特許第6461353号(P6461353)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461353
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】自動立体マルチビューシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/22 20060101AFI20190121BHJP
   H04N 13/229 20180101ALI20190121BHJP
   H04N 13/305 20180101ALI20190121BHJP
【FI】
   G02B27/22
   H04N13/229
   H04N13/305
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-535374(P2017-535374)
(86)(22)【出願日】2015年12月30日
(65)【公表番号】特表2018-508812(P2018-508812A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】EP2015081389
(87)【国際公開番号】WO2016107892
(87)【国際公開日】20160707
【審査請求日】2017年6月30日
(31)【優先権主張番号】14200536.2
(32)【優先日】2014年12月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506311633
【氏名又は名称】シーフロント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】グロスマン,クリストフ
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−544992(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0057575(US,A1)
【文献】 特開2012−010085(JP,A)
【文献】 特表2003−533104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/22 − 27/26
H04N 13/00 − 13/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素グリッドを有する表示スクリーン(16)上の画像の自動立体視表示方法であって、複数のセグメント(22)からなる視差分離の光学板(18)がスクリーン(16)の前に配置され、少なくとも1人のユーザの左右の目(26,28)の画像情報が画面上にインターリーブされた画素パターンで表示される方法において、
a)各テクスチャが1つの視界についての情報を含むように、一度に表示されるべき画像情報の合計を少なくとも2つのテクスチャ(L,R)に割り当てる割当てアルゴリズムを適用するステップと、
b)各画素(48)に対し、画素の画像内容を決定するためにテクスチャの選択された領域から画像情報をサンプリングするサンプリングアルゴリズムを適用するステップであって、画素(48)が2つ以上のテクスチャと相関している場合に、サンプリングアルゴリズムは、各テクスチャとの画素の相関係数を決定するステップと、対応する相関係数に従って各テクスチャからのサンプリング結果を混合するステップとを含むステップと、を有し、
前記ステップa)に先行して、
表示される視界の数が異なるビューモードを含む複数の予め定義されたビューモードから、ビューモードを選択するステップと、
光学板(18)の1セグメント当たりのチャネル数N(Nは選択されたビューモードにおける視界の数以上である。)を規定するチャネルマスク(M)を生成するステップと、
N個のチャネルの各々に対するテクスチャを設けるステップと、
前記チャネルマスク(M)を参照して、前記各スクリーンの画素(48)を前記テクスチャの少なくとも1つと相関させるステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記チャネルマスク(M)は、少なくとも1人の視聴者の視点の変化に応じて動的に変更される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプリングアルゴリズムは、各画素(48)に対し、サンプリング領域を計算するステップと、前記画素が相関付けられた各テクスチャ内のサンプリング領域から画像情報をサンプリングするステップとを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
サンプリング幅(e)を決定するステップを含み、
各画素を複数のテクスチャと相関させるステップは、
チャネルマスク(M)内に、画素の中心点(P)を中心とするサンプリング間隔([P0,P1])を設置し、
各テクスチャと関連付けられたチャネルマスク(M)内のチャネルとの、サンプリング間隔の重なりに基づいて、各テクスチャとの画素の相関係数を決定するステップと、を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
カメラで視聴者の数を検出するステップと、前記検出された視聴者の数に依存する値にNを設定するステップと、を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
視差フィルタ装置を有するディスプレイに接続されたコンピュータ上で実行される場合、コンピュータに、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータ可読媒体に記録されたプログラムコードを含むコンピュータソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素グリッドを有する表示画面上に画像を自動立体的に表現する方法であって、複数のセグメントからなる視差分離の光学板を画面の前に配置し、少なくとも1人のユーザの左右の目のための画像情報が、画面上にインターリーブされた画素パターンで表示され、
a)一度に表示される画像情報の合計を、各テクスチャが1つの視界の情報を含むように少なくとも2つのテクスチャに割り当てるアルゴリズムを適用し、
b)各画素に対し、画素の画像内容を決定するために、テクスチャの選択された領域から画像情報をサンプリングするためのサンプリングアルゴリズムを適用し、
画素が複数のテクスチャと相関されている場合、サンプリングアルゴリズムは、画素の各テクスチャとの相関係数を決定するステップと、対応する相関係数に従って各テクスチャからサンプリング結果を混合するステップとを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動立体視ディスプレイでは、観察者の左目と右目に、僅かに異なる視点をあらかじめ送信することによって、三次元の視覚的印象が達成され、これにより、2つの視界の相違は、より遠くの背景に対する近接物体の視差的変位に対応する。これらの異なる視界を作成するために、異なる視点がユーザの左右の目に対して見える「視差のあるセパレート光学板」が使用される。
【0003】
光学板は、複数のセグメントから構成され、例えばレンズアレイであり、セグメントがレンズである。そしてこの効果は、任意に与えられた視点に対して、画面上のいくつかの画素(ピクセル)が拡大され、他の画素は不可視のままとなる。
【0004】
スクリーン上の可視画素および不可視画素の位置は、レンズアレイの構成およびユーザの目の位置に依存するので、画像情報をスクリーン上に表示することが可能であり、観察者の一方の目は一方の視界に属する画素のみを見る一方、他方の目は他の視点に属する画素のみを知覚する。
【0005】
これに代えて、視差分離の光学板は、セグメントが透明部分および不透明部分のパターンを形成するバリアマスクまたはこれと同等の光学システムによって形成されてもよい。
【0006】
代表的な実施形態では、レンズアレイは、モアレを回避し、回避不可能な光学解像度の損失に関してバランスのとれた画像を得るために、画素グリッドの列の方向に対して傾斜を有する円柱レンズで構成される。
【0007】
米国特許第6801143号明細書には、いわゆるマルチビューシステムが開示されている。「マルチビュー」という用語は、視界(ビュー)の数Nが2よりも大きいことを示す。さらに、視界は、左目用の少なくとも1つの視界と、右目用の少なくとも1つの視界とを含み、これらの2つの視界は、いわゆるステレオペアを構成する。しかし、複数のステレオペアが存在してもよく、ユーザが頭をスクリーンに対して横に動かすと、次々に見えるようになる。異なるステレオペアの画像内容は、視差変位だけでなく、物体を見るアスペクト角の変化に起因する三次元物体の見かけ上の回転も反映するように選択することができるので、ユーザの頭を動かすと、ユーザは実際に三次元物体を「動かす」という印象を持つことになる。
【0008】
US2013/057575A1には、視界の数を変更することを可能にするマルチビューシステムが開示されている。
【0009】
従来のマルチビューシステムでは、視聴者が1つのステレオペアから隣接するステレオペアに自分の位置を変えると、相対的に急激な知覚可能な遷移が生じる。こうした遷移は、異なる視界の数Nを増やすことによって平滑化することができる。しかし、Nビューシステムでは、画面の画素ラインの画素数の最大1/Nが、特定の目に対して一度に見えるので、視界数の増加は、解像度の低下を犠牲にして行われる。
【0010】
既知のシステムでは、視界の数Nは、整数個の画素が各レンズに割り当てられ、各画素はN個の視界のうちの1つの内容を保持するように、レンズアレイとスクリーンの画素グリッドとの間の明確な関係によって決定される。レンズアレイのレンズおよびスクリーンの画素ラインは、1つまたは複数のスクリーン画素ラインに対応する高さおよび個々のレンズの幅に対応する幅を有する「スーパーピクセル」で構成される粗い画素グリッドを構成すると考えてよい。N個の視界のそれぞれについて、各スーパーピクセルは、その視界に割り当てられた少なくとも1つのスクリーン画素を含まなければならない。しかしながら、スーパーピクセル当たりのスクリーン画素の数は非整数であることが可能である。
【0011】
WO2008/011888A1(EP2044480B1)には、本願の請求項1の前文(プリアンブル項)によるシステムが開示されている。このシステムは、2ビューシステム(N=2)であるが、1視界あたりのスクリーン画素数とレンズ観察位置の変更を可能にするために、このシステムは、視線追跡装置、すなわち、カメラおよびユーザの実際の視点位置を決定するための適切なソフトウェアを備えてもよく、また、検出された視点の位置に応じて、左または右のチャネル、すなわち、視聴者の左目または右目の視点までの画面画素が動的に変更される。各スーパーピクセルにおいて、所与の視点から見ることができないスクリーン画素は、ある程度の冗長性を生成する可視画像情報の複製を表示するために使用され、その結果、ユーザが頭を動かしたときにより大きな堅牢性が達成され、視線追跡システムは、利用できないか或いはリアルタイムでフォローアップするのに十分速くはない。さらに、この構成により、システムを異なる視距離に適合させることができる。
【0012】
EP2044480B1に開示されたシステムは、ディスプレイスクリーンを駆動するための現代のグラフィックスカードの強化された機能、特に「テクスチャマップ」または単に「テクスチャ」と呼ばれる特定のデータ構造上での操作可能性を利用するように特に適合される。テクスチャは、「テクセル」(「ピクセル」を含む従来のビットマップに類似するもの)に格納された画像情報を含む二次元配列であり、これらのテクセルは画面上の画素(ピクセル)にマッピングされる。位置(x,y)を有するスクリーン上の画素に表示される画像内容は、テクスチャ内のこの画像情報の位置を指定する2つのテクスチャ座標(u,v)の関数である。一般に0<u<1かつ0<v<1であるので、uおよびvは、個々のテクセルを参照しない非整数値である。(u,v)座標に加えて、サンプリング方法を指定する必要がある。サンプリング方法は、標準のもの(「バイキュービックサンプリング」のようなもの)またはカスタマイズすることができ、その複雑さは単純なものから非常に精巧なものまでさまざまである。適切なサンプリング方法の選択は、いくつかの状況に依存し、ほとんど常にトレードオフを伴い、意図された画像品質およびハードウェアの能力が2つの最も重要な状況である。
【0013】
テクスチャは、画像情報を格納するのに有利な方法を提供する。しかし、特に明記しない限り、本発明の文脈において、用語「テクスチャ」は、特定の視界の画像情報を含む任意の構造に対して、より一般的な方法で使用されるものとする。
【0014】
このシステムで利用可能な2つの異なる視界の画像情報は、2つの異なるテクスチャに格納されている。各スクリーン画素は、2つのチャネルを通して表示される2つの視界のいずれかに割り当てられる。最初に、割り当てられたチャネルは、どのテクスチャからデータをサンプリングするかを決定する。しかし、画素が2つのチャネル間の境界に位置する場合(例えば、画素が左チャネルに割り当てられ、その直近隣接チャネルが既に右チャネルに割り当てられている場合)、このシステムは、2つのテクスチャからの情報を混合して境界の位置を最大精度で反映するように、画素の画像内容を決定する可能性を提供する。ある種の2ビューオートステレオスコピックディスプレイでは、これらの「境界」画素は、通常両眼には見えない。しかし、ユーザが頭を横に動かしたり、画面から見る距離を変えたりすると、少なくとも一時的に見えてしまうことがある。これらの場合、情報を混合することは、画質を改善し、システムをより堅牢にする(ロバスト性を向上させる)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、より柔軟な表示オプションを提供する請求項1の前文に記載の自動立体視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の方法は、ステップa)に先行して、
表示される視界の数が異なるビューモードを含む複数の予め定義されたビューモードから、ビューモードを選択するステップと、
光学板(18)の1セグメント当たりのチャネル数N(Nは選択されたビューモードにおける視界の数以上である。)を規定するチャネルマスク(M)を生成するステップと、
N個のチャネルの各々に対するテクスチャを設けるステップと、
前記チャネルマスク(M)を参照して、前記各スクリーンの画素(48)を前記テクスチャの少なくとも1つと相関させるステップと、を含む。
【0017】
この方法は、表示されるべき視界の数が選択され、割り当てアルゴリズムおよびサンプリングアルゴリズムが、たとえば手動または自動のいずれかに応じて適合されるという利点を有する。
【0018】
このようなシステムは、システムの稼動中であっても、多数の視聴者、多数の視界、これらの視界を表示するための多数のチャンネル、およびこれらの3つのお互いの自由な割り当てを(大部分)自由に選択することを可能にする。
【0019】
さらに、追跡システムは、所定の瞬間に使用されても使用されなくてもよい。これらの各設定は「モード」と呼ばれ、システムの動作中であっても可能な、これら設定の変更は「モード変更」である。
【0020】
本発明は、テクスチャの概念が、任意の可変数の視界について画像情報を編成する際、及び、必要に応じてこの情報を表示できるようにする際に、特に異なるテクスチャからの情報を混合する可能性を含む、動的に変化する条件の下であっても、高い柔軟性を提供するという事実を利用するものである。当然のことながら、チャネル境界の数、すなわちチャネル境界上に位置する画素の数は、視界の数とともに増加し、ユーザが1つの視点位置から他の視点位置に移動すると、そのような境界画素が見えるようになる規則的かつ非常に頻繁なイベントになる。したがって、ある視界から別の視界への遷移を滑らかにするために情報を混合するという特徴は、マルチビュー設定において特に有利である。
【0021】
本発明のより具体的な任意の特徴は、従属請求項に示されている。
【0022】
本発明のシステムは、いつでもディスプレイの前にいるユーザの数および位置を決定することができる。これは、たとえばトラッキングシステムを使用して容易に達成することができる。この情報に応じて、この状況でレンダリングされる視界の数、これらの視界を配信するために提供されるチャネル数(視界とチャネルの数は同じであってもなくてもよい)をアルゴリズムが決定できる。1人のユーザしか存在しない場合、3Dコンテンツファイルに通常含まれる2つの「ネイティブ」ビューのみを提供すれば十分である。また、追跡は、このユーザが常に一貫したステレオ画像を見ることを保証するために採用される。
【0023】
第2のユーザがディスプレイの前に歩み出る場合、アルゴリズムは、既存の2つのものを補間することによって第3の視界をレンダリングすることを決定し、アイトラッカーを使用して、これら2人の視聴者のそれぞれに与えるために最適化された一定のステレオ画像がいつでも得られる(ただし、特定の位置の配置では不可能である)。
【0024】
より多くのユーザが入ると、システムは「2からNへの変換(2-to-N変換)」と呼ばれる既知の手法を使用してさらに多くの視界を作成することを「決定」することができる。特定の数のユーザでは、追跡システムをオフにしてシステムを動的モードから静的モードに切り替えることを「決定」することができる。あるいは、システムは、ユーザのグループの平均位置(「中心」)を測定し、それに応じてシステムを微調整することができる。
【0025】
レンズアレイであっても、このようなモード変更の対象となり得る。たとえば電圧を印加することによりある層の屈折率を変えることができる光学部品の積み重ねからなる、いわゆる切替え可能なレンズアレイが存在する。光学スタックは、たとえば電圧が存在しない場合にはガラスシートのように透明であり、電圧がスイッチオンされると機能的にレンズアレイに変わる。このようなプロセスは、レンズの倍率が1(倍率なし)からm(全倍率)のいずれかに調整されるように、2つの所与の屈折率n1とnmの間の任意の値に任意に屈折率を設定することもできる。
【0026】
この機能は、より多くのユーザがいる場合に拡大率を上げるためにシステムによって使用されてもよい。
【0027】
1つの視界(「2Dモード」)の特別なケースは、レンズアレイをオフにして、この方法で、任意の数のユーザに対してシステム内の完全な「ネイティブ」2D解像度を復元する。
【0028】
モードの変更は、単一のユーザのために動的な方法で「ルックアラウンド」エフェクトを有効にするために使用することができる。このために、ユーザの位置は、スクリーン上に画像を生成するソフトウェアに伝えられ、ユーザに提示された2つの視界は、ユーザの空間内の位置に合わせてレンダリングされる。
【0029】
異なる視界数を選択することに加えて、視界位置が固定されている静的モードと、ビューイング位置を変更できるとともに位置追跡に基づいて画面内容を調整する動的モードと、の間で切り替えるオプションが与えられている。
【0030】
本発明は、スーパーマルチビューシステム、すなわち視界の数が非常に多く、隣接するスクリーンピクセルから生じるビームが非常に狭く、高密度であり、視界のビームの幅位置は、目の瞳孔の幅よりも小さく、その結果、観察者は、同じ目で一度に2つ以上の視界のスーパーポーションを見る、スーパーマルチビューシステムを実装するために使用してもよい。視界間の遷移を非常に滑らかにすることに加えて、このようなシステムは、いわゆる適応変換の競合を緩和または完全に解決するために有利かもしれない。当業者には周知のように、人間が知覚する3D印象は、左目と右目の視差に依存するだけでなく、様々な物体距離に対する眼レンズの焦点距離の調節にも依存する。これらの2つの要因が互いに矛盾することがあり、そのような場合に3D効果の質を向上させ、3D画像をより快適に見せるためには、スーパーマルチビューシステムが期待される。
【0031】
静的なスーパーマルチビューシステムでは、必要な視界数が、たとえばN=50以上のオーダ程度に相当に高くなければならない。従って、3D画像の妥当な解像度(スーパーピクセルの小さいサイズ)を得るためには、スクリーングリッドの解像度が非常に高くなければならない。本発明は、必要な視界の数を妥当な値、例えば1に減らすことを可能にする。マルチビューとアイトラッキングとを組み合わせることにより、N=6またはN=8であり、視界は両目の瞳孔の幅をカバーする必要がある。
【0032】
ユーザの左目または右目のいずれかで見える各画素の内容を決定するためのサンプリングアルゴリズムは、ユーザごとに個別に構成することもできる。例えば、人間の脳が両眼で見られるシナリオを解釈し、2つの視点の間の視差変位を有する場合、一方の眼から得られた情報は他方の眼から得られる情報より支配的であることが知られており、この支配は個人ごとに異なる。本発明は、例えば、支配的な眼に提示される画像を幾分退色させることによって、この効果を補償する可能性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下、図面を参照して好ましい実施形態を説明する。
図1】本発明によるオートステレオスコープシステムのブロック図である。
図2】2ビュー構成のレンズアレイおよびチャネルマスクの断面図である。
図3】6面構成のレンズアレイ及びチャネルマスクの拡大断面図である。
図4】スクリーン線画素ラインのいくつかの画素とレンズアレイのシリンドリカルレンズとの間の空間的関係を示す概略正面図である。
図5】本発明の一実施形態における異なる構成を示す図である。
図6】本発明の一実施形態における異なる構成を示す図である。
図7】本発明の一実施形態における異なる構成を示す図である。
図8】本発明の一実施形態における異なる構成を示す図である。
図9】本発明の一実施形態における異なる構成を示す図である。
図10】本発明による方法を示す流れ図である
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、たとえばモニタの画面16に画像を表示するためにモニタ14を駆動するグラフィックスカード12を含むパーソナルコンピュータなどのコンピュータシステム10を含む自動立体視システムを示す。レンズアレイ18がスクリーン16の前に配置され、アイトラッキングまたはヘッドトラッキングシステム20の一部を形成するビデオカメラがモニタ14に取り付けられ、コンピュータシステム10と通信する。
【0035】
グラフィックスカード12は、コンピュータシステム10のメモリに記憶された2つのテクスチャLおよびRにアクセスする。テクスチャLは、左目用の画像情報、すなわち、レンズアレイ18を介してスクリーン16を見ているユーザ(図示せず)の左目に表示されるべき画像情報を記憶する。同様に、テクスチャRには、ユーザの右目用の画像情報が格納されている。ヘッド追跡システム20は、ユーザの頭部の動きを追跡し、これらの動きをコンピュータシステムに通知し、コンピュータシステムは、スクリーン16上に表示された情報を、ユーザの変更された位置に適合させる。
【0036】
図2は、スクリーン16およびレンズアレイ18の概略断面図である。フラットスクリーン16は、例えば、TFT層を含むTFTスクリーンであってもよい。レンズアレイ18は、平行なシリンドリカルレンズ22のアレイを画定する、平坦な背面および波状の前面を有する透明なプレートによって形成される。簡略化のために、レンズアレイ18は、ここでは、実際には、レンズアレイは異なる屈折率を有する異なる層を含むことができ、場合によってはスクリーンの表面にそれを接着する接着層を含むことができる。逆に、エアギャップによってスクリーンから分離されてもよい。
【0037】
一組の光線24は、スクリーン16のTFT層内の様々な点から放射され、画面を見ているユーザまたは視聴者の理想的な位置を象徴する点Uで最終的に会う前に、レンズ22の1つの頂点を通過する光線を表す。各シリンドリカルレンズの頂点を通る平面pをレンズアレイの主平面と呼ぶ。
【0038】
平面oは、レンズアレイの物体平面と等価であるが、レンズアレイの1つまたは複数の層を通過する光が屈折されるという効果を排除することによって、図を簡単にするために、真の物体平面からシフトされている。これらの層は平行平面板である。したがって、光線24が平面o内に生じる点は、点Uに位置する光源から照射されたときに、シリンドリカルレンズ22の頂点線の投影と見なすことができる。
【0039】
また、図2は、ユーザの左目26と右目28とを示しており、ユーザの理想化された位置を示す点Uは、目26と目28とを結ぶ線の中心の点(より正確には、それらの瞳孔の頂点)を示す。また、図2は、物体面oで放射された幾つかの光線30,32,34および36が、レンズアレイ18のレンズによって偏向され、次いでユーザの目26,28に向かって伝搬するか、または通過する。
【0040】
光線24はレンズによって偏向されないが(少なくともこの簡単な図では)、レンズの中心を通過するので、ビーム30〜36の光線は、シリンドリカルレンズの湾曲した表面で偏向される(また平行にされる)。ビーム30の光線は、それらがユーザの左目26に当たるように偏向される。同様に、ビーム32の光線は、それらがユーザの右目28に当たるように偏向される。これに対し、ビーム34の中心光線は、関連するレンズの中心を通過し、したがって偏向されず、ビーム自体がコリメートされ、ユーザの目の間の点Uに当たる。
【0041】
したがって、このビームおよびスクリーン上の関連する画素は、ユーザにとっては見えない。同様に、ビーム36は、ユーザの左目を通過するように偏向され、その結果、このビームおよび関連する画素は、ユーザにとっては見えない。したがって、任意の所与の観察位置に対して、平面oに表示される画像は、ユーザの左目26に対してのみ見ることができるストライプまたはセグメントに細分され、右目28に対してのみ見ることができるセグメントと交互になることが理解され、2倍を超える倍率の場合、これらのセグメントは、目に見えない「見えないゾーン」によって分離されることが理解される。特に、ビーム34に対応するゾーンは、左目26に関連するセグメント、したがって画像情報の左チャンネルを、右目28および右チャンネルに関連するセグメントから分離する。
【0042】
レンズアレイ18のこの特性は、主平面pを左チャネル領域38(図2に白で示す)および右チャネル領域40(黒で示す)に二重にするレンズチャネルマスクMによって表される。シリンドリカルレンズの頂点ラインは、左チャンネルゾーン38から右チャンネルゾーン40への第1のタイプの遷移を形成する。
【0043】
レンズアレイは周期的であるので、レンズアレイ18の隣接するシリンドリカルレンズ間の境界と一致して、第1タイプの遷移の中間に第2タイプの遷移が形成される。
【0044】
さらに図2に示されるように、レンズチャネルマスクMは、投影中心としての位置Uを平面Oに投影することができる。これにより投影された右チャンネルゾーン42と投影された左チャンネルゾーン44とを有するスクリーンチャンネルマスクMが得られる。平面o内の画素、従ってスクリーン16の表面が左チャンネルゾーン42内に入る場合、それは左チャネルと関連するか、相関付けされ、画素が右チャネルゾーン44内に入る場合、それは右チャネルと関連するか、相関付けされる。
【0045】
したがって、画素が属するチャネルに完全に含まれる1つのゾーン、すなわち、どの目で見ることができるか、または全く見えないときにどの目で見えるようにするかを、各画素について決定することができる。
【0046】
ユーザからスクリーンまでの距離は、第1タイプの遷移の不可視ゾーンおよび第2タイプの遷移の不可視ゾーンが等しい幅を有するときに最適であると考えられる。ユーザが画面からさらに後退すると、ダイバージェントビーム34がユーザの両眼26,28に当たった瞬間に、第1タイプの不可視ゾーンが縮小し、最終的に消滅する。
【0047】
反対に、ユーザがスクリーンに近づくと、(ビーム36によって象徴されるような)第2のタイプの不可視ゾーンは縮小し、最終的に消滅する。1つのタイプの不可視ゾーンが消滅すると、左右のチャンネルはもはや完全に分離されない。すなわち、いくつかの画素またはその一部が両目で見える。
【0048】
ユーザが左または右に移動すると、スクリーンチャネルマスクMは反対方向にシフトするが、画面上に表示された画像を同じ量だけシフトすることによってこれを補償することができる。頭部または目の追跡システムが事前に送信されていない場合、画像は、好ましくは、画面の中心に対して対称的に、垂直および水平の両方に位置するユーザによって最適に見ることができる位置に表示されることが好ましい。
【0049】
さらに図2に示すように、スクリーンチャネルマスクMは、レンズチャネルマスクMに比べて拡大されている。この拡大は投影、すなわち光線24の発散に依るものであり、個々のシリンドリカルレンズの拡大特性には関係しない。
【0050】
図3は、図2と同様の図を拡大して示す、6ビューシステムである。この場合、レンズアレイの個々のレンズ22ごとに、スクリーンチャネルマスクMが6つのチャネル1〜6に分割される。一般に、レンズ当たりのチャネルの数は、所望の視界数Nと少なくとも同じである。ただし、一部のチャネルには冗長な情報が含まれており、1つのレンズあたりのチャネル数は視界数よりも大きくなる可能性がある。
【0051】
図3は、観察位置と同じ側方位置を有し、したがってユーザが正面から見たレンズ22を示す。結果として、このレンズでは、図2には示されていないスクリーンチャネルマスクMと対応するレンズチャネルマスクとの間にオフセットはない。ビームB2は観察者の左眼26の瞳孔46に当たり、ビームB5は右眼の瞳孔に当たる。この状況では、他のビームB1、B3、B4およびB6は見えない。また、チャネルマスクMの隣接するセグメント(隣接するレンズに対応する)のチャネル6に由来するビームA6、及び、他方の隣接するセグメントのチャネル1に由来するビームC1も不可視である。
【0052】
ビームB1〜B6は、6ビューシステムの6つの異なる視界を表す。左右の目で見えるビームB2、B5はステレオペアを形成するので、対応するチャンネル2,5の画面に適切な映像情報が表示されたときに3D映像が知覚される。
【0053】
図3において、ユーザが頭を右に動かすと、別のステレオペアを形成するビームB1およびB4が見える。反対に、反対側に移動すると、ビームB3およびB6がさらに別のステレオペアを形成するのを見ることになる。したがって、この例では、チャネルマスクMが静止していても(視点位置が変わったときには移動しない)、頭部の横方向の動きがある範囲に制限されている限り、3D画像を知覚することができる。そのためには、チャンネル1〜3は左目26の画像情報を含まなければならず、チャンネル4〜6は右目28の画像情報を含まなければならない。
【0054】
図1によるマルチビューシステムでは、図3に示すように、ユーザは、右目用チャネルの順序番号が左目用順序番号より大きい場合にのみステレオペアを見る。図3においてユーザがビームA6およびB3を見るように図の右に十分に移動すると、左目26はチャネル6からの画像情報を知覚し、右目28はチャネル3からの画像情報を知覚し、右目用のチャネルの順序番号(3)は、左目用のチャネルの順序番号(6)よりも小さくなる。この結果として、ユーザは非現実的な逆のステレオ画像を知覚することになる。右目28がビームC1に当たるように、ユーザが左に十分に移動した場合も同様である。
【0055】
しかし、図2には示されていないが、図3に示すように、ユーザがさらに左に移動すると、右目28は、左目用の視界に対応するビームC2、C3、および次に右目用の視界に再び対応するビームC4を連続的に見る。その瞬間に、左目26は左目に割り当てられたビームC1によって当てられ、ユーザは正しい3D画像を再び知覚する。したがって、システムは、正しい3D画像が見え、反転画像が見られる位置によって分離された複数の適切な観察位置を提供することが理解されるであろう。2つ以上の適切な視聴位置の存在は、システムが複数の視聴者によって同時に使用されることを可能にする。
【0056】
隣接する視界と画像情報を共有しない視界を生成するために、チャネルマスクMの6つのチャネルの各々は、このチャネル(すなわち、この画素の部分は隣接チャネルによってカバーされない)に排他的な1ライン当たり少なくとも1つの画素を含まなければならない。もちろん、各チャネルは、このチャネルにのみ割り当てられた2つ以上のスクリーンピクセルを含むことが可能である。例えば、図2の各チャネルが、3つのスクリーンピクセルのみを含み、6ビューチャネルマスクMは、レンズ22の下の3つのチャネルのみを有する3ビューチャネルマスクに置き換えられ、各チャネルに対して2つの画素が利用可能となる。
【0057】
さらに、チャネルマスクMの各チャネルは、そのチャネルの画像情報が取り出されるテクスチャに関連付けられていることが理解されよう。したがって、図3に示す例では、6つの異なるテクスチャがある。しかし、図3に示す6ビューシステムから、図1及び図2に示す2ビューシステムへの切り替えは、例えば、画像情報を2つのテクスチャ(LおよびR)にのみ再グループ化し、6ビューのチャネルマスクを2ビューのチャネルマスクに置き換えることによって、可能である。同様に、各画素ラインにおいて少なくとも1つの画素/チャネル及びレンズが必要であるという要件が満たされ得る限り、視界の数Nは任意に変更されてもよい。
【0058】
図4は、スクリーン16の一部の拡大正面図を示し、レンズアレイ18の単一のレンズ22の境界と同様に、2つの画素ラインの各々における8つの連続する画素48を示す。
【0059】
図4に示すように、レンズアレイ18のシリンドリカルレンズ22は、垂直に配置されておらず、スクリーンの垂直方向の画素列に対して一定の角度αをなしている。この角度を任意に選択できることは、異なるタイプのモアレおよびクロストークの最小化を含む多くの理由により有利である。本発明による方法は、レンズの配置が、レンズの傾斜が90°に達したときに遅くない、視差の十分な量を提供する限り、任意の所望の角度αに対応することができる。
【0060】
簡略化のために、ここではスクリーンがモノクロスクリーンであると仮定する。例えば各画素が1画素の三つ組で構成されたRGBスクリーンなどのカラースクリーンへの拡張は、2ビューシステムのために欧州特許第2044480号明細書に記載されている。ここに開示された原理は、3つ以上の視界を有するシステムおよびシステム構成に等価に適用することができる。
【0061】
この例では、1つのレンズ22の領域内に位置する、2つの連続したラインのそれぞれに6つの画素群によって構成され、単レンズ22の領域に配置された12の画素は、1から12までの番号によって指定され、下側のラインの画素には奇数が使用され、上側のラインの画素には偶数が使用されている。
【0062】
チャネル境界は、図4の線bで示されている。画素とチャネルとの関係は一意ではないことが分かる。例えば、図4の下側の画素ラインにおいては、画素は対応するチャネルストライプに完全には収まらないが、左下および右上の角は切り取られ、隣接するチャネルに広がる。上側の画素ラインでは、この効果はさらに顕著であり、画素はチャネル境界によってほぼ2等分される。
【0063】
これらの画素に表示する内容を決定する必要がある場合は、チャネル割り当ての不確実性を考慮する必要がある。与えられた例では、角度αは、チャネル境界が1つおきの画素ライン(例えば、ボトムラインの画素1は、画素1および画素3が破線で示されている最上部の画素ラインにある画素1と同じ方法で、チャネル境界で除算される。)ごとに同じ位置の画素をカットするように選択されている。。
【0064】
関連する1つまたは複数のチャネルを各画素に割り当てるためのいくつかのアルゴリズムがある。1つの可能性は、画素をチャネルマスクM上にマッピングし、各チャネルと重なる画素の表面領域の部分のサイズを計算することである。画素が1つのチャンネルに完全に含まれている場合は、そのチャンネルに一意的に割り当てられる(相関係数1)。2つ以上のチャネルと重複する場合、画素とそれぞれのチャネルが重なる表面積に比例する相関係数によって、これらのチャネルのそれぞれと相関する。
【0065】
ここで好ましい別の手法では、各画素の中心に水平線Yを引くことにより、画素の左境界から右境界までのラインYの線分をチャネル境界b(例えば、図4のチャネル3とチャネル4との間)で分割し、サブセグメントh3、h4に分割する。次に、画素の各チャネルとの相関は、サブセグメントh3およびh4の長さにそれぞれ比例する。
【0066】
図4に示すパターンは、例えば、頭部追跡を伴う2ビューシステム(N=2)を実施するために使用されてもよい。次に、例えば、同じライン内の同じシリンダレンズ22の背後にある6つの画素のうちの2つのみが見え、各視界に対して1つの画素が見える。残りの4つの画素は、冗長性のために2つの可視画素のコピーを含む。
【0067】
別の可能な動作モードは、12ビューモードであり、図4の12個の画素1〜12の各々は表示され、別の視界に割り当てられる。6ビューモードでは、2番目ごとの画素が表示される。システムは静的であってもよく、すなわち視線追跡を伴わなくてもよい。
【0068】
さらに別のモードでは、レンズアレイを除去して非屈折状態に切り替えることができ、システムを、最大解像度を提供する2Dモードで動作させることができる。
【0069】
3Dモードでは、レンズアレイがアクティブになると、各シリンダレンズ22は、レンズ方向に垂直な方向に画素を拡大する。6ビューシステムでは、例えば、少なくとも6番目の画素が実際に各目(この例では、チャネル2の左目の画素とチャネル5は右目で)に見えなければならない。チャネルの可視部分を互いにできるだけ遠くに保つために、実際には、m=∞の倍率は、実際には、このような「狭い間隔」のシステムでは共通しているので、その結果、各眼のために、各レンズの下の可視部分が線に収縮する。
【0070】
図5は、単一のレンズ22によって覆われた画素48を有する画素ラインYの一部の概略図である。画像内容が決定されるべき画素の中心点は、Pとして示される。画素ラインYにおいて、レンズ22によって画定されるチャネルマスクの間隔は、点B0および点B1によって画定される。対応するチャネルマスクMは、画素ラインの下に示されている。この例では、B0とB1との間の間隔は9画素を含み、チャネルの数がN=6として選択されると、チャネルマスクMの対応する間隔は6つのチャネル1〜6に分割される。
【0071】
チャネルマスクMの下方には、画素ラインの方向に延在し、B0からB1までの間隔の幅に正規化された座標軸Xが示されているので、B0は座標X=0であり、B1は座標X=1である。
【0072】
注目画素の中心点Pは、チャネル2内に入ることになり、画素の幅は、チャネル2,3の一部を覆う。
【0073】
この例では、考慮中の画素は、画素の中心点Pを含むチャネル(チャネル2)に一意的に割り当てられる。結果として、異なるテクスチャからの画像のブレンドはなく、ある視界から別の視界への遷移は突然である。画素とそのチャネルとの相関は、「サンプリング幅」と呼ばれるパラメータによって制御される。図5では、サンプリング幅は0であり、これはPの位置のみがこの画素に関連するチャネルを決定するために使用されることを意味する。
【0074】
図6において、サンプリング幅は、単一画素48の幅の単位で、e=1に設定されている。サンプリング幅eは、点P0およびP1によって境界付けられ、点Pを中心とするサンプリング間隔を規定する。チャネルマスクM上で、サンプリング間隔[P0、P1]は、チャネル2,3の一部をカバーする。これらのチャネルは、相関矩形58によって象徴されるように、サンプリング間隔を異なるサイズの2つのセクションに分割する。各チャネルの画素は、対応するセグメントの幅と全サンプリング幅eとの比として定義される。したがって、この例では、Pにおける画素の最終的な画像内容は、チャネル2および3に関連するテクスチャからのサンプリング結果の加重平均(相関係数で加重される)になる。
【0075】
図7は、e=1およびN=9を有する例を示しているので、考慮中の画素は、図6と同様にチャネル2および3ではなく、チャネル3および4と相関関係にある。
【0076】
図8は、図6と異なる構成を示している。サンプリング幅が1:e=0.5よりも小さくなるように選択されているので、より多くの画素が唯一のチャネルに一意的に割り当てられるという点で、図6とは異なっている。チャネルの数が一定(この場合、N=6)であるほど、より大きなサンプリング幅は、図8における1つから別のものへの遷移が、図5よりも滑らかであるが、図6ほどではないように、より滑らかな遷移となる。
【0077】
図9は、e=2.1およびN=9の例を示す。ここで、サンプリング間隔[P0、P1]は、チャネル3および4だけでなく、チャネル2の小さな部分もカバーする。したがって、この例では、Pにおける画素の内容は、チャネル2〜4に関連するテクスチャからのサンプリング結果の加重平均(相関係数で加重される)となる。
【0078】
本発明による方法を説明する一般的な流れ図を図10に示す。
【0079】
ステップS1において、生成すべきテクスチャの数を決定する表示数Nを選択する。Nは、スクリーン16の物理的特性に直接リンクされておらず、1から、B0からB1までの間隔のスクリーン画素の数によって決定される一定の上限の間で自由に選択され得ることに留意されたい。例えば、頭部追跡カメラが利用可能である場合、このカメラを使用して視聴者の数を検出し、カウントし、次いでNを視聴者の数に直接的または間接的に自動的に適応させる。
【0080】
ステップS2において、利用可能な画像情報がN個のテクスチャに分配されることを保証する分配スキームが設定される。最も単純な場合、画像情報は、N個の異なる視界を含むフォーマットで提供され、この番号NがステップS1で選択されている。次に、ステップS2において、各視界の画像情報がテクスチャの異なる1つにロードされる。
【0081】
しかしながら、利用可能な視界の数よりも小さいNを選択することは可能である。利用可能な視界のいくつかは破棄される可能性がある。例えば、利用可能な画像情報が8ビューフォーマットであり、ユーザまたはシステムがN=4を選択する場合、ユーザまたはシステムは、4つの外側視界を破棄することを決定することができる。この場合、視界から視界への遷移は8ビュー構成ほど滑らかになるが、ユーザが頭を動かす範囲は狭くなる。これに代えて、ユーザは、すべての第2の視界を破棄することを選択することができる。その結果、移動範囲は以前と同じ広さであるが、視界から視界への遷移はより顕著になる。これにより、隣接する視界間の「ボケ」が増えるという犠牲を払うものの、チャネルブレンディングを強化するように、大きなサンプリング幅eを選択することによって軽減することができる。
【0082】
逆に、Nを利用可能な視界の数よりも大きくなるように選択することも可能である。その場合、使用可能な視界のコピーを空きチャネルにロードすることができる。オプションの追加視界は、内挿または外挿技術によって計算できる。
【0083】
シーンの3Dモデルを表示する場合、3Dモデルにそれぞれの数の仮想カメラを配置することによって、このモデルから任意の数の視界を直接計算することができる。
【0084】
ステップS2における分配方式の設定は、ユーザによって手動で実行されてもよいし、ソフトウェアによって自動的に実行されてもよい。後者の場合、ユーザは異なるオプションの間で選択肢を提供されてもよい。
【0085】
ステップS3において、ユーザまたはシステムは、目の追跡を使用するかどうかを決定するように促される。しかしながら、この決定はN=2又はN>2が選択されたかどうかに依存しないことに留意すべきである。
【0086】
ユーザまたはシステムが、アイトラッキングを使用しないと決定すると(N)、ステップS4で静的チャネルマスクが作成される。視聴者が最適な視聴距離に位置し、スクリーンの中心の前に位置するという前提に基づいている。しかし、視界位置を選択するための他の選択肢も可能である。
【0087】
ステップS3(Y)でアイトラッキングが選択された場合、検出されたユーザの視点位置に基づいて、ステップS5でダイナミックチャネルマスクが作成される。ディスプレイの前に複数のユーザがいるマルチユーザシナリオでは、アイトラッキングまたはヘッドトラッキングシステムは、これらのユーザのうちの特定のユーザに従うように構成されてもよい。
【0088】
ステップS4またはS5に続いて、サンプリング幅eは自動的に(システムによって)またはステップS6でユーザによって手動で選択される。
【0089】
最後に、表示アルゴリズムがステップS7で開始され、各画素を1つ以上のNチャネルと相関させ、N個のテクスチャから画像データをサンプリングし、場合によってはサンプリング幅eである選択されたサンプリング幅に基づいてそれらをブレンドすることによって、設定された視界数Nがレンダリングされる。3Dムービーの場合、テクスチャの内容はもちろん、タイムスロットごとに更新される。
【0090】
図1に示す自動立体視システムでは、選択された数Nの視界に対して性能(特に解像度)を最適化するように、レンズアレイ18を別のもので置き換えることも可能である。レンズアレイ18を交換すると、機械的な調整誤差が生じることがある。しかし、例えばEP2615838A1に記載されているように、チャネルマスキング及びサンプリング手順は、このような誤差を補償するように容易に適合させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10