【文献】
WANG S. T. et al.,Journal of Applied Polymer Science,1993年,vol.50,p.2173-2183
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酸化防止剤をさらに含み、且つ前記(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の総重量100重量部に対し、前記酸化防止剤の含有量範囲が0.005重量部〜2重量部である請求項1に記載の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本文において、「ある数値から別の数値」で表示した範囲は、明細書で当該範囲内の全ての数値を1つ1つ挙げることを回避するための概要的表示方法である。したがって、ある特定数値範囲についての描写は、当該数値範囲内の任意の数値および当該数値範囲内の任意の数値により限定される比較的小さな数値範囲を含むことを意味し、明細書において当該任意の数値および当該比較的小さな数値範囲が明記されていることと同じである。
【0019】
また、本文において、(メタ)アクリレート((meth)acrylate)は、アクリレート(acrylate)および/またはメタクリレート(methacrylate)を示す。本文において、単量体単位は、単量体を重合反応させて形成された構造単位を示す。
【0020】
本発明の1つの実施形態において提供される(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体は、10重量%〜75重量%の(メタ)アクリレート系単量体単位および25重量%〜90重量%のスチレン系単量体単位を含む。詳しく説明すると、本実施形態において、(メタ)アクリレート系単量体単位の含有量範囲が10重量%〜75重量%であり、スチレン系単量体単位の含有量範囲が25重量%〜90重量%である場合、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体は、吸湿性が低いため、後に製造される成形品は、優れたサイズ安定性を有する;スチレン系単量体単位の含有量範囲が25重量%〜90重量%であり、(メタ)アクリレート系単量体単位の含有量範囲が10重量%〜75重量%である場合、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体は、長光路黄色度(yellow index, YI)値が低いため、後に製造される成形品は、長時間光に照射されても黄変現象が発生しにくい。
【0021】
また、1つの実施形態において、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体は、より好ましくは、10重量%〜60重量%の(メタ)アクリレート系単量体単位および40重量%〜90重量%のスチレン系単量体単位を含み、さらに好ましくは、10重量%〜50重量%の(メタ)アクリレート系単量体単位および50重量%〜90重量%のスチレン系単量体単位を含む。
【0022】
ポリ(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の重合に用いる(メタ)アクリレート系単量体は、例えば、(1)メタクリレート類化合物:メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、または2−エチルヘキシルメタクリレート(2-ethylhexyl methacrylate)等;(2)アクリレート類化合物:メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、または2−エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate)等を含む(ただし、これに限定されない)。本発明の(メタ)アクリレート系単量体は、より好ましくは、メタクリレート類化合物である。
【0023】
ポリ(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の重合に用いるスチレン(styrene)系単量体は、例えば、スチレンまたは置換されたスチレン類化合物を含む(ただし、これに限定されない)。置換されたスチレン類化合物は、例えば、(1)クロロスチレンまたはブロモスチレン等のハロゲンで置換されたスチレン類化合物;(2)ビニルトルエン(vinyl toluene)またはα−メチルスチレン(α-methyl styrene)等のアルキル基で置換されたスチレン類化合物を含む(ただし、これに限定されない)。本発明のスチレン系単量体は、より好ましくは、スチレンおよびα−メチルスチレンから選ばれる。
【0024】
本発明のポリ(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の重合に用いる単量体は、上述した(メタ)アクリレート系単量体とスチレン系単量体の他に、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の効果を著しく損なわない範囲内で、必要であれば、その他の共重合単量体を使用してもよい。詳しく説明すると、(メタ)アクリレート系単量体とスチレン系単量体の合計を100重量%とすると、その他の共重合単量体の使用量は、0重量%〜30重量%であってもよい。その他の共重合単量体は、例えば、(1)不飽和カルボン酸およびその無水物類:アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、またはイタコン酸(itaconic acid)等;(2)マレイミド類化合物:N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等;(3)ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリレート類化合物:グリセロールモノアクリレート(glycerol monoacrylate)または2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(2-hydroxyethyl (meth)acrylate)等;(4)その他の不飽和二重結合を含む化合物:アクリルアミド(acrylamide)、アクリロニトリル(acrylonitrile)、アリルグリシジルエーテル(allyl glycidyl ether)、またはグリシジル(メタ)アクリレート(glycidyl (meth)acrylate)等を含む(ただし、これに限定されない)。
【0025】
また、本実施形態において、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体中の五量体〜十一量体の含有量範囲は、500ppm〜2000ppmである。詳しく説明すると、本実施形態において、五量体〜十一量体の含有量範囲が500ppm〜2000ppmである場合、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体は、YI値が低いため、後に製造される成形品は、長時間光に照射されても黄変現象が発生しにくい。
【0026】
また、1つの実施形態において、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体中の五量体〜十一量体の含有量範囲は、より好ましくは、500ppm〜1800ppmであり、さらに好ましくは、500ppm〜1500ppmである。
【0027】
1つの実施形態において、五量体は、例えば、M5、M4S1、M3S2、M2S3、M1S4、S5、またはその組み合わせを含み、Mは、(メタ)アクリレート系単量体単位を示し、Sは、スチレン系単量体単位を示す。つまり、五量体は、ホモ五量体、ヘテロ五量体、またはその組み合わせを含んでもよい。別の観点から説明すると、五量体は、例えば、(メタ)アクリレート系−スチレン系五量体である。上述した説明に基づいて、六量体、七量体、八量体、九量体、十量体、十一量体も類推できるため、ここでは説明を省略する。後述する二量体、三量体も同じである。
【0028】
言及すべきこととして、本実施形態において、10重量%〜75重量%の(メタ)アクリレート系単量体単位および25重量%〜90重量%のスチレン系単量体単位を含み、且つ五量体〜十一量体の含有量範囲が500ppm〜2000ppmであることにより、ポリスチレンとポリメチルメタクリレートの長所を兼ね備え、優れた加工性および熱安定性を有するだけでなく、同時にさらに低い長光路YI値および低吸湿性を有することもできる。
【0029】
また、本実施形態において、上述した(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体中の二量体〜三量体の含有量範囲は、より好ましくは、3000ppm以下である。詳しく説明すると、本実施形態において、二量体〜三量体の含有量が3000ppm以下である場合、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体は、吸湿性が低い。1つの実施形態において、二量体〜三量体の含有量は、より好ましくは、100ppm〜3000ppmである。
【0030】
また、1つの実施形態において、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の調製方法は、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を調製した後、それに対して後処理を実施する方法を含む。詳しく説明すると、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体の調製方法は、特に限定されず、スチレン系単量体および(メタ)アクリレート系単量体で構成された単量体混合物とラジカル開始剤を溶液共重合反応またはバルク共重合反応させることによって完成させることができ、溶媒の存在下で共重合反応させて完成させるのがより好ましい。上述した単量体混合物中、スチレン系単量体の含有量は、25重量%〜90重量%であり、より好ましくは、40重量%〜90重量%であり、さらに好ましくは、50重量%〜90重量%である。(メタ)アクリレート系単量体の含有量は、10重量%〜75重量%であり、より好ましくは、10重量%〜60重量%であり、さらに好ましくは、10重量%〜50重量%である。
【0031】
また、上述したラジカル開始剤は、ここでは特に限定されず、単独で使用しても、混合して使用してもよい。ラジカル開始剤の実例は、(1)アゾ類化合物:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(2,2’-azobis-(isobutyronitrile),AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(2,2’-azobis-(2-methyl butyronitrile,AMBN)、または2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(2,2’-azobis-(2,4-dimethyl valeronitrile),ADVN)等;(2)ジアシルペルオキシド(diacyl peroxide)類化合物:ジラウロイルペルオキシド(dilauroyl peroxide)、デカノイルペルオキシド(decanoyl peroxide)、またはジベンゾイルペルオキシド(dibenzoyl peroxide,BPO)等;(3)ジアルキルペルオキシド(dialkyl peroxide)類化合物:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン)(2,5-dimethyl-2,5-di-(t-butyl peroxy)hexane)、ジクミルペルオキシド(dicumyl peroxide)、または1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン)(1,3-bis-(t-butyl peroxy isopropyl)benzene)等;(4)ぺルオキシエステル(peroxyester)類化合物:t−ブチルぺルオキシピバラート(t-butyl peroxypivalate)または2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン)(2,5-dimethyl-2,5-di(2-ethyl hexanoyl peroxy)hexane)等;(5)ペルオキシカーボネート(peroxycarbonate)類化合物:t−アミルぺルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート(tert-amyl peroxy 2-ethylhexyl carbonate)またはt−ブチルぺルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート(tert-butyl peroxy 2-ethylhexyl carbonate)等;(6)ぺルオキシジカーボネート(peroxydicarbonate)類化合物:ジミリスチルぺルオキシジカーボネート(dimyristyl peroxydicarbonate)またはジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)ぺルオキシジカーボネート(di(4-tert-butyl cyclohexyl) peroxydicarbonate)等;(7)ペルオキシケタル(peroxyketal)類化合物:1,1,−ジ(t−ブチルぺルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン)(1,1-di(tert-butyl peroxy)-3,3,5-trimethyl cyclohexane)または2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルぺルオキシ)シクロヘキシル)プロパン(2,2-di(4,4-di(tert-butyl peroxy)cyclohexyl)propane)等;(8)ヒドロペルオキシド(hydroperoxide)類化合物:t−ブチルヒドロペルオキシド(t-butyl hydroperoxide)またはイソプロピルクミルヒドロペルオキシド(isopropyl cumyl hydroperoxide)等;(9)その他:2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン(2,3-dimethyl-2,3-diphenyl butane)等が挙げられる(ただし、これに限定されない)。モノマー混合物の総重量100重量部に対し、ラジカル開始剤の使用量は、0.01重量部〜1重量部であり、より好ましくは、0.01重量部〜0.5重量部であり、さらに好ましくは、0.01重量部〜0.1重量部である。
【0032】
また、上述した反応に使用する反応器は、連続撹拌槽型反応器(continuous stirred tank reactor, CSTR)、層流型反応器、プラグフロー型反応器(plug flow reactor, PFR)、または静的混合型反応器(static mixing reactor)のうちの1種または異なる種類の組み合わせであってもよい。また、上述した反応は、常温で進行することができ、反応システムを加熱して重合反応の速度を上げることもできる。具体的に説明すると、反応温度の範囲は、25℃〜200℃であってもよく、より好ましくは、50℃〜180℃であり;反応操作時間の範囲は、6時間〜10時間であってもよく;反応圧力の範囲は、400torr〜800torrであってもよい。
【0033】
また、上述した溶媒の沸点は、重合反応に用いる主要単量体の沸点に近いのが最も好ましく、例えば、沸点が(メタ)アクリレート系単量体またはスチレン系単量体の沸点に近い溶媒を選択して、溶媒と上述した単量体により形成される混合物が比較的狭い沸点範囲を有するようことにより、混合物が循環して戻る時に汚染物が混入する確率を減らすことができるため、混合物に対してさらに中間分留のプロセスを行う必要がない。具体的に説明すると、溶媒は、沸点範囲が40℃〜225℃であってもよく、より好ましくは、60℃〜180℃の炭化水素溶媒または芳香族炭化水素溶媒であり、その実例は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、m−キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、シクロデカン、またはイソオクタンを含み(ただし、これに限定されない)、且つ単独で使用しても、混合して使用してもよい。
【0034】
(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体の後処理方法は、特に限定されず、例えば、溶媒処理方法を使用することができる。溶媒処理方法は、異なる溶媒を用いて(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体に対して異なる溶解度を生成する特性により、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体のオリゴマーの含有量を制御して、本発明の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体を調製する方法である。具体的に説明すると、溶媒処理方法は、以下のステップを含む:まず、必要な溶解度に基づいて溶媒混合物を調合する。上述した溶媒混合物は、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体に対して溶解度の良い溶媒と、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体に対して溶解度の悪い溶媒とを含む。(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体に対して溶解度の良い溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、p−キシレン、o−キシレン、m−キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、シクロデカン、またはイソオクタンを含み(ただし、これに限定されない);(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体に対して溶解度の悪い溶媒は、アセトン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、または1,4−ジオキサンを含む(ただし、これに限定されない)。詳しく説明すると、溶媒混合物に含まれる溶媒の種類および含有量は、特に限定されず、必要な溶解度を達成できるものであればよい。
【0035】
続いて、溶媒混合物と(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を混合する。詳しく説明すると、このステップにおいて、溶媒混合物は(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体に対して特定の溶解度を生成するため、溶解されなかった部分は沈殿する。
【0036】
その後、前述のステップにおいて沈殿した部分を取り出し、脱揮発装置により上述した部分に対して脱揮工程を行う。詳しく説明すると、上述した脱揮発装置は、例えば、真空ポンプ設備を備えた脱揮タンクである。上述した脱揮タンクは、1個を使用しても、複数を直列に接続して使用してもよい。脱揮タンクの温度は、210℃〜280℃に制御し、より好ましくは、220℃〜270℃である。脱揮タンクの真空度は、100torr以下に制御し、より好ましくは、30torr以下である。また、上述した脱揮発装置は、例えば、脱揮口を備えた単軸または二軸の押出機、薄膜蒸発器等のその他の適合する脱揮設備であってもよい。
【0037】
言及すべきこととして、溶媒処理方法において、上述した3つの工程の回数は、特に限定されず、10重量%〜75重量%の(メタ)アクリレート系単量体単位および25重量%〜90重量%のスチレン系単量体単位を含み、且つ五量体〜十一量体の含有量範囲が500ppm〜2000ppmである(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体を取得できさえすればよい。
【0038】
また、上述した実施形態は、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体に対して溶媒処理方法を実施して(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体を調製することを開示しているが、本発明は、これに限定されない。別の実施形態において、重合プロセスの利用、設備制御、脱揮の強化、脱揮回収液純化等の方法を使用して、または組み合わせて、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体を調製する目的を達成してもよい。
【0039】
本発明の別の実施形態が提供する(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物は、上述した実施形態におけるいずれか1種の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体を含む。(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の関連説明は、上述した実施形態において既に詳しく説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。
【0040】
本実施形態において、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の効果を著しく損なわない範囲であれば、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物は、添加剤をさらに選択的に添加してもよく、上述した添加剤は、例えば、酸化防止剤、滑剤、加工助剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、充填剤、強化剤、着色剤、熱安定剤、熱変色防止剤、光拡散剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、カップリング剤、またはその他の添加剤等である(ただし、これに限定されない)。また、添加剤の添加時期は、特に限定されず、実際にプロセスに必要であれば、添加剤は、重合反応前、重合反応中、または重合反応後に添加してもよい。
【0041】
酸化防止剤は、単独で使用しても、混合して使用してもよく、且つフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、またはリン系酸化防止剤等を含む(ただし、これに限定されない)。(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の総重量100重量部に対し、上述した酸化防止剤の含有量範囲は、0.005重量部〜2重量部である。
【0042】
フェノール系酸化防止剤の実例は、n-オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラ[メチレン−3−(3,5−ビス−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオ−ジエチレン−ビス[3−(3,5−ビス−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、または2,2’−エチレンジアミド−ビス[エチル−3−(3,5−ビス−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等を含む(ただし、これに限定されない)。
【0043】
チオエーテル系酸化防止剤の実例は、ジステアロイルチオジプロピオン酸エステル、ジパルミトイルチオジプロピオン酸エステル、エリトリトール-テトラ-(β-ドデシル-チオプロピオン酸エステル)、またはビスオクタデシルチオエーテルを含む(ただし、これに限定されない)。
【0044】
リン系酸化防止剤の実例は、亜リン酸類、リン酸類、亜ホスホン酸類、ホスホン酸類、亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、亜ホスホン酸エステル類、ホスホン酸エステル類、第三級ホスフィン、三有機リン酸エステル類、または酸性リン酸エステル類の化合物を含む(ただし、これに限定されない)。上述したリン系酸化防止剤のうち、特に、亜リン酸類、リン酸類、亜ホスホン酸類、ホスホン酸類、三有機リン酸エステル類、または酸性リン酸エステル類の化合物が好ましい。また、酸性リン酸エステル類化合物のうち、有機基は、一置換、二置換、または多置換を含むことができる。以下に例示する化合物は、単独で使用しても、混合して使用してもよい。
【0045】
三有機リン酸エステル類化合物の実例は、トリメチルリン酸エステル、トリエチルリン酸エステル、トリブチルリン酸エステル、トリオクチルリン酸エステル、トリデシルリン酸エステル、トリドデシルリン酸エステル、トリラウリルリン酸エステル、トリステアリンリン酸エステル、トリクレシルリン酸エステル、トリフェニルリン酸エステル、トリクロロフェニルリン酸エステル、ジフェニルクレシルリン酸エステル、ジフェニルモノ−O−ビフェニルリン酸エステル、またはリン酸トリス(ブトキシエチル)エステルを含む(ただし、これに限定されない)。より好ましくは、三有機リン酸エステル類化合物は、トリアルキルリン酸エステル類化合物であり;さらに好ましくは、上述したトリアルキルリン酸エステル類化合物中のアルキル基の炭素数が1〜22であり;さらに好ましくは、上述したトリアルキルリン酸エステル類化合物中のアルキル基の炭素数が1〜4である。1つの実施形態において、トリアルキルリン酸エステル類化合物は、トリメチルリン酸エステルである。
【0046】
酸性リン酸エステル類化合物の実例は、メチル酸性リン酸エステル、エチル酸性リン酸エステル、ブチル酸性リン酸エステル、ブトキシエチル酸性リン酸エステル、オクチル酸性リン酸エステル、デシル酸性リン酸エステル、ラウリル酸性リン酸エステル、ステアリン酸性リン酸エステル、オイル酸性リン酸エステル、ドコシル酸性リン酸エステル、フェニル酸性リン酸エステル、ノニルフェニル酸性リン酸エステル、シクロヘキシル酸性リン酸エステル、フェノキシエチル酸性リン酸エステル、アルコキシポリエチレングリコール酸性リン酸エステル、またはビスフェノールA酸性リン酸エステル等を含む(ただし、これに限定されない)。上述した酸性リン酸エステル類化合物のうち、炭素数が10以上の長鎖ジアルキル酸性リン酸エステルは、それ自身が高熱安定性を有する他に、さらに(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物の熱安定性を有効に高めることもできる。
【0047】
亜リン酸エステル類化合物の実例は、トリフェニル亜リン酸エステル、トリス(ノニルフェニル)亜リン酸エステル、トリデシル亜リン酸エステル、トリオクチル亜リン酸エステル、トリ(オクタデシル)亜リン酸エステル、ジデシルフェニル亜リン酸エステル、ジオクチルフェニル亜リン酸エステル、ジイソプロピルフェニル亜リン酸エステル、ブチルジフェニル亜リン酸エステル、デシルジフェニル亜リン酸エステル、オクチルジフェニル亜リン酸エステル、トリス(ジエチルフェニル)亜リン酸エステル、トリ(ジイソプロピルフェニル)亜リン酸エステル、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)亜リン酸エステル、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)亜リン酸エステル、トリス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)亜リン酸エステル、ジステアリルペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル、またはジシクロヘキシルペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル等を含む(ただし、これに限定されない)。
【0048】
滑剤は、単独で使用しても、混合して使用してもよく、且つ(1)金属石鹸:ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、またはステアリン酸リチウム等;(2)化合物:エチレンビス(ステアルアミド)(ethylene bis(stearamide), EBS)、メチレンビス(ステアルアミド)、パルミチン酸アミド、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸パルミチン酸、ポリプロピオン酸アルコールトリステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールステアリン酸エステル、ベヘン酸(docosanoic acid)、ステアリン酸、またはステロール等;(3)ワックス類:ポリエチレンワックス、オクタコサン酸ワックス、カーナウバワックス(Carnauba wax)、または石油ワックス等;(4)高級アルコール類:ステアリルアルコール(stearyl alcohol)等を含む(ただし、これに限定されない)。(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の総重量100重量部に対し、滑剤の含有量範囲は、0.03重量部〜5重量部である。
【0049】
加工助剤は、押出成形性および熱成形性を改善することができ、且つ例えばアクリレート系の加工助剤、または重量平均分子量が500,000以上のコアシェル(core-shell)型の加工助剤を選択することができる。上述した加工助剤は、単独で使用しても、混合して使用してもよい。
【0050】
紫外線吸収剤は、単独で使用しても、混合して使用してもよく、且つベンゾトリアゾール(benzotriazole)系化合物、ベンゾフェノン(benzophenone)系化合物、シアノアクリル酸(cyanoacrylic acid)系化合物等を含む(ただし、これに限定されない)。
【0051】
紫外線安定剤は、単独で使用しても、混合して使用してもよく、且つヒンダードアミン系化合物等を含む(ただし、これに限定されない)。
【0052】
(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の総重量100重量部に対し、上述した加工助剤、紫外線吸収剤、および紫外線安定剤の含有量範囲は、それぞれ0.02重量部〜2.0重量部である。
【0053】
帯電防止剤は、単独で使用しても、混合して使用してもよく、且つ三級アミン系化合物、四級アンモニウム塩系化合物等の低分子量化合物、あるいはポリアミドポリエーテル等の永久帯電防止性を有する高分子類を含む(ただし、これに限定されない)。
【0054】
充填剤は、単独で使用しても、混合して使用してもよく、且つ炭酸カルシウム、珪質土(siliceous earth)、雲母等を含む(ただし、これに限定されない)。
【0055】
強化剤は、単独で使用しても、混合して使用してもよく、且つガラス繊維、炭素繊維、各種ウィスカー(whisker)等を含む(ただし、これに限定されない)。
【0056】
着色剤は、単独で使用しても、混合して使用してもよく、且つ酸化チタン、酸化鉄、グラファイト、フタロシアニン染料等を含む(ただし、これに限定されない)。
【0057】
光拡散剤は、単独で使用しても、混合して使用してもよく、且つ(1)無機拡散剤:酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、またはチタン酸カリウム等の無機粒子;(2)有機拡散剤:エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、ポリ有機シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、またはテフロン系樹脂等の樹脂粒子を含む(ただし、これに限定されない)。
【0058】
言及すべきこととして、上述したように、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体は、優れた加工性および熱安定性を有するだけでなく、同時に低YI値および低吸湿性を有するため、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物も、優れた加工性および熱安定性、低YI値および低吸湿性を有する。したがって、本実施形態の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物は、成形品の製造に適用することができ、添加剤を調合することにより、後続の成形品の製造時に必要な性質に符合させることができる。
【0059】
本発明のもう1つの実施形態が提供する成形物は、上述した実施形態の中の任意の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物から形成される。(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物の関連説明は、上述した実施形態において詳しく説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。
【0060】
成形品は、射出成形、圧縮成形(compression molding)により製造された各種成形品、または押出成形、ブロー成形、熱成形、真空成形、または中空成形により製造された各種成形品であってもよい。具体的に説明すると、成形品の実例は、光学グレードプレート(例えば、導光板、拡散板等)、薄膜成形品を含む(ただし、これに限定されない)。
【0061】
言及すべきこととして、上述したように、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体は、低YI値および低吸湿性を有するため、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物により製造された成形品は、長時間光を照射しても黄変現象が発生しにくく、且つ湿気や蒸気の影響による構造変形を受けにくい。そのため、本実施形態の成形品は、使用寿命、保存安定性、サイズ安定性に優れており、且つ光学グレードプレートとして特に適合する。
【0062】
以下、実施例1〜9および比較例1〜9を参照して、本発明の特徴についてさらに具体的に説明する。以下の実施例1〜9について説明するが、本発明の範囲を超えない限り、使用する材料、分量および比率、処理詳細、および処理手順等を適切に変更してもよい。したがって、本発明は下記に記載の実施例に限定されると解釈すべきではない。
合成例1〜11
(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物の調製
【0063】
合成例1〜11の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を調製する重合装置は、完全混合型反応器、層流型反応器、および脱揮装置を含む。調製プロセスを明確に説明するため、以下の合成例1について説明し、その他の合成例を全て同様の方法で調製する。
【0064】
表1に示した各成分の種類と使用量に基づいて、各成分を上述した完全混合型反応器の中に連続して入れ、連続型溶液重合反応を行う。反応温度を100℃に維持し、圧力を600torrにする。各成分を混合型反応器内で十分に撹拌混合して反応物を形成し、約3.5時間保留した後、上述した反応物を上述した層流型反応器に連続して入れる。上述した層流型反応器において、約5時間保留した後、重合体溶液を形成する。続いて、上述した重合体溶液を上述した脱揮装置に入れて、235℃に加熱した後、減圧環境において、脱揮工程を行い、合成例1の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を調製する。
【0065】
また、表1のa(重量部)は、単量体混合物の総重量を100重量部として計算したものであり;b(重量部)は、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の総重量を100重量部として計算したものである。
【0066】
【表1】
[実施例1]
(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物の調製
【0067】
100重量部の合成例1の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を100重量部のエチルベンゼンおよび600重量部のアセトンで構成された溶媒混合物の中に添加し、均一に撹拌混合する。続いて、濾過方法により、溶媒混合物において溶解せず、且つ沈殿した部分を取り出す。その後、取り出した部分を脱揮装置に入れて、235℃に加熱した後、減圧環境(30torr)の下で、脱揮工程を行うことにより、実施例1の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を調製する。
[実施例2]
(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物の調製
【0068】
実施例1と同様の調製プロセスにより実施例2の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を調製し、異なる点は、主に、以下の通りである:実施例2は、100重量部の合成例2の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を100重量部のシクロヘキサンおよび500重量部のメタノールで構成された溶媒混合物の中に添加する。
[実施例3]
(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物の調製
【0069】
実施例1と同様の調製プロセスにより実施例3の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を調製し、異なる点は、主に、以下の通りである:実施例3は、100重量部の合成例3の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を100重量部のトルエンおよび500重量部のジメチルホルムアミドで構成された溶媒混合物の中に添加する。
[実施例4]
(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物の調製
【0070】
実施例1と同様の調製プロセスにより実施例4の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を調製し、異なる点は、主に、以下の通りである:実施例4は、100重量部の合成例4の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を100重量部のオクタンおよび400重量部のジメチルスルホキシドで構成された溶媒混合物の中に添加する。
[実施例5]
(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物の調製
【0071】
実施例1と同様の調製プロセスにより実施例5の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を調製し、異なる点は、主に、以下の通りである:実施例5は、100重量部の合成例5の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を使用して溶媒処理方法を2回行い、1回目の溶媒処理方法は、100重量部のエチルベンゼンおよび300重量部のアセトンで構成された溶媒混合物を使用し、2回目の溶媒処理方法は、100重量部のシクロヘキサンおよび400重量部のメタノールで構成された溶媒混合物を使用する。
[実施例6]
(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物の調製
【0072】
実施例1と同様の調製プロセスにより実施例6の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を調製し、異なる点は、主に、以下の通りである:実施例6は、100重量部の合成例6の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を100重量部のエチルベンゼンおよび450重量部のアセトンで構成された溶媒混合物の中に添加する。
[実施例7]
(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物の調製
【0073】
実施例1と同様の調製プロセスにより実施例7の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を調製し、異なる点は、主に、以下の通りである:実施例7は、100重量部の合成例7の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を100重量部のエチルベンゼンおよび450重量部のアセトンで構成された溶媒混合物の中に添加する。
[実施例8]
(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物の調製
【0074】
実施例1と同様の調製プロセスにより実施例8の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を調製し、異なる点は、主に、以下の通りである:実施例8は、100重量部の合成例8の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を100重量部のエチルベンゼンおよび500重量部のアセトンで構成された溶媒混合物の中に添加する。
[実施例9]
(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物の調製
【0075】
実施例1と同様の調製プロセスにより実施例9の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を調製し、異なる点は、主に、以下の通りである:実施例9は、100重量部の合成例9の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を100重量部のエチルベンゼンおよび550重量部のアセトンで構成された溶媒混合物の中に添加する。
[比較例1]
(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物の調製
【0076】
実施例1と同様の調製プロセスにより比較例1の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を調製し、異なる点は、主に、以下の通りである:比較例1は、100重量部の合成例1の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を使用して溶媒処理方法を4回行い、1回目の溶媒処理方法は、100重量部のエチルベンゼンおよび350重量部のアセトンで構成された溶媒混合物を使用し、2回目の溶媒処理方法は、100重量部のシクロヘキサンおよび300重量部のメタノールで構成された溶媒混合物を使用し、3回目の溶媒処理方法は、100重量部のトルエンおよび400重量部のジメチルホルムアミドで構成された溶媒混合物を使用し、4回目の溶媒処理方法は、100重量部のオクタンおよび400重量部のジメチルスルホキシドで構成された溶媒混合物を使用する。
[比較例2]
(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物の調製
【0077】
実施例1と同様の調製プロセスにより比較例2の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を調製し、異なる点は、主に、以下の通りである:比較例2は、100重量部の合成例10の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を100重量部のエチルベンゼンおよび550重量部のアセトンで構成された溶媒混合物の中に添加する。
[比較例3]
【0078】
100重量部の合成例5の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を真空オーブンの中に直接置いて、真空度1000Pa、温度250℃の条件で1時間処理することにより、比較例3の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を調製する。
[比較例4]
【0079】
比較例4の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物は、いかなる処理も行っていない合成例1の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を直接使用する。
[比較例5]
【0080】
比較例5の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物は、いかなる処理も行っていない合成例9の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を直接使用する。
[比較例6]
【0081】
比較例6の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物は、いかなる処理も行っていない合成例10の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を直接使用する。
[比較例7]
【0082】
比較例7の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物は、いかなる処理も行っていない合成例11の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体前駆体を含む組成物を直接使用する。
[比較例8]
【0083】
実施例1〜9、比較例1〜7と異なり、比較例8は、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を自ら調製せず、市販商品TX−800LF(電気化学株式会社より購入)を直接使用する。
[比較例9]
【0084】
実施例1〜9、比較例1〜7と異なり、比較例9は、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を自ら調製せず、市販商品MS−500(新日鉄株式会社より購入)を直接使用する。
【0085】
その後、それぞれ実施例1〜9および比較例1〜9の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物に対し、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の単量体単位の含有量を測定し、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体中のオリゴマーの含有量を測定し、長光路黄色度(YI)を測定し、吸湿性を測定する。上述した各測定の説明および評価基準は、以下の通りであり、測定した結果および評価結果は、表2に示した通りである。
<単量体単位の含有量測定>
【0086】
まず、核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance,NMR)分析法を使用して、実施例1〜9および比較例1〜9の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物をそれぞれ測定し、核磁気共鳴水素スペクトルを取得する。続いて、核磁気共鳴水素スペクトル中の特定の波頂の面積比率から(メタ)アクリレート系単量体単位およびスチレン系単量体単位の含有量を計算する。表2の(重量%)は、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の総重量により計算したものである。
<オリゴマーの含有量測定>
【0087】
水素炎イオン化検出器(flame ionization detector,FID)を有するガスクロマトグラフ(アジレント(Agilent)社製;番号:7890)および液体クロマトグラフ質量分析計(アジレント社製;番号:G2246A)を使用して、実施例1〜9および比較例1〜9の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物をそれぞれ分析し、定量化する。表2の(ppm)は、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体の総重量により計算したものである。
<長光路黄色度(YI)の測定>
【0088】
実施例1〜9および比較例1〜9の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物を用いてそれぞれ220mm×20mm×3mmの試験片を作製し、長光路分光透過色計(日本電色工業株式会社製;型番:NIPPON DENSHOKU ASA-1)により試験片に対してYI値の測定を行う。
○:YI<5.50;
△:5.50≦YI<7.50;
×:YI≧7.50。
<吸湿性の測定>
【0089】
YI測定により得られた試験片をそれぞれ秤にかけ、重量値W1を得る。続いて、これらの試験片を60℃の水中に24時間浸した後、取り出して、無塵布で表面を拭き取る。その後、再度これらの試験片をそれぞれ秤にかけ、重量値W2を得る。下記の式で吸湿性を計算し、以下の基準で評価する。
吸湿性(%)=[(W2−W1)/(W1)]×100%
○:吸湿性<1.5%;
△:1.5%≦吸湿性<5%;
×:吸湿性≧5%。
【0091】
上記の表2からわかるように、実施例1〜9の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物は、長光路黄色度と吸湿性の両方において優れている。この結果は、10重量%〜75重量%の(メタ)アクリレート系単量体単位および25重量%〜90重量%のスチレン系単量体単位を含み、且つ(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体中の五量体〜十一量体の含有量範囲が500ppm〜2000ppmであることにより、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物が低YI値および低吸湿性を同時に有することを実証する。
【0092】
また、上記の表2からわかるように、実施例1〜9の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物中の二量体〜三量体の含有量は、いずれも3000ppm以下である。
【0093】
また、上記の表2からわかるように、比較例1の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物中の五量体〜十一量体の含有量は、500ppmよりもはるかに低く、YI値が高い。
【0094】
また、上記の表2からわかるように、比較例2の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物中の五量体〜十一量体の含有量は、500ppm〜2000ppmの間であるが、(メタ)アクリレート系単量体単位の含有量は75重量%よりも高いため、(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物は、吸湿性が悪い。
【0095】
また、上記の表2からわかるように、調製プロセスにおいて真空加熱処理を行ってオリゴマーの含有量を調整した比較例3の(メタ)アクリレート系−スチレン系共重合体組成物は、二量体〜三量体の含有量が低いが、五量体〜十一量体の含有量が依然として2000ppmよりも高いため、YI値が高い。
【0096】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。