(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態にかかる頭皮洗浄用ブラシについて、以下に
図1〜
図6を参照して説明する。
図1は本実施形態の頭皮洗浄用ブラシ1を示す側面図である。
図2は、
図1の頭皮洗浄用ブラシ1を示す底面図、
図3は、
図1の頭皮洗浄用ブラシ1を示す平面図である。
図4は、
図1の頭皮洗浄用ブラシ1の構成を説明するための側面図である。
図5は、頭皮洗浄用ブラシ1の筐体4の斜視図である。
図6は、頭皮洗浄用ブラシ1が静置された状態を示す図であって、
図1に示すX方向からみた正面図である。
【0019】
図1〜
図3に示すように、頭皮洗浄用ブラシ1は、突起部材50が設けられたブラシ面21を有する基台2と、基台2を装着するための開口部41を備えた筐体4とを有する。筐体4には、把持部42が設けられている。
【0020】
基台2は、平面視略楕円形の平板状に形成されている部材である。
図4に示すように、基台2は、底部にブラシ面21を有すると共に側壁を備えた本体2Aと、本体2Aに取り付け可能な蓋体2Bとを備えている。本体2Aに蓋体2Bが取り付けられた状態の基台2内は、空洞とされている。本体2Aは、例えばポリプロピレン等の一般的な硬質樹脂材料等から形成されている。蓋体2Bは、本体2Aと同様の材料等から形成されている。
【0021】
図2に示すように、ブラシ面21には、複数(図示例では4束を1本として16本)の毛束3と、複数(図示例では16本)の弾性体5が設けられている。本実施形態において、突起部材50は毛束3と弾性体5をさす。
ここで、平面視楕円形のブラシ面21の長軸方向D1に並ぶ単位を行、短軸方向D2に並ぶ単位を列とする。突起部材50は、6行6列の配列をなしてブラシ面21に設けられている。但し、前記配列の四隅に該当する部分には、突起部材50は設けられていない。図示例では、ブラシ面21の短軸方向D2の両側の行の突起部材50には、弾性体5が用いられている。また、前記配列の2行目および5行目の1,6列目の突起部材50には、弾性体5が用いられている。さらに、前記配列の中央部の突起部材50には、弾性体5が用いられている。ブラシ面21の長軸方向D1の両側の3,4行目の突起部材50と前述の中央部の弾性体5の外周の突起部材50には、毛束3が用いられている。
ブラシ面21の前記配列の中央部、即ち3,4行目の3,4列目に配設された突起部材50の高さは、それらの外周側の突起部材50よりも、ブラシ面21からの高さが低く形成されている。
なお、突起部材50の配設数、配列パターン、長さや太さ、構成する毛束3と弾性体5の割合等は図示例に限定されない。
【0022】
毛束3は、それぞれ、用毛31が複数束ねられて構成されている。
毛穴の洗浄の良好性を考慮すると、先端に向けて漸次細くなる先細り状とされた用毛31としてテーパー毛を用いてもよい。該テーパー毛の材質としては、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ナイロン、ポリエステル等の一般的な樹脂材料を用いることができる。また、例えば美観向上等を目的として、合成樹脂主体の素材に他成分を混合した材料や、耐久性の向上を目的として抗菌剤等を添加した材料を用いてもよい。
【0023】
弾性体5は、先端に向けて漸次細くなる先細り状に形成されている。
弾性体5の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン、ポリアセタール等の合成樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン、シリコーン及びウレタンゴム等の各種エラストマー等の弾性材料が挙げられ、頭皮に対して効率良くマッサージ効果を付与できる点から、前記材料の中でもエラストマーを用いることがより好ましい。
【0024】
図2に示すように、基台2の本体2Aの長軸方向D1の両側には、切欠部14が形成されている。基台2に浸入した水は、切欠部14から排水される。
【0025】
筐体4は、開口部41を有するとともに内部に空洞4aが形成された中空状の部材である。筐体4は、例えばポリスチレン系樹脂等の樹脂から形成されている。
【0026】
筐体4は、
図2及び
図3に示すように平面視楕円形であり、
図1及び
図4に示すように天端4fから開口部41に向かうに従い拡径し、次いで開口部41に向かうに従い縮径するように形成されている。筐体4は滑らかな曲線でつながれたドーム状の形状をなしている。
【0027】
図2及び
図3に示すように、筐体4は、短軸方向D2の両側が平面視円弧状の輪郭を形成する湾曲部4cとされている。湾曲部4cは、ブラシ面21を斜め上方に向けて頭皮洗浄用ブラシ1を置いた際に下方に位置する。
【0028】
図2及び
図3に示すように、筐体4における前記楕円形の長軸と短軸の比率は特に制限されないが、例えば長軸は短軸の1.0倍以上5.0倍以下であることが好ましい。長軸が短軸の1.0倍未満であると、筐体4の平面視形状が真円よりも曲率が大きくなり、頭皮洗浄用ブラシ1が置かれた際に、姿勢が不安定になる。また、長軸が短軸の5.0倍を超えると、筐体4の曲率が小さくなり、頭皮洗浄用ブラシ1が置かれた際に、空洞4a内に侵入した水が後述する排出口13から排出されにくくなる。
【0029】
筐体4の短軸方向D2の両側には、空洞4a内の水を排出するための排出口13が形成されている。本実施形態において、排出口13は、筐体4において最も拡径して張り出した部分(即ち、基台2の外方に張り出した部分)の湾曲部4cに形成されている。
排出口13は、筐体4の短軸方向D2の両側に形成された排出口13cと、排出口13cをはさんで平面視円弧上の両側に一個ずつ形成された排出口13tで構成されている。
【0030】
排出口13の数は特に制限されないが、例えば1個以上7個以下であることが好ましい。排出口13の数を上記範囲とすることにより、筐体4内の水がより速やかに排水されると共に落下時の強度を保ち、割れを防ぐことができる。
図1に示すように、排出口13の開口形状は、開口面(開口部41の表面)に対して軸線Jが傾斜した略楕円である。排出口13の大きさは特に制限されないが、開口の内接円の直径が0.5mm以上20mm以下であることが好ましく、1.0mm以上5.0mm以下であることがより好ましい。開口の内接円の直径が0.5mm以上であれば、空洞4a内の水がより速やかに排水され、1.0mm以上であれば空洞4a内の水の排水速度がさらに高まる。また、開口の内接円の直径が20mmを超えると、筐体4の強度が低下するおそれがある。
【0031】
筐体4の天端4fには、ブラシ面21から離れる方向に突出した把持部42が設けられている。把持部42は、使用者が頭皮洗浄用ブラシ1を片手で操作しやすいように、挟み部42aと、係止部42bとから構成されている。挟み部42aは、平面視において、長軸方向D1を長手とする部材である。係止部42bは、平面視楕円形の平板状の部材であり、挟み部42aの突端に設けられ、人差し指と中指で係止可能とされている。把持部42の天端4fからの突出高さおよび把持部42の形状は、操作しやすいように使用者の指の大きさ等を考慮して設定されることが好ましい。
【0032】
図4に示すように、筐体4の開口部41には、基台2が図中矢印方向に嵌め込まれて装着されている。このように基台2が装着された際には、基台2に形成された孔部17と排出口13が側面視で重なっている。また、孔部17により基台2内の空洞と筐体4の外部が孔部17と排出口13によって連通した状態とされている。
【0033】
図5に示すように、筐体4の内側には、平面視で開口部41周縁から筐体4の中央に向かって張り出した段差部43が設けられている。段差部43には、筐体4の内側から排出口13に向かう切欠44が形成されている。切欠44は、排出口13に向かうに従って幅が狭くなっている。この構成では、筐体4の開口部41に基台2が嵌め込まれて装着された際に(
図4参照)、基台2が段差部43に当たって位置決めされる。また、切欠44が設けられていることで、頭皮洗浄用ブラシ1の使用時に基台2(特に本体2A)にかかる負荷が軽減される。さらに、空洞4aに浸入した水が切欠44に沿って排出口13に効率よく集められ、排出口13から速やかに排水される。
また、筐体4において最も拡径して張り出した部分の内側の排出口13が形成されている位置(即ち、湾曲部4c)には、円弧方向に延びる凹条45が形成されている。この構成では、前述のように筐体4の開口部41に基台2が嵌め込まれて装着された際に、孔部17と排出口13との間に凹条45が介在する。
従って、孔部17及び排出口13が通気され、水や埃等による孔部17及び排出口13の閉塞が生じにくい。
【0034】
次に、頭皮洗浄用ブラシ1の使用方法について説明する。
使用者は、人差し指と中指との間で把持部42を挟み、頭皮上で、基台2のブラシ面21における短軸方向D2に往復移動させ、頭皮を洗浄する。このような頭皮洗浄用ブラシ1の使用時には、水が切欠部14あるいはその他の基台2と筐体4との隙間から基台2内に侵入し、筐体4の空洞4a内に流入する。
【0035】
使用者は、頭皮の洗浄後、頭皮洗浄用ブラシ1を水で洗い、
図6に示すようにブラシ面21を斜め上方に向けて静置面Pに置く。そうすると、筐体4の湾曲部4cと把持部42の係止部42bの周縁部が各々接点55P
1,55P
2で静置面Pに接地する。即ち、湾曲部4cと把持部42との二点支持により、ブラシ面21が静置面Pの略鉛直な方向D5に立ち上がり、突起部材50が静置面Pから離間した状態で頭皮洗浄用ブラシ1が保持される。本実施形態において、湾曲部4cと把持部42は、頭皮洗浄用ブラシ1を立ち姿勢で保持可能とする姿勢維持部である。頭皮洗浄用ブラシ1の立ち上がり角度は、筐体4の天端4fから把持部42の係止部42bまでの距離、係止部42bの平面視略楕円形の長軸と短軸の比率等によって調整される。
【0036】
上述のように、ブラシ面21を斜め上方に向けて頭皮洗浄用ブラシ1を置くと、
図6に示すように、ブラシ面21が静置面Pに略鉛直な方向D5に立ち上がり、突起部材50が静置面Pから離間した状態で頭皮洗浄用ブラシ1が保持される。筐体4の短軸方向D2と静置面Pに略鉛直な方向D5とのなす角度θは、例えば15°以上75°以下であることが好ましい。角度θが15°未満であると、頭皮洗浄用ブラシ1が突起部材50側に倒れやすくなり、突起部材50の先端が静置面Pに接触すると共に、突起部材50の変形や劣化を招く。また、筐体4の湾曲部4cと静置面Pとの接点55P
1が排出口13に近づいて、排出口13が閉塞するおそれがある。一方、角度θが75°を超えると、筐体4の湾曲部4cと静置面Pとの接点55P
1が把持部42に近づいて、排出口13が静置面Pから離れると共に、静置面Pに略平行な方向又は略鉛直な方向D5に開口するので、筐体4内の水が排出されにくくなる。筐体4において最も拡径して張り出した部分の曲率、把持部42の形状や長さ等は、角度θを考慮して設定されていることが好ましい。
【0037】
本実施形態の頭皮洗浄用ブラシ1では、使用後にブラシ面21を斜め上方に向けて置いた際に、空洞4a内に流入した水が筐体4の内面4p或いは基台2のブラシ面21とは反対側の面2qを伝って鉛直方向下方に集められ、その途中で排出口13tから排出される。最終的には、静置面Pに近接している排出口13cに集められ、排出口13cから排出される。このように、流体が上流側から下流側に流れるという自然法則に基づき、筐体4内の水が排出口13から速やかに排出される。従って、空洞4a内が速やかに乾燥される。また、ブラシ面21を斜め上方に向けて置いた際に、突起部材50が静置面Pから離間するため、筐体4と静置面Pとの間に介在して筐体4からの荷重を受けることがなく、変形や劣化が生じにくい。
【0038】
また、本実施形態の頭皮洗浄用ブラシ1では、筐体4が平面視円弧状の輪郭を形成しかつブラシ面21を斜め上方に向けて置いた際に下方に位置する湾曲部4cを備え、排出口13が湾曲部4cに形成されている。これにより、空洞4aに流入した水が円弧状の湾曲部4cの空洞側の面を伝って、鉛直方向下方に効率よく集められ、排出口13からより速やかに排出される。
【0039】
また、本実施形態の頭皮洗浄用ブラシ1では、筐体4にブラシ面21から離れる方向に突設された把持部42を備え、筐体4が平面視略楕円形かつ把持部42から開口部41に向かうに従い拡径し、排出口13が筐体4における平面視短軸方向D2の両側に形成されている。これにより、ブラシ面21を斜め上方に向けて置いた際に、筐体4において平面視で最大径かつ曲率が最も小さい短軸方向D2の一方の端部と把持部42の係止部42bによって頭皮洗浄用ブラシ1が支持され、頭皮洗浄用ブラシ1の立ち姿勢が安定して維持される。また、上述のように筐体4における短軸方向D2の両側が湾曲部4cとなっているため、空洞4aに流入した水が下方に位置する短軸方向D2の片側に効率よく集められ、排出口13から速やかに排出される。
【0040】
使用者は、上述のようにブラシ面21を斜め上方に向けて頭皮洗浄用ブラシ1を置くことで、空洞4a内に流入した水を排出口13から排出させ、頭皮洗浄用ブラシ1を衛生的かつ長期的に使用できる。
また、上記のように排水性が高まることで、頭皮洗浄用ブラシ1が良好に乾燥され、頭皮洗浄用ブラシ1における雑菌・カビの繁殖が抑えられ、かつ臭い等の発生が防止される。
【0041】
また、本実施形態の頭皮洗浄用ブラシ1では、筐体4の内側に、平面視で開口部41周縁から筐体4の中央に向かって張り出した段差部43が設けられている。従って、空洞4aに浸入した水が切欠44に沿って排出口13に効率よく集められ、排出口13から速やかに排水される。
さらに、筐体4において最も拡径して張り出した部分の内側の排出口13が形成されている位置には、円弧方向に延びる凹条45が形成されている。従って、孔部17及び排出口13が通気され、水や埃等による孔部17及び排出口13の閉塞が生じにくい。
【0042】
以上、本発明の一実施形態の頭皮洗浄用ブラシ1について説明したが、本発明の頭皮洗浄用ブラシは上記例示した実施形態に限定されない。
例えば、排出口13の数および開口形状は図示した数および形状に特に限定されない。
具体的には、排出口13の開口形状は、
図7(a)に示すように真円であってもよい。また、排出口13の開口形状は、
図7(b)に示すように軸線J´が開口面に対して直角をなす楕円であってもよい。
さらに、排出口13の開口形状は、
図7(c)に示すように軸線J´が開口面に対して傾斜した平行四辺形であってもよく、その他の形状であってもよい。
【0043】
また、基台2の形状は、平面視略楕円形に限定されず、真円形、多角形等でもよい。
また、把持部42の形状も図示例に限定されないし、把持部42が挟み部42aのみで構成されていてもよく、筐体4は把持部42自体を有していなくてもよい。
さらに、姿勢維持部の形態も図示例に限定されず、開口部41付近の筐体4に側壁部が設けられ、該側壁部のみが静置面Pに当接することで、頭皮洗浄用ブラシ1の立ち姿勢が保持されてもよい。
さらにまた、突起部材50を構成する弾性体5の形状は、基部から先端部にかけて縮径する錐体形状が好適であるが、例えば、円柱、角柱等の柱状でもよい。その場合には、先端部が曲面状に面取りされた形状であることが好ましい。
【実施例】
【0044】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0045】
[実施例]
以下の手順で、突起部材を製造し、該突起部材が取付けられた基台を筐体に取り付け、
図1に示す形態、
図2に示す突起部材の配置パターンの頭皮洗浄用ブラシ1を作製した。
【0046】
(基台の作製)
79.0mm(長軸)×64.3mm(短軸)の平面視略楕円形状とされ、厚さが4.5mmの基台2を用意し、ブラシ面21に突起部材50を取り付ける穴(以降では、取付穴とする)を形成した。
【0047】
(用毛の作製)
ポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる直径190μmの用毛の原糸を等寸法にカットし、規定温度に加温した高濃度NaOH溶液中に浸漬して薬品加工を施す従来公知の方法を用い、両端部を先細り状に加工し、用毛を得た。この用毛は、先端から0.1mmの部位における直径は約20μm、最も太い中央部の直径は約0.19mmであった。
【0048】
(用毛の植毛)
得られた用毛を約15本で一束として、基台2の所定の取付穴に中央部から折り返すようにして用毛を植毛することにより、所定の取付穴に毛束3が取り付けられた状態とした。この際、用毛(毛束)のブラシ面21からの高さは、すべて13mmとした。
【0049】
(弾性体の作製)
横断面が真円形である円錐状の弾性体5が表面に形成された図示略の弾性体基板を一体成形で作製した。材料には、スチレン系エラストマー(硬度:60A)を用いた。この際、弾性体5は、先端から0.1mmの部位における直径を約0.3mm、弾性体の基部の直径を5.7mmとし、先端部には曲面状に面取り処理を施した。また、ブラシ面21の周縁部の弾性体5は、ブラシ面21からの高さが17mmとなるようにし、ブラシ面21の中央部の弾性体5は、ブラシ面21からの高さが13mmとなるようにした。
【0050】
(筐体の作製)
図1に示すような把持部42を有し、ポリスチレン系樹脂からなる筐体4を成形した。また、平面視楕円形の筐体4の長軸は、短軸の約1.2倍とした。排出口13の開口の内接円の直径は約2.7mmとした。
さらに、ブラシ面21を斜め上方に向けて頭皮洗浄用ブラシ1を置いた際に筐体4の短軸方向D2とブラシ面21の方向D5とのなす角度θが約35°となるように、筐体4において最も拡径して張り出した部分の曲率、把持部42の形状等を決定した。
【0051】
(頭皮洗浄用ブラシの作製)
ブラシ面21上に複数の毛束3が植毛されるとともに、弾性体5を取り付ける取付穴が形成された基台2と弾性体基板とを、上記工程で成形した筐体4の開口部41に嵌め込んで一体に取付け、実施例1の頭皮洗浄用ブラシ1を得た。この際、弾性体基板に基台2を重ね合わせ、基台2に形成された取付穴に各弾性体5が挿通され、ブラシ面21から突出するように組み付けた。
【0052】
(評価)
得られた実施例の頭皮洗浄用ブラシ1を用いて、「水抜き性能」、「突起部材のへたり」の2項目について、試験パネルが以下に説明する評価基準で視認評価を行った。結果を表1に示す。
【0053】
(1)水抜き性能
試験パネルが10個の頭皮洗浄用ブラシ1の各々でシャンプーを用いて頭皮洗浄操作を行った後、静置して1分経過後の各頭皮洗浄用ブラシ1の水切り性を下記の6段階で採点して、平均値を取った。この際、頭皮洗浄用ブラシ1は、
図6に示す姿勢、即ち筐体4の湾曲部4cと把持部42の係止部42bが各々接点55P
1,55P
2で静置面Pに接地している状態で置いた。
6点・・・非常に良い(99容量%以上100容量%以下の水が排水された状態)
5点・・・良い、性能上問題ない(97容量%以上99容量%未満の水が排水された状態)
4点・・・やや良い(95容量%以上97容量%未満の水が排水された状態)
3点・・・やや悪い(90容量%以上95容量%未満の水が排水された状態)
2点・・・悪い(80容量%以上90容量%未満の水が排水された状態)
1点・・・非常に悪い(0容量%以上80容量%未満の水が排水された状態)
なお、上記6点〜1点の排水量は、筐体4内に水が全くない状態を100容量%、筐体4内が満水である状態を0容量%としたときの量を示す。
(2)突起部材のへたり
水抜き性能の評価時と同様に頭皮洗浄操作を行った後、静置して1分経過後の各頭皮洗浄用ブラシ1の突起部材50のへたり具合を下記の6段階で採点して、平均値を取った。この際、頭皮洗浄用ブラシ1は、「水抜き性能」の評価時と同様に
図6に示す姿勢で置いた。
6点・・・へたりが全くない
5点・・・へたりが殆どない
4点・・・へたりがごく僅かに有るが、性能上問題ない
3点・・・へたりがややある
2点・・・へたりがある
1点・・・非常にへたりがある
【0054】
[比較例]
排出口13を設けずに、実施例と同様の材質、手順により頭皮洗浄用ブラシを作製した。本比較例の頭皮洗浄用ブラシ内に浸入した水は、切欠部14から排水される。
【0055】
(評価)
得られた比較例の頭皮洗浄用ブラシを用い、実施例と同様にしてシャンプーを用いた頭皮洗浄操作を行った後、「水抜き性能」、「突起部材のへたり」について、視認評価を行った。結果を表1に示す。但し、比較例の頭皮洗浄用ブラシは植毛面を鉛直方向下方に向けた姿勢で置いた。
【0056】
【表1】
【0057】
[評価結果]
表1に示すように、姿勢維持部を備え、排出口が湾曲部に形成された実施例の頭皮洗浄用ブラシによれば、「水抜き性能」、「突起部材のへたり」の両方に優れていた。
比較例では、排出口が基台のブラシ面上に形成されているため、筐体内に侵入した水が排出口に集まりにくく、水抜き性能が、不充分であった。また、比較例では、植毛面を鉛直方向下方に向けた姿勢で静置されたため、突起部材の先端が静置面に当接し、突起部材に筐体および基台の荷重がかかり、突起部材のへたりが実施例よりも極めて劣った。