(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マイクロ構造が、前記基材樹脂層の表面に、(i)複数の凸部がナノオーダーのピッチで規則的に、又は不規則に配列しているもの、(ii)前記凸部が繋がってレール状になって規則的に、又は不規則に配列しているもの、又は、(iii)これらの組み合わせからなるものである、請求項1に記載の封止シート。
前記マイクロ構造が、前記基材樹脂層の表面に、前記凸部が繋がってレール状になって、環状、渦状、四角形状、角丸四角形状、格子状、斜線入り格子状、又は波線格子状に、2次元配列されてなるものである、請求項4に記載の封止シート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を、1)封止シート、並びに、2)電子デバイス用部材及び電子デバイス、に項分けして詳細に説明する。
【0017】
1)封止シート
本発明の封止シートは、片方の表面にマイクロ構造を有する基材樹脂層と、封止樹脂層とを少なくとも有する封止シートであって、前記封止樹脂層が、前記基材樹脂層のマイクロ構造を有する面側に配置され、前記マイクロ構造が、最大高低差(H)が1〜50μmの凸部が、前記基材樹脂層の表面に2次元配列されてなるものであることを特徴とする。
本明細書において「シート」には、短冊状のもののほか、長尺状(帯状)のものも含まれる。
【0018】
(1)基材樹脂層
本発明の封止シートの基材樹脂層は、片方の表面にマイクロ構造を有する。
表面にマイクロ構造が形成された基材樹脂層を用いることで、該基材樹脂層に隣接する層の端部からの水蒸気や酸素等のガスの侵入が抑制され、結果として、優れたガスバリア性を有する封止シートを得ることができる。
【0019】
基材樹脂層を構成する樹脂としては、片方の表面にマイクロ構造を形成できるものであれば、特に制限されない。
例えば、熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂;光硬化性アクリル樹脂、光硬化性ウレタン樹脂、光硬化性エポキシ樹脂等の光硬化性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
これらの中でも、製造の容易性等の観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィン系コポリマー等のポリオレフィン樹脂;脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂;アラミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチルサクシネート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂等のフッ素樹脂;アクリル樹脂;メタクリル樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリグリコール酸樹脂;ポリイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポリ乳酸樹脂;等が挙げられる。
【0021】
本発明においては、上記樹脂の1種又は2種以上からなる基材フィルムを基材樹脂層として用いることができる。また、基材樹脂層として、2種類以上の基材フィルムからなる積層フィルムを用いることもできる。
【0022】
(マイクロ構造)
本発明の封止シートの基材樹脂層は、片方の表面にマイクロ構造を有する。
マイクロ構造とは、基材樹脂層の表面に、最大高低差(H)が1〜50μm、好ましくは5〜40μmの凸部が2次元配列してなる構造をいう。
凸部の最大高低差(H)が50μm以上であると、ヘイズが上昇し、有機EL素子等を封止した場合、十分な光学物性が得られなくなるおそれがある。一方、最大高低差(H)が1μm未満であると、封止樹脂層の端部からの水蒸気等のガスの侵入を阻害する本発明の効果が得られなくなるおそれがある。
【0023】
ここで、最大高低差(H)とは、基材樹脂層表面の最も低い位置と、マイクロ構造の凸部の最も高い位置との高さの差である。
【0024】
また、「凸部が前記基材樹脂層の表面に2次元配列されてなる」とは、基材樹脂層の表面に、前記凸部が、一定の規則性をもって連続的に、あるいは不規則に形成された状態をいう。
【0025】
凸部の2次元配列の仕方は、特に限定されない。例えば、(i)複数の凸部が規則的に、又は不規則に配列しているもの(マイクロ構造(i))、(ii)凸部がレール状に繋がって、規則的に、又は不規則に配列しているもの(マイクロ構造(ii))、あるいは、(iii)これらの組み合わせ(マイクロ構造(iii))等が挙げられる。
【0026】
(マイクロ構造(i))
マイクロ構造(i)の凸部の立体形状は特に制限されず、例えば、三角錐状、四角錐状、五角錐状、六角錐状等の多角錐形状;円錐形状;三角錐台状、四角錐台状、五角錐台状、六角錐台状等の多角錐台形状;円錐台状;テーパー形状;円柱状;多角柱状;等が挙げられる。
【0027】
マイクロ構造(i)としては、
図1(a)に示すように、六角錐状の凸部(a11)が規則的に配列されているもの、
図1(b)、(c)に示すように、三角錐形状の凸部(a12)が規則的に配列されているもの、
図1(d)、(e)に示すように、四角錐形状の凸部(a13)が連続的に規則的に配列されているもの、多角錐状の凸部(図示を省略)が間隔を空けて断続的に、又は不規則に配列されているもの等が挙げられる。
【0028】
マイクロ構造(i)において、ピッチは、目的とする封止シートの用途等に合わせて、適宜決定することができるが、通常1〜300μm、好ましくは5〜50μmである。
【0029】
(マイクロ構造(ii))
マイクロ構造(ii)の、レール状に繋がった凸部(以下、「レール状の凸部」ということがある。)の立体形状としては、特に制限されないが、例えば、基材樹脂層の表面に、レール状の凸部が、(ii−1)環状、渦状、四角形状又は角丸四角形状に配置されてなるもの、(ii−2)格子状、斜線入り格子状又は波線格子状に2次元配列されてなるもの等が挙げられる。
【0030】
前記(ii−1)の具体例としては、
図2に示すように、レール状の凸部(a21)が、基材樹脂層表面の周縁部に配置されたもの、
図3(a)に示すように、レール状の凸部(a22)が、基材樹脂層表面の全体に、環状に多重に配置されたもの、
図3(b)に示すように、レール状の凸部(a23)が、基材樹脂層表面の全体に、渦状に配置されたもの、
図3(c)に示すように、レール状の凸部(a24)が、基材樹脂層表面の全体に、四角形状に多重に配置されたもの、
図3(d)に示すように、レール状の凸部(a25)が、基材樹脂層表面の全体に、角丸四角形状に多重に配置されたもの、等が挙げられる。
【0031】
前記(ii−2)の具体例としては、
図4(a)に示すように、レール状の凸部(a26)が、基材樹脂層表面の全体に、格子状に配置されたもの、
図4(b)に示すように、レール状の凸部(a27)が、基材樹脂層表面の全体に、斜線入り格子状に配置されたもの、
図4(c)に示すように、レール状の凸部(a28)が、基材樹脂層表面の全体に、波線格子状に配置されたもの、等が挙げられる。
また、マイクロ構造(ii)としては、レール状物の凸部が、断続的にあるいは不規則に配列されているものであってもよい。マイクロ構造(ii)はこれらに限定されるものではない。
【0032】
これらのレール状の凸部の、長手方向に垂直な断面(
図2のX−Y方向)の形状は特に限定されない。例えば、
図5に示すように、四角形、三角形等の多角形状;半円形、楕円形等の曲線を有する形状;及び、これらを組み合わせた形状;等が挙げられる。
【0033】
(マイクロ構造(iii))
マイクロ構造(iii)としては、例えば、レール状の凸部と多角錐形状等の凸部が規則的に、又は不規則に配列されたもの等が挙げられる。
【0034】
これらの中でも、本発明においては、封止シートの端部からの水蒸気等のガスの侵入を防ぎ、より優れたガスバリア性が得られる観点から、マイクロ構造が、少なくとも、基材樹脂層表面の周縁部に形成されているものが好ましい。また、マイクロ構造がより密であるもの(より密に凸部が形成されているもの)が、マイクロ構造が疎であるものよりも好ましい。
【0035】
また、基材樹脂層の表面がマイクロ構造となっていてもよく、基材樹脂層の表面に、マイクロ構造を有する樹脂層が積層されたものであってもよい。
【0036】
基材樹脂層の表面にマイクロ構造を形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を利用できる。例えば、ナノインプリント法等のエンボス加工を施す方法;3Dプリンター法;サンドブラスト法;粒子マスクを用いる方法(例えば、特開2001−155623号公報、特開2005−279807号公報等);ホログラム・リソグラフィーを用いる方法;電子線描画やレーザー描画を用いる方法(例えば、特開2003−4916号公報等);プラズマ処理する方法;等が挙げられる。
【0037】
また、基材樹脂層の表面に、マイクロ構造を有する樹脂層を積層する方法としては、印刷法(オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、昇華転写法等);前記熱可塑性樹脂を有機溶媒に溶解させて得られるマイクロ構造形成用溶液を、刷毛塗り法、ローラー塗装法、スプレー塗装法、浸漬塗装法、フロー・コーター塗装法、ロール・コーター塗装法等の公知慣用の塗装方法により、所定のパターンで塗布し、得られた塗膜を乾燥する方法;電着塗装法;等が挙げられる。
【0038】
これらの中でも、生産性の観点から、エンボス加工を施す方法が好ましい。
ナノインプリント法を使用してエンボス加工を施す方法は、例えば、次のようにして行うことができる。先ず、適当な支持体の表面に設けた基材樹脂層上に、ナノインプリント用モールドを押圧しながら加熱し、軟化した基材樹脂層の樹脂をモールドの微細形状に押入する。ナノインプリント用モールドは、平面状、ベルト状、ロール状、ロールベルト状等の任意の形態のものを選択できる。その後、冷却してからナノインプリント用モールドを離すことにより、ナノインプリント用モールドに形成されているマイクロ構造が転写された基材樹脂層を得ることができる。
【0039】
基材樹脂層の厚みは、形成するマイクロ構造の凸部の形状等にもよるが、通常、1〜300μm、好ましくは1〜100μmである。ここで、基材樹脂層の膜厚は、凸部の最高高さを含むものとする。
【0040】
前記基材樹脂層は、温度40℃、相対湿度90%の環境下における水蒸気透過率が、
50g/(m
2・day)より小さいことが好ましく、30g/(m
2・day)より小さいことがより好ましく、20g/(m
2・day)より小さいことがさらに好ましい。
基材樹脂層の水蒸気透過率は、水蒸気透過率が0.01g/(m
2・day)より大きい場合JIS K 7129記載の乾湿センサー法(Lyssy法)、赤外線センサー法(MOCON法)により測定することができる。水蒸気透過率が0.01g/(m
2・day)以下の場合JIS K 7129記載のCa法、API−MASS法により測定することができる。実施例においては、前述の方法を適宜選択して測定することができる。
【0041】
(2)封止樹脂層
本発明の封止シートは、封止樹脂を含有する封止樹脂層を有する。
封止樹脂層に用いる樹脂としては、特に制限されない。例えば、ゴム系樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられ、水蒸気透過率が低いという観点からゴム系樹脂が好ましい。
【0042】
ゴム系樹脂としては、ポリイソブチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂等の合成ゴムや、天然ゴムを使用することができ、これらの中でも、よりガスバリア性に優れることから、ポリイソブチレン系樹脂が好ましい。
【0043】
ポリイソブチレン系樹脂としては、例えば、イソブチレンの単独重合体であるポリイソブチレン;イソブチレンとイソプレン、イソブチレンとn−ブテン、イソブチレンとブタジエンの共重合体;これら共重合体を臭素化又は塩素化したハロゲン化共重合体;等が挙げられる。なお、共重合体の場合、イソブチレンからなる構成単位が、全構成単位の中で一番多く含まれているものとする。これらの中でも、イソブチレンの単独重合体であるポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンの共重合体が好ましい。
【0044】
封止樹脂層中の封止樹脂の含有量は、通常60〜100質量%、好ましくは70〜100質量%である。
【0045】
封止樹脂の重量平均分子量は、水蒸気透過率を低下させ、凝集力を向上させ、被着体への汚染を防止する観点から、通常50,000〜1,000,000、好ましくは100,000〜500,000、より好ましくは300,000〜450,000である。重量平均分子量が上記範囲より小さいと、封止樹脂層の凝集力が十分に得られず、被着体を汚染する可能性がある。また、上記範囲より大きくなると、柔軟性や流動性が低くなり、被着体との濡れが十分に得られ難い。また、封止樹脂層を形成する際に、溶媒に対する溶解性が低下する場合がある。
【0046】
なお、本願において重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値である(以下においても同様)。
【0047】
封止樹脂層は、後述するように、封止樹脂組成物を用いて形成される。封止樹脂組成物には、封止樹脂のほか、粘着力を高める目的で、粘着付与剤が含まれていてもよい。
用いる粘着付与剤としては、特に限定されないが、従来公知の天然樹脂系粘着付与剤、合成樹脂系粘着付与剤等が挙げられる。
【0048】
天然樹脂系粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられる。ロジン系樹脂としては、ガムロジン、トールロジン、ウッドロジン等のロジン類;水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等の変性ロジン類;変性ロジンのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル等のロジンエステル類等が挙げられる。テルペン系樹脂としては、α−ピネン系、β−ピネン系、ジペンテン(リモネン)系等のテルペン樹脂のほか、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。
【0049】
合成樹脂系粘着付与剤としては、脂肪族系(C5系)石油樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂、共重合系(C5−C9系)石油樹脂、水素添加石油樹脂、脂環族系石油樹脂等の石油樹脂類;クマロン・インデン樹脂;スチレン系、置換スチレン系等のピュア・モノマー系石油樹脂;等の重合系粘着付与剤、及び、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等のフェノール系樹脂;キシレン樹脂;等の、縮合系粘着付与剤が挙げられる。
【0050】
これらの粘着付与剤は、1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、石油樹脂が好ましく、脂肪族系(C5系)石油樹脂がより好ましい。
封止樹脂層中の粘着付与剤の含有量は、通常0〜30質量%、好ましくは10〜30質量%である。
【0051】
封止樹脂組成物には、さらに他の成分を含有させてもよい。
他の成分としては、架橋剤、光安定剤、酸化防止剤、軟化剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤等が挙げられる。これらの添加量は、それぞれの特性、目的とする封止シートに求められる特性に応じ、本発明の目的を阻害しない範囲で決定すればよい。
【0052】
封止樹脂組成物は、前記樹脂及び所望によりその他の成分を、所定割合で配合して、公知の方法により混合、脱泡することにより得ることができる。
【0053】
また、封止樹脂組成物には、固形分濃度を調整する目的で、溶剤を添加してもよい。得られる溶液の固形分濃度としては、10〜35質量%であるのが好ましい。
用いる溶剤としては、前記吸湿材及び封止材と相溶性を有するものであれば特に制約されず、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;これらのハロゲン化物;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;等が挙げられる。これらは単独で、或いは2種以上を併用して用いることができる。
【0054】
封止樹脂層は、このようにして得られる封止樹脂組成物を、基材に、公知の塗工方法により塗布し、得られた塗膜を乾燥することにより形成することができる。
基材としては、特に制約されず、前記基材樹脂層、後述するガスバリア層と基材樹脂層との積層体、剥離シート等が挙げられる。なかでも、封止シートを効率よく製造する観点から、剥離シートを用いるのが好ましい。
【0055】
基材として剥離シートを用いる場合には、剥離シートの剥離性を有する表面に、前記封止材組成物(溶液)を塗布し、得られた塗膜を乾燥することによって、封止樹脂層を形成する。
用いる剥離シートは、剥離性を表面に有する剥離シート用基材から構成される。剥離シート用基材としては、特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、トリアセチルセルロース等の基材樹脂層;上質紙、コート紙、グラシン紙、ラミネート紙等の紙類;が挙げられる。
剥離シート用基材の厚みは、取扱い性の観点から、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μmである。
【0056】
剥離シート用基材の表面に剥離性を持たせるには、その表面に、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤を塗布して剥離層を設ければよい。
剥離シートとしては、市販品をそのまま用いることができる。
【0057】
剥離シートの剥離層面に、前記封止材組成物(溶液)を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の公知の方法が挙げられる。
【0058】
基材としての剥離シートに前記封止樹脂組成物を塗布した後は、得られた塗膜を、溶剤や低沸点成分の残留を防ぐために、80〜150℃の温度で30秒から5分間加熱乾燥するのが好ましい。
以上のようにして、剥離シート付封止樹脂層を得ることができる。
【0059】
基材として、前記基材樹脂層又は後述するガスバリア層と基材樹脂層との積層体を用いる場合には、これらの層表面に、前記と同様にして封止材組成物(溶液)を塗布し、得られた塗膜を乾燥することによって、封止樹脂層を形成することができる。
【0060】
前記封止樹脂層の厚み(h)は、通常1.0〜100μm、好ましくは3.0〜60μm、更に好ましくは5.0〜50μmである。
1.0μm以上であれば、被着体に対し良好な粘着力が得られ、100μm以下であれば、生産性の面で有利であり、取り扱い性に優れる封止シートとなる。
【0061】
また、封止樹脂層の厚み(h)は、前記基材樹脂層の表面のマイクロ構造の最大高低差(H)との比(h/H)が、1.0以上3.0未満となるようにするのが好ましく、1.0以上2.0未満となるようにするのがより好ましく、1.0以上1.5未満となるようにするのが特に好ましい。
比[h/H]が1.0より小さいと、被着体への封止樹脂層の接触面積が低下し、接着性が低下する。一方、比[h/H]が3.0以上の場合は、封止樹脂層の端部からのガスもしくは水の侵入を防止できない。
なお、h及びHは、具体的には
図6に示すものである。
【0062】
封止樹脂層の、温度40℃、相対湿度90%の環境下における水蒸気透過率は、100g/(m
2・day)であることが好ましく、50g/(m
2・day)であることがより好ましく、30g/(m
2・day)であることがさらに好ましい。
封止樹脂層の水蒸気透過率は、先述の方法により測定することができる。
【0063】
(3)ガスバリア層
本発明の封止シートは、ガスバリア層をさらに有することが好ましい。
本発明の封止シートにおけるガスバリア層は、酸素や水蒸気の透過を抑制する特性(以下、「ガスバリア性」という)を有する層である。ガスバリア層を有することで、より優れたガスバリア性を有する封止シートとすることができる。
【0064】
ガスバリア層としては、特に制限はなく、封止シートに用いられる従来公知のガスバリア層を使用することができる。
ガスバリア層の材料としては、例えば、ポリシラザン化合物、ポリカルボシラン化合物、ポリシラン化合物、ポリオルガノシロキサン化合物、テトラオルガノシラン化合物等のケイ素化合物;酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の無機酸化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物;酸化窒化ケイ素等の無機酸化窒化物;アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、スズ等の金属;等が挙げられる。これらは、1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。2種以上の材料を組み合わせて使用する場合、その組成は均一に分散されていても、漸次変化していてもよい。
【0065】
ガスバリア層を形成する方法は、使用する材料に応じて適宜選択すればよい。例えば、上記ガスバリア層の材料を、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法等により基材樹脂層上に形成する方法;前記ケイ素化合物を有機溶剤に溶解した溶液を、基材樹脂層に塗布し、得られた塗膜に対してプラズマイオン注入する方法等が挙げられる。
【0066】
プラズマイオン注入法にて注入されるイオンとしては、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガス、フルオロカーボン、水素、窒素、酸素、二酸化炭素、塩素、フッ素、硫黄等のイオン;金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、クロム、チタン、モリブデン、ニオブ、タンタル、タングステン、アルミニウム等の金属のイオン;等が挙げられる。
【0067】
ガスバリア層の厚みは、1nmから10μmであることが好ましく、10〜1000nmであることがより好ましく、20〜500nmであることが特に好ましく、50〜300nmであることがさらに好ましい。
ガスバリア層は、単層であっても、複数の層が積層された積層体であってもよい。
【0068】
ガスバリア層の、温度40℃、相対湿度90%の環境下における水蒸気透過率は、10g/(m
2・day)以下であることが好ましく、1g/(m
2・day)以下であることがより好ましく、0.1g/(m
2・day)以下であることがさらに好ましく、0.01g/(m
2・day)以下であることが特に好ましい。
ガスバリア層の水蒸気透過率は、先述の方法により測定することができる。
【0069】
本発明の封止シートにおいて、ガスバリア層は、前記基材樹脂層のマイクロ構造を有する面側とは反対側に配置されていても、前記基材樹脂層のマイクロ構造を有する面側に配置されていてもよい。
【0070】
(4)封止シート
本発明の封止シートは、片方の表面にマイクロ構造を有する基材樹脂層(以下、単に「基材樹脂層」ということがある。)及び封止樹脂層を少なくとも有する。
【0071】
本発明の封止シートとしては、例えば、
図7に示す層構成を有するものが挙げられる。
図7において、1は封止樹脂層を、2は基材樹脂層を、3はガスバリア層を示す。
図7(a)は、基材樹脂層2/封止樹脂層1からなる層構成を有する封止シート(10A)、
図7(b)は、基材樹脂層2/ガスバリア層3/封止樹脂層1からなる層構成を有する封止シート(10B)、
図7(c)は、ガスバリア層3/基材樹脂層2/封止樹脂層1からなる層構成を有する封止シート(10C)を示す。
なお、封止シート(10C)の場合には、本発明の効果を得る上では、基材樹脂層2の、温度40℃、相対湿度90%の環境下における水蒸気透過率は、封止樹脂層1の、温度40℃、相対湿度90%の環境下における水蒸気透過率よりも小さいものであることが必要である。
【0072】
これらの中でも、より優れたガスバリア性を有する観点から、封止シート(10B)、及び封止シート(10C)が好ましく、封止シート(10B)がより好ましい。
また、封止シートは、両面又は片面の最表面に剥離シートを有するものであってもよい。
【0073】
(封止シートの製造)
封止シートの製造方法は特に制約はないが、例えば、封止シート(10A)は、次にようにして製造することができる。
先ず、樹脂表面にマイクロ構造が形成された基材樹脂層2(基材樹脂フィルム又は基材樹脂シート)を用意する。
別に、剥離シート上に封止樹脂層1が形成された、剥離シート付封止樹脂シートを用意する。
次いで、この剥離シート付封止樹脂シートの封止樹脂層1側と、前記基材樹脂層2のマイクロ構造が形成された面側とを貼り合わせることで、剥離シート付の封止シート(10A)を得ることができる。
貼り合わせは、ラミネータを用いて行うことができる(以下にて同じ)。
【0074】
封止シート(10B)は、例えば、次にようにして製造することができる。
先ず、基材樹脂層2の、マイクロ構造が形成された面側に、前述した方法等によりガスバリア層3を形成し、ガスバリア層付基材樹脂層を得る。次いで、このガスバリア層付基材樹脂層のガスバリア層3側と、別途用意した、剥離シート付封止樹脂シートの封止樹脂層1側とを貼り合わせることで、剥離シート付の封止シート(10B)を得ることができる。
【0075】
封止シート(10C)は、例えば、次にようにして製造することができる。
先ず、樹脂表面にマイクロ構造が形成された基材樹脂層2を用意する。次いで、この基材樹脂層2の、マイクロ構造が形成されていない側の表面に、ガスバリア層3を形成する。
ガスバリア層3を形成する方法としては、前記基材樹脂層2の、マイクロ構造が形成されていない側の表面に、直接ガスバリア層を形成する方法;別途、剥離シート表面にガスバリア層3を形成した剥離シート付ガスバリアシートを用意し、このシートのガスバリア層3側と、基材樹脂層2のマイクロ構造が形成されていない側とを貼り合わせた後、剥離シートを剥離する方法;等が挙げられる。
次いで、基材樹脂層2のマイクロ構造が形成された面側と、別途用意した、剥離シート付封止樹脂シートの封止樹脂層1側とを貼り合わせることで、剥離シート付の封止シート(10C)を得ることができる。
【0076】
本発明の封止シートは、封止シートの垂直方向のみならず、水平方向(端部)からの水蒸気等のガスの侵入も抑制された、ガスバリア性に極めて優れるものである。
このことは、後述する実施例に記載の方法で行う水分侵入試験で、A又はB評価を与えること等から確認することができる。
従って、本発明の封止シートは、有機ELディスプレイや高精彩カラー液晶ディスプレイ等の高バリア性が特に要求される用途に適用した際の長期信頼性に特に優れる。
【0077】
2)電子デバイス用部材及び電子デバイス
本発明の電子デバイス用部材は、本発明の封止シートからなることを特徴とする。本発明の封止シートは、封止シートの垂直方向のみならず、水平方向(端部)からの水蒸気等のガスの侵入も抑制された、ガスバリア性(封止性能)に極めて優れるものである。よって、本発明の電子デバイス用部材は、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ等のディスプレイや太陽電池等の電子デバイス用部材等として好適である。
【0078】
本発明の電子デバイスは、本発明の電子デバイス用部材を備える。電子デバイスとしては、例えば、電子素子として液晶素子、LED素子、有機EL素子等を有する表示装置用モジュール;電子素子として電気泳動型素子、電子粉粒体型素子、コレステリック液晶素子等を有する電子ペーパー;電子素子として太陽電池セルを有する太陽電池モジュール;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
本発明の電子デバイスの一例として、有機ELデバイスの例を
図8に示す。
図8中、有機ELデバイスは、基板7上に形成された透明電極6と、該透明電極6上に積層された有機EL素子(正孔輸送層、発光層)5及び背面電極4と、前記有機EL素子5等を封止する封止シート20を備える。
【0080】
図8に示す有機ELデバイスは、有機EL素子を封止するための封止シートとして本発明の封止シートを用いているため、端部から有機EL素子に水分が浸透することがなく、有機EL素子の発光特性等が損なわれることがない。
【0081】
本発明の電子デバイスが、ガスバリア性に優れ、したがって長期信頼性に優れることは、後述する実施例に記載の有機EL素子の評価試験等によって確認することができる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。
【0083】
〔水蒸気透過率測定〕
水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(Lyssy社製、L80−5000)を用いて、温度40℃、相対湿度90%の条件下で測定した。
封止樹脂層の水蒸気透過率は、封止樹脂層を2枚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂社製、厚さ6μm)で挟むことで、水蒸気透過率測定用のサンプルを得て、測定した。
【0084】
〔水分浸入試験〕
無アルカリガラス基板(コーニング社製、45mm×45mm)上に、真空蒸着法にて、縦35mm、横35mmで膜厚100nmのカルシウム層を形成した。
次いで、封止シートから剥離シートを剥離し、露出した封止樹脂層とガラス基板上のカルシウム層とを、窒素雰囲気下にて、ラミネータを用いて貼合し、カルシウム層が封止された水分浸入試験用試験片を得た。
得られた試験片を、温度60℃、相対湿度90%の環境下で170時間放置し、カルシウム層の変色の割合(水分浸入の割合)を目視で確認し、下記の基準により水分遮断性を評価した。
【0085】
〔評価基準〕
A:変色しているカルシウム層の面積が全体の20%未満
B:変色しているカルシウム層の面積が全体の20%以上30%未満
C:変色しているカルシウム層の面積が全体の30%以上50%未満
D:変色しているカルシウム層の面積が全体の50%以上
【0086】
<実施例1>
基材樹脂層(東洋紡社製、A4100、厚さ50μm)に、下記に示すマイクロ構造(
図3(d)に示す構造)を熱インプリント法によって形成し、基材樹脂層2Aを得た。
【0087】
〔マイクロ構造〕
最大高低差〔H〕:20μm
形状:角丸四角形
曲率半径:3mm
断面:三角形(1辺20μm)
ピッチ:20μm
最大辺長:45mm
周期:最大辺長を有する周から内側へ250周期
【0088】
得られた基材樹脂層2Aの、マイクロ構造が形成された面に、プラズマ化学気相成長法により、厚み200nmの酸窒化ケイ素膜(ガスバリア層)を形成した。
【0089】
イソブチレンとイソプレンの共重合体(日本ブチル社製、Exxon Butyl 268)100部、粘着付与剤として、脂肪族系石油樹脂(日本ゼオン社製、クイントンA100)20部、架橋剤としてエポキシ化合物(三菱化学社製、TC−5)1部をトルエンに溶解し、固形分濃度25%の封止樹脂組成物を得た。
得られた封止樹脂組成物を、剥離シート(リンテック社製、SP−PET381130、厚み38μm)の剥離処理面上に、乾燥後の厚みが20μmになるように塗工し、得られた塗膜を120℃で2分間乾燥し、封止樹脂層を形成した。次いで、剥離シート(リンテック社製、SP−PET38T103−1、厚み38μm)を、その剥離処理面で封止樹脂層に貼り合わせて、両面に剥離シートが積層された封止樹脂層1Aを得た。
【0090】
次いで、封止樹脂層1Aの一方の剥離シートを剥離し、露出した面と、前記基材樹脂層2A上のガスバリア層面とを対向させて積層し、ラミネータを用いて貼合し、剥離シート付封止シート(基材樹脂層2A/ガスバリア層3A/封止樹脂層1A/剥離シート)1を作製した。
【0091】
基材樹脂層2A及び封止樹脂層1Aの水蒸気透過率を測定したところ、それぞれ、9.0g/(m
2・day)、7.2g/(m
2・day)であった。
得られた封止シート1につき、水分侵入試験を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0092】
〈電子デバイス(有機EL素子)1の製造〉
ガラス基板を溶媒で洗浄し、次いでUV/オゾン処理を行った後、その表面にアルミニウム(Al)(高純度化学研究所社製)を0.1nm/sの速度で100nm蒸着させて陰極(第1の電極)を形成した。
得られた陰極(Al膜)上に、(8−ヒドロキシ−キノリノレート)リチウム(Luminescence Technology社製)を10nm、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Luminescence Technology社製)を10nm、トリス(8−ヒドロキシ−キノリネート)アルミニウム(Luminescence Technology社製)を40nm、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジデン(Luminescence Technology社製)を60nm、0.1〜0.2nm/sの速度で順次蒸着させ、発光層(有機EL層)を形成した。
【0093】
得られた発光層上に、酸化インジウムスズ(ITO)膜(厚さ:100nm、シート抵抗:50Ω/□)をスパッタリング法により形成して陽極(第2の電極)を作製した。なお、蒸着及びスパッタリング時の真空度は、全て1×10
−4Pa以下である。
次いで、封止シートから剥離シートを剥離し、窒素雰囲気下で、ホットプレートを用いて120℃で10分間加熱して乾燥した後、そのまま放置して室温まで冷却した。
【0094】
ガラス基板上に形成された第1の電極、有機EL層、第2の電極を覆うように、封止シート1を載置し、100℃で熱圧着して、封止し、トップエミッション型の電子デバイス(有機EL素子)1を得た。
有機EL素子1について、以下の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0095】
〔有機EL素子の評価〕
有機EL素子1を、温度23℃、相対湿度50%の環境下で200時間放置した後、有機EL素子1を起動させ、非発光箇所の有無を観察し、以下の基準で評価した。
【0096】
〔評価基準〕
A:非発光箇所が無かった、又は初期の発光面積の5%未満に発生した。
B:非発光箇所が初期の発光面積の5%以上10%未満に発生した。
C:非発光箇所が初期の発光面積の10%以上15%未満に発生した。
D:非発光箇所が初期の発光面積の15%以上に発生した。
【0097】
<実施例2>
封止樹脂層を、乾燥後の厚みが30μmとなるよう形成したこと以外、実施例1と同様にして剥離シート付封止シート2を作成し、水分浸入試験を行い評価した。封止樹脂層の水蒸気透過率は6.0g/(m
2・day)であった。
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子2を作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0098】
<実施例3>
封止樹脂層を、乾燥後の厚みが59μmとなるよう形成したこと以外、実施例1と同様にして剥離シート付封止シート3を作成し、水分浸入試験を行い評価した。封止樹脂層の水蒸気透過率は2.5g/(m
2・day)であった。
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子3を作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0099】
<実施例4>
下記に示すマイクロ構造(
図3(b)に示す構造)を形成した基材樹脂層2B(厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様に剥離シート付封止シート4を作成し、水分浸入試験を行い評価した。基材樹脂層2Bの水蒸気透過率は10g/(m
2・day)であった。
【0100】
〔マイクロ構造〕
最大高低差〔H〕:20μm
形状:渦状
断面:三角形(1辺20μm)
最大径:63mm
ピッチ:20μm
周期:開始点から1ピッチずれた点までの渦を1周期として、最大径から内側へ1500周期
【0101】
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子4を作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0102】
<実施例5>
下記に示すマイクロ構造(
図2(a)に示す構造)を形成した基材樹脂層2C(厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様に剥離シート付封止シート5を作成し、水分浸入試験を行い評価した。基材樹脂層2Cの水蒸気透過率は10g/(m
2・day)であった。
【0103】
〔マイクロ構造〕
最大高低差〔H〕:20μm
形状:六角錐
ピッチ:20μm
【0104】
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子5を作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0105】
<実施例6>
下記に示すマイクロ構造(
図4(b)に示す構造)を形成した基材樹脂層2D(厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様に剥離シート付封止シート6を作成し、水分浸入試験を行い評価した。基材樹脂層2Dの水蒸気透過率は9.3g/(m
2・day)であった。
【0106】
〔マイクロ構造〕
最大高低差〔H〕:20μm
形状:メッシュ状(直交+斜交)
断面:三角形(半径20μm)
ピッチ:直交100μmとし、斜交は直交の交点を通過
【0107】
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子6を作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0108】
<実施例7>
下記に示すマイクロ構造(
図4(c)に示す構造)を形成した基材樹脂層2E(厚さ50μm)を用い、封止樹脂層の厚みを21μmとなるよう形成したこと以外は、実施例1と同様に剥離シート付封止シート7を作成し、水分浸入試験を行い評価した。基材樹脂層2E及び封止樹脂層1Bの水蒸気透過率は各々9.5g/(m
2・day)、7g/(m
2・day)であった。
【0109】
〔マイクロ構造〕
最大高低差〔H〕:20μm
形状:メッシュ状(波線)
断面:台形(上底10μm、下底20μm、上底をガスバリア形成面側とする)
ピッチ:100μm
【0110】
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子7を作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0111】
<実施例8>
下記に示すマイクロ構造(
図4(c)に示す構造)を形成した基材樹脂層2F(厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例7と同様に剥離シート付封止シート8を作成し、水分浸入試験を行い評価した。基材樹脂層2Fの水蒸気透過率は9.5g/(m
2・day)であった。
【0112】
〔マイクロ構造〕
最大高低差〔H〕:20μm
形状:メッシュ状(波線)
断面:半円形(半径20μm)
ピッチ:100μm
【0113】
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子8を作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0114】
<実施例9>
下記に示すマイクロ構造(
図4(c)に示す構造)を形成した基材樹脂層2G(厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様に剥離シート付封止シート9を作成し、水分浸入試験を行い評価した。基材樹脂層2Gの水蒸気透過率は9.5g/(m
2・day)であった。
【0115】
〔マイクロ構造〕
最大高低差〔H〕:20μm
形状:メッシュ状(波線)
断面:三角形(1辺20μm)
ピッチ:100μm
【0116】
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子9を作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0117】
<実施例10>
マイクロ構造が形成された基材樹脂層2A(厚さ50μm)のマイクロ構造が形成されていない面に、プラズマ化学気相成長法により、厚み100nmの酸化ケイ素膜(ガスバリア層)を形成した。
アクリル酸ブチル90部、及びアクリル酸10部、アゾビスイソブチロニトリル0.2部を反応器に入れ混合した。次いで、得られた混合物内に窒素ガスを4時間吹き込んで脱気した後、撹拌しながら60℃まで昇温した。そのまま、撹拌を60℃で24時間続けることで重合反応を行なった。次いで、反応混合物を酢酸エチルで希釈することで、固形分濃度が33%のアクリル系共重合体(重量平均分子量:650,000)の酢酸エチル溶液を得た。
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、コロネートL)を、その固形分が、前記酢酸エチル溶液の固形分100部に対して1.5部になるように添加し、次いで、トルエンを加えることで、固形分濃度20%の封止樹脂組成物を得た。
得られた封止樹脂組成物を、剥離シート(リンテック社製、SP−PET381130、厚み38μm)の剥離処理面上に、乾燥後の厚みが21μmになるようにそれぞれ塗工し、得られた塗膜を120℃で2分間乾燥し、封止樹脂層1Cを形成した。実施例1と同様に剥離シート付封止シート10を作成し、水分浸入試験を行い評価した。封止樹脂層1Cの水蒸気透過率は95g/(m
2・day)であった。
【0118】
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子10を作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0119】
<実施例11>
封止樹脂層の乾燥後の厚みが59μmとなるよう形成したこと以外、実施例10と同様に剥離シート付封止シート11を作成し、水分浸入試験を行い評価した。封止樹脂層1Dの水蒸気透過率は32g/(m
2・day)であった。
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子11を作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0120】
<比較例1>
マイクロ構造が形成されていない基材樹脂層2H(PETフィルム、東洋紡社製、コスモシャインA4100、厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様に剥離シート付封止シート1rを作成し、水分浸入試験を行い評価を行った。基材樹脂層2Hの水蒸気透過率は7g/(m
2・day)であった。
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子1rを作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0121】
<比較例2>
封止樹脂層の乾燥後の厚みが19μmとなるよう形成したこと以外、実施例1と同様に剥離シート付封止シート2rを作成し、水分浸入試験を行い評価した。封止樹脂層1Eの水蒸気透過率は7.5g/(m
2・day)であった。
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子2rを作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0122】
<比較例3>
封止樹脂層の乾燥後の厚みが60μmとなるよう形成したこと以外、実施例1と同様に剥離シート付封止シート3rを作成し、水分浸入試験を行い評価した。封止樹脂層1Fの水蒸気透過率は2.3g/(m
2・day)であった。
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子3rを作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0123】
<比較例4>
封止樹脂層の乾燥後の厚みが19μmとなるよう形成したこと以外、実施例10と同様に剥離シート付封止シート4rを作成し、水分浸入試験を行い評価した。封止樹脂層1Gの水蒸気透過率は100g/(m
2・day)であった。
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子4rを作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0124】
<比較例5>
封止樹脂層の乾燥後の厚みが60μmとなるよう形成したこと以外、実施例10と同様に剥離シート付封止シート5rを作成し、水分浸入試験を行い評価した。封止樹脂層1Hの水蒸気透過率は30g/(m
2・day)であった。
次いで、実施例1と同様にして、有機EL素子5rを作製し、有機EL素子の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
下記式中、(b)は、基材樹脂層2/ガスバリア層3/封止樹脂層1、(c)は、ガスバリア層3/基材樹脂層2/封止樹脂層1、の層構成を示す。
【0125】
【表1】
【0126】
表1から、実施例で得られた封止シート1〜11は、マイクロ構造を有しないか、有しても封止樹脂層の厚み(h)と、マイクロ構造の最大高低差(H)の比(h/H)が1.0以上3.0未満ではない、比較例で得られた封止シート1r〜5rに比して、水分侵入試験、有機EL素子評価に優れるものであることがわかる。