特許第6461293号(P6461293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461293
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】電気モータ及びそのモータ軸
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/08 20060101AFI20190121BHJP
   H02K 15/14 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   H02K7/08 Z
   H02K15/14 A
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-234806(P2017-234806)
(22)【出願日】2017年12月7日
(65)【公開番号】特開2018-99023(P2018-99023A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2017年12月7日
(31)【優先権主張番号】201611170866.2
(32)【優先日】2016年12月16日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515009620
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ロニー カイル
(72)【発明者】
【氏名】ダイスケ ツナシマ
(72)【発明者】
【氏名】クォン イップ プーン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンチャン ソン
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭50−147845(JP,U)
【文献】 特開2005−117816(JP,A)
【文献】 実開昭56−172185(JP,U)
【文献】 特開平3−285551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/08
H02K 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸であって、
本体と、
前記本体の端部に形成された面取り端であって、その円周側面に形成された面取りと、その端面に定められた溝部とを含む面取り端と、を備え、
前記モータ軸の軸方向において、前記面取りの軸方向長さは前記溝部の深さよりも大きいこと、を特徴とするモータ軸。
【請求項2】
前記面取りは角度が45度よりも小さい、請求項1に記載のモータ軸。
【請求項3】
前記面取りの前記角度は10°から20°の範囲にある、請求項2に記載のモータ軸。
【請求項4】
前記溝部は、前記モータ軸の前記端面の半径方向に延びる、請求項1〜3の何れか1つに記載のモータ軸。
【請求項5】
前記溝部の2つの端部が、前記面取り端の向かい側の側面を通過して延びる、請求項4に記載のモータ軸。
【請求項6】
前記本体の反対の端部に形成されたねじ付き端をさらに備え、前記面取り端及びねじ付き端の直径は、前記本体のそれよりも小さい、請求項1〜5の何れか1つに記載のモータ軸。
【請求項7】
前記溝部の最大長さは、前記本体の直径よりも小さい、請求項1〜6の何れか1つに記載モータ軸。
【請求項8】
ステータ及びロータを備える電気モータであって、前記ステータはエンドキャップ及びハウジングを備え、前記ロータは、請求項1〜7の何れか1つに記載のモータ軸を備え、前記モータ軸の前記面取り端は、軸受を介して前記エンドキャップに取り付ける、ことを特徴とする電気モータ。
【請求項9】
前記軸受は、前記モータ軸の前記本体が支持される内輪を有する、請求項8に記載の電気モータ。
【請求項10】
前記軸受は内輪を有し、前記内輪の直径が、前記溝付き面取り端のあらゆる断面の直径よりも大きい、請求項8又は9に記載の電気モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、モータの分野に、特にモータ軸、及びモータ軸を使用する電気モータ関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 電気エネルギを力学的エネルギに変換する電気モータが、生産及び人間の生活の全ての分野で使用される。モータ軸は、モータの主要部品の1つである。モータ軸のうちモータの外側まで延びる出力端が、ギヤー、ファン又はベルト車のような、モータによって駆動される負荷に接続するために使用される。図1は、従来のモータ軸の斜視図である。モータ軸は、向かい側に2つの端部を、即ちねじが付いた端部10及び面取り端11を有する。面取り端11は、面取り111と、面取り111の端面に定まる長手形状の溝部112とを含む。モータ軸の軸方向に沿った面取り111の長さは、モータ軸の軸方向に沿った溝部112の深さよりも小さい。組立時に、モータ軸の面取り端11は、軸受を貫通して延びて軸受をモータ軸の周りに取り付ける必要がある。モータ軸は、軸受の内輪に締まりばめによって固定される。モータ軸の面取り端11が軸受を貫通して延びる間に、溝部112の端部にバリが存在し、しかも溝部112の形成による面取り端11の非円形の断面構造が、軸受の内輪を引っ掻くので騒音を発生するとともに、軸受の内輪の接触面に掻き傷を形成して、それが軸受の耐用年数に影響することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] 従って、軸受の摩耗と、組立及び使用プロセスで発生する騒音とを低減できる、改善されたモータ軸、及び改善されたモータ軸を使用する電気モータに対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] モータ軸は、本体と、本体の端部に形成された面取り端であって、その円周側面に形成された面取りと、その端面に定められた溝部とを含む面取り端と、を備える。モータ軸の軸方向において、面取りの軸方向長さは溝部の深さよりも大きい。
【0005】
[0005] 面取りは、角度が45度よりも小さいことが好ましい。
【0006】
[0006] 面取りの角度は、10°から20°の範囲にあることが好ましい。
【0007】
[0007] 溝部は、モータ軸の端面の半径方向に延びることが好ましい。
【0008】
[0008] 溝部の2つの端部が、面取り端の向かい側の側面を貫通して延びることが好ましい。
【0009】
[0009] モータ軸は、本体の反対の端部に形成されたねじ付き端をさらに備え、面取り端及びねじ付き端の直径は、本体のそれよりも小さいことが好ましい。
【0010】
[0010] 溝部の最大長さは、本体の直径よりも小さいことが好ましい。
【0011】
[0011] 電気モータは、ステータ及びロータを備える。ステータは、エンドキャップ及びハウジングを備える。ロータは、上述したモータ軸を備える。モータ軸の面取り端は、軸受を介してエンドキャップに取り付ける。
【0012】
[0012] 軸受は、モータ軸の本体が支持される内輪を有することが好ましい。
【0013】
[0013] 軸受は内輪を有しており、内輪の直径が、溝付き面取り端のあらゆる断面の直径よりも大きいことが好ましい。
【0014】
[0014] 実施形態では、面取りの軸方向長さは、溝部の深さよりも大きい。軸受をモータ軸の周りに取り付けるとき、軸受の内輪は、モータ軸の溝部の縁部上に形成されたバリを有効に回避し、それによって軸受の内輪の摩耗及び組立プロセスで発生する騒音を低減し、軸受の使用寿命を延ばし、軸受をモータ軸へ滑らかに取り付ける。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来のモータ軸の斜視図である。
図2】本開示の実施形態による電気モータの斜視図である。
図3図2の電気モータの分解組立図である。
図4図2の電気モータにおけるモータ軸の斜視図である。
図5図4のモータ軸の面取り端と軸受との間の接続を示す図である。
図6】モータ軸の面取り端と図5の軸受との間の接続部を、面取り端の遠位端から見た端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0021] 以下において、本発明の実施形態が、添付図面を参照して詳細に説明される。説明する実施形態は、本発明の実施形態の全てというよりも、一部に過ぎないことは明らかである。本発明の実施形態に基づき、当業者によって何らの創造的努力なしに得られる他のいかなる実施形態も、本発明の保護範囲内に属する。
【0017】
[0022] 別段の定めがない限り、この開示で用いる全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解される通常の意味を有する。この開示の明細書で用いる用語は、開示の実施形態を例示するためのみであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0018】
[0023] 図2は、本開示の実施形態による電気モータの斜視図である。図3は、図2の電気モータの分解組立図である。図2図3を参照すると、電気モータ20は、ステータ30及びロータ40を含む。ロータ40はモータ軸50を含む。
【0019】
[0024] ステータ30は、開放端を持つ管状のハウジング31と、管状のハウジング31の開放端に取り付けたエンドキャップ32と、ハウジング31に取り付けたステータコア33と、ステータコア33に取り付けた絶縁されたフレーム34と、ステータコア33に巻き付けかつ絶縁フレーム34によって支持されたステータ巻線35とを含む。ステータコア33は、外側ヨークと、ヨークから内方に延びた複数の磁極本体と、磁極本体の半径方向内側端から両方の円周方向にそれぞれに延びる複数の磁極片とを含む。この実施形態では、外側ヨークは、連続する円環形とされ、ステータ30の外側環状部分と名付ける。各磁極片36は、協働して、ステータ30の内側環状部分と名付ける不連続の円環形とされる。ステータ巻線35は対応する磁極本体に巻き付け、ステータ巻線35は絶縁フレーム34によってステータコア33から分離される。本実施形態では、ステータ巻線35は集中巻を採用し、すなわち、ステータ巻線35の各コイルは、1つの磁極本体の周りに巻き付けるのみである。従って、磁極本体の数はステータ磁極の数と等しい。代わりに、ステータ巻線35の各コイルは、ステータ磁極と呼ばれる複数の磁極本体にわたることができる。従って、ステータの磁極本体の数は、ステータ磁極の数の2倍、3倍のような整数倍にすることができる。
【0020】
[0025] ステータコア33は、磁気導体材料で、例えばモータ20の軸方向に沿って積み重ねた複数の磁気積層体(当該技術ではケイ素鋼板が一般に使用される)で作成される。各磁極本体は、モータ20の円周方向に沿って均等に分配されることが好ましい。磁極本体の磁極片36の半径方向内端面は、ロータ40の中心と同心円上に位置する。磁極片36の半径方向内端面は、ロータの中心と同心円になくても良いことを理解されたい。
【0021】
[0026] ロータ40は、磁極本体の磁極片36に囲まれた空間内に収納され、磁極片36の内端面とロータ40との間に空隙が定まる。ロータ40は、その円周方向に沿って配置された永久磁石42を含み、永久磁石42の外周面は、磁極片36の内端面と同心である。特に、磁極片36の内端面は、ロータ40の中心を中心として同心円に位置する。永久磁石42は、一体の環状の永久磁石であることが好ましい。代わりに、永久磁石42は、複数の分割された永久磁石を備えることができる。永久磁石の外側面と磁極片の内側面とは同心でなくても良いことを理解されたい。
【0022】
[0027] 実施形態では、ロータ40は、中心をモータ軸50が横切りかつモータ軸が固定されるロータコアをさらに含み、環状の永久磁石42は、ロータコアの円周面に取り付ける。
【0023】
[0028] 図4はモータ軸50の斜視図である。図5図6は、モータ軸50と軸受502との間の接続を示す。図4図6を参照すると、モータ軸50は、実質的に円筒状構造とされ、剛性材料で、例えば炭素鋼で作成される。モータ軸50は、本体51、ねじ付き端52及び面取り端53を含む。ねじ付き端52及び面取り端53は、主本体51の反対端にそれぞれ位置する。ねじ付き端52及び面取り端53の直径は、本体51の直径よりも小さい。面取り端53は、軸受502を貫通してステータ30のエンドキャップ32に取り付ける。ねじ付き端52は、別の軸受(図示しない)を貫通して、円筒状ハウジング31の底部から外に延びる。2つの軸受は、ステータ30の2つの端部でモータ軸50を支持し、ロータ40がステータ30に対して回転できるようになっている。ねじ付き端52は、負荷に、例えばインペラに接続するために使用できる。
【0024】
[0029] 本体51の外周面は、ねじがなく滑らかであり、ねじ付き端52の外周面にねじが形成される。面取り端53の端面5311の中間には、端面5311の半径方向に沿って延びる溝部532が定まる。溝部532の2つの端部が、面取り端53の向かい側の側面を貫通して延びる。本実施形態では、溝部532は、ねじ回しと一致させて、モータ20の設置及び負荷を調整することができる。面取り端53の円周側面に面取り531が形成される。面取り端53の直径は、本体51に隣接する部分から端面5311まで徐々に減少する。
【0025】
[0030] モータ軸50の軸方向に沿った溝部532の深さにAが付され、面取り531の軸方向長さにBが付され、面取り531の傾斜した側面とモータ軸50の軸方向との間に定まる面取り531の角度にαが付される。面取り531の軸方向長さBは、モータ軸50の軸方向における、面取り531の傾斜側面の突出長さである。
この実施形態では、面取り531の軸方向長さは、溝部532の深さよりも大きく、すなわちB>Aである。角度αは、45度よりも小さく、例えば、15度、20度、25度、30度、35度又は40度などにすることができる。角度αは、10度から20度の範囲にあることが好ましく、所定の傾斜角とされた面取り531により、軸受502及びモータ軸50の組立が容易になり、十分な幅を持つ溝部532が保証される。
【0026】
[0031] この実施形態では、モータ軸50の面取り端53に取り付けた軸受502は、外輪5022、内輪5021及び鋼球(図示しない)を含む玉軸受である。鋼球は、外輪5022と内輪5021との間に挟む。軸受502の内輪5021の直径Dは、モータ軸50の本体51の直径と実質的に等しく、軸受502の内輪5021をモータ軸50の本体51の周りに取り付けるようになっている。図5及び図6を参照すると、面取り531の軸方向長さBは、溝部532の深さAよりも大きい。溝部532の底部の半径方向長さLは、軸受502の内輪5021の直径Dよりも小さい。面取り端53の直径は、本体51に隣接する部分から端面5311まで徐々に減少するので、モータ軸50のうち溝部532付き断面の直径は、軸受502の内輪5021の直径Dよりも小さい。従って、溝部532を形成するプロセスで、溝部532の端部にバリ533が形成されると、軸受502をモータ軸50に取り付けるとき、軸受502の内輪5021は、バリ533と、モータ軸50のうち溝部532付きの区分とを効果的に回避することができ、それによって軸受502の内輪5021の摩耗及び取付プロセスで発生する騒音を低減し、軸受の使用寿命を延ばす。さらに、軸受502は、モータ軸50に滑らかに取り付けることができる。他の実施形態では、他の形式の軸受が使用できることを理解されたい。
【0027】
[0032] 本実施形態では、溝部532の最大長さは本体51の直径よりも小さく、軸受の内径は本体51の直径と実質的に等しい。従って、軸受をモータ軸に取り付けるとき、軸受の内側面は、溝部532の縁部を回避し、傷が付くことがない。
【0028】
[0033] 従って、本発明の実施形態の技術的解決策は、以上に明確にかつ完全に説明された。説明した実施形態は、本発明の実施形態の全てではなく、ほんの一部に過ぎないことは明らかである。当業者は、技術的特徴を様々な実施形態で様々に組み合わせて、実際的な要求を満たすことができる。本発明の実施形態に基づいて、当業者によって創造的な努力を払わずに得られる他の実施形態も、本発明の範囲内に属する。
【符号の説明】
【0029】
50 モータ軸
51 本体
52 ねじ付き端
53 面取り端
531 面取り
532 溝部
A 溝部の深さ
B 面取りの軸方向長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6