【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の1つの特定の実施形態は、少なくとも1つの準備用ステーションのための順序設定のシステムを提案するものである。本システムは、少なくとも1つの進入アウトバウンドコンベヤを介して少なくとも1つの外部ユニットから来る荷物の順序を設定し、上記少なくとも1つの準備ステーションに、少なくとも1つの退出アウトバウンドコンベヤを介して、所望の順序にある荷物を含んだ少なくとも1つの配列を与えるように構成される。本システムは、
−閉ループ内を循環するナセル(又はバケット)を備えた、パーテルノステルと呼ばれる管理エレベータであって、各ナセルは少なくとも1つの荷物を移送できるようにし、上記ナセル上に、又は上記ナセルから荷物を移送するデバイスを備えている、管理エレベータと、
−パーテルノステルから来た少なくとも1つの荷物を一時的に受け入れる少なくとも1つのバッファ領域と、
−上記少なくとも1つの配列内の上記荷物の所望の場所に応じて選択される、複数のモードのうちの1つに従って、システム内の荷物の移動を編成し、少なくとも1つの進入アウトバウンドコンベヤを通して、パーテルノステルの入口に来る各荷物を処理する管理ユニットとを備えている。前記複数のモードは、
(a)パーテルノステルに導入された後に、荷物が、2つのナセルの荷物移送デバイスによって、向かい合って位置する2つのナセル間のショートカット又はバイパス移送を経て、上記少なくとも1つの退出アウトバウンドコンベヤに送られるモードと、
(b)パーテルノステルに導入された後に、荷物が、所与のバッファ領域に向かう少なくとも1回のバッファ移送を経て、パーテルノステル内に再び置かれ、最終的に、上記少なくとも1つの退出アウトバウンドコンベヤに送られるモードと、
(c)パーテルノステルに導入された後に、荷物が、ショートカット移送若しくはバイパス移送又はバッファ移送を経ることなくその中で移送され、上記少なくとも1つの退出アウトバウンドコンベヤに送られるモードと
を含む。
【0027】
基本的な仕組みは、全く新規な手法と自明ではない手法(交互エレベータを使用しない)とを組み合わせ、それに従って、パーテルノステル(少なくとも1つのナセルを有する)に進入するべく到着した荷物ごとに3つの可能な処理モードを実施する管理ユニットの制御下で、パーテルノステルと少なくとも1つのバッファ領域とを利用することによって、荷物の順序設定(すなわち、配列と呼ばれる所望の順序で荷物を並べるという意味でのスケジューリング)を行うことにある。
【0028】
モード(a)は、所望の配列によれば所与の荷物の後方に1以上の他の荷物が位置すべきであるものの、パーテルノステルに進入すべく既に到着している前記他の荷物の後に、パーテルノステルに進入すべく到着した前記所与の荷物を、(所望の配列で到着するようにするために変更しようとしている現在の配列において前に進めるという意味で)繰り上げるために使用される機構であると見なすことができる。
【0029】
モード(b)は、所望の配列によれば所与の荷物の前に1以上の他の荷物が位置すべきあるものの、パーテルノステルに進入すべくまだ到着していない前記他の荷物の前に、パーテルノステルに進入すべく到着した前記所与の荷物を、(所望の配列で到着するようにするために変更しようとしている現在の配列において後ろへ下げるという意味で)繰り下げるために使用される機構と見なすことができる。
【0030】
モード(c)は、パーテルノステルに進入すべく到着した所与の荷物を(上記の意味で)繰上げも繰下げも行わないために使用される機構と見なすことができる。
【0031】
本システムの順序設定(スケジューリング)の能力は、パーテルノステル内に一時的に保管することができる荷物の量(すなわち、パーテルノステルのナセルの数)と、バッファ領域の数とに関係する。
【0032】
提案される解決策は、数多くの利点を有し、限定されないが、特に以下の利点を有する。
・準備用ステーションにできる限り近い順序設定によって、外部ユニット(例えば自動保管庫)からの退出における順序設定の制約を最小限にする。
・フットプリントを削減する。
・リソースをプールすることによって外部ユニット(例えば自動保管庫)のサイズを最適化する。
・システムの効率を最適化する。
・システムの応答性を最適化する。
・モータ駆動式ローラに適合したナセルが使用される場合には、複数の形態の荷物を取り扱うことができる。
・システムが幾つかの準備用ステーション(パーテルノステル及び1以上のバッファ領域のプール)を備える場合には、コストを最適化する。
・その他。
【0033】
1つの特定の特徴によると、モード(b)において、荷物は、少なくとも1つのバッファ移送の前又は後に、パーテルノステルの向かい合って位置する2つのナセル間のバイパス移送を経る。
【0034】
このようにして、荷物は所与のバッファ領域により迅速に到着し、それゆえ、ナセルの場所はより迅速に開放される(これは、他の荷物の順序設定にとって有用である)。
【0035】
1つの特定の特徴によると、上記少なくとも1つの配列は、以下を含むグループに属する。
−各々が供給元荷物(source load)のみを含む複数の配列であって、各供給元荷物は1以上の商品の保管コンテナである、複数の配列
−各々が対象荷物(target load)のみを含む複数の配列であって、各対象荷物は1以上の商品の出荷コンテナである、複数の配列
−各々が、1以上の商品の出荷コンテナである対象荷物(target load)と、それに続く、1以上の商品の保管コンテナである少なくとも1つの供給元荷物(source load)とを含んだ複数の配列
【0036】
第1の特定の実施態様において、各ナセルは水平方向に隣接するN個の場所を有し、それぞれが1〜Nの順位(rank)を有し、Nは2以上である。本システムは、
−各々がN個の場所の順位のうちの1つへ荷物の移送を行う少なくともN個の進入アウトバウンドコンベヤであって、各場所の順位が各進入アウトバウンドコンベヤに関連付けられる、少なくともN個の進入アウトバウンドコンベヤと、
−準備用ステーションごとに、各々がN個の場所の順位のうちの1つから来る荷物の移送を行う、水平方向に隣接するN個の退出アウトバウンドコンベヤであって、各場所の順位が各退出アウトバウンドコンベヤに関連付けられる、N個の退出アウトバウンドコンベヤと
を備えている。
【0037】
1つの例において、1つ以上の進入アウトバウンドコンベヤを幾つかの準備用ステーション間で共有することができる。別の例において、システムは準備用ステーションごとに異なった、N個の進入アウトバウンドコンベヤの組を備える。この別の例では、それゆえ、システムは、準備用ステーションごとに、N個の進入アウトバウンドコンベヤ(荷物をN個のナセルの場所に入れる)と、N個の退出アウトバウンドコンベヤ(N個のナセルの場所から荷物を取り出す)とを備える。
【0038】
第2の特定の実施態様において、各ナセルは水平方向に隣接するN個の場所を有し、それぞれが1〜Nの順位(rank)を有し、Nは2以上である。本システムは、上記少なくとも1つの進入アウトバウンドコンベヤからN個の場所の順位のうちのいずれか1つへ荷物の移送を行う少なくとも1つの移送テーブルタイプデバイス(transfer table type device)を備える。
【0039】
この第2の特定の実施態様において、各移送テーブルタイプデバイスによって、1つの進入アウトバウンドコンベヤを、ナセルの場所の幾つかの順位間でプールできるようになる。
【0040】
この第2の実施態様の1つの特定の特徴によれば、上記少なくとも1つの移送テーブルタイプデバイスは、水平方向に隣接する少なくとも2つの進入アウトバウンドコンベヤに共通であり、少なくとも2つの進入アウトバウンドコンベヤのうちのいずれか1つからN個の場所の順位のいずれか1つへ荷物の移送を行う。
【0041】
したがって、各移送テーブルタイプデバイスそのものが、少なくとも2つの進入アウトバウンドコンベヤ間でプールされる。
【0042】
第3の特定の実施態様(第2の実施態様と組み合わせることができる)において、各ナセルは、水平方向に隣接するN個の場所を有し、それぞれが1〜Nの順位を有し、Nは2以上である。本システムは、少なくとも1つの所与の準備用ステーションのために、N個の場所の順位のうちのいずれか1つから、上記所与の準備用ステーションに送られる荷物をパーテルノステルから取り出す少なくとも1つの退出アウトバウンドコンベヤまで荷物の移送を行う少なくとも1つの移送テーブルタイプデバイスを備える。
【0043】
この第3の特定の実施態様において、各移送タイプテーブルデバイスによって、1つの退出アウトバウンドコンベヤを、ナセルの場所の幾つかの順位間でプールできるようになる。
【0044】
この第3の実施態様の1つの特定の特徴によれば、上記少なくとも1つの移送テーブルタイプデバイスは、水平方向に隣接する少なくとも2つの退出アウトバウンドコンベヤに共通であり、N個の場所の順位のうちのいずれか1つから少なくとも2つの退出アウトバウンドコンベヤのうちのいずれか1つへ荷物の移送を行う。
【0045】
したがって、各移送テーブルタイプデバイスそのものが、少なくとも2つの退出アウトバウンドコンベヤ間でプールされる。
【0046】
第4の特定の実施態様において、各ナセルは、水平方向に隣接するN個の場所を有し、それぞれが1〜Nの順位を有し、Nは2以上である。本システムは、
−各々がN個の場所の順位のうちの1つから来る荷物を受け取る、水平方向に隣接するN個の退出アウトバウンドコンベヤであって、各場所の順位は各退出アウトバウンドコンベヤに関連付けられる、N個の退出アウトバウンドコンベヤと、
−N個の退出アウトバウンドコンベヤから来た荷物を受け取る1つの共通コンベヤと、
−各々が共通コンベヤから来る荷物を受け取り、その荷物をN個の準備用ステーションのうちの1つへ運ぶN個の最終アウトバウンドコンベヤと
を備える。
管理ユニットは、
ナセルの場所のN個の順位ごとに、N個の配列の中の1つの配列に従って荷物の順序を設定し、順序が設定された荷物を上記ナセルの場所の順位に関連する退出アウトバウンドコンベヤに送り、
N個の配列を形成する荷物をN個の退出アウトバウンドコンベヤから共通コンベヤに移送し、
N個の配列ごとに、その配列を形成する荷物を共通コンベヤからN個の最終アウトバウンドコンベヤのうちの1つに移送する
ものとなるようにシステム内の荷物の移動を編成する。
【0047】
このようにして、パーテルノステル及びN個の(水平方向に隣接する)退出アウトバウンドコンベヤは、幾つかの準備用ステーション間でプールされる。
【0048】
本明細書において上記で言及された第1の実施態様及び第3の実施態様では、パーテルノステルが幾つかの準備用ステーション間でプールされることに留意されたい。一方、各準備用ステーションは、その準備用ステーションに特有のものであり、水平方向に隣接する1以上の退出アウトバウンドコンベヤの組に関連付けられる。それゆえ、1以上の退出アウトバウンドコンベヤの各組は、パーテルノステルの全ての垂直出口レベル(すなわち、ナセルが荷物出口のための停止部に来る全ての垂直出口位置)の中の異なった垂直方向のレベルに配置される。
【0049】
第5の特定の実施態様において、各ナセルは単一の場所を含み、システムは、水平方向に隣接する少なくとも2つの進入アウトバウンドコンベヤのうちのいずれか1つから、上記ナセルの単一の場所へ荷物の移送を行う少なくとも1つの移送テーブルタイプデバイスを備える。
【0050】
したがって、パーテルノステルはシンプルである(ナセルあたり1つの場所のみ)。各移送テーブルタイプデバイスによって、水平方向に隣接する幾つかの進入アウトバウンドコンベヤを使用できるようになる。
【0051】
第6の特定の実施態様(第5の実施態様と組み合わせることができる)において、各ナセルは一意(unique)の場所を有し、システムは、少なくとも1つの所与の準備用ステーションのために、上記ナセルの一意の場所から、水平方向に隣接し、上記所与の準備用ステーションに送られる荷物をパーテルノステルから取り出す少なくとも2つの退出アウトバウンドコンベヤのうちのいずれか1つへ荷物の移送を行う少なくとも1つの移送テーブルタイプデバイスを備える。
【0052】
したがって、各移送テーブルタイプデバイスによって、水平方向に隣接する幾つかの退出アウトバウンドコンベヤを使用できるようになる。
【0053】
1つの特定の特徴によれば、管理ユニットは、上記少なくとも1つの準備用ステーションによって処理された後に、以下のモードのうちの1つにおいて、進入リターンコンベヤを介してパーテルノステルの入口まで来る各荷物を処理する。モードは以下の通りである。
(d)上記少なくとも1つの配列を得るために、荷物が第1の期間内に依然として必要である場合には、パーテルノステルに導かれた後に、荷物は所与のバッファ領域への少なくとも1回のバッファ移送を経て、パーテルノステル内に再び置かれ、最終的に、上記少なくとも1つの退出アウトバウンドコンベヤに送られるモード。
(e)上記少なくとも1つの配列を得るために、荷物が、上記第1の期間よりも短い第2の期間内に依然として必要である場合には、パーテルノステルに導かれた後に、荷物は、上記少なくとも1つの退出アウトバウンドコンベヤに送られるまで、パーテルノステル内に保持されるモード。
(f)上記少なくとも1つの配列を得るために、荷物が、上記第2の期間よりも短い第3の期間内に依然として必要である場合には、パーテルノステルに導かれた後に、荷物は向かい合って位置する2つのナセル間のバイパス移送を経て、上記少なくとも1つの退出流出コンベヤに送られるモード。
(g)上記少なくとも1つの配列を得るにあたり、荷物がもはや必要でない場合には、荷物はパーテルノステルに導かれ、上記少なくとも1つの退出リターンコンベヤに搬送されるモード。
【0054】
したがって、本システムによって、1以上の準備用ステーションによって処理された後に、パーテルノステルの入口に来た荷物の返送も最適に管理できるようになる。モード(d)、(e)及び(f)によれば、後続の使用を待つ間、供給元荷物又は対象荷物を準備用ステーションのできる限り近くに保持できるようになる。したがって、外部ユニット(例えば、自動保管庫)内外への進入・退出移動が最小限になる。モード(e)によれば、荷物を、モード(d)より迅速に(同じ準備用ステーション又は別の準備用ステーションに)再び送ることができるようになる。モード(f)によれば、荷物を、モード(e)より迅速に(同じ準備用ステーション又は別の準備用ステーションに)再び送ることができるようになる。モード(g)によれば、荷物を外部ユニットに返送できるようになる。
【0055】
1つの特定の特徴によれば、モード(g)において、パーテルノステルに導かれた後に、荷物は向かい合って位置する2つのナセル間のバイパス移送を経る。
【0056】
このようにして、ナセルの場所がより迅速に開放される。
【0057】
1つの特定の特徴によれば、モード(d)において、少なくとも1回のバッファ移送の前又は後に、荷物は向かい合って位置する2つのナセル間のバイパス移送を経る。
【0058】
このようにして、ナセルの場所がより迅速に開放される。
【0059】
本発明の別の実施形態は、少なくとも1つの進入アウトバウンドコンベヤを通して少なくとも1つの外部ユニットから来た荷物の順序を設定し、少なくとも1つの準備用ステーションに、少なくとも1つの退出アウトバウンドコンベヤを通して、所望の順序に並んだ荷物を含む少なくとも1つの配列を提供するための方法を提案するものである。本方法は、閉じられたループ内を循環するナセルを備えた、パーテルノステルと呼ばれる管理又は操縦エレベータであって、各ナセルは、少なくとも1つの荷物を移送できるようにし、上記ナセル上に、又は上記ナセルから荷物を移送するためのデバイスを備えている、管理又は操縦エレベータと、パーテルノステルから来る少なくとも1つの荷物を一時的に受け取る少なくとも1つのバッファ領域と、管理ユニットとを備えたシステムにより実施される。管理ユニットは、上記少なくとも1つの配列内の上記荷物の所望の場所に応じて選択される、上記モード(a)、(b)及び(c)のうちの1つに従って、システム内の荷物の移動を編成し、上記少なくとも1つの進入アウトバウンドコンベヤを通して、パーテルノステルの入口に来る各荷物を処理する。
【0060】
本発明の他の特徴及び利点は、例示的であって、包括的ではない例によって与えられる以下の説明から、そして添付の図面から明らかになる。