【文献】
Bioorg. Med. Chem. Lett.,2013年,Vol. 23,pp. 5689-5693
【文献】
ACS Chem. Biol.,2014年 2月,Vol. 9, No. 2,pp. 538-550
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】インセルロでの、DM2を引き起こすRNAの強力な阻害剤を合成するためのインサイチュ・クリックケミストリーを示す図である。DM2は、muscleblind様1タンパク質(MBNL1)と結合し、それを捕捉するr(CCUG)リピートによって引き起こされる。アジドおよびアルキン官能基(N
3−K、K−Ak、N
3−K−Ak、およびN
3−K−AaK)を含む小分子は、r(CCUG)
expの隣接する部位と結合し、ヒュスゲン双極性環状付加反応を受ける。
【
図1B】r(CCUG)
expの模倣物に結合しているクリック反応可能なモジュールの分子運動学(MD)シミュレーションモデルを示す図である。(BI):立体構造検索により、隣接部位に結合したKモジュールによって表されるアジド基およびアルキン基が極めて近いことが明らかになる。(BII):N
3−KおよびK−Aakから得た1,4−トリアゾール付加物のMDシミュレーションで低エネルギー状態を示す立体図を示す図である。RNAとKの間の水素結合は、破線で示される。(BIII):その他のリンカーモデルを示すMDシミュレーションの低エネルギースナップ写真を示す図である。
【
図2】インセルロクリック反応およびクリック反応可能な小分子の標的の範囲の同定を示す図である。(A):小分子の細胞標的を同定するアプローチであるChemReactBIPの模式図を示す図である。クリック反応に関与する1つのN
3基を含むビオチン化モノマー、すなわちN
3−K−ビオチンを使用することによって研究が可能となった。このビオチン化モノマーは、細胞溶解物をストレプトアビジン樹脂の上に流すことによってクリック反応したオリゴマーおよび結合したRNA標的の単離を可能にする。(B):r(CCUG)
300発現細胞においてのみ合成される、プルダウンされ、鋳型にされた小分子生成物のChemReactBIP質量スペクトル分析の結果を示す図である。(C):クリック反応した生成物のRNA標的を単離し、qRT−PCRによって分析した、ChemReactBIPの結果を示す図である。「
*」は、両側スチューデントt検定(n=3)によって求めた、p<0.05を示し;「
**」はp<0.01を示し;「
***」はp<0.001を示す。
【
図3】インセルロでの、インサイチュクリックのDM2に関連する欠損への効果を評価する細胞研究の結果を示す図である。(A):様々な化合物で処置することによるr(CCUG)
300の核内フォーカスの生成抑制に対するクリック化合物の評価を示す図である。(B):健康な細胞とr(CCUG)
300発現細胞における、ブリッジングインテグレーター1(BIN1)プレ−mRNAエクソン11の選択的スプライシングの模式図を示す図である。(C):鋳型にされたクリック反応によるBIN1スプライシング欠損の救済を示す図である。上部、r(CCUG)
300の存在下および不在下のBIN1スプライシング産物の代表的なゲル画像を示す図である。下部、処理細胞および未処理細胞におけるBIN1スプライシングパターンの定量化を示す図である。各々の化合物の濃度は、上部の対応するバーにμMで示される。N
3−K+K−Akに関して、5μMが各々の化合物の濃度を示す。「
*」は、両側スチューデントt検定(n≧3)によって求めた、p<0.05を示し;「
**」はp<0.01を示し;「
***」はp<0.001を示す。
【
図4】N
3−KおよびK−Akによるインビトロクリック反応に使用したRNAの二次構造を示す図である。
【
図5】r(CCUG)
12の存在下および不在下でのN
3−KとK−Akのインビトロクリック反応のLC−MS分析の結果を示す図である。これらのデータは、K二量体がr(CCUG)
12の存在下で形成されるが、不在下では形成されないことを示す。
【
図6】r(CCUG)
12、r(AUUCU)
12、r(CAG)
12、r(CGG)
12、r(CUG)
12、完全に塩基対形成したステムを含むRNAヘアピン、およびビール酵母tRNAの存在下および不在下での、N
3−KとK−Akのインビトロクリック反応のLC−MS分析の結果を示す図である。これらのデータは、K二量体の形成がr(CCUG)
12によって選択的に触媒されることを示す(n=3)。
【
図7】r(CCUG)
300の存在下および不在下でのN
3−KとK−Akのインセルロクリック反応のLC−MS分析の結果を示す図である。これらのデータは、K二量体がr(CCUG)
300の存在下で形成されるが、不在下では形成されないことを示す。「
*」は、両側スチューデントt検定(n=3)により求めた、p<0.05を示す。
【
図8】r(CCUG)
300の存在下および不在下でのN
3−KとN
3−K−Akのインセルロクリック反応のLC−MS分析の結果を示す図である。これらのデータは、二量体および三量体がr(CCUG)
300の存在下で形成されるが、不在下では形成されないことを示す。N
3−Kを使用して重合の程度を制限して、LC−MS分析を容易にした(「インセルロでクリック反応した生成物の質量分析による同定(Identification of in cellulo clicked products by mass spectrometry)」参照)。「
*」は、両側スチューデントt検定(n=3)により求めた、p<0.05を示し;「
**」は、p<0.01を示す。
【
図9】r(CCUG)
300の存在下および不在下でのN
3−KとN
3−K−Aakのインセルロクリック反応のLC−MS分析の結果を示す図である。これらのデータは、二量体および三量体がr(CCUG)
300の存在下で形成されるが、不在下では形成されないことを示す。N
3−Kを使用して重合の程度を制限して、LC−MS分析を容易にした(「インセルロでクリック反応した生成物の質量分析による同定(Identification of in cellulo clicked products by mass spectrometry)」参照)。「
*」は、両側スチューデントt検定(n=3)により求めた、p<0.05を示し;「
**」は、p<0.01を示す。
【
図10】r(CCUG)
300の存在下および不在下でのN
3−K−ビオチンとK−Akのインセルロクリック反応から得た、プルダウンし、ビオチン標識した化合物のLC−MS分析の結果を示す図である。これらのデータは、ビオチン化K二量体がr(CCUG)
300の存在下で形成されるが、不在下では形成されないことを示す。「
**」は、両側スチューデントt検定(n=3)により求めた、p<0.01を示す。
【
図11】r(CCUG)
300の存在下および不在下でのN
3−K−ビオチンとN
3−K−Akのインセルロクリック反応から得た、プルダウンし、ビオチン標識した化合物のLC−MS分析の結果を示す図である。これらのデータは、二量体および三量体がr(CCUG)
300の存在下で形成されるが、不在下では形成されないことを示す。N
3−K−ビオチンを使用してポリマー形成の程度を制限し、LC−MS分析を容易にした(「インセルロでクリック反応した生成物の質量分析による同定(Identification of in cellulo clicked products by mass spectrometry)」参照)。「
*」は、両側スチューデントt検定(n=3)により求めた、p<0.05を示す。
【
図12】r(CCUG)
300の存在下および不在下でのN
3−K−ビオチンとN
3−K−Aakのインセルロクリック反応から得た、プルダウンし、ビオチン標識した化合物のLC−MS分析の結果を示す図である。これらのデータは、二量体および三量体がr(CCUG)
300の存在下で形成されるが、不在下では形成されないことを示す。N
3−K−ビオチンを使用してポリマー形成の程度を制限し、LC−MS分析を容易にした(「インセルロでクリック反応した生成物の質量分析による同定(Identification of in cellulo clicked products by mass spectrometry)」参照)。「
*」は、両側スチューデントt検定(n=3)により求めた、p<0.05を示し;「
**」は、p<0.01を示す。
【
図13】上部、BIN1選択的スプライシングパターンへのK誘導体の効果を示す代表的なゲル画像を示す図である。N
3−KとK−Akの1:1混合物は、予め合成した二量体と同程度にBIN1パターンを改善する。下部、処理細胞および未処理細胞におけるBIN1選択的スプライシングパターンの定量化を示す図である。モノマーN
3−KおよびK−Akの活性を、予め合成した二量体ならびに各々のモノマーの等モル混合物と比較した。予め合成した二量体は、スプライシングを最も大きく改善し、一方、アジドおよびアルキンモノマーの混合物は、各々のモノマー単独よりもスプライシングを大きく改善した。「
*」は、両側スチューデントt検定(n≧3)によって求めた、p<0.05を示し;「
***」はp<0.001を示す。
【
図14】上部、N
3−K−Akで処理した細胞におけるBIN1スプライシングパターンの代表的なゲル画像を示す図である。細胞を10および1μMのN
3−K−Akで処理した場合に、スプライシングパターンの改善が観察された。中央、N
3−K−Aakで処理した細胞におけるBIN1スプライシングパターンの代表的なゲル画像を示す図である。細胞を10μM、1μM、および100nMのN
3−K−Akで処理した場合に、スプライシングパターンの改善が観察された。下部、未処理細胞およびオリゴマー形成可能なK化合物で処理した細胞におけるBIN1スプライシングパターンの定量化を示す図である。N
3−K−Aakは、評価した最も強力な化合物であった。それはナノモル濃度でBIN1プレ−mRNAスプライシング欠損を有意に改善し、Kモノマーよりも1000倍強力である。「
*」は、両側スチューデントt検定(n≧3)によって求めた、p<0.05を示し;「
**」はp<0.01を示し;「
***」はp<0.001を示す。
【
図15】上部、K誘導体が、r(CCUG)
300を発現しない細胞においてBIN1スプライシングパターンに影響を及ぼさないことを示す、代表的なゲル画像を示す図である。下部、r(CCUG)
300を発現しない細胞におけるBIN1スプライシングパターンの定量化を示す図である。評価したいずれの化合物も、両側スチューデントt検定によって求めたとおり(n≧3)、r(CCUG)
300の不在下でBIN1プレ−mRNAスプライシングパターンに統計学的に有意な効果がなかった。試験した化合物の濃度は、括弧内に示される(mM)。
【
図16】K1,4二量体の合成のためのスキームを示す図である。
【
図17】K1,5二量体の合成のためのスキームを示す図である。
【
図18】N
3−K−Akの合成のためのスキームを示す図である。
【
図19】N
3−K−Aakの合成のためのスキームを示す図である。
【
図20】N
3−K−ビオチンの合成のためのスキームを示す図である。
【
図21】DM1を引き起こす毒性のあるRNA−タンパク質複合体、ならびに疾患関連細胞機能障害およびインセルロでの標的選択性を改善し、調べるために使用する、設計された小分子を示す図である。
【
図22】代謝安定性のための化合物のリード最適化を示す図である。化合物2H−K4NMeは、ミクロソームにおいて不安定であり(右下のプロット)、不安定性の原因はイミノプロトンであることを突き止めた。イミノプロトンはN−メチル化によって除去されて、ミクロソームにおいて安定している2H−K4NMeSをもたらした。
【
図23】設計された小分子2H−K4NMeSが、患者由来細胞株(左)およびDM1マウスモデル(右)においてDM1に関連するプレ−mRNAのスプライシング欠損を改善することを示す図である。Mankodi,A.,Logigian,E.,Callahan,L.,McClain,C.,White,R.,Henderson,D.,Krym,M.,and Thornton,C.A.(2000)Myotonic dystrophy in transgenic mice expressing an expanded CUG repeat.Science 289,1769−1773。
【
図24】設計された小分子2H−K4NMeSが、反応性モジュール(CA)および精製タグ(ビオチン)を付加されて2H−K4NMeS−CA−ビオチンを生じることを示す図である。この化合物は、細胞において結合したRNAと架橋(共有結合)を形成し、化学的架橋およびプルダウンによる単離(Chemical Cross−Linking and Isolation by Pull Down)(Chem−CLIP)というアプローチを用いることにより、それらを精製および定量化させ小分子の標的を検証する。(A):プローブ化合物の構造を示す図である。(B):プローブがr(CUG)
expと選択的に反応することを示すインビトロデータを示す図である。(C):2H−K4NMeS−CA−ビオチンが、細胞においてDM1に関連するプレ−mRNAのスプライシング欠損を改善することを示す図である。(D):競合的(Competitive)Chem−CLIP(C−Chem−CLIP)により測定されるように、非共有結合性化合物2H−K4NMeSが、r(CUG)
exp標的との反応から2H−K4NMeS−CA−ビオチンと競合することができることを示す図である。(E):2H−K4NMeS−CA−ビオチンによるRNA標的のプルダウンにより、化合物が疾患を引き起こす伸張した転写物と結合し、より短い(非病原性の長さの)r(CUG)リピートを含む他のRNAと結合しないことが示されることを示す図である。
【
図25】化学的架橋およびプルダウンによる単離ならびにリガンド結合部位のマッピング(Chem−CLIP−Map)を示す図である。2H−K4NMeS−CA−ビオチンと反応したDMPK mRNAは、mRNAの異なる領域と相補的なオリゴヌクレオチドを使用することにより、RNアーゼHによって部位特異的に消化された。消化の後、2H−K4NMeS−CA−ビオチンと反応したRNAの領域をストレプトアビジン樹脂に捕捉し、qRT−PCRを使用することによって定量化した。データは、2H−K4NMeS−CA−ビオチンがDMPK mRNAのr(CUG)
expと結合することを示す。
【
図26】インビトロにおける、オンサイトでの薬剤合成を検証するために試験した化合物の構造を示す図である。
【
図27】核酸を触媒として使用することによるインビトロでのオリゴマー薬剤合成のデータを示す図である。(A):反応に最適な距離を求めるためのリンカー長を調査した結果を示す図である。(B):様々なRNAの存在下、N
3−2H−K4NMeSと2H−K4NMeS−アミノヘキサノエートAakとのインビトロでの薬剤合成の評価を示す図である。
【
図28】1つのr(CUG)
exp結合リガンド上にアジドおよびアルキン部位を有するオリゴマー種を形成することのできる設計された化合物N
3−2H−K4NMeS−Aakを示す図である。
【
図29】標的をプルダウンし定量化するための、N
3−2H−K4NMeS−Aak(
図28)およびChem−React−BIPのスキームを使用することによるインセルロクリックケミストリーを示す図である。
【
図30】インセルロクリック化合物の、(A)プレ−mRNAスプライシング、(B)核内フォーカス、(C)およびDM1に関連する翻訳欠損を改善させる能力を示す図である。
【
図31】DM1患者由来細胞においてr(CUG)
expの標的切断を可能にするために、ブレオマイシンにコンジュゲートされた2H−K4NMeS誘導体を示す図である。(A)化合物の構造を示す図である。(B)標的が切断されていることを示すqRT−PCRデータを示す図である。(C)2H−K4NMeSが標的化されたr(CUG)
exp切断を阻害することができることを示す、2H−K4NMeS−ブレオマイシンA5および2H−K4NMeSが細胞に同時に添加される、競合切断データを示す図である。(D)下流のDM1関連プレ−mRNAスプライシング欠損の改善を示す図である。
【
図32】r(CUG)
expを触媒として使用することによる、FRETセンサを合成するための蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)実験のスキームを示す図である。(A)アプローチの概要を示す図である。(B)これらの実験で使用した化合物を示す図である。(C)代表的なデータを示す図である。
【
図33】2H−K4NMeSの合成スキームを示す図である。
【
図34】2H−K4NMeS−CA−ビオチンの合成スキームを示す図である。
【
図35】2NAc−K4NMeS−CA−ビオチンの合成スキームを示す図である。
【
図36】2H−K4NMeS−ブレオマイシンA5の合成スキームを示す図である。
【
図37】N
3−2H−K4NMeSの合成スキームを示す図である。
【
図38】N
3−2H−K4NMeS−ビオチンの合成スキームを示す図である。
【
図39】2H−K4NMeS活性化アルキンの合成スキームを示す図である。
【
図40】N
3−2H−K4NMeS−Aakの合成スキームを示す図である。
【
図41】ビオチンN
3−2H−K4NMeS−Aakの合成スキームを示す図である。
【
図42】N
3−2H−K4NMeS−TAMRAの合成スキームを示す図である。
【
図43】FAM−2H−K4NMeS−Aakの合成スキームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記の考慮点を考え合わせて、本発明者らは、小分子「モジュール」の細胞透過性ならびにより高分子量の多価化合物の効力および選択性を活用することのでき得るRNAリピート伸長を標的にする戦略を開発しようと試みた。インサイチュ・クリックケミストリーは、1,3ヒュスゲン双極子付加環化反応(HDCR)によって、そのような戦略をもたらすことができた。つまり、2つのモジュールは、標的において隣接部位を結合させ、そうでなければ非反応性の基を極めて接近させて共有結合を形成させる;特に、アジド部分とアルキン部分は反応して安定なトリアゾールを形成する
[10]。実際に、このアプローチは、アセチルコリンエステラーゼおよびDNA小溝を標的にするために使用されている
[10−11]。そのようなアプローチを細胞系に移すとそれは非常に影響力が強くなり得、高選択性の化学生物学プローブの開発を可能にし得るが、これはこれまでにまだ実証されていない。伸長した反復RNAは、それらが鋳型にする化合物のようにモジュール式であるので、おそらくこのアプローチに理想的な標的である(
図1A)。
【0009】
r(CCUG)
expのインセルロでの、インサイチュクリックアプローチの開発は、二量体6’−N−アシル化カナマイシンA化合物(2K−4)とr(CCUG)リピートの結合モデルを使用することによって可能になった
[6a]。このモデルの分析により、6”位のアジド基(N
3−K)と6’位のアルキン基(K−Ak)が、r(CCUG)
expの隣接する2x2ヌクレオチド内部ループとの結合によって、反応するほど非常に近接し得ることが示された(
図1B)。従って、N
3−KおよびK−Akが等量で混合される場合、二量体が形成されることができた;同様に、6”アジドと6’アルキンの両方を提示する誘導体(N
3−K−Ak;
図1B)は、オリゴマーを形成することができた。本発明者らはまた、活性化された電子欠乏アルキン、N
3−K−Aakを含む化合物も合成し(
図1A)、それはDervanのグループによってDNAを鋳型として使用してポリアミドを構築するのに用いられた
[11b]。全ての化合物は、既知経路の変形形態を用いることによって合成した(実施例の項参照)。
【0010】
本発明者らは最初に、r(CCUG)
12(
図4)がインビトロでKオリゴマーの集合体を鋳型にする能力を試験した。インキュベーション後、反応生成物を質量分析によって分析した。実際に、原子価のより大きい化合物がr(CCUG)
12の存在下で形成されたが、その不在下では形成されなかった(
図5)。この鋳型にされた反応がr(CCUG)
12に特異的であるか判断するために、本発明者らは、その他のRNAがr(CUG)
12、r(AUUCU)
12、r(CGG)
12、r(CAG)
12、完全に塩基対形成したステムを含むRNAヘアピン、およびtRNAを含むオリゴマー形成を触媒する能力を調査した(
図4)。重要なことに、少量の二量体が観察されたr(CUG)
12(<10%;
図6)を除いて、全てのRNAについて重要な反応生成物は観察されなかった。親和性はr(CCUG)
12よりもはるかに低いが、r(CUG)
12が、Kと結合する時に少量の二量体を鋳型にしたことは驚くことではない
[13]。さらに、多価化合物においてK RNA−結合モジュールを分離する最適な距離は、r(CCUG)
12よりもr(CUG)
12の方がはるかに短い
[13]。総合すると、これらの研究は、鋳型にされた反応が、r(CCUG)
12に対して選択的であり、官能基の位置決め、RNA結合モジュール、およびRNA標的によって制御されることを示す(
図6)。これらの研究は、細胞系においてこのアプローチを試験し、選択的プレ−mRNAスプライシング欠損および核内フォーカスの形成を含むDM2に関連する欠損への、鋳型にされた化合物の生物学的影響を調べるきっかけをもたらした
[3a]。
【0011】
多価化合物が実際にインセルロで鋳型にされたかを確認するために、r(CCUG)
300を発現している細胞モデル系を用いた
[14]。細胞をN
3−KとN
3−K−AkまたはN
3−K−Aakで同時に処理した。生成物の分子量を制限し、質量スペクトル分析を可能にするために、N
3−Kを使用して反応を妨害した。処理後、細胞材料およびタンパク質を有機溶媒に沈殿させることにより、反応生成物を細胞溶解物から部分的に精製した。精製画分の質量スペクトル分析により、オリゴマー化は、細胞をN
3−K−AkまたはN
3−K−AaKで処理した場合に二量体と三量体の両方の反応生成物が観察される時にr(CCUG)
300を発現している細胞で起こることが示された(
図7〜9)。重要なことに、オリゴマー化は、RNAを発現しない細胞では観察されない(
図7〜9)。従って、鋳型にされた合成は、疾患に冒された細胞にしか起こらず、r(CCUG)
300がそれ自体の阻害剤の合成を触媒することが示唆される。
【0012】
鋳型にされた反応の程度と、r(CCUG)
300が実際にオリゴマー化の触媒であったのかを確認するために、本発明者らは、ChemReactBIP(
Chemical
Reactivity and
Binding
Isolated by
Pull Down;
図2A)というアプローチを開発し、実施した。ビオチン部分を6’位に含むカナマイシン類似体(N
3−K−ビオチン;
図20および10〜12)の存在下、細胞をK−Ak、N
3−K−Ak、またはN
3−K−AaKで処理した。N
3−K−ビオチンは、インセルロで重合反応を終わらせ、オリゴマー形成した化合物とそれに結合した細胞標的を穏やかに溶解した後にストレプトアビジンビーズに捕捉させる。(
図2BおよびC)。上記のN
3−Kで達成した研究に一致して、オリゴマー形成した生成物は、r(CCUG)
300発現細胞だけに形成され、生成物へのモノマーの変換は、予測した通りN
3−K−AkよりもN
3−K−AaKでの方が大きかった
[11b]。ChemReactBIPによっても本発明者らが鋳型にされた反応の細胞標的を同定することができた。プルダウンされた画分のqRT−PCR分析により、r(CCUG)
300が、N
3−K−ビオチンおよびK−Ak、N
3−K−Ak、またはN
3−K−AaKの生成物の主な標的であることを確認した(
図2C)。プルダウンされたr(CCUG)
300標的の量は、効力の関数として増加する:N
3−K+K−Ak<N
3−K−Ak<N
3−K−Aak(下記参照)。本発明者らのその他の実験で観察されるように、多価化合物は、細胞がr(CCUG)
300を発現した場合にのみ観察された(
図2C)。
【0013】
その他のマイクロサテライトの障害で観察されるように、様々なタンパク質とr(CCUG)
expの結合は、核内フォーカスの形成を引き起こす
[3a]。色素標識したオリゴヌクレオチドによる蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)を用いて、本発明者らの化合物が、r(CCUG)
expを含有する核内フォーカスの形成を抑制するかどうか判定した(
図3A)。未処理細胞では、細胞あたりのフォーカスの平均数は、9±2である。N
3−KまたはK−Akで処理すると、細胞あたりのフォーカスの平均数は、それぞれ6±2と6±1に減少する。K−AkとN
3−Kの等モル混合物(K−Ak+N
3−K)で処理すると、フォーカスは細胞あたり1±1に減少し、これはK−AkとN
3−Kの反応生成物を模倣する予め合成した二量体に類似していた(K1,4二量体およびK1,5二量体;
図16および17)。インセルロでクリック反応して自己オリゴマー形成する誘導体である、N
3−K−AkおよびN
3−K−Aakは、さらにより強力であり、観察した細胞あたりのフォーカスは1よりも非常に小さかった(<<1)。このように、オリゴマー化の可能な程度は、生物活性に相関する。
【0014】
核内フォーカスの崩壊は、r(CCUG)
expによって捕捉されたタンパク質が遊離していることを示唆する。従って、化合物は、フォーカスにおけるMBNL1の隔離によって引き起こされる選択的プレ−mRNAスプライシング欠損も改善する可能性がある
[3a]。本発明者らは、本発明者らの化合物が、ブリッジングインテグレーター1(BIN1)のプレ−mRNAの調節不全を改善する能力を調べた(
図3B〜C、13、および14)
[14]。r(CCUG)
300が細胞に存在する場合、エクソン11は非常に頻繁に読み飛ばされるので、包含率は成熟mRNA中約20%となった。対照的に、エクソン11の包含率は、影響を受けていない細胞で約60%である。興味深いことに、フォーカスの崩壊によって測定される化合物の効力について観察される傾向は、本発明者らのBIN1選択的スプライシング欠損の改善の結果においてそっくり再現される(
図2および3)。例えば、予め合成した二量体およびN
3−K+K−Akは、BIN1選択的スプライシングパターンを同様の程度まで改善するが、N
3−K−AkおよびN
3−K−AaKはさらに強力である(
図3C)。特に、N
3−K−AaKは、ナノモル濃度でスプライシング欠損を改善する能力を保持し、本発明者らの第一世代のモジュール式に組み立てた化合物よりも100倍超改善し
[6a]、モノマーN
3−KおよびK−Akよりも1000倍超良好である。重要なことに、化合物は、r(CCUG)
300を発現しない細胞ではBIN1スプライシングパターンに影響を及ぼさない(
図15)。まとめると、鋳型にされたクリック反応に関与する本発明者らの化合物は、現在までに公知のDM2に関連するスプライシング欠損(spliceopathy)を改善する最も強力な非共有結合性化合物である。さらに、プレ−mRNAスプライシングの改善は、結合しているr(CCUG)
300に起因するものであり、非特異的作用によるものではない。
【0015】
要するに、これらの研究は、HDCRを使用してインセルロで疾患に冒された細胞においてのみRNA阻害剤の合成を鋳型にし得ることを確立する。Sharplessと同僚によって既に明確に表現されたように
[10]、この技術には多数の用途がある。RNA反復障害は、特に魅力的な用途であり得る。数千もの反復単位を有し得る標的の性質により、鋳型にされた産物を高収量で生成し得た。さらに、ALS、DM1、およびDM2などの多くのRNA機能獲得障害は、脳機能障害を引き起こすので、血液脳関門を通過する能力を有する低分子量化合物を開発することが重要になる。まとめると、クリック反応は、疾患の細胞と組織の両方のモデルにおいて多価化合物の効力をもつ高浸透性の低分子量モノマーを生じ得た。
【0016】
このアプローチは、DM2に観察されるものと同様の疾患機構を有する、DM1の原因物質(r(CUG)
exp)の標的にも適用された。DM1は、DMPKの3’UTRに位置するr(CUG)
expによって引き起こされ、それはまた、MBNL1などのRNA生合成に関与するタンパク質と結合し、それを捕捉する(
図21)。
【0017】
本発明者らは、細胞およびDM1マウスモデルにおいてr(CUG)
expと結合し、DM1機能障害を改善させる、N−メチルペプチド骨格、2H−K4NMeに提示されるH RNA結合モジュールを含む二量体化合物を既に記載している。(
図22;Rzuczek SG,Gao Y,Tang ZZ,Thornton CA,Kodadek T,Disney MD.ACS Chem Biol.2013 Oct 18;8(10):2312−21)。ラットミクロソームに2時間曝した後、化合物の35%だけがインタクトであった。化合物を調べると、アミド結合が代謝的不安定性の原因(metabolic liability)であり得ることが示唆された;従ってアミドをN−メチルアミドに置き換えて2H−K4NMeSを生成した、これはラットミクロソームに安定性であることが分かった(
図22)。
【0018】
この安定な化合物、2H−K4NMeSを、DM1患者由来線維芽細胞におけるプレ−mRNAスプライシング欠損の改善について試験し(Konieczny,P.;Stepniak−Konieczna,E.;Sobczak,K.Nucleic Acids Research 2014,42,10873参照)、100nMよりも高い濃度で欠損の50%超を救済することを見出した(
図23)。2H−K4NMeS(代謝的に安定)および2H−K4NMe(代謝的に不安定)を、次にHSA
LRマウスモデルにおけるプレ−mRNAスプライシング欠損の改善について試験した(Mankodi,A.,Logigian,E.,Callahan,L.,McClain,C.,White,R.,Henderson,D.,Krym,M.,and Thornton,C.A.(2000)Myotonic dystrophy in transgenic mice expressing an expanded CUG repeat.Science 289,1769−1773参照)。これらの結果は、2H−K4NMeSが、2H−K4NMeと比較してマウスモデルにおいてClcn1プレ−mRNAスプライシング欠損の改善で7倍超強力であることを示す(
図23)。
【0019】
2H−K4NMeSの良好な活性を考え合わせて、この分子の細胞標的を化学的架橋およびプルダウンによる単離(Chem−CLIP)を用いて探索した。このアプローチでは、親化合物2H−K4NMeS−CA−ビオチンの反応性誘導体は、反応性モジュール(CA)および精製タグ(ビオチン)を含む。Chem−CLIPプローブの構造を
図24Aに示す。この化合物のRNA標的とのインビトロ反応の試験を達成し、この化合物がr(CUG)
109と最も効果的に反応したことが示された(
図24B)。
【0020】
次に、この化合物のDM1患者由来線維芽細胞への適用を達成して、化合物のRNA標的の特性を明らかにした。化合物の曝露および細胞の溶解の後、全RNAをストレプトアビジン樹脂に捕捉した。結合したビオチン化物質を樹脂から遊離させ、qRT−PCRを使用することによって定量化した。これらの研究は、3’UTRにr(CUG)
expを含んだDMPK mRNAがプルダウンで著しく濃縮されることを示した(
図24C)。2H−K4NMeS−CA−ビオチンに対して過剰な非反応性2H−K4NMeSを添加し、Chem−CLIPを繰り返すことにより―この実験は、競合的化学的架橋およびプルダウンによる単離(C−Chem−CLIPと呼ばれる―非反応性の化合物が、プルダウンされた画分中のDMPKの量を激減させることが示される(
図24D)。
【0021】
次に、リガンド結合部位の位置付けのための化学的架橋およびプルダウンによる単離(Chemical Crosslinking and Isolation by Pull Down to Map Ligand Binding Sites)(Chem−CLIP−Map)を実施して、DMPK mRNA中の2H−K4NMeS−CA−ビオチンの結合部位を同定した(Yang,W.−Y.,Wilson,H.D.,Velagapudi,S.P.,and Disney,M.D.(2015)Inhibition of non−ATG translational events in cells via covalent small molecules targeting RNA,J.Am.Chem.Soc.137,5336−5345)。これは、2H−K4NMeS−CA−ビオチンとアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびRNアーゼHによってプルダウンしたDMPK mRNAを正確に切断することによって達成された。2H−K4NMeS−CA−ビオチンによる反応によってビオチン化された切断された断片をストレプトアビジン樹脂に捕捉し、精製した。定量化により、DMPK mRNAの3’UTRにr(CUG)
expを含有する断片が、プルダウンされた画分において著しく濃縮されたことが示され、化合物の予測した結合部位が検証された。
【0022】
次に、2H−K4NMeSの誘導体を、本明細書においてDM2 RNAについて提示される実験との類似性によって、r(CUG)
expを標的化する二量体化合物をオンサイトで合成する細胞のクリック反応でそれを使用することができるように合成した。一連の化合物(i)1つのアジドを提示した(N
3−2H−K4NMeS);および(ii)N−メチル骨格から様々な距離で活性化アルキンを提示した(2H−K4NMeS−活性化アルキン)が合成された。これらの構造を
図26に示す。
【0023】
最初に、本発明者らは、隣接する部位に結合した2つの化合物間のHDCRによって、
図26に示される構造のオリゴマー化をr(CUG)
12が触媒することができるかを調べた。結果は、2H−K4NMeS−Aakが、r(CUG)
12の存在下でN
3−2H−K4NMeSと反応する最も良いアルキンスペーサー単位をもたらしたことを示す(
図27A)。最適な化合物は、次に、その他の核酸を使用することによって触媒されているそれらの結合(union)について試験され(
図27B)、r(CUG)
12だけが有意な反応収量をもたらしたことが示された。
【0024】
次に、上で明らかになったスペーシングの教訓を用いて、単一の小分子に反応性のアジド部分とアルキン部分を有する小分子を設計した。化合物N
3−2H−K4NMeS−Aakをこのように合成した(
図28)。この化合物は、r(CUG)
expの存在下で、対応するアジドおよびアルキンでタグ付けされた化合物の混合物よりも大きいオリゴマーを形成することができるはずである。
【0025】
患者由来細胞におけるN
3−2H−K4NMeS−Aakオリゴマー化の程度は、ChemReactBIPを使用することによって試験した。このアプローチでは、出発物質および反応生成物の両方をストレプトアビジン捕捉によって細胞から精製させる(
図29B)、N
3−2H−K4NMeS−Aakの変形を合成した(ビオチン−N
3−2H−K4NMeS−Aak、
図29A)。これらの研究は、オリゴマー生成物がDM1由来線維芽細胞においてのみ見出されることを示した(
図29C)。
【0026】
上記のデータは、DM1のオンサイトでの薬物合成が実行可能であることを示したので(
図29)、この化合物(N
3−2H−K4NMeS−Aak)の生物活性を評価した。N
3−2H−K4NMeS−Aakの添加は、DM1に関連するプレ−mRNAスプライシング欠損を10nMの投与量で50%超改善し、N
3−2H−K4NMeS単独による処理またはN
3−2H−K4NMeSおよび2H−K4NMeS−Aakの同時処理よりもはるかに強力であった(
図30A)。次に、化合物のRNAフォーカスへの影響を測定し、クリック反応可能な化合物N
3−2H−K4NMeS−Aakが細胞に添加された場合に、より少ないフォーカスが観察されたことが示された(
図30B)。最後に、r(CUG)
expを含有するDMPK mRNAは、核内に保持されるほど十分に低いレベルで翻訳される(Childs−Disney,J.L.;Hoskins,J.;Rzuczek,S.G.;Thornton,C.A.;Disney,M.D.ACS Chemical Biology 2012)。従って、N
3−2H−K4NMeS−Aakは、フォーカスでの隔離を緩和することによってDMPKの細胞内局在を変え、翻訳を刺激することができる。N
3−2H−K4NMeS−Aakを添加することにより、長い毒性のあるr(CUG)リピートを含む細胞においてナノモル濃度でのDMPK翻訳欠損が改善されたが、病原性のリピートをもたない細胞には影響がなかった。
【0027】
要するに、これらのデータは、化合物のリード最適化が、それらをより安定にするために骨格を変えることによって達成され得ることを示す。これらの化合物がアジド部分およびアルキン部分を備えることにより、DM1患者由来細胞におけるオンサイトでの薬物合成が可能になり、非常に高い効力がもたらされる。
【0028】
次に、r(CUG)
expを切断するアプローチを開発した。天然物ブレオマイシン(bleomcyin)はDNAを切断できることが示されたが、インビトロでRNA標的を切断したことも示された(Carter,B.J.;de Vroom,E.;Long,E.C.;van der Marel,G.A.;van Boom,J.H.;Hecht,S.M.Proceedings of the National Academy of Sciences 1990,87,9373)。従って、ブレオマイシンに2H−K4NMeSを付加することにより、これらの化合物に患者由来細胞においてr(CUG)
expを切断する能力を与えることができ得る。2H−K4NMeS−ブレオマイシン(Bleomcyin)A5の合成は、このように達成した(
図31A)。この化合物をDM1患者由来線維芽細胞に適用すると、qRT−PCRによって評価されるDMPK mRNAのレベルは低下するが、健康な線維芽細胞ではDMPK mRNAレベルには影響がなかった(
図31B)。この化合物がDMPK mRNAを選択的に切断する能力をさらに試験するため、4倍過剰の2H−K4NMeSに対して2H−K4NMeS−ブレオマイシン(Bleomcyin)A5を細胞に添加した。予期した通り、非反応性の化合物は結合に関して反応性の化合物と競合し、切断の量を低下させ、選択性を示唆した(
図31C)。これらの切断実験は、プレ−mRNAスプライシング欠損の改善とも相関した(
図31D)。
【0029】
蛍光レポーターも、RNAに触媒されるクリック反応に基づいてオンサイトで合成した。このアプローチでは、クリック反応時にFRETを観察することができるように、クリック反応を受けることのできる化合物をFRET対でタグ付けする(
図32A)。FAM(フルオレセイン)およびTAMARA(5−カルボキシテトラメチルローダミン)FRET染料対を使用し、FAM−2H−K4NMeS−AakおよびN
3−2H−K4NMeS−TAMARAを得た。化合物の添加により、r(CUG)
12の存在下でのみ、FRETの強化が示された。従って、このアプローチは、広い適用性を有するFRETレポーターのオンサイトでの合成を可能にする。
【0030】
引用文献
[1]M.L.Yeung,Y.Bennasser,K.T.Jeang,Curr.Med.Chem.2007,14,191−197。
【0031】
[2]M.E.MacDonald,J.F.Gusella,Curr.Opin.Neurobiol.1996,6,638−643。
【0032】
[3]a)A.Mankodi,P.Teng−Umnuay,M.Krym,D.Henderson,M.Swanson,C.A.Thornton,Ann.Neurol.2003,54,760−768;b)H.T.Orr,H.Y.Zoghbi,Annu.Rev.Neurosci.2007,30,575−621。
【0033】
[4]a)J.R.Thomas,P.J.Hergenrother,Chem.Rev.2008,108,1171−1224;b)L.Guan,M.D.Disney,ACS Chem.Biol.2012,7,73−86。
【0034】
[5]J.R.Brouwer,R.Willemsen,B.A.Oostra,BioEssays 2009,31,71−83。
【0035】
[6]a)J.L.Childs−Disney,I.Yildirim,H.Park,J.R.Lohman,L.Guan,T.Tran,P.Sarkar,G.C.Schatz,M.D.Disney,ACS Chem.Biol.2014,9,538−550;b)M.D.Disney,L.P.Labuda,D.J.Paul,S.G.Poplawski,A.Pushechnikov,T.Tran,S.P.Velagapudi,M.Wu,J.L.Childs−Disney,J.Am.Chem.Soc.2008,130,11185−11194。
【0036】
[7]C.L.Liquori,K.Ricker,M.L.Moseley,J.F.Jacobsen,W.Kress,S.L.Naylor,J.W.Day,L.P.Ranum,Science 2001,293,864−867。
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【0041】
[12]M.D.Disney,J.L.Childs−Disney,Chembiochem 2007,8,649−656。
【0042】
[13]M.M.Lee,J.L.Childs−Disney,A.Pushechnikov,J.M.French,K.Sobczak,C.A.Thornton,M.D.Disney,J.Am.Chem.Soc.2009,131,17464−17472。
【0043】
[14]C.Fugier,A.F.Klein,C.Hammer,S.Vassilopoulos,Y.Ivarsson,A.Toussaint,V.Tosch,A.Vignaud,A.Ferry,N.Messaddeq,Y.Kokunai,R.Tsuburaya,P.de la Grange,D.Dembele,V.Francois,G.Precigout,C.Boulade−Ladame,M.C.Hummel,A.L.de Munain,N.Sergeant,A.Laquerriere,C.Thibault,F.Deryckere,D.Auboeuf,L.Garcia,P.Zimmermann,B.Udd,B.Schoser,M.P.Takahashi,I.Nishino,G.Bassez,J.Laporte,D.Furling,N.Charlet−Berguerand,Nat.Med.2011,17,720−725。
【0044】
[実施例]
コンピュータ解析のための方法
本発明者らは以前、2K−4、すなわちペプトイドによって連結された2つのK RNA−結合モジュールと、2つの5’C
CUG/3’G
UCCループを含有するRNAとの結合のモデルを公開した
[1]。ペプトイドを除去し、リンカーを含めるためにK RNA−結合モジュールを次のように編集した:(i)1つのKの環IのC6’には、ヘキサ−5−インアミドかまたはN−(2−アミノ−2−オキソエチル)プロピオルアミドのいずれかを含めた;そして(ii)アジド基をもう一方のKの環IIIのC6”に付加した。リンカーの立体構造の走査を実施して、2つのKの反応性の終端が互いのすぐ近くにあるかどうかを調べた。非冗長性の立体構造の徹底的走査を、MacroModel(Schrodinger、LLC)でOPLS_2005力場を使用して実施した
[2]。結果は、複数の立体構造が2つの反応性基を非常に近接させていて、エチニルCとアジドNとの最も短い距離は、ヘキサ−5−インアミドおよびN−(2−アミノ−2−オキソエチル)プロピオルアミドリンカーにおいて、それぞれ2.61Åおよび2.37Åであることを示した(
図1、BI)。
【0045】
各々の構造中で最も近い反応性基を有するこれらのリンカーの組を使用して、環化付加最終産物、K1,4−二量体およびK1,5−二量体のモデルを作製した。各々のリンカーの組み合わせ(ヘキサ−5−インアミド+N
3またはN−(2−アミノ−2−オキソエチル)プロピオルアミド+N
3)で、K1,5−二量体は、1つの立体構造を有する。各々のリンカーの組み合わせで、K1,4−二量体は、2つの主な立体構造、溶媒に向かうトリアゾール環C
5H(C
5H−out)かまたはRNA主溝に向かうトリアゾール環C
5H(C
5H−in)が可能であることを示した。合計6つのモデルをこのように作製した(
図1、BIIおよびBIII)。複合体の安定性と、結合したKのリンカーの影響を観察するために、手短に各々の構造のエネルギー極小化、続いて分子運動学(MD)シミュレーションを行った。MDシミュレーションは、Desmond
[3]とOPLS_2005力場
[2]を用いて実施した。各々のモデル構造を、各方向に10Åを安定させる(buffers)、TIP3水および150mM NaClを含む斜方晶の箱で溶媒和させた。追加のイオンを添加して系を中和させた。MDシミュレーションの前に、拘束/非拘束最小化および等温と等圧のアンサンブルを用いる短いシミュレーションからなる、NPT緩和プロトコルを用いて系を予め平衡させた。10ナノ秒のMDシミュレーションを、一定の温度(300K)および圧力(1.01325bar)で実施した。位置拘束がシミュレーションを通してRNAに適用された。短距離および長距離のクーロン力の相互作用を、9Å半径(短い)を用いるカットオフ法および許容差o 1×10
−9(長い)を用いる滑らかな粒子・メッシュ・エワルド許容差法に設定した。シミュレーションの解析は、Maestroグラフィックインターフェースによって達成した。
【0046】
系の体積、圧力、温度および可能なエネルギーに顕著な変動がないことを観察した。値が連続的に増加した2つの例を除いて、シミュレーションの大部分で約4〜6ナノ秒後に系の全エネルギーを安定化させた。しかし、シミュレーション期間中の勾配は0.05kcal/ps未満であった。K部分とRNAとの水素結合は、シミュレーションを通して保存された。図は、PyMol(Schrodinger、LLC)を用いて準備された。
【0047】
化合物の合成方法および化合物の特徴づけ
略語。DIC、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド;DIEA、N,N−ジイソプロピルエチルアミン;DMF、N,N−ジメチルホルムアミド;HPLC、高速液体クロマトグラフィー;HRMS、高解像度質量分析;LC−MS、液体クロマトグラフィー−質量分析;MeOH、メタノール;MALDI ToF/ToF、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型/飛行時間型;MS、質量分析;NBD、7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル;TFA、トリフルオロ酢酸
合成。Fmoc−Rinkアミド樹脂(0.59ミリモル/g)は、Advanced ChemTechより購入した。N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、無水)は、EMDより購入し、さらなる精製を行わずに使用した。ピペリジン、トリフルオロ酢酸(TFA)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、および2−ブロモ酢酸は、シグマ・アルドリッチより購入した。N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、およびFmoc−β−アラニンは、Advanced ChemTechより購入した。Fmoc−N−メチル−L−アラニンおよびN−(4−アミノブチル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルエステルは、Combi−Blocksより購入した。N−(4−アミノエチル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルエステルは、Oakwood Productsより購入した。クロラムブシルは、MP Biomedicalsより購入した。ブレオマイシンA5は、LKT Laboratoriesより購入した。ヘキストカルボン酸塩(Pushechnikov A,Lee MM,Childs−Disney JL,Sobczak K,French JM,Thornton CA,Disney MD.J Am Chem Soc.2009 Jul 22;131(28):9767−79)、2H−K4NMe(Rzuczek SG,Gao Y,Tang ZZ,Thornton CA,Kodadek T,Disney MD.ACS Chem Biol.2013 Oct 18;8(10):2312−21)、およびビオチンアミン(Yamada,M.;Harada,K.;Maeda,Y.;Hasegawa,T.New Journal of Chemistry 2013,37,3762)は、これまでに報告されたように合成した。N−メチルペプチドは、Biotage Initiator+SP Waveマイクロ波を用いて合成した。
【0048】
化合物の精製および分析。分取HPLCは、Waters2487二重波長吸光度検出器およびWaters Sunfire C18 OBD 5μm 19×150mmカラムを備えたWaters1525 Binary HPLCポンプを用いて実施した。吸光度は、280および220nmでモニターした。60分で0.1%TFAを含むH
2O中0〜100%MeOHの勾配を化合物の精製に使用した。分析用HPLCは、Waters Symmetry C18 5μm 4.6×150mmカラムを用いて実施した。評価した全ての化合物は、分析用HPLCにより測定して、95%以上の純度を有した。質量分析は、アプライドバイオシステムズMALDI ToF/ToF分析計4800プラスでα−ヒドロキシ桂皮酸マトリックスを用いて実施した。全てのマイクロ波反応は、Biotageイニシエーター+SP Waveマイクロ波を用いて実施した。高解像度質量スペクトル分析は、ケミカルサイエンス質量分析センターのイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校によって実施された。
【0049】
K1,4二量体の合成。
図16を参照されたい。N
3−K(50mg、50μモル)およびK−Ak(45mg、50μモル)を、DMFおよび水(3mL)の1:1混合物に溶解し、ポリトリアゾールCu(I)触媒(10mg、16μモル)
[4]、およびEt
3N(500μL、3.6ミリモル)で処理した。反応混合物を、100℃で2.5時間電子レンジにかけ、その後、反応混合物を濃縮し、上記のような逆相HPLCによって精製した。収率:11%;6.2mgの白色の固体をTFA塩として得た。H
1NMR(700mHz,D
2O,TSP):δ4.31(m,2H),3.99(m,2H),3.92(m,2H),3.75(m,9H),3.54(m,7H),3.41(t,2H,J=10Hz),3.31(m,2H),3.24(dd,2H,J=7,13),2.73(t,2H,J=8Hz),2.52(m,2H),2.34(t,2H,J=8Hz),1.92(m,4H),1.25(m,4H);C
13NMR(175mHz,D
2O,TSP):δ=179.8,166.2,166.0,165.8,165.6,150.3,132.1,127.8,121.8,120.1,118.4,116.8,103.7,103.5,101.2,100.3,86.6,82.4,81.7,76.0,75.7,75.0,74.9,74.1,74.0,73.7,73.6,72.9,72.5,71.6,71.1,70.9,69.5,68.2,62.6,57.9,53.1,52.9,52.6,51.2,50.9,43.2,42.1,38.0,31.2,30.7,30.6,28.1,27.0ppm;HRMS(ESI)m/z C
42H
79N
12O
11についての計算値(M+H)1087.5483;実測値1087.5453。
【0050】
K1,5二量体の合成。
図17を参照されたい。Boc−N
3−K(20mg、20μmol)およびBoc−K−Ak(23mg、20μmol)を、トルエン(2mL)に溶解し、アルゴン下に置いた。このサンプルをペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)クロライド(6mg、0.8μmol)で処理し、130℃で3時間電子レンジにかけた。次に、反応混合物を濾過し、濃縮した。残渣をCH
2Cl
2中TFAの1:1混合物で0℃で2時間処理した。反応混合物を濃縮し、上記のような逆相HPLCによって精製した。収率:0.5%;1mgの白色の固体をTFA塩として得た。
1H NMR(700mHz,D
2O,TSP):δ7.66(s,1H),3.52(m,32H),2.53(m,2H),2.37(m,2H),2.24(m,2H),1.98,(m,2H),1.87(m,4H),1.34(m,4H);
13C NMR(175mHz,D
2O,TSP):δ=179.8,166.2,166.0,165.8,165.6,121.8,120.1,118.4,116.8,103.5,103.4,101.0,98.4,87.6,86.5,82.3,81.2,76.0,75.9,75.8,75.7,75.1,74.1,74.0,73.6,73.0,72.9,71.7,71.6,71.1,68.2,62.6,57.9,57.3,52.6,51.1,51.0,50.8,50.5,45.5,43.2,42.1,37.5.30.9,30.6,27.0,20.6,19.9,19.2,15.1ppm;HRMS(ESI)m/z C
42H
78N
11O
22についての計算値(M+H)1088.5323;実測値1088.5316。
【0051】
N
3−K−Akの合成。
図18を参照されたい。N
3−K(25mg、49μmol)を、アセトンおよび水(2mL)の1:1混合物に溶解し、NBD−活性化6−アミノヘキシン酸(6mg、49μmol)を添加した。反応を室温で一晩撹拌した後、溶媒を真空除去した。得られる残渣を上記のような逆相HPLCによって精製した。収率:20%;5mgの白色の固体をTFA塩として得た。
1H NMR(700mHz,D
2O,TSP):δ=4.05(m,1H),3.91(m,4H),3.78(t,2H,J=9),3.74(dd,2H,J=4,14),3.70(m,4H),3.66(m,2H),3.61(dd,1H,J=5,15),3.55(dd,2H,J=5,12),3.48(m,2H),3.34(t,1H,J=10),2.71(s,1H),2.50(d,2H,J=12),1.86(m,2H),1.44(t,1H,J=7);
13C NMR(175mHz,D
2O,TSP):δ=166.2,166.0,165.8,165.6,162.2,121.8,120.1,119.6,118.4,118.0,116.8,103.6,102.0,86.5,76.1,75.2,74.3,73.9,73.5,71.1,69.1,57.7,53.3,52.9,43.2,41.6,19.4,19.0ppm;HRMS(ESI)m/z C
24H
42N
7O
11についての計算値(M+H)604.2942;実測値604.2938。
【0052】
N
3−K−Aakの合成。
図19を参照されたい。2−プロピオルアミド酢酸(Propiolamidoacetic acid)(175mg、1.36ミリモル)を、無水DMFに溶解し、DIC(213μL、1.4ミリモル)、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン(norborene)−2,3−ジカルボキシイミド(243mg、1.36ミリモル)、およびDIEA(600μL、3.4ミリモル)で処理した。反応混合物をアルゴン下、室温で一晩撹拌した。次に、N
3−K(20mg、40μモル)を、アセトンおよび水(2mL)の1:1混合物に溶解し、500μLのNBD−活性化酸を4時間にわたって徐々に添加した。次に、溶媒を真空除去し、得られる残渣を上記のような逆相HPLCによって精製した。収率:2%、600μmol。
1H NMR(700mHz,D
2O,TSP):δ=4.06(m,1H),3.98(d,1H,J=5),3.94(dd,1H,J=3,11),3.83(t,2H,J=10),3.52(m,14H),2.43(d,2H,J=11),1.73(m,2H);
13C NMR(175mHz,D
2O,TSP):δ=169.8,166.3,166.0,165.8,165.6,131.9,126.0,121.8,120.1,118.4,116.8,103.4,76.5,75.2,74.2,74.2,74.1,73.8,73.7,73.4,71.6,71.2,69.4,69.2,57.7,53.6,53.3,53.2,53.0,51.5,45.5,43.2,42.7ppm;HRMS(ESI)m/z C
23H
39N
8O
12についての計算値(M+H)619.2687;実測値619.2680。
【0053】
N
3−K−ビオチンの合成。
図20を参照されたい。N
3−K(17mg、30μmol)を、アセトンおよび水(2mL)の1:1混合物に溶解し、NBD−ビオチン(12mg、30μmol)を添加した。反応を室温で一晩撹拌した後、溶媒を真空除去した。得られる残渣を上記のような逆相HPLCによって精製した。収率:7%;1.6mgの白色の固体をTFA塩として得た。
1H NMR(700mHz,D
2O,TSP):δ=4.60(m 1H),4.41(m,1H),4.05(m,1H),3.91(dd,2H,J=4,11),3.83(m,2H),3.67(m,5H),3.55(dd,2H,J=5,14),3.45(m,2H),3.31(m,2H),3.19(m,1H),2.98(dd,1H,J=8,13),2.77(d,1H,J=13),2.38(m,1H),2.28(t,2H,J=7),1.65(m,5H),1.39(m,2H),1.32(m,2H);
13C NMR(175mHz,D
2O,TSP):δ=177.4,177.0,165.3,163.3,162.9,162.5,162.2,134.3,120.5,117.6,114.7,111.8,100.5,98.3,83.4,79.9,73.0,72.2,71.4,71.2,71.1,70.1,68.1,66.2,62.0,60.2,55.4,54.7,51.1,50.4,49.8,48.1,44.3,42.6,39.6,39.1,35.3,27.8,27.6,25.1ppm;HRMS(ESI)m/z C
28H
50N
9O
12Sについての計算値(M+H)736.3300;実測値736.3297。
【0055】
2H−K4NMeSの合成。
図33を参照されたい。Rinkアミド樹脂(500mg、0.3ミリモル)をDMF中で室温で10分間膨潤させ、次にDMF中20%ピペリジンの溶液で脱保護した(5mL、2×20分)。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、DMF中1Mブロモ酢酸の溶液(4mL)およびDIC(250μL、1.6ミリモル)と2回反応させた。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、N−(4−アミノブチル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルエステル(121mg、0.6ミリモル)のDMF(4mL)溶液と反応させた。樹脂をこの溶液とともに室温で1時間振盪し、その後DMFで洗浄した(3×5mL)。次に、Fmoc−N−メチル−L−アラニン(264mg、0.81ミリモル)、DIC(250μL、1.6ミリモル)、HOAt(110mg、0.81ミリモル)、およびDIEA(141μL、0.81ミリモル)のDMF(4mL)溶液を添加し、反応物をマイクロ波によって75℃に30分間加熱した。樹脂をDMFで洗浄し、Fmocを20%ピペリジン/DMFで除去した(2×10分)。このサイクルを合計4回繰り返した。次に、樹脂をDMFおよびDCMで洗浄し、その後、30%TFA/DCM(5mL)で10分間処理した。溶液を真空濃縮し、トルエンで3回共沸させた。結果として得られる淡黄色の油状物質を、ヘキストカルボン酸塩(80mg、0.16ミリモル)、HOAt(22mg、0.16ミリモル)、DIC(25μL、0.16ミリモル)およびDIEA(100μL)のDMF(2mL)溶液で処理し、マイクロ波によって75℃に1.5時間加熱した。次に、溶液を真空濃縮し、1時間にわたって20〜100%MeOH/H
2O+0.1%(v/v)TFAによる逆相HPLCを用いて精製した。640ナノモルの2H−K4NMeSを単離した;0.2%。2H−K4NMeS(C
81H
101N
19O
9)MS計算値(M+H)1484.81、MS実測値1484.93(M+H);t
R=32分。
【0056】
2H−K4NMeS官能基化中間体の合成。Rinkアミド樹脂(500mg、0.3ミリモル)をDMF中で室温で10分間膨潤させ、次にDMF中20%ピペリジンの溶液で脱保護した(5mL、2×20分)。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、DMF中1Mブロモ酢酸の溶液(4mL)およびDIC(250μL、1.6ミリモル)と2回反応させた。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、N−(4−アミノブチル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルエステル(121mg、0.6ミリモル)のDMF(4mL)溶液と反応させた。樹脂をこの溶液とともに室温で1時間振盪し、その後DMFで洗浄した(3×5mL)。次に、Fmoc−N−メチル−L−アラニン(264mg、0.81ミリモル)、DIC(250μL、1.6ミリモル)、HOAt(110mg、0.81ミリモル)、およびDIEA(141μL、0.81ミリモル)のDMF(4mL)溶液を添加し、反応物をマイクロ波によって75℃に30分間加熱した。樹脂をDMFで洗浄し、Fmocを20%ピペリジン/DMFで除去した(2×10分)。このサイクルを合計3回繰り返した。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、DMF中1Mブロモ酢酸の溶液(4mL)およびDIC(250μL、1.6ミリモル)と2回反応させた。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、N−(4−アミノエチル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルエステル(105mg、0.6ミリモル)のDMF(4mL)溶液と反応させた。樹脂をこの溶液とともに室温で1時間振盪し、その後DMFで洗浄した(3×5mL)。
【0057】
2H−K4NMeS−CA−ビオチンの合成。
図34を参照されたい。上で調製した2H−K4NMeS中間体樹脂を、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、DMF中1Mブロモ酢酸の溶液(4mL)およびDIC(250μL、1.6ミリモル)と2回反応させた。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、ビオチンアミン(200mg、0.6ミリモル)のDMF(4mL)溶液と反応させた。樹脂をこの溶液とともに室温で1時間振盪し、その後DMFで洗浄した(3×5mL)。次に、Fmoc−β−アラニン(252mg、0.81ミリモル)、DIC(250μL、1.6ミリモル)、HOAt(110mg、0.81ミリモル)、およびDIEA(141μL、0.81ミリモル)のDMF(4mL)溶液を添加し、反応物をマイクロ波によって75℃に30分間加熱した。樹脂をDMFおよびDCMで洗浄し、その後、30%TFA/DCM(5mL)で10分間で処理した。溶液を真空濃縮し、トルエンで3回共沸させた。結果として得られる淡黄色の油状物質を、ヘキストカルボン酸塩(80mg、0.16ミリモル)、HOAt(22mg、0.16ミリモル)、DIC(25μL、0.16ミリモル)およびDIEA(100μL)のDMF(2mL)溶液で処理し、マイクロ波によって75℃に1.5時間加熱した。次に、溶液を真空濃縮し、1時間にわたって20〜100%MeOH/H
2O+0.1%(v/v)TFAによる逆相HPLCを用いて精製した。次に、Fmocを20%ピペリジン/DMF(1×10分)によって除去し、その後真空濃縮した。143ナノモル(0.05%)の遊離アミン二量体を単離し、クロラムブシル(1mg、3μモル)、DIC(25μL、0.16ミリモル)およびDIEA(25μL)のDMF(200μL)溶液で室温にて3時間処理した。次に、溶液を真空濃縮し、1時間にわたって20〜100%MeOH/H
2O+0.1%(v/v)TFAによる逆相HPLCを用いて精製した。119ナノモルの2H−K4NMeS−CA−ビオチンを単離した;0.04%。2H−K4NMeS−CA−ビオチン(C
113H
149Cl
2N
26O
14S)MS計算値2196.08(M+H)、MS実測値2195.96(M+H);t
R=30分。
【0058】
2NAc−K4NMeS−CA−ビオチンの合成。
図35を参照されたい。2H−K4NMeS−CA−ビオチンについて上記のように合成したが、ヘキストカルボン酸塩と結合する代わりに、ペプチドを無水酢酸およびDIEAの1:1溶液(合計量400μL)で室温で1時間処理した。800ナノモルの2NAc−K4NMeSを単離した;0.3%)。2NAc−K4NMeS(C
59H
96Cl
2N
14O
12SNa)MS計算値1317.63(M+Na)、MS実測値1317.28(M+Na);t
R=18分。
【0059】
2H−K4NMeS−ブレオマイシンA5の合成。
図36を参照されたい。上で調製した2H−K4NMeS中間体樹脂を、6−(Fmoc−アミノ)ヘキサン酸(286mg、0.81ミリモル)DIC(250μL、1.6ミリモル)、HOAt(110mg、0.81ミリモル)、およびDIEA(141μL、0.81ミリモル)のDMF(4mL)溶液と反応させ、添加し、反応物をマイクロ波によって75℃に30分間加熱した。樹脂をDMFおよびDCMで洗浄し、その後、30%TFA/DCM(5mL)で10分間で処理した。溶液を真空濃縮し、トルエンで3回共沸させた。結果として得られる淡黄色の油状物質を、ヘキストカルボン酸塩(80mg、0.16ミリモル)、HOAt(22mg、0.16ミリモル)、DIC(25μL、0.16ミリモル)およびDIEA(100μL)のDMF(2mL)溶液で処理し、マイクロ波によって75℃に1.5時間加熱した。次に、溶液を真空濃縮し、1時間にわたって20〜100%MeOH/H
2O+0.1%(v/v)TFAによる逆相HPLCを用いて精製した。次に、Fmocを20%ピペリジン/DMF(1×10分)によって除去し、その後真空濃縮した。450nmol(0.2%)の遊離アミン二量体を単離し、それをN,N’−ジスクシンイミジルカルボナート(450nmol、LKT Labs)およびDIEA(10μL)の無水DMF(50μL)中の溶液で処理した。反応物を室温で撹拌し、さらなるN,N’−ジスクシンイミジルカルボナートを、出発物質の80〜90%が消費されるまで定期的に添加した。次に、ブレオマイシンA5−銅錯体(450nmol)の無水DMF中の溶液を添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。次に、溶液を真空濃縮し、逆相HPLCを用いて最初に水中0.1mM EDTA(pH6.3)を15分間使用した後、0〜100%のCH
3CN/H
2O+0.1%TFAを1時間にわたって使用することによって精製した。52ナノモルの2H−K4NMeS−ブレオマイシンA5を単離した(0.02%)。2H−K4NMeS−ブレオマイシンA5(C
146H
203N
40O
32S
2)MS計算値3092.49(M+H)、MS実測値3092.18(M+H);t
R=35分。
【0060】
N
3−2H−K4NMeSの合成。
図37を参照されたい。Rinkアミド樹脂(200mg、0.12ミリモル)をDMF中で室温で10分間膨潤させ、次にDMF中20%ピペリジンの溶液で脱保護した(3mL、2×20分)。樹脂をDMFで洗浄し(3×3mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、DMF中1Mブロモ酢酸の溶液(2mL)およびDIC(125μL、0.8ミリモル)と2回反応させた。樹脂をDMFで洗浄し(3×3mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、3−アジドプロピルアミン(60mg、0.6ミリモル)のDMF(2mL)溶液と反応させた。樹脂をこの溶液とともに室温で1時間振盪し、その後DMFで洗浄した(3×3mL)。樹脂を再び、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、DMF中1Mブロモ酢酸の溶液(2mL)およびDIC(125μL、0.8ミリモル)と2回反応させた。樹脂をDMFで洗浄し(3×3mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、N−(4−アミノブチル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルエステル(60mg、0.3ミリモル)のDMF(2mL)溶液と反応させた。樹脂をこの溶液とともに室温で1時間振盪し、その後DMFで洗浄した(3×3mL)。次に、Fmoc−N−メチル−L−アラニン(132mg、0.4ミリモル)、DIC(125μL、0.8ミリモル)、HOAt(55mg、0.4ミリモル)、およびDIEA(70μL、0.4ミリモル)のDMF(2mL)溶液を添加し、反応物をマイクロ波によって75℃に30分間加熱した。樹脂をDMFで洗浄し、Fmocを20%ピペリジン/DMFで除去した(2×10分)。このサイクルを合計4回繰り返した。次に、樹脂をDMFおよびDCMで洗浄し、その後、30%TFA/DCM(5mL)で10分間処理した。溶液を真空濃縮し、トルエンで3回共沸させた。結果として得られる淡黄色の油状物質を、ヘキストカルボン酸塩(40mg、0.08ミリモル)、HOAt(11mg、0.08ミリモル)、DIC(25μL、0.16ミリモル)およびDIEA(50μL)のDMF(1mL)溶液で処理し、マイクロ波によって75℃に1.5時間加熱した。次に、溶液を真空濃縮し、1時間にわたって20〜100%MeOH/H
2O+0.1%(v/v)TFAによる逆相HPLCを用いて精製した。640ナノモルのN
3−2H−K4NMeSを単離した;0.5%。N
3−2H−K4NMeS(C
85H
108N
23O
10)MS計算値(M+H)1610.87、MS実測値1610.96(M+H);t
R=34分。
【0061】
N
3−2H−K4NMeSビオチンの合成。
図38を参照されたい。Rinkアミド樹脂(500mg、0.3ミリモル)をDMF中で室温で10分間膨潤させ、次にDMF中20%ピペリジンの溶液で脱保護した(3mL、2×20分)。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、DMF中1Mブロモ酢酸の溶液(4mL)およびDIC(250μL、1.6ミリモル)と2回反応させた。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、3−アジドプロピルアミン(120mg、1.2ミリモル)のDMF(5mL)溶液と反応させた。樹脂をこの溶液とともに室温で1時間振盪し、その後DMFで洗浄した(3×5mL)。樹脂を再び、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、DMF中1Mブロモ酢酸の溶液(4mL)およびDIC(250μL、1.6ミリモル)と2回反応させた。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、N−(4−アミノブチル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルエステル(121mg、0.6ミリモル)のDMF(4mL)溶液と反応させた。樹脂をこの溶液とともに室温で1時間振盪し、その後DMFで洗浄した(3×5mL)。次に、Fmoc−N−メチル−L−アラニン(264mg、0.81ミリモル)、DIC(250μL、1.6ミリモル)、HOAt(110mg、0.81ミリモル)、およびDIEA(140μL、0.81ミリモル)のDMF(5mL)溶液を添加し、反応物をマイクロ波によって75℃に30分間加熱した。樹脂をDMFで洗浄し、Fmocを20%ピペリジン/DMFで除去した(2×10分)。このサイクルを合計3回繰り返した。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、DMF中1Mブロモ酢酸の溶液(4mL)およびDIC(250μL、1.6ミリモル)と2回反応させた。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、N−(4−アミノエチル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルエステル(105mg、0.6ミリモル)のDMF(4mL)溶液と反応させた。樹脂をこの溶液とともに室温で1時間振盪し、その後DMFで洗浄した(3×5mL)。次に、樹脂をD−ビオチン(195mg、0.81ミリモル)、DIC(250μL、1.6ミリモル)、HOAt(110mg、0.81ミリモル)、およびDIEA(140μL、0.81ミリモル)のDMF(5mL)溶液で処理し、添加し、反応物をマイクロ波によって75℃に30分間加熱した。次に、樹脂をDMFおよびDCMで洗浄し、その後、30%TFA/DCM(5mL)で10分間で処理した。溶液を真空濃縮し、トルエンで3回共沸させた。結果として得られる淡黄色の油状物質を、ヘキストカルボン酸塩(40mg、0.08ミリモル)、HOAt(11mg、0.08ミリモル)、DIC(25μL、0.16ミリモル)およびDIEA(50μL)のDMF(1mL)溶液で処理し、マイクロ波によって75℃に1.5時間加熱した。次に、溶液を真空濃縮し、1時間にわたって20〜100%MeOH/H
2O+0.1%(v/v)TFAによる逆相HPLCを用いて精製した。640ナノモルのN
3−2H−K4NMeS−ビオチンを単離した;0.2%。N
3−2H−K4NMeS−ビオチン(C
97H
127N
26O
12S)MS計算値(M+H)1879.98、MS実測値1879.87(M+H);t
R=31分。
【0062】
2H−K4NMeS活性化アルキンの合成。
図39を参照されたい。各々のアルキン誘導体について、300mgの樹脂(0.18ミリモル)と2H−K4NMeS中間体を、N−Fmocカルボン酸塩リンカー(0.6ミリモル)、DIC(125μL、0.8ミリモル)、HOAt(72mg、0.6ミリモル)、およびDIEA(80μL、0.6ミリモル)のDMF(2mL)溶液で処理し、添加し、反応物をマイクロ波によって75℃に30分間加熱した。樹脂をDMFで洗浄し、Fmocを20%ピペリジン/DMFで除去した(2×10分)。次に樹脂をDMFで洗浄し、その後、DIEA(80μL、0.6ミリモル)を含む2mLのDMFに懸濁した。懸濁液にアルゴンを流し、0℃に冷却した。次に、DIC(125μL、0.8ミリモル)を添加し、それに続いてプロピオル酸(37μL、0.6ミリモル)のDMF(500μL)溶液をゆっくり添加した。反応物を低温で1時間撹拌し、その後、DMFおよびDCMで洗浄した。次に、樹脂を30%TFA/DCM(5mL)で10分間処理した。溶液を真空濃縮し、トルエンで3回共沸させた。結果として得られる淡黄色の油状物質を、ヘキストカルボン酸塩(40mg、0.08ミリモル)、HOAt(11mg、0.08ミリモル)、DIC(25μL、0.16ミリモル)およびDIEA(50μL)のDMF(1mL)溶液で処理し、マイクロ波によって75℃に1.5時間加熱した。次に、溶液を真空濃縮し、1時間にわたって20〜100%MeOH/H
2O+0.1%(v/v)TFAによる逆相HPLCを用いて精製した。2H−K4NMeSプロピオル酸塩(n=0)900ナノモル(0.5%)(C
85H
105N
20O
10)MS計算値(M+H)1565.83、MS実測値1565.61(M+H);t
R=31分。2H−K4NMeSグリシン(n=1)600ナノモル(0.3%)(C
87H
108N
21O
11)MS計算値(M+H)1622.854、MS実測値1622.854(M+H);t
R=30分。2H−K4NMeSβ−アラニン(n=2)750ナノモル(0.4%)(C
88H
110N
21O
11)MS計算値(M+H)1636.87、MS実測値1636.7(M+H);t
R=31分。2H−K4NMeSアミノヘキサン酸塩(n=5、Aak)4.93μモル(3%)(C
91H
116N
21O
11)MS計算値(M+H)1678.92、MS実測値1678.7(M+H);t
R=31分。2H−K4NMeSアミノオクタン酸塩(n=7)1.6μモル(0.9%)(C
93H
120N
21O
11)MS計算値(M+H)1706.95、MS実測値1707.0(M+H);t
R=33分。2H−K4NMeSアミノドデカン酸塩(n=11)4.49μモル(3%)(C
97H
128N
21O
11)MS計算値(M+H)1763.01、MS実測値1763.2(M+H);t
R=34分。
【0063】
N
3−2H−K4NMeS−Aakの合成。
図40を参照されたい。Rinkアミド樹脂(800mg、0.47ミリモル)をDMF中で室温で10分間膨潤させ、次にDMF中20%ピペリジンの溶液で脱保護した(5mL、2×20分)。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、DMF中1Mブロモ酢酸の溶液(5mL)およびDIC(500μL、3.2ミリモル)と2回反応させた。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、3−アジドプロピルアミン(300mg、3ミリモル)のDMF(5mL)溶液と反応させた。樹脂をこの溶液とともに室温で1時間振盪し、その後DMFで洗浄した(3×5mL)。樹脂を再び、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、DMF中1Mブロモ酢酸の溶液(5mL)およびDIC(500μL、3.2ミリモル)と2回反応させた。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、N−(4−アミノブチル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルエステル(240mg、1.2ミリモル)のDMF(5mL)溶液と反応させた。樹脂をこの溶液とともに室温で1時間振盪し、その後DMFで洗浄した(3×5mL)。次に、Fmoc−N−メチル−L−アラニン(528mg、1.6ミリモル)、DIC(500μL、3.2ミリモル)、HOAt(220mg、1.6ミリモル)、およびDIEA(280μL、1.6ミリモル)のDMF(5mL)溶液を添加し、反応物をマイクロ波によって75℃に30分間加熱した。樹脂をDMFで洗浄し、Fmocを20%ピペリジン/DMFで除去した(2×10分)。このサイクルを合計3回繰り返した。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、DMF中1Mブロモ酢酸の溶液(5mL)およびDIC(500μL、3.2ミリモル)と2回反応させた。樹脂をDMFで洗浄し(3×5mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、N−(4−アミノエチル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルエステル(210mg、1.2ミリモル)のDMF(5mL)溶液と反応させた。樹脂をこの溶液とともに室温で1時間振盪し、その後DMFで洗浄した(3×5mL)。次に、樹脂を、N−Fmoc アミノヘキサン酸(565mg、1.6ミリモル)、DIC(500μL、3.2ミリモル)、HOAt(220mg、1.6ミリモル)、およびDIEA(280μL、1.6ミリモル)のDMF(5mL)溶液で処理し、添加し、反応物をマイクロ波によって75℃に30分間加熱した。樹脂をDMFで洗浄し、Fmocを20%ピペリジン/DMFで除去した(2×10分)。次に樹脂をDMFで洗浄し、その後、DIEA(280μL、1.6ミリモル)を含む5mLのDMFに懸濁した。懸濁液にアルゴンを流し、0℃に冷却した。次に、DIC(500μL、3.2ミリモル)を添加し、それに続いてプロピオル酸(148μL、3.2ミリモル)のDMF(500μL)溶液をゆっくり添加した。反応物を低温で1時間撹拌し、その後、DMFおよびDCMで洗浄した。次に、樹脂を30%TFA/DCM(5mL)で10分間処理した。溶液を真空濃縮し、トルエンで3回共沸させた。結果として得られる淡黄色の油状物質を、ヘキストカルボン酸塩(40mg、0.08ミリモル)、HOAt(11mg、0.08ミリモル)、DIC(25μL、0.16ミリモル)およびDIEA(50μL)のDMF(1mL)溶液で処理し、マイクロ波によって75℃に1.5時間加熱した。次に、溶液を真空濃縮し、1時間にわたって20〜100%MeOH/H
2O+0.1%(v/v)TFAによる逆相HPLCを用いて精製した。523ナノモル(0.1%)のN
3−2H−K4NMeS−Aakを単離した。N
3−2H−K4NMeS Aak(C
96H
124N
25O
12)MS計算値(M+H)1818.9861、MS実測値1819.0081(M+H);t
R=32分。
【0064】
ビオチン−N
3−2H−K4NMeS−Aakの合成。
図41を参照されたい。Rinkアミド樹脂(250mg、0.15ミリモル)をDMF中で室温で10分間膨潤させ、次にDMF中20%ピペリジンの溶液で脱保護した(3mL、2×20分)。樹脂をDMFで洗浄し(3×3mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、DMF中1Mブロモ酢酸の溶液(2mL)およびDIC(125μL、0.8ミリモル)と2回反応させた。樹脂をDMFで洗浄し(3×3mL)、10%電力に設定した700Wのマイクロ波を用いるマイクロ波照射(3×15秒)によって、N−[2−(D−ビオチニルアミノ)エチル]アミン
3(100mg、0.3ミリモル)のDMF(3mL)溶液と反応させた。樹脂をこの溶液とともに室温で1時間振盪し、その後DMFで洗浄した(3×5mL)。残りの合成は、N
3−2H−K4NMeS−Aakについて上に記載されるように合成した。230ナノモルのビオチン−N
3−2H−K4NMeS−Aakを単離した;0.2%)。ビオチン−N
3−2H−K4NMeS−Aak(C
110H
146N
29O
15S)MS計算値(M+H)2145.13、MS実測値2145.07(M+H);t
R=34分。
【0065】
N
3−2H−K4NMeS−TAMRA(カルボキシテトラメチルローダミン)の合成。
図42を参照されたい。N
3−2H−K4NMeSをFmoc6−アミノヘキサン酸塩とともに含有する樹脂250mgを、10分間かけて30%TFA/DCM(5mL)によってビーズから切断した。溶液を真空濃縮し、トルエンで3回共沸させた。結果として得られる淡黄色の油状物質を、ヘキストカルボン酸塩(40mg、0.08ミリモル)、HOAt(11mg、0.08ミリモル)、DIC(25μL、0.16ミリモル)およびDIEA(50μL)のDMF(1mL)溶液で処理し、マイクロ波によって75℃に1.5時間加熱した。次に、溶液を真空濃縮し、1時間にわたって20〜100%MeOH/H
2O+0.1%(v/v)TFAによる逆相HPLCを用いて精製した。2.95μモルの生成物を単離し、室温で20分間1mLの20%ピペリジン/DMFで処理することによってFmocを除去し、溶液を真空濃縮した。残渣を、上記の条件を用いる逆相HPLCによって再び精製した。二量体の一部(315ナノモル)を、マイクロ波照射によって1.5時間75℃に加熱することにより、DMF(500μL)中で5−TAMRA(0.4mg、0.95μモル)とDIC(25μL、0.16ミリモル)と結合させた。反応混合物を濃縮し、上記のように精製して、216ナノモルのN
3−2H−K4NMeS−TAMRA;(0.1%)を得た。N
3−2H−K4NMeS−TAMRA(C
118H
144N
27O
15)MS計算値(M+H)2179.1335、MS実測値2179.0483(M+H);t
R=34分。
【0066】
FAM−2H−K4NMeS−Aak(フルオレセイン)の合成。
図43を参照されたい。N
3−2H−K4NMeSをFmoc6−アミノヘキサン酸塩とともに含有する樹脂500mgを、10分間かけて30%TFA/DCM(5mL)によってビーズから切断した。溶液を真空濃縮し、トルエンで3回共沸させた。結果として得られる淡黄色の油状物質を、ヘキストカルボン酸塩(40mg、0.08ミリモル)、HOAt(11mg、0.08ミリモル)、DIC(25μL、0.16ミリモル)およびDIEA(50μL)のDMF(1mL)溶液で処理し、マイクロ波によって75℃に1.5時間加熱した。次に、溶液を真空濃縮し、1時間にわたって20〜100%MeOH/H
2O+0.1%(v/v)TFAによる逆相HPLCを用いて精製した。生成物を単離し、室温で20分間1mLの20%ピペリジン/DMFで処理することによってFmocを除去し、溶液を真空濃縮した。残渣を、上記の条件を用いる逆相HPLCによって再び精製して、8μモルの二量体を得た。次にこれをFAMアルキン(25mg、6μmol)および銅触媒(1mg、1.6μmol)とともに、DMF(2mL)およびH
2O(1mL)中でトリメチルアミン(250μL)とともに120℃で3時間加熱することによってクリック反応させた。次に、反応混合物を濃縮し、上記のように精製して550ナノモルのFAM二量体を得た。これをトルエンとともに3回共沸させた後、プロピオル酸スクシンイミジルエステル
4(1mg、6μmol)およびDIEA(25μL)のDMF(250μL)溶液で処理した。反応物を室温で4時間撹拌し、その後上記のように精製した。5.9ナノモルのFAM−2H−K4NMeS−Aakを単離した;(0.002%)。FAM−2H−K4NMeS−Aak(C
120H
139N
26O
18)MS計算値(M+H)2232.0761、MS実測値2232.0827(M+H);t
R=35分。
【0067】
生化学および細胞アッセイの方法
液体クロマトグラフィー・質量分析(LC−MS)によるインビトロクリック反応の評価。DM2を引き起こす反復RNAが、HDCRによるオリゴマー化の鋳型となるかどうかを判定するために、アルキンを含有する化合物およびアジドを含有する化合物を、12のCCUGリピートを含むRNAとともにインキュベートした。rCCUG
12(最終濃度50μM)は、5分間60℃の1×フォールディングバッファー(8mM Na
2HPO
4、pH7.0、185mM NaCl、および1mM EDTA)中で折り畳まれた。室温に冷却した後、N
3−KおよびK−Ak(各々の最終濃度500μM)を添加し、反応混合物を37℃で48時間インキュベートした。各々のサンプルを、Thermo Scientific LTQ−ETD質量分析計を用いるLC−MSによって分析した。10分にわたる、0.1%ギ酸を加えた水中0〜100%アセトニトリルの勾配を分析に使用した。各成分の全イオン数を、N
3−K、K−Ak、およびK1,4二量体の等モル混合物を含む制御注入を使用することにより測定される、各々の成分のイオン化率に正規化した。r(CUG)
12、r(AUUCU)
12、r(CAG)
12、r(CGG)
12、完全に塩基対形成したステムを含むRNAヘアピン、およびビール酵母tRNA(ロシュ)を使用する制御反応も、同様に評価した。
【0068】
DM2細胞培養モデルにおけるDM2に関連するプレ−mRNAスプライシング欠損の評価。クリック反応可能な化合物のDM2に関連する選択的プレ−mRNAスプライシング欠損への効果を判定するために、既に報告された細胞培養モデルを用いた
[5]。手短に言えば、C2C12細胞を単層として増殖培地(1×DMEM、10%FBS、および1×グルタマックス(インビトロジェン))で37℃および5%CO
2で維持した。96ウェルプレートの細胞が60〜70%の集密度に達したら、1μLのリポフェクタミン2000(インビトロジェン)を製造業者の標準プロトコルに従って用いて、各サンプルに200ngの全プラスミドをトランスフェクトした。300個のCCTGリピートを含むDM2ミニ遺伝子
[1]およびBIN1レポーターミニ遺伝子を発現する等量のプラスミドを使用した
[5]。5時間後、トランスフェクションカクテルを除去し、目的の化合物を含有する分化培地(1×DMEM、2%ウマ血清、および1×グルタマックス)に置き換えた。72時間後、Zymo Quick RNAミニプレップキットを用いて全RNAを回収した。約150ngの全RNAを、RT−PCRに供した。BIN1ミニ遺伝子のRT−PCRプライマーは、5’CATTCACCACATTGGTGTGC(フォワード)および5’AAGTGATCCTAGACTAGCCGCC(リバース)であった。RT−PCR産物は、1×TBE緩衝液中200Vで90分間実施する変性8%ポリアクリルアミドゲルを用いて分離した。産物を、SYBR Gold(Molecular Probes)で染色することによって可視化し、Bio−Rad Gel Doc XR+イメージングシステムを用いて走査した。
【0069】
蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)による、核内フォーカスの崩壊におけるインセルロクリック反応の評価。FISHを用いて、核内フォーカスの形成へのクリック反応可能な化合物の影響を判定した。C2C12を、Mat−Tek 96ウェルガラスボトムプレートの増殖培地で継代培養した。細胞が60〜70%の集密度に達したら、1μLのリポフェクタミン2000を製造業者の標準プロトコルに従って用いて、各ウェルに200ngの全プラスミドをトランスフェクトした。DM2ミニ遺伝子
[1]およびトランスフェクションの陽性マーカーとして使用されるEGFPを発現する等量のプラスミドを使用した。5時間後、トランスフェクションカクテルを除去し、目的の化合物を含有する分化培地に置き換えた。細胞を化合物で72時間処理し、その後、1ng/μL DY547−2’OMe−(CAGG)
5[6]を用いて前に記載されるようにFISHを行った。Olympus FluoView 1000共焦点顕微鏡を100倍の倍率で使用して、1×DPBS中で細胞を画像化した。
【0070】
インセルロでクリック反応した生成物の質量分析による同定。C2C12細胞を増殖培地のT−75ディッシュで増殖させた。細胞が60〜70%の集密度に達したら、リポフェクタミン2000を製造業者の標準プロトコルに従って用いて、各ディッシュに10μgのDM2ミニ遺伝子発現プラスミドをトランスフェクトした。5時間後、トランスフェクションカクテルを除去し、目的の化合物を含有する分化培地に置き換えた。トランスフェクションの直後に、12.5μM N
3−Kと、12.5μM K−Akか、12.5μM N
3−K−Akか、12.5μM N
3−K−Aakのいずれかとの混合物で細胞を処理した。LC−MSによる検出を可能にするために、N
3−Kを添加してオリゴマー産物の分子量を制限した。72時間後、細胞をアセトニトリル中10%水で凍結融解することによって溶解した。解凍した溶解物を濃縮し、1mLのアセトニトリル中10%水に再懸濁した。不溶性の細胞残屑をペレット化し、上清を質量スペクトル分析に使用した。約20μLの各サンプルを、Thermo Scientific LTQ−ETD質量分析計を用いるLC−MSによって分析した。10分にわたる、0.1%ギ酸を加えた水中0〜100%アセトニトリルの勾配を分析に使用した。各成分の全イオン数を、N
3−K、K−Ak、およびK1,4二量体の等モル混合物を含む制御注入中の各成分のイオン化率に正規化した。
【0071】
qRT−PCRによる標的プルダウンの分析。C2C12細胞を、T−25フラスコで増殖培地中の単層として増殖させ、60〜70%の集密度でトランスフェクトした。リポフェクタミン2000を製造業者の標準プロトコルに従って用いて、各ディッシュに3.4μgのDM2ミニ遺伝子発現プラスミドをトランスフェクトした。5時間後、トランスフェクションカクテルを除去し、目的の化合物を含有する分化培地に置き換えた。トランスフェクションの直後に、5μM N
3−K−ビオチンと、5μM K−Akか、5μM N
3−K−Akか、5μM N
3−K−Aakのいずれかとの混合物で細胞を処理した。LC−MSによる検出を可能にするために、N
3−K−ビオチンを添加してオリゴマー産物の分子量を制限した。72時間後、細胞を1×DPBSで洗浄し、トリプシン処理した。ペレット化した細胞を、500μLのLysis Buffer(2% Triton X−100、2% NP40、1/25 RNAsecure(Ambion)、および1u/μL RQ1 DNAse(プロメガ))
[7]で5分間室温で処理することによって溶解し、その後、75℃で5分間インキュベートした。
【0072】
15ナノモルのストレプトアビジン−アガロースビーズ(シグマ、ビオチン添加量15μg/mL)を用いて約90%の細胞溶解物をプルダウンに使用した。溶解物を500rpmで振盪しながら室温で1時間ビーズとともにインキュベートした。溶液を除去し、ビーズを1×PBSの500μLアリコートで洗浄した。結合した材料を、10mM EDTAを含有する95%ホルムアミド30μL、pH8.2中で95℃にて5分間加熱することにより、ビーズから遊離させた。
【0073】
逆転写反応を、qScript cDNA合成キットを用いて、製造業者のプロトコルに従って細胞溶解物かまたは溶離した材料のいずれかの約10%量を添加することにより実施した。次に、各cDNAサンプルの30%を、各プライマーセットに対するリアルタイムPCR(qPCR)分析に使用した。qPCRは、SYBR Green Iを用いて7900HT Fast Real−Time PCR System(アプライドバイオシステムズ)で実施した。r(CCUG)
expを含有するmRNAに対するPCRプライマーは、5’GTGAGTTTGGGGACCCTTGA(フォワード)および5’CACCCTGAAAACTTTGCCCC(リバース)であった。18SリボソームRNAに対するPCRプライマーは、5’GTAACCCGTTGAACCCCATT(フォワード)および5’CCATCCAATCGGTAGTAGCG(リバース)であった。
【0074】
プルダウンした反応産物のLC−MSによる分析。プルダウンした反応産物を検出するために、約4μLの溶離材料を、0.1%TFAを含有する5体積の水に希釈し、Thermo Scientific LTQ−ETD質量分析計を用いるLC−MSによって分析した。
【0075】
これらのサンプルを、r(CCUG)
300を発現しなかった、化合物で処理した細胞由来のプルダウンしたサンプルと比較した。10分にわたる、0.1%ギ酸を加えた水中0〜100%アセトニトリルの勾配を分析に使用した。
【0076】
患者由来神経芽細胞におけるDM1スプライシング欠損の評価。500個のCTGリピートを含むDM1患者由来線維芽細胞(GM03987)および健康な線維芽細胞(GM07492)を使用することによって、小分子二量体の生物活性を評価した。細胞を、12ウェルプレートで増殖培地(1X EMEM(Lonza)、10% FBS、1X glutagro(コーニング)、1X MEM非必須アミノ酸(コーニング)および1X抗生物質/抗真菌薬(コーニング))中の単層として増殖させた。細胞が約80%の集密度に達したら、細胞を目的の化合物を含む増殖培地(10、1、0.1および0.01μM 2H−K4NMeS;100、10および1nM 2H−K4NMeS−CA−ビオチン;1μM N
3−2H−K4NMeS;500nM N
3−2H−K4NMeS+500nM 2H−K4NMeS−アミノヘキサン酸塩;1000、10および0.1nM N
3−2H−K4NMeS−Aak;250、100、および50nM 2H−K4NMeS−ブレオマイシンA5)で処理した。48時間後、細胞を溶解し、Zymo Quick RNAミニプレップキットを用いて全RNAを回収した。オンカラムDNA消化を、製造業者の推奨するプロトコルによって達成した。約150ngの全RNAを、100単位のスーパースクリプトIII逆転写酵素(ライフテクノロジーズ)を用いて50℃で逆転写した。次に、RT反応の20%を、GoTaq DNAポリメラーゼ(プロメガ)を用いるPCRに供した。RT−PCR産物は、25サイクルの95℃30秒、58℃30秒、72℃1分、および72℃1分の最終伸長の後に観察された。産物は、1×TAE緩衝液中100Vで1時間実施した2%アガロースゲルで分離した。産物を、臭化エチジウムで染色することにより可視化し、Bio−Rad Gel Doc XR+イメージングシステムを用いて走査した。MBNL1に対するRT−PCRプライマーは、5’GCTGCCCAATACCAGGTCAAC(フォワード)および5’TGGTGGGAGAAATGCTGTATG(リバース)であった。
【0077】
DM1マウスモデルを用いるスプライシング欠損の評価。全ての試験手順、マウスの取り扱い、および飼育は、実験動物ケア評価認証協会(the Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care)に従って達成した。DM1
[8]のマウスモデルに、20b系統のHSA
LRを使用した。HSA
LRマウスは、3’UTRに250個のCUGリピートを含むヒト骨格アクチンRNAを発現する。年齢と性別の一致するHSA
LRマウスに、処置用の100mg/kgの水中2H−K4NMeまたは13.3mg/kgの2H−K4NMeS、および対照用の0.9%NaClを1日1回、7日間腹腔内注射した。最後の注射の1日後にマウスを犠牲にし、広筋を入手した。RNAを広筋組織から抽出し、前に記載されるようにcDNAを合成した。
【0078】
r(CUG)
expを標的化するために化合物を使用することによる、小分子二量体とRNAのインビトロ反応およびプルダウン。増殖培地((1X EMEM(Lonza)、10% FBS、1X glutagro(コーニング)、1X MEM非必須アミノ酸(コーニング)および1X 抗生物質/抗真菌薬(コーニング)2mL)を95℃で15分間熱失活させ、その後、ゆっくりと室温まで冷却した。次に、約10,000カウントのγ
32P標識RNA(rCUG
109、GCに基づく塩基対形成したRNAおよびtRNA)を添加し、95℃で1分間折り畳んだ。次に、化合物の2倍希釈液(最終濃度800、400、200および100nM)を、50μLのRNA溶液中に調製し、37℃で一晩インキュベートした。次に、ストレプトアビジン−アガロースビーズ(シグマ)の400μLのスラリーを、1X PBSで洗浄し、その後、2mLの1X PBSに再懸濁した。次に、30μLのこのスラリーを各サンプルに添加し、室温で1時間インキュベートした。次に、サンプルを遠心し、上清を別の管に移した。次に、ビーズを1X PBSTで洗浄し、遠心した。上清を、非結合RNAを含む管に移した。結合RNAと非結合RNAの全放射線カウントを、シンチレーション計数によって測定した。
【0079】
DM1系を使用することによるChem−CLIPによる標的同定およびプルダウン。500個のCTGリピートを含むDM1患者由来線維芽細胞(GM03987)および健康な線維芽細胞(GM07492)を使用して、小分子二量体の標的同定を評価した。細胞を、増殖培地(1X EMEM(Lonza)、10% FBS、1X glutagro(コーニング)、1X MEM非必須アミノ酸(コーニング)および1X 抗生物質/抗真菌薬(コーニング))中、100mm
2の単層として増殖させた。細胞が約80%の集密度になったら、それらを目的の化合物(100nM 2H−K4NMeS−CA−ビオチン)を含む増殖培地で処理した。48時間後、細胞を溶解させ、トリゾール試薬(ライフテクノロジーズ)を用いて全RNAを回収した。約10μgの全RNAをストレプトアビジン−アガロースビーズ(100μL、シグマ)とともに室温で1時間インキュベートした。次に、ビーズを1X PBSで洗浄し、結合したRNAを100μLの95%ホルムアミド、10mM EDTA、pH8.2を60℃で10分間添加することにより溶離した。Zymo Quick RNAミニプレップキットを用いて結合したRNAを浄化した。約100ngのRNAを、RT qScript cDNA合成キット(Quanta BioSciences)に使用した。RT反応の10%は、7900HT Fast Real−Time PCR System(アプライドバイオシステムズ)で実施したリアルタイムPCR(qPCR)に、SYBRグリーンマスターミックス(ライフテクノロジーズ)とともに使用した。rCUGを含有するmRNAである、DMPK(500リピート)、SUPT20HL1(17リピート)、CASK(16リピート)、LRP8(11リピート)、MAP3K4(11リピート)、SCUBE(7リピート)およびSORCS2(7リピート)をモニターした。GAPDHと比較するΔΔC
tにより定量した。
【0080】
Chem−CLIP−Mapによる標的同定およびプルダウン。500個のCTGリピートを含むDM1患者由来線維芽細胞(GM03987)を使用して、小分子二量体の結合部位の標的同定を評価した。細胞を、増殖培地(1X EMEM(Lonza)、10% FBS、1X glutagro(コーニング)、1X MEM非必須アミノ酸(コーニング)および1X 抗生物質/抗真菌薬(コーニング))中、100mm
2の単層として増殖させた。細胞が約80%の集密度になったら、それらを目的の化合物(100nM 2H−K4NMeS−CA−ビオチン)を含有する増殖培地で処理した。48時間後、細胞を溶解し、トリゾール試薬(ライフテクノロジーズ)を用いて全RNAを回収した。約6μgの全RNAを、1X RNアーゼH緩衝液中の8μMアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて95℃に1分間加熱し、その後氷上で冷却することにより折り畳ませた。次に、5単位のRNアーゼH(ライフテクノロジーズ)を添加し、反応物を37℃で1.5時間インキュベートし、その後65℃で20分間熱失活させた。次に、切断したRNAをDNアーゼで37℃で30分間処理した後、停止緩衝液を添加し、65℃で10分間インキュベートした。切断したRNA溶液をストレプトアビジン−アガロースビーズ(100μL、シグマ)とともに室温で1時間インキュベートした。次に、ビーズを1X PBSで洗浄し、結合したRNAを100μLの95%ホルムアミド、10mM EDTA、pH8.2を60℃で10分間添加することにより溶離した。Zymo Quick RNAミニプレップキットを用いて結合したRNAを浄化した。約150ngのRNAを、RT qScript cDNA合成キット(Quanta BioSciences)に使用した。RT反応の40%は、7900HT Fast Real−Time PCR System(アプライドバイオシステムズ)で実施したリアルタイムPCR(qPCR)に、SYBRグリーンマスターミックス(ライフテクノロジーズ)とともに使用した。GAPDHと比較するΔΔC
tにより定量した。
【0081】
液体クロマトグラフィー・質量分析(LC−MS)によるインビトロクリック反応の評価。DM1を引き起こす反復RNAが、HDCRによるオリゴマー化の鋳型となるかどうかを判定するために、2H−K4NMeSアジドおよび各々の2H−K4NMeS活性化アルキン誘導体を、12個のCUGリピートを含むRNAとともにインキュベートした。rCUG
12(最終濃度100μM)は、5分間60℃の1×フォールディングバッファー(8mM Na
2HPO
4、pH7.0、185mM NaCl、および1mM EDTA)中で折り畳まれた。室温に冷却した後、アジドおよびアルキン二量体(各々の最終濃度25μM)を添加し、反応混合物を37℃で24時間インキュベートした。各々のサンプルを、Thermo Scientific LTQ−ETD質量分析計を用いるLC−MSによって分析した。10分にわたる、0.1%ギ酸を加えた水中0〜100%アセトニトリルの勾配を分析に使用した。r(CUG)
12との反応が最も大きかったアルキン、2H−K4NMeS−アミノヘキサン酸塩Aakを、次に、他のRNA標的の存在下で形成された二量体の量を分析することによって、選択性について評価した。評価した他のRNAは、各々100μM最終濃度のr(CCUG)
12、r(CAG)
12、r(CGG)
12、およびビール酵母tRNA(ロシュ)であった。
【0082】
DM1線維芽細胞を用いる、インセルロでクリック反応した生成物の質量分析による同定。DM1を引き起こす反復RNAが、細胞内でのオリゴマー化の鋳型となるかどうかを判定するために、500個のCTGリピートを含むDM1患者由来線維芽細胞(GM03987)および健康な線維芽細胞(GM07492)を、80%の集密度までT25ディッシュ中の増殖培地(1X EMEM(Lonza)、10% FBS、1X glutagro(コーニング)、1X MEM非必須アミノ酸(コーニング)および1X 抗生物質/抗真菌薬(コーニング))で増殖させ、等モル量のN
3−2H−K4NMeSビオチンおよび2H−K4NMeS−Ahx Alkyne(各500nM)で2日間処理した。細胞を1X DPBSで洗浄した後、トリプシン処理した。次に、増殖培地でクエンチし、遠心沈殿させた。細胞を1X DPBSで2回洗浄し、その後0.25mLの溶解緩衝液(合計2mL=2% Triton X 100、2% NP40、80uL RNAsecure(1/25)および50uL DNAse)を室温で5分間添加することにより溶解し、その後75℃に5分間加熱した。200μLの溶解物を、ストレプトアビジン−アガロースビーズ(100μL、シグマ)とともに室温で1時間インキュベートした。次に、ビーズを1X PBSτで洗浄し、20μLの95%ホルムアミド、10mM EDTA、pH8.2を60℃で5分間添加することによって、結合したRNAを溶離した。約4μLの各々のサンプルを、0.1%ギ酸を加えた水20μLに希釈し、Thermo Scientific LTQ−ETD質量分析計を用いるLC−MSにより分析した。10分にわたる、0.1%ギ酸を加えた水中0〜100%アセトニトリルの勾配を分析に使用した。
【0083】
蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)を用いる核内フォーカスの評価。FISHを用いて、核内フォーカスの形成および崩壊への小分子二量体の影響を判定した。500個のCTGリピートを含むDM1患者由来線維芽細胞(GM03987)を、Mat−Tek 96ウェルガラスボトムプレートの増殖培地で約80%の集密度まで増殖させた。細胞を目的化合物で48時間増殖培地において処理し、その後、1ng/μL DY547−2’OMe−(CAG)
6を用いて前に記載されるように
[6]FISHを行った。MBNL1の免疫染色を、前に記載されるように
[7]MB1a抗体(1:4希釈)を用いて達成した。その抗体はGlenn E.Morris教授(Wolfson Centre for Inherited Neuromuscular Disease)
[9]により寛大にも供給されたものである。1:200希釈のヤギ抗マウスIgG DyLight 488コンジュゲートを用いてこれを蛍光標識した。DAPIの1X DPBS中1μg/μL溶液を用いて未処理対照を染色した。Olympus FluoView 1000共焦点顕微鏡を100倍の倍率で使用して、1×DPBS中で細胞を画像化した。
【0084】
ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いる翻訳による欠損の評価。ルシフェラーゼの3’UTRにおいて800個または0個のCTGリピートを発現するC2C12細胞株を、96ウェルプレートで増殖培地(1X DMEM、10% FBS、1X glutagro(コーニング)および1X抗生物質/抗真菌薬(コーニング))中の単層として増殖させた
[10]。細胞が70%の集密度になったら、クリック官能化二量体を、100μLの増殖培地(1000nM N
3−2H−K4NMeSおよび1000、10および0.1nM N
3−2H−K4NMeS−Aak)に添加した。細胞を化合物で48時間処理した後、細胞数を、WST−1試薬(ロシュ)を用いて正規化した。次に、細胞を1X DPBSで洗浄し、50μLのPPBT溶解緩衝液で室温で10分間処理することによって溶解した。次に、50μLのルシフェラーゼ基質を添加し、発光を測定した。
【0085】
FRETによって測定するインビトロクリック反応の評価。DM1を引き起こす反復RNAが、HDCRによるオリゴマー化の鋳型となるかどうかを判定するために、FAM−2H−K4NMeS AakおよびN
3−2H−K4NMeS Aakを、12のCUGリピートを含むRNAとともにインキュベートした。rCCUG
12(最終濃度80μM)は、1×フォールディングバッファー(20mM HEPES、pH7.5、100M KCl、および10mM NaCl)中で折り畳まれた。室温まで冷却した後、FAM−2H−K4NMeS Aak(最終濃度60nM)およびN
3−2H−K4NMeS Aak(最終濃度40nM)を添加し、反応混合物を37℃で合計48時間インキュベートした。FRETは、485nmで励起させ、590nmでの発光を測定することにより測定した。FRETの増強は、RNAの不在下で対照とFAM−2H−K4NMeS Aak(最終濃度60nM)およびN
3−2H−K4NMeS Aak(最終濃度40nM)を比較することによって定量された。また、FRETは、塩基対対照RNA(r(GC)
20)を陰性対照として用いて測定された。
【0086】
実施例の項の引用文献
[1]J.L.Childs−Disney,I.Yildirim,H.Park,J.R.Lohman,L.Guan,T.Tran,P.Sarkar,G.C.Schatz,M.D.Disney,ACS Chem.Biol.2014,9,538−550。
【0087】
[2]J.L.Banks,H.S.Beard,Y.Cao,A.E.Cho,W.Damm,R.Farid,A.K.Felts,T.A.Halgren,D.T.Mainz,J.R.Maple,R.Murphy,D.M.Philipp,M.P.Repasky,L.Y.Zhang,B.J.Berne,R.A.Friesner,E.Gallicchio,R.M.Levy,J.Comput.Chem.2005,26,1752−1780。
【0088】
[3]K.J.Bowers,E.Chow,H.Xu,R.O.Dror,M.P.Eastwood,B.A.Gregersen,J.L.Klepeis,I.Kolossvary,M.A.Moraes,F.D.Sacerdoti,J.K.Salmon,Y.Shan,D.E.Shaw,Proceedings of the ACM/IEEE Conference on Supercomputing(SC06),Tampa,FL 2006。
【0089】
[4]T.R.Chan,R.Hilgraf,K.B.Sharpless,V.V.Fokin,Org.Lett.2004,6,2853−2855。
【0090】
[5]C.Fugier,A.F.Klein,C.Hammer,S.Vassilopoulos,Y.Ivarsson,A.Toussaint,V.Tosch,A.Vignaud,A.Ferry,N.Messaddeq,Y.Kokunai,R.Tsuburaya,P.de la Grange,D.Dembele,V.Francois,G.Precigout,C.Boulade−Ladame,M.C.Hummel,A.L.de Munain,N.Sergeant,A.Laquerriere,C.Thibault,F.Deryckere,D.Auboeuf,L.Garcia,P.Zimmermann,B.Udd,B.Schoser,M.P.Takahashi,I.Nishino,G.Bassez,J.Laporte,D.Furling,N.Charlet−Berguerand,Nat.Med.2011,17,720−725。
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【0093】
[8]Mankodi,A.,Logigian,E.,Callahan,L.,McClain,C.,White,R.,Henderson,D.,Krym,M.,and Thornton,C.A.(2000)Myotonicdystrophy in transgenic mice expressing an expanded CUG repeat.Science 289,1769−1773。
【0094】
[9]Holt,I.;Mittal,S.;Furling,D.;Butler−Browne,G.S.;David Brook,J.;Morris,G.E.Genes to Cells 2007,12,1035。
【0095】
[10]Childs−Disney,J.L.;Hoskins,J.;Rzuczek,S.G.;Thornton,C.A.;Disney,M.D.ACS Chemical Biology 2012。
【0096】
本発明は、当業者がそれを作製し使用するように十分に詳細に記載および例証されているが、特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱しない様々な代替形態、変更形態、および改良形態が当業者には明らかであろう。
【0097】
本明細書において言及される全ての特許および刊行物は、各々の個々の刊行物が参照によりその全文が援用されると具体的かつ個別に示されるのと同程度に参照により本明細書に援用される。
【0098】
用いられている用語および表現は、記述の用語として使用されており、制限の用語として使用されているものではなく、そのような用語および表現の使用には、示され記載される特徴またはその一部分の等価物を排除する意図はなく、特許請求される本発明の範囲内で様々な変更が可能であることが理解される。従って、本発明は好ましい実施形態および任意選択の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の変更および改変が当業者によってなされてよく、そのような変更および改変は添付される特許請求の範囲により規定される本発明の範囲内にあるとみなされることは当然理解される。
[項目1]
毒性のある疾患誘導性RNAの機能のモジュレーターであって、前記RNAが伸長したリピート配列を含み、前記モジュレーターが、一つの細胞透過性RNA伸長リピート配列結合モジュールであって、アルキンとアジドの両方の部分を含む、細胞透過性RNA伸長リピート配列結合モジュールの縮合反応から、または、一対の細胞透過性RNA伸長リピート配列結合モジュールであって、第1のモジュールがアルキン部分を含み、第2のモジュールがアジド部分を含む、一対の細胞透過性RNA伸長リピート配列結合モジュールの縮合から、生細胞内でインサイチュで形成されるRNAに結合するオリゴマーであり、前記縮合反応が、前記RNA伸長リピート結合モジュール間で前記アルキン部分とアジド部分との間の1,3ヒュスゲン双極子付加環化反応によって起こる、RNAに結合するオリゴマーを含む、モジュレーター。
[項目2]
前記毒性のあるRNAが、RNA伸長リピート配列r(CCUG)
expによって形成される隣接する内部ループを含む、項目1に記載のモジュレーター。
[項目3]
各々の細胞透過性モジュールが、修飾されたカナマイシン部分を含む、項目2に記載のモジュレーター。
[項目4]
前記細胞透過性モジュールがN
3−K−Ak、またはN
3−K−AaKであるか、あるいは、一緒に使用される一対の細胞透過性モジュールがN
3−KとK−Akである、項目3に記載のモジュレーター。
[項目5]
筋緊張性ジストロフィー2型(DM2)の処置のための項目2〜4のいずれか1項に記載のモジュレーター。
[項目6]
前記毒性のあるRNAと結合した項目2に記載のモジュレーターを形成する方法であって、一つの細胞透過性RNA伸長リピート配列結合モジュールであって、前記細胞透過性モジュールがアルキン部分とアジド部分の両方を含む、細胞透過性RNA伸長リピート配列結合モジュールに、または、一対の細胞透過性RNA伸長リピート配列結合モジュールであって、第1のモジュールがアルキン部分を含み、第2のモジュールがアジド部分を含む、一対の細胞透過性RNA伸長リピート配列結合モジュールに、前記毒性のあるRNAを含む前記生細胞を曝露する工程を含む、方法。
[項目10]
前記毒性のあるRNAが、RNA伸長リピート配列r(CUG)
expによって形成される隣接する内部ループを含む、項目1に記載のモジュレーター。
[項目11]
各々の細胞透過性モジュールが、ビス−ヘテロアリール部分、好ましくはビス−ベンズイミダゾール部分を含む、項目10に記載のモジュレーター。
[項目12]
前記細胞透過性モジュールが、N
3−2H−K4NMeS−Aakである、項目11に記載のモジュレーター。
[項目13]
筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)の処置のための、項目10〜12のいずれか一項に記載のモジュレーター。
[項目14]
前記毒性のあるRNAと結合した項目11に記載のモジュレーターを形成する方法であって、一つの細胞透過性RNA伸長リピート配列結合モジュールであって、前記細胞透過性モジュールがアルキン部分とアジド部分の両方を含む、細胞透過性RNA伸長リピート配列結合モジュールに、または、一対の細胞透過性RNA伸長リピート配列結合モジュールであって、第1のモジュールがアルキン部分を含み、第2のモジュールがアジド部分を含む、一対の細胞透過性RNA伸長リピート配列結合モジュールに、前記毒性のあるRNAを含む前記生細胞を曝露する工程を含む、方法。
[項目15]
毒性のある疾患誘導性RNAを切断する方法であって、前記RNAが伸長リピート配列を含み、前記モジュレーターが、核酸切断部分をさらに含む、項目1〜4または10〜12のいずれか1項に記載のモジュレーターを含む、方法。
[項目16]
前記核酸切断部分がブレオマイシンの誘導体である、項目15に記載の方法。
[項目17]
患者において疾患を処置する方法であって、前記疾患が伸長リピート配列を有する毒性のあるRNAの存在下で誘導され、前記患者の細胞の中に項目1に記載のモジュレーターを形成することを含む、方法。
[項目18]
前記疾患が筋緊張性ジストロフィー2型(DM2)であり、前記毒性のあるRNAがr(CCUG)
exp伸長リピート配列を含み、前記モジュレーターが、アルキンおよびアジド基を有するカナマイシン誘導体を含む細胞透過性モジュール、または、各々がカナマイシン誘導体を含む第1および第2のモジュールであって、アルキン基を有する第1のモジュール、およびアジド基を有する第2のモジュールを含む一対の細胞透過性モジュールからインサイチュで形成される、項目17に記載の方法。
[項目19]
前記疾患が筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)であり、前記毒性のあるRNAがまたはr(CUG)
exp伸長リピート配列を含み、前記モジュレーターが、アルキンおよびアジド基を有する1つの細胞透過性モジュール、または、各々がビス−ベンズイミダゾール誘導体を含む第1および第2のモジュールであって、アルキン基を有する第1のモジュール、およびアジド基を有する第2のモジュールを含む一対の細胞透過性モジュールからインサイチュで形成される、項目17に記載の方法。
[項目20]
前記モジュレーターが核酸切断部分をさらに含む、項目18または19に記載の方法。