(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ボーリング装置のロッドの一端に連結し、内部に地盤のコアを採取する空間となるコア採取部を有する管状のコアバーレルを回転および進退させ、前記コア採取部に前記コアを採取しながら、前記コア採取部に進入する前記コアの変位とコア採取時における前記ロッドの進退の変位を計測する工程と、
前記コアの変位から前記コア採取部に進入した前記コアの進入長さを求める工程と、
前記ロッドの進退の変位から前記ロッドの進退距離を求める工程と、
前記コアの進入長さと前記ロッドの進退距離の長さを比較する工程と、を備えることを特徴とするコアの採取方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態のコア採取装置、ボーリング装置およびコアの採取方法について説明する。
図1および
図2は本発明の実施形態のコア採取装置1を示す。コア採取装置1は、コアバーレル3と、第一の変位計40と、を備えている。
【0015】
コアバーレル3は、いわゆるダブルコアバーレルであって、外管10と、内管20と、を備えている。
【0016】
外管10は、外管本体12と、外管ヘッド14と、ビット16と、を備えている。外管本体12は、形状が管状である。外管ヘッド14は、外管本体12の上端に取り付けられており、外管本体12の上側の開口を塞いでいる。外管ヘッド14には、後述するロッド50(ロッド体52)の一端が連結している。外管ヘッド14と連結したロッド50は、外管本体12と同軸となる。外管ヘッド14とロッド50は、その一方に設けられる雄ネジと他方に設けられる雌ネジとにより着脱自在となっている。外管ヘッド14には、流体Fが流れる流路であって、後述する第二の導流路34とロッド50の内部とを接続する第一の導流路32が設けられている。ビット16は、地盤Gを掘削するためのものであり、環状であって、外管本体12の先端(下端)に取り付けられている。外管10は、ロッド50の回転に伴って回転する。
【0017】
内管20は、内管本体21と、内管ヘッド23と、を備えている。内管本体21は、形状が管状である。内管本体21は、外管本体12と同軸で、かつ流体Fが流れる流路となる第二の導流路34を外管10との間に設けるために外管10と間隔を保つようにして外管10内に配されている。内管本体21の内部の空間は、地盤Gから切り出したコアCが採取されるコア採取部22となっている。ロッド50の内部、第一の導流路32および第二の導流路34を順次流れてきた流体Fは、コアバーレル3の下端から放出される。第一の導流路32および第二の導流路34は、導流路30に対応する。内管ヘッド23は内管本体21の上端に取り付けられており、内管本体21の上側の開口を塞いでいる。内管ヘッド23は、連結ロッド24を介して、外管ヘッド14に吊り下げられている。内管ヘッド23は、軸受25を介して連結ロッド24に連結している。そのため内管20は、ロッド50および外管10の回転に伴って回転しない。
【0018】
なお、コアバーレル3は、シングルコアバーレルなどダブルコアバーレル以外のものであってもよい。
【0019】
第一の変位計40は、コア採取部22に進入してくるコアCの変位を計測するためのものであり、内管本体21の内部の上側に取り付けられている。ここで、コアCの変位とは、内管本体21の内部に進入するコアCの上下方向(内管本体21の軸に平行な方向)の変位のことを意味する。
【0020】
本実施形態では、第一の変位計40として、ワイヤ41の進退をポテンショメータで検出するワイヤ式変位計を用いている。ワイヤ41は、内管本体21の内部において上下方向(内管本体21の軸と平行な方向)に進退する。
【0021】
第一の変位計40は、内管本体21の内部に進入するコアCの変位にワイヤ41を確実に追随させるために、ワイヤ41の先端に接触部42を備えている。接触部42は、接触部本体43と、押圧部44と、滑り止め部45と、を備えている。接触部本体43は、内管本体21よりやや径の小さい円柱状のものであり、金属で形成されている。接触部本体43は、内管本体21の内部において内管本体21と同軸に配されている。押圧部44は、ゴムまたは樹脂からなる板状またはシート状のものであり、接触部42が内管本体21の内面を押圧し、かつ接触部42が内管本体21の内部で軸方向に移動可能となるように、接触部本体43の側周に設けられている。滑り止め部45は、ゴムまたは樹脂からなる板状またはシート状のものであり、接触部本体43の下面に設けられている。接触部42は、所定の外力が上下方向に作用すれば上下方向に移動する。
【0022】
第一の変位計40は、コア採取部22にコアCが侵入してくると、接触部42にコアCの先端面(上端面)が接触し、接触部42がコアCにより上に押し上げられ、ワイヤ41が後退する。これにより、第一の変位計40は、コアCの変位としてコアCの先端面(上端面)の変位を計測する。
接触部42は、内管本体21を押圧することにより、コアCに押し上げられる際、コアCに対する抵抗としても機能するので、コアCの乱れが抑えられ、良質なコアCを採取することができる。また、接触部42に滑り止め部45を備えることにより、コアCの上端の乱れがより一層抑えられるので、さらに質の良いコアCを採取することができる。
【0023】
接触部42の上には、高分子吸水材などの吸水材46を配してもよい。このようにすると、吸水材46がコア採取部22に進入してくる水などの流体を吸水するので、流体による第一の変位計40の損傷を防止することができる。
【0024】
なお、第一の変位計40は、レーザー変位計など、コア採取部22に進入するコアCの変位を計測できるものであれば、どのようなものであってもよい。また、接触部42は、接触部本体43のみ備えるものであってもよい。
【0025】
次に本発明の実施形態のボーリング装置について説明する。
図3はボーリング装置を示す。ボーリング装置は、上記コア採取装置1と、ロッド50と、ボーリング装置本体70と、貯留部80と、給水路82と、第一の送信部と、情報処理装置130と、第二の変位計140と、第二の送信部と、を備えている。コア採取装置1については、上記した部分の説明は省略する。
【0026】
ロッド50は、複数のロッド体52を長手方向に連結したものである。ロッド体52は、
図4および
図5に示すように、管状であって、一端に雄ネジ54が設けられ、他端にこの雄ネジ54に締結可能な雌ネジ56が設けられている。一方のロッド体52の雄ネジ54を他方のロッド体52の雌ネジ56に締結することによりロッド体52が連結される。
ボーリング装置は、ロッド50にロッド体52を継ぎ足すことにより、ロッド50の長さを延長し、掘削深度を深くすることができる。
なお、ロッド50は、単一のロッド体52で構成されていてもよい。
【0027】
ロッド50の下端には、上記コア採取装置1が連結している。
【0028】
ロッド体52の内部には、後述するケーブル体92を固定するケーブル固定部60が備えられている。ケーブル固定部60は、
図6に示すように、外枠部62と、固定部64と、支持部66と、を備えている。外枠部62は、環状であり、その外周面がロッド体52の内面に接した状態でロッド体52に固定されている。固定部64は、外枠部62の中心に位置しており、複数の支持部66により外枠部62と連結している。固定部64には、ケーブル体92を通すための貫通孔67が備えられている。ケーブル固定部60は、外枠部62、支持部66および固定部64により囲まれる部分が空間(孔)になっている。この空間により、流体Fは、ケーブル固定部60に遮られることなく、ロッド体52内を流れる。
【0029】
ボーリング装置本体70は、ロッド50を、その軸が上下方向に略平行となるように支持している。ボーリング装置本体70は、ロッド50をその軸を中心として回転させ、上下方向(ロッド50の軸方向)に進退させる駆動装置72を備えている。
【0030】
貯留部80は、内部に水などの流体Fを貯留するものである。貯留部80の内部は、ロッド50の内部と給水路82により接続している。給水路82は、ロッド50の回転に伴って回転しないようにスイベル83を介してロッド50の上端に接続している。給水路82には、流体Fを移流させる移流装置として、ポンプ84が備えられている。
貯留部80の流体Fは、ポンプ84により、給水路82、ロッド50およびコア採取装置1の導流路30を通って、コアバーレル3の先端(下端)から放出される。
【0031】
第一の送信部は、第一の変位計40で計測した計測信号を情報処理装置130に送信するためのものである。第一の送信部は、有線であっても無線であってかまわないが、本実施形態では、有線であるケーブル90と、第一の回転コネクタ100と、第二の回転コネクタ110と、により構成されている。
【0032】
ケーブル90は、変位計の計測信号を送信可能なケーブル体92を複数接続することにより構成されている。ケーブル体92は、コア採取装置1および全てのロッド体52に備えられている。またケーブル体92は、ロッド体52のケーブル90と情報処理装置130とを接続するものとして、地上においてロッド50の外側にも備えられている。ケーブル体92のうち、隣り合うケーブル体92と接続するものは、その両端または一端に、着脱自在にケーブル体92同士を接続するための接続部94を備えている。ロッド50(ロッド体52)とコア採取装置1とを連結する場合またはロッド体52同士を連結する場合には、これらに備えられるケーブル体92の接続部94を接続することにより接続する。
なお、ロッド体52に備えられるケーブル体92は、全てのロッド体52に備えられるものでなくてもよく、一部のロッド体52に備えられるものであってもよい。
以下の説明において、ケーブル90とは、複数のケーブル体92を接続したものや、その接続したものに回転コネクタが備えられているもののことを言うものとする。
【0033】
コア採取装置1に備えられるケーブル体92は2つある。これらのケーブル体92は、第一の回転コネクタ100を介して接続されている。これらのケーブル体92のうち一方は、一端(下端)が第一の変位計40に接続し、他端(上端)が第一の回転コネクタ100に接続している。他方は、一端(下端)が第一の回転コネクタ100に接続し、そこから内管ヘッド23、連結ロッド24および外管ヘッド14に設けられたケーブル90を通すためのケーブル孔36と、ケーブル孔36と接続する外管10の第一の導流路32とに通されており、他端(上端が)がロッド体52のケーブル体92に接続される。この他方のケーブル体92は、外管10の第一の導流路32に固定されたケーブル固定部60の貫通孔67に通されており、貫通孔67に押圧または接着され、外管10に固定されている。また、この他方のケーブル体92は、必要に応じてケーブル固定部60や軸受などによりケーブル孔36にも固定される。この他方のケーブル体92は、その他端に接続部94を備えており、コア採取装置1に連結するロッド体52のケーブル体92と、互いの接続部94を接続することにより接続している。この他方のケーブル体92は、その長さが接続部94を外管ヘッド14の外側に出すことが可能な長さとなっている。
ケーブル孔36の所定の箇所においては、外管10の第一の導流路32から流体Fが流れ込まないように、ケーブル孔36とケーブル体92との隙間にシール材が充てんされている。
【0034】
各ロッド体52に備えられるケーブル体92は、その内部に備えられたケーブル固定部60の貫通孔67に通されており、貫通孔67に押圧または接着され、ロッド体52に固定されている。各ロッド体52に備えられるケーブル体92は、各ロッド体52より長さが長く、その両端の接続部94,94をロッド体52の各開口から外側に出せるようになっている。
【0035】
ロッド体52に備えられるケーブル体92のうち最も上側に位置するものは、地上に位置するロッド体52に備えられている。このケーブル体92は、一端(下端)に接続部94を備え、隣り合う下側のケーブル体92と互いの接続部94を接続することにより接続している。また、このケーブル体92の他端(上端)は、第二の回転コネクタ110に接続している。
【0036】
ロッド50の外側に配されるケーブル体92は、一端が第二の回転コネクタ110に接続し、他端が情報処理装置130に接続している。
【0037】
上記ケーブル体92のうち、コア採取装置1またはロッド体52に固定されているものは、ロッド50の回転に伴って回転する。
【0038】
第一の回転コネクタ100は、回転体と非回転体とを電気的に接続するためのコネクタである。第一の回転コネクタ100は、いわゆるスリップリングが用いられており、
図7に示すように、リング部101と、ブラシ部104と、を備えている。
【0039】
第一の回転コネクタ100のリング部101は、環状のリング部本体102と、リング部本体102の外周に設けられる金属製の環状のリング103と、を備えている。第一の回転コネクタ100のリング部101は、上記のコア採取装置1に備えられるケーブル体92のうちロッド体52のケーブル体92に接続するものの一端側(下端側)において、リング部本体102の中空部分にケーブル体92を通した状態で固定されている。リング部101のリング103は、このケーブル体92と電気的に接続している。第一の回転コネクタ100のリング部101は、固定されているケーブル体92とともにロッド50の回転に伴って回転する。
【0040】
第一の回転コネクタ100のブラシ部104は、ブラシ部本体105と、ブラシ部本体105に設けられる金属製のブラシ106とを有している。ブラシ106は、リング部101のリング103に接している。ブラシ部104のブラシ106と第一の変位計40は、上記の通りケーブル体92により電気的に接続している。第一の回転コネクタ100のブラシ部104、第一の変位計40およびこれらを接続するケーブル体92は、ロッド50の回転に伴って回転しない。
【0041】
ボーリング装置は、第一の回転コネクタ100を備えることにより、コア採取装置1に備えられるケーブル体92であって、ロッド50の回転に伴って回転するケーブル体92(ケーブル90)と、回転しないケーブル体92(ケーブル90)とを、ロッド50の回転に伴って捩じらせることなく電気的に接続することができる。
【0042】
なお、コア採取装置1のコアバーレル3がシングルコアバーレルの場合、ロッド50の回転に伴ってコアバーレル3とこれに備えられる第一の変位計40も回転するので、第一の回転コネクタ100は不要である。この場合、第一の変位計40は、コア採取装置1に連結されるロッド体52に備えられるケーブル体92に、単一のケーブル体92で直接接続することができる。
【0043】
第二の回転コネクタ110は、第一の回転コネクタ100と同じものであり、
図8に示すように、リング部111と、ブラシ部114と、を備えている。
【0044】
第二の回転コネクタ110のリング部111は、最も上側に位置するケーブル体92が備えられているロッド体52に、リング部本体112の中空部分にロッド体52を通した状態で固定されている。また、リング部111のリング113は、最も上側に位置するケーブル体92の一端と電気的に接続している。第二の回転コネクタ110のリング部111は、ロッド50の回転に伴って回転する。
【0045】
第二の回転コネクタ110のブラシ部114は、ブラシ部本体115に設けられたブラシ116がリング部111のリング113に接している。ブラシ部114のブラシ116と情報処理装置130は、上記の通りロッド50の外側に位置するケーブル体92により電気的に接続している。第二の回転コネクタ110のブラシ部114と、これに接続するケーブル体92は、ロッド50の回転に伴って回転しない。
【0046】
ボーリング装置は、第二の回転コネクタ110を備えることにより、コア採取装置1およびロッド体52に備えられ、ロッド50の回転に伴って回転するケーブル体92(ケーブル90)と、ロッド体52の外側に備えられ、ロッド体52の回転に伴って回転しないケーブル体92(ケーブル90)とを、ロッド50の回転に伴って捩じらせることなく電気的に接続することができる。
【0047】
以上のように、ボーリング装置は、上記のケーブル90、第一の回転コネクタ100および第二の回転コネクタ110を備えることにより、ロッド50の回転に伴ってケーブル90を捩じらせることなく、第一の変位計40で計測した計測信号を情報処理装置130に送信することができる。また、ボーリング装置は、ロッド体52ごとにケーブル体92が備えられているので、ロッド50(ロッド体52)とコア採取装置1との連結またはロッド体52同士の連結を行う場合に、これらの連結とケーブル体92同士の接続を短時間で容易に行うことができる。
【0048】
なお、ロッド50内や第一の導水路には流体Fが流れるので、接続部94を含めたケーブル体92、第一の回転コネクタ100および第二の回転コネクタ110は、防水性を備えるものが好ましい。
【0049】
情報処理装置130は、変位計で計測した計測信号を変位データとして記憶したり、変位データを処理したりするものである。情報処理装置130は、データ収集部132と、情報処理部134と、を備えている。
【0050】
データ収集部132は、変位計の計測信号をAD変換して所定の時間ごとの変位データとして記憶したり、表示または出力したりするものである。データ収集部132は、ロッド50の外側に位置するケーブル体92により、第二の回転コネクタ110のブラシ部114のブラシ116と電気的に接続している。また、データ収集部132は、ケーブル体92により情報処理部134と電気的に接続している。データ収集部132としては、例えばデータロガーを用いることができる。
【0051】
情報処理部134は、変位データを記憶したり、処理したりするものである。情報処理部134は、CPUやメモリを含む制御部と、変位計の計測信号またはこれを処理したデータを送受信する通信部と、ディスプレイやプリンタなどの出力部と、ハードディスクなどの記憶部と、キーボードやマウスなどの入力部と、を備えており、これらの構成はバスなどにより接続されている。情報処理部134としては、例えばパーソナルコンピュータを用いることができる。
情報処理部134は、機能的構成として、制御部の制御により変位計の変位データを処理する処理部を備えている。
【0052】
情報処理装置130は、少なくとも変位計の計測信号をAD変換して変位データを記憶または表示もしくは出力するものであればどのような装置であってもよい。
【0053】
第二の変位計140は、ロッド50の上下方向の進退の変位を計測するためのものである。第二の変位計140としては、本実施形態では、第一の変位計40と同様にワイヤ式変位計を用いている。第二の変位計140は、ロッド体52のうち地上にあるものの近くに位置するようボーリング装置本体70に取り付けられている。
ロッド体52のうち第二の変位計140より下側に位置する部分には、ワイヤ固定部144が備えられている。ワイヤ固定部144は、ロッド50の回転に伴って回転しない非回転部を備えている。ワイヤ固定部144には、例えば軸受などを用いことができる。
第二の変位計140は、ワイヤ142の先端がワイヤ固定部144の非回転部に取り付けられており、ワイヤ142が上下方向に進退するようになっている。
このような構成により、第二の変位計140はロッド50の回転に伴って回転しないようになっている。
【0054】
ボーリング装置は、第二の変位計140がロッド50の回転に伴って回転しないので、回転するロッド50の上下方向の進退の変位を、ワイヤ142を捩じらせたり、絡ませたりすることなく、正確に計測することができる。
【0055】
なお、第二の変位計140は、レーザー変位計など、ロッド50の変位を計測できるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0056】
第二の送信部は、第二の変位計140で計測した計測信号を情報処理装置130(データ収集部132)に送信するためのものである。第二の送信部は、有線であっても無線であってもよいが、本実施形態では、第一の送信部と同様に有線であるケーブル150(ケーブル体152)を用いている。
【0057】
次に、上記ボーリング装置を用いたコアの採取方法について説明する。ボーリング装置の使用にあたり、第一の変位計40に備えられる接触部42は、初期位置として、その底面(滑り止め部45)が内管本体21の下端と略同じ高さとなるように配しておく。これにより第一の変位計40で内管本体21の下端を基準としたコアCの進入長さを計測することができる。第二の変位計140で計測するロッド50の変位の基準位置は、コア採取開始時のワイヤ142の先端の位置とする。
【0058】
次いで、ボーリング装置本体70を駆動してロッド50を回転させながら下降(進退)させていく。これにより、コア採取装置1が、ビット16を有する外管10を回転させながら下降して地盤Gを掘削し、内管本体21のコア採取部22にコアCを採取していく(
図9参照)。地盤Gが固い場合には、ビット16を冷却するため、貯留部80からコア採取装置1に流体Fを供給し、コアバーレル3の先端から流体Fを放出しながら掘削する。所定区間のコアCの採取が完了したら、ロッド50を上昇させ、コア採取装置1を地上に引き上げてコア採取部22に採取されたコアCを回収する。必要に応じて、コア採取装置1を掘削孔に戻し、再び上記掘削、コアCの採取およびコアCの回収を行う。このような掘削、コアCの採取およびコアCの回収といった一連の行為を、所定の深さのコアCを採取するまで繰り返し行う。コアCの採取作業において、掘削深度が深くなりロッド50の長さが足りなくなった場合には、ボーリング装置に備えられているロッド50およびケーブル90に、別途ロッド体52およびこれに備えられるケーブル体92を上記方法により連結または接続し、ロッド50およびケーブル90を延長する。
【0059】
コアCを採取する際には、第一の変位計40により、コア採取部22に進入してくるコアCの先端(上端)の上下方向の変位を計測する。また、第二の変位計140により、ロッド50の進退の変位を計測する。
【0060】
第一の変位計40および第二の変位計140で計測された計測信号は情報処理装置130に送信され、情報処理装置130のデータ収集部132によりAD変換され、所定の時間ごとの変位データとしてデータ収集部132に記憶される。
【0061】
情報処理部134の処理部は、以下に示すように、記憶した変位データに基づいて、コア採取時におけるロッド50の進退距離およびコア採取部22に採取されたコアCの進入長さを求めることや、これらの比較を行うことができる。
【0062】
ロッド50の進退距離は、第二の変位計140で計測された変位データのうち、コア採取開始時の値とコア採取完了時の値との差またはこの差の絶対値を計算することにより求められる。ロッド50の進退距離は、正の値となる。
【0063】
コアCの進入長さは、第一の変位計40の変位データのうち、コア採取開始時の値すなわち接触部42が初期位置にある時の値とコア採取完了時の値との差またはこの差の絶対値を計算することにより求められる。コアCの進入長さは、正の値となる。
【0064】
ロッド50の進退距離とコアCの進入長さの比較に関しては、ロッド50の進退距離とコアCの進入長さの差またはこの差の絶対値を求め、求めた値と閾値の大きさを比較する。この求めた値および閾値は、正の値となる。
求めた値が閾値よりも小さい場合、コア採取部22にはロッド50の進退距離とほぼ同じ長さのコアCが採取されているので、採取したコアCは、実際の地盤Gを精度よく反映している可能性が高いと判断することができる。
逆に、求めた値が閾値よりも大きい場合、地盤Gに空隙があるなどの理由によりコア採取部22にロッド50の進退距離に対応する長さのコアCが採取されていないので、採取したコアCは実際の地盤Gを精度よく反映していない可能性が高いと判断することができる。
【0065】
コア採取装置1およびこれを備えるボーリング装置によると、コアCの変位を計測する変位計またはこれとロッド50の変位を計測する変位計を備えることにより、採取したコアCの精度を判定するためのデータとしてコアCの変位またはこの変位とロッド50の進退の変位を計測することができる。また、内管本体21(コアバーレル3)に進入したコアCの変位(先端の変位)や進入長さをリアルタイムで把握することもできるので、コア採取作業を行いながら、コアCの採取状況を確認したり、採取したコアCの精度を判定したりすることもできる。
【0066】
また、コア採取装置1およびこれを備えるボーリング装置は、変位計で計測した計測信号をケーブル90で送信する場合、回転コネクタを備えることにより、ケーブル90を捩じらせることなく、計測信号を送信することができる。
【0067】
また、コア採取装置1およびこれを備えるボーリング装置は、ロッド50が、複数のロッド体52で構成される場合に、ロッド体52ごとにケーブル体92を備えることにより、ロッド50およびケーブル90の延長を短時間で容易に行うことができる。
【0068】
また、コアの採取方法によると、採取したコアCの精度を判定することができる。