【文献】
AMENDOLA,Vincenzo, MENEGHETTI,Moreno,Controlled size manipulation of free gold nanoparticles by laser irradiation and their facile bioconjugation,Journal of Materials Chemistry,2007年,Vol.17,P.4705-4710
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トップダウン型ナノ加工法は、機械的エネルギー、熱エネルギー、電界アーク放電エネルギー、磁界エネルギー、イオンビームエネルギー、電子ビームエネルギー、又はレーザエネルギーの少なくとも一つを含む物理エネルギーソースを前記液体中の前記バルク金に適用することを含む、請求項1に記載の方法。
前記少なくとも一つのリガンドは、重合体、デオキシリボ核酸の核酸配列、リボ核酸配列、アプタマー、アミノ酸配列、タンパク質、ペプチド、酵素、抗体、蛍光マーカー、又はこれらの組み合わせの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
コロイド状金は、金ナノ粒子が分散媒体中に分散したものである。この媒体は典型的には水であるが、以下で述べるように他の媒体も使用することができる。科学者は金ナノ粒子に対し、その独特な物理特性、化学特性、及び表面特性ゆえに一世紀以上にわたり相当の興味を寄せている。当該特性とは例えば、(i)紫外(UV)波長から近赤外(NIR)波長まですべてにチューニング可能な、粒径依存及び形状依存の強力な光減衰及び散乱、(ii)官能性リガンドに結合するための大表面積、及び(iii)長期的毒性又は他の生体内悪影響がほとんど又は全く存在しないことによる生体系における高い許容レベルである。本明細書及び特許請求の範囲では金ナノコロイドとも称するコロイド状金ナノ粒子は今や、多種多様な生物学的用途及び医学的用途におけるその可能な利用法を求めて広く調査されている。用途は、造影剤、検知剤、遺伝子制御剤、標的薬物送達担体としての、及び光応答性治療法での使用を含む。これらの用途のほとんどにおいてコロイド状金は、その用途に使用される前に、本発明の明細書及び特許請求の範囲では表面官能化とも称する表面修飾を受ける必要がある。
【0003】
現在、金ナノコロイドの圧倒的多数は、テトラクロロ金酸塩(HAuCl
4)のクエン酸ナトリウム還元という標準的な湿式化学的方法を使用して調製される。この方法は、負電荷のクエン酸イオンによってキャップ又はカバーされた直径範囲5から200nmの球状金ナノ粒子の合成をもたらす。クエン酸イオンをキャップすることで静電反発が与えられるので、ナノ粒子の凝集が防止される。ひとたび形成されてから生物学的及び医学的用途に使用される前において、クエン酸ナトリウムのキャップされた金ナノ粒子は、通常は官能性リガンド分子のナノ粒子表面との結合を介して、さらなる表面官能化を受ける必要がある。
【0004】
コロイド状金を形成する他の湿式化学的方法は、ブラスト(Brust)法、ペロー(Perrault)法、及びマーチン(Martin)法を含む。ブラスト法は、クロロ金酸とテトラオクチルアンモニウムブロミドのトルエン溶液及び水素化ホウ素ナトリウムとの反応に基づく。ペロー法は、金ナノ粒子シードを包含する溶液中でHAuCl
4を還元するべくヒドロキノンを使用する。マーチン法は、NaBH
4による水中HAuCl
4の還元を使用する。ここで、安定化剤HCl及びNaOHが適切な比で存在する。これらの湿式化学的方法はすべて、まず金(Au)を強酸により原子論理式HAuCl
4に変換し、次にこの原子形態を使用してナノ粒子をボトムアップ型プロセスにおいてビルドアップする。これらの方法はすべて、金ナノ粒子が凝集して溶液から沈殿することを防止するべく安定化剤の存在を必要とする。ひとたび安定化ナノ粒子が形成されてから、ナノ粒子をその多くの可能な用途に使用することができる前に、さらなる表面官能化を生じさせる必要がある。こうした表面修飾もまた、コロイド状懸濁液の不安定化及び金ナノ粒子の沈殿をもたらさないようにする必要がある。リガンド交換反応が、金ナノコロイドを含む様々な無機コロイド状ナノ粒子の表面修飾にとって、特に強力なアプローチであることが見出されており、当該反応が広く利用されて、様々なコア材料及び官能基を有する有機かつ水溶性のナノ粒子が生成されている。
【0005】
コロイド状金ナノ粒子に関連するリガンド交換反応の最も困難な側面の一つは、当該反応中に金のコロイド状懸濁液の安定性を維持することにある。多数の報告されたプロトコルである非特許文献1から3に反映されているように、リガンド交換反応の完了を保証しかつ金ナノ粒子の沈殿を回避するには、多くの場合、ナノ粒子表面上に単層を形成するのに必要な量を超える極めて過剰な、時には10倍以上過剰なリガンドを使用する必要がある。これは、金表面上のリガンドフットプリントに対する文献値を参照することから見出される。過剰な未反応遊離リガンドが金ナノコロイドに残っていることは望ましくない。形成された金ナノ粒子結合体の期待される官能性を邪魔するか又は改変するからである。しかしながら、金ナノ粒子結合体の凝集を誘発することなく又は金ナノ粒子結合体の著しい欠如をもたらすことなく過剰な遊離リガンドを除去することは容易ではない。湿式化学的に生成されたコロイド状金から開始する場合、一を超える型のリガンドが結合された金ナノ粒子を作ることも極めて困難である。リガンドは、フットプリント分析に基づいて単層を形成するのに必要な量を超える極めて過剰な量、一般に1000%過剰な量で添加する必要があるので、現在のコロイド状金システムによっては、多くの用途及び基礎的研究にとって極めて有利な一ナノ粒子当たり一定数のリガンドを有する金ナノ粒子又は複数のリガンドを有する金ナノ粒子を調製することができない。結局、結合効率が低いので、リガンド交換反応は、アプタマー又はベクターのような貴重な生体分子を金ナノ粒子上に結合するのに良好な方法とはいえない。
【0006】
本発明では、上述の問題に対処するトップダウン型加工方法が与えられる。本明細書及び特許請求の範囲では、トップダウン型加工方法とは、液体中で、湿式化学的方法における金の原子形態ではないバルク物質から開始し、当該液体中で安定コロイド状ナノ粒子懸濁液を加工する方法を意味する。本発明に係る好ましいトップダウン型方法は、液体中のバルク金物質から開始してコロイド状金懸濁液中に純粋なむき出しの安定金ナノ粒子を生成する。生成されたナノ粒子はむき出しである。本方法は、安定化剤をなんら必要とせず、かつ、クエン酸還元にも関連しないからである。生成された金ナノ粒子は、表面修飾を受けることができる。リガンドを修飾することによる表面カバー率の大きさは、0から100%の任意パーセント値にチューニングすることができる。本方法はまた、例えば検知、造影、溶解度改善、及び非特異的結合防止のような異なる官能性を有する複数の型のリガンドと結合した金ナノ粒子を加工することができる。本方法は、金ナノ粒子の凝集を防止する極めて過剰な量のリガンドを必要としない。このため、供給不足又は極めて高価なリガンドを伴う使用にも順応できる。ナノ粒子がむき出しなので、結合反応は、先行技術の方法のようにクエン酸のような安定化剤との競合又は変位を伴うことがない。したがって、金ナノ粒子との親和性が低いリガンドであっても結合反応に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
科学者は金ナノコロイドに対し一世紀以上にわたり強い興味を寄せており、目下、多種多様な医学的用途及び生物学的用途におけるその可能な利用法が重点的に調査されている。可能な利用法は例えば、表面増強分光法、生物学的標識化及び検出、遺伝子調節、並びに人の癌処置のための診断剤又は治療剤を含む。広い範囲の用途におけるその多様性は、その独特な物理特性、化学特性、及び表面特性に起因する。当該特性とは例えば、(i)電磁界によって励起されるときの自由電子の局所場表面プラズモン共鳴に起因する、可視波長及び近赤外(NIR)波長での粒径依存及び形状依存の強力な光減衰及び散乱、(ii)官能性リガンドに結合するための大表面積、及び(iii)長期的毒性又は他の生体内悪影響がほとんど又は全く存在しないことによる生体系における高い許容レベルである。
【0014】
原子又はバルクいずれの対応物からも得ることができないこれらの新しい物理特性、化学特性、表面特性は、金ナノコロイドが分子系システムの代替物としてだけではなく、生物学的用途及び医学的用途に相当の利点を与える新規な構造物としても選択される理由を説明している。
【0015】
上述のように、金ナノコロイドの圧倒的多数は、標準的なクエン酸ナトリウム還元反応によって調製される。この方法は、負電荷のクエン酸イオンによってキャップ又はカバーされた直径範囲5から200ナノメートル(nm)の球状金ナノ粒子の合成を許容する。キャップは、ナノ粒子の成長を、速度、最終粒径、幾何学的形状の点で制御し、静電反発によってナノ粒子を凝集に対して安定化させる。
【0016】
かかる湿式化学的に調製された金ナノコロイドは、合成されたままの溶液中で数年間安定であるが、塩の存在下では直ちに不可逆的に凝集する。高い塩濃度の存在下、クエン酸による静電反発が遮蔽されるので、金ナノ粒子は互いに、当該ナノ粒子を凝集させるファンデルワールス力範囲内に容易に接近する。このため、合成されたままのクエン酸キャップ金ナノコロイドは、強酸、強塩基、又は濃縮塩が存在するような厳しい生物学的環境において安定とはならないので、生物学及び医学の領域における上述の用途に適さない。
【0017】
意図される生物学的用途及び医学的用途のほとんどにとっての必要事項は、合成されたままのクエン酸キャップ金ナノ粒子の、当該金ナノ粒子の表面に官能性リガンド分子の結合を介したさらなる表面修飾である。任意の生物学的用途又は医学的用途を目的とする金ナノ粒子の表面官能化が極めて重要なのは、少なくとも2つの理由による。第一に、ナノ粒子表面において自然に生じるナノ粒子がその環境と相互作用することを制御するためである。適切な表面官能化は、生理学的条件下にあるナノ粒子の安定性、溶解性、並びに物理特性及び化学特性の維持をもたらす重要なステップである。第二に、リガンド分子が、コア金ナノ粒子において固有に見出される特性に対して追加のかつ新しい特性又は官能性を与えるためである。かかる結合金ナノ粒子は、コア物質とリガンドシェル双方の独特の特性及び官能性を一緒にもたらす。高度に特異的な金ナノ粒子の標的を興味サイトに設定すること、超高感度な検知を行うこと、及び有効な治療というゴールが達成される。
【0018】
今日、無機コロイド状ナノ粒子の表面修飾を目的とする主要な方策は、リガンド交換、リガンド修飾、及び付加的コーティングを含む。これらの方策中、リガンド交換反応は、ナノ粒子に官能性を組み込むのに特に強力なアプローチであることが証明されており、様々なコア物質及び官能基を有する有機の及び水溶性のナノ粒子を生成するべく幅広く使用されている。リガンド交換反応において、ナノ粒子表面上の元のリガンド分子が他のリガンドと交換されて、当該ナノ粒子に新たな特性又は官能性が与えられる。ほとんどの場合、入ってくるリガンド分子は、出て行くリガンドよりも強くナノ粒子表面に結合する。このため、当該反応中においてナノ粒子のコロイド安定性が維持される。これは原則的に十分に理解されかつ理論記述されているが、ナノ粒子に関連するリガンド交換反応の全体像、正確なプロセス、及び微視的性質は決定されておらず、依然として研究及び議論の対象となっている。かかる反応は複雑である。ナノ粒子、結合するリガンド、添加剤、ナノ粒子合成からの残留物、及び溶媒の性質すべてが、リガンド交換反応において重要な役割を果たすからである。
【0019】
リガンド交換反応を介した湿式化学的方法によって生成された金ナノコロイドの表面官能化に影響を与える因子が、かかるプロセスを最適化する目的をもって専ら調査されている。チオール、アミン、及びホスフィンのような様々な化学官能基は、金ナノ粒子表面に対して高い親和性を有する。チオール基は、約200kJ/モルという金表面に対して最高の親和性を示すと考えられているので、金ナノ粒子表面官能化の大半は、チオール・Au結合を介して金ナノ粒子表面に結合するチオール基を有するリガンド分子を介してもたらされる。
【0020】
湿式化学的プロセスを使用するボトムアップ型加工の先行プロセスとは対照的に、本発明は、トップダウン型ナノ加工アプローチによって金ナノコロイドを生成する。本発明に係るトップダウン型加工方法は、液体中のバルク物質から開始した後、当該物質に物理エネルギーを適用することにより当該液体中でバルク物質を分解してナノ粒子にする。物理エネルギーは、機械的力、熱、アーク放電を介した電界エネルギー、磁界エネルギー、イオンビームエネルギー、電子ビームエネルギー、又はバルク物質のレーザアブレーションであり得る。本プロセスは、純粋な、むき出しの、かつ安定したコロイド状金を生成する。これにより、残留する前駆的化学物質、安定化剤、及び還元剤という湿式化学的問題が回避される。
【0021】
本発明によって、一部分の表面修飾のみが加工された安定金ナノコロイドの生成が可能となる。結合リガンド分子が、金表面に対して所定の親和性を有する官能基を介して金ナノ粒子表面に直接結合される。加えて本発明によって、一つ又は複数の異なる官能性リガンドが加工対象表面に直接結合した安定金ナノ粒子結合体が許容される。さらに、加工された金ナノ粒子結合体の表面上における官能性リガンドの表面カバー率の大きさを、0から100%までの任意のパーセント値にチューニングすることができる。こうした独特の特性すべてを得られるのは、本発明が、むき出しの金ナノ粒子を、安定化剤を不要として作られた液体中で生成するからである。
【0022】
金ナノ粒子の表面官能化に使用される分子の中で、ポリエチレングリコール(PEG)又は詳しくはチオール化ポリエチレングリコール(SH−PEG)が、重要かつ広く使用される化学種の一つである。本明細書において他でも述べることだが、アプタマーを含む本発明のコロイド状金調製物を官能化するべく、一般には当該アプタマーにリンクされたチオール官能基における結合を介して、他の多くのリガンドを使用することもできる。
【0023】
PEGは、−CH
2−CH
2−O−の繰り返し単位からなる線状重合体である。分子量に応じ、同じ分子構造は、ポリ(エチレンオキシド)又はポリオキシエチレンとも称する。重合体は、いくつかの有機溶媒及び水に極めて可溶である。PEG鎖は、金ナノ粒子表面への結合後、エントロピーを最大化するべく、コイル状に折り畳まれるか又は対応する分子量のタンパク質よりもはるかに大きな直径のキノコ形状に屈曲する傾向が高い。PEGによる金ナノ粒子の表面修飾は「PEG化」と称することが多いので、本明細書及び特許請求の範囲において、PEGを金ナノ粒子に結合させることをPEG化と称する。金ナノ粒子表面上のPEG層は、相互作用する金ナノ粒子間にステアリックバリアを与えることにより、水性環境下で金ナノ粒子を安定化させることに役立ち得るので、PEG化金ナノ粒子は高い塩濃度においてはるかに安定的である。
【0024】
加えてPEGにおけるエチレングリコール官能基が水分子と十分に相互作用することが知られているので、PEG分子が金ナノ粒子表面上に結合されると、PEG鎖間の空間が水分子を引き寄せて、当該金ナノ粒子のまわりに水分子の親水層が作られる。この結果、「粘着性」ではない不活性の親水性表面がもたらされる。これにより、PEG化金ナノ粒子が、増強された浸透及び保持機構に基づく受動的標的設定又は標的部分の支援による能動的標的設定及び意図された官能性の実行によって、標的興味サイトに到達する前に人の網内系(reticuloendothelial system(RES))に認識されて体循環血流から排除されることが防止される。PEG鎖はまた、本発明によって調製されたPEG化金ナノ粒子に対して他の標的設定又は信号伝達官能性を付加する反応性サイトも与える。かかる反応性サイトは、検出及び信号伝達官能性のための蛍光マーカーを結合するべく使用することができる。
【0025】
PEG化は現在のところ、金ナノ粒子の安定性及び可溶性を増強し、循環時間を延長し、非特異的結合を最小化し、及び興味サイトへの特異的標的設定を改善するのに極めて有効な手段なので、本発明によって調製された金ナノ粒子のSH−PEGとの結合体について、かかる金ナノ粒子の表面修飾の一例として以下に述べる。しかしながら、本発明の金ナノ粒子のSH−PEGとの結合体の記載される方策及び結果は一般的な性質であって、かかるナノ粒子に対する金表面親和性を示す少なくとも一つの官能基を包含する他のリガンド分子の結合にも同様に当てはまる。
【0026】
本発明の第一ステップは、むき出しの金ナノ粒子のコロイド状懸濁液を、安定化剤不在の懸濁液媒体におけるその場でトップダウン型加工によって作ることができるという知見である。コロイド状金ナノ粒子は、波長範囲518から530ナノメートル(nm)において吸光度ピークを示す。用語「安定」とは、本発明によって調製されたコロイド状金調製物に当てはまるように、貯蔵の際にむき出しコロイド状金調製物の局所場表面プラズモン共鳴によってもたらされる吸光度強度が、当該むき出しコロイド状金調製物の調製直後に、当然ながら同じ濃度で測定される値のプラスマイナス10%を超えて変化することがないことを意味する。一般に、コロイド状金調製物が不安定になると、金ナノ粒子は、経時的に凝集及び懸濁液からの沈殿を開始するので、518から530nmにおいて吸光度が減少する。また、「安定」は、2ナノメートル以下の局所場表面プラズモン共鳴に最小限の赤方偏移又は変化が存在することを意味する。用語「むき出し」は、本発明によって調製されたコロイド状金ナノ粒子に当てはまるように、当該ナノ粒子が、表面修飾が又は液体中での記載された生成以外の処理が存在しない純粋な金であることを意味する。むき出しの金ナノ粒子はまた、安定化剤がなんら存在しない中で存在し、クエン酸のようなナノ粒子安定化剤をなんら包含しない調製液体中に存在するだけである。本方法は好ましくは、むき出しのナノ粒子を形成することを含むが、このことは、必要であれば、クエン酸のような安定化剤を排除しない。本発明の独特な側面の一つは、かかる安定化剤の存在が、許容はされても必要とはされないことである。従来の方法はすべて安定化剤及び界面活性剤の使用を必要とし、この要件に関連する問題点が本明細書全体で述べられている。必要なのは、ナノ粒子が作られるときにコロイド状懸濁液が形成されるようにするべく、調製が液体中で行われることである。最初に乾燥粉末金ナノ粒子を作ってからそれを懸濁液媒体に添加することによってコロイド状金を作り、コロイド状金の生成を期待することは無理である。乾燥金ナノ粒子粉末は、上述の湿式化学的形成方法で使用されるような一以上の界面活性剤又は他の安定化剤の添加なしには懸濁液媒体に分散することがない。本発明のプロセスに従うことのみによって、むき出しの安定金ナノ粒子コロイドをその場で調製することができる。本発明において使用することができる様々なトップダウン型ナノ加工アプローチが存在する。しかしながら、すべては、ナノ粒子のバルク物質からの生成を懸濁液媒体存在下で行うことを要する。一実施例において、本プロセスは、例えば機械的エネルギー、熱、電界エネルギーすなわちアーク放電、磁界エネルギー、イオンビームエネルギー、電子ビームエネルギー、又はレーザエネルギーのような物理エネルギーソースをバルク金に適用することが懸濁液媒体中で行われるワンステッププロセスを含む。バルクソースが懸濁液媒体及び適用される物理エネルギーの中に置かれるので、生成されたナノ粒子は、その形成がされてすぐに懸濁液媒体中に懸濁する。もう一つの実施例において、本発明は、1)業界周知の光、電子ビーム、集束イオンビーム、ナノインプリント、又はナノ球リソグラフィを使用して金ナノ粒子アレイを基板上で加工することと、2)当該金ナノ粒子アレイを当該基板から取り除いて物理エネルギー方法の一つを使用して懸濁液体にすることとを含むツーステッププロセスを含む。Tabor, C., Qian, W., and El-Sayed, M. A., Journal of Physical Chemistry C, Vol 111 (2007), 8934-8941、Haes, A. J.; Zhao, J.; Zou, S. L.; Own, C. S.; Marks, L. D.; Schatz, G. C.; Van Duyne, R. P. Journal Of Physical Chemistry B, Vol 109 (2005), 11158。双方の方法において、物理エネルギー方法の一つを使用して懸濁液媒体中にナノ粒子を生成することによって、コロイド状金がその場で形成される。
【0027】
本発明の少なくとも一つの実施例において、懸濁液媒体としての脱イオン水中におけるバルク金標的のパルスレーザアブレーションによって金ナノコロイドが生成された。
図1は、本発明に係るパルスレーザアブレーションを使用して、液体中の金のような複合化合物からなるナノ粒子のコロイド状懸濁液を生成するレーザ系システムを概略的に例示する。一実施例において、レーザビーム1が、図示しない超高速パルスレーザソースから生成されてレンズ2により集束される。レーザビーム1のソースは、パルスレーザ又は他の任意のレーザソースであり得る。以下に述べるように、適切なパルス持続時間、繰り返し周波数、及び/又はパワーレベルが与えられる。集束レーザビーム1はその後、レーザビーム1を配向させるべくレンズ2から案内機構3まで通過する。代替的に、レンズ2は、案内機構3とバルク物質標的4との間に配置することもできる。案内機構3は、ピエゾミラー、音響光学偏向器、回転ポリゴン、振動ミラー、又はプリズムを含む業界周知の機構のいずれかであり得る。好ましくは案内機構3は、レーザビーム1の制御されたかつ迅速な動きを可能とする振動ミラー3である。案内機構3はレーザビーム1を標的4に配向させる。一実施例において、標的4はバルク金標的である。標的4は、数ミリメートルから好ましくは1センチメートル未満の距離まで懸濁液体5表面下に沈められている。標的4は追加的に容器7に配置されるが、必ずしもその頂部に取り外し可能ガラス窓6を有する必要はない。オプションとして、Oリング型シール8がガラス窓6と容器7の頂部との間に置かれて容器7から液体5が漏れ出ることが防止される。液体5が標的4上を通過して再循環できるように容器7が入口12及び出口14を有することは、付加的であって必須というわけではない。容器7はオプションとして、標的4及び液体5とともに容器7の並進移動をもたらすことができる移動ステージ9上に置かれる。液体5の流れが使用されることで、標的4から発生したナノ粒子10が容器7の外に搬送され、コロイド状懸濁液として収集される。標的4上の液体5の流れはまた、レーザ焦点体積を冷却する。液体5は、レーザビーム1の波長に対して十分に透過性であって、標的物質4に対してコロイド状懸濁液媒体として機能する任意の液体であり得る。一実施例において、液体5は、0.05Mオーム・cm超過かつ好ましくは1Mオーム・cm超過の抵抗率を有する脱イオン水である。したがって本システムにより、コロイド状金ナノ粒子は懸濁液体中のその場での発生が可能となって、コロイド状金懸濁液が形成される。形成された金ナノ粒子はすぐに安定的に液体中に懸濁するので、コロイド状懸濁液を安定状態に維持するための分散剤、安定化剤、界面活性剤、又は他の物質が不要である。この結果は予想外であったが、このおかげで、むき出しの金ナノ粒子を包含する独特のコロイド状金懸濁液を作ることができる。
【0028】
以下のレーザパラメータが使用されて、脱イオン水中のバルク金標的のパルスレーザアブレーションによる金ナノコロイド加工が行われた。パルスエネルギー10μJ(マイクロジュール)、パルス繰り返し周波数100kHz、パルス持続時間700フェムト秒、及びアブレーション標的上のレーザスポット径約50μm(ミクロン)である。本発明に係るAuナノコロイドの調製を目的として、長さ16mm(ミリメートル)、幅8mm、及び厚さ0.5mmの、Alfa Aesar(登録商標)のAu矩形標的が使用された。簡便のため、Au標的物質は、これよりも大きいバルク物質片、例えばガラススライド、もう一つの金属基板、又はSi基板に付着させることができる。
【0029】
さらに一般的には、本発明にとってのレーザアブレーションパラメータは以下のとおりである。約10フェムト秒から約500ピコ秒、好ましくは約100フェムト秒から約30ピコ秒の範囲にあるパルス持続時間、約1μJから約100μJの範囲にあるパルスエネルギー、約10kHzから約10MHzの範囲にあるパルス繰り返し周波数、及び約100μm未満のレーザスポット径である。標的物質は、標的物質の表面におけるレーザスポットのスポット径よりも大きい少なくとも一つの寸法の粒径を有する。
【0030】
コロイド状金ナノ粒子の2つのサンプルが、UV−VIS吸収スペクトル、動的光散乱(DLS)、透過型電子顕微鏡(TEM)、及びフーリエ変換赤外分光法(FTIR)を含む市販の分析機器及び技術のアレイによって特徴づけられた。一つ目のサンプルは、市販の湿式化学的に生成されたクエン酸キャップコロイド状金調製物であり、2つ目のサンプルは本発明によって調製されたコロイド状金であった。UV−VIS吸収スペクトルが、Shimadzu(登録商標)UV−3600 UV−VIS−NIR分光光度計によって記録された。DLS測定が、Nano−ZS90ゼータサイザー(登録商標)(Malvern Instrument,Westborough,MA)を使用して行われた。赤外スペクトルが、PerkinElmer(登録商標)の、ATRダイヤモンドが装備されたspectrum 100 FT−IR分光計に記録された。金ナノ粒子が、透過型電子顕微鏡(TEM;JEOL 2010F,Japan)を使用して可視化された。加速電圧は100kVであった。すべての測定及びプロセスは室温約25℃で行われた。
【0031】
図2は、平均粒径20nmの、湿式化学的アプローチにより生成された市販の球状クエン酸キャップ金ナノ粒子コロイド状調製物である指定BBI AuナノコロイドのUV−VIS吸収スペクトルを表示する。このサンプルは、Ted Pella社,Redding,CAから購入されてさらなる精製なしで使用された。わかるように、このAuナノコロイドの局所場表面プラズモン共鳴最大値は520nmである。
【0032】
図3Aは、本発明に係る脱イオン水中レーザアブレーションによって調製されたむき出しの安定コロイド状金ナノ粒子調製物のUV−VIS吸収スペクトルを示す。本発明に係るコロイド状金ナノ粒子調製物の局所場表面プラズモン共鳴の最大値は、520nmにおいてBBI Auナノコロイドのものと同じである。
図3Bは、300粒子を超えるサンプルの、差し込んで示されるものと同じTEM画像から測定されたフェレー(Feret)径のヒストグラムを示す。本発明のコロイド状金調製物におけるナノ粒子の平均フェレー径は、20.8nmと決定された。これは、代表的TEM画像からの300を超えるナノ粒子のコア径の測定によるBBI Auナノコロイドのものに極めて近い。
【0033】
本発明によって調製されたコロイド状金の形状、粒径、及び光学的特性は、BBI Auナノコロイドのものと同じである。したがって、パルスレーザアブレーション後のPEG化を使用する本発明によって生成された金ナノ粒子のコロイド安定性に観測された、湿式化学的アプローチによって調製された金ナノ粒子と比べての著しい改善は、粒径、形状、又は光学的特性に起因しない。
【0034】
Sigma Aldrich(登録商標)からの製品番号63753−250MGである分子量20キロダルトン(kDa)のチオール化PEG(SH−PEG)が、さらなる精製なしで使用された。金ナノ粒子のPEG化が、異なる量のチオール化PEGをコロイド状金サンプルの中に添加することによって行われた。測定された吸光(uv−vis)分光法データを、20nmのAuナノ粒子(8×10
8モル
−1cm
−1)の吸光係数に相関させることにより決定された、混合溶液中における分子量20kDaのチオール化PEG分子数とAuナノ粒子数との最終比は、10から4000までばらついた。混合後、各溶液は、被PEG化Auナノ粒子のコロイド安定性を特徴づける前に、PEG分子がAu−チオール結合を介してAuナノ粒子表面上に結合する十分な時間量を与えるべく、室温で少なくとも24時間静置したままにした。
【0035】
2つの被PEG化コロイド状Auナノ粒子調製物のコロイド安定性が、UV−VIS吸光スペクトルを測定することによって評価された。UV−VIS吸光分光法は、当該調製物のAuナノ粒子の、520nm近辺にある強い局所場表面プラズモン共鳴の存在ゆえに、最も適切な方法と考えられている。被PEG化金ナノ粒子の凝集及び/又は沈殿は、520nm近辺の吸光度減少に反映される。
【0036】
図4A及び4Bは、異なる濃度でチオール化PEGと混合してから少なくとも24時間放置した後の様々な金ナノコロイドのUV−VIS吸収スペクトルを表示する。
図4Aは、湿式化学的BBI Auナノコロイドを使用したサンプルに対応し、
図4Bは、本発明によって調製されたAuナノコロイドを使用したサンプルに対応する。
図4Aと4Bとの差異は極めて明らかである。BBI AuナノコロイドのPEG化に対し、520nm近辺の吸光度は、PEG分子数とAuナノ粒子数との比に応じて幅広く変化する。約0.45の対照値からの減少は、粒子の凝集/沈殿を表す。BBI Auナノコロイドのものとは対照的に、本発明によって調製されたAuナノコロイドのPEG化に対しては、対照サンプルとして機能するPEG無添加Auナノコロイドのものと比べ、様々な量のチオール化PEGとの混合が誘発するスペクトルの変化が無視できた。本発明によって調製されたPEG化Auナノコロイドのスペクトルはすべて、対照サンプルのものとほぼ同じである。検出できる赤方偏移又は局所場表面プラズモン共鳴の減少は、これらのサンプルのスペクトルすべてにおいて存在しない。520nm近辺の強度になんら損失がないことは、PEG化プロセス中において本発明によって調製されたコロイド状金の優れたコロイド安定性を示している。
【0037】
図4A及び4Bに表示される実験結果が
図5Aにまとめられている。様々なサンプルの520nmにおける吸光度が、PEG化なしの対照サンプルそれぞれのパーセンテージとして表現されている。黒四角はBBI Auナノコロイドサンプルに対応し、黒星は本発明によって調製されたAuナノコロイドに対応する。BBIサンプルに対するデータは、コロイド状金が、チオール化PEGが添加され始めるとすぐに沈殿を開始し、当該沈殿が一Auナノ粒子当たり200のチオール化PEGの比において完全な沈殿が得られるまで続くことを示す。一Auナノ粒子当たり500から2000のチオール化PEGに対しては、沈殿量が減少し始め最終的に吸光度はPEGなしのレベルに戻る。対照的に、本発明によって調製されたコロイド状金に対しては、520nmの吸光度には、対照サンプルのものと比べPEG分子対Au分子のいずれの比においても著しい変化がない。したがって、本発明によって調製されたコロイド状金からのナノ粒子沈殿は、PEG化中において存在しない。このことは、従来の湿式化学的コロイド状金と比べ、本発明のプロセスによって調製されたコロイド状金が有するもう一つの著しい利点を示している。
【0038】
PEG化中におけるリガンド交換反応の基礎的メカニズムは極めて複雑なので、なぜ不可逆的な凝集/沈殿がBBI AuナノコロイドのPEG化中に生じたのかは明らかではない。可能な説明としては、元の界面活性剤すなわちクエン酸イオンがナノ粒子表面から離れる時刻と、ナノ粒子が新たな界面活性剤すなわちチオール化PEGと結合する時刻との時間差がリガンド交換反応中に存在するというものであり得る。この時間差が、到来する新たな界面活性剤の濃度に反比例する場合、当該到来する新たな界面活性剤の濃度の増加が当該時間差を短縮させる。これが、ナノ粒子が凝集するようになる可能性を減少させる。このことは、チオール化PEG分子の濃度が増加するにつれてBBI Auナノコロイドのコロイド安定性の回復が観測されたことを説明し得る。
【0039】
コロイド安定性は、本発明によって調製されたコロイド状金のPEG化中において完全に維持されるので、このプロセスによって、1%以下から金ナノ粒子表面上に完全な単層を形成するのに必要な数までにわたる量の一定数のPEG分子が結合した安定PEG化Auナノコロイドを調製することができる。
図5Bは、金ナノ粒子表面上におけるチオール化PEGの、0%から100%の範囲にわたる表面カバー率を概略的に例示する。当該粒子は、滑らかな球体として理想化され、PEGの概略的な描画はすべて、単数のPEG分子だけでなく一群のPEG分子も代表する。
【0040】
チオール化PEG分子は、本発明によって調製されたコロイド状金における、金ナノ粒子に対する表面修飾分子の結合を記述するための一例として使用される。実際のところ、例えばチオール基、アミン基、又はホスフィン基のような、金表面に対する親和性を示す少なくとも一つの官能基を包含するいずれの官能性リガンドも、上述の方法を使用して調製された金ナノ粒子の表面に結合され得る。この方法により、一部又は全体の表面修飾を有する安定金ナノコロイドを生成することができる。したがって、金ナノ粒子表面上のリガンド表面カバー率は、0から100%の任意のパーセンテージにチューニングすることができる。
【0041】
平均直径20nmを有する本発明によって調製されたコロイド状金ナノ粒子の表面上に完全な単層を形成するのに必要な、チオール化PEG20k分子の数を決定することができる。電荷遮蔽効果に起因して、本方法及び湿式化学的アプローチ双方によって調製された合成されたままの金ナノコロイドは、高い塩濃度において凝集体を形成する。金ナノ粒子表面上のPEG層分子層は、当該ナノ粒子間のステアリック反発を与えることにより、高レベルのNaCl存在下でも金ナノ粒子の安定性を改善することができるので、Auナノ粒子表面が完全にPEG分子の層によってカバーされるときに、この安定性は最大限に近づく。したがって、本発明によって調製されたPEG化コロイド状金ナノ粒子の安定性をNaCl存在下でモニタリングすることを、金ナノ粒子表面上の完全な単層を形成するのに必要なPEG分子の最小量を決定するべく利用することができる。本発明によって調製されたコロイド状金ナノ粒子のサンプルは、チオール化PEG対Auナノ粒子比40から5000の存在下でPEG化された。各サンプルに対し、凝集/沈殿のトリガーとなる1重量パーセント(1%)の最終濃度までNaClが添加された。
図6Aは、520nmにおけるPEG化Auナノコロイドの吸光度を表示する。NaCl添加なしで得られた対照サンプルのパーセンテージで表現されている。示されるとおり、PEG化Auナノ粒子の安定性が初期に下降して凝集が示されるが、その後上昇し、PEG/Au比300において最大限に近づく。PEG/Au比を一Auナノ粒子当たり300超過5000PEGまでに増加しても、コロイド状懸濁液の安定性がさらに増加することがない。このことは、本発明によって調製された直径20nmを有するむき出しの金ナノ粒子の表面上に完全な単層を形成するのに必要なPEG分子の最小数が200から300であることを意味する。
【0042】
PEG化後におけるナノ粒子の粒径増加をモニタリングすることによって、本発明によって調製された平均直径20nmを有するコロイド状金ナノ粒子の表面上に完全な単層を形成するのに必要なチオール化PEG20kDa分子の最小数を検証するべく、動的光散乱(DLS)も使用された。ナノ粒子は、その表面上に多くのPEG分子が結合するにつれて大きく成長する。DLSの使用は、その広範囲な利用可能性、サンプル調製及び測定の単純性、1nmから約2μmの関連粒径範囲測定、測定速度、並びに流体で生まれたナノ粒子に対するその場での測定可能性ゆえに、多くの者が、ナノ粒子の平均粒径を測定する標準的方法と考えている。
図6Bは、示されたチオールPEG対Auナノ粒子比においてPEG化された、本発明によって調製されたコロイド状金ナノ粒子の、結果的な総粒径を黒丸で及び粒径増分を黒星で表示する。示されるとおり、総粒径及び粒径増分は、PEG/Au比約300対1において最大限に近づき、この数の約10倍のレベルまでのPEGの使用は、ナノ粒子の粒径を増加させる付加的効果がほとんどない。再びであるが、DLS測定によって、本発明によって調製された平均直径20nmを有するコロイド状金ナノ粒子の表面上に完全な単層を形成するのに必要な最小のPEG分子対Au比が200から300であることが確認される。この結果は、
図6Aにおいて報告される1%のNaClを使用した安定性試験の結果と一致する。
【0043】
本発明によって調製されたコロイド状金ナノ粒子の表面上に完全な単層を形成するのに必要なチオール化PEG分子の最小数を決定するべく、第3の方法が使用された。再びであるが、コロイド状金ナノ粒子の平均直径は20nmであった。この測定では、蛍光標識PEG分子が使用された。チオール化PEGは10kDaであり、これがローダミンによって標識された。周知のことだが、金ナノ粒子は、その表面に結合した蛍光分子からのほぼすべての蛍光を消光させる。したがって、ローダミン標識PEG対Auナノ粒子比が低ければ、それらすべてが結合することによって消光するので、蛍光は極めて少ないはずである。ローダミン標識PEG対Auナノ粒子比が増加すると、Auナノ粒子上のすべての結合サイトが占有されるので、遊離ローダミン標識PEGが存在するポイントまで到達するはずである。その比において、蛍光が検出され始めるはずである。この測定では、ローダミン標識PEGが、本発明によって調製されたコロイド状金ナノ粒子と、
図7Aに示される一連の比で混合された。
図7Aは、ローダミン標識チオール化PEG10k分子が結合した金ナノ粒子の、いくつかの溶液からの蛍光スペクトルを表示する。わかることだが、蛍光は、初期入力PEG/Au比が一Auナノ粒子当たり300PEGを超える場合にのみ、金ナノ粒子・ローダミン標識PEG10k結合体の溶液から検出された。この結果は、PEG/Au比が300を超える場合にのみ、遊離した非結合PEG分子が溶液中に存在することを示す。PEG/Au比が200の場合、蛍光は全く観測されなかった。このことは、金ナノコロイドに付加されたローダミン標識PEG10kDa分子すべてが、ナノ粒子表面に結合したことを示す。
図7Bでは、すべての比に対する570nmにおける蛍光ピークの強度もプロットされている。再びであるが、このことは蛍光が、比が200から300になるまでは観測されず、その後直線的に増加することを示す。このことによって再びであるが、本発明によって調製された直径20nmを有するコロイド状金ナノ粒子の表面上に完全な単層を形成するのに必要なPEG分子の最小数が200から300であることが確認される。
【0044】
金ナノ粒子表面上におけるチオール基のフットプリントサイズは、チオール末端オリゴヌクレオチドを使用して他者が決定している。Hill, H. D., Millstone, J. E., Banholzer, M. J., and Mirkin, C. A., ACS Nano, Vol. 3 (2009), 418-424。フットプリント値は金ナノ粒子の直径に依存する。ナノ粒子粒径20nmに対し、7.0±1nm
2である。したがって、直径20nmを有する球状金ナノ粒子に対しては、金ナノ粒子表面上に完全な単層を形成するのに必要なチオール末端分子の最小数は、当該文献を参照すれば、約180±20となる。これは、上述の3つの他の測定による結果に極めて近い。
【0045】
本発明によって調製されたコロイド状金ナノ粒子の表面上に完全な単層を形成するのに必要なチオール末端分子の最小数を決定する上述の3つの方法は、重要である。他のリガンドに対しても、そのフットプリントサイズを決定するべく同じプロセスを行うことができる。この最小数がわかっていれば、表面カバー率の大きさが0から100%までの任意のレベルに設定されることによりチューニング可能な結合を可能とした結合反応をもたらすことができる。リガンドの混合物を添加して、最終的な結合Auナノ粒子に出現すべき比を確信することができる。加えて、従来必要とされた極めて過剰なリガンドを有することなく、完全なカバー率を保証するのに十分なリガンドを添加することもできる。したがって、本プロセスは、極めて希少又は高価なリガンドを使用しても実行可能となる。好ましくは、リガンド交換反応中に使用されるリガンドすべての総量は、本発明によって調製されたAuナノ粒子上に、上述の方法を含む任意の方法によって決定される完全な単層を形成するのに必要な量を、200%を超えて過剰となることがない。これにより、200%過剰な非結合の遊離リガンドのみが与えられる。例えば、初期リガンド対Auナノ粒子比300:1が完全な単層を与えると決定される場合、リガンド交換反応に使用されるすべてのリガンドの総量は900:1を超えることがない。好ましくは、過剰な遊離リガンドの量は、粒子上に単層を形成するのに必要な量を20%多く超えることがない。これにより、0から100%、好ましくは1%から100%のチューニング可能なリガンドカバー率、及び希少又は高価なリガンドの使用が許容される。明らかなことであるが、必要な初期比は、Auナノ粒子の粒径の関数である。大きな粒子ほど、カバーするための大きな表面積ゆえに高い初期比を必要とする。したがって、本明細書は、Auナノ粒子のための当該面積を決定する方法もいくつか与える。
【0046】
チオール化PEG20kDaのコロイド状金ナノ粒子表面への結合を確認するべく、FTIR分光法も使用された。
図8における上のトレースに表示されるように、チオール化PEG20kDaのFTIRスペクトルは一連のピークを示す。同図における破線は、これらと同じピークが2つのPEG化サンプルに見出されるが、元のクエン酸キャップBBI Auナノ粒子には見出されないことを示す。これらのトレースは、下のトレースから、チオール化PEG20kDa、元のクエン酸キャップBBI Auナノコロイド溶液、PEG化BBI Auナノコロイド溶液、及び、本発明によって調製されたコロイド状金ナノ粒子のPEG化Auナノコロイド溶液である。この実験では、PEG分子対Auナノ粒子比は、双方のPEG化サンプルに対して2000対1であった。
図5Aにおけるデータに示されるように、この比は、520nmにおける吸光度によって測定される当該サンプルの総カバー率及び最大安定性を確保するのに十分である。本発明によって調製されたPEG化AuナノコロイドのFTIRスペクトルと、PEG化BBI Auナノコロイドのそれとの大きな相違は、1500cm
−1から1750cm
−1の範囲内に存在する。この範囲において、本発明によって調製されたPEG化Auナノコロイドは、1661cm
−1近辺に唯一のピークを示す。しかしながらPEG化BBI Auナノコロイドは、2つのピークを示す。一方は1661cm
−1近辺にあり、他方のピークは、クエン酸の特性ピークである1584cm
−1近辺にある。1584cm
−1近辺にある同じピークが、元のクエン酸キャップBBI Auナノコロイドのスペクトルに相当に大きなレベルで見られる。このデータは、BBI Auナノ粒子上の元のクエン酸界面活性剤が、チオール化PEG分子を使用して完了するべく行われたリガンド交換反応によっては完全に除去できないということである。これは、本発明によって調製された、調製されたままでは表面にリガンドが結合していないむき出しの純粋なAuナノコロイドのような非クエン酸形成Auナノコロイドを識別するマーカーとしても機能する。
【0047】
PEG化反応中において本発明によって調製されたコロイド状金ナノ粒子のコロイド安定性に対するクエン酸の効果も調査された。これは、PEG化反応中における520nmの吸光度をモニタリングすることによって遂行された。
図4B及び5Aに示されるように、本発明によって調製されたときのようにAuナノ粒子表面がむき出しの場合、この吸光度の変化は最小となるはずである。吸光度の著しい減少がいずれもAuナノ粒子が凝集していることを示す一方、著しい増加はコロイド安定性の増加を示す。
図9に代表されるデータでは、1マイクロモル(μM)から1ミリモル(mM)までの範囲にわたる示されたレベルにあるクエン酸の存在下でPEG化が行われた。示されるように、試験されたクエン酸レベルすべてが、PEG化中における低いPEG対Auナノ粒子比での安定性減少を引き起こした。安定性が最終的に回復したのは、最高レベルのクエン酸であってもPEG対Au比が増加したからである。このことは、チオール含有リガンドの濃度を確認すること及びUV−VIS吸収スペクトルの変化を測定することによって、コロイド状金ナノ粒子の表面化学を特徴づけるべく及び/又はコロイド状溶液中における化学的添加剤又は不純物の存在を検出するべく、チオール基に基づく結合が使用し得ることを実証している。当該データは、チオール化PEGを使用して生成されたが、他のチオール化リガンドも、同様の結果を示すことが期待される。ただし、スペクトルは、当該スペクトルの異なる位置に吸光度ピークを有し得る。
【0048】
本発明によって、むき出しの安定コロイド状金ナノ粒子を調製することが可能となるので、及び、当該表面積を測定することによって0から100%の任意のカバー率に必要な第1リガンドの量を決定することができるので、本発明によって調製されたコロイド状金ナノ粒子は、第1のものとは異なる官能性を有する第2の型のリガンドを同じナノ粒子に結合するべく使用することができる。したがって、このプロトコルを用いることによって、異なる官能性を有する2以上の異なるリガンドと結合した安定コロイド状金ナノ粒子に加工することができる。
【0049】
本明細書において記載したデータでは、チオール化PEG20kDa分子又はチオール化ローダミン標識PEG10kDa分子が使用されたが、これらは例示のみを目的として選択された。本発明は、チオール化PEG分子を使用することに限られない。本発明によってむき出しの安定コロイド状金ナノ粒子が生成されるので、提案されたチオール基、アミン基、ホスフィン基のようなAu粒子表面に結合し得る基を有する任意のリガンドを使用することができる。加えて、Auナノ粒子はむき出しなので、通常は使用されないリガンド、すなわちAu表面に対する親和性が低いリガンドでさえも使用することができる。これは、本発明により、「交換」を生じさせる必要なく、直接的にリガンドを結合することができるからである。安定化剤分子と所望のリガンドとの競合反応を有する必要性がなく、金表面全体がリガンドへの結合に対して自由かつ利用可能である。このことはまた、本発明によって調製されたコロイド状金ナノ粒子を、アプタマー及び他の希少又は高価なリガンドの結合に利用することにとって極めて魅力的にする。アプタマーは、デオキシリボ核酸(DNA)若しくはリボ核酸(RNA)又は業界で知られているアミノ酸配列であってよい。本コロイド状金はまた、抗体、酵素、タンパク質、ペプチド、及び、希少又は高価な他のレポーター又はリガンド物質に結合するべく使用することもできる。リガンドは、Auナノ粒子に結合し得る基に対する基又は結合を有する任意の蛍光マーカーを含み得る。このことは、交換反応を排除するものではないが、湿式化学的に生成されたコロイド状金とは異なり、当該反応が必要な反応というわけではない。加えて、異なる官能基及び一の又は複数のアームを有し、かつ、分子量範囲が200Daから100,000,000Daまでのモノ、ホモ、及びヘテロ官能性PEGを含むすべての種類のPEG分子も、表面修飾反応に使用することができる。ヘテロ官能性PEGを使用する場合、例えば、Auナノ粒子に結合するのに使用されないカルボキシル基COOH及びアミン基NH
2のような官能基も、他の官能基又は他のリガンドに結合するべく使用することができる。このことは、Auナノ粒子に付加される他の官能性への広い範囲の可能性を開く。
【0050】
湿式化学的プロセスによって調製されたPEG化コロイド状金ナノ粒子と比べ、本発明によって調製されたナノ粒子を使用するPEG化プロセスの高効率及び優秀な安定性ゆえに、本トップダウン型ナノ加工方法によって加工されたAu金ナノ粒子のPEG化は、改善された生体適合性を有する金ナノ粒子結合体を形成する。したがって、撮像、診断、薬物送達、及び疾患の光応答性治療を目的として、標的興味サイトに当該ナノ粒子をより多く送達されることを保証する長い体循環血流時間を有することが期待される。
【0051】
本明細書においてはコロイド状Auナノ粒子に焦点が当てられているが、PEG化プロセスは他の多くの金属に対しても使用することができるので、本トップダウン型加工方法もまた、他の金属にも適用することができる。その場合、ここに記載されるプロセスを使用することによって、当該金属の一部又は全体の表面を修飾することができる。例えば、金属及び物質は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Pt、Pd、Ag、Cu、シリコン、CdTe、及びCdSeから選択され得るがこれらに限られない。
【0052】
ここに記載される表面修飾は、直径1から200ナノメートルを有する球状のコロイド状Auナノ粒子のみへの適用に限られない。原則的に、本方法は、1から200nmの範囲にある少なくとも一つの寸法を有するロッド、プリズム、ディスク、キューブ、コア・シェル構造、ケージ、及びフレームを含む他の形状及び構成を有するコロイド状Auナノ粒子に対しても作用するはずである。加えて、本発明において記載される表面修飾方法は、一部のみが金でカバーされた外表面を有するナノ構造に対しても作用するはずである。
【0053】
トップダウン型加工及び表面修飾の上述の方法は、液体が脱イオン水である実施例において例示されたが、他の液体においても上述のプロセスを行うことができる。例えば、PEG化表面修飾は、水、メタノール、エタノール、アセトン、及び他の有機溶媒において行うことができる。同様に、コロイド状ナノ粒子を形成するステップは、これらと同じ及び他の液体においても生じ得る。
【0054】
使用可能なPEG以外の重合体の例は、ポリアクリルアミド、ポリデシルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、デンドリマー分子、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリグリコール酸(PGA)、及びポリヒドロキシブチレート(PHB)を含む。
【0055】
少なくとも一つの実施例において、コロイド状金ナノ粒子は、脱イオン水中のバルク金標的のレーザアブレーション後のPEG化によって生成される。当該PEG化生成物は、FTIR分光法によって特徴付けられる。当該生成物は、1500cm
−1から1750cm
−1の範囲にある単数の検出可能ピークを示す。
【0056】
少なくとも一つの実施例において、本発明は、表面修飾を有する安定コロイド状金ナノ粒子を生成する方法を含む。本方法は、バルク金をソース物質として使用するトップダウン型ナノ加工によってコロイド状懸濁液体中における金ナノ粒子の安定コロイド状金ナノ粒子調製物を調製するステップと、金ナノ粒子に結合する少なくとも一つの官能基を有する少なくとも一つのリガンドをコロイド状金ナノ粒子に付加することによって金ナノ粒子の表面修飾を行うステップであって、リガンドの総量は、ナノ粒子上に結合したリガンドのフットプリントに基づいて、むき出しの金ナノ粒子のすべてにリガンドが結合した単層を与えるのに必要な量の3倍以下であるステップと、当該リガンドの量の少なくとも一部を金ナノ粒子に結合するステップとを含む。
【0057】
少なくとも一つの実施例において、本発明は、コロイド状金ナノ粒子の溶液を含む。本溶液は、金ナノ粒子及び少なくとも一つのリガンドを含む。リガンドは、金ナノ粒子に対する親和性を有する少なくとも一つの官能基を有する。金ナノ粒子は、溶液中において安定でありかつ分散している。リガンドは、ナノ粒子上に結合したリガンドのフットプリントに基づいてむき出しの金ナノ粒子のすべてとの結合リガンドの100%単層を与えるのに必要な量に等価なリガンド数の3倍以下の量存在する。
【0058】
一実施例において、本発明は、コロイド状金溶液中の複数の金ナノ粒子の表面化学を特徴づけかつ金ナノ粒子に結合したリガンドの存在を検出する方法である。本方法は、金ナノ粒子に結合するリガンドを包含するチオール基の変化する量をコロイド状金溶液に添加している間にコロイド状金溶液のUV−VIS吸収スペクトルの変化をモニタリングすることを含む。
【0059】
一以上の実施例において、本トップダウン型ナノ加工方法は、機械的エネルギー、熱エネルギー、電界アーク放電エネルギー、磁界エネルギー、イオンビームエネルギー、電子ビームエネルギー、又はレーザエネルギーの少なくとも一つを含む物理エネルギーソースをコロイド状懸濁液体中のバルク金に適用することを含む。
【0060】
一以上の実施例において、本トップダウン型ナノ加工方法は、コロイド状懸濁液体中の前記バルク金のレーザアブレーションを含む。
【0061】
一以上の実施例において、トップダウン型ナノ加工方法はツーステッププロセスを含む。本プロセスは、第一に、光、電子ビーム、集束イオンビーム、又はナノ球リソグラフィを使用して金ナノ粒子アレイを基板上で加工することと、第二に、金ナノ粒子アレイを基板から取り除いてコロイド状懸濁液体にすることとを含む。
【0062】
一以上の実施例において、金ナノ粒子は、約1nmから約200nmの範囲にある少なくとも一つの寸法を有する。
【0063】
一以上の実施例において、金ナノ粒子の形状は、球、ロッド、プリズム、ディスク、キューブ、コア・シェル構造、ケージ、フレーム、又はこれらの組み合わせの少なくとも一つを含む。
【0064】
一以上の実施例において、コロイド状懸濁液体は、水、メタノール、エタノール、アセトン、又は他の有機液体を含む。
【0065】
一以上の実施例において、リガンドは、重合体、デオキシリボ核酸の核酸配列、リボ核酸配列、アプタマー、アミノ酸配列、タンパク質、ペプチド、酵素、抗体、蛍光マーカー、又はこれらの組み合わせの少なくとも一つを含む。
【0066】
一以上の実施例において、リガンドは2以上の異なるリガンドを含む。
【0067】
一以上の実施例において、金ナノ粒子に結合する官能基は、チオール基、アミン基、ホスフィン基、又はこれらの組み合わせを含む。
【0068】
一以上の実施例において、金ナノ粒子に結合するリガンドの量は、金ナノ粒子上にリガンドの単層を形成するのに必要な量の1から100%を含む。
【0069】
一以上の実施例において、ナノ粒子とのリガンド結合中の動的光散乱によって決定される流体力学的径の増分、1重量%のNaCl存在下におけるナノ粒子とのリガンド結合中の520ナノメートルの吸光度、蛍光標識リガンドのナノ粒子への結合の蛍光スペクトル分析、文献値の参照、又はこれらの方法の組み合わせの少なくとも一つによってフットプリントが決定される。
【0070】
一以上の実施例において、溶液中の金ナノ粒子が、金ナノ粒子上におけるリガンドの単層カバー率の1%から100%の範囲にある表面カバー率を含む量だけ少なくとも一つのリガンドと結合される。金ナノ粒子の溶液は金ナノ粒子に結合されていない遊離リガンドを含み、遊離リガンドは、ナノ粒子上に結合したリガンドのフットプリントに基づいて、溶液中の金ナノ粒子上の単層カバー率100%に必要な量の2倍に等価なリガンド数以下の量だけ存在する。
【0071】
一以上の実施例において、ナノ粒子は表面修飾金ナノ粒子を含む。金ナノ粒子は、金ナノ粒子上のリガンドの単層カバー率の1%から100%未満の範囲にある表面カバー率を含む量だけ少なくとも一つのリガンドと結合される。
【0072】
一以上の実施例において、金ナノ粒子の溶液は、金ナノ粒子に結合されていない遊離リガンドを含む。遊離リガンドは、ナノ粒子上に結合したリガンドのフットプリントに基づいて、溶液中の金ナノ粒子上における単層カバー率の20%と等価のリガンド数以下の量だけ存在する。
【0073】
一以上の実施例において、コロイド状金ナノ粒子溶液は、少なくとも24時間の間室温25℃で安定である。局所場表面プラズモン共鳴の検出可能な赤方偏移、並びにリガンドに結合された金ナノ粒子の凝集及び/又は沈殿によって誘発される局所場表面プラズモン共鳴強度の減少がそれぞれ、2ナノメートル未満及び10%未満である。
【0074】
一以上の実施例において、リガンドは、200ダルトンから100,000,000ダルトンの範囲にある分子量を有するチオール化ポリエチレングリコールを含む。
【0075】
一以上の実施例において、リガンドは、モノ、ホモ、又は、異なる官能基若しくは一以上のアームを有するヘテロ官能性PEGの少なくとも一つを含む。
【0076】
一以上の実施例において、金ナノ粒子の溶液は、PEGリガンドと結合した金ナノ粒子を含み、かつ、FTIR分光法によって特徴づけられる1500cm
−1から1750cm
−1の範囲にある単数の検出可能ピークを示す。
【0077】
一以上の実施例において、金ナノ粒子の溶液は、金ナノ粒子上のリガンドの単層カバー率1から100%の範囲にある表面カバー率を含む量の2以上の異なるリガンドと結合された金ナノ粒子を含む。
【0078】
こうして、所定の実施例がここに記載されてきたが、本発明の要旨及び範囲から逸脱することなく多くの修正例が可能であることは明らかである。さらに、本明細書及び特許請求の範囲の読みやすさを高めるためにのみ、頭字語が使用されている。なお、これらの頭字語は、使用される用語の一般性を減じることを意図しておらず、特許請求の範囲をここに記載される実施例に制限するものと解釈してはならない。
【0079】
本発明が限定されるのは、以下の特許請求の範囲によってのみであって、ここで上述された特定の実施例並びにそのバリエーション及びコンビネーションによってではないことが意図される。