(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液体を充填可能な胴部および前記胴部の先端に取り付けられた前記液体を排出するための針が設けられたシリンジを有する本体部と、前記針を覆う筒状のキャップとを備え、前記キャップの外周面または前記本体部と前記キャップとの間に段差部が設けられた液体注入具を収納するための包装体であって、
底部と、前記底部の周囲から上方に延びる側壁部と、前記側壁部の上端に囲まれた開口部と、前記底部と前記側壁部とから形成される前記液体注入具を収納する収納空間とを有する容器を備え、
前記収納空間は、前記収納空間に収納された前記液体注入具の前記キャップを収納するキャップ収納空間を有し、
前記液体注入具から前記キャップを取り外すために前記段差部と係合する係合部が前記キャップ収納空間内に形成されており、
前記収納空間から前記開口部を介して前記液体注入具を取り出す際に、前記キャップの前記段差部に前記係合部が係合した状態で、前記シリンジの軸と前記キャップの軸とを略一致させたまま前記液体注入具の基端部を前記開口部から突出させることが可能であり、
前記係合部は、前記底部から前記キャップ収納空間に向かって突出した第1の突出部と、前記キャップ収納空間に収納された前記キャップの先端に対向する前記側壁部から前記キャップ収納空間に向かって突出した第2の突出部とを有し、
前記収納空間に前記液体注入具が収納された状態では、前記第1の突出部および前記第2の突出部はそれぞれ前記段差部から離間しており、かつ、前記第1の突出部は前記段差部よりも基端側に位置し、前記第2の突出部は前記キャップの先端部に対向し、
前記キャップの少なくとも前記段差部が前記キャップ収納空間に収納された状態で前記液体注入具の基端部を前記開口部より上方に突出させ、前記液体注入具を前記収納空間に対して傾斜させることにより、前記第1の突出部および前記第2の突出部はそれぞれ前記段差部と係合することを特徴とする包装体。
前記収納空間から前記開口部を介して前記液体注入具を取り出す際に、前記第1の突出部および前記第2の突出部は、それぞれ、前記段差部の前記キャップの軸を挟んで対向する部分に係合する請求項3に記載の包装体。
前記収納空間に収納された前記液体注入具の基端部を前記開口部より上方に突出させた際に、前記キャップの前記段差部よりも先端側の部分が前記第2の突出部を乗り越えることにより、前記段差部に前記第2の突出部が係合する請求項3ないし5のいずれか1項に記載の包装体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、収納されたオートインジェクタ等の液体注入具を使用する際に、液体注入具のキャップを容易に取り外すことができ、かつ、キャップを手指で摘まんで取り外す操作を省略することができる包装体および包装組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1) 液体を充填可能な胴部および前記胴部の先端に取り付けられた前記液体を排出するための針が設けられたシリンジを有する本体部と、前記針を覆う筒状のキャップとを備え、前記キャップの外周面または前記本体部と前記キャップとの間に段差部が設けられた液体注入具を収納するための包装体であって、
底部と、前記底部の周囲から上方に延びる側壁部と、前記側壁部の上端に囲まれた開口部と、前記底部と前記側壁部とから形成される前記液体注入具を収納する収納空間とを有する容器を備え、
前記収納空間は、前記収納空間に収納された前記液体注入具の前記キャップを収納するキャップ収納空間を有し、
前記液体注入具から前記キャップを取り外すために前記段差部と係合する係合部が前記キャップ収納空間内に形成されており、
前記収納空間から前記開口部を介して前記液体注入具を取り出す際に、前記キャップの前記段差部に前記係合部が係合した状態で、前記シリンジの軸と前記キャップの軸とを略一致させたまま前記液体注入具の基端部を前記開口部から突出させることが可能であ
り、
前記係合部は、前記底部から前記キャップ収納空間に向かって突出した第1の突出部と、前記キャップ収納空間に収納された前記キャップの先端に対向する前記側壁部から前記キャップ収納空間に向かって突出した第2の突出部とを有し、
前記収納空間に前記液体注入具が収納された状態では、前記第1の突出部および前記第2の突出部はそれぞれ前記段差部から離間しており、かつ、前記第1の突出部は前記段差部よりも基端側に位置し、前記第2の突出部は前記キャップの先端部に対向し、
前記キャップの少なくとも前記段差部が前記キャップ収納空間に収納された状態で前記液体注入具の基端部を前記開口部より上方に突出させ、前記液体注入具を前記収納空間に対して傾斜させることにより、前記第1の突出部および前記第2の突出部はそれぞれ前記段差部と係合することを特徴とする包装体。
【0009】
(2)
前記第1の突出部の突出端の中心と前記第2の突出部の突出端の中心とを結ぶ直線と、前記液体注入具の前記キャップの中心軸とのなす角度θは、前記液体注入具が前記収納空間に収納された状態において、65〜75°である上記(1)に記載の包装体。
【0010】
(3)
前記角度θは、前記第1の突出部および前記第2の突出部がそれぞれ前記段差部と係合した状態において、約90°になる上
記(2)に記載の包装体。
【0011】
(4) 前記収納空間から前記開口部を介して前記液体注入具を取り出す際に、前記第1の突出部および前記第2の突出部は、それぞれ、前記段差部の前記キャップの軸を挟んで対向する部分に係合する上記(3)に記載の包装体。
【0012】
(5) 前記液体注入具は、長尺形状をなし、
前記開口部は、長手形状をなし、
前記液体注入具を、前記液体注入具の軸が前記開口部の長手方向と略平行な状態で前記収納空間に収納可能なように、前記容器は、前記底部に対して垂直方向から見た平面視において長軸と短軸とを有する形状であり、
前記第1の突出部および前記第2の突出部は、それぞれ、前記キャップ収納空間の前記短軸方向の中央部に配置されている上記(4)に記載の包装体。
【0013】
(6) 前記収納空間に収納された前記液体注入具の基端部を前記開口部より上方に突出させた際に、前記キャップの前記段差部よりも先端側の部分が前記第2の突出部を乗り越えることにより、前記段差部に前記第2の突出部が係合する上記(3)ないし(5)のいずれかに記載の包装体。
【0014】
(7) 前記段差部は、前記キャップの先端部の外周面に設けられている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の包装体。
【0015】
(8) 前記開口部を封止する封止部材を有する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の包装体。
【0016】
(9) 上記(8)に記載の包装体と、
前記収納空間に収納された前記液体注入具とを有し、
前記封止部材により前記開口部が封止されていることを特徴とする包装組立体。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、オートインジェクタ等の液体注入具からキャップを取り外す際、包装体の係合部にキャップの段差部を係合させることにより、キャップを容易かつ確実に取り外すことができる。
【0018】
また、包装体の収納空間から液体投与具を取り出す際に、キャップの段差部に包装体の係合部が係合することによりキャップを取り外すことができ、キャップを手指で摘まんで取り外す操作を省略することができる。すなわち、包装体の収納空間から液体投与具を取り出してキャップを取り外す操作を1工程で行うことができ、その操作を簡略化することができる。
【0019】
また、液体投与具のシリンジの軸とキャップの軸とを略一致させたまま液体投与具の基端部を開口部から突出させることが可能であるので、包装体の収納空間から液体投与具を取り出しつつキャップを取り外す際に、針を曲げてしまうことを防止することができる。
【0020】
また、係合部がキャップ収納空間内に形成されているので、液体注入具からキャップを取り外した場合、キャップがキャップ収納空間内に収納され、これにより、キャップが転がったりせず、廃棄し易い。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の包装体および包装組立体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の包装組立体の実施形態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す包装組立体の封止部材を剥離した状態を示す斜視図である。
図3〜
図5は、それぞれ、
図1に示す包装組立体のキャップを取り外す際の操作手順を説明するための断面図である。
【0024】
なお、以下では、説明の都合上、
図1〜
図5中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」、右側を「右」、左側を「左」と言う。また、説明の都合上、液体注入具の
図2中の左側を「基端」、右側を「先端」と言う。また、
図3〜
図5では、押し子および第2のコイルバネの図示を省略している。
【0025】
図1および
図2に示すように、包装組立体1は、液体注入具5と、その液体注入具5を収納する包装体2とを有している。
【0026】
液体注入具5は、長尺形状をなし、薬液(液体)が予め充填されたオートインジェクタであり、その薬液を生体に注入する(投与する)際に用いられるものである。なお、薬液としては、特に限定されず、その使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば、造血剤、ワクチン、ホルモン製剤、抗リウマチ剤、抗ガン剤、麻酔剤、血液凝固防止剤等が挙げられる。
【0027】
図2〜
図5に示すように、液体注入具5は、長尺形状をなす液体注入具本体(本体部)6と、液体注入具本体6に着脱可能に装着されたキャップ7とを有している。液体注入具本体6にキャップ7が装着されていることにより、液体注入具本体6の後述する針66を保護することができ、また、針66による誤穿刺等を防止することができる。
【0028】
液体注入具本体6は、有底筒状をなすハウジング63と、ハウジングの内周側に配置されたシリンジ61と、シリンジ61を保持するシリンジホルダ62と、シリンジ61の後述する針66の少なくとも先端部を覆う針カバー64と、図示しない第1のコイルバネと、図示しない第2のコイルバネとを備えている。シリンジホルダ62は、ハウジング63に保持されている。また、ハウジング63は、シリンジ61の針66以外の部分、すなわち、筒体611を覆っている。このハウジング63は、薬液を生体に注入する際に把持する把持部でもある。なお、ハウジング63は、シリンジ61の少なくとも基端部を覆っていればよい。
【0029】
シリンジ61は、有底筒状をなし、薬液を充填可能な筒体611と、筒体611の先端部に取り付けられ、前記薬液を排出する針(中空針)66と、筒体611内に設けられ、その筒体611内で摺動し得るガスケット67と、ガスケット67に連結された図示しない押し子とを有している。前記第1のコイルバネは、前記押し子を介してガスケット67を先端方向に向かって付勢している。また、図示しない保持部が押し子に係合し、押し子の先端方向への移動が阻止されている。
【0030】
筒体611は、底部を有する胴部612と、前記底部の中央部に設けられ、胴部612に対し縮径した縮径部613とを有しており、これらが一体的に形成されている。そして、縮径部613により、液体が出入り可能な口部が構成される。また、胴部612の先端部に設けられた縮径部613には、針66が取り付けられている(固定されている)。
【0031】
筒体611の内腔部、すなわち、筒体611とガスケット67とで囲まれる空間であって、ガスケット67の先端側に位置する空間内には、予め薬液が収納されている。
【0032】
針66は、中空の針管であり、先端に鋭利な針先を有し、針先で生体を穿刺することができる。針66の内腔部は、筒体611の内腔部と連通しており、筒体611からの薬液が通過する流路として機能する。針66の針先で生体を皮膚から所定の深さまで穿刺した後、体内にその針66の流路を介して薬液が注入される。
【0033】
針カバー64は、先端開口を有し、ハウジング63に、液体注入具5の軸方向に移動可能に設置されている。この針カバー64は、針66の少なくとも針先を覆う第1の位置(カバー位置)と、針66の針先を露出させる第2の位置(退避位置)とに移動可能である。前記第2のコイルバネは、針カバー64が第1の位置に位置し、針カバー64の先端開口が針66の針先よりも先端側に位置するように、針カバー64を先端方向に向かって付勢している。
【0034】
薬液を生体に注入する際は、液体注入具5のハウジング63を把持し、液体注入具5からキャップ7を取り外した後、針カバー64の先端部を生体表面の目的部位に押し付ける。これにより、針カバー64は、基端方向に向かって第2の位置に移動し、針66の針先が生体表面を穿刺する。そして、針カバー64が第2の位置に移動すると、前記保持部と前記押し子との係合が外れ、前記第1のコイルバネの付勢力により、押し子を介してガスケット67が先端方向に移動し、これにより、薬液が針66から排出される。このように、この液体注入具5によれば、第1のコイルバネの付勢力により自動的にガスケット67が先端方向に移動するので、高齢者等の握力の弱い人や、リウマチ患者等の手指が不自由な人でも容易かつ確実に薬液を投与することができる。
【0035】
キャップ7は、針シールド部材71と、針シールド部材71の外周側に配置されたリムーバー72とを有している。
【0036】
針シールド部材71は、針66の針先を覆う針先保護部材711と、針先保護部材711を保持するカバー部材712とを有している。針先保護部材711は、例えば、ゴム材料等で構成されており、シリンジ61の縮径部613に着脱自在に装着されている。また、針先保護部材711により、針66の針先の開口が封止されている。なお、針先保護部材711およびカバー部材712の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、有底筒状をなしている。
【0037】
リムーバー72は、外筒721と、外筒721の内側に、外筒721と同心的に配置された内筒722とを有している。すなわち、リムーバー72は、筒状をなしている。また、内筒722の基端には、1対の腕部723が、基端側に向って突出し、かつ、液体注入具5の軸を挟んで互いに対向するように形成されている。また、各腕部723の基端部には、爪724が、液体注入具5の軸に向って突出するように形成されている。
【0038】
前記針シールド部材71のカバー部材712は、内筒722の内側に配置され、その内筒722に保持されている。また、各腕部723の爪724は、カバー部材712の基端に係合している。これにより、液体注入具5からキャップ7を取り外す際、リムーバー72が液体注入具本体6に対して先端方向に移動すると、リムーバー72とともに針シールド部材71も先端方向に移動し、キャップ7を取り外すことができる。
【0039】
このリムーバー72は、液体注入具本体6のハウジング63の先端部に装着されている。この場合、外筒721の基端部が、ハウジング63の先端部の外周部に嵌合し、また、各腕部723の基端部が、ハウジング63の先端部の内周部に嵌合している。このように、キャップ7が装着された状態の液体注入具5では、リムーバー72は、ハウジング63の先端部の内周面および外周面に当接しているので、液体注入具5からキャップ7を取り外す際、ハウジング63に対してリムーバー72が曲がることを阻止することができ、これにより、キャップ7で針66が曲げられてしまうことを防止することができる。
【0040】
また、ハウジング63とキャップ7のリムーバー72の外筒721との間には、胴部612の側面よりも外側に突出した段差部(第1の段差部)725が設けられている。この段差部725は、外筒721の基端部等で構成され、液体注入具5の軸周りに1周に亘って設けられている。
【0041】
また、外筒721の先端部の外周面には、外筒721の基端部に対して縮径した縮径部と、その縮径部に対して拡径した拡径部とが形成されており、その縮径部と拡径部とで、胴部612の側面よりも外側に突出した段差部(第2の段差部)726が設けられている。この段差部726は、外筒721の先端部の外周面に、液体注入具5の軸周りに1周に亘って設けられている。この包装組立体1では、後述するように、包装体2の収納空間34から液体注入具5を取り出しつつ、液体注入具5からキャップ7を取り外すことができるようになっているが、段差部726は、その際、包装体2の後述する第1の突出部36および第2の突出部37に係合する。
【0042】
また、この包装組立体1では、後述するように、キャップ7の段差部726よりも先端側の部分が第2の突出部37を乗り越えることにより、段差部726に第2の突出部37が係合するが(
図3、
図4参照)、段差部726が外筒721の先端部の外周面に設けられているので、キャップ7の段差部726よりも先端側の部分が第2の突出部37を容易に乗り越えることができ、これにより、容易に段差部726を第2の突出部37と係合させることができる。
【0043】
なお、キャップ7のリムーバー72を手指で把持して先端方向に引き抜くことにより、液体注入具5からキャップ7を取り外すことができるが、段差部726は、その際に、手指を引っ掛ける指掛部として機能する。
【0044】
次に、包装体2について説明する。
図1および
図2に示すように、包装体2は、液体注入具5を収納する容器3と、容器3に離脱可能に取り付けられた封止部材4とを備えている。封止部材4は、シート状をなしている、すなわち、平坦な形状をなすシート材で構成されている。
【0045】
図2〜
図4に示すように、容器3は、液体注入具5を収納可能、すなわち、液体注入具5を収納する後述の収納空間34を確保することができる突出形状(ブリスター形状)に成形されている。すなわち、容器3は、底部31と、底部31の周囲から上方に延びる側壁部32と、側壁部32の上端から側方に延び、封止部材4を取り付けるためのフランジ部33とを有している。そして、底部31および側壁部32により、その内側の部分に、液体注入具5を収納するための収納空間34が形成され、収納空間34の上端に、収納空間34から液体注入具5を取り出すための開口部35が形成されており、液体注入具5は、収納空間34から開口部35を介して取り出される。また、収納空間34のうち、右側の端部は、液体注入具5のキャップ7を収納するキャップ収納空間38である。また、収納空間34の左側の端部附近は、幅広に形成されており、使用者は、包装体2(容器3)から液体注入具5を取り出す際、その幅広の部分に手指を挿入し、その手指で液体注入具5の基端部を把持することができる。なお、開口部35は、側壁部32の上端で囲まれている。
【0046】
また、容器3の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、底部31に対して垂直方向から見た平面視(以下、平面視と言う)で、長軸および短軸を有する長手形状、すなわち、略長方形をなしている。なお、
図2には、前記長軸の方向を「X」、前記短軸の方向を「Y」で示す。
【0047】
また、開口部35の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、平面視で、長軸および短軸を有する長手形状をなしている。
【0048】
また、収納空間34の形状は、特に限定されないが、液体注入具5を、液体注入具5の中心軸(軸)51が開口部35の長手方向と略平行な状態で収納空間34に収納可能な形状をなしている。
【0049】
また、前述したように、容器3の上端部の外周部には、その1周に亘って、フランジ部33が形成されている。このフランジ部33は、4辺のうち、左側の部分が他の部分よりも大きく形成されている。
【0050】
また、容器3の長軸方向Xにおけるフランジ部33の端部、すなわち、フランジ部33の左側の部分には、側方に向かって開口した切欠部331が形成されている。切欠部331の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、円弧状をなしている。
【0051】
また、フランジ部33の上面は、封止部材4を取り付け可能な部位であり、そのフランジ部33の上面に、封止部材4が、例えば、融着または接着等により、離脱可能に取り付けられている。これにより、封止部材4によりフランジ部33が覆われるとともに、開口部35が気密的に封止され、包装体2の内部の無菌状態を維持することができる。
【0052】
また、包装体2から封止部材4を剥離する際は、封止部材4のうち、切欠部331の欠損している部分に対応する部分を把持することで、封止部材4を容易に剥離することができる。
【0053】
また、容器3は、その右側の端部のキャップ収納空間38内に形成された第1の突出部36および第2の突出部37を有している。この第1の突出部36および第2の突出部37は、それぞれ、液体注入具5からキャップ7を取り外すためにキャップ7の段差部726と係合する係合部として機能する。
【0054】
第1の突出部36は、容器3の右側の端部の底部31の内面からキャップ収納空間38に向かって突出している。また、第2の突出部37は、容器3の右側の端部の側壁部32、すなわち、キャップ収納空間38に収納されたキャップ7の先端に対向する側壁部32の内面からキャップ収納空間38に突出している。また、第2の突出部37は、側壁部32の上端部、すなわち、開口部35の近傍に配置されており、これにより、使用者は、容易に第2の突出部37を認識することができる。また、第1の突出部36および第2の突出部37は、それぞれ、容器3の短軸方向Yにおけるキャップ収納空間38の中央部に配置されている。これにより、液体注入具5からキャップ7を取り外す際、第1の突出部36および第2の突出部37は、確実に液体注入具5の中心軸51を挟むように段差部726と係合する。
【0055】
また、収納空間34に液体注入具5が収納された状態では、第1の突出部36および第2の突出部37は、それぞれ、キャップ7の段差部726から離間している。すなわち、第1の突出部36および第2の突出部37は、それぞれ、収納空間34に液体注入具5が収納された状態では段差部726と係合していない。これにより、包装組立体1の輸送時の振動等により液体注入具5が包装体2の基端側に移動した場合に、キャップ7が外れることを防止することができる。
【0056】
また、この包装体2では、第1の突出部36および第2の突出部37は、それぞれ、収納空間34から液体注入具5を取り出す際に、キャップ7の少なくとも段差部726がキャップ収納空間38に収納された状態で液体注入具5の基端部を開口部35より上方に突出させることにより、段差部726と係合し(
図4参照)、これにより、液体注入具5からキャップ7を取り外すことができるようになっている(
図5参照)。
【0057】
液体注入具5からキャップ7を取り外す際、第1の突出部36および第2の突出部37に段差部726を係合させることにより、高齢者等の握力の弱い人や、リウマチ患者等の手指が不自由な人でもキャップ7を容易かつ確実に取り外すことができる。
【0058】
また、包装体2から液体注入具5を取り出す際に、段差部726に第1の突出部36および第2の突出部37が係合することによりキャップ7を取り外すことができ、キャップ7を手指で摘まんで取り外す操作を省略することができる。すなわち、包装体2から液体注入具5を取り出してキャップ7を取り外す操作を1工程で行うことができ、その操作を簡略化することができる。
【0059】
また、第1の突出部36および第2の突出部37がそれぞれキャップ収納空間38に配置されていることにより、液体注入具5からキャップ7を取り外した場合、キャップ7はキャップ収納空間38に収納された状態となる。このため、キャップ7が転がったりせず、キャップ7を廃棄し易い。なお、第1の突出部36および第2の突出部37の数は、それぞれ、1つに限らず、2つ以上でもよい。
【0060】
また、包装体2では、収納空間34から液体注入具5を取り出す際に、段差部726に第1の突出部36および第2の突出部37が係合した状態で、シリンジ61の中心軸(軸)614とキャップ7の中心軸(軸)73とを略一致させたまま液体注入具5全体を傾斜させて液体注入具5の基端部を開口部35から上方に突出させることが可能になっている。
【0061】
これにより、包装体2から液体注入具5を取り出しつつキャップ7を取り外す際に、針66を曲げてしまうことを防止することができる。
【0062】
また、包装体2では、収納空間34から液体注入具5を取り出す際に、第1の突出部36および第2の突出部37は、それぞれ、段差部726のキャップ7の中心軸73を挟んで対向する部分に係合するようになっている。
【0063】
これにより、液体注入具5からキャップ7を取り外す際、第1の突出部36および第2の突出部37は、液体注入具5の中心軸51を挟むように段差部726と係合するので、第1の突出部36および第2の突出部37と段差部726との係合を中心に液体注入具5が回転し難くなり、確実にキャップ7を取り外すことができる。
【0064】
また、包装体2では、収納空間34に収納された液体注入具5の基端部を開口部35より上方に突出させた際に、キャップ7の段差部726よりも先端側の部分が第2の突出部37を乗り越えることにより、段差部726に第2の突出部37が係合するようになっている(
図3、
図4参照)。
【0065】
これにより、キャップ7の段差部726よりも先端側の部分が第2の突出部37を乗り越える際の振動や音により、第2の突出部37が段差部726に係合したことを使用者に認識させることができる。
【0066】
ここで、第1の突出部36および第2の突出部37の位置や形状は、図示の構成には限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、
図3に示す包装体2の側面視で(短軸方向Yから見たとき)、第1の突出部36の先端面の中心と第2の突出部37の先端面の中心とを結ぶ直線81と、包装体2に収納された状態の液体注入具5のキャップ7の中心軸73(シリンジ61の中心軸614)とのなす角度θは、0〜80°であることが好ましく、65〜75°であることがより好ましい。なお、段差部726と第1の突出部36および第2の突出部37とが係合した状態では、角度θは、約90°になる(
図4参照)。
【0067】
角度θが前記上限値よりも大きいと、他の条件にもよるが、段差部726を第1の突出部36および第2の突出部37と係合させたとき、液体注入具5の基端部が開口部35から突出し難くなる。また、角度θが前記下限値よりも小さいと、他の条件にもよるが、段差部726を第1の突出部36および第2の突出部37と係合させ難くなる。
【0068】
また、容器3の構成材料としては、特に限定されず、例えば、紙、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミドのような各種樹脂等が挙げられる。
【0069】
次に、包装組立体1の液体注入具5からキャップ7を取り外す際の操作手順について説明する。
【0070】
まず、
図2および
図3に示すように、包装組立体1の包装体2から封止部材4を剥離する。
【0071】
次に、
図4に示すように、液体注入具5の基端部を手指で把持し、キャップの第2の突出部37を包装体2のキャップ収納空間38に収納した状態で、液体注入具5の基端部を上方に持ち上げ、その液体注入具5を傾斜させ、キャップ7の段差部726を第1の突出部36および第2の突出部37と係合させる(手指は不図示)。
【0072】
この場合、キャップ7の段差部726よりも先端側の部分が第2の突出部37を乗り越え、段差部726に第2の突出部37が係合する。また、段差部726に第1の突出部36および第2の突出部37が係合し、シリンジ61の中心軸614とキャップ7の中心軸73とが略一致した状態で、液体注入具5の基端部が開口部35から上方に突出する。また、キャップ7の段差部726よりも先端側の部分が第2の突出部37を乗り越える際は、振動や音が発生し、これにより、使用者は、段差部726が第1の突出部36および第2の突出部37と係合したことを認識する。
【0073】
次に、
図5に示すように、液体注入具5を基端方向に移動させ、容器3から液体注入具5を取り出す。
【0074】
これにより、液体注入具5からキャップ7が離脱し、容器3から液体注入具5の液体注入具本体6のみが取り出される。また、キャップ7は、キャップ収納空間38に収納される。
【0075】
以上説明したように、この包装組立体1によれば、液体注入具5からキャップ7を取り外す際、包装体2の第1の突出部36および第2の突出部37に、キャップ7の段差部726を係合させることにより、高齢者等の握力の弱い人や、リウマチ患者等の手指が不自由な人でもキャップ7を容易かつ確実に取り外すことができる。また、包装体2の収納空間34から液体注入具5を取り出してキャップ7を取り外す操作を1工程で行うことができ、その操作を簡略化することができる。
【0076】
以上、本発明の包装体および包装組立体を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0077】
また、前記実施形態では、係合部(第1の突出部および第2の突出部)は、キャップの外周面に形成された段差部(第2の段差部)と係合することを意図して設けられているが、本発明では、これに限らず、本体部とキャップとの間に形成された段差部(第1の段差部)と係合することを意図して設けられていてもよい。
【0078】
また、前記実施形態では、包装体は、容器の開口部を封止する封止部材を有しているが、本発明では、これに限らず、例えば、封止部材がなく、容器を収納する収納箱を有する構成でもよい。この場合、収納箱は容器をスライド可能に収納していることが好ましい。なお、包装体は、封止部材と収納箱の両方を有する構成であってもよい。
【0079】
また、前記実施形態では、キャップは、リムーバーと針シールド部材とで構成されているが、本発明では、これに限らず、例えば、リムーバーが省略されていてもよい。この場合は、針シールド部材の外周面または本体部と針シールド部材との間に、段差部が設けられている。
【0080】
また、前記実施形態では、液体注入具は、オートインジェクタであるが、本発明では、これに限らず、例えば、手動で押し子を押圧して液体を吐出する形態のものであってもよい。
【0081】
また、前記実施形態では、液体注入具は、シリンジ内に予め薬液が収納されている構成であるが、これに限らず、例えば、シリンジ内に粉末製剤などの固形製剤としての薬剤が収納されていてもよい。この場合には、使用時にシリンジ内に溶解液等の液体を注入し、前記液体に薬剤を溶解してなるものを「薬液」として用いることができる。また、液体注入具は、液体が予め充填されていない形態のものであってもよい。