特許第6461279号(P6461279)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6461279フィルム部材貼り付け装置、フィルム部材貼り付け方法及び静電気除去部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461279
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】フィルム部材貼り付け装置、フィルム部材貼り付け方法及び静電気除去部材
(51)【国際特許分類】
   B65H 41/00 20060101AFI20190121BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   B65H41/00 A
   B65H37/04 B
【請求項の数】5
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-199952(P2017-199952)
(22)【出願日】2017年10月13日
(65)【公開番号】特開2018-193243(P2018-193243A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2017年10月13日
(31)【優先権主張番号】特願2017-95898(P2017-95898)
(32)【優先日】2017年5月12日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503210810
【氏名又は名称】株式会社 ベアック
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】河東 和彦
(72)【発明者】
【氏名】屋宜 健勇
【審査官】 松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−055506(JP,A)
【文献】 特開昭49−064400(JP,A)
【文献】 特開2013−186185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H37/00−37/06
B65H41/00
B65C 1/00−11/06
G02F 1/13
G02F 1/137−1/141
G02F 1/1335
G02F 1/13363
H05F 1/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面が接着面となっており、当該接着面にリリースフィルムが剥離可能に貼付されているフィルム部材から前記リリースフィルムを剥離しながら前記フィルム部材を進行させて行き、前記リリースフィルムが剥がされた前記フィルム部材の進行方向先端部を、被貼り付け部材の貼り付け始端に到達させた後に、当該貼り付け始端を起点に前記フィルム部材を前記被貼り付け部材に貼り付けて行くフィルム部材貼り付け装置であって、
前記フィルム部材から前記リリースフィルムを剥離する剥離装置と、
前記リリースフィルムが剥がされた前記フィルム部材の前記進行方向先端部を前記被貼り付け部材の前記貼り付け始端に到達させた後に、当該貼り付け始端を起点に前記フィルム部材を前記被貼り付け部材に貼り付ける貼り付け装置と、
前記剥離装置と前記貼り付け装置との間に配設され、前記フィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなり電気的に接地されている静電気除去部材とを備え、
当該静電気除去部材により、前記フィルム部材から前記リリースフィルムを剥離する際に前記フィルム部材の前記接着面に帯電することがある静電気を除去するフィルム部材貼り付け装置であり、
前記静電気除去部材として、「前記フィルム部材の進行をガイドするガイド面であって導電性及び非粘着性を有するガイド面を有し先端部がエッジとなっているガイド部材」を備えることを特徴とするフィルム部材貼り付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルム部材貼り付け装置において、
前記フィルム部材は、液晶パネルに用いられる偏光フィルム若しくは保護フィルム又は電子機器に用いられる電磁波シールドフィルムであり、前記被貼り付け部材は、前記液晶パネルに用いられるガラス基板若しくは合成樹脂基板又は電子機器に用いられる電子回路基板であることを特徴とするフィルム部材貼り付け装置。
【請求項3】
一方の面が接着面となっており、当該接着面にリリースフィルムが剥離可能に貼付されているフィルム部材から前記リリースフィルムを剥離しながら前記フィルム部材を進行させて行き、前記リリースフィルムが剥がされた前記フィルム部材の進行方向先端部を、被貼り付け部材の貼り付け始端に到達させた後に、当該貼り付け始端を起点に前記フィルム部材を前記被貼り付け部材に貼り付けて行くフィルム部材貼り付け方法であって、
前記フィルム部材から前記リリースフィルムを剥離する剥離工程と、
前記リリースフィルムが剥がされた前記フィルム部材の前記進行方向先端部を前記被貼り付け部材の前記貼り付け始端に到達させた後に、当該貼り付け始端を起点に前記フィルム部材を前記被貼り付け部材に貼り付ける貼り付け工程とをこの順序で含み、
前記剥離工程と、前記貼り付け工程との間に、「前記フィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなり電気的に接地されている静電気除去部材」を用いて、前記フィルム部材から前記リリースフィルムを剥離する際に前記フィルム部材の前記接着面に帯電することがある静電気を除去する静電気除去工程とをさらに含み、
前記静電気除去工程においては、前記静電気除去部材としての、「前記フィルム部材の進行をガイドするガイド面であって導電性及び非粘着性を有するガイド面を有し先端部がエッジとなっているガイド部材」を用いて、前記フィルム部材の前記接着面に帯電することがある静電気を除去することを特徴とするフィルム部材貼り付け方法。
【請求項4】
請求項に記載のフィルム部材貼り付け方法において、
前記フィルム部材は、液晶パネルに用いられる偏光フィルム若しくは保護フィルム又は電子機器に用いられる電磁波シールドフィルムであり、前記被貼り付け部材は、前記液晶パネルに用いられるガラス基板若しくは合成樹脂基板又は電子機器に用いられる電子回路基板であることを特徴とするフィルム部材貼り付け方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のフィルム部材貼り付け方法に用いる静電気除去部材であって、
前記フィルム部材は、液晶パネルに用いられる偏光フィルム若しくは保護フィルム又は電子機器に用いられる電磁波シールドフィルムであり、前記被貼り付け部材は、前記液晶パネルに用いられるガラス基板若しくは合成樹脂基板又は電子機器に用いられる電子回路基板であり、
前記静電気除去部材は、前記リリースフィルムが剥がされた前記フィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなる静電気除去部材であり、当該静電気除去部材は、前記フィルム部材の進行をガイドするガイド面であって導電性及び非粘着性を有するガイド面を有し先端部がエッジとなっているガイド部材であることを特徴とする静電気除去部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム部材貼り付け装置、フィルム部材貼り付け方法及び静電気除去部材
に関する。
【背景技術】
【0002】
リリースフィルムが剥離可能に貼付されているフィルム部材からリリースフィルムを剥離した後に、リリースフィルムが剥離されたフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けるフィルム部材貼り付け装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図9は、特許文献1に記載されているフィルム部材貼り付け装置の要部を取り出して示す図である。なお、特許文献1においては「プラスチックフィルム貼り合わせ装置」としているが、この明細書においては、「フィルム部材貼り付け装置」として説明する。
【0004】
特許文献1に記載されているフィルム部材貼り付け装置は、図9に示すように、リリースフィルム810が剥離可能に貼付されているフィルム部材820からリリースフィルム810を剥離する剥離装置(剥がしユニットともいう)830を備える。当該剥離装置830には、剥離部(剥がし部ともいう)840が設けられており、当該剥離部840の先端には鋭角をなす折り返し部841が形成されている。そして、リリースフィルム810は、剥離部840で折り返されたのちにロール850によって進行方向を変えて矢印x’方向に進行するように構成されている。
【0005】
このような剥離装置830において、リリースフィルム810をフィルム部材820から剥離する際には、剥離装置830の上面において、フィルム部材820を吸着装置(図示せず。)によって吸着した状態として、剥離装置830を矢印x方向にスライドさせる。これにより、フィルム部材820からリリースフィルム810を剥離することができる。
【0006】
一方、吸着装置によって吸着されたフィルム部材820は、被貼り付け部材(図示せず。)の所定の貼り付け位置に移送されて当該貼り付け位置に貼り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−251805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明の発明者らの実験により、特許文献1に記載されているフィルム部材貼り付け装置においては、以下のような改善すべき課題があることが分かった。
【0009】
すなわち、特許文献1に記載されているフィルム部材貼り付け装置においては、剥離装置によりフィルム部材からリリースフィルムを剥離する際に、フィルム部材の接着面に静電気が帯電することがあり、いったんフィルム部材の接着面に静電気が帯電すると、フィルム部材に埃やゴミなどが付着し易くなるとともに、高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが困難となる。また、フィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けた後も、フィルム部材と被貼り付け部材とを貼り付けて得られる製品(例えば、液晶パネル)に静電気が残存する。その結果、これらに起因して製品の品質を劣化させるおそれがあるという課題である。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、剥離装置によりフィルム部材からリリースフィルムを剥離する際にフィルム部材の接着面に静電気が帯電したとしても、フィルム部材と被貼り付け部材とを貼り付けて得られる製品の品質を劣化させるおそれのないフィルム部材貼り付け装置及びフィルム部材貼り付け方法を提供することを目的とする。また、そのようなフィルム部材貼り付け方法に用いる静電気除去部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1]本発明のフィルム部材貼り付け装置は、一方の面が接着面となっており、当該接着面にリリースフィルムが剥離可能に貼付されているフィルム部材から前記リリースフィルムを剥離しながら前記フィルム部材を進行させて行き、前記リリースフィルムが剥がされた前記フィルム部材の進行方向先端部を、被貼り付け部材の貼り付け始端に到達させた後に、当該貼り付け始端を起点に前記フィルム部材を前記被貼り付け部材に貼り付けて行くフィルム部材貼り付け装置であって、前記フィルム部材から前記リリースフィルムを剥離する剥離装置と、前記リリースフィルムが剥がされた前記フィルム部材の前記進行方向先端部を前記被貼り付け部材の前記貼り付け始端に到達させた後に、当該貼り付け始端を起点に前記フィルム部材を前記被貼り付け部材に貼り付ける貼り付け装置と、前記剥離装置と前記貼り付け装置との間に配設され、前記フィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなり電気的に接地されている静電気除去部材とを備え、当該静電気除去部材により、前記フィルム部材から前記リリースフィルムを剥離する際に前記フィルム部材の前記接着面に帯電することがある静電気を除去することを特徴とする。
【0012】
本発明のフィルム部材貼り付け装置によれば、上記のように構成された静電気除去部材により、フィルム部材からリリースフィルムを剥離する際にフィルム部材の接着面に帯電することがある静電気を除去することが可能となることから、フィルム部材に埃やゴミなどが付着しにくくなるとともに、高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。また、フィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けた後も、フィルム部材と被貼り付け部材とを貼り付けて得られる製品(例えば、液晶パネル)に静電気が残存しなくなる。その結果、これらに起因して製品の品質を劣化させるおそれがなくなり、本発明の目的が達成できる。
【0013】
この場合、静電気除去部材は、フィルム部材との接触面が非粘着性を有する接触面(非粘着性の表面加工が施されている接触面)であることから、静電気除去部材とフィルム部材との接触時に生じる摩擦を低減することができる。また、静電気除去部材が金属からなり電気的に接地されているうえ、フィルム部材との接触面が導電性を有する接触面(導電性の表面加工が施されている接触面、言い換えると、粘着性の表面加工を施された後でも導電性が維持されている接触面)であることから、高い静電気除去効果が得られる。
【0014】
[2]本発明のフィルム部材貼り付け装置においては、前記静電気除去部材として、「前記フィルム部材の進行をガイドするガイド面であって導電性及び非粘着性を有するガイド面を有するガイド部材」を備えることが好ましい。
【0015】
本態様のフィルム部材貼り付け装置によれば、リリースフィルムが剥離されたフィルム部材を貼り付け部材の貼り付け始端に向けてガイドすることが可能となるため、高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。また、その過程で、静電気を除去することも可能となることから、さらに高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。
【0016】
[3]本発明のフィルム部材貼り付け装置においては、前記フィルム部材は、液晶パネルに用いられる偏光フィルム若しくは保護フィルム又は電子機器に用いられる電磁波シールドフィルムであり、前記被貼り付け部材は、前記液晶パネルに用いられるガラス基板若しくは合成樹脂基板又は電子機器に用いられる電子回路基板であることが好ましい。
【0017】
本態様のフィルム部材貼り付け装置によれば、液晶パネルに用いられる偏光フィルム又は保護フィルムを液晶パネルに用いられるガラス基板又は合成樹脂基板に精度よく貼り付けたり、電子機器に用いられる電磁波シールドフィルムを電子機器に用いられる電子回路基板に貼り付けたりすることができるため、高品質な液晶パネルや電子機器を製造することに寄与できる。
【0018】
[4]本発明のフィルム部材貼り付け方法は、一方の面が接着面となっており、当該接着面にリリースフィルムが剥離可能に貼付されているフィルム部材から前記リリースフィルムを剥離しながら前記フィルム部材を進行させて行き、前記リリースフィルムが剥がされた前記フィルム部材の進行方向先端部を、被貼り付け部材の貼り付け始端に到達させた後に、当該貼り付け始端を起点に前記フィルム部材を前記被貼り付け部材に貼り付けて行くフィルム部材貼り付け方法であって、前記フィルム部材から前記リリースフィルムを剥離する剥離工程と、前記リリースフィルムが剥がされた前記フィルム部材の前記進行方向先端部を前記被貼り付け部材の前記貼り付け始端に到達させた後に、当該貼り付け始端を起点に前記フィルム部材を前記被貼り付け部材に貼り付ける貼り付け工程とをこの順序で含み、前記剥離工程と、前記貼り付け工程との間に、「前記フィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなり電気的に接地されている静電気除去部材」を用いて、前記フィルム部材から前記リリースフィルムを剥離する際に前記フィルム部材の前記接着面に帯電することがある静電気を除去する静電気除去工程とをさらに含むことを特徴とする。
【0019】
本発明のフィルム部材貼り付け方法によれば、上記のように構成された静電気除去部材により、フィルム部材からリリースフィルムを剥離する際にフィルム部材の接着面に帯電することがある静電気を除去することが可能となることから、上記した本発明のフィルム部材貼り付け装置の場合と同様に、フィルム部材に埃やゴミなどが付着しにくくなるとともに、高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。また、フィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けた後も、フィルム部材と被貼り付け部材とを貼り付けて得られる製品(例えば、液晶パネル)に静電気が残存しなくなる。その結果、これらに起因して製品の品質を劣化させるおそれがなくなり、本発明の目的が達成できる。
【0020】
この場合、静電気除去部材は、フィルム部材との接触面が非粘着性を有する接触面(非粘着性の表面加工が施されている接触面)であることから、静電気除去部材とフィルム部材との接触時に生じる摩擦を低減することができる。また、静電気除去部材が金属からなり電気的に接地されているうえ、フィルム部材との接触面に導電性を有する接触面(導電性の表面加工が施されている接触面、言い換えると、粘着性の表面加工を施された後でも導電性が維持されている接触面)であることから、高い静電気除去効果が得られる。
【0021】
[5]本発明のフィルム部材貼り付け方法においては、前記静電気除去工程においては、前記静電気除去部材としての、「前記フィルム部材の進行をガイドするガイド面であって導電性及び非粘着性を有するガイド面を有するガイド部材」を用いて、前記フィルム部材の前記接着面に帯電することがある静電気を除去することが好ましい。
【0022】
本態様のフィルム部材貼り付け方法によれば、リリースフィルムが剥離されたフィルム部材を貼り付け部材の貼り付け始端に向けてガイドすることが可能となるため、高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。また、その過程で、静電気を除去することも可能となることから、さらに高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。
【0023】
[6]本発明のフィルム部材貼り付け方法においては、前記フィルム部材は、液晶パネルに用いられる偏光フィルム若しくは保護フィルム又は電子機器に用いられる電磁波シールドフィルムであり、前記被貼り付け部材は、前記液晶パネルに用いられるガラス基板若しくは合成樹脂基板又は電子機器に用いられる電子回路基板であることが好ましい。
【0024】
本態様のフィルム部材貼り付け方法によれば、液晶パネルに用いられる偏光フィルム又は保護フィルムを液晶パネルに用いられるガラス基板又は合成樹脂基板に精度よく貼り付けたり、電子機器に用いられる電磁波シールドフィルムを電子機器に用いられる電子回路基板に貼り付けたりすることができるため、高品質な液晶パネルや電子機器を製造することに寄与できる。
【0025】
[7]本発明の静電気除去部材は、本発明のフィルム部材貼り付け方法に用いる静電気除去部材であって、前記リリースフィルムが剥がされた前記フィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなることを特徴とする。
【0026】
本発明の静電気除去部材によれば、本発明のフィルム部材貼り付け装置及び方法に好適に用いることができる。
【0027】
[8]本発明の静電気除去部材は、本発明のフィルム部材貼り付け方法に用いる静電気除去部材であって、前記リリースフィルムが剥がされた前記フィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなりかつ電気的に接地されていることを特徴とする。
【0028】
本発明の静電気除去部材によれば、本発明のフィルム部材貼り付け装置及び方法に好適に用いることができる。
【0029】
[9]本発明の静電気除去部材においては、前記静電気除去部材は、前記フィルム部材の進行をガイドするガイド面であって導電性及び非粘着性を有するガイド面を有するガイド部材であることが好ましい。
【0030】
本態様の静電気除去部材によれば、リリースフィルムが剥離されたフィルム部材を貼り付け部材の貼り付け始端に向けてガイドすることが可能となるため、高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。また、その過程で、静電気を除去することも可能となることから、さらに高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。
【0031】
[10]本発明の静電気除去部材においては、前記フィルム部材は、液晶パネルに用いられる偏光フィルム若しくは保護フィルム又は電子機器に用いられる電磁波シールドフィルムであり、前記被貼り付け部材は、前記液晶パネルに用いられるガラス基板若しくは合成樹脂基板又は電子機器に用いられる電子回路基板であることが好ましい。
【0032】
本態様の静電気除去部材によれば、液晶パネルに用いられる偏光フィルム又は保護フィルムを液晶パネルに用いられるガラス基板又は合成樹脂基板に貼り付けたり、電子機器に用いられる電磁波シールドフィルムを電子機器に用いられる電子回路基板に貼り付けたりする際に用いることができるため、高品質な液晶パネルや電子機器を製造することに寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1を説明するために示す図。
図2】偏光フィルム30を説明するために示す図。
図3】ガイド部材130及び押さえロール140を説明するために示す図。
図4】実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1における偏光フィルム30の貼り付け動作を説明するために示す図。
図5】実施形態2に係るフィルム部材貼り付け装置2を説明するために示す図。
図6】実施形態3に係るフィルム部材貼り付け装置3を説明するために示す図。
図7】実施形態4に係るフィルム部材貼り付け装置4を説明するために示す図。
図8】実施形態5に係るフィルム部材貼り付け装置5を説明するために示す図。
図9】特許文献1に記載されているフィルム部材貼り付け装置の要部を取り出して示す図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について説明する。各実施形態において、フィルム部材貼り付け装置は、リリースフィルムが剥離可能に貼付されているフィルム部材からリリースフィルムを剥離しながらフィルム部材を進行させて行き、リリースフィルムが剥がされたフィルム部材の進行方向先端部を、被貼り付け部材の貼り付け始端に到達させた後に、当該貼り付け始端を起点にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けて行くフィルム部材貼り付け装置である。なお、フィルム部材は被貼り付け部材のフィルム部材貼り付け面における貼り付け始端を起点に当該フィルム部材貼り付け面に貼り付けられて行くものであるが、この明細書においては、「フィルム部材貼り付け面」を省略して、例えば、「被貼り付け部材の貼り付け始端を起点に貼り付けられて行く」と表記したり、単に「被貼り付け部材に貼り付けられて行く」と表記したりする。
【0035】
なお、後述する実施形態1〜5に係るフィルム部材貼り付け装置1〜5においては、フィルム部材は、液晶パネルに用いられる偏光フィルムであるとし、また、被貼り付け部材は、液晶パネルに用いられるガラス基板であるとする。ここで、フィルム部材(偏光フィルム)のサイズは特に限定されるものではないが、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1においては、被貼り付け部材(ガラス基板)が、例えば、長辺(縦)1500mm×短辺(横)900mm程度の比較的大きいサイズであるとし、このようなサイズを有する被貼り付け部材の横方向の辺及び縦方向の辺からそれぞれ5mm程度の余白を有して貼り付けることができるサイズ(例えば、長辺(縦)1490mm×短辺(横)890mm程度)を有するものであるとする。
【0036】
なお、液晶パネルは、一般的には、液晶層の表側及び裏側に設けられる2枚のガラス基板(表側のガラス基板及び裏側のガラス基板)に、偏光方向が直交する偏光フィルムを貼付した構成となっているが、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1においては、表側のガラス基板及び裏側のガラス基板のうちの一方の面に用いるガラス基板に偏光フィルムを貼付する場合について説明する。以下、実施形態1〜5に係るフィルム部材貼り付け装置1〜5について詳細に説明する。
【0037】
[実施形態1」
1.実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1、フィルム部材貼り付け方法及び静電気除去部材190
図1は、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1を説明するために示す図である。なお、図1は実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1を模式的に示す図である。実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1は、図1に示すように、被貼り付け部材としてのガラス基板10を載置するテーブル20と、フィルム部材としての偏光フィルム30(図2参照。)からリリースフィルム40を剥離しながら偏光フィルム30を進行させて行き、当該偏光フィルム30の進行方向先端部30aが、ガラス基板10の貼り付け始端10aに到達するように偏光フィルム30を供給するフィルム部材供給機構部100と、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1の各構成要素を制御する制御機能を有する制御装置200と、備えている。なお、制御装置200が有する制御機能については後述する。
【0038】
また、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1においては、フィルム部材供給機構部100を固定として、テーブル20を移動(x軸に沿って移動)させることにより、偏光フィルム30をガラス基板10に貼り付ける動作を行うものとして説明する。図1においては、テーブル20は、ガラス基板10に偏光フィルム30を貼り付ける動作を行う位置に移動した状態となった場合を示している。
【0039】
フィルム部材供給機構部100は、偏光フィルム30が進行する方向とはほぼ反対方向にリリースフィルム40を折り返すことによって偏光フィルム30からリリースフィルム40を剥がす剥がしロール110と、剥がしロール110で折り返されたリリースフィルム40を進行させるリリースフィルム進行機構部120と、剥がしロール110によってリリースフィルム40が剥がされた偏光フィルム30の進行をガイドするガイド面131を有するガイド部材130と、偏光フィルム30の進行方向先端部30a(以下、先端部30aと略記する。)が、ガラス基板10の貼り付け始端10aに到達すると、当該貼り付け始端10aにおいて当該偏光フィルム30の先端部30aを貼り付け始端10aに押さえ付ける押さえロール140と、偏光フィルム30の所定部分(後述する。)を撮像可能に設置されたカメラ150と、を有している。
【0040】
なお、剥がしロール110は、ベアリングを有するロールが用いられている。これにより、偏光フィルム30からリリースフィルム40を剥がす際に、リリースフィルム40を小さい力でスムーズに剥がすことができる。
【0041】
また、フィルム部材供給機構部100は、上記した構成要素の他に、偏光フィルム30(リリースフィルム40が貼付されている状態の偏光フィルム30)を屈曲させて進行させるロール161,162が設けられている。また、偏光フィルム30(リリースフィルム40が貼付されている状態の偏光フィルム30)を送り出す送り出し機構部及び進行路の中途部に設けられているダンサーロールなども存在するが、これらの図示は省略する。
【0042】
なお、図1においては、偏光フィルム30(リリースフィルム40が貼付されている状態の偏光フィルム30)は、ロール161によって、大きな角度で下方向に屈曲されたのちに、ロール162によってxy平面に対して所定角度(実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1においては30度とする。)となるように屈曲されて剥がしロール110に到達する。このように、偏光フィルム30(リリースフィルム40が貼付されている状態の偏光フィルム30)は、当該偏光フィルム30の進行路上において、ロール161,162などにより、進行方向が下方向に屈曲したり斜め方向となったりするが、当該偏光フィルム30の進行方向は、全体的には、x軸に沿って図示の右から左に向かう方向(矢印x’方向)であるとする。このため、この明細書においては、偏光フィルム30の進行方向について述べる場合には、「x軸に沿った矢印x’方向」又は「図示の右から左方向」というように表記する。
【0043】
図2は、偏光フィルム30を説明するために示す図である。図2(a)は偏光フィルム30の平面図であり、図2(b)は偏光フィルム30の断面図である。偏光フィルム30は、図2に示すように、長尺状となっており、長尺のリリースフィルム40が偏光フィルム本体32に対して接着層34を介して剥離可能に貼付されている。当該偏光フィルム30は、貼り付け対象となる個々のガラス基板10(図1参照。)に対応したサイズに個片化できるように、リリースフィルム40を残して所定の長さごとに切れ目が設けられている。例えば、ガラス基板10の長辺(1500mmとする。)がx軸に沿うようにテーブル20上に載置される場合においては、偏光フィルム30の長辺(1490mmとする。)ごとに、リリースフィルム40を残して切れ目C1,C2,・・・が設けられている。
【0044】
なお、図2に示す長尺状の偏光フィルム30において、個々のガラス基板に対応した偏光フィルムを個々に説明する場合には、個々の偏光フィルムを、図2における左側から順に、第1偏光フィルム30、第2偏光フィルム30、・・・というように説明する。なお、切れ目C1,C2,・・・は、個々の偏光フィルム30においては進行方向後端部(以下、後端部と略記する。)となる場合もあり、また、先端部となる場合もある。例えば、第1偏光フィルム30に注目した場合には、切れ目C1は、当該第1偏光フィルム30の後端部30bとなり、また、第2偏光フィルム30に注目した場合には、切れ目C1は、当該第2偏光フィルム30の先端部30aとなる。
【0045】
図1に戻って、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1の個々の構成要素についてさらに詳細に説明する。
【0046】
テーブル20は、ステージ50に敷設されているガイドレール60上をx軸に沿って矢印x−x’方向に往復動可能となっている。また、テーブル20は、x軸に沿った往復動だけでなく、y軸に沿った位置調整とxy平面上での角度調整が可能となっている。なお、テーブル20のx軸に沿った往復動、y軸に沿った位置調整及びxy平面上での角度調整を行うための制御は、制御装置200が有する制御機能の1つとして行うことができる。また、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1においては、テーブル20、ステージ50及びガイドレール60は、例えば鉄などの金属からなるものとする。
【0047】
リリースフィルム進行機構部120は、剥がしロール110で折り返されたリリースフィルム40を矢印x方向に進行させる機能を有している。なお、剥がしロール110で折り返されたリリースフィルム40の進行方向(矢印x方向)を「リリースフィルム進行方向」とする。
【0048】
リリースフィルム進行機構部120は、剥がしロール110で折り返されたリリースフィルム40の進行方向下流側に設置されているダンサーロール125と、複数のロール(例えば、ロール121〜124)と、剥がしロール110と当該ダンサーロール125との間(具体的には、ロール122とロール123との間)に設けられているフィーダー機構部126と、ダンサーロール125のさらに下流側に設けられ、リリースフィルム40を巻き取るための巻き取りロール(図示せず。)などが設けられている。
【0049】
フィーダー機構部126は、リリースフィルム40をクランプするための複数のクランパー127を有し、x軸に沿って矢印x−x’方向に往復動可能となっている。このフィーダー機構部126は、リリースフィルム40が剥がされた偏光フィルム30の先端部30aをガラス基板10の貼り付け始端10aに到達させるための機能を有している。
【0050】
フィーダー機構部126のこのような動作は、制御装置200が有する制御機能の1つとして行われる。この場合、制御装置200は、カメラ150からの撮影データに基づいて偏光フィルム30の所定部分(例えば後端部30b)の位置(x軸に沿った位置)を監視して、偏光フィルム30の先端部30aがガラス基板10の貼り付け始端10aに到達するようにフィーダー機構部126を制御する。
【0051】
制御装置200によるフィーダー機構部126に対する制御の一例としては、例えば、制御装置200は、カメラ150からの撮影データに基づいて、現時点において貼り付け対象となっている偏光フィルム(第1偏光フィルム30とする。)の後端部30b(当該第1偏光フィルム30と第2偏光フィルム30との間の切れ目C1)の位置を監視し、当該後端部30b(切れ目C1)の位置が目標位置に到達するまで、フィーダー機構部126を動作させる。
【0052】
具体的には、偏光フィルム30の先端部30aがガラス基板10の貼り付け始端10aに正しく到達しているときの当該偏光フィルム30の後端部30bの位置を「目標位置」として予め求めておき、制御装置200は、現時点において貼り付け対象となっている第1偏光フィルム30の後端部30b(切れ目C1)の位置が目標位置に達するまで、リリースフィルム40をリリースフィルム進行方向に進行させる。これにより、当該第1偏光フィルム30の先端部30aをガラス基板10の貼り付け始端10aに精度よく到達させることができる。
【0053】
そして、偏光フィルム30の後端部30b(切れ目C1)の位置が目標位置に到達すると、リリースフィルム40のクランプ動作を解除して、フィーダー機構部126を元の位置に復帰させるように制御する。
【0054】
なお、カメラ150は、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1においては、現時点において貼り付け対象となっている第1偏光フィルム30の後端部30b(切れ目C1)の位置を監視するようにしているが、これは、カメラ150を、仮に、現時点において貼り付け対象となっている第1偏光フィルム30の先端部30aの位置を監視しようとすると、押さえロール140の存在(図1参照。)などにより、カメラ150を設置するためのスペースに余裕がないためである。但し、カメラ150を設置するためのスペースに余裕があれば、現時点において貼り付け対象となっている第1偏光フィルム30の先端部30aの位置を監視するようにしてもよい。
【0055】
続いて、ガイド部材130及び押さえロール140について図3を参照して説明する。
図3は、ガイド部材130及び押さえロール140を説明するために示す図である。図3(a)は図1の押さえロール140及び図1において破線枠Aで囲った範囲をそれぞれ拡大して示す図であり、図3(b)は図3(a)をz軸に沿って上から見た図(平面図)である。なお、図3(b)においては、図3(a)で示されている押さえロール140は図示が省略されている。
【0056】
まずは、ガイド部材130について説明する。ガイド部材130は、リリースフィルム40が剥がされた偏光フィルム30の進行をガイドする役目をなすものである。なお、図3図1と同様に模式図であるため、当該ガイド部材130の取り付け構造は図示が省略されているが、当該ガイド部材130は、ステージ50から立設されている支持部材(図示せず。)に取り付けられている。当該支持部材も例えば鉄などの金属からなる。また、ガイド部材130は、例えば、ステンレス鋼などの金属によって形成されており、当該ガイド部材130のガイド面131(偏光フィルム30と接する側の面)には、接着剤の付着を防ぐ非粘着性の表面加工が施されている。これは、偏光フィルム30は、一方の面が接着性を有する接着面となっているためである。
【0057】
すなわち、偏光フィルム30の接着面にはリリースフィルム40が剥離可能に貼付されていて、リリースフィルム40が剥がされた状態の偏光フィルム30の一方の面(リリースフィルム40が貼付されている側の面)は、接着性を有しているため、ガイド部材130のガイド面131に接着剤の付着を防ぐ非粘着性の表面加工が施されていないと、偏光フィルム30の接着面がガイド部材130のガイド面131に付着してしまい、偏光フィルム30がガイド部材130のガイド面131に沿ってスムーズに進行できないこととなるからである。
【0058】
接着剤の付着を防ぐ非粘着性の表面加工は、公知の技術であり、例えば、「トシカルS(登録商標)コーティング加工」と呼ばれる表面加工の技術を採用することができる。このような表面加工(トシカル(登録商標)Sのコーティング被膜形成加工/株式会社トシコ)をガイド部材130のガイド面131に施すことによって、リリースフィルム40が剥がされた偏光フィルム30の接着面がガイド部材130のガイド面131に付着することなく、偏光フィルム30をスムーズに進行させてガラス基板10の貼り付け始端10aに進行させることができる。トシカル(登録商標)Sとしては、例えば、UNA−300シリーズ(UNA−310−X10)、UNA−800シリーズ、TS−1000シリーズ、TS−1080シリーズ、TS−1310シリーズのものを好適に用いることができる。
【0059】
トシカル(登録商標)Sのコーティング被膜の膜厚は、例えば、1μm〜200μm、好ましくは3μm〜150μmのものを好適に用いることができる。トシカル(登録商標)Sのコーティング被膜を形成する前に、ガイド部材130のガイド面131に凹凸構造を形成しておいてもよい。この場合の凹凸構造の平均表面粗さRaとしては、2μm〜15μmのものを好適に用いることができる。
【0060】
また、ガイド部材130は、当該ガイド部材130の先端部132がエッジとなっているとともに、ガイド面131がガラス基板10に対して鋭角の傾斜を有している。具体的には、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1においては、ガイド部材130は、3角形のブロック状とし、先端部132が鋭角をなしている。
【0061】
このように構成されているガイド部材130は、図3(a)に示すように、ガラス基板10の貼り付け始端10aが、押さえロール140の押圧点Pを通る垂線L上の位置(貼り付け動作開始位置という。)に到達したときにおいて、ガイド面131の延長上にガラス基板10の貼り付け始端10aが位置するように設置されている。また、当該ガイド部材130は、テーブル20に載置されているガラス基板10に接触しないような高さ(z軸に沿った位置)で、かつ、先端部132とガラス基板10との段差が小さくなるような高さに設置されている。なお、押さえロール140の「押圧点P」というのは、押さえロール140が偏光フィルム30を押さえ付ける動作を行う際に、偏光フィルム30に対して押圧力を与える点を指すものとする。
【0062】
ここで、ガイド面131の傾斜角度、すなわち、ガイド面31とxy平面とのなす角度θ(ガイド面131とテーブル20に載置されているガラス基板10とのなす角度θ)は、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1においては、30度に設定されているものとする。なお、ガイド面131とガラス基板10とのなす角度θは、厳密に30度とする必要はなく、偏光フィルム30の先端部30aがガラス基板10の貼り付け始端10aにスムーズに到達できればよい。
【0063】
また、ガラス基板10の貼り付け始端10aが貼り付け動作開始位置に到達したときにおけるガイド部材130の先端部132とガラス基板10の貼り付け始端10aとの間隔(x軸に沿った間隔)dは、可能な限り狭くするようにガイド部材130が設置されることが好ましい。なお、間隔dは、ガイド面131の傾斜角度などによって異なるが、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1においては、間隔dを15mmとしている。
【0064】
また、ガイド部材130は、電気的に接地(アース)されている。具体的には、ガイド部材130は、前述したように、ステージ50(図1参照。)に立設されている支持部材(図示せず。)に取り付けられており、これら支持部材及びステージ50はともに金属からなるため、ガイド部材130は、当該支持部材及びステージ50を介して電気的に接地(アース)されたものとなっている。ところで、ガイド部材130のガイド面131には、前述したような非粘着性の表面加工(例えば、「トシカルS(登録商標)コーティング加工」と呼ばれる表面加工)が施されているが、このような表面加工が施されていてもガイド面131の導電性は損なわれることがない。
【0065】
なお、図1は実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1を模式的に示す図であるため、ステージ50の具体的な設置状態などについては示されていないが、ステージ50は工場などの床に電気的に接地(アース)された状態で設置されているものとする。これにより、ガイド部材130はそのガイド面131を含めて、支持部材及びステージ50を介して電気的に接地(アース)されたものとなる。
【0066】
以上説明したように、ガイド部材130は、当該ガイド部材130の先端部132がエッジとなっているため、当該ガイド部材130の先端部132とガラス基板10の貼り付け始端10aとの間隔を可能な限り狭くすることができるとともに、ガイド部材130の先端部132とガラス基板10の貼り付け始端10aとの間の段差を可能な限り小さくできる。これにより、折返し部を、例えば丸みを有する折返し部とする場合(図7における破線円B参照。)に比べて、偏光フィルム30の先端部30aがガラス基板10の貼り付け始端10aに到達するまでの距離を短くすることができ、偏光フィルム30が貼り付け始端10aに到達するまでの間において、自重によって撓んでしまうといったことを防止できる。それによって、ガイド面131を進行する偏光フィルム30の先端部30aをガラス基板10の貼り付け始端10aに精度よく到達させることができる。また、ガイド部材130は、当該ガイド面131の延長上にガラス基板10の貼り付け始端10aが位置するように設置されているため、これによっても、ガイド面131を進行する偏光フィルム30の先端部30aをガラス基板10の貼り付け始端10aに精度よく到達させることができる。
【0067】
また、ガイド部材130が電気的に接地(アース)されていることにより、フィルム部材としての偏光フィルム30に静電気が帯電した場合であっても、偏光フィルム30に帯電した静電気を除去できる。偏光フィルム30に帯電した静電気を除去できることにより、偏光フィルム30に埃やゴミなどが付着しにくくなるとともに、偏光フィルム30を被貼り付け部材としてのガラス基板10に貼り付ける動作を行う際に、高精度にフィルム部材をガラス基板10に貼り付けることができる。また、偏光フィルム30が貼り付けられたガラス基板10を次の工程に送る際に、静電気が帯電したままの状態で次の工程に送られてしまうことを防ぐことができる。
【0068】
続いて、押さえロール140について説明する。押さえロール140は、図3(a)に示すように、径の異なる2個のロール141,142が垂線Lに沿った2段重ねの構成となっており、それぞれの回転軸141a,142aが、偏光フィルム30の先端部30aに沿う方向(y軸に沿う方向)となるように設置されている。第1押さえロール141,142は、それぞれの回転軸141a,142aが押さえロール取り付け部材143に回転自在に取り付けられている。なお、押さえロール取り付け部材143は、フィルム部材供給機構部100に取り付けられている。
【0069】
ここで、2個の押さえロール141,142のうち、偏光フィルム30に接触する側に位置する押さえロール141を第1押さえロール141とし、他の押さえロール142を第2押さえロール142としたとき、当該第1押さえロール141の径Φ1(図3(a)参照。)は、第2押さえロール142の径Φ2よりも小さく設定されている。実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1においては、第1押さえロール141の径Φ1は10mm程度としている。このように、第1押さえロール141と第2押さえロール142とを2段重ねの構成とする理由及び第1押さえロール141の径Φ1を第2押さえロール142の径Φ2よりも小さく設定した理由については後述する。
【0070】
このように構成されている押さえロール140(第1押さえロール141及び第2押さえロール142)は、押さえロール取り付け部材143とともにz軸に沿った方向(矢印z−z’方向)に上下動可能となっており、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1が貼り付け動作を行っていないとき(非貼り付け動作時という。)においては、テーブル20上に載置されたガラス基板10を含む平面(xy平面)に対して離脱(上方に位置)しており、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1が貼り付け動作を行うとき(貼り付け動作時という。)においては、下降して、偏光フィルム30を押さえ付ける動作を行うようになっている。押さえロール140の上昇及び下降動作は、制御装置200が有する制御機能の1つとして行われる。
【0071】
ところで、第1押さえロール141の径Φ1を第2押さえロール142の径Φ2よリも小さくし、かつ、小さい径の第1押さえロール141の上に大きな径の第2押さえロール142を重ねた構成としたのは、次に述べる理由によるものである。
【0072】
すなわち、ガラス基板10が貼り付け動作開始位置に到達したときにおいて、ガイド部材130の先端部132とガラス基板10の貼り付け始端10aとの間隔dは、上記したように15mmとしているため、第1押さえロール141が偏光フィルム30を押さえ付けた状態となったときに、第1押さえロール141がガイド部材130に接触しないようにするためには、第1押さえロール141の径Φ1をできるだけ小さくする必要がある。一方、第1押さえロール141の径を小さくすると、第1押さえロール141だけでは、偏光フィルム30を押さえ付けるための押圧力が偏光フィルム30の幅方向(この場合はy軸に沿った幅)全体に渡って均一に付与されない場合があるといった問題が生じる。
【0073】
具体的に言えば、偏光フィルム30の幅方向(図3におけるy軸に沿った方向)の長さは、この場合、890mm程度としている。偏光フィルム30の幅方向(図3におけるy軸に沿った方向)の長さが890mm程度というように長い場合には、第1押さえロール141の回転軸141aに沿った長さ(y軸に沿った長さ)も長くなる。ここで、第1押さえロール141の回転軸141aに沿った長さに対して径Φ1が小さいと、反りが生じてしまう場合もあり、反りが生じてしまうと、押圧力が幅方向全体に渡って均一に付与されないこととなる。そこで、第1押さえロール141の径Φ1はできるだけ小さくしながらも、押圧点Pによる押圧力が偏光フィルム30の幅方向全体に渡って均一に付与されるように、小さい径の第1押さえロール141の上に大きな径の第2ロール142を重ねた構成とする。
【0074】
押さえロール140をこのような構成とすることによって、ガイド部材130の先端部132とガラス基板10の貼り付け始端10aとの間隔dが15mmと狭くても、第1押さえロール141がガイド部材130に接触することなく、偏光フィルム30を確実に押さえ付けることができる。また、第2押さえロール142が第1押さえロール141の反りを防いで偏光フィルム30を幅方向(y軸方向)全体に渡って均一な押圧力で確実に押さえ付けることができる。このように、第2押さえロール142は、第1押さえロール141の押圧力をバックアップするためのバックアップロールとして機能する。
【0075】
2.実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1の動作
次に、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置の動作(特に偏光フィルム30の貼り付け動作)について説明する。
【0076】
図4は、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1における偏光フィルム30の貼り付け動作を説明するために示す図である。図4(a)は貼り付け動作開始前の状態であり、この状態をこの初期状態とする。この初期状態においては、テーブル20は、押さえロール140(第1押さえロール141及び第2押さえロール142)よりも図示左側の位置(スタート位置)となっている。なお、初期状態においては、テーブル20上には、現時点において被貼り付け対象となるガラス基板10(第1ガラス基板10とする。)がテーブル20上の所定位置に載置されているものとする。また、テーブル20のスタート位置からのx軸に沿った移動量、y軸に沿った位置及びz軸周りの角度(平面上での角度)などは、適正に調整されているものとする。
【0077】
また、リリースフィルム40は巻き取り側の先端部(図示せず。)が、リリースフィルムを巻き取るための巻き取りロール(図示せず。)に接続されており、現時点において貼り付け対象となる偏光フィルム(第1偏光フィルム30とする。)の先端部30aは、剥がしロール110に達しているものとする。また、この初期状態においては、押さえロール140(第1押さえロール141及び第2押さえロール142)は、テーブル20上に載置されたガラス基板10を含む平面(xy平面)に対して離脱(上方に位置)している。
【0078】
図4(a)に示す初期状態において、まずは、テーブル20を移動させる工程を行う。すなわち、制御装置200は、テーブル20をx軸に沿って右方向(矢印x方向)に所定の移動量だけ進行させるように制御する。これにより、テーブル20は図4(b)に示す位置(貼り付け動作開始位置)に移動する。具体的には、制御装置200は、ガラス基板10の貼り付け始端10aが、押さえロール140の押圧点Pに対向する位置に到達するように、テーブル20をx軸に沿って右方向(矢印x方向)に進行させるように制御する。
【0079】
テーブル20が図4(b)に示す貼り付け動作開始位置に移動すると、剥がしロール110によってリリースフィルム40が剥がされた偏光フィルム30の先端部30aがガラス基板10の貼り付け始端10aに到達するようにフィルム部材を進行させる工程を行う。すなわち、制御装置200は、フィーダー機構部126に対し、偏光フィルム30を第1ガラス基板10の貼り付け始端10aに到達させる制御(フィルム部材供給制御)を行う。これにより、フィーダー機構部126は、リリースフィルム40をクランパー127によってクランプして、当該リリースフィルム40を所定量だけリリースフィルム進行方向(図示矢印x方向)に進行させる。
【0080】
フィーダー機構部126によってリリースフィルム40を所定量だけリリースフィルム進行方向に進行させると、剥がしロール110によって第1偏光フィルム30からリリースフィルム40が剥がされて行くとともに、リリースフィルム40が剥がされた第1偏光フィルム30が、ガイド部材130のガイド面131を進行して行き、当該第1偏光フィルム30の先端部30aが第1ガラス基板10の貼り付け始端10aに到達する(図4(b)参照。)。
【0081】
このときの制御装置200によるフィーダー機構部126に対する制御は、カメラ150からの撮影画像データに基づいて行う。制御装置200によるフィーダー機構部126に対する制御の一例としては、前述したように、制御装置200は、カメラ150からの撮影データに基づいて、現時点において貼り付け対象となっている偏光フィルム(第1偏光フィルム30)の後端部30b(切れ目C1)の位置を監視し、当該後端部30b(切れ目C1)の位置が目標位置に到達するまで、フィーダー機構部126を動作させる。これにより、第1偏光フィルム30の先端部30aが第1ガラス基板10の貼り付け始端10aに到達する。このように、第1偏光フィルム30の先端部30aが第1ガラス基板10の貼り付け始端10aに到達すると、制御装置200はフィーダー機構部126に対して、リリースフィルム40のクランプを解除させるように制御する。これによって、フィーダー機構部126は初期状態の位置に復帰する。
【0082】
ところで、フィーダー機構部126がリリースフィルム40をリリースフィルム進行方向に進行させると、ダンサーロール125は、例えば、図4(b)に示すように、破線で示す位置(図4(a)におけるダンサーロール125の位置)からフィーダー機構部が移動した分だけ下降する動作を行う。このようなダンサーロール125を設けることによって、フィーダー機構部126による偏光フィルム30の供給動作と、巻き取りロール(図示せず。)によるリリースフィルム40の巻き取り動作とは同期をとる必要はなく、それぞれの動作を独立して行うことができる。なお、巻き取りロール(図示せず。)によるリリースフィルム40の巻き取り動作は、ダンサーロール125の下降量が所定量に達した場合に行うようにすればよい。巻き取りロール(図示せず。)によるリリースフィルム40の巻き取り動作が行われると、ダンサーロール125は、元の位置(例えば、図4(a)に示す位置)に復帰する。
【0083】
ここで、フィーダー機構部126の動作によってリリースフィルム40がリリースフィルム進行方向に進行する際には、リリースフィルム40は、剥がしロール110によって折り返されて進行するため、リリースフィルム40の表面が擦れることがなくなり、リリースフィルム40が破損しまうことを防止できるとともに、折り返し部(剥がしロール110)が擦り減ることを防止できる。
【0084】
すなわち、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1においては、偏光フィルム30からリリースフィルム40を剥がすための折り返し部をロール(剥がしロール110)とし、当該剥がしロール110によってリリースフィルム40を折り返して進行させることによって偏光フィルム30からリリースフィルム40を剥がすようにしている。このため、偏光フィルム30からリリースフィルム40を剥がす動作を行う際に、リリースフィルム40の表面が擦れることがなくなり、リリースフィルム40が破損することを防止できるとともに、折り返し部(剥がしロール110)が擦り減ることを防止できる。
【0085】
また、ガイド部材130のガイド面131は非粘着性の表面加工が施されているため、リリースフィルム40が剥がされた偏光フィルム30が、ガイド部材130のガイド面131を進行して行く際に、リリースフィルム40が剥がされた偏光フィルム30の接着面がガイド部材130のガイド面131に付着することなく、偏光フィルム30をスムーズに進行させることができる。
【0086】
そして、第1偏光フィルム30の先端部30aが、ガラス基板10の貼り付け始端10aに到達すると、押さえロール140によって偏光フィルム30の先端部30aをガラス基板10の貼り付け始端10aに押さえ付けるように押えロール140を移動(下降)させる工程を行う。これにより、押さえロール140(第1押さえロール141及び第2押さえロール142)が下降して、第1押さえロール141の押圧点Pが、偏光フィルム30の先端部30aをガラス基板10の貼り付け始端10aに押さえ付けた状態となる(図4(c)参照。)。これによって、第1偏光フィルム30が第1ガラス基板10の貼り付け始端10aに位置決めされた状態となる。なお、このとき、第2押さえロール142が第1押さえロール141を押圧した状態となっている。
【0087】
この図4(c)の状態(偏光フィルム30の先端部30aをガラス基板10の貼り付け始端10aに押さえ付けた状態)から、当該ガラス基板10の貼り付け始端10aを起点に偏光フィルム30がガラス基板10に貼り付けられて行くようにテーブル20を移動させる工程を行う。すなわち、図4(c)の状態から、テーブル20がx軸に沿って矢印x’方向(図示左方向)に移動して行くことによって、第1偏光フィルム30が第1ガラス基板10の貼り付け始端10aを起点にして貼り付けられて行く。このとき、押さえロール140は第1偏光フィルム30を押さえ付けた状態を保持しているため、テーブル20が矢印x’方向(図示左方向)に移動して行くと、第1押さえロール141は時計方向に回転するとともに第2押さえロール142は反時計方向に回転しながら第1偏光フィルム30をガラス基板10に押さえ付けて行く。
【0088】
図4(d)に示すような貼り付け動作を行っている際においては、リリースフィルム40にはダンサーロール125によって常に一定の張力が加わっている。このため、第1偏光フィルム30の貼り付け動作を行っている間においては、ダンサーロール125が例えば図4(d)の破線で位置からさらに下降して行くことによって、リリースフィルム40が第1偏光フィルム30から剥がされて行く。この場合も、巻き取りロール(図示せず。)によるリリースフィルム40の巻き取り動作は、ダンサーロール125の下降量が所定量に達した場合に行うようにすればよい。
【0089】
このようなダンサーロール125を設けることによって、貼り付け動作時においては、テーブル20の移動動作と、巻き取りロール(図示せず。)によるリリースフィルム40の巻き取り動作とは同期をとる必要はなく、それぞれの動作を独立して行うことができる。
【0090】
また、このような貼り付け動作を行う際においても、リリースフィルム40は、剥がしロール110によって折り返されて進行するため、リリースフィルム40の表面が擦れたりすることがなくなり、リリースフィルム40が破損することを防止できるとともに、剥がし部(剥がしロール110)が擦り減ることを防止できるとともに、折り返し部(剥がしロール110)が擦り減ることを防止できる。
【0091】
そして、図4(d)に示す状態からテーブル20が矢印x’方向にさらに移動するとテーブル20は、図4(a)の位置(初期状態と同じ位置)に戻る。これにより、第1ガラス基板10に対する第1偏光フィルム30の貼り付け工程が終了し、続いて、次のガラス基板(第2ガラス基板10とする。)に対する偏光フィルム(第2偏光フィルム30)の貼り付け工程を行う。第2ガラス基板10への第2偏光フィルム30の貼り付け工程を行うには、第1偏光フィルム30の貼り付け工程が終了した第1ガラス基板10をテーブル20から取り外して、当該テーブル20に第2ガラス基板10を載置して、図4(a)から図4(d)の工程を行う。このような工程を繰り返すことにより、個々のガラス基板に偏光フィルムを順次貼り付けて行くことができる。
【0092】
実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1は、図1図4に示すように、一方の面が接着面となっており、当該接着面にリリースフィルムが剥離可能に貼付されているフィルム部材からリリースフィルムを剥離しながらフィルム部材を進行させて行き、リリースフィルムが剥がされたフィルム部材の進行方向先端部を、被貼り付け部材の貼り付け始端に到達させた後に、当該貼り付け始端を起点に前記フィルム部材を前記被貼り付け部材に貼り付けて行くフィルム部材貼り付け装置であって、フィルム部材からリリースフィルムを剥離する剥離装置170と、リリースフィルムが剥がされたフィルム部材の進行方向先端部を被貼り付け部材の貼り付け始端に到達させた後に、当該貼り付け始端を起点にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付ける貼り付け装置180と、剥離装置170と貼り付け装置180との間に配設され、フィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなり電気的に接地されている静電気除去部材190とを備え、当該静電気除去部材190により、フィルム部材からリリースフィルムを剥離する際にフィルム部材の接着面に帯電することがある静電気を除去するフィルム部材貼り付け装置である。
【0093】
実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1は、静電気除去部材190として、「偏光フィルム30の進行をガイドするガイド面131であって導電性及び非粘着性を有するガイド面を有するガイド部材130」を備える。
【0094】
実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1においては、フィルム部材は、液晶パネルに用いられる偏光フィルム30であり、被貼り付け部材は、液晶パネルに用いられるガラス基板10である。
【0095】
また、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け方法は、一方の面が接着面となっており、当該接着面にリリースフィルムが剥離可能に貼付されているフィルム部材からリリースフィルムを剥離しながらフィルム部材を進行させて行き、リリースフィルムが剥がされたフィルム部材の進行方向先端部を、被貼り付け部材の貼り付け始端に到達させた後に、当該貼り付け始端を起点にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けて行くフィルム部材貼り付け方法であって、フィルム部材からリリースフィルムを剥離する剥離工程と、リリースフィルムが剥がされたフィルム部材の進行方向先端部を被貼り付け部材の貼り付け始端に到達させた後に、当該貼り付け始端を起点にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付ける貼り付け工程とをこの順序で含み、剥離工程と、貼り付け工程との間に、「フィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなり電気的に接地されている静電気除去部材」を用いて、フィルム部材からリリースフィルムを剥離する際にフィルム部材の接着面に帯電することがある静電気を除去する静電気除去工程とをさらに含むフィルム部材貼り付け方法である。
【0096】
実施形態1に係るフィルム部材貼り付け方法において、静電気除去工程においては、静電気除去部材190としての、「フィルム部材の進行をガイドするガイド面であって導電性及び非粘着性を有するガイド面を有するガイド部材130」を用いて、フィルム部材の接着面に帯電することがある静電気を除去する。
【0097】
実施形態1に係るフィルム部材貼り付け方法において、フィルム部材は、液晶パネルに用いられる偏光フィルム30であり、被貼り付け部材は、液晶パネルに用いられるガラス基板10である。
【0098】
また、実施形態1に係る静電気除去部材190は、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置又はフィルム部材貼り付け方法に用いる静電気除去部材であって、リリースフィルムが剥がされたフィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなるものである。実施形態1に係る静電気除去部材190は、使用時には、電気的に接地された状態で使用する。
【0099】
実施形態1に係る静電気除去部材190は、フィルム部材の進行をガイドするガイド面であって導電性及び非粘着性を有するガイド面を有するガイド部材130である。
【0100】
実施形態1に係る記載の静電気除去部材190において、フィルム部材は、液晶パネルに用いられる偏光フィルム30であり、被貼り付け部材は、液晶パネルに用いられるガラス基板10である。
【0101】
3.実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置、フィルム部材貼り付け方法及び静電気除去部材の効果
以上説明したように、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1によれば、偏光フィルム30からリリースフィルム40を剥がすための折り返し部をロール(剥がしロール110)とし、当該剥がしロール110によってリリースフィルム40を折り返して進行させることにより、偏光フィルム30からリリースフィルム40を剥がすようにしている。このため、リリースフィルム40の表面に「擦れ」が生じることがなくなり、リリースフィルムの40破損を防止するとともに、折り返し部(剥がしロール110)が擦り減ることを防止して、偏光フィルム30材の進行動作及びリリースフィルム40の剥がし動作を確実に行うことができる。また、剥がしロール110はベアリングを有するロールであるため、回転が滑らかであることから、偏光フィルム30からリリースフィルム40を剥がす際に、リリースフィルム40を小さい力でスムーズに剥がすことができ、また、リリースフィルム40を折り返した後の進行がより滑らかなものとなる。
【0102】
また、剥がしロール110の前方側には、偏光フィルム30の進行をガイドするガイド部材130が設けられている。当該ガイド部材130のガイド面131には、非粘着性の表面加工が施されているため、偏光フィルム30の接着面がガイド部材130のガイド面131に付着してしまうことを防止でき、偏光フィルム30をガイド部材130のガイド面131でスムーズに進行させることができる。
【0103】
また、ガイド部材130は、当該ガイド部材130の先端部132がエッジとなっているため、当該ガイド部材130の先端部132とガラス基板10の貼り付け始端10aとの間隔を可能な限り狭くすることができるとともに、ガイド部材130の先端部132とガラス基板10の貼り付け始端10aとの間の段差を可能な限り小さくできる。これにより、折返し部を、例えば丸みを有する折返し部とする場合(図7における破線円B参照。)に比べて、偏光フィルム30の先端部30aがガラス基板10の貼り付け始端10aに到達するまでの距離を短くすることができ、偏光フィルム30が貼り付け始端10aに到達するまでの間において、自重によって撓んでしまうといったことを防止できる。それによって、ガイド面131を進行する偏光フィルム30の先端部30aをガラス基板10の貼り付け始端10aに精度よく到達させることができる。また、ガイド部材130は、当該ガイド面131の延長上にガラス基板10の貼り付け始端10aが位置するように設置されているため、これによっても、ガイド面131を進行する偏光フィルム30の先端部30aをガラス基板10の貼り付け始端10aに精度よく到達させることができる。
【0104】
また、押さえロール140は、偏光フィルム30に接触する側に位置する小径の第1押さえロール141と当該第1押さえロール141の押圧力をバックアップするための大径の第2押さえロール142によって構成されている。押さえロール140がこのような構成となっていることにより、ガイド部材130の先端部132とガラス基板10の貼り付け始端10aとの間隔が狭くても、第1押さえロール141が小径であることからガイド部材130に接触することなく、偏光フィルム30を押さえ付けることができる。また、第2押さえロール142が第1押さえロール141の反りを防ぐ役目もなすことから、偏光フィルム30を幅方向(押さえロール140の回転軸に沿った方向)全体に渡って均一な押圧力で確実に押さえ付けることができる。
【0105】
また、リリースフィルム進行機構部120にダンサーロール125を設けることにより、偏光フィルム30をガラス基板10に貼り付ける貼り付け動作時(例えば、図4(d)参照。)を行う際に、テーブル20が矢印x’方向に移動する動作と、巻き取りロール(図示せず。)によるリリースフィルム40の巻き取り動作とは同期をとる必要はなく、それぞれの動作を独立して行うことができる。また、フィーダー機構部126による偏光フィルム30の供給動作時(例えば、図4(b)参照。)においても、偏光フィルム30の供給動作と巻き取りロール(図示せず。)によるリリースフィルム40の巻き取り動作とは同期をとる必要はなく、それぞれの動作を独立して行うことができる。
【0106】
また、ガイド部材130が電気的に接地(アース)されていることにより、フィルム部材としての偏光フィルム30に静電気が帯電した場合であっても、偏光フィルム30に帯電した静電気を除去できる。偏光フィルム30に帯電した静電気を除去できることにより、偏光フィルム30に埃やゴミなどが付着しにくくなるとともに、偏光フィルム30を被貼り付け部材としてのガラス基板10に貼り付ける動作を行う際に、高精度にフィルム部材をガラス基板10に貼り付けることができる。また、偏光フィルム30が貼り付けられたガラス基板10を次の工程に送る際に、静電気が帯電したままの状態で次の工程に送られてしまうことを防ぐことができる。
【0107】
実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1によれば、上記のように構成された静電気除去部材190により、フィルム部材からリリースフィルムを剥離する際にフィルム部材の接着面に帯電することがある静電気を除去することが可能となることから、フィルム部材に埃やゴミなどが付着しにくくなるとともに、高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。また、フィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けた後も、フィルム部材と被貼り付け部材とを貼り付けて得られる製品(例えば、液晶パネル)に静電気が残存しなくなる。その結果、これらに起因して製品の品質を劣化させるおそれがなくなり、本発明の目的が達成できる。
【0108】
この場合、静電気除去部材190は、フィルム部材との接触面が非粘着性を有する接触面(非粘着性の表面加工が施されている接触面)であることから、静電気除去部材とフィルム部材との接触時に生じる摩擦を低減することができる。また、静電気除去部材190が金属からなり電気的に接地されているうえ、フィルム部材との接触面が導電性を有する接触面(導電性の表面加工が施されている接触面、言い換えると、粘着性の表面加工を施された後でも導電性が維持されている接触面)であることから、高い静電気除去効果が得られる。
【0109】
実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1によれば、静電気除去部材190として、「フィルム部材の進行をガイドするガイド面であって導電性及び非粘着性を有するガイド面を有するガイド部材130」を備えることから、リリースフィルムが剥離されたフィルム部材を貼り付け部材の貼り付け始端に向けてガイドすることが可能となるため、高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。また、その過程で、静電気を除去することも可能となることから、さらに高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。
【0110】
実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1によれば、液晶パネルに用いられる偏光フィルムを液晶パネルに用いられるガラス基板又は合成樹脂基板に精度よく貼り付けることができるため、高品質な液晶パネルを製造することに寄与できる。
【0111】
実施形態1に係るフィルム部材貼り付け方法によれば、上記のように構成された静電気除去部材190により、フィルム部材からリリースフィルムを剥離する際にフィルム部材の接着面に帯電することがある静電気を除去することが可能となることから、上記した実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1の場合と同様に、フィルム部材に埃やゴミなどが付着しにくくなるとともに、高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。また、フィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けた後も、フィルム部材と被貼り付け部材とを貼り付けて得られる製品(例えば、液晶パネル)に静電気が残存しなくなる。その結果、これらに起因して製品の品質を劣化させるおそれがなくなり、本発明の目的が達成できる。
【0112】
この場合、静電気除去部材190は、フィルム部材との接触面が非粘着性を有する接触面(非粘着性の表面加工が施されている接触面)であることから、静電気除去部材とフィルム部材との接触時に生じる摩擦を低減することができる。また、静電気除去部材190が金属からなり電気的に接地されているうえ、フィルム部材との接触面に導電性を有する接触面(導電性の表面加工が施されている接触面、言い換えると、粘着性の表面加工を施された後でも導電性が維持されている接触面)であることから、高い静電気除去効果が得られる。
【0113】
実施形態1に係るフィルム部材貼り付け方法によれば、静電気除去工程においては、静電気除去部材190としての「フィルム部材の進行をガイドするガイド面であって導電性及び非粘着性を有するガイド面を有するガイド部材130」を用いて、フィルム部材の接着面に帯電することがある静電気を除去することから、リリースフィルムが剥離されたフィルム部材を貼り付け部材の貼り付け始端に向けてガイドすることが可能となるため、高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。また、その過程で、静電気を除去することも可能となることから、さらに高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。
【0114】
実施形態1に係るフィルム部材貼り付け方法によれば、液晶パネルに用いられる偏光フィルムを液晶パネルに用いられるガラス基板に精度よく貼り付けることができるため、高品質な液晶パネルを製造することに寄与できる。
【0115】
実施形態1に係る静電気除去部材190によれば、リリースフィルムが剥がされたフィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなることから、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1及び方法に好適に用いることができる。
【0116】
実施形態1に係る静電気除去部材190によれば、リリースフィルムが剥がされたフィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなりかつ電気的に接地されていることから、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1及び方法に好適に用いることができる。
【0117】
実施形態1に係る静電気除去部材190によれば、当該静電気除去部材が、フィルム部材の進行をガイドするガイド面であって導電性及び非粘着性を有するガイド面を有するガイド部材であることから、リリースフィルムが剥離されたフィルム部材を貼り付け部材の貼り付け始端に向けてガイドすることが可能となるため、高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。また、その過程で、静電気を除去することも可能となることから、さらに高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。
【0118】
実施形態1に係る静電気除去部材190によれば、液晶パネルに用いられる偏光フィルムを液晶パネルに用いられるガラス基板に貼り付ける際に用いることができるため、高品質な液晶パネルを製造することに寄与できる。
【0119】
[実施形態2」
実施形態1においては、ガイド部材130は、3角形のブロック状のものを採用した場合を例示したが、ガイド部材130の形状は限定されるものではなく、リリースフィルム40が剥がされた偏光フィルム30の先端部30aが、テーブル20に載置されたガラス基板10の貼り付け始端10aに向かって進行させることができればよく、例えば板状であってもよい。
【0120】
図5は、実施形態2に係るフィルム部材貼り付け装置2を説明するために示す図である。なお、図5図3(a)に対応するものであり、ガイド部材130材を板状とした点が異なるだけであり、その他の構成要素は図3と同じであるため、同一構成要素には同一符号が付されている。ガイド部材130を板状とした場合においても、先端部132は、図5に示すように先端部132が鋭角をなしていることが好ましい。このようにすることで、偏光フィルム30の先端部30aをガラス基板10の貼り付け始端10aに精度よく到達させることができる。なお、ガイド部材130を板状とした場合であっても、当該板状のガイド部材130のガイド面131は、導電性及び非粘着性を有するガイド面(導電性及び非粘着性の表面加工が施されているガイド面)である。また、ガイド部材130は、図5に示すような厚みを有する板状ではなく、板厚が例えば1mmから数mm程度の薄板状部材を用いてもよく、このような薄板部材であれば、先端部132は、おのずからエッジとなる。
【0121】
なお、ガイド部材130を図5に示すように板状とした場合であっても、当該板状のガイド部材130が上記実施形態と同様にステンレス鋼などの金属からなり、当該板状のガイド部材130が電気的に接地(アース)されているので、フィルム部材としての偏光フィルム30に帯電した静電気を除去できる。偏光フィルム30に帯電した静電気を除去できることにより、偏光フィルム30に埃やゴミなどが付着しにくくなるとともに、偏光フィルム30を被貼付け部材としてのガラス基板10に貼り付ける動作を行う際に、高精度に偏光フィルム30をガラス基板10に貼り付けることができる。また、偏光フィルム30が貼り付けられたガラス基板10を次の工程に送る際に、静電気が帯電したままの状態で次の工程に送られてしまうことを防ぐことができる。
【0122】
[実施形態3」
図6は、実施形態3に係るフィルム部材貼り付け装置3を説明するために示す図である。図6(a)は実施形態3に係るフィルム部材貼り付け装置3の要部を示す図であり、図6(b)は実施形態3に係るフィルム部材貼り付け装置3に用いる静電気除去部材190の斜視図である。
【0123】
実施形態3に係るフィルム部材貼り付け装置3は、基本的には実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1と同様の構成を有するが、静電気除去部材の構成が実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1の場合とは異なる。すなわち、実施形態3に係るフィルム部材貼り付け装置3は、図6に示すように、静電気除去部材として、ガイド部材とは別の静電気除去部材190を備える。静電気除去部材190は、フィルム部材(偏光フィルム30)に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面191を有するとともに、金属からなり電気的に接地されている静電気除去部材である。静電気除去部材190のフィルム部材に対する接触面は、フィルム部材との摩擦を低減するために、滑らかな曲面からなる。
【0124】
このように、実施形態3に係るフィルム部材貼り付け装置3は、静電気除去部材の構成が実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1の場合とは異なるが、「剥離装置170と貼り付け装置180との間に配設され、フィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなり電気的に接地されている静電気除去部材190」を備え、当該静電気除去部材190により、フィルム部材からリリースフィルムを剥離する際にフィルム部材の接着面に帯電することがある静電気を除去することから、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1の場合と同様に、フィルム部材に埃やゴミなどが付着しにくくなるとともに、高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。また、フィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けた後も、フィルム部材と被貼り付け部材とを貼り付けて得られる製品(例えば、液晶パネル)に静電気が残存しなくなる。その結果、これらに起因して製品の品質を劣化させるおそれがなくなり、本発明の目的が達成できる。
【0125】
[実施形態4」
図7は、実施形態4に係るフィルム部材貼り付け装置4を説明するために示す図である。図7(a)は実施形態4に係るフィルム部材貼り付け装置4の要部を示す図であり、図7(b)は実施形態4に係るフィルム部材貼り付け装置4に用いる静電気除去部材190の斜視図である。
【0126】
実施形態4に係るフィルム部材貼り付け装置4は、基本的には実施形態3に係るフィルム部材貼り付け装置3と同様の構成を有するが、図7に示すように、ガイド部材130を有しない点で実施形態3に係るフィルム部材貼り付け装置3の場合とは異なる。静電気除去部材190は、フィルム部材(偏光フィルム30)に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなり電気的に接地されている静電気除去部材である。静電気除去部材190のフィルム部材に対する接触面は、フィルム部材との摩擦を低減するために、滑らかな曲面からなる。
【0127】
このように、実施形態4に係るフィルム部材貼り付け装置4は、ガイド部材130を有しない点で実施形態3に係るフィルム部材貼り付け装置3の場合とは異なるが、「剥離装置170と貼り付け装置180との間に配設され、フィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなり電気的に接地されている静電気除去部材190」を備え、当該静電気除去部材190により、フィルム部材からリリースフィルムを剥離する際にフィルム部材の接着面に帯電することがある静電気を除去することから、実施形態3に係るフィルム部材貼り付け装置3の場合と同様に、フィルム部材に埃やゴミなどが付着しにくくなるとともに、高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。また、フィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けた後も、フィルム部材と被貼り付け部材とを貼り付けて得られる製品(例えば、液晶パネル)に静電気が残存しなくなる。その結果、これらに起因して製品の品質を劣化させるおそれがなくなり、本発明の目的が達成できる。
【0128】
[実施形態5」
図8は、実施形態5に係るフィルム部材貼り付け装置5を説明するために示す図である。図8(a)は実施形態5に係るフィルム部材貼り付け装置5の要部を示す図であり、図8(b)は実施形態5に係るフィルム部材貼り付け装置5に用いる静電気除去部材190の斜視図である。
【0129】
実施形態5に係るフィルム部材貼り付け装置5は、基本的には実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1と同様の構成を有するが、フィルム部材貼り付け装置全体の構成が実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1の場合とは異なる。すなわち、実施形態5に係るフィルム部材貼り付け装置5は、図8に示すように、フィルム部材貼り付け装置全体の構成としては、特許文献1に記載のフィルム部材貼り付け装置(図9参照。)と同様の構成を有する。但し、図8に示すように、特許文献1に記載のフィルム部材貼り付け装置の場合とは違って、剥離装置170(剥がしユニット830)と、貼り付け装置(図示せず。)との間に、静電気除去部材190を備え、当該静電気除去部材190により、フィルム部材からリリースフィルムを剥離する際にフィルム部材の接着面に帯電することがある静電気を除去する。静電気除去部材190は、フィルム部材(偏光フィルム30)に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面191を有するとともに、金属からなり電気的に接地されている静電気除去部材である。静電気除去部材190のフィルム部材に対する接触面は、フィルム部材との摩擦を低減するために、滑らかな曲面からなる。
【0130】
このように、実施形態5に係るフィルム部材貼り付け装置5は、フィルム部材貼り付け装置全体の構成が実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1の場合とは異なるが、「剥離装置170と貼り付け装置180との間に配設され、フィルム部材に対する接触面であって導電性及び非粘着性を有する接触面を有するとともに、金属からなり電気的に接地されている静電気除去部材190」を備え、当該静電気除去部材190により、フィルム部材からリリースフィルムを剥離する際にフィルム部材の接着面に帯電することがある静電気を除去することから、実施形態1に係るフィルム部材貼り付け装置1の場合と同様に、フィルム部材に埃やゴミなどが付着しにくくなるとともに、高精度にフィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けることが可能となる。また、フィルム部材を被貼り付け部材に貼り付けた後も、フィルム部材と被貼り付け部材とを貼り付けて得られる製品(例えば、液晶パネル)に静電気が残存しなくなる。その結果、これらに起因して製品の品質を劣化させるおそれがなくなり、本発明の目的が達成できる。
【0131】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
【0132】
(1)上記実施形態1においては、ガラス基板10が貼り付け動作開始位置に到達したときにおいて、ガイド部材130の先端部132とガラス基板10の貼り付け始端10aとの間隔dが15mmとなるように設置されているが、当該間隔dは、15mmに限定されるものではなく、ガイド部材130のガイド面131のxy平面に対する角度、偏光フィルム30の材質及びサイズなどによって最適な値に設定することができる。
【0133】
(2)上記実施形態1においては、第1押さえロールの径を10mm程度とした場合を例示したが、第1押さえロールの径は必ずしも10mm程度とする必要はなく、ガイド部材130の先端部132とガラス基板10の貼り付け始端10aとの間隔dなどに応じて最適な径とすることができる。
【0134】
(3)上記実施形態1においては、図4に示す貼り付け動作を行う際には、フィルム部材供給機構部100を固定とし、テーブル20をx軸に沿って往復移動させる場合を例示したが、テーブル20を固定し、フィルム部材供給機構部100を往復動させるようにしてもよい。
【0135】
具体的には、図4(a)の初期状態と同様にテーブル20にガラス基板10を載置した状態で、当該テーブル20の位置を固定しておく。そして、フィルム部材供給機構部100を図4における矢印x’方向(図示左方向に)に移動させ、第1押さえロール141の押圧点Pをガラス基板10の貼り付け始端10aに一致させる。この状態で、フィーダー機構部126を動作させて偏光フィルム30(第1偏光フィルム30)をガラス基板10の貼り付け始端10aに到達するように進行させて、押さえロール140を下降させて、フィルム部材供給機構部100を図4における矢印x方向(図示右方向に)に移動させる。このような動作を行うことによっても、上記実施形態で得られる効果と同様の効果が得られる。
【0136】
また、テーブル20をx軸に沿って往復移動させる動作と、フィルム部材供給機構部100をx軸に沿って往復移動させる動作とを併用してもよい。具体的には、図4(a)の初期状態において、テーブル20を図4における矢印x方向(図示右方向に)に移動させるとともに、フィルム部材供給機構部100を図4における矢印x’方向(図示左方向に)に移動させて、第1押さえロール141の押圧点Pをガラス基板10の貼り付け始端10aに一致させて、この状態で、フィーダー機構部126を動作させて偏光フィルム30(第1偏光フィルム30)をガラス基板10の貼り付け始端10aに到達するように進行させて、押さえロール140を下降させて、テーブル20を図4における矢印x’方向(図示左方向に)に移動させるとともに、フィルム部材供給機構部100を図4における矢印x方向(図示右方向に)に移動させる。このような動作を行うことによって、フィルム部材供給機構部100を固定とし、テーブル20をx軸に沿って往復移動させる場合において得られる効果に加えて、貼り付け動作を高速化できるといった効果も得られる。
【0137】
(4)制御装置200によるフィーダー機構部126に対する制御の他の例としては、第1偏光フィルム30の後端部30bの位置を監視し、第1偏光フィルム30の後端部30bの位置が、偏光フィルム30の後端部30bが目標とする移動量(目標移動量という。)だけ移動するまで、リリースフィルムをリリースフィルム進行方向に進行させるというような制御としてもよい。これにより、偏光フィルム30の先端部30aを第1押さえロール141の押圧点Pに高精度に到達させることができる。このような制御は、偏光フィルム30の後端部30bが所定位置からどれだけ移動させると当該偏光フィルム30の先端部30aが第1押さえロール141の押圧点Pに達するかを目標移動量として予め求めておくことにより、実施可能である。
【0138】
(5)上記実施形態1においては、液晶パネルに用いられる2枚のガラス基板(液晶層の表面側に設けられるガラス基板及び裏面側に設けられるガラス基板)のうちの一方の面に用いるガラス基板に偏光フィルムを貼付する場合について説明したが、他方の面に用いるガラス基板に偏光フィルムを貼付する場合もほぼ同様に実施できる。
【0139】
(6)上記実施形態1においては、フィルム部材は、液晶パネルに用いられる偏光フィルムであるとし、被貼り付け部材は、液晶パネルに用いられるガラス基板であるとして、当該ガラス基板に偏光フィルムを貼り付けるためのフィルム部材貼り付け装置について説明したが、フィルム部材貼り付け装置としては、上記実施形態1において説明したフィルム部材貼り付け装置に限られるものではなく、フィルム部材を被貼り付け部材に貼り付ける装置に広く適用できる。
【0140】
(7)上記実施形態1においては、フィルム部材は長方形状としたが、フィルム部材の形状は長方形に限られるものではなく、正方形であってもよく、また、長方形及び正方形(矩形)に限られるものではない。
【0141】
(8)上記実施形態1においては、第1押さえロール141及び第2押さえロール142は、第1押さえロールを第2押さえロールに比べて小径としたが、第2押さえロールがバックアップロールとして機能できれば、第1押さえロール141及び第2押さえロール142を同じ径としてもよい。
【0142】
(9)上記実施形態1においては、押さえロール140は、2個の押さえロールを2段重ねした構成とした場合を例示したが、2個に限られるものではなく、3個以上の押さえロールを重ねた構成としてもよい。
【0143】
(10)上記実施形態1においては、ガイド部材130は、支持部材(図示せず。)及びステージ50を介して電気的に接地(アース)するようにしたが、当該ガイド部材130に接地(アース)用のリード線を接続して当該ガイド部材を直接的に接地(アース)するようにしてもよい。
【0144】
(11)上記各実施形態1においては、フィルム部材として、液晶パネルに用いられる偏光フィルムを用いたが、本発明はこれに限定されるものでない。例えば、液晶パネルに用いられる保護フィルムを用いることができる。また、液晶パネル以外の用途(例えば、有機ELパネルその他のディスプレイ用途)に用いられる各種フィルム(例えば保護フィルムなど)に用いることもできる。また、ディスプレイ以外の用途(例えば、電子機器その他の用途)に用いられる各種フォルム(例えば、電磁波シールドフィルムなど。)に用いることもできる。
【0145】
(12)上記各実施形態1においては、被貼り付け部材として、液晶パネルに用いられるガラス基板を用いたが、本発明はこれに限定されるものでない。例えば、液晶パネルに用いられる合成樹脂基板(合成樹脂フィルムも含む。)を用いることもできる。また、液晶パネル以外の用途(例えば、有機ELパネルその他のディスプレイ用途)に用いられるガラス基板や合成樹脂基板(合成樹脂フィルムも含む。)に用いることもできる。また、ディスプレイ以外の用途(例えば、電子機器その他の用途)に用いられる電子回路基板に用いることもできる。
【0146】
すなわち、フィルム部材に関して言えば、フィルム部材が、リリースフィルムを剥離したときに接触面に静電気が帯電することのあるフィルム部材であれば本発明は有効であり、また、被貼り付け部材に関して言えば、被貼り付け部材が、静電気の帯電を嫌う部材、部品又は製品に用いられる被貼り付け部材であれば本発明は有効である。
【0147】
(13)上記各実施形態1においては、静電気除去部材に導電性及び非粘着性を付与するための処理として「トシカルS(登録商標)コーティング加工」と呼ばれる表面加工の技術を採用し、そのようなコーティング加工を、トシカル(登録商標)S、UNA−300シリーズ(UNA−310−X10)、UNA−800シリーズ、TS−1000シリーズ、TS−1080シリーズ、TS−1310シリーズのものを用いることができるとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。また、これらトシカル(登録商標)Sのコーティング被膜の膜厚は、例えば、1μm〜200μm、好ましくは3μm〜150μmのものを好適に用いることができるとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。また、トシカル(登録商標)Sのコーティング被膜を形成する前に、ガイド部材130のガイド面131に凹凸構造を形成しておいてもよい、この場合の凹凸構造の平均表面粗さRaとしては、2μm〜15μmのものを好適に用いることができるとしたが、本発明はこれに限定されるものでない。また、これらの技術的事項は、実施形態2〜5、あるいはそれ以外の静電気除去部材を製造する際に同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0148】
1,2,3,4,5・・・フィルム部材貼り付け装置、10・・・ガラス基板(被貼り付け部材)、10a・・・貼り付け始端、20・・・テーブル、30・・・偏光フィルム(フィルム部材)、30a・・・先端部(進行方向先端部)、30b・・・後端部(進行方向後端部)、32・・・偏光フィルム本体部、34・・・接着層、40・・・リリースフィルム、50・・・ステージ、60・・・ガイドレール、100・・・フィルム部材供給機構部、110・・・剥がしロール、120・・・リリースフィルム進行機構部、125・・・ダンサーロール、126・・・フィーダー機構部、130・・・ガイド部材、131・・・ガイド面、132・・・ガイド部材の先端部、140・・・押さえロール、141・・・第1押さえロール、142・・・第2押さえロール、150・・・カメラ、170・・・剥離装置、180…貼り付け装置、190・・・静電気除去部材、191・・・接触面、C1,C2,・・・切れ目、P・・・押圧点
図1
図2
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図9