップを目標位置に固定するための接着面を有する取付パッドが結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の態様による例示的なカテーテルクリップの斜視図
図2】本発明の態様によるカテーテルクリップの別の実施形態の斜視図
図3】カテーテルクリップのさらに別の実施形態の上面図
図4図2の実施形態のカテーテルクリップの側面破断図
図5図1の実施形態のカテーテルクリップの側面破断図
図6】取付パッドおよびカテーテルを有する図1のカテーテルクリップの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に示された本発明の1つまたは複数の実施形態および実施例を詳細に説明する。実施例および実施形態の各々は、本発明を説明するために提示されたものであり、本発明を限定することを意図したものではない。例えば、一実施形態の一部として例示または説明された特徴を、別の実施形態と組み合わせて、さらなる実施形態を生成することもできる。本発明は、本発明の範囲および精神を逸脱しない限り、これらのおよび他の改変形態および変更形態を包含するものとする。
【0018】
位置に関する用語である「近位」および「遠位」は、本明細書において、種々の構成要素の相互のおよび患者に対する方向を示すために用いられる。「遠位」は、創傷部位に最も近い方向を指し(例えば、コネクタの遠位端部は、カテーテル挿入部位に向いた端部である)、「近位」はその反対方向を指す(例えば、カテーテルの近位端部は、コネクタの遠位端部に挿入される)。
【0019】
図1は、本発明の態様によるカテーテル張力緩和クリップ10の一実施形態の斜視図である。クリップ10は、カテーテル48(図6参照)を患者の目標位置に固定するのに使用され、特に、通常は患者の挿入部位の近傍に配置されるカテーテルコネクタに対して離間配置されるカテーテル張力緩和具およびカテーテル保持具として有用である。クリップ10は、カテーテル48を固定するとともに、コネクタとの連結部において横方向の曲げ力を受けたときに、曲げ力をカテーテルチューブの適切な長さに沿ってコネクタから離れる方向に分散させることにより、カテーテル48が捩れたり潰れたりするのを防止する。しかしながら、クリップ10は、任意の特定の使用または医療処置、並びに、例えばカテーテルコネクタなどの他の構成要素との組み合わせに限定されないことを理解されたい。
【0020】
図示した実施形態では、クリップ10は、上面14と下面16とを有する本体部12を含む。本体部12は、任意の適切な医療グレードの材料から作製することができ、例えば円形、楕円形、正方形などの任意の従来型の全体形状を有することができる。添付図面に図示した特定の実施形態では、本体部12は、第1の側部(または第1の辺)18とその反対側の第2の側部(または第2の辺)20とを有する長方形の全体形状を有する。
【0021】
複数のアーム部材22が本体部12の上面14に設けられている。各アーム部材22は、本体部12の上面14から上向きに延出し、アーム部材22の下面と本体部12の上面14の平面との間にアンダーカット領域32を画定する。図4図6に詳細に示すように、アンダーカット領域32は、各アーム部材22の下側にカテーテル48を受容できるように形成される。ある実施形態では、カテーテル48は、アーム部材22の下面に対して摩擦係合されるか、またはアンダーカット領域32内で変位可能である。
【0022】
アーム部材22は、その意図する機能を実施するための任意の形状およびサイズを有し得る。図示した実施形態では、アーム部材22は、全体的に細長い突起様(prong-like)の形状を有する。アーム部材22は、丸みを帯びた自由端24を有し、その反対側の端部26は、本体部12の上面14に形成、結合または接続されている。アーム部材22は、本体部12と一体的に成形してもよく、本体部12の上面14からアーム部材22の比較的平坦な上面25まで、本体部12の上面14に対して所定の角度をなして延出している。別の実施形態では、アーム部材22は本体部12とは別体に作製され、本体部12に取り付けられる。
【0023】
アーム部材22は、本体部12の第1の側部18から他の側部(例えば第2の側部20)まで各アーム部材22の下側に通されるカテーテル48のための曲がった経路(bent path)を画定するために、本体部12の上面14に十分な数および向きで設けられる。曲がった経路は、様々な形状を有し得る。例えば、図示した実施形態では、3つのアーム部材22により、本体部12の第1の側部18と第2の側部20との間に、第1の側部18と第2の側部20とを互いに結ぶ仮想線に対して、所定の傾斜角をなして配向された区間を少なくとも2つ有する曲がった経路が画定される。図示した様々な実施形態のように、アーム部材22の数および配置位置に応じて、曲がった経路は、最外側に位置する一対のアーム部材22、22を互いに結ぶ仮想線に対する一方の側に画定される。換言すれば、カテーテル48は、本体部12に第1の側部18から入り、各アーム部材22で方向が変更された後(例えば、図示した実施形態では、カテーテルの方向は3回変更される)、第1の側部18の反対側の第2の側部20から第1の側部18に入ったときの方向と同じ方向で本体部から出る。そして、最外側に位置する一対のアーム部材22、22の間に位置するアーム部材22は全て、最外側に位置する一対のアーム部材22、22を互いに結ぶ仮想線の一方の側に位置する。この実施形態は、本体部12の全体幅を短くし、それと同時に、張力緩和の目的のためのカテーテル48の適切な保持および方向変更を提供するのに好適である。
【0024】
本明細書で使用される「曲がった経路」なる用語は、本体部12のある側部(またはある辺)から他の側部(または他の辺)まで、カテーテル48の方向を少なくとも1回変更することができる任意の形状の経路を包含し、例えば、カーブなどの連続的な方向変更、添付図面に示したような方向変更区間、および任意の他の種類の方向変更経路を含む。
【0025】
アーム部材22により画定される曲がった経路は、本発明の範囲および精神の範囲内で幅広く変更可能であることを理解されたい。例えば、図示しない実施形態では、曲がった経路は、最外側に位置する一対のアーム部材22、22を互いに結ぶ仮想線を何度も横切る曲がりくねった経路であり得る。別の実施形態では、曲がった経路の出口は、本体部12の第2の側部20である必要はなく、本体部12の垂直側壁に沿ったアーム部材22であってもよい。
【0026】
図1および図2に示した特定の実施形態では、全てのアーム部材22は、本体部12の上面14に互いに対して平行に配向されており、曲がった経路での方向変更は、主に、アーム部材22の互いに対する(最外側に位置する一対のアーム部材22、22を互いに結ぶ仮想線に対する)位置のオフセットに起因する。
【0027】
例えば図3に示す別の実施形態では、1つ以上のアーム部材22が、互いに対して非平行な角度をなして配向されており、曲がった経路での方向変更は、あるアーム部材22間の傾斜角にも起因する。例えば、図3を参照して、最外側に位置する一対のアーム部材22、22は、本体部12の上面14に、互いに対して(およびそれらの間に位置するアーム部材22に対して)非平行な角度をなして配向されており、それにより、本体部12の第1の側部18および第2の側部20において、曲がった経路での方向変更の回数が増えている。図3の上面図から理解できるように、最外側に位置する一対のアーム部材22、22は所定の傾斜角をなして配向されており、それにより、図1および図2の実施形態と比べて、本体部12の第1の側部18および第2の側部20において、曲がった経路の方向変更部分が増えている。
【0028】
アーム部材22は、本体部12の上面14よりも硬くあり得る。あるいは、アーム部材22は、アンダーカット領域23へのカテーテル48の挿入およびアンダーカット領域23からのカテーテル48の除去のために撓むことができるように、本体部12の上面14に可撓性を有して設けられ得る。図1および図2を参照して、カテーテル48のアーム部材22の下側からの予期せぬ滑脱を防止するために、各アーム部材22の下面には、保持リップ28が形成されている。また、各アーム部材22の下側へのカテーテルのスライド挿入を容易にするために、アーム部材22の下面には、保持リップ28から自由端24まで延在する傾斜面30が形成されている。
【0029】
図1および図5に示した実施形態では、各アンダーカット領域32に、本体部12を部分的または完全に貫通する凹部または孔34が形成されている。図5に示すように、この孔34は、カテーテル48におけるアンダーカット領域32に位置する部分が嵌り込んで垂直方向に撓むことができる空間を画定する。
【0030】
図2および図4に示す実施形態では、本体部12の上面14は、全体的に平坦であり、アンダーカット領域32においても連続的である。カテーテル48は、アーム部材22の下側において、本体部12の上面14に載置される。
【0031】
様々な図面に示したように、各アーム部材22間の本体部12の上面14に、溝36として機能する凹部チャンネルが形成されている。この凹部チャンネルまたは溝36は、互いに隣接するアーム部材22間、並びに、第1の側部18および第2の側部20において、カテーテル48を受容可能な形状に形成されている。図示した実施形態では、第1の側部18および第2の側部20に形成された端部溝38は、曲がった経路の入口および出口の凹部を提供する。アーム部材22間に形成された中間溝40は、アーム部材22と、曲がった経路の追加的な凹部部分(凹部または孔34)とを相互に接続することができる。図示した溝38、40は、その両溝端部の一方または両方が、アンダーカット領域32に隣接して設けられ、溝の範囲を制限する仕切り壁42により画定されている。例えば、各アーム部材22の両側に、このような仕切り壁42が設けられている。このような構成により、図4および図5に特に示すように、溝40内に受容されたカテーテル48は、アンダーカット領域32の両側において、壁42により垂直方向に撓む。加えて、図1および図5に示すように、本体部12のアンダーカット領域32に凹部または孔34が形成されている場合、カテーテル48は、アンダーカット領域32において、凹部または孔34内に嵌り込み垂直方向下向きに撓む。カテーテル48の様々な垂直方向の撓みの相乗効果は、特にカテーテルがある一方向からのみの引っ張り力を受けた場合における、カテーテルの保持および軸方向応力の緩和に有益である。
【0032】
クリップ10は、該クリップ10を患者の目標位置に固定するための様々な接着手段を備え得る。例えば、図4および図5を参照して、本体部12の下面16は比較的平坦であり、下面16には接着層44が設けられている(接着層44は、クリップ10の使用時までは剥離可能な保護層により保護される)。
【0033】
図6を参照して、本発明の態様によるクリップ10の一実施形態は、クリップ10を患者、例えばカテーテル挿入部位に隣接する患者の皮膚50に直接貼り付けるための取付パッド46、例えば発泡体製パッドを含む。この取付パッド46は、任意の適切な材料から作製することができ、本体部12の下面16に接着される。図6の実施形態の溝は、その溝端部に仕切り壁が設けられていない。このことは、ある状況においては、好適であり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6