特許第6461519号(P6461519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461519
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】塗布装置、及び、塗布システム
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/00 20060101AFI20190121BHJP
   B05C 15/00 20060101ALI20190121BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20190121BHJP
   B23K 3/08 20060101ALI20190121BHJP
   B23K 101/42 20060101ALN20190121BHJP
【FI】
   B23K3/00 S
   B05C15/00
   H05K3/34 503B
   B23K3/08
   B23K101:42
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-174967(P2014-174967)
(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公開番号】特開2016-49540(P2016-49540A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(72)【発明者】
【氏名】山河 富弘
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−202397(JP,A)
【文献】 特開平7−77346(JP,A)
【文献】 特開2014−18767(JP,A)
【文献】 特開平6−13747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00 − 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラックス液を塗布する塗布装置であって、
前記フラックス液を噴出するノズルと、
前記塗布装置の中に設置され、側板と底板で構成されたボックス状であって、吸気口と排気口を有し、前記ノズルから噴出された前記フラックス液を前記吸気口から吸入し、前記排気口から気体を排出する吸排出部と、
を備え、
前記吸排出部は、前記吸気口から吸入された前記フラックス液をフィルタリングして前記気体を通過させるフィルタ部を有し、
前記フィルタ部は、前記フラックス液が前記吸気口から吸入される方向、および、前記気体が排気口から排出される方向に対して略平行に延伸する壁状に設けられ、
前記吸排出部は、前記フラックス液が前記吸気口から前記フィルタ部に到達するまでに通る第1領域と、前記フィルタ部を通過した前記気体が前記排気口に到達するまでに通る第2領域とを有し、
前記第1領域は、前記フィルタ部が延伸する方向に直交する方向の長さが前記第2領域よりも短いこと、
を特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項に記載の塗布装置において、
前記第1領域および前記第2領域は、前記吸排出部の内部領域をL字状の区分部により区分けすることによりそれぞれ形成され、
前記区分部は、前記フラックス液が前記吸気口から吸入される方向に対して略平行にフィルタ部を有し、前記フラックス液が前記吸気口から吸入される方向に対して交差する方向に仕切板を有すること、
を特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の塗布装置において、
前記気体を自装置の外部に排出する排出管をさらに備え、
前記排出管は、前記吸排出部の内部に延伸する延伸部を有し、
前記延伸部は、前記フィルタ部の全長よりも短く、前記フィルタ部の全長の半分よりも長い寸法を有すること、
を特徴とする塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタによりフィルタリングした気体を排出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電子回路は、プリント基板に電子部品を配置し、電子部品をはんだ付けにより固定することで製造される。このはんだ付けの前工程としてプリント基板に対してフラックス液が塗布される。フラックス液は、フラックス基材をIPA(イソプロピルアルコール)等の希釈液で希釈した液体であり、はんだ付けされるプリント基板の表面の酸化膜の除去等を目的として塗布される。
【0003】
このようなフラックス液を塗布する塗布装置として、ノズルからフラックス液を噴出してプリント基板にフラックス液を塗布する塗布装置が知られている。そしてノズルからフラックス液が噴出すると、このフラックス液がプリント基板に塗布されると共に、霧状となり塗布装置内に拡散する。
【0004】
フラックス液に含まれるIPAは、常温で揮発し、引火すると爆発する危険性があるため、塗布装置内の霧状のフラックス液(以下、「噴霧フラックス」という。)は、装置外部に排出する必要がある。ここで塗布装置が、自装置に接続された排出管に何の処理も施さないまま噴霧フラックスを排出すると、フラックス基材が排出管の内部に付着し、排出管が汚染される。そのため塗布装置は、噴霧フラックスを排出管に排出する場合、フィルタを用いてフィルタリングを行い、フラックス基材を除去した後、気体となったIPAを装置外に排出する。
【0005】
このように噴霧フラックスをフィルタリングする技術が、従来から提案されている。例えば、フィルタを備えた排気ダクトをノズルの位置よりも上側(塗布装置の上部)に設けて、フィルタを通過した気体を装置外に排出することが提案されている(例えば、特許文献1)。また別の例として、フィルタを備えたミスト回収用ボックスをノズルの位置よりも下側(塗布装置の下部)に設けて、噴霧フラックスをフィルタリングしてボックス内に回収することが提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−300358号公報
【特許文献2】実公平7−19659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のようにフィルタを備えた排気ダクトをノズルの位置よりも上側に設けた技術を採用した場合、一部の噴霧フラックスが塗布装置の内部に滞留する可能性がある。つまり、IPAは空気よりも重く、そのIPAを含む噴霧フラックスは空気よりもさらに重いため、ノズルよりも下側に一部の噴霧フラックスが滞留する可能性がある。また、特許文献2のようにノズルの位置よりも下側にフィルタを設けて噴霧フラックスをフィルタリングする技術を採用した場合、作業者がフィルタ交換を行うときはノズルからのフラックス液の噴射を停止させる必要がある。その結果、塗布装置は生産性を低下させることとなる。
【0008】
本発明は、装置の稼働を停止させることなく、簡易な方法でフィルタ交換を行える技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、フラックス液を塗布する塗布装置であって、前記フラックス液を噴出するノズルと、前記塗布装置の中に設置され、側板と底板で構成されたボックス状であって、吸気口と排気口を有し、前記ノズルから噴出された前記フラックス液を前記吸気口から吸入し、前記排気口から気体を排出する吸排出部と、を備え、前記吸排出部は、前記吸気口から吸入された前記フラックス液をフィルタリングして前記気体を通過させるフィルタ部を有し、前記フィルタ部は、前記フラックス液が前記吸気口から吸入される方向、および、前記気体が排気口から排出される方向に対して略平行に延伸する壁状に設けられ、前記吸排出部は、前記フラックス液が前記吸気口から前記フィルタ部に到達するまでに通る第1領域と、前記フィルタ部を通過した前記気体が前記排気口に到達するまでに通る第2領域とを有し、前記第1領域は、前記フィルタ部が延伸する方向に直交する方向の長さが前記第2領域よりも短い。
【0011】
また、請求項の発明は、請求項に記載の塗布装置において、前記第1領域および前記第2領域は、前記吸排出部の内部領域をL字状の区分部により区分けすることによりそれぞれ形成され、前記区分部は、前記フラックス液が前記吸気口から吸入される方向に対して略平行にフィルタ部を有し、前記フラックス液が前記吸気口から吸入される方向に対して略交差する方向に仕切板を有する。
【0012】
また、請求項の発明は、請求項1または2のいずれかに記載の塗布装置において、前記気体を自装置の外部に排出する排出管をさらに備え、前記排出管は、前記吸排出部の内部に延伸する延伸部を有し、前記延伸部は、前記フィルタ部の全長よりも短く、前記フィルタ部の全長の半分よりも長い寸法を有する。
【発明の効果】
【0015】
発明によれば、塗布装置は、吸排出部の第1領域の幅を比較的狭くすることで、フィルタリング前のフラックス液の流速を比較的速くでき、フィルタ部の全範囲でフラックス液がフィルタリングされる。また、第2領域の幅を比較的広くすることで、フィルタ部の第2範囲を通過した気体は比較的離れた位置からでも排気口の先端部に向かって流れ込む。その結果、塗布装置はフィルタを通過した気体を効率よく排気口から排出できる。
【0016】
また、本発明によれば、吸入方向に対して略平行にフィルタ部を設けることで、作業者は塗布装置の稼働を停止することなく、フィルタ交換を実行でき、吸入方向に対して交差する方向に仕切板を設けることで、フィルタリング前のフラックス液が直接、排気口に流入すること防止できる。
【0017】
また、本発明によれば、塗布装置は、排出管の延伸部により、フィルタ部の第1範囲に対してフィルタ液を通過させられる。その結果、塗布装置は、フィルタ部の全範囲に対してフィルタ液を通過させることができ、フィルタのメンテナンス回数や費用を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、塗布システムの概要を示す図である。
図2図2は、塗布装置の構成を示す図である。
図3図3は、フィルタ部を取り付けた状態の吸排出部の構成を示す図である。
図4図4は、フィルタ部のフィルタの交換が行われる場合の吸排出部の構成を示す図である。
図5図5は、吸排出部の第1領域、第2領域、および、排出管の構成を示す図である。
図6図6は、吸排出部における噴霧フラックスとIPAの気体の流れについて説明する図である。
図7図7は、吸排出部の他の構成について説明する図である。
図8図8は、吸排出部の他の構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
<第1の実施の形態>
<1.塗布システムの概略>
図1は、本実施の形態に係る塗布システム1の概要を示す図である。塗布システム1は、組立装置2、フラックス塗布装置3、および、はんだ付け装置4を主に有するシステムである。
【0022】
この塗布システム1は、プリント基板上に配置された電子部品をはんだ付けするシステムである。具体的には、組立装置2に対して矢印AR1の方向にプリント基板が搬入される。搬入されたプリント基板はフラックス塗布装置3を経て、はんだ付け装置4から矢印AR2の方向に搬出される。すなわち、電子部品がはんだ付けされたプリント基板が搬出される。塗布システム1は、このようにプリント基板に電子部品がはんだ付けされた電子回路を製造する。
【0023】
塗布システム1は、上述のようにプリント基板を各装置に順次搬送するため、各装置が隣接する配置となっている。具体的には塗布装置3の一方の側面に組立装置2が隣接し、他方の側面にはんだ付け装置4が隣接している。つまり、塗布装置3の側面に隣接して第1装置(例えば、組立装置2)が設けられ、この側面に対向する他の側面に隣接して第2装置(例えば、はんだ付け装置4)が設けられている。そのため塗布装置3に接続される排出管40は、他の装置が隣接する両側面以外の面(例えば、塗布装置3の後面301)に設けられている。
【0024】
排出管40は、塗布装置3から排出される気体(IPAの気体)が通る導管である。また、塗布装置3は、その両側に他の装置が隣接して設けられているため、後述するフィルタ部を引き出し、挿入する着脱口TMも後面301に設けられている。次に塗布システム1を構成する各装置について説明する。
【0025】
組立装置2は、プリント基板上に部品を配置する装置である。組立装置2は、例えばコネクタをプリント基板上に配置する。コネクタは、電気信号による通信を行う場合に用いられる部品である。組立装置2は、電子部品が配置されたプリント基板をフラックス塗布装置3に搬出する。
【0026】
フラックス塗布装置3(以下、「塗布装置3」という。)は、プリント基板のはんだ付けを行う部分に対してフラックス液を塗布する装置である。フラックス液は、タンク(図示省略)に蓄積され、タンクと塗布装置3のノズルとを接続する導管を通ってノズルから噴出する。フラックス液は、プリント基板のはんだ付けする部分に塗布される。塗布装置3は、プリント基板へのフラックス液の塗布が終了した後に、プリント基板をはんだ付け装置4に搬出する。
【0027】
はんだ付け装置4は、プリント基板のはんだ付けする部分に対してはんだ付けを行う。プリント基板のはんだ付けする部分は、塗布装置3によりフラックス液が塗布されており、酸化膜が除去された状態ではんだ付けが行われる。
【0028】
<2.塗布装置の構成>
次に塗布装置3の構成について、図2を用いて説明する。図2に示す塗布装置3は、はんだ付けの前工程としてプリント基板11に対してフラックス液を塗布する塗布処理を行う装置である。塗布装置3は、塗布対象となるプリント基板11を後述する搬送部12の駆動により搬送し、プリント基板11の下面に対してフラックス液を塗布する。
【0029】
プリント基板11には、はんだ付けの対象となるコネクタ等の電子部品が配置されている。塗布装置3は、このようなプリント基板11の下面における、はんだ付けの対象となる一部の対象領域(電子部品が配置される領域)に対してフラックス液を塗布する。
【0030】
塗布装置3は、搬送部12、ノズル21、ノズル移動部22、本体部23、送風器24、吸排出部30、排出管40、制御部50、および、作業扉60を主に備える。
【0031】
搬送部12は、パレット(図示省略)を移動させる装置である。パレットはプリント基板11を載置する部材であり、プリント基板11に対するフラックスの塗布を必要な箇所のみに行わせるための部材である。搬送部12は、組立装置2から搬入されたプリント基板11を処理位置まで移動させる。プリント基板11は、処理位置において停止した状態で塗布処理が行われる。搬送部12は、プリント基板11の塗布処理が完了すると、プリント基板11が載置されたパレットを塗布装置3の外部に搬出する。
【0032】
ノズル21は、例えば、フラックス液を霧状にして噴出するスプレーノズルである。このような塗布処理において、ノズル21は、処理位置に配置されたプリント基板11に対してフラックス液を塗布する。ノズル21は、その上部のノズル口21aからフラックス液を上向きに噴出することで、プリント基板11の下面にフラックス液を塗布する。
【0033】
ノズル移動部22は、例えばノズル21が固定された直交ロボットであり、ノズル21を略水平に沿った二軸方向に移動させる。ノズル移動部22は、塗布処理において、プリント基板11のはんだ付けの対象となる対象領域に合わせてノズル21を移動させる+。これによりノズル21は、プリント基板11の対象領域に対してフラックス液を塗布できる。
【0034】
本体部23はノズル21およびノズル移動部22を駆動させる電源等を備える。この電源からの電力供給により、ノズル移動部22はノズル21を任意の位置に移動させる。そしてノズル21がプリント基板11に対する塗布処理を行う。
【0035】
送風器24は、その設置位置からパレットに載置されたプリント基板11の方向に送風を行う。このような方向に送風することで、霧状に噴出された噴霧フラックスが、本体部23の設けられる領域に侵入することを防止し、本体部23の電源がショートした場合等に、噴霧フラックスに引火して塗布装置3の内部で爆発が発生することがないようにしている。
【0036】
吸排出部30は、ノズル21の位置よりも下側の塗布装置3の下部の位置に設けられており、吸気口IM、フィルタ部31、および、排気口EMを主に備えている。吸排出部30は、吸気口IMから噴霧フラックスを吸入し、フィルタ部31を通過した気体を排気口EMから排出する。フィルタ部31を通過した気体、即ちフィルタリングされた気体は、主にIPAが気化したもの(IPAの気体)である。なお、図2に示すように噴霧フラックスが吸気口IMから吸入される矢印AR3の方向と、IPAの気体が排気口EMから排出される矢印AR4の方向とは略平行となる。排気口EMから排出されたIPAの気体は、排出管40を通って、塗布装置3の外部に排出される。これにより、塗布装置3の内部における噴霧フラックスの滞留を防止できる。
【0037】
ここで、噴霧フラックスは空気よりも重いため、塗布処理後、プリント基板11に付着しなかった噴霧フラックスは、ノズル21よりも低い位置に移動する。そして、排出管40のいずれかの箇所に設けられるファン(図示省略)の回転により、塗布装置3内の空気が排出管40の排気口EM側に吸い寄せられる。つまり、ファンの回転によりノズル21よりも低い位置に移動した噴霧フラックスは、吸排出部30の吸気口IMに吸入される。そして、フィルタ部31を通過したIPAの気体が、排気口EMから排出され、排出管40を通って塗布装置3の外部に排出される。
【0038】
排出管40は、吸排出部30の内部に延伸する導管の内部排出管と、吸排出部30の外側に延伸する導管の外部排出管とで構成される。内部排出管の具体的な構成については後述する。
【0039】
制御部50は、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)である。制御部50は、プログラムに従って処理を行うことにより、搬送部12、ノズル21、および、ノズル移動部22等の動作を制御する。
【0040】
作業扉60は、例えば、塗布装置3の前面302に設けられ、塗布装置3のユーザである作業者が手動で開閉する扉である。作業扉60は、作業者によりノズル21が洗浄させる場合や、塗布装置3内の他の機器がメンテナンスされる場合等に開けられる。このとき、塗布装置3は稼働を停止した状態となる。そして、作業者が塗布装置3を稼働させるときは、作業扉60は閉じられる。塗布装置3の内部を移動する噴霧フラックスが、装置外部に漏れないようにするためである。
【0041】
<3.吸排出部の構成>
次に、吸排出部30の構成について図3図5を用いて説明する。図3は、フィルタ部31を取り付けた状態の吸排出部30の構成を示す図である。
【0042】
吸排出部30は、吸気口IMを有する第1側板101と、排出管40と接続される第2側板102と、第3側板103と、第4側板104と、底板105とで主に構成される直方体のボックスである。具体的には、吸排出部30は、底板105と底板105に対して略平行に設けられたもう一枚の底板とを直方体のボックスの底面とし、第1側板101〜第4側板104を直方体のボックスの側面とする構成である。なお、第1側板101と第2側板102とは略平行に設けられ、第3側板103と第4側板104とは略平行に設けられる。吸排出部30は、これら4枚の側板と、底板105を含む2枚の底板とから構成されるが、2枚の底板のうちの1枚は吸排出部30の内部を説明するため図示を省略する。
【0043】
吸排出部30の内部には、フィルタ部31、および、仕切板201が設けられ、これら2つの部材が吸排出部30の内部を第1領域T1と第2領域T2との2つの領域に区分けする。このように仕切板201とフィルタ部31とは吸排出部30の内部を区分けする区分部であり、その形状はL字状となっており、長手方向にはフィルタ部31が設けられ、短手方向には仕切板201が設けられる。
【0044】
具体的には仕切板201は、噴霧フラックスが吸気口IMから吸入される方向(矢印AR3の方向)に交差する方向に設けられている。仕切板201は、吸気口IMに対向する位置で、一端が第4側板104と交わり、他端がフィルタ部31の一端と交わる位置に設けられている。これにより、吸気口IMから吸入された噴霧フラックスが、フィルタリング前に直接、排気口EMに流入すること防止できる。
【0045】
フィルタ部31は、噴霧フラックスが吸気口IMから吸気される方向に略平行に設けられている。具体的には、上述のようにフィルタ部31の一端は、仕切板201の他端と交わり、他端は、第2側板102と交わる位置に設けられている。またフィルタ部31の他端には、把持部303が設けられており、塗布装置3が稼働中であっても、作業者が把持部303を持って矢印AR5aの方向に、着脱口TMからフィルタ部31を引き抜くことができる。また作業者は、フィルタ部31を矢印AR5bの方向に着脱口TMからフィルタ部31を挿入し、吸排出部30に装着することができる。このように作業者がフィルタ部31を着脱する方向には他の装置は隣接して設けられていない。そのため作業者は、塗布装置3を稼働させた状態で、容易にフィルタ部31の着脱を行える。
【0046】
このように、フィルタ部31は、噴霧フラックスが吸気口IMから吸入される方向(矢印AR3の方向)、および、IPAの気体が排気口EMから排出される方向(矢印AR4の方向)に対して略平行に移動可能に設けられる。
【0047】
これにより、塗布装置3は、両側に他の装置が隣接して配置されている場合でも、稼働を停止させることなく、フィルタ部31のフィルタを交換できる。その結果、塗布装置3は生産性を低下させることなく作業を行える。
【0048】
次に、フィルタ部31のフィルタの交換が行われる場合の吸排出部30の構成について図4を用いて説明する。
【0049】
フィルタ交換を行う場合、作業者はフィルタ部31の把持部303を持って、フィルタ部31をガイドレール202に沿って矢印AR5aの方向に着脱口TMから引き抜く。矢印AR5aの方向は、吸気口IMの噴霧フラックスの吸入方向(矢印AR3の方向)と、排気口EMのIPAの気体の排出方向(矢印AR4の方向)と略平行な方向である。
【0050】
引き抜かれたフィルタ部31は、フィルタ32と、フィルタカセット33とに分離可能である。作業者は、フィルタカセット33から使用済みのフィルタ32を取り外し、新たなフィルタ32をフィルタカセット33に装着する。作業者は、フィルタ32をフィルタカセット33に装着した後、把持部303を持ってフィルタ部31をガイドレール202に沿って矢印AR5bの方向に着脱口TMから挿入する。矢印AR5bの方向は、吸気口IMの噴霧フラックスの吸入方向(矢印AR3の方向)と、排気口EMのIPAの気体の排出方向(矢印AR4の方向)と略平行な方向である。
【0051】
ここで、フィルタ32は不織布であり、例えばナイロン等の樹脂素材で構成される。以下では、噴霧フラックスがフィルタ32にフィルタリングされる範囲を区別するため、フィルタカセット33の先端の位置から略中央の位置までに相当するフィルタ32の範囲を第1範囲32aとし、フィルタカセット33の略中央の位置から終端の把持部303の位置までに相当するフィルタ32の範囲を第2範囲32bとする。
【0052】
<4.吸排出部内の吸排気の流れ>
次に、上述の吸排出部30内の噴霧フラックスおよびIPAの気体の流れを説明する。最初に吸排出部30の第1領域T1、第2領域T2、および、排出管40の構成について図5を用いて具体的に説明する。図5に示す第1領域T1は、噴霧フラックスが吸気口IMからフィルタ部31に到達するまでに通る領域である。また、第2領域T2は、フィルタ部31を通過したIPAの気体が内部排出管40aの排気口EMに到達するまでに通る領域である。
【0053】
第1領域T1は、フィルタ部31が移動する方向(矢印AR5aおよびAR5bの方向)に直交する方向の長さが幅W1となる。また、第2領域T2は、フィルタ部31が移動する方向に直交する方向の長さが幅W2となる。ただし幅W2の長さは、第2領域T2内の内部排出管40aの領域は含まない長さである。なお、内部排出管40aの領域を含む長さは、幅W3の長さとなる。
【0054】
そして第1領域T1の長さである幅W1は、第2領域のT2の長さである幅W2よりも短い。このように第1領域T1の幅が比較的狭いため、吸気口IMから吸入された噴霧フラックスは、第1領域T1を比較的速い速度で移動し、フィルタ部31の第2範囲32b付近まで流れ込む。そして噴霧フラックスは第2範囲32bを通過する。また、第2領域T2の幅が比較的広いため、第2範囲32bを通過したIPAの気体は、排気口EMから比較的遠い位置に存在する場合であっても、排気口EMに確実に流れ込む。排気口EMに到達したIPAの気体は、排気口EMから内部排出管40a通過して、塗布装置3の外部に設けられた外部排出管40bに排出される。
【0055】
なお、内部排出管40aは、フィルタ部31の全長よりも短く、一点鎖線で示すようにフィルタ部31の全長の半分よりも長い寸法を有する。そのため、排気口EMとフィルタ部31の第1範囲32aとの距離は、比較的短い距離となり、第1領域T1を流れる噴霧フラックスは、第1範囲32aを通過し、略直線的に排気口EMに流れ込む。フィルタ部31の全長は、フィルタ部31が吸排出部30に装着されている場合に、仕切板201と接する位置から、第4側板104と接する位置までの長さL1に相当する。
【0056】
以上のように、噴霧フラックスが通る第1領域T1の幅を幅W1のように比較的狭くし、IPAの気体が通る第2領域T2の幅を幅W2のように比較的広くするとともに、吸排出部30の内部に延伸する内部排出管40aを設けることで、フィルタ部31の第1範囲32aおよび第2範囲32bを含む全範囲での噴霧フラックスのフィルタリングが可能となり、フィルタ交換における工数および費用を低減できる。
【0057】
次に、吸排出部30における噴霧フラックスとIPAの気体の流れについて図6を用いて説明する。噴霧フラックスは、図6の吸気口IMから矢印AR3の方向に吸入され、仕切板201に沿って、矢印AR5の方向に流れる。そして噴霧フラックスは、フィルタ部31に沿って矢印AR6、および、矢印AR7の方向に流れる。このように噴霧フラックスが吸気口IMからフィルタ部31付近に到達するまでに通る第1領域は、比較的幅が狭い(幅W1)領域であるため、噴霧フラックスの流速は比較的速くなり、L字状の領域である第1領域において、その終端部分(第2側板102に面する部分)を含む全体に流れる。
【0058】
第1領域全体に流れた噴霧フラックスは、フィルタ部31の第1範囲32aおよび第2範囲32bを含む範囲D1でフィルタリングされる。この範囲D1の長さは、図5で説明した長さL1に相当する長さである。その結果、第1範囲32aを通過したIPAの気体は、矢印AR8の方向で排気口EMに向かって流れる。このように第1範囲32aを通過したIPAの気体は、排気口EMに対して比較的近い位置から略直線的に排気口EMに流れ込む。また、第2範囲32bを通過したIPAの気体は、矢印AR9の方向で排気口EMに向かって流れる。このように第2範囲32bを通過したIPAの気体は、比較的遠い位置から内部排出管40aに沿って排気口EMに向かって流れ込む。言い換えると、第2範囲32bを通過したIPAの気体は、噴霧フラックスがフィルタ部31の第2範囲32bを通過する前に流れる方向(矢印AR7の方向)と略逆方向に流れて排気口EMに向かう。このように、吸排出部30の構成により、第1範囲32aおよび第2範囲32bを含むフィルタ32の全範囲を用いて、噴霧フラックスのフィルタリングを実行できる。その結果、塗布装置3はフィルタ交換における工数および費用を低減できる。
【0059】
以上のように本実施の形態では、吸排出部30の吸気口IMから吸入された噴霧フラックスは、第1領域T1を仕切板201に沿って矢印AR5の方向に移動する。そして噴霧フラックスが矢印AR6の方向に移動する際に、その一部がフィルタ部31の第1範囲32aでフィルタリングされる。第1範囲32aを通過したIPAの気体は、矢印AR8の方向に移動し、第1範囲32aのフィルタ部分から比較的近い位置にある排気口EMに吸い込まれ、内部排出管40aから外部排出管40bを通って塗布装置3の外部に排出される。
【0060】
また、フィルタ部31の第1範囲32aでフィルタリングされていない残りの噴霧フラックスは、矢印AR7の方向に移動し、第2範囲32bでフィルタリングされる。第2範囲32bを通過したIPAの気体は、矢印AR9の方向に移動し、排気口EMに吸い込まれ、内部排出管40aから外部排出管40bを通って塗布装置3の外部に排出される。本実施の形態では、吸排出部30の噴霧フラックスが通る第1領域T1の幅を幅W1のように比較的狭くし、IPAの気体が通る第2領域T2の幅を幅W2のように比較的広くするとともに、吸排出部30の内部に延伸する内部排出管40aを設けることで、フィルタ部31の第1範囲32aおよび第2範囲32bを含む全範囲(範囲D1)での噴霧フラックスのフィルタリングが可能となり、フィルタ交換における工数および費用を低減できる。
【0061】
本実施の形態の吸排出部30は、上述の構成を有することで、各効果を有する。次に、吸排出部30の一部の構成を変更した他の吸排出部の構成等に説明し、上記の実施の形態で説明した吸排出部30との構成等との違いについて説明する。
【0062】
<6.他の吸排出部との比較>
図7は、吸排出部の他の構成について説明する図である。この図7に示す吸排出部30aは、図6に示した吸排出部30と比べて第1領域の幅が広く、第2領域の幅が狭い構成となっている。つまり、図7に示す吸排出部30aの第1領域T1aにおいて、フィルタ部31が移動する方向に直交する方向の長さは幅W1aとなる。この幅W1aの長さは、図6の第1領域T1の幅W1の長さよりも長い。また、第2領域T2aの幅W2aの長さは、図6の第2領域T2の幅W2の長さよりも短い。その結果、噴霧フラックスは、矢印AR3、AR5a、および、AR6aの方向に順に移動し、その流速は比較的遅くなる。
【0063】
そして、排気口EMとフィルタ部31の第1範囲32aとが比較的近い位置にあるため、矢印AR6aの方向に移動する噴霧フラックスの大部分が、第1範囲32aを通過する。言い換えると、噴霧フラックスの大部分は、第1領域T1aの終端まで流れることがない。そして第1範囲32aを通過したIPAの気体は、排気口EMに流れ込む。このように吸気口IMから吸入された噴霧フラックスの大部分は、フィルタ部31の第1範囲32aに相当する範囲D1aでフィルタングされる。
【0064】
したがって、図7の吸排出部30aにおけるフィルタ部31が、噴霧フラックスをフィルタリングする範囲は図6に示した範囲D1よりも狭い範囲となる。その結果、フィルタ部31の第2範囲32bは、ほとんどフィルタリングに利用されることなく、吸排出部30aのフィルタ交換における工数および費用が、図6で示した吸排出部30のフィルタ交換における工数および費用と比べて増加する。これに対して、図6に示した吸排出部30は、フィルタ部31が範囲D1aよりも広い範囲D1でフィルタリングするため、フィルタ交換における工数および費用を低減できる。
【0065】
図8は、吸排出部の他の構成について説明する図である。この図8に示す吸排出部30bは、図6に示した吸排出部30と比べて内部排出管40aが設けられていない。そのため、排出管40は吸排出部30の内部に延伸することなく、外部排出管40bのみが塗布装置3に接続された構成となっている。また排気口EMの位置は、吸排出部30bと外部排出管40bとが接続された箇所となる。
【0066】
噴霧フラックスは、吸気口IMから矢印AR3、矢印AR5b、矢印AR6b、および、AR7bの方向に順に流れる。第1領域T1は、比較的幅が狭い(幅W1)ため、噴霧フラックスの流速は比較的速くなり、第1領域の終端を含む全体に流れる。
【0067】
排気口EMとフィルタ部31の第2範囲32bとが比較的近い位置にあるため、矢印AR6aおよびAR7bの方向に移動する噴霧フラックスの大部分が、第2範囲32bを通過する。言い換えると、噴霧フラックスの大部分は、排気口EMから比較的遠い位置にある第1範囲32aは通過しない。
【0068】
第2範囲32bを通過したIPAの気体は、矢印AR9bの方向で排気口EMに流れ込む。このように第2範囲32bを通過したIPAの気体は、略直線的に排気口EMに流れ込む。
【0069】
したがって、図8の吸排出部30bにおけるフィルタ部31が、噴霧フラックスのフィルタリングする範囲は図6に示した範囲D1よりも狭い範囲となる。その結果、フィルタ部31の第1範囲32aはほとんどフィルタリングに利用されることなく、吸排出部30bのフィルタ交換における工数および費用が、図6で示した吸排出部30のフィルタ交換における工数および費用と比べて増加する。これに対して、図6に示した吸排出部30は,フィルタ部31が範囲D1bよりも広い範囲D1でフィルタリングするため、フィルタ交換における工数および費用を低減できる。
【0070】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0071】
上記実施の形態では、塗布システム1は、組立装置2、塗布装置3、および、はんだ付け装置4を主に備えると説明した。このシステムの組合せは一例であり、別の構成を備えてもよい。例えば、組立装置2と塗布装置3との間に他の装置(例えば、コンベア装置)を更に設けてもよい。この場合、塗布装置3は、一方の側面がコンベア装置と隣接し、他方の側面がはんだ付け装置4と隣接することとなる。コンベア装置は、隣接する組立装置2から搬入されたプリント基板に対して所定の処理を行った後、塗布装置3にプリント基板を搬出する装置である。
【0072】
また、上記実施の形態では、フラックスを塗布する塗布装置3の吸排出部30のフィルタ部31の配置について説明した。これに対して、上記実施の形態の構成は、フィルタ部31を用いる装置、すなわち、フィルタを用いてフィルタリングを実施する装置であれば、他の装置にも適用できる。
【0073】
また、上記実施の形態では、電子部品としてコネクタを例にあげて説明した。これに対して電子部品は、抵抗、コンデンサ、コイル等、電子回路の制御に用いられる部品であれば他の電子部品であってもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、排出管40のいずれかの箇所にファンを設けて、塗布装置3の内部に存在する噴霧フラックスを、吸排出部30から吸入することについて説明した。これに対して、上記ファンは、塗布装置3に設けてもよい。例えばファンは、吸排出部30の内部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 塗布システム
2 組立装置
3 塗布装置
4 はんだ付け装置
11 プリント基板
12 搬送部
21 ノズル
22 ノズル移動部
23 本体部
24 送風器
30 吸排出部
40 排出管
50 制御部
60 作業扉
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8