(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
【0011】
(1)第1の形態
図1は、本発明の第1の形態の磁気共鳴装置の概略図である。
磁気共鳴装置(以下、「MR装置」と呼ぶ。MR:Magnetic Resonance)100は、マグネット2、テーブル3、受信コイル4などを有している。
【0012】
マグネット2は、被検体11が収容されるボア21を有している。また、マグネット2は、超伝導コイル、勾配コイル、およびRFコイルなどが内蔵されている。
【0013】
テーブル3は、被検体11を支持するクレードル3aを有している。クレードル3aは、ボア21内に移動できるように構成されている。クレードル3aによって、被検体11はボア21に搬送される。
【0014】
受信コイル4は、被検体11の頭部に取り付けられている。受信コイル4は、被検体11からの磁気共鳴信号を受信する。
【0015】
MR装置100は、更に、送信器5、勾配磁場電源6、受信器7、制御部8、操作部9、および表示部10などを有している。
【0016】
送信器5はRFコイルに電流を供給し、勾配磁場電源6は勾配コイルに電流を供給する。受信器7は、受信コイル4から受け取った信号に対して、検波などの信号処理を実行する。尚、マグネット2、受信コイル4、送信器5、勾配磁場電源6、受信器7を合わせたものが、スキャン手段に相当する。
【0017】
制御部8は、表示部10に必要な情報を伝送したり、受信コイル4から受け取ったデータに基づいて画像を再構成するなど、MR装置100の各種の動作を実現するように、MR装置100の各部の動作を制御する。制御部8は、変換手段81〜決定手段84などを有している。
【0018】
変換手段81は、第1エコーを逆フーリエ変換し、後述するプロファイルを求める。
設定手段82は、基準プロファイルとして使用されるプロファイルを設定する。
算出手段83は、基準プロファイルと各プロファイルとの相関係数を算出する。
決定手段84は、相関係数に基づいて、再収集するエコートレインを決定する。
【0019】
制御部8は、変換手段81〜決定手段84を構成する一例であり、所定のプログラムを実行することにより、これらの手段として機能する。
【0020】
操作部9は、オペレータにより操作され、種々の情報を制御部8に入力する。表示部10は種々の情報を表示する。
MR装置100は、上記のように構成されている。
【0021】
図2は第1の形態における撮影部位を概略的に示す図である。第1の形態では、頭部が撮影部位Rとして設定されている。
【0022】
図3は、撮影部位Rからデータを収集するために実行されるスキャンSCの一例を示す図である。
【0023】
図3では、シーケンスSE
i(i=1〜21)が繰り返し実行される例が示されている。シーケンスSE
iは、プリパレーション部Aとデータ収集部Bとを有している。
【0024】
プリパレーション部Aは、拡散強調を行うための傾斜磁場MPGを有している。データ収集部Bは、撮影部位RからエコートレインET
iを収集するためのシーケンス部である。
【0025】
エコートレインET
iはn個のエコーE
i1〜E
inを有している。第1の形態では、エコーE
i1〜E
inのうち第2エコーE
i2〜第nエコーE
inは画像再構成のデータとして使用される。しかし、第1エコーE
i1は、画像再構成のデータとしては使用されず、エコートレインを再収集するか否かを判断するために使用される。第1エコーE
i1を用いてエコートレインを再収集するか否かを判断する方法については後述する。
【0026】
画像再構成のデータとして使用される第2エコーE
i2〜第nエコーE
inを収集する場合、傾斜磁場G
ssおよびG
peのエンコード量は増減する。しかし、画像再構成のデータとして使用されない第1エコーE
i1を収集する場合、傾斜磁場G
ssおよびG
peのエンコード量はゼロに設定されている。
【0027】
シーケンスSE
1〜SE
21を実行することにより、シーケンスごとに、エコートレインが収集される。
図4に、シーケンスSE
1〜SE
21を実行することにより収集されたエコートレインを概略的に示す。
図4では、シーケンスSE
1、SE
2、SE
3、およびSE
21により収集されるエコートレインET
1、ET
2、ET
3、およびET
21が示されている。
【0028】
図5は、シーケンスSE
1〜SE
21により収集されたエコーをk空間に埋めるときの様子を示す図である。
図5には、ky−kz面が示されている。
シーケンスSE
1を実行することによりエコートレインET
1(第1エコーE
11〜第nエコーE
1n)が収集される。上記のように、第1エコーE
11は画像再構成のデータとしては使用されず、第2エコーE
12〜第nエコーE
1nが画像再構成のデータとして使用される。エコートレインET
1の第2エコーE
12〜第nエコーE
1nは、kz=−10のk空間のデータとして使用される。シーケンスSE
1を実行した後、次のシーケンスSE
2が実行される。
【0029】
シーケンスSE
2を実行することによりエコートレインET
2(第1エコーE
21〜第nエコーE
2n)が収集される。第1エコーE
21は画像再構成のデータとしては使用されず、第2エコーE
22〜第nエコーE
2nが画像再構成のデータとして使用される。エコートレインET
2の第2エコーE
22〜第nエコーE
2nは、kz=−9のk空間のデータとして使用される。
【0030】
以下同様に、各シーケンスが実行され、第2エコー〜第nエコーが画像再構成のデータとして使用される。最後にシーケンスSE
21が実行される。
【0031】
シーケンスSE
21を実行することによりエコートレインET
21(第1エコーE
21,1〜第nエコーE
21,n)が収集される。第1エコーE
21,1は画像再構成のデータとしては使用されず、第2エコーE
21,2〜第nエコーE
21,nが画像再構成のデータとして使用される。エコートレインET
21の第2エコーE
21,2〜第nエコーE
21,nは、kz=10のk空間のデータとして使用される。
【0032】
このようにしてk空間のデータが収集される。尚、
図5では、シーケンスの実行回数は21回であるが、画像再構成に必要なデータを収集することができるのであれば、シーケンスの実行回数は21回に限定されることはなく、21回より少なくてもよいし、21回より多くてもよい。
【0033】
k空間のデータを実空間のデータに変換することにより、撮影部位Rの拡散の情報を含む画像を得ることができる。しかし、心拍などの体動はエコートレインのエコーに影響を与えることがあり、体動の影響を受けているエコーを画像再構成のエコーとして使用すると、ゴーストなどのアーチファクトの原因となる。そこで、第1の形態では、アーチファクトの原因となる可能性の高いエコートレインが含まれている場合、そのエコートレインの再収集が行われる。以下に、第1の形態のスキャンについて説明する。
【0034】
図6は、第1の形態で実行されるスキャンSCの説明図である。
第1の形態では、スキャンSCは、2つの期間α1およびα2に分けられる。期間α1は、シーケンスSE
1〜SE
21を実行するための期間である。一方、期間α2は、エコートレインを再収集するためのシーケンスが実行される期間である。以下、第1の形態のスキャンSCを実行するときのフローについて説明する。
【0035】
図7は、第1の形態におけるスキャンSCを実行するときのフローを示す図である。
ステップST1では、スキャンSCの期間α1におけるシーケンスが実行される(
図8参照)。
【0036】
図8〜
図10は、スキャンSCの期間α1において実行されるシーケンスの説明図である。
期間α1では、先ず、シーケンスSE
1が実行される。
図8に、シーケンスSE
1が実行されるときの様子を示す。シーケンスSE
1が実行されることにより、エコートレインET
1が収集される。エコートレインET
1の第2エコーE
12〜第nエコーE
1nは、kz=−10に配置される。また、変換手段81(
図1参照)は、画像再構成に使用されない第1エコーE
11をx方向(周波数エンコード方向)に逆フーリエ変換し、これにより、プロファイルF
1が得られる。プロファイルF
1は、x方向(周波数エンコード方向)の信号値の変化を表している。
シーケンスSE
1を実行した後、次のシーケンスSE
2が実行される。
【0037】
シーケンスSE
2が実行されることにより、エコートレインET
2が収集される。
図9に、シーケンスSE
2により収集されたエコートレインET
2を概略的に示す。エコートレインET
2の第2エコーE
22〜第nエコーE
2nは、kz=−9に配置される。また、変換手段81は、画像再構成に使用されない第1エコーE
21をx方向(周波数エンコード方向)に逆フーリエ変換し、これにより、プロファイルF
2が得られる。プロファイルF
2は、x方向(周波数エンコード方向)の信号値の変化を表している。
【0038】
以下同様に、各シーケンスを順に実行し、各シーケンスで得られた第1エコーを逆フーリエ変換し、プロファイルを求める。
図10に、最後のシーケンスSE
21が実行されたときの様子を示す。エコートレインET
21の第2エコーE
21,2〜第nエコーE
21,nは、kz=10に配置される。また、変換手段81は、画像再構成に使用されない第1エコーE
21,1をx方向(周波数エンコード方向)に逆フーリエ変換し、プロファイルF
21を求める。プロファイルF
21は、x方向(周波数エンコード方向)の信号値の変化を表している。
【0039】
このようにして、シーケンスSE
1〜シーケンスSE
21が実行される。シーケンスSE
1〜シーケンスSE
21を実行した後、ステップST2に進む。
【0040】
ステップST2では、エコートレインET
1〜ET
21の中から、再収集する必要があるエコートレインを特定する。
【0041】
心拍などの体動はエコートレインのエコーに影響を与えることがあり、体動の影響を受けているエコーを画像再構成のエコーとして使用すると、ゴーストなどのアーチファクトの原因となる。そこで、第1の形態では、エコートレインET
1〜ET
21の中に、アーチファクトの原因となる可能性の高いエコートレインが含まれている場合、そのエコートレインを特定する。以下に、この特定方法について説明する。
【0042】
先ず、ステップST21において、設定手段82(
図1参照)が、プロファイルF
1〜F
21の中から基準プロファイルF
refとして使用されるプロファイルを設定する。基準プロファイルF
refは、次のステップST22においてプロファイルの相関係数を求めるときの基準となるプロファイルである。ここでは、プロファイルF
1を基準プロファイルF
refとして設定する。
図11に、基準プロファイルF
refを示す。
基準プロファイルF
refを設定した後、ステップST22に進む。
【0043】
ステップST22では、算出手段83(
図1参照)が、基準プロファイルF
refと、プロファイルF
1〜F
21の各々との相関係数Cを求める。
図12に、算出された相関係数Cを示す。
図12では、図面のスペースの制約上、代表して、以下の3つの相関係数が示されている。
(1)基準プロファイルF
refとプロファイルF
1との相関係数C
(2)基準プロファイルF
refとプロファイルF
2との相関係数C
(3)基準プロファイルF
refとプロファイルF
21との相関係数C
【0044】
本形態では、プロファイルF
1が基準プロファイルF
refとして使用されているので、基準プロファイルF
refとプロファイルF
1との相関係数Cは、C=1となる。また、第1の形態では、基準プロファイルF
refとプロファイルF
2との相関係数Cは、C=0.97であり、基準プロファイルF
refとプロファイルF
21との相関係数Cは、C=0.92であるとする。
【0045】
上記のように相関係数Cを求めることにより、第1エコーE
11〜E
21,1と相関係数Cとの対応関係を知ることができる。
図13に、第1エコーE
11〜E
21,1と相関係数Cとの対応関係を表す散布図が示されている。散布図の横軸は第1エコーE
11〜E
21,1を表しており、縦軸は相関係数Cを表す。散布図では、相関係数CはC=0.7〜1.0の範囲が示されている。第1のエコーE
11〜E
21,1の各々における相関係数Cの値は、記号「○」で示されている。相関係数Cを求めた後、ステップST23に進む。
【0046】
ステップST23では、決定手段84(
図1参照)が、相関係数Cに基づいて、再収集するエコートレインを決定する。以下に、相関係数Cに基づいて、再収集するエコートレインを決定する方法について説明する。
先ず、決定手段84は、相関係数の度数分布を表す度数分布データを作成する(
図14参照)。
【0047】
図14は相関係数の度数分布データD0を概略的に示す図である。
決定手段84は、先ず、散布図の相関係数の範囲0.7〜1.0を複数の区間(ビン)に分ける。
図14では、散布図の相関係数の範囲0.7〜1.0を6個の区間、即ち、ビン1〜ビン6に分けたときの様子が示されている。
【0048】
散布図の相関係数の範囲0.7〜1.0をビン1〜ビン6に分けた後、決定手段84は、各ビンに含まれている相関係数の個数(度数)を求める。したがって、相関係数の度数分布データD0を作成することができる。
【0049】
度数分布データD0を作成した後、決定手段84は、ビン1〜ビン6の中から、相関係数の度数が最大となるビンを特定する。
図14では、ビン1の度数は2個、ビン2の度数は19個、ビン3〜ビン6の度数は0個である。したがって、ビン2が、相関係数の度数が最大となるビンとして特定される。
【0050】
一般的に、被検体から収集した複数のエコーが体動の影響をあまり受けていない場合、これらの複数のエコーの各々のプロファイルを比較すると、プロファイルは類似する傾向がある。つまり、被検体から収集した複数のエコーが体動の影響をあまり受けていない場合、相関係数のばらつきは小さくなる傾向がある。一方、被検体から取集した複数のエコーが体動の影響を大きく受けている場合、これらの複数のエコーのプロファイルはあまり類似せず、相関係数のばらつきは大きくなる傾向がある。したがって、第1のエコーが体動の影響をあまり受けていない場合、相関係数Cは同一のビンに集中して現れる。
図14の度数分布データD0を参照すると、ビン2の度数が最大であるので、相関係数はビン2に集中して現れていることが分かる。ビン2には、第1エコーE
31〜E
21,1の相関係数が含まれている。したがって、第1エコーE
31〜E
21,1は体動の影響をそれほど受けていないと考えられる。
【0051】
一方、ビン2とは別のビンに含まれている第1エコーは、体動の影響を大きく受けていると考えられる。第1エコーが体動の影響を大きく受けている場合、その直後に収集される第2エコー〜第nエコーも体動の影響を大きく受けていると考えられる。したがって、これらの第2エコー〜第nエコーを画像再構成のエコーとして使用すると、ゴーストなどのアーチファクトが発生する原因となる。そこで、第1エコーの相関係数がビン2に含まれていない場合、エコートレインを再収集すると決定する。
図14を参照すると、第1エコーE
11およびE
21がビン2に含まれていないことが分かる。したがって、決定手段84は、第1エコーE
11を含むエコートレインET
1と、第1エコーE
21を含むエコートレインET
2とを再収集すると決定する。
再収集するエコートレインET
1およびET
2を決定した後、ステップST3に進む。
【0052】
ステップST3では、エコートレインET
1およびET
2の再収集が行われる。第1の形態では、スキャンSCの期間α1の直後に、エコートレインET
1およびET
2を再収集するための期間α2が設けられる(
図15〜
図17参照)。
【0053】
図15〜
図17は、期間α2にエコートレインET
1およびET
2を再収集するときの説明図である。
先ず、エコートレインET
1を再収集するための1回目のシーケンスSE
1が実行される(
図15参照)。
【0054】
図15は、エコートレインET
1を再収集するための1回目のシーケンスSE
1を実行するときの説明図である。
変換手段81は、1回目のシーケンスSE
1により収集された第1エコーE
11を逆フーリエ変換し、プロファイルF
1を求める。そして、算出手段83は基準プロファイルF
refとプロファイルF
1との相関係数Cを計算する。ここでは、C=0.82であるとする。次に、決定手段84は、相関係数0.82がビン2(相関係数0.90〜0.95)に含まれているか否かを判断する。
図15を参照すると、相関係数0.82はビン2には含まれていないことが分かる。上記のように、相関係数がビン2に含まれていない場合、第1エコーは体動の影響を大きく受けていると考えられる。したがって、1回目のシーケンスSE
1により再収集された第2エコーE
12〜第nエコーE
1nは、k空間のデータとして採用することができないと判断される。そこで、期間α2では、相関係数がビン2に含まれるまで、エコートレインET
1を再収集するためのシーケンスSE
1が繰り返し実行される(
図16参照)。
【0055】
図16は、期間α2においてシーケンスSE
1が3回実行されたときの様子を示す図である。
【0056】
図16では、1回目および2回目のシーケンスSE
1で再収集された第1エコーE
11の相関係数はビン2には含まれていないが、3回目のシーケンスSE
1で収集された第1エコーE
11の相関係数Cがビン2に含まれたとする。したがって、3回目のシーケンスSE
1で再収集されたエコートレインET
1の第2エコーE
12〜第nエコーE
1nが、k空間のデータとして採用される。
【0057】
k空間のデータとして採用されるエコートレインET
1を再収集することができたら、エコートレインET
2を再収集するためのシーケンスSE
2を実行する(
図17参照)。
【0058】
図17は、シーケンスSE
2を実行したときの様子を示す図である。
シーケンスSE
2は、第1エコーE
21の相関係数がビン2に含まれるまで繰り返し実行される。シーケンスSE
2については、2回目の再収集で第1エコーE
21の相関係数がビン2に含まれたとする。したがって、2回目の再収集で得られたエコートレインET
2の第2エコーE
22〜第nエコーE
2nが、k空間のデータとして採用される。
【0059】
このようにして、体動の影響をあまり受けていないエコートレインET
1およびET
2を再収集することができる。尚、エコートレインET
3〜ET
21は、ステップST1において、体動の影響をあまり受けていないエコートレインとして収集されているので、エコートレインET
3〜ET
21の再収集は行われない。
【0060】
したがって、エコートレインET
1およびET
2が再収集されたk空間のデータD′を得ることができる。エコートレインET
1およびET
2を再収集した後、ステップST4に進む。
【0061】
ステップST4では、
図17に示すk空間のデータD′を用いて画像再構成が行われ、フローが終了する。
【0062】
第1の形態では、ステップST1でエコートレインET
1〜ET
21を収集し、エコートレインET
1〜ET
21の第1エコーE
11〜E
21,1を逆フーリエ変換し、プロファイルF
1〜F
21を求める(
図10参照)。そして、基準プロファイルF
refを設定し(
図11参照)、基準プロファイルF
refとプロファイルF
1〜F
21の各々との相関係数Cを計算する(
図12参照)。第1のエコーが体動の影響をあまり受けていない場合は相関係数Cのばらつきは小さいが、第1のエコーが体動の影響を大きく受けている場合は相関係数Cのばらつきは大きくなる傾向がある。したがって、度数が最も大きいビンを特定することにより、体動の影響をあまり受けていないエコートレインと、体動の影響を大きく受けているエコートレインとを区別することができる。本形態では、体動の影響を大きく受けているエコートレインはステップST3において再収集されるので、ゴーストなどのアーチファクトが低減された画像を得ることができる。
【0063】
尚、第1の形態では、プロファイルF
1を基準プロファイルF
refとして使用している。しかし、プロファイルF
1とは別のプロファイルを基準プロファイルF
refとして使用してもよい。
【0064】
また、第1の形態では、相関係数Cの範囲の下限値を0.7に設定している(例えば、
図17参照)。しかし、ステップST22で算出した相関係数に、0.7を下回る値が含まれている場合は、その値が含まれるように、相関係数の範囲の下限値を設定すればよい。例えば、ステップST22で算出した相関係数の最小値が、C=0.65の場合、相関係数Cの範囲の下限値は0.65以下の値(例えば、0.6)に設定すればよい。
【0065】
(2)第2の形態
第1の形態では、プロファイルF
1が基準プロファイルF
refとして使用されている。しかし、プロファイルF
1がノイズの影響を強く受けてしまっている場合、本来は再収集しなければならないエコートレインが、再収集する必要がないと判断されてしまい、ゴーストなどのアーチファクトを十分に低減することができないことがある。したがって、基準プロファイルF
refは、ノイズの影響をあまり受けていないことが望ましい。そこで、第2の形態では、ノイズの影響をあまり受けていないプロファイルを基準プロファイルとして設定する例について説明する。
【0066】
図18は、第2の形態のMR装置の概略図である。
第2の形態のMR装置200は、第1の形態のMR装置100(
図1参照)と比較すると、制御部8が異なっているが、その他の構成は同じである。したがって、第2の形態のMR装置200については、主に、制御部8について説明する。制御部8は、変換手段801〜決定手段805などを有している。
【0067】
変換手段801は、第1エコーを逆フーリエ変換し、後述するプロファイルを求める。
候補選択手段802は、複数のプロファイルの中から、基準プロファイルの候補となる2つ以上のプロファイルを選択する。
算出手段803は、基準プロファイルの候補となるプロファイルと各プロファイルとの相関係数を算出する。
設定手段804は、相関係数に基づいて、基準プロファイルの候補の中から、基準プロファイルとして使用されるプロファイルを設定する。設定手段804は、度数分布データ作成手段804aと、プファイル選択手段804bとを有している。度数分布データ作成手段804aは、基準プロファイルの候補ごとに、相関係数の度数分布を表す度数分布データを作成する。プロファイル選択手段804bは、基準プロファイルの候補の中から、基準プロファイルとして使用されるプロファイルを選択する。
決定手段805は、相関係数に基づいて、再収集するエコートレインを決定する。
【0068】
制御部8は、変換手段801〜決定手段805を構成する一例であり、所定のプログラムを実行することにより、これらの手段として機能する。
【0069】
第2の形態では、制御部8は上記のように構成されている。次に、第2の形態においてスキャンを実行するときのフローについて説明する。
【0070】
図19は、第2の形態のフローの説明図である。
ステップST1は、第1の形態と同様に、シーケンスSE
1〜シーケンスSE
21が実行される。したがって、第1の形態において
図8〜
図10を参照しながら説明したように、シーケンスSE
1〜シーケンスSE
21が実行されることにより、エコートレインET
1〜ET
21が取得される。変換手段801(
図18参照)は、第1エコーE
11〜E
21,1を逆フーリエ変換する。これにより、プロファイルF
1〜F
21が得られる。シーケンスSE
1〜シーケンスSE
21を実行した後、ステップST2に進む。
【0071】
ステップST2では、エコートレインET
1〜ET
21の中から、再収集する必要があるエコートレインを特定する。ステップST2はステップST201〜ST203を有している。以下、各ステップST201〜ST203について説明する。
【0072】
ステップST201では、候補選択手段802(
図18参照)が、プロファイルF
1〜F
20の中から基準プロファイルF
refの候補となるプロファイルを選択する。
図20に、基準プロファイルF
refの候補として選択されたプロファイルを示す。第2の形態では、プロファイルF
1およびF
2が、基準プロファイルF
refの候補として選択されるが、3つ以上のプロファイルを、基準プロファイルF
refの候補として選択してもよい。基準プロファイルF
refの候補F
1およびF
2を選択した後、ステップST202に進む。
【0073】
ステップST202では、基準プロファイルF
refの候補として選択されたプロファイルF
1およびF
2のうち、どちらのプロファイルがノイズの影響が小さいかを判断する。ステップST202は、ステップST202a〜ST202eを有しているので、各ステップST202a〜ST202eについて説明する。
【0074】
ステップST202aでは、算出手段803(
図18参照)が、基準プロファイルF
refの候補として選択されたプロファイルF
1と、プロファイルF
1〜F
21の各々との相関係数を求める。
図21に、算出された相関係数Cを示す。また、
図21の左下には、第1のエコーE
11〜E
21,1と相関係数Cとの対応関係を表す散布図が示されている。散布図の横軸は第1のエコーE
11〜E
21,1を表しており、縦軸は相関係数Cを表す。散布図では、相関係数CはC=0.7〜1.0の範囲が示されている。第1のエコーE
11〜E
21,1の各々における相関係数Cの値は、記号「○」で示されている。相関係数Cを求めた後、ステップST202bに進む。
【0075】
ステップST202bでは、度数分布データ作成手段804a(
図18参照)が、相関係数の度数分布を表す度数分布データを作成する(
図22参照)。
【0076】
図22は、相関係数の度数分布データD1を概略的に示す図である。
度数分布データ作成手段804aは、先ず、散布図の相関係数の範囲0.7〜1.0を複数の区間(ビン)に分ける。
図22では、散布図の相関係数の範囲0.7〜1.0を6個の区間、即ち、ビン1〜ビン6に分けたときの様子が示されている。
【0077】
散布図の相関係数の範囲0.7〜1.0をビン1〜ビン6に分けた後、度数分布データ作成手段804aは、各ビンに含まれている相関係数の個数(度数)を求める。このようにして、度数分布データD1を作成することができる。
図22では、ビン1の度数は2個、ビン2の度数は19個、ビン3〜ビン6の度数は0個であるので、ビン2の度数が最大になっている。度数分布データD1を作成した後、ステップST202cに進む。
【0078】
ステップST202cでは、算出手段803が、基準プロファイルF
refの候補として選択されたプロファイルF
2と、プロファイルF
1〜F
21の各々との相関係数を求める。
図23に、算出された相関係数Cを示す。また、
図23の左下には、第1のエコーE
11〜E
21,1と相関係数Cとの対応関係を表す散布図が示されている。散布図の横軸は第1のエコーE
11〜E
21,1を表しており、縦軸は相関係数Cを表す。散布図では、相関係数CはC=0.7〜1.0の範囲が示されている。第1のエコーE
11〜E
21,1の各々における相関係数Cの値は、記号「○」で示されている。相関係数Cを求めた後、ステップST202dに進む。
【0079】
ステップST202dでは、度数分布データ作成手段804aが、相関係数の度数分布を表す度数分布データを作成する(
図24参照)。
【0080】
図24は、相関係数の度数分布データD2を概略的に示す図である。
度数分布データ作成手段804aは、先ず、散布図の相関係数の範囲0.7〜1.0を複数の区間(ビン)に分ける。
図24では、散布図の相関係数の範囲0.7〜1.0を6個の区間、即ち、ビン1〜ビン6に分けたときの様子が示されている。
【0081】
散布図の相関係数の範囲0.7〜1.0をビン1〜ビン6に分けた後、度数分布データ作成手段804aは、各ビンに含まれている相関係数の個数(度数)を求める。このようにして、度数分布データD2を作成することができる。
図24では、ビン1の度数は19個、ビン2の度数は2個、ビン3〜ビン6の度数は0個であるので、ビン1の度数が最大になっている。度数分布データD2を作成した後、ステップST202eに進む。
【0082】
ステップST202eでは、プロファイル選択手段804bが、度数分布データD1(
図22参照)と度数分布データD2(
図24参照)とに基づいて、プロファイルF
1およびF
2の中から、ノイズの影響が小さい方のプロファイルを選択する(
図25参照)。
【0083】
図25は、ノイズの影響が小さい方のプロファイルを選択するときの説明図である。
図25には、
図22に示す度数分布データD1(基準プロファイルF
refの候補:プロファイルF
1)と、
図24に示す度数分布データD2(基準プロファイルF
refの候補:プロファイルF
2)とが示されている。
【0084】
プロファイル選択手段804bは、先ず、度数分布データD1の中から、度数が最大となるビン2に含まれる相関係数Cを抽出する。そして、ビン2に含まれる相関係数の平均値を求める。ここでは、ビン2に含まれる相関係数の平均値を0.93とする。
【0085】
次に、プロファイル選択手段804bは、度数分布データD2の中から、度数が最大となるビン1に含まれる相関係数Cを抽出する。そして、ビン1に含まれる相関係数の平均値を求める。ここでは、ビン1に含まれる相関係数の平均値を0.97とする。
【0086】
相関係数の平均値を求めた後、プロファイル選択手段804bは、これらの相関係数の平均値を比較する。一般的に、プロファイルがノイズの影響をあまり受けていない場合、相関係数は大きい値(C=1に近い値)になる傾向がある。したがって、相関係数の平均値が大きいほど、プロファイルはノイズの影響をあまり受けていないと考えることができる。度数分布データD1と度数分布データD2とを比較すると、度数分布データD2の相関係数の平均値(0.97)は、度数分布データD1の相関係数の平均値(0.93)よりも大きい。したがって、プロファイルF
1とプロファイルF
2とを比較すると、プロファイルF
2は、プロファイルF
1よりも、ノイズの影響を受けていないと考えられる。そこで、プロファイル選択手段804bは、プロファイルF
2を、ノイズの影響をあまり受けていないプロファイルとして選択する。このようにして選択されたプロファイルF
2が基準プロファイルF
refとして設定される。基準プロファイルF
refを設定した後、ステップST203に進む。
【0087】
ステップST203では、決定手段805(
図18参照)が、再収集するエコートレインを決定する。再収集するエコートレインは、以下の手順で決定する。
【0088】
決定手段805は、先ず、2つの度数分布データD1およびD2のうちの一方の度数分布データを、再収集するエコートレインを決定するときに使用する度数分布データとして選択する。第2の形態では、プロファイルF
2が基準プロファイルF
refとして設定されたので(ステップST202e参照)、決定手段805は、度数分布データD2を、再収集するエコートレインを決定するときに使用する度数分布データとして選択する。
【0089】
度数分布データD2を選択した後、決定手段805は、度数分布データD2のビン1〜ビン6の中で、度数が最大となるビンを特定する。
図24を参照すると、度数分布データD2では、ビン1の度数が最大となっている。第1の形態で説明したように、第1のエコーが体動の影響をあまり受けていない場合、相関係数Cは同一のビンに集中して現れるので、ビン1に含まれる第1エコーは体動の影響をそれほど受けていないと考えられる。
【0090】
一方、ビン1とは別のビンに含まれている第1エコーは、体動の影響を大きく受けていると考えられる。
図24の度数分布データD2を参照すると、第1エコ−E
11およびE
21,1がビン1に含まれていないことが分かる。したがって、決定手段805は、第1エコーE
11を含むエコートレインET
1と、第1エコーE
21,1を含むエコートレインET
21とを再収集すると決定する。
再収集するエコートレインを決定した後、ステップST3に進む。
【0091】
ステップST3では、相関係数が度数分布データD2のビン1に含まれるまで、エコートレインET
1およびET
21が再収集される。エコートレインを再収集した後、ステップST4に進み、画像再構成を行いフローを終了する。
【0092】
第2の形態では、ノイズの影響をあまり受けていないプロファイルを基準プロファイルとして用いることができるので、エコートレインを再収集するか否かの判断を、より的確に行うことができる。
【0093】
(3)第3の形態
以下に、第3の形態について説明する。尚、第3の形態のMR装置の基本的な構成は、第1の形態のMR装置100と同じである。したがって、必要に応じて
図1を参照しながら、第3の形態について説明する。
【0094】
図26は、第3の形態におけるスキャンSCの説明図である。
第3の形態では、スキャンSCは、3つの期間β1〜β3に分けられる。
【0095】
期間β1は、シーケンスSE
1〜SE
10が実行される期間である。
期間β2は、エコートレインを再収集するためのシーケンスが実行される期間である。
期間β3は、シーケンスSE
11〜SE
21が実行され、必要に応じてエコートレインを再収集するためのシーケンスが実行される期間である。以下、第3の形態で実行されるスキャンSCについて説明する。
【0096】
図27は、第3の形態におけるスキャンSCを実行するときのフローを示す図である。
ステップSTで1は、スキャンSCの期間β1におけるシーケンスが実行される(
図28参照)。
【0097】
図28〜
図30は、スキャンSCの期間β1において実行されるシーケンスの説明図である。
【0098】
期間β1では、先ず、シーケンスSE
1が実行される。
図28に、シーケンスSE
1が実行されるときの様子を示す。シーケンスSE
1が実行されることにより、エコートレインET
1が収集される。エコートレインET
1の第2エコーE
12〜第nエコーE
1nは、kz=−10に配置される。また、変換手段81(
図1参照)は、第1エコーE
11をx方向(周波数エンコード方向)に逆フーリエ変換する。これにより、プロファイルF
1が得られる。プロファイルF
1は、x方向(周波数エンコード方向)の信号値の変化を表している。
シーケンスSE
1を実行した後、次のシーケンスSE
2が実行される。
【0099】
シーケンスSE
2が実行されることにより、エコートレインET
2が収集される。
図29に、シーケンスSE
2により収集されたエコートレインET
2を概略的に示す。エコートレインET
2の第2エコーE
22〜第nエコーE
2nは、kz=−9に配置される。また、第1エコーE
21をx方向(周波数エンコード方向)に逆フーリエ変換することにより、プロファイルF
2が得られる。プロファイルF
2は、x方向(周波数エンコード方向)の信号値の変化を表している。
【0100】
以下同様に、各シーケンスを順に実行し、各シーケンスで得られた第1エコーを逆フーリエ変換し、プロファイルを求める。
図30に、シーケンスSE
10が実行されたときの様子を示す。エコートレインET
10の第2エコーE
10,2〜第nエコーE
10,nは、kz=−1に配置される。また、第1エコーE
10,1をx方向(周波数エンコード方向)に逆フーリエ変換することにより、プロファイルF
10が得られる。プロファイルF
10は、x方向(周波数エンコード方向)の信号値の変化を表している。
【0101】
このようにして、シーケンスSE
1〜シーケンスSE
10が実行される。シーケンスSE
1〜シーケンスSE
10を実行した後、ステップST2に進む。
【0102】
ステップST2では、エコートレインET
1〜ET
10の中から、再収集する必要があるエコートレインを特定する。以下、ステップST2に含まれるステップST21〜ST23について順に説明する。
【0103】
先ず、ステップST21において、設定手段82(
図1参照)が、プロファイルF
1〜F
10の中から、基準プロファイルF
refとして使用されるプロファイルを設定する。第3の形態では、第1の形態と同様に、プロファイルF
1が基準プロファイルF
refとして設定されるとする。
図31に、基準プロファイルF
refを示す。
【0104】
基準プロファイルF
refを設定した後、ステップST22に進む。
【0105】
ステップST22では、算出手段83(
図1参照)が、基準プロファイルF
refと、プロファイルF
1〜F
10の各々との相関係数Cを求める。
図32に、算出された相関係数Cを示す。
図32では、図面のスペースの制約上、代表して、以下の3つの相関係数が示されている。
(1)基準プロファイルF
refとプロファイルF
1との相関係数C
(2)基準プロファイルF
refとプロファイルF
2との相関係数C
(3)基準プロファイルF
refとプロファイルF
10との相関係数C
【0106】
本形態では、プロファイルF
1が基準プロファイルF
refとして使用されているので、基準プロファイルF
refとプロファイルF
1との相関係数Cは、C=1となる。また、第3の形態では、基準プロファイルF
refとプロファイルF
2との相関係数Cは、C=0.97であり、基準プロファイルF
refとプロファイルF
10との相関係数Cは、C=0.92であるとする。
【0107】
上記のように相関係数Cを求めることにより、第1エコーE
11〜E
10,1と相関係数Cとの対応関係を知ることができる。
図33に、第1エコーE
11〜E
10,1と相関係数Cとの対応関係を表す散布図が示されている。散布図の横軸は第1エコーE
11〜E
10,1を表しており、縦軸は相関係数Cを表す。散布図では、相関係数CはC=0.7〜1.0の範囲が示されている。第1のエコーE
11〜E
10,1の各々における相関係数Cの値は、記号「○」で示されている。相関係数Cを求めた後、ステップST23に進む。
【0108】
ステップST23では、決定手段84(
図1参照)が、相関係数に基づいて、再収集するエコートレインを決定する。以下に、相関係数に基づいて、再収集するエコートレインを決定する方法について説明する。
【0109】
先ず、決定手段84は、相関係数の度数分布を表す度数分布データを作成する(
図34参照)。
【0110】
図34は相関係数の度数分布データD3を概略的に示す図である。
決定手段84は、先ず、散布図の相関係数の範囲0.7〜1.0を複数の区間(ビン)に分ける。
図34では、散布図の相関係数の範囲0.7〜1.0を6個の区間、即ち、ビン1〜ビン6に分けたときの様子が示されている。
【0111】
散布図の相関係数の範囲0.7〜1.0をビン1〜ビン6に分けた後、決定手段84は、各ビンに含まれている相関係数の個数(度数)を求める。
図34では、ビン1の度数は2個、ビン2の度数は8個、ビン3〜ビン6の度数は0個である。したがって、
図34では、ビン2の度数が最大になっている。
【0112】
第1の形態で説明したように、第1のエコーが体動の影響をあまり受けていない場合、相関係数Cは同一のビンに集中して現れる。
図34の度数分布データD3を参照すると、ビン2の度数が最大であるので、相関係数はビン2に集中して現れていることが分かる。ビン2には、第1エコーE
31〜E
10,1の相関係数が含まれている。したがって、第1エコーE
31〜E
10,1は体動の影響をそれほど受けていないと考えられる。
【0113】
一方、第1エコーE
11およびE
21はビン2に含まれていないので、体動の影響を受けていると考えられる。したがって、決定手段84は、第1エコーE
11を含むエコートレインET
1と、第1エコーE
21を含むエコートレインET
2とを再収集すると決定する。
再収集するエコートレインET
1およびET
2を決定した後、ステップST3に進む。
【0114】
ステップST3では、エコートレインET
1およびET
2の再収集が行われる。第3の形態では、スキャンSCの期間β1の直後に、エコートレインET
1およびET
2を再収集するための期間β2が設けられる(
図35〜
図37参照)。
【0115】
図35〜
図37は、期間β2にエコートレインET
1およびET
2を再収集するときの説明図である。
先ず、エコートレインET
1を再収集するための1回目のシーケンスSE
1が実行される(
図35参照)。
【0116】
図35は、エコートレインET
1を再収集するための1回目のシーケンスSE
1を実行するときの説明図である。
【0117】
変換手段81は、1回目のシーケンスSE
1により収集された第1エコーE
11を逆フーリエ変換し、プロファイルF
1を求める。そして、算出手段83は基準プロファイルF
refとプロファイルF
1との相関係数Cを計算する。ここでは、C=0.82であるとする。次に、決定手段84は、相関係数0.82がビン2(相関係数0.90〜0.95)に含まれているか否かを判断する。
図35を参照すると、相関係数0.82はビン2には含まれていないことが分かる。上記のように、相関係数がビン2に含まれていない場合、第1エコーは体動の影響を大きく受けていると考えられる。したがって、1回目のシーケンスSE
1により再収集された第2エコーE
12〜第nエコーE
1nは、k空間のデータとして採用することができない。そこで、期間β2では、相関係数がビン2に含まれるまで、エコートレインET
1を再収集するためのシーケンスSE
1が繰り返し実行される(
図36参照)。
【0118】
図36は、期間β2においてシーケンスSE
1が3回実行されたときの様子を示す図である。
図36では、1回目および2回目のシーケンスSE
1で再収集された第1エコーE
11の相関係数はビン2には含まれていないが、3回目のシーケンスSE
1で収集された第1エコーE
11の相関係数Cがビン2に含まれたとする。したがって、3回目のシーケンスSE
1で再収集されたエコートレインET
1の第2エコーE
12〜第nエコーE
1nが、k空間のデータとして採用される。
【0119】
k空間のデータとして採用されるエコートレインET
1を再収集することができたら、エコートレインET
2を再収集するためのシーケンスSE
2を実行する(
図37参照)。
【0120】
図37は、シーケンスSE
2を実行したときの様子を示す図である。
シーケンスSE
2は、第1エコーE
21の相関係数がビン2に含まれるまで繰り返し実行される。シーケンスSE
2については、2回目の再収集で第1エコーE
21の相関係数がビン2に含まれたとする。したがって、2回目の再収集で得られたエコートレインET
2の第2エコーE
22〜第nエコーE
2nが、k空間のデータとして採用される。
【0121】
このようにして、体動の影響をあまり受けていないエコートレインET
1およびET
2を再収集することができる。尚、エコートレインET
3〜ET
10は、ステップST1において、体動の影響をあまり受けていないエコートレインとして収集されているので、エコートレインET
3〜ET
10の再収集は行われない。
【0122】
エコートレインET
1およびET
2を再収集した後、ステップST4に進む。
【0123】
ステップST3では、kz=0〜10に配置されるデータを収集するためのシーケンスSE
11〜SE
21が実行される。第3の形態では、スキャンSCの期間β2の直後に、シーケンスSE
11〜SE
21を実行するための期間β3が設けられる(
図38〜
図40参照)。
【0124】
図38〜
図40は、期間β3で実行されるシーケンスの説明図である。
期間β3では、先ず、kz=0のデータを収集するためのシーケンスSE
11が実行される(
図38参照)。
【0125】
図38はシーケンスSE
11を実行するときの説明図である。
シーケンスSE
11が実行されることにより、エコートレインET
11が収集される。変換手段81は、シーケンスSE
11により収集された第1エコーE
11,1を逆フーリエ変換し、プロファイルF
11を求める。そして、算出手段83は基準プロファイルF
refとプロファイルF
11との相関係数Cを計算する。ここでは、C=0.97であるとする。相関係数0.97はビン2(相関係数0.90〜0.95)に含まれていなので、第1エコーE
11,1は体動の影響を大きく受けていると考えられる。したがって、シーケンスSE
11により収集された第2エコーE
11,2〜第nエコーE
11,nは、k空間のデータとして採用することができない。そこで、期間β3では、相関係数がビン2に含まれるまで、エコートレインを再収集するためのシーケンスSE
11が実行される(
図39参照)。
【0126】
図39は、期間β3においてシーケンスSE
11が3回実行されたときの様子を示す図である。
図39では、1回目および2回目のシーケンスSE
11で再収集された第1エコーE
11,1の相関係数はビン2には含まれていないが、3回目のシーケンスSE
11で収集された第1エコーE
111の相関係数Cがビン2に含まれたとする。したがって、3回目のシーケンスSE
11で再収集されたエコートレインET
11の第2エコーE
11,2〜第nエコーE
11,nが、kz=0のデータとして採用される。
【0127】
kz=0のデータを取得した後、残りのkz=1〜10のデータを収集するためのシーケンスSE
12〜SE
21を実行する。
図40に、シーケンスSE
12〜SE
21を実行したときの様子を概略的に示す。シーケンスSE
12〜SE
21を実行する場合も、シーケンスSE
11と同様に、相関係数Cがビン2に含まれるまでシーケンスを実行する。したがって、体動の影響をあまり受けていないエコートレインがk空間のデータとして採用される。
【0128】
上記のようにして、k空間のデータを取得することができる。k空間のデータを取得した後、ステップST5に進み、画像再構成が行われ、フローが終了する。
【0129】
第3の形態では、k空間の一部の領域(kz=−9〜−1)のデータが収集された時点で、度数分布データD3(
図34)を作成している。このように、k空間の全領域のデータを収集する前に度数分布データD3を作成しても、エコートレインが体動の影響を大きく受けているか否かを判断することができる。したがって、体動の影響を大きく受けているエコートレインは再収集されるので、ゴーストなどのアーチファクトが低減された画像を取得することができる。
【0130】
尚、第3の形態においても、第2の形態のように、基準プロファイルの候補となる2つ以上のプロファイルを選択し、選択された2つ以上のプロファイルの中から、基準プロファイルとして使用されるプロファイルを設定してもよい。
【0131】
また、第3の形態は、第1の形態と比較すると、度数分布データを作成するために必要な相関係数の個数が少なくて済むので、より短時間で度数分布データを作成することができる。
【0132】
尚、第1〜第3の形態では、第1エコーを、画像再構成に使用されないエコーとしている。しかし、画像再構成に使用されないエコーは、第1エコーに限定されることはなく、第1エコー〜第nエコーのうちのどのエコーであってもよい。
【0133】
また、第1〜第3の形態では、第1エコーと相関係数との関係を表す度数分布データを作成し、再収集するエコートレインを決定している。しかし、画像再構成に使用される第2エコー〜第nエコーの中から選択された第iエコー(2≦i≦n)のプロファイルを求め、第iエコーと相関係数との関係を表す度数分布データに基づいて、再収集するエコートレインを決定してもよい。ただし、第2エコー〜第nエコーは位相エンコード勾配が印加されたときに収集されるエコーであるので、位相分散などの影響で、エコーのピーク値は小さくなると考えられる。エコーのピーク値が小さい場合、相関係数の誤差が大きくなることが考えられるので、エコーのピーク値はできるだけ大きいことが望ましい。したがって、位相分散などの影響をできるだけ受けないように、位相エンコード勾配が印加されていないときに収集された第1エコーを用いて度数分布データを作成することが望ましい。